JPWO2014091955A1 - 制御棒監視システム、および制御棒監視方法 - Google Patents
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Abstract
Description
健全性や運用状態を知るために、原子炉の出力を正確に知ることが求められる。この要求に関して、中性子束を測定することにより、原子炉出力を計測することが現状行われている。原子炉出力計測では、局部出力領域モニタ(LPRM:Local Power Range Monitor)や平均出力領域モニタ(APRM:Average Power Range Monitor)などが用いられている。
図12は、局部出力領域モニタ(LPRM)等のセンサ位置の配置を示した模式図である。
図12(a)に示されるように、原子炉内の測定位置とする燃料集合体間に局部出力領域モニタ(局部出力領域モニタ検出器:中性子センサ)が設置され、周囲の燃料集合体から放出された中性子束を測定する。1つの測定位置には、図12(b)に示されるように異なる高さに複数の局部出力領域モニタ検出器が設置される。また、局部出力領域モニタは、1つの原子炉内に均等的に多数設けられている。
原子炉の制御には、多数の制御棒(CR:Control Rod)が用いられている。制御棒は、中性子を吸収する部材で作成されており、沸騰水型炉では下方から炉心に挿入される。個々の制御棒は、制御棒引き抜き操作を受けると、制御棒駆動装置(CRD:Control Rod Drive)の動作に伴って引き抜かれる方向である下方に移動する。この制御棒の移動により、近傍の核燃料集合体から放出された中性子の制御棒による吸収量が低下して、核連鎖反応の増加により原子炉出力が上昇する。上記局部出力領域モニタ検出器は、この際に放出される中性子束の監視に用いられている。
原子炉で用いられている関連する技術は、例えば、特開2010−91475号公報、特開2012−02652号公報(以下順に特許文献1、特許文献2と記す)に記載されている。
特許文献1には、制御棒を引き抜く際に原子炉の出力が急激に上昇した場合に、制御棒を引き抜くことを停止する制御棒引抜監視装置が記載されている。当該文献に記載された制御棒引抜監視装置は、局部出力領域モニタ(LPRM)と制御棒引抜監視部(RBM)とが用いられている。また、既存設備を少量の追加変更のみで、より良く制御棒引抜動作の監視を行える構成が記載されている。これは、原子炉制御への改造による悪影響を排除するための必要な方策である。
特許文献2には、個々の制御棒の物理的位置を監視する制御棒位置監視装置が記載されている。より詳細には、特許文献2には、メカニカルな多重スイッチ構造を用いた制御棒の位置検出器と、その位置検出器の出力信号を制御盤まで多重化した制御棒位置監視装置が記載されている。
一方、制御棒は、制御棒駆動装置(CRD)により炉心内外に挿抜される。既存設備の幾つかは、個々の制御棒の挿抜量(:格納容器内での制御棒の挿入位置)を、人員の操作やハード構造から求めている。なお、制御棒の位置を求める機構は、特許文献2に示された位置検出器のように、原子炉圧力容器外に設置されている。
これらの既存設備は、今まで原子炉の出力を適切に測定すると共に、制御棒の状態を適切に識別できていた。
しかしながら、安全性、堅牢性をより高める観点での模索を行う過程で、制御棒駆動装置から得る情報以外にも、制御棒位置の識別手法を確立することを検討した。他方で、圧力容器内に新たにセンサを設けることは困難と考える。
本発明の目的は、局部出力領域モニタから得られる測定値などから、制御棒の位置変化の正当性を識別する制御棒監視システム及び制御棒監視方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、局部出力領域モニタから得られる測定値などから、移動した制御棒を識別する制御棒監視システム及び制御棒監視方法を提供することにある。
また、本発明に係る制御棒監視システムは、関係性検証手段から得た関係性崩れに現れた関係性の不一致箇所と個々の中性子線測定センサ手段の物理的位置座標を示した既知のセンサ分布位置情報とを参照して、崩れに現れた個々の中性子線測定センサ手段の分布に基づいた関係性崩れの要因となった制御棒を特定処理する制御棒位置検出手段を更に含むこととしても良い。
また、現在の前記中性子線測定センサ手段から得られた関係性モデルを生成する際に、測定値に前処理を行うことが望ましい。
また、本発明によれば、局部出力領域モニタから得られる測定値などから、移動した制御棒を識別する制御棒監視システム及び制御棒監視方法を提供できる。
図2は第1の実施形態にかかる制御棒監視システムの処理動作を例示するフローチャートである。
図3は本発明の第2の実施形態にかかる制御棒監視システムを示すブロック図である。
図4は第2の実施形態にかかる制御棒監視システムの処理動作を例示するフローチャートである。
図5は第2の実施形態にかかる制御棒監視システムの別の処理動作を例示するフローチャートである。
図6は本発明の第2の実施形態にかかる制御棒監視システムを示すブロック図である。
図7は第3の実施形態にかかる制御棒監視システムの処理動作を例示するフローチャートである。
図8は実施例にかかる発電所設備を示す説明図である。
図9は過去に原子力発電所で収集されたLPRMの測定値の時間変化を示す説明図である。
図10は制御棒監視システムで用いる定常時のモデル生成処理を例示するフローチャートである。
図11は原子炉圧力容器内にあるLPRM群に関して過去に収集された実測値を用いたモデル相互の関連性の崩れ量をグラフ化した説明図である。
図12は原子炉圧力容器内に配置された局部出力領域モニタ(LPRM)等のセンサ位置を示した模式図である。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の制御棒監視システム10を示すブロック図である。
本制御棒監視システム10は、複数の局部出力領域モニタ(以降LPRMと記載)101〜10nと、関係性モデルデータベース200と、関係性検証モジュール300とを含み、構成される。
LPRM101〜10nは、それぞれ複数のLPRM検出器111・・・1nmを含む。個々のLPRM検出器111・・・1nmは、中性子線測定センサ手段として動作する。
関係性モデルデータベース200には、個々のLPRM101〜10nに関して出力値間にある関係性を示した圧力容器内センサ既知関係性モデルを記憶保持する。圧力容器内センサ既知関係性モデルは、個々のLPRM検出器111・・・1nmの全ての組み合わせについて、出力値に関する関係性をモデル化することが望ましい。この際に、既知関係性モデルに反映させる関係性は、関係性の有無、その強弱を含めることが望ましい。また、相互性を加えてもよい。また、既知関係性モデルには、センサ間の相関関係として、個々のLPRM検出器に対する他のLPRM検出器が有する関係性の強さの順位が反映されていることが望ましい。また、相互関係性を用いることで、よりよいモデル比較を行える。
関係性検証モジュール300は、リアルタイム性を有した測定値など、監視対象とするLPRMの測定値をモデル化して監視対象について関係性モデルを生成する。
関係性検証モジュール300は、関係性モデルデータベース200に記録されている圧力容器内センサ既知関係性モデルを取得して、生成した監視対象の関係性モデルと圧力容器内センサ既知関係性モデルを比較処理する。比較により判明した関係性の不一致箇所を抽出する。この関係性の不一致箇所は、個々のLPRM検出器の有していた関係性がモデル相互で異なった場合に生じる。
次に、関係性検証モジュール300は、関係性の不一致箇所を時間軸を含めて監視して、関係性崩れを算定処理する。関係性崩れを示す値には、不一致箇所数や、不一致箇所の時間当たりの増化量などを用いることができる。関係性検証モジュール300は、関係性崩れが所定量(所定閾値)以上となった際に、報知事象として抽出し、管理者(制御盤)や安全性などを受け持つ他のシステムに通知すればよい。また、関係性崩れの値自体も各方面に通知してもよい。
次に、第1の実施形態にかかる制御棒監視システム10の動作例を説明する。
図2は、第1の実施形態にかかる制御棒監視システム10の処理動作を例示するフローチャートである。
関係性検証モジュール300は、監視対象とするLPRMなどの測定データを受け付ける(S101)。この際に入力する測定データは、リアルタイム的測定データ群を用いれば現在の原子炉状態を監視できる。また、任意の区間の過去に収集された測定データを用いれば、当該区間内に発生していた原子炉内での事象などの把握に役立て得る情報を得られる。また、制御棒の可動テストと共に行えば、可動テストの検証に役立て得る情報を得られる。
関係性検証モジュール300は、受け付けたセンサ値群を識別して関係性モデルとしてモデル化する(S102)。
並行的に、関係性検証モジュール300は、関係性モデルデータベース200に記録されている圧力容器内センサ既知関係性モデルを取得する(S103)。
次に、関係性検証モジュール300は、生成した関係性モデルと、取得した圧力容器内センサ既知関係性モデルとを比較分析処理して関係性崩れを示す値を算定し、関係性に崩れが在るか無いかを判別する(S104)。
関係性検証モジュール300は、関係性崩れが在った際には、報知事象として所定の制御盤などに通知する(S105)。
現在の原子炉状態の監視に用いていた際には、警報や調査依頼などが自動的に発せられるように構成すればよい。
また、炉内の解析に用いていた際には、操作や他のセンサで捉えた現象などと、時間軸を踏まえて関連付けられる。
また、制御棒の可動テストに用いていた際には、制御棒駆動装置の操作に伴う制御棒の可動異常の判別が行える。また、既存の制御棒位置監視装置から得た情報の正確性が比較する圧力容器内センサ既知関係性モデルにより識別できる。
このように、本実施形態によれば、LPRMなどから得られる測定値から、制御棒の位置変化の正当性を識別できる。
[第2の実施形態]
次に第2の実施の形態を説明する。なお、第1の実施形態と同様の箇所について、説明を簡略化又は省略する。
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で判定した関係性崩れに基づく制御棒の位置変化の正当性判別に加え、移動した制御棒を識別する。すなわち、多数ある制御棒内から移動した制御棒を、LPRMなどから得られる測定値から導出する。
図3は、第2の実施形態の制御棒監視システム20を示すブロック図である。
図示したように制御棒監視システム20には、センサ分布データベース400と制御棒位置検出モジュール500が追加的に設けられている。
センサ分布データベース400には、個々のLPRM101〜10n(より正確に求める際には個々のLPRM検出器)の物理的位置座標を示した既知のセンサ分布位置情報が格納されている。このセンサ分布位置情報は、原子炉圧力格納容器内でどのセンサがどの位置に物理的に配置されているかが示されており、二次元的な情報(より正確に求める際には三次元)が含まれる。
制御棒位置検出モジュール500は、関係性検証モジュール300によって関係性崩れが出力された際に、関係性崩れに現れた関係性の不一致箇所(不一致となったセンサ番号などの情報)と既知のセンサ分布位置情報とを参照して、崩れ方に現れた関係性崩れの要因となった制御棒を、崩れに含まれたLPRMなどの分布に基づいて特定する。この処理は、原子炉内の内部構造と関係が深く、単純に崩れに含まれたLPRM群の中心位置に有る制御棒と断定できない。他方で、関係性モデルデータベース200に格納されている収集済みのデータと付き合わせることで、制御棒を部分的(より正確に求めれば一本毎)に識別することが可能である。
図4は、第2の実施形態の制御棒監視システム20の処理動作を例示するフローチャートである。
S104までの動作は、第1の実施形態の処理動作と同様である。
関係性検証モジュール300によって関係性崩れが出力された場合に、制御棒位置検出モジュール500は、関係性崩れが生じたことを識別する(S205)。
制御棒位置検出モジュール500は、関係性崩れに関係するLPRM(より正確に行うためにはLPRM検出器)を特定する(S206)。この際、センサ分布データベース400を参照して、関係性崩れに関係するLPRMなどを参照可能に提示することを行ってもよい。
次に、制御棒位置検出モジュール500は、関係性崩れのパターンに類似するパターンを関係性モデルデータベース200内から選定して、選定したパターンから判明した制御棒の移動を判別する(S207)。判別した制御棒位置は、センサ分布データベース400に含まれた可視的な図面などと共に提示したり、他のシステムに制御棒ナンバーなどを通知したりする。この類似パターンの抽出は、時間軸を含めて一致パターンを探索することが望ましい。
図5は、第2の実施形態の制御棒監視システム20の別の処理動作を例示するフローチャートである。
図示したように、関係性崩れが生じたことを識別(S205)した際に、制御棒位置検出モジュール500は、関係性崩れに関係するLPRMなどの特定(S208)と共に、個々のLPRMなどに含まれる関係性崩れに関係するLPRM検出器などのセンサ数を加算(S209)する。
次に制御棒位置検出モジュール500は、加算した関係性崩れに関係するLPRM毎の関係性崩れ数の大小を対比して順序付け(S210)、その順序付けを反映させたパターンから移動した制御棒を特定する(S211)。この処理では、過渡的な変化が現れたより崩れ数の多いLPRM等の位置を中心的に扱うことで制御棒を特定できる。
なお、上記説明では、関係性崩れが出力された際に、動作した制御棒を特定することとしたが、常時的に移動したと考えられる制御棒を監視してもよい。
現在の原子炉状態の監視に用いていた際には、警報や調査依頼などと共に、移動したと考えられる制御棒を通知できる。
また、炉内の解析に用いていた際には、操作や他のセンサで捉えた現象などと個々の制御棒の移動とを、時間軸を踏まえて関連付けられる。
また、制御棒の可動テストに用いていた際には、制御棒駆動装置の操作に伴う制御棒の可動異常の判別が行える。また、既存の制御棒位置監視装置から得た情報と炉内のセンサから得た情報との両方面から制御棒の状態を識別できる。
このように、本実施形態によれば、LPRMなどから得られる測定値から、移動した制御棒を識別できる。
[第3の実施形態]
次に第3の実施形態を説明する。なお、第1及び第2の実施形態と同様の箇所について、説明を簡略化又は省略する。
第3の実施の形態では、第2の実施の形態で判定した移動した制御棒の特定をより詳細に求める。また、関係性崩れに基づく制御棒の位置変化の正当性判別も加えて行うことができる。
図6は、第3の実施形態の制御棒監視システム30を示すブロック図である。
図示したように制御棒監視システム30には、平均化処理モジュール600が追加的に設けられている。また、制御棒監視システム30は、圧力容器外センサ群700から各種センサの測定値を取得する。また、本実施形態では、関係性モデルとして相関モデルを使用する。
平均化処理モジュール600には、LPRM検出器111〜1nmなどから得られた個々の観測データを平均化処理する。平均化処理は、時系列変化を加味して直前の観測データを用いればよい。また、平均化処理を実施する間隔を変更できるように構成することが望ましい。このことによって、ノイズ元(例えばボイドや熱流など)毎に間隔を変更してノイズ除去を行える。
関係性検証モジュール300は、平均化処理モジュール600によってノイズ除去が図られたデータを用いて、監視対象とするLPRM検出器111〜1nmの測定値をモデル化して監視対象について関係性モデルとして相関モデルを生成する。
関係性検証モジュール300は、関係性モデルデータベース200に記録されている圧力容器内センサ既知相関モデルを取得して、生成した監視対象の相関モデルと圧力容器内センサ既知関係性モデルを比較処理する。この際に、圧力容器外センサ群700から得られた測定値も加えて関係性分析や相関性分析の精度をより細密に行っても良い。この場合、平均化処理モジュール600によって、原子炉内への影響度合いを加味して加重移動平均化もしくは指数移動平均化を行った後に圧力容器内での測定値に加えることが望ましい。
次に、関係性検証モジュール300は、相関モデルの比較により判明した相関性の不一致箇所を抽出処理し、相関崩れの有無を算定処理する。
制御棒位置検出モジュール500は、相関崩れが出力された際に、相関崩れに現れた相関性の不一致箇所と既知のセンサ分布位置情報とを参照して、崩れ方に現れた相関崩れの要因となった制御棒を、崩れに含まれたLPRM検出器などの分布に基づいて特定する。加えて多く崩れに関係したLPRMなどの分布を用いてもよい。この処理は、原子炉内の内部構造やセンサ間の配置に関係が深い。特に、同一LPRMに配置されている個々のLPRM検出器の設置が異なる高さに配設されていることも有効利用する。この結果、不変関係分析を実施することで、移動した制御棒を精度よく識別することが可能である。
図7は、第3の実施形態の制御棒監視システム30の処理動作を例示するフローチャートである。
図示したように、前処理を実施することと、相関モデルを用いること以外は、第1及び第2の実施形態と同様に処理を実施して行けばまた、図7は図5に対応しているが、図4に示した不変関係分析処理を行ってもよい。
上記のように相関モデルを用いた不変関係分析処理を実施することで、現在の原子炉状態の監視に用いていた際には、警報や調査依頼などと共に、移動したと考えられる制御棒を通知できる。
また、炉内の解析に用いていた際には、操作や他のセンサで捉えた現象などと個々の制御棒の移動とを、時間軸を踏まえて関連付けられる。
また、制御棒の可動テストに用いていた際には、制御棒駆動装置の操作に伴う制御棒の可動異常の判別がより正確に行える。また、既存の制御棒位置監視装置から得た情報と炉内のセンサから得た情報との両方面から制御棒の状態を識別できる。
このように、本実施形態によれば、LPRMなどから得られる測定値から、移動した制御棒をより高精度に識別できる。
図8は、本発明にかかる制御棒監視システムを含む発電所設備を示す説明図である。
図示したように説明する発電所設備は、原子炉容器と、原子炉容器内に設置された多数のLPRM群と、複数の制御棒と、炉心(燃料集合体)と、センサ値を収集する監視装置と、収集された多くのセンサ値を蓄積保存する測定値保存データベースを含む。
また、発電所設備には、本発明にかかる制御棒監視システムと共に、関係性モデル生成装置を設けている。
監視装置は、例えば、制御棒の挿抜試験時や通常営業状態時に、LPRM群を含む原子炉内センサから測定値を時間と対応付けて収集して測定値保存データベースに蓄積する。
個々のLPRM検出器からは、図9に示したような測定値(現在の観測データ)が収集される。監視装置は、このような各センサの測定値を時間に対応付けて収集する。
関係性モデル生成装置は、図10に例示するように、測定値保存データベースから所定区間の測定値(過去の観測データ)を取得し、取得した測定値間の関係性を導出してモデル化する。換言すれば、性常運転時の実測データ群や動作テスト時の実測データ群に基づいて、炉内状況が表した関係性モデルを予め生成する。この処理で生成された関係性モデルは、関係性保存データベースに記録される。
関係性モデルを圧力容器内の各種センサの総当り相互関係性とすれば、 相関関係を示す値として多数のパラメータが取得できる。
関連性は、予測式(数式)で示してもよいし、関係性を示した一覧テーブルで示してもよい。ここでの予測式は、各相互関係性を関数で示せばよい。また、一覧テーブルは、測定値間に生じていた各相互関係性を、相関関係が高い順に個々のセンサに対応付けて並べて示せばよい。
その後、制御棒監視システムは、上記した各実施形態で説明したようにモデル間の比較を実施して、関係性の崩れ数を基準に、監視や検証、報知、通知などを行えばよい。
数式ベースの比較処理では、相関性ゆらぎを予め学習しておき、平常時などの許容する相関性ゆらぎを判定基準として定義した後に、リアルタイム的な測定データから求めた現在の関係性モデルと過去の関係性モデルとを比較することにより、判定基準を超えた関係性崩れ数と関係性が崩れている箇所として抽出する。作業員や他のシステムに対して、通知や報知を行える。
また、テーブル情報を用いる場合に、制御棒監視システムは、圧力容器内の既知の関係性モデルと現在の関係性モデルの一覧テーブルデータ相互を付き合わせて差分箇所数を集計処理し、この差分箇所数についての閾値もしくは差分箇所数の増減に関する閾値に基づいて、崩れがあるか否かを判別する。
制御棒監視システムは、一覧テーブルとして、個々のLPRM検出器間の相関関係が高い順に個々のLPRM検出器に対応付けて並べたデータが用いてもよい。関係性検証モジュールでは、既知の関係性モデルと現在の関係性モデルの一覧テーブルデータ相互を付き合わせて差分箇所数を集計処理し、差分箇所数についての閾値もしくは差分箇所数の増減に関する閾値に基づいて、崩れがあるか否かを判別する。
制御棒監視システムは、崩れがあるとした場合に、移動した制御棒とその現在位置や変移量などを出力する。
図11は、圧力容器内にあるLPRM群に関して関連性の崩れをグラフ化した表示インタフェース例の説明図である。このデータは、過去に収集されて蓄積されている測定データを用いて、制御棒の可動テストの検証に使用したインタフェースである。LPRM31本に含まれるLPRM検出器(各4)の総当りの相関を用いている。制御棒を可動試験によって、33分から2分間、58分から1分間、それぞれ可動させている。
この際に生じた運用状態の関連性モデルと測定データからリアルタイム的に生成した関連性モデルとの関係性の崩れ数をカウントしている。
グラフに現れているように、移動中にモデル間の関係性崩れが生じて、移動後に崩れが収まっている。
このような情報を運用者が確認することで、可動テスト時に炉内の異常や制御棒の可動量の適正が検証できる。
尚、制御棒監視システムの各部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、RAMに制御棒監視プログラムが展開され、プログラムに基づいて制御部(CPU)等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現する。また、このプログラムは、記憶媒体に固定的に記録されて頒布されても良い。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。尚、記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
上記実施の形態を別の表現で説明すれば、制御棒監視システムとして動作させる情報処理装置を、RAMに展開されたサービス再編成評価プログラムに基づき、関係性検証手段、制御棒位置検出手段、などとして制御部を動作させることで実現することが可能である。
以上説明したように、本発明を適用した情報処理装置は、圧力容器内の各センサから得られる測定値から、制御棒の位置変化の正当性、移動した制御棒、移動した制御棒の位置を識別する制御棒監視システムを提供できる。
また、本発明の具体的な構成は前述の実施形態や実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲でブロック構成の分離併合、手順の入れ替えなどの変更があっても良く、上記説明が本発明を限定するものではない。
この出願は、2012年12月14日に出願された日本出願特願第2012−273451号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込むものである。
Claims (13)
- 原子炉圧力容器内に設けられた複数の中性子線測定センサ手段に関して、個々の前記中性子線測定センサ手段の出力値間にある相互の関係性を示した圧力容器内センサ既知関係性モデルを記憶した関係性モデルデータベースと、
前記関係性モデルデータベースに記録されている圧力容器内センサ既知関係性モデルと前記複数の中性子線測定センサ手段から得られた監視対象とする測定値から求めた関係性モデルとを比較処理して、関係性の不一致箇所の量を基準とした関係性崩れを監視し、所定量の関係性崩れを報知事象として抽出する関係性検証手段と、
を含みなることを特徴とする制御棒監視システム。 - 前記関係性検証手段から得た関係性崩れに現れた関係性の不一致箇所と個々の中性子線測定センサ手段の物理的位置座標を示した既知のセンサ分布位置情報とを参照して、崩れに現れた個々の中性子線測定センサ手段の分布に基づいた関係性崩れの要因となった制御棒を特定処理する制御棒位置検出手段を更に含むことを特徴とする請求項1記載の制御棒監視システム。
- 前記制御棒位置検出手段は、特定した制御棒について現状位置を導出処理することを特徴とする請求項2記載の制御棒監視システム。
- 現在の前記中性子線測定センサ手段から得る関係性モデルを、原子炉圧力容器内に設置されている稼働中の全ての中性子線測定センサ手段から得て、総当りの組み合わせをパラメータとして用いることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- 前記中性子線測定センサ手段から得られた現在の関係性モデルを生成する際に、測定値に平均化処理を実施する平均化処理手段を更に含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- 前記関係性モデルとして、前記個々の中性子線測定センサ手段の相関関係を用いることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- 関係性モデルとして、数式モデルを用いることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- 関係性モデルとして、テーブルデータを用いることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- センサ値保存用データベースから関係性モデルを算出するモデル導出部を更に含むことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- 前記圧力容器内センサ既知関係性モデル及び前記監視対象とする関係性モデルを生成する際に、圧力容器外のセンサの測定値と前記複数の中性子線測定センサ手段の測定値との関係性を含めてモデル化することを特徴とする請求項1ないし9の何れか一項に記載の制御棒監視システム。
- 原子炉圧力容器と、
前記原子炉圧力容器内で稼働する複数の制御棒と、
前記制御棒により制御される複数の燃料集合体と、
前記複数の燃料集合体から放出される中性子束を検出する複数のLPRM検出器と、
前記LPRM検出器で検出された測定値を収集してデータベースに記録する監視装置と、
前記データベースに蓄積された測定値群から前記複数のLPRM検出器の検出値間にある相関関係をモデル化する相関モデル生成装置と、
監視対象とする前記複数のLPRM検出器の検出値間にある相関関係をモデル化すると共に、前記相関モデル生成装置が生成した相関モデルと対比処理による関係性の崩れ数に基づいた不変関係分析を実施して、前記複数の制御棒に含まれる個々の制御棒の動きを導出して出力する情報処理システムと、
を含むことを特徴とする原子力発電所。 - 原子炉圧力容器内に設けられた複数の中性子線測定センサ手段に関して、個々の前記中性子線測定センサ手段の出力値間にある相互の関係性を示した圧力容器内センサ既知関係性モデルを蓄積保持し、
前記複数の中性子線測定センサ手段から得られた監視対象とする測定値から監視対象とする関係性モデルを生成処理し、
蓄積保持されている圧力容器内センサ既知関係性モデルと前記監視対象とする関係性モデルとの比較参照により、関係性の不一致箇所の量を基準とした関係性崩れを監視して、所定量の関係性崩れを報知事象として抽出する
ことを特徴とする制御棒監視方法。 - 前記圧力容器内センサ既知関係性モデル及び前記監視対象とする関係性モデルを生成する際に、圧力容器外のセンサの測定値と前記複数の中性子線測定センサ手段の測定値との関係性を含めてモデル化することを特徴とする請求項12に記載の制御棒監視方法。
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