JPWO2014088118A1 - 心病変マーカー及びその利用 - Google Patents

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Abstract

心病変のモニタリング方法を、被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、を備えるものとする。血液関連液体中のヒドロキシプロリンは、心病変の発症の前段階、発症、発症後段階における心病変プロセスをモニタリングできる。

Description

本明細書は、心病変、例えば、慢性腎臓病の進行にともなう心病変の診断等に利用できるマーカー及びその利用に関する。
慢性腎不全(CRF)及び慢性腎不全には至らないがその基礎疾患を含む慢性腎臓病(CKD)は、もはや日本における国民病といっても過言でない程度の罹患状況となってきている。また、透析を受ける末期腎不全患者の増大は医療経済上大きな問題でもある。透析患者の死因の第1位は心不全である。また、透析に至るまでの慢性腎臓病の病態においても、その予後を規定する最も重要な因子は心蔵疾患である。慢性腎臓病における心臓疾患は、いわゆる冠動脈病変ではなく、心肥大が最も重要な所見と認識されるようになってきている(非特許文献1)。
従来、慢性腎臓病患者においては、多くて年1回程度の心臓超音波検査で心肥大や心臓の拡張障害等のチェックが一部において行われている。また、また、血清学的に、心肥大・線維化の指標となるマーカーは、I型プロコラーゲンC末端プロペプチド(PICP)、マトリックスメタプロテアーゼ−1(MMP−1)等が知られている。
Shamseddin, M. K.ら、Nat. Rev. Nerphrol.5, 641-649(2009)
心病変が一旦完成されてしまうと、降圧治療や冠動脈治療を行っても一旦構築された心病変を改善するのは極めて困難であり、予後が悪化する。しかしながら、膨大な慢性腎臓病患者に対して、定期的な心臓超音波検査を実施していくことは現実的に困難であった。また、本発明者らによれば、血清学的なマーカーであるPICPやMMP−1は、心エコー所見との相関は必ずしもよいものではなく、現実的ではなかった。
また、心筋の線維化を検出するマーカーとして、線維化の指標となる組織中のコラーゲン量に対応する組織中のヒドロキシプロリン量を測定する方法がある。しかしながら、組織採取を前提とする方法を臨床上適用することは不可能であった。
以上のとおり、心病変の早期発見及び予防は非常に重要であった。しかしながら、心病変の早期発見、さらには心病変に至るまでの以前の予兆の検出、あるいは、心病変に対する薬剤の治療又は改善効果をリアルタイム/迅速に確認できるなどの心病変のモニタリングに好都合なマーカーは存在していない。
本明細書は、心病変のモニタリングに適したマーカー及びその利用を提供する。
本発明者らは、心病変を発生させた腎不全モデルマウスを用いた実験結果から、生体内における573の代謝物から、心病変の進行に対応する血清マーカーを見出した。すなわち、本発明者らは、腎不全モデルマウスを作製し、塩負荷の有無とコントロールマウスを含んだ4群を準備した。これら4群における4病期ステージにおいて、血清、心筋及び腹壁筋肉を検体として573種の代謝物を網羅的に解析した。その結果、1つの代謝物の血清濃度が、心病変の進行、特に、心病変の発生の前段階〜完成段階における組織状態に応じた変化を呈することがわかった。また、本発明者らによれば、従来、心病変モデル動物において心線維化の指標であったヒドロキシプロリン量は、組織に組み込まれ安定化しているヒドロキシプロリンまで測定しており、心病変の進行程度を反映する手法としては好適でないこともわかり、組織において遊離しているヒドロキシプロリン量を測定することで、心病変をより的確にモニタリングできることもわかった。本明細書によれば、こうした知見に基づき、以下の手段が提供される。
(1) 心病変のモニタリング方法であって、
被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、
を備える、方法。
(2) 前記心病変は、慢性腎臓病に伴う心病変である、(1)に記載の方法。
(3) 前記心病変は、心筋病変を含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4) 前記心筋病変は、心筋線維化、心肥大及び心拡張を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記測定工程は、遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記測定工程は、被検個体につき、血液関連液体中のヒドロキシプロリン量を測定する工程を2以上の時期で実施することを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記ヒドロキシプロリン量の経時的増大傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが進行段階にあると判定する、(6)に記載の方法。
(8) 前記ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが後退段階にあると判定する、(6)に記載の方法。
(9) 前記ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが完成段階(最終段階)にあると判定する、(6)に記載の方法。
(10) 前記ヒドロキシプロリン量の経時的維持傾向が肯定されるとき、心病変プロセスあるいは心病変プロセス以前の状態が維持されていると判定する、(6)に記載の方法。
(11) 心病変に対する薬剤及び/又は治療の効果をモニタリングする方法であって、
被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、
を備える、方法。
(12) ヒドロキシプロリンを含む、心病変の血液関連液体中マーカー。
(13) 血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定するために必要な試薬を含む、(1)〜(11)のいずれかに記載のモニタリング方法を行うためのキット。
(14) 心病変モデル動物に対して1又は2以上の被検化合物を投与する工程と、
前記モデル動物の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程と、
前記ヒドロキシプロリンの量又はその変化に基づいて前記1又は2以上の被検化合物の心病変に対する作用を評価する工程と、
を備える、心病変の予防、治療又は改善に有効な薬剤のスクリーニング方法。
(15)さらに、前記モデル動物に塩負荷をかける工程を備える、(14)に記載の方法。
(16)さらに、前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリン量を測定する工程を備える、(14)又は(15)に記載の方法。
(17)心病変モデル動物に対して1又は2以上の被検化合物を投与する工程と、
前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程と、
前記ヒドロキシプロリンの量又はその変化に基づいて前記1又は2以上の被検化合物の心病変に対する作用を評価する工程と、
を備える、心病変の予防、治療又は改善に有効な薬剤のスクリーニング方法。
(18)心病変モデル動物における心病変のモニタリング方法であって、
前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程、
を備える、方法。
(19)心病変モデル動物における心病変のモニタリング方法であって、
前記モデル動物の組織における血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、
を備える、方法。
本明細書に開示される心病変マーカーの概要を示す図である。 実施例における4群のマウスの血清中のクレアチン(Cr)についての評価結果(2週〜8週)を示す図である。 実施例における4群マウスの血圧についての評価結果(2週〜8週)を示す図である。 実施例における4群マウスの心重量の評価結果(2週〜8週)を示す図である。 実施例における4群マウスの心筋の線維化染色の評価結果を示す図である。 実施例における4群マウスの心筋の線維化染色の評価結果を示す図である。 実施例における4群マウスの心臓のヒドロキシプロリン量の評価結果を示す図である。 実施例における4群マウスの血清のヒドロキシプロリン量の評価結果を示す図である。 実施例における腎不全塩負荷マウスに対する降圧剤処置時の血清中ヒドロキシプロリン、血清クレアチン、血圧、心重量についての評価結果を示す図である。 実施例における組織におけるヒドロキシプロリンの測定プロセスAを示す図である。 実施例における組織におけるヒドロキシプロリンの測定プロセスB〜Dの一部のプロセスを示す図である。 実施例における組織におけるヒドロキシプロリンの測定プロセスB〜Dの残余プロセスを示す図である。 ヒドロキシプロリンの測定プロセスA〜Dの概要を示す図である。 ヒドロキシプロリンの測定プロセスA〜Dによるヒドロキシプロリンの測定結果を示す図である。
本明細書の開示は、心病変、例えば、心重量の増大、心肥大、心筋線維化などの心筋病変などを含む心病変のモニタリングマーカー及びその利用に関する。上述のように、本発明者らは、腎不全モデルマウスを作製し、塩負荷の有無とコントロールマウスを含んだ4群を準備した。これら4群における4病期ステージ(正常(GFRG1相当)/軽度〜中等低下(同G2〜3a相当)/中等度低下〜高度低下(同G3a〜4相当)/高度低下〜末期腎不全(同G4〜5相当))において、ヒドロキシプロリンの血清濃度が、心病変の進行、特に、心病変の発生の前段階〜完成段階における組織状態に応じた変化を呈することがわかった。また、ヒドロキシプロリンの血清濃度が、心筋の線維化の進行(合成速度)に応じた変化をすることがわかった。すなわち、心筋の線維化が進行中には、その血清濃度は増大し、心筋の線維化が完成段階にあるときには、その血清濃度が低下することがわかった。
本明細書に開示されるモニタリングマーカーによれば、心病変の発症の前段階、より具体的には、検査上線維化などの心病変が検出される段階に先立って、血清中のヒドロキシプロリン濃度が増大する傾向があるという知見に基づいている。また、こうした心病変前段階において心病変や慢性腎臓病の増悪を抑制することで、血清中のヒドロキシプロリン濃度が低下する傾向があるという知見にも基づいている。さらに、心病変が完成に先立つ段階あるいは完成した段階では、血清中のヒドロキシプロリン濃度が低下する傾向がある という知見に基づいている。
このため、本モニタリングマーカーによれば、心病変発症前段階において、心病変の予兆又は心病変発症傾向の有無やその程度をモニタリングできる。また、本モニタリングマーカーによれば、心病変発症前段階において、心病変への進行程度やその改善程度をモニタリングできる。さらに、本モニタリングマーカーによれば、心病変発症前段階において、心病変や慢性腎臓病に対する治療効果や治療効果をモニタリングできる。また、本モニタリングマーカーによれば、心病変の完成程度(到達程度)をモニタリングできる。
さらに、慢性腎臓病モデル動物と本モニタリングマーカーとを用いることで、慢性腎臓病又は心病変に対する薬剤スクリーニングを効果的に行うことができる。
なお、ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの構成アミノ酸であり、組織中のコラーゲン量の指標である。このため、組織ヒドロキシプロリンは、有効な臓器線維症のマーカーであることが知られている。しかし、血清等の血液関連液体中のヒドロキシプロリンが心病変のマーカーになることは全く予想されていなかった。
なお、本明細書において「心病変」とは、心筋病変を含む心蔵における広い病変(異常)を意味している。なかでも、心筋線維化、心肥大、心重量増大、心臓拡張障害等の心筋病変が挙げられる。さらに、本明細書における「心病変」には、慢性腎臓病に伴う各種の心病変が包含される。
また、本明細書において「心病変」が発症するとは、「心病変」が心臓超音波検査その他の検査及び/又は臨床上の所見により医学的に「心病変」の存在が確認される状況を意味している。
本明細書において「心病変プロセス」とは、心病変を発症する前段階、心病変の発症段階、及び心病変の発症後の段階を含んでいる。心病変を発症する前段階とは、心病変は発症していないが、心病変発症へ向かう過程が開始又は進行していることを意味している。心病変を発症する前段階を、本明細書において心病変の予兆という場合もある。
本明細書において「慢性腎臓病(CKD)」とは、GFR(<60ml/分/1.73m2)で表される腎機能の低下及び/又は腎臓の障害を示唆する所見(尿異常、画像診断、血液、病理等)が、慢性的(3ヶ月異常)に持続するもの全てを包含している。腎臓の障害としては、例えば、微量アルブミン尿を含む蛋白尿などの尿異常、尿沈渣の異常、片腎や多発性嚢胞腎などの画像異常、血清クレアチニン値上昇などの腎機能低下、尿細管障害による低K血症などの腎機能低下、腎生検などで病理組織検査の異常等が挙げられる。特に、0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が挙げられる。なお、GFR(糸球体ろ過量)とは、血清クレアチン値と年齢とから算出される腎臓の働きを示す数値である。
慢性腎臓病のステージ(病期)は、GFR区分によれば、以下のように分類される。
G1:正常又は高値(>90)
G2:正常又は軽度低下(60以上89以下)
G3a:軽度〜中等度低下(45以上59以下)
G3b:中等度〜高度低下(30以上44以下)
G4:高度低下(15以上29以下)
G5:末期腎不全(15未満)
以下、本明細書の開示にかかる実施形態として、心病変のモニタリング方法、心病変に対する薬剤及び/又は治療の効果のモニタリング方法、心病変の血清マーカー、モニタリングキット、スクリーニング方法等について説明する。
(心病変のモニタリング方法)
本明細書に開示される心病変のモニタリング方法は、被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、を備えることができる。被検個体は、ヒトを含む哺乳動物などの動物が挙げられる。好ましくは、哺乳動物である。被検個体は、より具体的には、ヒトのほか、イヌ、ネコ、サル、マウス、ラット、ウサギ等のペットないし実験動物、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ等の家畜動物が挙げられる。
血液関連液体は、全血、血漿及び血清のいずれも包含する。本モニタリング方法においては、いずれの血液関連液体も用いることができるが、典型的には、血清である。血液関連液体は、通常、被検個体の血管から採取することができる。
本モニタリング方法におけるモニタリング対象であるヒドロキシプロリンは、プロリンのy炭素原子にヒドロキシル基が導入されたものである。本モニタリング方法が対象とするヒドロキシプロリンは、コラーゲン中のヒドロキシプロリンでなく、遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリン(以下、遊離ヒドロキシプロリンという。)であることが好ましい。こうした遊離ヒドロキシプロリンは、動物体内におけるヒドロキシプロリンは、プロリンからプロピル4−ヒドロキシラーゼにより合成されたものと、コラーゲンの分解によるものとが考えられる。遊離ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの合成や代謝にアクティブにかかわっていると考えられる(Critical reviews in Biochemistry and Molecular Biology 2010; 45: 106- 124, Journal of Biological Chemistry 2008 ; 283 : 10485-10492, Amino Acids 2011; 40: 1053-1063)。
血液関連液体中に存在するヒドロキシプロリンは、コラーゲンを構成している状態のヒドロキシプロリンよりも、遊離ヒドロキシプロリンが優勢であると考えられる。このため、血液関連個体を検体とすることは、それ自体遊離ヒドロキシプロリン選択的に測定することになる。より好ましくは全血よりも血漿であり、さらに好ましくは血清である。
血液関連液体は、公知の方法で前処理を行い、ヒドロキシプロリンの検出・定量に適した測定用試料とする。例えば、血清の場合、メタノール等のアルコールを含む媒体と混合して酵素を不活性化した後、さらに、クロロホルムなどの非極性溶媒を添加・混合して、リン脂質などの脂質を非極性溶媒相中に分離する。その後、水性相(水−メタノール相)を分画分子量5kDa程度の遠心限外ろ過フィルターでろ過して、除タンパクして用いる。ろ液は、必要に応じて凍結乾燥等により一旦媒体を除去し、さらに、ヒドロキシプロリンの測定に適した媒体(例えば、水)に溶解してヒドロキシプロリンの測定に供することができる。
なお、試料調製にあたっては、除タンパク質をすることが好ましい。除タンパクすることで血液関連液体中に混在しうるコラーゲンを除去でき、コラーゲン由来のヒドロキシプロリンに基づく可能性ある測定誤差を効果的に排除できる。除タンパク質処理としては、特に限定しないが、少なくとも一部のコラーゲンを除去できるものであればよく、こうした除去処理は当業者であれば公知の方法から適宜選択して実施できる。典型的には、上述のように、5kDa程度のタンパク質を除去できる遠心限外ろ過フィルター等を用いることができる。
血液関連液体中のヒドロキシプロリンは、各種公知の方法で測定することができる。ヒドロキシプロリンの測定方法としては、ヒドロキシプロリンを酸化、脱炭酸し、生じたピロールをp−ジメチルベンズアルデヒドで発色させる比色法(商業的に入手可能な定量キット(例えば、BioVision製)のほか、薬学雑誌、106(1)、41−46’1986)、薄層クロマトグラフィー、高圧電気泳動、アミノ酸分析装置及び高速液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動−飛行時間型質量分析装置(CE−TOFMS)等(特開2011−58863号公報、特許第3341765号公報)が挙げられる。
ヒドロキシプロリンの測定工程は、ヒドロキシプロリンを定量することが好ましい。すなわち、ヒドロキシプロリン量を、血液関連液体中の濃度として取得することが好ましい。
測定工程は、単に被検個体から血液関連液体を採取し、そのヒドロキシプロリン濃度を測定するものであってもよい。取得したヒドロキシプロリン量を所定の閾値と比較し、その比較により、心病変の未発症段階、発症前段階等の心病変の病期を判定ないし推定し、治療や診断を補助することができる。こうした閾値は、例えば、健全個体及び心病変の異なるステージにある個体(統計的に有効な母数であることが好ましい。)について、血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定し、他の検査(例えば、心臓超音波画像診断やMRI等)の診断結果との関係から、決定できる。閾値は、心病変のステージに応じて複数設定することもできる。例えば、未発症段階(健全)であることを示す閾値、発症はしていないが発症前段階におけるその程度に応じて1又は2以上の閾値が挙げられる。なお、特定の基礎疾患、例えば、慢性腎臓病の罹患個体を母集団として、こうした閾値を設定してもよい。また、一定の年齢層を母集団として、こうした閾値を設定してもよい。
測定工程は、好ましくは、同一被検個体について2以上の時期で血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定するステップを含むようにする。後述するように、2以上の時期についてヒドロキシプロリン量を測定することで、これらのヒドロキシプロリン量を比較してヒドロキシプロリン量の推移(変化)を把握することができる。ヒドロキシプロリン量のほか、こうした変化傾向を把握することで、より効果的に、心病変の未発症段階、発症前段階等の心病変の病期を判定ないし推定し、治療や診断を補助することができる。
測定工程は、定期的にあるいは不定期的に、複数回、好ましくは継続的に被検個体から血液関連液体を採取し、各血液関連液体に関してヒドロキシプロリンを測定する。測定間隔は特に特定しない。また、測定頻度(一定期間内における回数)も特に限定しない。測定間隔や測定頻度は、これまでの病歴、基礎疾患となる慢性腎臓病等のステージ、年齢、治療経過等を考慮して適宜決定される。測定頻度は、好ましくは、1年に2回以上、より好ましくは3回以上、さらに好ましくは4回以上、一層好ましくは5回以上、より一層好ましくは6回以上、さらに一層好ましくは8回以上、最も好ましくは10回以上である。好ましくは、測定間隔はほぼ一定とする。
2以上の時期についてヒドロキシプロリンを測定する工程を備えるとき、異なる時期のヒドロキシプロリン量を比較する比較工程を実施することが好ましい。すなわち、第1の時期の血液関連液体中のヒドロキシプロリン量と、第1の時期よりも過去の第2の時期の血液関連液体中のヒドロキシプロリン量と比較して、ヒドロキシプロリン量の経時的変化を判定する工程を実施する。第1の時期とは、ヒドロキシプロリン量を比較するのにあたって選択したより新しい時期を意味し、第2の時期とは、それより前においてヒドロキシプロリン量を測定した時期を意味する。
比較対象とする第1の時期と第2の時期とは、ヒドロキシプロリン量の経時的変化、すなわち、ヒドロキシプロリン量の増大傾向/減少傾向/維持傾向を判定するのに好ましいものを選択する。3以上の時期がある場合には、第1の時期に最も近い過去の第2の時期を比較対象として選択してもよいし、それ以降の第2の時期の比較対象と選択することもできる。被検個体における状況やそれに応じたヒドロキシプロリン量の変動も考慮される。例えば、図1に示す場合には、時期Bと時期Cとを比較するよりも、時期Aと時期Cとを比較することが観察期間における経時的な傾向を見るのに好ましい場合がある。
本発明者らによれば、ヒドロキシプロリン量の経時的増大傾向は、心筋が線維化する過程において(心筋が線維化された状態でなく)、心筋の線維化完成段階に先立って観察されることがわかっている。すなわち、ヒドロキシプロリン量の経時的増大傾向が肯定されるとき、心病変の基礎となる心筋の線維化、質量増大が開始ないし進行していると予測される。このため、比較工程でヒドロキシプロリン量の経時的増大傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが進行段階にあると判定できる。
ヒドロキシプロリン量が経時的増大傾向を呈するときの心病変プロセスにおける状況は、例えば、以下の(a)及び(b)が相当する。
(a)心病変の発症前の前段階が進行していること
(b)心病変の発症からその後の進行段階
が含まれる。
上記(a)及び(b)のいずれであっても、心病変プロセスが進行している点においては同様である。上記(a)及び(b)のいずれであるかを判定するには、被検個体における臨床上の所見や他の検査結果等が考慮される。
一方、比較工程でヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが後退段階にあると判定できる。本発明者らによれば、ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向は、心病変プロセスが薬剤投与や治療によって抑制されるとき、観察されることがわかっている。すなわち、ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変の基礎となる心筋の線維化、質量増大が抑制されていると予測される。
ヒドロキシプロリン量が経時的減少傾向を呈するときの心病変プロセスにおける状況は、例えば、以下の(c)及び(d)が相当する。
(c)心病変の発症前の前段階から後退(改善)していること
(d)心病変の発症からその後の進行段階から後退(改善)していること
上記(c)及び(d)のいずれであっても、心病変プロセスが後退(改善)している点においては同様である。上記(c)及び(d)のいずれであるかは、被検個体における臨床上の所見やヒドロキシプロリン濃度のほか、他の検査結果等が考慮される。
また、比較工程でヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが完成段階(最終段階)にあると判定することもできる。本発明者らによれば、ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向は、心病変発症後の段階であって線維化がさらに進行する段階で観察されることがわかっている。ヒドロキシプロリンが線維化状態のマーカーでなく、線維化に至るスピードに対応するマーカーであると考えられるからである。すなわち、心病変プロセスの完成段階が近づくにつれ、線維化の進行程度の鈍化を示しているといえる。
ヒドロキシプロリン量が経時的減少傾向を呈するときの心病変プロセスにおける状況は、例えば、以下の(e)が相当する。
(e)心病変の発症からその後進行段階にあること
ヒドロキシプロリン量が経時的減少傾向を呈するとき、上記(c)及び(d)のいずれであるか、あるいは上記(e)であるかを判定するには、被検個体における臨床上の所見やヒドロキシプロリン濃度のほか、他の検査結果等が考慮される。
さらに、比較工程でヒドロキシプロリン量の経時的維持傾向が肯定されるとき、心病変プロセスあるいは心病変プロセス以前の状態が維持されていると判定することもできる。本発明者らによれば、ヒドロキシプロリン量の経時的増大や経時的減少が、心病変プロセスの段階に関連付けられることから、ヒドロキシプロリン量の経時的維持傾向は、心病変プロセスにおける現状維持あるいは心病変プロセス以前の状態であるといえる。
ヒドロキシプロリン量が経時的維持傾向を呈するときの心病変プロセスにおける状況は、例えば、以下の(f)及び(g)が相当する。
(f)心病変プロセスが維持(停滞)されている
(g)心病変プロセス以前の状態(心病変に関して健全状態)が維持されている
上記(e)及び(f)のいずれであっても、現状が維持している点においては同様である。ヒドロキシプロリン量が経時的維持傾向を呈するとき、上記(e)及び(f)のいずれであるかを判定するには、被検個体における臨床上の所見や、ヒドロキシプロリン濃度のほか、他の検査結果等が考慮される。
本モニタリング方法では、血液関連液体中のヒドロキシプロリン量及び/又はその変化に基づいて被検個体に関し、心病変プロセスにおいてどの段階にあるかを判定できる。有用な判定のためには、必要に応じて、適宜、被検個体における心病変に関する他のマーカーや心臓超音波検査などの結果(LV−mass,E/e’など)などを組み合わせることが好ましい。心病変マーカーとしては、例えば、ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)、BNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)、proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体)、NP−proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体Nフラグメント)等の血液関連液体中濃度や尿中濃度が挙げられる。
以上のとおり、本モニタリング方法によれば、被検個体の血液関連液体から、被検個体に関し、心病変に関して健全状態から、心病変の発症前の全段階を含む心病変プロセスの各段階をモニタリングすることができる。すなわち、本モニタリング方法によれば、心病変についての健全状態(リスク非存在状態)を確認することができる。また、被検個体における心病変に関する状態を特徴付けすることができ、心病変に関する診断を簡易にかつ効果的に補助することができる。さらに、将来の心病変のリスクを予測又は決定することもできる。
(心病変に対する薬剤及び/又は治療の効果のモニタリング方法)
本明細書に開示される心病変に対する薬剤及び/又は治療の効果のモニタリング方法(以下、本治療効果モニタリング方法という。)は、被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、を備えることができる。本治療効果モニタリング方法によれば、心病変に対する薬剤の投与や治療の効果などを、被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリン濃度を測定することによって容易にモニタリングでき、評価できる。このため、心病変の予防、改善及び治療に関し、被検個体に適切な薬剤投与計画や治療計画を設定することができる。
なお、心病変に対する薬剤や治療としては、特に限定されない。可能性ある全ての薬剤や治療が包含される。具体的には、心病変に直接作用するものの他、例えば、基礎疾患として慢性腎臓病が存在する場合には、慢性腎臓病に伴う血圧上昇(心病変を促進の要因と考えられる)の抑制を意図するもの(例えば、降圧剤)など、基礎疾患あるいはそれに伴う症状を緩和、軽減又は改善するものが挙げられる。
本治療効果モニタリング方法において、ヒドロキシプロリンの測定工程における、被検個体、血液関連液体及びヒドロキシプロリンについては、既に本モニタリング方法において説明した各種態様を適用することができる。
(心病変の血液関連液体中のマーカー)
本明細書に開示される心病変の血液関連液体中のマーカーは、ヒドロキシプロリンを含んでいる。血液関連液体中のヒドロキシプロリン量及びその変化は、心病変の有効なマーカーとなる。本マーカーに関し、被検個体、血液関連液体、試料調製、ヒドロキシプロリン、その測定方法等については、既に本モニタリング方法において説明した各種態様を適用することができる。
(モニタリングキット)
本明細書に開示されるモニタリングキットは、血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定するために必要な試薬を含むことができる。本モニタリングキットは、本モニタリング方法、本治療効果モニタリング方法を行うために用いることができる。本モニタリングキットに関し、被検個体、血液関連液体、試料調製、ヒドロキシプロリン、その測定方法等については、既に本モニタリング方法において説明した各種態様を適用することができる。ヒドロキシプロリンを検出・定量するには、既に説明したように、各種公知の方法があり、また、同時に試薬や装置も提供されている。本モニタリングキットには、こうした試薬の1又は2以上を含めることができる。また、本モニタリングキットは、こうした公知の装置に付随させることもできる。
(スクリーニング方法)
本明細書に開示されるスクリーニング方法は、心病変の予防、治療又は改善に有効な薬剤のスクリーニング方法であって、心病変モデル動物に対して1又は2以上の被検化合物を投与する工程と、モデル動物の血液等の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程と、ヒドロキシプロリンの量又はその変化に基づいて1又は2以上の被検化合物の慢性腎臓病に伴う心病変に対する作用を評価する工程と、を備えることができる。本スクリーニング方法によれば、慢性腎臓病に伴わない/慢性腎臓病を伴う心病変の予防、治療又は改善に有効な薬剤を効果的にスクリーニングできる。
さらに、本スクリーニング方法では、モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリン量を測定する工程を備えていてもよい。この工程を備えることで、心病変モデル動物における心組織の線維化をより直接的に検出し、薬剤の評価に役立てることができる。この工程を備えるときには、こうして得られたヒドロキシプロリンの量又はその変化に基づいて前記1又は2以上の被検化合物の心病変に対する作用を評価する工程を備えることが好ましい。
本スクリーニング方法によれば、モデル動物の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを濃度を測定することで、心病変プロセスをモニタリングできる。このため、簡易に薬剤等の効果を確認できる。また、心病変を確認するためモデル動物数を減少させることができる。
なお、本スクリーニング方法では、血液関連液体中のヒドロキシプロリン測定工程のみを備えていてもよいが、さらに、心組織などの組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリン量を測定する工程のみを備えていてもよいし、両工程を備えていてもよい。
なお、心組織としては、特に限定しない。組織全体でもよい一部であってもよい。また、組織における病変部位領域を特定できる場合には当該特定の領域を含む一部であってもよい。
また、心組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリン量を測定するには、たとえば、6N塩酸などの酸との接触処理やその後の煮沸工程を排除する一方で、5000kD等、適切な分画画分の限外ろ過処理を行って、分子量の大きいタンパク質の除去工程を排除することが有用である。こうした前処理を行った上で、既に説明したクロロホルム:水性液(たとえば、メタノール、水及びこれらの混液)による溶媒分配によるヒドロキシプロリンの抽出分離を行うことが好ましい。コラーゲンなどに固定化されたヒドロキシプロリンを排除するのに好適な処理や限外ろ過条件は、当業者であれば必要に応じて適宜設定することができる。
モデル動物としては、慢性腎臓病モデル動物が、心肥大線維症心病変として好適である。例えば、慢性腎臓病モデル動物としては、5/6腎摘出動物(マウスなど)が好適に用いられる。なお、心病変モデル動物は、慢性腎臓病モデル動物に限定されない。他の心肥大線維症心病変モデル動物であればよい。例えば、大動脈縮窄モデル動物が挙げられる。このモデル動物は、腎機能は正常であるが、心肥大、線維症を進行させるモデルである。また、モデル動物は、イヌ、ネコ、サルなど、従来モデル動物に用いられている動物を用いることができる。
本スクリーニング方法においては、モデル動物に塩負荷をかける工程を備えていてもよい。例えば、慢性腎臓病モデル動物に対して、塩負荷をすると、ステージを早期に後段に到達させることができ、心病変を増大させることができる。この結果、効果的なスクリーニングが可能となる。塩負荷は、飲用水や飼料中に混入させることができるほか、どのような手法で行ってもよい。塩負荷量は、当業者であれば適宜決定することができる。また、本スクリーニング方法としては、塩負荷のほか、心病変の進行や基礎疾患の増悪に関連する負荷をモデル動物に対してかけることができる。
被検化合物としては、特に限定されない。例えば、天然化合物、有機化合物、無機化合物、核酸、タンパク質、ペプチド等の単一化合物、並びに、化合物ライブラリー、核酸ライブラリー、ペプチドライブラリー、遺伝子ライブラリーの発現産物、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵微生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞抽出物、真核単細胞抽出物もしくは動物細胞抽出物等を挙げることができる。上記被験化合物は必要に応じて適宜標識して用いることができる。標識としては、例えば、放射標識、蛍光標識等を挙げることができる。
被検化合物をモデル動物に対して投与する方法は、特に限定されない。飲用水や飼料に混合してもよいし、いわゆる薬剤について公知の各種投与方法(注射(皮下、静注等)、注入(消化管等)、腹腔内投与、貼付等)を採用してもよい。
(心病変モデル動物における心病変のモニタリング方法)
本モニタリング方法は、前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程、を備えることができる。こうしたモニタリング方法は、モデル動物においては極めて直接的かつ具体的であり、各種の評価に好適である。モニタリングにあたっては、心病変病態と心組織における上記ヒドロキシプロリンの測定結果を関連付けることができる。
このモニタリング方法においては、さらに、前記モデル動物の組織における血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程を備えていてもよい。こうすることで、心組織における心病変と血清等の血液関連液体におけるヒドロキシプロリンとの関係をより詳細に関連付けることができるようになり、各種の評価に有効である。
本モニタリング方法においては、既に説明したヒト等を主として対象とする心病変のモニタリング方法における各種実施態様を適用することができる。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
以下、本明細書の開示を具現化した実施例について説明するが、以下の実施例は本明細書の開示を限定するものではない。以下に、各実施例で行った実験操作を示す。
(動物モデルの作出)
モデル動物として以下の4群を作製した。
腎機能正常マウス(腎摘出なし)
食塩負荷マウス(腎摘出なし)
腎不全(5/6腎摘出)マウス
腎不全(5/6腎摘出)+食塩負荷マウス
マウスは129 SvJJmsSlcの雄8週齢で、体重は23g〜28gのものを用いた。食塩負荷の方法は、1%食塩水を飲み水として与えた。腎不全モデルは5/6腎摘をすることで作製した。5/6腎摘の方法は、まず左腎を2/3摘出、一週間後に右腎摘出(この日を腎不全Day0とする)を行って腎不全モデルとした。用いたマウスは、いずれも、血圧と体重は、術前、2週後、4週後及び8週後計測した。
(検体の採取)
上記のマウス4群における経過をみるために、各群につき、2週、4週及び8週モデルを準備した。各週モデルにつき、血清、尿、心臓、腹壁、大動脈を採取。心臓は心重量を測定した。血清については、Crのほか、ヒドロキシプロリンを含む各種代謝物をメタボローム解析に供した。心臓については、メタボローム解析のほか、線維化評価の染色に供した。
(解析)
(1)染色
心線維化を評価するために染色を行った。心線維化評価のための染色はピクロシリウスレッド染色(Picrosirius Red Stain Kit Polysciences, Inc.)を用い、画像解析ソフトMetaMorph(モレキュラーデバイス ジャパン)にて線維化の割合を測定した。
(2)メタボローム解析
(測定試料の調製)
マウスから採取した血液から公知の方法で血清を分離し、この血清試料50μlに内部標準入りのメタノールを450μl加えて撹拌後、さらに、クロロホルム500μl、純水200μlを加えてよく撹拌した。攪拌後、4℃、5000rpmで5分間遠心分離し、分離した水相600μlを分画分子量5000Daの限外ろ過フィルターを用いて除タンパクした。ろ液を遠心乾固した後、純水50μlで再溶解し、キャピラリー電気泳動−TOFMS(CE−TOFMS)分析に供した。
なお、マウスから採取した組織50mgに内部標準入りのメタノールを500μl加えてホモジナイズし、以下血清の場合と同様の前処理を行った。ろ液を遠心乾固した後、純水50μlで再溶解し、CE−TOFMS分析に供した。
(CE−TOFMSによる試料中の代謝物の測定)
CE−TOFMSを用いて前処理を行った試料中の代謝物質を網羅的に測定した。
1.陽イオン性代謝物質測定条件
(キャピラリー電気泳動の分析条件)
キャピラリーには、フューズドシリカキャピラリー(内径50μm、外径350μm、全長100cm)を用いた。緩衝液には、1Mギ酸(pH約1.8)を用いた。印加電圧は、+30kV、キャピラリー温度は20℃で測定した。試料は、加圧法を用いて50mbarで3秒間注入した。
(飛行時間型質量分析計の分析条件)
正イオンモードを用い、イオン化電圧は4kV、フラグメンター電圧は75V、スキマー電圧は50V、OctRFV電圧は125Vに設定した。乾燥ガスには窒素を使用し、温度300℃、圧力10psigに設定した。シース液は50%メタノール溶液を用い、質量較正用にヘキサキス(2,2−ジフルオロトキシ)フォスファゼンを0.1μMとなるよう混入し10μl/minで送液した。ヘキサキス(2,2−ジフルオロトキシ)フォスファゼン(m/z622.0290)とメタノールの二量体のアイソトープ(m/z66.0632)の質量数を用いて得られた全てのデータを自動較正した。
2.陰イオン性代謝物質測定条件
(キャピラリー電気泳動の分析条件)
キャピラリーには、COSMO(+)キャピラリー(内径50μm、外径350μm、全長100cm)を用いた。緩衝液には、50mM酢酸アンモニウム(pH8.5)を用いた。印加電圧は、−30kV、キャピラリー温度は20℃で測定した。試料は、加圧法を用いて50mbarで30秒間注入した。
(飛行時間型質量分析計の分析条件)
負イオンモードを用い、イオン化電圧は3.5kV、フラグメンター電圧は100V、スキマー電圧は50V、OctRFV電圧は200Vに設定した。乾燥ガスには窒素を使用し、温度300℃、圧力10psigに設定した。シース液は5mM酢酸アンモニウムを含む50%メタノール溶液を用い、質量較正用にヘキサキス(2,2−ジフルオロトキシ)フォスファゼンを0.1μMとなるよう混入し10μl/minで送液した。レゼルピンの酢酸付加イオン(m/z 680.0355)と酢酸の二量体のアイソトープ(m/z 120.0384)の質量数を用いて得られた全てのデータを自動較正した。
(3)抑制実験
腎不全モデルマウス(マウスは129 SvJJmsSlcの雄8〜10週齢で、体重は20g〜25g)を作製し、(1)と同様に食塩負荷した。腎不全食塩負荷モデルは高血圧となる。Day14からDay28の2週間、Eplerenone(pfizer)にて降圧することで、degradationpathwayを検証した。Eplerenone単独で降圧が不十分な場合はhydralazine(Sigma−Aldrich)を加えた。Eplerenoneは餌に混入(1.67g/kgof chow)して薬剤添加飼料を作製した。また、ヒドラジンは、0.2mg/ml(飲用水)とした。
(4)腹膜透析患者における測定
メタボローム解析から同定した侯補物質を、当院にて腹膜透析施行中の患者血清で測定(n=53)。心臓超音波検査では、左室後壁厚(LVPWTd)、左室拡張末期径(LVDd)、左室駆出率(LVEF)、左室重量(LVmass)、左室重量係数(左室重量/体表面積、LVmass index)、心拡張障害指標(E/E’)を確認し、これらとの相関を調べた。
各群のマウスにつき、血清中のクレアチン(Cr)、ヒドロキシプロリン、血圧、心重量、心筋の線維化染色、ヒドロキシプロリンについての評価結果を図2〜図6に示す。なお、ヒドロキシプロリンは、CE−TOFMSによって測定した。
図2に示すように、腎不全マウス群(食塩負荷なし/あり)は、健常マウス群(食塩負荷なし/あり)に比して血清中のCr値が増大していた。ただし、腎不全マウス群でも食塩負荷なし/ありの間で、Cr値は同程度であった。
図3に示すように、血圧は、腎不全マウス群(食塩負荷なし/あり)は、健常マウス群に対して高値であり、食塩負荷なし/ありでは同程度であった。
図4に示すように、塩負荷によって心重量は経時的に増大し、また、腎不全モデルでも経時的に増大した。図5A及び図5Bに示すように、腎不全マウス群(食塩負荷あり)において、心筋の線維化が経時的に顕著に増大した。
これに対して図6A及び図6Bに示すように、心臓のヒドロキシプロリン(但し遊離のヒドロキシプロリン)は、4週までは増大したが、その後減少した。さらに、血清中のヒドロキシプロリンも、4週までは増大したが、その後減少した。
以上のことから、血清中のヒドロキシプロリン濃度が、心臓における線維化(8週)に先立って、0週から2週又は4週において、増大傾向を呈することがわかった。また、この増大傾向が心臓におけるヒドロキシプロリン濃度にも同様に観察された。さらに、心筋の線維化段階(8週)においては、血清中及び心臓中のヒドロキシプロリン濃度が減少することがわかった。
以上のことから、血清中のヒドロキシプロリンの増大傾向から、心筋の線維化などの心病変が顕在化されていない状態でも、将来的に発症する心病変を、その前段階(予兆)で検出できることがわかった。
本実施例では、実施例1と同様に、腎不全マウス(塩負荷あり)の心臓及び血清について、ヒドロキシプロリンと同様に、ヒドロキシプロリンの合成系における前駆体であるオルニチン、プロリン、4−オキソプロリンと、分解系のヒドロキシプロリン分解物である、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、1−ピロリン−4−ヒドロキシ−D−カルボキシレート、ピロール−2−カルボキシレート、ガンマ−ヒドロキシグルタメートガンマセミアルデヒド、ガンマ−ヒドロキシグルタミン酸について、CE−TOFMSを用いて測定した。その結果、主たる合成系のオルニチン、プロリン、ヒドロキシプロリンを検出したが、分解系のヒドロキシプロリン分解物は心臓においても血清においても検出されなかった。
すなわち、ヒドロキシプロリン濃度が高値で増大傾向を示す時期(4週)においても、ヒドロキシプロリン濃度が減少傾向を示す(8週)においても、前駆体は観察されても分解物は検出されなかった。以上のことから、血清中のヒドロキシプロリン濃度は、線維化のスピードないしは線維化が進行段階にあること(促進/亢進の状態)の有用なマーカーであることがわかった。同時に、血清中のヒドロキシプロリン濃度は、既に構築された心筋の線維化状態の程度(例えば、線維化率など)を示すマーカーではないことがわかった。
腹膜透析患者について、血清ヒドロキシプロリン量を測定したところ、心重量の増大に応じて血清中ヒドロキシプロリン濃度が高い傾向が観察された。また、心拡張障害指標の増大に応じて血清中ヒドロキシプロリン濃度が高い傾向が観察された。これらの結果から、血清中ヒドロキシプロリン濃度が高い場合には、心病変プロセスが進行していることにも対応しうることがわかった。
本実施例では、抑制実験のマウスに対して2週〜4週にかけて降圧処置し、4週時に殺した。4週時に心重量、血圧、血清クレアチニン、血清ヒドロキシプロリンを、以上の実施例と同様にして測定した。結果を図7に示す。
図7に示すように、降圧剤投与群は、血圧、心重量及び血清中ヒドロキシプロリンのいずれにおいても、非投与群に比較して、それぞれ改善傾向ないし減少傾向が観察された。血清中クレアチニンは同程度であった。血清中ヒドロキシプロリンの減少傾向は、心重量の低下と良く対応していた。以上のことから、血清中ヒドロキシプロリン濃度は、心病変プロセスの進行過程における後退(改善)傾向を反映できることがわかった。
以上の実施例によれば、血清中のヒドロキシプロリン濃度は、心筋線維化状態など構築された心病変状態の有無やその程度のマーカーというよりも、心病変プロセスの進行の亢進/促進傾向の有無やその程度及び心病変プロセスの後退(改善)傾向の有無やその程度のマーカーとなりうることがわかった。また、血清中のヒドロキシプロリン濃度は、心筋の線維化などの心病変の発症に先立って、心病変発症の前段階の開始や進行(心病変の予兆)のマーカーとなりうることもわかった。
本実施例では、8週齢の腎不全マウスの心組織のヒドロキシプロリン量を測定した。これらのプロセスを図8〜11に示す。なお、以下に説明するプロセスCは、従来の心病変の線維化の指標として用いられている比色法によるヒドロキシプロリン測定のためのサンプル前処理法に相当している。
(1)プロセスA
(サンプル前処理)
腎不全マウスから採取した心臓組織約30〜60mgが入ったチューブにジルコニアビーズ、内部標準としてのメチオニンスルホンMES、CSA(D-Camphol-10-sulfonic acid)を、それぞれが20μMとなるように調製したメタノール溶液500μlを加え、Shake Master NEOで1500rpmで5分間処理して破砕後、クロロホルム500μl及び水200μlを加えて、撹拌し、4℃で4600rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後の水−メタノール相(上相)300μlを限外ろ過フィルター(分画分子量5000Da)にとり、4℃、9100gで6.5時間遠心分離した。得られたろ液を、40℃で3時間遠心して濃縮して測定用サンプルとした。
(測定)
この測定サンプルに対して、移動時間補正用の3−アミノピロリジンとトリメセートの各200μM水溶液を50μl加えて、溶解し、既述のCE−TOFMSを実施し、ヒドロキシプロリンを測定した。また、合わせて各種アミノ酸も測定した。
(2)プロセスB〜D
(サンプル前処理)
腎不全マウスから採取した心臓組織約30〜60mgが入ったチューブにジルコニアビーズ、メタノール400μlを加え、Shake Master NEOで1500rpmで5分間処理して破砕後、この破砕液を、2本のチューブに分配して、40℃で3時間遠心して濃縮した。濃縮物の一方には、500μlの6N HClを加えて撹拌して溶解し、この一部を6時間25℃で静置し(プロセスB)、他の一部を6時間110℃で煮沸した(プロセスC)。その後、45℃で7時間遠心して濃縮した。
濃縮物のもう一方は、500μlの純水を加えて撹拌後、6時間110℃で煮沸した(プロセスD)。その後、45℃で7時間遠心して濃縮した。
プロセスB〜Dの各濃縮物に対して、プロセスAと同様、内部標準としてのMES及びCSAがそれぞれが20μMとなるように調製したメタノール溶液500μl及び純水200μlを加え、Shake Master NEOで1500rpmで5分間撹拌した。さらに、クロロホルム500μlを加えて、撹拌し、4℃で4600rpmで15分間遠心分離した。遠心分離後の水−メタノール相(上相)を限外ろ過フィルター(分画分子量5000Da)にとり、4℃、9100gで20時間遠心分離した。得られたろ液を、40℃で2時間遠心して濃縮して各プロセスの測定用サンプルとした。
(測定)
これらの各測定用サンプルに対して、移動時間補正用の3−アミノピロリジンとトリメセートの各200μM水溶液を20μl加えて、溶解し、既述のCE−TOFMSを実施し、ヒドロキシプロリンを測定した。また、合わせて各種アミノ酸も測定した。
なお、安定して測定するため、プロセスBのサンプルは純水で2倍希釈し、プロセスCのサンプルは同様に20倍希釈し、プロセスDのサンプルは同様に20倍希釈して測定した。
プロセスA〜Dによるヒドロキシプロリンの測定結果(心臓1gあたりのモル数(nmol/g))を図12に示す。
図12に示すように、プロセスA、B及びDによるヒドロキシプロリン量は、いずれもそろって100nmol近傍を平均して示したのに対し、プロセスCによるヒドロキシプロリン量は、いずれも1000nmolを超える顕著に高濃度を示した。
これらの結果から、プロセスCの従来法の比色法によるサンプル調製では、6N塩酸処理及び煮沸処理により、組織のコラーゲンに組み込まれて安定化しているヒドロキシプロリンまで分解して抽出し測定しているのに対し、プロセスA、B及びDによれば、遊離のヒドロキシプロリン又は組織に固定化されていないヒドロキシプロリンを測定していることが明らかである。また、プロセスA、B及びDでは、組織に固着された安定化したヒドロキシプロリンは、限外ろ過で排除されるものと考えられた。そして、本発明者らによれば、プロセスA、B及びDによるヒドロキシプロリン測定結果は、血清中のヒドロキシプロリン測定結果とよく相関していることがわかった。また、個々のアミノ酸についても、同様の傾向を確認できた。
以上のことから、既に説明したように、血清などの血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定することにより、心病変の進行程度等を効果的にモニタリングできるとともに、心病変の進行程度となる心組織の線維化を、モデル動物等の心組織中の遊離のヒドロキシプロリン又は組織の遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定することによりモニタリングできることがわかった。

Claims (19)

  1. 心病変のモニタリング方法であって、
    被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、
    を備える、方法。
  2. 前記心病変は、慢性腎臓病に伴う心病変である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記心病変は、心筋病変を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記心筋病変は、心筋線維化及び心拡張を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記測定工程は、遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記測定工程は、被検個体につき、血液関連液体中のヒドロキシプロリン量を測定する工程を2以上の時期で実施することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記ヒドロキシプロリン量の経時的増大傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが進行段階にあると判定する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが後退段階にあると判定する、請求項6に記載の方法。
  9. 前記ヒドロキシプロリン量の経時的減少傾向が肯定されるとき、心病変プロセスが完成段階(最終段階)にあると判定する、請求項6に記載の方法。
  10. 前記ヒドロキシプロリン量の経時的維持傾向が肯定されるとき、心病変プロセスあるいは心病変プロセス以前の状態が維持されていると判定する、請求項6に記載の方法。
  11. 心病変に対する薬剤及び/又は治療の効果をモニタリングする方法であって、
    被検個体の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、
    を備える、方法。
  12. ヒドロキシプロリンを含む、心病変の血液関連液体中マーカー。
  13. 血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定するために必要な試薬を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のモニタリング方法を行うためのキット。
  14. 心病変モデル動物に対して1又は2以上の被検化合物を投与する工程と、
    前記モデル動物の血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程と、
    前記ヒドロキシプロリンの量又はその変化に基づいて前記1又は2以上の被検化合物の心病変に対する作用を評価する工程と、
    を備える、心病変の予防、治療又は改善に有効な薬剤のスクリーニング方法。
  15. さらに、前記モデル動物に塩負荷をかける工程を備える、請求項14に記載の方法。
  16. さらに、前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリン量を測定する工程を備える、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 心病変モデル動物に対して1又は2以上の被検化合物を投与する工程と、
    前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程と、
    前記ヒドロキシプロリンの量又はその変化に基づいて前記1又は2以上の被検化合物の心病変に対する作用を評価する工程と、
    を備える、心病変の予防、治療又は改善に有効な薬剤のスクリーニング方法。
  18. 心病変モデル動物における心病変のモニタリング方法であって、
    前記モデル動物の組織における遊離のヒドロキシプロリン又はコラーゲン若しくはその一部を構成していないヒドロキシプロリンを測定する工程、
    を備える、方法。
  19. 心病変モデル動物における心病変のモニタリング方法であって、
    前記モデル動物の組織における血液関連液体中のヒドロキシプロリンを測定する工程、
    を備える、方法。
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