JPWO2014077248A1 - 光反応性組成物、それを用いた光配向膜、及び光学異方性膜 - Google Patents

光反応性組成物、それを用いた光配向膜、及び光学異方性膜 Download PDF

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Abstract

位相差フィルムや偏光回折素子などの分子配向を制御した光学異方性膜の製造に好適な光反応性組成物を提供する。下記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位、及び下記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位を有する共重合体を含有する光反応性組成物。(化1)

Description

本発明は、位相差フィルムなどの分子配向を制御した光学素子や液晶配向膜の製造に好適である光反応性組成物、及びそれを用いた光学異方性膜に関する。
これまで、特許文献1、及び特許文献2において、光照射又は光照射と加熱冷却により複屈折を誘起する側鎖型液晶高分子において、光照射又は光照射と加熱処理する操作を含む工程によって作製される位相差フィルム及びその製造法を提案し、また、特許文献3において、光照射により液晶配向能を付与させた液晶配向膜及びその製造法を提案されている。
これら特許文献1〜3で提案した材料では、基材に塗布して製膜した後、直線偏光性紫外線を照射すると、高分子側鎖の軸選択的な光架橋反応によって異方性を付与でき、更に、このような膜を加熱すると、材料自体が液晶性を有することから未反応側鎖が軸選択的に光架橋した側鎖に沿って配向したり、光架橋した側鎖の方向と垂直方向に配向したりすることから膜全体を分子配向させることができる。このような膜では、分子配向により複屈折性が発現することから位相差フィルムとして利用することができ、また、膜表面に液晶分子を接触させると液晶分子の配向能を発現することから液晶配向膜としても機能する。
このように光照射と加熱により分子配向するという特性から、これら材料は様々な用途で利用することができる。しかし、これらで提案した材料では光反応性が充分であるとはいえず、照射時間の長時間化などを必要とされる。さらに、光照射後の熱処理における温度は150℃を超える高温度でかなりの時間が必要とされ、好ましくない。また、特許文献1で開示されているように、光反応性を改善し短時間の直線偏光紫外線の照射で分子配向を誘起できる材料も提案されているが、光照射後の熱処理における温度は150℃を超える高温度でかなりの時間が必要とされ、好ましくない。
上記光照射後の熱処理において、高温度で長い時間の温度が必要とされる場合、一般的に耐熱性の低いプラスチック材料を基材とするフィルムには適用することを困難にせしめる。さらに、これらの光学性材料フィルムを得る場合には、通常、材料を有機溶媒に溶解した溶液から被膜を形成するが、上記先行技術で開示された材料では、溶解性の問題から、一般的に用いられる低沸点溶媒の使用を困難にせしめていた。
日本特開2002−202409号 日本特開2003−307618号 日本特開2002−90750号 日本特開2007−304215号
本発明は、位相差を発現させるのに必要な熱処理温度を低くし得るために、耐熱性の低いプラスチック材料を基材とすることができ、また、位相差層を形成するのに必要な溶媒として低沸点の溶媒も使用できる光反応性組成物、及びこれから得られる位相差を有する光配向膜を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を達成するべく研究を進めたところ、特定構造を有する桂皮酸化合物からなる単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体中に、特定構造を有する安息香酸エステル化合物からなる単量体に由来する繰り返し単位を導入せしめた重合体を含有する光反応性組成物を使用することにより、上記目的が達成し得ることを見出し、本発明に到達したものである。
かくして、本発明は、以下に記載する特徴を有する。
1.下記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、下記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体を含有することを特徴とする光反応性組成物。
Figure 2014077248
(X、及びXは、それぞれ独立に、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、又は−CO−NH−である。
は、−O−CO−又は−CO−O−である。Yは、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、ベンゾフェノン、及びフェニルベンゾエートからなる群から選ばれる基であり、それぞれの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基で置換されていてもよい。
、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
p1、及びp2は、それぞれ独立に、2〜12の整数である。
Wは、ベンゼン環、ナフタレン環、及びビフェニル環からなる群から選ばれる基であり、それぞれの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基で置換されてもよい。
〜Zは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。)
2.(上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位)/(上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位)のモル比率が、10/90〜80/20である上記1に記載の光反応性組成物。
3.上記式(1)で表わされる単量体が、下記式(3)で表わされる桂皮酸化合物であり、上記式(2)で表わされる単量体が、下記式(4)で表わされる安息香酸エステル化合物である上記1又は2に記載の光反応性組成物。
Figure 2014077248
(R1、及びp1はそれぞれ、上記式(1)で定義したものと同義である。
は、単結合、−O−CO−、又は−CO−O−である。
mは、0又は1であり、mが0のとき、Xは単結合である。)
Figure 2014077248
(R、p23、及びZ〜Zはそれぞれ、上記式(2)で定義したものと同義である。
Rは、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基である。
は、1又は2である。)
4.共重合体の数平均分子量が1000〜100000である上記1〜3のいずれかに記載の光反応性組成物。
5.さらに、有機溶媒を含有する上記1〜4のいずれかに記載の光反応性組成物。
6.有機溶媒が、沸点として60〜170℃を有する低沸点溶媒である上記5に記載の光反応性組成物。
7.有機溶媒の含有量が、光反応性組成物の全量に対して60〜99.5質量%である上記5又は6に記載の光反応性組成物。
8.上記1〜7のいずれかに記載の光反応性組成物の被膜に直線偏光成分を含む光を照射し、次いで、熱処理して液晶配向能を付与した光学異方性膜。
9.温度70〜120℃にて熱処理する上記8に記載の光学異方性膜。
10.膜厚が20〜5000nmである上記8又は9に記載の光学異方性膜。
本発明の光反応性組成物によれば、位相差を発現させるのに必要な光照射処理に次いで行われる熱処理における温度が制御でき、この温度を大きく低下し得る結果、耐熱性の低いプラスチック材料でも基材とすることができ、また、位相差層を形成するのに必要な溶媒として低沸点の溶媒も使用できる。
この結果、かかる光反応性組成物を使用することにより、従来困難であった耐熱性の低いプラスチックフィルム上に形成された優れた特性の位相差フィルムや、低温において偏光回折素子などの分子の配向を制御した光学素子や液晶配向膜を製造できる。
本発明の光反応性組成物においては、上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体を含有する。
上記した式(1)及び式(2)における、X、X、Y、Z〜Z、R、R、W、p1、及びp2は、それぞれ、上記で定義したとおりであるが、なかでも、それぞれ、X、及びXは、−O−、−O−CO−、−CO−O−であるのが好ましく、Yは、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、フェニルベンゾエートであるのが好ましく、Z〜Zは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子であるのが好ましく、Wは、ベンゼン環、ビフェニル環であるのが好ましい。また、p1、及びp2は、4〜10であるのが好ましい。
本発明において、上記式(1)で表わされる単量体の好ましい具体例としては、下記の構造の単量体が挙げられる。
Figure 2014077248
また、本発明において、上記式(2)で表わされる単量体の好ましい具体例としては、下記の構造の単量体が挙げられる。
Figure 2014077248
本発明の光反応性組成物に含有される、上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体は、以下の式(5)で表わされる。
Figure 2014077248
上記式(5)における、X、X、X、Y、Z〜Z、R、R、W、p1、及びp2は、それぞれ、好ましい場合も含めて、上記式(1)、及び式(2)における定義と同じである。
また、n/mの比率は、(上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位)/(上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位)の比率である。本発明では、n/mのモル比率は、好ましくは10/90〜80/20であり、特に好ましくは、20/80〜50/50である。n/mの比率が過度に大きい場合には上記光照射後の熱処理において、高温で長時間の加熱が必要となり、耐熱性の低いプラスチック材料を基材とするフィルムに適用することが困難となり、逆に過度に小さい場合には、光反応性が十分でなくなり、分子配向が誘起できなくなり、好ましくない。
上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体は、その数平均分子量が好ましくは、1000〜100000であり、なかでも、5000〜30000が好ましい。この数平均分子量が、上記範囲よりも小さい場合には分子配向が誘起できなくなり、また、上記範囲よりも大きい場合には製造が著しく困難になると共に、低沸点溶媒への溶解性が低下するため好ましくない。
本発明の光反応性組成物に含有される、上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体には、液晶性を損なわない程度に耐熱性を向上させるための架橋性単量体を併用することや、液晶性を損なうことのない感光性の単量体、又は液晶性の発現温度を調整するための単量体などを共重合することができる。
上記した架橋性単量体の例としては、以下のようなフェノプラスト系やエポキシ基含有化合物が挙げられる。
上記フェノプラスト系単量体の具体例を以下に示すが、この構造に限定されない。
Figure 2014077248
上記エポキシ基含有化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが例示される。
液晶性を損なわない程度に耐熱性を向上させる場合、その使用量は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量部である。使用量が0.1質量部未満であると耐熱性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶性が損なわれる場合がある。
上記感光性の単量体の具体例としては、下記の構造若しくはその誘導体を側鎖に有する重合性化合物が挙げられる。
Figure 2014077248
その使用量は、(上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位との合計/上記感光性の単量体)のモル比率が95/5〜50/50であることが好ましく、より好ましくは95/5〜80/20である。かかる比率が95/5未満であると感光性向上の効果は期待できず、50/50よりも大きくなると液晶性が損なわれる場合がある。
また、上記液晶性の発現温度を調整するための単量体の具体例としては、下記に示すようなビフェニルやフェニルベンゾエートなどの、単独で液晶メソゲン構造となるような構造を有する重合性化合物や、安息香酸などのように側鎖同士が水素結合することで液晶メソゲン構造となるような構造を有する重合性化合物が挙げられる。
Figure 2014077248
その使用量は、(上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位との合計)/上記感光性の単量体)のモル比率が95/5〜20/80であることが好ましく、より好ましくは95/5〜50/50である。かかる比率が95/5未満であると液晶性の発現温度の調整に効果は期待できず、30/70よりも大きくなると光反応の感度が損なわれる場合がある。
さらに、上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体には、共重合される単量体として、工業的に入手できるラジカル重合反応可能なモノマーが挙げられる。
これらのモノマーの具体例としては、不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物、ビニル化合物などが挙げられる。
上記不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸(アクリル酸、メタアクリル酸を総称して、(メタ)アクリル酸という。)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アントリル(メタ)アクリレート、アントリルメチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−プロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシル(メタ)アクリレート、8−エチル−8−トリシクロデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレートなどの環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記ビニル化合物の具体例としては、ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、プロピルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記スチレン化合物の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。
上記マレイミド化合物の具体例としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。
本発明の上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体の製造方法については、特に限定されるものではなく、工業的に扱われている汎用な方法が使用できる。具体的には、カチオン重合、ラジカル重合、アニオン重合により製造することができる。なかでも反応制御のしやすさなどの観点からラジカル重合が特に好ましい。
ラジカル重合の重合開始剤としては、既知のラジカル熱重合開始剤やラジカル光重合開始剤、既知の可逆的付加−開裂型連鎖移動(RAFT)重合試薬などが使用できる。
また、重合開始剤の使用量は、上記式(1)で表わされる単量体(1モル)に対して、0.1〜10モル%であることが好ましい。
上記ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤の具体例としては、ケトンパーオキサイド類(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、ハイドロパーオキサイド類(過酸化水素、tert−ブチルハイドパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなど)、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイドなど)、パーオキシケタール類(ジブチルパーオキシシクロヘキサンなど)、アルキルパーエステル類(パーオキシネオデカン酸−tert−ブチルエステル、パーオキシピバリン酸−tert−ブチルエステル、パーオキシ 2−エチルシクロヘキサン酸−tert−アミルエステルなど)、過硫酸塩類(過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−ジ(2−ヒドロキシエチル)アゾビスイソブチロニトリルなど)などが挙げられる。ラジカル熱重合開始剤は、1種を単独で使用できるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ラジカル光重合開始剤は、ラジカル重合を光照射によって開始する化合物である。このようなラジカル光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2−(3−メチル−3H−ベンゾチアゾール−2−イリデン)−1−ナフタレン−2−イル−エタノン、又は2−(3−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2(3H)−イリデン)−1−(2−ベンゾイル)エタノンなどを挙げることができる。
これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することもできる。
上記したラジカル熱重合開始剤を使用したラジカル重合法は、特に制限されるものでなく、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、沈殿重合法、塊状重合法、溶液重合法などの既知の方法を用いて実施することができる。
本発明の光反応性組成物には、上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体に加えて、かかる共重合体を溶解する有機溶媒を含有するのが好ましい。かかる有機溶媒を含有せしめて重合体溶液とすることにより、本発明の光反応性組成物から容易に薄膜を形成することができる。
本発明の光反応性組成物における有機溶媒の含有量は、99.7〜60質量%が好ましく、特には、99.5〜70質量%が好ましい。かかる含有量とすることにより、本発明の光反応性組成物から容易に薄膜を形成するのに、好ましい粘度の溶液とすることができる。
本発明の光反応性組成物に含有される有機溶媒は、樹脂成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1−ヘキサノール、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
なかでも、本発明の光反応性組成物から得られる光配向膜を液晶配向膜として用いる場合は、低温焼成するときには、焼成後の残存溶媒が多いと液晶の配向性や基板との密着性が悪化する場合があり、また、液晶セルの電気特性が悪化する場合があるため、沸点が低いか、蒸気圧の大きい有機溶媒を使用するのが好ましい。かかる有機溶媒の具体例としては、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1−ヘキサノール、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルが好ましい。
本発明の光反応性組成物には、さらに、添加剤として、光増感剤を含有することもできる。これらの光増感剤としては、無色増感剤や三重項増感剤が好ましい。
上記光増感剤としては、芳香族ニトロ化合物、クマリン(7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ヒドロキシ4−メチルクマリン)、ケトクマリン、カルボニルビスクマリン、芳香族2−ヒドロキシケトン、アミノ置換された、芳香族2−ヒドロキシケトン(2−ヒドロキシベンゾフェノン、モノ−若しくはジ−p−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾフェノン)、アセトフェノン、アントラキノン、キサントン、チオキサントン、ベンズアントロン、チアゾリン(2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−β−ナフトチアゾリン、2−(β−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、2−(α−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチルベンゾチアゾリン、2−(β−ナフトイルメチレン)−3−メチル−β−ナフトチアゾリン、2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−β−ナフトチアゾリン、2−(p−フルオロベンゾイルメチレン)−3−メチル−β−ナフトチアゾリン)、オキサゾリン(2−ベンゾイルメチレン−3−メチル−β−ナフトオキサゾリン、2−(β−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾオキサゾリン、2−(α−ナフトイルメチレン)−3−メチルベンゾオキサゾリン、2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチルベンゾオキサゾリン、2−(β−ナフトイルメチレン)−3−メチル−β−ナフトオキサゾリン、2−(4−ビフェノイルメチレン)−3−メチル−β−ナフトオキサゾリン、2−(p−フルオロベンゾイルメチレン)−3−メチル−β−ナフトオキサゾリン)、ベンゾチアゾール、ニトロアニリン(m−若しくはp−ニトロアニリン、2,4,6−トリニトロアニリン)又はニトロアセナフテン(5−ニトロアセナフテン)、(2−[(m−ヒドロキシ−p−メトキシ)スチリル]ベンゾチアゾール、ベンゾインアルキルエーテル、N−アルキル化フタロン、アセトフェノンケタール(2,2−ジメトキシフェニルエタノン)、ナフタレン、アントラセン(2−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンカルボン酸、9−アントラセンメタノール、9−アントラセンカルボン酸)、ベンゾピラン、アゾインドリジン、メロクマリンなどがある。
なかでも、芳香族2−ヒドロキシケトン(ベンゾフェノン)、クマリン、ケトクマリン、カルボニルビスクマリン、アセトフェノン、アントラキノン、キサントン、チオキサントン、アセトフェノンケタールが好ましい。
本発明の光反応性組成物には、上記したものの他、本発明の効果が損なわれない限りであれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的で、誘電体や導電物質、また、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的で、架橋性化合物を添加してもよい。
さらに、膜厚の均一性や表面平滑性を向上させるために、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などの界面活性剤を添加してもよい。
より具体的には、例えば、エフトップ301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(DIC社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710(旭硝子社製)、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGCセイミケミカル社製)などが挙げられる。
上記界面活性剤は、本発明の光反応性組成物に含有される共重合体の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部含有される。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、次に示す官能性シラン含有化合物などが挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
本発明の光反応性組成物からは、上記したように、優れた特性を有する光学異方性膜が得られるが、光学異方性膜の作製は、以下のようにして実施するのが好ましい。
本発明の光反応性組成物を基材に塗布して塗膜を形成する。塗膜の形成は、通常、スピンコート法、印刷法、インクジェット法、バーコート法、グラビアコート法などで行われる。
乾燥は、通常、40〜150℃で1〜15分間、好ましくは、50〜110℃で1〜5分間行われる。
塗膜の厚みは、通常、0.02〜5.0μmであり、好ましくは、0.02〜2.0μmである。
本発明において、光反応性組成物の塗膜を形成する基材としては、好ましくは透明性の高い基材であれば特に限定されず、板状からフィルム状のものが使用される。
基材の材質は、ガラス、窒化珪素、シリコンウェハなどのセラミックス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、シクロオレフィン樹脂などのプラスチックスなどを用いることができる。なかでも、本発明では、上記したように、基材として、耐熱性の小さい、プラスチックスを用いることができる特徴を有する。
光反応性組成物の塗膜は、次いで、偏光紫外線で照射処理することにより、配向させて異方性を付与することができる。偏光紫外線としては、波長が、好ましくは200〜400nm、特に好ましくは254〜365nmのものが使用される。照射量は、好ましくは1〜10000mJ、特に好ましくは1〜500mJである。偏光紫外線の照射は、塗膜を好ましくは、10〜150℃、特に好ましくは20〜120℃に加熱しながら照射してもよい。
基材上に形成された光反応性組成物の塗膜は、次いで、加熱処理が行われる。加熱処理は、好ましくは50〜150℃で1〜30分間、特に好ましくは70〜120℃で1〜15分間の加熱を行う。このとき、加熱温度の上限としては、用いる基材により選択され、また、下限については、該重合体の液晶性発現温度により選択される。
上記のようにして基板上に、光反応性組成物の薄膜を製造することができる。
光反応性組成物の薄膜の膜厚は、20〜5000nmが好ましく、20〜2000nmがより好ましい。
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
<合成例1>
特許文献(WO2011−084546)に記載の合成法にて下記式(1)に示される化合物を合成した。
<合成例2>
特許文献(特開平9−118717)に記載の合成法にて化合物(A)を得た。この化合物(A)10.0g、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)(0.3g)とメトキシフェノール(4.1g)を室温でジクロロメタン100mlに溶解した後、DCC(N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド)(7.9g)を加え、室温で反応させることにより下記式(2)に示される化合物11.4g(収率85%)を得た。
<合成例3>
4−(6−アクリロイルオキシ−1−ヘキシルオキシ)安息香酸29.2g、4−ヒドロキシビフェニル17.0g、DMAP0.6g、及び少量のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を室温にて塩化メチレン200mLに懸濁させた。その後、本懸濁液にDCC24.0g(116mmol)を溶解させた塩化メチレン溶液(塩化メチレン100ml)を加え、室温で反応させることにより、下記式(3)に示される化合物39.6g(収率89%)を得た。
Figure 2014077248
<合成例4>
上記式(1)で示されるメタクリル酸エステル(1.5g)と上記式(2)で示されるメタクリル酸エステル(1.24g)を60対40となる割合(モル比)でテトラヒドロフラン(25ml)中に溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加(式(1)と式(2)のメタクリル酸エステルの合計に対して2.0モル%)して重合(重合温度50℃)することにより重合体1を得た。
この重合体1の分子量はMn:41000であり、この重合体1は77〜152℃の温度範囲で液晶性を示した。
<合成例5>
合成例4の上記式(1)と上記式(2)の割合を40対60としたこと以外は合成例4と同様な操作をすることにより、重合体2を得た。この重合体2の分子量はMn:27000であり、この重合体2は53〜132℃の温度範囲で液晶性を示した。
<合成例6>
合成例4の上記式(1)と上記式(2)の割合を20対80としたこと以外は合成例4と同様な操作をすることにより、重合体3を得た。この重合体3の分子量はMn:43000であり、この重合体3は43〜119℃の温度範囲で液晶性を示した。
<合成例7>
合成例4の上記式(2)を上記式(3)に変更し、上記式(1)と上記式(3)の割合を30対70としたこと以外は合成例4と同様な操作をすることにより、重合体4を得た。この重合体4の分子量はMn:11000であり、この重合体4は80〜135℃の温度範囲で液晶性を示した。
<合成例8>
上記式(1)で示されるメタクリル酸エステル(1.0g)をテトラヒドロフラン(9.1ml)中に溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加(式(1)のメタクリル酸エステルに対して1.5モル%)して重合(重合温度50℃)することにより重合体5を得た。この重合体5の分子量はMn:31000であり、この重合体5は147〜199℃の温度範囲で液晶性を示した。
<異方性を導入された配向フィルムの作製>
<実施例1>
合成例4で得られた重合体1(0.3g)をテトラヒドロフラン(14.7ml)に溶解し、ガラス基板に、約190nmの厚さでスピンコートすることで基板上に側鎖型高分子膜を形成した。この基板を用いて紫外吸収スペクトルを測定した後、側鎖型高分子膜に、グランテーラープリズムを用いて、300nm以下がカットされ、直線偏光に変換した紫外線を照射した。
こうして得られた基板上の側鎖型高分子膜を用いて紫外吸収スペクトルを測定し、側鎖型高分子膜について、照射した偏光紫外線の偏光方向と平行な方向の紫外線吸光度と垂直な方向の紫外線吸光度との差であるΔAを評価した。
ΔAは偏光紫外線を波長365nm換算で70mJ照射した際に、314nmで最大0.15となる。一方、ΔAが0.035(最大値に対して23%の差)になるように300nm以下がカットされた偏光紫外線を4mJ(波長365nmで測定)照射し、続いて、この基板を100℃まで加熱し、側鎖型高分子膜を液晶配向層として、そのまま5分間保持した。その後、室温まで冷却して、膜中に異方性の導入された側鎖型高分子膜(膜厚190nm)を有する基板を得た。その場合、ΔAは大きく増幅され、配向度は0.45となり、そのときの複屈折率は0.11であった。
<実施例2>
合成例5で得られた重合体2(0.3g)を用い、偏光紫外線の照射量を5mJ(ΔAの最大値の25%のΔAとなる照射量)とし、加熱温度を95℃とした以外は実施例1と同様に偏光紫外線照射とその後の熱処理を行った。その結果、熱処理前後のΔAは大きく増幅され、配向度は314nmで0.58となり、そのときの複屈折率は0.12であった。
<実施例3>
合成例6で得られた重合体3(0.3g)を用い、偏光紫外線の照射量を8mJ(ΔAの最大値の33%のΔAとなる照射量)とし、加熱温度を85℃とした以外は実施例1と同様に偏光紫外線照射とその後の熱処理を行った。その結果、熱処理前後のΔAは大きく増幅され、配向度は314nmで0.48となり、そのときの複屈折率は0.16であった。
<実施例4>
合成例4で得られた重合体1(0.3g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサノンの混合溶媒(容積比7:3、2.7ml)に溶解し、アクリルフィルム上に、約800nmの厚さで塗布することでフィルム上に側鎖型高分子膜を形成した。この高分子膜が形成されたフィルムにグランテーラープリズムを用いて、313nmの直線偏光に変換した紫外線を20mJ照射した。その後、この基板を熱風循環オーブン中で100℃まで加熱し、側鎖型高分子膜を液晶配向層として、そのまま10分間保持した。その後、室温まで冷却して、膜中に異方性の導入された側鎖型高分子膜(膜厚800nm)を有するフィルムを得た。このフィルムの複屈折率は0.08であった。
<実施例5>
合成例5で得られた重合体2(0.3g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサノンの混合溶媒(容積比7:3、2.7ml)に溶解し、直線偏光に変換した紫外線を10mJ照射した以外は、実施例4と同様にして膜中に異方性の導入された側鎖型高分子膜を有するフィルムを得た。このフィルムの複屈折率は0.074であった。
<実施例6>
合成例7で得られた重合体4(0.3g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとシクロヘキサノンの混合溶媒(容積比7:3、2.7ml)に溶解し、直線偏光に変換した紫外線を7mJ照射した以外は、実施例4と同様にして膜中に異方性の導入された側鎖型高分子膜を有するフィルムを得た。このフィルムの複屈折率は0.056であった。
<比較例1>
合成例8で得られた重合体5(0.3g)をテトラヒドロフラン(14.7ml)に溶解し、ガラス基板に、約150nmの厚さでスピンコートすることで基板上に側鎖型高分子膜を形成したこと、偏光紫外線の照射量を5mJ(ΔAの最大値の10%のΔAとなる照射量)とした以外は、実施例1と同様に偏光紫外線照射とその後の熱処理を行い、膜中に異方性の導入された側鎖型高分子膜を有する基板を得た。この際、熱処理前後のΔAは0.07から0.07と変化せず、ΔAの増幅は確認されなかった。そのときの複屈折率は0.01であった。
<比較例2>
合成例8で得られた重合体5(0.3g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルとジエチレングリコールモノメチルエーテル混合溶媒(容積比7:3、2.7ml)に溶解し、アクリルフィルム上に、約800nmの厚さで塗布することでフィルム上に側鎖型高分子膜を形成した。この高分子膜が形成されたフィルムにグランテーラープリズムを用いて、313nmの直線偏光に変換した紫外線を5mJ照射した。その後、この基板を熱風循環オーブン中で100℃まで加熱し、側鎖型高分子膜を液晶配向層として、そのまま10分間保持した。その後、室温まで冷却して、膜中に異方性の導入された側鎖型高分子膜を有するフィルムを得た。このフィルムの複屈折率は0.01であった。
[液晶セルの作製]
<実施例7>
合成例4で得られた重合体1(0.3g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサノンの混合溶媒(容積比3:7、4.7ml)に溶解し、液晶配向剤(A)を得た。この液晶配向剤(A)をガラス基板にスピンコート法により塗布した後、50℃で5分間、ホットプレート上で乾燥させることにより、厚さ80nmの高分子膜を得た。この高分子膜にグランテーラープリズムを用いて313nmの直線偏光に変換した紫外線を4mJ照射した。その後、この基板をホットプレート上で100℃まで加熱し、側鎖型高分子膜を液晶相として、そのまま10分間保持した。その後、室温まで冷却して、膜中に異方性の導入された液晶配向膜を有する基板を得た。
このようにして得られた、配向処理を施された液晶配向膜付き基板2枚を用いて、液晶MLC−2003(メルクジャパン社製)を挟持したアンチパラレル液晶セルを得た。
得られた液晶セルを直交ニコル下で観察したところ、配向不良のない均一な液晶配向が観察された。
また、このような異方性を導入された液晶配向膜付きのITO(Indium Tin Oxide)基板を2枚作製し、それらの間に液晶MLC−2003(C60)を挟持し、得られた液晶セルを、さらに一対の直線偏光板で挟持することにより、液晶の厚さが6μmのTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子を作製した。
このTN型液晶表示素子ではITO電極への電圧印加による液晶の駆動が確認できた。
また、この液晶表示素子は全面にわたり配向欠陥の無いことが確認され、電圧印加による均一な液晶の配向変化が確認された。
すなわち、上記で得られた液晶配向膜を用い、液晶表示素子を製造することができた。評価結果を表1にまとめる。
<実施例8>
合成例5で得られた重合体2(0.3g)を用い、偏光紫外線の照射量を5mJ(ΔAの最大値の25%のΔAとなる照射量)とし、加熱温度を95℃とした以外は実施例7と同様にして液晶セルを作製した。結果を表1にまとめる。
<実施例9>
合成例6で得られた重合体3(0.3g)を用い、偏光紫外線の照射量を8mJ(ΔAの最大値の33%のΔAとなる照射量)とし、加熱温度を85℃とした以外は実施例7と同様にして液晶セルを作製した。結果を表1にまとめる。
<比較例3>
合成例8で得られた重合体5(0.3g)をテトラヒドロフラン(14.7ml)に溶解し、ガラス基板に、約80nmの厚さでスピンコートすることで基板上に高分子膜を形成したこと、偏光紫外線の照射量を5mJとした以外は、実施例7と同様にして液晶セルを作製した。
得られたアンチパラレルセルを直交ニコル下で観察したところ、液晶は無配向となり、均一な液晶の配向は得られなかった。結果を表1にまとめる。
Figure 2014077248
本発明の光反応性組成物から形成された光配向膜や位相差フィルムは、耐熱性の小さいプラスチック上にも形成し得るために、分子配向を制御した光学素子や液晶配向膜として広い範囲において使用し得るもので、産業上の高い有用性を有する。
なお、2012年11月14日に出願された日本特許出願2012−250558号の明細書、特許請求の範囲、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、下記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位と、を有する共重合体を含有することを特徴とする光反応性組成物。
    Figure 2014077248
    (X、及びXは、それぞれ独立に、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、又は−CO−NH−である。
    は、−O−CO−又は−CO−O−である。Yは、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フラン環、ピロール環、ベンゾフェノン、及びフェニルベンゾエートからなる群から選ばれる基であり、それぞれの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基で置換されていてもよい。
    、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
    p1、及びp2は、それぞれ独立に、2〜12の整数である。
    Wは、ベンゼン環、ナフタレン環、及びビフェニル環からなる群から選ばれる基であり、それぞれの環はアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基で置換されてもよい。
    〜Zは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。)
  2. (上記式(1)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位)/(上記式(2)で表わされる単量体に由来する繰り返し単位)のモル比率が、10/90〜80/20である請求項1に記載の光反応性組成物。
  3. 上記式(1)で表わされる単量体が、下記式(3)で表わされる桂皮酸化合物であり、上記式(2)で表わされる単量体が、下記式(4)で表わされる安息香酸エステル化合物である請求項1又は2に記載の光反応性組成物。
    Figure 2014077248
    (R1、及びp1はそれぞれ、上記式(1)で定義したものと同義である。
    は、単結合、−O−CO−、又は−CO−O−である。
    mは、0又は1であり、mが0のとき、Xは単結合である。)
    Figure 2014077248
    (R、p23、及びZ〜Zはそれぞれ、上記式(2)で定義したものと同義である。
    Rは、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基である。
    は、1又は2である。)
  4. 共重合体の数平均分子量が1000〜100000である請求項1〜3のいずれかに記載の光反応性組成物。
  5. さらに、有機溶媒を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の光反応性組成物。
  6. 有機溶媒が、沸点として60〜170℃を有する低沸点溶媒である請求項5に記載の光反応性組成物。
  7. 有機溶媒の含有量が、光反応性組成物の全量に対して60〜99.5質量%である請求項5又は6に記載の光反応性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光反応性組成物の被膜に直線偏光成分を含む光を照射し、次いで、熱処理して液晶配向能を付与した光学異方性膜。
  9. 温度70〜120℃にて熱処理する請求項8に記載の光学異方性膜。
  10. 膜厚が20〜5000nmである請求項8又は9に記載の光学異方性膜。
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