JPWO2014077195A1 - 人工生体粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ボルト(2)のウェスト(8)を構成するMVP(3)のN末端のそれぞれにロイシンジッパー(4)が組み込まれたことを特徴とする人工生体粒子(1)、ならびに、ロイシンジッパー遺伝子をMVP遺伝子のN末端となる側に組み込み、発現させる人工生体粒子(1)の製造方法により、ドラッグデリバリーシステム(DDS)などへの応用が可能なナノカプセルとして用いられ得る、その大きな内部空間を有効に利用することができるボルトを用いた新規な人工生体粒子およびその製造方法が提供される。

Description

本発明は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)などへの応用が可能なナノカプセルとして用いられ得る、ボルト(Vault)を用いた新規な人工生体粒子およびその製造方法に関する。
ボルト2は、粒子サイズが40nm×40nm×67nmの卵型の巨大な生体粒子であり、細胞内で最大の分子量を有する核酸−タンパク質複合体である(図2を参照)。生体内に存在するボルト2は、3種類のタンパク質(MVP(Major Vault Protein)、VPARP(vault poly(ADP−ribose)polymerase)、TEP1(telomerase−associated protein−1))と1種類のRNAで構成されている。ボルト2は、主成分である分子量約100kDaのMVP3が39個集まってお椀型の半分のボルト(各部位はキャップ5、ショルダー6、ボディ7およびウェスト8と称される)を形成し、それら2つがお椀の縁と縁を合わせるように、ウェスト8において会合することで卵型粒子の外殻が形成される。MVP以外の成分については、外殻により形成された内部空間に存在する。
ボルト2の外殻を構成するMVP3は、逆平行βシートで形成される9つの繰り返し構造(3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i)と、ショルダー6、キャップヘリックス9およびキャップリング10の計12個のドメインで構成されており(図3)、キャップヘリックス9のドメイン間の分子間疎水結合が、お椀型をした半分のボルトの形成に重要である。2つの半分のボルトは、MVP3のN末端同士を会合することによって卵型のボルト粒子を形成し、その会合はイオン結合と短い分子間βシートだけという非常に弱い相互作用のみで形成されている。このようなボルトの構造情報および粒子形成のメカニズムは、本発明者が2009年にラット肝臓由来ボルトの全体構造決定に成功し、明らかにされた(たとえば、Hideaki Tanaka et al.,「The Structure of Rat Liver Vault at 3.5 Angstrom Resolution」、Science、 Vol.323、 pp.384−388(2009)(非特許文献1)を参照。)。
ボルトは、その主成分であるMVPを昆虫細胞で発現させると、生体内と同じ卵型の粒子が形成されることは以前から知られていた(たとえば、Andrew G.Stephen et al.,「Assembly of Vault−like Particles in Insect Cells Expressing Only the Major Vault Protein」、The Journal of Biological Chemistry、 Vol.276、 No.26、 pp.23217−23220(2001)(非特許文献2)を参照。)。ボルトは、その特徴的な形のため、ナノカプセルとして利用することによるドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発が進められている(たとえば、Valerie A. Kickhoefer et al.,「Engineering of vault nanocapsules with enzymatic and fluorescent properties」、PNAS、 Vol.102, No.12、 pp.4348−4352(2005)(非特許文献3)、Valerie A. Kickhoefer et al.,「Targeting Vault Nanoparticles to Specific Cell Surface Receptors」、ACS nano、3(1):27−36.doi:10.1021/nn800638x(2009)(非特許文献4)を参照。)。
また、たとえば特表2013−509202号公報(特許文献1)では、MVPならびに融合タンパク質かつmINTおよび関心対象のタンパク質(サイトカイン)を有する組換え粒子であるボルト粒子を、細胞もしくは腫瘍または対象への関心対象のタンパク質の送達のために用いることが開示されている。その他、たとえば特表2007−508846号公報(特許文献2)では、ポリペプチドでパッケージングされた、ポリヌクレオチドを送達するための組成物であって、ポリヌクレオチド結合領域としてロイシンジッパーを有する技術が開示されている。
従来の方法では、薬剤の粒子内部への取り込みに、ボルトの構成成分で粒子内部に存在するVPARPのC末端160残基(INTドメイン:MVPと結合する)をタグとして利用している。これは、粒子内部に薬剤を保持させておくためでもある。しかしながら、この方法では、ボルトの大きな内部空間を十分に活かしきれていない。
特表2013−509202号公報 特表2007−508846号公報
Hideaki Tanaka et al.,「The Structure of Rat Liver Vault at 3.5 Angstrom Resolution」、Science、 Vol.323、 pp.384−388(2009) Andrew G.Stephen et al.,「Assembly of Vault−like Particles in Insect Cells Expressing Only the Major Vault Protein」、The Journal of Biological Chemistry、 Vol.276、 No.26、 pp.23217−23220(2001) Valerie A. Kickhoefer et al.,「Engineering of vault nanocapsules with enzymatic and fluorescent properties」、PNAS、 Vol.102, No.12、 pp.4348−4352(2005) Valerie A. Kickhoefer et al.,「Targeting Vault Nanoparticles to Specific Cell Surface Receptors」、ACS nano、3(1):27−36.doi:10.1021/nn800638x(2009)
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ドラッグデリバリーシステム(DDS)などへの応用が可能なナノカプセルとして用いられ得る、その大きな内部空間を有効に利用することができるボルトを用いた新規な人工生体粒子およびその製造方法を提供することである。
本発明の人工生体粒子は、ボルトのウェストを構成するMVPのN末端のそれぞれにロイシンジッパーが組み込まれたことを特徴とする。
本発明の人工生体粒子は、MVPのN末端とロイシンジッパーとの間にリンカーが介在されていることが好ましい。この場合、リンカーは、3〜6個のグリシンであることがより好ましい。
本発明の人工生体粒子において、ロイシンジッパーは酵母の転写活性化因子GCN4由来であることが、好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の人工生体粒子を製造する方法であって、ロイシンジッパー遺伝子をMVP遺伝子のN末端となる側に組み込み、発現させる、人工生体粒子の製造方法についても提供する。
本発明の人工生体粒子の製造方法において、MVP遺伝子とロイシンジッパー遺伝子とを、制限酵素サイトを介さずに、リンカーをコードする遺伝子で連結させることが好ましい。
本発明の人工生体粒子の製造方法により、従来と比較して格段に高収率で人工生体粒子を得ることが可能となった。本発明の人工生体粒子は、その内部空間を有効に利用することができるDDSなどに利用可能なナノカプセルとして期待され、本発明により収量が一桁上がったことで、大幅なコストダウンに繋がる。また、本発明の人工生体粒子を基盤として、pH依存で可逆的な開閉制御可能な粒子の開発が進むことが期待できる。
本発明の人工生体粒子1における、ボルト2を構成するMVP3のN末端3aとロイシンジッパー4との結合について概念的に示す模式図である。 本発明の人工生体粒子1に用いられるボルト2を模式的に示す図である。 ボルト2を構成するMVP3を模式的に示す図である。 本発明の人工生体粒子1をナノカプセルとして応用した場合を模式的に示す図である。 本発明の人工生体粒子1をナノカプセルとして応用したドラッグデリバリーシステムの一例を模式的に示す図である。 図6の左側は、破砕後のSDS−PAGEの結果を示す写真であり、LZMVP_Gly3についての上清(レーンA)、沈殿(レーンB)、LZMVP_Gly6についての上清(レーンC)、沈殿(レーンD)をそれぞれ示している。また図6の右側は、ショ糖密度勾配遠心分離後のSDS−PAGEの結果を示す写真であり、左側の群aがLZMVP_Gly3についての結果、右側の群bがLZMVP_Gly6についての結果をそれぞれ示している。 LZMVP_Gly3について、最終精製標品を示す電子顕微鏡写真である。
図1は、本発明の人工生体粒子1における、ボルト2を構成するMVP3のN末端3aとロイシンジッパー4との結合について概念的に示す模式図である。また図2は、本発明の人工生体粒子1に用いられるボルト2を模式的に示す図であり、図3は、ボルト2を構成するMVP3を模式的に示す図である。上述のように、ボルト2は、主成分であるMVP3が39個集まってお椀型の半分のボルト(各部位はキャップ5、ショルダー6、ボディ7およびウェスト8と称される)を形成し、それら2つがお椀の縁と縁を合わせるように、ウェスト8において会合することで卵型粒子の外殻が形成される(図2)。ボルト2の外殻を構成するMVP3は、逆平行βシートで形成される9つの繰り返し構造(3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i)と、ショルダー6、キャップヘリックス9およびキャップリング10の計12個のドメインで構成されている(図3)。本発明の人工生体粒子1は、ボルト2のウェスト8を構成するMVP3のN末端のそれぞれにロイシンジッパー4が組み込まれたことを特徴とする。
本発明の人工生体粒子1は、MVP3のN末端とロイシンジッパー4との間にリンカーが介在されていることが好ましい。このようなリンカーが介在されていることで、人工生体粒子1におけるロイシンジッパー4の動きの自由度が担保される。
本発明の人工生体粒子1におけるMVP3のN末端とロイシンジッパー4との間のリンカーは、小さなアミノ酸が1〜6個直鎖状に連なって形成されることが好ましい。リンカーを形成するアミノ酸の数が1〜6個のいずれの場合であってもロイシンジッパー4を有する人工生体粒子1は発現されるが、より発現量が多く、得られる人工生体粒子1が均一であるという観点から、さらには、ロイシンジッパー4の動きの自由度の観点から、リンカーは、小さなアミノ酸が3〜6個直鎖状に連なって形成されることが好ましい。リンカーを構成するアミノ酸としては、たとえばグリシン、アラニンなどの側鎖の小さいアミノ酸が挙げられる。後述する本実験例では、3個または6個の直鎖状のグリシンでリンカーを形成した例を示している。
ロイシンジッパー4は、約30残基のアミノ酸で構成されるα−ヘリックス2本が、互いのロイシン残基で疎水結合することにより形成されるチャックの様なモチーフである。本発明におけるロイシンジッパー4としては、たとえば酵母の転写活性化因子GCN4由来のロイシンジッパー、それ以外の他のタンパク質由来のロイシンジッパーについても、特に制限なく用いることができる。中でも、1991年に酵母の転写活性化因子GCN4由来のロイシンジッパーのX線結晶構造が1.8Å分解能で決定されており、33残基のアミノ酸で構成されたペプチドがお互いのロイシン残基で疎水結合することにより、強固なコイルドコイルを形成することが原子レベルで明らかになっていることから、酵母の転写活性化因子GCN4由来のロイシンジッパーが好適に用いられ得る。
このような本発明の人工生体粒子によれば、その内部空間を有効に利用することができるDDSなどに利用可能なナノカプセルとして期待され、本発明により収量が一桁上がったことで、大幅なコストダウンに繋がる。また、本発明の人工生体粒子を基盤として、pH依存で可逆的な開閉制御可能な粒子の開発が進むことが期待できる。
ここで図4は、本発明の人工生体粒子1をナノカプセルとして応用した場合を模式的に示す図であり、図5は、本発明の人工生体粒子1をナノカプセルとして応用したDDSの一例を模式的に示す図である。本発明の人工生体粒子1により、たとえば、MVPのN末端に付けたロイシンジッパーにシステイン残基を導入することで、図4に示すように、中性条件ではジスルフィド結合によって安定な卵型粒子を形成し、酸性条件下ではジスルフィド結合の開裂により卵を真っ二つに割ったように開くような、pH依存で可逆的に開閉制御可能なナノカプセルを開発できる可能性がある。このようなナノカプセルを用いることで、たとえば、図5に示すように、酸性条件下で薬剤11をボルト2の内部空間に入れておき、これを投与することで、標的細胞13の表面の特異的な抗原12と、ボルト2の表面に予め付着した抗体(Fab)との抗原抗体反応によりナノカプセルが標的細胞13内に取り込まれ、エンドソーム14内で酸性条件となることでナノカプセルが開き、薬剤11が放出される、というようなDDSも考えられ得る。このような本発明の人工生体粒子は、その内部に非常に大きな空間があるため、遺伝子治療の際のキャリアとしても有望であると考えられる。
また、本発明の人工生体粒子1は、化粧品などの成分を閉じ込めて、肌の奥まで浸透させるナノカプセルとしての利用なども考えられる。
また、近年、タンパク質複合体の内部空間を鋳型として利用し、金属を重合させ、それらを規則的に配列させることで、極小半導体のベースとなる基板を作る技術なども確立されてきている。現在は、フェリチンなどの球状タンパク質が用いられているが、本発明の人工生体粒子1を利用することにより、ボルト2のような楕円をした粒子を用いることで、これまでにない新規な基板を作成できる可能性がある。
本発明はまた、ロイシンジッパー遺伝子をMVP遺伝子のN末端となる側に組み込み、発現させることを特徴とする、人工生体粒子1の製造方法についても提供する。これにより、実験例において後述するように、野生型MVP(W−MVP)で形成されるW−ボルトの昆虫細胞を用いた従来の発現系と比較すると、10倍以上という格段に高い収率で本発明の人工生体粒子1を得ることができる。ロイシンジッパー遺伝子およびMVP遺伝子の塩基配列は既に公知であり、従来公知の遺伝子工学手法を適宜組み合わせることで、ロイシンジッパー遺伝子をMVP遺伝子のN末端となる側に組み込むことができる。後述する実験例では、酵母の転写活性化因子GCN4から切り出し、精製されたロイシンジッパー遺伝子のフラグメント、同様に切り出し、精製されたラット由来のMVP遺伝子のフラグメントを(後述するリンカーを介して)ライゲーションさせた例を示している。
ロイシンジッパー遺伝子をMVP遺伝子のN末端となる側に組み込んだものを発現させる細胞としては、特に制限されないが、昆虫細胞、昆虫細胞よりも高等な生物の細胞が例示される。昆虫細胞よりも下等な、たとえば大腸菌を用いた場合には、生体粒子がうまく形成されない場合があることが知られており、当分野で通常用いられている昆虫細胞を用いて発現させることが好ましい。昆虫細胞の具体例としては、Sf9が例示される。発現された人工生体粒子は、従来公知の適宜の方法により、精製され得る。
本発明の人工生体粒子1の製造方法においては、MVP遺伝子とロイシンジッパー遺伝子とを、制限酵素サイトを介さずに、リンカーをコードする遺伝子で連結させることが好ましい。上述した酵母の転写活性化因子GCN4由来のロイシンジッパー遺伝子のフラグメント、ラット由来のMVP遺伝子を用いた場合、その連結させようとすると、その間にEcoRIのサイト(GAATTC)が残り、ボルト粒子の形成を阻害する可能性がある。後述する実験例では、EcoRIサイトを最も小さい側鎖を持つアミノ酸グリシンを3残基または6残基つなげたGlyリンカーに置き換えた後、昆虫細胞で発現させた。具体的には、導入させたいリンカーに応じてプライマーを設計し、PCR後、精製したフラグメントを、MVP遺伝子のN末端とロイシンジッパー遺伝子との間に介在させるようにライゲーションさせればよい。
なお、本発明の人工生体粒子1の製造方法においても、ロイシンジッパー、リンカーなど、好ましいものは、人工生体粒子1について上述したとおりである。
以下、実験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例>
〔1〕昆虫細胞Sf9による野生型MVP(W−MVP)の大量発現系の構築
〔A〕W−MVPをクローニングした組換えバキュロウィルスゲノム(Bacmid DNA)の調製
以下の手順で作業を行なった。
(1)ラット肝臓由来MVP(W−MVP)のDNAをEcoRIとSphIの制限酵素サイトにより、pFastBacベクターに導入した。
(2)得られたpFastBacを大腸菌(DH5α)に形質転換し、Ampicillin(100μg/mL)入りのLBプレートにまき、37℃で24時間静置培養した。
(3)コロニー数個を白金耳等で拾い、コロニーPCRにて目的の遺伝子が増幅するかを確認した。
(4)上記(3)で、遺伝子の増幅が確認できたコロニーをAmpicillin(100μg/mL)入りのLB液体培地5mLに植菌し、37℃で一晩振とう培養した。
(5)一晩培養した大腸菌(DH5α)から、QIAGEN社のQIAprep Spin Miniprep Kitを用いてW−MVPがクローニングされたpFastBacを精製した。
(6)W−MVPがクローニングされたpFastBac 0.1μgをDH10Bac 20μLに加え、軽く混合した後、氷上で20分間静置した。
(7)42℃で1分間、ヒートショックを行ない、氷上で2分間静置した後、200μLのSOC培地を加えて、37℃で4時間、振盪培養した。
(8)上記(7)の培養液をkanamycin(50μg/mL)、gentamicin(7μg/mL)、tetracycline(10μg/mL)、X−gal(100μg/mL)、IPTG(50μg/mL)入りのLBプレートに20μLまき、37℃で24時間静置培養した(コロニーの発色の有無(青色か白色か)を判別できるまで培養した)。
(9)白色のコロニーを白金耳等で拾い、新しいLBプレート(上記と同じ)に植菌して、37℃で一晩静置培養した後、発色の有無を再確認した。
(10)上記(9)で再確認した白色のコロニー由来の大腸菌(DH5α)をkanamycin(50μg/mL)、gentamicin(7μg/mL)、tetracycline(10μg/mL)入りのLB液体培地5mLに植菌し、37℃で一晩振盪培養した。
(11)一晩培養した大腸菌(DH10Bac)から、QIAGEN社のQIAprep Spin Miniprep Kitを用いてW−MVPがクローニングされたBacmidを精製した。Bacmidは非常にサイズが大きいので、精製の際、溶出バッファーは70℃に温めたものを使用した。
〔B〕W−MVPをクローニングした組換えバキュロウィルスの増殖(ウィルス液の作成)
安全キャビネット内で、以下の手順で行なった。
(1)Invitrogen社のSf900−II培地(10%血清入り)で培養中のSf9細胞(1.5−2.0×10cell/mL)を15mL tube内でSf900−II培地(10%血清入り)を用いて希釈することで、濃度を1.2×10cell/mLに調製した。
(2)12穴培養プレートに終濃度0.4×10cell/mLに調製した細胞培養液を1mL入れた。上述の1.2×10cell/mLの培養液を300μL、Sf900−II培地(10%血清入り)を700μL加えてトータル1mLとした。
(3)27℃で20分間静置し、細胞を細胞培養プレートの底面に接着させた。
(4)1.5mLチューブ内で、Grace medium unsupplement 214μL、Cellfectin 8μL、Bacmid 1μgを混合し、安全キャビネット内で室温、30分間放置した(Cellfectinはボルテックスミキサーで10秒ほど撹拌してから使用)。
(5)上記(3)での12穴培養プレートを倒立顕微鏡観察し、細胞が容器の底面に付着していることを確認してから、培地を取り除いた(プレートを奥に傾けながら、フタを手前に立てるようにしておき、ピペットマンで吸い出した)。
(6)培地を取り除いた後、Grace medium unsupplement 1mLで洗った。洗浄液は捨てた。
(7)その後、細胞に上述のBacmidとCellfectinの混合液をかけた。
(8)12穴プレートを密閉されたタッパー内に入れ、27℃で4時間静置した。タッパー内の湿度を保つためにキムワイプ数枚を純水で湿らせ、0.5M EDTAを1mL含ませたものをタッパーの端に置いておいた。
(9)4時間後、Grace medium unsupplement(10%血清入り)を400μL重層し、中2日間、27℃で培養した。
(10)中2日の培養後、培養液を1.5mLのチューブに移し、高速遠心分離(4,000×g、3min)で細胞を沈殿させた。上清がウィルス液(P0)となるので、これを新しい1.5mLのチューブに移した。ウィルス液(P0)は、遮光フィルムを貼った4℃のクロマトチャンバ内で保存した。
(11)底面積25cmの培養フラスコに、細胞数が3×10cellになるように培養液を加えた(トータル5mLとなるようにした)。例えば、Sf900−II培地(10%血清入り)で培養中のSf9細胞の細胞数が1×10cell/mLの場合、培養液3mLにSf900−II培地(10%血清入り)2mLを加えて5mLとしたものを培養フラスコに入れた。
(12)27℃で15分間静置し、細胞を細胞培養フラスコの底面に接着させた。
(13)P0のウィルス液200μLを加えて、中3日間培養した。
(14)中3日の培養後、ウィルス液(P1)を回収する前に底面積75cmの培養フラスコに細胞数が9×10cellとなるように培養液を加えた(トータル15mLとなるようにした)。6×10cell/mLの培養液を15mL用意すれば、トータルの細胞数が9×10cellとなる。
(15)27℃で15分間静置し、細胞を細胞培養フラスコの底面に接着させた。
(16)ウィルス液(P1)を回収する前に、上述した底面積25cmの培養フラスコから、ピペットを使って0.5mLの上清液を取り出し、上記(14)の培養液に加えた(コンタミ防止のため)。その後、培養液を27℃で中3日間培養した。
(17)残りの培養液をピペットで吸ったり吐いたりしながら、フラスコ底面に付着した細胞をはがし、15mLのチューブに移して高速遠心分離(4,000×g、3min)で細胞を沈殿させた。上清がウィルス液(P1)となるので、これを新しい15mLのチューブに移した。沈殿として落ちたSf9細胞は発現チェック用として−80℃で凍結保存した。ウィルス液(P1)は、遮光フィルムを貼った4℃のクロマトチャンバ内で保存した。
(18)底面積75cmの培養フラスコでの培養で中3日が経ったら、培養液をピペットで吸ったり吐いたりしながら、フラスコ底面に付着した細胞をはがし、50mLのチューブに移して高速遠心分離(4,000×g、3min)で細胞を沈殿させた。上清がウィルス液(P2)となるので、これを新しい50mLのチューブに移した。沈殿として落ちたSf9細胞は発現チェック用として−80℃で凍結保存した。ウィルス液(P2)は、遮光フィルムを貼った4℃のクロマトチャンバ内で保存した。
(19)1Lのスピナーフラスコに1×10cell/mLの培養液を300mL用意し、ウィルス液(P2)を3mL(培地の1%量)加えて27℃で中3日培養した。
(20)中3日培養後、培養液を遠心チューブに移して高速遠心分離(4,000×g、30min)で細胞を沈殿させた。上清がウィルス液(P3)となるので、これを新しい500mLのメディウム瓶に移した。この際に用いる遠心チューブ、遠心チューブのフタ、メディウム瓶は、アルミホイルでくるんでオートクレーブにより滅菌しておいた。沈殿として落ちたSf9細胞は精製用として−80℃で凍結保存した。ウィルス液(P3)は、遮光フィルムを貼った4℃のクロマトチャンバ内で保存した。
(21)3Lのスピナーフラスコに1×10cell/mLの培養液を500mL用意し、ウィルス液(P3)を5mL(培地の1%量)加えて27℃で中3日培養した。
(22)中3日培養後、培養液を遠心チューブに移して高速遠心分離(4,000×g、30min)で細胞を沈殿させた。上清がウィルス液(P4)となるので、これを新しい500mLのメディウム瓶に移した。この際に用いる遠心チューブ、遠心チューブのフタ、メディウム瓶は、アルミホイルでくるんでオートクレーブにより滅菌しておいた。沈殿として落ちたSf9細胞は精製用として−80℃で凍結保存した。ウィルス液(P4)は、遮光フィルムを貼った4℃のクロマトチャンバ内で保存した。
〔2〕昆虫細胞Sf9によるN末端にロイシンジッパーを付加したMVP(LZ−MVP)の大量発現系の構築
以下の手順で作業を行なった。
(1)酵母菌由来GCN4(281アミノ酸)のアミノ酸配列(配列番号1)249番目のアルギニンから、281番目のアルギニンまでをコードするDNA(ロイシンジッパー遺伝子)(BamHIとEcoRIの制限酵素サイトを含む)(配列番号2)(発現されるロイシンジッパーのアミノ酸配列を配列番号3に示す)をプロメガ社のpGEM−Tベクターに導入し、QIAGEN社のQIAprep Spin Miniprep Kitを用いてロイシンジッパーがクローニングされたプラスミドを精製した。pFastBacに導入したロイシンジッパー遺伝子の塩基配列(制限酵素サイト(BamHI、EcoRI)、開始Metを含む)を配列番号4に、発現されるロイシンジッパーのアミノ酸配列を配列番号5に示す。
(2)pGEM−Tベクターから、制限酵素BamHIとEcoRIを用いてロイシンジッパー遺伝子を切り出した。
(3)同様に、ラット由来のW−MVPをクローニングしたpFastBacも制限酵素BamHIとEcoRIで処理しておいた。
(4)上記(2)および(3)で得られたロイシンジッパー遺伝子のフラグメントおよびMVP遺伝子のフラグメントをそれぞれアガロースゲル電気泳動し、目的のバンドを切り出し、Quiagen社のQIAquick Gel Extraction Kitを用いてゲルから目的物を精製した。
(5)タカラバイオ社のDNA Ligation Kit(Mighty Mix)を用いて、上記(4)で精製した両者をライゲーションさせた(ライゲーション後の塩基配列を配列番号6、発現されるロイシンジッパー、MVPのアミノ酸配列を配列番号7、8に示す)。
(6)以下、上述したW−MVPをクローニングした組換えバキュロウィルスゲノムの調製(手順(1)−(11))、ならびに、W−MVPをクローニングした組換えバキュロウィルスの増殖(手順(1)−(20))と同じ操作を行ない、LZ−MVPをクローニングした組換えバキュロウィルスを増殖し、ウィルス液(P4)を作成した。
〔3〕LZ−MVPのロイシンジッパーとMVPの間へのグリシンリンカーの挿入
上記構築した発現系では、ロイシンジッパー遺伝子とMVP遺伝子の間にEcoRIのサイト(GAATTC)が残り、ボルト粒子の形成を阻害する可能性があるため、発明者は、これらを最も小さい側鎖を持つアミノ酸(グリシン(Gly))を3残基(Gly3)(アミノ酸配列を配列番号9に示す)または6残基(Gly6)(アミノ酸配列を配列番号10に示す)つなげたGlyリンカーに置き換えた。
(1)以下の3種のプライマーを作成した(Glyをコードする塩基配列はgcc)。
・forward primer(lzmvp_0g_f)
atggcaactgaagaggccat(配列番号11)
・forward primer(lzmvp_3g_f)
ggcggcggcatggcaactgaagaggccatcatccgcatc(配列番号12)
・reverse primer(lzmvp_3g_r)
GCCAGATTAAAGAAATTAGTTGGCGAACGCggcggcggc(配列番号13)
なお、reverse primerの相補配列は以下のとおりである。
gccgccgccgcgttcgccaactaatttctttaatctggc(配列番号14)
(2)Gly3残基のリンカーを挿入する場合は、lzmvp_0g_fとlzmvp_3g_r、Gly6残基のリンカーを挿入する場合は、lzmvp_3g_fとlzmvp_3g_rをプライマーとして用い、先に作成したLZ−MVPのpFastBacを鋳型として、東洋紡(株)社製のKOD−plus Mutagenesis kitを用いてPCR(94℃、2分→98℃、10秒→68℃、8分(下線部を10サイクル))を行なった。
(3)PCR後、東洋紡(株)社製のKOD−plus Mutagenesis kitに含まれるDpnIを用いて鋳型プラスミドを消化した。1.5mLチューブ内でPCR product 50μLとDpnI 2μLを混合し、タッピング、スピンダウンした後に37℃で1時間インキュベートした。
(4)1.5mLチューブ内で上記(3)の反応液を2μL、滅菌水を7μL、Ligation highを5μL、T4 polynucleotide kinaseを1μL、ここに記した順番に加え、タッピング、スピンダウンした後に16℃で1時間イン
キュベートした。
(5)大腸菌DH5α 50μLに上記(4)の反応液を5μL加え、氷上で30分静置した。
(6)42℃で45秒、ヒートショックを行なった。
(7)氷上で2分間静置した。
(8)SOC培地450μLを加えて、37℃で1時間、振盪培養した。
(9)上記(8)の培養液50μLをAmpicillin(100μg/mL)入りのLBプレートにまいた。
(10)37℃で一晩静置培養した。
これ以降は、上したW−MVPをクローニングした組換えバキュロウィルスゲノムの調製の手順(2)−(20)と同様の作業を行ない、ロイシンジッパーとMVPの間にGlyリンカーを導入したLZMVP(LZMVP_Gly3、LZMVP_Gly6)のウィルス液(P4)を作成した。
〔4〕ボルト(W−ボルト、LZ−ボルト)の精製
(1)3Lのスピナーフラスコで500mLのSf9細胞を培養し、細胞数が1×10cell/mLになったところで、P4またはP3のウィルス液を加えて感染して中3日間培養した。
(2)中3日培養後、培養液を遠心チューブに移して高速遠心分離(4,000×g、30min)で細胞を沈殿させた。
(3)沈殿させた細胞をPBS Bufferを用いて懸濁し、懸濁液を遠心チューブに移して高速遠心分離(4,000×g、30min)することで細胞を洗浄し、培地成分等を取り除いた。
(4)沈殿として得られた細胞を細胞破砕用Buffer A(50mM Tris−HCl(pH7.5)、75mM NaCl、1.5mM MgCl、1mM DTT、1mM PMSF、プロテアーゼ阻害剤・動物細胞用(ナカライテスク(株)社製)2本)100mLで懸濁し、超音波破砕した(TOMY UD−201、OUTPUT 2、DUTY 60、2min×2)。
(5)破砕液を高速遠心機(Beckman HP−26XP、JA25.50 rotor)を用いて、14,300rpm、30min、4℃で高速遠心分離を行なうことにより、細胞破砕カスを沈殿として取り除いた。
(6)上清を超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P45AT rotor)を用いて、40,000rpm、2時間、4℃で超高速遠心分離を行なうことにより、ボルト画分を沈殿として落とした。
(7)沈殿として得られたボルト画分に精製用Buffer A(50mM Tris−HCl(pH7.5)、75mM NaCl、1.5mM MgCl、1mM DTT、1mM PMSF)を少量加え、ダウンスホモジナイザーで懸濁した。
(8)上記(7)の溶液に等量のFicoll/Sucrose Buffer(90mM MES−NaOH(pH6.5)、10mM Sodium phosphate、1mM MgCl、0.5mM EGTA、0.02% NaN、14% Ficoll−PM70、14% Sucrose)を加えてよく混合した。
(9)上記(8)の溶液を超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P45AT rotor)を用いて、25,200rpm、10min、4℃で超高速遠心分離を行ない、不要物を沈殿として落とした。
(10)上清のボルト画分を精製用Buffer Aで4倍希釈し、超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P45AT rotor)を用いて、40,000rpm、2時間、4℃で超高速遠心分離を行ない、ボルト画分を沈殿として落とした。
(11)沈殿として得られたボルト画分に精製用Buffer Aを少量加え、ダウンスホモジナイザーで懸濁した。
(12)超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P28S rotor)の遠心チューブにショ糖の密度勾配を作成した。遠心チューブの底から、60%、50%、45%、40%、30%、20% Sucroseをそれぞれ、4mL、5mL、5mL、5mL、5mL、5mL重層した。これを4本作成した。
(13)上記(11)の溶液5mLを上記(12)のショ糖密度勾配の20%層の上に重層した。
(14)超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P28S rotor)を用いて、25,000rpm、16時間、4℃で超高速遠心分離を行なった。
(15)ボルトは40−45%画分と50%画分の一部に含まれているので、これをピペットで回収した。40、45%画分は全て(5mLずつ)、50%画分は半分(2.5mL)を回収した。
(16)上記(15)の回収液を精製用Buffer Aで4倍希釈し、超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P45AT rotor)を用いて、40,000rpm、2時間、4℃で超高速遠心分離を行なうことにより、ボルト画分を沈殿として落とした。
(17)沈殿として得られたボルト画分にBuffer Aを少量加え、ダウンスホモジナイザーで懸濁した。
(18)上記(17)のボルト試料を0.22μmのフィルターに通し、ゴミ等を取り除いた。
(19)ゲルろ過用Buffer A(50mM Tris−HCl(pH7.5)、75mM NaCl、1.5mM MgCl、1mM DTT)を2ベッドボリューム流して平衡化したゲルろ過カラム(GEヘルスケア・ジャパン(株)社製、Sephacryl S−500、26/60)に上記(18)の試料を2mLアプライし、流速0.5mL/minで4mLずつ分取した。
(20)目的のボルト画分は、試料アプライ後140〜190mL(フラクションNo.39−49)あたりに出てくるので、これを回収し、超高速遠心機(Hitachi CP80WX、P45AT rotor)を用いて、40,000rpm、2時間、4℃で超高速遠心分離を行なうことにより、ボルト画分を沈殿として落とした。(90〜110mL(フラクションNo.27−30)あたりには、ボルトの会合体が出てくるので、これを取り除くことで均一なボルト粒子を得る事ができる)。
(21)沈殿として得られたボルト画分にBuffer Aを少量加え、ダウンスホモジナイザーで懸濁し、これを最終精製標品とした。
ここで、図6の左側は、破砕(上記手順(9))後のSDS−PAGEの結果を示す写真であり、LZMVP_Gly3についての上清(レーンA)、沈殿(レーンB)、LZMVP_Gly6についての上清(レーンC)、沈殿(レーンD)をそれぞれ示している。また図6の右側は、ショ糖密度勾配遠心分離(上記手順(14))後のSDS−PAGEの結果を示す写真であり、左側の群aがLZMVP_Gly3についての結果、右側の群bがLZMVP_Gly6についての結果をそれぞれ示している。また、図7は、LZMVP_Gly3について、最終精製標品を示す電子顕微鏡写真である。
〔5〕精製したボルトのタンパク質定量
(1)ピアス社のBCA Protein Assay Reagent Kitを用いて、上述のようにして得られたW−MVP、LZMVP_Gly3およびLZMVP_Gly6についてのタンパク質定量を行なった。
(2)キットの試薬Aを5mL、試薬Bを100μL、15mLチューブに入れて、よく混合した。
(3)上記(2)の混合溶液を1.5mLのエッペンチューブに500μL入れたものを7本用意した。
(4)事前に用意した5つのBSA標準溶液(1000、500、250、125、62.5μg/ml)をそれぞれ25μL取り、上記(3)の1.5mLチューブに入れて、ボルテックスでよく混合した。
(5)定量するボルト溶液(W−MVP、LZMVP_Gly3またはLZMVP_Gly6を含む)を超純水で希釈したものを2種類作った(たとえば、5倍希釈と10倍希釈、25倍希釈と50倍希釈など)。
(6)上記(5)で作製したボルトの希釈溶液2種をそれぞれ、上記(3)の1.5mLチューブに入れて、ボルテックスでよく混合した。
(7)上記(4)と上記(6)の1.5mLチューブを37℃で30分間インキュベートした。
(8)分光光度計を用い、上記(7)の562nmでの吸光度を測定する(ビュレット反応による還元Cu(+)とビシンコニン酸(BCA)の配位による比色定量)。
(9)まず、BCAについて測定結果を、縦軸を吸光度、横軸をBSA濃度としてプロットし、最小二乗法により近似曲線(標準曲線)を求めた。
(10)上記(9)の標準曲線から、ボルトの希釈溶液の濃度を求めて、希釈倍率からボルト原液の濃度を求めた。
(11)ボルト原液の濃度に総液量を乗じ、ボルトの総収量を計算した。
(12)結果、1L培養あたり、W−ボルト(比較例1)は3〜5mgであったのに対し、LZ−ボルト(LZMVP_Gly3(実施例1)、LZMVP_Gly6(実施例2))では約10倍を超える70〜80mgの収量が得られていた。
今回開示された実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 人工生体粒子、2 ボルト、3 MVP、4 ロイシンジッパー、5 キャップ、6 ショルダー、7 ボディ、8 ウェスト、9 キャップヘリックス、10 キャップリング、11 薬剤、12 抗原、13 標的細胞、14 エンドソーム。

Claims (6)

  1. ボルト(2)のウェスト(8)を構成するMVP(3)のN末端のそれぞれにロイシンジッパー(4)が組み込まれたことを特徴とする、人工生体粒子(1)。
  2. MVP(3)のN末端とロイシンジッパー(4)との間にリンカーが介在されている、請求項1に記載の人工生体粒子(1)。
  3. 前記リンカーが、3〜6個のグリシンである、請求項2に記載の人工生体粒子(1)。
  4. ロイシンジッパーが酵母の転写活性化因子GCN4由来である、請求項1に記載の人工生体粒子(1)。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の人工生体粒子(1)を製造する方法であって、
    ロイシンジッパー遺伝子をMVP遺伝子のN末端となる側に組み込み、発現させる、人工生体粒子(1)の製造方法。
  6. MVP遺伝子とロイシンジッパー遺伝子とを、制限酵素サイトを介さずに、リンカーをコードする遺伝子で連結させることを特徴とする、請求項5に記載の人工生体粒子(1)の製造方法。
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