本発明は、液晶表示装置およびその駆動方法に関し、特に、交流駆動による休止駆動が可能な液晶表示装置およびその駆動方法に関する。
近年、小型で軽量の電子機器の開発が活発に行われている。このような電子機器に搭載される液晶表示装置には低消費電力であることが求められる。液晶表示装置の消費電力を低減する駆動方法の1つとして、走査線を走査して信号電圧の書込みを行う駆動期間と、全ての走査線を非走査状態にして書込みを休止する休止期間とが設けられた「休止駆動」と呼ばれる駆動方法がある。休止駆動では、休止期間に、走査線駆動回路および/またはデータ信号線駆動回路に制御用の信号などを与えないようにして、走査線駆動回路および/またはデータ信号線駆動回路の動作を休止させることにより、液晶表示装置の低消費電力化を図る。このような休止駆動は「低周波駆動」または「間欠駆動」とも呼ばれる。
液晶表示装置に用いられる液晶パネルでは、液晶層を挟持する画素電極と共通電極との間に電圧を印加すれば、液晶の誘電率異方性のために液晶分子の配向方向(長軸方向)が変化する。また、液晶は光学異方性を有するので、液晶分子の配向方向が変化すると、液晶層を透過する光の偏光方向が変化する。このため、液晶層に印加する電圧によって、液晶層を透過する光の光量を制御し、液晶パネルに画像を表示することができる。
しかし、印加電圧の変化に応じて液晶が応答するためには、所定の時間を要する。例えば、現在広く使用されているTN(Twisted Nematic )方式、IPS(In Plane Switching)方式、VA(Vertically Aligned)方式などの液晶表示装置では、液晶が応答するまでに、50ms程度の時間がかかる場合がある。また、液晶の応答速度は温度によって変化し、温度が低いほど応答速度は遅くなる。
さらに、画像信号の周波数が60Hzの場合、1フレーム期間は16.7msである。このため、液晶の応答期間が1フレーム期間よりも長くなれば、画面に残像が発生し、画像の表示品位が低下する。
そこで、上記問題を解決するために、例えば日本の特開2004−4629号公報には、液晶層に対して本来印加すべき電圧よりも大きな電圧を印加する「オーバーシュート駆動」を行う液晶表示装置が開示されている。オーバーシュート駆動では、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せにそれぞれ対応づけられた補正値を記憶するルックアップテーブル(「LUT」または「テーブル」という)が使用される。すなわち、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値をLUTから読み出し、当該補正値を用いて入力画像信号を補正した補正画像信号を出力する。この補正画像信号を用いてオーバーシュート駆動を行うことにより、液晶表示装置の表示速度を速くすることができる。
液晶表示装置では、液晶層に同じ極性の電圧を印加し続ければ、焼き付きが生じて液晶層が劣化する。そこで、液晶層の焼き付きを防ぐために、信号電圧を書き込むごとにその極性を反転させる交流駆動が行われる。図34は、従来の交流駆動による休止駆動を行う方法を説明するための図である。図34に示すように、第1休止駆動期間では、最初に正極性の信号電圧を書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続ける。第2休止駆動期間では、最初に負極性の信号電圧を書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続ける。以下同様にして、休止駆動期間ごとに、極性を反転させた信号電圧を交互に書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続けることを繰り返す。
図35は、従来の交流駆動による休止駆動において、64、128、200、および240階調値に対応する入力画像信号を画素形成部にそれぞれ書き込んだ時の輝度の変化を模式的に示す図である。図35に示すように、0階調(黒表示)から255階調(白表示)までの256階調表示が可能な液晶表示装置において、入力画像信号が64階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する。128階調の場合も同様に、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が低下し、その後ゆっくりと回復する。しかし、64階調の場合に比べて、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後の輝度の低下が少ない。また、200階調の場合には、画素形成部に信号電圧を書き込んでも輝度は変化しない。一方、240階調の場合には、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が上昇し、その後ゆっくりと低下する。
図36は、従来の交流駆動による休止駆動において、64階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図であり、図37は、従来の交流駆動による休止駆動において、240階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。まず、図36を参照して、64階調の入力画像信号を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する理由を説明する。図36において、画素形成部Aと画素形成部Bとは隣接する画素形成部であり、反転駆動によって極性が異なるとする。まず、ある駆動期間に画素形成部Aは正極性であり、画素形成部Bは負極性である。次の駆動期間では極性が反転し、画素形成部Aは負極性になり、画素形成部Bは正極性になる。画素形成部Aに印加する信号電圧の極性を正極性から負極性に反転させれば、画素形成部Aの輝度は急激に低下し、一定値になる。これに対して、画素形成部Bに印加する信号電圧の極性を負極性から正極性に反転させれば、画素形成部Bの輝度はゆっくり上昇し、一定値に近づく。この場合、視聴者は、画素形成部Aと画素形成部Bの輝度変化を合わせたものを画面全体の輝度として認識するので、極性の反転時に画面全体の輝度が急激に低下し、その後ゆっくり回復すると視認する。
なお、上記説明は入力画像信号が64階調の場合について説明したが、128階調の場合も同様である。ただし、128階調の場合は、64階調の場合に比べて、極性を反転させたときの輝度の低下が小さい。
次に、240階調の入力画像信号を書き込む場合について説明する。図37を参照して、240階調の入力画像信号を書き込んだ直後に輝度が急激に上昇し、その後ゆっくりと低下する理由を説明する。図36に示す場合と同様に、画素形成部Aと画素形成部Bとは隣接する画素形成部であり、反転駆動によって極性が異なるとする。まず、ある駆動期間に画素形成部Aは正極性であり、画素形成部Bは負極性である。次の駆動期間では極性が反転し、画素形成部Aは負極性になり、画素形成部Bは正極性になる。極性を反転させる際に、画素形成部Aに負極性の信号電圧を印加すれば、画素形成部Aの輝度はゆっくりと低下し、一定値に近づく。これに対して、画素形成部Bに負極性の信号電圧を印加すれば、画素形成部Bの輝度は急激に上昇し、一定値になる。この場合、視聴者は、画素形成部Aと画素形成部Bの輝度変化を合わせたものを画面全体の輝度として認識するので、極性の反転時に画面全体の輝度が急激に上昇し、その後ゆっくり低下すると視認する。
このような画面の輝度の変化は、信号電圧の極性を反転させたときに液晶分子の配向方向がその変化に追従できないために生じる現象である。この輝度の変化は、動画を表示する際には画像の変化が速いので、視聴者は輝度の変化をほとんど認識できない。しかし、休止駆動時には、視聴者はこの輝度の変化をフリッカとして認識するようになるので、画像の表示品位が低下するという問題が生じる。このフリッカは、入力画像信号の階調値が変化しない場合であっても発生する。
なお、極性を反転させる際に低下した電圧が時間の経過と共に信号電圧に近づくことによって、休止期間の輝度が徐々に高くなるのは、画素形成部のスイッチング素子として、チャネル層が酸化物半導体からなる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」という)を用いているからである。なお、チャネル層が酸化物半導体からなるTFTの詳細は後述する。
日本の特開2004−4629号公報は、通常駆動時におけるオーバーシュート駆動について開示している。しかし、日本の特開2004−4629号公報は、交流駆動による休止駆動を行ったときに生じるフリッカを防止することが可能なオーバーシュート駆動については開示も示唆もしていない。
そこで、本発明は、交流駆動によって休止駆動を行うときの表示品位の低下を抑制することができる液晶表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面は、絶縁基板上に形成され、交流駆動によって休止駆動を行う液晶表示装置であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線とそれぞれ交差する複数のデータ信号線と、
前記複数の走査信号線および前記複数のデータ信号線の各交差点に形成された画素形成部と、
入力画像信号に対して信号の時間的変化を強調する強調階調処理を行った補正画像信号、および、前記入力画像信号に対して強調階調処理を行わない画像信号のいずれかを出力する補正回路と、
前記複数の走査信号線を順に選択して走査する走査信号線駆動回路と、
前記画像信号に基づく信号電圧と、前記補正画像信号に基づき、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、および、信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧の少なくともいずれかとを前記複数のデータ信号線に書き込むデータ信号線駆動回路と、
前記走査信号線駆動回路および前記データ信号線駆動回路を制御するタイミング制御回路とを備え、
前記休止駆動は、複数の駆動フレームからなる駆動期間と、前記駆動期間に続いて、次の駆動期間の開始までの期間に設けられる休止期間とを交互に繰り返し、
前記補正回路は、前記データ信号線駆動回路に、前記駆動期間の少なくとも最初の駆動フレームにおいて前記補正画像信号を出力すると共に、最後の駆動フレームにおいて前記画像信号を出力し、
前記データ信号線駆動回路は、第1または第2補正電圧を前記データ信号線に少なくとも1回以上書き込み、さらに書き込まれた第1または第2補正電圧と同じ極性の信号電圧を前記データ信号線に1回書き込むことを特徴とする。
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記補正回路は、
前記入力画像信号をフレームごとに記憶するフレームメモリと、
前記入力画像信号の少なくとも現フレームの階調値に対応づけられた補正値を記憶するテーブルと、
前記入力画像信号に基づいて前記補正画像信号および前記画像信号のいずれかを前記データ信号線駆動回路に出力する加算回路とを含み、
前記テーブルは、前記入力画像信号の現フレームの階調値が前記加算回路に与えられるごとに、現フレームの階調値に対応づけられた補正値を前記加算回路に与え、
前記加算回路は、前記補正画像信号を出力するときには、前記テーブルから与えられた補正値によって前記入力画像信号の階調値を補正して出力し、前記画像信号を出力するときには、前記入力画像信号の階調値を補正することなく出力することを特徴とする。
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面において、
前記補正回路は、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前記フレームメモリに記憶されていた前フレームの階調値とを求めて前記テーブルに出力する比較回路をさらに含み、
前記テーブルは、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値との組合せにそれぞれ対応づけられた補正値を記憶し、前記比較回路から前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とを与えられれば、前記組合せの中から対応する補正値を前記加算回路に出力することを特徴とする。
本発明の第4の局面は、本発明の第3の局面において、
前記加算回路は、最初の駆動フレームを含む連続した2フレーム以上の駆動フレームのそれぞれにおいて前記補正画像信号を出力し、最後の駆動フレームにおいて前記画像信号を出力することを特徴とする。
本発明の第5の局面は、本発明の第3の局面において、
前記比較回路は、さらに前記駆動期間ごとに極性が反転する前記入力画像信号の反転方向を求め、
前記テーブルは、前記極性の方向に応じて異なる補正値を記憶する第1テーブルと第2テーブルとを含み、前記比較回路から前記入力画像信号の現フレームの階調値および前フレームの階調値と、前記極性の方向とを与えられるごとに、前記第1テーブルおよび前記第2テーブルのうち前記極性の方向に対応したテーブルから、現フレームと前フレームの階調値に対応づけられた補正値を前記加算回路に与えることを特徴とする。
本発明の第6の局面は、本発明の第1の局面において、
前記補正回路は、
前記入力画像信号をフレームごとに記憶するフレームメモリと、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前記フレームメモリに記憶されていた前フレームの階調値とを求める比較回路と、
前記入力画像信号の現フレームの階調値および前フレームの階調値が実質的に等しいときの補正値を記憶するテーブルと、
前記入力画像信号に基づいて前記補正画像信号および前記画像信号のいずれかを前記データ信号線駆動回路に出力する加算回路とを含み、
前記比較回路は、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しいとき、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値を前記テーブルに与え、
前記テーブルは、前記比較回路から与えられた現フレームの階調値および前フレームの階調値に対応づけられた補正値を前記加算回路に出力し、
前記加算回路は、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しいときには、前記テーブルから与えられた補正値によって前記入力画像信号の階調値を補正した前記補正画像信号を出力し、さらに前記入力画像信号の階調値を補正することなく前記画像信号として出力し、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しくないときには、前記入力画像信号の階調値を補正することなく前記補正画像信号として少なくとも1回出力することを特徴とする。
本発明の第7の局面は、本発明の第6の局面において、
前記加算回路は、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しくないときには、さらに前記入力画像信号の階調値を補正することなく前記補正画像信号として出力することを特徴とする。
本発明の第8の局面は、本発明の第2または第6の局面において、
前記液晶表示装置の周囲の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記テーブルは、所定の温度範囲ごとに異なる補正値を記憶する複数の副テーブルを含み、前記温度センサから与えられる温度情報に基づき、前記複数の副テーブルからいずれか1つの副テーブルを選択することを特徴とする。
本発明の第9の局面は、本発明の第2または第6の局面において、
前記液晶表示装置の周囲の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記補正回路は、所定の温度範囲ごとに、異なる補正値からなる複数のデータを記憶する不揮発性メモリをさらに含み、
前記不揮発性メモリは、前記温度センサから与えられる温度情報に基づき、前記複数のデータからいずれか1つのデータを選択して前記テーブルに与えることを特徴とする。
本発明の第10の局面は、本発明の第8または第9の局面において、
前記温度センサは前記絶縁基板上に設けられ、
前記温度センサは温度情報をシリアル通信によって前記タイミング制御回路に与えることを特徴とする。
本発明の第11の局面は、本発明の第8または第9の局面において、
前記温度センサは前記タイミング制御回路内に設けられていることを特徴とする。
本発明の第12の局面は、本発明の第1の局面において、
前記画素形成部は、前記走査信号線に制御端子が接続され、前記データ信号線に第1導通端子が接続され、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧または前記信号電圧が印加されるべき画素電極に第2導通端子が接続され、酸化物半導体によりチャネル層が形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
本発明の第13の局面は、本発明の第12の局面において、
前記酸化物半導体は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)および酸素(О)を主成分とするInGaZnOxであることを特徴とする。
本発明の第14の局面は、本発明の第1の局面において、
前記画素形成部は、前記走査信号線に制御端子が接続され、前記データ信号線に第1導通端子が接続され、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧または前記信号電圧が印加されるべき画素電極に第2導通端子が接続され、非晶質半導体または多結晶半導体のいずれかによりチャネル層が形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
本発明の第15の局面は、本発明の第1〜第14のいずれかの局面に係る液晶表示装置であって、ドット反転駆動、ライン反転駆動、カラム反転駆動、および、フレーム反転駆動のいずれかによって交流駆動される。
本発明の第16の局面は、液晶表示装置の駆動方法であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線とそれぞれ交差する複数のデータ信号線と、
前記複数の走査信号線および前記複数のデータ信号線の各交差点に形成された画素形成部と、
入力画像信号に対して信号の時間的変化を強調する強調階調処理を行った補正画像信号、および、前記入力画像信号に対して強調階調処理を行わない画像信号のいずれかを出力する補正回路と、
前記複数の走査信号線を順に選択して走査する走査信号線駆動回路と、
前記複数のデータ信号線に前記補正画像信号に基づく補正電圧、または、前記画像信号に基づく信号電圧を書き込むデータ信号線駆動回路とを備え、交流駆動によって休止駆動を行う液晶表示装置の駆動方法であって、
前記入力画像信号に対して信号の時間的変化を強調する強調階調処理を行った前記補正画像信号を駆動期間の少なくとも最初の駆動フレームにおいて前記データ信号線駆動回路に出力するステップと、
前記入力画像信号に対して強調階調処理を行わない前記画像信号を前記駆動期間の最後の駆動フレームにおいて前記データ信号線駆動回路に出力するステップと、
強調補正処理を行った前記補正画像信号に基づき、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、および、信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧の少なくともいずれかを前記複数のデータ信号線に少なくとも1回以上書き込むステップと、
第1または第2補正電圧を書き込んだ直後に、第1または第2補正電圧と同じ極性の信号電圧を前記データ信号線に1回書き込むステップとを備えることを特徴とする。
本発明の第1の局面によれば、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧または信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧をデータ信号線に少なくとも1回以上書き込み、さらに書き込まれた第1または第2補正電圧と同じ極性の信号電圧をデータ信号線に1回書き込む。これにより、入力画像信号の階調値によらず、すべての階調値において表示される画像の輝度の変化を抑制することができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、画像の品位が向上する。
本発明の第2の局面によれば、前クレームの階調値と現フレームの階調値とが同じであるか否かを判定する必要がないので、比較回路が不要になる。また、比較回路が設けられていないので、テーブルは現フレームの階調値だけに対応づけた補正値を記憶すればよく、そのメモリ容量を小さくすることができる。また、製造コストを低減した液晶表示装置を用いても、入力画像信号の階調値によらず、すべての階調値において表示される画像の輝度の変化を抑制することができる。
本発明の第3の局面によれば、補正回路内に設けられた加算回路は、強調階調処理を行うときには、テーブルから与えられた補正値によって入力画像信号の階調値を補正した補正画像信号を出力し、その後入力画像信号の階調値を補正することなく出力する。これにより、信号電圧の書込みを行ったときに生じる輝度の変化が、入力画像信号のすべての階調値で大幅に抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第4の局面によれば、加算回路は、最初の駆動フレームを含む連続した2フレーム以上の駆動フレームのそれぞれにおいて補正画像信号を出力する。これにより、液晶表示装置は、各休止駆動期間の駆動期間に強調階調処理を連続して少なくとも2回行うことになる。その結果、応答速度の遅い液晶であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。
本発明の第5の局面によれば、テーブルは、印加電圧の方向がある方向の場合の補正値を記憶させておく第1テーブルと、それとは逆方向の場合の補正値を記憶させておく第2テーブルを含む。これにより、液晶層に印加する電圧の方向によって液晶の応答速度が異なる場合であっても、第1および第2テーブルのうち適切なテーブルを選択することにより、印加電圧の方向による書き込み時の輝度の低下を同程度に小さくすることができる。これによって、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第6の局面によれば、フリッカは同じ画像を連続して表示する場合に認識されやすいので、加算回路は、入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しい場合にのみ、テーブルから与えられた補正値によって入力画像信号の階調値を補正した補正画像信号を出力する。これにより、階調値が実質的に同じ画像を連続して表示する場合のみ強調階調処理を行い、次に通常駆動を行う。その結果、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。また、テーブルのメモリ容量を小さくすることができるので、液晶表示装置のコストを低減することができる。さらに、液晶の応答速度が速く、かつ、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合には、第1駆動フレームだけを設け、第2駆動フレームを設けることなく休止期間にしてもよい。第2駆動フレームを設けないことにより、液晶表示装置の消費電力をより低減することができる。
本発明の第7の局面によれば、前フレームの階調値と現フレームの階調値が実質的に等しくない場合には、入力画像信号の階調値を補正することなく補正画像信号を連続して出力する。これにより、液晶の応答速度が遅い場合であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。
本発明の第8の局面によれば、温度センサと、温度によって異なる補正値を記憶する複数の副テーブルを有し、液晶表示装置の周囲の温度に応じて、複数の副テーブルのいずれかを選択して強調階調処理を行う。これにより、広い温度範囲で使用される液晶表示装置においても、信号電圧の書き込み時の輝度の低下が抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第9の局面によれば、所定の温度範囲ごとに異なる補正値からなる複数のデータを記憶する不揮発性メモリを含み、不揮発性メモリは温度情報に基づいて複数のデータからいずれか1つのデータを選択してテーブルに与える。これにより、液晶表示装置を使用する温度範囲が広い場合に、不揮発性メモリは、複数のテーブルに記憶させるべき補正値を記憶しておき、温度センサからの温度情報に対応する温度範囲の補正値のデータをテーブルに転送する。これにより、テーブルの個数を減らすことができるので、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
本発明の第10の局面によれば、温度センサを絶縁基板上に設け、温度情報をシリアル通信によって温度センサからタイミング制御回路に与えることにより、温度センサを絶縁基板上の任意の位置に設けることができる。
本発明の第11の局面によれば、温度センサをタイミング制御回路内に設けることにより、タイミング制御回路の回路構成が複雑にならない。これにより、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
本発明の第12の局面によれば、画素形成部内の薄膜トランジスタとしてチャネル層が酸化物半導体により形成された薄膜トランジスタが用いられる。この薄膜トランジスタのオフリーク電流は非常に小さいので、画素形成部に書き込まれた電圧が長時間にわたり保持される。これにより、休止駆動時にも多階調表示をすることができる。
本発明の第13の局面によれば、チャネル層を形成する酸化物半導体としてInGaZnOxを用いることによって、本発明の第12の局面による効果と同様の効果を確実に達成することができる。
本発明の第14の局面によれば、画素形成部内の薄膜トランジスタとしてチャネル層が非晶質半導体または多結晶半導体からなる薄膜トランジスタが用いられる。これにより、白黒画像のように2種類の輝度によって表示可能な画像を、安価な製造コストの液晶表示装置によって表示することができる。
本発明の第15の局面によれば、本発明の第1〜第14の局面に係る液晶表示装置を、ドット反転駆動、ライン反転駆動、カラム反転駆動、フレーム反転駆動のいずれかによって駆動することにより、信号電圧の書込みを行ったときに生じる輝度の低下を大幅に抑制することができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、画像の表示品位が向上する。
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図1に示す液晶表示装置に含まれる画素形成部の等価回路を示す図である。
図1に示す液晶表示装置の画素形成部のスイッチング素子としてIGZO−TFTを使用したとき、液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。
図1に示す液晶表示装置において、オーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、アンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、休止駆動を行ったときの輝度の変化を模式的に示す図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、オーバーシュート駆動を2回含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、アンダーシュート駆動を2回含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、電圧値が段階的に小さくなるオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、電圧値が段階的に高くなるアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの信号電圧と輝度との関係を示す図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの輝度の変化を模式的に示す図である。
本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図16に示す液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図16に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第1の変形例に係る液晶表示装置のブロック図である。
図20に示す第1の変形例に係る液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第2の変形例において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第2の変形例において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置のブロック図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される室温用のLUTを示す図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される高温用のLUTを示す図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される低温用のLUTを示す図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態に係る液晶表示装置において、比較回路をなくした液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置において、比較回路をなくした液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
従来の交流駆動による休止駆動を行う方法を説明するための図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、64、128、200、および240階調値に対応する入力画像信号を画素形成部にそれぞれ書き込んだ時の輝度の変化を模式的に示す図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、64階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、240階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。
<1.第1の実施形態>
<1.1 液晶表示装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置100の構成を示すブロック図である。図1に示す液晶表示装置100は、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。
液晶パネル10には、複数の画素形成部(図示しない)が行方向および列方向にマトリクス状に配置されている。また、液晶パネル10には、複数の走査信号線(図示しない)と、複数のデータ信号線(図示しない)とが互いに交差するように形成されている。各走査信号線は同じ行に配置された画素形成部に接続され、各データ信号線は同じ列に配置された画素形成部に接続されている。
タイミング制御回路30に、入力画像信号の同期信号として、水平同期信号および垂直同期信号が入力される。タイミング制御回路30は、これらの同期信号に基づき、ゲートクロック信号やゲートスタートパルス信号などの制御信号を生成して走査信号線駆動回路20に出力し、ソースクロック信号、ソーススタートパルス信号などの制御信号を生成してデータ信号線駆動回路25に出力する。
また、タイミング制御回路30は、休止駆動制御回路31を含んでいる。休止駆動制御回路31は、生成された制御信号に同期して、アンプイネーブル信号をデータ信号線駆動回路25に出力する。詳細は後述するが、液晶表示装置100は、液晶パネル10を駆動するときに、オーバーシュート電圧(「第1補正電圧」ともいう)またはアンダーシュート電圧(「第2補正電圧」ともいう)を書き込んだり、信号電圧を書き込んだりする駆動期間と、これらの電圧の書込みを休止する休止期間を設ける。休止駆動制御回路31は、駆動期間には、アンプイネーブル信号をアクティブにすることにより、データ信号線駆動回路25内に設けられたアナログアンプ(図示しない)を動作させる。これにより、オーバーシュート電圧、アンダーシュート電圧、または信号電圧のいずれかをデータ信号線に書き込むことができる。休止期間には、アンプイネーブル信号を非アクティブにしてアナログアンプを休止させる。このようにして、休止駆動制御回路31は、駆動期間と休止期間をそれぞれ任意に設定することができる。
走査信号線駆動回路20は、タイミング制御回路30で生成された制御信号に従って、液晶パネル10の走査信号線を駆動し、各走査信号線を順に選択する。データ信号線駆動回路25は、タイミング制御回路30で生成された制御信号に従い、補正回路40から出力された補正画像信号をアナログ電圧である信号電圧に変換し、当該信号電圧を各データ信号線に書き込む。また、後述する方法によって生成されたオーバーシュート電圧またはアンダーシュート電圧をデータ信号線に書き込む。さらに、データ信号線に書き込まれたこれらの電圧は、アクティブな走査信号を印加することによって選択された走査信号線に接続された画素形成部に書き込まれる。なお、データ信号線駆動回路25が信号電圧、オーバーシュート電圧、またはアンダーシュート電圧のいずれかを各データ信号線に書き込むのは、休止駆動制御回路31からアクティブなアンプイネーブル信号を受け取っている期間だけである。
本明細書では、データ信号線駆動回路25は、ドット反転駆動によって画像を液晶パネル10に表示するとして説明するので、補正画像信号に対応する信号電圧の極性を次のようにして制御する。すなわち、隣接するデータ信号線ごとに同時に出力される信号電圧の極性を反転させると共に、隣接する走査信号線ごとにも反転させる。これにより、正極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部は負極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部によって囲まれ、また負極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部は正極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部によって囲まれる。
補正回路40は、入力画像信号に対して信号の変化を強調する補正を行った補正画像信号をデータ信号線駆動回路25に出力する。補正回路40は、加算回路50、フレームメモリ60、比較回路80、およびLUT70を含んでいる。フレームメモリ60は、外部から与えられた入力画像信号を1フレーム分だけ記憶する。比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)と、フレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、後述するように、前フレームの各階調値と現フレームの各階調値に対応づけられた複数の補正値を記憶している。LUT70は、比較回路80から前フレームの階調値と現フレームの階調値を与えられれば、それらに対応づけられた補正値を加算回路50に与える。なお、本明細書においてLUTを「テーブル」ともいう。また、加算回路50によって入力画像信号に補正値を加算または減算した信号を補正画像信号といい、補正値による補正をしなかった信号を画像信号という場合がある。
加算回路50はフレームメモリ60に接続され、フレームメモリ60に記憶されている入力画像信号を与えられる。オーバーシュート電圧またはアンダーシュート電圧を書き込むときには、フレームメモリ60に記憶された直後の入力画像信号が直ちにフレームメモリ60から加算回路50に与えられる。オーバーシュート電圧を書き込むときには、加算回路50は、現フレームの階調値にLUT70から与えられる補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。アンダーシュート電圧を書き込むときには、加算回路50は、現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
次に、フレームメモリ60に記憶されている入力画像信号が再び加算回路50に与えられる。この入力画像信号は、補正画像信号の生成に使用した入力画像信号と同じ信号である。加算回路50は、現フレームの階調値を補正することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。
図2は、液晶表示装置100に使用するLUT70の構成の一例を示す図である。図2に示すように、LUT70には、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけて、入力画像信号の時間的変化を強調するための補正値が記憶されている。例えば、前フレームの階調値が32階調であり、現フレームの階調値が160階調である場合には、対応する補正値はLUT70から6階調になる。LUT70がこの補正値を加算回路50に与えると、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)である160階調に6階調を加算することによって、166階調の補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。データ信号線駆動回路25は、補正画像信号に対応するオーバーシュート電圧を求め、データ信号線SLに書き込む。このようにして、オーバーシュート駆動が行われる。
また、LUT70には、負の補正値も記憶されている。具体的には、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも224階調の場合と、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも255階調の場合である。例えば、前フレームおよび現フレームの階調値が224階調である場合には、対応する補正値はLUT70から、−2階調になる。この補正値がLUT70から加算回路50に与えられることによって、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)である224階調から2階調を減算した222階調の補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。データ信号線駆動回路25は、補正画像信号に対応するアンダーシュート電圧を求め、データ信号線SLに書き込む。このようにして、アンダーシュート駆動が行われる。また、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも192階調である場合には、対応する補正値は0階調であるので、オーバーシュートもアンダーシュートも行われない。
このように、LUT70に記憶された補正値が正の値である場合にはオーバーシュート駆動が行われ、負の値である場合にはアンダーシュート駆動が行われる。図35に示したように、前フレームおよび現フレームの階調値が共に小さい場合には、休止駆動期間ごとに画面の輝度が低下し、その後徐々に回復する。前フレームおよび現フレームの階調値が共に大きい場合には、休止駆動期間ごとに画面の輝度が上昇し、その後徐々に低下する。そこで、これらの輝度の変化を打ち消すように、LUT70に、前フレームおよび現フレームの階調値が小さい場合の補正値としてプラスの大きな値を記憶させ、前フレームおよび現フレームの階調値が大きい場合の補正値として負の値またはプラスの小さい値を記憶させる。
なお、本明細書では、液晶表示装置100は、階調数が256階調の表示装置であるとしたので、LUT70もそれに対応して0階調から255階調までの階調値を記憶しているとした。しかし、本発明の適用が可能な液晶表示装置の階調数は256階調に限定されず、256階調よりも大きくても小さくてもよい。その場合、LUTに記憶すべき補正値も液晶表示装置の階調数に応じて増減される。
また、図2に示すLUT70は、メモリ容量を節約するために、前フレームおよび現フレームの階調値を32階調ごとにしか記憶していない。このため、LUT70に記憶されていない前フレームおよび現フレームの階調値に対応する補正値をLUT70を用いて求める方法を説明する。最も簡単な方法は、LUT70に記憶されている階調値だけでなく、その前後16階調分の階調値も当該記憶されている階調値であるとして処理する。例えば、階調値が(192−16+1=)177階調から(192+16=)208階調のいずれの階調値も192階調として処理する。また、階調値が(224−16+1=)209階調から(224+16=)240階調のいずれの階調値も224階調として処理する。具体的には、前フレームの階調値が200階調、現フレームの階調値が220階調である場合の補正値は、前フレームの階調値が192階調、現フレームの階調値が224階調に対応する補正値である5階調になる。また、より正確な補正値を求めたい場合には、線形補間法を用いて求めてもよい。なお、線形補間法はよく知られた補間方法であるので、その詳細な説明を省略する。
<1.2 画素形成部の構成>
図3は、液晶表示装置100に含まれる画素形成部15の等価回路を示す図である。図3に示すように、各画素形成部15は、対応する交差点を通過する走査信号線GLに制御端子としてのゲート端子が接続されると共に、当該交差点を通過するデータ信号線SLに第1導通端子としてのソース端子が接続されたTFT16と、当該TFT16の第2導通端子としてのドレイン端子に接続された画素電極17と、各画素形成部15に共通的に設けられた共通電極18と、画素電極17と共通電極18との間に挟持され、複数個の画素形成部15に共通的に設けられた液晶層(図示しない)とにより構成される。画素電極17と共通電極18により形成される液晶容量Cclは、画素容量を構成する。また、共通電極18に印加する電圧は、共通電圧生成回路(図示しない)によって生成される。なお、画素容量に確実に電圧を保持すべく液晶容量Cclに並列に補助容量が設けられている場合も多いが、本明細書では、画素容量は液晶容量Cclのみによって構成されるとして説明する。
図3に示すTFT16は、信号電圧を液晶容量Cclに書き込むためにオンされたり、信号電圧を液晶容量Cclに保持し続けるためにオフされたりするスイッチング素子として機能する。このようなTFT16としては、例えば酸化物半導体をチャネル層に用いたTFT(以下「酸化物TFT」という。)が用いられる。具体的には、TFT16のチャネル層は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を主成分とするInGaZnOxにより形成されている。以下では、InGaZnOxをチャネル層に用いたTFTのことを「IGZO−TFT」という。
図4は、液晶表示装置100の画素形成部15のスイッチング素子としてIGZO−TFT16を使用したとき、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。図4に示すように、正極性の信号電圧(例えば+7V)を書き込み、書き込んだ電圧を所定時間保持する。次に、負極性の信号電圧(例えば−7V)を書き込み、書き込んだ電圧を所定期間保持する。これらの動作を繰り返しても、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧はほとんど変化しない。このことから、IGZO−TFT16のオフリーク電流は非常に小さく、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧は長期間保持されることがわかる。このように、画素形成部15のスイッチング素子としてIGZO−TFT16を使用することにより、休止駆動時にも多階調表示をすることができる。
なお、InGaZnOx以外の酸化物半導体として、例えばインジウム、ガリウム、亜鉛、銅(Cu)、シリコン(Si)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)、および鉛(Pb)のうち少なくとも1つを含む酸化物半導体をチャネル層に用いた場合でも同様の効果が得られる。
<1.3 休止駆動時の動作>
図5は液晶表示装置100において、オーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図6は液晶表示装置100において、アンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。液晶表示装置100は、駆動期間と休止期間を交互に繰り返すことによって、液晶パネル10を駆動する。駆動期間には、休止駆動制御回路31からデータ信号線駆動回路25にアクティブなアンプイネーブル信号が出力されており、オーバーシュート電圧や信号電圧が各データ信号線SLに書き込まれる。休止期間には、休止駆動制御回路31からデータ信号線駆動回路25に非アクティブなアンプイネーブル信号出力され、データ信号線駆動回路25および/または走査信号線駆動回路20が動作を停止する。
なお、本明細書では、図5および図6に示す駆動期間のうち、オーバーシュート電圧を書き込む期間を第1駆動期間といい、信号電圧を書き込む期間を第2駆動期間という。また、各駆動期間のフレームをそれぞれ第1駆動フレームおよび第2駆動フレームといい、休止期間のフレームを休止フレームという。また、図6に示す駆動期間のうち、アンダーシュート電圧を書き込む期間を第3駆動期間といい、信号電圧を書き込む期間を第4駆動期間という。また、各駆動期間のフレームをそれぞれ第3駆動フレームおよび第4駆動フレームといい、休止期間のフレームを休止フレームという。また、オーバーシュート電圧、アンダーシュート電圧、および信号電圧を区別しない場合には、それらを単に電圧という場合がある。
図5および図6に示すように、駆動期間と休止期間とは交互に設けられ、駆動期間とそれに続く休止期間とを合わせて休止駆動期間という。データ信号線SLに書き込まれる信号電圧の極性を休止駆動期間ごとに反転させる。このため、電圧の極性は、奇数番目の休止駆動期間では正極性であり、偶数番目の休止駆動期間では負極性である。また、各休止駆動期間における入力画像信号の階調値は一定であるとする。これは、休止駆動によって液晶パネル10に表示される画像には、静止画が多いことを考慮したためである。なお、本実施形態は静止画に限定されず、休止駆動に適した画像であればよい。その場合、入力画像信号の各休止駆動期間における階調値は一定とは限らない。
また、図5および図6の時間軸と平行に引かれた上下2本の一点鎖線は、オーバーシュート駆動とアンダーシュート駆動の境界を示す線(境界線)であり、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しく、かつ、その階調値の絶対値が上側の境界線よりも大きな印加電圧に相当する値のとき、または、その階調値の絶対値が下側の境界線よりも大きな印加電圧に相当する値のときにアンダーシュート駆動が行われ、その他のときにはオーバーシュート駆動が行われる。本実施形態では、この一点鎖線は、LUT70における前フレームおよび現フレームの階調値が224階調の場合に相当する印加電圧を示している。この場合の階調値である224階調を「境界値」という場合がある。
図5では、第1休止駆動期間の駆動期間に、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。第1駆動フレームでは、比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)とフレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間に与えられた入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値を加算回路50に出力する。この場合、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、LUT70が出力する補正値は正の値である。加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値にLUT70から与えられた補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧よりも補正値分(図5で、「OS1」と表示)だけ大きなオーバーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このオーバーシュート電圧の極性は正極性である。これにより、第1休止駆動期間にオーバーシュート駆動が行われる。
第2駆動フレームでは、第1駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60は、記憶している入力画像信号を加算回路50に与える。加算回路50は、与えられた入力画像信号に補正値を加算することなくデータ信号線駆動回路25に画像信号として出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧のアナログ信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このような駆動を、本明細書では、「通常駆動」という。この信号電圧の極性も正極性である。これにより、第1休止駆動期間に表示したい画像が液晶パネル10に表示される。
このように、第1駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、それに続く第2駆動フレームでは、通常駆動を行うことによって、正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の各駆動期間でも、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、第1駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは、通常駆動を行う。ただし、第1の実施形態の場合と異なり、第1および第2駆動フレームでは、オーバーシュート電圧および信号電圧の極性は負極性である。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間には、第1駆動フレームで正極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、第2駆動フレームで正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間にも、第1駆動フレームで負極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、第2駆動フレームで負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
また図6では、第1休止駆動期間の駆動期間に、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。第3駆動フレームでは、比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)とフレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間に与えられた入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値を加算回路50に出力する。この場合、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値が等しく、かつ現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも大きいので、LUT70が出力する補正値は負の値である。加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧よりも補正値分(図6で、「OS2」と表示)だけ低い小さいアンダーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアンダーシュート電圧の極性は正極性である。これにより、第1休止駆動期間にアンダーシュート駆動が行われる。
第4駆動フレームでは、第3駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60は、記憶している入力画像信号を加算回路50に与える。加算回路50は、与えられた入力画像信号から補正値を減算することなくデータ信号線駆動回路25に画像信号として出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧のアナログ信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。この信号電圧の極性も正極性である。これにより、第1休止駆動期間に表示したい画像が液晶パネル10に表示される。
このように、第3駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、それに続く第4駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって、正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の各駆動期間でも、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値が等しく、かつ現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも大きいので、第3駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは、通常駆動を行う。ただし、第1休止駆動期間の場合と異なり、第3および第4駆動フレームでは、アンダーシュート電圧および信号電圧の極性は負極性である。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間には、第3駆動フレームで正極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、第4駆動フレームで正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間には、第3駆動フレームで負極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、第4駆動フレームで負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
図7は、液晶表示装置100において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合を含む休止駆動を説明するための図である。まず、第1休止駆動期間について説明する。第1駆動フレームでは、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、LUT70から与えられた補正値を加算して正極性のオーバーシュート電圧を生成し、オーバーシュート駆動を行う。第2駆動フレームでは、現フレームの階調値を補正することなく、正極性のアナログ信号電圧を生成し、通常駆動を行う。
第2休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも大きいが、第1休止駆動期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)と異なる。このため、第1駆動フレームでは、負極性のオーバーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは負極性の通常駆動を行う。
第3休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも大きく、かつ現フレームの階調値の絶対値は第2休止駆動期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)の絶対値と同じである。このため、第1駆動フレームでは正極性のアンダーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは正極性の通常駆動を行う。さらに第4休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも小さいので、第1駆動フレームでは負極性のオーバーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは負極性の通常駆動を行う。
<1.4 効果>
図8は、液晶表示装置100において休止駆動を行ったときの輝度の変化を模式的に示す図である。図35の説明において説明したように、入力画像信号が64階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する。逆に、入力画像信号が240階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に上昇し、その後ゆっくりと低下する。しかし、本実施形態で説明したように、入力画像信号の階調値に応じてオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動のいずれかを行う。これにより、64階調および128階調において輝度が急激に低下したり、240階調において輝度が急激に上昇したりすることがなくなり、いずれの階調値においても、表示される画像の輝度の変化が抑制される。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、液晶パネル10に表示される画像の品位が向上する。
なお、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行った後に、通常駆動を行うので、駆動期間の最後にデータ信号線SLに書き込まれる信号電圧は、入力画像信号に対応した電圧値になる。これにより、液晶表示装置100は、入力画像信号に応じた画像を常に表示することができる。また、画素形成部15のスイッチング素子として、オフリーク電流が非常に小さなIGZO−TFT6を使用している。このため、信号電圧の書き込みを行った直後に低下した輝度は、その後の休止期間において本来の輝度まで回復する。
<1.5 第1の変形例>
上記実施形態では、駆動期間ごとに、オーバーシュート駆動と通常駆動、または、アンダーシュート駆動と通常駆動をそれぞれ1回ずつ連続して行なう。しかし、3フレーム以上の駆動フレームを設けることにより駆動期間を長くし、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を複数回行い、その後通常駆動を1回だけ行ってもよい。
本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成は、図1に示す構成と同じであるので、そのブロック図および説明を省略する。図9は、本変形例の休止駆動を説明するための図である。図9に示すように、第1の休止駆動期間の駆動期間に、オーバーシュート駆動を連続して2回行い、次に通常駆動を1回行う。
このように、各休止駆動期間の駆動期間に、オーバーシュート駆動を連続して2回行うことによって、応答速度の遅い液晶であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。また、図10に示すように、アンダーシュート駆動を連続して2回行い、次に通常駆動を1回行ってもよい。この場合の効果は、図9に示す場合と同じであるので、その説明を省略する。
本変形例では、オーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動の回数をそれぞれ2回としたが、液晶の応答速度がより遅い場合には、3回またはそれ以上としてもよい。
また、図9に示すオーバーシュート駆動では、連続する2回のオーバーシュート駆動時に書き込むオーバーシュート電圧の電圧値は同じであるとした。しかし、これらの電圧値は、異なっていてもよく、図11に示すように、電圧値が段階的に小さくなるようなオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行ってもよい。また、図12に示すように、電圧値が段階的に大きくなるようなアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行ってもよい。
なお、図9〜図12に示すいずれの場合にも、休止期間に入力画像信号に対応した画像を表示する必要があるので、駆動期間の最後の駆動フレームでは、入力画像信号に対応した電圧値の信号電圧を書き込む通常駆動を行うことが必要である。
<1.6 第2の変形例>
上記実施形態では、画素形成部15のTFTは、IGZO−TFT16であるとした。しかし、チャネル層が非晶質シリコン(Si)または多結晶シリコンからなるTFTであってもよい。以下では、チャネル層が非晶質シリコンまたは多結晶シリコンからなるTFTをそれぞれ「a−TFT」および「p−TFT」という。a−TFTまたはp−TFTは、IGZO−TFTに比べてオフリーク電流が非常に大きい。このため、画素形成部15に書き込まれた信号電圧は短時間のうちに低下する。
そこで、本実施形態の第2の変形例として、画素形成部15のスイッチング素子としてa−TFTまたはp−TFTを使用した液晶表示装置を説明する。この液晶表示装置の構成は、InGaZnOxの代わりにa−TFTまたはp−TFTを使用していることを除いて、図1に示す液晶表示装置100の構成と同じであるので、その説明およびブロック図を省略する。
図13は、本変形例の液晶表示装置に含まれる画素形成部15のスイッチング素子としてa−TFTを使用したとき、液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。図13に示すように、正極性の信号電圧(例えば+7V)を書き込み、a−TFTをオフにして書き込んだ電圧を所定時間保持する。次に、負極性の信号電圧(例えば−7V)を書き込み、a−TFTをオフにして書き込んだ電圧を所定期間保持することを繰り返す。このようにして+7Vまたは−7Vの信号電圧を書き込んでも、a−TFTのオフリーク電流が大きいので、信号電圧の電圧値は休止期間の間にそれぞれ+5Vまたは−5Vまで低下する。
しかし、図14に示すように、a−TFTを使用した液晶表示装置では、信号電圧が小さいときには輝度も低いが、信号電圧が高くなるにつれて輝度も急激に高くなる。そして、信号電圧が約5〜7V付近では輝度が略一定になる。これらの結果から、a−TFTを使用した液晶表示装置は、IGZO−TFTを使用した液晶表示装置のように多階調の画像を表示することには適してはいないが、白黒画像のように2種類の輝度によって表示できる画像であれば表示することができる。さらに、液晶パネルの表面にRGBカラーフィルタを貼ることにより、黒色を含む8種類の色によって表される画像を表示することができる。
図15は、本変形例の画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの輝度の変化を模式的に示す図である。図35に示すIGZO−TFTを使用した場合と異なり、各休止駆動期間の初めに信号電圧を書き込んだとき、輝度が高くなる。しかし、その後a−TFTのオフリーク電流のために書き込まれた信号電圧が低下するので、輝度も低下する。信号電圧が5V程度まで低下したときに、次の書込みが行われるように休止期間を調整しておけば、次の休止駆動期間の信号電圧の書き込み時に、再び輝度が高くなる。この場合、信号電圧の変化を5〜7Vに抑えることによって、各休止駆動期間における輝度を略一定と見なせる範囲に入るようにすることができる。これにより、白黒画像のように2種類の輝度によって表示可能な画像を、安価な製造コストの液晶表示装置によって表示することができる。なお、a−TFTまたは、P−TFTは、チャネル層が非晶質シリコンゲルマニウム(SiGe)、または、多結晶シリコンゲルマニウムなどの半導体からなるTFTも含む。
<2.第2の実施形態>
<2.1 液晶表示装置の構成>
図16は、本発明の第2の実施形態に係る休止駆動を行うことが可能な液晶表示装置200の構成を示すブロック図である。図16に示す液晶表示装置200は、図1に示す液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。これらの構成要素のうち、補正回路40の構成が図1に示す補正回路40と異なる。そこで、図15において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。図16に示すように、液晶表示装置200では、図1に示すLUT70の代わりに後述するLUT270が用いられている。
図17は、液晶表示装置200に使用するLUT270の構成の一例を示す図である。図17に示すように、LUT270には、前フレームの階調値と現フレームの階調値とが等しい組合せのみに対応づけて、入力画像信号の時間的変化を強調するための補正値が記憶されている。例えば、前フレームの階調値が32階調に対応する補正値が記憶されているのは、現フレームの階調値が32階調の場合だけであり、他の階調値に対応する補正値は記憶されていない。また、前フレームおよび現フレームの階調値が小さいときの補正値は正の値であるが、それらが大きいときの補正値は負の値になる場合がある。より詳しく説明すれば、前フレームおよび現フレームの階調値が224階調および255階調のときだけ負の値であり、その他のときには正の値である。
このため、比較回路80は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいと判定した場合のみその結果をLUT270に与える。LUT270は、比較回路80から与えられた階調値に対応する補正値を加算回路50に与える。加算回路50は、補正値が正の値の場合には現フレームの階調値に補正値を加算し、補正値が負の値の場合には現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号をそれぞれ生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
一方、比較回路80によって前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しくないとされた場合には、比較回路80はその結果をLUT270に与えない。このため、加算回路50は、現フレームの階調値を補正することなく、現フレームの階調値を画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。
なお、本実施形態において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいとは、両者が完全に等しい場合だけでなく、実質的に等しい場合も含まれる。本明細書において実質的に等しい階調値には、LUT270に記載された各階調値に対して+8から−8までの階調値も含まれる。例えば、一方の階調値が32階調である場合、24階調から40階調までの他方の階調値は、一方の32階調と実質的に等しいとする。例えば前フレームの階調値が28階調であり、現フレームの階調値が36階調の場合、両者は実質的に等しいとし、加算回路50は、LUT270の前フレームおよび現フレームの階調値が32の場合の補正値である5階調を現フレームの階調値に加算する。
<2.2 休止駆動時の動作>
図18は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。また、図19は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。なお、図18に示す休止駆動は、図5で説明した休止駆動と同じであるので、その説明を省略する。
図19に示すように、いずれの休止駆動期間においても、現フレームの階調値と前フレームの階調値が異なるので、加算回路50には、LUT270から補正値を与えられない。このため、加算回路50は、フレームメモリ60から入力画像信号が与えられると、補正値を用いて補正することなく出力する。その結果、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行われない。
第2駆動フレームでも、フレームメモリ60から入力画像信号を与えられると、補正することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値の信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このように、同じ大きさの電圧が第1および第2駆動フレームにおいて出力されるので、通常駆動を2回行った場合と同じである。このようにして、通常駆動を2回行うことにより、信号電圧をデータ信号線SLに書き込むと、その後次の休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、補正値を加算しない正極性の信号電圧を書き込む通常駆動を連続して2回行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、補正値を加算しない負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を連続して2回行い、その後休止期間とする。
<2.3 効果>
フリッカは同じ画像を連続して表示する場合に認識されやすい。そこで、本実施形態によれば、階調値が実質的に同じ画像を連続して表示する場合のみオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行い、次に通常駆動を行う。これにより、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
また、階調値が実質的に異なる画像を連続して表示する場合には、輝度の低下によるフリッカが発生していても視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。そこで、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行わずに、通常駆動を2回行う。これにより、LUT270のメモリ容量を小さくすることができるので、液晶表示装置200のコストを低減することができる。
なお、液晶の応答速度が速い場合には、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合に、第1および第2駆動フレームを連続して設けたり、第3および第4駆動フレームを連続して設けたりするのではなく、第1駆動フレームだけを設け、その後第2駆動フレームを設けることなく休止期間にしたり、第3駆動フレームだけを設け、その後第4駆動フレームを設けることなく休止期間にしたりしてもよい。この場合、第2または第4駆動フレームを設けないので、液晶表示装置の消費電力を低減することができる。
<2.4 第1の変形例>
図20は、本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置300のブロック図である。図20に示す液晶表示装置300は、図1に示す液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。これらの構成要素のうち、補正回路40の構成が図1に示す補正回路40と異なる。そこで、図20において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
図20に示すように、補正回路40は、フレームメモリ60、加算回路50、およびLUT370を含むが、比較回路を含まない。本変形例において比較回路が設けられていないのは、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値とが等しいか否かを判定する必要がないからである。図21は、本変形例において使用するLUT370の構成の一例を示す図である。LUT370は、図2に示すLUT70と異なり、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。このLUT370においても、現フレームの階調値が160階調以下の補正値は正の値であり、192階調の補正値はゼロであり、224階調以上の補正値は負の値である。
したがって、第2の実施形態の場合と異なり、加算回路50は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値に対応する補正値が正の値である場合には、現フレームの階調値に補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。これにより、オーバーシュート駆動を行う。また、現フレームの階調値に対応する補正値が負の値である場合には、補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。これにより、アンダーシュート駆動を行う。なお、補正値がゼロの場合は入力画像信号を補正することなくデータ信号線駆動回路25に出力する。
<2.4.1 休止駆動の動作>
図22は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図23は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。また、図24は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図22に示す場合には、第1休止駆動期間の駆動期間に、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。第1駆動フレームでは、入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)は境界値よりも小さいので、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値に対応する補正値をLUT370から与えられると、現フレームの階調値に補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値よりも補正値分OS1だけ大きなオーバーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性は正極性である。これによって、オーバーシュート駆動が行われる。
第2駆動フレームでは、第1駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60から加算回路50に入力画像信号が与えられると、加算回路50は、補正値を加算することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性も正極性である。これにより、通常駆動が行われる。
このように、第1駆動フレームでは、LUT370から与えられる補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の駆動期間でも、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、第1駆動フレームでは、現フレームの階調値にLUT370から与えられた補正値を加算した補正画像信号に基づいてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは通常駆動を行う。ただし、いずれの駆動フレームでも、負極性の電圧を書き込む。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、正極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、正極性の信号電圧を書き込み、通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、負極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、負極性の信号電圧を書き込み、通常駆動を行い、その後休止期間とする。
また、図23に示す場合には、第1休止駆動期間の駆動期間に、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)は境界値よりも大きいので、第3駆動フレームでは、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値に対応する補正値をLUT370から与えられると、現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値よりも補正値分OS2だけ小さいアンダーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性は正極性である。これによって、アンダーシュート駆動が行われる。
第4駆動フレームでは、第3駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60から加算回路50に入力画像信号が与えられると、加算回路50は、補正値を減算することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性も正極性である。これにより、通常駆動が行われる。
このように、第3駆動フレームでは、LUT370から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の駆動期間でも、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。第3駆動フレームでは、現フレームの階調値の絶対値が境界値以上である。そこで、現フレームの階調値から、LUT370から与えられた補正値を減算した補正画像信号に基づいてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは通常駆動を行う。ただし、いずれの駆動フレームでも、負極性の電圧を書き込む。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、正極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、負極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
図24に示す場合は、LUT370を使用するので、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動のいずれを行うかは現フレームの階調値によって決まる。そこで、各休止駆動期間において、現フレームの階調値が境界値よりも小さい場合にはオーバーシュート駆動を行い、現フレームの階調値が境界値よりも大きい場合にはアンダーシュート駆動を行う。具体的には、第1および第2休止駆動期間にオーバーシュート駆動を行い、第3および第4休止駆動期間にアンダーシュート駆動を行う。
このように、本変形例では、前フレームの階調値と、現フレームの階調値とが等しいか否かにかかわらず、現フレームの階調値のみに基づくオーバ−シュート駆動またはアンダーシュート駆動を行う。このため、本変形例では、第2の実施形態の場合と異なり、第2および第4駆動フレームにおいて必ず通常駆動を行う必要があり、第2および第4駆動フレーム駆動を省略することはできない。
<2.4.2 効果>
本変形例によれば、第2の実施形態と同じ効果を奏するだけでなく、さらに、前クレームの階調値と現フレームの階調値とが同じであるか否かを判定する必要がないので、比較回路を設ける必要がない。これにより、液晶表示装置300の製造コストをさらに低減することができる。
<2.5 第2の変形例>
第1の変形例では、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、LUT370に記憶されている補正量は同じであるとした。
しかし、液晶層に印加する電圧の方向によって液晶の誘電率異方性が異なり、液晶分子が配向しやすい方向と、配向しにくい方向とがある場合、液晶の応答速度が印加電圧の方向によって異なる。この場合、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じであっても、印加電圧の方向によってオーバーシュート電圧およびアンダーシュート電圧を変える必要がある。そこで、液晶表示装置の補正回路に、印加電圧の方向がある方向の場合の補正値を記憶させておくLUT(「第1テーブル」ともいう)と、それとは逆方向の場合の補正値を記憶させておくLUT(「第2テーブル」ともいう)とを設ける。なお、本変形例では、各LUTの構成例を省略する。
図25は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図26は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。図25に示すように、前フレームと現フレームの階調値が等しい場合であっても、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、オーバーシュート電圧が異なり、負極性から正極性に変化する場合のオーバ−シュート電圧の電圧値の絶対値が、逆の場合の電圧値の絶対値よりも大きくなっている。このようなオーバーシュート駆動は、前フレームおよび現フレームの階調値が同じであっても、負極性から正極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値を、正極性から負極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値よりも大きくすることによって行われる。
また、図26に示すように、前フレームと現フレームの階調値が等しい場合であっても、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、アンダーシュート電圧が異なり、負極性から正極性に変化する場合のアンダーシュート電圧の電圧値の絶対値が、逆の場合の電圧値の絶対値よりも大きくなっている。このようなアンダーシュート駆動は、負極性から正極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値を、正極性から負極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値よりも大きくすることによって行われる。
このように、液晶層に印加する電圧の極性が正極性から負極性に変わるときと、負極性から正極性に変わるときとで液晶の応答速度が異なる場合であっても、印加電圧の方向によって補正値も変えることにより、印加電圧の方向に依存する輝度の変化を同程度に小さくすることができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
なお、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合だけでなく、異なる場合にも本変形例を同様に適用することができる。また、正極性から負極性に変化する場合の電圧の補正値分OS1、OS2が、逆方向に変化する場合の電圧の補正値分OS1、OS2よりも大きい場合にも、本変形例の場合と同様にして駆動することができる。
<3.第3の実施形態>
液晶表示装置の周囲の温度変化により液晶の誘電率異方性が変化すると、液晶表示装置の応答速度は顕著に変化する。このため、室温で設定した補正値を記憶したLUTを用いて、低温時にオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行なえば、低温時の液晶の応答速度が低下しているために、応答速度が十分速くならず、所望の階調表示が行われない。また、高温時にオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行えば、高温時の液晶の応答速度が速くなっているために、過度に強調された表示になる。そこで、広い温度範囲で使用される液晶表示装置は、温度に応じた最適な補正値を加算して最適なオーバーシュート駆動を行うことができるように、温度範囲ごとに異なる複数のLUTを有することが好ましい。
<3.1 液晶表示装置の構成>
図27は、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置400のブロック図である。図27に示す液晶表示装置400は、図1に示す液晶表示装置100と異なり、タイミング制御回路30内に温度センサ35が設けられ、また補正回路40は温度範囲ごとに設けられた3つのLUT470a〜470cを有している。なお、図27において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
図28は、液晶表示装置400で使用される室温用のLUT470aを示す図であり、図29は高温用のLUT470bを示す図であり、図30は低温用のLUT470cを示す図である。図28〜図30からわかるように、補正値の絶対値は、低温用のLUT470c、室温用のLUT470a、高温用のLUT470bの順に小さくなるように設定されている。その結果、これらのLUT470a〜470cを使用することにより、液晶の応答速度が低下する低温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動は強調され、次に室温でのオーバーシュートおよびアンダーシュートが強調される。また、高温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動は抑制される。
このように、液晶表示装置400が使用される温度によって使用するLUT470を変えるので、温度情報を得るための温度センサ35も必要になる。本実施形態では、温度センサ35は、タイミング制御回路30内に設けられ、温度センサ35からの温度情報に基づいてLUT470a〜470cのいずれかが選択される。LUT470a〜470cのいずれかが選択されれば、上記各実施形態の場合と同様にして、選択したLUTに記憶された補正値を用いて、オーバーシュート駆動を行なったり、アンダーシュート駆動を行なったりする。
なお、本実施形態では、室温用のLUT470aは10℃以上で40℃未満、高温用のLUT470bは40度以上、低温用のLUT470cは10℃未満のときにそれぞれ使用されるが、使用可能な温度範囲は適宜調整することができる。また、LUT470の個数は3個に限定されず、液晶表示装置400を使用する温度範囲に応じて、2個であってもよく、あるいは4個以上であってもよい。
図27では、温度センサ35は、タイミング制御回路30内に設けられているとしたが、タイミング制御回路30とは別に液晶パネル10上に設けられていてもよい。この場合、タイミング制御回路30は温度センサ35からの温度情報をシリアル通信によって取得し、温度情報に応じたLUT470a〜470cのいずれかを選択する。なお、温度センサ35を絶縁基板上に設け、温度情報をシリアル通信によってタイミング制御回路30に与える場合には、温度センサ35を絶縁基板上の任意の位置に設けることができる。また、温度センサ35をタイミング制御回路30内に設ける場合には、タイミング制御回路30の回路構成が複雑にならない。これにより、液晶表示装置400の製造コストを低減することができる。
<3.2 効果>
本実施形態によれば、温度センサ35によって測定された液晶表示装置400の周囲の温度に応じて、LUT470a〜470cのいずれかを選択してオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行うので、温度によらず最適なオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行うことができる。これにより、広い温度範囲で使用される液晶表示装置400においても、信号電圧の書き込み時の輝度の低下が抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
<3.3 第1の変形例>
図31は、本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置500の構成を示すブロック図である。図31に示すように、液晶表示装置500は、図27に示す液晶表示装置400と同様の構成である。しかし、補正回路40内に不揮発性メモリ575を設け、温度センサ35からの温度情報を不揮発性メモリ575に与えるようにし、さらにLUT570の個数を1個にしたことが異なる。なお、図31において、図1および図27に示す構成要素と同じ構成要素には、図1および図27に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
液晶表示装置500では、不揮発性メモリ575に、室温用、高温用および低温用の各補正値のデータを予め記憶させておく。温度センサ35からの温度情報に基づき、不揮発性メモリ575は温度情報に対応する補正値のデータをLUT570に転送する。これにより、図27に示す液晶表示装置400と同様にして、前フレームの階調値と現フレームの階調値とに対応づけられた補正値がLUT570から加算回路50に与えられる。以下の動作は、液晶表示装置400の動作と同様であるので、その説明を省略する。
この場合、液晶表示装置400を使用する温度範囲が広いために複数のLUTを準備しなければならないような場合でも、LUT570だけを設け、複数のLUTに記憶させるべき補正値を不揮発性メモリ575に記憶させておく。そして、不揮発性メモリ575は温度センサ35から与えられた温度情報に対応する温度範囲の補正値のデータをLUT570に転送する。これにより、LUTの個数を減らすことができ、液晶表示装置500の製造コストを低減することができる。
<3.4 第2の変形例>
図32は、図27に示す液晶表示装置400において、比較回路をなくした液晶表示装置600を示す図であり、図33は、図31に示す液晶表示装置500において、比較回路をなくした液晶表示装置700を示す図である。図32に示す液晶表示装置600は、温度範囲ごとに対応する補正値を記憶する3個のLUT670a〜670cを有し、温度センサ35から与えられる温度情報に基づいて3個のLUT670a〜670cからいずれか1個を選択する。液晶表示装置600は比較回路を有していないので、LUT670a〜670cは、温度範囲ごとに、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。したがって、加算回路50は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームのすべての階調値に、温度に応じてLUT670a〜670cから選択されたいずれかに記憶されている補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
図33に示す液晶表示装置700は、温度範囲ごとに対応する3種類の補正値のデータを不揮発性メモリ575に記憶し、温度センサ35から与えられる温度情報に基づいて、対応する補正値のデータをLUT570に転送する。液晶表示装置700も比較回路を有していないので、不揮発性メモリ575は、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。したがって、液晶表示装置700の加算回路50も、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームのすべての階調値に不揮発性メモリ575に記憶されている温度範囲ごとに記憶されたデータから、温度に応じたデータの補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。なお、いずれの場合も、通常駆動は、図27に示す液晶表示装置400、および、図31に示す液晶表示装置500の通常駆動とそれぞれ同じであるので、その説明を省略する。
本変形例によれば、比較回路がさらに不要になるので、液晶表示装置600、700の製造コストをさらに低減することができる。
<4.その他>
上記各実施形態およびそれらの変形例に係る各液晶表示装置は、ドット反転駆動によって駆動されるとした。しかし、ドット反転駆動だけでなく、ライン反転駆動、カラム反転駆動、フレーム反転駆動などの交流駆動の場合にも同様に適用可能であり、その場合の効果もドット反転駆動を場合の効果と同じ効果を奏する。
本発明は、交流駆動による休止駆動が可能な液晶表示装置に適用することができる。
10…液晶パネル
15…画素形成部
16…薄膜トランジスタ(TFT)
17…画素電極
18…共通電極
20…走査信号線駆動回路
25…データ信号線駆動回路
30…タイミング制御回路
35…温度センサ
40…補正回路
50…加算回路
60…フレームメモリ
70、270、370、470、570、670、770…ルックアップテーブル(LUT)
80…比較回路
100、200、300、400、500、600、700…液晶表示装置
575…不揮発性メモリ
Ccl…液晶容量
GL…走査信号線
SL…データ信号線
本発明は、液晶表示装置およびその駆動方法に関し、特に、交流駆動による休止駆動が可能な液晶表示装置およびその駆動方法に関する。
近年、小型で軽量の電子機器の開発が活発に行われている。このような電子機器に搭載される液晶表示装置には低消費電力であることが求められる。液晶表示装置の消費電力を低減する駆動方法の1つとして、走査線を走査して信号電圧の書込みを行う駆動期間と、全ての走査線を非走査状態にして書込みを休止する休止期間とが設けられた「休止駆動」と呼ばれる駆動方法がある。休止駆動では、休止期間に、走査線駆動回路および/またはデータ信号線駆動回路に制御用の信号などを与えないようにして、走査線駆動回路および/またはデータ信号線駆動回路の動作を休止させることにより、液晶表示装置の低消費電力化を図る。このような休止駆動は「低周波駆動」または「間欠駆動」とも呼ばれる。
液晶表示装置に用いられる液晶パネルでは、液晶層を挟持する画素電極と共通電極との間に電圧を印加すれば、液晶の誘電率異方性のために液晶分子の配向方向(長軸方向)が変化する。また、液晶は光学異方性を有するので、液晶分子の配向方向が変化すると、液晶層を透過する光の偏光方向が変化する。このため、液晶層に印加する電圧によって、液晶層を透過する光の光量を制御し、液晶パネルに画像を表示することができる。
しかし、印加電圧の変化に応じて液晶が応答するためには、所定の時間を要する。例えば、現在広く使用されているTN(Twisted Nematic )方式、IPS(In Plane Switching)方式、VA(Vertically Aligned)方式などの液晶表示装置では、液晶が応答するまでに、50ms程度の時間がかかる場合がある。また、液晶の応答速度は温度によって変化し、温度が低いほど応答速度は遅くなる。
さらに、画像信号の周波数が60Hzの場合、1フレーム期間は16.7msである。このため、液晶の応答期間が1フレーム期間よりも長くなれば、画面に残像が発生し、画像の表示品位が低下する。
そこで、上記問題を解決するために、例えば日本の特開2004−4629号公報には、液晶層に対して本来印加すべき電圧よりも大きな電圧を印加する「オーバーシュート駆動」を行う液晶表示装置が開示されている。オーバーシュート駆動では、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せにそれぞれ対応づけられた補正値を記憶するルックアップテーブル(「LUT」または「テーブル」という)が使用される。すなわち、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値をLUTから読み出し、当該補正値を用いて入力画像信号を補正した補正画像信号を出力する。この補正画像信号を用いてオーバーシュート駆動を行うことにより、液晶表示装置の表示速度を速くすることができる。
液晶表示装置では、液晶層に同じ極性の電圧を印加し続ければ、焼き付きが生じて液晶層が劣化する。そこで、液晶層の焼き付きを防ぐために、信号電圧を書き込むごとにその極性を反転させる交流駆動が行われる。図34は、従来の交流駆動による休止駆動を行う方法を説明するための図である。図34に示すように、第1休止駆動期間では、最初に正極性の信号電圧を書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続ける。第2休止駆動期間では、最初に負極性の信号電圧を書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続ける。以下同様にして、休止駆動期間ごとに、極性を反転させた信号電圧を交互に書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続けることを繰り返す。
図35は、従来の交流駆動による休止駆動において、64、128、200、および240階調値に対応する入力画像信号を画素形成部にそれぞれ書き込んだ時の輝度の変化を模式的に示す図である。図35に示すように、0階調(黒表示)から255階調(白表示)までの256階調表示が可能な液晶表示装置において、入力画像信号が64階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する。128階調の場合も同様に、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が低下し、その後ゆっくりと回復する。しかし、64階調の場合に比べて、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後の輝度の低下が少ない。また、200階調の場合には、画素形成部に信号電圧を書き込んでも輝度は変化しない。一方、240階調の場合には、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が上昇し、その後ゆっくりと低下する。
図36は、従来の交流駆動による休止駆動において、64階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図であり、図37は、従来の交流駆動による休止駆動において、240階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。まず、図36を参照して、64階調の入力画像信号を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する理由を説明する。図36において、画素形成部Aと画素形成部Bとは隣接する画素形成部であり、反転駆動によって極性が異なるとする。まず、ある駆動期間に画素形成部Aは正極性であり、画素形成部Bは負極性である。次の駆動期間では極性が反転し、画素形成部Aは負極性になり、画素形成部Bは正極性になる。画素形成部Aに印加する信号電圧の極性を正極性から負極性に反転させれば、画素形成部Aの輝度は急激に低下し、一定値になる。これに対して、画素形成部Bに印加する信号電圧の極性を負極性から正極性に反転させれば、画素形成部Bの輝度はゆっくり上昇し、一定値に近づく。この場合、視聴者は、画素形成部Aと画素形成部Bの輝度変化を合わせたものを画面全体の輝度として認識するので、極性の反転時に画面全体の輝度が急激に低下し、その後ゆっくり回復すると視認する。
なお、上記説明は入力画像信号が64階調の場合について説明したが、128階調の場合も同様である。ただし、128階調の場合は、64階調の場合に比べて、極性を反転させたときの輝度の低下が小さい。
次に、240階調の入力画像信号を書き込む場合について説明する。図37を参照して、240階調の入力画像信号を書き込んだ直後に輝度が急激に上昇し、その後ゆっくりと低下する理由を説明する。図36に示す場合と同様に、画素形成部Aと画素形成部Bとは隣接する画素形成部であり、反転駆動によって極性が異なるとする。まず、ある駆動期間に画素形成部Aは正極性であり、画素形成部Bは負極性である。次の駆動期間では極性が反転し、画素形成部Aは負極性になり、画素形成部Bは正極性になる。極性を反転させる際に、画素形成部Aに負極性の信号電圧を印加すれば、画素形成部Aの輝度はゆっくりと低下し、一定値に近づく。これに対して、画素形成部Bに負極性の信号電圧を印加すれば、画素形成部Bの輝度は急激に上昇し、一定値になる。この場合、視聴者は、画素形成部Aと画素形成部Bの輝度変化を合わせたものを画面全体の輝度として認識するので、極性の反転時に画面全体の輝度が急激に上昇し、その後ゆっくり低下すると視認する。
このような画面の輝度の変化は、信号電圧の極性を反転させたときに液晶分子の配向方向がその変化に追従できないために生じる現象である。この輝度の変化は、動画を表示する際には画像の変化が速いので、視聴者は輝度の変化をほとんど認識できない。しかし、休止駆動時には、視聴者はこの輝度の変化をフリッカとして認識するようになるので、画像の表示品位が低下するという問題が生じる。このフリッカは、入力画像信号の階調値が変化しない場合であっても発生する。
なお、極性を反転させる際に低下した電圧が時間の経過と共に信号電圧に近づくことによって、休止期間の輝度が徐々に高くなるのは、画素形成部のスイッチング素子として、チャネル層が酸化物半導体からなる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」という)を用いているからである。なお、チャネル層が酸化物半導体からなるTFTの詳細は後述する。
日本の特開2004−4629号公報は、通常駆動時におけるオーバーシュート駆動について開示している。しかし、日本の特開2004−4629号公報は、交流駆動による休止駆動を行ったときに生じるフリッカを防止することが可能なオーバーシュート駆動については開示も示唆もしていない。
そこで、本発明は、交流駆動によって休止駆動を行うときの表示品位の低下を抑制することができる液晶表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面は、絶縁基板上に形成され、交流駆動によって休止駆動を行う液晶表示装置であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線とそれぞれ交差する複数のデータ信号線と、
前記複数の走査信号線および前記複数のデータ信号線の各交差点に形成された画素形成部と、
入力画像信号に対して信号の時間的変化を強調する強調階調処理を行った補正画像信号、および、前記入力画像信号に対して強調階調処理を行わない画像信号のいずれかを出力する補正回路と、
前記複数の走査信号線を順に選択して走査する走査信号線駆動回路と、
前記画像信号に基づく信号電圧と、前記補正画像信号に基づき、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、および、信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧の少なくともいずれかとを前記複数のデータ信号線に書き込むデータ信号線駆動回路と、
前記走査信号線駆動回路および前記データ信号線駆動回路を制御するタイミング制御回路とを備え、
前記休止駆動は、複数の駆動フレームからなる駆動期間と、前記駆動期間に続いて、次の駆動期間の開始までの期間に設けられる休止期間とを交互に繰り返し、
前記補正回路は、前記データ信号線駆動回路に、前記駆動期間の少なくとも最初の駆動フレームにおいて前記補正画像信号を出力すると共に、最後の駆動フレームにおいて前記画像信号を出力し、
前記データ信号線駆動回路は、第1または第2補正電圧を前記データ信号線に少なくとも1回以上書き込み、さらに書き込まれた第1または第2補正電圧と同じ極性の信号電圧を前記データ信号線に1回書き込むことを特徴とする。
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記補正回路は、
前記入力画像信号をフレームごとに記憶するフレームメモリと、
前記入力画像信号の少なくとも現フレームの階調値に対応づけられた補正値を記憶するテーブルと、
前記入力画像信号に基づいて前記補正画像信号および前記画像信号のいずれかを前記データ信号線駆動回路に出力する加算回路とを含み、
前記テーブルは、前記入力画像信号の現フレームの階調値が前記加算回路に与えられるごとに、現フレームの階調値に対応づけられた補正値を前記加算回路に与え、
前記加算回路は、前記補正画像信号を出力するときには、前記テーブルから与えられた補正値によって前記入力画像信号の階調値を補正して出力し、前記画像信号を出力するときには、前記入力画像信号の階調値を補正することなく出力することを特徴とする。
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面において、
前記補正回路は、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前記フレームメモリに記憶されていた前フレームの階調値とを求めて前記テーブルに出力する比較回路をさらに含み、
前記テーブルは、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値との組合せにそれぞれ対応づけられた補正値を記憶し、前記比較回路から前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とを与えられれば、前記組合せの中から対応する補正値を前記加算回路に出力することを特徴とする。
本発明の第4の局面は、本発明の第3の局面において、
前記加算回路は、最初の駆動フレームを含む連続した2フレーム以上の駆動フレームのそれぞれにおいて前記補正画像信号を出力し、最後の駆動フレームにおいて前記画像信号を出力することを特徴とする。
本発明の第5の局面は、本発明の第3の局面において、
前記比較回路は、さらに前記駆動期間ごとに極性が反転する前記入力画像信号の反転方向を求め、
前記テーブルは、前記極性の方向に応じて異なる補正値を記憶する第1テーブルと第2テーブルとを含み、前記比較回路から前記入力画像信号の現フレームの階調値および前フレームの階調値と、前記極性の方向とを与えられるごとに、前記第1テーブルおよび前記第2テーブルのうち前記極性の方向に対応したテーブルから、現フレームと前フレームの階調値に対応づけられた補正値を前記加算回路に与えることを特徴とする。
本発明の第6の局面は、本発明の第1の局面において、
前記補正回路は、
前記入力画像信号をフレームごとに記憶するフレームメモリと、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前記フレームメモリに記憶されていた前フレームの階調値とを求める比較回路と、
前記入力画像信号の現フレームの階調値および前フレームの階調値が実質的に等しいときの補正値を記憶するテーブルと、
前記入力画像信号に基づいて前記補正画像信号および前記画像信号のいずれかを前記データ信号線駆動回路に出力する加算回路とを含み、
前記比較回路は、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しいとき、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値を前記テーブルに与え、
前記テーブルは、前記比較回路から与えられた現フレームの階調値および前フレームの階調値に対応づけられた補正値を前記加算回路に出力し、
前記加算回路は、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しいときには、前記テーブルから与えられた補正値によって前記入力画像信号の階調値を補正した前記補正画像信号を出力し、さらに前記入力画像信号の階調値を補正することなく前記画像信号として出力し、
前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しくないときには、前記入力画像信号の階調値を補正することなく前記補正画像信号として少なくとも1回出力することを特徴とする。
本発明の第7の局面は、本発明の第6の局面において、
前記加算回路は、前記入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しくないときには、さらに前記入力画像信号の階調値を補正することなく前記補正画像信号として出力することを特徴とする。
本発明の第8の局面は、本発明の第2または第6の局面において、
前記液晶表示装置の周囲の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記テーブルは、所定の温度範囲ごとに異なる補正値を記憶する複数の副テーブルを含み、前記温度センサから与えられる温度情報に基づき、前記複数の副テーブルからいずれか1つの副テーブルを選択することを特徴とする。
本発明の第9の局面は、本発明の第2または第6の局面において、
前記液晶表示装置の周囲の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記補正回路は、所定の温度範囲ごとに、異なる補正値からなる複数のデータを記憶する不揮発性メモリをさらに含み、
前記不揮発性メモリは、前記温度センサから与えられる温度情報に基づき、前記複数のデータからいずれか1つのデータを選択して前記テーブルに与えることを特徴とする。
本発明の第10の局面は、本発明の第8または第9の局面において、
前記温度センサは前記絶縁基板上に設けられ、
前記温度センサは温度情報をシリアル通信によって前記タイミング制御回路に与えることを特徴とする。
本発明の第11の局面は、本発明の第8または第9の局面において、
前記温度センサは前記タイミング制御回路内に設けられていることを特徴とする。
本発明の第12の局面は、本発明の第1の局面において、
前記画素形成部は、前記走査信号線に制御端子が接続され、前記データ信号線に第1導通端子が接続され、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧または前記信号電圧が印加されるべき画素電極に第2導通端子が接続され、酸化物半導体によりチャネル層が形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
本発明の第13の局面は、本発明の第12の局面において、
前記酸化物半導体は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)および酸素(О)を主成分とするInGaZnOxであることを特徴とする。
本発明の第14の局面は、本発明の第1の局面において、
前記画素形成部は、前記走査信号線に制御端子が接続され、前記データ信号線に第1導通端子が接続され、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧または前記信号電圧が印加されるべき画素電極に第2導通端子が接続され、非晶質半導体または多結晶半導体のいずれかによりチャネル層が形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
本発明の第15の局面は、本発明の第1〜第14のいずれかの局面に係る液晶表示装置であって、ドット反転駆動、ライン反転駆動、カラム反転駆動、および、フレーム反転駆動のいずれかによって交流駆動される。
本発明の第16の局面は、液晶表示装置の駆動方法であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線とそれぞれ交差する複数のデータ信号線と、
前記複数の走査信号線および前記複数のデータ信号線の各交差点に形成された画素形成部と、
入力画像信号に対して信号の時間的変化を強調する強調階調処理を行った補正画像信号、および、前記入力画像信号に対して強調階調処理を行わない画像信号のいずれかを出力する補正回路と、
前記複数の走査信号線を順に選択して走査する走査信号線駆動回路と、
前記複数のデータ信号線に前記補正画像信号に基づく補正電圧、または、前記画像信号に基づく信号電圧を書き込むデータ信号線駆動回路とを備え、交流駆動によって休止駆動を行う液晶表示装置の駆動方法であって、
前記入力画像信号に対して信号の時間的変化を強調する強調階調処理を行った前記補正画像信号を駆動期間の少なくとも最初の駆動フレームにおいて前記データ信号線駆動回路に出力するステップと、
前記入力画像信号に対して強調階調処理を行わない前記画像信号を前記駆動期間の最後の駆動フレームにおいて前記データ信号線駆動回路に出力するステップと、
強調補正処理を行った前記補正画像信号に基づき、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、および、信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧の少なくともいずれかを前記複数のデータ信号線に少なくとも1回以上書き込むステップと、
第1または第2補正電圧を書き込んだ直後に、第1または第2補正電圧と同じ極性の信号電圧を前記データ信号線に1回書き込むステップとを備えることを特徴とする。
本発明の第1の局面によれば、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧または信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧をデータ信号線に少なくとも1回以上書き込み、さらに書き込まれた第1または第2補正電圧と同じ極性の信号電圧をデータ信号線に1回書き込む。これにより、入力画像信号の階調値によらず、すべての階調値において表示される画像の輝度の変化を抑制することができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、画像の品位が向上する。
本発明の第2の局面によれば、前クレームの階調値と現フレームの階調値とが同じであるか否かを判定する必要がないので、比較回路が不要になる。また、比較回路が設けられていないので、テーブルは現フレームの階調値だけに対応づけた補正値を記憶すればよく、そのメモリ容量を小さくすることができる。また、製造コストを低減した液晶表示装置を用いても、入力画像信号の階調値によらず、すべての階調値において表示される画像の輝度の変化を抑制することができる。
本発明の第3の局面によれば、補正回路内に設けられた加算回路は、強調階調処理を行うときには、テーブルから与えられた補正値によって入力画像信号の階調値を補正した補正画像信号を出力し、その後入力画像信号の階調値を補正することなく出力する。これにより、信号電圧の書込みを行ったときに生じる輝度の変化が、入力画像信号のすべての階調値で大幅に抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第4の局面によれば、加算回路は、最初の駆動フレームを含む連続した2フレーム以上の駆動フレームのそれぞれにおいて補正画像信号を出力する。これにより、液晶表示装置は、各休止駆動期間の駆動期間に強調階調処理を連続して少なくとも2回行うことになる。その結果、応答速度の遅い液晶であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。
本発明の第5の局面によれば、テーブルは、印加電圧の方向がある方向の場合の補正値を記憶させておく第1テーブルと、それとは逆方向の場合の補正値を記憶させておく第2テーブルを含む。これにより、液晶層に印加する電圧の方向によって液晶の応答速度が異なる場合であっても、第1および第2テーブルのうち適切なテーブルを選択することにより、印加電圧の方向による書き込み時の輝度の低下を同程度に小さくすることができる。これによって、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第6の局面によれば、フリッカは同じ画像を連続して表示する場合に認識されやすいので、加算回路は、入力画像信号の現フレームの階調値と前フレームの階調値とが実質的に等しい場合にのみ、テーブルから与えられた補正値によって入力画像信号の階調値を補正した補正画像信号を出力する。これにより、階調値が実質的に同じ画像を連続して表示する場合のみ強調階調処理を行い、次に通常駆動を行う。その結果、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。また、テーブルのメモリ容量を小さくすることができるので、液晶表示装置のコストを低減することができる。さらに、液晶の応答速度が速く、かつ、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合には、第1駆動フレームだけを設け、第2駆動フレームを設けることなく休止期間にしてもよい。第2駆動フレームを設けないことにより、液晶表示装置の消費電力をより低減することができる。
本発明の第7の局面によれば、前フレームの階調値と現フレームの階調値が実質的に等しくない場合には、入力画像信号の階調値を補正することなく補正画像信号を連続して出力する。これにより、液晶の応答速度が遅い場合であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。
本発明の第8の局面によれば、温度センサと、温度によって異なる補正値を記憶する複数の副テーブルを有し、液晶表示装置の周囲の温度に応じて、複数の副テーブルのいずれかを選択して強調階調処理を行う。これにより、広い温度範囲で使用される液晶表示装置においても、信号電圧の書き込み時の輝度の低下が抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第9の局面によれば、所定の温度範囲ごとに異なる補正値からなる複数のデータを記憶する不揮発性メモリを含み、不揮発性メモリは温度情報に基づいて複数のデータからいずれか1つのデータを選択してテーブルに与える。これにより、液晶表示装置を使用する温度範囲が広い場合に、不揮発性メモリは、複数のテーブルに記憶させるべき補正値を記憶しておき、温度センサからの温度情報に対応する温度範囲の補正値のデータをテーブルに転送する。これにより、テーブルの個数を減らすことができるので、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
本発明の第10の局面によれば、温度センサを絶縁基板上に設け、温度情報をシリアル通信によって温度センサからタイミング制御回路に与えることにより、温度センサを絶縁基板上の任意の位置に設けることができる。
本発明の第11の局面によれば、温度センサをタイミング制御回路内に設けることにより、タイミング制御回路の回路構成が複雑にならない。これにより、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
本発明の第12の局面によれば、画素形成部内の薄膜トランジスタとしてチャネル層が酸化物半導体により形成された薄膜トランジスタが用いられる。この薄膜トランジスタのオフリーク電流は非常に小さいので、画素形成部に書き込まれた電圧が長時間にわたり保持される。これにより、休止駆動時にも多階調表示をすることができる。
本発明の第13の局面によれば、チャネル層を形成する酸化物半導体としてInGaZnOxを用いることによって、本発明の第12の局面による効果と同様の効果を確実に達成することができる。
本発明の第14の局面によれば、画素形成部内の薄膜トランジスタとしてチャネル層が非晶質半導体または多結晶半導体からなる薄膜トランジスタが用いられる。これにより、白黒画像のように2種類の輝度によって表示可能な画像を、安価な製造コストの液晶表示装置によって表示することができる。
本発明の第15の局面によれば、本発明の第1〜第14の局面に係る液晶表示装置を、ドット反転駆動、ライン反転駆動、カラム反転駆動、フレーム反転駆動のいずれかによって駆動することにより、信号電圧の書込みを行ったときに生じる輝度の低下を大幅に抑制することができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、画像の表示品位が向上する。
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図1に示す液晶表示装置に含まれる画素形成部の等価回路を示す図である。
図1に示す液晶表示装置の画素形成部のスイッチング素子としてIGZO−TFTを使用したとき、液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。
図1に示す液晶表示装置において、オーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、アンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、休止駆動を行ったときの輝度の変化を模式的に示す図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、オーバーシュート駆動を2回含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、アンダーシュート駆動を2回含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、電圧値が段階的に小さくなるオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、電圧値が段階的に高くなるアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの信号電圧と輝度との関係を示す図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの輝度の変化を模式的に示す図である。
本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図16に示す液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図16に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第1の変形例に係る液晶表示装置のブロック図である。
図20に示す第1の変形例に係る液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第2の変形例において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第2の変形例において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置のブロック図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される室温用のLUTを示す図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される高温用のLUTを示す図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される低温用のLUTを示す図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態に係る液晶表示装置において、比較回路をなくした液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置において、比較回路をなくした液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
従来の交流駆動による休止駆動を行う方法を説明するための図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、64、128、200、および240階調値に対応する入力画像信号を画素形成部にそれぞれ書き込んだ時の輝度の変化を模式的に示す図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、64階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、240階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。
<1.第1の実施形態>
<1.1 液晶表示装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置100の構成を示すブロック図である。図1に示す液晶表示装置100は、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。
液晶パネル10には、複数の画素形成部(図示しない)が行方向および列方向にマトリクス状に配置されている。また、液晶パネル10には、複数の走査信号線(図示しない)と、複数のデータ信号線(図示しない)とが互いに交差するように形成されている。各走査信号線は同じ行に配置された画素形成部に接続され、各データ信号線は同じ列に配置された画素形成部に接続されている。
タイミング制御回路30に、入力画像信号の同期信号として、水平同期信号および垂直同期信号が入力される。タイミング制御回路30は、これらの同期信号に基づき、ゲートクロック信号やゲートスタートパルス信号などの制御信号を生成して走査信号線駆動回路20に出力し、ソースクロック信号、ソーススタートパルス信号などの制御信号を生成してデータ信号線駆動回路25に出力する。
また、タイミング制御回路30は、休止駆動制御回路31を含んでいる。休止駆動制御回路31は、生成された制御信号に同期して、アンプイネーブル信号をデータ信号線駆動回路25に出力する。詳細は後述するが、液晶表示装置100は、液晶パネル10を駆動するときに、オーバーシュート電圧(「第1補正電圧」ともいう)またはアンダーシュート電圧(「第2補正電圧」ともいう)を書き込んだり、信号電圧を書き込んだりする駆動期間と、これらの電圧の書込みを休止する休止期間を設ける。休止駆動制御回路31は、駆動期間には、アンプイネーブル信号をアクティブにすることにより、データ信号線駆動回路25内に設けられたアナログアンプ(図示しない)を動作させる。これにより、オーバーシュート電圧、アンダーシュート電圧、または信号電圧のいずれかをデータ信号線に書き込むことができる。休止期間には、アンプイネーブル信号を非アクティブにしてアナログアンプを休止させる。このようにして、休止駆動制御回路31は、駆動期間と休止期間をそれぞれ任意に設定することができる。
走査信号線駆動回路20は、タイミング制御回路30で生成された制御信号に従って、液晶パネル10の走査信号線を駆動し、各走査信号線を順に選択する。データ信号線駆動回路25は、タイミング制御回路30で生成された制御信号に従い、補正回路40から出力された補正画像信号をアナログ電圧である信号電圧に変換し、当該信号電圧を各データ信号線に書き込む。また、後述する方法によって生成されたオーバーシュート電圧またはアンダーシュート電圧をデータ信号線に書き込む。さらに、データ信号線に書き込まれたこれらの電圧は、アクティブな走査信号を印加することによって選択された走査信号線に接続された画素形成部に書き込まれる。なお、データ信号線駆動回路25が信号電圧、オーバーシュート電圧、またはアンダーシュート電圧のいずれかを各データ信号線に書き込むのは、休止駆動制御回路31からアクティブなアンプイネーブル信号を受け取っている期間だけである。
本明細書では、データ信号線駆動回路25は、ドット反転駆動によって画像を液晶パネル10に表示するとして説明するので、補正画像信号に対応する信号電圧の極性を次のようにして制御する。すなわち、データ信号線ごとに同時に出力される信号電圧の極性を反転させる。これにより、正極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部は負極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部によって囲まれ、また負極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部は正極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部によって囲まれる。
補正回路40は、入力画像信号に対して信号の変化を強調する補正を行った補正画像信号をデータ信号線駆動回路25に出力する。補正回路40は、加算回路50、フレームメモリ60、比較回路80、およびLUT70を含んでいる。フレームメモリ60は、外部から与えられた入力画像信号を1フレーム分だけ記憶する。比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)と、フレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、後述するように、前フレームの各階調値と現フレームの各階調値に対応づけられた複数の補正値を記憶している。LUT70は、比較回路80から前フレームの階調値と現フレームの階調値を与えられれば、それらに対応づけられた補正値を加算回路50に与える。なお、本明細書においてLUTを「テーブル」ともいう。また、加算回路50によって入力画像信号に補正値を加算または減算した信号を補正画像信号といい、補正値による補正をしなかった信号を画像信号という場合がある。
加算回路50はフレームメモリ60に接続され、フレームメモリ60に記憶されている入力画像信号を与えられる。オーバーシュート電圧またはアンダーシュート電圧を書き込むときには、フレームメモリ60に記憶された直後の入力画像信号が直ちにフレームメモリ60から加算回路50に与えられる。オーバーシュート電圧を書き込むときには、加算回路50は、現フレームの階調値にLUT70から与えられる補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。アンダーシュート電圧を書き込むときには、加算回路50は、現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
次に、フレームメモリ60に記憶されている入力画像信号が再び加算回路50に与えられる。この入力画像信号は、補正画像信号の生成に使用した入力画像信号と同じ信号である。加算回路50は、現フレームの階調値を補正することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。
図2は、液晶表示装置100に使用するLUT70の構成の一例を示す図である。図2に示すように、LUT70には、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけて、入力画像信号の時間的変化を強調するための補正値が記憶されている。例えば、前フレームの階調値が32階調であり、現フレームの階調値が160階調である場合には、対応する補正値はLUT70から6階調になる。LUT70がこの補正値を加算回路50に与えると、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)である160階調に6階調を加算することによって、166階調の補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。データ信号線駆動回路25は、補正画像信号に対応するオーバーシュート電圧を求め、データ信号線SLに書き込む。このようにして、オーバーシュート駆動が行われる。
また、LUT70には、負の補正値も記憶されている。具体的には、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも224階調の場合と、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも255階調の場合である。例えば、前フレームおよび現フレームの階調値が224階調である場合には、対応する補正値はLUT70から、−2階調になる。この補正値がLUT70から加算回路50に与えられることによって、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)である224階調から2階調を減算した222階調の補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。データ信号線駆動回路25は、補正画像信号に対応するアンダーシュート電圧を求め、データ信号線SLに書き込む。このようにして、アンダーシュート駆動が行われる。また、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも192階調である場合には、対応する補正値は0階調であるので、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行われない。
このように、LUT70に記憶された補正値が正の値である場合にはオーバーシュート駆動が行われ、負の値である場合にはアンダーシュート駆動が行われる。図35に示したように、前フレームおよび現フレームの階調値が共に小さい場合には、休止駆動期間ごとに画面の輝度が低下し、その後徐々に回復する。前フレームおよび現フレームの階調値が共に大きい場合には、休止駆動期間ごとに画面の輝度が上昇し、その後徐々に低下する。そこで、これらの輝度の変化を打ち消すように、LUT70に、前フレームおよび現フレームの階調値が小さい場合の補正値としてプラスの大きな値を記憶させ、前フレームおよび現フレームの階調値が大きい場合の補正値として負の値またはプラスの小さい値を記憶させる。
なお、本明細書では、液晶表示装置100は、階調数が256階調の表示装置であるとしたので、LUT70もそれに対応して0階調から255階調までの階調値を記憶しているとした。しかし、本発明の適用が可能な液晶表示装置の階調数は256階調に限定されず、256階調よりも大きくても小さくてもよい。その場合、LUTに記憶すべき補正値も液晶表示装置の階調数に応じて増減される。
また、図2に示すLUT70は、メモリ容量を節約するために、前フレームおよび現フレームの階調値を32階調ごとにしか記憶していない。このため、LUT70に記憶されていない前フレームおよび現フレームの階調値に対応する補正値をLUT70を用いて求める方法を説明する。最も簡単な方法は、LUT70に記憶されている階調値だけでなく、その前後16階調分の階調値も当該記憶されている階調値であるとして処理する。例えば、階調値が(192−16+1=)177階調から(192+16=)208階調のいずれの階調値も192階調として処理する。また、階調値が(224−16+1=)209階調から(224+16=)240階調のいずれの階調値も224階調として処理する。具体的には、前フレームの階調値が200階調、現フレームの階調値が220階調である場合の補正値は、前フレームの階調値が192階調、現フレームの階調値が224階調に対応する補正値である5階調になる。また、より正確な補正値を求めたい場合には、線形補間法を用いて求めてもよい。なお、線形補間法はよく知られた補間方法であるので、その詳細な説明を省略する。
<1.2 画素形成部の構成>
図3は、液晶表示装置100に含まれる画素形成部15の等価回路を示す図である。図3に示すように、各画素形成部15は、対応する交差点を通過する走査信号線GLに制御端子としてのゲート端子が接続されると共に、当該交差点を通過するデータ信号線SLに第1導通端子としてのソース端子が接続されたTFT16と、当該TFT16の第2導通端子としてのドレイン端子に接続された画素電極17と、各画素形成部15に共通的に設けられた共通電極18と、画素電極17と共通電極18との間に挟持され、複数個の画素形成部15に共通的に設けられた液晶層(図示しない)とにより構成される。画素電極17と共通電極18により形成される液晶容量Cclは、画素容量を構成する。また、共通電極18に印加する電圧は、共通電圧生成回路(図示しない)によって生成される。なお、画素容量に確実に電圧を保持すべく液晶容量Cclに並列に補助容量が設けられている場合も多いが、本明細書では、画素容量は液晶容量Cclのみによって構成されるとして説明する。
図3に示すTFT16は、信号電圧を液晶容量Cclに書き込むためにオンされたり、信号電圧を液晶容量Cclに保持し続けるためにオフされたりするスイッチング素子として機能する。このようなTFT16としては、例えば酸化物半導体をチャネル層に用いたTFT(以下「酸化物TFT」という。)が用いられる。具体的には、TFT16のチャネル層は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を主成分とするInGaZnOxにより形成されている。以下では、InGaZnOxをチャネル層に用いたTFTのことを「IGZO−TFT」という。
図4は、液晶表示装置100の画素形成部15のスイッチング素子としてIGZO−TFT16を使用したとき、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。図4に示すように、正極性の信号電圧(例えば+7V)を書き込み、書き込んだ電圧を所定時間保持する。次に、負極性の信号電圧(例えば−7V)を書き込み、書き込んだ電圧を所定期間保持する。これらの動作を繰り返しても、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧はほとんど変化しない。このことから、IGZO−TFT16のオフリーク電流は非常に小さく、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧は長期間保持されることがわかる。このように、画素形成部15のスイッチング素子としてIGZO−TFT16を使用することにより、休止駆動時にも多階調表示をすることができる。
なお、InGaZnOx以外の酸化物半導体として、例えばインジウム、ガリウム、亜鉛、銅(Cu)、シリコン(Si)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)、および鉛(Pb)のうち少なくとも1つを含む酸化物半導体をチャネル層に用いた場合でも同様の効果が得られる。
<1.3 休止駆動時の動作>
図5は液晶表示装置100において、オーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図6は液晶表示装置100において、アンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。液晶表示装置100は、駆動期間と休止期間を交互に繰り返すことによって、液晶パネル10を駆動する。駆動期間には、休止駆動制御回路31からデータ信号線駆動回路25にアクティブなアンプイネーブル信号が出力されており、オーバーシュート電圧や信号電圧が各データ信号線SLに書き込まれる。休止期間には、休止駆動制御回路31からデータ信号線駆動回路25に非アクティブなアンプイネーブル信号出力され、データ信号線駆動回路25および/または走査信号線駆動回路20が動作を停止する。
なお、本明細書では、図5および図6に示す駆動期間のうち、オーバーシュート電圧を書き込む期間を第1駆動期間といい、信号電圧を書き込む期間を第2駆動期間という。また、各駆動期間のフレームをそれぞれ第1駆動フレームおよび第2駆動フレームといい、休止期間のフレームを休止フレームという。また、図6に示す駆動期間のうち、アンダーシュート電圧を書き込む期間を第3駆動期間といい、信号電圧を書き込む期間を第4駆動期間という。また、各駆動期間のフレームをそれぞれ第3駆動フレームおよび第4駆動フレームといい、休止期間のフレームを休止フレームという。また、オーバーシュート電圧、アンダーシュート電圧、および信号電圧を区別しない場合には、それらを単に電圧という場合がある。
図5および図6に示すように、駆動期間と休止期間とは交互に設けられ、駆動期間とそれに続く休止期間とを合わせて休止駆動期間という。データ信号線SLに書き込まれる信号電圧の極性を休止駆動期間ごとに反転させる。このため、電圧の極性は、奇数番目の休止駆動期間では正極性であり、偶数番目の休止駆動期間では負極性である。また、各休止駆動期間における入力画像信号の階調値は一定であるとする。これは、休止駆動によって液晶パネル10に表示される画像には、静止画が多いことを考慮したためである。なお、本実施形態は静止画に限定されず、休止駆動に適した画像であればよい。その場合、入力画像信号の各休止駆動期間における階調値は一定とは限らない。
また、図5および図6の時間軸と平行に引かれた上下2本の一点鎖線は、オーバーシュート駆動とアンダーシュート駆動の境界を示す線(境界線)であり、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しく、かつ、その階調値の絶対値が上側の境界線よりも大きな印加電圧に相当する値のとき、または、その階調値の絶対値が下側の境界線よりも大きな印加電圧に相当する値のときにアンダーシュート駆動が行われ、その他のときにはオーバーシュート駆動が行われる。本実施形態では、この一点鎖線は、LUT70における前フレームおよび現フレームの階調値が224階調の場合に相当する印加電圧を示している。この場合の階調値である224階調を「境界値」という場合がある。
図5では、第1休止駆動期間の駆動期間に、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。第1駆動フレームでは、比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)とフレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間に与えられた入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値を加算回路50に出力する。この場合、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、LUT70が出力する補正値は正の値である。加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値にLUT70から与えられた補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧よりも補正値分(図5で、「OS1」と表示)だけ大きなオーバーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このオーバーシュート電圧の極性は正極性である。これにより、第1休止駆動期間にオーバーシュート駆動が行われる。
第2駆動フレームでは、第1駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60は、記憶している入力画像信号を加算回路50に与える。加算回路50は、与えられた入力画像信号に補正値を加算することなくデータ信号線駆動回路25に画像信号として出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧のアナログ信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このような駆動を、本明細書では、「通常駆動」という。この信号電圧の極性も正極性である。これにより、第1休止駆動期間に表示したい画像が液晶パネル10に表示される。
このように、第1駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、それに続く第2駆動フレームでは、通常駆動を行うことによって、正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の各駆動期間でも、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、第1駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは、通常駆動を行う。ただし、第1休止駆動期間の場合と異なり、第1および第2駆動フレームでは、オーバーシュート電圧および信号電圧の極性は負極性である。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間には、第1駆動フレームで正極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、第2駆動フレームで正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間にも、第1駆動フレームで負極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、第2駆動フレームで負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
また図6では、第1休止駆動期間の駆動期間に、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。第3駆動フレームでは、比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)とフレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間に与えられた入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値を加算回路50に出力する。この場合、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値が等しく、かつ現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも大きいので、LUT70が出力する補正値は負の値である。加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧よりも補正値分(図6で、「OS2」と表示)だけ低い小さいアンダーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアンダーシュート電圧の極性は正極性である。これにより、第1休止駆動期間にアンダーシュート駆動が行われる。
第4駆動フレームでは、第3駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60は、記憶している入力画像信号を加算回路50に与える。加算回路50は、与えられた入力画像信号から補正値を減算することなくデータ信号線駆動回路25に画像信号として出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧のアナログ信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。この信号電圧の極性も正極性である。これにより、第1休止駆動期間に表示したい画像が液晶パネル10に表示される。
このように、第3駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、それに続く第4駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって、正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の各駆動期間でも、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値が等しく、かつ現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも大きいので、第3駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは、通常駆動を行う。ただし、第1休止駆動期間の場合と異なり、第3および第4駆動フレームでは、アンダーシュート電圧および信号電圧の極性は負極性である。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間には、第3駆動フレームで正極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、第4駆動フレームで正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間には、第3駆動フレームで負極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、第4駆動フレームで負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
図7は、液晶表示装置100において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合を含む休止駆動を説明するための図である。まず、第1休止駆動期間について説明する。第1駆動フレームでは、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、LUT70から与えられた補正値を加算して正極性のオーバーシュート電圧を生成し、オーバーシュート駆動を行う。第2駆動フレームでは、現フレームの階調値を補正することなく、正極性のアナログ信号電圧を生成し、通常駆動を行う。
第2休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも大きいが、第1休止駆動期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)と異なる。このため、第1駆動フレームでは、負極性のオーバーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは負極性の通常駆動を行う。
第3休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも大きく、かつ現フレームの階調値の絶対値は第2休止駆動期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)の絶対値と同じである。このため、第1駆動フレームでは正極性のアンダーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは正極性の通常駆動を行う。さらに第4休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも小さいので、第1駆動フレームでは負極性のオーバーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは負極性の通常駆動を行う。
<1.4 効果>
図8は、液晶表示装置100において休止駆動を行ったときの輝度の変化を模式的に示す図である。図35の説明において説明したように、入力画像信号が64階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する。逆に、入力画像信号が240階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に上昇し、その後ゆっくりと低下する。しかし、本実施形態で説明したように、入力画像信号の階調値に応じてオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動のいずれかを行う。これにより、64階調および128階調において輝度が急激に低下したり、240階調において輝度が急激に上昇したりすることがなくなり、いずれの階調値においても、表示される画像の輝度の変化が抑制される。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、液晶パネル10に表示される画像の品位が向上する。
なお、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行った後に、通常駆動を行うので、駆動期間の最後にデータ信号線SLに書き込まれる信号電圧は、入力画像信号に対応した電圧値になる。これにより、液晶表示装置100は、入力画像信号に応じた画像を常に表示することができる。また、画素形成部15のスイッチング素子として、オフリーク電流が非常に小さなIGZO−TFT16を使用している。このため、信号電圧の書き込みを行った直後に低下した輝度は、その後の休止期間において本来の輝度まで回復する。
<1.5 第1の変形例>
上記実施形態では、駆動期間ごとに、オーバーシュート駆動と通常駆動、または、アンダーシュート駆動と通常駆動をそれぞれ1回ずつ連続して行なう。しかし、3フレーム以上の駆動フレームを設けることにより駆動期間を長くし、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を複数回行い、その後通常駆動を1回だけ行ってもよい。
本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成は、図1に示す構成と同じであるので、そのブロック図および説明を省略する。図9は、本変形例の休止駆動を説明するための図である。図9に示すように、第1の休止駆動期間の駆動期間に、オーバーシュート駆動を連続して2回行い、次に通常駆動を1回行う。
このように、各休止駆動期間の駆動期間に、オーバーシュート駆動を連続して2回行うことによって、応答速度の遅い液晶であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。また、図10に示すように、アンダーシュート駆動を連続して2回行い、次に通常駆動を1回行ってもよい。この場合の効果は、図9に示す場合と同じであるので、その説明を省略する。
本変形例では、オーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動の回数をそれぞれ2回としたが、液晶の応答速度がより遅い場合には、3回またはそれ以上としてもよい。
また、図9に示すオーバーシュート駆動では、連続する2回のオーバーシュート駆動時に書き込むオーバーシュート電圧の電圧値は同じであるとした。しかし、これらの電圧値は、異なっていてもよく、図11に示すように、電圧値が段階的に小さくなるようなオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行ってもよい。また、図12に示すように、電圧値が段階的に大きくなるようなアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行ってもよい。
なお、図9〜図12に示すいずれの場合にも、休止期間に入力画像信号に対応した画像を表示する必要があるので、駆動期間の最後の駆動フレームでは、入力画像信号に対応した電圧値の信号電圧を書き込む通常駆動を行うことが必要である。
<1.6 第2の変形例>
上記実施形態では、画素形成部15のTFTは、IGZO−TFT16であるとした。しかし、チャネル層が非晶質シリコン(Si)または多結晶シリコンからなるTFTであってもよい。以下では、チャネル層が非晶質シリコンまたは多結晶シリコンからなるTFTをそれぞれ「a−TFT」および「p−TFT」という。a−TFTまたはp−TFTは、IGZO−TFTに比べてオフリーク電流が非常に大きい。このため、画素形成部15に書き込まれた信号電圧は短時間のうちに低下する。
そこで、本実施形態の第2の変形例として、画素形成部15のスイッチング素子としてa−TFTまたはp−TFTを使用した液晶表示装置を説明する。この液晶表示装置の構成は、InGaZnOxの代わりにa−TFTまたはp−TFTを使用していることを除いて、図1に示す液晶表示装置100の構成と同じであるので、その説明およびブロック図を省略する。
図13は、本変形例の液晶表示装置に含まれる画素形成部15のスイッチング素子としてa−TFTを使用したとき、液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。図13に示すように、正極性の信号電圧(例えば+7V)を書き込み、a−TFTをオフにして書き込んだ電圧を所定時間保持する。次に、負極性の信号電圧(例えば−7V)を書き込み、a−TFTをオフにして書き込んだ電圧を所定期間保持することを繰り返す。このようにして+7Vまたは−7Vの信号電圧を書き込んでも、a−TFTのオフリーク電流が大きいので、信号電圧の電圧値は休止期間の間にそれぞれ+5Vまたは−5Vまで低下する。
しかし、図14に示すように、a−TFTを使用した液晶表示装置では、信号電圧が小さいときには輝度も低いが、信号電圧が高くなるにつれて輝度も急激に高くなる。そして、信号電圧が約5〜7V付近では輝度が略一定になる。これらの結果から、a−TFTを使用した液晶表示装置は、IGZO−TFTを使用した液晶表示装置のように多階調の画像を表示することには適してはいないが、白黒画像のように2種類の輝度によって表示できる画像であれば表示することができる。さらに、液晶パネルの表面にRGBカラーフィルタを貼ることにより、黒色を含む8種類の色によって表される画像を表示することができる。
図15は、本変形例の画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの輝度の変化を模式的に示す図である。図35に示すIGZO−TFTを使用した場合と異なり、各休止駆動期間の初めに信号電圧を書き込んだとき、輝度が高くなる。しかし、その後a−TFTのオフリーク電流のために書き込まれた信号電圧が低下するので、輝度も低下する。信号電圧が5V程度まで低下したときに、次の書込みが行われるように休止期間を調整しておけば、次の休止駆動期間の信号電圧の書き込み時に、再び輝度が高くなる。この場合、信号電圧の変化を5〜7Vに抑えることによって、各休止駆動期間における輝度を略一定と見なせる範囲に入るようにすることができる。これにより、白黒画像のように2種類の輝度によって表示可能な画像を、安価な製造コストの液晶表示装置によって表示することができる。なお、a−TFTまたは、P−TFTは、チャネル層が非晶質シリコンゲルマニウム(SiGe)、または、多結晶シリコンゲルマニウムなどの半導体からなるTFTも含む。
<2.第2の実施形態>
<2.1 液晶表示装置の構成>
図16は、本発明の第2の実施形態に係る休止駆動を行うことが可能な液晶表示装置200の構成を示すブロック図である。図16に示す液晶表示装置200は、図1に示す液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。これらの構成要素のうち、補正回路40の構成が図1に示す補正回路40と異なる。そこで、図16において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。図16に示すように、液晶表示装置200では、図1に示すLUT70の代わりに後述するLUT270が用いられている。
図17は、液晶表示装置200に使用するLUT270の構成の一例を示す図である。図17に示すように、LUT270には、前フレームの階調値と現フレームの階調値とが等しい組合せのみに対応づけて、入力画像信号の時間的変化を強調するための補正値が記憶されている。例えば、前フレームの階調値が32階調に対応する補正値が記憶されているのは、現フレームの階調値が32階調の場合だけであり、他の階調値に対応する補正値は記憶されていない。また、前フレームおよび現フレームの階調値が小さいときの補正値は正の値であるが、それらが大きいときの補正値は負の値になる場合がある。より詳しく説明すれば、前フレームおよび現フレームの階調値が224階調および255階調のときだけ負の値であり、その他のときには正の値である。
このため、比較回路80は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいと判定した場合のみその結果をLUT270に与える。LUT270は、比較回路80から与えられた階調値に対応する補正値を加算回路50に与える。加算回路50は、補正値が正の値の場合には現フレームの階調値に補正値を加算し、補正値が負の値の場合には現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号をそれぞれ生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
一方、比較回路80によって前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しくないとされた場合には、比較回路80はその結果をLUT270に与えない。このため、加算回路50は、現フレームの階調値を補正することなく、現フレームの階調値を画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。
なお、本実施形態において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいとは、両者が完全に等しい場合だけでなく、実質的に等しい場合も含まれる。本明細書において実質的に等しい階調値には、LUT270に記載された各階調値に対して+8から−8までの階調値も含まれる。例えば、一方の階調値が32階調である場合、24階調から40階調までの他方の階調値は、一方の32階調と実質的に等しいとする。例えば前フレームの階調値が28階調であり、現フレームの階調値が36階調の場合、両者は実質的に等しいとし、加算回路50は、LUT270の前フレームおよび現フレームの階調値が32の場合の補正値である5階調を現フレームの階調値に加算する。
<2.2 休止駆動時の動作>
図18は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。また、図19は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。なお、図18に示す休止駆動は、図5で説明した休止駆動と同じであるので、その説明を省略する。
図19に示すように、いずれの休止駆動期間においても、現フレームの階調値と前フレームの階調値が異なるので、加算回路50には、LUT270から補正値を与えられない。このため、加算回路50は、フレームメモリ60から入力画像信号が与えられると、補正値を用いて補正することなく出力する。その結果、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行われない。
第2駆動フレームでも、フレームメモリ60から入力画像信号を与えられると、補正することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値の信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このように、同じ大きさの電圧が第1および第2駆動フレームにおいて出力されるので、通常駆動を2回行った場合と同じである。このようにして、通常駆動を2回行うことにより、信号電圧をデータ信号線SLに書き込むと、その後次の休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、補正値を加算しない正極性の信号電圧を書き込む通常駆動を連続して2回行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、補正値を加算しない負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を連続して2回行い、その後休止期間とする。
<2.3 効果>
フリッカは同じ画像を連続して表示する場合に認識されやすい。そこで、本実施形態によれば、階調値が実質的に同じ画像を連続して表示する場合のみオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行い、次に通常駆動を行う。これにより、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
また、階調値が実質的に異なる画像を連続して表示する場合には、輝度の低下によるフリッカが発生していても視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。そこで、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行わずに、通常駆動を2回行う。これにより、LUT270のメモリ容量を小さくすることができるので、液晶表示装置200のコストを低減することができる。
なお、液晶の応答速度が速い場合には、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合に、第1および第2駆動フレームを連続して設けたり、第3および第4駆動フレームを連続して設けたりするのではなく、第1駆動フレームだけを設け、その後第2駆動フレームを設けることなく休止期間にしたり、第3駆動フレームだけを設け、その後第4駆動フレームを設けることなく休止期間にしたりしてもよい。この場合、第2または第4駆動フレームを設けないので、液晶表示装置の消費電力を低減することができる。
<2.4 第1の変形例>
図20は、本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置300のブロック図である。図20に示す液晶表示装置300は、図1に示す液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。これらの構成要素のうち、補正回路40の構成が図1に示す補正回路40と異なる。そこで、図20において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
図20に示すように、補正回路40は、フレームメモリ60、加算回路50、およびLUT370を含むが、比較回路を含まない。本変形例において比較回路が設けられていないのは、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値とが等しいか否かを判定する必要がないからである。図21は、本変形例において使用するLUT370の構成の一例を示す図である。LUT370は、図2に示すLUT70と異なり、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。このLUT370においても、現フレームの階調値が160階調以下の補正値は正の値であり、192階調の補正値はゼロであり、224階調以上の補正値は負の値である。
したがって、第2の実施形態の場合と異なり、加算回路50は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値に対応する補正値が正の値である場合には、現フレームの階調値に補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。これにより、オーバーシュート駆動を行う。また、現フレームの階調値に対応する補正値が負の値である場合には、補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。これにより、アンダーシュート駆動を行う。なお、補正値がゼロの場合は入力画像信号を補正することなくデータ信号線駆動回路25に出力する。
<2.4.1 休止駆動の動作>
図22は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図23は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。また、図24は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図22に示す場合には、第1休止駆動期間の駆動期間に、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。第1駆動フレームでは、入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)は境界値よりも小さいので、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値に対応する補正値をLUT370から与えられると、現フレームの階調値に補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値よりも補正値分OS1だけ大きなオーバーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性は正極性である。これによって、オーバーシュート駆動が行われる。
第2駆動フレームでは、第1駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60から加算回路50に入力画像信号が与えられると、加算回路50は、補正値を加算することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性も正極性である。これにより、通常駆動が行われる。
このように、第1駆動フレームでは、LUT370から与えられる補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の駆動期間でも、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、第1駆動フレームでは、現フレームの階調値にLUT370から与えられた補正値を加算した補正画像信号に基づいてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは通常駆動を行う。ただし、いずれの駆動フレームでも、負極性の電圧を書き込む。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、正極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、正極性の信号電圧を書き込み、通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、負極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、負極性の信号電圧を書き込み、通常駆動を行い、その後休止期間とする。
また、図23に示す場合には、第1休止駆動期間の駆動期間に、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)は境界値よりも大きいので、第3駆動フレームでは、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値に対応する補正値をLUT370から与えられると、現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値よりも補正値分OS2だけ小さいアンダーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性は正極性である。これによって、アンダーシュート駆動が行われる。
第4駆動フレームでは、第3駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60から加算回路50に入力画像信号が与えられると、加算回路50は、補正値を減算することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性も正極性である。これにより、通常駆動が行われる。
このように、第3駆動フレームでは、LUT370から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の駆動期間でも、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。第3駆動フレームでは、現フレームの階調値の絶対値が境界値以上である。そこで、現フレームの階調値から、LUT370から与えられた補正値を減算した補正画像信号に基づいてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは通常駆動を行う。ただし、いずれの駆動フレームでも、負極性の電圧を書き込む。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、正極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、負極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
図24に示す場合は、LUT370を使用するので、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動のいずれを行うかは現フレームの階調値によって決まる。そこで、各休止駆動期間において、現フレームの階調値が境界値よりも小さい場合にはオーバーシュート駆動を行い、現フレームの階調値が境界値よりも大きい場合にはアンダーシュート駆動を行う。具体的には、第1および第2休止駆動期間にオーバーシュート駆動を行い、第3および第4休止駆動期間にアンダーシュート駆動を行う。
このように、本変形例では、前フレームの階調値と、現フレームの階調値とが等しいか否かにかかわらず、現フレームの階調値のみに基づくオーバ−シュート駆動またはアンダーシュート駆動を行う。このため、本変形例では、第2の実施形態の場合と異なり、第2および第4駆動フレームにおいて必ず通常駆動を行う必要があり、第2および第4駆動フレームを省略することはできない。
<2.4.2 効果>
本変形例によれば、第2の実施形態と同じ効果を奏するだけでなく、さらに、前クレームの階調値と現フレームの階調値とが同じであるか否かを判定する必要がないので、比較回路を設ける必要がない。これにより、液晶表示装置300の製造コストをさらに低減することができる。
<2.5 第2の変形例>
第1の変形例では、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、LUT370に記憶されている補正量は同じであるとした。
しかし、液晶層に印加する電圧の方向によって液晶の誘電率異方性が異なり、液晶分子が配向しやすい方向と、配向しにくい方向とがある場合、液晶の応答速度が印加電圧の方向によって異なる。この場合、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じであっても、印加電圧の方向によってオーバーシュート電圧およびアンダーシュート電圧を変える必要がある。そこで、液晶表示装置の補正回路に、印加電圧の方向がある方向の場合の補正値を記憶させておくLUT(「第1テーブル」ともいう)と、それとは逆方向の場合の補正値を記憶させておくLUT(「第2テーブル」ともいう)とを設ける。なお、本変形例では、各LUTの構成例を省略する。
図25は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図26は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。図25に示すように、前フレームと現フレームの階調値が等しい場合であっても、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、オーバーシュート電圧が異なり、負極性から正極性に変化する場合のオーバ−シュート電圧の電圧値の絶対値が、逆の場合の電圧値の絶対値よりも大きくなっている。このようなオーバーシュート駆動は、前フレームおよび現フレームの階調値が同じであっても、負極性から正極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値を、正極性から負極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値よりも大きくすることによって行われる。
また、図26に示すように、前フレームと現フレームの階調値が等しい場合であっても、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、アンダーシュート電圧が異なり、負極性から正極性に変化する場合のアンダーシュート電圧の電圧値の絶対値が、逆の場合の電圧値の絶対値よりも大きくなっている。このようなアンダーシュート駆動は、負極性から正極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値を、正極性から負極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値よりも大きくすることによって行われる。
このように、液晶層に印加する電圧の極性が正極性から負極性に変わるときと、負極性から正極性に変わるときとで液晶の応答速度が異なる場合であっても、印加電圧の方向によって補正値も変えることにより、印加電圧の方向に依存する輝度の変化を同程度に小さくすることができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
なお、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合だけでなく、異なる場合にも本変形例を同様に適用することができる。また、正極性から負極性に変化する場合の電圧の補正値分OS1、OS2が、逆方向に変化する場合の電圧の補正値分OS1、OS2よりも大きい場合にも、本変形例の場合と同様にして駆動することができる。
<3.第3の実施形態>
液晶表示装置の周囲の温度変化により液晶の誘電率異方性が変化すると、液晶表示装置の応答速度は顕著に変化する。このため、室温で設定した補正値を記憶したLUTを用いて、低温時にオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行なえば、低温時の液晶の応答速度が低下しているために、応答速度が十分速くならず、所望の階調表示が行われない。また、高温時にオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行えば、高温時の液晶の応答速度が速くなっているために、過度に強調された表示になる。そこで、広い温度範囲で使用される液晶表示装置は、温度に応じた最適な補正値を加算して最適なオーバーシュート駆動を行うことができるように、温度範囲ごとに異なる複数のLUTを有することが好ましい。
<3.1 液晶表示装置の構成>
図27は、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置400のブロック図である。図27に示す液晶表示装置400は、図1に示す液晶表示装置100と異なり、タイミング制御回路30内に温度センサ35が設けられ、また補正回路40は温度範囲ごとに設けられた3つのLUT470a〜470cを有している。なお、図27において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
図28は、液晶表示装置400で使用される室温用のLUT470aを示す図であり、図29は高温用のLUT470bを示す図であり、図30は低温用のLUT470cを示す図である。図28〜図30からわかるように、補正値の絶対値は、低温用のLUT470c、室温用のLUT470a、高温用のLUT470bの順に小さくなるように設定されている。その結果、これらのLUT470a〜470cを使用することにより、液晶の応答速度が低下する低温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動は強調され、次に室温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動が強調される。また、高温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動は抑制される。
このように、液晶表示装置400が使用される温度によって使用するLUT470を変えるので、温度情報を得るための温度センサ35も必要になる。本実施形態では、温度センサ35は、タイミング制御回路30内に設けられ、温度センサ35からの温度情報に基づいてLUT470a〜470cのいずれかが選択される。LUT470a〜470cのいずれかが選択されれば、上記各実施形態の場合と同様にして、選択したLUTに記憶された補正値を用いて、オーバーシュート駆動を行なったり、アンダーシュート駆動を行なったりする。
なお、本実施形態では、室温用のLUT470aは10℃以上で40℃未満、高温用のLUT470bは40度以上、低温用のLUT470cは10℃未満のときにそれぞれ使用されるが、使用可能な温度範囲は適宜調整することができる。また、LUT470の個数は3個に限定されず、液晶表示装置400を使用する温度範囲に応じて、2個であってもよく、あるいは4個以上であってもよい。
図27では、温度センサ35は、タイミング制御回路30内に設けられているとしたが、タイミング制御回路30とは別に液晶パネル10上に設けられていてもよい。この場合、タイミング制御回路30は温度センサ35からの温度情報をシリアル通信によって取得し、温度情報に応じたLUT470a〜470cのいずれかを選択する。なお、温度センサ35を絶縁基板上に設け、温度情報をシリアル通信によってタイミング制御回路30に与える場合には、温度センサ35を絶縁基板上の任意の位置に設けることができる。また、温度センサ35をタイミング制御回路30内に設ける場合には、タイミング制御回路30の回路構成が複雑にならない。これにより、液晶表示装置400の製造コストを低減することができる。
<3.2 効果>
本実施形態によれば、温度センサ35によって測定された液晶表示装置400の周囲の温度に応じて、LUT470a〜470cのいずれかを選択してオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行うので、温度によらず最適なオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行うことができる。これにより、広い温度範囲で使用される液晶表示装置400においても、信号電圧の書き込み時の輝度の低下が抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
<3.3 第1の変形例>
図31は、本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置500の構成を示すブロック図である。図31に示すように、液晶表示装置500は、図27に示す液晶表示装置400と同様の構成である。しかし、補正回路40内に不揮発性メモリ575を設け、温度センサ35からの温度情報を不揮発性メモリ575に与えるようにし、さらにLUT570の個数を1個にしたことが異なる。なお、図31において、図1および図27に示す構成要素と同じ構成要素には、図1および図27に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
液晶表示装置500では、不揮発性メモリ575に、室温用、高温用および低温用の各補正値のデータを予め記憶させておく。温度センサ35からの温度情報に基づき、不揮発性メモリ575は温度情報に対応する補正値のデータをLUT570に転送する。これにより、図27に示す液晶表示装置400と同様にして、前フレームの階調値と現フレームの階調値とに対応づけられた補正値がLUT570から加算回路50に与えられる。以下の動作は、液晶表示装置400の動作と同様であるので、その説明を省略する。
この場合、液晶表示装置400を使用する温度範囲が広いために複数のLUTを準備しなければならないような場合でも、LUT570だけを設け、複数のLUTに記憶させるべき補正値を不揮発性メモリ575に記憶させておく。そして、不揮発性メモリ575は温度センサ35から与えられた温度情報に対応する温度範囲の補正値のデータをLUT570に転送する。これにより、LUTの個数を減らすことができ、液晶表示装置500の製造コストを低減することができる。
<3.4 第2の変形例>
図32は、図27に示す液晶表示装置400において、比較回路をなくした液晶表示装置600を示す図であり、図33は、図31に示す液晶表示装置500において、比較回路をなくした液晶表示装置700を示す図である。図32に示す液晶表示装置600は、温度範囲ごとに対応する補正値を記憶する3個のLUT670a〜670cを有し、温度センサ35から与えられる温度情報に基づいて3個のLUT670a〜670cからいずれか1個を選択する。液晶表示装置600は比較回路を有していないので、LUT670a〜670cは、温度範囲ごとに、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。したがって、加算回路50は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームのすべての階調値に、温度に応じてLUT670a〜670cから選択されたいずれかに記憶されている補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
図33に示す液晶表示装置700は、温度範囲ごとに対応する3種類の補正値のデータを不揮発性メモリ575に記憶し、温度センサ35から与えられる温度情報に基づいて、対応する補正値のデータをLUT570に転送する。液晶表示装置700も比較回路を有していないので、不揮発性メモリ575は、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。したがって、液晶表示装置700の加算回路50も、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームのすべての階調値に不揮発性メモリ575に記憶されている温度範囲ごとに記憶されたデータから、温度に応じたデータの補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。なお、いずれの場合も、通常駆動は、図27に示す液晶表示装置400、および、図31に示す液晶表示装置500の通常駆動とそれぞれ同じであるので、その説明を省略する。
本変形例によれば、比較回路がさらに不要になるので、液晶表示装置600、700の製造コストをさらに低減することができる。
<4.その他>
上記各実施形態およびそれらの変形例に係る各液晶表示装置は、ドット反転駆動によって駆動されるとした。しかし、ドット反転駆動だけでなく、ライン反転駆動、カラム反転駆動、フレーム反転駆動などの交流駆動の場合にも同様に適用可能であり、その場合の効果もドット反転駆動を場合の効果と同じ効果を奏する。
本発明は、交流駆動による休止駆動が可能な液晶表示装置に適用することができる。
10…液晶パネル
15…画素形成部
16…薄膜トランジスタ(TFT)
17…画素電極
18…共通電極
20…走査信号線駆動回路
25…データ信号線駆動回路
30…タイミング制御回路
35…温度センサ
40…補正回路
50…加算回路
60…フレームメモリ
70、270、370、470、570、670、770…ルックアップテーブル(LUT)
80…比較回路
100、200、300、400、500、600、700…液晶表示装置
575…不揮発性メモリ
Ccl…液晶容量
GL…走査信号線
SL…データ信号線
本発明は、液晶表示装置およびその駆動方法に関し、特に、交流駆動による休止駆動が可能な液晶表示装置およびその駆動方法に関する。
近年、小型で軽量の電子機器の開発が活発に行われている。このような電子機器に搭載される液晶表示装置には低消費電力であることが求められる。液晶表示装置の消費電力を低減する駆動方法の1つとして、走査線を走査して信号電圧の書込みを行う駆動期間と、全ての走査線を非走査状態にして書込みを休止する休止期間とが設けられた「休止駆動」と呼ばれる駆動方法がある。休止駆動では、休止期間に、走査線駆動回路および/またはデータ信号線駆動回路に制御用の信号などを与えないようにして、走査線駆動回路および/またはデータ信号線駆動回路の動作を休止させることにより、液晶表示装置の低消費電力化を図る。このような休止駆動は「低周波駆動」または「間欠駆動」とも呼ばれる。
液晶表示装置に用いられる液晶パネルでは、液晶層を挟持する画素電極と共通電極との間に電圧を印加すれば、液晶の誘電率異方性のために液晶分子の配向方向(長軸方向)が変化する。また、液晶は光学異方性を有するので、液晶分子の配向方向が変化すると、液晶層を透過する光の偏光方向が変化する。このため、液晶層に印加する電圧によって、液晶層を透過する光の光量を制御し、液晶パネルに画像を表示することができる。
しかし、印加電圧の変化に応じて液晶が応答するためには、所定の時間を要する。例えば、現在広く使用されているTN(Twisted Nematic)方式、IPS(In Plane Switching)方式、VA(Vertically Aligned)方式などの液晶表示装置では、液晶が応答するまでに、50ms程度の時間がかかる場合がある。また、液晶の応答速度は温度によって変化し、温度が低いほど応答速度は遅くなる。
さらに、画像信号の周波数が60Hzの場合、1フレーム期間は16.7msである。このため、液晶の応答期間が1フレーム期間よりも長くなれば、画面に残像が発生し、画像の表示品位が低下する。
そこで、上記問題を解決するために、例えば日本の特開2004−4629号公報には、液晶層に対して本来印加すべき電圧よりも大きな電圧を印加する「オーバーシュート駆動」を行う液晶表示装置が開示されている。オーバーシュート駆動では、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せにそれぞれ対応づけられた補正値を記憶するルックアップテーブル(「LUT」または「テーブル」という)が使用される。すなわち、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値をLUTから読み出し、当該補正値を用いて入力画像信号を補正した補正画像信号を出力する。この補正画像信号を用いてオーバーシュート駆動を行うことにより、液晶表示装置の表示速度を速くすることができる。
液晶表示装置では、液晶層に同じ極性の電圧を印加し続ければ、焼き付きが生じて液晶層が劣化する。そこで、液晶層の焼き付きを防ぐために、信号電圧を書き込むごとにその極性を反転させる交流駆動が行われる。図34は、従来の交流駆動による休止駆動を行う方法を説明するための図である。図34に示すように、第1休止駆動期間では、最初に正極性の信号電圧を書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続ける。第2休止駆動期間では、最初に負極性の信号電圧を書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続ける。以下同様にして、休止駆動期間ごとに、極性を反転させた信号電圧を交互に書き込み、それに続く休止期間にその信号電圧を保持し続けることを繰り返す。
図35は、従来の交流駆動による休止駆動において、64、128、200、および240階調値に対応する入力画像信号を画素形成部にそれぞれ書き込んだ時の輝度の変化を模式的に示す図である。図35に示すように、0階調(黒表示)から255階調(白表示)までの256階調表示が可能な液晶表示装置において、入力画像信号が64階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する。128階調の場合も同様に、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が低下し、その後ゆっくりと回復する。しかし、64階調の場合に比べて、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後の輝度の低下が少ない。また、200階調の場合には、画素形成部に信号電圧を書き込んでも輝度は変化しない。一方、240階調の場合には、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が上昇し、その後ゆっくりと低下する。
図36は、従来の交流駆動による休止駆動において、64階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図であり、図37は、従来の交流駆動による休止駆動において、240階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。まず、図36を参照して、64階調の入力画像信号を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する理由を説明する。図36において、画素形成部Aと画素形成部Bとは隣接する画素形成部であり、反転駆動によって極性が異なるとする。まず、ある駆動期間に画素形成部Aは正極性であり、画素形成部Bは負極性である。次の駆動期間では極性が反転し、画素形成部Aは負極性になり、画素形成部Bは正極性になる。画素形成部Aに印加する信号電圧の極性を正極性から負極性に反転させれば、画素形成部Aの輝度は急激に低下し、一定値になる。これに対して、画素形成部Bに印加する信号電圧の極性を負極性から正極性に反転させれば、画素形成部Bの輝度はゆっくり上昇し、一定値に近づく。この場合、視聴者は、画素形成部Aと画素形成部Bの輝度変化を合わせたものを画面全体の輝度として認識するので、極性の反転時に画面全体の輝度が急激に低下し、その後ゆっくり回復すると視認する。
なお、上記説明は入力画像信号が64階調の場合について説明したが、128階調の場合も同様である。ただし、128階調の場合は、64階調の場合に比べて、極性を反転させたときの輝度の低下が小さい。
次に、240階調の入力画像信号を書き込む場合について説明する。図37を参照して、240階調の入力画像信号を書き込んだ直後に輝度が急激に上昇し、その後ゆっくりと低下する理由を説明する。図36に示す場合と同様に、画素形成部Aと画素形成部Bとは隣接する画素形成部であり、反転駆動によって極性が異なるとする。まず、ある駆動期間に画素形成部Aは正極性であり、画素形成部Bは負極性である。次の駆動期間では極性が反転し、画素形成部Aは負極性になり、画素形成部Bは正極性になる。極性を反転させる際に、画素形成部Aに負極性の信号電圧を印加すれば、画素形成部Aの輝度はゆっくりと低下し、一定値に近づく。これに対して、画素形成部Bに負極性の信号電圧を印加すれば、画素形成部Bの輝度は急激に上昇し、一定値になる。この場合、視聴者は、画素形成部Aと画素形成部Bの輝度変化を合わせたものを画面全体の輝度として認識するので、極性の反転時に画面全体の輝度が急激に上昇し、その後ゆっくり低下すると視認する。
このような画面の輝度の変化は、信号電圧の極性を反転させたときに液晶分子の配向方向がその変化に追従できないために生じる現象である。この輝度の変化は、動画を表示する際には画像の変化が速いので、視聴者は輝度の変化をほとんど認識できない。しかし、休止駆動時には、視聴者はこの輝度の変化をフリッカとして認識するようになるので、画像の表示品位が低下するという問題が生じる。このフリッカは、入力画像信号の階調値が変化しない場合であっても発生する。
なお、極性を反転させる際に低下した電圧が時間の経過と共に信号電圧に近づくことによって、休止期間の輝度が徐々に高くなるのは、画素形成部のスイッチング素子として、チャネル層が酸化物半導体からなる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」という)を用いているからである。なお、チャネル層が酸化物半導体からなるTFTの詳細は後述する。
日本の特開2004−4629号公報は、通常駆動時におけるオーバーシュート駆動について開示している。しかし、日本の特開2004−4629号公報は、交流駆動による休止駆動を行ったときに生じるフリッカを防止することが可能なオーバーシュート駆動については開示も示唆もしていない。
そこで、本発明は、交流駆動によって休止駆動を行うときの表示品位の低下を抑制することができる液晶表示装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の局面は、絶縁基板上に形成され、交流駆動によって休止駆動を行う液晶表示装置であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線とそれぞれ交差する複数のデータ信号線と、
前記複数の走査信号線および前記複数のデータ信号線の各交差点に形成された画素形成部と、
入力画像信号の階調値を補正するための補正値を与えられたときには当該補正値を用いて生成した補正画像信号を出力し、当該補正値を与えられなかったときには階調値を補正することなく前記入力画像信号を出力する補正回路と、
前記複数の走査信号線を順に選択して走査する走査信号線駆動回路と、
前記補正回路から出力された前記補正画像信号に基づいて生成した補正電圧、または、前記入力画像信号に基づいて生成した信号電圧を前記複数のデータ信号線に書き込むデータ信号線駆動回路と、
前記走査信号線駆動回路および前記データ信号線駆動回路を制御するタイミング制御回路とを備え、
前記休止駆動は、複数の駆動フレームからなる駆動期間と、前記駆動期間の終了時から次の駆動期間の開始時までの期間に設けられ、前記駆動期間に書き込まれた画像を表示し続ける休止期間とを交互に繰り返し、
前記補正値は、前記入力画像信号の現フレームの階調値のみに対応づけられた補正値であり、
前記補正回路は、前記補正画像信号および前記入力画像信号のいずれかを前記データ信号線駆動回路に出力する加算回路を含み、前記加算回路は、前記駆動期間の最初の駆動フレームにおいて、前記入力画像信号の現フレームの階調値に前記補正値を加算して生成した第1補正画像信号、前記入力画像信号の現フレームの階調値から前記補正値を減算して生成した第2補正画像信号、または前記現フレームの階調値を補正しない前記入力画像信号のいずれかを出力し、さらに最後の駆動フレームにおいて、前記入力画像信号を出力し、
前記データ信号線駆動回路は、前記補正回路から出力された前記入力画像信号、前記第1補正画像信号、または前記第2補正画像信号に基づき、信号電圧、前記信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、または前記信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧をそれぞれ生成し、前記駆動期間の最初の駆動フレームにおいて前記第1補正電圧、前記第2補正電圧、または前記信号電圧のいずれかを前記データ信号線に書き込み、さらに最後の駆動フレームにおいて、前記最初の駆動フレームで書き込んだ電圧と同じ極性の前記信号電圧を前記データ信号線に書き込むことを特徴とする。
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記補正回路は、前記補正値を記憶するテーブルを含み、
前記テーブルは、前記入力画像信号が前記加算回路に与えられるごとに前記入力画像信号の現フレームの階調値に対応する前記補正値を前記加算回路に与え、
前記加算回路は、前記入力画像信号の前記現フレームの階調値があらかじめ定めた階調値に対応する境界値よりも小さいときには前記第1補正画像信号を生成して出力し、前記入力画像信号の前記現フレームの階調値が前記境界値よりも大きいときには、前記第2補正画像信号を生成して出力し、前記現フレームの階調値が前記境界値と等しいときには、前記入力画像信号を出力することを特徴とする
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面において、
前記液晶表示装置の周囲の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記テーブルは、所定の温度範囲ごとに異なる補正値を記憶する複数の副テーブルを含み、前記温度センサから与えられる温度情報に基づき、前記複数の副テーブルからいずれか1つの副テーブルを選択することを特徴とする。
本発明の第4の局面は、本発明の第2の局面において、
前記液晶表示装置の周囲の温度を測定する温度センサをさらに備え、
前記補正回路は、所定の温度範囲ごとに、異なる補正値からなる複数のデータを記憶する不揮発性メモリをさらに含み、
前記不揮発性メモリは、前記温度センサから与えられる温度情報に基づき、前記複数のデータからいずれか1つのデータを選択して前記テーブルに与えることを特徴とする。
本発明の第5の局面は、本発明の第3または第4の局面において、
前記温度センサは前記絶縁基板上に設けられ、
前記温度センサは温度情報をシリアル通信によって前記タイミング制御回路に与えることを特徴とする。
本発明の第6の局面は、本発明の第3または第4の局面において、
前記温度センサは前記タイミング制御回路内に設けられていることを特徴とする。
本発明の第7の局面は、本発明の第1の局面において、
前記画素形成部は、前記走査信号線に制御端子が接続され、前記データ信号線に第1導通端子が接続され、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧または前記信号電圧が印加されるべき画素電極に第2導通端子が接続され、酸化物半導体によりチャネル層が形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
本発明の第8の局面は、本発明の第7の局面において、
前記酸化物半導体は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)および酸素(О)を主成分とするInGaZnOxであることを特徴とする。
本発明の第9の局面は、本発明の第1の局面において、
前記画素形成部は、前記走査信号線に制御端子が接続され、前記データ信号線に第1導通端子が接続され、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧または前記信号電圧が印加されるべき画素電極に第2導通端子が接続され、非晶質半導体または多結晶半導体のいずれかによりチャネル層が形成された薄膜トランジスタを含むことを特徴とする。
本発明の第10の局面は、本発明の第1〜第9のいずれかの局面に係る液晶表示装置であって、ドット反転駆動、ライン反転駆動、カラム反転駆動、および、フレーム反転駆動のいずれかによって交流駆動される。
本発明の第11の局面は、液晶表示装置の駆動方法であって、
複数の走査信号線と、
前記複数の走査信号線とそれぞれ交差する複数のデータ信号線と、
前記複数の走査信号線および前記複数のデータ信号線の各交差点に形成された画素形成部と、
入力画像信号の階調値を補正するための補正値を与えられたときには当該補正値を用いて生成した補正画像信号を出力し、当該補正値を与えられなかったときには階調値を補正することなく前記入力画像信号を出力する補正回路と、
前記複数の走査信号線を順に選択して走査する走査信号線駆動回路と、
前記補正回路から出力された前記補正画像信号に基づいて生成した補正電圧、または、前記入力画像信号に基づいて生成した信号電圧を前記複数のデータ信号線に書き込むデータ信号線駆動回路と、
前記走査信号線駆動回路および前記データ信号線駆動回路を制御するタイミング制御回路とを備え、
前記入力画像信号の前記現フレームの階調値があらかじめ定めた階調値に対応する境界値よりも小さいときには、前記入力画像信号の現フレームの階調値に対応づけられた補正値を加算することにより生成した第1補正画像信号を、前記現フレームの階調値が前記境界値よりも小さいときには、前記補正値を減算することにより生成した第2補正画像信号を、前記現フレームの階調値が前記境界値と等しいときには前記入力画像信号を、前記データ信号線に出力するステップと、
前記入力画像信号、前記第1補正画像信号、または前記第2補正画像信号に基づき、信号電圧、前記信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、または前記信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧をそれぞれ生成するステップと、
複数の駆動フレームからなる駆動期間の最初の駆動フレームにおいて、前記第1補正電圧、前記第2補正電圧、または前記信号電圧のいずれかを前記データ信号線に書き込むステップと、
前記駆動期間の最後のフレームにおいて、前記最初の駆動フレームで書き込んだ電圧と同じ極性の前記信号電圧を前記データ信号線に書き込むステップとを備えることを特徴とする。
本発明の第1の局面によれば、休止駆動は通常静止画を表示するために行われることがので、多くの場合、全フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいと考えて入力画像信号の処理をしても問題がない。そこで、入力画像信号の階調値を補正するために使用される補正値は現フレームの階調値のみに対応づける。これにより、入力画像信号の前フレームの階調値と現フレームの階調値とが同じであるか否かを判定する必要がなくなるので、比較回路が不要になる。また、テーブルは現フレームの階調値だけに対応づけた補正値を記憶すればよく、そのメモリ容量を小さくすることができる。これらによって、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。また、補正回路から出力された入力画像信号、第1補正画像信号、または第2補正画像信号に基づき、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、または信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧をそれぞれ生成し、駆動期間の最初の駆動フレームにおいて第1補正電圧、第2補正電圧、または信号電圧のいずれかをデータ信号線に書き込み、さらに最後の駆動フレームにおいて、最初の駆動フレームで書き込んだ電圧の極性と同じ極性の電圧を書き込む。これにより、入力画像信号の階調値の変化が抑制されるので、画像の輝度の変化が抑制され、視聴者はフリッカをほとんど認識しなくなる。
本発明の第2の局面によれば、駆動期間の最初の駆動フレームにおいて、信号電圧の絶対値よりも大きな絶対値の第1補正電圧、信号電圧の絶対値よりも小さな絶対値の第2補正電圧または信号電圧のいずれかをデータ信号線に書き込み、最後の駆動フレームにおいて、最初の駆動フレームで書き込んだ電圧と同じ極性の信号電圧をデータ信号線に書き込む。これにより、いずれの階調値においても、表示される画像の輝度の変化を抑制することができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、画像の表示品位を向上させることができる。
本発明の第3の局面によれば、温度センサと、温度によって異なる補正値を記憶する複数の副テーブルを有し、液晶表示装置の周囲の温度に応じて、複数の副テーブルのいずれかを選択して強調階調処理を行う。これにより、広い温度範囲で使用される液晶表示装置においても、信号電圧の書き込み時の輝度の低下が抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
本発明の第4の局面によれば、所定の温度範囲ごとに異なる補正値からなる複数のデータを記憶する不揮発性メモリを含み、不揮発性メモリは温度情報に基づいて複数のデータからいずれか1つのデータを選択してテーブルに与える。これにより、液晶表示装置を使用する温度範囲が広い場合に、不揮発性メモリは、複数のテーブルに記憶させるべき補正値を記憶しておき、温度センサからの温度情報に対応する温度範囲の補正値のデータをテーブルに転送する。これにより、テーブルの個数を減らすことができるので、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
本発明の第5の局面によれば、温度センサを絶縁基板上に設け、温度情報をシリアル通信によって温度センサからタイミング制御回路に与えることにより、温度センサを絶縁基板上の任意の位置に設けることができる。
本発明の第6の局面によれば、温度センサをタイミング制御回路内に設けることにより、タイミング制御回路の回路構成が複雑にならない。これにより、液晶表示装置の製造コストを低減することができる。
本発明の第7の局面によれば、画素形成部内の薄膜トランジスタとしてチャネル層が酸化物半導体により形成された薄膜トランジスタが用いられる。この薄膜トランジスタのオフリーク電流は非常に小さいので、画素形成部に書き込まれた電圧が長時間にわたり保持される。これにより、休止駆動時にも多階調表示をすることができる。
本発明の第8の局面によれば、チャネル層を形成する酸化物半導体としてInGaZnOxを用いることによって、本発明の第12の局面による効果と同様の効果を確実に達成することができる。
本発明の第9の局面によれば、画素形成部内の薄膜トランジスタとしてチャネル層が非晶質半導体または多結晶半導体からなる薄膜トランジスタが用いられる。これにより、白黒画像のように2種類の輝度によって表示可能な画像を、安価な製造コストの液晶表示装置によって表示することができる。
本発明の第10の局面によれば、本発明の第1〜第14の局面に係る液晶表示装置を、ドット反転駆動、ライン反転駆動、カラム反転駆動、フレーム反転駆動のいずれかによって駆動することにより、信号電圧の書込みを行ったときに生じる輝度の低下を大幅に抑制することができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、画像の表示品位が向上する。
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図1に示す液晶表示装置に含まれる画素形成部の等価回路を示す図である。
図1に示す液晶表示装置の画素形成部のスイッチング素子としてIGZO−TFTを使用したとき、液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。
図1に示す液晶表示装置において、オーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、アンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合を含む休止駆動を説明するための図である。
図1に示す液晶表示装置において、休止駆動を行ったときの輝度の変化を模式的に示す図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、オーバーシュート駆動を2回含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、アンダーシュート駆動を2回含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、電圧値が段階的に小さくなるオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第1の変形例において、電圧値が段階的に高くなるアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの信号電圧と輝度との関係を示す図である。
第1の実施形態の第2の変形例に係る液晶表示装置に含まれる画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの輝度の変化を模式的に示す図である。
本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
図16に示す液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図16に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第1の変形例に係る液晶表示装置のブロック図である。
図20に示す第1の変形例に係る液晶表示装置に使用するLUTの構成の一例を示す図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図20に示す液晶表示装置において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第2の変形例において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
図16に示す液晶表示装置の第2の変形例において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。
本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置のブロック図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される室温用のLUTを示す図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される高温用のLUTを示す図である。
図27に示す液晶表示装置で使用される低温用のLUTを示す図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態に係る液晶表示装置において、比較回路をなくした液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置において、比較回路をなくした液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
従来の交流駆動による休止駆動を行う方法を説明するための図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、64、128、200、および240階調値に対応する入力画像信号を画素形成部にそれぞれ書き込んだ時の輝度の変化を模式的に示す図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、64階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。
従来の交流駆動による休止駆動において、240階調の入力画像信号を書き込んだときの輝度の変化を説明するための図である。
<1.第1の実施形態>
<1.1 液晶表示装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置100の構成を示すブロック図である。図1に示す液晶表示装置100は、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。
液晶パネル10には、複数の画素形成部(図示しない)が行方向および列方向にマトリクス状に配置されている。また、液晶パネル10には、複数の走査信号線(図示しない)と、複数のデータ信号線(図示しない)とが互いに交差するように形成されている。各走査信号線は同じ行に配置された画素形成部に接続され、各データ信号線は同じ列に配置された画素形成部に接続されている。
タイミング制御回路30に、入力画像信号の同期信号として、水平同期信号および垂直同期信号が入力される。タイミング制御回路30は、これらの同期信号に基づき、ゲートクロック信号やゲートスタートパルス信号などの制御信号を生成して走査信号線駆動回路20に出力し、ソースクロック信号、ソーススタートパルス信号などの制御信号を生成してデータ信号線駆動回路25に出力する。
また、タイミング制御回路30は、休止駆動制御回路31を含んでいる。休止駆動制御回路31は、生成された制御信号に同期して、アンプイネーブル信号をデータ信号線駆動回路25に出力する。詳細は後述するが、液晶表示装置100は、液晶パネル10を駆動するときに、オーバーシュート電圧(「第1補正電圧」ともいう)またはアンダーシュート電圧(「第2補正電圧」ともいう)を書き込んだり、信号電圧を書き込んだりする駆動期間と、これらの電圧の書込みを休止する休止期間を設ける。休止駆動制御回路31は、駆動期間には、アンプイネーブル信号をアクティブにすることにより、データ信号線駆動回路25内に設けられたアナログアンプ(図示しない)を動作させる。これにより、オーバーシュート電圧、アンダーシュート電圧、または信号電圧のいずれかをデータ信号線に書き込むことができる。休止期間には、アンプイネーブル信号を非アクティブにしてアナログアンプを休止させる。このようにして、休止駆動制御回路31は、駆動期間と休止期間をそれぞれ任意に設定することができる。
走査信号線駆動回路20は、タイミング制御回路30で生成された制御信号に従って、液晶パネル10の走査信号線を駆動し、各走査信号線を順に選択する。データ信号線駆動回路25は、タイミング制御回路30で生成された制御信号に従い、補正回路40から出力された補正画像信号をアナログ電圧である信号電圧に変換し、当該信号電圧を各データ信号線に書き込む。また、後述する方法によって生成されたオーバーシュート電圧またはアンダーシュート電圧をデータ信号線に書き込む。さらに、データ信号線に書き込まれたこれらの電圧は、アクティブな走査信号を印加することによって選択された走査信号線に接続された画素形成部に書き込まれる。なお、データ信号線駆動回路25が信号電圧、オーバーシュート電圧、またはアンダーシュート電圧のいずれかを各データ信号線に書き込むのは、休止駆動制御回路31からアクティブなアンプイネーブル信号を受け取っている期間だけである。
本明細書では、データ信号線駆動回路25は、ドット反転駆動によって画像を液晶パネル10に表示するとして説明するので、補正画像信号に対応する信号電圧の極性を次のようにして制御する。すなわち、データ信号線ごとに同時に出力される信号電圧の極性を反転させる。これにより、正極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部は負極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部によって囲まれ、また負極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部は正極性の信号電圧が書き込まれた画素形成部によって囲まれる。
補正回路40は、入力画像信号に対して信号の変化を強調する補正を行った補正画像信号をデータ信号線駆動回路25に出力する。補正回路40は、加算回路50、フレームメモリ60、比較回路80、およびLUT70を含んでいる。フレームメモリ60は、外部から与えられた入力画像信号を1フレーム分だけ記憶する。比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)と、フレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、後述するように、前フレームの各階調値と現フレームの各階調値に対応づけられた複数の補正値を記憶している。LUT70は、比較回路80から前フレームの階調値と現フレームの階調値を与えられれば、それらに対応づけられた補正値を加算回路50に与える。なお、本明細書においてLUTを「テーブル」ともいう。また、加算回路50によって入力画像信号に補正値を加算または減算した信号を補正画像信号といい、補正値による補正をしなかった信号を画像信号という場合がある。
加算回路50はフレームメモリ60に接続され、フレームメモリ60に記憶されている入力画像信号を与えられる。オーバーシュート電圧またはアンダーシュート電圧を書き込むときには、フレームメモリ60に記憶された直後の入力画像信号が直ちにフレームメモリ60から加算回路50に与えられる。オーバーシュート電圧を書き込むときには、加算回路50は、現フレームの階調値にLUT70から与えられる補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。アンダーシュート電圧を書き込むときには、加算回路50は、現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
次に、フレームメモリ60に記憶されている入力画像信号が再び加算回路50に与えられる。この入力画像信号は、補正画像信号の生成に使用した入力画像信号と同じ信号である。加算回路50は、現フレームの階調値を補正することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。
図2は、液晶表示装置100に使用するLUT70の構成の一例を示す図である。図2に示すように、LUT70には、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけて、入力画像信号の時間的変化を強調するための補正値が記憶されている。例えば、前フレームの階調値が32階調であり、現フレームの階調値が160階調である場合には、対応する補正値はLUT70から6階調になる。LUT70がこの補正値を加算回路50に与えると、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)である160階調に6階調を加算することによって、166階調の補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。データ信号線駆動回路25は、補正画像信号に対応するオーバーシュート電圧を求め、データ信号線SLに書き込む。このようにして、オーバーシュート駆動が行われる。
また、LUT70には、負の補正値も記憶されている。具体的には、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも224階調の場合と、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも255階調の場合である。例えば、前フレームおよび現フレームの階調値が224階調である場合には、対応する補正値はLUT70から、−2階調になる。この補正値がLUT70から加算回路50に与えられることによって、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)である224階調から2階調を減算した222階調の補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。データ信号線駆動回路25は、補正画像信号に対応するアンダーシュート電圧を求め、データ信号線SLに書き込む。このようにして、アンダーシュート駆動が行われる。また、前フレームおよび現フレームの階調値がいずれも192階調である場合には、対応する補正値は0階調であるので、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行われない。
このように、LUT70に記憶された補正値が正の値である場合にはオーバーシュート駆動が行われ、負の値である場合にはアンダーシュート駆動が行われる。図35に示したように、前フレームおよび現フレームの階調値が共に小さい場合には、休止駆動期間ごとに画面の輝度が低下し、その後徐々に回復する。前フレームおよび現フレームの階調値が共に大きい場合には、休止駆動期間ごとに画面の輝度が上昇し、その後徐々に低下する。そこで、これらの輝度の変化を打ち消すように、LUT70に、前フレームおよび現フレームの階調値が小さい場合の補正値としてプラスの大きな値を記憶させ、前フレームおよび現フレームの階調値が大きい場合の補正値として負の値またはプラスの小さい値を記憶させる。
なお、本明細書では、液晶表示装置100は、階調数が256階調の表示装置であるとしたので、LUT70もそれに対応して0階調から255階調までの階調値を記憶しているとした。しかし、本発明の適用が可能な液晶表示装置の階調数は256階調に限定されず、256階調よりも大きくても小さくてもよい。その場合、LUTに記憶すべき補正値も液晶表示装置の階調数に応じて増減される。
また、図2に示すLUT70は、メモリ容量を節約するために、前フレームおよび現フレームの階調値を32階調ごとにしか記憶していない。このため、LUT70に記憶されていない前フレームおよび現フレームの階調値に対応する補正値をLUT70を用いて求める方法を説明する。最も簡単な方法は、LUT70に記憶されている階調値だけでなく、その前後16階調分の階調値も当該記憶されている階調値であるとして処理する。例えば、階調値が(192−16+1=)177階調から(192+16=)208階調のいずれの階調値も192階調として処理する。また、階調値が(224−16+1=)209階調から(224+16=)240階調のいずれの階調値も224階調として処理する。具体的には、前フレームの階調値が200階調、現フレームの階調値が220階調である場合の補正値は、前フレームの階調値が192階調、現フレームの階調値が224階調に対応する補正値である5階調になる。また、より正確な補正値を求めたい場合には、線形補間法を用いて求めてもよい。なお、線形補間法はよく知られた補間方法であるので、その詳細な説明を省略する。
<1.2 画素形成部の構成>
図3は、液晶表示装置100に含まれる画素形成部15の等価回路を示す図である。図3に示すように、各画素形成部15は、対応する交差点を通過する走査信号線GLに制御端子としてのゲート端子が接続されると共に、当該交差点を通過するデータ信号線SLに第1導通端子としてのソース端子が接続されたTFT16と、当該TFT16の第2導通端子としてのドレイン端子に接続された画素電極17と、各画素形成部15に共通的に設けられた共通電極18と、画素電極17と共通電極18との間に挟持され、複数個の画素形成部15に共通的に設けられた液晶層(図示しない)とにより構成される。画素電極17と共通電極18により形成される液晶容量Cclは、画素容量を構成する。また、共通電極18に印加する電圧は、共通電圧生成回路(図示しない)によって生成される。なお、画素容量に確実に電圧を保持すべく液晶容量Cclに並列に補助容量が設けられている場合も多いが、本明細書では、画素容量は液晶容量Cclのみによって構成されるとして説明する。
図3に示すTFT16は、信号電圧を液晶容量Cclに書き込むためにオンされたり、信号電圧を液晶容量Cclに保持し続けるためにオフされたりするスイッチング素子として機能する。このようなTFT16としては、例えば酸化物半導体をチャネル層に用いたTFT(以下「酸化物TFT」という。)が用いられる。具体的には、TFT16のチャネル層は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を主成分とするInGaZnOxにより形成されている。以下では、InGaZnOxをチャネル層に用いたTFTのことを「IGZO−TFT」という。
図4は、液晶表示装置100の画素形成部15のスイッチング素子としてIGZO−TFT16を使用したとき、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。図4に示すように、正極性の信号電圧(例えば+7V)を書き込み、書き込んだ電圧を所定時間保持する。次に、負極性の信号電圧(例えば−7V)を書き込み、書き込んだ電圧を所定期間保持する。これらの動作を繰り返しても、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧はほとんど変化しない。このことから、IGZO−TFT16のオフリーク電流は非常に小さく、液晶容量Cclに書き込まれた信号電圧は長期間保持されることがわかる。このように、画素形成部15のスイッチング素子としてIGZO−TFT16を使用することにより、休止駆動時にも多階調表示をすることができる。
なお、InGaZnOx以外の酸化物半導体として、例えばインジウム、ガリウム、亜鉛、銅(Cu)、シリコン(Si)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、ゲルマニウム(Ge)、および鉛(Pb)のうち少なくとも1つを含む酸化物半導体をチャネル層に用いた場合でも同様の効果が得られる。
<1.3 休止駆動時の動作>
図5は液晶表示装置100において、オーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図6は液晶表示装置100において、アンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。液晶表示装置100は、駆動期間と休止期間を交互に繰り返すことによって、液晶パネル10を駆動する。駆動期間には、休止駆動制御回路31からデータ信号線駆動回路25にアクティブなアンプイネーブル信号が出力されており、オーバーシュート電圧や信号電圧が各データ信号線SLに書き込まれる。休止期間には、休止駆動制御回路31からデータ信号線駆動回路25に非アクティブなアンプイネーブル信号出力され、データ信号線駆動回路25および/または走査信号線駆動回路20が動作を停止する。
なお、本明細書では、図5および図6に示す駆動期間のうち、オーバーシュート電圧を書き込む期間を第1駆動期間といい、信号電圧を書き込む期間を第2駆動期間という。また、各駆動期間のフレームをそれぞれ第1駆動フレームおよび第2駆動フレームといい、休止期間のフレームを休止フレームという。また、図6に示す駆動期間のうち、アンダーシュート電圧を書き込む期間を第3駆動期間といい、信号電圧を書き込む期間を第4駆動期間という。また、各駆動期間のフレームをそれぞれ第3駆動フレームおよび第4駆動フレームといい、休止期間のフレームを休止フレームという。また、オーバーシュート電圧、アンダーシュート電圧、および信号電圧を区別しない場合には、それらを単に電圧という場合がある。
図5および図6に示すように、駆動期間と休止期間とは交互に設けられ、駆動期間とそれに続く休止期間とを合わせて休止駆動期間という。データ信号線SLに書き込まれる信号電圧の極性を休止駆動期間ごとに反転させる。このため、電圧の極性は、奇数番目の休止駆動期間では正極性であり、偶数番目の休止駆動期間では負極性である。また、各休止駆動期間における入力画像信号の階調値は一定であるとする。これは、休止駆動によって液晶パネル10に表示される画像には、静止画が多いことを考慮したためである。なお、本実施形態は静止画に限定されず、休止駆動に適した画像であればよい。その場合、入力画像信号の各休止駆動期間における階調値は一定とは限らない。
また、図5および図6の時間軸と平行に引かれた上下2本の一点鎖線は、オーバーシュート駆動とアンダーシュート駆動の境界を示す線(境界線)であり、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しく、かつ、その階調値の絶対値が上側の境界線よりも大きな印加電圧に相当する値のとき、または、その階調値の絶対値が下側の境界線よりも大きな印加電圧に相当する値のときにアンダーシュート駆動が行われ、その他のときにはオーバーシュート駆動が行われる。本実施形態では、この一点鎖線は、LUT70における前フレームおよび現フレームの階調値が192階調の場合に相当する印加電圧を示している。この場合の階調値である192階調を「境界値」という場合がある。
図5では、第1休止駆動期間の駆動期間に、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。第1駆動フレームでは、比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)とフレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間に与えられた入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値を加算回路50に出力する。この場合、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、LUT70が出力する補正値は正の値である。加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値にLUT70から与えられた補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧よりも補正値分(図5で、「OS1」と表示)だけ大きなオーバーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このオーバーシュート電圧の極性は正極性である。これにより、第1休止駆動期間にオーバーシュート駆動が行われる。
第2駆動フレームでは、第1駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60は、記憶している入力画像信号を加算回路50に与える。加算回路50は、与えられた入力画像信号に補正値を加算することなくデータ信号線駆動回路25に画像信号として出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧のアナログ信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このような駆動を、本明細書では、「通常駆動」という。この信号電圧の極性も正極性である。これにより、第1休止駆動期間に表示したい画像が液晶パネル10に表示される。
このように、第1駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、それに続く第2駆動フレームでは、通常駆動を行うことによって、正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の各駆動期間でも、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、第1駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは、通常駆動を行う。ただし、第1休止駆動期間の場合と異なり、第1および第2駆動フレームでは、オーバーシュート電圧および信号電圧の極性は負極性である。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間には、第1駆動フレームで正極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、第2駆動フレームで正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間にも、第1駆動フレームで負極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、第2駆動フレームで負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
また図6では、第1休止駆動期間の駆動期間に、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。第3駆動フレームでは、比較回路80は、外部から与えられた入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)とフレームメモリ60に記憶されている直前のフレーム期間に与えられた入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)とを求め、その結果をLUT70に与える。LUT70は、前フレームの階調値と現フレームの階調値の組合せに対応づけられた補正値を加算回路50に出力する。この場合、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値が等しく、かつ現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも大きいので、LUT70が出力する補正値は負の値である。加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧よりも補正値分(図6で、「OS2」と表示)だけ低い小さいアンダーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアンダーシュート電圧の極性は正極性である。これにより、第1休止駆動期間にアンダーシュート駆動が行われる。
第4駆動フレームでは、第3駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60は、記憶している入力画像信号を加算回路50に与える。加算回路50は、与えられた入力画像信号から補正値を減算することなくデータ信号線駆動回路25に画像信号として出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧のアナログ信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。この信号電圧の極性も正極性である。これにより、第1休止駆動期間に表示したい画像が液晶パネル10に表示される。
このように、第3駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、それに続く第4駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって、正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の各駆動期間でも、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値が等しく、かつ現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも大きいので、第3駆動フレームでは、LUT70から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは、通常駆動を行う。ただし、第1休止駆動期間の場合と異なり、第3および第4駆動フレームでは、アンダーシュート電圧および信号電圧の極性は負極性である。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間には、第3駆動フレームで正極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、第4駆動フレームで正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間には、第3駆動フレームで負極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、第4駆動フレームで負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
図7は、液晶表示装置100において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合を含む休止駆動を説明するための図である。まず、第1休止駆動期間について説明する。第1駆動フレームでは、現フレームの階調値の絶対値が境界値よりも小さいので、LUT70から与えられた補正値を加算して正極性のオーバーシュート電圧を生成し、オーバーシュート駆動を行う。第2駆動フレームでは、現フレームの階調値を補正することなく、正極性のアナログ信号電圧を生成し、通常駆動を行う。
第2休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも大きいが、第1休止駆動期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)と異なる。このため、第1駆動フレームでは、負極性のオーバーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは負極性の通常駆動を行う。
第3休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも大きく、かつ現フレームの階調値の絶対値は第2休止駆動期間の入力画像信号の階調値(前フレームの階調値)の絶対値と同じである。このため、第1駆動フレームでは正極性のアンダーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは正極性の通常駆動を行う。さらに第4休止駆動期間では、現フレームの階調値の絶対値は境界値よりも小さいので、第1駆動フレームでは負極性のオーバーシュート駆動を行い、次に第2駆動フレームでは負極性の通常駆動を行う。
<1.4 効果>
図8は、液晶表示装置100において休止駆動を行ったときの輝度の変化を模式的に示す図である。図35の説明において説明したように、入力画像信号が64階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に低下し、その後ゆっくりと回復する。逆に、入力画像信号が240階調の場合、画素形成部に信号電圧を書き込んだ直後に輝度が急激に上昇し、その後ゆっくりと低下する。しかし、本実施形態で説明したように、入力画像信号の階調値に応じてオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動のいずれかを行う。これにより、64階調および128階調において輝度が急激に低下したり、240階調において輝度が急激に上昇したりすることがなくなり、いずれの階調値においても、表示される画像の輝度の変化が抑制される。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなり、液晶パネル10に表示される画像の品位が向上する。
なお、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行った後に、通常駆動を行うので、駆動期間の最後にデータ信号線SLに書き込まれる信号電圧は、入力画像信号に対応した電圧値になる。これにより、液晶表示装置100は、入力画像信号に応じた画像を常に表示することができる。また、画素形成部15のスイッチング素子として、オフリーク電流が非常に小さなIGZO−TFT16を使用している。このため、信号電圧の書き込みを行った直後に低下した輝度は、その後の休止期間において本来の輝度まで回復する。
<1.5 第1の変形例>
上記実施形態では、駆動期間ごとに、オーバーシュート駆動と通常駆動、または、アンダーシュート駆動と通常駆動をそれぞれ1回ずつ連続して行なう。しかし、3フレーム以上の駆動フレームを設けることにより駆動期間を長くし、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を複数回行い、その後通常駆動を1回だけ行ってもよい。
本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置の構成は、図1に示す構成と同じであるので、そのブロック図および説明を省略する。図9は、本変形例の休止駆動を説明するための図である。図9に示すように、第1の休止駆動期間の駆動期間に、オーバーシュート駆動を連続して2回行い、次に通常駆動を1回行う。
このように、各休止駆動期間の駆動期間に、オーバーシュート駆動を連続して2回行うことによって、応答速度の遅い液晶であっても、液晶分子の配向方向を印加電圧の方向に確実に配向させることができる。また、図10に示すように、アンダーシュート駆動を連続して2回行い、次に通常駆動を1回行ってもよい。この場合の効果は、図9に示す場合と同じであるので、その説明を省略する。
本変形例では、オーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動の回数をそれぞれ2回としたが、液晶の応答速度がより遅い場合には、3回またはそれ以上としてもよい。
また、図9に示すオーバーシュート駆動では、連続する2回のオーバーシュート駆動時に書き込むオーバーシュート電圧の電圧値は同じであるとした。しかし、これらの電圧値は、異なっていてもよく、図11に示すように、電圧値が段階的に小さくなるようなオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行ってもよい。また、図12に示すように、電圧値が段階的に大きくなるようなアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行ってもよい。
なお、図9〜図12に示すいずれの場合にも、休止期間に入力画像信号に対応した画像を表示する必要があるので、駆動期間の最後の駆動フレームでは、入力画像信号に対応した電圧値の信号電圧を書き込む通常駆動を行うことが必要である。
<1.6 第2の変形例>
上記実施形態では、画素形成部15のTFTは、IGZO−TFT16であるとした。しかし、チャネル層が非晶質シリコン(Si)または多結晶シリコンからなるTFTであってもよい。以下では、チャネル層が非晶質シリコンまたは多結晶シリコンからなるTFTをそれぞれ「a−TFT」および「p−TFT」という。a−TFTまたはp−TFTは、IGZO−TFTに比べてオフリーク電流が非常に大きい。このため、画素形成部15に書き込まれた信号電圧は短時間のうちに低下する。
そこで、本実施形態の第2の変形例として、画素形成部15のスイッチング素子としてa−TFTまたはp−TFTを使用した液晶表示装置を説明する。この液晶表示装置の構成は、InGaZnOxの代わりにa−TFTまたはp−TFTを使用していることを除いて、図1に示す液晶表示装置100の構成と同じであるので、その説明およびブロック図を省略する。
図13は、本変形例の液晶表示装置に含まれる画素形成部15のスイッチング素子としてa−TFTを使用したとき、液晶容量に書き込まれた信号電圧の時間変化を示す図である。図13に示すように、正極性の信号電圧(例えば+7V)を書き込み、a−TFTをオフにして書き込んだ電圧を所定時間保持する。次に、負極性の信号電圧(例えば−7V)を書き込み、a−TFTをオフにして書き込んだ電圧を所定期間保持することを繰り返す。このようにして+7Vまたは−7Vの信号電圧を書き込んでも、a−TFTのオフリーク電流が大きいので、信号電圧の電圧値は休止期間の間にそれぞれ+5Vまたは−5Vまで低下する。
しかし、図14に示すように、a−TFTを使用した液晶表示装置では、信号電圧が小さいときには輝度も低いが、信号電圧が高くなるにつれて輝度も急激に高くなる。そして、信号電圧が約5〜7V付近では輝度が略一定になる。これらの結果から、a−TFTを使用した液晶表示装置は、IGZO−TFTを使用した液晶表示装置のように多階調の画像を表示することには適してはいないが、白黒画像のように2種類の輝度によって表示できる画像であれば表示することができる。さらに、液晶パネルの表面にRGBカラーフィルタを貼ることにより、黒色を含む8種類の色によって表される画像を表示することができる。
図15は、本変形例の画素形成部のスイッチング素子としてa−TFTを使用したときの輝度の変化を模式的に示す図である。図35に示すIGZO−TFTを使用した場合と異なり、各休止駆動期間の初めに信号電圧を書き込んだとき、輝度が高くなる。しかし、その後a−TFTのオフリーク電流のために書き込まれた信号電圧が低下するので、輝度も低下する。信号電圧が5V程度まで低下したときに、次の書込みが行われるように休止期間を調整しておけば、次の休止駆動期間の信号電圧の書き込み時に、再び輝度が高くなる。この場合、信号電圧の変化を5〜7Vに抑えることによって、各休止駆動期間における輝度を略一定と見なせる範囲に入るようにすることができる。これにより、白黒画像のように2種類の輝度によって表示可能な画像を、安価な製造コストの液晶表示装置によって表示することができる。なお、a−TFTまたは、P−TFTは、チャネル層が非晶質シリコンゲルマニウム(SiGe)、または、多結晶シリコンゲルマニウムなどの半導体からなるTFTも含む。
<2.第2の実施形態>
<2.1 液晶表示装置の構成>
図16は、本発明の第2の実施形態に係る休止駆動を行うことが可能な液晶表示装置200の構成を示すブロック図である。図16に示す液晶表示装置200は、図1に示す液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。これらの構成要素のうち、補正回路40の構成が図1に示す補正回路40と異なる。そこで、図16において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。図16に示すように、液晶表示装置200では、図1に示すLUT70の代わりに後述するLUT270が用いられている。
図17は、液晶表示装置200に使用するLUT270の構成の一例を示す図である。図17に示すように、LUT270には、前フレームの階調値と現フレームの階調値とが等しい組合せのみに対応づけて、入力画像信号の時間的変化を強調するための補正値が記憶されている。例えば、前フレームの階調値が32階調に対応する補正値が記憶されているのは、現フレームの階調値が32階調の場合だけであり、他の階調値に対応する補正値は記憶されていない。また、前フレームおよび現フレームの階調値が小さいときの補正値は正の値であるが、それらが大きいときの補正値は負の値になる場合がある。より詳しく説明すれば、前フレームおよび現フレームの階調値が224階調および255階調のときだけ負の値であり、その他のときには正の値である。
このため、比較回路80は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいと判定した場合のみその結果をLUT270に与える。LUT270は、比較回路80から与えられた階調値に対応する補正値を加算回路50に与える。加算回路50は、補正値が正の値の場合には現フレームの階調値に補正値を加算し、補正値が負の値の場合には現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号をそれぞれ生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
一方、比較回路80によって前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しくないとされた場合には、比較回路80はその結果をLUT270に与えない。このため、加算回路50は、現フレームの階調値を補正することなく、現フレームの階調値を画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。
なお、本実施形態において、前フレームの階調値と現フレームの階調値が等しいとは、両者が完全に等しい場合だけでなく、実質的に等しい場合も含まれる。本明細書において実質的に等しい階調値には、LUT270に記載された各階調値に対して+8から−8までの階調値も含まれる。例えば、一方の階調値が32階調である場合、24階調から40階調までの他方の階調値は、一方の32階調と実質的に等しいとする。例えば前フレームの階調値が28階調であり、現フレームの階調値が36階調の場合、両者は実質的に等しいとし、加算回路50は、LUT270の前フレームおよび現フレームの階調値が32の場合の補正値である5階調を現フレームの階調値に加算する。
<2.2 休止駆動時の動作>
図18は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。また、図19は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。なお、図18に示す休止駆動は、図5で説明した休止駆動と同じであるので、その説明を省略する。
図19に示すように、いずれの休止駆動期間においても、現フレームの階調値と前フレームの階調値が異なるので、加算回路50には、LUT270から補正値を与えられない。このため、加算回路50は、フレームメモリ60から入力画像信号が与えられると、補正値を用いて補正することなく出力する。その結果、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行われない。
第2駆動フレームでも、フレームメモリ60から入力画像信号を与えられると、補正することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値の信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このように、同じ大きさの電圧が第1および第2駆動フレームにおいて出力されるので、通常駆動を2回行った場合と同じである。このようにして、通常駆動を2回行うことにより、信号電圧をデータ信号線SLに書き込むと、その後次の休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、補正値を加算しない正極性の信号電圧を書き込む通常駆動を連続して2回行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、補正値を加算しない負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を連続して2回行い、その後休止期間とする。
<2.3 効果>
フリッカは同じ画像を連続して表示する場合に認識されやすい。そこで、本実施形態によれば、階調値が実質的に同じ画像を連続して表示する場合のみオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行い、次に通常駆動を行う。これにより、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
また、階調値が実質的に異なる画像を連続して表示する場合には、輝度の低下によるフリッカが発生していても視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。そこで、オーバーシュート駆動もアンダーシュート駆動も行わずに、通常駆動を2回行う。これにより、LUT270のメモリ容量を小さくすることができるので、液晶表示装置200のコストを低減することができる。
なお、液晶の応答速度が速い場合には、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合に、第1および第2駆動フレームを連続して設けたり、第3および第4駆動フレームを連続して設けたりするのではなく、第1駆動フレームだけを設け、その後第2駆動フレームを設けることなく休止期間にしたり、第3駆動フレームだけを設け、その後第4駆動フレームを設けることなく休止期間にしたりしてもよい。この場合、第2または第4駆動フレームを設けないので、液晶表示装置の消費電力を低減することができる。
<2.4 第1の変形例>
図20は、本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置300のブロック図である。図20に示す液晶表示装置300は、図1に示す液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10、走査信号線駆動回路20、データ信号線駆動回路25、タイミング制御回路30、および補正回路40を備えている。これらの構成要素のうち、補正回路40の構成が図1に示す補正回路40と異なる。そこで、図20において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
図20に示すように、補正回路40は、フレームメモリ60、加算回路50、およびLUT370を含むが、比較回路を含まない。本変形例において比較回路が設けられていないのは、前フレームの階調値の絶対値と現フレームの階調値の絶対値とが等しいか否かを判定する必要がないからである。図21は、本変形例において使用するLUT370の構成の一例を示す図である。LUT370は、図2に示すLUT70と異なり、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。このLUT370においても、現フレームの階調値が160階調以下の補正値は正の値であり、192階調の補正値はゼロであり、224階調以上の補正値は負の値である。
したがって、第2の実施形態の場合と異なり、加算回路50は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値に対応する補正値が正の値である場合には、現フレームの階調値に補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。これにより、オーバーシュート駆動を行う。また、現フレームの階調値に対応する補正値が負の値である場合には、補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。これにより、アンダーシュート駆動を行う。なお、補正値がゼロの場合は入力画像信号を補正することなくデータ信号線駆動回路25に出力する。
<2.4.1 休止駆動の動作>
図22は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図23は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。また、図24は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が異なる場合の休止駆動を説明するための図である。
図22に示す場合には、第1休止駆動期間の駆動期間に、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。第1駆動フレームでは、入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)は境界値よりも小さいので、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値に対応する補正値をLUT370から与えられると、現フレームの階調値に補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値よりも補正値分OS1だけ大きなオーバーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性は正極性である。これによって、オーバーシュート駆動が行われる。
第2駆動フレームでは、第1駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60から加算回路50に入力画像信号が与えられると、加算回路50は、補正値を加算することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性も正極性である。これにより、通常駆動が行われる。
このように、第1駆動フレームでは、LUT370から与えられる補正値を用いてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の駆動期間でも、第1および第2駆動フレームを連続して設ける。この場合、第1休止駆動期間の場合と同様にして、第1駆動フレームでは、現フレームの階調値にLUT370から与えられた補正値を加算した補正画像信号に基づいてオーバーシュート駆動を行い、第2駆動フレームでは通常駆動を行う。ただし、いずれの駆動フレームでも、負極性の電圧を書き込む。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、正極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、正極性の信号電圧を書き込み、通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、負極性のオーバーシュート電圧を書き込み、オーバーシュート駆動を行う。次に、負極性の信号電圧を書き込み、通常駆動を行い、その後休止期間とする。
また、図23に示す場合には、第1休止駆動期間の駆動期間に、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。入力画像信号の階調値(現フレームの階調値)は境界値よりも大きいので、第3駆動フレームでは、加算回路50は、フレームメモリ60から与えられた現フレームの階調値に対応する補正値をLUT370から与えられると、現フレームの階調値から補正値を減算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。補正画像信号は、入力画像信号に対応する電圧値よりも補正値分OS2だけ小さいアンダーシュート電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性は正極性である。これによって、アンダーシュート駆動が行われる。
第4駆動フレームでは、第3駆動フレームで使用した入力画像信号と同じ信号がフレームメモリ60に記憶されている。フレームメモリ60から加算回路50に入力画像信号が与えられると、加算回路50は、補正値を減算することなく画像信号としてデータ信号線駆動回路25に出力する。画像信号は、入力画像信号に対応する信号電圧に変換され、データ信号線SLに書き込まれる。このアナログ信号電圧の極性も正極性である。これにより、通常駆動が行われる。
このように、第3駆動フレームでは、LUT370から与えられた補正値を用いてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは、通常駆動を行ことによって正極性の信号電圧をデータ信号線SLに書き込む。その後、第2休止駆動期間の第1駆動期間の開始時まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
第2休止駆動期間の駆動期間でも、第3および第4駆動フレームを連続して設ける。第3駆動フレームでは、現フレームの階調値の絶対値が境界値以上である。そこで、現フレームの階調値から、LUT370から与えられた補正値を減算した補正画像信号に基づいてアンダーシュート駆動を行い、第4駆動フレームでは通常駆動を行う。ただし、いずれの駆動フレームでも、負極性の電圧を書き込む。その後、第3休止駆動期間の第1駆動期間の開始まで、通常駆動によって書き込まれた画像を表示し続ける休止期間になる。
以下同様にして、奇数番目の休止駆動期間では、正極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、正極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。また、偶数番目の休止駆動期間では、負極性のアンダーシュート電圧を書き込み、アンダーシュート駆動を行う。次に、負極性の信号電圧を書き込むことによって通常駆動を行い、その後休止期間とする。
図24に示す場合は、LUT370を使用するので、オーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動のいずれを行うかは現フレームの階調値によって決まる。そこで、各休止駆動期間において、現フレームの階調値が境界値よりも小さい場合にはオーバーシュート駆動を行い、現フレームの階調値が境界値よりも大きい場合にはアンダーシュート駆動を行う。具体的には、第1および第2休止駆動期間にオーバーシュート駆動を行い、第3および第4休止駆動期間にアンダーシュート駆動を行う。
このように、本変形例では、前フレームの階調値と、現フレームの階調値とが等しいか否かにかかわらず、現フレームの階調値のみに基づくオーバ−シュート駆動またはアンダーシュート駆動を行う。このため、本変形例では、第2の実施形態の場合と異なり、第2および第4駆動フレームにおいて必ず通常駆動を行う必要があり、第2および第4駆動フレームを省略することはできない。
<2.4.2 効果>
本変形例によれば、第2の実施形態と同じ効果を奏するだけでなく、さらに、前クレームの階調値と現フレームの階調値とが同じであるか否かを判定する必要がないので、比較回路を設ける必要がない。これにより、液晶表示装置300の製造コストをさらに低減することができる。
<2.5 第2の変形例>
第1の変形例では、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、LUT370に記憶されている補正量は同じであるとした。
しかし、液晶層に印加する電圧の方向によって液晶の誘電率異方性が異なり、液晶分子が配向しやすい方向と、配向しにくい方向とがある場合、液晶の応答速度が印加電圧の方向によって異なる。この場合、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じであっても、印加電圧の方向によってオーバーシュート電圧およびアンダーシュート電圧を変える必要がある。そこで、液晶表示装置の補正回路に、印加電圧の方向がある方向の場合の補正値を記憶させておくLUT(「第1テーブル」ともいう)と、それとは逆方向の場合の補正値を記憶させておくLUT(「第2テーブル」ともいう)とを設ける。なお、本変形例では、各LUTの構成例を省略する。
図25は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のオーバーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図であり、図26は、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合のアンダーシュート駆動を含む休止駆動を説明するための図である。図25に示すように、前フレームと現フレームの階調値が等しい場合であっても、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、オーバーシュート電圧が異なり、負極性から正極性に変化する場合のオーバ−シュート電圧の電圧値の絶対値が、逆の場合の電圧値の絶対値よりも大きくなっている。このようなオーバーシュート駆動は、前フレームおよび現フレームの階調値が同じであっても、負極性から正極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値を、正極性から負極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値よりも大きくすることによって行われる。
また、図26に示すように、前フレームと現フレームの階調値が等しい場合であっても、入力画像信号が正極性から負極性に変化する場合と、負極性から正極性に変化する場合とでは、アンダーシュート電圧が異なり、負極性から正極性に変化する場合のアンダーシュート電圧の電圧値の絶対値が、逆の場合の電圧値の絶対値よりも大きくなっている。このようなアンダーシュート駆動は、負極性から正極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値を、正極性から負極性に変化する場合に使用するLUTの補正値の絶対値よりも大きくすることによって行われる。
このように、液晶層に印加する電圧の極性が正極性から負極性に変わるときと、負極性から正極性に変わるときとで液晶の応答速度が異なる場合であっても、印加電圧の方向によって補正値も変えることにより、印加電圧の方向に依存する輝度の変化を同程度に小さくすることができる。このため、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
なお、前フレームの階調値と現フレームの階調値が同じ場合だけでなく、異なる場合にも本変形例を同様に適用することができる。また、正極性から負極性に変化する場合の電圧の補正値分OS1、OS2が、逆方向に変化する場合の電圧の補正値分OS1、OS2よりも大きい場合にも、本変形例の場合と同様にして駆動することができる。
<3.第3の実施形態>
液晶表示装置の周囲の温度変化により液晶の誘電率異方性が変化すると、液晶表示装置の応答速度は顕著に変化する。このため、室温で設定した補正値を記憶したLUTを用いて、低温時にオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行なえば、低温時の液晶の応答速度が低下しているために、応答速度が十分速くならず、所望の階調表示が行われない。また、高温時にオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行えば、高温時の液晶の応答速度が速くなっているために、過度に強調された表示になる。そこで、広い温度範囲で使用される液晶表示装置は、温度に応じた最適な補正値を加算して最適なオーバーシュート駆動を行うことができるように、温度範囲ごとに異なる複数のLUTを有することが好ましい。
<3.1 液晶表示装置の構成>
図27は、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置400のブロック図である。図27に示す液晶表示装置400は、図1に示す液晶表示装置100と異なり、タイミング制御回路30内に温度センサ35が設けられ、また補正回路40は温度範囲ごとに設けられた3つのLUT470a〜470cを有している。なお、図27において、図1に示す構成要素と同じ構成要素には、図1に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
図28は、液晶表示装置400で使用される室温用のLUT470aを示す図であり、図29は高温用のLUT470bを示す図であり、図30は低温用のLUT470cを示す図である。図28〜図30からわかるように、補正値の絶対値は、低温用のLUT470c、室温用のLUT470a、高温用のLUT470bの順に小さくなるように設定されている。その結果、これらのLUT470a〜470cを使用することにより、液晶の応答速度が低下する低温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動は強調され、次に室温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動が強調される。また、高温でのオーバーシュート駆動およびアンダーシュート駆動は抑制される。
このように、液晶表示装置400が使用される温度によって使用するLUT470を変えるので、温度情報を得るための温度センサ35も必要になる。本実施形態では、温度センサ35は、タイミング制御回路30内に設けられ、温度センサ35からの温度情報に基づいてLUT470a〜470cのいずれかが選択される。LUT470a〜470cのいずれかが選択されれば、上記各実施形態の場合と同様にして、選択したLUTに記憶された補正値を用いて、オーバーシュート駆動を行なったり、アンダーシュート駆動を行なったりする。
なお、本実施形態では、室温用のLUT470aは10℃以上で40℃未満、高温用のLUT470bは40度以上、低温用のLUT470cは10℃未満のときにそれぞれ使用されるが、使用可能な温度範囲は適宜調整することができる。また、LUT470の個数は3個に限定されず、液晶表示装置400を使用する温度範囲に応じて、2個であってもよく、あるいは4個以上であってもよい。
図27では、温度センサ35は、タイミング制御回路30内に設けられているとしたが、タイミング制御回路30とは別に液晶パネル10上に設けられていてもよい。この場合、タイミング制御回路30は温度センサ35からの温度情報をシリアル通信によって取得し、温度情報に応じたLUT470a〜470cのいずれかを選択する。なお、温度センサ35を絶縁基板上に設け、温度情報をシリアル通信によってタイミング制御回路30に与える場合には、温度センサ35を絶縁基板上の任意の位置に設けることができる。また、温度センサ35をタイミング制御回路30内に設ける場合には、タイミング制御回路30の回路構成が複雑にならない。これにより、液晶表示装置400の製造コストを低減することができる。
<3.2 効果>
本実施形態によれば、温度センサ35によって測定された液晶表示装置400の周囲の温度に応じて、LUT470a〜470cのいずれかを選択してオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行うので、温度によらず最適なオーバーシュート駆動またはアンダーシュート駆動を行うことができる。これにより、広い温度範囲で使用される液晶表示装置400においても、信号電圧の書き込み時の輝度の低下が抑制されるので、視聴者はフリッカをほとんど認識できなくなる。
<3.3 第1の変形例>
図31は、本実施形態の第1の変形例に係る液晶表示装置500の構成を示すブロック図である。図31に示すように、液晶表示装置500は、図27に示す液晶表示装置400と同様の構成である。しかし、補正回路40内に不揮発性メモリ575を設け、温度センサ35からの温度情報を不揮発性メモリ575に与えるようにし、さらにLUT570の個数を1個にしたことが異なる。なお、図31において、図1および図27に示す構成要素と同じ構成要素には、図1および図27に示す構成要素に付した参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略し、異なる構成要素を中心に説明する。
液晶表示装置500では、不揮発性メモリ575に、室温用、高温用および低温用の各補正値のデータを予め記憶させておく。温度センサ35からの温度情報に基づき、不揮発性メモリ575は温度情報に対応する補正値のデータをLUT570に転送する。これにより、図27に示す液晶表示装置400と同様にして、前フレームの階調値と現フレームの階調値とに対応づけられた補正値がLUT570から加算回路50に与えられる。以下の動作は、液晶表示装置400の動作と同様であるので、その説明を省略する。
この場合、液晶表示装置400を使用する温度範囲が広いために複数のLUTを準備しなければならないような場合でも、LUT570だけを設け、複数のLUTに記憶させるべき補正値を不揮発性メモリ575に記憶させておく。そして、不揮発性メモリ575は温度センサ35から与えられた温度情報に対応する温度範囲の補正値のデータをLUT570に転送する。これにより、LUTの個数を減らすことができ、液晶表示装置500の製造コストを低減することができる。
<3.4 第2の変形例>
図32は、図27に示す液晶表示装置400において、比較回路をなくした液晶表示装置600を示す図であり、図33は、図31に示す液晶表示装置500において、比較回路をなくした液晶表示装置700を示す図である。図32に示す液晶表示装置600は、温度範囲ごとに対応する補正値を記憶する3個のLUT670a〜670cを有し、温度センサ35から与えられる温度情報に基づいて3個のLUT670a〜670cからいずれか1個を選択する。液晶表示装置600は比較回路を有していないので、LUT670a〜670cは、温度範囲ごとに、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。したがって、加算回路50は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームのすべての階調値に、温度に応じてLUT670a〜670cから選択されたいずれかに記憶されている補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。
図33に示す液晶表示装置700は、温度範囲ごとに対応する3種類の補正値のデータを不揮発性メモリ575に記憶し、温度センサ35から与えられる温度情報に基づいて、対応する補正値のデータをLUT570に転送する。液晶表示装置700も比較回路を有していないので、不揮発性メモリ575は、現フレームの階調値に対する補正値のみを記憶している。このように、補正値は、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームの階調値のみによって決まる。したがって、液晶表示装置700の加算回路50も、前フレームの階調値にかかわらず、現フレームのすべての階調値に不揮発性メモリ575に記憶されている温度範囲ごとに記憶されたデータから、温度に応じたデータの補正値を加算して補正画像信号を生成し、データ信号線駆動回路25に出力する。なお、いずれの場合も、通常駆動は、図27に示す液晶表示装置400、および、図31に示す液晶表示装置500の通常駆動とそれぞれ同じであるので、その説明を省略する。
本変形例によれば、比較回路がさらに不要になるので、液晶表示装置600、700の製造コストをさらに低減することができる。
<4.その他>
上記各実施形態およびそれらの変形例に係る各液晶表示装置は、ドット反転駆動によって駆動されるとした。しかし、ドット反転駆動だけでなく、ライン反転駆動、カラム反転駆動、フレーム反転駆動などの交流駆動の場合にも同様に適用可能であり、その場合の効果もドット反転駆動を場合の効果と同じ効果を奏する。
本発明は、交流駆動による休止駆動が可能な液晶表示装置に適用することができる。
10…液晶パネル
15…画素形成部
16…薄膜トランジスタ(TFT)
17…画素電極
18…共通電極
20…走査信号線駆動回路
25…データ信号線駆動回路
30…タイミング制御回路
35…温度センサ
40…補正回路
50…加算回路
60…フレームメモリ
70、270、370、470、570、670、770…ルックアップテーブル(LUT)
80…比較回路
100、200、300、400、500、600、700…液晶表示装置
575…不揮発性メモリ
Ccl…液晶容量
GL…走査信号線
SL…データ信号線