JPWO2014050704A1 - 導電性ペースト及び太陽電池 - Google Patents

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Abstract

本発明の導電性ペーストは、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Biを含有し、さらにLi、Na及びKの中から選択された少なくとも1種を含有する。前記Teの含有モル量は、TeO2に換算して55〜85mol%であり、前記Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、Biの含有モル量は、Bi2O3に換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量は、酸化物に換算して0.1〜15mol%である。この導電性ペーストを使用して受光面電極(3)を形成する。これにより電極(3)と半導体基板(1)との間の接触抵抗を低くすることができる太陽電池の電極形成に適した導電性ペーストを実現し、この導電性ペーストを使用することによりエネルギー変換効率が高く、電池特性が良好な太陽電池を実現する。

Description

本発明は、導電性ペースト及び太陽電池に関し、より詳しくは太陽電池の電極形成に適した導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用して製造された太陽電池に関する。
太陽電池は、通常、半導体基板の一方の主面に所定パターンの受光面電極が形成されている。また、前記受光面電極を除く半導体基板上には反射防止膜が形成されており、入射される太陽光の反射損失を前記反射防止膜で抑制し、これにより太陽光の電気エネルギーへの変換効率を向上させている。
前記受光面電極は、通常、導電性ペーストを使用して以下のようにして形成される。すなわち、導電性ペーストは、導電性粉末、ガラスフリット、及び有機ビヒクルを含有しており、半導体基板上に形成された反射防止膜の表面に導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電膜を形成する。そして、焼成過程でガラスフリットを溶融させ、導電膜下層の反射防止膜を分解・除去し、これにより導電膜が焼結されて受光面電極を形成すると共に、該受光面電極と半導体基板とを接着させ、両者を導通させている。
このように焼成過程で反射防止膜を分解・除去し、半導体基板と受光面電極とを接着させる方法は、ファイヤースルー(焼成貫通)と呼ばれ、太陽電池の変換効率は、ファイヤースルー性に大きく依存する。すなわち、ファイヤースルー性が不十分であると変換効率が低下し、太陽電池としての基本性能に劣ることが知られている。
また、この種の太陽電池では、受光面電極と半導体基板との接着強度を高めるために、低軟化点のガラスフリットを使用するのが好ましいとされている。
低軟化点のガラスフリットとしては、従来より、鉛系のガラスフリットが使用されていたが、Pbは環境負荷が大きいことから、鉛系ガラスフリットに代わる新たな材料の出現が求められている。
一方、上述したように太陽電池の変換効率は、ファイヤースルー性に大きく依存するが、ファイヤースルーが過剰に進行し、焼結された受光面電極が反射防止膜を突き抜けて半導体基板に侵食すると、電池特性の劣化を招くおそれがある。
そこで、特許文献1では、銀を主成分とする導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルと、溶剤とを含む太陽電池電極形成用導電性ペーストであって、前記ガラスフリットが、酸化テルルを網目形成成分としたテルル系ガラスフリットを含む太陽電池電極形成用導電性ペーストが提案されている。
この特許文献1では、テルル系ガラスフリットを含有した導電性ペーストは、焼成処理を行っても、焼結後の受光面電極が半導体基板内部に深く侵食しないことから、ファイヤースルー性の制御が容易であり、これにより非鉛系でありながらも良好な電池特性を有する太陽電池を実現しようとしている。
さらに、この特許文献1は、前記テルル系ガラスフリットが、酸化テルルの他、酸化タングステンや酸化モリブデンを含み、かつ必要に応じて酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化アルミニウム等の何れか一種以上を含むことにより、ガラス化範囲の拡大と安定化等を図っている。
特開2011−96747号公報(請求項1、6、段落番号〔0021〕〜〔0028〕等)
しかしながら、特許文献1では、テルル系ガラスフリットを含有した導電性ペーストを使用することにより、受光面電極と半導体基板との接触抵抗を低くし、これにより太陽電池の電池特性を改善しようとしているが、接触抵抗は、ガラスフリットの組成に依存する。すなわち、接触抵抗は、酸化テルルやその他の添加物(酸化タングステンや酸化モリブデン等)の影響を受けることから、接触抵抗を安定的に低く維持することが困難である。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができる太陽電池の電極形成に適した導電性ペースト、及びこの導電性ペーストを使用することによりエネルギー変換効率が高く、電池特性が良好な太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、ガラスフリット中にTe、Ba、Bi、更にはLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を酸化物換算で所定範囲となるように導電性ペーストを調製し、この導電性ペーストを焼結させて電極を形成することにより、電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る導電性ペーストは、太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、さらにLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を主成分として含有すると共に、前記Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、前記Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、前記Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量は、酸化物に換算して0.1〜15mol%であることを特徴としている。
また、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリット中の前記主成分の含有モル量が、酸化物に換算し総計で95mol%以上であるのが好ましい。
また、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリットが、Mg、Ca、及びSrのうちの少なくとも1種の成分を含有しているのが好ましい。
これらMg、Ca、Srを含有させた場合も、所望の低い接触抵抗を実現することが可能となる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリットが、Al、Ti、及びZrの中から選択された少なくとも1種の成分を含有しているのも好ましい。
これによりガラスの化学的耐久性の向上を図ることができる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記ガラスフリットの含有量が、1〜10wt%であるのが好ましい。
これにより電極と半導体基板との間の接合性が良好でかつはんだ付け性の良好な導電性ペーストを得ることができる。
また、本発明の導電性ペーストは、前記導電性粉末が、Ag粉末であるのが好ましい。
これにより導電性ペーストを大気中で焼成しても良好な導電性を有する電極を得ることが可能となる。
また、本発明に係る太陽電池は、半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該反射防止膜を貫通する電極が形成され、前記電極が、上記いずれかに記載の導電性ペーストが焼結されてなることを特徴としている。
本発明の導電性ペーストによれば、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリット、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、さらにLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を主成分として含有すると共に、前記Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、前記Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、前記Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量が、酸化物に換算して0.1〜15mol%であるので、電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができる。
また、本発明の太陽電池によれば、半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該記反射防止膜を貫通する電極が形成され、前記電極が、上記いずれかに記載の導電性ペーストが焼結されてなるので、電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることが可能となる。
本発明に係る導電性ペーストを使用して製造された太陽電池の一実施形態を示す要部断面図である。 受光面電極側を模式的に示した拡大平面図である。 裏面電極側を模式的に示した拡大底面図である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る導電性ペーストを使用して製造された太陽電池の一実施の形態を示す要部断面図である。
この太陽電池は、Siを主成分とした半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2及び受光面電極3が形成されると共に、該半導体基板1の他方の主面に裏面電極4が形成されている。
半導体基板1は、p型半導体層1bとn型半導体層1aとを有し、p型半導体層1bの上面にn型半導体層1aが形成されている。
この半導体基板1は、例えば、単結晶又は多結晶のp型半導体層1bの一方の主面に不純物を拡散させ、薄いn型半導体層1aを形成することにより得ることができるが、p型半導体層1bの上面に、n型半導体層1aが形成されているのであれば、その構造及び製法は特に限定されるものではない。また、半導体基板1は、n型半導体層の一方の主面に薄いp型半導体層が形成された構造のものや、半導体基板1の一方の主面の一部にp型半導体層とn型半導体層の両方が形成されている構造のものを用いてもよい。いずれにしても反射防止膜2が形成された半導体基板1の主面であれば、本発明に係る導電性ペーストを有効に用いることができる。
尚、図1では、半導体基板1の表面はフラット状に記載しているが、太陽光を半導体基板1に効果的に閉じ込めるために、表面は微小凹凸構造を有するように形成されている。
反射防止膜2は、窒化ケイ素(SiN)等の絶縁性材料で形成され、矢印Aに示す太陽光の受光面における反射を抑制し、太陽光を半導体基板1に迅速かつ効率よく導く。この反射防止膜2を構成する材料としては、上述した窒化ケイ素に限定されるものではなく、他の絶縁性材料、例えば酸化ケイ素や酸化チタンを使用してもよく、2種類以上の絶縁性材料を併用してもよい。また、結晶Si系であれば単結晶Si及び多結晶Siのいずれを使用してもよい。
受光面電極3は、半導体基板1上に反射防止膜2を貫通して形成されている。この受光面電極3は、スクリーン印刷等を使用し、後述する本発明の導電性ペーストを半導体基板1上に塗布して導電膜を作製し、焼成することによって形成される。すなわち、受光面電極3を形成する焼成過程で、導電膜下層の反射防止膜2が分解・除去されてファイヤースルーされ、これにより反射防止膜2を貫通する形態で半導体基板1上に受光面電極3が形成される。
受光面電極3は、具体的には、図2に示すように、多数のフィンガー電極5a、5b、…5nが櫛歯状に並設されると共に、フィンガー電極5a、5b、…5nと交差状にバスバー電極6が設けられ、フィンガー電極5a、5b、…5nとバスバー電極6とが電気的に接続されている。そして、受光面電極3が設けられている部分を除く残りの領域に、反射防止膜2が形成されている。このようにして半導体基板1で発生した電力をフィンガー電極5a、5b、…5nによって集電するとともにバスバー電極6によって外部へ取り出している。
裏面電極4は、具体的には、図3に示すように、p型半導体層1bの裏面に形成されたAl等からなる集電電極7と、該集電電極7と電気的に接続されたAg等からなる取出電極8とで構成されている。そして、半導体基板1で発生した電力は集電電極7に集電され、取出電極8によって電力を取り出している。
次に、受光面電極3を形成するための本発明の導電性ペーストについて詳述する。
本発明の導電性ペーストは、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有している。
そして、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、さらにLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を主成分として含有すると共に、Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量が、酸化物に換算して0.1〜15mol%とされている。
これにより、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗を低くすることが可能となり、エネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることができる。
以下、ガラスフリット中のTe、Ba、Bi、更にはLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量を上述の範囲に限定した理由を詳述する。
(1)Teの含有モル量
ガラスは、非晶質化して網目状のネットワーク構造を形成する網目状酸化物と、網目状酸化物を修飾して非晶質化する修飾酸化物と、両者の中間的な中間酸化物とで構成される。このうちTeOは、網目状酸化物として作用し、しかも、焼結後の受光面電極が半導体基板内部に深く侵食しないことから、ファイヤースルー性の制御が容易であり、重要な構成成分となり得る。
しかしながら、Teの含有モル量が、TeOに換算して55mol%未満に低下すると所望のファイヤースルー性を確保するのが困難となる。一方、Teの含有モル量が、TeOに換算して85mol%を超えると、他のガラス成分の含有モル量が過少となってガラス化するのが困難になる。
そこで、本実施の形態では、ガラスフリット中のTeの含有モル量を、TeOに換算して55〜85mol%としている。
(2)Baの含有モル量
BaOは、修飾酸化物としてガラスの流動性を調整する作用を有し、ファイヤースルー性の促進にも寄与する。
そして、斯かるファイヤースルー性を促進するためには、Baの含有モル量はBaOに換算して少なくとも0.1mol%以上は必要である。一方、Baの含有モル量がBaOに換算して35mol%を超えると、TeやBi等の他の含有成分が相対的に減少し、好ましくない。
そこで、本実施の形態では、ガラスフリット中のBaの含有モル量をBaOに換算して0.1〜35mol%としている。
(3)Biの含有モル量
Biは、修飾酸化物としてガラスの流動性を調整する作用を有し、また、ファイヤースルー性の促進にも寄与する。
そして、斯かるファイヤースルー性を促進するためには、Biの含有モル量はBiに換算して少なくとも0.1mol%以上は必要である。一方、Biの含有モル量がBiに換算して25mol%を超えると、ガラス化が困難になる。
そこで、本実施の形態では、ガラスフリット中のBiの含有モル量をBiに換算して0.1〜25mol%としている。
(4)Li、Na、及びKの含有モル量
LiO、NaO、及びKOは、Biと同様、修飾酸化物としてガラスの軟化点を調整する機能を有し、ファイヤースルー性の向上に寄与する。
そして、そのためにはLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を酸化物に換算して0.1mol%以上含有させる必要がある。一方、これらLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を、酸化物に換算して15mol%を超えて大量に含有させると、ガラスフリットの化学的耐久性が低下するおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラスフリット中のLi、Na、及びKの含有モル量は、酸化物に換算して0.1〜15mol%としている。
また、これら主成分(Te、Ba、Bi、Li、Na、及びK)の含有モル量は、ガラスフリット中で酸化物に換算して95mol%以上であるのが好ましい。これら主成分の含有モル量が酸化物換算で95mol%未満になると、主成分以外の添加成分の含有モル量が増加し、接触抵抗を十分に低減することができなくなる。
したがって、ガラスフリット中の含有モル量が、酸化物換算で5mol%未満の範囲内で、必要に応じ各種添加物を含有させることができる。
例えば、本実施の形態ではアルカリ土類金属として、Baを必須成分として含有しているが、Baに加えてMg、Ca、Srを酸化物換算で5mol%未満の範囲内でガラスフリット中に含有させるのも好ましい。MgO、CaO及びSrOは、BaOに比べるとファイヤースルー性に劣るものの、BaOと同様、ガラスの流動性を調整する作用を有する。
さらに、Al、Ti、Zr等もガラスフリットの化学的耐久性の向上に寄与することから、必要に応じて酸化物換算で5mol%未満の範囲内でガラスフリット中に含有させるのも好ましい。
尚、これらの添加物の添加形態は、特に限定されるものではなく、酸化物、水酸化物、過酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フッ化物等の形態で添加することができる。
また、導電性ペースト中のガラスフリットの含有量は、特に限定されるものではないが、1〜10wt%が好ましく、より好ましくは1〜5wt%である。すなわち、ガラスフリットの含有量が1wt%未満になると、電極と半導体基板との接合性が低下するおそれがあり、ガラスフリットの含有量が10wt%を超えると、焼成後の電極表面にガラス成分が過剰に存在してはんだ付け性の低下を招くおそれがある。
導電性粉末としては、良好な導電性を有する金属粉であれば特に限定されるものではないが、焼成処理を大気中で行った場合であっても酸化されることなく良好な導電性を維持することができるAg粉末を好んで使用することができる。尚、この導電性粉末の形状も、特に限定されるものではなく、例えば、球形状、扁平状、不定形形状、或いはこれらの混合粉であってもよい。
また、導電性粉末の平均粒径も、特に限定されるものではないが、導電性粉末と半導体基板1との間で、所望の接触点を確保する観点からは、球形粉換算で、0.5〜5.0μmが好ましい。
また、導電性ペースト中の導電性粉末の含有量は、特に限定されるものではないが、80〜95wt%が好ましい。導電性粉末の含有量が80wt%未満になると、電極の膜厚が薄くなり、ライン抵抗が増加する傾向になる。一方、導電性粉末の含有量が95wt%を超えると、有機ビヒクル等の含有量が少なくなってペースト化が困難になるおそれがある。
有機ビヒクルは、バインダ樹脂と有機溶剤とが、例えば体積比率で、1:9から3:7の範囲となるように調製されている。尚、バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、テキサノール、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
また、導電性ペーストには、必要に応じて、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジブチル等の可塑剤を1種又はこれらの組み合わせを添加するのも好ましい。また、脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤を添加するのも好ましく、さらにはチクソトロピック剤、増粘剤、分散剤などを添加してもよい。
そして、この導電性ペーストは、導電性粉末、ガラスフリット、有機ビヒクル、必要に応じて各種添加剤を所定の混合比率となるように秤量して混合し、三本ロールミル等を使用して分散・混練することにより、容易に製造することができる。
このように本導電性ペーストは、少なくともAg等の導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、更にはLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を主成分として含有すると共に、Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量は、酸化物に換算して0.1〜15mol%であるので、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗を低くすることができ、変換効率の向上を図ることができる。
また、Mg、Ca、Srを酸化物に換算し5mol%未満の範囲でガラスフリット中に含有させた場合も、ガラスの流動性を調整でき、所望の低い接触抵抗を実現することが可能となる。
また、Al、Ti、Zrを酸化物に換算し5mol%未満の範囲でガラスフリット中に含有させた場合も、ガラスフリットの化学的耐久性を向上させることができる。
そして、本太陽電池は、半導体基板1の一方の主面に反射防止膜2及び該反射防止膜2を貫通する受光面電極3が形成され、受光面電極3が、上記導電性ペーストが焼結されてなるので、受光面電極3と半導体基板1との間の接触抵抗及び受光面電極3のライン抵抗の双方を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることが可能となる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、導電性ペーストの構成成分についても、電池特性に影響を与えない限り、各種無機添加剤を含有させてもよい。
また、上記実施の形態では、導電性ペーストを受光面電極の形成用に使用したが、裏面電極の形成用に使用してもよい。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔試料の作製〕
(導電性ペーストの作製)
ガラス素材としてTeO、BaO、Bi、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、Al、TiO、ZrO、及びMoOを用意した。そして、これらガラス素材が表1に示すような配合量となるように秤量して調製し、試料番号1〜11のガラスフリットを作製した。
Figure 2014050704
また、導電性粉末として平均粒径が1.6μmの球形Ag粉末を用意した。
次いで、バインダ樹脂としてエチルセルロース樹脂10wt%、有機溶剤としてテキサノール90wt%となるようにエチルセルロース樹脂とテキサノールとを混合し、有機ビヒクルを作製した。
そして、Ag粉末が86.0wt%、ガラスフリットが3.0wt%となるように、これらを脂肪酸アマイドや脂肪酸等のレオロジー調整剤及び有機ビヒクルと共に配合し、プラネタリーミキサーで混合した後に、三本ロールミルで混練し、これにより試料番号1〜11の導電性ペーストを作製した。
(太陽電池セルの作製)
縦50mm、横50mm、厚み0.2mmの単結晶のSi系半導体基板の表面全域に膜厚0.1μmの反射防止膜をプラズマ化学気相成長法(PECVD)で形成した。尚、このSi系半導体基板は、p型Si系半導体層の一部にPを拡散させ、これによりp型Si系半導体層の上面にn型Si系半導体層が形成されている。
次いで、Alを主成分としたAlペースト、及びAgを主成分としたAgペーストを用意した。そして前記Si系半導体基板の裏面にAlペースト及びAgペーストを適宜塗付し、乾燥させて裏面電極用導電膜を形成した。
次に、上記導電性ペーストを使用してスクリーン印刷を行い、焼成後の膜厚が20μmとなるように、Si系半導体基板の表面に導電性ペーストを塗布し、受光面電極用導電膜を作製した。
次いで、各試料を温度150℃に設定したオーブン中に入れ、導電膜を乾燥させた。
その後、ベルト式近赤外炉(デスパッチ社製、CDF7210)を使用し、試料が入口〜出口間を約1分で搬送するように搬送速度を調整し、大気雰囲気下、最高焼成温度760〜800℃で焼成し、導電性ペーストが焼結されて受光面電極が形成された試料番号1〜11の太陽電池セルを作製した。尚、最高焼成温度を760〜800℃としたのは、ペースト組成によって最適な最高焼成温度が異なるからである。
〔試料の評価〕
試料番号1〜11の各試料について、ソーラーシミュレータ(英弘精機社製、SS−50XIL)を使用し、温度25℃、AM(エアマス)−1.5の条件下、電流−電圧特性曲線を測定し、この電流−電圧特性曲線から数式(1)で表わされる曲線因子FF(Fill Factor)を求めた。
FF=Pmax/(Voc×Isc) …(1)
ここで、Pmaxは試料の最大出力、Vocは出力端子を開放したときの開放電圧、Iscは出力端子を短絡したときの短絡電流である。
また、最大出力Pmax、受光面電極の面積A、放射照度Eから、数式(2)に基づき変換効率ηを求めた。
η=Pmax/(A×E) …(2)
表2は試料番号1〜11の曲線因子FF及び変換効率ηを示している。
Figure 2014050704
試料番号10は、曲線因子FFが0.712と低く、変換効率ηも15.21%と低かった。これはガラスフリット中にBaO、LiO、NaO、又はKOのいずれも含有されておらず、本発明範囲外のMoOが含有されているため、ファイヤースルー性に劣り、このため接触抵抗が大きくなって電池特性が劣化したものと思われる。
また、試料番号11は、曲線因子FFが0.750であり、変換効率ηも16.05%であり、試料番号10に比べると向上しているものの、未だ十分な電池特性を得ることができなかった。これはLiO、NaO、又はKOが含有されていないため、接触抵抗が十分に低下しなかったためと思われる。
これに対し試料番号1〜9は、TeOの含有モル量が55.0〜85.0mol%、BaOの含有モル量が0.1〜35.0mol%、Biの含有モル量が0.1〜25.0mol%、LiO、NaO、及びKOの中から選択された少なくとも1種の含有モル量が0.1〜15.0mol%であり、いずれも本発明範囲内であるので、曲線因子FFが0.765〜0.781、変換効率ηが16.38〜16.73%となり、良好な電池特性が得られた。
電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率の高い太陽電池を得ることができる。
1 半導体基板
2 反射防止膜
3 受光面電極(電極)
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、導電性ペースト中のガラスフリットの含有量の総計を酸化物換算で95mol%以上とし、かつ、ガラスフリット中にTe、Ba、Bi、更にはLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を酸化物換算で所定範囲となるように導電性ペーストを調製し、この導電性ペーストを焼結させて電極を形成することにより、電極と半導体基板との間の接触抵抗を低くすることができ、これによりエネルギー変換効率が高く、電池特性の良好な太陽電池を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る導電性ペーストは、太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、さらにLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を総計で酸化物に換算して95mol%以上含有すると共に、前記Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、前記Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量が、酸化物に換算して0.1〜15mol%であることを特徴としている。
本発明の導電性ペーストによれば、少なくとも導電性粉末と、ガラスフリット、有機ビヒクルとを含有し、前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、さらにLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を総計で酸化物に換算して95mol%以上含有すると共に、前記Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、前記Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、前記Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量が、酸化物に換算して0.1〜15mol%であるので、電極と半導体基板との間の接触抵抗及び電極のライン抵抗の双方を低くすることができる。

Claims (7)

  1. 太陽電池の電極を形成するための導電性ペーストであって、
    少なくとも導電性粉末と、ガラスフリットと、有機ビヒクルとを含有し、
    前記ガラスフリットは、Te、Ba、Bi、さらにLi、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種を主成分として含有すると共に、
    前記Teの含有モル量は、TeOに換算して55〜85mol%であり、前記Baの含有モル量は、BaOに換算して0.1〜35mol%であり、Biの含有モル量は、Biに換算して0.1〜25mol%であり、かつ前記Li、Na、及びKの中から選択された少なくとも1種の含有モル量が、酸化物に換算して0.1〜15mol%であることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記ガラスフリット中の前記主成分の含有モル量は、酸化物に換算し総計で95mol%以上であることを特徴とする請求項1記載の導電性ペースト。
  3. 前記ガラスフリットは、Mg、Ca、及びSrのうちの少なくとも1種の成分を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の導電性ペースト。
  4. 前記ガラスフリットは、Al、Ti、及びZrの中から選択された少なくとも1種の成分を含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の導電性ペースト。
  5. 前記ガラスフリットの含有量は、1〜10wtl%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導電性ペースト。
  6. 前記導電性粉末は、Ag粉末であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の導電性ペースト。
  7. 半導体基板の一方の主面に反射防止膜及び該反射防止膜を貫通する電極が形成され、
    前記電極が、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の導電性ペーストが焼結されてなることを特徴とする太陽電池。
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