JPWO2014038487A1 - 部材の製造方法および生体材料 - Google Patents

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Abstract

部材の製造方法であって、(a)純チタン金属材料の被処理体を多軸鍛造処理するステップであって、前記多軸鍛造処理は、各1回の鍛造で導入されるひずみ量が0.1〜0.8の範囲であるステップと、(b)前記多軸鍛造処理された被処理体を圧延処理するステップと、を有することを特徴とする製造方法。

Description

本発明は、例えば生体内に使用することの可能な部材の製造方法に関する。
一般に、純チタン(純度99%以上)は、優れた生体適合性を示すことが知られており、生体材料としての適用が期待されている。
ただし、実際に生体材料としての適用を考慮した場合、純チタンは、必ずしも強度が十分であるとは言い難い。このため、チタンを含む生体材料は、合金元素を添加して強度を高めたチタン合金として使用されることが一般的である。例えば、これまでの生体材料の研究開発では、その高い強度特性から、Ti−6Al−4V等のチタン合金が主として使用されている(非特許文献1)。
しかしながら、Ti−6Al−4V合金部材を生体内で使用した場合、しばしば、合金に含まれるアルミニウム(Al)およびバナジウム(V)によって、生体不活性さらには生態拒絶反応が生じることが知られている。これは、Alおよび/またはVのような元素は、神経毒性および/または細胞毒性を有するためであると考えられる。
そこで、このような問題を軽減するため、生体材料の表面に、母材よりも生体適合性に優れる材料をコーティングすることが提案されている(特許文献1)。
また、高合金化によってヤング率を低下させ人骨のヤング率に近くした体心立方晶のチタン合金も研究されているが、価格や生体親和性等の問題があり、実用化には至っていない(非特許文献2)。
特表2007−504920号公報
成島尚之,「生体材料としてのチタンおよびチタン合金」,軽金属、 Vol.55(2005),pp.561−565 Atsushi Danno et.al.,Materials and Design,Vol.31 (2010) S61-65
前述のように、Ti−6Al−4Vのようなチタン合金部材を生体内で使用した場合、しばしば、生体との間で不適合性反応が生じることが問題となっている。
しかしながら、母材にコーティングを施工する対策では、生体材料の製造方法が煩雑化するだけでなく、コーティング条件の最適化、および生体内環境でのコーティング材と母材との密着性の経時変化等、各種パラメータについての追加の検討が必要となってしまう。
そのため、コーティング処理を行わない状態でも、十分に良好な生体適合性を有し、良好な強度を有する生体材料が要望されている。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、本発明では、従来のチタン合金材料よりも生体適合性に優れる上、良好な強度を有する部材の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明では、従来のチタン合金材料よりも生体適合性に優れる上、良好な強度を有する部材を提供することを目的とする。
本発明では、部材の製造方法であって、
(a)純チタン金属材料(純度99%以上)の被処理体を多軸鍛造処理するステップであって、前記多軸鍛造処理は、各1回の鍛造で導入されるひずみ量が0.1〜0.8の範囲であるステップと、
(b)前記多軸鍛造処理された被処理体を圧延処理するステップと、
を有することを特徴とする製造方法が提供される。
ここで、本発明による製造方法において、前記(a)のステップは、室温以下の温度で実施されても良い。
また、本発明による製造方法では、前記(a)のステップにおいて、1回の鍛造は、1×10−3/秒以上のひずみ速度で実施されても良い。
また、本発明による製造方法では、前記(a)のステップにより、前記被処理体に、少なくとも1.0以上の累積ひずみが導入されても良い。
また、本発明による製造方法において、前記(b)のステップは、室温以下の温度で実施されても良い。
また、本発明による製造方法において、前記(b)のステップは、圧延率が50%以上となる条件で実施されても良い。
また、本発明による製造方法は、さらに、前記(a)のステップと(b)のステップの間に、
(c)前記被処理体を時効処理するステップ
を有しても良い。
この場合、前記(c)のステップは、300℃〜400℃の温度範囲で実施され、および/または
前記(c)のステップは、10秒〜10秒の間の時間実施されても良い。
また、本発明では、前述のような特徴を有する製造方法で製造された生体材料が提供される。
さらに、本発明では、結晶構造が稠密六方晶を主とする純チタン金属で構成された生体材料バルク材であって、
室温での最大引張応力が800MPaを超えることを特徴とする生体材料バルク材が提供される。
さらに、本発明では、多軸鍛造プロセスで製造された結晶粒径が500nm以下の超微細粒純チタンが提供される。
さらに、本発明では、ヤング率が85GPa以下の純チタン金属材料が提供される。
本発明では、従来のチタン合金材料よりも生体適合性に優れる上、良好な強度を有する部材の製造方法を提供することができる。また、本発明では、従来のチタン合金材料よりも生体適合性に優れる上、良好な強度を有する部材を提供することができる。
多軸鍛造処理方法を説明するための概略図である。 本発明の一実施例による製造方法のフローを概略的に示した図である。 純チタン試料の多軸鍛造処理前の組織写真(EBSP像)の一例を示した図である。 被処理体の多軸鍛造処理の間に得られた、20パスまでの累積ひずみ量ΣΔεと真応力σ(MPa)の関係を示した図である。 初期被処理体(累積ひずみ量ΣΔε=0)、多軸鍛造処理10パス後(累積ひずみ量ΣΔε=1.0)の被処理体、および多軸鍛造処理20パス後(累積ひずみ量ΣΔε=2.0)の被処理体のビッカース硬さをまとめて示したグラフである。 被処理体の多軸鍛造処理(Δε0.6×4パス)後に得られた微細組織の一例を示した図である。 各条件での多軸鍛造処理後に得られた被処理体のビッカース硬さをまとめて示した図である。 多軸鍛造処理後に各種条件で時効処理を実施した被処理体のビッカース硬さの測定結果をまとめて示した図である。 圧延処理後の被処理体のビッカース硬さの測定結果をまとめて示した図である。 被処理体に対して、多軸鍛造処理、時効処理、および圧延処理を実施した後の微細組織の一例を示した図である。 各サンプル1〜4の引張試験結果をまとめて示した図である。 各条件下で作製したサンプル1、5〜7に対する室温での引張試験結果から得られた、最大引張応力と伸びとの関係をまとめて示した図である。
以下、本発明について説明する。
一般に、実質的に合金元素を含まない純チタンは、優れた生体適合性を示すことが知られている。ただし、純チタンは、例えば、インプラント、生体内接合部材(ボルト、髄内釘など)、人工骨、および人工関節などの生体材料としての適用を考慮した場合、強度が十分であるとは言い難い。このため、チタンを含む部材を生体材料として使用する場合、そのような部材は、合金元素を添加して強度を高めたチタン合金として提供されることが一般的である。
しかしながら、例えばTi−6Al−4Vのような、各種合金元素を含むチタン合金部材を生体内で使用した場合、合金元素の存在により、しばしば、生体との間で不適合性反応が生じることが問題となる。
このため、高い強度を有し、さらに良好な生体適合性を有する生体材料の開発が、今もなお重要な課題となっている。
本願発明者らは、このような背景の下、鋭意研究開発を実施した結果、「多軸鍛造処理法」と「圧延処理法」を組み合わせて利用した場合、チタン金属材料を実質的に合金化しなくても、生体材料として使用し得る高い強度を有するチタン金属材料を提供することができることを見出し、本願発明に至った。
すなわち、本発明では、
部材の製造方法であって、
(a)チタン金属材料の被処理体を多軸鍛造処理するステップであって、前記多軸鍛造処理は、各1回の鍛造で導入されるひずみ量が0.1〜0.8の範囲であるステップと、
(b)前記多軸鍛造処理された被処理体を圧延処理するステップと、
を有することを特徴とする製造方法が提供される。
本発明による製造方法では、部材は、各種合金元素を含むチタン合金ではなく、純チタン金属で構成されるという特徴がある。このため、本発明による製造方法で製造された部材は、チタン合金部材に比べて、生体適合性が高いという特徴を有する。
なお、本願において、「純チタン金属」および「チタン金属」と言う用語は、CPチタン(Commercially Pure Titanium)とも称される、不純物量が少ないチタン材料を意味する(JIS規格では、第1種〜第4種の4種類に分類されている)。
また、本発明による製造方法では、「多軸鍛造処理法」と「圧延処理法」を組み合わせて利用するという特徴がある。以降に詳しく示すように、多軸鍛造処理法では、被処理体の結晶粒が微細化され、被処理体の強度を高めることが可能になる。また、多軸鍛造処理された被処理体は、結晶粒が微細化されているため、被処理体に対して、高い圧延率で圧延処理を適用することができる。従って、多軸鍛造処理後にさらに圧延処理を実施することにより、被処理体の強度をよりいっそう高めることができる。
このような特徴から、本発明による製造方法では、従来のチタン合金製部材に比べて良好な生体適合性を有するとともに、従来のチタン金属製部材に比べて良好な強度を有する部材を提供することが可能になる。
(多軸鍛造処理)
本願において、「多軸鍛造処理」とは、1方向での鍛造処理毎に、長手方向が圧縮方向となるようにして、被加工材料の鍛造方向を変えて圧縮を繰り返す加工処理方法を意味する。
以下、図1を参照して、多軸鍛造処理方法について詳しく説明する。
図1は、多軸鍛造処理方法を説明するための概略図である。
まず最初に、図1(1)に示すような矩形状の被加工体(サンプル)4が準備される。次に、この被加工体4が第1の方向(X軸方向)に沿って鍛造される(第1回目のパス)。
次に図1(2)に示すように、被加工体4が第2の方向(Y軸方向)に沿って鍛造される(第2回目のパス)。さらに、図1(3)に示すように、被加工体4が第3の方向(Z軸方向)に沿って鍛造される(第3回目のパス)。3回分のパスによって、被加工体4は、外観上、実質的に最初の形状に戻る(図1(4))。
なお、各方向における(各パスでの)鍛造処理において、被加工体に導入される加工ひずみ量Δεは、同じであっても異なっていても良い。
このような「多軸鍛造処理」方法では、各方向からの鍛造パスを順次繰り返すことにより、結果的に、被加工体4中に多量のひずみを導入することができる。
ただし、一般に、純チタン金属材料は、稠密六方晶(HCP)構造を有し、室温での活動すべり系が少ないため、加工性が低いことが知られている。そのため、純チタン金属材料に対して、1回のパスで大きなひずみを導入しようとすると、容易にワレや欠陥が生じてしまう。
そこで、本発明では、各1回の鍛造(「1パス」とも言う)で導入されるひずみ量を少なくして、各方向の鍛造を実施する。具体的には、各1回の鍛造で導入されるひずみ量は、0.1〜0.8の範囲である。これにより、純チタン金属材料の多軸鍛造処理後に、被処理体にワレや欠陥が発生するという問題を有意に軽減することができる。
(本発明の一実施例による製造方法)
次に、図面を参照して、本発明の一実施例による部材の製造方法について説明する。
図2には、本発明の一実施例による製造方法のフロー図を概略的に示す。
図2に示すように、本発明の一実施例による製造方法は、
チタン金属材料の被処理体を多軸鍛造処理するステップであって、前記多軸鍛造処理は、各1回の鍛造で導入されるひずみ量が0.1〜0.8の範囲であるステップ(S110)と、
前記多軸鍛造処理された被処理体を圧延処理するステップ(S120)と、
を有する。
なお、必要な場合、ステップS110とステップS120の間に、前記被処理体を時効処理するステップ(S115)を実施しても良い。
以下、各ステップについて詳しく説明する。
(ステップS110)
まず、被処理体に対して、前述のような特徴を有する多軸鍛造処理が実施される。
被処理体は、実質的に合金元素を添加していない純チタンで構成される。純チタンは、例えば、CPチタンである。JIS規格には、含有不純物濃度範囲によって分類された4種類のCPチタン(第1種〜第4種)が規定されている。
多軸鍛造処理の条件は、特に限られない。ただし、前述のように、チタン金属は、加工性が比較的悪いため、1パスの処理で被処理体に導入されるひずみ量が大きすぎると、被処理体にワレや欠陥が生じてしまう。一方、1パスの処理で被処理体に導入されるひずみ量が小さすぎると、各パス毎の効果が弱まり、多くの回数の鍛造が必要になってしまう。従って、1パスの処理で被処理体に導入されるひずみ量は、0.1〜0.8の範囲であり、0.2〜0.4の範囲であることが好ましい。
通常、多軸鍛造処理は、室温(300K)で実施されるが、多軸鍛造処理は、例えば77K(液体窒素雰囲気)のような、室温よりも低い温度で実施されても良い。低温での処理により、一度の鍛造で、より多くのひずみを被処理体に導入することができる。
なお、本願において、多軸鍛造処理の「温度」は、主として、被処理体が晒される環境側の温度を意味するものとする。これは、被処理体の温度は、鍛造の実施によってある程度上昇するため、被処理体の温度で「温度」を規定すると、その値が曖昧になるためである。
また、本発明において、各パスにおけるひずみ速度は、1×10−3/秒〜10/秒の範囲であることが好ましい。
多軸鍛造処理により、被処理体には、多くのひずみが導入される。多軸鍛造処理後に、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは、例えば、1.0〜40の範囲である。累積ひずみ量ΣΔεは、2.0〜10の範囲であることが好ましい。
このような多軸鍛造処理後には、チタン金属製の被処理体に、例えば平均結晶粒径が約500nm以下の、超微細粒の組織が得られることが認められている。
(ステップS115)
次に、必要な場合、多軸鍛造処理された被処理体が時効処理される。
時効処理を実施した場合、被処理体中に含まれる不純物酸素がチタン元素と反応し、チタン酸化物が形成されるため、被処理体の強度をいっそう高めることができる(析出硬化型の強化)。
時効処理の条件は、特に限られない。時効温度は、例えば、573K(300℃)〜673K(400℃)の範囲であっても良い。また、時効時間は、例えば、10秒〜10秒の範囲であっても良い。時効温度が高すぎたり、時効時間が長すぎたりすると、かえって被処理体の強度が低下する可能性がある。
(ステップS120)
次に、多軸鍛造処理された被処理体を用いて圧延処理が実施される。圧延処理は、被処理体の強度をよりいっそう高めるために実施される。
圧延処理は、例えば冷間圧延処理であり、室温以下の温度条件下で実施されても良い。例えば、圧延処理は、液体窒素温度(77K(−196℃))下で実施されても良い。また、圧延処理は、例えば、圧延率が50%以上、95%以下となるような条件で実施されても良い。
ここで、本発明の一実施例による製造方法では、ステップS110における多軸鍛造処理によって、被処理体の結晶粒は、超微細化されている。このため、本発明の一実施例による製造方法では、圧延率が50%以上の高圧延率で圧延処理を実施しても、被処理体にワレや欠陥等が生じることが有意に抑制されることに留意する必要がある。
以上の工程により、チタン金属部材を製造することができる。
この方法で製造された純チタン金属部材は、例えば、室温での最大引張強度(初期ひずみ速度1.0×10−2/秒での引張試験)が800MPaを超える(例えば1000MPaを超える)など、一般的なチタン金属部材の強度を大きく上回る。従って、この方法で製造されたチタン金属製部材は、高い強度を有し、良好な生体適合性を有する生体材料として使用することができる。
なお、生体材料としては、これに限られるものではないが、例えば、インプラント、生体内接合部材(ボルト、髄内釘など)、人工骨、および人工関節などが挙げられる。
次に、本発明による実施例について説明する。
(実験1)
以下に示す方法でチタン金属部材を製造し、その特性を評価した。
まず、被処理体として、寸法が、直径約60mmの市販の丸棒状純チタン試料(第2種のCPチタン)を準備した。
図3には、純チタン試料の組織写真(EBSP(電子後方散乱回折像法)像)の一例を示す。EBSP装置のソフトを利用して求めた純チタン試料の平均結晶粒径は、約33μm程度であった。
次に、この処理体を用いて、以下のように多軸鍛造処理を実施した。
まず、室温(300K)で、試料の第1の方向(X方向)に沿って、試料を鍛造した(第1パス)。第1パスにより導入されるひずみ量Δεは、0.1とした。次に、試料の第2の方向(Y方向)に沿って、試料を鍛造した(第2パス)。第2パスにより導入されるひずみ量Δεは、0.1とした。次に、試料の第3の方向(Z方向)に沿って、試料を鍛造した(第3パス)。第3パスにより導入されるひずみ量Δεは、0.1とした。
このように、X方向→Y方向→Z方向の順番で、鍛造処理を合計24回(24パス)繰り返すことにより、被処理体に累積ひずみΣΔε=2.4を導入した。なお、各パスにおいて、ひずみ速度は、いずれも5×10−3/秒とした。多軸鍛造処理後に、被処理体には、ワレや欠陥の発生は認められなかった。
図4には、被処理体の多軸鍛造処理の間に得られた、20パスまでの累積ひずみ量ΣΔεと真応力σ(MPa)の関係を示す。
この図から、各パス毎に、被処理体に約0.1ずつひずみが導入されていることがわかる。また、鍛造の繰り返しにより、被処理体の変形抵抗が徐々に増加し、累積ひずみ量ΣΔε=2.0の段階(20パス後)には、被処理体の真応力は、800MPa以上に達していることがわかる。これは、多軸鍛造処理によって、被処理体の高強度化が達成されることを示唆するものである。
図5は、初期被処理体(累積ひずみ量ΣΔε=0)、多軸鍛造処理10パス後(累積ひずみ量ΣΔε=1.0)の被処理体、および多軸鍛造処理20パス後(累積ひずみ量ΣΔε=2.0)の被処理体のビッカース硬さをまとめて示したグラフである。
この図から、被処理体のビッカース硬さは、累積ひずみ量ΣΔεの増加とともに大きく上昇することがわかる。例えば、20パス後(累積ひずみ量ΣΔε=2.0)の被処理体のビッカース硬さは、約2500MPaとなっており、初期被処理体(累積ひずみ量ΣΔε=0)のビッカース硬さである約1700MPaを大きく上回っている。
なお、図4および図5から、被処理体のビッカース硬さは、被処理体の強度の指標となることがわかる。すなわち、ビッカース硬さの大きな被処理体は、ビッカース硬さの小さい被処理体に比べて、強度が高いと言える。
次に、被処理体に対して、1パスで導入されるひずみ量Δεを0.6として、同様の多軸鍛造処理(4パス)を実施した。これにより、被処理体に累積ひずみΣΔε=2.4が導入された。なお、多軸鍛造処理後に、被処理体には、ワレや欠陥の発生は認められなかった。
図6には、被処理体の多軸鍛造処理(Δε0.6×4パス)後に得られた微細組織の一例を示す。この図は、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影された写真である。
図6と図3(初期被処理体の組織)の比較から、被処理体の多軸鍛造処理によって、結晶粒が均一に微細化されていることがわかる。特に、平均結晶粒径は、約500nm以下となっており、極めて微細で均一な結晶粒組織(以下、「微細粒組織」とも称する)が得られていることがわかる。
なお、組織の一部には、変形双晶が観測された。従って、このような変形双晶の発生が、結晶粒の微細化を促進しているものと考えられる。
ここで、変形双晶とは、ある面に平行な剪断変形によって形成された母層と同じ結晶構造を有する方位の異なる領域を意味する。
また、図6の左下に示すように、被処理体の電子線回折パターンは、リング形状に近くなっている。このことから、生成された微細結晶粒同士が、高方位をなしていることがわかる。
次に、被処理体に対して、1パスで導入されるひずみ量Δεを、0.1〜0.8の範囲で変化させるとともに、各パスにおけるひずみ速度を、1×10−3/秒〜1×10−2/秒の範囲で変化させ、同様の多軸鍛造処理を実施した。なお、累積ひずみ量ΣΔεは、いずれも2.4に統一した。
図7には、各条件下での多軸鍛造処理後に得られた被処理体のビッカース硬さをまとめて示す。なお、図において、横軸は、1パスで導入されるひずみ量Δεであり、縦軸は、ビッカース硬さである。また、図には、参考のため、液体窒素温度(77K)での同様の多軸鍛造処理後の結果も合わせて示した(図中の×印)。
なお、何れの条件の場合も、処理後の被処理体には、ワレや欠陥等の不具合は、認められなかった。また、処理後の被処理体には、図6に示すような均一な微細粒組織が観察された。
この図7から、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεが同一(累積ひずみ量ΣΔε=2.4)の場合でも、ビッカース硬さは、1パスで導入されるひずみ量Δεおよびひずみ速度によって変化する傾向にあることがわかる。すなわち、同一のひずみ速度(5×10−3/秒)で比較した場合、1パスで導入されるひずみ量Δεを大きくすると、ビッカース硬さは、より増加する傾向にある。また、同一のひずみ量Δε(0.6および0.8)で比較した場合、ひずみ速度が1×10−3/秒から1×10−2/秒まで上昇すると、ビッカース硬さは、より増加する傾向にあることがわかる。
さらに、同一のひずみ量Δε(0.6)、同一のひずみ速度(5×10−3/秒)での比較から、室温よりも低い温度(77K)で多軸鍛造処理を実施した方が、ビッカース硬さが向上することがわかる。
以上の実験から、1パスで導入されるひずみ量Δεを0.1〜0.8の範囲とした多軸鍛造処理により、純チタン試料に微細粒組織が導入され、強度が高まることが確認された。
特に、1パスで導入されるひずみ量Δεをより大きくし、各パスにおけるひずみ速度をより大きくし、多軸鍛造処理の温度をより低下させることにより、被処理体において微細粒組織がより発達しやすくなり、これにより強度が向上する傾向にあることが確認された。
(実験2)
次に、以下の方法で、多軸鍛造処理された後の被処理体に対して時効処理を実施し、その効果を評価した。
まず、被処理体を多軸鍛造処理した。多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.4とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.4とした。
次に、多軸鍛造処理された被処理体に対して、各種条件下で、時効処理を実施した。時効処理温度は、573K〜723Kの範囲とした。
図8には、各種条件での時効処理後の被処理体のビッカース硬さの測定結果をまとめて示す。図において、横軸は、時効時間とした。
この結果から、適正な時効処理によって、被処理体のビッカース硬さ、すなわち強度がさらに向上することがわかった。より具体的には、時効温度を573K(300℃)〜673K(400℃)の範囲とし、時効時間を10秒〜10秒の範囲とすることにより、被処理体の強度が向上することがわかった。
これは、時効処理によって被処理体に含まれる微量不純物の酸素とチタンが反応し、酸化物が形成された(析出硬化された)ためであると考えられる。ただし、時効温度を723K(450℃)とした場合、および時効時間が1×10秒を超える場合、ビッカース硬さの向上効果は、得られなかった。これは、これらの条件下では、過時効が生じるためであると考えられる。
この結果から、適正な条件での被処理体の時効処理は、被処理体の強度向上に有効なプロセスであることがわかった。
(実験3)
次に、以下の方法で、多軸鍛造処理された後の被処理体に対して圧延処理を実施し、その効果について評価した。
まず、被処理体を多軸鍛造処理した。多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.1とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.0とした。
次に、多軸鍛造処理された被処理体に対して、圧延処理を実施した。圧延処理は、室温で実施した。また、圧延による被処理体の圧延率は、65%および86%とした。なお、圧延処理前に、時効処理は実施していない。
このようにして作製した圧延率の異なる2種類の被処理体を用いて、ビッカース硬さを測定した。
図9には、圧延処理後の被処理体のビッカース硬さの測定結果をまとめて示す。なお、図9では、横軸を多軸鍛造によって導入された累積歪み量ΣΔεで表示し、縦軸をビッカース硬さで表示した。また、図には、前述の(実験1)において得られた、各累積ひずみ量ΣΔεでの被処理体のビッカース硬さの測定結果(図5のプロットおよび曲線)を同時に示した。
この図9から、多軸鍛造処理のみを実施した場合に比べて、圧延処理を実施することにより、被処理体のビッカース硬さ、すなわち強度がより上昇することがわかる。また、ビッカース硬さの上昇は、被処理体の圧延処理の際の圧延率の増加とともに顕著になることがわかる。
図10には、被処理体に対して、多軸鍛造処理、時効処理、および圧延処理を実施した後の微細組織の一例を示す。この図は、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影された写真である。
多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.4とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.4(Δε0.6×4パス)とした。また、時効処理条件は、時効温度573K(300℃)、時効時間1800秒とした。さらに、圧延処理は、室温冷間圧延とし、圧延率は95%とした。
この図10の組織写真と図6に示した多軸鍛造処理後の組織写真を比べると、結晶粒の寸法など、微細粒組織自身には、大きな変化は認められないことがわかる。この結果から、圧延処理の実施による、結晶粒のさらなる微細化効果は少ないと考えられる。
従って、圧延処理による被処理体の強度向上の効果の大部分は、結晶粒の微細化ではなく、圧延集合組織の形成によってもたらされていると考えられる。すなわち、圧延処理によって、被処理体の圧延面には、底面集合組織が形成される。従って、この底面集合組織によって、被処理体の塑性変形の抵抗上昇効果が生じ、これにより、被処理体の強度が向上するものと考えられる(圧延集合組織強化)。
前述のように、通常の純チタン金属部材に対して、50%〜95%の高圧縮率で圧延処理を実施した場合、ワレや欠陥等の不具合が生じる可能性がある。しかしながら、本発明の一実施例による製造方法では、多軸鍛造処理によって被処理体の結晶粒が超微細化されている。このため、圧延率が50%〜95%の高圧縮率で圧延処理を実施しても、被処理体にワレや欠陥等が生じることを有意に抑制することができる。さらに、このような圧延処理によって、例えば圧延集合組織強化等の効果が生じ、被処理体のさらなる強度向上効果を得ることができる。
(実験4)
次に、以下の4種類のサンプルを準備し、多軸鍛造処理された後の被処理体に対する圧延処理の効果について評価した。
(サンプル1)
多軸鍛造処理および圧延処理をいずれも実施していない前述の純チタン製被処理体をサンプル1とする。
(サンプル2)
以下の条件で被処理体を多軸鍛造処理し、サンプル2を作製した。
多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.1とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは1.0とした(従って、トータル10パス)。なお、圧延処理は、実施していない。
(サンプル3)
以下の条件で被処理体を多軸鍛造処理し、サンプル3を作製した。
多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.1とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.0とした(従って、トータル20パス)。なお、圧延処理は、実施していない。
(サンプル4)
以下の条件で、被処理体を多軸鍛造処理した後に圧延処理し、サンプル4を作製した。
まず、被処理体を多軸鍛造処理した。多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.1とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.0とした(従って、トータル20パス)。次に、被処理体を圧延処理した。圧延処理による被処理体の圧延率は、86%とした。なお、圧延処理は、室温で実施した。
(評価)
次に、各サンプル1〜4を用いて、室温での引張試験を実施した(引張速度:1.7×10−3/秒)。
図11には、各サンプル1〜4の引張試験結果をまとめて示す。
ここで、図11において、サンプル4の結果として、2本の応力−ひずみ曲線が示されている。これは、サンプルの圧延方向と引張方向の関係が異なるためである。すなわち、曲線4(1)は、サンプル4の圧延方向と引張試験の引張方向とが等しい場合の応力−ひずみ曲線に対応し、曲線4(2)は、サンプル4の圧延方向と引張試験の引張方向とが垂直な場合の応力−ひずみ曲線に対応する。
図11の結果から、多軸鍛造処理および圧延処理をともに実施していないサンプル1に比べて、多軸鍛造処理のみを実施したサンプル2およびサンプル3においても、強度の向上が認められることがわかる。また、多軸鍛造処理後にさらに圧延処理を実施したサンプル4では、サンプル2、3に比べて、よりいっそうの強度の向上が認められることがわかる。特に、サンプル4では、純チタン金属製のサンプルであるにもかかわらず、930MPaもの高い真応力の値が達成されている(サンプル1の約2倍)。
なお、サンプル4において、圧延方向と引張方向の違いが強度に及ぼす影響は、認められなかった。
このように、多軸鍛造処理後に圧延処理を加えることによって、被処理体の強度がいっそう上昇することが確認された。
なお、加工熱処理プロセス中の結晶粒超微細化により、ヤング率の低下が起こる。例えば、図11の引張試験の時にひずみゲージを試料に貼り付け、ヤング率を測定すると、ヤング率として、85GPa以下が達成された。
(実験5)
次に、以下の4種類のサンプルを準備し、多軸鍛造処理された後の被処理体に対する時効処理および圧延処理の効果について評価した。
(サンプル1)
多軸鍛造および圧延処理のいずれも実施していない前述の純チタン製被処理体をサンプル1とする。
(サンプル5)
以下の条件で被処理体を多軸鍛造処理し、サンプル5を作製した。
多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.4とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.4とした(従って、トータル6パス)。なお、時効処理および圧延処理は、実施していない。
(サンプル6)
以下の条件で、被処理体を多軸鍛造処理した後、時効処理し、さらに圧延処理し、サンプル6を作製した。
まず、被処理体を多軸鍛造処理した。多軸鍛造処理の温度は室温とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.4とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.4とした(従って、トータル6パス)。次に、被処理体を時効処理した。時効処理温度は、573K(300℃)とし、時効処理時間は、1800秒とした。次に、被処理体を圧延処理した。圧延処理による被処理体の圧延率は、86%とした。なお、圧延処理は、室温で実施した。
(サンプル7)
以下の条件で、被処理体を多軸鍛造処理した後、時効処理し、さらに圧延処理し、サンプル7を作製した。
まず、被処理体を多軸鍛造処理した。多軸鍛造処理の温度は77K(液体窒素環境)とし、1パスで導入されるひずみ量Δεは0.4とし、各パスにおけるひずみ速度は5×10−3/秒とし、被処理体に導入される累積ひずみ量ΣΔεは2.4とした(従って、トータル6パス)。次に、被処理体を時効処理した。時効処理温度は、573K(300℃)とし、時効処理時間は、1800秒とした。次に、被処理体を圧延処理した。圧延処理による被処理体の圧延率は、86%とした。なお、圧延処理は、77K(液体窒素環境)で実施した。
(評価)
次に、各サンプル1、5〜7を用いて、室温での引張試験を実施した(引張試験の初期ひずみ速度1.0×10−2/秒)。
図12には、各条件下で作製したサンプルに対する室温での引張試験結果から得られた、最大引張応力と伸びとの関係をまとめて示す。
図において、□印は、前述のサンプル1の結果を表し、○印は、前述のサンプル5の結果を表し、△印は、前述のサンプル6の結果を表し、▲印は、前述のサンプル7の結果を表す。
図12から、多軸鍛造処理、時効処理、および圧延処理をいずれも実施していないサンプル1に比べて、多軸鍛造処理のみを実施したサンプル5においても、強度の向上が認められる。また、多軸鍛造処理、時効処理、および圧延処理を全て実施したサンプル6、7では、サンプル5に比べて、よりいっそうの強度の向上が認められることがわかる。特に、サンプル6、7では、純チタン金属製のサンプルであるにもかかわらず、1000MPaを超える最大引張応力の値が達成されている(サンプル1の約2.5倍)。
このように、多軸鍛造処理、時効処理、および圧延処理の組み合わせにより、被処理体の強度(最大引張応力)が大きく向上することが確認された。
これらの純チタン材料の引張試験の結果から、加工熱処理プロセス過程で徐々にヤング率低下が起こり、最低で62GPaを達成した。一般的な純チタンのヤング率100〜110GPaの半分近くまで低化させることを得た。この低ヤング率は、人骨のヤング率約40GPa程度に近く、生体材料としての有用性が期待される。このような低ヤング率チタンは、元素添加によって合金化された体心立方晶チタン合金等では報告があるものの、純チタンでは無い。
本発明は、例えば、生体材料などに使用される部材の製造方法等に利用することができる。
本願は、2012年9月4日に出願した日本国特許出願2012−194384号に基づく優先権を主張するものであり、同日本国出願の全内容を本願の参照として援用する。
4 被加工体

Claims (12)

  1. 部材の製造方法であって、
    (a)純チタン金属材料(純度99%以上)の被処理体を多軸鍛造処理するステップであって、前記多軸鍛造処理は、各1回の鍛造で導入されるひずみ量が0.1〜0.8の範囲であるステップと、
    (b)前記多軸鍛造処理された被処理体を圧延処理するステップと、
    を有することを特徴とする製造方法。
  2. 前記(a)のステップは、室温以下の温度で実施されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(a)のステップにおいて、1回の鍛造は、1×10−3/秒以上のひずみ速度で実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記(a)のステップにより、前記被処理体に、少なくとも1.0以上の累積ひずみが導入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の製造方法。
  5. 前記(b)のステップは、室温以下の温度で実施されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の製造方法。
  6. 前記(b)のステップは、圧延率が50%以上となる条件で実施されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の製造方法。
  7. さらに、前記(a)のステップと(b)のステップの間に、
    (c)前記被処理体を時効処理するステップ
    を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法。
  8. 前記(c)のステップは、300℃〜400℃の温度範囲で実施され、および/または
    前記(c)のステップは、10秒〜10秒の間の時間実施されることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一つに記載の製造方法で製造された生体材料。
  10. 純チタン金属で構成された生体材料バルク材であって、
    室温での最大引張応力が800MPaを超えることを特徴とする生体材料バルク材。
  11. 多軸鍛造プロセスで製造された結晶粒径が500nm以下の超微細粒純チタン。
  12. ヤング率が85GPa以下の純チタン金属材料。
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