JPWO2014024379A1 - メソポーラスシリカ微粒子、メソポーラスシリカ微粒子の製造方法、メソポーラスシリカ微粒子含有組成物、メソポーラスシリカ微粒子含有成形物及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

メソポーラスシリカ微粒子、メソポーラスシリカ微粒子の製造方法、メソポーラスシリカ微粒子含有組成物、メソポーラスシリカ微粒子含有成形物及び有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

本発明のメソポーラスシリカ微粒子は、第一のメソ孔を有する粒子内部と、前記粒子内部を被覆する粒子外周部と、を備える。前記粒子外周部は、有機シリカかならなる有機シリカ被覆部を含む。前記有機シリカは、シリカ骨格内の2つのSi間が有機基によって架橋されている架橋型有機シリカを含む。

Description

本発明は、メソポーラスシリカ微粒子と、メソポーラスシリカ微粒子の製造方法と、前記メソポーラスシリカ微粒子を用いて得られる組成物と、前記組成物を用いて得られる成形物と、前記メソポーラスシリカ微粒子を用いて得られる有機エレクトロルミネッセンス素子と、に関する。
従来、低反射率(Low−n)及び/又は低誘電率(Low−k)を実現する微粒子として、特許文献1に記載されているような中空構造のシリカ微粒子が知られている。また近年では、更なる高空隙化による高性能化が要求されている。ところが、中空シリカ微粒子は外側の殻を薄くすることが難しく、粒径100nm以下に微粒子化するとその構造から空隙率が低下しやすくなってしまう。
そのような状況の中、メソポーラスシリカ微粒子は、その構造から微粒子化しても空隙率が低下しにくいという特徴があり、次代の高空隙微粒子として低反射率(Low−n)の材料、低誘電率(Low−k)の材料、さらには低熱伝導率材料への応用が期待されている。そして、メソポーラスシリカ微粒子を樹脂などのマトリクス形成材中に分散させることで、上記の機能を有する成形物を得ることができる(特許文献2〜6参照)。また、外殻部にメソ細孔構造を有する、コアシェル型のメソポーラスシリカ粒子なども提案されている(特許文献7参照)。
特開2001−233611号公報 特開2009−040965号公報 特開2009−040966号公報 特開2009−040967号公報 特開2004−083307号公報 特開2007−161518号公報 特開2009−263171号公報
Microporous and Mesoporous Materials 120 (2009) 447-453
メソポーラスシリカ微粒子の優れた機能を有する成形物を作製するには、空隙率の高いメソポーラスシリカ微粒子を成形物に保持させることが必要である。しかしながら、従来のメソポーラスシリカ微粒子では空隙量が少ないため、メソポーラスシリカ微粒子の含有量が少ないと成形物等が上記のような機能を十分に得られず、逆に、メソポーラスシリカ微粒子の含有量が多くなると成形物の強度が低下するという問題があった。また、メソポーラスシリカ微粒子をさらに高空隙化する取り組みもなされている。例えば、非特許文献1には、スチレンなどを加えることでメソ孔を拡大し粒子を高空隙化する技術が記載されている。しかし、この方法では、メソ孔の形状や配置の規則性がなく、粒子の強度に起因して成形物の強度が低くなるおそれがあった。また、同時に、メソ孔の拡大によりマトリクス形成材料がメソ孔内に侵入しやすくなり、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率といった機能が発現しにくくなるおそれがあった。
さらに、メソポーラスシリカ微粒子の複合化による成形物の機能向上には、メソポーラスシリカ微粒子を成形物中に高度に分散させることが必要である。しかし、従来のメソポーラスシリカ微粒子には、分散性の点でさらなる改善が求められていた。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、成形物に、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率などといった優れた機能と、高強度化との両方を付与できるメソポーラスシリカ微粒子を提供することを目的とする。
本発明は、
第一のメソ孔を有する粒子内部と、前記粒子内部を被覆する粒子外周部と、を備え、
前記粒子外周部は、有機シリカからなる有機シリカ被覆部を含み、
前記有機シリカが、シリカ骨格内の2つのSi間が有機基によって架橋されている架橋型有機シリカを含む、
メソポーラスシリカ微粒子を提供する。
本発明によれば、マトリクス形成材料中への分散性を高め、メソ孔へのマトリクス形成材料の侵入を抑えることができ、成形物に低反射率(Low−n)及び/又は低誘電率(Low−k)、低熱伝導率などといった優れた機能と、高強度化との両方を付与できるメソポーラスシリカ微粒子を提供できる。
本発明の実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 実施例1のメソポーラスシリカ微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像を示す写真である。 実施例1のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。 実施例2のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。 実施例2のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。 実施例3のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。 実施例3のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。 比較例1のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。 比較例1のメソポーラスシリカ微粒子のTEM像を示す写真である。
本発明者らは、マトリクスを形成する材料(マトリクス形成材料)にメソポーラスシリカ微粒子を分散させて成形物を形成する際、従来のメソポーラスシリカ微粒子は、その表面が親水性であるため親水性のマトリクス形成材料中には比較的分散しやすいが、疎水性のマトリクス形成材料中には分散しにくい、という課題を有することを見出した。そこで、本発明者らは、検討を重ねた末、マトリクス形成材料への優れた分散性を有し、その結果、成形物の機能をより向上させることが可能な、メソポーラスシリカ微粒子を提供するに至った。さらに、本発明者らは、そのようなメソポーラスシリカ微粒子を製造できる方法も提供するに至った。さらに、本発明者らは、前記メソポーラスシリカ微粒子を用いて得られる組成物と、前記組成物を用いて得られる成形物と、前記メソポーラスシリカ微粒子を用いて得られる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と記載する。)と、を提供するにも至った。
本発明の第1の態様は、
第一のメソ孔を有する粒子内部と、前記粒子内部を被覆する粒子外周部と、を備え、
前記粒子外周部は、有機シリカからなる有機シリカ被覆部を含み、
前記有機シリカが、シリカ骨格内の2つのSi間が有機基によって架橋されている架橋型有機シリカを含む、
メソポーラスシリカ微粒子を提供する。
第1の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子には、粒子外周部に有機シリカ被覆部が含まれている。したがって、有機シリカに含まれる有機基を適切に選択することによって粒子表面を疎水性にすることができるので、成形物を構成するマトリクス形成材料が疎水性である場合でも、マトリクス形成材料中への優れた分散性が得られる。さらに、有機シリカ被覆部には架橋型有機シリカが含まれているので、有機基が骨格内に組み込まれて有機シリカ被覆部内に均一に配置された状態となっている。したがって、マトリクス形成材料に対する均一な分散性及び反応性等の機能を均一に発現することが可能となる。また、メソ孔を有する粒子内部が粒子外周部で被覆されているので、マトリクス形成材料が粒子内部のメソ孔内に侵入しにくくなる。したがって、メソポーラスシリカ微粒子の添加量を多くしなくても、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率といった機能が十分に発現され得る。これらにより、第1の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子は、成形物に、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率などといった優れた機能と、高強度化との両立を付与できる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記有機シリカ被覆部が、前記第一のメソ孔よりも小さい第二のメソ孔を有する、メソポーラスシリカ微粒子を提供する。
第2の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子によれば、成形物を構成するマトリクス形成材料の粒子内部のメソ孔内への侵入のし難さを保持しつつ、粒子の空隙量を増加させることが可能となる。
本発明の第3の態様は、
第一の界面活性剤と、水と、アルカリと、前記第一の界面活性剤によって形成されるミセルの体積を増大させる疎水部を備えた疎水部含有添加物と、シリカ源とを混合して界面活性剤複合シリカ微粒子を作製する界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程と、
前記界面活性剤複合シリカ微粒子に有機シリカ源を加えて、有機シリカで前記界面活性剤複合シリカ微粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機シリカ被覆工程と、
を含む、メソポーラスシリカ微粒子の製造方法を提供する。
本発明の第3の態様に係る製造方法によれば、マトリクス形成材料への高い分散性を有し、メソ孔へのマトリクス形成材料の侵入を抑えることができ、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率などといった優れた機能と、高強度化との両方を成形物に対して付与できる、メソポーラスシリカ微粒子を製造できる。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記有機シリカ被覆工程において、前記界面活性剤複合シリカ微粒子に前記有機シリカ源と第二の界面活性剤とを加えて、前記第二の界面活性剤が複合された有機シリカで前記界面活性剤複合シリカ微粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、メソポーラスシリカ微粒子の製造方法を提供する。
第4の態様に係る製造方法によれば、前記第一のメソ孔よりも小さい第二のメソ孔を有する有機シリカ被覆部を備えたメソポーラスシリカ微粒子を製造できる。
本発明の第5の態様は、第1の態様又は第2の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子と、マトリクス形成材料と、を含む、メソポーラスシリカ微粒子含有組成物を提供する。
第5の態様に係る組成物によれば、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率などといった優れた機能と高強度化とを両立できる成形物を、容易に製造できる。
本発明の第6の態様は、第5の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子含有組成物が所定の形状に成形された、メソポーラスシリカ成形物を提供する。
第6の態様に係る成形物は、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率などといった優れた機能と高強度化との両立を実現できる。
本発明の第7の態様は、
第一の電極及び第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置された、発光層を含む有機層と、を備え、
前記有機層が、第1の態様又は第2の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子を含んでいる、
有機EL素子を提供する。
第7の態様に係る有機EL素子では、発光層を含む有機層が、第1の態様又は第2の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子を含んでいる。上記のとおり、第1の態様又は第2の態様に係るメソポーラスシリカ微粒子は、低反射率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率などといった優れた機能と高強度化との両方を、成形物に付与できる。したがって、第7の態様に係る有機EL素子によれば、発光層を含む有機層を低屈折率とすることができるので、高い発光性を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[メソポーラスシリカ微粒子]
メソポーラスシリカ微粒子は、第一のメソ孔を有する粒子内部と、前記粒子内部を被覆する粒子外周部と、を備えている。なお、メソポーラスシリカ微粒子がコアシェル型構造を有する場合、粒子内部がコア部、粒子外周部がコア部を被覆するシェル部となる。粒子外周部は、有機シリカの被覆により形成された部分を含んでいる。以下、本明細書では、第一のメソ孔を備える粒子内部の部分をシリカコアともいう。また、有機シリカの被覆により形成された部分を有機シリカ被覆部(又は有機シリカシェル)ともいう。有機シリカ被覆部を形成している有機シリカは、シリカ骨格内の少なくとも一部において2つのSi間が有機基によって架橋されている構造をもつもの(架橋型有機シリカ)を含む。上記のとおり、粒子外周部は有機シリカ被覆部を含んでいればよく、粒子外周部が有機シリカ以外の材料からなる被覆部をさらに含んでいてもよい。しかし、本実施形態では、粒子外周部が有機シリカ被覆部からなる構成を例に挙げて説明する。
メソポーラスシリカ微粒子の平均粒子径は、100nm以下であることが好ましい。それにより、低屈折率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率が求められるデバイス構造に組み込むことが容易になり、デバイス内に微粒子を高密度に充填することが可能となる。メソポーラスシリカ微粒子の平均粒子径がこの範囲より大きいと高充填できなくなるおそれがある。メソポーラスシリカ微粒子の平均粒子径の下限は実質的に10nmである。平均粒子径は好ましくは、20〜100nmである。ここで、メソポーラスシリカ微粒子の粒子径は、有機シリカ被覆部、すなわち粒子外周部を含む径であり、シリカコアの粒子径に有機シリカ被覆部の厚みを合計したものとなる。シリカコアの平均粒子径は例えば20〜80nmとすることができる。なお、メソポーラスシリカ微粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡による直接観察により少なくとも30個のメソポーラスシリカ微粒子の粒子径を測定し、得られた測定値の算術平均値を求めることにより求められる値である。また、シリカコアの平均粒子径は、後述のメソポーラスシリカ微粒子の製造において、「界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程」の後に、「有機シリカ被覆工程」を実施せずに「除去工程」を実施して得られた粒子を用いて、確認することが可能である。具体的には、電子顕微鏡による直接観察により少なくとも30個の粒子の粒子径を測定し、得られた測定値の算術平均値を求めて、これを平均粒子径とする。
第一のメソ孔は孔径が3.0nm以上であることが好ましく、またメソポーラスシリカ微粒子中に複数の第一のメソ孔が等間隔で粒子内部に配置して形成されていることが好ましい。それにより、メソポーラスシリカ微粒子を含む組成物を成形した際に、第一のメソ孔が等間隔に配置していることで、メソ孔が偏在している場合のように強度が弱くなったりすることがなく、強度を均一に維持しつつ、十分な高空隙率化が実現できるものである。第一のメソ孔の孔径が3.0nm未満になると十分な空隙が得られないおそれがある。また、第一のメソ孔の孔径は10nm以下であることが好ましい。メソ孔の孔径がそれよりも大きくなると、空隙が大きくなりすぎて粒子が壊れやすくなってしまい成形物の強度が弱くなるおそれがある。なお、等間隔とは完全に等間隔であることを要するものではなく、TEM観察等を行った場合に実質的に等間隔と認められるものであればよい。なお、第一のメソ孔の孔径は、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)解析法により得られる細孔径分布から求められる値である。第二のメソ孔の孔径についても同様である。
粒子外周部、本実施形態ではシリカコアを被覆する有機シリカ被覆部(有機シリカシェル)は、シリカコア全体を被覆していてもよいし、シリカコアを部分的に被覆していてもよい。それにより、シリカコアの表面に露出した第一のメソ孔を塞ぐ、あるいは、第一のメソ孔の開口面積を縮小することができる。
有機シリカ被覆部の厚みは、30nm以下であることが好ましい。厚みがそれ以上になると、粒子全体の空隙量が小さくなってしまうおそれがある。低屈折率材料として用いる場合は、10nm以下であれば十分に低屈折率化することができ、より好ましい。また、有機シリカ被覆部の厚みは、1nm以上であることが好ましい。厚みがそれ以下になると、被覆量が少なくなって、第一のメソ孔を十分に塞ぐ、あるいは縮小することができなくなるおそれがある。
有機シリカ被覆部は、第一のメソ孔よりも小さい第二のメソ孔を備えていることが好ましい。有機シリカ被覆部が第一のメソ孔より小さい孔径の第二のメソ孔を有していることにより、樹脂などのマトリクス形成材料の第一のメソ孔への侵入しにくさを保持しつつ、粒子の空隙量を増大させることが可能となる。
第二のメソ孔は孔径が2nm以上であることが好ましく、また有機シリカ被覆部に複数の第二のメソ孔が等間隔で配置して形成されていることが好ましい。第二のメソ孔が等間隔に配置していることにより、メソポーラスシリカ微粒子を含む組成物を成形した際に、メソ孔が偏在している場合のように強度が弱くなったりすることがなく、強度を均一に維持しつつ、十分な高空隙率化が実現できるものである。第二のメソ孔の孔径が2nm未満になると十分な空隙が得られないおそれがある。また、第二のメソ孔の孔径は第一のメソ孔の孔径の90%以下であることが好ましい。第二のメソ孔の孔径がそれよりも大きくなると、第一のメソ孔の孔径との差がほぼ無くなり、被覆の効果が発現しないおそれがある。なお、「等間隔」とは完全に等間隔であることを要するものではなく、TEM観察等を行った場合に実質的に等間隔と認められるものであればよい。
メソポーラスシリカ微粒子は、有機シリカ被覆部を備えている。すなわち、メソポーラスシリカ微粒子の表面には、有機シリカに含まれる有機基が存在している。このような有機基の存在により、マトリクス形成材料に対する分散性及び反応性などのメソポーラスシリカ微粒子の機能を高めることができる。メソポーラスシリカ微粒子は、有機シリカ被覆部を形成している有機シリカに含まれる有機基とは別に、その表面に有機基をさらに備えることが好ましい。さらなる有機基の導入により、分散性や反応性などの機能性をさらに高めることができる。
メソポーラスシリカ微粒子表面には、均一に有機基が配置されることが好ましい。それにより、分散性や反応性などの機能性の向上を均一に発現させることができる。有機シリカ被覆部を形成している有機シリカは、シリカ骨格の一部が、2つのSi間が有機基によって架橋されている構造を有する架橋型有機シリカを含む。有機シリカ被覆部を形成している有機シリカは、架橋型有機シリカからなっていてもよい。このような架橋型有機シリカによれば、より均一に有機基が配置されることになり、好ましい。
メソポーラスシリカ微粒子表面に存在する有機基は、疎水性の官能基であることが好ましい。それにより、分散液においては溶媒中への分散性が向上し、また樹脂組成物においては樹脂中への分散性が向上する。したがって、粒子が均一に分散した成形物を得ることができるものである。また、高密度で成形する場合、成形中や成形後に、水分がメソポーラスシリカ微粒子のメソ孔や空孔に侵入して品質劣化するおそれがある。しかし、疎水性の官能基が水分吸着を防ぐので、高品質な成形物を得ることができるものである。
疎水性の官能基としては、特に限定されるものではない。この疎水性の官能基が、有機シリカ被覆部を形成している有機シリカを構成する官能基であり、2つのSi間を架橋する2価の官能基である場合は、例えば、メチレン基、エチレン基及びブチレン基などのアルキレン基、フェニレン基及びビフェニレン基などの2価の芳香族基といった疎水性の有機基が挙げられる。また、この疎水性の官能基が、メソポーラスシリカ微粒子の表面にさらに付加された官能基の場合、例えば、メチル基、エチル基及びブチル基などのアルキル基、フェニル基及びビフェニル基などの芳香族基といった疎水性の有機基や、それらのフッ素置換体などを挙げることができる。好ましくは、これら疎水性の官能基は、有機シリカ被覆部に設けられる。それにより、疎水性を効果的に高めて分散性を向上することができる。
また、メソポーラスシリカ微粒子は、その粒子表面に反応性の官能基を備えることが好ましい。反応性の官能基とは、主にマトリクスを形成する樹脂と反応する官能基である。それにより、マトリクスを形成する樹脂と微粒子の官能基とが反応して化学結合を形成することができるので、成形物の強度を向上することができる。好ましくは、これら反応性の官能基は有機シリカ被覆部に設けられる。それにより、反応性を効果的に高めて成形物の強度を向上することができる。
反応性の官能基は、特に限定されるものではないが、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、イソシアネート基、メルカプト基、スルフィド基、ウレイド基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基などが好ましい。これらの官能基によれば、当該官能基が樹脂と化学結合を形成するので、メソポーラスシリカ微粒子とマトリクスを形成する樹脂との密着性を高めることができる。
[メソポーラスシリカ微粒子の製造]
本発明のメソポーラスシリカ微粒子の製造方法は特に限定されないが、以下の方法で行うことが好ましい。まず、疎水部含有添加物を内包する界面活性剤ミセルがテンプレートとしてメソ孔内部に存在する界面活性剤複合シリカ微粒子を作製する「界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程」を行う。そして、次に、この界面活性剤複合シリカ微粒子に有機シリカ源を加えて、有機シリカで前記シリカ微粒子(シリカコア)の表面の少なくとも一部を被覆する「有機シリカ被覆工程」を行う。そして、最後に、界面活性剤複合シリカ微粒子に含まれる界面活性剤及び疎水部含有添加物を除去する「除去工程」を行う。
(界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程)
界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程では、まず、界面活性剤(第一の界面活性剤)と、水と、アルカリと、前記界面活性剤によって形成されるミセルの体積を増大させる疎水部を備えた疎水部含有添加物と、シリカ源とを含む混合液を作製する。
シリカ源としては、メソポーラスシリカ微粒子における第一のメソ孔を有する粒子内部を形成するシリカ源であればよく、適宜のシリカ源(ケイ素化合物)を用いることができる。このようなものとして、例えば、シリコンアルコキシドを挙げることができ、特にテトラアルコキシシランである、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどを挙げることができる。その中でも良好なメソポーラスシリカ微粒子を簡単に作製できることから、テトラエトキシシラン(Si(OC)を用いることが好ましい。
さらに、シリカ源として、有機基を有するアルコキシシランを含有することが好ましい。このようなアルコキシシランを用いることで、疎水部含有添加物を内包する界面活性剤ミセルとシリカ源とをより安定的に反応させることができ、粒子内部にメソ孔が等間隔に配置されたメソポーラスシリカ微粒子を容易に製造することができるものである。
有機基を有するアルコキシシランとしては、シリカ源の成分として用いることにより界面活性剤複合シリカ微粒子を得ることができるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基、アリール基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、スルフィド基、ウレイド基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基などを有機基として含むアルコキシシランを挙げることができる。なかでも、アミノ基がより好ましく、例えば、アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を好ましく用いることができる。
界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、トリブロックコポリマーのいずれの界面活性剤を用いてもよいが、好ましくはカチオン性界面活性剤を用いる。カチオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、特にオクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウム塩カチオン性界面活性剤が、良好なメソポーラスシリカ微粒子を簡単に作製できることから好ましい。
シリカ源と界面活性剤との混合比率は特に制限されるものでないが、重量比で、1:10〜10:1であるのが好ましい。界面活性剤の量がシリカ源に対してこの重量比の範囲外であると生成物の構造の規則性が低下しやすくなって、規則正しくメソ孔が配列したメソポーラスシリカ微粒子を得ることが難しくなるおそれがある。特に、100:75〜100:100であれば、容易に規則正しく配列したメソ孔が配列したメソポーラスシリカ微粒子を得ることが可能である。
疎水部含有添加物は、上記のような界面活性剤が形成するミセルの体積を増大させる効果を有する疎水部を備えた添加物である。疎水部含有添加物を含有すると、アルコキシシランの加水分解反応を進行させる際に、この添加物が界面活性剤ミセルの疎水部に取り込まれることによってミセルの体積を大きくさせるため、第一のメソ孔が大きいメソポーラスシリカ微粒子を得ることができる。疎水部含有添加物としては、特に限定されるものではないが、分子全体が疎水性のものとしてはアルキルベンゼンや長鎖アルカン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、シクロヘキサンなどを例示することができ、分子の一部に疎水部を備えたものとしてはブロックコポリマーなどを例示することができる。特にメチルベンゼン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどのアルキルベンゼンは、ミセルに取り込まれやすいため、第一のメソ孔が大きくなりやすく好ましい。
なお、メソポーラス材料を作製する場合に、疎水性の添加物を加えてメソ孔を拡大することは、先行技術文献J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 10834-10843や、Chem. Mater.2008, 20, 4777-4782において開示されている。しかしながら、本発明の製造方法においては、上記のような方法を用いることにより、微小なデバイスに適用可能な分散の良い微粒子という状態を保持したまま、メソ孔を拡大することで高空隙化されたメソポーラスシリカ微粒子を得ることができる。
混合液における疎水部含有添加物の量は、界面活性剤に対して物質量比(モル比)で3倍以上であることが好ましい。それにより、メソ孔の大きさを十分なものにすることができ、より高空隙の微粒子を容易に作製することができる。界面活性剤に対する疎水部含有添加物の量が3倍未満であると、十分なメソ孔の大きさを得られないおそれがある。疎水部含有添加物が過剰な量で含まれていたとしても、過剰な疎水部含有添加物はミセルの中に取り込まれず、微粒子の反応に大きな影響は与えにくい。したがって、疎水部含有添加物の量の上限は、特に限定されるものではないが、加水分解反応の効率化を考えると100倍以内であることが好ましい。さらに好ましくは3倍以上〜50倍以内である。
混合液には好ましくはアルコールが含まれる。混合液にアルコールが含まれていると、シリカ源が重合する際に、重合体の大きさや形状を制御することができ、大きさの揃った球状の微粒子に近づけることができる。特にシリカ源として有機基を有するアルコキシシランを用いた場合、粒子の大きさや形状が不規則になりやすくなるが、アルコールが含まれていれば、有機基による形状等の乱れを防止し、粒子の大きさや形状を整えることが可能になる。
ところで、先行技術文献Microporous and Mesoporous Materials 2006, 93, 190-198では、各種アルコールを用いて形状の異なるメソポーラスシリカ微粒子を作製することが開示されている。しかしながら、この文献の方法では、メソ孔の大きさが不十分であり高空隙を形成する微粒子を作製することができない。一方、上記の本実施形態の方法では、前述のような混合物にアルコールを添加した場合には、粒子の成長が抑制されながらも第一のメソ孔の大きな微粒子をさらに得ることができるものである。
アルコールとしては、特に限定されるものではないが、2つ以上の水酸基を有する多価アルコールが、粒子成長を良好に制御できることから好ましい。多価アルコールとしては、適宜のものを使用することができるが、例えば、エチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを使用することが好ましい。アルコールの混合量は、特に制限されるものではないが、シリカ源に対して1000〜10000質量%程度であることが好ましく、2200〜6700質量%程度であることがより好ましい。
そして、界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程では、次に、上記の混合液を混合し攪拌して、界面活性剤複合シリカ微粒子を作製する。この混合及び攪拌によってシリカ源がアルカリにより加水分解反応を起こして重合する。なお、上記の混合液の調製にあたっては、界面活性剤と、水と、アルカリと、疎水部含有添加物とを含む混合液に、シリカ源を加えることによって上記の混合液を調製してもよい。
反応に用いるアルカリとしては、界面活性剤複合シリカ微粒子の合成反応に用いることのできる無機及び有機のアルカリを適宜用いることができる。例えば、窒素系のアルカリであるアンモニウム又はアミン系のアルカリ、アルカリ金属の水酸化物を用いることが好ましく、その中でも水酸化ナトリウムを用いることがより好ましい。
なお、混合液における、シリカ源と、水を含み、場合によりアルコールを含む分散溶剤との混合比率は、シリカ源が加水分解反応して得られる縮合化合物1質量部に対して、分散溶剤5〜1000質量部であることが好ましい。分散溶剤の量がこれよりも少ないと、シリカ源の濃度が高すぎて反応速度が速くなり規則正しいメソ構造が安定して形成されにくくなるおそれがある。一方、分散溶剤の量がこの範囲よりも多いと、メソポーラスシリカ微粒子の収量が極めて低くなってしまうため実用的な製造方法になりにくくなるおそれがある。
このようにして、界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程で作製された界面活性剤複合シリカ微粒子は、メソポーラスシリカ微粒子においてシリカコアを構成するものとなる。
(有機シリカ被覆工程)
有機シリカ被覆工程では、この界面活性剤複合シリカ微粒子(シリカコア)にさらに有機シリカ源を加えて、前記シリカ微粒子の表面、すなわち、シリカコアの表面を、有機シリカで被覆する。その際、界面活性剤(第二の界面活性剤)を用いるとともに疎水部含有添加物を用いないようにすると、第一のメソ孔よりも小さい第二のメソ孔を、有機シリカ被覆部に簡単に形成することができる。
例えば、まず、界面活性剤複合シリカ微粒子と、水と、アルカリと、有機シリカ源とを含む混合液を作製する。界面活性剤複合シリカ微粒子は、前記の工程で得たものをそのまま精製等することなく用いてもよい。また、界面活性剤を用いると、反応溶液中でミセルを形成するため、第二のメソ孔を簡単に形成することができる。
有機シリカ源としては、有機基(R)の両側にSiアルコキシド基[Si(OR]が結合した有機シラン[(RO)Si−R−Si(RO)]を用いると、シリカ骨格内において2つのSi間が有機基によって架橋されている構造を簡単に形成することができる。
2つのSi間を架橋する有機基(R)としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ビフェニル基、トルイル基、ジエチルフェニレン基、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基などを例示することができる。特に、メチレン基、エチレン基、ビニレン基、フェニレン基は、構造規則性の高い有機シリカ被覆部を形成することができることから好ましい。
有機シリカ被覆工程で用いられる界面活性剤としては、界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程で用いたもの(第一の界面活性剤)と同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。同じものを用いれば製造が簡単になる。
有機シリカ源と界面活性剤との混合比率は特に制限されるものでないが、重量比で、1:10〜10:1であるのが好ましい。界面活性剤の量がシリカ源に対してこの重量比の範囲外であると生成物の構造の規則性が低下しやすくなって、規則正しくメソ孔が配列したメソポーラスシリカ微粒子を得ることが難しくなるおそれがある。特に、100:75〜100:100であれば、容易に規則正しく配列したメソ孔が配列したメソポーラスシリカ微粒子を得ることが可能である。
そして、有機シリカ被覆工程では、次に、上記の混合液を混合し攪拌して界面活性剤複合シリカ微粒子の表面に有機シリカ被覆部を作製する。この混合及び攪拌によって有機シリカ源がアルカリにより加水分解反応を起こして重合し、界面活性剤複合シリカ微粒子の表面に有機シリカ被覆部が形成される。なお、上記の混合液の調製にあたっては、界面活性剤と、水と、アルカリと、有機シリカ源とを含む混合液に、界面活性剤複合シリカ微粒子を加えることによって上記の混合液を調製してもよい。
反応に用いるアルカリとしては、界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程で用いたものと同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。同じものを用いれば製造が簡単になる。
なお、混合液における、界面活性剤複合シリカ微粒子と添加する有機シリカ源との混合比率は、界面活性剤複合シリカ微粒子を形成するシリカ源1質量部に対して、有機シリカ源が0.1〜10質量部であることが好ましい。有機シリカ源の量がこれよりも少ないと、十分な被覆が得られなくなるおそれがある。一方、有機シリカ源の量がこの範囲よりも多いと、有機シリカ被覆部が厚くなりすぎて、空隙による十分な効果を得にくくなるおそれがある。
有機シリカ被覆工程では、有機シリカ源に、テトラエトキシシラン(TEOS)などのテトラアルコキシシランと、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)などの界面活性剤とを混合したものを用いることが好ましい。テトラアルコキシシランとしては、TEOSを用いることが望ましい。TEOSを混合して用いると、有機シリカ被覆部の構造規則性をさらに高めることができる。TEOSの配合量は、有機シリカ源1質量部に対して、0.1〜10質量部にすることができ、0.5〜2質量部であることが好ましい。TEOSが用いられる場合は、CTABが好適に用いられる。CTABの配合量は、界面活性剤複合シリカ微粒子を形成するシリカ源1質量部に対して、0.1〜10質量部にすることができる。
また、有機シリカ被覆工程を2回以上又は3回以上といった複数回行うことも好ましい。それにより、多重層の有機シリカ被覆部を得ることが可能となり、第一のメソ孔の開口をより確実に塞ぐことができる。
有機シリカ被覆工程での攪拌温度は室温(例えば25℃)〜100℃にすることが好ましい。有機シリカ被覆工程での攪拌時間は30分〜24時間であることが好ましい。攪拌温度、攪拌時間がこのような範囲であると、製造効率を高めつつ、シリカコアとなる界面活性剤複合シリカ微粒子の表面に、十分な有機シリカ被覆部を形成することができる。
(除去工程)
有機シリカ被覆工程で界面活性剤複合シリカ微粒子(シリカコア)を有機シリカ被覆部(有機シリカシェル)で被覆した後、除去工程により、界面活性剤複合シリカ微粒子に含まれる界面活性剤及び疎水部含有添加物の除去を行う。界面活性剤と疎水部含有添加物を除去することにより、第一のメソ孔及び第二のメソ孔が空隙となって形成されたメソポーラスシリカ微粒子を得ることができる。
界面活性剤が複合されたシリカ微粒子からテンプレートである界面活性剤と疎水部含有添加物を取り除くためには、界面活性剤複合シリカ微粒子をテンプレートが分解する温度で焼成することもできる。しかしながら、この除去工程では、凝集を防止し微粒子の媒質への分散性を向上させるために、抽出によりテンプレートを除去することが好ましい。例えば、酸によりテンプレートを抽出し除去することができる。
またさらに、酸と、アルキルジシロキサンを混合することによって、界面活性剤を界面活性剤複合シリカ微粒子の第一のメソ孔及び第二のメソ孔から除去するとともに、界面活性剤複合シリカ微粒子の表面をシリル化する工程を含むことが好ましい。その場合、酸がメソ孔内の界面活性剤を抽出するとともに、有機ケイ素化合物のシロキサン結合を開裂反応で活性化させ、シリカ微粒子表面のシラノール基をアルキルシリル化することができる。このシリル化により粒子の表面を疎水基で保護し、第一のメソ孔及び第二のメソ孔がシロキサン結合の加水分解により破壊されるのを抑制することができる。また、さらに粒子間のシラノール基の縮合で生じるおそれがある粒子の凝集を抑制することが可能となる。
アルキルジシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサンを用いることが好ましい。ヘキサメチルジシロキサンを用いた場合、トリメチルシリル基を導入することができ、小さい官能基で保護することが可能となる。
アルキルジシロキサンと混合する酸としては、シロキサン結合を開裂させる効果を有するものであればよく、例えば塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素などを使用することができる。酸としては、界面活性剤の抽出とシロキサン結合の開裂を速やかに行うために、反応液のpHが2未満となるように配合を調製することが好ましい。
酸及び分子中にシロキサン結合を含んだ有機ケイ素化合物を混合する際には適宜の溶剤を用いることが好ましい。溶剤を用いることにより、混合を行い易くすることができる。溶剤としては、親水的なシリカナノ微粒子と疎水的なアルキルジシロキサンを馴染ませるような両親媒性を有するアルコールを用いることが好ましい。例えば、イソプロピルアルコールが挙げられる。
酸とアルキルジシロキサンによる反応は、界面活性剤複合シリカ微粒子を合成した後、有機シリカ被覆部を形成する反応を行った液体をそのまま用いて、その反応液中で実施してもよい。その場合、界面活性剤複合シリカ微粒子合成後、又は、有機シリカ被覆部の形成後に、粒子を液から分離回収する必要がなく、分離回収工程を省くことができる。したがって、製造工程を簡略化させることができる。また、分離回収工程を含まないので、界面活性剤複合シリカ微粒子を凝集させることなく均一に反応させて、メソポーラスシリカ微粒子を微粒子の状態のままで得ることができるものである。
除去工程は、例えば、酸とアルキルジシロキサンを有機シリカ被覆部形成後の反応液に混合し、40〜150℃程度、好ましくは40〜100℃程度の加温条件で、1分〜50時間程度、好ましくは1分〜8時間程度攪拌することによって、酸が界面活性剤をメソ孔から抽出するのと同時に、酸によってアルキルジシロキサンが開裂反応を引き起して活性化して第一のメソ孔及び第二のメソ孔や、粒子表面をアルキルシリル化することができる。
ここで、界面活性剤複合シリカ微粒子が、その表面に酸とアルキルジシロキサンとの混合によってシリル化されない官能基を有していても好ましい。それにより、メソポーラスシリカ微粒子の表面にシリル化されない官能基が残るので、この官能基と反応する物質により容易にメソポーラスシリカ微粒子の表面を処理したり表面での化学結合を形成したりすることができる。したがって、メソポーラスシリカ微粒子とマトリクスを形成する樹脂の官能基とが反応し化学結合を形成するといった表面処理反応を、簡単に行うことが可能となる。このような官能基は、前記の工程においてシリカ源に含まれることによって形成することができる。
酸と分子中にシロキサン結合を含んだ有機ケイ素化合物との混合によってシリル化されない官能基としては、特に限定されるものではないが、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、スルフィド基、ウレイド基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、スチリル基などが好ましい。
除去工程により作製されたメソポーラスシリカ微粒子は、遠心分離やろ過などによって回収した後に媒質に分散したり、あるいは透析などによって媒質交換したりすることによって、分散液及び組成物、並びに成形物に用いることができる。
上記のようなメソポーラスシリカ微粒子の製造方法によれば、アルカリ条件下でアルコキシシランの加水分解反応を進行させた際に、界面活性剤によって第一のメソ孔を形成すると共に、疎水部含有添加物が界面活性剤ミセル中に取り込まれてミセル径を増大させることにより、空隙の増大した微粒子状のメソポーラスシリカ微粒子を形成することができる。そして、有機シリカの被覆によってメソ孔にマトリクス形成材料が侵入するのを抑制できるメソポーラスシリカ微粒子を得ることができる。
[組成物]
メソポーラスシリカ微粒子含有組成物は、上記のメソポーラスシリカ微粒子をマトリクス形成材料中に含有させることにより得ることができる。このメソポーラスシリカ微粒子含有組成物は、低屈折率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率の機能を有する成形物を容易に製造できるものである。そして、組成物においてはメソポーラスシリカ微粒子がマトリクス形成材料中で均一に分散されるため、この組成物を利用して均一な成形物を製造することが可能となる。
マトリクス形成材料としては、メソポーラスシリカ微粒子の分散性を損なわないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フルオレン樹脂を挙げることができ、これらは紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体、さらにアルコキシシラン等の加水分解性有機ケイ素化合物等であってもよい。組成物には必要に応じて、添加物を加えてもよい。添加物は発光材料、導電材料、発色材料、蛍光材料、粘度調整材料、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤などが挙げられる。
[成形物]
メソポーラスシリカ微粒子含有成形物は、上記のメソポーラスシリカ微粒子含有組成物を成形して得ることができる。これにより、低屈折率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率の機能を有する成形物を得ることが可能となる。また、メソポーラスシリカ微粒子は分散性がよいので、成形物中のメソポーラスシリカ微粒子はマトリクスの中で均一に配置され、性能のばらつきが少ない成形物を得ることができる。また、メソポーラスシリカ微粒子が有機シリカで被覆されているため、メソポーラスシリカ微粒子のメソ孔にマトリクス形成材料の侵入が抑制された成形物を得ることができる。
メソポーラスシリカ微粒子を含有した成形物を作製する方法としては、メソポーラスシリカ微粒子含有組成物を任意の形状に加工できればよく、その方法は限定されるものではないが、印刷、コーティング、押し出し成形、真空成形、射出成形、積層成形、トランスファー成形、発泡成形などを用いることができる。
さらに基板の表面にコーティングする場合は、その方法は特に限定されるものではないが、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコート)、ロールコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコート、ドクターブレード等の通常の各種塗装方法を選択することができる。また固体を任意の形状に加工するために、切削やエッチングなどの方法を用いることもできる。
成形物にあっては、メソポーラスシリカ微粒子がマトリクス形成材料と化学的な結合を有して複合化していることが好ましい。それにより、メソポーラスシリカ微粒子とマトリクス形成材料とをより強固に密着することができる。なお、複合化とは、化学結合によってコンプレックスを形成している状態のことである。
メソポーラスシリカ微粒子とマトリクス形成材料とが、両者の表面で化学結合するような官能基を有していればよく、形成される化学結合の構造は特に限定されない。例えば、一方がアミノ基を有していれば、他方がイソシアネート基、エポキシ基、ビニル基、カルボニル基、Si−H基などを有することが好ましく、その場合、容易に化学反応して化学結合を形成することができる。
成形物にあっては、高透明性、低誘電性、低屈折性及び低熱伝導性から選ばれるいずれか一つあるいは二つ以上の機能を発現することが好ましい。成形物が高透明性、低誘電性、低屈折性及び/又は低熱伝導性を発現することにより、高品質なデバイスを製造することができる。また、これらの性能が二つ以上発現すれば、多機能性を有する成形物を得ることができるので、多機能性が要求されるデバイスを製造することができる。すなわち、メソポーラスシリカ微粒子含有成形物は、均一性に優れ、高透明性、低屈折率(Low−n)、低誘電率(Low−k)及び/又は低熱伝導率の性能を有するものである。
特に、低屈折率(Low−n)の性質を利用したものとして、例えば、有機EL素子、及び、反射防止膜を挙げることができる。
図1は、有機EL素子の形態の一例である。
図1に示す有機EL素子1は、基板2の表面に、第一の電極3、有機層4及び第二の電極5が、第一の電極3側からこの順に積層させることによって構成されている。基板2は、第一の電極3とは反対側の面において外部(例えば大気)と接している。第一の電極3は、光透過性を有し、有機EL素子1の陽極として機能する。有機層4は、ホール注入層41、ホール輸送層42及び発光層43が第一の電極3側からこの順に積層されることによって、構成されている。発光層43には、発光材料44中にメソポーラスシリカ微粒子Aが分散されている。第二の電極5は、光反射性を有し、有機EL素子1の陰極として機能する。なお、発光層43と第二の電極5との間に、ホールブロック層、電子輸送層、電子注入層を更に積層してもよい(不図示)。このように構成された有機EL素子1においては、第一の電極3及び第二の電極5間に電圧が印加されると、第一の電極3は発光層43にホールを注入し、第二の電極5は発光層43に電子を注入する。これらホールと電子とが発光層43内で結合することにより、励起子が生成され、励起子が基底状態に遷移することにより発光する。発光層43において発光した光は、第一の電極3及び基板2を透過して外部へ取り出される。
そして、発光層43は上記のメソポーラスシリカ微粒子Aを含有しているので、低屈折率となって発光性を高めることができるものであり、また、高い強度を得ることができるものである。なお、発光層43を多層構造にしてもよい。例えば、メソポーラスシリカ微粒子Aを含まない発光材料で発光層43の外層(又は第1層)を形成し、メソポーラスシリカ微粒子Aを含む発光材料で発光層43の内層(又は第2層)を形成することにより、多層構造にすることができる。この場合、他の層との接触面において発光材料の接触が増加し、より高い発光を得ることができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
[メソポーラスシリカ微粒子の製造]
(実施例1)
界面活性剤複合シリカ微粒子の合成:
冷却管、攪拌機、温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、HO:133g、1N−NaOH水溶液:2.0g、エチレングリコール:20g、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB):1.20g、1,3,5−トリメチルベンゼン(TMB):1.54g(物質量比TMB/CTAB=4)、テトラエトキシシラン(TEOS):1.29g、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES):0.23gを混合し、60℃で4時間攪拌することで、界面活性剤複合シリカ微粒子を作製した。
有機シリカ被覆部の形成:
界面活性剤複合シリカ微粒子の反応溶液中に、TEOS:0.75g、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン:0.64gを添加し2時間攪拌した。
テンプレートの抽出及び溶媒分散液の作製:
イソプロピルアルコール(IPA):30g、5N−HCl:60g、ヘキサメチルジシロキサン:26gを混合し、72℃で攪拌しておき、作製した界面活性剤複合シリカ微粒子を含んだ合成反応液を添加し、30分間攪拌・還流した。以上の操作により、界面活性剤複合シリカ微粒子からテンプレートである界面活性剤及び疎水部含有添加物が抽出され、メソポーラスシリカ微粒子の分散液を得た。
メソポーラスシリカ微粒子の分散液を、12,280Gの遠心力で20分間遠心分離した後、液を除去した。沈殿した固相にIPAを加え、振とう機で粒子をIPA中で振とうすることでメソポーラスシリカ微粒子を洗浄した。12,280Gの遠心力で20分間遠心分離し、液を除去しメソポーラスシリカ微粒子を得た。
作製したメソポーラスシリカ微粒子0.2gにIPA3.8gを加えて、振とう機で再分散させたところ、イソプロパノールに分散したメソポーラスシリカ微粒子を得た。同様の操作で、アセトン、キシレンに分散したメソポーラスシリカ微粒子を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、界面活性剤複合シリカ微粒子を合成した。この反応溶液中にTEOS:0.75g、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(BTEB)0.50gを添加し2時間攪拌し、有機シリカ被覆部を形成した。実施例1と同じ条件でテンプレートの抽出及びIPA、アセトン、キシレン分散液の作製を行った。
(実施例3)
実施例2と同様の方法により、界面活性剤複合シリカ微粒子を合成した。この反応溶液中にCTAB:1.2gを添加し60℃で10分攪拌した後、TEOS:0.75g、BTEB:0.50gを添加し2時間攪拌し、有機シリカ被覆部を形成した。実施例1と同じ条件でテンプレートの抽出及びIPA、アセトン、キシレン分散液の作製を行った。
(比較例1)
有機シリカ被覆部を形成しなかったこと以外は、実施例1と同じ条件で、界面活性剤複合シリカ微粒子を合成し、テンプレートを抽出した後、粒子を洗浄し、メソポーラスシリカ微粒子を得た。このメソポーラスシリカ微粒子をIPA、アセトン、キシレンにそれぞれ分散した。
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、界面活性剤複合シリカ微粒子を合成した。この反応溶液中にTEOS:1.29g、フェニルトリエトキシシラン:0.25gを添加し2時間攪拌し、有機シリカ被覆部を形成した。実施例1と同じ条件でテンプレートの抽出及びIPA、アセトン、キシレン分散液の作製を行った。これにより、有機シリカ被覆部を形成する有機シリカが、シリカ骨格内において、2つのSi間が有機基によって架橋された構造を有する架橋型有機シリカを含まない、メソポーラスシリカ微粒子を得た。
[メソポーラスシリカ微粒子構造の比較]
実施例1〜2及び比較例1のメソポーラスシリカ微粒子を150℃で2時間加熱処理し、乾燥粉末を得て、窒素吸着測定と透過型電子顕微鏡(TEM)観察を実施した。
(窒素吸着測定)
Autosorb-3(Quantachrome社製)を使用し、吸着等温線を計測した。得られた吸着等温線を用いて、メソポーラスシリカ微粒子のBET比表面積、細孔容積、及び、BJH解析法により細孔径分布を得た。
BET比表面積、細孔容積、BJH解析法により得た細孔径分布のピーク値を表1に示す。
実施例1〜3の粒子のBET比表面積及び細孔容積は、比較例1の粒子と同等であり、高い空隙率が保持されていることがわかる。実施例1の粒子には二つの細孔径のメソ孔が存在し、4.7nmの第一のメソ孔、2.9nmの第二のメソ孔であった。実施例2の粒子にも二つの細孔径のメソ孔が存在し、4.2nmの第一のメソ孔、2.7nmの第二のメソ孔であった。実施例3の粒子にも同様に二つの細孔径のメソ孔が存在し、4.2nmの第一のメソ孔、2.7nmの第二のメソ孔であった。以上より、実施例1〜3の粒子には第一のメソ孔よりも小さい第二のメソ孔が形成されていることが確認された。一方、比較例1の粒子には4.4nmの第一のメソ孔のみ形成されていることが確認された。
Figure 2014024379
(TEM観察)
JEM2100F(JEOL社製)にて、実施例1〜3及び比較例1のメソポーラスシリカ微粒子について微細構造をTEM観察した。
メソポーラスシリカ微粒子について、実施例1のTEM像を図2A及び図2Bに、実施例2のTEM像を図3A及び図3Bに、実施例3のTEM像を図4A及び図4Bに、比較例1のTEM像を図5A及び図5Bに示す。
実施例1〜3で得られた微粒子の粒径は約70nmであり、一方、比較例1においては約50nmであったことから、再成長により約10nmのシリカ被覆部が形成し、粒径が増加したことが確認された。実施例1〜3では粒子内部に4〜5nmのメソ孔の規則配列が確認され、これらは窒素吸着測定より確認した第一のメソ孔と考えられる。したがって、窒素吸着測定より確認した実施例1の2.9nm、実施例2及び3の2.7nmの第二のメソ孔は、シリカ被覆部に形成していると考えられる。一方、比較例1では粒子全体に4〜5nmのメソ孔の規則配列が確認された。
[メソポーラスシリカ微粒子の溶媒分散性の比較]
(動的光散乱測定)
ELSZ-2(大塚電子社製)を使用し、各溶媒中での粒度分布を計測した。結果を表2に示す。
実施例1及び2で得られた微粒子は、有機シリカ被覆部を有していない比較例1で得られた微粒子と比べて、溶媒分散性の向上が確認された。特に、疎水的なキシレン中において、大幅な分散性の向上が確認された。これは、有機シリカ被覆部に含まれる有機基による効果と考えられる。また、実施例1及び2で得られた微粒子は、比較例2で得られた粒子と比べても、溶媒分散性の向上が確認された。これは、有機シリカ被覆部の有機基がより均一に配置されている効果によるものと考えられる。
Figure 2014024379
[有機EL素子]
(実施例A1)
図1に示す層構成の有機EL素子を作製した。
基板2として、厚み0.7mmの無アルカリガラス板(No.1737、コーニング製)を用いた。この基板2の表面に、ITOターゲット(東ソー製)を用いてスパッタを行い、ITO層を150nmで形成した。得られたITO層付ガラス基板を、Ar雰囲気下200℃で1時間アニール処理を行い、ITO層をシート抵抗18Ω/□の光透過性の陽極として、第一の電極3を形成した。また、波長550nmの屈折率をSCI社製FilmTekで測定したところ2.1であった。
次に、第一の電極3の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)(スタルクヴィテック社製「BaytronPAI4083」、PEDOT:PSS=1:6)を、膜厚が30nmになるようにスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間焼成することにより、ホール注入層41を形成した。ホール注入層41の波長550nmでの屈折率は、第一の電極3と同様の手法で測定すると、1.55であった。
次に、ホール注入層41の表面に、TFB(Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(4,4’-(N-(4-sec-butylphenyl))diphenylamine)])(アメリカンダイソース社製「Hole TransportPolymer ADS259BE」)をTHF溶媒に溶解した溶液を、膜厚が12nmになるようにスピンコーターにより塗布し、TFB被膜を作製した。これを200℃で10分間焼成することによって、ホール輸送層42を形成した。ホール輸送層42の波長550nmでの屈折率は1.64であった。
次に、ホール輸送層42の表面に、赤色高分子(アメリカンダイソース社製「Light Emitting Polymer ADS111RE」)をTHF溶媒に溶解した溶液を、膜厚が20nmになるようにスピンコーターにより塗布し、100℃で10分間焼成し、発光層43の外層となる赤色高分子層を形成した。
この赤色高分子層の表面に、実施例1で作製したメソポーラスシリカ微粒子を1−ブタノールに分散させた溶液を塗布し、更にメソポーラスシリカ微粒子の塗布と赤色高分子の塗布とにより形成される層が全体で100nmになるように赤色高分子ADS111REをスピンコーターにより塗布し、これを100℃で10分間焼成し、発光層43を得た。発光層43の全体の厚みは120nmであった。発光層43の波長550nmでの屈折率は、1.53であった。
最後に、発光層43の表面に、真空蒸着法により、Baを5nm、アルミニウムを80nmの厚みで成膜して第二の電極5を作製した。
以上により、実施例A1の有機EL素子1を得た。
(比較例A1)
発光層43に混合する粒子として、有機シリカによる表面被覆処理を行っていない比較例1のメソポーラスシリカ微粒子を用いたこと以外は、実施例A1と同様にして、比較例A1の有機EL素子を得た。このとき、発光層43の波長550nmでの屈折率は1.55であった。
(比較例A2)
発光層にメソポーラスシリカ微粒子を混合しなかった以外は実施例A1と同様にして有機EL素子を得た。このとき、発光層43の波長550nmでの屈折率は1.67であった。
(評価試験)
上記のように作製した実施例A1及び比較例A1〜A2の有機EL素子1について、評価試験を行った。本評価試験においては、各電極3、5間(図1参照)に電流密度10mA/cmの電流を流し、積分球を用いて、大気へ放射される光を計測した。また、材質がガラスの半球レンズをガラスと同じ屈折率のマッチングオイルを介して有機EL素子1の発光面上に配置し、上記と同様に計測して、発光層43から基板2まで到達する光を計測した。そして、これらの計測結果に基づいて大気放射光の外部量子効率と基板到達光の外部量子効率とを算出した。大気放射光の外部量子効率は有機EL素子1への供給電流と大気放射光量とから算出され、基板到達光の外部量子効率は有機EL素子1への供給電流と基板到達光量とから算出される。
評価試験の結果を下記の表3に示す。各有機EL素子1の大気放射光と基板到達光の夫々の外部量子効率は、比較例A2を基準として算出した。
Figure 2014024379
表3に示されるように、メソポーラスシリカ微粒子を用いた実施例A1及び比較例A1の有機EL素子1は、メソポーラスシリカ微粒子を混合しなかった比較例A2と比べて、外部量子効率が高かった。実施例A1の有機EL素子1は、粒子内部を被覆する粒子外周部が設けられていない、すなわち有機シリカ被覆部で覆われていないメソポーラスシリカ微粒子を用いた比較例A1と比べると、発光層43の屈折率が低く、外部量子効率が高くなった。
本発明のメソポーラスシリカ微粒子は、高空隙微粒子として、低反射率(Low−n)の材料、低誘電率(Low−k)の材料、さらには低熱伝導率材料への利用が可能である。本発明のメソポーラスシリカ微粒子は、例えば低屈折率(Low−n)の材料への利用により、有機EL素子及び反射防止膜などへも好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 第一のメソ孔を有する粒子内部と、前記粒子内部を被覆する粒子外周部と、を備え、
    前記粒子外周部は、有機シリカからなる有機シリカ被覆部を含み、
    前記有機シリカが、シリカ骨格内の2つのSi間が有機基によって架橋されている架橋型有機シリカを含む、
    メソポーラスシリカ微粒子。
  2. 前記有機シリカ被覆部が、前記第一のメソ孔よりも小さい第二のメソ孔を有する、
    請求項1に記載のメソポーラスシリカ微粒子。
  3. 第一の界面活性剤と、水と、アルカリと、前記第一の界面活性剤によって形成されるミセルの体積を増大させる疎水部を備えた疎水部含有添加物と、シリカ源とを混合して界面活性剤複合シリカ微粒子を作製する界面活性剤複合シリカ微粒子作製工程と、
    前記界面活性剤複合シリカ微粒子に有機シリカ源を加えて、有機シリカで前記界面活性剤複合シリカ微粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機シリカ被覆工程と、
    を含む、メソポーラスシリカ微粒子の製造方法。
  4. 前記有機シリカ被覆工程において、前記界面活性剤複合シリカ微粒子に前記有機シリカ源と第二の界面活性剤とを加えて、前記第二の界面活性剤が複合された有機シリカで前記界面活性剤複合シリカ微粒子の表面の少なくとも一部を被覆する、
    請求項3に記載のメソポーラスシリカ微粒子の製造方法。
  5. 請求項1に記載のメソポーラスシリカ微粒子と、マトリクス形成材料と、を含む、メソポーラスシリカ微粒子含有組成物。
  6. 請求項5に記載のメソポーラスシリカ微粒子含有組成物が所定の形状に成形された、メソポーラスシリカ微粒子含有成形物。
  7. 第一の電極及び第二の電極と、
    前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置された、発光層を含む有機層と、を備え、
    前記有機層が、請求項1に記載のメソポーラスシリカ微粒子を含んでいる、
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
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