本発明は空気吹出し手段用の気液分離装置に関し、特に、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段用の気液分離装置に関する。
部の上部に気液分離後の気体を排出する排風口、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口をそれぞれ有する長筒状容器と、この長筒状容器の内部に固定的に配設され、下端開口を基準として吸入口側の気体上流室と排風口側の気体下流室とに区画する上下端開口の仕切り体と、前記長筒状容器に一体的に設けられた筒状支持体を介して前記気体下流室内に設けられた気液分離手段とを備えた空気吹出し手段用の気液分離装置が開示されている。
しかして、特許文献1の公知発明の前記気液分離手段は、上下端開口の長筒状仕切り体の中に、上下方向に透孔を有しかつ凹所11と凸部12が形成された断面山形状の多数の仕切り駒(仕切り構造体)10を、複数の連結螺杆を介して積層状態に配列したものである。
したがって、特許文献1の公知発明は、複数の部屋をそれぞれ形成する各内壁面に流体を順次衝突させて気体と液体を分離する方式(衝突主義)なので、その構造を簡素化することができないという問題点があった。
また特許文献2、3は、気液遠心分離の原理を応用した気液分離装置であるが、特に、特許文献3の公知発明は、内部に中空室を有する円筒状容器1の下部に高圧空気導入口1aを、上部に空気排出口1bを設け、円筒状容器1の内部に高圧空気導入口1aから供給された空気を衝突させ空気の流れ方向を変える吹出ガイド部材41を設け、さらに中空室の上部に中央に開口31aを有する断面円弧状の受板31を設けて中空室を上下に仕切り、この受板31で仕切られた上方の中空室を空気排出口1bと接続し、受板31の上方位置に上方の中空室を区画する中間部材33を備えた気液分離装置の、前記吹出ガイド部材41の衝突面を円筒状容器1の内壁面に倣った曲線状あるいは下流側に向かって流路が広がるように傾斜させた事項が記載されている。
そして、この特許文献3の段落0050には、「(3)円錐状受板の中央開口上部であって仕切り板との間に通気孔を有する湾曲部材33を配置することによって小室が形成され、円錐状受板31で回収しきれなかった液体分が、さらに湾曲部材37内面で捕捉され水滴化し、円錐状受け板の中央開口から円筒状容器底面へ落下してドレイに回収される」、という効果が記載されている。
この特許文献3の公知発明は、気体流路中に、上向き傘状の受板(第1仕切体)30と、この受板30の気体下流(排風口)側にドーム型の灣曲面を有する中間部材(第2仕切体)33を備えているので、確かに、ドーム形状気体下流室内で気体を捕捉して完全なる気液効果の図ることが、理論的に可能であるかも知れない(段落0048では、除去率、ほぼ100%の記述がある)。
しかしながら、前記中間部材(第2仕切体)33は、下面が曲面状のドーム形状気体下流室なので、上向き傘状の受板(第1仕切体)30と中間部材(第2仕切体)33で形成された該気体下流室は、非常に狭い空間部分(小室)となり、気体との接触面積(いわゆる衝突部分)が少ないという問題点があり、実際問題として、100%の除去率があるか否か疑問なしとは言えない。
本願発明を構成する気液分離手段は、上記特許文献1,2,3の問題点を改良したものである。
ところで、気液分離装置の中に、「ミストセパレータ」とか、「ドレンセパレータ」と称されるものがある。後者の一例として、例えば特許文献4が存在する。この特許文献4の図1、図2、図3等には、ハウジング(ボディ)36の傾斜状底壁面54を有する肉厚状底壁部分の中央部に、縦長状の導入ポート46が設けられている。
しかしながら、(a)該導入ポート46は、気体のみを通過させるものではない点、付言すると、分離壁42と遮蔽壁44で区画された回転部材38側には蒸気流通管32に入った混合流体がそのまま流れ込む点、(b)回転部材38が電動モータ40の駆動力によって回転する点、(c)その用途が、蒸気発生器2である点で、本願発明とは、発明の目的、構成、用途等が異なる。なお、各公知発明の説明符号は、各特許文献のものをそれぞれ援用している。
特許第4789963号公報
特開2001−269524号公報
特開2000−5535号公報
特許第4702666号
本願発明の所期の目的は、単数又は複数の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用によって、流体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去し、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段に乾燥空気を送ることである(空気抵抗の原理、流量制御式抵抗の原理)。また空気抵抗の原理を利用することにより、装置の簡素化を図ることである。第2の目的は、流体が筒状支持体内の、気体下流室内で複雑に入り渦的に乱れるようにすると同時に、気液分離手段の衝突面積を増やすことによって、気液分離を促進することである。望ましくは、前記気体下流室内に入り込んだ気体は、気液分離手段の気体流量制御小孔部の圧力抵抗(長孔を容易に通過できない空気の作用)及び筒状仕切り体の気体集約・方向変換作用(筒状仕切り体内に集約されかつ逃げ場を失った気体を下向きに押し戻す機能)の両方によって、水、埃、オイル等の空気よりも比重の大きい物質が、長筒状容器の下部に効率良く落下すことである。第3の目的は、気体流量制御小孔部の流量制御を利用することにより、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができることである。第4の目的は、気液分離手段と共に筒状仕切り体を長筒状容器に簡単に装着できることである。その他の目的は、長筒状容器下部に集水された液体の「跳ね上がり現象」を防止することができることである。
本願発明の空気吹出し手段用の気液分離装置は、壁部に空気送付手段から圧送されてくる圧縮空気を吸引する吸入口、壁部の上部に気液分離後の気体を排出する排風口、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口をそれぞれ有する長筒状容器と、この長筒状容器の内部に固定的に配設され、通気口を基準として吸入口側の気体上流室と排風口側の気体下流室とに区画する筒状の仕切り体と、前記気体下流室内に固定的に垂設された気液分離手段とを備えた空気吹出し手段用の気液分離装置に於いて、前記気液分離手段は、その胴体部内に負圧用中空室が形成された有底筒状体であり、前記胴体部には、前記負圧用中空室と半径方向に連通しかつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部が設けられていることを特徴とする。
(a)単数又は複数の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用及び筒状仕切り体の気体集約・方向変換作用の両方によって、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去し、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段に乾燥空気を送ることができる。また、横方向の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用を利用したので、装置の簡素化を図ることができる。さらに、流量制御式抵抗のため、異物が孔に詰まることもない、電源やフィルターが必要でない等の利点がある。
(b)請求項2及び請求項3に記載の発明は、簡単な構成により、上記(a)の効果を得ることができる。
(c)請求項4に記載の発明は、衝突面積が増えるので、気液分離が促進する。付言すると、気体下流室内に入り込んだ気体は、筒状仕切り体の内周壁と気液分離手段の間の環状の間隙部分で渦流的に乱れながら逃げ場を失い、その結果、下向きの流れに変わるので、水、埃、オイル等の空気よりも比重の大きい物質を長筒状容器の下部へ効率良く落すことができる。
(d)請求項5に記載の発明は、気液分離手段と共に筒状仕切り体を長筒状容器に簡単に装着できる。
(e)請求項6に記載の発明は、例えば長筒状容器の下端部にドレインを接続した場合に於いて、該ドレインに収容された液体が一杯になった場合であっても、長筒状容器自体の下端部に液体貯留部を設けたので、仮にドレイン内の液体が規定液位を超えた場合であっても、前記液体貯留部に分離した液体を液体跳ね防止用隔壁部材を介して集水することができる。したがって、長筒状容器自体に液体貯留機能を付与することができる。そして、前記液体跳ね防止用隔壁部材は、液体貯留部と吸入口側の気体上流室と区画するので、圧縮空気を受け入れる前記長筒状容器内の圧力差により、該長筒状容器に流れ込んだ前記圧縮空気に対して、長筒状容器下部に集水された液体の「跳ね上がり現象」により、前記圧縮空気と前記液体との混合を極力防止し、よって、可能な限り水分を含有しない乾燥空気を、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の前記空気吹出し手段に供給することができる。
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図、図10及び図11は本発明の第2実施形態を示す各説明図、図12乃至図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図、図15は本発明の第4実施形態を示す説明図である。
本発明の主要部を含む環境説明図。
第1実施形態の正面視からの説明図(正面壁部を一部切欠)。
図2に示す気液分離装置の縦断面図。
容器の蓋体と締付け子の分解説明図。
要部(気液分離手段)の説明図。
図5の6−6線概略縦断面図。
要部(筒状仕切り体)の説明図。
要部(液体跳ね防止用隔壁部材)の説明図。
気体の流れを示す概略説明図。
第2実施形態の図3と同様の縦断面図。
要部(気液分離手段)の説明図。
第3実施形態の図3と同様の縦断面図。
要部(気体流量制御小孔部としてのパイプ)の説明図。
要部(鍔状部分)の説明図。
第4実施形態の説明図。
A…空気送付手段、B…空気吹出し手段、C…ドレイン、W…気液分離手段の肉厚部分、a…圧縮空気、b…除水後の気体、X…気液分離装置、1…長筒状容器、1a…容器本体、1b…蓋体、1c…締付け子、2…吸入口、3…排風口、4…落下口、5…通気口、6…気体上流室、7…気体下流室、8…筒状仕切り体、8a…取付け基端部、8b…胴部、9…筒状支持体、10…気液分離手段の環状の間隙部分、11…気液分離手段、11a…胴体部、12…負圧用中空室、13、13A…気体流量制御小孔部、14…気体衝突用突起物(例えば鍔状部分)、14a…一番上方の鍔状部分、14d…一番下方の鍔状部分、18…受け部分、30…連結部、31…筒状仕切り体用連結部、41…液体跳ね防止用隔壁部材、42…液体落下口、50…液体貯留部。
図1乃至図9は、本発明の第1実施形態を示す各説明図である。
(1)環境部材と本発明の主要部
図1は本発明の主要部を含む環境部説明図である。図1に於いて、まず符号Aは、空気を圧縮するエアコンプレッサー、送風機、エアポンプなどの空気送付手段である。空気送付手段Aは普通一般に空気発生機能、空気圧送機能等を有している。
一方符号Bは、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等空気吹出し手段である。この空気吹出し手段Bと前記空気送付手段Aの間に圧縮空気aを供給する供給管(供給ライン)L1と、除水後の気体bを空気吹出し手段Bに供給する排風管(排風ライン)L2を介して、本発明の気液分離装置Xが介在している。
そして、気液分離装置Xを構成する長筒状容器1の下端部に突出形成された液体排出部分に手動式又は自動の容器型ドレインCが、一体的又は取り外し可能に取り付けられる。ドレインCは、普通一般にタンク状に形成され、適宜形態の支持台に載せられている。
図2は第1実施形態の正面視からの説明図(正面壁部を一部切欠)、図3は気液分離装置の縦断面図、そして、図4は容器本体1a、上の蓋体1b、締付け子1cの分解説明図である。
これらの図から判るように、本発明の主要部は、壁部に前記空気送付手段Aから圧送されてくる圧縮空気aを吸引する吸入口2、壁部の上部に気液分離後の気体を排出する排風口3、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口4それぞれ有する長筒状容器1と、この長筒状容器1の内部に固定的に配設され、例えば通気口5を基準として吸入口2側の気体上流室6と排風口3側の気体下流室7とに区画する筒状の仕切り体8と、前記気体下流室内7に固定的に垂設された気液分離手段11を備えている。
そして、前記気液分離手段11は、その縦長状の胴体部11a内に一つの縦長状負圧用中空室12が形成された有底筒状体であり、そして、前記縦長状胴体部11aの中央部(中央部寄りの部位も含む)には、前記縦長状負圧用中空室12と半径方向に連通し、かつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部13が設けられ、或いは形成されている(特徴部分1)。
そして、前記気体流量制御小孔部13は、図6で示すように縦長状胴体部11aの単数又は複数の鍔状部分14の外周面と縦長状負圧用中空室12を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された単数又は複数の横方向の長孔である。
付言すると、縦長状胴体部11aの外周面には、気体衝突用の、複数の鍔状部分14(14a、14b、14c、14d)が上下方向に併設され、上方の鍔状部分(例えば14a)の下面と下方の鍔状部分(例えば14b)の上面の間は、環状の間隙部分10(実施形態では合計3個)となっている。そして、本実施形態では、上方から一番目の鍔状部分14bに一つの気体流量制御小孔部13を形成している。
さらに、長筒状容器1の下端部寄りの部位の内部に、前述した筒状仕切り体8に対して下方に所定間隔離間すると共に、気液分離後の液体を落下方向へと案内する液体落下口42を有する液体跳ね防止用隔壁部材41を設け、該液体跳ね防止用隔壁部材41の底壁外面と長筒状容器11の下部内面との空間部分は、液体貯留部50となっている。
前記液体跳ね防止用隔壁部材41は、例えば図3で示すように縦断面漏斗状に形成された一つの部材であり、そのフランジ状の上端縁部43は、長筒状容器1の内周壁に一体的に固定されている(係止構造も含む)。
第1実施形態では、気液分離手段11のトンネル状の気体流量制御小孔部13の口径(直径)は、吸入口2の口径、縦長状負圧用中空室12の直径及び排風口3の口径のそれぞれに対して小さい。
そして、気体流量制御小孔部13の口径は、例えば「2mm程度」であるのに対して、トンネル状の半径方向の長さは、例えば「20mm程度」である。
また図示しない吸入口2側のラインL1に設けた入口側圧力計では、例えば「0.7Mpa」であり、一方、図示しない排風口3側のラインL2に設けた排風口側圧力計では、例えば「50L/min」の乾燥空気bが流れる。もちろん、この乾燥空気bは、気体流量制御小孔部13の数を増減することによって、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができる。
(2)各部材の具体的構成
1は長筒状容器で、この長筒状容器1では、例えば図4で示すように縦方向に長い上端開口15の容器本体1aと、この容器本体1aに一体的に結合する蓋体1bと、この蓋体1bを前記容器本体1aに着脱自在に締め付ける環状の締付け子1cとから成る。
まず、容器本体1aは、その上端縁に結合部分16が周設され、一方、寸胴部分に連設する下端部は、すり鉢状に形成された底壁部分となっており、この底壁部分の中央部には、落下口4が形成されている。そして、前記落下口4の部分には、短い排出管17が一体的に設けられ、該短い排出管17には、図2、図3で示すようにドレインCが配設される。
さらに、容器本体1aの下端部寄りの内周壁には、段差状、傾斜状、突起状等の受け部分18が周設形成されている。
この容器本体1aは、例えば角筒又は円筒(本実施形態)に形成されている。
次に蓋体1bは、図3の図面右側に内ネジが形成された吸入口2を有し、一方、図3の図面左側に内ネジが形成された排風口3を有する。なお、前記吸入口2は、上蓋1bではなく、容器本体1aに形成しても良い。
この第1実施形態では、排風口3と吸入口2を仕切る垂直壁20及び水平壁21が蓋体1bの内部空間に設けられ、前記水平壁21に連結部としてのメネジ22が上下方向に形成されている。さらに、蓋体1bの段差部分から下方の筒状下端部分23は、容器本体1aの上端開口15に嵌合する嵌入部となっている。そして、蓋体1bの前記段差部分から上方の大径部分の外周壁には、オネジ24が形成され、このオネジ24に締付け子1cのメネジ25が螺合する(図3参照)。
次に締付け子1cは、前述したように内周壁にメネジ25を有し、その下端部寄りの部位は縮径状態の係合部分26となっており、該係合部分26は容器本体1aのストッパー機能を有する係合部分16に係止された状態に係合する。
したがって、蓋体1bを容器本体1aに取付ける際は、まず、蓋体1bの下端部分23を容器本体1aの上端部に嵌入し、次に、締付け子1cを容器本体1aの排出管17側から該容器本体1aを通すように上側へ持って行き、そして、そのメネジ25を蓋体1bのオネジ24に螺合させる。この時、容器本体1aの係合部分16は締付け子1cに対して係止機能を発揮する。
なお、容器本体1aと蓋体1bとの螺合構造は、任意に設計変更することができる事項であり、例えば蓋体1bの下端部分23の内周壁にメネジを形成し、一方、容器本体1aの上端部外周にオネジを形成して、前記蓋体1bを容器本体1aに外嵌合状態に螺着しても良い。
次に長筒状の仕切り体8を説明する。図7は仕切り体の斜視図である。仕切り体8は、断面壺形状の形態にするのが望ましいが、本実施形態では、上下端開口の寸胴状長筒である。図7を参照にすると、長筒状仕切り体8は、環状取り付け基端部8aの上端開口29よりも、下端開口に相当する通気口5の方が狭い。この狭い通気口5を通過して気体下流室7内に流れ込んだ気体は、広い該気体下流室7内で解放状態となることから、気液分離手段11の一番下方の鍔状部分14dに衝突しながら該仕切り体8の内周面に沿って入り込む気体は、長筒状仕切り体8の内周面と気液分離手段11の縦長状の胴体部11aの環状の間隙部分10を含む外周面の間に渦流的に乱れ、その結果、気液分離が促進する。
本実施形態では、例えば気液分離手段11の縦長状胴体部11aの筒状上端部に形成された連結用メネジ30が蓋体1bの連結用のメネジ22に螺合するが、長筒状仕切り体8は、その取り付け基端部8aが前記縦長状胴体部11の一番上方に周設した鍔状部分14aの仕切り体用オネジ31に螺合するので、長筒状仕切り体8は、気液分離手段11と共に蓋体1bの略中央部に固定的に垂設される。
図3で示すように、長筒状仕切り体8が気液分離手段11を介して蓋体1bに一体的に取り付けられると、長筒状容器1の内部空間は、下端部側の通気口5を基準として吸入口側の気体上流室6と排風口側の気体下流室7に区画される。前記通気口5は、例えば筒状仕切り体8の底壁部分の中央部に円形或いは楕円状に形成され、圧縮空気の通気口に相当する下端部側の該開口5は、図7で示すようにメネジ28側の上端開口29よりも狭い。また前記上端開口29の大きさは、気液分離手段11の鍔状部分14aの大きさを考慮して設計されている。すなわち、本実施形態では、気液分離手段11を直接包むことができる大きさである。
さらに、図3を基準にすると、通気口5を基準として筒状仕切り体8の寸胴状胴部8bは、容器本体1aの寸胴部分の内周壁から多少離間している。
以上のように、本発明の気液分離手段11は、その胴体部11a内に負圧用中空室12が形成された有底筒状体であり、前記胴体部11aには、前記負圧用中空室12と半径方向に連通しかつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部13が設けられていることを特徴とする。付言すると、気体流量制御小孔部13は、胴体部11aの外周面と負圧用中空室12を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された横方向の長孔であることを特徴とする。
次に図8は液体跳ね防止用隔壁部材の斜視図である。本実施形態の液体跳ね防止用隔壁部材41は、例えば図3で示すように長筒状容器1の下端部寄りの部位の内部に上方に位置する筒状仕切り体8に対して下方に所定間隔離間するように位置する。
しかして、液体跳ね防止用隔壁部材41は、縦断面漏斗状に形成された一つの部材であり、そのフランジ状の上端縁部43は、長筒状容器1の内周壁に係止状態に固定されている。そして、筒状仕切り体8の外壁面と対向する側の椀状底壁内面41bは、仕切り体8から落下する液体c及び長筒状容器1の内壁面に沿って流れる液体cを、中心部の液体落下口42へと案内するガイド面としての機能を有し、一方、長筒状容器1の下部内面の対向する側のお椀状底壁外面41aは、液体貯留部50と気体上流室6とを区画すると共に、圧縮空気aを受け入れる前記長筒状容器1内の圧力差により、該長筒状容器1に流れ込んだ前記圧縮空気aに対して、長筒状容器下部に集水された液体cの「跳ね上がり現象」により、前記圧縮空気aと前記液体cとの混合を極力防止する機能を有する。
最後に、図9は気体の流れを示す概略説明図である。水分を含んだ数気圧から数十気圧の圧縮空気(高圧空気)aは、矢印で示すように流れる。すなわち、圧縮空気aは、まず蓋体1bの吸入孔2に流れ込み、少なくとも該蓋体1bに形成された流路、該流路に続く一方側の間隙部分を通って、気体上流室6へと送り込まれる。次に、気体上流室6に送り込まれた圧縮空気aは、容器本体1aの内周壁に衝突し、その一部は前記内周壁に沿うように上昇して容器本体1aの内周壁側の間隙部分に入り込み、他の一部は筒状仕切り体8の通気口5を通って気体上流室7に入り込む。容器本体1aの内周壁側の間隙部分に入り込んだ圧縮空気は、他方側の間隙部分へも流れるので、この部分での滞留時間が長くなり、効率的な水滴化現象が発生する。容器本体1aに流れ込んだ圧縮空気aは、水分を含んだ空気であるが、該空気が容器本体1aの内周壁、筒状仕切り体8の内外の壁面、そして、気液分離手段11の鍔状突起物14に激しく衝突することで、ミスト状の水粒子同士が次々と結合して水滴化する。
ところで、水分を含んだ空気は、何故離されるかについては、特許文献1、2、3に記載されているように、気体の衝突・迂回・滞在時間の増大化等により比重分離がなされることが当業者の技術的認識である。
しかして、遮蔽機能、水滴化機能、受け板機能等を有する筒状仕切り体8に遮られ、かつ該筒状仕切り体8の壁面8bの外壁面に沿って流れる水滴化状態の水分は、通気口5の縁部に至ると、該縁部からその重力によって落下する。
一方、気体下流室7に入り込んだ水分を含んだ空気は、筒状或いは壺状仕切り体8の内部で渦流状態と成りながら、激しく併設状態の気体衝突用突起物14a、14b、14c、14dに衝突ないし接触する。その時、気体衝突用突起物14によって、さらなる除水がなされ、該除水された水滴化状態の水分は、筒状仕切り体8の壁面8bの内壁面に沿って流れ、同様に通気口5の縁部に至ると、該縁部からその重力によって落下する。
そして、水分が除去された空気は、気液分離手段11の気体流量制御小孔部13の空気抵抗を受けながら勢い良く通過して、該気液分離手段11の負圧用中空室12に流れ込む。この負圧用中空室12に流れ込んだ乾燥状態の空気は、該気液分離手段11の筒状上端部を介して排風口3へと流れ、その先にあるエアーツールなどへ供給される。
このように本発明の気液分離装置Xの特徴は、容器本体1aの内部、特に、トンネル状の気体流量制御小孔部13の空気抵抗の作用と共に、複数の気体衝突用鍔状突起物14の水分捕捉機能を有する気液分離手段11の存在によって、装置を簡素化することができるのみならず、水分を含んだ空気が乱反射の如く衝突ないし接触を繰り返すことにより、水滴化現象が効率良く発生し、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去することができる。
以下、この欄では、本発明の第2実施形態乃至第4実施形態を説明する(同一の構成部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する)。
まず、図10及び図11は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。この第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、気体流量制御小孔部13の数である。気体流量制御小孔部13の数は、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができる。鍔状或いは非鍔状の突起部(肉厚部分W)に形成した気体流量制御小孔部13の数が、第2実施形態に如く、合計4個であれば、50L/minであれば、ラ4個=200L/minという数式になるので、トンネル状の制御小孔が40個であれば、ラ40個=2000L/minと言う具合になる。
次に、図12乃至図14は、本発明の第3実施形態を示す各説明図である。この第3実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第1実施形態の気液分離手段11の気体流量制御小孔部13は、胴体部11aの外周面と負圧用中空室を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された横方向の長孔であるのに対して、その気体流量制御小孔部13Aは、薄肉の長筒状胴体部11aに固定された単数又は複数本のパイプである。また、薄肉の長筒状胴体部11aに上下方向にそれぞれ離間して併設的に固定された鍔状部分14(14a、14b、14c、14d)は、薄肉の長筒状胴体部11aに予め一体成形されたものではなく、別体に成形されたドーナツ形状の気体衝突用突起物であり、該気体衝突用突起物14は、複数の固着具45,45(或いは溶着、接着)を介して前記薄肉の長筒状胴体部11aに固定されている。このように気液分離手段11Aを適宜に設計変更しても、第1実施形態と同一の作用・効果がある。
最後に図15は、本発明の第4実施形態を示す説明図である。この第4実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、長筒状容器1に対する筒状仕切り体8Aの取付け構造である。第1実施形態では、筒状仕切り体8は気液分離手段11を介して上蓋1bに取り付けられているが、この第4実施形態の筒状仕切り体8Aは、その上端部の取付け基端部8aをフランジ状に形成し、該フランジ状取付け基端部8aは、容器本体1aの上端と蓋体1bの下端とでサンドイッチ状態に挟持されている。なお、この第4実施形態では、吸入口2は、容器本体1aに形成されている。
本発明は、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等空気吹出し手段用の気液分離装置の分野で利用される。
本発明は空気吹出し手段用の気液分離装置に関し、特に、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段用の気液分離装置に関する。
上部に気液分離後の気体を排出する排風口、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口をそれぞれ有する長筒状容器と、この長筒状容器の内部に固定的に配設され、下端開口を基準として吸入口側の気体上流室と排風口側の気体下流室とに区画する上下端開口の仕切り体と、前記長筒状容器に一体的に設けられた筒状支持体を有して前記気体下流室内に設けられた気液分離手段とを備えた空気吹出し手段用の気液分離装置が開示されている。
しかして、特許文献1の公知発明の前記気液分離手段は、上下端開口の長筒状仕切り体の中に、上下方向に透孔を有しかつ凹所11と凸部12が形成された断面山形状の多数の仕切り駒(仕切り構造体)10を、複数の連結螺杆を有して積層状態に配列したものである。
したがって、特許文献1の公知発明は、複数の部屋をそれぞれ形成する各内壁面に流体を順次衝突させて気体と液体を分離する方式(衝突主義)なので、その構造を簡素化することができないという問題点があった。
また特許文献2、3は、気液遠心分離の原理を応用した気液分離装置であるが、特に、特許文献3の公知発明は、内部に中空室を有する円筒状容器1の下部に高圧空気導入口1aを、上部に空気排出口1bを設け、円筒状容器1の内部に高圧空気導入口1aから供給された空気を衝突させ空気の流れ方向を変える吹出ガイド部材41を設け、さらに中空室の上部に中央に開口31aを有する断面円弧状の受板31を設けて中空室を上下に仕切り、この受板31で仕切られた上方の中空室を空気排出口1bと接続し、受板31の上方位置に上方の中空室を区画する中間部材33を備えた気液分離装置の、前記吹出ガイド部材41の衝突面を円筒状容器1の内壁面に倣った曲線状あるいは下流側に向かって流路が広がるように傾斜させた事項が記載されている。
そして、この特許文献3の段落0050には、「(3)円錐状受板の中央開口上部であって仕切り板との間に通気孔を有する湾曲部材33を配置することによって小室が形成され、円錐状受板31で回収しきれなかった液体分が、さらに湾曲部材37内面で捕捉され水滴化し、円錐状受け板の中央開口から円筒状容器底面へ落下してドレイに回収される」、という効果が記載されている。
この特許文献3の公知発明は、気体流路中に、上向き傘状の受板(第1仕切体)30と、この受板30の気体下流(排風口)側にドーム型の灣曲面を有する中間部材(第2仕切体)33を備えているので、確かに、ドーム形状気体下流室内で気体を捕捉して完全なる気液効果の図ることが、理論的に可能であるかも知れない(段落0048では、除去率、ほぼ100%の記述がある)。
しかしながら、前記中間部材(第2仕切体)33は、下面が曲面状のドーム形状気体下流室なので、上向き傘状の受板(第1仕切体)30と中間部材(第2仕切体)33で形成された該気体下流室は、非常に狭い空間部分(小室)となり、気体との接触面積(いわゆる衝突部分)が少ないという問題点があり、実際問題として、100%の除去率があるか否か疑問なしとは言えない。
本願発明を構成する気液分離手段は、上記特許文献1,2,3の問題点を改良したものである。
ところで、気液分離装置の中に、「ミストセパレータ」とか、「ドレンセパレータ」と称されるものがある。後者の一例として、例えば特許文献4が存在する。この特許文献4の図1、図2、図3等には、ハウジング(ボディ)36の傾斜状底壁面54を有する肉厚状底壁部分の中央部に、縦長状の導入ポート46が設けられている。
しかしながら、(a)該導入ポート46は、気体のみを通過させるものではない点、付言すると、分離壁42と遮蔽壁44で区画された回転部材38側には蒸気流通管32に入った混合流体がそのまま流れ込む点、(b)回転部材38が電動モータ40の駆動力によって回転する点、(c)その用途が、蒸気発生器2である点で、本願発明とは、発明の目的、構成、用途等が異なる。なお、各公知発明の説明符号は、各特許文献のものをそれぞれ援用している。
特許第4789963号公報
特開2001−269524号公報
特開2000−5535号公報
特許第4702666号
本願発明の所期の目的は、単数又は複数の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用によって、流体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去し、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段に乾燥空気を送ることである(空気抵抗の原理、流量制御式抵抗の原理)。また空気抵抗の原理を利用することにより、装置の簡素化を図ることである。第2の目的は、流体が筒状仕切り体内の、気体下流室内で複雑に入り渦的に乱れるようにすると同時に、気液分離手段の衝突面積を増やすことによって、気液分離を促進することである。望ましくは、前記気体下流室内に入り込んだ気体は、気液分離手段の気体流量制御小孔部の圧力抵抗(長孔を容易に通過できない空気の作用)及び筒状仕切り体の気体集約・方向変換作用(筒状仕切り体内に集約されかつ逃げ場を失った気体を下向きに押し戻す機能)の両方によって、水、埃、オイル等の空気よりも比重の大きい物質が、長筒状容器の下部に効率良く落下すことである。第3の目的は、気体流量制御小孔部の流量制御を利用することにより、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができることである。第4の目的は、気液分離手段と共に筒状仕切り体を長筒状容器に簡単に装着できることである。その他の目的は、長筒状容器下部に集水された液体の「跳ね上がり現象」を防止することができることである。
本願発明の空気吹出し手段用の気液分離装置は、長筒状容器と、該長筒状容器の内部に固定的に配設された気液分離手段と、この気液分離手段を気体下流室を有して包むように前記長筒状容器の内部に固定的に配設された筒状仕切り体とを備え、前記長筒状容器は、圧縮空気を吸引する吸入口、気液分離後の気体を排出する排風口及び気液分離後の液体を排出する落下口をそれぞれ有し、また前記気液分離手段は、その胴体部内に負圧用中空室が形成された有底筒状体であり、前記胴体部の厚みが厚い部分には前記負圧用中空室と半径方向に連通し、かつ圧縮空気が高速に通過する際に受ける空気抵抗により気体のみが通過するトンネル状気体流量制御小孔部が形成され、また前記筒状仕切り体の下端縁部分の通気口を基準として、少なくとも該筒状仕切り体の外周面と前記長筒状容器の内周面の空間部分は前記吸入口と連通する気体上流室であり、一方、前記筒状仕切り体の内周面と前記気液分離手段の外周面との間は前記トンネル状気体流量制御小孔部と連通する前記気体下流室であり、前記吸入口を有して前記長筒状容器に入り込んだ前記圧縮空気は、前記気体上流室から前記通気口を通過して前記気体下流室に流れ込み、さらに、前記トンネル状気体流量制御小孔部を通過することを特徴とする。
(a)請求項1及び請求項5に記載の発明は、単数又は複数の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用(圧縮空気がトンネル状気体流量制御小孔部を高速に通過する際に受ける空気抵抗の原理)及び筒状仕切り体の気体集約・方向変換作用の両方によって、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去し、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段に乾燥空気を送ることができる。また、横方向のトンネル状或いはパイプの気体流量制御小孔部の空気抵抗の原理・作用を利用したので、装置の簡素化を図ることができる。さらに、流量制御式抵抗のため、異物が孔に詰まることもない、電源やフィルターが必要でない等の利点がある。
(b)請求項2に記載の発明は、衝突面積が増えるので、気液分離が促進する。付言すると、気体下流室内に入り込んだ気体は、筒状仕切り体の内周壁と気液分離手段の間の環状の間隙部分で渦流的に乱れながら逃げ場を失い、その結果、下向きの流れに変わるので、水、埃、オイル等の空気よりも比重の大きい物質を長筒状容器の下部へ効率良く落すことができる。
(c)請求項3に記載の発明は、気液分離手段と共に筒状仕切り体を長筒状容器に簡単に装着できる。
(d)請求項4に記載の発明は、例えば長筒状容器の下端部にドレインを接続した場合に於いて、該ドレインに収容された液体が一杯になった場合であっても、長筒状容器自体の下端部に液体貯留部を設けたので、仮にドレイン内の液体が規定液位を超えた場合であっても、前記液体貯留部に分離した液体を液体跳ね防止用隔壁部材を有して集水することができる。したがって、長筒状容器自体に液体貯留機能を付与することができる。そして、前記液体跳ね防止用隔壁部材は、液体貯留部と吸入口側の気体上流室と区画するので、圧縮空気を受け入れる前記長筒状容器内の圧力差により、該長筒状容器に流れ込んだ前記圧縮空気に対して、長筒状容器下部に集水された液体の「跳ね上がり現象」により、前記圧縮空気と前記液体との混合を極力防止し、よって、可能な限り水分を含有しない乾燥空気を、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の前記空気吹出し手段に供給することができる。
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図、図10及び図11は本発明の第2実施形態を示す各説明図、図12乃至図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図、図15は本発明の第4実施形態を示す説明図である。
本発明の主要部を含む環境説明図。
第1実施形態の正面視からの説明図(正面壁部を一部切欠)。
図2に示す気液分離装置の縦断面図。
容器の蓋体と締付け子の分解説明図。
要部(気液分離手段)の説明図。
図5の6−6線概略縦断面図。
要部(筒状仕切り体)の説明図。
要部(液体跳ね防止用隔壁部材)の説明図。
気体の流れを示す概略説明図。
第2実施形態の図3と同様の縦断面図。
要部(気液分離手段)の説明図。
第3実施形態の図3と同様の縦断面図。
要部(気体流量制御小孔部としてのパイプ)の説明図。
要部(鍔状部分)の説明図。
第4実施形態の説明図。
図1乃至図9は、本発明の第1実施形態を示す各説明図である。
(1)環境部材と本発明の主要部
図1は本発明の主要部を含む環境部説明図である。図1に於いて、まず符号Aは、空気を圧縮するエアコンプレッサー、送風機、エアポンプなどの空気送付手段である。空気送付手段Aは普通一般に空気発生機能、空気圧送機能等を有している。
一方符号Bは、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等空気吹出し手段である。この空気吹出し手段Bと前記空気送付手段Aの間に圧縮空気aを供給する供給管(供給ライン)L1と、除水後の気体bを空気吹出し手段Bに供給する排風管(排風ライン)L2を有して、本発明の気液分離装置Xが介在している。
そして、気液分離装置Xを構成する長筒状容器1の下端部に突出形成された液体排出部分に手動式又は自動の容器型ドレインCが、一体的又は取り外し可能に取り付けられる。ドレインCは、普通一般にタンク状に形成され、適宜形態の支持台に載せられている。
図2は第1実施形態の正面視からの説明図(正面壁部を一部切欠)、図3は気液分離装置の縦断面図、そして、図4は容器本体1a、上の蓋体1b、締付け子1cの分解説明図である。
これらの図から判るように、本発明の主要部は、壁部に前記空気送付手段Aから圧送されてくる圧縮空気aを吸引する吸入口2、壁部の上部に気液分離後の気体を排出する排風口3、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口4それぞれ有する長筒状容器1と、この長筒状容器1の内部に固定的に配設され、例えば通気口5を基準として吸入口2側の気体上流室6と排風口3側の気体下流室7とに区画する筒状の仕切り体8と、前記気体下流室内7に固定的に垂設された気液分離手段11を備えている。
そして、前記気液分離手段11は、その縦長状の胴体部11a内に一つの縦長状負圧用中空室12が形成された有底筒状体であり、そして、前記縦長状胴体部11aの中央部(中央部寄りの部位も含む)には、前記縦長状負圧用中空室12と半径方向に連通し、かつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部13が設けられ、或いは形成されている(特徴部分1)。
そして、前記気体流量制御小孔部13は、図6で示すように縦長状胴体部11aの単数又は複数の鍔状部分14の外周面と縦長状負圧用中空室12を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された単数又は複数の横方向の長孔である。
付言すると、縦長状胴体部11aの外周面には、気体衝突用の、複数の鍔状部分14(14a、14b、14c、14d)が上下方向に併設され、上方の鍔状部分(例えば14a)の下面と下方の鍔状部分(例えば厚みが厚い部分14b)の上面の間は、環状の間隙部分10(実施形態では合計3個)となっている。そして、本実施形態では、上方から一番目の鍔状部分14bに一つの気体流量制御小孔部13を形成している。
さらに、長筒状容器1の下端部寄りの部位の内部に、前述した筒状仕切り体8に対して下方に所定間隔離間すると共に、気液分離後の液体を落下方向へと案内する液体落下口42を有する液体跳ね防止用隔壁部材41を設け、該液体跳ね防止用隔壁部材41の底壁外面と長筒状容器11の下部内面との空間部分は、液体貯留部50となっている。
前記液体跳ね防止用隔壁部材41は、例えば図3で示すように縦断面漏斗状に形成された一つの部材であり、そのフランジ状の上端縁部43は、長筒状容器1の内周壁に一体的に固定されている(係止構造も含む)。
第1実施形態では、気液分離手段11のトンネル状の気体流量制御小孔部13の口径(直径)は、吸入口2の口径、縦長状負圧用中空室12の直径及び排風口3の口径のそれぞれに対して小さい。
そして、気体流量制御小孔部13の口径は、例えば「2mm程度」であるのに対して、トンネル状の半径方向の長さは、例えば「20mm程度」である。
また図示しない吸入口2側のラインL1に設けた入口側圧力計では、例えば「0.7Mpa」であり、一方、図示しない排風口3側のラインL2に設けた排風口側圧力計では、例えば「50L/min」の乾燥空気bが流れる。もちろん、この乾燥空気bは、気体流量制御小孔部13の数を増減することによって、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができる。
(2)各部材の具体的構成
1は長筒状容器で、この長筒状容器1では、例えば図4で示すように縦方向に長い上端開口15の容器本体1aと、この容器本体1aに一体的に結合する蓋体1bと、この蓋体1bを前記容器本体1aに着脱自在に締め付ける環状の締付け子1cとから成る。
まず、容器本体1aは、その上端縁に結合部分16が周設され、一方、寸胴部分に連設する下端部は、すり鉢状に形成された底壁部分となっており、この底壁部分の中央部には、落下口4が形成されている。そして、前記落下口4の部分には、短い排出管17が一体的に設けられ、該短い排出管17には、図2、図3で示すようにドレインCが配設される。
さらに、容器本体1aの下端部寄りの内周壁には、段差状、傾斜状、突起状等の受け部分18が周設形成されている。
この容器本体1aは、例えば角筒又は円筒(本実施形態)に形成されている。
次に蓋体1bは、図3の図面右側に内ネジが形成された吸入口2を有し、一方、図3の図面左側に内ネジが形成された排風口3を有する。なお、前記吸入口2は、上蓋1bではなく、容器本体1aに形成しても良い。
この第1実施形態では、排風口3と吸入口2を仕切る垂直壁20及び水平壁21が蓋体1bの内部空間に設けられ、前記水平壁21に連結部としてのメネジ22が上下方向に形成されている。さらに、蓋体1bの段差部分から下方の筒状下端部分23は、容器本体1aの上端開口15に嵌合する嵌入部となっている。そして、蓋体1bの前記段差部分から上方の大径部分の外周壁には、オネジ24が形成され、このオネジ24に締付け子1cのメネジ25が螺合する(図3参照)。
次に締付け子1cは、前述したように内周壁にメネジ25を有し、その下端部寄りの部位は縮径状態の係合部分26となっており、該係合部分26は容器本体1aのストッパー機能を有する係合部分16に係止された状態に係合する。
したがって、蓋体1bを容器本体1aに取付ける際は、まず、蓋体1bの下端部分23を容器本体1aの上端部に嵌入し、次に、締付け子1cを容器本体1aの排出管17側から該容器本体1aを通すように上側へ持って行き、そして、そのメネジ25を蓋体1bのオネジ24に螺合させる。この時、容器本体1aの係合部分16は締付け子1cに対して係止機能を発揮する。
なお、容器本体1aと蓋体1bとの螺合構造は、任意に設計変更することができる事項であり、例えば蓋体1bの下端部分23の内周壁にメネジを形成し、一方、容器本体1aの上端部外周にオネジを形成して、前記蓋体1bを容器本体1aに外嵌合状態に螺着しても良い。
次に長筒状の仕切り体8を説明する。図7は仕切り体の斜視図である。仕切り体8は、断面壺形状の形態にするのが望ましいが、本実施形態では、上下端開口の寸胴状長筒である。図7を参照にすると、長筒状仕切り体8は、環状取り付け基端部8aの上端開口29よりも、下端開口に相当する通気口5の方が狭い。この狭い通気口5を通過して気体下流室7内に流れ込んだ気体は、広い該気体下流室7内で解放状態となることから、気液分離手段11の一番下方の鍔状部分14dに衝突しながら該仕切り体8の内周面に沿って入り込む気体は、長筒状仕切り体8の内周面と気液分離手段11の縦長状の胴体部11aの環状の間隙部分10を含む外周面の間に渦流的に乱れ、その結果、気液分離が促進する。
本実施形態では、例えば気液分離手段11の縦長状胴体部11aの筒状上端部に形成された連結用メネジ30が蓋体1bの連結用のメネジ22に螺合するが、長筒状仕切り体8は、その取り付け基端部8aが前記縦長状胴体部11の一番上方に周設した鍔状部分14aの仕切り体用オネジ31に螺合するので、長筒状仕切り体8は、気液分離手段11と共に蓋体1bの略中央部に固定的に垂設される。
図3で示すように、長筒状仕切り体8が気液分離手段11を有して蓋体1bに一体的に取り付けられると、長筒状容器1の内部空間は、下端部側の通気口5を基準として吸入口側の気体上流室6と排風口側の気体下流室7に区画される。前記通気口5は、例えば筒状仕切り体8の底壁部分の中央部に円形或いは楕円状に形成され、圧縮空気の通気口に相当する下端部側の該開口5は、図7で示すようにメネジ28側の上端開口29よりも狭い。また前記上端開口29の大きさは、気液分離手段11の鍔状部分14aの大きさを考慮して設計されている。すなわち、本実施形態では、気液分離手段11を直接包むことができる大きさである。
さらに、図3を基準にすると、通気口5を基準として筒状仕切り体8の寸胴状胴部8bは、容器本体1aの寸胴部分の内周壁から多少離間している。
以上のように、本発明の気液分離手段11は、その胴体部11a内に負圧用中空室12が形成された有底筒状体であり、前記胴体部11aには、前記負圧用中空室12と半径方向に連通しかつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部13が設けられていることを特徴とする。付言すると、気体流量制御小孔部13は、胴体部11aの外周面と負圧用中空室12を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された横方向の長孔であることを特徴とする。
次に図8は液体跳ね防止用隔壁部材の斜視図である。本実施形態の液体跳ね防止用隔壁部材41は、例えば図3で示すように長筒状容器1の下端部寄りの部位の内部に上方に位置する筒状仕切り体8に対して下方に所定間隔離間するように位置する。
しかして、液体跳ね防止用隔壁部材41は、縦断面漏斗状に形成された一つの部材であり、そのフランジ状の上端縁部43は、長筒状容器1の内周壁に係止状態に固定されている。そして、筒状仕切り体8の外壁面と対向する側の椀状底壁内面41bは、筒状仕切り体8から落下する液体c及び長筒状容器1の内壁面に沿って流れる液体cを、中心部の液体落下口42へと案内するガイド面としての機能を有し、一方、長筒状容器1の下部内面の対向する側のお椀状底壁外面41aは、液体貯留部50と気体上流室6とを区画すると共に、圧縮空気aを受け入れる前記長筒状容器1内の圧力差により、該長筒状容器1に流れ込んだ前記圧縮空気aに対して、長筒状容器下部に集水された液体cの「跳ね上がり現象」により、前記圧縮空気aと前記液体cとの混合を極力防止する機能を有する。
最後に、図9は気体の流れを示す概略説明図である。水分を含んだ数気圧から数十気圧の圧縮空気(高圧空気)aは、矢印で示すように流れる。すなわち、圧縮空気aは、まず蓋体1bの吸入孔2に流れ込み、少なくとも該蓋体1bに形成された流路、該流路に続く一方側の間隙部分を通って、気体上流室6へと送り込まれる。次に、気体上流室6に送り込まれた圧縮空気aは、容器本体1aの内周壁に衝突し、その一部は前記内周壁に沿うように上昇して容器本体1aの内周壁側の間隙部分に入り込み、他の一部は筒状仕切り体8の通気口5を通って気体上流室7に入り込む。容器本体1aの内周壁側の間隙部分に入り込んだ圧縮空気は、他方側の間隙部分へも流れるので、この部分での滞留時間が長くなり、効率的な水滴化現象が発生する。容器本体1aに流れ込んだ圧縮空気aは、水分を含んだ空気であるが、該空気が容器本体1aの内周壁、筒状仕切り体8の内外の壁面、そして、気液分離手段11の鍔状突起物14に激しく衝突することで、ミスト状の水粒子同士が次々と結合して水滴化する。
ところで、水分を含んだ空気は、何故離されるかについては、特許文献1、2、3に記載されているように、気体の衝突・迂回・滞在時間の増大化等により比重分離がなされることが当業者の技術的認識である。
しかして、遮蔽機能、水滴化機能、受け板機能等を有する筒状仕切り体8に遮られ、かつ該筒状仕切り体8の壁面8bの外壁面に沿って流れる水滴化状態の水分は、通気口5の縁部に至ると、該縁部からその重力によって落下する。
一方、気体下流室7に入り込んだ水分を含んだ空気は、筒状或いは壺状仕切り体8の内部で渦流状態と成りながら、激しく併設状態の気体衝突用突起物14a、14b、14c、14dに衝突ないし接触する。その時、気体衝突用突起物14によって、さらなる除水がなされ、該除水された水滴化状態の水分は、筒状仕切り体8の壁面8bの内壁面に沿って流れ、同様に通気口5の縁部に至ると、該縁部からその重力によって落下する。
そして、略水分が除去された空気は、気液分離手段11の気体流量制御小孔部13の空気抵抗を受けながら勢い良く通過して、該気液分離手段11の負圧用中空室12に流れ込む。この負圧用中空室12に流れ込んだ乾燥状態の空気は、該気液分離手段11の筒状上端部を有して排風口3へと流れ、その先にあるエアーツールなどへ供給される。
このように本発明の気液分離装置Xの特徴は、容器本体1aの内部、特に、トンネル状の気体流量制御小孔部13の空気抵抗の作用と共に、複数の気体衝突用鍔状突起物14の水分捕捉機能を有する気液分離手段11の存在によって、装置を簡素化することができるのみならず、水分を含んだ空気が乱反射の如く衝突ないし接触を繰り返すことにより、水滴化現象が効率良く発生し、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去することができる。
以下、この欄では、本発明の第2実施形態乃至第4実施形態を説明する(同一の構成部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する)。
まず、図10及び図11は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。この第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、気体流量制御小孔部13の数である。気体流量制御小孔部13の数は、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができる。鍔状或いは非鍔状の突起部(肉厚部分W)に形成した気体流量制御小孔部13の数が、第2実施形態に如く、合計4個であれば、50L/minであれば、×4個=200L/minという数式になるので、トンネル状の制御小孔が40個であれば、×40個=2000L/minと言う具合になる。
次に、図12乃至図14は、本発明の第3実施形態を示す各説明図である。この第3実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第1実施形態の気液分離手段11の気体流量制御小孔部13は、胴体部11aの外周面と負圧用中空室を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された横方向の長孔であるのに対して、その気体流量制御小孔部13Aは、薄肉の長筒状胴体部11aに固定された単数又は複数本のパイプである。また、薄肉の長筒状胴体部11aに上下方向にそれぞれ離間して併設的に固定された鍔状部分14(14a、14b、14c、14d)は、薄肉の長筒状胴体部11aに予め一体成形されたものではなく、別体に成形されたドーナツ形状の気体衝突用突起物であり、該気体衝突用突起物14は、複数の固着具45,45(或いは溶着、接着)を有して前記薄肉の長筒状胴体部11aに固定されている。このように気液分離手段11Aを適宜に設計変更しても、第1実施形態と同一の作用・効果がある。
最後に図15は、本発明の第4実施形態を示す説明図である。この第4実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、長筒状容器1に対する筒状仕切り体8Aの取付け構造である。第1実施形態では、筒状仕切り体8は気液分離手段11を有して上蓋1bに取り付けられているが、この第4実施形態の筒状仕切り体8Aは、その上端部の取付け基端部8aをフランジ状に形成し、該フランジ状取付け基端部8aは、容器本体1aの上端と蓋体1bの下端とでサンドイッチ状態に挟持されている。なお、この第4実施形態では、吸入口2は、容器本体1aに形成されている。
本発明は、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等空気吹出し手段用の気液分離装置の分野で利用される。
A…空気送付手段、
B…空気吹出し手段、
C…ドレイン、
W…気液分離手段の肉厚部分、
a…圧縮空気、
b…除水後の気体、
X…気液分離装置
1…長筒状容器、
1a…容器本体、
1b…蓋体、
1c…締付け子、
2…吸入口、
3…排風口、
4…落下口、
5…通気口、
6…気体上流室、
7…気体下流室、
8…筒状仕切り体、
8a…取付け基端部、
8b…胴部、
10…気液分離手段の環状の間隙部分、
11…気液分離手段、
11a…胴体部、
12…負圧用中空室、
13、13A…気体流量制御小孔部、
14…気体衝突用突起物(例えば鍔状部分)、
14a…一番上方の鍔状部分、
14d…一番下方の鍔状部分、
18…受け部分、
30…連結部、
31…筒状仕切り体用連結部、
41…液体跳ね防止用隔壁部材、
42…液体落下口、
50…液体貯留部。
本発明は空気吹出し手段用の気液分離装置に関し、特に、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段用の気液分離装置に関する。
上部に気液分離後の気体を排出する排風口、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口をそれぞれ有する長筒状容器と、この長筒状容器の内部に固定的に配設され、下端開口を基準として吸入口側の気体上流室と排風口側の気体下流室とに区画する上下端開口の仕切り体と、前記長筒状容器に一体的に設けられた筒状支持体を有して前記気体下流室内に設けられた気液分離手段とを備えた空気吹出し手段用の気液分離装置が開示されている。
しかして、特許文献1の公知発明の前記気液分離手段は、上下端開口の長筒状仕切り体の中に、上下方向に透孔を有しかつ凹所11と凸部12が形成された断面山形状の多数の仕切り駒(仕切り構造体)10を、複数の連結螺杆を有して積層状態に配列したものである。
したがって、特許文献1の公知発明は、複数の部屋をそれぞれ形成する各内壁面に流体を順次衝突させて気体と液体を分離する方式(衝突主義)なので、その構造を簡素化することができないという問題点があった。
また特許文献2、3は、気液遠心分離の原理を応用した気液分離装置であるが、特に、特許文献3の公知発明は、内部に中空室を有する円筒状容器1の下部に高圧空気導入口1aを、上部に空気排出口1bを設け、円筒状容器1の内部に高圧空気導入口1aから供給された空気を衝突させ空気の流れ方向を変える吹出ガイド部材41を設け、さらに中空室の上部に中央に開口31aを有する断面円弧状の受板31を設けて中空室を上下に仕切り、この受板31で仕切られた上方の中空室を空気排出口1bと接続し、受板31の上方位置に上方の中空室を区画する中間部材33を備えた気液分離装置の、前記吹出ガイド部材41の衝突面を円筒状容器1の内壁面に倣った曲線状あるいは下流側に向かって流路が広がるように傾斜させた事項が記載されている。
そして、この特許文献3の段落0050には、「(3)円錐状受板の中央開口上部であって仕切り板との間に通気孔を有する湾曲部材33を配置することによって小室が形成され、円錐状受板31で回収しきれなかった液体分が、さらに湾曲部材37内面で捕捉され水滴化し、円錐状受け板の中央開口から円筒状容器底面へ落下してドレイに回収される」、という効果が記載されている。
この特許文献3の公知発明は、気体流路中に、上向き傘状の受板(第1仕切体)30と、この受板30の気体下流(排風口)側にドーム型の灣曲面を有する中間部材(第2仕切体)33を備えているので、確かに、ドーム形状気体下流室内で気体を捕捉して完全なる気液効果の図ることが、理論的に可能であるかも知れない(段落0048では、除去率、ほぼ100%の記述がある)。
しかしながら、前記中間部材(第2仕切体)33は、下面が曲面状のドーム形状気体下流室なので、上向き傘状の受板(第1仕切体)30と中間部材(第2仕切体)33で形成された該気体下流室は、非常に狭い空間部分(小室)となり、気体との接触面積(いわゆる衝突部分)が少ないという問題点があり、実際問題として、100%の除去率があるか否か疑問なしとは言えない。
本願発明を構成する気液分離手段は、上記特許文献1,2,3の問題点を改良したものである。
ところで、気液分離装置の中に、「ミストセパレータ」とか、「ドレンセパレータ」と称されるものがある。後者の一例として、例えば特許文献4が存在する。この特許文献4の図1、図2、図3等には、ハウジング(ボディ)36の傾斜状底壁面54を有する肉厚状底壁部分の中央部に、縦長状の導入ポート46が設けられている。
しかしながら、(a)該導入ポート46は、気体のみを通過させるものではない点、付言すると、分離壁42と遮蔽壁44で区画された回転部材38側には蒸気流通管32に入った混合流体がそのまま流れ込む点、(b)回転部材38が電動モータ40の駆動力によって回転する点、(c)その用途が、蒸気発生器2である点で、本願発明とは、発明の目的、構成、用途等が異なる。なお、各公知発明の説明符号は、各特許文献のものをそれぞれ援用している。
特許第4789963号公報
特開2001−269524号公報
特開2000−5535号公報
特許第4702666号
本願発明の所期の目的は、単数又は複数の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用によって、流体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去し、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段に乾燥空気を送ることである(空気抵抗の原理、流量制御式抵抗の原理)。また空気抵抗の原理を利用することにより、装置の簡素化を図ることである。第2の目的は、流体が筒状仕切り体内の、気体下流室内で複雑に入り渦的に乱れるようにすると同時に、気液分離手段の衝突面積を増やすことによって、気液分離を促進することである。望ましくは、前記気体下流室内に入り込んだ気体は、気液分離手段の気体流量制御小孔部の圧力抵抗(長孔を容易に通過できない空気の作用)及び筒状仕切り体の気体集約・方向変換作用(筒状仕切り体内に集約されかつ逃げ場を失った気体を下向きに押し戻す機能)の両方によって、水、埃、オイル等の空気よりも比重の大きい物質が、長筒状容器の下部に効率良く落下すことである。第3の目的は、気体流量制御小孔部の流量制御を利用することにより、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができることである。第4の目的は、気液分離手段と共に筒状仕切り体を長筒状容器に簡単に装着できることである。その他の目的は、長筒状容器下部に集水された液体の「跳ね上がり現象」を防止することができることである。
本願発明の空気吹出し手段用の気液分離装置は、長筒状容器と、該長筒状容器の内部に固定的に配設された気液分離手段と、この気液分離手段を気体下流室を有して包むように前記長筒状容器の内部に固定的に配設された筒状仕切り体とを備え、前記長筒状容器は、圧縮空気を吸引する吸入口、気液分離後の気体を排出する排風口及び気液分離後の液体を排出する落下口をそれぞれ有し、また前記気液分離手段は、その胴体部内に負圧用中空室が形成された有底筒状体であり、前記胴体部の外周面には、少なくとも1つの気体衝突用鍔状部分が設けられ、該気体衝突用鍔状部分には、前記負圧用中空室と半径方向に連通し、かつ圧縮空気が高速に通過する際に受ける空気抵抗により気体のみが通過するトンネル状気体流量制御小孔部が形成され、また前記筒状仕切り体の下端縁部分の通気口を基準として、少なくとも該筒状仕切り体の外周面と前記長筒状容器の内周面の空間部分は前記吸入口と連通する気体上流室であり、一方、前記筒状仕切り体の内周面と前記気液分離手段の外周面との間は前記トンネル状気体流量制御小孔部と連通する前記気体下流室であり、前記吸入口から前記長筒状容器に入り込んだ前記圧縮空気は、前記気体上流室から前記通気口を通過して前記気体下流室に流れ込み、さらに、前記トンネル状気体流量制御小孔部を通過することを特徴とする。
(a)請求項1及び請求項5に記載の発明は、単数又は複数の気体流量制御小孔部の空気抵抗の作用(圧縮空気がトンネル状気体流量制御小孔部を高速に通過する際に受ける空気抵抗の原理)及び筒状仕切り体の気体集約・方向変換作用の両方によって、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去し、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の空気吹出し手段に乾燥空気を送ることができる。また、横方向のトンネル状或いはパイプの気体流量制御小孔部の空気抵抗の原理・作用を利用したので、装置の簡素化を図ることができる。さらに、流量制御式抵抗のため、異物が孔に詰まることもない、電源やフィルターが必要でない等の利点がある。
(b)請求項2に記載の発明は、衝突面積が増えるので、気液分離が促進する。付言すると、気体下流室内に入り込んだ気体は、筒状仕切り体の内周壁と気液分離手段の間の環状の間隙部分で渦流的に乱れながら逃げ場を失い、その結果、下向きの流れに変わるので、水、埃、オイル等の空気よりも比重の大きい物質を長筒状容器の下部へ効率良く落すことができる。
(c)請求項3に記載の発明は、気液分離手段と共に筒状仕切り体を長筒状容器に簡単に装着できる。
(d)請求項4に記載の発明は、例えば長筒状容器の下端部にドレインを接続した場合に於いて、該ドレインに収容された液体が一杯になった場合であっても、長筒状容器自体の下端部に液体貯留部を設けたので、仮にドレイン内の液体が規定液位を超えた場合であっても、前記液体貯留部に分離した液体を液体跳ね防止用隔壁部材を有して集水することができる。したがって、長筒状容器自体に液体貯留機能を付与することができる。そして、前記液体跳ね防止用隔壁部材は、液体貯留部と吸入口側の気体上流室と区画するので、圧縮空気を受け入れる前記長筒状容器内の圧力差により、該長筒状容器に流れ込んだ前記圧縮空気に対して、長筒状容器下部に集水された液体の「跳ね上がり現象」により、前記圧縮空気と前記液体との混合を極力防止し、よって、可能な限り水分を含有しない乾燥空気を、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等の前記空気吹出し手段に供給することができる。
図1乃至図9は本発明の第1実施形態を示す各説明図、図10及び図11は本発明の第2実施形態を示す各説明図、図12乃至図14は本発明の第3実施形態を示す各説明図、図15は本発明の第4実施形態を示す説明図である。
本発明の主要部を含む環境説明図。
第1実施形態の正面視からの説明図(正面壁部を一部切欠)。
図2に示す気液分離装置の縦断面図。
容器の蓋体と締付け子の分解説明図。
要部(気液分離手段)の説明図。
図5の6−6線概略縦断面図。
要部(筒状仕切り体)の説明図。
要部(液体跳ね防止用隔壁部材)の説明図。
気体の流れを示す概略説明図。
第2実施形態の図3と同様の縦断面図。
要部(気液分離手段)の説明図。
第3実施形態の図3と同様の縦断面図。
要部(気体流量制御小孔部としてのパイプ)の説明図。
要部(鍔状部分)の説明図。
第4実施形態の説明図。
図1乃至図9は、本発明の第1実施形態を示す各説明図である。
(1)環境部材と本発明の主要部
図1は本発明の主要部を含む環境部説明図である。図1に於いて、まず符号Aは、空気を圧縮するエアコンプレッサー、送風機、エアポンプなどの空気送付手段である。空気送付手段Aは普通一般に空気発生機能、空気圧送機能等を有している。
一方符号Bは、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等空気吹出し手段である。この空気吹出し手段Bと前記空気送付手段Aの間に圧縮空気aを供給する供給管(供給ライン)L1と、除水後の気体bを空気吹出し手段Bに供給する排風管(排風ライン)L2を有して、本発明の気液分離装置Xが介在している。
そして、気液分離装置Xを構成する長筒状容器1の下端部に突出形成された液体排出部分に手動式又は自動の容器型ドレインCが、一体的又は取り外し可能に取り付けられる。ドレインCは、普通一般にタンク状に形成され、適宜形態の支持台に載せられている。
図2は第1実施形態の正面視からの説明図(正面壁部を一部切欠)、図3は気液分離装置の縦断面図、そして、図4は容器本体1a、上の蓋体1b、締付け子1cの分解説明図である。
これらの図から判るように、本発明の主要部は、壁部に前記空気送付手段Aから圧送されてくる圧縮空気aを吸引する吸入口2、壁部の上部に気液分離後の気体を排出する排風口3、壁部の下部に気液分離後の液体を排出するための落下口4それぞれ有する長筒状容器1と、この長筒状容器1の内部に固定的に配設され、例えば通気口5を基準として吸入口2側の気体上流室6と排風口3側の気体下流室7とに区画する筒状の仕切り体8と、前記気体下流室内7に固定的に垂設された気液分離手段11を備えている。
そして、前記気液分離手段11は、その縦長状の胴体部11a内に一つの縦長状負圧用中空室12が形成された有底筒状体であり、そして、前記縦長状胴体部11aの中央部(中央部寄りの部位も含む)には、前記縦長状負圧用中空室12と半径方向に連通し、かつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部13が設けられ、或いは形成されている(特徴部分1)。
そして、前記気体流量制御小孔部13は、図6で示すように縦長状胴体部11aの単数又は複数の鍔状部分14の外周面と縦長状負圧用中空室12を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された単数又は複数の横方向の長孔である。
付言すると、縦長状胴体部11aの外周面には、気体衝突用の、複数の鍔状部分14(14a、14b、14c、14d)が上下方向に併設され、上方の鍔状部分(例えば14a)の下面と下方の鍔状部分(例えば厚みが厚い部分14b)の上面の間は、環状の間隙部分10(実施形態では合計3個)となっている。そして、本実施形態では、上方から一番目の鍔状部分14bに一つの気体流量制御小孔部13を形成している。
さらに、長筒状容器1の下端部寄りの部位の内部に、前述した筒状仕切り体8に対して下方に所定間隔離間すると共に、気液分離後の液体を落下方向へと案内する液体落下口42を有する液体跳ね防止用隔壁部材41を設け、該液体跳ね防止用隔壁部材41の底壁外面と長筒状容器11の下部内面との空間部分は、液体貯留部50となっている。
前記液体跳ね防止用隔壁部材41は、例えば図3で示すように縦断面漏斗状に形成された一つの部材であり、そのフランジ状の上端縁部43は、長筒状容器1の内周壁に一体的に固定されている(係止構造も含む)。
第1実施形態では、気液分離手段11のトンネル状の気体流量制御小孔部13の口径(直径)は、吸入口2の口径、縦長状負圧用中空室12の直径及び排風口3の口径のそれぞれに対して小さい。
そして、気体流量制御小孔部13の口径は、例えば「2mm程度」であるのに対して、トンネル状の半径方向の長さは、例えば「20mm程度」である。
また図示しない吸入口2側のラインL1に設けた入口側圧力計では、例えば「0.7Mpa」であり、一方、図示しない排風口3側のラインL2に設けた排風口側圧力計では、例えば「50L/min」の乾燥空気bが流れる。もちろん、この乾燥空気bは、気体流量制御小孔部13の数を増減することによって、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができる。
(2)各部材の具体的構成
1は長筒状容器で、この長筒状容器1では、例えば図4で示すように縦方向に長い上端開口15の容器本体1aと、この容器本体1aに一体的に結合する蓋体1bと、この蓋体1bを前記容器本体1aに着脱自在に締め付ける環状の締付け子1cとから成る。
まず、容器本体1aは、その上端縁に結合部分16が周設され、一方、寸胴部分に連設する下端部は、すり鉢状に形成された底壁部分となっており、この底壁部分の中央部には、落下口4が形成されている。そして、前記落下口4の部分には、短い排出管17が一体的に設けられ、該短い排出管17には、図2、図3で示すようにドレインCが配設される。
さらに、容器本体1aの下端部寄りの内周壁には、段差状、傾斜状、突起状等の受け部分18が周設形成されている。
この容器本体1aは、例えば角筒又は円筒(本実施形態)に形成されている。
次に蓋体1bは、図3の図面右側に内ネジが形成された吸入口2を有し、一方、図3の図面左側に内ネジが形成された排風口3を有する。なお、前記吸入口2は、上蓋1bではなく、容器本体1aに形成しても良い。
この第1実施形態では、排風口3と吸入口2を仕切る垂直壁20及び水平壁21が蓋体1bの内部空間に設けられ、前記水平壁21に連結部としてのメネジ22が上下方向に形成されている。さらに、蓋体1bの段差部分から下方の筒状下端部分23は、容器本体1aの上端開口15に嵌合する嵌入部となっている。そして、蓋体1bの前記段差部分から上方の大径部分の外周壁には、オネジ24が形成され、このオネジ24に締付け子1cのメネジ25が螺合する(図3参照)。
次に締付け子1cは、前述したように内周壁にメネジ25を有し、その下端部寄りの部位は縮径状態の係合部分26となっており、該係合部分26は容器本体1aのストッパー機能を有する係合部分16に係止された状態に係合する。
したがって、蓋体1bを容器本体1aに取付ける際は、まず、蓋体1bの下端部分23を容器本体1aの上端部に嵌入し、次に、締付け子1cを容器本体1aの排出管17側から該容器本体1aを通すように上側へ持って行き、そして、そのメネジ25を蓋体1bのオネジ24に螺合させる。この時、容器本体1aの係合部分16は締付け子1cに対して係止機能を発揮する。
なお、容器本体1aと蓋体1bとの螺合構造は、任意に設計変更することができる事項であり、例えば蓋体1bの下端部分23の内周壁にメネジを形成し、一方、容器本体1aの上端部外周にオネジを形成して、前記蓋体1bを容器本体1aに外嵌合状態に螺着しても良い。
次に長筒状の仕切り体8を説明する。図7は仕切り体の斜視図である。仕切り体8は、断面壺形状の形態にするのが望ましいが、本実施形態では、上下端開口の寸胴状長筒である。図7を参照にすると、長筒状仕切り体8は、環状取り付け基端部8aの上端開口29よりも、下端開口に相当する通気口5の方が狭い。この狭い通気口5を通過して気体下流室7内に流れ込んだ気体は、広い該気体下流室7内で解放状態となることから、気液分離手段11の一番下方の鍔状部分14dに衝突しながら該仕切り体8の内周面に沿って入り込む気体は、長筒状仕切り体8の内周面と気液分離手段11の縦長状の胴体部11aの環状の間隙部分10を含む外周面の間に渦流的に乱れ、その結果、気液分離が促進する。
本実施形態では、例えば気液分離手段11の縦長状胴体部11aの筒状上端部に形成された連結用メネジ30が蓋体1bの連結用のメネジ22に螺合するが、長筒状仕切り体8は、その取り付け基端部8aが前記縦長状胴体部11の一番上方に周設した鍔状部分14aの仕切り体用オネジ31に螺合するので、長筒状仕切り体8は、気液分離手段11と共に蓋体1bの略中央部に固定的に垂設される。
図3で示すように、長筒状仕切り体8が気液分離手段11を有して蓋体1bに一体的に取り付けられると、長筒状容器1の内部空間は、下端部側の通気口5を基準として吸入口側の気体上流室6と排風口側の気体下流室7に区画される。前記通気口5は、例えば筒状仕切り体8の底壁部分の中央部に円形或いは楕円状に形成され、圧縮空気の通気口に相当する下端部側の該開口5は、図7で示すようにメネジ28側の上端開口29よりも狭い。また前記上端開口29の大きさは、気液分離手段11の鍔状部分14aの大きさを考慮して設計されている。すなわち、本実施形態では、気液分離手段11を直接包むことができる大きさである。
さらに、図3を基準にすると、通気口5を基準として筒状仕切り体8の寸胴状胴部8bは、容器本体1aの寸胴部分の内周壁から多少離間している。
以上のように、本発明の気液分離手段11は、その胴体部11a内に負圧用中空室12が形成された有底筒状体であり、前記胴体部11aには、前記負圧用中空室12と半径方向に連通しかつ気体のみが通過するトンネル状の気体流量制御小孔部13が設けられていることを特徴とする。付言すると、気体流量制御小孔部13は、胴体部11aの外周面と負圧用中空室12を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された横方向の長孔であることを特徴とする。
次に図8は液体跳ね防止用隔壁部材の斜視図である。本実施形態の液体跳ね防止用隔壁部材41は、例えば図3で示すように長筒状容器1の下端部寄りの部位の内部に上方に位置する筒状仕切り体8に対して下方に所定間隔離間するように位置する。
しかして、液体跳ね防止用隔壁部材41は、縦断面漏斗状に形成された一つの部材であり、そのフランジ状の上端縁部43は、長筒状容器1の内周壁に係止状態に固定されている。そして、筒状仕切り体8の外壁面と対向する側の椀状底壁内面41bは、筒状仕切り体8から落下する液体c及び長筒状容器1の内壁面に沿って流れる液体cを、中心部の液体落下口42へと案内するガイド面としての機能を有し、一方、長筒状容器1の下部内面の対向する側のお椀状底壁外面41aは、液体貯留部50と気体上流室6とを区画すると共に、圧縮空気aを受け入れる前記長筒状容器1内の圧力差により、該長筒状容器1に流れ込んだ前記圧縮空気aに対して、長筒状容器下部に集水された液体cの「跳ね上がり現象」により、前記圧縮空気aと前記液体cとの混合を極力防止する機能を有する。
最後に、図9は気体の流れを示す概略説明図である。水分を含んだ数気圧から数十気圧の圧縮空気(高圧空気)aは、矢印で示すように流れる。すなわち、圧縮空気aは、まず蓋体1bの吸入口2から前記長筒状容器に入り込み、少なくとも該蓋体1bに形成された流路、該流路に続く一方側の間隙部分を通って、気体上流室6へと送り込まれる。次に、気体上流室6に送り込まれた圧縮空気aは、容器本体1aの内周壁に衝突し、その一部は前記内周壁に沿うように上昇して容器本体1aの内周壁側の間隙部分に入り込み、他の一部は筒状仕切り体8の通気口5を通って気体上流室7に入り込む。容器本体1aの内周壁側の間隙部分に入り込んだ圧縮空気は、他方側の間隙部分へも流れるので、この部分での滞留時間が長くなり、効率的な水滴化現象が発生する。容器本体1aに流れ込んだ圧縮空気aは、水分を含んだ空気であるが、該空気が容器本体1aの内周壁、筒状仕切り体8の内外の壁面、そして、気液分離手段11の鍔状突起物14に激しく衝突することで、ミスト状の水粒子同士が次々と結合して水滴化する。
ところで、水分を含んだ空気は、何故離されるかについては、特許文献1、2、3に記載されているように、気体の衝突・迂回・滞在時間の増大化等により比重分離がなされることが当業者の技術的認識である。
しかして、遮蔽機能、水滴化機能、受け板機能等を有する筒状仕切り体8に遮られ、かつ該筒状仕切り体8の壁面8bの外壁面に沿って流れる水滴化状態の水分は、通気口5の縁部に至ると、該縁部からその重力によって落下する。
一方、気体下流室7に入り込んだ水分を含んだ空気は、筒状或いは壺状仕切り体8の内部で渦流状態と成りながら、激しく併設状態の気体衝突用突起物14a、14b、14c、14dに衝突ないし接触する。その時、気体衝突用突起物14によって、さらなる除水がなされ、該除水された水滴化状態の水分は、筒状仕切り体8の壁面8bの内壁面に沿って流れ、同様に通気口5の縁部に至ると、該縁部からその重力によって落下する。
そして、略水分が除去された空気は、気液分離手段11の気体流量制御小孔部13の空気抵抗を受けながら勢い良く通過して、該気液分離手段11の負圧用中空室12に流れ込む。この負圧用中空室12に流れ込んだ乾燥状態の空気は、該気液分離手段11の筒状上端部を有して排風口3へと流れ、その先にあるエアーツールなどへ供給される。
このように本発明の気液分離装置Xの特徴は、容器本体1aの内部、特に、トンネル状の気体流量制御小孔部13の空気抵抗の作用と共に、複数の気体衝突用鍔状突起物14の水分捕捉機能を有する気液分離手段11の存在によって、装置を簡素化することができるのみならず、水分を含んだ空気が乱反射の如く衝突ないし接触を繰り返すことにより、水滴化現象が効率良く発生し、気体から不純物(空気よりも比重の大きい物質)を略完全に除去することができる。
以下、この欄では、本発明の第2実施形態乃至第4実施形態を説明する(同一の構成部分には同一の符号を付して重複する説明を割愛する)。
まず、図10及び図11は本発明の第2実施形態を示す各説明図である。この第2実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、気体流量制御小孔部13の数である。気体流量制御小孔部13の数は、例えば小流量・低圧、大流量・低圧などの基本用法に見合った自由設計ができる。鍔状或いは非鍔状の突起部(肉厚部分W)に形成した気体流量制御小孔部13の数が、第2実施形態に如く、合計4個であれば、50L/minであれば、×4個=200L/minという数式になるので、トンネル状の制御小孔が40個であれば、×40個=2000L/minと言う具合になる。
次に、図12乃至図14は、本発明の第3実施形態を示す各説明図である。この第3実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第1実施形態の気液分離手段11の気体流量制御小孔部13は、胴体部11aの外周面と負圧用中空室を形成する内周面の間の肉厚部分Wに形成された横方向の長孔であるのに対して、その気体流量制御小孔部13Aは、薄肉の長筒状胴体部11aに固定された単数又は複数本のパイプである。また、薄肉の長筒状胴体部11aに上下方向にそれぞれ離間して併設的に固定された鍔状部分14(14a、14b、14c、14d)は、薄肉の長筒状胴体部11aに予め一体成形されたものではなく、別体に成形されたドーナツ形状の気体衝突用突起物であり、該気体衝突用突起物14は、複数の固着具45,45(或いは溶着、接着)を有して前記薄肉の長筒状胴体部11aに固定されている。このように気液分離手段11Aを適宜に設計変更しても、第1実施形態と同一の作用・効果がある。
最後に図15は、本発明の第4実施形態を示す説明図である。この第4実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、長筒状容器1に対する筒状仕切り体8Aの取付け構造である。第1実施形態では、筒状仕切り体8は気液分離手段11を有して上蓋1bに取り付けられているが、この第4実施形態の筒状仕切り体8Aは、その上端部の取付け基端部8aをフランジ状に形成し、該フランジ状取付け基端部8aは、容器本体1aの上端と蓋体1bの下端とでサンドイッチ状態に挟持されている。なお、この第4実施形態では、吸入口2は、容器本体1aに形成されている。
本発明は、エアスプレーガン、エアモータ、エアブレーカ等空気吹出し手段用の気液分離装置の分野で利用される。
A…空気送付手段、
B…空気吹出し手段、
C…ドレイン、
W…気液分離手段の肉厚部分、
a…圧縮空気、
b…除水後の気体、
X…気液分離装置
1…長筒状容器、
1a…容器本体、
1b…蓋体、
1c…締付け子、
2…吸入口、
3…排風口、
4…落下口、
5…通気口、
6…気体上流室、
7…気体下流室、
8…筒状仕切り体、
8a…取付け基端部、
8b…胴部、
10…気液分離手段の環状の間隙部分、
11…気液分離手段、
11a…胴体部、
12…負圧用中空室、
13、13A…気体流量制御小孔部、
14…気体衝突用突起物(例えば鍔状部分)、
14a…一番上方の鍔状部分、
14d…一番下方の鍔状部分、
18…受け部分、
30…連結部、
31…筒状仕切り体用連結部、
41…液体跳ね防止用隔壁部材、
42…液体落下口、
50…液体貯留部。