以下に、本件の開示する無線通信方法、無線通信システム、基地局および無線端末の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態により本件の開示する無線通信方法、無線通信システム、基地局および無線端末が限定されるものではない。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る無線通信システム1の構成を示す。図1に示すように、無線通信システム1は、基地局10と、無線端末20とを有する。基地局10は、セルC10を形成している。無線端末20はセルC10に存在している。
基地局10は、有線接続を介してネットワーク装置3と接続されており、ネットワーク装置3は、有線接続を介してネットワーク2に接続されている。基地局10は、ネットワーク装置3およびネットワーク2を介して、他の基地局とデータや制御情報を送受信可能に設けられている。
ネットワーク装置3は、例えば通信部と制御部とを備え、これら各構成部分が、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。ネットワーク装置3は、例えばゲートウェイにより実現される。ネットワーク装置3のハードウェア構成としては、例えば通信部はインタフェース回路、制御部はプロセッサとメモリとで実現される。
無線端末20は、第1無線通信で基地局10と通信を行う。また、無線端末20は、第2無線通信で基地局10以外のアクセスポイントや通信機器と通信を行う。第1無線通信としては、例えばLTEやLTE−Aが挙げられる。また、第2無線通信としては、例えばWiFiやBluetooth(商標登録)が挙げられる。
第1無線通信と、第2無線通信とは、同じあるいは近い周波数帯を用いて通信が行われる。例えば、第1無線通信に用意される周波数帯群と、第2無線通信に用意される周波数帯群とが、隣り合う場合や、第1無線通信と第2無線通信とが、同じ周波数帯群を共用する場合が想定される。
図2は、基地局10の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、基地局10は、送信部11と、受信部12と、制御部13とを備える。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
送信部11は、データ信号や制御信号を、アンテナを介して第1無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部11は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を送信する。下りの物理データチャネルは例えば、個別データチャネルPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)を含む。また、下りの物理制御チャネルは例えば、個別制御チャネルPDCCH(Physical Downlink Control Channel)を含む。送信する信号は例えば、接続状態の無線端末20に個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2制御信号や、接続状態の無線端末20に個別データチャネル上で伝送されるRRC(Radio Resource Control)制御信号を含む。また、送信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。また、送信する信号は例えば、接続中の無線端末20での無線通信に関する制御情報を含む。制御情報としては例えば、無線端末20が使用する無線リソースのスケジューリングの周期や、無線端末20での間欠受信(DRX, Discontinuous Reception)の周期が挙げられる。
受信部12は、無線端末20から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して第1無線通信で受信する。受信部12は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を受信する。上りの物理データチャネルは例えば、個別データチャネルPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)を含む。また、上りの物理制御チャネルは例えば、個別制御チャネルPUCCH(Physical Uplink Control Channel)を含む。また、受信する信号は例えば、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号を含む。また、受信する信号は例えば、無線端末20から送信される干渉通知(IDC indication)や、干渉の制御を補助する情報(assistant information)を含む。干渉通知は例えば、干渉の発生が検出されているかを示す情報と、干渉レベルとの、少なくともいずれかを通知する。
制御部13は、有線接続あるいは無線接続を介して、ネットワーク装置3や他の基地局からデータや制御情報を取得する。制御部13は、送信するデータや制御情報を送信部11に出力する。制御部13は、受信されるデータや制御情報を受信部12から入力する。
また、制御部13は、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末20から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末20に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)は例えば、干渉通知と共に、或いは干渉通知に含めて、送信される。制御部13は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信に関する制御情報として無線通信パラメータを決定する。無線通信パラメータは例えば、第1無線通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、DRXの周期をより短くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を上げるように設定される。また、無線通信パラメータは例えば、第1無線通信の活性度を下げる場合には、DRXの周期をより長くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を下げるように設定される。
また、制御部13は、干渉の制御のための計測結果に基づいた、干渉の制御を補助する情報(第2補助情報)を無線端末20から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末20に送信する制御を行う。制御部13は例えば、無線端末20から受信した干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信に関する制御情報として無線通信パラメータを決定する。干渉の制御を補助する情報としては例えば、計測結果に基づいて決定される、無線端末20が希望する無線通信パラメータ(DRXのパターンや、ハンドオーバ先の周波数帯など)が挙げられる。制御部13は、無線端末20が希望する無線通信パラメータを反映して、スケジューリングを行い、無線通信パラメータを無線端末20に送信する。なお、制御部13は例えば、無線端末20から計測結果を受信して、無線通信パラメータを決定するものとしてもよい。制御部13は例えば、計測結果に基づいて、DRXのパターンやハンドオーバ先の周波数帯を決定する。
図3は、無線端末20の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、無線端末20は、送信部21A,21Bと、受信部22A,22Bと、制御部23A,23Bと、を備える。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
送信部21Aは、データ信号や制御信号を、アンテナを介して第1無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。送信部21は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を送信する。送信する信号は例えば、チャネル推定や復調のためのリファレンス信号や、干渉の発生を示す干渉通知や、干渉の制御を補助する情報を含む。
受信部22Aは、基地局10から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して第1無線通信で受信する。受信する信号は例えば、チャネル推定や復調のためのリファレンス信号や、無線通信に関する制御情報を含む。
制御部23Aは、第1無線通信と第2無線通信による、無線端末20内での干渉の発生を検出する。制御部23Aは例えば、第1無線通信および第2無線通信が動作時の、第1無線通信側での受信信号のエラー特性等に基づいて、第1無線通信での干渉の発生を検出する(あるいは第1無線通信での通信性能の劣化を判定する)。
また、制御部23Aは、制御部23Bから通知される、第2無線通信での干渉の発生の検出結果(あるいは第2無線通信での通信性能の劣化の判定結果)を取得する。なお、制御部23Aが、制御部23Bから受信信号のエラー特性等を取得して、第2無線通信での干渉の発生を検出する(あるいは第2無線通信での通信性能の劣化を判定する)ものとしてもよい。
また、制御部23Aは、干渉の発生を検出した場合、干渉を除去するための干渉制御を行う。干渉制御としては様々な方式があり、これらを組み合わせて用いることができる。干渉制御として例えば、無線端末20の第1無線通信側と第2無線通信側とで、協調せずに独自に行うモードや、無線端末20内で第1無線通信側と第2無線通信側とで協調して行うモードや、無線端末20内と基地局10等の外部ネットワークとで協調して行うモードが挙げられる。例えば、無線端末20内で協調して行うモードでは、第1無線通信の信号と第2無線通信の信号との差分を取る方法や、第1無線通信の通信タイミングと第2無線通信の通信タイミングとを時分割する方法や、第1無線通信あるいや第2無線通信の送信電力を減らす方法等が挙げられる。
干渉制御として、特に(1)FDM(Frequency Division Multiplexing)方式、(2)TDM(Time Division Multiplexing)方式、(3)自律停止(Autonomous Denial)方式が挙げられる。
FDM方式では、第1無線通信で現在使用している周波数帯を異なる周波数帯にハンドオーバする。
TDM方式では、第1無線通信と第2無線通信とにおいて、一方の送信が他方の受信と同時に実行されないように制御する。詳細には例えば、第1無線通信のDRXのパターンが適切となるように制御する。
Autonomous Denial方式では、例えばFDM方式とTDM方式とを使用しても無線端末内の干渉が制御できないような場合に、第1無線通信または第2無線通信の送信を無線端末20が自律的に停止する。なお、例えば、自律停止の頻度やレベルは、基地局10から通知されてもよく、無線端末20内で予め格納されたり、調整されたりしてもよい。
制御部23Aは、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御を補助する情報を決定する。そして、制御部23Aは、干渉通知と干渉の制御を補助する情報とを基地局10に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信について無線端末20の志向を示す情報(志向情報)を含む。志向(preference)は例えば、無線端末20で複数の無線通信のうちどの無線通信の通信性能を優先するかを示す。例えば、第1無線通信志向の場合、第1無線通信の通信性能を優先し、第2無線通信志向の場合、第2無線通信の通信性能を優先する。志向情報は、例えば、所定ビットの情報として干渉通知に付加して送信される。また、制御部23Aは、干渉の制御を補助する情報として例えば、志向情報や、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた情報や、および志向情報と干渉の発生パターンと無線端末20で実施中の通信サービスの種類(あるいはトラヒックの種類)とを対応付けた情報を基地局10に送信することができる。
また、制御部23Aは、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御のための計測処理を実行する。制御部23Aは例えば、現在使用している周波数帯と異なる周波数帯での、基地局10からのリファレンス信号を検知し、受信信号レベルを計測する(異周波数計測)。受信信号レベルは例えば、受信電力や受信品質を含む。受信信号レベルとして、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)(=受信電力値/総電力値)、SIR(Signal to Interference Ratio)、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)等が挙げられる。
また、制御部23Aは、計測処理を完了する前に送信した干渉の制御を補助する情報に応じて基地局10から送信される無線通信に関する制御情報を受信し、この制御情報を用いて無線通信を実行することで、干渉制御を行う。また、制御部23Aは、計測結果に応じて基地局10から送信される無線通信に関する制御情報を受信し、この制御情報を用いて無線通信を実行することで、干渉制御を行う。
送信部21Bは、データ信号や制御信号を、アンテナを介して第2無線通信で送信する。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。
受信部22Bは、基地局から送信されたデータ信号や制御信号を、アンテナを介して第2無線通信で受信する。
制御部23Bは、送信するデータや制御情報を送信部21に出力する。また、制御部23は、受信部22から受信されるデータや制御情報を入力する。
制御部23Bは例えば、第1無線通信および第2無線通信が動作時の、第2無線通信側での受信信号のエラー特性等に基づいて、第2無線通信での干渉の発生を検出する(あるいは第2無線通信での通信性能の劣化を判定する)。
制御部23Bは、計測した受信信号レベルを制御部23Aに通知する。制御部23Bは、計測した受信信号レベルに基づいて、第2無線通信での通信性能の劣化を判定し、判定結果を制御部23Aに通知してもよい。
図4は、基地局10のハードウェア構成を示す図である。図4に示すように、基地局10は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ31を備えるRF(Radio Frequency)回路32と、CPU(Central Processing Unit)33と、DSP(Digital Signal Processor)34と、メモリ35と、ネットワークIF(Interface)36とを有する。CPUは、スイッチ等のネットワークIF36を介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。メモリ35は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。送信部11及び受信部12は、例えばRF回路32、あるいはアンテナ31およびRF回路32により実現される。制御部13は、例えばCPU33等の集積回路あるいはDSP34等の集積回路により実現される。
図5は、無線端末20のハードウェア構成を示す図である。図5に示すように、無線端末20は、ハードウェアの構成要素として、例えばアンテナ41A,41Bをそれぞれ備えるRF回路42A,42Bと、CPU43A,43Bと、メモリ44A,44Bとを有する。さらに、無線端末20は、CPU43A,43Bに接続されるLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を有してもよい。メモリ44A,44Bは、例えばSDRAM等のRAM、ROM、及びフラッシュメモリの少なくともいずれかを含み、プログラムや制御情報やデータを格納する。送信部21A及び受信部22Aは、例えばRF回路42A、あるいはアンテナ41AおよびRF回路42Aにより実現される。制御部23Aは、例えばCPU43A等の集積回路により実現される。同様に、送信部21B及び受信部22Bは、例えばRF回路42B、あるいはアンテナ41BおよびRF回路42Bにより実現される。制御部23Bは、例えばCPU43B等の集積回路により実現される。
次に、第1実施形態における無線通信システム1の動作を説明する。図6は、無線通信システム1で、無線端末20での干渉制御動作を説明するためのシーケンス図である。
ここで、前提として、前述の干渉制御の3つの方式について検討する。FDM方式では、異周波数計測の計測結果に基づいて、異周波ハンドオーバの実行や、ハンドオーバ先の周波数を決定する。この異周波数計測には、例えば数十[ms]から数百[ms]の時間を要する。このため、現在使用している周波数帯から異なる周波数帯にハンドオーバするまでに時間を要する。したがって、干渉制御が機能するまでに時間を要する。また、TDM方式では、第1無線通信の干渉制御に適切なDRXパターンを検出するまでに時間を要する。つまり、干渉制御が機能するまでに時間を要する。また、Autonomous Denial方式は、無線端末が任意に送信を停止するため、例えば、QoS(Quality of Service)が比較的高い通信が連続して停止される可能性があり、通信の性能が劣化する。このように、通信の性能の劣化が回避されるような迅速な制御が必要である。
なお、図5では異なる2つの無線通信の機能が実装されている例を記載しているが、2つには限られず、3以上の無線通信の機能が実装されていてもよい。
そこで、第1実施形態では、以下のように無線端末20で干渉制御動作が行われる。
図6に示すように、無線端末20は、干渉の発生を検出する(S1)。次に、無線端末20は、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)を決定し、干渉通知と、干渉の制御を補助する情報とを基地局10に送信する(S2)。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信についての無線端末20の志向情報を含む。干渉の制御を補助する情報は、例えばRRC制御信号として送信される。
次に、無線端末20は、干渉の制御のための計測処理を開始する(S3)。計測処理では例えば、異周波での受信信号レベルが計測される。
これと共に、基地局10は、第1補助情報を受信すると、無線通信に関する制御情報(無線通信パラメータ)を決定する(S4)。例えば、無線通信パラメータとして、DRX周期や、スケジューリングの周期が決定される。
次に、基地局10は、決定した無線通信に関する制御情報(無線通信パラメータ)を、無線端末20に送信する(S5)。無線通信パラメータは例えば、PDSCH上で伝送されるRRCシグナリングとして送信される。
次に、無線端末20は、受信した無線通信に関する制御情報(無線通信パラメータ)に基づいて、無線通信を制御する(S6)。これにより、干渉を除去するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
次に、無線端末20は、計測処理を完了したか否かを判断する(S7)。計測処理が完了していない場合(S7の判断結果がNo)、S7に戻り、計測処理が継続され、計測処理が完了するまで、所定のタイミングで判断が行われる。
一方、計測処理が完了している場合(S7の判断結果がNo)、無線端末20は、計測結果に基づいて、干渉の制御を補助する情報(第2補助情報)を決定し、基地局10に送信する。
そして、基地局10は例えば、計測結果に基づく第2補助情報を受信すると、無線通信に関する制御情報(無線通信パラメータ)を決定して無線端末70に送信し、無線端末70で、受信した無線通信パラメータに基づいて、無線通信を制御することができる。これにより、例えば、異周波ハンドオーバが実行されたり、適切なDRXパターンでDRXが実行されたり、適切な頻度で自律停止が実行されたりすることで、干渉の発生を回避するように干渉が制御される。なお、無線端末20は、所定条件を満たす場合は、第2補助情報を基地局10の決定や送信を行わないものとしてもよい。
以上により、第1実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末20で、無線端末20内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
なお、上述の干渉制御動作では、無線端末20は、干渉の発生を検出してから計測処理が完了するまでに、干渉通知と第1補助情報とを、基地局10に1回送信するものとしたが、計測処理が完了するまでに、干渉の発生を繰り返し検出して、干渉通知と第1補助情報とを複数回送信するものとしてもよい。さらに、無線端末20は、タイマやカウンタを備え、例えば1回目の干渉通知と第1補助情報とを送信してから所定時間まで、あるいは所定回数までに、干渉通知と第1補助情報との送信を制限してもよい。例えば、送信(再送)の回数が上限値N(Nは1以上の整数)により制限される、あるいは、タイマが計時中の期間のみ送信(再送)ができるように制御される。これにより、干渉通知と第1補助情報とが過剰に再送信されることを避けることができる。なお、基地局10がタイマやカウンタを有し、送信の制限を無線端末20に通知するようにしてもよい。また、第1補助情報の1回目の送信からの経過時間や送信回数に応じて、あるいは、干渉の発生状態に応じて、無線端末20が第1補助情報の内容を調整してもよく、基地局10が第1補助情報に応じて決定する制御情報の内容を調整してもよい。
また、計測結果に基づいた、干渉の制御を補助する情報は、計測処理が部分的に完了したときに、部分的な計測結果に基づいて決定され、基地局10に送信されるようにしても良い。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る無線通信システムは、基地局50(後述の図7に示す)と、無線端末70(後述の図8に示す)とを有する。第2実施形態に係る無線通信システムの全体的構成は、図1に示す無線通信システム1と同様である。無線通信システムの基地局50、無線端末70以外に関する部分は、同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係る無線通信システム1において、無線端末70は、基地局50が形成するセルに存在している。基地局50は、有線接続を介してネットワーク装置3と接続されており、ネットワーク装置3は、有線接続を介してネットワーク2に接続されている。基地局50は、ネットワーク装置3およびネットワーク2を介して、他の基地局とデータや制御情報を送受信可能に設けられている。
無線端末70は、第1無線通信で基地局50と通信を行う。また、無線端末70は、第2無線通信で基地局50以外のアクセスポイントや通信機器と通信を行う。第1無線通信としては、例えばLTEやLTE−Aが挙げられる。また、第2無線通信としては、例えばWiFiやBluetoothが挙げられる。
図7は、基地局50の構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、基地局50は、送信/受信アンテナ51と、送信/受信切替え部52と、受信信号処理部53と、データ取得部54と、RS(Reference Signal)取得部55と、を有する。また、基地局50は、データ転送部56と、無線通信制御部58と、を有する。また、基地局50は、データ生成部59と、RS生成部60と、送信信号処理部61と、を有する。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
送信/受信アンテナ51は、受信の場合、無線信号を受信して、受信信号処理部53に出力する。送信/受信アンテナ51は、例えば上りのデータチャネルや制御チャネルを介して、上り信号を受信する。信号を受信する物理チャネルは例えば、ランダムアクセスチャネルPRACH(Physical Random Access Channel)や、PUSCHやPUCCHを含む。上り信号は例えば、ランダムアクセス手順で無線端末から送信されるRACH信号や、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号や、制御信号や、データ信号を含む。また、制御信号は例えば、無線端末70から送信される干渉通知や、干渉の制御を補助する情報や、干渉の制御のための計測結果を含む。
また、送信/受信アンテナ51は、送信の場合、送信信号処理部61から入力される無線信号を送信する。送信/受信アンテナ51は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を送信する。信号を送信する物理チャネルは例えば、同期チャネルPSCH(Physical Synchronization Channel)、報知チャネルPBCH(Physical Broadcast Channel)、PDSCHおよびPDCCHを含む。下り信号は、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号や、制御信号や、データ信号を含む。制御信号としては例えば、接続状態の無線端末70に個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2シグナリングや、接続状態の無線端末70に個別データチャネル上で伝送されるRRCシグナリングが挙げられる。また、制御信号としては例えば、MIB(Master Information Block)やSIB(System Information Block)に格納されて、報知チャネル又は報知チャネルで指定される共有チャネル上で伝送されるシステム情報が挙げられる。制御信号は例えば、接続中の無線端末70での無線通信に関する制御情報を含む。制御情報としては例えば、無線端末70が使用する無線リソースのスケジューリングの周期や、無線端末70でのDRXの周期が挙げられる。これらの制御情報は例えば、接続が確立されたタイミングや、所定の制御タイミングで通知される。
送信/受信切替え部52は、送信/受信アンテナ51の送信と受信とを切替える。なお、アンテナは送信と受信で別体としてもよい。また、複数のアンテナを備えるものとしてもよい。
受信信号処理部53は、受信信号に、A/D(Analog to Digital)変換等の無線処理や、FFT処理等のデジタル信号処理を行う。受信信号処理部53は、データ取得部54に、受信されたデータ信号や、制御信号を出力する。また、受信信号処理部53は、RS取得部55に、受信されたリファレンス信号を出力する。
データ取得部54は、受信されたデータ信号や制御信号について、復調処理や復号処理を行う。データ取得部54は例えば、予め通知される或いは格納される制御情報と、復調処理のためのリファレンス信号とに基づいて、復調処理を行う。また、データ取得部54は、予め通知される或いは格納される制御情報と、チャネル推定のためのリファレンス信号とから推定されるチャネル推定値とに基づいて、復調処理された信号の復号処理を行う。また、データ取得部54は、復号処理された信号のリオーダリング処理等を行い、データを取得する。
RS取得部55は、復調のためのリファレンス信号を、データ取得部54に出力する。また、RS取得部55は、予め通知される或いは格納される制御情報と、チャネル推定のためのリファレンス信号とから推定されるチャネル推定値を、データ取得部54に出力する。また、RS取得部55は、リファレンス信号から取得される受信信号レベルを無線通信制御部58に出力する。
データ転送部56は、データ取得部54から入力されるデータや制御情報をネットワーク装置3に転送する。また、データ転送部56は、ネットワーク装置3から転送されるデータや制御情報を入力する。また、データ転送部56は、送信するデータや制御情報をデータ生成部59に出力する。
無線通信制御部58は、無線端末70への無線リソースの割当て等のスケジューリングを行う。無線通信制御部58は、例えば干渉通知と干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。無線通信パラメータは例えば、第1無線通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、DRXの周期をより短くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を上げるように設定される。また、無線通信パラメータは例えば、第1無線通信の活性度を下げる場合には、DRXの周期をより長くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を下げるように設定される。
また、無線通信制御部58は、干渉の制御のための計測結果に基づいた、干渉の制御を補助する情報(第2補助情報)を無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、無線端末70から受信した干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。干渉の制御を補助する情報としては例えば、計測結果に基づいて決定される、無線端末70が希望する無線通信パラメータ(DRXのパターンや、ハンドオーバ先の周波数帯など)が挙げられる。無線通信制御部58は、無線端末20が希望する無線通信パラメータを反映して、スケジューリングを行い、無線通信パラメータを無線端末70に送信する。なお、制御部13は例えば、無線端末70から計測結果を受信して、無線通信パラメータを決定するものとしてもよい。無線通信制御部58は例えば、計測結果に基づいて、DRXのパターンやハンドオーバ先の周波数帯を決定する。
データ生成部59は、ユーザデータや制御情報を、予め決められたシグナリングフォーマットに格納する。そして、データ生成部59は、シグナリングフォーマットに格納されたユーザデータや制御情報に符号化処理や変調処理を行い、送信データを送信信号処理部60に出力する。制御情報は報知情報を含む。
RS生成部60は、データの復調やチャネル推定に用いられるリファレンス信号を生成して、送信信号処理部61に出力する。
送信信号処理部61は、送信信号を生成して、送信/受信アンテナ51に出力する。送信信号処理部61は、例えば送信データやリファレンス信号についてアンテナポートや無線リソースの割当を行う。また、送信信号処理部61は例えば、デジタル信号処理や、D/A(Digital to Analog)変換処理等の無線処理を行い、送信信号を生成する。
図8は、無線端末70の機能的構成を示すブロック図である。図8に示すように、無線端末70は、送信/受信アンテナ71と、送信/受信切替え部72と、受信信号処理部73と、データ取得部74と、第1無線通信制御部75と、干渉検出部76と、データ生成部77と、送信信号処理部78と、アプリケーション処理部80と、を有する。また、無線端末70は、送信/受信アンテナ82と、送信/受信切替え部83と、受信信号処理部84と、データ取得部85と、第2無線通信制御部86と、干渉検出部87と、データ生成部88と、送信信号処理部89と、を有する。これら各構成部分は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
送信/受信アンテナ71は、受信の場合、無線信号を第1無線通信で受信して、受信信号処理部73に出力する。送信/受信アンテナ71は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を受信する。信号を受信する物理チャネルは例えば、PSCHやPBCHやPDSCHやPDCCHを含む。下り信号は例えば、無線端末の一斉呼び出しに用いられるPCH(Paging Channel)信号や、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号や、制御信号や、データ信号を含む。制御信号としては例えば、接続状態の無線端末70に個別制御チャネル上で伝送されるL1/L2シグナリングや、接続状態の無線端末70に個別データチャネル上で伝送されるRRCシグナリングが挙げられる。また、制御信号は例えば、接続中の無線端末70での無線通信に関する制御情報を含む。制御情報としては例えば、無線端末70が使用する無線リソースのスケジューリングの周期や、無線端末70でのDRXの周期が挙げられる。
また、送信/受信アンテナ71は、送信の場合、送信信号処理部78から入力される無線信号を第1無線通信で送信する。送信/受信アンテナ71は、例えば下りのデータチャネルや制御チャネルを介して、下り信号を送信する。信号を送信する物理チャネルは例えば、PRACHやPUSCHやPUCCHを含む。上り信号は、RACH信号や、チャネル推定や復調のために用いられるリファレンス信号や、制御信号や、データ信号を含む。また、制御信号は例えば、無線端末70から送信される干渉通知や、干渉の制御を補助する情報や、干渉の制御のための計測結果を含む。
送信/受信切替え部72は、送信/受信アンテナ71の送信と受信とを切替える。なお、第1無線通信で、アンテナは送信と受信で別体としてもよい。また、第1無線通信で、複数のアンテナを備えるものとしてもよい。
受信信号処理部73は、受信信号に、A/D変換等の無線処理や、FFT処理等のデジタル信号処理を行う。受信信号処理部73は、データ取得部74に、受信されたデータ信号や、制御信号や、リファレンス信号や、PCH信号を出力する。
データ取得部74は、受信されたデータ信号や制御信号等について、復調処理や復号処理を行う。データ取得部74は例えば、予め通知される或いは格納される制御情報と、復調処理のためのリファレンス信号とに基づいて、復調処理を行う。また、データ取得部74は、予め通知される或いは格納される制御情報と、チャネル推定のためのリファレンス信号とから推定されるチャネル推定値とに基づいて、復調処理された信号の復号処理を行う。また、データ取得部74は、復号処理された受信信号のリオーダリング処理等を行い、データや制御情報を抽出する。制御情報は例えば報知情報を含む。
干渉検出部76は、第1無線通信と第2無線通信による、無線端末70内での干渉の発生を検出する。干渉検出部76は例えば、第1無線通信側での内部干渉の発生を検出する。干渉検出部76は例えば、第1無線通信および第2無線通信が動作時の、第1無線通信側での受信信号のエラー特性等に基づいて、第1無線通信での干渉の発生を検出する(あるいは第1無線通信での通信性能の劣化を判定する)。
第1無線通信制御部75は、通知された或いは予め格納された制御情報に応じて、第1無線通信での無線通信を制御する。また、第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉を除去するための干渉制御を行う。干渉制御としては、例えば上述の(1)FDM方式、(2)TDM方式、(3)自律停止(Autonomous Denial)方式があり、これらを組み合わせて用いることができる。
第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御を補助する情報を決定する。そして、第1無線通信制御部75は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報とを基地局50に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信について無線端末70の志向を示す情報(志向情報)を含む。志向情報は例えば、無線端末70で複数の無線通信のうちどの無線通信の通信性能を優先するかを示す情報である。例えば、第1無線通信志向の場合、第1無線通信の通信性能を優先し、第2無線通信志向の場合、第2無線通信の通信性能を優先する。志向情報は、例えば、1bitの情報として干渉通知に付加して送信される。
また、第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御のための計測処理を実行する。第1無線通信制御部75は例えば、現在使用している周波数帯と異なる周波数帯での、基地局50からのリファレンス信号を検知し、受信信号レベルを計測する(異周波数計測)。
また、第1無線通信制御部75は、計測処理を完了する前に送信した干渉の制御を補助する情報に応じて基地局50から送信される、無線通信に関する制御情報を用いて無線通信を実行することで、干渉制御を行う。この制御情報は例えば、無線端末70が使用する無線リソースのスケジューリングの周期や、無線端末70でのDRXの周期等の無線通信パラメータである。
また、第1無線通信制御部75は、計測結果に基づいて送信した干渉の制御を補助する情報に応じて基地局50から送信される、無線通信に関する制御情報を受信し、この制御情報を用いて無線通信を実行することで、干渉制御を行う。この制御情報は例えば、DRXのパターンやハンドオーバ先の周波数帯等の無線通信パラメータである。
アプリケーション処理部80は、無線端末70で実行される、通話やデータ通信等の様々なアプリケーションを管理する。アプリケーション処理部80は、実行するアプリケーションに応じて、第1無線通信や第2無線通信を実行させる。また、アプリケーション処理部80は、実行するアプリケーションに応じた通話やデータ通信等の通信サービスやQoSレベル等を第1無線通信制御部75に通知する。また、アプリケーション処理部80は、送信するユーザデータをデータ生成部77やデータ生成部88に出力する。また、アプリケーション処理部80は、取得された受信データをデータ取得部74やデータ取得部85から入力する。
データ生成部77は、ユーザデータや制御情報を、予め決められたシグナリングフォーマットに格納する。そして、データ生成部77は、シグナリングフォーマットに格納されたユーザデータや制御情報に符号化処理や変調処理を行い、送信信号処理部78に出力する。また、データ生成部77は、データの復調やチャネル推定に用いられるリファレンス信号を生成して、送信信号処理部78に出力する。また、データ生成部77は、制御信号を生成して、送信信号処理部78に出力する。
送信信号処理部78は、送信信号を生成して、送信/受信アンテナ71に出力する。送信信号処理部78は、例えば送信データやリファレンス信号についてアンテナポートや無線リソースの割当を行う。また、送信信号処理部78は例えば、デジタル信号処理や、D/A(Digital to Analog)変換処理等の無線処理を行い、送信信号を生成する。
送信/受信アンテナ82は、受信の場合、無線信号を第2無線通信で受信して、受信信号処理部84に出力する。また、送信/受信アンテナ82は、送信の場合、送信信号処理部89から入力される無線信号を第2無線通信で送信する。
送信/受信切替え部83は、送信/受信アンテナ82の送信と受信とを切替える。なお、第2無線通信で、アンテナは送信と受信で別体としてもよい。また、第2無線通信で、複数のアンテナを備えるものとしてもよい。
受信信号処理部84は、受信信号に、A/D変換等の無線処理や、FFT処理等のデジタル信号処理を行い、データ取得部85に、受信されたデータ信号や制御信号を出力する。
データ取得部85は、受信されたデータ信号や制御信号等について、復調処理や復号処理を行い、データや制御情報を取得する。
第2無線通信制御部86は、通知された或いは予め格納された制御情報に応じて、第2無線通信での無線通信を制御する。
干渉検出部87は例えば、第2無線通信側での内部干渉の発生を検出する。干渉検出部87は例えば、第1無線通信および第2無線通信が動作時の、第2無線通信側での受信信号のエラー特性等に基づいて、第2無線通信での干渉の発生を検出する(あるいは第2無線通信での通信性能の劣化を判定する)。干渉検出部87は例えば、第2無線通信側での受信信号のエラー特性等、あるいは干渉の発生の検出結果を、干渉検出部76に出力する。
データ生成部88は、ユーザデータや制御情報に符号化処理や変調処理を行い、送信信号処理部89に出力する。
送信信号処理部89は、例えばデジタル信号処理や、D/A(Digital to Analog)変換処理等の無線処理を行い、送信信号を生成して、送信/受信アンテナ82に出力する。
なお、基地局50のハードウェア構成は、第1実施形態の基地局10のハードウェア構成と同様である。基地局50の送信/受信アンテナ51と、送信/受信切替え部52と、受信信号処理部53の無線処理機能と、送信信号処理部61の無線処理機能とは、例えばアンテナおよびRF回路により実現される。また、基地局50の受信信号処理部53のデジタル信号処理機能と、送信信号処理部61のデジタル信号処理機能と、データ取得部54と、RS取得部55と、データ転送部56と、無線通信制御部58と、データ生成部59と、RS生成部60とは、例えばCPU等の集積回路により実現される。
また、無線端末70のハードウェア構成は、第1実施形態の無線端末20のハードウェア構成と同様である。無線端末70の送信/受信アンテナ71と、送信/受信切替え部72と、受信信号処理部73の無線処理機能と、送信信号処理部89の無線処理機能とは、例えばアンテナおよびRF回路により実現される。無線端末70の受信信号処理部73のデジタル信号処理機能と、送信信号処理部89のデジタル信号処理機能と、データ取得部74と、第1無線通信制御部75と、干渉検出部76と、データ生成部77と、アプリケーション処理部80と、データ取得部85と、第2無線通信制御部86と、干渉検出部87と、データ生成部88とは、例えばCPU等の集積回路により実現される。
次に、第2実施形態における無線通信システムの動作を説明する。図12は、無線通信システムで、無線端末70の干渉制御動作を説明するためのシーケンス図である。
ここで、図9に、第1無線通信と第2無線通信とに用意される周波数帯の例を示す。第1無線通信と、第2無線通信とは、同じあるいは近い周波数帯を用いて通信が行われる。例えば、第1無線通信に用意される周波数帯群と、第2無線通信に用意される周波数帯群とが、隣り合う場合や、第1無線通信と第2無線通信とが、同じ周波数帯群を共用する場合が想定される。例えば、ISM(Industry Science Medical)Band(2400〜2483.5MHz)はノンライセンスバンドの1つであり、BluetoothやWiFiで使用される。このとき、LTE-A TDD Modeに用意されるBand 40(2300〜2400MHz)や、LTE-AのUL FDD Modeに用意されるBand 7(2500〜2570MHz)は、ISM Bandと隣り合う周波数帯群となる。さらに、ISM BandをLTE-Aも共用する場合、LTE-AとBluetoothやWiFiに同じ周波数帯が使用され得る。
次に、図10に、比較例として、通常の干渉制御動作を模式的に示す。図10において、横軸は時間を示す。時刻(a)では、第1無線通信がONで第2無線通信がOFFであり、干渉は発生していない。時刻(b)で、第1無線通信がONで第2無線通信がONとなり、干渉の発生が検出され、無線端末から基地局に干渉通知が送信され、無線端末で異周波数計測が開始される。時刻(c)、時刻(d)で、異周波数計測が実行中で、干渉が発生した状態が継続している。時刻(e)で、異周波数計測が完了し、計測結果に基づいて干渉の制御を補助する補助情報が無線端末から基地局に送信される。補助情報は、例えば希望する無線通信パラメータであり、FDM方式で用いる異周波数情報や、TDM方式で用いるDRXパターンなどである。この時刻(e)では、まだ干渉が発生した状態が継続している。基地局では、補助情報を受信すると、無線通信パラメータが決定され、この無線通信パラメータが基地局から無線端末に送信されて、FMD方式やTDM方式で干渉制御が開始される。これにより、時刻(f)では、干渉が発生しない状態となっている。この例では、計測中、干渉が発生した状態が継続しており、干渉制御が機能するまでに時間を要している。
これに対して、図11に、第2実施形態の無線端末70の干渉制御動作を模式的に示す。図11において、横軸は時間を示す。時刻(a)では、第1無線通信がONで第2無線通信がOFFであり、干渉は発生していない。時刻(b)で、第1無線通信がONで第2無線通信がONとなり、干渉の発生が検出される。このとき、無線端末70から基地局50に干渉通知とともに干渉の制御を補助する第1補助情報が送信される。そして、無線端末70で異周波数計測が開始される。第1補助情報は、例えば第1無線通信と第2無線通信とのどちらの通信性能を優先するかを示すような志向情報を含み、基地局50は、この情報に応じて干渉制御の無線通信パラメータを決定することができ、この無線通信パラメータが基地局50から無線端末70に送信されて、干渉制御が開始される。時刻(c)、時刻(d)では、異周波数計測が実行中であるが、干渉制御が早期に開始されているので、干渉が低減あるいは回避された状態となる。時刻(e)で、異周波数計測が完了し、計測結果に基づいて干渉の制御を補助する第2補助情報が無線端末から基地局に送信される。第2補助情報は、例えば希望する無線通信パラメータであり、FDM方式で用いる異周波数情報や、TDM方式で用いるDRXパターンなどである。この時刻(e)では、干渉が低減された状態が継続している。基地局50では、第2補助情報を受信すると、無線通信パラメータが決定され、この無線通信パラメータが基地局から無線端末70に送信されて、FMD方式やTDM方式で干渉制御が実行される。これにより、時刻(f)では、干渉が発生しない状態となっている。この例では、計測中でも、干渉制御が早期に開始されているので、干渉が低減あるいは回避された状態となり、通信性能が向上している。
なお、図11の例において、第1補助情報は、例えば、第1無線通信と第2無線通信のどちらの通信性能を優先するかを示すような志向情報に加えて、FDM方式で用いる異周波数情報や、TDM方式で用いるDRXパターンなどを含む情報とすることができる。これは、例えば無線端末70で第1補助情報を送信する時点で、計測結果が既に得られている場合(例えば、干渉制御以外の制御に関連して、比較的近いタイミングで、計測処理が行われ計測結果が得られていた場合など)場合に適用できる。そして、第2制御情報は、その後の計測処理で得られた計測結果を反映させたFDM方式で用いる異周波数情報や、TDM方式で用いるDRXパターンなどを含む情報とすることができる。ここで、無線端末70の志向情報が第1補助情報を送信した時点から変化していれば、第2補助情報に更新された志向情報を含ませることもできる。つまり、第2補助情報は、第1補助情報を更新した情報とすることができる。
図12に戻り、第2実施形態における無線通信システムにおける、無線端末70の干渉制御動作について、詳細に説明する。前提として、第1無線通信としてLTE通信(LTEやLTE−A)、第2無線通信としてISM通信(WiFiやBluetooth)を用いるものとする。また、無線通信に関する制御情報(無線通信パラメータ)のデフォルト値が、基地局50から例えば接続確立のタイミングで予め通知されているか、無線端末70に予め格納されている。
図12に示すように、無線端末70は、干渉の発生の検出処理を実行する(S21)。次に、無線端末70は、干渉の発生(通信性能の劣化)を判断し(S22)、干渉の発生が検出されない場合(S22の判断結果がNo)、S21に戻り、所定のタイミングで干渉の検出を繰り返す。一方、干渉の発生が検出された場合(S22の判断結果がYes)、無線端末70は、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)を決定し、干渉通知と、干渉の制御を補助する情報とを基地局50に送信する(S23)。この送信は例えば、RRCシグナリングにより行われる。また、第1補助情報は複数の無線通信についての無線端末70の志向情報を含む。
具体的に、図13のテーブル(a)は、第1補助情報の設定例を示し、図13のテーブル(b)は、(a)の第1補助情報に基づく無線通信パラメータの設定例を示す。図13で、「双方干渉」はLTE通信とISM通信の双方で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「LTEのみ劣化」はLTE通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「ISMのみ劣化」はISM通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示す。また、「LTE通信志向」は無線端末70がLTE通信を志向する(LTE通信の通信性能を優先する)ことを示し、「ISM通信志向」は無線端末70がISM通信を志向する(ISM通信の通信性能を優先する)ことを示す。
図13の例では、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた情報が送信される。具体的には、「LTE通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」の場合、第1補助情報X=1に設定される。また、「ISM通信志向」で、「双方干渉」又は「ISMのみ劣化」の場合、第1補助情報X=0に設定される。また、「LTE通信志向」かつ「ISMのみ劣化」、あるいは「ISM通信志向」かつ「LTEのみ劣化」の場合、第1補助情報は送信されない。
図13の例では、第1補助情報は1bitの制御情報であり、干渉通知に付加して送信される。このとき、第1補助情報は、所定条件を満たす場合のみ、送信するものとしてもよい。所定条件としては、例えば、送信する第1補助情報が存在する場合や、複数の無線通信の少なくともいずれかの通信性能が劣化している場合等が挙げられる。
次に、無線端末70は、干渉の制御のための計測処理を開始する(S24)。計測処理では例えば、異周波数での受信信号レベルが計測される。
これと共に、基地局50は、第1補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する(S25)。例えば、無線通信パラメータとして、DRXの周期や、スケジューリングの周期が決定される。この無線通信パラメータにより例えば、下り受信の頻度や、対応する上り送信(例えばACK(ACKnowledgement)/NACK(Negative ACKnowledgement)などの送信)の頻度や、下りの再送の受信間隔や、DRXの開始する位置が調整される。
具体的には、図13のテーブル(b)に例示されるように、基地局50は、第1補助情報X=1の場合(「LTE通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」)、LTE通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、DRXの周期をより短くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を上げるように設定される。
また、基地局50は、第1補助情報X=0の場合(「ISM通信志向」で、「双方干渉」又は「ISMのみ劣化」)、LTE通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を下げる場合には、DRXの周期をより長くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を下げるように設定される。
次に、基地局50は、決定した無線通信パラメータを、無線端末70に送信する(S26)。無線通信パラメータの送信は例えば、PDSCH上で伝送されるRRCシグナリングを用いて行われる。
次に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する(S27)。これにより、干渉を低減あるいは回避するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
また、具体的には、無線端末70がLTE通信志向の場合、DRXの周期を短くするように、あるいはスケジューリングの頻度を上げるようにLTE通信を制御することで、LTE通信の活性度が上がる。また、無線端末70がISM通信志向の場合、DRXの周期を長くするように、あるいはスケジューリングの頻度を下げるようにLTE通信を制御することで、LTE通信の活性度が下がり、相対的にISM通信の活性度が上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。
次に、無線端末70は、計測処理を完了したか否かを判断する(S28)。計測処理が完了していない場合(S28の判断結果がNo)、計測処理が継続され、計測処理が完了するまで、所定のタイミングで判断が行われる。
一方、計測処理が完了している場合(S28の判断結果がNo)、無線端末70は、計測結果に基づいて、干渉の制御を補助する情報(第2補助情報)を決定し、基地局50に送信する(S29)。第2補助情報は例えば、計測結果に基づいて決定される、無線端末70が希望する無線通信パラメータである。無線端末70が希望する無線通信パラメータとしては例えば、FDM方式で用いられる異周波数情報(ハンドオーバ先の周波数帯など)や、TDM方式で用いられるDRXのパターンや、Auto denial方式で用いられる自律停止の頻度などが挙げられる。
次に、基地局50は、第2補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する(S30)。例えば、無線通信パラメータとして、DRXのパターンや、異周波ハンドオーバ先の周波数帯などが決定される。
次に、基地局50は、決定した無線通信パラメータを、無線端末70に送信する(S31)。無線通信パラメータの送信は例えば、PDSCH上で伝送されるRRCシグナリングを用いて行われる。
次に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する(S32)。これにより、干渉の発生を回避するように干渉が制御される。具体的には、異周波ハンドオーバが実行されたり、適切なDRXパターンでDRXが実行されたり、適切な頻度で自律停止が実行されたりすることで、干渉の発生が回避される。
以上により、第2実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末70で、無線端末70内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る無線通信システムについて説明する。第3実施形態に係る無線通信システムの全体的構成は、第2実施形態の無線通信システムの構成と同様である。以下の説明では、同じ符号を付して説明を省略する。
第3実施形態は、第2実施形態と、第1補助情報の決定と、第1補助情報に応じた無線通信パラメータの決定に係る動作が相違する。図14は、第3実施形態に係る無線通信システムの動作例を示すテーブルである。
第3実施形態に係る無線端末は、第2実施形態の無線端末70と、第1無線通信制御部75に関する動作が相違する。
第3実施形態において、第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)を決定する。そして、第1無線通信制御部75は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報とを基地局50に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信について無線端末70の志向を示す情報(志向情報)を含む。このとき、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた情報が、全ての組合せが区別されるように送信される。
具体的に、図14のテーブル(a)は、第1補助情報の設定例を示し、図14のテーブル(b)は、(a)の第1補助情報に基づく無線通信パラメータの設定例を示す。図14で、「双方干渉」はLTE通信とISM通信の双方で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「LTEのみ劣化」はLTE通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「ISMのみ劣化」はISM通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示す。また、「LTE通信志向」は無線端末70がLTE通信を志向する(LTE通信の通信性能を優先する)ことを示し、「ISM通信志向」は無線端末70がISM通信を志向する(ISM通信の通信性能を優先する)ことを示す。
図14の例では、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた6種類の情報が、3bitの制御情報として、干渉通知に付加して送信される。
第3実施形態に係る無線端末の他の構成は、第2実施形態の無線端末70の構成と同様である。また、第3実施形態に係る無線端末のハードウェア構成は、第2実施形態の無線端末70のハードウェア構成と同様である。
第3実施形態に係る基地局は、第2実施形態の基地局50と、無線通信制御部58に係る動作が相違する。
第3実施形態において、無線通信制御部58は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。
このとき、具体的には、図14のテーブル(b)に例示されるように、基地局50は、第1補助情報X=000の場合(「LTE通信志向」で「双方干渉」)、少なくとも現状の無線通信パラメータの設定を保持する、あるいはLTE通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=010の場合(「LTE通信志向」で「LTEのみ劣化」)、LTE通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。このとき、第1補助情報X=000, 011の場合より大きく活性度を上げるようにしてもよい。
基地局50は、第1補助情報X=100の場合(「LTE通信志向」で「ISMのみ劣化」)、少なくとも現状の無線通信パラメータの設定を保持する、あるいはLTE通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=001の場合(「ISM通信志向」で「双方干渉」)、少なくとも現状の無線通信パラメータの設定を保持する、あるいはLTE通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=011の場合(「ISM通信志向」で「LTEのみ劣化」)、少なくとも現状の無線通信パラメータの設定を保持する、あるいはLTE通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=101の場合(「ISM通信志向」で「ISMのみ劣化」)、LTE通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。このとき、第1補助情報X=100, 001の場合より大きく活性度を上げるようにしてもよい。
無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、DRXの周期をより短くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を上げるように設定される。また、無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を下げる場合には、DRXの周期をより長くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を下げるように設定される。
なお、例えば干渉通知に干渉レベルを示す情報が含まれる場合、上述の例で、現状の設定を保持するか、あるいはLTE通信の活性度を変更するかは、干渉レベルに応じて決定してもよい。
第3実施形態に係る基地局の他の構成は、第2実施形態の基地局50の構成と同様である。また、第3実施形態に係る基地局のハードウェア構成は、第2実施形態の基地局50のハードウェア構成と同様である。
次に、第3実施形態における無線通信システムの動作を説明する。第3実施形態において、第2実施形態のS23と同様に、図14に例示するように第1補助情報が決定され、干渉通知と共に基地局50に送信される。そして、第2実施形態のS25と同様に、基地局50は、第1補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。そして、第2実施形態のS27と同様に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する。これにより、干渉を低減あるいは回避するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
また、上述のように決定された無線通信パラメータを用いて通信制御を行うことで、志向する無線通信あるいは無線通信サービスの活性度や優先度が相対的に上がることとなる。具体的には、無線端末70がLTE通信志向の場合、DRXの周期を短くするように、あるいはスケジューリングの頻度を上げるようにLTE通信を制御することで、LTE通信の活性度が上がる。また、無線端末70がISM通信志向の場合、DRXの周期を長くするように、あるいはスケジューリングの頻度を下げるようにLTE通信を制御することで、LTE通信の活性度が下がり、相対的にISM通信の活性度が上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。
このとき、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた6種類の情報が、それぞれ区別可能に通知されるので、この6種類の情報に基づいて、より詳細なスケジューリングを実施し、適切な無線通信パラメータを決定することができる。
以上により、第3実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末で、無線端末内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る無線通信システムについて説明する。第4実施形態に係る無線通信システムの全体的構成は、第2実施形態の無線通信システムの構成と同様である。以下の説明では、同じ符号を付して説明を省略する。
第4実施形態は、第2実施形態と、第1補助情報の決定と、第1補助情報に応じた無線通信パラメータの決定に係る動作が相違する。図15は、第4実施形態に係る無線通信システムの動作例を示すテーブルである。
第4実施形態に係る無線端末は、第2実施形態の無線端末70と、第1無線通信制御部75に関する動作が相違する。
第4実施形態において、第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)を決定する。そして、第1無線通信制御部75は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報とを基地局50に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信について無線端末70の志向を示す情報(志向情報)を含む。このとき、志向情報は例えば、複数の無線通信のうちいずれかの無線通信に、複数の通信サービスがあるとき、該複数の通信サービスのうち、どの通信サービスを優先するかを示す情報を含む。具体的には、志向情報は例えば、LTE通信において、VoIP(Voice of IP)通信サービスと、Data通信サービスとのどの無線通信の通信性能を優先するかを示す情報である。例えば、LTE VoIP通信志向の場合、LTE VoIP通信の通信性能を優先し、LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向の場合、LTE VoIP通信とLTE Data通信と双方の通信性能を、他の通信より優先する。
すなわち、複数の無線通信のそれぞれについて、複数の通信サービスが含まれるとき、無線通信の各通信サービスのトラヒックの特性(パターン)が既知である、あるいは想定される場合が考えられる。例えば、LTE通信において、VoIP通信サービスを行っている場合、トラヒックの到着は周期的(例えば20[ms])となる。このような場合には例えば、通信サービス毎の志向を基地局50に通知し、基地局50で通信サービス毎に干渉を除去するように無線通信パラメータを決定することで、適切な干渉制御を行うことができる。
なお、志向情報として、「LTE VoIP通信志向」「LTE Data通信志向」との情報を通知する代わりに、「RLC UM志向」「RLC UM志向」との情報を通知してもよい。例えば、LTE VoIP通信がRLC UM、LTE Data通信がRLC AMで実施されるときは、LTE VoIP通信に志向がある場合は「RLC UM志向」との情報を通知し、LTE VoIP通信とLTE Data通信の両方に志向がある場合は「RLC UM志向+RLC AM志向」との情報を通知することができる。
また、志向情報として、「LTE VoIP通信志向」「LTE Data通信志向」との情報を通知する代わりに、「リアルタイム通信志向」「ノンリアルタイム通信志向」との情報を通知してもよい。例えば、LTE VoIP通信に志向がある場合は「リアルタイム通信志向」との情報を通知し、LTE VoIP通信とLTE Data通信の両方に志向がある場合は「リアルタイム通信志向+ノンリアルタイム通信志向」との情報を通知することができる。
具体的に、図15のテーブル(a)は、第1補助情報の設定例を示し、図15のテーブル(b)は、(a)の第1補助情報に基づく無線通信パラメータの設定例を示す。図15で、「双方干渉」はLTE通信とISM通信の双方で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「LTEのみ劣化」はLTE通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「ISMのみ劣化」はISM通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示す。また、「LTE VoIP通信志向」は無線端末70がLTE通信におけるVoIP通信サービスを志向する(LTE VoIP通信の通信性能を優先する)ことを示し、「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」は無線端末70がLTE通信におけるVoIP通信サービスとData通信サービスの両方を志向する(両方の通信性能を優先する)ことを示す。
図15の例では、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた情報が送信される。図15の例では、第1補助情報は1bitの制御情報であり、干渉通知に付加して送信される。具体的には、「LTE VoIP通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」の場合、第1補助情報X=0に設定される。また、「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」の場合、第1補助情報X=1に設定される。また、「ISMのみ劣化」の場合、第1補助情報は送信されない。
第4実施形態に係る無線端末の他の構成は、第2実施形態の無線端末70の構成と同様である。また、第4実施形態に係る無線端末のハードウェア構成は、第2実施形態の無線端末70のハードウェア構成と同様である。
第4実施形態に係る基地局は、第2実施形態の基地局50と、無線通信制御部58に係る動作が相違する。
第4実施形態において、無線通信制御部58は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。
このとき、具体的には、図15のテーブル(b)に例示されるように、基地局50は、第1補助情報X=0の場合(「LTE VoIP通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」)、LTE VoIP通信を実施中の場合は、LTE VoIPの設定は保持し、同時に他の通信を実施中の場合、他の通信の優先度を下げる、ように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=1の場合(「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」)、LTE VoIP通信を実施中の場合は、LTE VoIP通信の設定は保持し、同時に他の通信を実施中の場合は、LTE Data通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。
無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、DRXの周期をより短くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を上げるように設定される。また、無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を下げる場合には、DRXの周期をより長くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を下げるように設定される。
なお、例えば干渉通知に干渉レベルを示す情報が含まれる場合、上述の例で、優先度を下げる量や、活性度を上げる量は、干渉レベルに応じて決定してもよい。
第4実施形態に係る基地局の他の構成は、第2実施形態の基地局50の構成と同様である。また、第4実施形態に係る基地局のハードウェア構成は、第2実施形態の基地局50のハードウェア構成と同様である。
次に、第4実施形態における無線通信システムの動作を説明する。第4実施形態において、第2実施形態のS23と同様に、図15に例示するように第1補助情報が決定され、干渉通知と共に基地局50に送信される。そして、第2実施形態のS25と同様に、基地局50は、第1補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。そして、第2実施形態のS27と同様に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する。これにより、干渉を低減あるいは回避するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
また、上述のように決定された無線通信パラメータを用いて通信制御を行うことで、志向する無線通信あるいは無線通信サービスの活性度や優先度が相対的に上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。
以上により、第4実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末で、無線端末内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る無線通信システムについて説明する。第5実施形態に係る無線通信システムの全体的構成は、第2実施形態の無線通信システムの構成と同様である。第5実施形態は、第2実施形態と、第1補助情報の決定と、第1補助情報に応じた無線通信パラメータの決定に係る動作が相違する。図16は、第5実施形態に係る無線通信システムの動作例を示すテーブルである。以下の説明では、同じ符号を付して説明を省略する。
第5実施形態に係る無線端末は、第2実施形態の無線端末70と、第1無線通信制御部75に関する動作が相違する。
第5実施形態において、第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)を決定する。そして、第1無線通信制御部75は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報とを基地局50に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信について無線端末70の志向を示す情報(志向情報)を含む。このとき、第3実施形態と同様に、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた情報が、全ての組合せが区別されるように送信される。また、志向情報は例えば、第4実施形態と同様に、複数の無線通信のうちいずれかの無線通信に、複数の通信サービスがあるとき、該複数の通信サービスのうち、どの通信サービスを優先するかを示す情報を含む。具体的には、志向情報は例えば、LTE通信において、VoIP通信サービスと、Data通信サービスとのどの無線通信の通信性能を優先するかを示す情報である。例えば、LTE VoIP通信志向の場合、LTE VoIP通信の通信性能を優先し、LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向の場合、LTE VoIP通信とLTE Data通信と双方の通信性能を、他の通信より優先する。
具体的に、図16のテーブル(a)は、第1補助情報の設定例を示し、図16のテーブル(b)は、(a)の第1補助情報に基づく無線通信パラメータの設定例を示す。図16で、「双方干渉」はLTE通信とISM通信の双方で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「LTEのみ劣化」はLTE通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「ISMのみ劣化」はISM通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示す。また、「LTE VoIP通信志向」は無線端末70がLTE通信におけるVoIP通信サービスを志向する(LTE VoIP通信の通信性能を優先する)ことを示し、「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」は無線端末70がLTE通信におけるVoIP通信サービスとData通信サービスの両方を志向する(両方の通信性能を優先する)ことを示す。
図16の例では、第1補助情報として、志向を示す情報と干渉の発生パターンとを対応付けた6種類の情報が、3bitの制御情報として、干渉通知に付加して送信される。
第5実施形態に係る無線端末の他の構成は、第2実施形態の無線端末70の構成と同様である。また、第5実施形態に係る無線端末のハードウェア構成は、第2実施形態の無線端末70のハードウェア構成と同様である。
第5実施形態に係る基地局は、第2実施形態の基地局50と、無線通信制御部58に係る動作が相違する。
第5実施形態において、無線通信制御部58は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。
このとき、具体的には、図16のテーブル(b)に例示されるように、基地局50は、第1補助情報X=000の場合(「LTE VoIP通信志向」で「双方干渉」)、VoIP通信を実施中の場合は、VoIPの設定は少なくとも保持し、同時に他の通信を実施中の場合、少なくとも他の通信の現在の設定は保持するか、あるいは、他の通信の優先度を下げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=010の場合(「LTE VoIP通信志向」で「LTEのみ劣化」)、VoIP通信を実施中の場合は、VoIPの設定は保持し、同時に他の通信を実施中の場合、他の通信の優先度を下げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=100の場合(「LTE VoIP通信志向」で「ISMのみ劣化」)、少なくとも現状の設定を保持し、LTE Data通信を実施中の場合、LTE Data通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=001の場合(「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」で「双方干渉」)、VoIP通信を実施中の場合は、VoIP通信の設定は保持し、同時に他の通信を実施中の場合は、少なくとも現在のLTE Data通信の設定は保持するか、あるいは、LTE Data通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=011の場合(「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」で「LTEのみ劣化」)、VoIP通信を実施中の場合は、VoIP通信の設定は保持する、
同時に他の通信を実施中の場合は、LTE Data通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。
基地局50は、第1補助情報X=101の場合(「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」で「ISMのみ劣化」)、少なくとも現状の設定を保持し、LTE Data通信を実施中の場合、LTE Data通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。
無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、DRXの周期をより短くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を上げるように設定される。また、無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を下げる場合には、DRXの周期をより長くするように設定されるか、スケジューリングの頻度を下げるように設定される。
なお、例えば干渉通知に干渉レベルを示す情報が含まれる場合、上述の例で、現状の設定を保持するか、あるいはLTE通信の活性度や優先度を変更するかは、干渉レベルに応じて決定してもよい。
第5実施形態に係る基地局の他の構成は、第2実施形態の基地局50の構成と同様である。また、第5実施形態に係る基地局のハードウェア構成は、第2実施形態の基地局50のハードウェア構成と同様である。
次に、第5実施形態における無線通信システムの動作を説明する。第5実施形態において、第2実施形態のS23と同様に、図16に例示するように第1補助情報が決定され、干渉通知と共に基地局50に送信される。そして、第2実施形態のS25と同様に、基地局50は、第1補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。そして、第2実施形態のS27と同様に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する。これにより、干渉を低減あるいは回避するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
また、上述のように決定された無線通信パラメータを用いて通信制御を行うことで、志向する無線通信あるいは無線通信サービスの活性度や優先度が相対的に上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。
このとき、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた6種類の情報が、それぞれ区別可能に通知されるので、この6種類の情報に基づいて、より詳細なスケジューリングを実施し、適切な無線通信パラメータを決定することができる。
以上により、第5実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末で、無線端末内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係る無線通信システムについて説明する。第6実施形態に係る無線通信システムの全体的構成は、第2実施形態の無線通信システムの構成と同様である。第6実施形態は、第2実施形態と、第1補助情報の決定と、第1補助情報に応じた無線通信パラメータの決定に係る動作が相違する。第6実施形態は、第3実施形態と、第5実施形態とを組み合わせた動作となる。図17は、第6実施形態に係る無線通信システムの動作例を示すテーブルである。以下の説明では、同じ符号を付して説明を省略する。
第6実施形態に係る無線端末は、第2実施形態の無線端末70と、第1無線通信制御部75に関する動作が相違する。
第6実施形態において、第1無線通信制御部75は、干渉の発生を検出した場合、干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)を決定する。そして、第1無線通信制御部75は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報とを基地局50に送信する制御を行う。干渉の制御を補助する情報は例えば、複数の無線通信について無線端末70の志向を示す情報(志向情報)を含む。このとき、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた情報が、全ての組合せが区別されるように送信される。また、志向情報は例えば、第5実施形態と同様に、複数の無線通信のうちいずれかの無線通信に、複数の通信サービスがあるとき、該複数の通信サービスのうち、どの通信サービスを優先するかを示す情報を含む。具体的には、志向情報は例えば、LTE通信において、VoIP通信サービスと、Data通信サービスとのどの無線通信の通信性能を優先するかを示す情報である。例えば、LTE VoIP通信志向の場合、LTE VoIP通信の通信性能を優先し、LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向の場合、LTE VoIP通信とLTE Data通信と双方の通信性能を、他の通信より優先する。
具体的に、図17のテーブル(a)は、第1補助情報の設定例を示し、図17のテーブル(b)は、(a)の第1補助情報に基づく無線通信パラメータの設定例を示す。図17で、「双方干渉」はLTE通信とISM通信の双方で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「LTEのみ劣化」はLTE通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示し、「ISMのみ劣化」はISM通信で干渉の発生(通信性能の劣化)が検出されていることを示す。また、「LTE VoIP通信志向」は無線端末70がLTE通信におけるVoIP通信サービスを志向する(LTE VoIP通信の通信性能を優先する)ことを示し、「LTE VoIP通信志向+LTE Data通信志向」は無線端末70がLTE通信におけるVoIP通信サービスとData通信サービスの両方を志向する(両方の通信性能を優先する)ことを示す。また、「ISM通信志向」は無線端末70がISM通信を志向する(ISM通信の通信性能を優先する)ことを示す。
図17の例では、第1補助情報として、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた9種類の情報が、4bitの制御情報として、干渉通知に付加して送信される。
第6実施形態に係る無線端末の他の構成は、第2実施形態の無線端末70の構成と同様である。また、第6実施形態に係る無線端末のハードウェア構成は、第2実施形態の無線端末70のハードウェア構成と同様である。
第6実施形態に係る基地局は、第2実施形態の基地局50と、無線通信制御部58に係る動作が相違する。
第6実施形態において、無線通信制御部58は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。
このとき、具体的には、図17のテーブル(b)に例示されるように、基地局50は、第1補助情報に応じた9種類のパターンで無線通信パラメータを決定する。
第6実施形態に係る基地局の他の構成は、第2実施形態の基地局50の構成と同様である。また、第6実施形態に係る基地局のハードウェア構成は、第2実施形態の基地局50のハードウェア構成と同様である。
次に、第6実施形態における無線通信システムの動作を説明する。第6実施形態において、第2実施形態のS23と同様に、図17に例示するように第1補助情報が決定され、干渉通知と共に基地局50に送信される。そして、第2実施形態のS25と同様に、基地局50は、第1補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。そして、第2実施形態のS27と同様に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する。これにより、干渉を低減あるいは回避するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
また、上述のように決定された無線通信パラメータを用いて通信制御を行うことで、志向する無線通信あるいは無線通信サービスの活性度や優先度が相対的に上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。
このとき、志向情報と干渉の発生パターンとを対応付けた9種類の情報が、それぞれ区別可能に通知されるので、この9種類の情報に基づいて、より詳細なスケジューリングを実施し、適切な無線通信パラメータを決定することができる。
以上により、第6実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末で、無線端末内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態に係る無線通信システムについて説明する。第7実施形態に係る無線通信システムの全体的構成は、第2実施形態の無線通信システムの構成と同様である。第7実施形態は、第2実施形態と、第1補助情報の決定と、第1補助情報に応じた無線通信パラメータの決定に係る動作が相違する。図18は、第7実施形態に係る無線通信システムの動作例を示すテーブルである。以下の説明では、同じ符号を付して説明を省略する。
第7実施形態に係る無線端末の構成は、第2実施形態の無線端末70の構成と同様である。また、第7実施形態に係る無線端末のハードウェア構成は、第2実施形態の無線端末70のハードウェア構成と同様である。
第7実施形態に係る基地局は、第2実施形態の基地局50と、無線通信制御部58に係る動作が相違する。
第7実施形態において、無線通信制御部58は、干渉通知と干渉の制御を補助する情報(第1補助情報)とを無線端末70から受信して、無線通信に関する制御情報を無線端末70に送信する制御を行う。無線通信制御部58は例えば、干渉の制御を補助する情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。
このとき、具体的には、図18のテーブル(b)に例示されるように、基地局50は、第1補助情報X=1の場合(「LTE通信志向」で、「双方干渉」又は「LTEのみ劣化」)、LTE通信の活性度を上げるように無線通信パラメータを決定する。無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を上げる(活性化する)場合には、Autonomous denial方式で用いられる自律停止の頻度を上げるように設定される。
また、基地局50は、第1補助情報X=0の場合(「ISM通信志向」で、「双方干渉」又は「ISMのみ劣化」の場合)、LTE通信の活性度を下げるように無線通信パラメータを決定する。無線通信パラメータは例えば、LTE通信の活性度を下げる場合には、Auto denial方式で用いられる自律停止の頻度を下げるように設定される。
第7実施形態に係る基地局の他の構成は、第2実施形態の基地局50の構成と同様である。また、第7実施形態に係る基地局のハードウェア構成は、第2実施形態の基地局50のハードウェア構成と同様である。
次に、第7実施形態における無線通信システムの動作を説明する。第7実施形態において、第2実施形態のS23と同様に、図14に例示するように第1補助情報が決定され、干渉通知と共に基地局50に送信される。そして、第2実施形態のS25と同様に、基地局50は、第1補助情報を受信すると、無線通信パラメータを決定する。そして、第2実施形態のS27と同様に、無線端末70は、受信した無線通信パラメータに基づいて、通信を制御する。これにより、干渉を低減あるいは回避するように干渉が制御される。このように、異周波数計測が完了する前に、第1補助情報に応じて干渉制御が早期に開始されるので、迅速に干渉制御が実行され、通信性能が向上される。
また、上述のように決定された無線通信パラメータを用いて通信制御を行うことで、志向する無線通信あるいは無線通信サービスの活性度や優先度が相対的に上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。具体的には、無線端末70がLTE通信志向の場合、自律停止の頻度を下げるようにLTE通信を制御することで、LTE通信の活性度が上がる。また、無線端末70がISM通信志向の場合、自律停止の頻度を上げるようにLTE通信を制御することで、LTE通信の活性度が下がり、相対的にISM通信の活性度が上がることとなる。このような通信制御により、活性度に差ができることで、少なくとも無線端末70が志向する(優先する)通信について、干渉が低減あるいは回避されて、通信性能が向上される。
以上により、第7実施形態によれば、複数の無線通信を実行する無線端末で、無線端末内での干渉を制御し、通信性能を向上できる。
なお、第7実施形態では、志向情報に応じて、基地局50でAutonomous Denial方式で用いられる自律停止の頻度を無線通信パラメータとして決定して、無線端末70に通知するものと市が、志向情報に応じて、無線端末70でAutonomous Denial方式で用いられる自律停止の頻度を決定して、決定した頻度を用いて干渉制御を行ってもよい。
また、第7実施形態では、第2実施形態において、LTE通信の活性度を上げる場合に、Autonomous Denial方式で用いられる自律停止の頻度を上げ、LTE通信の活性度を下げる場合に、Autonomous Denial方式で用いられる自律停止の頻度を下げるようにしたが、第3〜第6実施形態において、同様に、自律停止に頻度を変更するようにしてもよい。
また、第1〜第7実施形態の無線通信システムは、例えば、LTEシステムやLTE−Aシステムとして実現できる。なお、LTEやLTE−A以外の通信方式を用いた無線通信システムに適用することも可能である。
また、第1〜第7実施形態は、無線端末として、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末に適用可能である。また、第1〜第4実施形態は、ユーザ装置(User Equipment, UE)、移動局、移動中継局など、基地局との間で通信を行う様々な通信機器に対して適用可能である。
また、第1〜第7実施形態は、基地局として、マクロ基地局、フェムト基地局など、様々な規模の基地局に適用可能である。また、第1〜第7実施形態は、その他、中継局など、無線端末との間で通信を行う様々な通信機器に対して適用可能である。
また、基地局、無線端末の各構成要素の分散・統合の具体的態様は、第1〜第7実施形態の態様に限定されず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、メモリを、基地局、無線端末の外部装置としてネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。