JPWO2013191154A1 - 光学物品及びコーティング液 - Google Patents

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Abstract

本発明の一態様は、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の表面に直接または他の層を介してハードコート層と、を含み、前記ハードコート層は、鎖状の無機酸化物微粒子を含むフィラー成分を含み、前記ハードコート層において、前記鎖状の無機酸化物微粒子含有量は15質量%以上であり、前記フィラー成分含有量は20質量%超かつ40質量%未満の範囲であり、かつ、前記ハードコート層は層厚が8μm以上15μm以下である、光学物品に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2012年6月18日出願の日本特願2012−137025号の優先権を主張し、その全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、光学物品及びコーティング液に関する。
プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べて軽量であり、成形性、加工性、染色性等に優れ、しかも割れにくく安全性も高いため、眼鏡レンズ分野において急速に普及し、その大部分を占めている。しかしながら、プラスチックレンズは表面が傷つきやすいので、一般に、プラスチック基材にハードコート層を形成し、耐擦傷性の向上を図っている。
プラスチック基材と、プラスチック基材の上に設けられるハードコート層との屈折率差が大きいと干渉縞が発生することがある。これに対し、ハードコート層を10μm程度の厚膜とした光学物品がある(日本特開2010−128423号公報又はその英語ファミリーメンバーUS2010/134752A1、米国特許出願第8,077,405号、US2012/287394A1及び米国特許第8,432,624号、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される、参照)。
日本特開2010−128423号公報に記載された光学物品では、干渉縞が目立ちにくくなるという効果を奏することができるが、厚膜化によって、硬化反応時の収縮に伴う内力が大きくなり、クラックが発生したり、光学物品が変形したり、層の剥離等が生じたりする等の不具合が生じる。
本発明の一態様は、干渉縞が目立ちにくく、かつ、変形やハードコート層のクラックが少ない光学物品、及びコーティング液を提供する。
課題を解決するための手段
本発明の一態様は、プラスチック基材と、前記プラスチック基材の表面に直接または他の層を介してハードコート層と、を含み、前記ハードコート層は、鎖状の無機酸化物微粒子を含むフィラー成分を含み、前記ハードコート層において、前記鎖状の無機酸化物微粒子含有量は15質量%以上であり、前記フィラー成分含有量は20質量%超かつ40質量%未満の範囲であり、かつ、前記ハードコート層は層厚が8μm以上15μm以下である、光学物品に関する。
この構成では、ハードコート層が8μm以上15μm以下という厚膜であるため、干渉縞の発生を抑えることができる。ハードコート層が厚膜化されても、ハードコート層に一次粒子(粒子)がつながった鎖状(数珠状)の無機酸化物微粒子(以下、「数珠状ゾル」とも言う)をフィラー成分が含まれているので、クラックや変形が少ない。つまり、数珠状ゾルはハードコート層を形成するために用いられるコーティング液中で一次粒子が既に連結しており、硬化時に粒子間距離が近くなりにくく、結果として体積収縮を小さくすることができる。このため、全体の体積収縮率が小さくなり、クラックの発生や光学物品の変形を防止できる。さらに、数珠状ゾルの粒子同士は強固に結合固定されているので、ハードコート層の硬化反応初期から高い膜強度を発揮することができる。
さらに、前記鎖状の無機酸化物微粒子含有量が15質量%以上であり、かつ前記フィラー成分含有量が20質量%超であるハードコート層は優れた耐擦傷性および高硬度を発揮することができる。また、前記フィラー成分含有量を40質量%未満とすることにより、ハードコート層のクラックの発生や、このハードコート層を有する光学物品の変形を防ぐことができる。
一態様では、前記フィラー成分は、さらに球状の無機酸化物微粒子を含む。
この構成では、前記ハードコート層において、球状の無機酸化物微粒子(以下、「真球状ゾル」ともいう)をさらに含むので、ハードコート層において数珠状ゾルの空隙に真球状ゾルが入り込む構造となり、耐擦傷性と耐クラック性の双方に極めて優れた光学物品を提供できる。
一態様では、上述の光学物品は、眼鏡レンズである。
この構成では、干渉縞が目立ちにくく、かつ、変形やハードコート層のクラックが少ない眼鏡レンズを提供することができる。
本発明の更なる態様は、鎖状の無機酸化物微粒子を有するフィラー成分と、
バインダー成分と、を含み、前記コーティング液の全固形分に対して、前記鎖状の無機酸化物微粒子の質量比が15%以上であり、かつ前記フィラー成分の質量比が20%を超え40%未満である、コーティング液に関する。
この構成では、厚膜、例えば、8μm以上のハードコート層を形成した場合に、干渉縞の発生を抑えることができる。ハードコート層が厚膜化されても、ハードコート層に一次粒子(粒子)がつながった鎖状(数珠状)の数珠状ゾルを所定量含むフィラー成分が含まれているので、クラックや変形が少ない。つまり、数珠状ゾルはハードコート層を形成するために用いられるコーティング液中で一次粒子が既に連結しており、硬化時に粒子間距離が近くなりにくく、結果として体積収縮を小さくすることができる。このため、全体の体積収縮率が小さくなり、クラックの発生や光学物品の変形を防止できる。さらに、数珠状ゾルの粒子同士は強固に結合固定されているので、ハードコート層の硬化反応初期から高い膜強度を発揮する。
本態様では、コーティング液の全固形分に対する前記鎖状の無機酸化物微粒子の質量比が15%以上であり、かつ前記フィラー成分の質量比が20%超であると、このコーティング液から形成されるハードコート層の硬度および耐擦傷性が十分なものとなり、前記フィラー成分の質量比が40%未満であると、このコーティング液から形成されるハードコート層におけるクラックや光学物品の変形を防ぐことができる。
一態様では、前記コーティング液が、さらに球状の無機酸化物微粒子を含む。
この構成では、前記コーティング液中において、真球状ゾルをさらに含むので、ハードコート層において数珠状ゾルの空隙に真球状ゾルが入り込む構造となり、光学物品の耐擦傷性と耐クラック性の双方が極めて優れたものとなる。
一態様では、前記コーティング液は、眼鏡レンズ用ハードコーティング液である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる光学物品の要部を示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態において、コーティング液中に数珠状ゾルが分散している様子を示す模式図である。 図3は、本発明の一実施形態において、コーティング液中に真球状ゾルが分散している様子を示す模式図である。 図4は、本発明の一実施形態において、コーティング液中に数珠状ゾル及び真球状ゾルが分散している様子を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態を説明する。本実施形態における光学物品は、眼鏡レンズ(眼鏡用プラスチックレンズ)である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる光学物品の要部を示す断面図である。
図1において、本実施形態の眼鏡用プラスチックレンズ1は、プラスチック基材10と、プラスチック基材10の表面に設けられたプライマー層11と、プライマー層11の表面に設けられたハードコート層12と、ハードコート層12の表面に設けられた反射防止層13と、反射防止層13の表面に設けられた防汚層14とを備える。なお、本実施形態では、プライマー層11、反射防止層13及び防汚層14の一部又は全部を省略してもよい。
(1.プラスチック基材)
プラスチック基材10としては、プラスチック樹脂であれば特に限定されないが、眼鏡レンズの薄型化の観点より、屈折率が1.6以上、好ましくは1.65以上、より好ましくは1.7以上のものを用いることができる。
このようなプラスチック基材としては、例えば、透明なプラスチックである(メタ)アクリル樹脂、チオウレタン系樹脂、アリル樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(CR−39)、ポリ塩化ビニル樹脂、及びハロゲン含有共重合体等が使用できる。
特に、アリルカーボネート系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、チオウレタン系樹脂、又はエピスルフィド系樹脂が好ましい。これらの中では、高屈折率である点でチオウレタン系樹脂又はエピスルフィド系樹脂が特に好ましい。
(2.ハードコート層)
ハードコート層12の層厚(膜厚)tは、8μm≦t≦15μmである。
ハードコート層12は、数珠状ゾルを有するフィラー成分とバインダー成分とを含むコーティング液から形成することができる。
図2にはコーティング液中に数珠状ゾルが分散している様子が示されている。
図2に示すように、数珠状ゾルJは、コーティング液Q中にバインダー成分とともに分散している。数珠状ゾルJは、無機酸化物からなる球状の一次粒子が数個ないし数十個化学結合により連続して数珠状(鎖状)なったものをいい、直線状に伸びた形状であっても、二次元的、又は三次元的に湾曲した形状であってもよい。また、途中に分岐があってもよい。そのため、数珠状ゾルJには間隙が生じることになる。
本実施形態では、フィラー成分として数珠状ゾルJの他に真球状ゾルKを含むものでもよい。
図3にはコーティング液中に真球状ゾルが分散されている様子が示されている。
図3において、コーティング液Q中に分散されている真球状ゾルKは、球状の無機酸化物微粒子であり、球状の程度としては、真球度(粒子の最も短い径K1を最も長い径K2で割った値K1/K2)が0.8以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。真球度(相加平均)は、電子顕微鏡による観察から求められる。なお完全な球形状の場合、真球度は1となる。したがって、真球状ゾルの真球度は、0.8以上1以下であることが好ましく、0.9以上1以下であることがより好ましい。
図4にはコーティング液中に数珠状ゾル及び真球状ゾルが分散している様子が示されている。
コーティング液Q中に数珠状ゾルJと真球状ゾルKとが分散されている状態では、数珠状ゾルJの間隙に真球状ゾルKが入り込む構造となる。
ハードコート層12が形成された後も上述した各微粒子は同様にハードコート層中に分散している。
(2.1数珠状ゾル)
数珠状ゾルJを構成する無機酸化物としては特に限定されず、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化スズ(SnO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、及び硫酸カルシウム(CaSO4)などが挙げられる。これらの無機酸化物の中では本発明の効果の観点より、酸化ケイ素が好ましく用いられる。酸化ケイ素からなる数珠状ゾルの場合は、各一次粒子同士がシロキサン結合により連なっているものと考えられる。
このような数珠状ゾルJを構成する無機酸化物微粒子(一次粒子)は、平均粒子径が5nm以上70nm以下であることが好ましく、10nm以上60nm以下であることがより好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。
一次粒子の平均粒子径が5nm以上であると、十分な耐擦傷性や耐クラック性を得ることができる。一方、一次粒子の平均粒子径が70nm以下であれば、良好な光学特性を得ることができる。
この数珠状ゾルJを構成する無機酸化物微粒子の平均一次粒子径は、BET法や電子顕微鏡法によって測定できる。
BET法では、窒素ガスのように占有面積の分かった分子を粒子表面に吸着させ、その吸着量と圧力の関係から比表面積を求め、この比表面積を換算表から粒子径に変換をすることで平均一次粒子径を求めることができる。
電子顕微鏡法では、まず厚さ数十nmのアモルファスカーボン膜が形成された銅製メッシュ上で数珠状ゾルを分散液(ゾル)からすくいとるか、あるいはアモルファスカーボン膜上に数珠状ゾルを吸着させる。これらの微粒子を透過型電子顕微鏡により観察して平均一次粒子径を測定する。
数珠状ゾル全体(二次粒子)の平均粒子径については動的光散乱法で求められるが、好ましい平均粒子径は、20nm以上200nm以下である。二次粒子の平均粒子径が20nm以上であれば、十分な耐擦傷性や耐クラック性を得ることができる。一方、二次粒子の平均粒子径が200nm以下であれば、良好な光学特性を得ることができる。
一次粒子である無機酸化物微粒子が連なった構造を有する数珠状ゾルは、液状ゾルとして市販されている。例えば、日産化学工業社製の「スノーテックス OUP」(「スノーテックス」は登録商標)、「スノーテックス UP」「IPA−ST−UP」「スノーテックス PS−M」、「スノーテックス PS−MO」、「スノーテックス PS−S」、「スノーテックス PS−SO」、触媒化成工業株式会社製の「ファインカタロイドF−120」(「カタロイド」は登録商標)、及び扶桑化学工業株式会社製の「クォートロンPL」(「クォートロン」は登録商標)などが挙げられる。これらの数珠状ゾルは、酸化ケイ素からなる一次粒子が多数結合し、三次元的に湾曲した構造を有している。
ハードコート層は、以上説明した鎖状の無機酸化物微粒子を少なくとも含むフィラー成分を含有する。ハードコート層における鎖状の無機酸化物微粒子の含有量は15質量%以上であり、かつフィラー成分の含有量は20質量%超かつ40質量%未満の範囲である。鎖状の無機酸化物微粒子を15質量%以上含み、かつ20質量%超のフィラー成分を含むハードコート層は、十分な硬度および耐擦傷性を発揮することができる。なおフィラー成分は、鎖状の無機酸化物微粒子のみからなるものであってもよく、鎖状の無機酸化物微粒子とともに他のフィラー成分を含んでいてもよい。上述のフィラー成分の含有量は、フィラー成分総量を示す。したがって、フィラー成分が鎖状の無機酸化物微粒子のみからなるものである場合、鎖状の無機酸化物微粒子の含有量が20質量%超かつ40質量%未満となる。一方、フィラー成分が鎖状の無機酸化物微粒子と他のフィラー成分とを含む場合、鎖状の無機酸化物微粒子がハードコート層に15質量%以上含まれることにより、ハードコート層は十分な硬度を発揮することができる。他のフィラー成分としては、後述の球状の無機酸化物微粒子が好適である。
一方、フィラー成分の含有量が40質量%未満であることにより、ハードコート層におけるクラックや、このハードコート層を有する光学物品の変形を防ぐことができる。
ハードコート層における鎖状の無機酸化物微粒子含有量は、上述の通り、15質量%以上である。フィラー成分が鎖状の無機酸化物微粒子とともに他のフィラー成分を含む場合、ハードコート層における鎖状の無機酸化物微粒子含有量は、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
(2.2真球状ゾル)
真球状ゾルKとしては、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化スズ(SnO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、及び硫酸カルシウム(CaSO4)などの各微粒子が挙げられる。これら粒子は、コロイド粒子であることが好ましい。また、これらの中では効果の観点より、酸化ケイ素からなる微粒子が好ましく、効果の観点より特にコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは、例えば、「日産化学製 IPA−ST」、「GRACE社製 ルドックスAM」(「ルドックス」は登録商標)として液状ゾルの形態で市販されている。
真球状ゾルKの平均粒子径は、10nm以上30nm未満であることが好ましく、より好ましくは10nm以上20nm以下である。この平均粒子径が10nm以上であれば、十分な耐擦傷性を得ることができる。一方、平均粒子径が30nm未満であれば、真球状ゾルが数珠状ゾルの内部空間に容易に入り込むことができる。
真球状ゾルKの平均粒子径は、動的散乱法又は電子顕微鏡法で測定できる。
(2.3バインダー成分)
コーティング液Qにおけるバインダー成分は、ハードコート層12において、上述した数珠状ゾルJや真球状ゾルKを分散させるための媒体となるものである。
このようなバインダー成分としては、いわゆるシランカップリング剤として知られている化合物が好適である。特に、以下の式(1)で示される有機ケイ素化合物が好ましい。
12nSiX1 3-n (1)
(式中、R1は、重合可能な反応基を有する有機基であり、R2は、炭素数1から6までの炭化水素基であり、X1は加水分解基であり、nは0または1である。)
式(1)の有機ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GTS)等があげられる。これらの有機ケイ素化合物は、2種類以上を混合して用いてもよい。また、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなど、一般式SiX4(X=アルコキシル基)で示される4官能有機ケイ素化合物を用いても同様の効果を得ることができる。
そして、上述の数珠状ゾルJ、真球状ゾルK及び有機ケイ素化合物を含んだコーティング液Q(ハードコート液)を調製する際には、各微粒子が分散したゾルと、有機ケイ素化合物とを混合することが好ましい。
コーティング液Q中において、数珠状ゾル(J)と、球状の無機酸化物微粒子(K)との質量比(J:K)は、90:10から10:90までの範囲であることが好ましく、80:20から30:70までの範囲であることがより好ましく、80:20から50:50までの範囲であることがさらに好ましい。この範囲であると、耐擦傷性と耐クラック性のバランスに非常に優れるハードコート層12を提供できる。
数珠状ゾルJ及び真球状ゾルKを含むフィラーのコーティング液Qの全固形分に対する質量比である比率F(フィラー総充填比)は、20%<F<40%、好ましくは、30%≦F≦35%である。例えば、コーティング液の固形分が、数珠状ゾル、真球状ゾル、及びバインダー成分の3種である場合には、
フィラー総充填比F=[(数珠状ゾル量+真球状ゾル量)/(数珠状ゾル量+真球状ゾル量+バインダー成分量)]×100
によりフィラー総充填比が算出される。フィラー総充填比が上記範囲であると、耐擦傷性と耐クラック性のバランスに優れたハードコート層12を提供できる。フィラー成分の総量の割合が少なすぎると、ハードコート層12の耐磨耗性や屈折率が不十分となり、逆にフィラー成分の総量の割合が多すぎると、ハードコート層12にクラックが生じるおそれがある。フィラー総充填比は、以上の範囲内で、所望のハードコート層12の硬度や屈折率等により決定することができる。
なお、ハードコート層12は、上述の各微粒子と有機ケイ素化合物だけでなく、多官能性エポキシ化合物を含有することも非常に有用である。多官能性エポキシ化合物は、プラスチック基材10やプライマー層11に対するハードコート層12の密着性を向上させるとともに、ハードコート層12の耐水性及びプラスチックレンズとしての耐衝撃性を向上させることができる。多官能性エポキシ化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
上述した有機ケイ素化合物は加水分解と脱水縮合により緻密な層を形成するが、さらに、コーティング液には硬化触媒を添加してもよい。硬化触媒としては、例えば、過塩素酸、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Be(II)、Ce(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III)、V(III)、Co(III)、Fe(III)、Al(III)、Ce(IV)、Zr(IV)、V(IV)等を中心金属原子とするアセチルアセトナート、アミン、グリシン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられる。
このようにして得られるハードコート層形成用のコーティング液は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができる。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。また、ハードコート層形成用のコーティング液は、必要に応じて、少量の金属キレート化合物、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料、油溶染料、顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等を添加し、コーティング液の塗布性、硬化速度及び硬化後の被膜性能を改良することもできる。
また、コーティング液Qの塗布・硬化方法としては、ディッピング法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、あるいは、フローコート法によりコーティング液をプラスチック基材表面に塗布した後、40℃から200℃までの温度で数時間加熱乾燥することにより、ハードコート層12を形成する。
(3.反射防止層)
眼鏡レンズ表面における光の反射を防止するため、反射防止層13を形成することができる。反射防止層13は、ハードコート層12の屈折率よりも0.1以上低い屈折率を有することが好ましい。また、反射防止層13の層厚としては、50nm以上150nm以下程度が好ましい。このような反射防止層13は、通常、無機薄層、有機薄層の単層または多層で構成される。
無機薄層の材質としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti23、Ti25、Al23、Ta25、CeO2、MgO、Y23、SnO2、MgF2、WO3等の無機物が挙げられる。プラスチック基材の場合は、低温で真空蒸着が可能なSiO2、ZrO2、TiO2、Ta25が好ましい。無機薄層からなる反射防止層13の場合、具体的には、低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された多層構造により反射防止効果が発現する。この場合、最外層の材質は低屈折率であるSiO2とすることが好ましい。
無機薄層の成層方法は、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いてもよい。
(4.プライマー層)
プライマー層11は、プラスチック基材10とハードコート層12と間の界面に存在して、プラスチック基材10とハードコート層12との双方への密着性を発揮する性質を有し、表面処理膜全体の耐久性を向上させる役割を担う。さらに外部からの衝撃吸収層としての性質も併せ持ち、耐衝撃性を向上させる性質も有する。このようなプライマー層11としては、極性を有する有機樹脂ポリマーと、酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子とを含むコーティング組成物を用いて形成されることが好ましい。なお、プライマー層11の屈折率は、干渉縞の発生を避けるため、プラスチック基材10の屈折率に合わせて設計することが好ましい。
(5.防汚層)
防汚層14は、プラスチックレンズ表面の撥水撥油性能を向上させる目的で、反射防止層13の上に形成される層であって、フッ素を含有する有機ケイ素化合物から形成することができる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[実施例1]
フィラー成分として、SiO2からなる数珠状ゾル(日産化学製IPA−ST−UP)のみを用い、バインダー成分として、γ−グリシドキシ・プロピル・トリメトキシシラン(GTS)を用いてハードコート液を調製した。ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は30%であり、バインダー成分の質量比は70%である。
この工程で調製したハードコート液を超音波スプレーコート装置(Sono−tech社製、「ExactaCoat」)を用いてプラスチック基材10に塗布した。具体的には、まず、プラスチック基材10の片面を、重力方向を基準として上向きに設置した状態で超音波スプレーコート装置を用いてハードコート液を塗布し、次にプラスチック基材10を反転させて、もう一方の面を上向きに設置した状態で、同様にハードコート液を塗布した。100℃×180分の条件で加熱し、塗膜を乾燥させることにより、プラスチック基材10の上に、層厚tが8μmのハードコート層12を形成した。なお、プラスチック基材10は、特定のものに限定されるものではないが、実施例1では、セイコーオプティカルプロダクツ(株)製のセイコールーシャス用基材(屈折率1.60))を用いた。
[実施例2]
ハードコート層12の層厚tを15μmとした以外は、実施例1と同じである。
[実施例3]
フィラー成分として、SiO2の数珠状ゾル(日産化学製IPA−ST−UP)と真球状ゾル(日産化学製IPA−ST、粒子径10nm)とを用い、バインダー成分として、γ−グリシドキシ・プロピル・トリメトキシシラン(GTS)を用いてハードコート液を調製した。SiO2の数珠状ゾル、真球状ゾル、GTSのそれぞれの質量比は、17.5%、17.5%、65%である。ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は35%(=17.5%+17.5%)である。
調製されたハードコート液をプラスチック基材10に設けてハートコート層12を形成した。ハードコート層12の層厚tは実施例1と同じ8μmである。
[実施例4]
SiO2の数珠状ゾル、真球状ゾル、GTSのそれぞれの質量比を15%、15%、70%とした以外は実施例3と同じ条件である。ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は30%(=15%+15%)である。
ハードコート層12の層厚tは実施例1と同じ8μmである。
[比較例1]
ハードコート層12の層厚tを5μmとした以外は、実施例1と同じである。
[比較例2]
ハードコート層12の層厚tを25μmとした以外は、実施例1と同じである。
[比較例3]
SiO2の数珠状ゾルの代わりに、真球状ゾル(日産化学製IPA−ST、粒子径10nm)を質量比30%として用いた以外は実施例1と同じ条件である。ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は30%である。
ハードコート層12の層厚tは実施例1と同じ8μmである。
[比較例4]
SiO2の数珠状ゾルの代わりに、真球状ゾル(日産化学製IPA−ST、粒子径10nm)を用いた以外は実施例2と同じ条件である。ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は30%である。
ハードコート層12の層厚tは実施例2と同じ15μmである。
[比較例5]
SiO2の数珠状ゾル、真球状ゾル、バインダー成分の質量比を、20%、20%、60%とした以外は実施例2と同じ条件である。
ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は40%(=20%+20%)である。
ハードコート層12の層厚tは実施例2と同じ15μmである。
[比較例6]
SiO2の数珠状ゾル、真球状ゾル、バインダー成分の重量比を、10%、10%、80%とした以外は実施例2と同じ条件である。
ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は20%(=10%+10%)である。
ハードコート層12の層厚tは実施例2と同じ15μmである。
[比較例7]
層厚tを18μmとした以外は実施例1と同じ条件である。
[比較例8]
数珠状SiO2ゾル、真球状ゾル、バインダー成分の質量比をそれぞれ12.5%、12.5%、75%とした以外は実施例3と同じ条件である。
ハードコート液全体に対するフィラー成分の質量比(フィラー総充填比)は25%(=12.5%+12.5%)である。
ハードコート層12の層厚tは実施例3と同じ8μmである。
以上の実施例1〜4及び比較例1〜8の構成を表1に表す。
〔評価方法〕
(I)干渉縞:暗箱内において三波長型蛍光灯下で実施例及び比較例のサンプルの干渉縞を観察し、下記の通り評価した。
○:干渉縞の発生がほとんど観察されない良好な水準
△:干渉縞が発生し、やや見苦しい水準
×:干渉縞の発生が激しく、見苦しい水準
(II)ベイヤー試験特性(耐擦傷性):
ベイヤー試験を、COLTS Laboratories社製ベイヤー試験機を用い、前述した条件で製造された実施例及び比較例のサンプルと基準サンプルに対して質量500gのメディアで600回往復させて同時に傷をつけて実施した(COLTS Laboratories社の指定する標準条件)。その傷の付いたサンプルのヘイズ値(スガ試験機株式会社製自動ヘイズコンピューター)を測定して、下記の式により、実施例及び比較例のサンプルと基準サンプルのヘイズ値変化の比によりベイヤー比(Bayer Ratio)Rを算出した。
R=|HST1−HST0|/|HSA1−HSA0
式中の記号は、H:ヘイズ値、ST:基準サンプル、SA:実施例及び比較例のサンプル、0:試験前、1:試験後である。
R値が大きいほど耐擦傷性が良好である。
実施例及び比較例のサンプルと基準サンプル各々3枚について測定を行ってRを算出し、平均値を測定値とした。そして、以下の基準で各試験品を評価した
◎:R≧3 製品としてより優れている。
○:2≦R<3 製品として適している。
△:1≦R<2 製品として使用上の問題はない。
×:R<1 製品として適さない。
なお、基準サンプルはコーティングがされていないADC樹脂のレンズ(プラスチック基材のみ)である。
(III)モース試験特性(ハードコート層の硬度):
モース硬度とは、モース硬度評価に使用する硬度の異なる10種類の石(研磨部材)のセットを用い、引掻き試験を行って評価される基準である。モース試験特性とは、硬度が異なる10種類の石を用意し、これらの石からなる研磨部材をレンズ表面に擦り合わせて傷がつくか否かを目測したものである。10種類の石は、番号1が滑石、番号2が石膏、番号3が方解石、番号4が蛍石、番号5が燐灰石、番号6が正長石、番号7が石英、番号8が黄玉、番号9がコランダム、番号10がダイヤモンドであり、番号が大きくなるに従って硬度が高くなる。
これらの石からなる研磨部材の接触面積を1.0mm×1.0mmとし、この研磨部材を実施例及び比較例のサンプルの表面に当接して500gf(≒4.90332N)の加重をかけて1往復以上5往復以下の擦傷回数で膜表面に引掻き試験をした。引掻き速度は15mm/秒である。
モース試験の評価は以下のように行った。例えば、モース硬度が4の蛍石からなる研磨部材をレンズ表面に当てて引掻き試験を実施したところ、サンプルの表層部が剥がれ、あるいは切削粉が生じたことを目視したのに対して、モース硬度が3の方解石からなる研磨部材をサンプル表面に当てて引掻き試験を実施したところ、表面部が剥がれたり、あるいは切削粉が生じたりすることがないことを目視したとすると、モース硬度は3.5である。同様に、モース硬度が3の方解石からなる研磨部材をサンプル表面に当てて引掻き試験を実施したところ、傷がついたことを目視し、モース硬度が2の石膏からなる研磨部材をサンプル表面に当てて引掻き試験を実施したところ、レンズに傷がつかないことを目視したとすると、モース硬度は2.5である。モース試験特性が3.5であれば、ハードコート層12の硬度が十分といえるが、2.5であればハードコート層12の硬度が製品として適したものとは言えない。
(IV)外観評価:目視による評価
[クラック]
無し:サンプルの表面にクラックが認められない。
有り:サンプルの表面にクラックが目立つ。
[変形]
無し:変形が認められない。
有り:変形が目立つ。
〔評価結果〕
実施例1〜4及び比較例1〜8の評価結果を表2に示す。
以上の実施例1〜4及び比較例1〜8を検証すると、ハードコート層12の層厚tが8μmと15μmの実施例1〜4は、干渉縞がなく、クラック及び変形も無いものであったが、層厚tが5μmの比較例1では干渉縞が発生し、層厚tが25μmの比較例2ではクラック及び変形を生じるものであり、層厚tが18μmの比較例7ではクラックを生じるものであった。
さらに、ハードコート層12の層厚tが同じ8μmであっても、フィラー成分として、SiO2の数珠状ゾルが30%充填された実施例1は、クラック及び変形がないが、真球状ゾルが30%充填された比較例3はクラック及び変形がある。層厚tが同じ15μmであっても、フィラー成分としてSiO2の数珠状ゾルが30%充填された実施例2は、レンズの硬度の基準となるベイヤー試験特性及びモース試験特性も好ましい値であったが、真球状ゾルが30%充填された比較例4は、ベイヤー試験特性とモース試験特性とも実施例2に比べて評価が低いものであった。
フィラー総充填比が35%の実施例3ではベイヤー試験特性がより好ましく、クラック及び変形がないが、フィラー総充填比が実施例3より大きい40%の比較例5では、ベイヤー試験特性は好ましい値となるものの、クラック及び変形がある。フィラー総充填比が30%の実施例1、2、4ではベイヤー試験特性が好ましい値であるが、実施例1、2、4より小さい20%の比較例6や数珠状ゾルの充填比が12.5%の比較例8ではベイヤー試験特性が実施例1、2、4に比べて低い値となる。
実施例3は実施例4に比べてフィラー総充填比が高いので、ベイヤー試験特性もよいものとなった。
従って、本実施形態では、次の作用効果を奏することができる。
(1)数珠状ゾルJを有するフィラー成分と、バインダー成分とを含むコーティング液から形成されコーティング液全体に対するフィラー成分の比率(フィラー総充填比)が20%を超え40%未満であり、かつ、層厚tが8μm以上15μm以下のハードコート層12をプラスチック基材10に設けることにより、干渉縞の発生を抑えることができ、クラックや変形が少なく、ベイヤー試験特性とモース試験特性とも良好なものにすることができる。
(2)コーティング液が、数珠状ゾルJの他、真球状ゾルKも含む構成とすることにより、数珠状ゾルの空隙に真球状ゾルが入り込む構造となり、耐擦傷性と耐クラック性とを向上させることができる。
(3)数珠状ゾルの充填比を15%以上とし、かつフィラー総充填比を20%を超え40%未満の範囲内で高いものとすると、ベイヤー試験特性を向上させることができる。
(4)プラスチック基材10を眼鏡用プラスチック基材とすることで、干渉縞が目立ちにくく、かつ、クラックや変形が少ない好適な眼鏡用プラスチックレンズを提供することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含む。
例えば、前記実施形態では、光学物品として眼鏡用プラスチックレンズを説明したが、本発明の光学物品は、眼鏡用プラスチックレンズに限定されるものではなく、例えば、望遠鏡用レンズ等にも適用することができる。
1…眼鏡用プラスチックレンズ(光学物品)、10…プラスチック基材、11…プライマー層、12…ハードコート層、13…反射防止層、14…防汚層、J…鎖状の無機酸化物微粒子(数珠状ゾル)、K…球状の無機酸化物微粒子(真球状ゾル)、Q…コーティグ液、t…層厚

Claims (9)

  1. プラスチック基材と、
    前記プラスチック基材の表面に直接または他の層を介してハードコート層と、
    を含み、
    前記ハードコート層は、鎖状の無機酸化物微粒子を含むフィラー成分を含み、前記ハードコート層において、前記鎖状の無機酸化物微粒子含有量は15質量%以上であり、前記フィラー成分含有量は20質量%超かつ40質量%未満の範囲であり、かつ、
    前記ハードコート層は層厚が8μm以上15μm以下である、
    光学物品。
  2. 前記フィラー成分が、さらに球状の無機酸化物微粒子を含む、請求項1に記載の光学物品。
  3. 前記ハードコート層は、バインダー成分を更に含む請求項1又は2に記載の光学物品。
  4. 前記バインダー成分は、有機ケイ素化合物を含む請求項3に記載の光学物品。
  5. 眼鏡レンズである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学物品。
  6. 鎖状の無機酸化物微粒子を有するフィラー成分と、
    バインダー成分と、を含み、
    前記コーティング液の全固形分に対して、前記鎖状の無機酸化物微粒子の質量比が15%以上であり、かつ前記フィラー成分の質量比が20%を超え40%未満である、
    コーティング液。
  7. さらに、球状の無機酸化物微粒子を含む、請求項6に記載のコーティング液。
  8. 前記バインダー成分は、有機ケイ素化合物を含む請求項6又は7に記載のコーティング液。
  9. 眼鏡レンズ用ハードコーティング液である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のコーティング液。
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