JPWO2013187378A1 - 固液分離方法 - Google Patents

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Abstract

膜分離槽2内の液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物の表面電荷が当該固形物を固液分離するセラミック平膜3の表面電荷と電気的に同極性に帯電するように当該液相のpHを調節する。または、セラミック平膜3の表面電荷と電気的に同極性で且つ前記固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を当該液相に添加して当該固形物の見かけの表面電荷をセラミック平膜3の表面電荷と電気的に同極性に帯電させる。

Description

本発明は無機膜を利用して液相中の分散粒子である固形物を分離する分離技術に関し特に無機膜におけるファウリング(膜閉塞)を防止するための技術に関する。
膜処理法は分離膜の孔径の種類を選択することで、懸濁物やコロイド粒子、さらには特定の分子までの分離に利用されている。
分離膜は孔径によって精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)などに分類される。
これらの膜処理操作における物質移動の推進力は圧力差であり、加圧または減圧することによりろ過を行っている。そして、膜処理による分離対象としては、例えば、MF膜の場合には、水中の0.05〜10μm程度の微粒子である懸濁物質、細菌類などである。UF膜の場合には、分子量1000〜300000程度の高分子物質であるタンパク質、酵素、エマルジョン、細菌類、ウィルスなどが分離対象となる。
膜ろ過方式としては、クロスフローろ過法とデッドエンドろ過法との2種類がある(例えば非特許文献1,2等)。
クロスフローろ過法は、被処理液を膜面に平行に流しながらろ過する方法である。この方法は濁り成分が膜表面に堆積するのを抑制しながらろ過を行うので、デッドエンドろ過法と比較して目詰まりしにくいというメリットがあるが、被処理液を循環するための動力が余分に必要となる欠点がある。
デッドエンドろ過法は、被処理液を全量ろ過する方法であり、クロスフローろ過法の場合には必要となる被処理液を循環するための動力が不要であるので、省エネルギー的なろ過操作が可能である。しかしながら、ろ過操作においては被処理液の流れの方向が膜に直角の流れとなり膜表面への堆積物の形成は避けられず、また、クロスフローろ過法のように濁り成分が膜表面に堆積することを抑制しながらろ過を行うことは不可能である。このことから、ろ過操作を定期的に停止して、膜面への堆積物を物理洗浄と薬品洗浄などにより洗浄することが必要となる。
ファウリングとは、膜処理において時間経過とともに、付着物質が膜の表面に累積することや透過流路を閉塞する状況のことであり、定期的に洗浄(付着物質をはがす工程)が必要となる。
ろ過膜のファウリングを抑制させる方式としては、全量ろ過方式の膜処理において、ろ過膜表面に無機物粒子を含むコーティング層を形成した後に膜ろ過を行なうことで膜ファウリングを抑制する膜処理方法が知られている(特許文献1)。
前記コーティング層は性状の異なる少なくとも二つの層から成る。ろ過膜に接する側のコーティング下層は、前記無機物粒子を含むコーティング溶液をろ過することにより形成した無機物粒子によるコーティング層となっている。他側のコーティング上層は、前記コーティング溶液に凝集剤を添加して無機物粒子を凝集処理して得られるフロックを含むコーティング溶液をろ過することにより形成したフロックによるコーティング層とすることとしている。以上の構成により、膜ファウリングの抑制と薬品洗浄回数の低減と設備およびメンテナンスコストの低減が図られている。
また、オイルサンドからのビチュメンの生産では、採掘の際に温水や水蒸気が必要なため大量の水を使用するため、油や粘土が含まれるオイルサンド採掘排水(Oil Sands Produced Water;以後、OSPW)とよばれる膨大な量の排水が発生する。オイルサンドとは、粘度が高い重質の油「ビチュメン」がしみ込んだ砂の層である。排水の一部はリサイクルされるものの,残り貯水地に貯留され、重力による自然沈降により、数ヶ月かけて砂・重金属・油などと水が分離され、浄化された上澄み水を再利用している。
セラミック製の無機膜は、堅牢で物理的・化学的な耐久性および親水性の高い特徴があるため、現在、このOSPWを無機膜により処理して排水中の分散粒子である固形物の効率的な分離技術の研究が進められている。
デッドエンドろ過法の膜ファウリングを抑制する方法として、ろ過膜表面に無機物粒子を含むコーティング層を形成した後、被処理水の膜ろ過を行われている。
しかしながら、デッドエンド方式である全量ろ過方式であるがために、ろ過継続によるろ過膜面付近の被処理水の膜分離対象物質濃度の上昇とそれに伴う膜面に堆積による透水性の低下は避けられず、頻繁に逆洗を行う必要がある。このことから、膜ろ過工程の停止とコーティング層の形成を行う工程の繰り返しを行う必要があり、運転管理が煩雑化する。
そして、ろ過操作における膜ファウリング対策において、膜へのファウリング物質の蓄積ならびに膜面への堆積物の抑制することは、クロスフローろ過法とデッドエンドろ過法と共通して利用可能なものであるにもかかわらず、有効な解決手段がなされていない。
三好康彦著,「汚水・排水処理の知識と技術」,オ−ム社,第1版,2002年8月,pp.114〜118 財団法人 財下水道新技術推進機構,「セラミック平膜を用いた循環式硝化脱窒型膜分離活性汚泥法 技術資料」,2012年3月 高田じゅん,「ζ電位測定法の定理と応用例」,東亜合成グループ研究年報,TREND2011,第14号,2011年1月,pp.27〜30
特開2004−130197号公報
そこで、本発明は、液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物の表面電荷が当該固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に同極性に帯電するように当該液相のpHを調節する。
また、本発明の他の態様としては、液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に同極性で且つ当該固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を当該液相に添加して当該固形物の見かけの表面電荷を当該無機膜の表面電荷と電気的に同極性に帯電させる。
以上の発明によれば、液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記無機膜の表面電荷と当該固形物の見かけの表面電荷が電気的に同極性に帯電するので両者の電気的親和力が弱まる。したがって、液相に含まれる固形物の分離にあたり、固形物による無機膜のファウリングを抑制できる。
本発明の実施形態における膜分離装置の概略構成図。 セラミック平膜の概略構成を示した縦断面図。 金属酸化物表面の帯電状態の変化の説明図。 各pHでのα‐アルミナのζ電位の関係を示した特性図。 各種の無機化合物の等電点並びにζ電位を示した特性図。 本発明の他の実施形態における膜分離装置の概略構成図。
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
分離膜自体にろ過分離対象物の付着を防止する機能を持たせることを実現するために、以下の(1)〜(5)の現象を基に鋭意検討努力した結果、本発明の完成に至った。
(1)金属酸化物を主成分とする無機物からなる無機膜は、水溶液中では金属酸化物の表面電荷は、pHが等電点より低い場合にはプラスに帯電し、逆に等電点より高い場合にはマイナスに帯電している。
(2)例えば、α‐アルミナを主成分とする無機膜は、α‐アルミナの等電点が通常9付近にあるので、中性水溶液中では当該無機膜の表面電荷はプラスに、pHが10の水溶液中では当該無機膜の表面電荷はマイナスに帯電している。
(3)水溶液中の分散粒子である固形物が金属酸化物である場合には、金属酸化物の等電点よりpHが低い場合には固形物の表面はプラスに帯電し、逆に等電点より高い場合にはマイナスに帯電している。
(4)水溶液中において、無機膜の表面電荷と固形物の表面電荷が異極性になるpH条件では、両者に電気的親和力が発生し、固形物が膜表面に付着しやすくなり、当該無機膜も目詰まりを起こしやすくなる。
(5)固形物と無機膜との表面電荷が電気的に異極性である場合、固形物の表面電荷と異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を添加した場合であっても固形物の表面電荷の電気的な極性を変えることなく維持し、pH調節にて無機膜の表面電荷を固形物の表面電荷と電気的に同極性とすることで膜の目詰まりを抑制できる。
以上のことから、水溶液中の分散粒子である固形物を無機膜によって分離する方法において、前記固形物が無機膜に付着するのを防止するには、無機膜または固形物の表面電荷を調整することが効果的であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の態様としては、液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物の表面電荷が当該固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に同極性に帯電するように当該液相のpHを調節する。
また、本発明の他の態様としては、液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に同極性で且つ当該固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を当該液相に添加して当該固形物の見かけの表面電荷を当該無機膜の表面電荷と電気的に同極性に帯電させる。
また、さらに本発明の他の態様としては、液相に含まれる固形物の分離にあたり、当該固形物の表面電荷が当該固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に異極性に帯電する場合には、当該固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を、当該調整剤が添加されて形成された固形物がその表面電荷が他の当該調整剤が添加されて形成された固形物の表面電荷と電気的に同極性に帯電させるように当該液相のpHを調節する。
前記無機膜は例えばα‐アルミナのような酸化アルミニウムとして例示される金属酸化物を主成分とする無機膜であるが、金属酸化物に限定されず、金属酸化物や金属水酸化物の少なくとも一つを主成分とする無機膜が挙げられる。
具体的に、前記無機膜の主成分とする金属酸化物や金属水酸化物としては、酸化アルミニウムの他、水酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化ケイ素から少なくとも一つの化合物を含むものである。
また、両性の性質をもつ金属酸化物や金属水酸化物の少なくとも1つを主成分をとする無機膜であることが好ましいが、液相で特定の表面電荷を有する無機物であれば、これら成分の種類に限定はされない。
無機膜の態様としては、例えば図2に示した外圧式固液分離方式のセラミック平膜3が挙げられる。セラミック平膜3は透水性の良いセラミック板から成る基材31の外表面に更に細目のセラミックの膜32で覆われた2層構造を成し、外表面全てがろ過膜として機能するものが挙げられる。膜32の孔径は,一般の細菌(1〜2μm)より小さい孔径が選定される。基材31の内部にはチューブ状の空洞からなる集水管33が形成されている。通水の態様は矢印で示したように膜32の外側から被処理水を集水管33内に導入する形態となっている。この全ての集水管33には集合管が接続され、さらにこの集合管に濾液を外部へ取出し可能な取水口を取り付けて使用する。そして、前記取水口は、濾液を外部へ取出すろ過の2次側とし負圧をかけることで濾液を吸引ろ過する。
さらに、無機膜の形態としては、図2に示すセラミック平膜3のように1枚であっても、また、複数の膜エレメントを組み合わせ一体化して膜モジュールとして使用することも可能である。
なお、固液分離方式としては、前記外圧式以外にも、膜の内側(中空糸や管の内側)に被処理水を供給し、外側(中空糸や管の外側)に処理水を流出する内圧式であってもよい。
無機膜の材料はセラミックなど単一である必要はなく、複数の材料を混合したものであってもよい。また、無機膜の構造は2層構造に限定されず、単層であっても多層構造であってもよい。複数層からなる膜構造をとる場合、外表面の層のみ、所定の等電点の材質からなる膜を外表面に配置すればよい。
前記無機膜の主成分が金属酸化物の場合にあっては、その粒子表面に水酸基を有し、pHによって酸塩基反応が生じ、その結果、電荷がマイナス、中性、プラスに変化する(非特許文献3)。図3はその反応を模式的に示している。水酸基はpHが低いとプロトン化されて正電荷を帯び、pHが高いとプロトンが解離して負電荷を帯びる。そのため、pHを連続的に変化させていくと正電荷と負電荷が同数になり、見かけ上粒子が帯電していないように振舞うpHがある。そのpHを等電点という。例えば図4に示された各pHでのα‐アルミナのζ電位の関係によればα‐アルミナの等電点は約9となっている(同非特許文献)。よって、無機膜が金属酸化物を主成分とする場合には、水中での表面電荷はpHに左右される。尚、ζ電位とは、固体と液体の界面を横切って存在する電気的ポテンシャルを示すものであり、溶液中のコロイド粒子や固体表面の帯電状態を表面電位(表面電荷)として表す。ζ電位がゼロに近づくと、微粒子の相互の反発力は弱まり凝集が起こる。
また、前記無機膜の主成分が金属水酸化物の場合にあっては、例えばハイドロキシアパタイト(Ca10(PO45(OH)2)では、その結晶表面にカルシウムイオンの正電荷とリン酸塩基の負電荷の2つのサイトを有しているため、等電点が酸性から塩基性にいたる幅広い範囲の固形物の分離が可能である。一般に金属水酸化物はアルカリ性もしくは両性を持つ。よって、無機膜が金属水酸化物を主成分とする場合にも、水中での表面電荷はpHに左右されることとなる。
前記固形物は金属酸化物である場合、前記無機膜と同様に、その表面電荷はpHに左右される。無機膜を用いて水溶液中の分散粒子である固形物を分離する場合には、水中での無機膜と固形物の表面電荷が同極性になるように水溶液のpHを調節することで、無機膜と固形物との電気的親和性が弱まる。これにより、膜表面への固形物の付着性を低減することができ、安定した固液分離が実現する。
例えば、無機膜が酸化アルミニウムから成り、固形物が酸化チタンである場合には、酸化アルミニウムの等電点はpH9付近、酸化チタンの等電点はpH6付近にある。したがって、水溶液のpHが9より大きければ、水溶液中の酸化アルミニウムと酸化チタンはともにマイナスに帯電し、無機膜の表面への固形物の付着性は低くなり、結果として、安定的に分離ろ過を実現することが可能となる。
また、この場合、水溶液のpHが7であっても、電荷調整剤としてポリ塩化アルミニウムを水溶液に添加すれば、酸化チタンの表面にポリ塩化アルミニウムが付着する。これにより固形物と無機膜の表面はともに同極性の電荷つまりプラスに帯電し、膜表面への固形物の付着性は低くなり、結果として、安定的に分離ろ過を実現することが可能となる。
また、OSPWには、粘土を構成する鉱物である粘土好物を含有し、例えば、カオリナイト(Al2O3・2SiO2・2H2O)、モンモリロナイトなどのケイ酸塩鉱物を含み、その表面は帯電している。この粘土鉱物も前記無機膜により固液分離が可能である。
したがって、前記無機膜により固液分離される前記固形物は、金属酸化物に限定されるものではなく、金属酸化物以外にも金属水酸化物、粘土鉱物などを含む微粒子であってもよく、水溶液中で特定の表面電荷を有するものであれば、その材質および成分に限定されない。
また、pHの調節には、硫酸や塩酸や硝酸などの酸や、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリを溶解・希釈した溶液として適宜添加すればよい。
電荷調整剤としては、あるpHにおいて液相の分散粒子の有する電荷とは異極性の電荷を有する薬剤を採用すればよい。電荷調整剤としてはアルミニウム塩、鉄塩等が例示される。有機系の電荷調整剤としてはカチオン系やアニオン系のポリマーが例示される。また、電荷調整剤は、薬剤の種類が単独であっても複数併用であってもよい。
前記アルミニウム塩としては低分子系、高分子系のものが挙げられる。低分子系のものは硫酸バンド(Al2(SO43)、塩化アルミニウム(AlCl3)、含鉄硫酸アルミニウム(Al2(SO43+Fe2(SO43)、アンモニウムミョウバン((NH42SO4・Al2(SO43)、カリウムミョウバン(K2SO4・Al2(SO43)が例示される。高分子系のものはポリ硫酸アルミニウム([Al2(OH)n(SO43-n/2)]m)、ポリ塩化アルミニウム([Al2(OH)nCl4-nm)が例示される。
前記鉄塩も低分子系、高分子系のものが挙げられる。低分子系のものとしては硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)、硫酸第二鉄(Fe2(SO43)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化コッバラス(FeCl3+Fe2(SO43)が例示される。高分子系のもとしてはポリ硫酸鉄([Fe2(OH)n(SO43-n/2m)、ポリ塩化第二鉄([Fe2(OH)nCl4-nm(SO43)が例示される。
本発明が適用される膜分離装置の態様としては、例えば図1に示された膜分離装置1のように、固形物を含有する液を回分的に処理可能な装置において、図2に示した外圧式固液分離方式のセラミック平膜3を固液分離槽2内にて膜面が鉛直となるよう配置したものが挙げられる。セラミック平膜3は膜分離槽2内の液相に浸漬される。そして、圧力計PIによる膜間差圧の監視のもとセラミック平膜3の2次側から吸引ポンプP1によって負圧をかけることによりろ過水のみが吸引ろ過されてろ過水槽4に移送される。通常、流量計FIによる監視のもと所定の透過流束となるようろ過流量は制御される。尚、透過流束(m/日)とは、膜の単位表面積あたりのろ液量のことであり、吸引したろ液量のうち逆洗で使用した水量を差し引き,得られる正味の処理水量を膜面積で除した値を指す。
また、本発明が適用される膜分離装置の別の態様としては、固形物を含有する液を連続的に処理可能な装置として、例えば図6に示された膜分離装置5のように、膜分離槽2に被処理水を供給する原水供給ポンプP1や、ろ過を長時間継続可能とするためにセラミック平膜3の下方から散気により膜面の曝気洗浄を行う機器や、ろ過水により定期的に膜の逆圧洗浄を行うなど機器等を備えたものが挙げられる。
以上のように無機膜と固形物の表面電荷に着目し、無機膜と固形物が共存する液相のpHの調整もしくは当該液相に対して表面電荷が当該無機膜と電気的に同極性の薬剤を添加することにより無機膜の膜表面に対する固形物の付着並びに付着層の形成を低減できる。これにより、無機膜におけるファウリングを抑制でき、安定したろ過が実現する。
尚、本発明は、固形物を含有する液の処理において、処理の目的や状況に応じて回分的な処理にも連続的にも適応可能である。
以下に本発明の具体的な実施例を示した。
(実施例1)
図1に示された膜分離装置1の膜分離槽2(容積0.05m3)に金属酸化物として酸化アルミニウムを成分とするセラミック平膜3を膜分離槽2内に備え、この槽2内に水熱合成で生成した酸化チタンを含む懸濁液を2.5L(酸化チタン濃度100g/L)投入した。
その他のセラミック平膜3の仕様は、公称孔径0.1μm、外形寸法W100×H250×T12mm(有効膜面積0.05m2)であり、粒子捕捉性能0.1μm粒子に対し95%以上であった。
前記懸濁液は、初期の酸化チタン濃度は5000mg/Lとし、水酸化ナトリウムの添加により懸濁液のpHを10.5に調整した。セラミック平膜3の吸引口に吸引ポンプPを接続し、攪拌機Mによって前記懸濁液を攪拌しながら吸引ポンプPを運転し、流量計FIの監視のもと定量的に制御されろ過流束0.3〜1.0m/dにて吸引ろ過を行った。ろ過処理水はろ過水槽4に受けた。セラミック平膜3の二次側配管に設置された圧力計PI(株式会社岡野製作所製,型式DMP202N)によってろ過中の膜間差圧を測定した。ろ過開始時の膜間差圧と24時間後の膜間差圧を測定し、これらの差分から膜間差圧の上昇速度を算出した。その結果、膜間差圧上昇速度は0.01kPa/日であった。
本実施例で用いた酸化チタン懸濁液を少量採取し、ζ電位粒径測定システム(大塚電子株式会社製,型式ELSZ−1000ZS)によって等電点を測定した結果、等電点は6.3であった。また、本実施例で用いたセラミック平膜3を粉砕した酸化アルミニウムを水に懸濁して得た懸濁液の等電点を前記ζ電粒径測定システムによって測定した結果、等電点は9.2であった。本実施例では膜分離槽2中の懸濁液はpH10.5に調整されているので、懸濁液中の酸化チタンの表面は、その等電点6.3より高いpHの溶液中にあるのでマイナスに帯電する。
図5に示したように本実施例の無機膜の材質は酸化アルミニウムであり、その等電点9.0よりも高いpHの懸濁液(pH10.5)中にあるので、無機膜の表面はマイナスに帯電する。これにより、懸念濁中の酸化チタン粒子(等電点6.3)は同極性のマイナスに帯電するため、ろ過中に酸化アルミニウムからなる無機膜の表面に付着しても、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が後述の比較例1,2での膜間差圧の上昇速度よりも顕著に低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例2)
実施例2では、実施例1における懸濁液のpHを9.5に調整した以外は、実施例1と同様にろ過試験を実施した。膜間差圧の上昇速度の測定値は0.02kPa/日であった。図5に示したように、懸濁液がpH9.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)と酸化チタン(等電点6.3)の両者の等電点よりも高い条件にあるので、両者の表面はともにマイナスに帯電し、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が後述の比較例1,2での膜間差圧の上昇速度よりも顕著に低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例3)
実施例1において、懸濁液のpHを5.5に調整した以外は、実施例1と同様にろ過試験を実施した。膜間差圧の上昇速度の測定値は0.02kPa/日であった。図5に示したように、懸濁液がpH5.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)と酸化チタン(等電点6.3)の両者の等電点よりも低い条件にあるので、両者の表面はともにプラスに帯電し、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が後述の比較例1,2での膜間差圧の上昇速度よりも顕著に低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例4)
実施例4では、実施例1における懸濁液のpHを7.5に調整し、pH調製後に懸濁液に対してさらに電荷調整剤としてポリ塩化アルミニウム(以下、PAC)を注入率50mg/Lで添加した以外は、実施例1と同様にろ過試験を実施した。膜間差圧の上昇速度の測定値は0.01kPa/日であった。PAC添加後の懸濁液を採取し、ζ電位を測定した結果、等電点は8.9であった。PACの添加によって、酸化チタンの表面はPACで被覆されることで、等電点は8.9となることから、図5に示したように、pH7.5の条件でPACにより被覆された酸化チタンはプラスに帯電する。また、pH7.5の条件で膜材質が酸化アルミニウム(等電点9.0)である無機膜も同じくプラスに帯電する。これにより、懸濁液中のPACで被覆された酸化チタン粒子が、ろ過中に酸化アルミニウムからなる無機膜の表面に付着しても、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が後述の比較例1,2での膜間差圧の上昇速度よりも顕著に低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例5)
実施例5では、実施例1における酸化チタンの代わりに沈殿反応で生成させた酸化ジルコウム粒子を用いて、実施例1と同様にろ過試験を実施した。酸化ジルコニウム粒子の懸濁液(5000mg/L)の等電点をζ電位粒径測定システムで測定した結果、等電点は5.2であった。懸濁液のpHを10.5に調整し、実施例1と同様の方法で膜間差圧の上昇速度を測定した結果、0.01kPa/日であった。図5に示したように、pH10.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)と酸化ジルコニウム(等電点5.2)の両者の等電点よりも高い条件にあるので、両者の表面はともにマイナスに帯電し、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が後述の比較例1,2での膜間差圧の上昇速度よりも顕著に低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例6)
実施例6では、実施例5における酸化ジルコニウム粒子の懸濁液のpHを9.5に調整し、実施例5と同様にろ過試験を実施し、膜間差圧の上昇速度を測定した結果、0.02kPa/日であった。図5に示したように、pH9.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)と酸化ジルコニウム(等電点5.2)の両者の等電点よりも高い条件にあるので、両者の表面はともにマイナスに帯電し、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例7)
実施例7では、実施例5における酸化ジルコニウム粒子の懸濁液のpHを4.5に調整した以外は、実施例5と同様にろ過試験を実施し、膜間差圧の上昇速度を測定した結果、0.02kPa/日であった。図5に示したように、pH4.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)と酸化ジルコニウム(等電点5.2)の両者の等電点よりも低い条件にあるので、両者の表面はともにプラスに帯電し、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が低くなり、安定ろ過が実現できることが明らかとなった。
(実施例8)
図6に示した実施例8の膜分離装置5は、実施例1の膜分離装置1の構成において、原水槽6(30L)、原水供給ポンプP1、逆洗ポンプP2、ブロアB、バルブV1,V2を備える。
膜分離槽2(寸法W100mm×H500mm×D50mm,有効容積3L)内には攪拌機Mの代わりに散気管7が具備されている。散気管7は空気をブロアBから導入してセラミック平膜3の膜面を曝気洗浄するための散気部材である。
原水槽6は槽内の原水を均一に攪拌するための図示省略の攪拌機を備える。原水供給ポンプP1は原水槽6内の原水を膜分離槽2に供給する。逆洗ポンプP2は、ろ過水槽4のろ過水により定期的に膜の逆圧洗浄を行うためのポンプである。
バルブV1はろ過時にろ過水の供給先をろ過水槽4に確保する一方で前記洗浄時にろ過水槽4へのろ過水の戻りを遮断するためのバルブである。バルブV2は前記洗浄時にろ過水をろ過方向とは逆方向からセラミック平膜3に供給する経路を確保するためのバルブである。
一般に、無機膜の洗浄方法には、(1)曝気洗浄(無機膜の下方から空気を吹き込んでその粗大気泡と上昇水流により、膜面の付着物質を除去する方法)、(2)逆圧洗浄(ろ過方向とは逆方向に処理水を流して無機膜の膜面の付着物質を除去する方法)、(3)インライン洗浄(ろ過方向とは逆方向から無機膜中に次亜塩素酸ナトリウム溶液等の薬液を注入することにより付着物質を溶解ないし剥離させ,無機膜の閉塞および狭窄からの回復を図る方法)などがある。
実施例8では、通常のろ過操作で併用する(1)(2)の洗浄方法を選択した。尚、散気管7は、粗大気泡を供給してセラミック平膜3の下方から散気するように、市販されている塩ビ管(口径13mm)に数箇所に孔径2mm程度の散気孔を開けたものを採用した。
逆圧洗浄では、所定周期でろ過と逆洗の配管経路をバルブV1,V2の操作により切替え、吸引ポンプPを停止させる一方で、逆洗ポンプP2を運転した。
実施例8のセラミック平膜3は、実施例1〜7のセラミック平膜と同仕様のものを採用し、その等電点は9.0であった。
本実施例で使用する原水を調製するため、北米のオイルサンド採掘現場における実排水(OSPW)を採取した。前記OSPWの物性は、pH7.29、ζ電位−30.0mV、粒度分布(PSD)0.7μm、TSS(total suspended solids)21.3mg/L、TDS(total dissolved solids)1920mg/L、濁度26NTU、導電率3600μS/m、TOC41.3mg/L、含油率2.1mg/Lであった。
本実施例の原水は、前記OSPWに対して、電荷調整剤として硫酸バンド(Al2(SO43)を注入率10mg/Lで添加して懸濁させ、この懸濁液のpHを水酸化ナトリウム溶液にて目標値pH10として調節した。この懸濁液のpH値は9.52、ζ電位は−27.5mVであった。
ここで、市販されている粘土鉱物のカオリナイトとモンモリロナイトを水に懸濁させて、その懸濁液の等電点を前記ζ電位粒径測定システムで測定した結果、カオリナイトの等電点は2〜4.6であり、また、モンモリロナイトの等電点は2〜3であることを確認した。そのため、懸濁液pH9.52の条件では、懸濁液中の帯電物質の主成分である粘土鉱物類の等電点よりも高いpHの溶液中にあるので懸濁液は上記ζ電位の値となりマイナスに帯電したと理解される。
一方、本実施例の無機膜の表面はその等電点9.0よりも高いpHの懸濁液中にあるためマイナスに帯電する。
原水槽6の液相を攪拌機によって均一に攪拌した懸濁液を原水供給ポンプP1により膜分離槽2へ供給した。
吸引ポンプPを設定値35.3mL/分、ろ過流束1.08m/日で運転して膜分離槽2内の懸濁液をセラミック平膜3によってろ過した。尚、原水供給ポンプP1の設定値は、膜分離槽2内の水位位置レベルに設けたオーバーフロー配管から僅かにオーバーフローが確認する程度として、長時間の運転にて膜分離槽2内の水量が減少することでろ過操作に支障が生じないようにした。
曝気洗浄では、ブロアBから散気管7への空気の送気流量を1.13mL/min(ろ過流量の0.03倍)に設定し常時行った。
逆圧洗浄は、バルブV1を閉に設定する一方でバルブV2を開に設定した状態で逆洗ポンプP2をろ過流量の2倍の流量で0.5分間運転することでろ過水をろ過水槽4からセラミック平膜3に供給することで行い、10分周期で行った。逆圧洗浄終了後、バルブV1,V2の操作によりセラミック平膜3のろ過水の供給先をろ過水槽4に切替えた。
ろ過中の膜間差圧はセラミック平膜3の二次側配管に設置された圧力計PI(株式会社岡野製作所製,型式DMP202N)によって測定した。
ろ過開始時の膜間差圧の経時変化を記録し、膜間差圧の上昇速度を算出したところ、膜間差圧上昇速度は0.13kPa/時であった。
上述の懸濁液のζ電圧の値から明らかなように、前記懸濁液への電荷調整剤の添加により形成される固形物の表面電荷はセラミック平膜3の表面電荷と電気的に同極性の関係にある。これにより、前記固形物がセラミック平膜3の表面に付着しても、互いの静電気的な反発力により圧密性が低くなる。その結果、上記の通り、膜間差圧の上昇速度が後述の比較例3での膜間差圧の上昇速度よりも顕著に低くなり、安定したろ過が実現できることが明らかとなった。
また、本実施例において、セラミック平膜3の表面に酸化チタン(等電点pH6.3)や酸化ジルコニウム(等電点pH5.2)またはシリカ(等電点pH4付近)などを含有、塗付させることで、当該表面の等電点の値を小さくでき、懸濁液のpHをより低く調節しても膜間差圧上昇速度を抑制した固液分離が可能となる。
(比較例1)
比較例1では、実施例1における懸濁液のpHを7.5とした以外は、実施例1と同様にろ過試験を実施し、膜間差圧の上昇速度を測定した結果、3.5kPa/日であり、膜閉塞が急激に進行していた。図5に示したように、pH7.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)の表面電荷はその等電点より低いのでプラスの帯電し、一方、酸化チタン(等電点6.3)の表面電荷は等電点よりも高い条件にあるので、マイナスに帯電する。これにより、互いの静電気的な吸引力が作用し、膜表面の酸化チタン粒子の厚密度が高くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が高くなり、膜閉塞が急激に進行することが明らかとなった。
(比較例2)
比較例2では、実施例5における懸濁液のpH5.5に調整した以外は、実施例1と同様にろ過試験を実施し、膜間差圧の上昇速度を測定した結果、上昇速度は3.2kPa/日であり、膜閉塞が急激に進行していた。図5に示したように、pH5.5の条件では、酸化アルミニウム(等電点9.0)の表面はその等電点より低いのでプラスの帯電し、一方酸化ジルコウム(等電点5.2)の表面は等電点よりも高い条件にあるので、マイナスに帯電する。これにより、互いの静電気的な吸引力が作用し、膜表面の酸化チタン粒子の圧密度が高くなる。その結果、上記の通り膜間差圧の上昇速度が高くなり、膜閉塞が急激に進行することが明らかとなった。
(比較例3)
比較例3では次の懸濁液Aと懸濁液Bの2種類を使用した。懸濁液Aは前記OSPWをそのまま使用したものである。懸濁液Bは、実施例8と同様に前記OSPWに対して電荷調整剤を添加したが、pH調整を行わなかったものである。
懸濁液Aの物性は、pH7.29、ζ電位−30.0mV、粒度分布(PSD)0.7μm、TSS(total suspended solids)21.3mg/L、TDS(total dissolved solids)1920mg/L、濁度26NTU、導電率3600μS/m、TOC41.3mg/L、含油率2.1mg/Lであった。一方、懸濁液Bの物性は、pH7.15、ζ電位−27.5mV、粒度分布(PSD)1.1μmであった。
懸濁液Aと懸濁液Bにて、各々実施例8と同様のろ過試験を実施した結果、膜間差圧の上昇速度の測定値は、懸濁液Aの場合が0.72kPa/時、懸濁液Bの場合が0.39kPa/時であった。
比較例3で使用した酸化アルミニウムを成分としたセラミック平膜3の等電点9.0であり、懸濁液Aおよび懸濁液BのpHの条件下(懸濁液A:pH7.29、懸濁液B:pH7.15)において、セラミック平膜3の表面電荷はプラスに帯電する。これにより、表面電荷がマイナスに帯電した各懸濁液中の固形物と互いに静電気的な吸引力が作用し、膜表面の固粘土鉱物を主成分とする固形物の厚密度が高くなることにより、膜間差圧の上昇速度が大きくなった。そのため、凝集効果を有する電荷調整剤を添加して粒度分布が僅かでまた粒子径が大きくなるようにシフトさせることで膜間差圧の上昇速度を僅かに抑制できたものの、その効果は、セラミック平膜3の表面電荷と固形物の表面電荷を同極性とした結果よりも顕著ではなかった。
したがって、無機膜の表面電荷と固形物の表面電荷が異極性になるpH条件で、固形物の表面電荷の種類を維持しつつ電荷調整剤を添加し、固形物の粒径を大きくしただけでは、膜間差圧の上昇速度を効果的に抑制することはできないことが示された。
以上の実施例,比較例のろ過試験から、懸濁液のpHを、無機膜を構成する金属酸化物の等電点と懸濁液中の粒子の等電点の双方の値よりも、低いか高くなるように調整することで、膜閉塞することなしに懸濁液をろ過できることが見出された。これにより、清澄で安定した水質のろ過水が得られ再利用を可能となるとともに、懸濁液中の懸濁物質を高濃度に濃縮することができる。濃縮液は排水となるが、排水量を低減することができ、ろ過システムの低コスト化が実現する。
また、懸濁液のpHが、無機膜を構成する金属酸化物の等電点と懸濁液中の粒子の等電点との間にある場合でも、懸濁物質の表面を被覆しその電荷が無機膜と同極性となるように電荷調整剤を添加することで、膜閉塞を抑制させた懸濁液のろ過が行えることを見出した。このことで、清澄で安定した水質のろ過水が得られ再利用を可能とするとともに、懸濁液中の懸濁物質を高濃度に濃縮することができる。濃縮液は排水となるが、排水量を低減することができ、ろ過システムの低コスト化が実現する。
さらに、液相に含まれる固形物の分離にあたり、当該固形物の表面電荷が当該固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に異極性に帯電する場合であっても、当該固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を、当該調整剤が添加されて形成された固形物がその表面電荷が他の当該調整剤が添加されて形成された固形物の表面電荷と電気的に同極性となるよう維持しつつ、当該液相に添加した後、pHを調節することで、当該無機膜の表面電荷と当該調整剤が添加されて形成された固形物の表面電荷を電気的に同極性に帯電し、膜閉塞の進行を抑制させて懸濁液のろ過を行えることを見出した。このことで、清澄で安定した水質のろ過水が得られ再利用を可能とするとともに、懸濁液中の懸濁物質を高濃度に濃縮することができる。濃縮液は排水となるが、排水量を低減することができ、ろ過システムの低コスト化が実現する。
尚、実施例では電荷調整剤としてポリ塩化アルミニウムを用いたが、無機膜の主成分,固形物の表面電荷に応じて、ポリ塩化アルミニウム以外の前述のアルミニウム塩や、前述の鉄塩、前述のカチオン系またはアニオン系のポリマーを適用しても、当該実施例と同様の結果が得られることは明らかである。
そこで、本発明は、液相に含まれる固形物を無機膜によって固液分離する固液分離方法であって前記固形物並びに無機膜の等電点を予め測定しておくステップと、前記固液分離する際に前記等電点に基づいて前記液相のpHを調整するステップと、を有し、前記pHを調整するステップは、前記固形物の等電点と前記無機膜の等電点の双方の値よりも低いpH値あるいは高いpH値に調整する
また、OSPWには、粘土を構成する鉱物である粘土物を含有し、例えば、カオリナイト(Al2O3・2SiO2・2H2O)、モンモリロナイトなどのケイ酸塩鉱物を含み、その表面は帯電している。この粘土鉱物も前記無機膜により固液分離が可能である。

Claims (8)

  1. 液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物の表面電荷が当該固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に同極性に帯電するように当該液相のpHを調節することを特徴とする固液分離方法。
  2. 液相のpHを、前記固形物の等電点と前記無機膜の等電点の双方の値よりも低いpH値あるいは高いpH値のいずれかに調節することを特徴とする請求項1に記載の固液分離方法。
  3. 前記固形物は電荷調整剤を添加して形成された固形物であり、
    前記電荷調整剤は当該調整剤が添加される前の前記液相に含まれる固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の固液分離方法。
  4. 前記電荷調整剤を添加して形成された固形物は、他の当該電荷調整剤を添加して形成された固形物の表面電荷と電気的に同極性の表面電荷を有することを特徴とする請求項3に記載の固液分離方法。
  5. 液相に含まれる固形物の分離にあたり、前記固形物を固液分離する無機膜の表面電荷と電気的に同極性で且つ当該固形物の表面電荷と電気的に異極性の表面電荷を有する電荷調整剤を当該液相に添加して当該固形物の見かけの表面電荷を当該無機膜の表面電荷と電気的に同極性に帯電させること
    を特徴とする固液分離方法。
  6. 前記固形物は、金属酸化物、金属水酸化物、粘土鉱物のいずれかであることを特徴とする請求項1から5に記載の固液分離方法。
  7. 前記電荷調整剤はアルミニウム塩、鉄塩、カチオン系若しくはアニオン系のポリマーのいずれかであることを特徴とする請求項3から6に記載の固液分離方法。
  8. 前記無機膜は金属酸化物または金属水酸化物の少なくとも一つを主成分とすることを特徴とする請求項1から7に記載の固液分離方法。
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