JPWO2013187074A1 - 発光素子の製造方法、発光素子および表示パネル - Google Patents

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Abstract

反射電極を含む下地層を形成する下地層形成工程と、長軸と短軸とを有する形状の開口が前記反射電極上方の対応位置に設けられ、且つ、前記開口を囲繞する傾斜部を有する、撥液性の隔壁を、前記下地層上に形成する隔壁形成工程と、特性のエネルギー線を照射し前記隔壁の撥液性を低下させるエネルギー線照射工程と、機能層を形成する機能層形成工程と、を含む発光素子の製造方法である。前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が前記反射電極の上面と重なり、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重ならない位置に隔壁を形成する。

Description

本発明は、発光素子の製造方法、発光素子および表示パネルに関し、特に、塗布法により均一な膜厚の機能層を形成する技術に関する。
従来から、発光素子の製造プロセスにおいて、機能性材料を含むインクをインクジェット法等の塗布法により塗布して、発光層や正孔輸送層等の機能層を形成することが行われている。インクジェット法では、例えば、インクを隔壁に設けられた開口内に滴下し、その後インクを乾燥させることによって、機能層を形成する。
機能層の膜厚は均一であることが好ましく、膜厚が均一でない場合は輝度むらが生じるおそれがある。ところが、インクを滴下する隔壁の開口が長軸と短軸とを有する形状である場合は、機能層における長軸方向中央部の膜厚が、機能層における長軸方向両端部の膜厚よりも厚くなるという現象が生じる。
このような現象を抑制する手段の1つとして、特許文献1には、隔壁の傾斜部における長軸方向中央部の表面の撥液性を、隔壁の傾斜部における長軸方向両端部の表面の撥液性よりも大きくすることが開示されている。具体的には、傾斜部における長軸方向両端部のみに紫外線を照射して表面の撥液性を低下させ、相対的に傾斜部における長軸方向中央部の撥液性を大きくする方法が開示されている。
特開2009−26671号公報
しかしながら、近年、画素が微細化したため、傾斜部における長軸方向中央部のみに紫外線を照射することは極めて困難であり、現実的でない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、製造方法を複雑化させることなく均一な膜厚の機能層を形成することのできる発光素子の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、機能層の膜厚が均一であるにも拘わらず簡単に製造することのできる発光素子および表示パネルを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法は、基板上に、反射電極を含む下地層を形成する下地層形成工程と、長軸と短軸とを有する形状の開口が前記反射電極上方の対応位置に設けられ、且つ、前記開口を囲繞する傾斜部を有する、撥液性の隔壁を、前記下地層上に形成する隔壁形成工程と、前記隔壁の上方から前記隔壁へ向けて、前記隔壁を透過し且つ前記反射電極の上面で上方に向け反射される特性のエネルギー線を照射し、前記隔壁の撥液性を低下させるエネルギー線照射工程と、前記開口内であって前記下地層上に機能層を形成する機能層形成工程と、を含み、前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が前記反射電極の上面と重なり、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重ならない位置に隔壁を形成する。
本発明の一態様における発光素子の製造方法では、平面視において、隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が反射電極の上面と重なり、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重ならない位置に隔壁を形成する。傾斜部における長軸方向両端部では、上方から照射され前記傾斜部を透過したエネルギー線が、反射電極の上面によって上方へ反射されるため、エネルギー線は前記傾斜部を2回透過する。一方、傾斜部における長軸方向中央部では、上方から照射され前記傾斜部を透過したエネルギー線が、反射電極の上面によって上方へ反射されないため、エネルギー線は前記傾斜部を1回しか透過しない。したがって、長軸方向両端部よりも長軸方向中央部の方が傾斜部に照射されるエネルギー線の照射量が少なくなり、その結果、長軸方向両端部よりも長軸方向中央部の方が傾斜部の表面の撥液性が大きくなるため、機能層の膜厚が均一になる。このような構成は、反射電極に対する開口の位置や、開口の形状等を調整するだけで実現可能であるため、新たな工程の追加や工程の複雑化を伴わない。したがって、発光素子の製造方法が複雑化することもない。
第1の実施形態に係る表示パネルを備えた表示装置の全体構成を示す図である。 第1の実施形態に係る表示パネルの表面の一部を示す平面図である。 (a),(b)は、第1の実施形態に係る発光素子を示す端面図である。 (a)〜(c)は、第1の実施形態に係る発光素子の反射電極、透明電極および隔壁を示す模式図である。 (a),(b)は、第1の実施形態に係る発光素子におけるエネルギー線の反射の態様を示す模式図である。 (a)〜(d)は、第1の実施形態に係る発光素子の製造方法の要部を説明するための工程図である。 (a)〜(d)は、比較例1に係る発光素子の製造方法の要部を説明するための工程図である。 (a)〜(c)は、比較例2に係る発光素子の製造方法の要部を説明するための工程図である。 エネルギー線の照射とインクの接触角との関係を示す図である。 反射電極の有無が機能層の膜厚に与える影響を示す図である。 第2の実施形態に係る発光素子を示す端面図である。 (a),(b)は、第2の実施形態に係る発光素子の反射電極、透明電極および隔壁を示す模式図である。 (a),(b)は、第2の実施形態に係る発光素子におけるエネルギー線の反射の態様を示す模式図である。 (a)〜(c)は、第3の実施形態に係る発光素子の反射電極、透明電極および隔壁を示す模式図である。 (a),(b)は、第3の実施形態に係る発光素子におけるエネルギー線の反射の態様を示す模式図である。
以下、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法、発光素子および表示パネルについて、図面を参照しながら説明する。
[本発明の一態様の概要]
本発明の一態様に係る発光素子の製造方法は、基板上に、反射電極を含む下地層を形成する下地層形成工程と、長軸と短軸とを有する形状の開口が前記反射電極上方の対応位置に設けられ、且つ、前記開口を囲繞する傾斜部を有する、撥液性の隔壁を、前記下地層上に形成する隔壁形成工程と、前記隔壁の上方から前記隔壁へ向けて、前記隔壁を透過し且つ前記反射電極の上面で上方に向け反射される特性のエネルギー線を照射し、前記隔壁の撥液性を低下させるエネルギー線照射工程と、前記開口内であって前記下地層上に機能層を形成する機能層形成工程と、を含み、前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が前記反射電極の上面と重なり、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重ならない位置に隔壁を形成する。
また、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法の特定の局面は、前記下地層形成工程では、前記反射電極の上面と連続する側面が傾斜面となるように前記反射電極を形成し、前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の側面と重なる位置に隔壁を形成する。
また、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法の特定の局面は、前記下地層形成工程では、前記反射電極の側面が前記基板の上面に対して20°以上70°以下の傾斜角となるように前記反射電極を形成する。
また、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法の特定の局面は、前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が、前記反射電極の上面およびその上面と連続する側面のいずれとも重ならない位置に隔壁を形成する。
また、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法の特定の局面は、前記下地層形成工程では、前記反射電極の側面が前記基板の上面に対して略垂直となるように前記反射電極を形成する。
また、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法の特定の局面は、前記下地層形成工程では、前記開口の下側の全体を覆うように透明電極を形成する。
本発明の一態様に係る発光素子は、基板と、反射電極を含み前記基板上に形成された下地層と、長軸と短軸とを有する形状の開口が前記反射電極上方の対応位置に設けられ、前記開口を囲繞する傾斜部を有し、前記下地層上に形成された撥液性の隔壁と、前記開口内であって前記下地層上に形成された機能層と、を有し、前記隔壁は、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が前記反射電極の上面と重なっており、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重なっていない。
また、本発明の一態様に係る発光素子の特定の局面は、前記反射電極は、前記上面と連続する側面が傾斜面であって、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の傾斜面と重なっている。
また、本発明の一態様に係る発光素子の特定の局面は、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極と重なっていない。
本発明の一態様に係る表示パネルは、上記いずれかの発光素子を複数備える。
[本発明に至った経緯]
機能層における長軸方向中央部の膜厚が、機能層における長軸方向両端部の膜厚よりも厚くなるという現象を抑制する手段として、隔壁の傾斜部における長軸方向中央部の表面の撥液性を、隔壁の傾斜部における長軸方向両端部の表面の撥液性よりも大きくすることが有効であることは上述した通りである。このような隔壁を形成する方法としては、傾斜部における長軸方向両端部のみに紫外線を照射して表面の撥液性を低下させ、相対的に傾斜部における長軸方向中央部の撥液性を大きくする方法が考えられるが、近年、画素が微細化したため、傾斜部における長軸方向中央部のみに紫外線を照射することは極めて困難であり、現実的でないことは上述した。それ以外の方法として、例えば、傾斜部における長軸方向両端部を撥液性の小さい材料で形成し、傾斜部における長軸方向中央部を撥液性の大きい材料で形成する方法も考えられるが、撥液性の異なる2種類の材料を使用して隔壁を形成する方法は隔壁形成工程が複雑になるため、結果的に発光素子の製造方法も複雑化する。
そこで、発明者は、目的とする隔壁を簡単に形成する方法を種々検討し、その結果、反射電極を利用して隔壁の撥液性をコントロールすることが有効であるとの考えに至った。すなわち、隔壁の表面の撥液性は、隔壁に照射するエネルギー線の照射量を調整することによりコントロール可能であり、エネルギー線の照射量は、反射電極の上面によるエネルギー線の反射を利用して調製することが可能であり、エネルギー線の反射は、反射電極に対する開口の位置や、開口の形状等を適宜調整するだけで実現可能であるとの着想を得た。
隔壁の上方から下方の隔壁へエネルギー線を照射すると、エネルギー線は隔壁等を透過する。しかしながら、透過した先に反射電極の上面が存在すると、その上面によってエネルギー線が上方へ向けて反射される。すなわち、下方に反射電極の上面が存在している部分においては、エネルギー線は上方から下方へ向けてその部分を透過し、さらに反射電極で反射してエネルギー線はその部分を下方から上方へ向けて再び透過する。そのため、その部分においてはエネルギー線が計2回透過することになる。一方、下方に反射電極の上面が存在していない部位においては、エネルギー線は上方から下方へ向けて透過するだけである。そのため、その部位においてはエネルギー線が計1回しか透過しないことになる。
平面視において、傾斜部における長軸方向両端部が反射電極の上面と重なり、傾斜部における長軸方向中央部が反射電極の上面とは重ならない隔壁を形成した場合は、隔壁の上方から隔壁全体に対し一様にエネルギー線を照射したとしても、傾斜部における長軸方向両端部においてはエネルギー線が計2回透過するが、傾斜部における長軸方向中央部においてはエネルギー線が計1回しか透過しないことになる。そのため、傾斜部における長軸方向中央部へのエネルギー線の照射量は、傾斜部における長軸方向両端部へのエネルギー線の照射量よりも少なくなり、その結果、傾斜部における長軸方向中央部の表面の撥液性は、傾斜部における長軸方向両端部の表面の撥液性よりも大きくなる。
このようにして、傾斜部における長軸方向中央部の表面の撥液性を、傾斜部における長軸方向両端部の表面の撥液性よりも大きくすることは、反射電極に対する開口の位置や、開口の形状等を適宜調整するだけで実現可能であり、新たに工程を追加したり、既存の工程を複雑化にしたりする必要がない。
<実施の形態1>
(発光素子および表示パネルの概略構成)
図1は、第1の実施形態に係る表示パネルを備えた表示装置の全体構成を示す図である。図2は、第1の実施形態に係る表示パネルの表面の一部を示す平面図である。
図1に示す表示装置1は、ディスプレイ、テレビ、携帯電話機等に用いられる有機EL表示装置であって、第1の実施形態に係る表示パネル10と、これに接続された駆動制御部20とを備える。駆動制御部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とから構成されている。
図2に示すように、表示パネル10は、本発明の一態様に係る発光素子100を複数備える。各発光素子100は、R,G,Bいずれかのサブピクセルを構成しており、R,G,Bの各色サブピクセルを1つずつ、計3つを1組として1ピクセルが構成されている。
図3は、第1の実施形態に係る発光素子を示す端面図であって、図3(a)は図2におけるA−A線の部分を切断した端面図、図3(b)は図2におけるB−B線の部分を切断した端面図である。なお、本明細書において、A−A線に沿った方向を短軸方向、B−B線に沿った方向を長軸方向とする。
図3に示すように、発光素子100は、トップエミッション型の有機EL素子であって、TFT基板110(以下、単に「基板110」)上に、反射電極120、透明電極130、正孔注入層140、隔壁150、機能層としての発光層160、電子注入層170、共通電極180および封止層190が積層された積層構造となっている。本実施の形態では、反射電極120、透明電極130および正孔注入層140で下地層101が構成される。
なお、発光素子100には、正孔輸送層、電子輸送層等の上記以外の層が積層されていても良い。また、本発明の一態様に係る機能層は、発光層160に限定されず、正孔輸送層やバッファ層等、塗布法により形成可能な層であっても良い。
基板110上には、複数の反射電極120がマトリックス状に形成されており、各反射電極120上に透明電極130が形成されている。そして、複数の透明電極130の全てを覆うようにして、正孔注入層140が形成されている。正孔注入層140上には、サブピクセルを規定するための開口102が設けられた隔壁150が形成されており、開口102内に発光層160が形成されている。さらに、発光層160の上には、電子注入層170、共通電極180および封止層190が、開口102内だけでなく隔壁150上にも跨って、その順で形成されている。なお、本実施の形態では、正孔注入層140が隔壁150の下に形成されているが、正孔注入層140は発光層160と同様に隔壁150の開口102内に例えば塗布法によって形成されていても良い。
基板110は、例えば、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、またはアルミナ等の絶縁性材料で形成されている。
反射電極120は、例えば、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、またはNiCr(ニッケルとクロムの合金)等で形成されており、陽極として機能するだけでなく、発光層160で生じた可視光を反射させ上方へ導く機能を有する。
透明電極130は、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等で形成されており、陽極として機能するだけでなく、反射電極120および正孔注入層140の間に介在し、それらの層の接合性を良好にする機能も有する。
正孔注入層140は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、または金属酸窒化物等の金属化合物で形成されている。金属酸化物としては、例えば、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、Th(トリウム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Cd(カドミウム)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(錫)、Pb(鉛)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)、およびLa(ランタン)からLu(ルテチウム)までのいわゆる希土類元素等の酸化物が挙げられる。
隔壁150は、例えば、樹脂等の有機材料またはガラス等の無機材料で形成されている。有機材料の例には、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられ、無機材料の例には、SiO2(酸化シリコン)、Si34(窒化シリコン)等が挙げられる。図2に示すように、隔壁150には、反射電極120上方の対応位置、すなわち各サブピクセルに対応する位置に、開口102が設けられている。各開口102は、平面視において長軸と短軸とを有する形状である。より具体的には、開口102は長孔状であって、長軸を挟んで対向する2辺は直線状であり、短軸を挟んで対向する2辺は半円弧状である。
図3に戻って、発光層160は、例えば、有機高分子であるF8BT(poly(9,9−di−n−octylfluorene−alt−benzothiadiazole))で形成されている。なお、発光層160はこの材料からなる構成に限定されず、公知の有機材料を含むように構成することが可能である。たとえば特開平5−163488号公報に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質等が挙げられる。
電子注入層170は、共通電極180から注入された電子を発光層160へ輸送する機能を有し、例えば、バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウム、またはこれらの混合物等で形成されている。
共通電極180は、例えば、ITO、IZO等で形成されており、陰極として機能する。
封止層190は、発光層160等が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)等の材料で形成されている。
(発光素子の要部構成)
次に、発光素子の要部について説明する。図4は、第1の実施形態に係る発光素子の反射電極、透明電極および隔壁を示す模式図であって、図4(a)は平面図、図4(b)は図2におけるA−A線の部分の端面図、図4(c)は図2におけるB−B線の部分の端面図である。なお、図4では、反射電極、透明電極および隔壁以外の層は省略している。
図4に示すように、反射電極120は、基板110の上面111と平行な上面121と、基板110の上面111に対して傾斜した側面122とを有する。側面122は、その上端縁123が上面121と連続しており、その下端縁124が基板110の上面111と接触している。
反射電極120は、その表面(上面121および側面122)でエネルギー線を反射する。反射電極120の表面でエネルギー線を効率良く反射させるためには、反射電極120がAl、Rh(ロジウム)等の波長245〜365nmの光に対して50〜90%程度の反射物性を持つメタル等で形成されていることが好ましい。例えば、反射電極120がAlで形成されている場合は、約90%の反射率が見込める。
透明電極130は、平面視において、反射電極120の全体を覆い、且つ、開口102の下側の全体を塞ぐように形成されている。透明電極130が開口102と対応する領域の全体に形成されているため、反射電極120の有無に拘わらず、透明電極130によって開口102内全域において正孔を注入することが可能である。
隔壁150は、基板110の上面111と平行な上面151と、基板110の上面111に対して傾斜した傾斜面152とを有する。傾斜面152は、開口102に臨むように環状に形成されており、その上端縁153が上面151と連続しており、その下端縁154が正孔注入層140と接触している。
隔壁150は、開口102を囲繞する傾斜部155を有する。傾斜部155とは、基板110の上面111と垂直な断面において(図4(b)および(c)参照)、傾斜面152の上端縁153を通り基板110の上面111と垂直な境界L1と、傾斜面152の下端縁154を通り基板110の上面111と垂直な境界L2との間の部分である。平面視において(図4(a)参照)、隔壁150の傾斜部155における長軸方向両端部(図2において符号103で示す部分)は、反射電極120の上面121と重なり、隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部(図2において符号104で示す部分)は、反射電極120の上面121と重ならない。
隔壁150の表面(上面151および傾斜面152)は撥液性を有する。表面の撥液性は、隔壁150の表面に撥液処理を施すことによって、或いは、隔壁150を撥液性の材料で形成することによってもたらされている。
図5は、第1の実施形態に係る発光素子におけるエネルギー線の反射の態様を示す模式図であって、(a)は、傾斜部における長軸方向中央部での反射の態様を示す図、(b)は、傾斜部における長軸方向両端部での反射の態様を示す図である。なお、図5では、反射電極、透明電極および隔壁以外の層は省略している。
図5に示すように、反射電極120の上面121は基板110の上面111と平行であるため、反射電極120の真上から照射されたエネルギー線は、隔壁150や透明電極130等を透過して反射電極120の上面121に入射し、上面121によって真上に向け反射される。一方、側面122は、基板110の上面111に対して傾斜しているため、反射電極120の真上から照射されエネルギー線は、隔壁150や透明電極130等を透過して反射電極120の側面122に入射し、側面122によって側方に向け反射される。
基板110の上面111に対する反射電極120の側面122の傾斜角度θ1(図4(a)および(b)参照)は、20°以上であることが好ましい。傾斜角度θ1が20°以上であれば、側面122で反射したエネルギー線が傾斜面152を透過し難い。さらに、傾斜角度θ1が30°以上であれば、側面122で反射したエネルギー線が傾斜面152を殆ど透過することがないためより好ましい。例えば傾斜角度θ1が45°である場合、反射電極120の真上から照射され側面122に入射したエネルギー線は、基板110の上面111と平行な方向、すなわち真横へ向けて反射される。また、傾斜角度θ1は、70°以下であることが好ましい。傾斜角度θ1が70°を超えると、反射電極120上に形成される透明電極130が側面122の上端縁123のエッジによって切断されるおそれがある。
なお、隔壁150の傾斜面152の基板110の上面111に対する傾斜角度θ2は、反射電極120の側面122で反射したエネルギー線が隔壁150の傾斜面152を透過し難い構成とするために、40°以上であることが好ましい。また、傾斜角度θ2は、開口102内にインクを留める機能を十分に発揮するために、60°以下であることが好ましい。
隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部104の全体を、反射電極120の傾斜面152と完全に重ねるためには、基板110の上面111と垂直な断面において(図4(b)および(c)参照)、反射電極120の側面122の基板上面111と平行な方向の幅W1が、隔壁150の傾斜面152の基板上面111と平行な方向の幅W2よりも広い必要がある。平面視において、反射電極120の側面122が、隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部104と少しでも重なっていれば、反射電極120の上面121によって傾斜部155へ向け反射されるエネルギー線の量を軽減できるが、隔壁150の傾斜面152の撥液性をなるべく低下させないという観点からは、傾斜部155の全体が側面122と重なっていることが好ましい。
エネルギー線の反射の態様は、隔壁150の傾斜部155における長軸方向両端部103と、隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部104とで異なる。
図5(a)に示すように、隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部104では、傾斜部155に対応する位置(傾斜部155の真下)に、反射電極120の側面122が存在しているため、傾斜部155を透過して反射電極120に到達したエネルギー線は、側方に向けて反射される。したがって、反射したエネルギー線は、傾斜部155の下端部を僅かに透過するものの、隔壁150の傾斜面152は1回しか通過しない。
一方、図5(b)に示すように、隔壁150の傾斜部155における長軸方向両端部103では、傾斜部155に対応する位置に、反射電極120の上面121が存在しているため、傾斜部155を透過して反射電極120に到達したエネルギー線は、上方に向けて反射される。したがって、反射したエネルギー線が再び傾斜部155全体を透過することになる。この場合は、エネルギー線は隔壁150の傾斜面152を2回通過する。
このように、隔壁150の傾斜部155における長軸方向両端部103と、隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部104とでは、傾斜部155や傾斜面152に照射されるエネルギー線の照射量が異なり、隔壁150の傾斜部155における長軸方向両端部103に、より多くのエネルギー線が照射される。したがって、長軸方向両端部103よりも長軸方向中央部104の方が傾斜面152の撥液性が高くなる。
図3(a)および図3(b)に示すように、傾斜面152の撥液性が高い長軸方向中央部104では、発光層160のピンニング位置P1が低く、傾斜面152の撥液性が低い長軸方向両端部103では、発光層160のピンニング位置P2が高い。その結果、発光層160における長軸方向両端部103の膜厚と、発光層160における長軸方向中央部104の膜厚とが近似する。
<発光素子の製造方法>
図6は、第1の実施形態に係る発光素子の製造方法の要部を説明するための工程図である。図6(a)〜図6(d)において、左側の図は発光素子の長軸方向中央部の端面を示し、右側の図は発光素子の長軸方向両端部103の端面を示す。
本発明の一態様に係る発光素子の製造方法では、まず、図6(a)に示すように、基板110上に、下地層101として、反射電極120、透明電極130および正孔注入層140を形成し(下地層形成工程)、その上に隔壁150を形成する(隔壁形成工程)。
反射電極120は、例えばスパッタリングにより金属薄膜を形成し、当該金属薄膜を例えばフォトリソグラフィでパターニングすることにより形成する。なお、金属薄膜は真空蒸着等で形成しても良い。透明電極130は、例えばスパッタリングによりITO薄膜を形成し、当該ITO薄膜を例えばフォトリソグラフィによりパターニングすることにより形成する。正孔注入層140は、例えば真空蒸着法またはスパッタ法等により基板110の上面側全体に亘って均一な膜厚でWOx膜を形成する。
隔壁150は、例えば、正孔注入層140上に塗布等によりフォトレジスト材料を含むレジスト膜(例えば樹脂膜)を形成し、当該レジスト膜をマスクを介して露光し、その後現像液により現像処理してレジスト膜の所望の部分を除去し、開口102を設ける。開口102を設ける際には、平面視において、隔壁150の傾斜部155における長軸方向両端部103が反射電極120の上面121と重なり、隔壁150の傾斜部155における長軸方向中央部104が反射電極120の上面121とは重ならないようにする。
次に、図6(b)に示すように、隔壁150の上方から隔壁150に向けてエネルギー線を、隔壁150の全体に対して一様に照射する(エネルギー線照射工程)。ここで、照射するエネルギー線としては、例えば紫外線を挙げることができる。紫外線の波長としては、例えば254nm、365nm等を挙げることができる。紫外線以外のエネルギー線としては、例えば軟X線 (Soft X−ray)を挙げることができる。なお、エネルギー線は、基板110、透明電極130、正孔注入層140および隔壁150を透過することが好ましい。
反射電極120の上面121が存する領域では、エネルギー線は上面121によって上方に向け反射される。そのため、反射電極120の上方に位置する隔壁150の傾斜部155においては、エネルギー線が2回透過し、その豊富なエネルギー線のエネルギーによって、傾斜部155の傾斜面152の撥液性成分が効率良く分解除去される。このエネルギー線照射工程により、傾斜部155における長軸方向中央部104の傾斜面152の撥液性は、傾斜部155における長軸方向両端部103の傾斜面152の撥液性よりも大きくなる。
なお、O3(オゾン)存在下にてエネルギー線を照射した場合は、オゾン分子に起因する活性酸素が発生するため、隔壁150の表面に存在する微小な残渣を分解除去することができる。そこで、隔壁150の表面の撥液性を低下させる際に、隔壁150の表面の残渣も分解除去することが効率的である。
次に、図6(c)および図6(d)に示すように、開口102内に発光層160を形成する(機能層形成工程)。まず、図6(c)に示すように、隔壁150に設けられた開口102内に例えばインクジェット法によりインク161を滴下することで、当該開口102内にインク161を塗布する。なお、インク161は、ディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の塗布法により塗布しても良い。
傾斜部155における長軸方向中央部104では、傾斜面152の撥液性が大きいため、未濡れ領域105が生じ易い。一方、傾斜部155における長軸方向両端部103では、傾斜面152の撥液性が小さいため、未濡れ領域105が生じ難い。
次に、図6(d)に示すように、充填したインク161を乾燥させて発光層160を形成する。その際、傾斜面152の撥液性が大きい長軸方向中央部104では、ピンニング位置P1が低くなり、傾斜面152の撥液性が小さい長軸方向両端部103では、ピンニング位置P2が高くなる。ピンニング位置が低いほど傾斜面152に付着する機能性材料の量が少なくなるため、ピンニング位置による影響だけを考えた場合、発光層160の長軸方向中央部104の膜厚は、発光層160における長軸方向両端部103の膜厚よりも薄くなり易い。
しかしながら、本来、長軸方向中央部104の傾斜面152は長軸方向両端部103の傾斜面152よりも濡れ性が良いため、長軸方向中央部104の傾斜面152の方が機能性材料が付着し易い。そして、ピンニング位置が同じ高さである場合は、発光層160の長軸方向中央部104の膜厚は、発光層160における長軸方向両端部103の膜厚よりも厚くなるはずである。ところが、上述したように、長軸方向中央部104はピンニング位置が低いため、濡れ性が発光層160の膜厚に与える影響と、ピンニング位置が発光層160の膜厚に与える影響とが打ち消し合って、発光層160の長軸方向中央部104の膜厚と、発光層160における長軸方向両端部103の膜厚とが近似する。
発光層160の形成後は、例えば真空蒸着により電子注入層170となるバリウム薄膜を形成し、その後、例えばスパッタリングにより共通電極180となるITO薄膜を形成し、最後に、封止層190を形成して発光素子100が完成する。さらに、上記の工程により発光素子100を複数形成することで、表示パネル10が完成する。
以上のような本発明の一態様に係る発光素子の製造方法では、平面視において、傾斜部155における長軸方向中央部104と、反射電極120の側面122とが重ならない構成であるため、発光層160を均一な膜厚にすることができた。
一方、従来の製造方法のように、平面視において、傾斜部における長軸方向中央部と、反射電極の上面とが重なっている場合は、発光層の膜厚を均一にすることは困難である。その理由を以下に詳細に説明する。
図7は、比較例1に係る発光素子の製造方法の要部を説明するための工程図である。図7(a)〜図7(d)において、左側の図は発光素子の長軸方向中央部の端面を示し、右側の図は発光素子の長軸方向両端部の端面を示す。
従来の発光素子の製造方法においても、図7(a)に示すように、基板1110上に、下地層として、反射電極1120、透明電極1130、正孔注入層1140および隔壁1150を形成し、次に、図7(b)に示すように、隔壁1150の上方から隔壁1150に向けてエネルギー線を照射し、次に、図7(c)に示すように、隔壁1150に設けられた開口内にインク1161を滴下し、次に、図7(d)に示すように、インクを乾燥させて機能層を形成する。
しかしながら、平面視において、傾斜部1155における長軸方向中央部104と反射電極1120の上面1121とが重なっているため、上面1121によってエネルギー線が反射され、図7(b)の左側の図のように、エネルギー線は傾斜面1152を2回透過する。そうすると、エネルギー線の透過により傾斜面1152の撥液性が低下する程度は、長軸方向中央部104と長軸方向両端部103とで同程度である。したがって、図7(c)に示すように、傾斜面1152に対するインク1161の接触度も同程度となり、図7(d)に示すように、長軸方向中央部104におけるピンニング位置P1と、長軸方向両端部103におけるピンニング位置P2とが同程度の高さとなる。そうすると、濡れ性の良い長軸方向中央部104の傾斜面1152の方が、傾斜面1152に機能性材料が付着し易いため、発光層1160における長軸方向中央部104の膜厚が厚くなってしまう。
図8は、比較例2に係る発光素子の製造方法の要部を説明するための工程図である。図8(a)〜図8(c)において、左側の図は発光素子の長軸方向中央部の端面を示し、右側の図は発光素子の長軸方向両端部の端面を示す。
次に、仮にエネルギー線を全く照射しなかった場合について説明する。図8(a)に示すように、基板1110上に、下地層として、反射電極1120、透明電極1130、正孔注入層1140および隔壁1150を形成し、次に、エネルギー線を照射することなく、図8(b)に示すように、隔壁1150に設けられた開口内にインク1161を滴下し、図8(c)に示すように、インクを乾燥させて発光層1160を形成したとする場合、長軸方向中央部104および長軸方向両端部103のいずれにおいても、傾斜面1152の撥液性は大きいままであり、傾斜面1152に見濡れ領域1105が生じ得る。そうすると、濡れ性の悪い長軸方向両端部103においては、図8(c)に示すように、正孔注入層1140の上面に未濡れ領域1106が生じ得る。
(エネルギー線の照射量と傾斜面の撥液性との関係)
エネルギー線の照射量と傾斜面の撥液性との関係を、以下の実験により検証した。実験にあたって、上記した製造方法と同様の方法により、基板上に反射電極および隔壁だけを形成したサンプル1を作製した。また、反射電極を形成しない以外はサンプル1と同様の構成のサンプル2を作製した。
これらサンプルについて、まず、エネルギー線を照射する前の隔壁に機能性材料を含むインクを接触させ、接触角を測定した。次に、エネルギー線として波長254nmの紫外光を180sec照射し、さらに200℃にて15分間ベーク処理を行なった後、先と同様の手順で隔壁にインクを接触させ、接触角を測定した。
図9は、エネルギー線の照射とインクの接触角との関係を示す図である。図9に示すように、エネルギー線を照射することによって、どちらのサンプルもインクの接触角が小さくなった。これは、エネルギー線の照射により隔壁の表面の撥液性が低下したためであると考えられる。また、反射電極を形成したサンプル1の方がインクの接触角が小さくなったことから、エネルギー線が反射電極で反射される構造の方が、隔壁の表面の撥液性がより低下し易いと考えられる。
(傾斜面の撥液性と機能層の膜厚との関係)
次に、傾斜面の撥液性と機能層の膜厚との関係を検証した。実験では、隔壁の下方に反射電極が形成されているトップエミッション型の発光素子と、隔壁の下方に反射電極が形成されていないボトムエミッション型の発光素子とを作製した。
図10は、反射電極の有無が機能層の膜厚に与える影響を示す図である。図10に示すように、同じ液滴数のインクを開口内に滴下した場合、ボトムエミッション型の発光素子よりもトップエミッション型の発光素子の方が、機能層における中央部分の膜厚が薄くなった。
トップエミッション型の発光素子では、反射電極によってエネルギー線が反射されるため、隔壁の傾斜面の撥液性は小さく、隔壁の傾斜面に付着する機能性材料の量は多い。そうすると、開口の中央部分においては機能性材料が不足するため、機能層における中央部分の膜厚が薄くなると考えられる。一方、ボトムエミッション型の発光素子では、反射電極によってエネルギー線が反射されないため、隔壁の傾斜面の撥液性は大きく、隔壁の傾斜面に付着する機能性材料の量は少ない。そうすると、開口の中央部分において機能性材料が不足しないため、機能層における中央部分の膜厚が厚くなると考えられる。この結果から、隔壁の傾斜面の撥液性が大きくなると、傾斜面近傍においては機能層の膜厚が薄くなることが確認できた。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る発光素子は、平面視において、隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が、反射電極の上面および側面のいずれとも重ならない点において、隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が反射電極の側面と重なる第1の実施形態に係る発光素子と相違する。その他の点においては、基本的には、第1の実施形態に係る発光素子と同様である。以下には、第1の実施形態に係る発光素子との相違点についてのみ説明する。
図11は、第2の実施形態に係る発光素子を示す端面図であって、図2におけるA−A線の部分を切断した端面図である。図12は、第2の実施形態に係る発光素子の反射電極、透明電極および隔壁を示す模式図であって、図12(a)は平面図、図12(b)は図2におけるA−A線の部分の端面図である。なお、図12では、反射電極、透明電極および隔壁以外の層は省略している。
図11に示すように、第2の実施形態に係る発光素子100は、トップエミッション型の有機EL素子であって、基板210上に、反射電極220、透明電極230、正孔注入層240、隔壁250、発光層260、電子注入層270、共通電極280および封止層290が積層された積層構造となっている。下地層201は、反射電極220、透明電極230および正孔注入層240で構成される。
反射電極220は、基板210の上面211と平行な上面221と、基板210の上面211に対して傾斜した側面222とを有し、それら上面221および側面222でエネルギー線を反射する。側面222は、その上端縁223が上面221と連続しており、その下端縁224が基板210の上面211と接触している。
隔壁250は、基板210の上面211と平行な上面251と、基板210の上面211に対して傾斜した傾斜面252とを有し、それら上面251および傾斜面252は撥液性を有する。傾斜面252は、開口202に臨むように環状に形成されており、その上端縁253が上面251と連続しており、その下端縁254が正孔注入層240と接触している。
隔壁250は、開口202を囲繞する傾斜部255を有する。傾斜部255とは、基板210の上面211と垂直な断面において(図12(b)参照)、傾斜面252の上端縁253を通り基板210の上面211と垂直な境界L1と、傾斜面252の下端縁254を通り基板210の上面211と垂直な境界L2との間の部分である。
平面視において(図12(a)参照)、隔壁250の傾斜部255における長軸方向両端部(図2において符号103で示す部分)は、反射電極220の上面221と重なり、隔壁250の傾斜部255における長軸方向中央部(図2において符号104で示す部分)は、反射電極220の上面221とも側面222とも重ならない。言い換えれば、平面視において、反射電極220の側面222の下端縁224は、開口202内に位置し、且つ、隔壁250の傾斜面252とは接触していない。なお、平面視において、隔壁250と反射電極220との間には隙間があるが、図11に示すように、その隙間にも発光層260は存在する。したがって、発光層260から出射される光は、その隙間を通って基板110の下面側にも出射される。すなわち、トップエミッション型の発光素子200でありながら、ボトム側にも光が出射される。
図13は、第2の実施形態に係る発光素子におけるエネルギー線の反射の態様を示す模式図であって、(a)は、傾斜部における長軸方向中央部での反射の態様を示す図、(b)は、傾斜部における長軸方向両端部での反射の態様を示す図である。なお、図13では、反射電極、透明電極および隔壁以外の層は省略している。
図13に示すように、エネルギー線の反射の態様は、隔壁250の傾斜部255における長軸方向両端部103と、隔壁250の傾斜部255における長軸方向中央部104とで異なる。
図13(a)に示すように、隔壁250の傾斜部255における長軸方向両端部103では、傾斜部255に対応する位置(傾斜部255の真下)に、反射電極220の上面121も側面222も存在しておらず、傾斜部255を透過したエネルギー線は、さらに透明電極230、基板210等を透過して、基板110の下面側に抜ける。この場合は、エネルギー線は隔壁250の傾斜面252を1回しか通過しない。
一方、図13(b)に示すように、隔壁250の傾斜部255における長軸方向中央部104では、傾斜部255に対応する位置に、反射電極220の上面221が存在しているため、傾斜部255を透過して反射電極220に到達したエネルギー線は、上方に向けて反射される。したがって、反射したエネルギー線が再び傾斜部255全体を透過することになる。この場合は、エネルギー線は隔壁250の傾斜面252を2回通過する。
このように、隔壁250の傾斜部255における長軸方向両端部103と、隔壁250の傾斜部255における長軸方向中央部104とでは、傾斜部255や傾斜面252に照射されるエネルギー線の照射量が異なり、隔壁250の傾斜部255における長軸方向両端部103に、より多くのエネルギー線が照射される。したがって、長軸方向両端部103よりも長軸方向中央部104の方が傾斜面252の撥液性が高くなる。
そして、図11に示すように、傾斜面252の撥液性が高い長軸方向中央部104では、ピンニング位置P1が低くなる。一方、傾斜面252の撥液性が低い長軸方向両端部103では、図3(b)に示す第1の実施形態に係る発光素子100の場合と同様に、ピンニング位置P2は高い。その結果、発光層260における長軸方向両端部103の膜厚と、発光層260における長軸方向中央部104の膜厚とが近似する。
第2の実施形態に係る発光素子200の構成の場合は、平面視において、反射電極220と隔壁250とが重ならなければ良いだけであるため、反射電極220と隔壁250との間の隙間を広くしておけば、開口202の位置が多少ずれたとしても、反射電極220で反射されたエネルギー線が、傾斜部255における長軸方向中央部104を透過することがない。そのため、傾斜部155における長軸方向中央部104の真下に反射電極120の側面122を厳密に位置決めする必要がある第1の実施形態に係る発光素子100の構成と比較して、開口202を設ける際の位置精度を厳密にコントロールする必要がない。
第2の実施形態に係る発光素子200は、基本的には、第1の実施形態に係る発光素子100と同様の製造方法で製造することができる。第1の実施形態に係る発光素子100の製造方法と相違する点は、平面視において、傾斜部255における長軸方向中央部104が反射電極220と重ならないように、反射電極220の短手方向の幅を、第1の実施形態に係る反射電極120の短手方向の幅よりも狭く形成する点である。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る発光素子は、反射電極の側面が基板の上面に対して略垂直である点、および、反射電極が平面視において略H形である点において、反射電極の側面が傾斜面であり、反射電極が平面視において長方形である第1の実施形態に係る発光素子と相違する。その他の点においては、基本的には、第1の実施形態に係る発光素子と同様である。以下には、第1の実施形態に係る発光素子との相違点についてのみ説明する。
図14は、第3の実施形態に係る発光素子の反射電極、透明電極および隔壁を示す模式図であって、図14(a)は平面図、図14(b)は図2におけるA−A線の部分の端面図、図14(c)は図2におけるB−B線の部分の端面図である。
図14に示すように、第3の実施形態に係る発光素子は、第1の実施形態に係る発光素子100と同様に、基板上に、反射電極320、透明電極330、正孔注入層、隔壁350、発光層、電子注入層、共通電極および封止層が積層された積層構造となっている。なお、図14では、反射電極、透明電極および隔壁以外の層は省略している。
反射電極320は、基板の上面と平行な上面321と、基板の上面に対して略垂直である側面322とを有し、上面321でエネルギー線を反射する。側面322は、その上端縁323が上面321と連続しており、その下端縁324が基板の上面と接触している。
隔壁350は、基板の上面と平行な上面351と、基板の上面に対して傾斜した傾斜面352とを有し、それら上面351および傾斜面352は撥液性を有する。傾斜面352は、開口302に臨むように環状に形成されており、その上端縁353が上面351と連続しており、その下端縁354が正孔注入層と接触している。
隔壁350は、開口302を囲繞する傾斜部355を有する。傾斜部355とは、基板の上面と垂直な断面において(図14(b)参照)、傾斜面352の上端縁353を通り基板の上面と垂直な境界L1と、傾斜面352の下端縁354を通り基板の上面と垂直な境界L2との間の部分である。
平面視において(図14(a)参照)、隔壁350の傾斜部355における長軸方向両端部(図2において符号103で示す部分)は、反射電極320の上面321と重なり、隔壁350の傾斜部355における長軸方向中央部(図2において符号104で示す部分)は、反射電極320の上面321と重ならない。基板の上面と略垂直である反射電極320の側面322も、平面視において、隔壁350の傾斜部355における長軸方向中央部104と重ならない。
また、反射電極320は、開口長軸方向両端部325(開口302の短軸を挟んで対向する半円弧状の2辺の下方に対応する部分)の開口短軸方向の幅W3が、隔壁350の傾斜部355の下方に反射電極320の上面321が存在する程度に広い幅で形成されており、長軸方向両端部325以外の部分326の開口短軸方向の幅W4が、隔壁350と反射電極320との間に隙間が生じる程度に狭い幅で形成されている。
平面視において、側面322の上端縁323と下端縁324とは略一致しており、開口302内に位置し、隔壁350の傾斜面352とは重ならない。また、平面視において、隔壁350と反射電極320との間には隙間があり、その隙間にも発光層は存在している。したがって、発光層から出射される光は、その隙間を通って基板110の下面側に出射される。すなわち、トップエミッション型の発光素子200でありながら、ボトム側にも光が取り出される。しかも、反射電極320は、開口長軸方向両端部325を除いて、開口短軸方向の幅W4が狭くなっているため、ボトム側への光の取り出し効率が良い。
第3の実施形態に係る発光素子300は、第2の実施形態に係る発光素子200と違って反射電極320の側面322が基板の上面と略垂直であるため、隔壁350と反射電極320との間の隙間の幅が広い。この点においても、ボトム側への光の取り出し効率が良い。
図15は、第3の実施形態に係る発光素子におけるエネルギー線の反射の態様を示す模式図であって、(a)は、傾斜部における長軸方向中央部での反射の態様を示す図、(b)は、傾斜部における長軸方向両端部での反射の態様を示す図である。なお、図15では、反射電極、透明電極および隔壁以外の層は省略している。
図15に示すように、エネルギー線の反射の態様は、隔壁350の傾斜部355における長軸方向両端部103と、隔壁350の傾斜部355における長軸方向中央部104とで異なる。
図15(a)に示すように、隔壁350の傾斜部355における長軸方向中央部104では、傾斜部355に対応する位置(傾斜部355の真下)に、反射電極320の上面321および側面322が存在していないため、傾斜部355を透過したエネルギー線は、さらに透明電極330、基板等を透過して、基板の下面側に抜ける。この場合は、エネルギー線は隔壁350の傾斜面352を1回しか通過しない。
一方、図15(b)に示すように、隔壁350の傾斜部355における長軸方向両端部103では、傾斜部355に対応する位置に、反射電極320の上面321が存在しているため、傾斜部355を透過して反射電極320に到達したエネルギー線は、上方に向けて反射される。したがって、反射したエネルギー線が再び傾斜部355全体を透過することになる。この場合は、エネルギー線は隔壁350の傾斜面352を2回通過する。
このように、隔壁350の傾斜部355における長軸方向両端部103と、隔壁350の傾斜部355における長軸方向中央部104とでは、傾斜部355や傾斜面352に照射されるエネルギー線の照射量が異なり、隔壁350の傾斜部355における長軸方向両端部103に、より多くのエネルギー線が照射される。したがって、長軸方向両端部103よりも長軸方向中央部104の方が傾斜面352の撥液性が高くなる。
したがって、傾斜面352の撥液性が高い長軸方向中央部104では、図3(a)に示す第1の実施形態に係る発光素子100の場合と同様に、ピンニング位置P1は低くなる。一方、傾斜面352の撥液性が低い長軸方向両端部103では、図3(b)に示す第1の実施形態に係る発光素子100の場合と同様に、ピンニング位置P2は高くなる。その結果、発光層における長軸方向両端部103の膜厚と、発光層における長軸方向中央部104の膜厚が近似する。
第3の実施形態に係る発光素子300は、第2の実施形態に係る発光素子200の場合と同様に、平面視において、反射電極320と隔壁350とが重ならなければ良いだけであるため、反射電極320と隔壁350との間の隙間を広くしておけば、開口302の位置が多少ずれたとしても、反射電極320で反射されたエネルギー線が、傾斜部355における長軸方向中央部104を透過することがない。そのため、傾斜部155における長軸方向中央部104の真下に反射電極120の側面122を厳密に位置決めする必要がある第1の実施形態に係る発光素子100の構成と比較して、開口302を設ける際の位置精度を厳密にコントロールする必要がない。さらに、反射電極320が平面視において略H形に形成されているため、第2の実施形態に係る発光素子200の場合と比べて、発光層からの光を基板の下面側へより多く出射させることができる。
第2の実施形態に係る発光素子200は、基本的には、第1の実施形態に係る発光素子100と同様の製造方法で製造することができる。第1の実施形態に係る発光素子100の製造方法と異なるのは、平面視において、傾斜部355における長軸方向中央部104と反射電極320とが重ならず、且つ、発光層からの光が反射電極320と隔壁350との隙間から基板の下面側へ向けて出射されるように、略H形の反射電極320を形成する点である。さらに、反射電極320を形成する際に、反射電極320の側面322が基板の上面と略垂直となるよう金属薄膜をパターニングする点である。
<その他>
以上、本発明の一態様に係る発光素子の製造方法、発光素子および表示パネルを第1〜第3の実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明の内容は、上記の第1〜第3の実施形態に限定されない。例えば、第1および第2の実施形態において、正孔注入層140,240を隔壁150,250の下に形成した構成で説明したが、当該構成で限定されることはない。例えば、正孔注入層を発光層と同様に、塗布法によって、隔壁の開口内に形成しても良い。
さらに、上記の第1〜第3の実施形態の部分的な構成を適宜組み合わせてなる発光素子の製造方法、発光素子および表示パネルであっても良い。
本発明は、例えば携帯電話用のディスプレイやテレビ等の表示素子、各種光源等に使用される発光素子の製造方法として利用可能である。
10 表示パネル。
100,200,300 発光素子
101,201 下地層
102,202,302 開口
103 長軸方向両端部
104 長軸方向中央部
110,210 基板
111,211 上面
120,220,320 反射電極
121,221,321 上面
122,222,322 側面
130,230,330 透明電極
150,250,350 隔壁
155,255,355 傾斜部
160,260 機能層(発光層)

Claims (10)

  1. 基板上に、反射電極を含む下地層を形成する下地層形成工程と、
    長軸と短軸とを有する形状の開口が前記反射電極上方の対応位置に設けられ、且つ、前記開口を囲繞する傾斜部を有する、撥液性の隔壁を、前記下地層上に形成する隔壁形成工程と、
    前記隔壁の上方から前記隔壁へ向けて、前記隔壁を透過し且つ前記反射電極の上面で上方に向け反射される特性のエネルギー線を照射し、前記隔壁の撥液性を低下させるエネルギー線照射工程と、
    前記開口内であって前記下地層上に機能層を形成する機能層形成工程と、を含み、
    前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が前記反射電極の上面と重なり、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重ならない位置に隔壁を形成する
    発光素子の製造方法。
  2. 前記下地層形成工程では、前記反射電極の上面と連続する側面が傾斜面となるように前記反射電極を形成し、
    前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の側面と重なる位置に隔壁を形成する
    請求項1記載の発光素子の製造方法。
  3. 前記下地層形成工程では、前記反射電極の側面が前記基板の上面に対して20°以上70°以下の傾斜角となるように前記反射電極を形成する
    請求項2に記載の発光素子の製造方法。
  4. 前記隔壁形成工程では、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が、前記反射電極の上面およびその上面と連続する側面のいずれとも重ならない位置に隔壁を形成する
    請求項1に記載の発光素子の製造方法。
  5. 前記下地層形成工程では、前記反射電極の側面が前記基板の上面に対して略垂直となるように前記反射電極を形成する
    請求項4に記載の発光素子の製造方法。
  6. 前記下地層形成工程では、前記開口の下側の全体を覆うように透明電極を形成する
    請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子の製造方法。
  7. 基板と、
    反射電極を含み前記基板上に形成された下地層と、
    長軸と短軸とを有する形状の開口が前記反射電極上方の対応位置に設けられ、前記開口を囲繞する傾斜部を有し、前記下地層上に形成された撥液性の隔壁と、
    前記開口内であって前記下地層上に形成された機能層と、を有し、
    前記隔壁は、平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向両端部が前記反射電極の上面と重なっており、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の上面とは重なっていない
    発光素子。
  8. 前記反射電極は、前記上面と連続する側面が傾斜面であって、
    平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極の傾斜面と重なっている
    請求項7に記載の発光素子。
  9. 平面視において、前記隔壁の傾斜部における長軸方向中央部が前記反射電極と重なっていない
    請求項7に記載の発光素子。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の発光素子を複数備える
    表示パネル。
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