JPWO2013179548A1 - マグネトロンスパッタ装置、マグネトロンスパッタ方法及び記憶媒体 - Google Patents

マグネトロンスパッタ装置、マグネトロンスパッタ方法及び記憶媒体 Download PDF

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Abstract

マグネトロンスパッタにより基板の面内に均一性高く成膜を行うことができる技術を提供すること。真空容器内の載置部に載置された基板に向くように配置されたターゲットと、このターゲットの背面側に設けられ、マグネットを配列してなるマグネット配列体と、を備えたマグネトロンスパッタ装置において、前記真空容器内にプラズマ発生用のガスを供給するためのガス供給部と、前記載置部を回転させるための回転機構と、前記ターゲットに電圧を印加する電源部と、前記マグネット配列体を、第1の領域とこの第1の領域よりもターゲットの外縁部側に寄った第2の領域との間で移動させるための移動機構と、前記マグネット配列体の平均移動速度が前記第1の領域と第2の領域との間で異なるように制御信号を出力する制御部と、を備えるように装置を構成する。

Description

本発明は、基板に成膜を行うマグネトロンスパッタ装置、マグネトロンスパッタ方法及び当該方法を実行するプログラムを含む記憶媒体に関する。
半導体デバイスの金属薄膜を成膜する装置の一つであるマグネトロンスパッタ装置は、基板の上方に設けられた金属からなるターゲットとこのターゲットの背面側に配置されたマグネットとを備えている。ターゲットの下面近傍には、マグネットからの漏洩磁場により、ターゲットの下面に水平な磁場が形成される。そしてターゲットに例えば負の電位の直流電力あるいは高周波電力を供すると、真空容器内に導入されたアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスが電界により加速された電子と衝突し電離する。電離によって生じた電子は、前記磁場と電界とによりドリフトし、高密度なプラズマを発生させ、このプラズマ中のアルゴンイオンがターゲットをスパッタして金属粒子を叩き出す。
ターゲットは、装置に応じて基板に対して平行に配置される場合や、特開2009−1912公報に示されるように斜めに配置される場合がある。マグネットは、ターゲットの面全体をエロージョンするために例えば特開2002−136189公報に記載されているように自転したり、あるいは特開2002−220663公報に記載されているように公転するものが知られている。またターゲットからのスパッタ粒子の放出角度の分布はターゲットの材料ごとに異なることから、一般的に上記のマグネトロンスパッタ装置は、ターゲットに対してステージを昇降させる高さ調整機構を備えている。ターゲットの材料に応じてステージの高さの調整を行うことで、膜厚分布の均一性の低下を防ぐことができる。前記高さ調整機構はベローズを含み、このベローズによって真空容器と当該ステージとの間の気密を維持している。
しかしステージの上下の可動距離は、前記ベローズの伸縮可能な範囲など、装置の構成部品による要因で制限されてしまうので、必ずしも適切な位置にステージを配置できるとは限らない。ステージの上下の可動範囲を大きくするように装置を構成することで対処することが考えられるが、前記高さ調整機構の製造コストが上がってしまうし、真空容器の高さが大きくなることにより装置が大型化してしまう問題がある。一方、成膜時の圧力(プロセス圧力)を調整することで膜厚分布を調整することができるが、圧力の調整では解決できない場合がある。即ち、デバイスの種別に応じて、成膜対象である薄膜に対して適切な膜質、応力あるいは膜特性などが要求されることがあるが、これらの因子はプロセス圧力により変わることがあるので、膜厚分布に着目したプロセス圧力と前記因子に着目したプロセス圧力とが異なる場合には、トレードオフになってしまう。
こうした問題が懸念される半導体デバイスの一例として、従来のRAMの課題を解決できる記憶素子として期待されているMRAM(Magnetic Random Access Memory)が挙げられる。このMRAMは、絶縁膜を強磁性体である磁性体膜で挟み込み、磁性体膜の磁化の方向が同じであるか逆方向であるかによって素子の抵抗値が変化するTMR(トンネル磁気抵抗)素子を利用した記憶素子であり、磁性体膜に対して適切な磁気特性が要求されている。
磁性体膜の磁気特性はプロセス圧力に従って変化するため、磁性体膜に対して所望の磁気特性が得られる圧力範囲と膜厚の均一性を確保するための圧力範囲とが異なる場合には、プロセス圧力の調整だけでは対応できない。膜厚分布は既述のように前記ステージの高さである程度調整できるが、装置構成の観点から高さ調整可能な範囲が制限される場合には、適切な位置にステージを配置できないことがあるし、仮に広範囲で高さ調整ができたとしても高さ調整だけでは膜厚の均一性が不十分な可能性がある。
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、マグネトロンスパッタにより基板の面内に均一性高く成膜を行うことができる技術を提供することである。
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、真空容器内の載置部に載置された基板に向くように配置されたターゲットと、このターゲットの背面側に設けられ、マグネットを配列してなるマグネット配列体と、を備えたマグネトロンスパッタ装置において、
前記真空容器内にプラズマ発生用のガスを供給するためのガス供給部と、
前記載置部を回転させるための回転機構と、
前記ターゲットに電圧を印加する電源部と、
前記マグネット配列体を、第1の領域とこの第1の領域よりもターゲットの外縁部側の第2の領域との間で移動させるための移動機構と、
前記マグネット配列体の平均移動速度が前記第1の領域と第2の領域との間で異なるように制御信号を出力する制御部と、を備え、
前記マグネット配列体の配列領域全体の面積は、ターゲットの面積の2/3以下であることを特徴とする。
本発明の具体的な態様としては例えば下記の通りである。
(a)前記移動機構は、前記マグネット配列体を前記ターゲットの中心部に対して対称に移動させる。
(b)前記第1の領域におけるマグネット配列体の平均移動速度は、前記第2の領域におけるマグネット配列体の平均移動速度よりも速い。
(c)前記移動機構は、マグネット配列体を往復運動させるように構成されている。
(d)前記移動機構は、マグネット配列体を周回運動させるように構成されている。
(e)前記制御部は、前記マグネット配列体の移動パターンと処理種別とを対応付けて記憶する記憶部を備え、処理種別に対応する移動パターンに基づいてマグネット配列体を移動させるように制御信号を出力するものである。
本発明によれば、マグネット配列体を、第1の領域とこの第1の領域よりもターゲットの外縁部側に寄った第2の領域との間で移動させ、マグネット配列体の平均移動速度が前記第1の領域と第2の領域との間で異なる。それによって、回転する基板に均一性高く成膜処理を行うことができる。
本発明に係るマグネトロンスパッタ装置の縦断面図である。 前記スパッタ装置に設けられるマグネット配列体、ターゲット及びステージの斜視図である。 前記マグネット配列体の下面図である。 他のマグネット配列体の下面図である。 前記ターゲット及び前記マグネット配列体の寸法を示す平面図である。 前記スパッタ装置に設けられる制御部の構成図である。 前記マグネット配列体の移動パターンを示すグラフ図である。 前記マグネット配列体の他の移動パターンを示すグラフ図である。 スパッタにより成膜が行われる様子を示す説明図である。 スパッタにより成膜が行われる様子を示す説明図である。 スパッタにより成膜が行われる様子を示す説明図である。 マグネット配列体の他の移動パターンを示す平面図である。 前記移動パターンを示す平面図である。 前記移動パターンを示す平面図である。 マグネット配列体、ターゲット及びステージの構成の他の例を示す斜視図である。 シミュレーションにより得られた膜厚分布を示すグラフ図である。 実施例におけるマグネット配列体の移動パターンを示すグラフ図である。 シート抵抗分布を示すグラフ図である。 実施例におけるマグネット配列体の移動パターンを示すグラフ図である。 膜厚分布を示すグラフ図である。 シート抵抗分布を示すグラフ図である。
本発明の一実施の形態に係るマグネトロンスパッタ装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は前記マグネトロンスパッタ装置1の縦断側面図である。図中11は例えばアルミニウム(Al)により構成され、接地された真空容器である。図中12は真空容器11の側壁に開口された基板であるウエハWの搬送口であり、開閉機構13により開閉される。
真空容器11内には載置部である円形のステージ21が設けられ、ウエハWが当該ステージ21の表面に水平に載置される。ステージ21の裏面中央部には垂直方向に伸びる軸部22の一端が接続されている。軸部22の他端は真空容器11の底部に設けられる開口部14を介して真空容器11の外部へ延出され、回転機構23に接続されている。この回転機構23により軸部22を介してステージ21が鉛直軸回りに回転自在に構成される。軸部22の周囲には、真空容器11の外側から前記真空容器11と軸部22との隙間を塞ぐように筒状の回転シール24が設けられている。図中25は回転シールに設けられるベアリングである。
ステージ21の内部には図示しないヒータが設けられ、成膜処理時においてウエハWが所定の温度に加熱される。また、このステージ21には当該ステージ21と真空容器11の外部の搬送機構(図示せず)との間でウエハWを受け渡すための突出ピン(図示せず)が設けられている。
真空容器11の下方には排気口31が開口している。この排気口31には排気管32の一端が接続され、排気管32の他端は排気ポンプ33に接続されている。図中34は排気管32に介設された排気量調整機構であり、真空容器11内の圧力を調整する役割を有する。真空容器11の側壁の上部側には、プラズマ発生用のガス供給部であるガスノズル35が設けられており、ガスノズル35は、例えばArなどの不活性ガスが貯留されたガス供給源36に接続されている。図中37は、マスフローコントローラからなる流量調整部であり、ガス供給源36からガスノズル35へのArガスの供給量を制御する。
真空容器11の天井には矩形状の開口部41が形成されており、真空容器11の内部側の前記開口部41の縁部には、この縁部に沿って絶縁部材42が設けられている。この絶縁部材42に沿って保持部43が設けられている。この保持部43の内周において、前記開口部41を塞ぐように平面視矩形状のターゲット電極44が、当該保持部43に保持されている。前記絶縁部材42により、ターゲット電極44は真空容器11から絶縁されている。ターゲット電極44は、処理に応じて交換自在に構成される。
このターゲット電極44は、例えばCuやFeからなる導電性の長方形状のベース板45と、成膜材料をなすターゲット46とからなる。ターゲット46は例えばMRAMの素子を構成するためのCo−Fe−B(コバルト−鉄−ホウ素)合金、Co−Fe合金、Fe、Ta(タンタル)、Ru、Mg、IrMn、PtMnなどのいずれかの材質により構成されており、ベース板45の下方側に積層されて設けられている。また、この例ではターゲット電極44には電源部47により負の直流電圧が印加されるが、直流電圧に代わり交流電圧を印加してもよい。
図2はターゲット電極44の斜視図である。この例では、ターゲット電極44は、短辺が水平となるように、また長辺のウエハW側の端部が他方の端部よりも高くなるようにステージ21上のウエハWに対して斜めに配置されている。ターゲット46の中心は、前記ウエハWの中心よりも外側に位置している。
このようにターゲット46を斜めに、且つウエハWに対して横方向にずらして配置するのは、スパッタ粒子をウエハW上に均一性高く堆積させるためである。ターゲット46が合金の場合には、ウエハW上に成膜された膜の合金組成の均一性を高くすることができる。ターゲット46からのスパッタ粒子は余弦則に従って放出される。つまり、スパッタ粒子が射出されるターゲット46の面の法線に対する、スパッタ粒子が射出する方向の角度の余弦値に比例した量のスパッタ粒子が射出される。ターゲット46を水平に配置したり、ウエハWの上部に配置する場合よりもターゲット46の面積を抑えながら、ターゲット46の面内においてウエハWへスパッタ粒子を放射可能な領域を向上させることができる。ただし本発明を実施するにあたり、ターゲット46を水平に配置したり、ウエハWに重なるように当該ウエハWの上部に配置してもよい。
図1中でウエハWの法線(厚さ方向の線)とターゲット46の中心軸線とのなす角θ1は例えば0度〜45度に設定される。このターゲット46の中心と、前記ステージ21上のウエハWの中心との横方向の距離L1(オフセット距離とする)は例えば150mm〜350mmに設定される。ステージ21に載置されるウエハWからターゲット電極44の中心までの距離をTS距離L2とすると、このTS距離L2は例えば150mm〜350mmに設定される。
続いて、ターゲット電極44上に設けられるマグネット配列体51について説明する。説明するにあたり、前記ターゲット46の長さ方向をX方向、ターゲット46の幅方向をY方向とする。マグネット配列体51はターゲット46に並行な矩形の支持板52と、磁気回路を構成する複数のマグネット53とを備えている。支持板52の下面に前記マグネット53の一端が支持され、その他端がターゲット電極44に近接している。図3は支持板52の下面を示している。支持板52の四辺に沿って伸びる4つのマグネット53が支持板52の中央部を囲うように配列されている。そして、この4つのマグネット53から離間して、支持板52の中央部をY方向に伸びるように1つのマグネット53が設けられている。前記四辺に沿って設けられるマグネット53のターゲット46側の極性と、前記中央部に設けられるマグネット53のターゲット46側の極性とは互いに異なっている。このようにマグネット53が配置されることにより形成される磁力線を、図中に曲線の矢印で模式的に示している。図3のマグネットの構成は一例であり、この構成に限られるものではない。図4では、他のマグネット53の構成例を示している。図3の構成との差異点を説明すると、図4の構成ではマグネット53に比べてY方向の長さが短いマグネット50を当該Y方向に多数配置していることである。また他の差異点は、そのようにY方向に多数配置されたマグネット50からなるマグネット群と、X方向に伸びるマグネット53とが離間していることである。
図1に示すように支持板52の上部にはブラケット54が設けられ、移動機構55に接続されている。移動機構55は例えば前記X方向に伸びるボールネジ56と、このボールネジ56を軸回りに回転させるモータ57とにより構成される。ボールネジ56はブラケット54に螺合し、モータ57が正回転及び逆回転することにより、マグネット配列体51がX方向に沿って、ターゲット46の一端部側(上端部側)と他端部側(下端部側)との間で往復移動し、ターゲット46の面内のスパッタ量の分布を制御できるように構成されている。また、ターゲット46の局所的なスパッタを抑えるために、ターゲット46の中心からターゲット46の一端部側、他端部側を見たときに、マグネット配列体51が描く軌跡は互いに対称になるように当該マグネット配列体51が移動する。つまり、マグネット配列体51はターゲット46の中心部から、一端部側、他端部側へ夫々等距離移動する。
図5はターゲット46と、支持板52におけるマグネット53の配列領域58とを示す平面図である。ターゲット46のX方向の長さをM1、配列領域58のX方向の長さをM2とすると、前記往復移動を行うために、M2/M1は例えば2/3以下に設定される。また、ターゲット46の面積をM3、配列領域58の面積をM4とするとM4/M3は2/3以下に設定される。
このマグネトロンスパッタ装置1は制御部6を備えている。図6に制御部6の構成を示しており、制御部6はプログラム61と、前記プログラム61の命令を実行するためのCPU62と、メモリ63と、入力部64とを備えている。図中65はバスである。プログラム61は、電源部47からターゲット電極44への電力供給動作、流量調整部37によるArガスの流量調整、駆動機構54によるマグネット配列体51の移動、排気量調整機構34による真空容器11内の圧力調整、回転機構23によるステージ21の回転などを制御する。それによって後述のようにウエハWに処理が行えるようにステップ群が組まれている。このプログラム61は、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
メモリ63には、ターゲット46の材質と、成膜処理時における真空容器11内の圧力と、マグネット配列体51の移動パターンの種類と、処理レシピの番号とが互いに対応付けられて記憶されている。前記移動パターンについては後述する。入力部64は、例えばマウス、キーボード、タッチパネルなどにより構成され、装置1のユーザはこの入力部64から前記処理レシピの番号を選択する。前記番号を選択することにより、ウエハWの処理時において真空容器11内がこの処理レシピに対応する圧力になるように排気量調整機構34の動作が制御される。そして、この処理レシピに対応する移動パターンでマグネット配列体51が動作するようにモータ57に制御信号が送信される。上記したように各成膜材料について、処理時の真空容器11内の圧力によって形成される膜の応力や磁気特性が決定されるので、ユーザは所望の応力及び磁気特性が得られる圧力となる処理レシピの番号を選択する。この処理レシピの設定は例えばウエハWのロットごとに行うことができ、ロットと選択した処理レシピとが対応付けられてメモリ63に記憶される。
続いてマグネット配列体51の移動パターンについて説明する。上記のようにマグネット配列体51はターゲット46の長さ方向に沿って往復移動するが、この例ではターゲット46の各部における平均移動速度が互いに異なる移動パターンAまたは移動パターンBで移動する。マグネット配列体51がターゲット46上を一往復するとき、即ちターゲット46の一端部側から他端部側へ向かい、他端部側から一端部側へ戻るときの移動パターンのグラフを図7、8に示す。図7のグラフが移動パターンAの動作、図8のグラフが移動パターンBの動作を夫々示している。各グラフの縦軸はマグネット配列体51の移動速度、横軸は時間を夫々示している。マグネット配列体51が一端部側から他端部側へ向かうときの速度を正で示しており、他端部側から一端部側へ向かうときの速度をグラフでは便宜上、負で示している。移動パターンA、B共に、移動速度が0であるときはマグネット配列体51がターゲット46の一端部上または他端部上に位置している。
移動パターンAはグラフの波形が正弦波状になっている。移動パターンBは、ターゲット46上を一端部側から他端部側及び他端部側から一端部側に向かうときに移動速度の絶対値が上昇後、下降するまでの間に当該速度の絶対値が一定になる時間がある。この一定になったときの速度が移動パターンBにおける最大速度であり、図8のグラフ中に点線で示す移動パターンAの最大速度よりも遅い。これら移動パターンA、Bでは、マグネット配列体51がターゲット46の両端部(第2の領域)を通過するときの平均移動速度よりも、マグネット配列体51がターゲット46の中央部(第1の領域)を通過するときの平均移動速度の方が速い。
マグネット配列体51の平均移動速度と、ターゲット46から飛散するスパッタ粒子との関係を説明する。ターゲット46において磁場強度が強い個所においてはプラズマ密度が高くなり、当該箇所のスパッタリングレートが上がる。言い換えれば、ターゲット46においてマグネット配列体51が滞在している箇所からスパッタ粒子が多く放出される。また、ターゲット46においてマグネット配列体51が滞在する時間が長い箇所については、プラズマの滞在時間が長くなるので、スパッタ粒子の放出量が多くなる。つまり、ターゲット46の面内においてマグネット配列体51の平均移動速度が遅い箇所ほど、当該箇所におけるスパッタリングレートが大きい。それとは逆にマグネット配列体51の平均移動速度が速い箇所ほど、当該箇所におけるスパッタリングレートが小さい。
本発明は、マグネット配列体の平均移動速度が第1の領域と、第1の領域よりもターゲット46の外縁部側の第2の領域との間で異なることを要件とするが、これは前記マグネット配列体51の前記第1の領域における滞在時間が第2の領域における滞在時間と異なるということである。そして、前記第1の領域におけるマグネット配列体51の平均移動速度が、前記第2の領域におけるマグネット配列体51の平均移動速度よりも速いことは、前記第1の領域におけるマグネット配列体の滞在時間が、前記第2の領域におけるマグネット配列体51の滞在時間よりも短いことである。
移動パターンAについて、ターゲット46がスパッタされる様子を模式的に図9、10、11に夫々示した。これら、図9、10、11は図7のグラフ中における区間t1、t2、t3のマグネット配列体51を示しており、これら各区間で、マグネット配列体51は、ターゲット46の一端部上、中央部上、他端部上を夫々移動している。各区間t1〜t3の大きさは互いに等しい。図9、10、11では矢印の本数が多いほど、ターゲット46のスパッタリングレートが大きいことを示している。上記のようにマグネット配列体51の平均移動速度の違いにより、ターゲット46の中央部のスパッタリングレートが、一端部及び他端部のスパッタリングレートに比べて小さい。
移動パターンBについては、移動パターンAよりもターゲット46の中央部におけるマグネット配列体51の平均移動速度が遅いため、移動パターンAよりも前記中央部のスパッタリングレートが大きくなる。後述のシミュレーションで示すように移動パターンA,Bを選択することにより、ウエハWの膜厚分布を制御することができる。
真空容器11内の圧力及びターゲット46の材質によって、ターゲット46から放出されたスパッタ粒子の飛散する方向が変化する。従って、マグネット配列体51を処理レシピごとに同じ移動パターンで移動させる場合には膜厚分布にばらつきが生じる。この圧力やターゲット46の材質に起因する膜厚分布のばらつきが均されて均一性高い膜厚分布が得られるように、各処理レシピにおいて移動パターンA、Bいずれのパターンで処理を行うかが予め設定され、前記メモリ63に記憶されている。
続いて、上述のマグネトロンスパッタ装置1の作用について説明する。装置1のユーザは、真空容器11内に配置されたターゲット46の材質と、成膜処理時の所望の圧力とに応じて、装置1に搬入されるウエハWのロットごとに処理レシピを決定し、入力部64から決定した処理レシピの番号をロットごとに入力する。その後、真空容器11の搬送口12を開き、図示しない外部の搬送機構及び突き上げピンの協働作業により、ステージ21にウエハWを受け渡す。次いで、搬送口12が閉じられ、真空容器11内にArガスが供給されると共に、排気量調整機構34により排気量が制御され、真空容器11内が前記ウエハWの処理レシピの圧力に維持される。
そして、ステージ21が鉛直軸回りに回転すると共に移動機構55によりマグネット53が、決定された処理レシピの移動パターンでターゲット46上を、その長さ方向に沿って往復移動する。そして、電源部47からターゲット電極44に負の直流電圧が印加されて、ターゲット電極44の周囲に電界が生じ、この電界により加速された電子がArガスに衝突することによりArガスが電離する。Arガスが電離することにより新たな電子が発生する。その一方で、マグネット53によって、当該マグネット53が位置するターゲット46の表面に沿って磁場が形成される。
そして、ターゲット46近傍の電界と前記磁場によって前記電子は加速され、ドリフトする。そして、加速によって十分なエネルギーを持った電子が、さらにArガスと衝突し、電離を起こしてプラズマを形成し、プラズマ中のArイオンがターゲット46をスパッタする。また、このスパッタにより生成された二次電子は前記水平磁場に捕捉されて再び電離に寄与し、こうして電子密度が高くなり、プラズマが高密度化される。このときマグネット配列体51がターゲット46の背面を設定した移動パターンAまたはBで移動している。上記のように移動パターンBの場合、マグネット配列体51は、ターゲット46の長さ方向において中央部の平均移動速度が移動パターンAよりも遅いので、中心部でのプラズマの滞在時間が長くなり、スパッタリングレートが高くなる。
このようにターゲット46の面内でスパッタリングレートの勾配を変更することによりに、ウエハWの周方向に入射されるスパッタ粒子の量を調整でき、ウエハWが回転することにより、スパッタ粒子の入射する位置が当該ウエハWの周方向にずれ、ウエハWに均一性高く成膜が行われる。
電源部47の電源がオンになってから所定の時間経過すると、この電源がオフになりプラズマの発生が停止し、Arガスの供給が停止し、真空容器11内が所定の排気量で排気され、ウエハWが搬入時とは逆の動作で真空容器11内から搬出される。そして、後続のウエハWが先のウエハWと同様に処理される。そして、スパッタ装置1に搬送されるウエハWのロットが変わると、そのロットについて設定された移動パターンでマグネット配列体51が移動する。またターゲット電極44を交換し、ターゲット46の材質が変更された場合には、ユーザはこの変更されたターゲット46及び圧力に従って処理レシピを選択し、処理を行う。
このマグネトロンスパッタ装置1によれば、成膜処理中にマグネット配列体51が、回転するステージ21に対して斜めに設けられたターゲット46上を、平均移動速度を変えながら当該ターゲット46の一端部側と他端部側との間で往復移動する。これによって、ターゲット46のスパッタ量の分布を制御し、ウエハWの面内に均一性高い成膜処理を行うことができる。また、成膜処理時の圧力及びターゲット46の材質に従って、マグネット配列体51の移動パターンが決定される。それによってウエハWの面内に、より均一性高い膜厚形成を行うことができる。
例えば前記回転機構23に前記TS距離L2を調整できるようにステージ21の昇降機構を設けて、処理レシピに応じて前記TS距離を変更して膜厚の分布を制御し、ウエハW面内における膜厚の均一性をより高めてもよい。このように昇降機構を設ける場合、上記のようにマグネット配列体51の移動により膜厚分布を制御できるので、昇降に必要な可動距離が長くなることを防ぐことができる。従って、このように昇降機構を設ける場合も設けない場合も、装置の製造コストを抑えると共に装置の大型化を防ぐことができる。
上記の例ではターゲット46の両端部のスパッタリングレートが、中央部のスパッタリングレートよりも大きいが、このように制御することには限られない。例えばマグネット配列体51のターゲットの中央部の平均移動速度を両端部の平均移動速度よりも遅くして、前記両端部のスパッタリングレートが、中央部のスパッタリングレートよりも小さくなるようにしてもよい。そのために、ターゲット46の一端部及び他端部のうち一方から他方へマグネット配列体51が移動するときに、例えばターゲット46の中央部で一旦マグネット配列体51を停止させてもよい。
移動機構55によるマグネット配列体51の移動パターンとしては上記の往復移動に限られない。例えば図12、図13及び図14はその他の移動パターンを示している。この例では、図中鎖線の矢印でその軌跡を示すようにマグネット配列体51が、平面視ターゲット46の辺に沿って周回運動する。このように周回運動する場合も、往復運動する場合と同様に、図7、8に示した移動パターンに従ってマグネット配列体51が動作する。つまり、マグネット配列体51がターゲット46の両端部を移動するときの平均移動速度が、中央部を移動するときの平均移動速度よりも速い。図12、図13及び図14は、マグネット配列体51が移動パターンAで移動するときの前記区間t1,t2、t3内における所定の時刻のマグネット配列体51の位置を示している。なお、このようにマグネット配列体51を周回させる場合も、ターゲット46の両端部を移動するときの平均移動速度が、中央部を移動するときの平均移動速度よりも遅くなるようにすることができる。
ところで、ターゲット46の形状としては矩形に限られず、楕円形や長円形であってもよいし、四角形以外の多角形であってもよい。また、移動パターンとしても2種類に限られない。例えば移動パターンBよりもさらにターゲットの中央部を移動するときの速度が遅い移動パターンCを用意し、移動パターンABCの中から実施するパターンを、処理レシピに応じて選択してもよい。また、上記の例では処理レシピにおける処理パラメータである圧力と、ターゲット46の材質とによって移動パターンを変更しているが、ターゲット46から放出されるスパッタ粒子の角度は、処理パラメータであるターゲット46への印加電圧によっても変化する。従って、この処理パラメータによって移動パターンを変更するようにしてもよい。
ところで、上記の例ではターゲット46の中央部から見て、ターゲット46の一端部側、他端部側に対称となるようにマグネット配列体51を移動させている。それによって一端部側、他端部側のスパッタ量を均一にし、エロージョンの偏りを防ぐと共にウエハWの面内で膜厚分布の均一性が高くなるように成膜を行っているが、このような技術的な思想を逸脱しない限り本発明の権利範囲に含まれる。例えばマグネット配列体51を往復移動させる場合、ターゲット46の中央部から見てマグネット配列体51の一端部側への移動距離、他端部側への移動距離が互いに数mm程度異なっていてもこの技術的思想を逸脱するものではなく、対称に移動させることに含まれる。
また、例えばマグネット配列体51を往復移動させるにあたり、ターゲット46の中央部から見てマグネット配列体51を一端部側に50mm、他端部側に40mm移動させた後、続いて一端部側に40mm、他端部側に50mm移動させる。このような移動が繰り返し行われる。この移動パターンの場合、マグネット配列体51がターゲット46の中央部→一端部側→他端部側→中央部側の経路で移動する動作を一往復移動とすると、n(nは整数)回目の往復移動だけを見ればマグネット配列体51は対称に移動していない。このため一端部側と他端部側とでスパッタ量に偏差ができるが、n+1回目の往復移動でこの偏差がキャンセルされる。つまり、長期的に見ればマグネット配列体51は、一端部側、他端部側へ同じ軌跡で対称に移動している。このような移動パターンとした場合も本発明の権利範囲に含まれる。またマグネット配列体51は一端部側に50mm、他端部側に50mm移動した後、続いて一端部側に40mm、他端部側に40mm移動し、このような移動が繰り返し行われる構成であってもよい。この移動パターンの場合にもマグネット配列体51は、一端部側、他端部側へ同じ軌跡で対称に移動することとなるため、同様な効果が得られる。
また他の実施の形態として、ターゲット80上をマグネット配列体81が水平方向に移動するように構成してもよい。図15はこのような実施の形態を示しており、この例ではターゲット80は、ウエハWの上方にて、長辺が水平となるように配置され、その短辺はウエハWの中央側の端部が外側の端部よりも高くなるように傾斜して配置されている。そしてターゲット80は、中心部における法線(ターゲット80の下面と直交する線)が、ウエハWの下方側にてウエハWの中心線と交差するように位置している。またマグネット配列体81は、図1〜図3に示したマグネット配列体51と同じ構造であり、支持板82の下面に前記マグネット83の一端が支持板82に支持され、その他端がターゲット80に近接している。従って図1及び図2に示したマグネトロンスパッタ装置1のターゲット46及びマグネット配列体51をターゲット46の中心を通る法線を中心に90度回転させた配置となる。また移動機構は、図では省略しているが、例えば図15中のターゲット80の長さ方向(Y方向)に伸びるボールねじとモータとにより構成され、マグネット配列体81が、ターゲット80の長さ方向一端部側から他端部側との間を移動できるように構成されている。従ってマグネット配列体81はターゲット80に対して、平行な姿勢でY方向に水平移動できることになる。
図15に示す実施の形態におけるマグネット配列体81の移動パターンは、図1に示した実施の形態における移動パターンを適用することができ、この場合図7及び図8に示す移動パターンの縦軸の+側及び−側が、夫々図15に示すY方向への一端部側及び他端部側と置き換えられる。即ち図12に示す実施の形態におけるマグネット配列体81は、ターゲット80における水平方向の一端部側及び他端部側との間を例えば既述の移動パターンAあるいはBに従って移動することになる。
[実施例]
本発明を評価するためにマグネット配列体の移動パターンを設定し、成膜を行ったときのウエハWに形成される膜の膜厚分布をシミュレーション(実施例1)及び確認試験(実施例2〜4)により求めた。シミュレーション及び確認試験では、図15に示す装置を想定、あるいは使用し、前記角度θ1、オフセット距離L1、TS距離L2の値については、最初の実施形態に記載した具体例の範囲から選択した。
(実施例1)
図7及び図8に示した移動パターンA、Bで夫々成膜を行った場合のシミュレーションを行った。図16のグラフは、夫々の移動パターンで成膜処理を行った時のウエハWの膜厚分布を示し、点線のグラフが移動パターンAで処理を行ったときの膜厚分布を、実線のグラフが移動パターンBで処理を行ったときの膜厚分布を夫々示している。グラフの縦軸は所定の膜厚の値を1として規格化したものであり、横軸がウエハWの中心からの距離を示している。移動パターンAで膜厚分布シミュレーションを行った結果、膜厚分布(膜厚の最大値と最小値の差/平均膜厚)が7.1%であったのに対し、移動パターンBでは2.3%となった。
グラフに示すように移動パターンBで成膜した場合、移動パターンAで成膜した場合に比べてウエハWの中央部付近での膜厚が大きい。これはターゲット80の中央部でのマグネット配列体81の平均移動速度が遅いため、当該中央部のスパッタレートが高くなり、ウエハW中心付近に堆積されるスパッタ粒子の量が増加したためである。このシミュレーションにより、マグネット配列体81の移動パターンを変更することで膜厚分布が変更されることが示された。
(実施例2)
移動パターンBのように、ある時間帯を定速度で移動するように設定した移動パターンにおいて、加減速を行う時間と、定速度移動時の設定速度との2つのパラメータを変更したときのウエハWに形成される膜の膜厚分布を確認した。なおターゲット80の材料には、Taを用いた。
図17は、マグネット配列体81の移動パターンP1〜P3を示すグラフであり、グラフの縦軸はマグネット配列体81の移動速度、横軸は時間を夫々示している。夫々の移動パターンに加減速時間と定速度とが割り当てられている。
移動パターンP1:加減速時間249m秒、定速度112mm/秒
移動パターンP2:加減速時間99m秒、定速度103mm/秒
移動パターンP3:加減速時間369m秒、定速度120mm/秒
図18のグラフは、移動パターンP1〜P3を適用して、夫々成膜を行ったときのウエハWに形成された膜のシート抵抗分布を示している。グラフの縦軸は所定のシート膜厚の値を1として規格化したものであり、横軸がウエハWの中心からの距離を示している。なお、移動パターンP1〜P3で成膜を行った結果のシート抵抗分布(シート抵抗の最大値と最小値の差/平均シート抵抗)は、移動パターンP1では、2.8%、移動パターンP2では、3.5%、移動パターンP3では2.0%となった。
図18のグラフに示すようにウエハWの中央部付近でのシート抵抗は、移動パターンP3で成膜した場合が最もが大きく、移動パターンP2で成膜した場合が最も小さくなっていた。この実験結果により、マグネット配列体81の移動パターンの加減速を行う時間や定速度移動時の設定速度を調整することで、シート抵抗の分布が変更されることが示された。
(実施例3)
ターゲット80となる材料を変更した場合においても、移動パターンを調整することにより良好な膜厚分布が得られることの確認試験を行った。実施例3−1は、ターゲット80の材料としてTaを用い、移動パターンP1により成膜処理を行った。実施例3−2は、ターゲット80の材料として70CoFeを用い、移動パターンP4(加減速時間759m秒、定速度120mm/秒)により成膜処理を行った。図19は、マグネット配列体81の移動パターンP1、P4を示すグラフであり、グラフの縦軸はマグネット配列体81の移動速度、横軸は時間を夫々示している。夫々の移動パターンに加減速時間と定速度とが割り当てられている。
図20のグラフは、実施例3−1及び3−2によって夫々成膜処理を行ったときのウエハWに形成された膜の膜厚分布を示している。グラフの縦軸は所定の膜厚の値を1として規格化したものであり、横軸がウエハWの中心からの距離を示している。実施例3−1、3−2共に均一性の高い平坦な膜が成膜されており、膜厚分布(膜厚の最大値と最小値の差/平均膜厚)は、実施例3−1では、1.9%、実施例3−2では、1.6%と低くなっていた。この実験結果により、ターゲット80の材料を変更した場合においても、マグネット配列体81の移動パターンを調整することで、均一な膜厚に成膜されることが示された。
(実施例4)
マグネット配列体81を往復移動させるにあたり、ターゲット80の中央部から見てマグネット配列体81を例えば、一端部側にαmm、他端部側にαmm移動させた後、続いて一端部側にαと異なるβmm、他端部側にβmm移動させるパターンを1サイクルとする。このようなサイクルが繰り返し行われたときに成膜される膜についての確認試験を行った。実施例4では、マグネット配列体81をターゲット80の一端部側に98mm、他端部側に98mm移動させた後、続いて一端部側に88mm、他端部側に88mm移動させ、このサイクルを繰り返し行った。またマグネット配列体81をターゲット80の両端部側に98mm均等に移動を繰り返して成膜を行った場合を比較例4とする。なおターゲット80の材料としては、PtMnを用いた。
図21のグラフは、実施例4及び比較例4において、夫々成膜処理を行ったときのウエハWに形成された膜のシート抵抗分布を示している。グラフの縦軸は所定のシート抵抗の値を1として規格化したものであり、横軸がウエハWの中心からの距離を示している。実施例4、比較例4共に平坦な膜が成膜されて略同様のシート抵抗のプロファイルが得られた。またシート抵抗分布(シート抵抗の最大値と最小値の差/平均シート抵抗)も、実施例4、比較例4共に2.0%であった。

Claims (10)

  1. 真空容器内の載置部に載置された基板に向くように配置されたターゲットと、このターゲットの背面側に設けられ、マグネットを配列してなるマグネット配列体と、を備えたマグネトロンスパッタ装置において、
    前記真空容器内にプラズマ発生用のガスを供給するためのガス供給部と、
    前記載置部を回転させるための回転機構と、
    前記ターゲットに電圧を印加する電源部と、
    前記マグネット配列体を、第1の領域とこの第1の領域よりもターゲットの外縁部側の第2の領域との間で移動させるための移動機構と、
    前記マグネット配列体の平均移動速度が前記第1の領域と第2の領域との間で異なるように制御信号を出力する制御部と、を備え、
    前記マグネット配列体の配列領域全体の面積は、ターゲットの面積の2/3以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  2. 前記移動機構は、前記マグネット配列体を前記ターゲットの中心部に対して対称に移動させることを特徴とする請求項1記載のマグネトロンスパッタ装置。
  3. 前記第1の領域におけるマグネット配列体の平均移動速度は、前記第2の領域におけるマグネット配列体の平均移動速度よりも速いことを特徴とする請求項1または2記載のマグネトロンスパッタ装置。
  4. 前記移動機構は、マグネット配列体を往復運動させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  5. 前記移動機構は、マグネット配列体を周回運動させるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  6. 前記制御部は、前記マグネット配列体の移動パターンと処理種別とを対応付けて記憶する記憶部を備え、処理種別に対応する移動パターンに基づいてマグネット配列体を移動させるように制御信号を出力するものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  7. 真空容器内の載置部に載置された基板に向くように配置されたターゲットと、このターゲットの背面側に設けられ、マグネットを配列してなるマグネット配列体と、を備えたマグネトロンスパッタ装置を用い、
    前記載置部を回転させる工程と、
    前記ターゲットに電圧を印加する工程と、
    前記真空容器内にプラズマ発生用のガスを供給する工程と、
    前記マグネット配列体を、第1の領域とこの第1の領域よりもターゲットの外縁部側の第2の領域との間で、前記マグネット配列体の平均移動速度が前記第1の領域と第2の領域との間で異なるように移動させる工程と、を含み、
    前記マグネット配列体の配列領域全体の面積は、ターゲットの面積の2/3以下であることを特徴とするマグネトロンスパッタ方法。
  8. 前記マグネット配列体を移動させる工程は、当該ターゲットの中心部に対して対称になるように当該マグネット配列体を移動させることを特徴とする請求項7記載のマグネトロンスパッタ方法。
  9. 前記第1の領域におけるマグネット配列体の平均移動速度は、前記第2の領域におけるマグネット配列体の平均移動速度よりも速いことを特徴とする請求項7または8記載のマグネトロンスパッタ方法。
  10. 真空容器内の載置部に載置された基板に向くように配置されたターゲットと、このターゲットの背面側に設けられ、マグネットを配列してなるマグネット配列体と、を備えたマグネトロンスパッタ装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体であって、
    前記コンピュータプログラムは、請求項7ないし9のいずれか一項に記載されたマグネトロンスパッタ方法を実施するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。

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