JPWO2013161687A1 - 直動装置及び開閉体駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構造で、ガスが抜けにくいガススプリングと、送りねじ機構とを用いた直動装置及びそれを用いた開閉体駆動装置を提供する。【解決手段】 螺旋状の溝を有する長尺部材と前記溝上を移動するナット部材とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータと同軸に配置されたガススプリングと、対象物に取付けられる取付部材とを備え、前記取付部材は、前記ナット部材と同期して動作するように、連動部材を介して前記ナット部材と接続され、前記ガススプリングのロッドは前記取付部材に接続され、前記アクチュエータの駆動によって対象物を動作させる直動装置を用いる。【選択図】 図1
Description
本発明は、送りねじ機構とガススプリングを備え、移動対象物を直動させる直動装置及びこの直動装置を備えた開閉体駆動装置に関する。
自動車のリフトゲートやハッチゲートの開閉機構には、送りねじ機構及びガススプリングを備えた直動装置が用いられていることが多い。前記直動装置では、送りねじ機構によって移動対称物(ここでは、リフトゲートやハッチゲート)を移動させるとき、移動対象物の移動をガススプリングが補助する構成となっている。
このような直動装置として、スクリュー・ナット構造とガススプリングが直列に設けられている直動装置を用いる場合には、スクリュー・ナット構造のガススプリングへの取り付け部分に力がかかりやすく、強度を要する。そのため、スクリュー・ナット構造とガススプリングとを組み合わせた直動装置としては、例えば、特表2008−505286号公報に記載のガススプリングは、外周部にねじ山が形成されたピストンヘッドを有しており、このねじ山がシリンダーの内部に形成されたかみあいねじとかみ合っている。さらに、前記ピストンヘッドにはピストンロッドが取り付けられており、ピストンロッドがモータに連結部を介して取り付けられている。
そして、前記モータの動力で前記ピストンロッドが回転されると、ねじ山とかみあいねじとの相互作用で、前記ピストンヘッドが前記シリンダーに沿って移動する。前記ピストンヘッドの前記シリンダー内での移動は、シリンダー内(チャンバー)に封入された圧縮ガスの圧力に補助される。
このような構成の直動装置は、ガススプリングのピストンヘッドにねじ山を、シリンダーの内面にねじ山と歯合するかみ合いねじを形成していることで、ガススプリングの内部に送りねじ機構を形成しており、装置がコンパクトになる。
しかしながら、特表2008−505286号公報に記載のガススプリングのように、ピストンヘッドの外周及びシリンダーの内面にねじを形成したものの場合、構造が複雑になり、ガススプリングのガスが抜けやすい。
そこで本発明は、簡単な構造で、ガスが抜けにくいガススプリングと、送りねじ機構とを用いた直動装置及びそれを用いた開閉体駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、螺旋状の溝を有する長尺部材と、前記溝上を移動するナット部材とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータと同軸に配置されたガススプリングと、対象物に取り付けられる取付部材とを備え、前記取付部材は前記ナット部材と同期して動作するように連動部材を介して接続され、前記ガススプリングのロッドは、前記取付部材に接続され、前記アクチュエータの駆動によって対象物を動作させる直動装置を提供する。
(1)本発明によると、対象物に取付けられる取付部材に、ガススプリングとアクチュエータと力が並列的に作用するように取付けられるために、取付部材を動作させるアクチュエータをガススプリングがアシストすることになり、アクチュエータとガススプリングとの取付部分に大きな力がかかることがない。そのため、対象物に取付けられる取付部材にガススプリングの一端が接続され、前記ガススプリングの他端にアクチュエータが接続された場合には、ガススプリングとアクチュエータとの接続部分の強度を確保することが容易である。
(2)本発明が、前記長尺部材が筒状体であって、前記ガススプリングの少なくとも一部が前記筒状体の内部に収納された構成の場合、前記筒状体の内部に前記ガススプリングが収納されるので、収納が容易であって、省スペース化も容易である。
(3)本発明が、前記取付部材が前記連動部材に固定され、前記ガススプリングのロッドがベアリングを介して前記取付部材に接続された構成の場合、前記アクチュエータの回転動作に伴う、前記取付部材と前記ガススプリングとの摩擦が抑制される。
(4)本発明は、開閉体の駆動装置として、ヒンジを中心に回動することで開閉するドア等の駆動装置、特にバックドアにおいて用いられるパワーリフトゲートに好適に用いることができる。
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる直動装置を示す断面図である。図1に示すように、直動装置Aは、動力部1と、スリーブスクリュー22(長尺部材)及びナット部材23を含むアクチュエータ2と、ガススプリング3と、対象物に取り付けられる取付部材4とを備えている。直動装置Aは、動力部1からの動力で、アクチュエータ2が直線方向に伸縮する。
動力部1は、ハウジング10と、ハウジング10の内部に固定されたモータ11と、モータ11の出力軸に取り付けられたギヤボックス12と、ギヤボックス12と連結されモータ11の出力をアクチュエータ2に伝達する動力伝達軸13と、動力伝達軸13を回転可能に支持する軸受部14(ラジアルベアリングを含む)と、ハウジング10のアクチュエータ2が連結されていない側の先端部に配置された回動支持部15とを備えている。
ハウジング10は、円筒形状の部材であり、動力部1の外装であるとともに、直動装置Aの外装でもある。ハウジング10は、内部に配置されたモータ11、ギヤボックス12、動力伝達軸13及び軸受部14を保護している。また、直動装置Aが動作するときの軸方向の荷重を支える構造部材としても作用している。そのため、ハウジング10は強度を得ることができる十分な厚みを持った筒体(例えば、鉄、アルミニウム合金等の金属製)で構成されている。
モータ11は、ハウジング10の内部に、ハウジング10と同軸となるように、すなわち、出力軸111がハウジング10の中心軸周りに回転するように配置されている。なお、モータ11は直流モータ、交流モータ等電動モータを広く採用することが可能である。なお、モータ11は、直動装置Aの設置場所、動作対象物の大きさや重量などの動作条件によって決定可能である。例えば、自動車の扉を開閉するときに直動装置Aを用いる場合、自動車は直流電源を備えていることから、直流モータが好ましい。
モータ11は出力軸111からの出力ロスを低減するため、ハウジング10に回転しないように且つ軸方向に移動しないように保持(固定)されている。なお、モータ11は移動しないようにハウジング10に強固に固定されていてもよいし、キー、スプライン等を利用して軸周りの回転を抑えるとともに、ハウジング10の内部に段差等を形成し軸方向の移動を規制するようにしてもよい。ハウジング10へのモータ11の取り付けは、モータ11のハウジング10に対する軸回りの回転と軸方向の移動を抑制する方法を広く採用することが可能である。
ギヤボックス12もモータ11と同様、ハウジング10に保持されている。ギヤボックス12は内部に複数枚の歯車を備えており、一方の端部が入力側、他方の端部が出力側となっている。そして、ギヤボックス12の入力側には、モータ11の出力軸111が接続されており、出力側には動力伝達軸13が接続されている。図1に示しているように、ギヤボックス12は、モータ11の出力軸111と動力伝達軸13とを、両方の軸の軸心が一致するように接続している。そして、ギヤボックス12は入力側から入力された回転の速度を落とす(減速する)とともに、回転力(トルク)を増加(増幅)させて出力側から出力する。
直動装置Aにおいて、ギヤボックス12はモータ11の出力軸111の出力(回転)を動力伝達軸13に伝達するとき、回転速度を落とし、トルクを増加させて伝達している。また、ギヤボックス12を備えていることにより、直動装置Aのモータ11として、発生トルクが小さいモータ(一般に小型モータ)を採用可能となっている。なお、モータ11が低速回転で十分なトルクを発生できるものである場合、ギヤボックス12を省略し、出力軸111と動力伝達軸13を直接接続する、或いは、出力軸111で動力伝達軸13を兼用する構成としてもよい。また、ギヤボックス12は、動力伝達軸13から入力される軸方向の力が、モータ11に作用するのを抑制する緩衝部材としての効果も備えている。
動力伝達軸13の軸方向一端はギヤボックス12に接続されており、他端は軸受部14に回転可能に支持されている。動力伝達軸13は、回転軸がハウジング10の中心軸と重なるように配置されており、軸受部14に支持されていることで、回転時に軸がぶれにくい。動力伝達軸13は、動力部1から突出しており、その先端は、アクチュエータ2のスリーブスクリュー22と接続している。動力伝達軸13とスリーブスクリュー22とは、相対的に回転しないように連結されている。
軸受部14は、ハウジング10の軸方向端部に嵌合された本体部141と、本体部141の中央に配置されたベアリング142とを備えている。なお、図1に示す直動装置Aでは、ベアリング142として、ラジアルベアリングが採用されている。なお、図1に示しているように、動力伝達軸13は、一方の端部をギヤボックス12に他方の端部を軸受部14に支持されていることで、動力伝達軸13が回転するときの軸のぶれが抑制されている。
そして、ハウジング10の動力伝達軸13の先端が突出しているのと反対側の端部に回動支持部15が取り付けられている。回動支持部15は、ハウジング10の軸方向に突出した板状の部材であり、中央部分に貫通孔が形成されている。この貫通孔にピン又はねじを通し、動力部1、すなわち、直動装置A全体が、貫通孔を中心として、回動可能となるように支持物体(例えば、自動車の車体等)に取り付けられる。なお、回動支持部15として、ボールソケットジョイント、クレビス、ピンジョイント等のような構成を広く採用することが可能である。
そして、アクチュエータ2は、ガイドケース21と、ガイドケース21の内部に、ガイドケース21と接触しないように配置されたスリーブスクリュー22と、スリーブスクリュー22の外周に形成された螺旋溝221の溝上を移動するナット部材23と、ガイドケース21の内部に、軸方向の摺動が可能なように配置され、ナット部材23を保持する円筒形状の連動部材24とを有している。
ガイドケース21は、円筒形状の部材であり、アクチュエータ2の外装であるとともに、直動装置Aの外装でもある。ガイドケース21の内部には、スリーブスクリュー22が配置されており、このスリーブスクリュー22はガイドケース21と接触しないように回転する。
そして、ガイドケース21の一方の端部は、動力部1のハウジング10としっかり連結される。図1に示している直動装置Aでは、ガイドケース21の端部をハウジング10にかしめることで固定されている。なお、連結方法はこれに限定されるものはない。例えば、ガイドケース21の内側に雌ねじをハウジング10の外側に雄ねじを形成しておき、螺合によって固定するもの、溶着等の接合方法によるもの等、ハウジング10とガイドケース21の中心軸、すなわち、動力部1とアクチュエータ2の中心軸がずれないように連結できる方法を広く採用することが可能である。なお、動力部1及びアクチュエータ2の内部に配置される部材を精度よく配置することができる場合、ハウジング10とガイドケース21を一体的に形成してもよい。
スリーブスクリュー22は、一端が閉じられた円筒形状の部材であり、円筒の外周部分に形成された螺旋溝(雄ねじ)221と、閉じられた部分に形成され、動力部1の動力伝達軸13の先端が連結される連結部222と、円筒形状の内部に形成され、ガススプリング3(ガスシリンダ31)が取り付けられるガススプリング取付部220とを備えている。
螺旋溝221は、ここでは雄ねじであり、右ねじである。雄ねじ形状の螺旋溝221には、ナット部材23に形成された雌ねじ形状の螺旋溝231が螺合している。そして、連結部222は、動力伝達軸13と相対的に回転しないように動力伝達軸13と連結されている。なお、連結部222と動力伝達軸13との連結は、スプラインや連結部222に円以外の形状の凹穴を形成しておき、動力伝達軸13の先端を凹穴と同じ形状に形成して挿入する構成のもの、キー及びキー溝を利用するもの等、動力伝達軸13の回転をスリーブスクリュー22に確実に伝達できる形状のものを広く採用することが可能である。連結部222には、動力伝達軸13の軸方向の力を受けるための補強板が備えられる場合もある。このように、連結部222と動力伝達軸13とが連結されていることで、動力伝達軸13の回転が、連結部222に伝達され、スリーブスクリュー22が回転する。動きの詳細については、後述する。
ガススプリング取付部220の内部には、少なくともガススプリング3のガスシリンダ31が取り付けられる。ガススプリング取付部220は、ガスシリンダ31がスリーブスクリュー22と同軸となるように、ガスシリンダ31を支持している。このとき、ガススプリング取付部220は、ガスシリンダ31をスリーブスクリュー22に対して動かないようにしっかり保持していてもよいし、回転可能に支持していてもよい。ガススプリング取付部220によるガスシリンダ31の支持は、後述するピストンロッド32の摺動方向が、スリーブスクリュー22の軸の長手方向と同じであればよく、ピストンロッド32の軸とスリーブスクリュー22の軸とが重なっていればさらに好ましい。
ナット部材23は、内側に雌ねじ状の螺旋溝231を備えた部材である。この雌ねじ状の螺旋溝231が、スリーブスクリュー22の雄ねじ状の螺旋溝221と螺合している。なお、直動装置Aでは、スリーブスクリュー22とナット部材23とは、それぞれ、雄ねじ221、雌ねじ231を備えた構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、ボールねじ構造のように、スリーブスクリュー22の回転をスリーブスクリュー22に外嵌しているナット部材23を軸方向に移動させる力に変換できる構成のものを広く採用することが可能である。ナット部材23はスリーブスクリュー22の螺旋溝221が形成されている範囲で移動する。すなわち、直動装置Aの動作ストロークは、スリーブスクリュー22の螺旋溝221が形成されている部分の軸方向の長さからナット部材23の長さを差し引いた長さとなる。
連動部材24は、円筒形状の部材であり、ガイドケース21内部をガイドケース21の軸方向に摺動可能に取り付けられている。図示は省略しているが、ガイドケース21及び連動部材24には、連動部材24のガイドケース21に対する回転を防止する回転防止部材が備えられている。そして、連動部材24の一方の端部には、ナット部材23が嵌入されている。連動部材24とナット部材23とは、相対的に動かない。つまり、ナット部材23は連動部材24の端部(本発明の連動部材Aでは、動力部1側の端部)に接続れている。
連動部材24はガイドケース21に対する回転が規制されていることから、連動部材24に固定されたナット部材23もガイドケース21に対する回転が規制される。この状態で、動力部1からの動力によってスリーブスクリュー22が回転すると、スリーブスクリュー22がナット部材23に対して回転する。これにより、螺旋溝221と螺旋溝231との作用により、ナット部材23及びナット部材23が固定された連動部材24がスリーブスクリュー22の軸に沿って移動する。
ガススプリング3は、内部に封入されたガスの圧力で、外部に力を付勢する部材である。ガスシリンダ31と、ガスシリンダ31の内部に摺動可能に配置されたピストンヘッド(不図示)と、一端がピストンヘッドに取り付けられ他端がガスシリンダ31より突出しているピストンロッド32とを備えている。ガススプリンング3の構成は、従来よく知られているものであり、詳細は省略する。
ガスシリンダ31は内部にガスが封入されており、一端が閉じられているとともに、他端にピストンロッド32が貫通する孔を有する円筒形状の部材である。ガスシリンダ31は閉じられた側の端部が奥になるように、スリーブスクリュー22のガススプリング取付部223に挿入されている。なお、ガスシリンダ31の閉じられた側の端部は、ガススプリング取付部223の最奥の部分に接触している。ガスシリンダ31は内部のガスの圧力でピストンヘッドを押し(引き)ピストンロッド32に軸方向の力が作用する。ピストンロッド32のガスシリンダ31から突出した先端は取付部材4に、回転可能に接続されている。
なお、直動装置Aでは、直動装置Aが最も伸びた状態(すなわち、ナット部材23がスリーブスクリュー22の先端に到達した状態)でも、ガススプリング3は、ガスシリンダ31及びピストンロッド32が外側に向かって力を付勢する(反発力を発生する)構造を有している。
取付部材4は、直動装置Aで動作させる動作対象物(例えば、車両の場合リヤドア等)に取り付けられる部材である。取付部材4は、連動部材24の先端に嵌合する嵌合部41と、上述の動作対象物に係合される係合部42と、ピストンロッド32の先端を回転可能に支持するベアリング43とを備えている。
嵌合部41は、連動部材24の先端に嵌め込まれ、固定された部材である。これにより、取付部材4は連動部材24に同期して動作する。直動装置Aにおいて、嵌合部41は連動部材24に圧入により固定されているが、これに限定されるものではなく、連動部材24と嵌合部41とをしっかり固定できる方法を広く採用することができる。
係合部42は、係合孔を備えており、この係合孔にねじ、ピン、リベット等の緊結具を挿通し、緊結具を上述の動作対象物に回動可能に取り付けられる。このように取り付けられることで、取付部材4は、動作対象物に緊結具を中心として回動可能に取り付けられる。なお、本発明の直動装置Aにおいて、係合部42の係合孔は、一部が開いた形状となっているがこれに限定されるものではなく、閉じた図形であってもよい。
本発明にかかる直動装置Aにおいて、ガススプリング3が反発力で取付部材4を押す構成となっている。この構成において、ピストンロッド32の先端を直接、嵌合部41に接触させると、接触部分の摩擦力が多くなる。そのため、取付部材4のピストンロッド32の先端が接触する部分には、ベアリング43(スラストベアリング)が備えられている。このようにベアリング43が取り付けられていることで、ピストンロッド32の先端と嵌合部41との摩耗を抑制することができる。なお、直動装置Aでは、ベアリング43にスラストベアリングを採用しているが、これに限定されるものではなく、ラジアルベアリングを用いてもよい。また、摩擦及び摩耗が低減されるような表面処理を行うことで、ベアリング43が無くてもよい。
このような、直動装置Aの動作について図面を参照して説明する。図2は図1に示す直動装置が長い状態の断面図である。本発明の直動装置Aの動作として、直動装置Aが短い状態から長い状態(図1の状態から図2の状態)に変化する場合を説明する。
図1に示すように、直動装置Aでは、ナット部材23がスリーブスクリュー22の螺旋溝221の最も駆動部1側の部分と螺合している。このとき、連動部材24のほとんどの部分はガイドケース21の内部に挿入されており、取付部材4が取り付けられている先端部分のみ、ガイドケース21から突出している。
この状態のとき、回転支持部15と係合部42との間の軸方向長さ、すなわち、直動装置Aの長さが最も短くなる。また、図2に示すように、ナット部材23がスリーブスクリュー22の螺旋溝221の最も先端側に移動したとき、回転支持部15と係合部42との間の長さ、すなわち、直動装置Aの長さが最も長くなる。
図1に示すように直動装置Aが短い状態のとき、ガススプリング3も全長が縮んだ状態であり、ガススプリング3は、ガスシリンダ31がスリーブスクリュー22を、ピストンロッド32がベアリング43、すなわち、取付部材4を軸に沿って、それぞれ、逆向きに押している。
この状態で、モータ11が駆動されると出力軸111から回転(回転力)が出力される。出力軸111の回転は、ギヤボックス12で減速されるとともにトルクが増幅され動力伝達軸13に伝達される。動力伝達軸13はスリーブスクリュー22に連結されていることから、動力伝達軸13を介してギヤボックス12から出力された回転力がスリーブスクリュー22に伝達される。これにより、スリーブスクリュー22は回転される。
スリーブスクリュー22が回転されると、スリーブスクリュー22の螺旋溝221とナット部材23の螺旋溝231とが摺動する。螺旋溝221と螺旋溝231の作用によって、ナット部材23に軸に沿う力が作用し、ナット部材23及びナット部材23が固定されている連動部材24が軸に沿って摺動する。なお、スリーブスクリュー22の回転方向によって、ナット部材23及び連動部材24の摺動方向が変わることは言うまでもない。
また、連動部材24の先端には取付部材4の嵌合部41が取り付けられており、ピストンロッド32がベアリング43を介して嵌合部41を、回動支持部15と係合部42とが離れる方向、すなわち、直動装置Aの長さが長くなる方向に押している。これにより、ナット部材23及び連動部材24には、モータ11の回転力とガススプリング3の反発力とが作用する。
また、ガススプリング3はナット部材23及び連動部材24の移動時に、補助力を付与する効果以外にも、途中で停止したときの移動の規制にも用いられる。ナット部材23及び連動部材24が直動装置Aを短くするように作用する力に抗して動作している場合で説明する。ナット部材23及び連動部材24が摺動しているとき、モータ11からの回転が伝達されなくなると、スリーブスクリュー22の回転が停止する。このとき、ナット部材23には、嵌合部41及び連動部材24を介し、軸方向にガススプリング3の反発力が作用している。ガススプリング3のガスシリンダ31がスリーブスクリュー22のガススプリング取付部223に取り付けられており、スリーブスクリュー22にもガススプリング3からの軸方向の反発力が作用している。
つまり、スリーブスクリュー22とナット部材23とには、ガススプリング3によって、軸方向に反対向きの力が作用している。これにより、スリーブスクリュー22の螺旋溝221とナット部材23の螺旋溝231とが強く押し当てられ、その摩擦力で、ナット部材23のスリーブスクリュー22に対する移動が規制される。
また、移動が規制できない場合(直動装置Aを短くするように作用する力が大きい場合)でも、ガススプリング3の反発力とナット部材23の螺旋溝231とスリーブスクリュー22の螺旋溝221との摩擦力によって、移動の速度を低減させることが可能である。
直動装置Aが短くなる場合は、モータ11の回転が逆向きであるだけで、動作は同じである。なお、直動装置Aが短くなる場合、ナット部材23及び連動部材24がガススプリング3の反発力に抗して移動するので、スリーブスクリュー22の回転による力がガススプリング3の反発力よりも大きくなるように、モータ11及びギヤボックス12の減速比が決定されている。
以上示したように、本発明の直動装置Aは、スリーブスクリュー22の内部にガススプリング3の少なくともガスシリンダ31が配置される構成であるので、直動装置Aの外形が小さくなる。また、アクチュエータ2とガススプリング3とが直列に配置され、取付部材4に対するアクチュエータ2とガススプリング3との力が並列的に作用する構成であるため、アクチュエータ2とガススプリング3とが動作対象物を動作させ、取付部材4の移動時にアクチュエータ2の動作をガススプリング3がアシストする。これにより、アクチュエータ2とガススプリング3とが取り付けられる取付部材4に大きな力がかかりにくく、取付部材4の構成を簡略化することが可能である。
さらに、アクチュエータ2の内部にガススプリング3を配置する構成であるため、ガスシリンダ31の外面或いは内面に螺旋溝等の加工が不要であり、構成を簡略化することができる。また、ガスシリンダ31の内面に加工が不要であるので、ガス漏れを抑制することができ、長期間にわたり、ガススプリング3の能力の低下を抑制することが可能である。さらには、ガススプリング3の形状が従来のものと同じ構成であるので、ガススプリング3に汎用品を用いることができ、製造コストを低減することが可能である。
本発明にかかる直動装置Aを利用した開閉体駆動装置について図面を参照して説明する。図3は本発明にかかる開閉体駆動装置を用いた車両の後部を示す概略図である。図3に示すように開閉体駆動装置Opは、開閉体であるwqドアDrの開閉を行う装置である。開閉体駆動装置Opは、直動装置Aと、自動車Crの後部のドアDrに備えられ、直動装置Aの取付部材4の係合部42を回転可能に支持する第1支持部L1と、ドア枠Frに備えられ、直動装置Aの回転支持部15を回転可能に支持する第2支持部L2とを備えている。つまり、第1支持部L1を備えたドアDrが動作対象物であり、第2支持部L2を備えたドア枠Frが支持物体である。
ドアDrは、上端がドア枠Frの上端縁にヒンジHgによって回転可能に取り付けられている。直動装置Aは、ドアDrが閉じているとき直動装置Aは最も短い状態になっている。そして、開閉体駆動装置Opでは、第1支持部L1とヒンジHgとの間の長さ及び第2支持部L2とヒンジHgとの間の長さが一定であるのに対し、第1支持部L1と第2支持部L2の長さが直動装置Aの長さによって決まるので、直動装置Aが長くなると、ドアDrがヒンジHg周りに回動し、ドアDrが開く。そして、直動装置Aが最も長い状態のとき、ドアDrの開度が最大になる。また、ドアDrが開いた状態で、直動装置Aが短くなると、ドアDrが閉じる方向に回動し、直動装置Aが最も短い状態になったとき、ドアDrが閉じた状態になる。
このような、開閉体駆動装置Opに、本発明にかかる直動装置Aを用いることで、ドアDrが開くときに、ドアDrには、モータ11の回転力よる直動力に加えてガススプリング3の反発力が作用するので、モータ11の負荷が小さくなる。また、モータ11の回転力が弱ったり、作用しなくなったりした場合でも、ガススプリング3からの反発力がドアDrを支える方向に作用しているので、ドアDrが急激に閉じるのを抑制することができる。これにより、使用者の手や体が挟まれるのを抑制することができるので、安全性を高めることが可能である。
また、直動装置Aの、ガススプリング3がアクチュエータ2と同軸上且つアクチュエータ2の内部に配置されているので、直動装置Aの外形が小さくなる。そのため、開閉体駆動装置Opを小型化することができるので、ドアDr及びドア枠Frの構造を簡単なものとすることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
本発明は、自動車のドア等の開閉体の開閉を行うための駆動装置として利用することが可能である。
1 動力部
11 モータ
12 ギヤボックス
13 動力伝達軸
14 軸受部
15 回転支持部
2 アクチュエータ
21 ガイドケース
22 スリーブスクリュー(長尺部材)
221 螺旋溝(雄ねじ形状)
222 連結部
220 ガススプリング取付部
3 ガススプリング
31 ガスシリンダ
32 ピストンロッド
4 取付部材
41 嵌合部
42 係合部
43 ベアリング
11 モータ
12 ギヤボックス
13 動力伝達軸
14 軸受部
15 回転支持部
2 アクチュエータ
21 ガイドケース
22 スリーブスクリュー(長尺部材)
221 螺旋溝(雄ねじ形状)
222 連結部
220 ガススプリング取付部
3 ガススプリング
31 ガスシリンダ
32 ピストンロッド
4 取付部材
41 嵌合部
42 係合部
43 ベアリング
Claims (4)
- 螺旋状の溝を有する長尺部材と前記溝上を移動するナット部材とを有するアクチュエータと、前記アクチュエータと同軸に配置されたガススプリングと、対象物に取付けられる取付部材と
を備え、
前記取付部材は、前記ナット部材と同期して動作するように、連動部材を介して前記ナット部材と接続され、
前記ガススプリングのロッドは前記取付部材に接続され、
前記アクチュエータの駆動によって対象物を動作させる直動装置。 - 前記長尺部材が筒状体であって、前記ガススプリングが前記筒状体の内部に収納された請求項1に記載の直動装置。
- 前記取付部材が前記連動部材に固定され、前記ロッドの先端部がベアリングを介して前記取付部材に接続された請求項1または2に記載の直動装置。
- 請求項1〜3のいずれかの直動装置が車体側に取付けられ、前記取付部材が開閉体に取付けられ、前記直動部材が動作することにより開閉体が開閉動作することを特徴とする開閉体駆動装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014512515A JPWO2013161687A1 (ja) | 2012-04-27 | 2013-04-19 | 直動装置及び開閉体駆動装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012103589 | 2012-04-27 | ||
JP2012103589 | 2012-04-27 | ||
JP2014512515A JPWO2013161687A1 (ja) | 2012-04-27 | 2013-04-19 | 直動装置及び開閉体駆動装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPWO2013161687A1 true JPWO2013161687A1 (ja) | 2015-12-24 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014512515A Pending JPWO2013161687A1 (ja) | 2012-04-27 | 2013-04-19 | 直動装置及び開閉体駆動装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JPWO2013161687A1 (ja) |
WO (1) | WO2013161687A1 (ja) |
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JP2017172201A (ja) * | 2016-03-23 | 2017-09-28 | アイシン精機株式会社 | 車両用ドア開閉装置 |
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-
2013
- 2013-04-19 WO PCT/JP2013/061583 patent/WO2013161687A1/ja active Application Filing
- 2013-04-19 JP JP2014512515A patent/JPWO2013161687A1/ja active Pending
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Publication number | Publication date |
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WO2013161687A1 (ja) | 2013-10-31 |
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