JPWO2013157478A1 - ガラス板の製造装置および製造方法とフロートガラス製造用縁ロール装置 - Google Patents

ガラス板の製造装置および製造方法とフロートガラス製造用縁ロール装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、ストローと称される局所変形部を生じさせることなくフロート法によりガラスリボンを製造できる技術の提供を目的とする。本発明は、複数対のトップロールによりガラスリボンの両端部に外向きの引張力を作用させてガラスリボンを製造する際、トップロールとして、外周刃をガラスリボンの幅方向端部に押し付けつつ回転してガラスリボンに引張力を付加する複合バレルヘッドを用い、複合バレルヘッドの先端側の外周刃がガラスリボンの端部に印加する引張力を、複合バレルヘッドの後端側の外周刃がガラスリボンの端部に印加する引張力よりも大きくしてガラスリボンを拡げる方向に引張力を印加しつつガラスリボンを成形するガラス板の製造装置と製造方法に関する。

Description

本発明は、フロートバス法に従い薄型のガラス板を製造する装置と方法およびそれらに適用されるフロートガラス製造用縁ロール装置に関する。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、近年において大型化および薄型化が進められている。
この種のガラス基板の製造方法の一例として、金属スズなどの溶融金属を貯留したフロートバスを用い、溶融金属の上に水平方向に溶融ガラスを薄く引き延ばして成形するフロート法が知られている。このフロート法によれば、溶融ガラスをフロートバスの溶融金属上に浮かせることで目的に応じた必要な厚みを確保し、この溶融ガラスを水平方向に引き出すことで帯状のガラスリボンを成形できる。このガラスリボンを必要な大きさに切断することで目的の大きさのガラス基板を得ることができる。
このフロート法に従い、上述のように大型化と薄型化が進められているガラス基板を製造するには、フロートバスの溶融金属上にガラスリボンの幅方向両端部を外側に引っ張るトップロール(T/R)と称される成形装置を設け、ガラスリボンをその幅方向両端側に引き延ばして薄型化する方法が採用されている。薄く引き延ばしたガラスリボンを徐冷後に必要な大きさに切断し、研磨および洗浄を行うことで目的のガラス基板を得ることができる。このフロート法に従い、大型かつ薄型のガラス基板が大量に生産されており、ガラス基板として厚さ0.7mm程度、長さと幅が数mに達する大型のガラス基板が生産されている。
また、最近に至り、携帯型情報端末機器が大量に製造されており、この携帯型情報端末機器に適用される液晶パネルの一例として、厚さ0.7mm程度のガラス基板を用いて液晶パネルを製造した後、ガラス基板の一面をウエットエッチングなどの手法により削り取って厚さ0.3mm程度に薄型化したガラス基板を備えた液晶パネルが提供されている。
図10は、フロート法に用いられるフロートバスの一例を示し、このフロートバス100は、内部に溶融スズなどの溶融金属101を備えた底部バス102が備えられ、この底部バス102の入口側に溶融炉のフォアハースから溶融ガラス103が流入される。溶融ガラス103は溶融金属101の上で複数のトップロール105によって目的の幅に引き延ばされ、徐々に冷却されて必要な幅と厚さのガラスリボン106が形成される。
この種のフロートバス100に適用されているトップロール105の一例として、図11に示すように円盤状に形成され、その外周に鋸刃状の外周刃105aを2段に備えたバレルヘッド105Aを備えたトップロールが知られている。(特許文献1参照)
図11に示すバレルヘッド105Aは、外周刃105a、105aを溶融ガラス103のエッジ部103aに食い込ませつつエッジ部103aに外向きの引張力を作用させ、溶融ガラス103の幅を調整することによりガラスリボン106の幅と厚さを調整することができる。
日本国特開平11−236231号公報
以上のような背景から、ガラス基板は益々薄型化される傾向にあり、最初から0.3mm程度の厚さのガラス基板を携帯型情報端末機器のパネル用ガラス基板として使用することも検討されている。また、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板においても、更なる薄型化が要望されている。
従来、フロートバス100に流し込まれて拡げられた直後の溶融ガラス103は、高温で液状であるために、簡単に引っ張ることはできないが、溶融ガラス103はフロートバス100の上流域から下流域に移動するにつれて徐冷され、徐々に粘性が高くなるので、粘性が高くなった溶融ガラス103をバレルヘッド105Aにより引っ張り、拡げることができる。
しかし、引張力が作用された溶融ガラス103には縮まろうとする性質があるため、溶融ガラス103を薄くしようとすればするほど、より強い力でガラスを押さえ付け、強い引張力を作用させる必要がある。
その結果、バレルヘッド105Aのエッジ部分が溶融ガラス103のエッジ部103aに図11に示す状態よりも更に深く突き刺さることとなり、溶融ガラス103をそのエッジ部近傍で大きく変形させてしまう問題がある。
図12は、溶融ガラス103のエッジ部103aに対し強い力で上からバレルヘッド105Aを押し付けた状態を説明するための図である。
図12(a)に示す溶融ガラス103のエッジ部103aに対し図12(b)に示すようにバレルヘッド105Aを強く押し付けると、エッジ部103aがバレルヘッド105Aの押しつけ力に比例して深く沈み込むようにU字形の袋状に変形する。仮に、この袋状態のまま変形したガラスが固まると、図13に示すように断面T字形のストローと称される局所変形部110が生成する問題がある。
また、溶融ガラス103のエッジ部103aに対し図12(b)に示すようにバレルヘッド105Aを強く押し付けた場合、図12(c)に示すように断面がS字状に変形することがあり、この状態のままガラスが固まると、図14に示すように変形部分が上方向の袋部分111aと下方向の袋部分111bとに重なるように変形したストローと称される局所変形部111が生成される問題がある。このS字状の局所変形部111が生成された場合、図12(c)の矢印a、矢印bに示すように溶融金属がガラスの内部側に巻き込まれることがあり、その結果、後の徐冷工程においてガラスが割れる原因となる問題がある。例えば、金属スズとガラス板は熱膨張係数が異なるので、徐冷時の熱収縮に従い、金属スズを巻き込んだ部分のガラス板に応力が作用し、割れを引き起こすおそれがある。
前記局所変形部110、111を有したままガラスリボンを切断工程において切断すると、目的の大きさのガラス板に切り折りする場合において、目的の切断位置や方向と異なる位置や方向に割れを誘発するので、ガラス板の安定生産を阻害するおそれがある。前記局所変形部110、111が生成されるのは、薄いガラス板において顕著であり、特に上述の表示装置用ガラス基板のように厚さ1mm以下のガラス板をフロート法により製造する場合に顕在化する問題がある。
更に、溶融ガラス103に対し強い引張力を無理なく作用させるためには、バレルヘッド105Aを溶融ガラス103のエッジ部103aに沿って多数配列してより多くのバレルヘッド105Aにより引張力を作用させることも有効と考えられる。また、バレルヘッド105Aの設置間隔を広げるほど溶融ガラス103の平坦度が低下する。
しかし、バレルヘッド105Aの回転軸は図10に示すようにフロートバス100の幅方向に対し溶融ガラス103の位置毎の粘度や固さなどに合わせて種々の角度をもって傾斜配置されているので、種々の角度で傾斜されているバレルヘッド105Aどうしの間隔を密に近接配置することは難しい問題がある。
これらの背景に基づき、本発明者は、フロート法により溶融ガラスを成形して1mm以下の薄いガラスリボンを製造する技術について種々研究したところ、溶融ガラスの端縁部に張力を付加して薄いガラスリボンを成形する場合、張力を与える位置とそのために用いるトップロールのバレルヘッドについて、工夫することにより、ストローと称される局所変形部の発生を抑制できることを見出し、本願発明に到達した。
また、本発明はフロートバスに設けるバレルヘッドの設置間隔を従来よりも密に配置することができる技術の提供を目的とする。
本発明は、フロート法により薄いガラスリボンを成形する場合、局所変形部を生じさせることなくガラスリボンを製造することができ、ガラス板の安定生産に寄与するガラス板の製造方法と製造装置およびフロートガラス製造用縁ロール装置の提供を目的とする。
本発明は、溶融金属が蓄えられ、該溶融金属上に溶融ガラスの移動経路が形成され、該移動経路の上流域から下流域にかけて溶融ガラスを移動させてガラスリボンを成形するためのフロートバスと、このフロートバス内の移動経路の上流域から下流域にかけて移動経路の幅方向両側に配設された複数対のトップロールとを備え、前記トップロールが、溶融ガラスの移動経路の幅方向両側に個々に水平方向に延在された回転軸と、該回転軸の先端側に取り付けられ、前記移動経路に沿って上流域から下流域に搬送されるガラスリボンの幅方向端部に押し付けられつつ回転する複数列の外周刃を有する複合バレルヘッドを備え、前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃と複合バレルヘッドの後端側の外周刃が分離して独自に回転自在に設けられたガラス板の製造装置に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の回転数が後端側の外周刃の回転数よりも大きく設定されたガラス板の製造装置に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の径が後端側の外周刃の径よりも大きく形成された先に記載のガラス板の製造装置に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドが外周刃を備えた先端側バレルヘッドと外周刃を備えた後端側バレルヘッドの複合構造とされ、後端側バレルヘッドを取り付けた後端側回転軸が中空構造とされ、該後端側回転軸と後端側バレルヘッドを貫通するように先端側バレルヘッドの回転軸が延在された先のいずれかに記載のガラス板の製造装置に関する。
本発明は、前記ガラスリボンの粘度の対数値が5.29〜6.37dPa・sの領域を溶融ガラスの移動経路の中流域として、該中流域に前記複合バレルヘッドが配置された先のいずれかに記載のガラス板の製造装置に関する。
本発明は、前記フロートバスにより成形されるガラスリボンの厚さが1mm以下である先のいずれかに記載のガラス板の製造装置に関する。
本発明は、前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスが適用される先のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置に関する。
SiO:50〜73%、Al:10.5〜24%、B:0〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%、ZrO:0〜5%。
本発明は、前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスが適用される先のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置に関する。
SiO:58〜66%、Al:15〜22%、B:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%、ZrO:0〜5%。
本発明は、前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスが適用される先のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置。
SiO:54〜73%
Al:10.5〜22.5%
:0〜5.5%
MgO:0〜8%
CaO:0〜9%
SrO:0〜16%
BaO:0〜2.5%
MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%
本発明は、溶融金属の上に設けた溶融ガラスの移動経路に沿って溶融ガラスを移動させつつ成形してガラスリボンを製造するガラス板の製造方法において、前記移動経路の上流域から下流域にかけて移動経路の幅方向両端側に配設した複数対のトップロールによりガラスリボンの両端部に外向きの引張力を作用させてガラスリボンを製造する際、前記トップロールは、前記移動経路に沿って上流域から下流域に搬送されるガラスリボンの幅方向端部を押圧しつつ外側に引っ張るバレルヘッドを備え、前記バレルヘッドは、複数列の外周刃を円筒状の外周壁に備え、これらの外周刃を前記ガラスリボンの幅方向端部に押し付けつつ回転してガラスリボンに引張力を付加する複合バレルヘッドであって、前記複合バレルヘッドは、その先端側の外周刃と、その後端側の外周刃とが個々に独立して回転自在に設けられており、その先端側の外周刃からガラスリボンに作用させる引張力を前記複合バレルヘッドの後端側の外周刃からガラスリボンに作用させる引張力よりも大きくして前記ガラスリボンを拡げる方向に引張力を印加しつつガラスリボンを成形するガラス板の製造方法に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドとして、その先端側の外周刃の回転数を、後端側の外周刃の回転数より大きくした複合バレルヘッドを用いてガラスリボンの端部に目的の引張力を作用させる先に記載のガラス板の製造方法に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドとして、その先端側の外周刃の径を、後端側の外周刃の径より大きくした複合バレルヘッドを用いてガラスリボンの端部に目的の引張力を作用させる先に記載のガラス板の製造方法に関する。
本発明は、前記ガラスリボンの粘度の対数が5.29〜6.37dPa・sの領域を溶融ガラスの移動経路の中流域として該中流域に前記複合バレルヘッドを設置する先のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法に関する。
本発明は、前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いる先のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法に関する。
SiO:50〜73%、Al:10.5〜24%、B:0〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%、ZrO:0〜5%。
本発明は、前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いる先のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法に関する。
SiO:58〜66%、Al:15〜22%、B:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%、ZrO:0〜5%。
本発明は、前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いる先のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法に関する。
SiO:54〜73%
Al:10.5〜22.5%
:0〜5.5%
MgO:0〜8%
CaO:0〜9%
SrO:0〜16%
BaO:0〜2.5%
MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%
本発明は、溶融金属上に溶融ガラスを供給してガラスリボンを成形するフロートバスに設置され、ガラスリボンの幅方向端部に外側向きに引張力を作用させるフロートガラス製造用縁ロール装置であって、前記ガラスリボンの端部に接近離間自在に配置された回転軸と、該回転軸の先端部に取り付けられ、円筒状の外周壁に外周刃を複数列備えた複合バレルヘッドを備え、該複合バレルヘッドの外周壁に形成された複数列の外周刃は、この複合バレルヘッドをガラスリボンの表面に押圧して引張力を作用させる際にガラス表面に食い込む外周刃であり、前記複合バレルヘッドの先端側外周の外周刃と複合バレルヘッドの後端側外周の外周刃が分離して独自に回転自在に設けられたフロートガラス製造用縁ロール装置に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の回転数が後端側の外周刃の回転数よりも大きく形成された先に記載のフロートガラス製造用縁ロール装置に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の径が後端側の外周刃の径よりも大きく形成された先に記載のフロートガラス製造用縁ロール装置に関する。
本発明は、前記複合バレルヘッドが外周刃を備えた先端側バレルヘッドと外周刃を備えた後端側バレルヘッドの複合構造とされ、後端側バレルヘッドを取り付けた後端側回転軸が中空構造とされ、該後端側回転軸と後端側バレルヘッドを貫通するように先端側バレルヘッドの回転軸が延在された先のいずれかに記載のフロートガラス製造用縁ロール装置に関する。
本発明は、前記先端側バレルヘッドと後端側バレルヘッドがいずれもそれらの内部に冷媒流路を備えた中空構造とされ、前記先端側回転軸と後端側回転軸がいずれもそれらの内部に冷媒の往路と復路を備えた2重構造とされ、前記先端側回転軸の冷媒の往路と復路がこの先端側回転軸の先端部において前記先端側バレルヘッドの中空部に接続され、前記後端側回転軸の冷媒の往路と復路がこの後端側回転軸の先端部において前記後端側バレルヘッドの中空部に接続されている先のいずれかに記載のフロートガラス製造用縁ロール装置に関する。
本発明の製造方法と製造装置によれば、フロートバスの移動経路において複合バレルヘッドの先端側の外周刃と後端側の外周刃とで引張力を変え、複合バレルヘッドの先端側に後端側よりも強い引張力を印加できる複合バレルヘッドによりガラスリボンの端部に外向きの引張力を作用させることができ、この引張力を利用してガラスリボンを引き延ばし、薄く厚さの均一なガラスリボンを成形できる。
複合バレルヘッドの先端側をガラスリボンの端部に押し付けつつ回転させ、ガラスリボンの端部に外向きの引張力を作用させる際、先端側の周速が速く、後端側の周速が遅い場合、先端側ではガラスリボンの端部の厚さ方向に引張力が作用するが、後端側ではガラスリボンの端部の厚さ方向に圧縮力を作用させるので、複合バレルヘッドがガラスリボンの端部を押し付けて強い力を作用させて薄いガラスリボンを成形しようとした場合であっても、従来のバレルヘッドよりもストローと称される局所変形部を生じ難くすることができる。
この結果、局所変形部を生じていないガラスリボンを後工程において切断してガラス板を生産できるので、割れや欠けなどを生じることなく、目的の寸法のガラス板を得ることができる。
表示装置用ガラス基板などのように1mmよりも薄い、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下、特に好ましくは0.1mm以下のガラス板を製造する場合、フロートバスの中流域のガラスリボンは特にストローと称される局所変形部を生じ易いが、この中流域の溶融ガラスに対し複合バレルヘッドを用い、引張力を作用させることで、ガラスリボンの端部側において厚さ方向への変形量を少なくでき、局所変形部を生じていない薄いガラスリボンを得ることができ、このガラスリボンを切断することにより、割れや欠けなどの無い、目的の寸法の1mm以下の薄いガラス板を得ることができる。
図1は、本発明に係る第一実施形態のガラス板の製造装置の全体構成を示す概略図である。 図2は、同製造装置に設けられているトップロールに適用される複合バレルヘッドの第1実施形態を示す構成図である。 図3は、同複合バレルヘッドの部分断面図である。 図4は、同製造装置に設けられている複合バレルヘッドの回転軸の部分を示す横断面図である。 図5は、同製造装置に供給される溶融ガラスの一例についてフロートバス長さ位置毎の粘度の状態を示すグラフである。 図6は、同製造装置に設けられる複合バレルヘッドの第2実施形態を示す断面図である。 図7は、同複合バレルヘッドに設けられる周速の異なるヘッド間の間隔により成形されるガラスリボンの幅(Gross幅)の関係を示すグラフである。 図8は、同複合バレルヘッドの設置個数と成形されるガラスリボンの板幅の関係を示すグラフである。 図9は、同複合バレルヘッドの角度と成形されるガラスリボンの板幅の関係を示すグラフである。 図10は、従来のトップロールを供えたフロートバスの一例を示す平面略図である。 図11は、従来のトップロールに設けられているバレルヘッドをガラスリボンの端部に押し込んだ状態の一例を示す断面図である。 図12は、溶融ガラスの端部と従来のバレルヘッドの関係を示すもので、図12(a)はガラスリボンの端部を示す断面図、図12(b)はガラスリボンの端部にバレルヘッドを押し込んだ状態の一例を示す断面図、図12(c)はガラスリボンの端部側に形成された断面S型の局所変形部(ストロー)の一例を示す断面図である。 図13は、ガラスリボンの端部側に形成された断面T型の局所変形部の一例を示す断面図である。 図14は、ガラスリボンの端部側に形成された断面S型の局所変形部の一例を示す断面図である。
「第一実施形態」
以下、添付図面を参照して本発明に係るガラス板の製造装置の第一実施形態について説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
図1は本発明に係るガラス板の製造装置の第一実施形態の概略構成を示すもので、本実施形態のガラス板の製造装置(フロートバス)1は、平面視略長方形状の耐火物炉からなる浴槽2と、この浴槽2の内部に収容されている金属スズなどの溶融金属3と、浴槽2の内部に複数配置されているトップロール11を備えている。
浴槽2は、耐火物製の底部構造と側壁と上部構造からなるが、図1では底部構造のみを平面視した状態で描いている。浴槽2の上部構造側には、非酸化性ガスなどのガス供給管や温度調節器などの付属設備が設けられ、浴槽2の雰囲気を非酸化性ガス雰囲気に制御でき、溶融金属3の上の空間部分の温度を目的の温度に制御できるようになっている。
図1において浴槽2の左端部側には、前工程に設けられているガラス溶融炉のフォアハースから溶融金属3の上に溶融ガラスGを供給するための入口部5が設けられている。浴槽2において入口部5を設けた側と反対側の端部には、出口部6が形成され、この出口部6の外側には搬送ロール7が複数配列され、徐冷ライン7Aが形成されている。
浴槽2において入口部5から出口部6にかけて溶融金属3の上には、溶融ガラスGを成形するための平面視長方形状の移動経路8が区画されている。
この移動経路8に沿って溶融金属3の上に入口部5から溶融ガラスGが流入されると、溶融ガラスGが必要な厚さと幅に拡げられて溶融状態のガラスリボン9とされた状態で徐々に冷却されて出口部6側に移動され、幅が均一化された帯状の最終形態としてのガラスリボン10が形成され、このガラスリボン10が出口部6から徐冷ライン7A側に排出される。本実施形態において、浴槽2の平面形状が長方形状に形成されているので、浴槽2の内部において溶融金属3上に区画される移動経路8も長方形状にされているが、移動経路8の平面形状は長方形状に限らず、浴槽2の平面形状に合わせた任意の形状が可能である。
本実施形態の浴槽2において、入口部5と出口部6の間に移動経路8の幅方向両端側に沿って上流域から下流域に向けて所定の間隔で配列された複数のトップロール11が配置されている。本実施形態において、入口部5から供給された溶融ガラスGは上述の複数のトップロール11により幅方向に引き延ばされて上述の溶融状態のガラスリボン9とされながら下流域に(出口部6側に)搬送され、所定幅の帯状のガラスリボン10が最終的に得られる。
本実施形態の浴槽2において、移動経路8の幅方向両端側に各々、溶融ガラスGの幅を拡張し始めるための位置から、16基のトップロール11が所定の間隔をあけて配列されている。これら16基のトップロール11には以下に便宜的にA〜A15の符号を付して区別し、個々の配置について説明する。
これらトップロール11のうち、初段のトップロール11Aと第1番目のトップロール11A〜第4番目のトップロール11Aが、後に説明する基準バレルヘッド18を備えたトップロール(縁ロール装置)とされ、第5番目のトップロール11A〜第10番目のトップロール11A10が、後に説明する複合バレルヘッド30を備えたトップロール(縁ロール装置)とされ、第11番目のトップロール11A11〜第15番目のトップロール11A15が、後に説明する基準バレルヘッド18を備えたトップロール(縁ロール装置)とされている。
前記初段のトップロール11A〜第4番目のトップロール11Aと、前記第11番目のトップロール11A11〜第15番目のトップロール11A15は、回転軸17と、その先端部に一体化された図3に示す基準バレルヘッド18とから構成されている。
前記回転軸17を回転駆動する機構と回転軸17を移動させる機構については、図1において略されているが、回転軸17は浴槽2の側壁を貫通して浴槽2の外側にまで略水平に延出され、浴槽2の外側に回転駆動装置と移動装置が設けられている。回転軸17の移動装置については、一例として浴槽2を設置した位置の外側に敷設したレール部材に沿って移動自在に設けられた移動台車にモーターなどの回転駆動装置が設けられた移動装置を適用できる。これらの回転駆動装置や移動装置は一般的なフロートバスに設けられているトップロールの駆動装置や移動装置と同等であり、回転軸17は例えば回転駆動された状態で移動経路8の幅方向両端側において移動経路8の幅方向に移動自在に配置されている。図1においてはこれらの回転駆動装置や移動装置は略し、回転軸17の先端側とそこに取り付けられているバレルヘッドの概略のみを示している。
前記基準バレルヘッド18は、図3に示すように2列構造の外周刃19を回転ドラム20の外周壁20aに備えている。回転軸17と回転ドラム20はいずれも内部が中空構造とされ、回転軸17の内部と回転ドラム20の内部に形成されている中空部20bが相互に連通されている。
回転軸17の内部に冷却水の供給路17aを備えた供給管17bが設けられ、供給管17bと回転軸17の内周壁との間の間隙に冷却水の戻り流路17cが形成されている。これらの構成により、供給路17aから回転ドラム20の中空部20bに冷却水を供給し、戻り流路17cを介して冷却水を回収することにより回転軸17と回転ドラム20をそれらの内部側から冷却できるように構成されている。なお、供給管17bの供給路17aが冷却水(冷媒)の往路を構成し、冷却水が中空部20bを介して戻り流路17cに至るので、戻り流路17cが冷却水(冷媒)の復路を構成する。なお、中空部20bの断面形状は、水流が効率よく循環するように適宜変更してもよい。
基準バレルヘッド18の外周刃19は、薄型円筒状の回転ドラム20の外周壁20aに沿って4角錐型の多数の刃先が2段(2列)になるように連続形成されている。これらの外周刃19は各刃先を同一形状として同一のピッチで回転ドラム20の周方向に形成されているので、回転ドラム20を一周する一列の外周刃19が全体で2列形成された2段構造とされている。本実施形態の回転ドラム20において回転軸17側に接続一体化されている側の端面壁20cと、回転軸17と離間した側の端面壁20dは平板状に形成されている。端面壁20cは、回転軸17側に向かって先窄まり状に形成されていてもよい。
前記初段のトップロール11Aから、第4番目のトップロール11A(即ちトップロール11Aは初段のトップロール11Aoから数えると5番目)は、溶融金属3の上の移動経路8に入口部5から流入された溶融ガラスGを徐冷して粘度が上がり始め溶融状態のガラスリボン9とされる上流域に対し設置されている。
前記構造の第5番目のトップロール11Aから、第10番目のトップロール11A10は、前記移動経路8の中流域、即ち、ガラスリボン9が上流域よりも粘度が高くなる領域に対し設置されている。
前記構造の第11番目のトップロール11A11から、第15番目のトップロール11A15は、前記移動経路8の下流域、即ち、ガラスリボン9の粘度が中流域より更に高くなる領域に対し設置されている。
第5番目のトップロール11A〜第10番目のトップロール11A10は、図2に示す構造の複合バレルヘッド30が設けられている。
図2に示す複合バレルヘッド30は、先に説明した基準バレルヘッド18を前後2段の複合構造とした例である。
図2に示すように複合バレルヘッド30の先端側を基準バレルヘッド18が構成する。即ち、回転軸17の先端部に外周刃19を備えた回転ドラム20が取り付けられ、回転ドラム20の内部を水冷できる構造とされている。複合バレルヘッド30の後部側を構成する後端側バレルヘッド33は、基準バレルヘッド18と同等構造の外周刃19を備えた回転ドラム35が多重管構造の回転軸36の先端部に取り付けられている。回転軸36は、図4に示すように内管36aと外管36bを具備した2重管構造とされているが、更に、内管36aの内部に基準バレルヘッド18の回転軸17が挿通された多重管構造とされている。
後端側バレルヘッド33の回転ドラム35は基準バレルヘッド18と同じように中空構造とされているが、その端面壁20dの中央部を回転軸17が貫通している。
内管36aと外管36bは2重管構造とされているが、図4に示すように内管36aと外管36bを横断面視した場合に内管36aと外管36bの間に形成される空間は内管36aと外管36bの直径方向に延在する隔壁部材37、38により左右2つの流路36c、36dに分割されている。内管36aと外管36bとの間に形成された流路36c、36dは内管36aと外管36bの全長にわたり形成されていて、これらの流路36c、36dは回転軸36の先端側において回転ドラム35の内部に連通されている。
内管36aと外管36bの間の流路36c、36dは、そのうち、一方が冷却水の往路として利用され、他方が冷却水の復路として利用される。図4では便宜的に左側の流路36cを冷却水の供給側流路(往路)、流路36dを冷却水の戻り側流路(復路)として記載している。
図2に示す構成の複合バレルヘッド30は、その先端側の基準バレルヘッド18とその後端側バレルヘッド33を別々に目的の回転数で回転駆動できるように構成されている。即ち、基準バレルヘッド18の回転軸13が接続される図示略の回転駆動モータと後端側バレルヘッド33の回転軸36が接続される図示略の回転駆動モータとが個別に各ヘッドを回転駆動するようになっている。あるいは、必要に応じてギヤ装置を組み合わせて1つの回転駆動モータの回転数を分岐して異なる回転数を回転軸36、17に伝達できるように構成してもよい。
図2に示す複合バレルヘッド30は、ガラスリボン9の幅方向端部9aに上から押し付けて使用する。即ち、回転軸36、17をほぼ水平向きとしてガラスリボン9の上面にバレルヘッド18、33を押し付けつつ回転軸17、36を回転させ、ガラスリボン9の幅方向端部9aに外側向きの引張力を作用させてガラスリボン9を引き延ばし成形するために使用する。
複合バレルヘッド30においては、先端側の基準バレルヘッド18の外周刃19の回転数を大きく設定し、後端側バレルヘッド33の外周刃19の回転数を小さく設定してガラスリボン9の幅方向端部9aを上から押さえ付け、両者の回転数差により該幅方向端部9aを外側に引っ張るように引張力を印加する。
この操作により複合バレルヘッド30は、先端側の外周刃19と後端側の外周刃19の間に周速差を生じさせてガラスリボン9の幅方向端部9aに対しその外側向きに引張力を効率的に作用させることができる。
なお、本実施形態の複合バレルヘッド30は基準バレルヘッド18を前後に2つ連結した基本構造としたが、外周刃19は2段に限らず3段以上の多段構造であってもよい。
図2に示す複合バレルヘッド30において、基準バレルヘッド18の外周刃19および後端側バレルヘッド33の外周刃19の速度、直径とガラスリボンGに対する接触長さの関係について以下に説明する。
従来、図10に示すようにトップロール105のバレルヘッド105Aをフロートバス100に複数設ける場合、トップロールを水平かつフロートバス100の幅方向に傾斜させて配置している。
図10に示すように複数のバレルヘッド105Aを設ける場合において、フロートバス1の幅方向に角度を付けて傾斜配置しているのはガラスリボン9を外側に引っ張る場合に引張力を有効に作用させるためである。しかし、図10に示すようにバレルヘッド105Aに傾斜を付けて密に配置すると、フロートバス1の長さ方向に隣接する複数のトップロール105の回転軸どうしが干渉するため、フロートバス1の長さ方向にある程度間隔をあけなくてはトップロール105を密に配置できない問題がある。
この点において本願のように先端側の基準バレルヘッド18と後端側バレルヘッド33を備えた2段構造の複合バレルヘッド30であるならば、以下に示す(1)式の関係が成立する。
tanθ=kx(Uin−Uout)/d/Uave×L …(1)式
(ただし、(1)式において、θ:フロートバス1の幅方向に対する複合バレルヘッド30の傾斜角度、Uin:内側(先端側、基準)バレルヘッドの外周刃の回転速度、Uout:外側(後端側)バレルヘッドの外周刃の回転速度、Uave:内外のバレルヘッドの外周刃の平均速度、d:内側バレルヘッドと外側バレルヘッドとの間隔、L:バレルヘッドの外周刃とガラスリボンの接触長さ、k:係数)
前記(1)式の関係から、複合バレルヘッド30の角度θをそれほど振らなくとも、Uin:内側(先端側、基準)バレルヘッドの外周刃の速度と、Uout外側(後端側)バレルヘッドの外周刃の回転速度との差をつけることで複合バレルヘッド30の角度θを傾斜した場合と同じこととなる。尚、角度θは好ましくは5〜45°、より好ましくは10〜30°である。
このことから、複合バレルヘッド30の傾斜角度θを振らなくても内外バレルヘッドの間で外周刃19に回転速度差を付けると済むこととなるので、複合バレルヘッド30をフロートバス1の幅方向に対し、より平行に配置してもガラスリボン9に強い引張力を発生できることとなる。このことは、フロートバス1の長さ方向に隣接する複合バレルヘッド30の間隔を従来より狭いピッチで配置できることを意味する。このため、複合バレルヘッド30を従来より狭い間隔で配置できるため、このため、より高平坦かつ薄いガラスGの製造が可能となる。
例えば、従来の傾斜させるタイプの基準バレルヘッド18のみでガラスリボン10を製造しようとした場合、隣接する基準バレルヘッド18、18間の間隔を800mm程度するのが限界であったとして、複合バレルヘッド30を設ける場合は、500mm程度あるいはそれ以下の間隔まで密に配置できる。このように複合バレルヘッド30を密に配置できることにより、成形中のガラスリボン10のうねりを改善でき、平坦度の高いガラスリボンの生産に有利となる。
本実施形態のガラス製造装置(フロートバス)1を用いてガラスリボン10を製造するためには、溶融金属3の上の移動経路8に入口部5から溶融ガラスGを供給して広げ、複数設けた基準バレルヘッド18と複合バレルヘッド30を用いて溶融状態のガラスリボン9の幅方向両端部に対し外側に引張力を作用させ、ガラスリボン9の幅と厚さを調整して最終的に目的幅のガラスリボン10を得ることができる。また、このガラスリボン10を徐冷ライン7Aの後工程の切断工程において目的の大きさに切断することによりガラス板を得ることができる。
本実施形態の製造装置1において、トップロール11A〜トップロール11Aと、トップロール11A11〜トップロール11A15が、基準バレルヘッド18を備えているので、2列構造の外周刃19をガラスリボン9の幅方向端部側に押し付けつつ、これら各トップロールの基準バレルヘッド18により、上流域と下流域のガラスリボン9の幅方向両端部に対しそれぞれ外側向きに必要な引張力を作用させることができる。
また、第5番目のトップロール11Aから第10番目のトップロール11A10が複合バレルヘッド30を備えているので、中流域のガラスリボン9に対し、基準バレルヘッド18よりも強い引張力を作用させてガラスリボン9を拡げることができる。
複合バレルヘッド30によれば、周速の大きな基準バレルヘッド18の外周刃19と周速の小さな後端側バレルヘッド33の外周刃19を備え、両外周刃19の周速差によりガラスリボン9の幅をより拡げる方向に強い引張力を作用させることができるので、より薄く、高い平坦度のガラスリボン10を製造する際に有利となる。
なお、上流域のガラスリボン9は粘度が低く、元々強い引張力を加えることは難しいので基準バレルヘッド18でよく、下流域のガラスリボン9は粘度が高く、硬い状態に近いので基準バレルヘッド18で押し付けたとしても、その厚さ方向の変形量は少ない。この点に鑑み、中流域においてガラスリボン9に強い引張力を作用させてガラスリボン9を引き延ばすので、中流域において複合バレルヘッド30を設けることが望ましいが、上流域の一部や下流域の一部に複合バレルヘッド30を適宜設けてもよい。
なお、中流域において複合バレルヘッド30を設ける個数について、本実施形態において特に規定する訳ではなく、目的とする最終厚さのガラスリボン10に対し必要な個数を設けることができる。例えば、中流域の全数のバレルヘッドを複合バレルヘッド30とする必要はなく、一部のバレルヘッドを複合バレルヘッド30とし、残りのバレルヘッドを基準バレルヘッド18としても良い。目的の厚さのガラスリボン10を成形するためにストローと称される局所変形部を生じないように必要な数を設置すればよい。
また、上流域〜下流域の全域に設けるバレルヘッド18、30の全個数についても本実施形態の例に規制される訳ではなく、目的の厚さのガラスリボン10を成形するために必要な数を設置すればよい。
この実施形態の複合バレルヘッド30によれば、回転数の異なる外周刃19、19をガラスリボン9の端部に押し付ける操作により自然に溶融ガラスGの幅を外側に拡げる方向に引張力を作用できるので、ガラスリボン9を薄く成形する場合に有利であり、薄いガラスリボン10を製造できる。
トップロール11A〜トップロール11A15を用いて薄く引き延ばした溶融ガラスGは移動経路8の上流域から下流域に移動するにつれて徐々に冷却されて硬さが上昇し、移動経路8の下流域では一定の幅と厚さのガラスリボン10となって、出口部6に至り、後工程の徐冷ライン7A側に搬送される。本実施形態のガラス板の製造装置1によれば、従来、ストローと称される局所変形部が形成されたまま徐冷ライン7Aに搬送されていたガラスリボン10に局所変形部を生成していないので、徐冷ライン7Aにおいてガラスリボン10が割れるおそれがない。
また、徐冷ライン7Aの後工程には図示略の切断ラインが設置されているので、徐冷後のガラスリボン10を必要な大きさに切り折りすることによって目的の大きさのガラス板を得ることができる。この切断ラインに送るガラスリボン10に局所変形部を生成していないので、切り折りする切断の際に切断不良箇所を生じるおそれが無く、生産性の向上に寄与する。
前記溶融状態のガラスリボン9の粘度について、一例として、図5に、一般的な無アルカリガラスの溶融ガラスが温度の低下とともに粘度が変化して硬くなり、ガラスリボンとなるまでの状態を示す。
図5に示す粘度の変化を示す状態において、ガラスリボン9の粘度(η)の常用対数が5.29dPa・s未満の領域を移動経路8の上流域、ガラスリボン9の粘度の常用対数が5.29〜6.37dPa・sの領域を移動経路8の中流域、ガラスリボン9の粘度の常用対数が6.37dPa・sを超える領域を移動経路8の下流域と定義できる。なお、ガラスリボン9の粘度の対数が5.29〜6.37dPa・s領域とは、ガラスリボン9の粘度(η)が105.29〜106.37dPa・sの領域に対応している。
よって、ガラスリボン9の粘度が105.29〜106.37dPa・sの中流域に第5番目のトップロール11A〜第10番目のトップロール11A10を配置し、これらを前記複合バレルヘッド30とすることが好ましい。これら第5番目のトップロール11A〜第10番目のトップロール11A10を前記複合バレルヘッド30とすることによりガラスリボン9に良好に引張力を作用させてガラスリボン10をより薄く、高平坦にすることができる。
本実施形態のガラス製造装置1において製造しようとする溶融ガラスGの組成は特に制約がない。
従って、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、混合アルカリ系ガラス、またはホウケイ酸ガラス、あるいは、その他のガラスのいずれであってもよい。また、製造されるガラス製品の用途は、フラットパネルディスプレイ用、建築用や車両用に限定されず、その他の各種用途が挙げられる。特に高品質が求められるフラットパネルディスプレイ用の無アルカリガラスが好ましい。
なお、溶融ガラスGに好適なガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いることができる。
SiO:50〜73%好ましくは50〜66%、Al:10.5〜24%、B:0〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜14.5%、SrO:0〜24%、BaO:0〜13.5%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%、ZrO:0〜5%。
前記溶融ガラスGに好適なガラスとして、歪点が高く溶解性を考慮する場合は、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いることができる。
SiO:58〜66%、Al:15〜22%、B:5〜12%、MgO:0〜8%、CaO:0〜9%、SrO:3〜12.5%、BaO:0〜2%、MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%、ZrO:0〜5%。
前記溶融ガラスGに好適なガラスとして、特に高歪点を考慮する場合は、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いることができる。
SiO:54〜73%、
Al:10.5〜22.5%、
:0〜5.5%、
MgO:0〜8%、
CaO:0〜9%、
SrO:0〜16%、
BaO:0〜2.5%、
MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%。
「第二実施形態」
図6は本発明に係るガラス板の製造装置に適用される複合バレルヘッドの第2実施形態を示すもので、この第2実施形態の複合バレルヘッド40は、先の実施形態に設けられていた、基準バレルヘッドを前後2段型の複合構造とし、先端側のバレルヘッドの径と後端側のバレルヘッドの径の大きさを異ならせた例である。
図6に示すように複合バレルヘッド40の先端側を基準バレルヘッド18が構成する点については先の第2実施形態の構成と同等である。即ち、回転軸17の先端部に外周刃19を備えた回転ドラム20が取り付けられ、回転ドラム20の内部を水冷できる構造とされている。複合バレルヘッド40の後部側を構成する後端側バレルヘッド43は、基準バレルヘッド18と同等構造であるが径の小さな回転ドラム45と外周刃49を備え、回転ドラム45が多重管構造の回転軸36の先端部に取り付けられている。回転軸36の構造については先の実施形態の場合と同等である。
本実施形態の複合バレルヘッド40はその先端側の基準バレルヘッド18の外周刃19の外径よりも後端側の後端側バレルヘッド43の外周刃49の外径が小さく形成されているので、ガラスリボン9の幅方向端部9aに外向きの引張力を作用させる際、先に説明した引張力を作用させる場合と同様に引張力を作用させることができる。
即ち、複合バレルヘッド40の構造により、先端側の外周刃19と後端側の外周刃49の円周長がそれぞれ異なるので、先に説明した場合と同様に先端側の外周刃19が後端側の外周刃49よりもガラスリボン9に対しより深く食い込むとともに、先端側の外周刃19と後端側の外周刃49との間に周速差を生じさせてガラスリボン9の幅方向端部9aに対しその外側に向けて引張力を作用させることができる。
なお、複合バレルヘッド40においては、先端側の外周刃19と後端側の外周刃19の周速を同じ値に設定した場合であっても、先端側の外周刃19と後端側の外周刃19の外径が異なるので両者の間に自然に周速差を生じ、目的の引張力を発生できる。また、先端側の外周刃19の周速を速く設定し、後端側の外周刃19の周速を遅く設定するならば、周速差をより大きくできるので、発生できる引張力をより大きくできる特徴がある。
図6に示す構造の複合バレルヘッド40においても、先の第1実施形態の複合バレルヘッド40と同様に周速差を利用して必要な方向に引張力を作用させ、ガラスリボン9の幅方向端部9aに必要な引張力を付加しつつガラスリボン9の成形ができる。
複合バレルヘッド40を配置することにより、径の大きな外周刃19が径の地小さな外周刃49よりもガラスリボン9に対しより深く食い込むとともに、外周刃19と外周刃49との間に周速差を生じさせてガラスリボン9の幅方向端部9aに対しその外側に向けて強い引張力を作用させることができる。
図5に示す粘度特性の溶融ガラスを図1に示す16基のバレルヘッドを設けた成形装置に適用し、幅約90インチ(約2.28m)〜幅約120インチ(約3.05m)、厚さ0.3mmのガラスリボンを製造した。
各トップロールの傾斜角度θについては、初段〜第4番目のトップロールの基準バレルヘッドについて0゜〜15゜まで段階的に傾斜を付与し、第5番目〜第10番目までのトップロールの複合バレルヘッドについて傾斜を無くして傾斜角度θを0゜とし、第11番目〜第13番目までのトップロールの基準バレルヘッドについて傾斜角度θを0゜とする傾斜角度条件とした。
比較のために、16基のトップロールについて全て2段の基準バレルヘッドを用いてガラスリボンを生産する試験と16基のトップロールについて中流域に配置する第5番目〜第10番目までを図2に示す複合バレルヘッドを用い、その他のトップロールは基準バレルヘッドを用いてガラスリボンを生産する試験を行った。
また、複合バレルヘッドにおける先端側の基準バレルヘッドと後端側バレルヘッドの間隔によるガラスリボンに対する引張力の影響を調べた。
先端側の基準バレルヘッドと後端側バレルヘッドの間隔を7.5インチとした複合バレルヘッドと同間隔を10インチとした複合バレルヘッドをそれぞれ用い、上述の5インチ間隔の複合バレルヘッドと同様に試験に供した。
以上の結果を図7に示す。図7は、独自のソルバーにより解析した、コンピュータシミュレーションの結果である。図7に示す結果から、16基のトップロール全てに基準バレルヘッドを設けてガラスリボンを生産する場合より、中流域のトップロールに複合バレルヘッドを用いた場合の方がいずれの場合においても幅の広い、ガラスリボンを生産できることが判明した。
このことから、複合バレルヘッドの先端側のバレルヘッドと後端側バレルヘッドの回転数差を与え、ガラスリボンの端部を外側に引っ張る力を付加しつつ成形することでより広いガラスリボン9を製造できることが判明した。
次に、中流域のトップロールに対し、複合バレルヘッドを設ける数(2重T/R台数)を0〜7対(7対の場合、左右合計で14基使用)に個々に変更してガラスリボン9を生産した場合に得られる各ガラスリボンの板幅について試験した。なお、複合バレルヘッドを設置していない位置のトップロールは全て基準バレルヘッドを用いた。その結果を図8に示す。図8は、独自のソルバーにより解析した、コンピュータシミュレーションの結果である。
図8に示すように、用いる複合バレルヘッドの数を増やすほど、得られるガラスリボン9の板幅が増加できることが判明した。なお、2重T/Rの内外の周速比は、166%である。
次に、16基のトップロールを用い、フロートバスにてガラスリボンを成形する際、全て10インチの基準バレルヘッドを用い、初段〜第3番目のトップロールまで基準バレルヘッドの傾斜角度θを0〜15゜まで段階的に傾斜を付与し、第4番目〜第8番目までのトップロールの基準バレルヘッドについて12〜15゜まで傾斜を付与し、第9番目〜第13番目までのトップロールの基準バレルヘッドの傾斜角度θを段階的に少なくして第14番目以降のトップロールのバレルヘッドについて傾斜角度θを0゜として成形した。
16基のトップロールを全て基準バレルヘッドとしてガラスリボンを成形した場合、フロートバスの長さ方向に対してフロートバスの中心位置から成形中のガラスリボンの一側端縁の位置を中心からの規格化幅として図9に示す。図9は、独自のソルバーにより解析した、コンピュータシミュレーションの結果である。
図9のA1線が全てのトップロールのバレルヘッドに基準バレルヘッドを用いた場合に得られるガラスリボンの幅を示している。
これに対し全てのトップロールのバレルヘッドを基準バレルヘッドとして全ての基準バレルヘッドの傾斜角度θを0゜とすると、ガラスリボンの幅はA2線に示すように大幅に狭くなった。なお、図9におけるオール・ゼロ度は、全T/Rの角度が0度を意味する。
これらに対し、第5番目のトップロール〜第10番目のトップロールを図2に示す2重の複合バレルヘッド(外側(後端側)バレルヘッドの回転数に対して内側(先端側)バレルヘッドの回転数を140%に設定)に置き換えてガラスリボンを成形した結果を図9のA3線で示す。
また、前記A3線の条件に対して、初段〜第3番目のトップロールの傾斜角度θを前記A1線のトップロールの傾斜角度に設定してガラスリボンを成形した結果を図9のA4線で示す。
また、前記A4線の条件に対して、第4番目のトップロール以降の傾斜角度θを前記A1線のトップロールの傾斜角度の50%に設定して(但し傾斜角度0°のトップロールを除く)ガラスリボンを成形した結果を図9のA5線で示す。
また、前記A4線の条件に対して、第4番目のトップロール以降の傾斜角度θを前記A1線のトップロールの傾斜角度の70%に設定して(但し傾斜角度0°のトップロールを除く)ガラスリボンを成形した結果を図9のA6線で示す。
図9に示す結果から、2重の複合バレルヘッド(外側バレルヘッドの回転数に対して内側バレルヘッドの回転数を140%に設定)を備えたトップロールを用いることで傾斜角度θを基準バレルヘッドの傾斜角度θの50%〜70%の範囲に小さくしても、A1線と同程度の幅のガラスリボンを成形できることが判明した。
この試験結果から、フロートバスに16基設けた基準バレルヘッドの一部を4重〜5重の複合バレルヘッドに交換することで、傾斜角度θを50%〜70%に削減しても同等の幅のガラスリボンを製造できることが判明した。なお、バレルヘッドの傾斜角度θを小さくできることは、隣接するトップロール間の干渉を少なくできることを意味するので、隣接するトップロールの間隔を狭くできることも意味する。隣接するトップロールを密に配置するならば、平坦性の優れたガラスリボンを成形できる効果を奏する。
本出願は、2012年4月17日出願の日本特許出願2012−093884に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の技術は、表示装置用ガラス、光学用ガラス、医療用ガラス、建築用ガラス、車両用ガラス、その他一般のガラス製品に用いられるガラス板を製造する装置と方法に広く適用できる。
G…溶融ガラス、1…製造装置(フロートバス)、2…浴槽、3…溶融金属、5…入口部、6…出口部、7…搬送ロール、7A…徐冷ライン、8…移動経路、9…ガラスリボン、10…ガラスリボン、11…トップロール、11A〜11A15…トップロール(縁ロール装置)、13…回転軸、13a…供給路(往路)、13b…供給管、13c…戻り流路(復路)、14…複合バレルヘッド、16…回転ドラム、16b…中空部、16e…植設ボルト、16h…保護カバー、17…回転軸、17a…供給路(往路)、17b…供給管、17c…戻り流路(復路)、18…基準バレルヘッド、20…回転ドラム、20b…中空部、20h…保護カバー、20e…植設ボルト、30、40…複合バレルヘッド、36…回転軸、36a…内管、36b…外管、36c、36d…流路。

Claims (21)

  1. 溶融金属が蓄えられ、該溶融金属上に溶融ガラスの移動経路が形成され、該移動経路の上流域から下流域にかけて溶融ガラスを移動させてガラスリボンを成形するためのフロートバスと、このフロートバス内の移動経路の上流域から下流域にかけて移動経路の幅方向両側に配設された複数対のトップロールとを備え、
    前記トップロールが、溶融ガラスの移動経路の幅方向両側に個々に水平方向に延在された回転軸と、該回転軸の先端側に取り付けられ、前記移動経路に沿って上流域から下流域に搬送されるガラスリボンの幅方向端部に押し付けられつつ回転する複数列の外周刃を有する複合バレルヘッドを備え、
    前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃と複合バレルヘッドの後端側の外周刃が分離して独自に回転自在に設けられたガラス板の製造装置。
  2. 前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の回転数が後端側の外周刃の回転数よりも大きく設定された請求項1に記載のガラス板の製造装置。
  3. 前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の径が後端側の外周刃の径よりも大きく形成された請求項1に記載のガラス板の製造装置。
  4. 前記複合バレルヘッドが外周刃を備えた先端側バレルヘッドと外周刃を備えた後端側バレルヘッドの複合構造とされ、後端側バレルヘッドを取り付けた後端側回転軸が中空構造とされ、該後端側回転軸と後端側バレルヘッドを貫通するように先端側バレルヘッドの回転軸が延在された請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置。
  5. 前記ガラスリボンの粘度の対数値が5.29〜6.37dPa・sの領域を溶融ガラスの移動経路の中流域として、該中流域に前記複合バレルヘッドが配置された請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置。
  6. 前記フロートバスにより成形されるガラスリボンの厚さが1mm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置。
  7. 前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスが適用される請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置:
    SiO:50〜73%、
    Al:10.5〜24%、
    :0〜12%、
    MgO:0〜8%、
    CaO:0〜14.5%、
    SrO:0〜24%、
    BaO:0〜13.5%、
    MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%、及び
    ZrO:0〜5%。
  8. 前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスが適用される請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置:
    SiO:58〜66%、
    Al:15〜22%、
    :5〜12%、
    MgO:0〜8%、
    CaO:0〜9%、
    SrO:3〜12.5%、
    BaO:0〜2%、
    MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%、及び
    ZrO:0〜5%。
  9. 前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスが適用される請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス板の製造装置:
    SiO:54〜73%、
    Al:10.5〜22.5%、
    :0〜5.5%、
    MgO:0〜8%、
    CaO:0〜9%、
    SrO:0〜16%、
    BaO:0〜2.5%、及び
    MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%。
  10. 溶融金属の上に設けた溶融ガラスの移動経路に沿って溶融ガラスを移動させつつ成形してガラスリボンを製造するガラス板の製造方法において、
    前記移動経路の上流域から下流域にかけて移動経路の幅方向両端側に配設した複数対のトップロールによりガラスリボンの両端部に外向きの引張力を作用させてガラスリボンを製造する際、
    前記トップロールは、前記移動経路に沿って上流域から下流域に搬送されるガラスリボンの幅方向端部を押圧しつつ外側に引っ張るバレルヘッドを備え、
    前記バレルヘッドは、複数列の外周刃を円筒状の外周壁に備え、これらの外周刃を前記ガラスリボンの幅方向端部に押し付けつつ回転してガラスリボンに引張力を付加する複合バレルヘッドであって、前記複合バレルヘッドは、その先端側の外周刃と、その後端側の外周刃とが個々に独立して回転自在に設けられており、
    その先端側の外周刃からガラスリボンに作用させる引張力を前記複合バレルヘッドの後端側の外周刃からガラスリボンに作用させる引張力よりも大きくして前記ガラスリボンを拡げる方向に引張力を印加しつつガラスリボンを成形するガラス板の製造方法。
  11. 前記複合バレルヘッドが、その先端側の外周刃の回転数をその後端側の外周刃の回転数よりも大きくしてガラスリボンの端部に目的の引張力を作用させる請求項10に記載のガラス板の製造方法。
  12. 前記複合バレルヘッドが、その先端側の外周刃の径を、後端側の外周刃の径より大きくした複合バレルヘッドを用いてガラスリボンの端部に目的の引張力を作用させる請求項10に記載のガラス板の製造方法。
  13. 前記ガラスリボンの粘度の対数が5.29〜6.37dPa・sの領域を溶融ガラスの移動経路の中流域として、該中流域に前記複合バレルヘッドを設置する請求項10〜12のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法。
  14. 前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いる請求項10〜13のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法:
    SiO:50〜73%、
    Al:10.5〜24%、
    :0〜12%、
    MgO:0〜8%、
    CaO:0〜14.5%、
    SrO:0〜24%、
    BaO:0〜13.5%、
    MgO+CaO+SrO+BaO:9〜29.5%、及び
    ZrO:0〜5%。
  15. 前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いる請求項10〜13のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法:
    SiO:58〜66%、
    Al:15〜22%、
    :5〜12%、
    MgO:0〜8%、
    CaO:0〜9%、
    SrO:3〜12.5%、
    BaO:0〜2%、
    MgO+CaO+SrO+BaO:9〜18%、及び
    ZrO:0〜5%。
  16. 前記溶融ガラスとして、酸化物基準の質量百分率表示において、以下の組成を有する無アルカリガラスを用いる請求項10〜13のいずれか一項に記載のガラス板の製造方法:
    SiO:54〜73%、
    Al:10.5〜22.5%、
    :0〜5.5%、
    MgO:0〜8%、
    CaO:0〜9%、
    SrO:0〜16%、
    BaO:0〜2.5%、及び
    MgO+CaO+SrO+BaO:8〜26%。
  17. 溶融金属上に溶融ガラスを供給してガラスリボンを成形するフロートバスに設置され、ガラスリボンの幅方向端部に外側向きに引張力を作用させるフロートガラス製造用縁ロール装置であって、
    前記ガラスリボンの端部に接近離間自在に配置された回転軸と、該回転軸の先端部に取り付けられ、円筒状の外周壁に外周刃を複数列備えた複合バレルヘッドを備え、
    該複合バレルヘッドの外周壁に形成された複数列の外周刃は、この複合バレルヘッドをガラスリボンの表面に押圧して引張力を作用させる際にガラス表面に食い込む外周刃であり、
    前記複合バレルヘッドの先端側外周の外周刃と複合バレルヘッドの後端側外周の外周刃が分離して独自に回転自在に設けられたフロートガラス製造用縁ロール装置。
  18. 前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の回転数が後端側の外周刃の回転数よりも大きく設定された請求項17に記載のフロートガラス製造用縁ロール装置。
  19. 前記複合バレルヘッドの先端側の外周刃の径が後端側の外周刃の径よりも大きく形成された請求項17に記載のフロートガラス製造用縁ロール装置。
  20. 前記複合バレルヘッドが外周刃を備えた先端側バレルヘッドと外周刃を備えた後端側バレルヘッドの複合構造とされ、後端側バレルヘッドを取り付けた後端側回転軸が中空構造とされ、該後端側回転軸と後端側バレルヘッドを貫通するように先端側バレルヘッドの回転軸が延在された請求項17〜19の何れか一項に記載のフロートガラス製造用縁ロール装置。
  21. 前記先端側バレルヘッドと後端側バレルヘッドがいずれもそれらの内部に冷媒流路を備えた中空構造とされ、前記先端側回転軸と後端側回転軸がいずれもそれらの内部に冷媒の往路と復路を備えた2重構造とされ、前記先端側回転軸の冷媒の往路と復路がこの先端側回転軸の先端部において前記先端側バレルヘッドの中空部に接続され、前記後端側回転軸の冷媒の往路と復路がこの後端側回転軸の先端部において前記後端側バレルヘッドの中空部に接続されている請求項17〜19のいずれか一項に記載のフロートガラス製造用縁ロール装置。
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