JPWO2013150951A1 - 超電導電磁石および磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Abstract
超電導電磁石のクエンチ時に輻射シールドの渦電流により生じる電磁力を、簡単な構成で低減するために、輻射シールド4に、超電導コイルとほぼ同軸の1以上の導体リング5を接合する。導体リング5が接合されている領域は、超電導コイルのクエンチ時の磁場の径方向の成分の向きが、導体リングが接合されていない領域とは逆向きになる領域である。これにより、超電導電磁石のクエンチ時に、輻射シールドの渦電流により生じる電磁力を、導体リングに生じる電磁力で打ち消すことができる。
Description
本発明は、超電導電磁石に関し、特に、クエンチ時に内部構造の変形が生じにくい超電導電磁石に関する。
超電導電磁石の用途としては、例えば、磁気共鳴撮像(以下、MRIという)装置が知られている。MRI装置は、核磁気共鳴(以下、NMRという)現象により水素原子核スピンが放出する電磁波であるNMR信号を計測し、その信号を演算処理することによって、被検体体内の水素原子核密度分布を画像化する装置である。
水素原子核スピンが放出するNMR信号の強度は静磁場強度に比例するから、撮像領域に高磁場(例えば、1T以上)を発生するためには、超電導コイルを用いた超電導電磁石が用いられている。超電導コイルは、常に極低温に保持する必要があり、例えば液体ヘリウムなどの冷媒が充填されたコイル容器内に収納されている。コイル容器は、真空容器内に収納され、外部からの熱侵入を防ぐように構成されている。
しかしながら、真空断熱をしても、輻射によるコイル容器への熱侵入を避けることはできない。また、コイル容器を真空容器に支持する構造部材からのコイル容器への熱伝導を避けることは困難である。このように、超電導コイルが収納された極低温系であるコイル容器への入熱を完全に防ぐことができないため、一般に、入熱量を上回る冷凍能力を有する冷凍機を設置して、コイル容器内の冷媒を冷却する構成が採用されている。
また、コイル容器を覆うように、輻射シールドを設置し、冷凍機で冷却することで極低温系への輻射熱侵入を低減することが行われている。輻射シールドは、コイル容器よりも一回り大きい容器であり、コイル容器に対して一定の間隔を保って配置される。また、輻射シールドは、極低温系を支持する構造部材の熱伝導による熱侵入を低減するためのサーマルアンカとしても用いられるため、一定かつ一様な温度に保たれていることが望ましい。そのため、輻射シールドにはアルミニウム等の熱伝導性の良い材料が用いられている。
また、輻射シールドを断熱支持する部材(以下、支持構造部材という)は、輻射シールドへの熱伝導による入熱を低減するため、必要最小限の強度を備えた小規模な構成とすることが望ましい。
超電導電磁石において超電導コイルがクエンチすると、磁場の急激な減衰によって電磁誘導が生じ、輻射シールドに渦電流が流れる。輻射シールドは、超電導コイルとほぼ同軸の円筒部分を有するため、渦電流は、円筒部分の周回方向に流れやすい。そのため、周回方向に流れる渦電流と磁場の径方向成分(以下、径方向磁場という)の間の相互作用により、輻射シールドには超電導電磁石の軸方向の電磁力(以下、電磁力という)が発生する。輻射シールドには電気抵抗の小さいアルミニウム等が用いられるため、輻射シールドに発生する渦電流および電磁力は非常に大きく、輻射シールドを大きく変形、破損させる可能性がある。また、輻射シールドの支持構造部材は必要最小限の強度とすることが望ましいので、輻射シールドに過大な電磁力が発生した場合、支持構造部材についても変形、破損させる可能性がある。
輻射シールドの変形や破損を防ぐため、特許文献1では、輻射シールドにスリットを設けて渦電流を周回方向に流れにくくし、電磁力を低減する技術が開示されている。また、特許文献1では、スリットに熱収縮率の小さな材質の電気絶縁物を挟んで輻射シールドの変形や振動を防止している。
特許文献1にも記載されているように、輻射シールドの周回方向渦電流を低減するために円筒部分にスリットを設けると、熱流がスリットを迂回するため伝熱経路が長くなり伝熱性能が悪化してしまう。また、スリットを設けると、輻射シールドの剛性が低下して振動しやすくなり、静磁場を乱す振動誤差磁場が発生するという問題もある。振動を抑えるためには、輻射シールドを補強したり、支持構造部材を大型化または員数を増加させる必要がある。以上の理由により、輻射シールド、特に高い伝熱性が要求される外円筒については積極的にスリットを設けることは避けたい。
本発明の目的は、超電導電磁石のクエンチ時に輻射シールドの渦電流により生じる電磁力を、簡単な構成で低減する技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、輻射シールドに、超電導コイルとほぼ同軸の1以上の導体リングを接合する。導体リングが接合されている領域は、超電導コイルクエンチ時に導体リングが接続されていない領域の輻射シールドに生じる電磁力と逆向きの電磁力が発生する領域、すなわち、クエンチ時に生じる渦電流の周方向の向きが同じで磁場の径方向成分の向きが逆か、渦電流の周方向の向きが逆で磁場の径方向成分の向きが同じとなる領域であることが望ましい。
本発明によれば、超電導電磁石のクエンチ時に、輻射シールドの渦電流により生じる電磁力を、導体リングに生じる電磁力で打ち消すことができるため、簡単な構成で電磁力を低減できる。
本発明は、所定の領域に1以上の超電導コイルと、超電導コイルを収納するコイル容器と、コイル容器を包囲する輻射シールドと、前記輻射シールドを包囲する真空容器とを有する超電導電磁石であり、輻射シールドには、超電導コイルとほぼ同軸の1以上の導体リングを接合する。
ここで、輻射シールドの導体リングが接合されている領域は、超電導コイルがクエンチした時に生じる電磁力が、導体リングが接続されていない領域に生じる電磁力に対して逆向きとなる領域である。
また、輻射シールドの前記導体リングが接合されている領域は、導体リングが接合されていない領域に対して、クエンチ時に生じる渦電流の、静磁場方向を中心軸とする周方向成分の向きが同じとなり、超電導コイルのクエンチ時の磁場の、静磁場方向と直交する成分の向きが逆、となる領域である。
また、輻射シールドの前記導体リングが接合されている領域は、導体リングが接合されていない領域に対して、クエンチ時に生じる渦電流の、静磁場方向を中心軸とする周方向の成分の向きが逆となり、超電導コイルのクエンチ時の磁場の、静磁場方向と直交する成分の向きが同じとなる領域である。
輻射シールドに導体リングが接合されている領域は、超電導コイルがクエンチした時に、導体リングが接続されていない領域の輻射シールドに生じる電磁力と逆向きの電磁力が発生する領域、すなわち、クエンチ時に生じる渦電流の、静磁場方向を中心軸とする周方向成分の向きが同じで、超電導コイルのクエンチ時の磁場の径方向成分の向きが逆か、渦電流の静磁場方向を中心軸とする周方向成分の向きが逆で、超電導コイルのクエンチ時の磁場の径方向成分の向きが同じとなる領域であることが望ましい。渦電流はクエンチ前の磁場を補償するように流れるため、渦電流が流れる向きは超電導コイルによって生成される磁場成分によって決まる。また、径方向磁場成分の向きも超電導コイルによって生成される磁場分布による。
例えば、輻射シールドは、内円筒と、内円筒の外側に配置された外円筒と、内円筒と外円筒の両端にそれぞれ配置され、内円筒と外円筒の間を覆う端面板とを有する構成とする。この場合導体リングは、端面板の外縁に沿った領域、外円筒の端部の周方向に沿った領域、および、内円筒の超電導コイルとの対向領域、のうち少なくとも一つの領域に配置することが可能である。
上述の内円筒の超電導コイルとの対向領域とは、具体的には、内円筒の、超電導コイルの軸方向の幅の中心から内円筒の中央側に位置する領域であって周方向に沿った領域である。
導体リングは、輻射シールドと一体に形成されていてもよい。また、導体リングは、輻射シールドの真空容器側の面、および、コイル容器側の面の少なくとも一方に配置することが可能である。
超電導電磁石が開放型である場合、コイル容器と輻射シールドと真空容器の組を、2組有する。この2組は、静磁場を形成すべき空間を挟んで同軸に対向配置され、超電導コイルは、2つのコイル容器にそれぞれ1以上配置される。この場合、導体リングは、2つの前記輻射シールドの少なくとも一方に配置する。
2つの輻射シールドは、それぞれ、少なくとも外円筒と、外円筒の両端を覆う端面板を有する構成とする。導体リングは、両端の端面板のうち、空間から遠い側の端面板の外縁に沿った領域、および、空間から遠い側の外円筒の端部の周方向に沿った領域のうち少なくとも一つの領域に配置することが可能である。
また、導体リングは、両端の端面板のうち、静磁場空間側の端面板の中央領域に配置することも可能である。
2つの輻射シールドは、それぞれ、内円筒と、内円筒の外側に配置された外円筒と、内円筒と外円筒の両端にそれぞれ配置され、内円筒と外円筒の間を覆う端面板とを有する構成としてもよい。この場合、導体リングは、内円筒の静磁場空間側の端部の周方向に沿った領域に配置することが可能である。
上述してきた超電導電磁石を用いたMRI装置を構成することも可能である。MRI装置は、静磁場を発生する磁石として、上述の超電導電磁石と、静磁場に傾斜磁場を重畳する傾斜磁場コイルと、静磁場に配置された被検体に高周波磁場を照射する高周波磁場コイルとを有する構成とする。
以下、本発明についてさらに実施形態を示して具体的に説明する。
<MRI装置の全体構成>
本発明の実施形態として、MRI装置の全体構成について図1を用いて説明する。図1のように、このMRI装置は、静磁場を発生する磁石として、超電導電磁石101を用いている。超電導電磁石101の形状は、図2に示すように円筒形で内側の空間に静磁場を発生する形状であっても、図3に示すように一対の超電導電磁石101a、101bが空間を挟んで対向配置された開放型であってもよい。円筒形の超電導電磁石101の内部構造については、後述の第1の実施形態で詳細に説明する。開放型のMRI装置の内部構造は、第3の実施形態で詳細に説明する。
本発明の実施形態として、MRI装置の全体構成について図1を用いて説明する。図1のように、このMRI装置は、静磁場を発生する磁石として、超電導電磁石101を用いている。超電導電磁石101の形状は、図2に示すように円筒形で内側の空間に静磁場を発生する形状であっても、図3に示すように一対の超電導電磁石101a、101bが空間を挟んで対向配置された開放型であってもよい。円筒形の超電導電磁石101の内部構造については、後述の第1の実施形態で詳細に説明する。開放型のMRI装置の内部構造は、第3の実施形態で詳細に説明する。
超電導電磁石101の他に、MRI装置は、傾斜磁場コイル111、高周波磁場コイル113、シムプレート110、被検体102を搭載する移動テーブル119、磁石制御ユニット109、傾斜磁場パワーアンプ112、高周波パワーアンプ114、高周波増幅回路116、コンピュータ117およびディスプレイ118を備えて構成される。
超電導電磁石101は、クライオクーラ107を備えており、後述するコイル容器内で気化したヘリウムガスをクライオクーラ107により冷却し、再び液体ヘリウムにしてコイル容器内に戻す構成である。これにより、超電導電磁石101は、液体ヘリウムの消費を抑えている。
また、超電導電磁石101の内部には、その運転状態をモニターするための温度センサー、圧力センサー、ヒータ等が配置されており、その接続端子108は磁石制御ユニット109に接続されている。
超電導電磁石101は、撮影空間103に、例えば磁場強度1T以上の安定な静磁場を発生している。その磁場均一度を所定値以下に改善するために、超電導電磁石101の撮影空間103の面には、シムプレート110が取り付けられている。シムプレート110の撮影空間103の面には、互いに直交する3軸方向に勾配磁場を生じさせる傾斜磁場コイル111が配置されている。傾斜磁場コイル111には、電流を供給する傾斜磁場パワーアンプ112が接続されている。傾斜磁場コイル111の撮影空間103側には高周波コイル113が取り付けられている。高周波コイル113には高周波パワーアンプ114が接続され、高周波電流が供給される。これにより、被検体102の検査部位に所定周波数の高周波磁界を照射し、検査部位の核スピンに核磁気共鳴(NMR)を生じさせる。傾斜磁場コイル111の形成する勾配磁場は、被検体102から放出されるNMR信号に三次元的位置情報を付加する。
被検体102の検査部位には、検出コイル115が配置され、核スピンの歳差運動を検出する。高周波増幅回路116は、検出コイル115の検出信号を増幅、検波してデジタル信号に変換処理する。コンピュータ117は、デジタル信号に変換された検出信号を医療診断に供するための画像等に変換処理してコンピュータ117内の記憶装置に保存するとともに、ディスプレイ118に表示する。コンピュータ117は更に、バスライン120を介して傾斜磁場パワーアンプ112、高周波パワーアンプ114、高周波増幅回路116および磁石制御ユニット109を予め定められたプログラムに従って制御し、所定の撮像シーケンスを実行させる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態として、円筒形の超電導電磁石101を用いる場合について、その内部構造を説明する。
第1の実施形態として、円筒形の超電導電磁石101を用いる場合について、その内部構造を説明する。
図4は、超電導電磁石101の断面図である。図4のように、超電導電磁石101は、真空容器7、輻射シールド4およびコイル容器3が外側から順に配置された3層構造である。真空容器7、輻射シールド4およびコイル容器3の外形は、いずれも中心軸周囲に空洞が設けられた円柱形状である。輻射シールド4は、内円筒4bと、内円筒4bの外側に配置された外円筒4aと、内円筒4bと外円筒4aの両端にそれぞれ配置され、外円筒4aと内円筒4bとの間を覆う端面板4cを備えて構成されている。外円筒4aと端面板4c、並びに、内円筒4bと端面板4cは、連結されている。コイル容器3および真空容器7も同様の構造である。コイル容器3の内部には、液体ヘリウムが充填され、1以上の超電導メインコイル1と超電導シールドコイル2が、真空容器7の中心軸(Z軸)とほぼ同軸に配置されている。図4では、一例として超電導メインコイル1は4つ、シールドコイル2は2つ配置されている。
一例としては、真空容器7は厚さ10mmのステンレススチール、コイル容器3は、厚さ15mm厚のステンレススチールで構成されている。真空容器7と輻射シールド4との間、ならびに、輻射シールド4とコイル容器3との間には、支持構造部材6が配置されている。支持構造部材6は、コイル容器3に真空容器7の熱を伝えないようにするために、熱伝導率が低く強度の強い材料で構成されている。
輻射シールド4は、非磁性で熱伝導率の大きい材料、例えばアルミニウムや銅で構成されていることが望ましい。その厚さは、超電導電磁石101を小型化し、かつ支持構造部材6を小規模な構造とするために、薄いことが好ましい。例えば、厚さ5mm程度にすることができる。
輻射シールド4およびコイル容器3は、クライオクーラ107と接触しており、所定の温度にそれぞれ冷却されている。
超電導メインコイル1には、撮影空間103に図4の矢印方向の静磁場8を発生するために電流が流れている。超電導シールドコイル2には、超電導メインコイル1の発生する磁束のうち真空容器7の外周側に漏洩する磁束をキャンセルする磁束を発生するように電流が流されている。この構成により、1T以上の高磁場を用いたMRI装置でも、検査室121の外部に漏洩する磁束密度を所定値以下に抑制している。
磁石制御ユニット109は、熱侵入により気化する液体ヘリウム量と、クライオクーラ107の冷却部209の冷却能力により液化するヘリウムガスの量とが平衡するように内部のヒータを制御し、コイル容器3内の圧力を一定に維持する。
超電導電磁石101の上部には、コイル容器3内の圧力が、所定圧力に達すると、外部にヘリウムガスを放出する定圧バルブや、クエンチした場合に大量ヘリウムガスを瞬時に放出する破壊ディスクを備えた緊急排気孔も設けられている。
本発明では、クエンチ時に輻射シールド4に加わる電磁力を低減するため、図5のように輻射シールド4に導体リング5を配置している。導体リング5により、クエンチ時に輻射シールド4を流れる渦電流により生じる電磁力を打ち消す方向の電磁力を発生させ、輻射シールド4に加わる電磁力を低減する。これにより、輻射シールド4の変形や損傷を防ぐとともに、支持構造部材6を必要最小限の強度にすることができるため、熱伝導による入熱を低減できる。以下、詳しく説明する。
輻射シールド4は、図5に示すように外円筒4a、内円筒4b、および、これらの端部を覆う一対の端面板4cから構成されている。
導体リング5は、輻射シールド4の所定の位置に接合され、輻射シールド4の導体リング5が配置されている部分の電気抵抗を低下させる。すなわち、導体リング5が接合されている部分は、導体リング5の厚さ分だけ輻射シールド4が厚くなるため、電気抵抗が低下する。これにより、輻射シールド4に流れる渦電流は、電気抵抗の低い導体リング5が配置されている部分に流れやすくなり、導体リング5に大電流が流れる。導体リング5は、輻射シールド4と接合されているため、両者は同じ温度に保たれている。導体リング5は、輻射シールド4との接続性(例えば溶接)や、線膨張係数の差に起因する冷却時の熱応力を防止する観点から、輻射シールド4と同等の材料で構成されていることが望ましい。例えば、導体リング5は、アルミニウム(特に、純アルミニウム)で構成することができる。
導体リング5の設置位置について説明する。超電導メインコイル1または超電導シールドコイル2がクエンチした場合、磁場の急激な減衰によって輻射シールド4には、図5のようにZ軸を中心とした周回方向31に渦電流が流れる。この周回方向31の渦電流と、これに直交する径方向(R軸方向、すなわち静磁場と直交する方向)の磁場成分との間の相互作用によりZ軸方向の電磁力12が図6に示す向きで発生する。本発明では、この電磁力12を打ち消す方向の電磁力13を、導体リング5が発生する。なお、図6では、輻射シールド4の断面構造と、超電導メインコイル1および超電導シールドコイル2の断面のみを模式的に示しており、コイル容器3等の他の構成は省略している。この後の説明で用いる図7〜図17も同様である。
輻射シールド4および導体リング5に発生する電磁力12,13の極性は、フレミングの法則により、これらに流れる電流の向きと、その位置の径方向(R軸方向)の磁場の向き(極性)によって決まる。輻射シールド4および導体リング5に流れる渦電流は、クエンチによって減衰する磁場を補償するように流れるため、図5のように輻射シールド外円筒4aと導体リング5が超電導シールドコイル2の近くで近接している場合は、輻射シールド外円筒4a、導体リング5ともに超電導シールドコイル2の通電方向と同じ周回方向31に流れる。よって、径方向(R軸方向)の磁場の向き(極性)が、輻射シールド4の大部分に対して逆向きになる領域に導体リング5を配置すれば、大部分の輻射シールド4に生じる電磁力12とは逆向きの電磁力13を発生させることができる。
そこで、発明者らは中心部に+Z方向に静磁場8を生成する超電導電磁石101の径方向(R軸方向)の磁場の大きさおよびその向きを調べたところ、図7のような分布が得られた。図7は、Z軸方向+側(Z>0)の領域において径方向(R軸方向)の磁場の大きさが同じ位置を実線(等磁場線)で示している。また、図7において径方向(R軸方向)の磁場がプラス(中心から外側向き)の極を点9で、マイナス(外側から中心向き)の極を点10で示している。径方向磁場がゼロとなる位置を線11で示している。また、図7において径方向磁場がマイナス(外側から中心向き)の領域60に斜線ハッチングを付した図面を図8に示す。なお、図7、図8とも、Z軸方向-側(Z<0)の領域においては、径方向(R軸方向)の磁場の極性はZ軸方向+側(Z>0)と逆になる。
図7および図8からわかるように、Z>0およびZ<0のいずれの領域においても、輻射シールド4には、径方向(R軸方向)の磁場がマイナス(外側から中心向き)になる領域60が存在することがわかる。よって、この領域60に導体リング5を配置することにより、図6のように、径方向磁場がプラス(内側から外側向き)となる大部分の輻射シールド4に生じる電磁力12とは、逆向きの電磁力13を発生させることができる。
なお、図7は、クエンチ前の径方向磁場分布であり、クエンチ時の超電導コイルの電流が減衰する過程での磁場分布は図7の磁場分布から多少変化する可能性がある。輻射シールド4に生じる電磁力12を、逆向きの電磁力13で打ち消し合わせる位置に導体リング5を配置するという観点では、クエンチ時の磁場分布を求め、これを用いて導体リング5の位置を決定することが望ましいが、全超電導コイルの電流が時間差を置かず連続的に減衰するように設計された超電導電磁石でクエンチ時の磁場変化が極微小であれば、クエンチ前の磁場分布を用いて導体リング5の設置位置を決定することも可能である。
上述のように本発明では、大部分の輻射シールド4に対して、周回方向渦電流が同方向に流れ、かつ、径方向磁場が逆極性となる領域60に導体リング5を配置する。
これにより、クエンチ時には、フレミングの法則により、導体リング5には、輻射シールド4の外円筒4aの大部分の領域に生じるZ方向の電磁力12とは逆方向の電磁力13が発生する。よって、この導体リング5の材質および寸法を調整して、電気抵抗を最適化することにより、電磁力13の大きさを電磁力12とほぼ同じにすることができる。このように設計した導体リング5を輻射シールド4と接合することにより、輻射シールドの外円筒4aに発生する電磁力12を相殺して、点線14aで示した局所的な範囲の合力をゼロとすることができる。よって、点線14aの局所的な範囲の輻射シールド4が、クエンチ時に電磁力により変形や損傷を生じるのを抑制することができる。
なお、導体リング5の電磁力13が、輻射シールド4の電磁力12と完全に打ち消し合わなくてもよい。導体リング5が、少しでも逆向きの電磁力13が発生することにより、電磁力12を低減することができるため、輻射シールドの変形や損傷を抑制する効果が得られる。
導体リング5の位置は、クエンチ時の径方向磁場がマイナス(外側から中心向き)である領域60内であればよいが、径方向磁場の絶対値が大きい位置に導体リング5を配置することが望ましい。これにより断面積が小さな導体リング5で大きな電磁力13を得ることができるため、輻射シールド4を軽量化できる。
例えば、図4〜図8の例では、円筒形の超電導電磁石101の中心軸(Z軸)に近い位置に超電導メインコイル1が配置され、その外側であって端面板4cに近い位置に超電導シールドコイル2が配置されている。このため、Z>0の領域においては、端面板4cと外円筒4aとの連結部である端面板4cの外縁および外円筒4aの端部付近に、クエンチ時の径方向磁場がマイナス(外側から中心向き)の領域60が形成される。この領域60において、径方向磁場の絶対値が大きいのは、図7の径方向磁場の分布を示す実線(等磁場線)から明らかなように端面板4cの外縁部であるため、この部分に沿って導体リング5を配置することにより、断面積の小さな導体リング5により大きな電磁力13を生じさせることができる。
しかしながら、本発明はこの構成に限られるものではなく、図9〜図11のように他の配置にすることも可能である。例えば、図9(a)のように外円筒4aの端部に沿って導体リング5を配置することも可能であるし、図10(a)のように外円筒4aの端部および端面板4cの外縁部の両方に、領域60全体を覆うように導体リング5を配置することも可能である。
また、図9(b)および図11のように、輻射シールド4を構成する外円筒4aや端面板4cの内面側(超電導メインコイル1,超電導シールドコイル2側)に導体リング5を配置してもよい。また、内面側と外面側の両方に配置することも可能である。
また、図9(c)、図10(b)および図12のように、導体リング5を外円筒や端面板4cの一部と置き換え、導体リング5が輻射シールド4の一部を構成する構造とすることもできる。このように構成することで、導体リング5の空間占有率が低減でき、超電導電磁石101を小型化することが可能である。
また、図10(c)のように、クエンチ時の径方向磁場の絶対値が大きい領域に、導体リング5を複数重ねて接合することもできる。これにより、径方向磁場が大きい領域で、複数の導体リング5の断面積の和を大きくできるため、導体リング5を流れる渦電流量が大きくなり、電磁力13を効率よく大きく生じさせることができる。
さらに、図13に示すように、輻射シールド4の外円筒4aのみならず、内円筒4bや端面板4cにもZ方向の電磁力12は発生するので、これらも考慮して導体リング5を設計することで、点線14bに示すように輻射シールド4の全体的な範囲の電磁力を相殺することができる。このとき、図8および図13のように、内円筒4bにも、クエンチ時の径方向磁場がマイナス(外側から中心向き)の領域60が生じているので、これらの領域60の内円筒4bには、導体リング5と同じ向きの電磁力が生じることを考慮する。なお、内円筒4bは超電導メインコイル1に近いため、流れる渦電流の向きは外円筒4aの渦電流の向きと逆となる。
また、図14(a)、(b)のように、内円筒4bに生じる、クエンチ時の径方向磁場がマイナス(外側から中心向き)の領域60に導体リング5を配置することも可能である。内円筒4bに生じる領域60は、内円筒4bと超電導コイル1との対向領域から、内円筒4bの中央寄りの所定の範囲に生じる。より具体的には、Z軸方向については超電導コイル1の軸方向の幅の中心から、内円筒4bのZ軸方向の中心(R軸)寄りの所定の領域であって、内円筒4bの周方向に沿った領域である。この領域60は、超電導コイル1が複数配置されている場合には超電導コイル1ごとに生じる。
よって、図14(a)のように、1つの超電導コイル1の領域60の内部にのみ配置することも可能であるし、図14(b)のように、複数の超電導メインコイル1ごとの領域60を一つの導体リング5で覆うようにZ方向の幅が広い導体リング5を配置することも可能である。図14(b)の場合、領域60と領域60の間の径方向磁場がプラスの領域にも導体リング5が配置されるが、プラスの領域の幅が狭ければ、全体として電磁力を打ち消すことができるので問題ない。
また、図14(a),(b)には、内円筒4bの内側面(超電導メインコイル1側の面)に導体リング5を配置しているが、内円筒4bの外側面(真空容器7側の面)に導体リング5を配置することももちろん可能である。
また、図15(a),(b)のように、内円筒4bの一部と導体リング5を置き換え、導体リング5が内円筒4bの一部を構成するようにしてもよい。
また、図16のように輻射シールド4は、端面板4cおよび/または外円筒4aの導体リング5と、内円筒4bの導体リング5とを同時に備える構成にすることも可能である。
超電導メインコイル1と距離が近い内円筒4bや端面板4cの内周側部分は、磁場強度が高いためにクエンチ時に大きな電磁力12が発生する。内円筒4bに生じる電磁力12を、外円筒4aや端面板4cの外縁に設置した導体リング5のみで相殺するのは難しく、荷重が伝達する距離が長いために剛性が小さい端面板4cが過大に変形して損傷してしまう可能性がある。そのため、端面板4cおよび/または外円筒4aの導体リング5と、内円筒4bの導体リング5とを同時に備える構成にすることにより、輻射シールド4の変形を抑制しながら、電磁力を相殺して合力を低減できる。
なお、クエンチ開始からの時間経過に伴う輻射シールド4の渦電流の増加、減衰は、部位によって異なるため、電磁力12および電磁力13の合力を輻射シールド4全体で常にゼロに保つことは難しいが、導体リング5を領域60に配置することにより、導体リング5が配置されていない場合と比較して、電磁力12を低減することができる。
上述してきた第1の実施形態による超電導電磁石では、導体リング5によりZ方向の電磁力12を打ち消す方向の電磁力を発生させて打ち消すことができるため、輻射シールド4の変形や破損を防止できる。また、輻射シールド4を支持する支持構造部材6に伝達する電磁力を最小にすることができることから、支持構造部材6は電磁力に耐えるための強度が実質的に必要なくなり、輻射シールド4および導体リング5の自重や輸送時の衝撃荷重に対する強度のみを備えた最小限の構成とすることが可能である。
よって、支持構造部材6の熱伝導を低減することができ、輻射シールド4およびコイル容器3への入熱を低減できる。また、輻射シールド4の渦電流を低減するために従来のように輻射シールド4にスリットを設置する必要がないため、輻射シールド4の熱伝導性が損なわれず、また、スリットにより剛性が低下することもない。なお、このことは、本実施形態の輻射シールド4に、スリットを設けることを否定するものではなく、必要に応じて輻射シールド4にスリットを設けることは可能である。
上述の実施形態では、周回方向渦電流が他の部分と同じ方向に流れ、かつ、径方向磁場が他の大部分とは逆極性となる領域60に導体リングを配置したが、周回方向渦電流が他の大部分とは逆方向に流れ、かつ、径方向磁場が他の部分と同極性となる領域を探し、その位置に導体リング5を設置することも可能である。これにより、導体リング5には大部分の輻射シールド4とは逆方向の電磁力が発生し、電磁力の合力を低減することができる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態として、導体リング5が完全なリングではなく、1以上の間隙を備えている例について説明する。
第2の実施形態として、導体リング5が完全なリングではなく、1以上の間隙を備えている例について説明する。
図17は、輻射シールド4の端面板に、4つの導体片15に分割された導体リングを配置した例である。導体リング5は、導体が一周連続したリング形状ではなく、4つの導体片に分割され、これらがそれぞれ間隙16を挟んで円環状に配置されている。
分割された導体リング5を流れる渦電流は、導体片15間の間隙16において端面板4cを流れる。このため、間隙16における端面板4cの電気抵抗によって渦電流量が低減しないように、間隙16の幅はなるべく小さくすることが望ましい。
このように、導体リング5を分割することにより、円錐形状等の傾斜した形状の端面板4cに接合しやすい。また、導体リング15を製造する際に、単純な形状の導体片15を製造すればよく、リング形状に成形する必要がなくなるため、製造工程が容易になる。
なお、図17においては、導体リング5中に間隙16が4つ含まれる構成を示しているが、導体リング5が1箇所以上の間隙が含んでいればよい。例えば、導体リング5に一か所の切り欠きを形成し、アルファベットのC型にしてもよい。1か所でも間隙15(切り欠き)が存在していれば周回方向に伸縮できるため、傾斜した端面板4cに接合しやすいという効果を得られる。
<第3の実施形態>
第3の実施形態として、図3のように超電導電磁石101が、一対の超電導電磁石101a、101bを空間(静磁場空間103)を挟んで対向配置された開放型である場合について説明する。図3の例では、一対の超電導電磁石が上下に配置され、垂直磁場発生型の超電導電磁石101を構成している。
第3の実施形態として、図3のように超電導電磁石101が、一対の超電導電磁石101a、101bを空間(静磁場空間103)を挟んで対向配置された開放型である場合について説明する。図3の例では、一対の超電導電磁石が上下に配置され、垂直磁場発生型の超電導電磁石101を構成している。
超電導電磁石101a,10bはそれぞれ、第1の実施形態の超電導電磁石101と同様に円筒形の磁石である。ただし、超電導電磁石101a,101bの軸方向の長さは、第1の実施形態の超電導電磁石101よりも短く、かつ、軸方向(Z軸)を垂直方向に向けて、上下に対向配置されている。超電導電磁石101a、101bは、いずれも第1の実施形態と同様に真空容器、輻射シールド4およびコイル容器3が外側から順に配置された3層構造の円筒形状である。図18に超電導電磁石101a、101bの一部断面形状と、径方向(R軸方向)の磁場成分がマイナス(外側から内側向き)の領域60を示す。
真空容器、輻射シールド4およびコイル容器3の外形は、軸方向を垂直方向に向けた円柱形状である。なお、図18では、真空容器を省略して示している。
超電導電磁石101aと超電導電磁石101bの間には、これらを上下に連結する3層構造の連結管が1箇所以上配置され、上下の超電導電磁石101aと超電導電磁石101bの真空容器、輻射シールド4およびコイル容器3をそれぞれ連結している。クライオクーラ107は、上側の超電導電磁石101aの上部に備えられている。
超電導メインコイル1および超電導シールドコイル2は、上側の超電導電磁石101aと下側の超電導電磁石101bのコイル容器3にそれぞれ収納されている。図18には、超電導メインコイル1および超電導シールドコイル2が、コイル容器3にそれぞれ一つずつ収容されている例を示す。Z軸に近く、かつ、超電導電磁石101aと101bの間の静磁場空間103に近い位置に超電導メインコイル1が配置されている。これにより、超電導電磁石101aと101bの間の静磁場空間103に、Z軸方向の静磁場8を形成している。径方向(R軸方向)について超電導メインコイル1よりも外側で、かつ、Z軸方向について超電導メインコイル1よりも静磁場空間103から遠い位置に超電導シールドコイル2が配置されている。超電導シールドコイル2は、超電導メインコイル1の形成する磁場の外部への漏れ磁場を打ち消す磁場を発生する。
本実施形態において、上下の超電導電磁石101a,101bの輻射シールド4は、第1の実施形態と同様に外円筒4aと、内円筒4bと、これらの両端を覆う端面板とを備えているが、静磁場空間103側の端面板を端面板4dと呼び、外部空間側の端面板を端面板4cと呼ぶ。
このような構成の超電導電磁石101a、101bについて、クエンチ時の径方向(R軸方向)の磁場成分が他の大部分とは逆極性(外側から中心向き)になる領域60を求めると、図18のようになる。超電導メインコイル1から径方向(R軸方向)およびZ軸方向についてそれぞれ中心寄りの領域、すなわち静磁場空間103側の端面板4dと内円筒4bとの連結部周辺に、径方向(R軸方向)の磁場が逆極性の領域60が形成されている。また、超電導シールドコイル2から径方向(R軸方向)およびZ軸方向について外側の領域、すなわち外部空間側の端面板4cと外円筒4aとの連結部周辺にも、径方向(R軸方向)の磁場が逆極性の領域60が形成されている。よって、これらの領域60に導体リング5配置することにより、第1の実施形態と同様に、輻射シールド4に生じる径方向(R軸方向)の電磁力に対して逆向きの電磁力を発生することができる。これにより、クエンチ時の輻射シールド4の変形や損傷を防止できる。
具体的には、図18のように、外部空間側の端面板4cの外縁部に導体リング5を配置することができる。また、図19(a)〜(c)に導体リング5の他の配置を示す。(ただし、図19では、超電導メインコイル1と超電導シールドコイル2と輻射シールド4のみ図示している。)図19(c)の例では、外円筒4aの、外部空間側の端面板4cとの連結部近傍に導体リングを配置している。図18では、端面板4cの外面(真空容器側の面)、図19(c)では、外円筒4aの内面(コイル容器3側の面)に導体リング5を配置しているが、これに限らず、外面に配置することも可能であるし、外面および内面の両方に配置することもできる。
また、図19(a)、(b)のように、静磁場空間103側の端面板4dと内円筒4bの連結部近傍に、それぞれ導体リング5を配置している、図19(a)、(b)の例では、端面板4dおよび内円筒の内面(コイル用域3側の面)に導体リング5を配置しているが、外面に配置することも可能であるし、外面および内面の両方に配置することもできる。
また、導体リング5と輻射シールド4の一部を置き換え、導体リング5が輻射シールド4の一部を構成するように配置することも可能である。
導体リング5の材質や設計方法は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
なお、第3の実施形態では、コイル容器3、輻射シールド4および真空容器の外形がいずれも円筒形である場合について説明したが、これに限られるものではなく、外形を円柱形状にすることも可能である。すなわち、内円筒4bを有さず、外円筒4aの上下を円板で覆う形状の輻射シールド4、およびこれと同様の形状のコイル容器3および真空容器を3層構造にして、上下の超電導電磁石101a、101bを構成することもできる。
本発明によれば、クエンチ時に輻射シールド4に生じるZ軸方向の電磁力を、導体リング5で低減することができるため、スリットを設ける場合と比較して、伝熱性能を悪化させることなく、また、剛性を低下させることなく、クエンチ時の輻射シールド4の変形や損傷を防止できる。また、支持構造部材6で電磁力を抑制しなくてよいため、自重や耐震といった必要最小限の荷重のみに耐える簡素化された支持構造部材6を備えた超電導電磁石を実現することができる。
1 超電導メインコイル、2 超電導シールドコイル、3 コイル容器、4 輻射シールド、4a 外円筒、4b 内円筒、4c、4d 端面板、5 導体リング、6 支持構造部材、7 真空容器、8 静磁場方向、9 径方向磁場プラスの極、10 径方向磁場マイナスの極、11 径方向磁場がゼロとなる線、12 輻射シールドに発生する軸方向電磁力、13 導体リングに発生する軸方向電磁力、14a、14b 輻射シールドに発生する軸方向電磁力を相殺する範囲、15 導体片
Claims (13)
- 所定の領域に静磁場を形成する1以上の超電導コイルと、前記超電導コイルを収納するコイル容器と、前記コイル容器を包囲する輻射シールドと、前記輻射シールドを包囲する真空容器とを有し、
前記輻射シールドには、前記超電導コイルとほぼ同軸の1以上の導体リングが接合されていることを特徴とする超電導電磁石。 - 請求項1に記載の超電導電磁石において、前記輻射シールドの前記導体リングが接合されている領域は、前記超電導コイルがクエンチした時に生じる電磁力が、前記導体リングが接続されていない領域に生じる電磁力に対して逆向きとなる領域であることを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項2に記載の超電導電磁石において、前記輻射シールドの前記導体リングが接合されている領域は、前記導体リングが接合されていない領域に対して、クエンチ時に生じる渦電流の、前記 静磁場の方向を中心軸とする周方向成分の向きが同じとなり、前記超電導コイルのクエンチ時の磁場の、前記静磁場の方向と直交する成分の向きが逆、となる領域であることを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項2に記載の超電導電磁石において、前記輻射シールドの前記導体リングが接合されている領域は、前記導体リングが接合されていない領域に対して、クエンチ時に生じる渦電流の、前記 静磁場の方向を中心軸とする周方向の成分の向きが逆となり、前記超電導コイルのクエンチ時の磁場の、前記 静磁場の方向と直交する成分の向きが同じとなる領域であることを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項1または2に記載の超電導電磁石において、前記輻射シールドは、内円筒と、前記内円筒の外側に配置された外円筒と、前記内円筒と外円筒の両端にそれぞれ配置され、前記内円筒と外円筒の間を覆う端面板とを有し、
前記導体リングは、前記端面板の外縁に沿った領域、前記外円筒の端部の周方向に沿った領域、および、前記内円筒の前記超電導コイルとの対向領域、のうち少なくとも一つの領域に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。 - 請求項5に記載の超電導電磁石において、前記内円筒の前記超電導コイルとの対向領域は、前記内円筒の、軸方向については前記超電導コイルの軸方向の幅の中心から前記内円筒の中央側に位置する領域であって、周方向に沿った領域であることを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項1に記載の超電導電磁石において、前記導体リングは、前記輻射シールドと一体に形成されていることを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項1に記載の超電導電磁石において、前記導体リングは、前記輻射シールドの前記真空容器側の面、および、前記コイル容器側の面の少なくとも一方に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。
- 請求項1または2に記載の超電導電磁石において、前記コイル容器と前記輻射シールドと前記真空容器の組を、2組有し、当該2組は、静磁場を形成すべき空間を挟んで同軸に対向配置され、前記超電導コイルは、2つの前記コイル容器にそれぞれ1以上配置され、
前記導体リングは、2つの前記輻射シールドの少なくとも一方に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。 - 請求項9に記載の超電導電磁石において、2つの前記輻射シールドは、それぞれ、少なくとも外円筒と、外円筒の両端を覆う端面板を有し、
前記導体リングは、前記両端の端面板のうち、前記空間から遠い側の端面板の外縁に沿った領域、および、前記空間から遠い側の前記外円筒の端部の周方向に沿った領域のうち少なくとも一つの領域に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。 - 請求項9に記載の超電導電磁石において、2つの前記輻射シールドは、それぞれ、少なくとも外円筒と、外円筒の両端を覆う端面板を有し、
前記導体リングは、前記両端の端面板のうち、前記空間側の端面板の中央領域に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。 - 請求項9に記載の超電導電磁石において、2つの前記輻射シールドは、それぞれ、内円筒と、前記内円筒の外側に配置された外円筒と、前記内円筒と外円筒の両端にそれぞれ配置され、前記内円筒と外円筒の間を覆う端面板とを有し、
前記導体リングは、前記内円筒の前記空間側の端部の周方向に沿った領域に配置されていることを特徴とする超電導電磁石。 - 静磁場を発生する磁石と、前記静磁場に傾斜磁場を重畳する傾斜磁場コイルと、前記静磁場に配置された被検体に高周波磁場を照射する高周波磁場コイルとを有する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記磁石は、請求項1に記載の超電導電磁石であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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