JPWO2013147149A1 - 磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
主表面の表面凹凸を抑制した磁気ディスク用ガラス基板を効率よく製造するべく、平面性に優れた磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法が提供される。本発明は一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、互いに対向配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、を含み、前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記プレス位置での前記型のプレス面における前記塊との最初の接触領域が一定となるように、前記塊の落下を案内する。
Description
本発明は、磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性を前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッド(DFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板には、金属基板等に比べて塑性変形をしにくい性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられている。
また、ハードディスク装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。例えば、磁性層における磁化方向を基板の面に対して垂直方向にする垂直磁気記録方式を用いて、磁気記録情報エリアの微細化が行われている。これにより、1枚のディスク基板における記憶容量を増大させることができる。しかも、記憶容量の一層の増大化のために、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くして磁気記録情報エリアを微細化することも行われている。このような磁気ディスクの基板においては、磁性層の磁化方向が基板面に対して略垂直方向に向くように、磁性層が平らに形成される。このために、ガラス基板の表面凹凸は可能な限り小さく作製されている。
また、磁気ヘッドの浮上距離が短いことによりヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を引き起こし易い。これらの障害は磁気ディスク面上の微小な凹凸あるいはパーティクルによって発生するため、ガラス基板の主表面の他にガラス基板の端面の表面凹凸も可能な限り小さく作製されている。
ところで、磁気ディスクに用いるガラス基板は、例えば、以下の方法で製造される。具体的には、当該方法では、受けゴブ形成型である下型上に、溶融ガラスの塊(以下、ゴブという。)が供給され、下型と対向ゴブ形成型である上型を使用してゴブがプレス成形されて板状の磁気ディスク用ガラスブランク(以下、ガラスブランクという。)を作製した後、情報記録媒体用ガラス基板に加工される(特許文献1)。
この方法では、下型上にゴブを供給した後に上型用胴型の下面と下型用胴型の上面を当接させ、上型と上型用胴型との摺動面および下型と下型用胴型との摺動面を超えて外側に肉薄板状ガラス成形空間を形成し、さらに上型を下降してプレス成形を行い、プレス成形直後に上型を上昇する。これにより、磁気ディスク用ガラス基板の元となる板状のガラスブランクが成形される。この後、研削工程及び研磨工程を経て磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
研削工程では、例えば、アルミナ系遊離砥粒を用いた研削が行われる。この工程では、粒子サイズが異なる遊離砥粒を用いて第1研削工程と第2研削工程が行われる。第2研削工程で用いる遊離砥粒の粒子サイズは第1研削工程で用いる遊離砥粒の粒子サイズに比べて小さく設定される。これにより、粗い研削と細かい研削をこの順番で行う。
研磨工程は、例えば、酸化セリウム等の遊離砥粒および硬質樹脂材ポリッシャ等を用いた第1研磨工程と、例えばコロイダルシリカおよび軟質樹脂材ポリッシャ等を用いた第2研磨工程とを含む。第1研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズは、研削工程中の第2研削工程で用いる砥粒の粒子サイズに比べて小さい。さらに、第2研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズは、第1研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズに比べて小さい。
以上のように、ガラス基板における表面加工では、第1研削工程、第2研削工程、第1研磨工程、第2研磨工程が、この順番に行われ、ガラス基板の表面粗さ等の表面品質が徐々によくなるように加工する。
ゴブを落下させてプレスする方法では、ゴブが自由落下し、また、切断してからプレスするまでの間の距離が比較的長いため、図15に示すように、ゴブの落下姿勢や落下軌道が不安定化(図の例では、ゴブが真下ではなく、左方向にずれるように落下している)しやすくなる。具体的には、図15に示すように、溶融ガラスの切断の際に、一対の切断刃のうちの下側切断刃より、ゴブの上端部が下側切断刃の駆動方向(図15の左方)へ押し出される。そして、ゴブGGの中心を通りかつ下側切断刃の駆動方向に対して直交する方向に沿う軸を中心に回転する向きに、ゴブに回転モーメントが生じる。この回転モーメントによって、ゴブは、回転しながら落下し、落下姿勢や落下軌道が不安定化する。このようにゴブの落下姿勢や落下軌道が不安定化することによって、プレス時の型のプレス面内においてゴブと最初に接触する部位や、プレス中における溶融ガラスの延伸の態様に、プレス毎にばらつきが生じる。
ここで、プレス時の型のプレス面内においてゴブと最初に接触する部位がゴブからの伝熱の起点となるため、型のプレス面内におけるゴブと最初に接触する部位がプレスの度に異なる場合には、型の面内の温度分布がプレスの度にばらつきが生じる。
このように、型の面内の温度分布がプレスの度にばらつく場合には、ガラスブランクの個体の面内の平面度のばらつきが生じる。これに加えて、同じ型を用いて連続してプレス成形する際に、プレス前の時点の温度分布がガラスブランクの平面度に影響するため、成形されたガラスブランクの平面度に個体差が生じる。
このようなメカニズムによって、ガラスブランクの個体の面内の平面度のばらつきと、個体間の平面度のばらつきとが生じる。このような個体面内及び個体間の平面度のばらつきは、後加工(研削,研磨等)における加工量(取りしろ)の設定に影響する。
さらに、例えば図15に示すように、落下姿勢や落下軌道が不安定化した場合には、プレス毎にプレス位置でのゴブの切断部の位置のばらつきが生じ、ガラスブランクのシアマーク(切断痕)の位置及び深さに個体間ばらつきが生じ、加工工程でのシアマークの除去が煩雑であった。
具体的に、ゴブの表面における切断部(図15に示す)は、切断刃と接触した際の熱伝導によって部分的に放熱されているため、ゴブの表面における他の部分よりも温度が低い状態である。このため、プレスの際に、ゴブの表面における切断部が型のプレス面と接触すると、ゴブの表面における切断部周辺は、他の部分に比べて早く冷え固まるため、ガラスブランクの比較的深い場所(例えば50〜100μm)にシアマークが生じることとなる。
このように、ガラスブランクの比較的深い場所にシアマークが生じる場合、後加工(研削,研磨等)における加工量(取りしろ)の設定に影響する。
このように、ガラスブランクの比較的深い場所にシアマークが生じる場合、後加工(研削,研磨等)における加工量(取りしろ)の設定に影響する。
このようなガラスブランクの平面度は、研削(第1研削工程)により、向上させることができるとともに、比較的深い場所に形成されたシアマークを除去することができる。例えば、平面度の向上、及びシアマーク除去のために研削工程における取り代(削り量)を大きくする。しかし、研削工程における取り代を大きくすると、ガラスブランクの表面に深いクラックが入るため、深いクラックが残留しないように、後工程である研磨工程においても取り代(研磨量)は必然的に大きくなる。しかし、遊離砥粒および樹脂ポリッシャを用いる研磨工程において取り代を大きくすると、ガラスブランクの主表面の外周エッジ部近傍が丸く削られて、エッジ部の「だれの問題」が発生する。すなわち、ガラスブランクの外周エッジ部近傍が丸く削られるため、このガラスブランクをガラス基板として用いて磁気ディスクを作製したとき、外周エッジ部近傍の磁性層と磁気ヘッドとの間の距離が、ガラス基板の別の部分における磁気ヘッドの浮上距離より大きくなる。また、外周エッジ部近傍が丸みを持った形状となるため、表面凹凸が発生する。この結果、外周エッジ部近傍の磁性層において磁気ヘッドの記録及び読み出しの動作が正確でない。これが「だれの問題」である。
また、研磨工程における取り代が大きくなるため、研磨工程は長時間を要する等により実用上好ましくない。
また、研磨工程における取り代が大きくなるため、研磨工程は長時間を要する等により実用上好ましくない。
そこで、本発明は、主表面の表面凹凸を抑制した磁気ディスク用ガラス基板を効率よく製造するべく、平面性に優れた磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、水平方向に互いに対向配置され、かつ鉛直方向に互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、を含み、前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因して生じた溶融ガラスの塊の回転モーメントを打ち消すように、前記プレス位置へ前記塊の落下を案内することを特徴とする。
本発明の第2の観点は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、水平方向に互いに対向配置され、かつ鉛直方向に互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、を含み、前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因して生じた溶融ガラスの塊の回転モーメントを打ち消すことにより、切断後の前記塊の落下の回転を規制することを特徴とする。
本発明の第3の観点は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、水平方向に互いに対向配置され、かつ鉛直方向に互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、を含み、前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因して生じた溶融ガラスの塊の回転モーメントを打ち消すように、前記一対の切断刃のうちの上側に配置された切断刃の駆動速度を、下側に配置された切断刃よりも速めることにより、切断後の前記塊の落下の回転を規制することを特徴とする。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記プレス工程では、前記切断工程で切断されてなる落下中の前記溶融ガラスの塊を、前記落下方向の両側から前記一対の型でプレスしてもよい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記切断工程から前記プレス工程までの間では、水平方向に流れる空気の押圧により前記塊の落下を案内してもよい。
本発明の第4の観点は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、水平方向で互いに対向配置され、鉛直方向で互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、を含み、前記切断工程では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因する前記溶融ガラスの水平方向への移動を規制するように、水平方向に向けた押圧力を前記供給部と繋がった状態の前記溶融ガラスに加えた状態で、前記溶融ガラスを切断することを特徴とする。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記プレス工程では、前記切断工程で切断されてなる落下中の前記溶融ガラスの塊を、前記落下方向の両側から前記一対の型でプレスしてもよい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記切断工程では、前記一対の切断刃の近傍に設けられた押さえ部材によって、前記溶融ガラスを押さえてもよい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記一対の切断刃は、鉛直方向で互いにずらして配置されかつ水平方向で互いに対向配置された上側切断刃及び下側切断刃であり、前記下側切断刃における前記溶融ガラスとの接触部位は、前記溶融ガラスの水平方向の変位を押さえるように、前記上側切断刃から離れる方向へ向けて凸となるように湾曲し、鉛直方向に厚みをもつように構成されていてもよい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記切断工程では、前記溶融ガラスが水平方向に流れる空気によって押圧された状態で、前記溶融ガラスを切断してもよい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記プレス工程で、前記塊の全表面のうち切断部位を除く部分と前記一対の型のプレス面が最初に接触するように、前記溶融ガラスの塊をプレス成形すべく、予めプレス位置が調整されていることが好ましい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、溶融ガラス流出口から流出される際の前記溶融ガラスの粘度が、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明の第5の観点は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法により製造された磁気ディスク用ガラスブランクを用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製造することを特徴とする。
[第1の実施形態]
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
(1)磁気ディスクおよび磁気ディスク用ガラス基板
まず、図1A〜図1Cを参照して、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクについて説明する。図1Aは、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクの一例を示す概略構成図である。図1Bは、磁気ディスクの概略断面図である。図1Cは、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面を浮上する状態を示す図である。
まず、図1A〜図1Cを参照して、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクについて説明する。図1Aは、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクの一例を示す概略構成図である。図1Bは、磁気ディスクの概略断面図である。図1Cは、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面を浮上する状態を示す図である。
図1Aに示されるように、磁気ディスク1はリング状であり、回転軸を中心として回転する。図1Bに示されるように、磁気ディスク1は、ガラス基板2と、少なくとも磁性層3A,3Bと、を備える。
なお、磁性層3A,3B以外には、例えば、図示されない付着層、軟磁性層、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層および潤滑層等が成膜される。付着層には、例えばCr合金等が用いられる。付着層は、ガラス基板2との接着層として機能する。軟磁性層には、例えばCoTaZr合金等が用いられる。非磁性下地層には、例えばグラニュラー非磁性層等が用いられる。垂直磁気記録層には、例えばグラニュラー磁性層等が用いられる。保護層には、水素カーボンからなる材料が用いられる。潤滑層には、例えばフッ素系樹脂等が用いられる。
なお、磁性層3A,3B以外には、例えば、図示されない付着層、軟磁性層、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層および潤滑層等が成膜される。付着層には、例えばCr合金等が用いられる。付着層は、ガラス基板2との接着層として機能する。軟磁性層には、例えばCoTaZr合金等が用いられる。非磁性下地層には、例えばグラニュラー非磁性層等が用いられる。垂直磁気記録層には、例えばグラニュラー磁性層等が用いられる。保護層には、水素カーボンからなる材料が用いられる。潤滑層には、例えばフッ素系樹脂等が用いられる。
磁気ディスク1について、より具体的な例を用いて説明する。本実施形態では、インライン型スパッタリング装置を用いて、ガラス基板2の両主表面に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、CoCrSiO2の非磁性グラニュラー下地層、CoCrPt−SiO2・TiO2のグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜を順次成膜される。さらに、成膜された最上層にディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層が成膜される。
磁気ディスク1は、例えば7200rpmの回転速度で回転軸を中心として回転する。図1Cに示されるように、ハードディスク装置の磁気ヘッド4A,4Bのそれぞれは、磁気ディスク1の高速回転に伴って、磁気ディスク1の表面から距離Hだけ浮上する。磁気ヘッド4A,4Bが浮上する距離Hは、例えば、5nmである。この状態で、磁気ヘッド4A,4Bは、磁性層に情報を記録し、あるいは読み出しを行う。この磁気ヘッド4A,4Bの浮上によって、磁気ディスク1に対して摺動することなく、しかも近距離で磁性層に対して記録あるいは読み出しを行うことにより、磁気記録情報エリアの微細化と磁気記録の高密度化を実現する。
このとき、磁気ディスク1のガラス基板2の中央部から外周エッジ部5まで、目標とする表面精度で正確に加工され、距離H=5nmを保った状態で磁気ヘッド4A,4Bを正確に動作させることができる。
このようなガラス基板2の表面凹凸の加工は、後述するように、取り代の小さい固定砥粒を用いた研削と、その結果、取り代を小さくすることができる第1研磨および第2研磨を経て作製される。したがって、従来の「だれの問題」が解消される。
このようなガラス基板2の表面凹凸の加工は、後述するように、取り代の小さい固定砥粒を用いた研削と、その結果、取り代を小さくすることができる第1研磨および第2研磨を経て作製される。したがって、従来の「だれの問題」が解消される。
このような磁気ディスク1に用いられるガラス基板2の主表面の表面凹凸は、平面度が例えば4μm以下であり、表面の粗さが例えば0.2nm以下である。平面度が4μm以下は、最終製品としての磁気ディスク用基板に求められる目標平面度である。
平面度は、JIS B0621に規定された平面度を意味し、具体的には、ガラス表面の表面凹凸であって、ガラスブランクの表面を幾何学的平行二平面で挟んだとき、平行二平面の間隔が最小となる場合の二平面間の間隔である。平面度は、例えば、市販のフラットネステスターを用いて測定することができる。
主表面の粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定された算術平均粗さである。また、主表面の粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡で計測し、JIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。
主表面の粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定された算術平均粗さである。また、主表面の粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡で計測し、JIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。
ここで、図2を参照して、板状ガラスブランク(ガラス素材)やガラス基板における表面凹凸について説明する。図2は、表面凹凸を説明する図である。表面凹凸は、凹凸の波長に応じて概略4つの凹凸によって定めることができる。
具体的には、表面凹凸は、最も波長が大きなうねり(波長0.6μm〜130mm程度)、ウェービネス(波長0.2μm〜2mm程度)、マイクロウェービネス(波長0.1μm〜1mm)、粗さ(波長10nm以下)に分けられる。
この中で、うねりは上記平面度を指標として表すことができ、粗さは上記算術平均粗さRaを指標として表すことができる。
具体的には、表面凹凸は、最も波長が大きなうねり(波長0.6μm〜130mm程度)、ウェービネス(波長0.2μm〜2mm程度)、マイクロウェービネス(波長0.1μm〜1mm)、粗さ(波長10nm以下)に分けられる。
この中で、うねりは上記平面度を指標として表すことができ、粗さは上記算術平均粗さRaを指標として表すことができる。
本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の組成を限定するものではないが、アルミノシリケートガラスとして、酸化物基準に換算した際に、モル%表示で、SiO2を50〜75%、Al2O3を1〜15%、Li2O、Na2O及びK2Oから選択される少なくとも1種の成分を合計で12〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、及び、ZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Ta2O5、Nb2O5及びHfO2から選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成からなるアルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。
(2)磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
次に、図3を参照して、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローを説明する。図3は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。
図3に示すように、先ず、一対の主表面を有する板状のガラスブランクをプレス成形により作製する(ステップS10)。次に、成形されたガラスブランクをスクライブして、円環状のガラス基板を作製する(ステップS20)。次に、スクライブされたガラス基板に対して形状加工(チャンファリング加工)を行う(ステップS30)。次に、ガラス基板に対して固定砥粒による研削を施す(ステップS40)。次に、ガラス基板の端面研磨を行う(ステップS50)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を施す(ステップS60)。次に、第1研磨後のガラス基板に対して化学強化を施す(ステップS70)。次に、化学強化されたガラス基板に対して第2研磨を施す(ステップS80)。以上の工程を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
以下、各工程について、詳細に説明する。
次に、図3を参照して、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローを説明する。図3は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。
図3に示すように、先ず、一対の主表面を有する板状のガラスブランクをプレス成形により作製する(ステップS10)。次に、成形されたガラスブランクをスクライブして、円環状のガラス基板を作製する(ステップS20)。次に、スクライブされたガラス基板に対して形状加工(チャンファリング加工)を行う(ステップS30)。次に、ガラス基板に対して固定砥粒による研削を施す(ステップS40)。次に、ガラス基板の端面研磨を行う(ステップS50)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を施す(ステップS60)。次に、第1研磨後のガラス基板に対して化学強化を施す(ステップS70)。次に、化学強化されたガラス基板に対して第2研磨を施す(ステップS80)。以上の工程を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
以下、各工程について、詳細に説明する。
(a)プレス成形工程(ステップS10)
先ず、図4を参照して、プレス成形工程について説明する。プレス成形工程は、切断工程とプレス工程とを含む。図4は、プレス成形工程において用いられる装置の平面図である。図4に示されるように、装置101は、4組のプレスユニット120,130,140,150と、切断ユニット160とを備える。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口(供給部)111から流出する(供給される)溶融ガラスの経路上に設けられる。切断工程では、切断ユニット160によって溶融ガラスが切断されることにより、溶融ガラスの塊 (以降、ゴブともいう)が鉛直方向下向きに落下する。プレス工程では、プレスユニット120,130,140,150は、塊の落下経路の両側から、互いに対向する一対の型のプレス面でゴブを空中の所定のプレス位置で挟み込みプレス成形することにより、ガラスブランクを成形する。
図4に示される例では、4組のプレスユニット120,130,140,150は、溶融ガラス流出口111を中心として90度おきに設けられている。
ここで、溶融ガラス流出口111から流出される際の溶融ガラスの粘度は、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内であることが好ましい。
先ず、図4を参照して、プレス成形工程について説明する。プレス成形工程は、切断工程とプレス工程とを含む。図4は、プレス成形工程において用いられる装置の平面図である。図4に示されるように、装置101は、4組のプレスユニット120,130,140,150と、切断ユニット160とを備える。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口(供給部)111から流出する(供給される)溶融ガラスの経路上に設けられる。切断工程では、切断ユニット160によって溶融ガラスが切断されることにより、溶融ガラスの塊 (以降、ゴブともいう)が鉛直方向下向きに落下する。プレス工程では、プレスユニット120,130,140,150は、塊の落下経路の両側から、互いに対向する一対の型のプレス面でゴブを空中の所定のプレス位置で挟み込みプレス成形することにより、ガラスブランクを成形する。
図4に示される例では、4組のプレスユニット120,130,140,150は、溶融ガラス流出口111を中心として90度おきに設けられている。
ここで、溶融ガラス流出口111から流出される際の溶融ガラスの粘度は、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内であることが好ましい。
プレスユニット120,130,140及び150の各々は、図示しない移動機構によって駆動されて、溶融ガラス流出口111に対して進退可能となっている。すなわち、溶融ガラス流出口111の真下に位置するキャッチ位置(図4においてプレスユニット140が実線で描画されている位置)と、溶融ガラス流出口111から離れた退避位置(図4において、プレスユニット120,130及び150が実線で描画されている位置、及びプレスユニット140が破線で描画されている位置)との間で移動可能となっている。
切断ユニット160は、キャッチ位置(プレスユニットによるゴブの捕獲位置)と溶融ガラス流出口111との間の溶融ガラスの経路上に設けられる。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口111から流出される溶融ガラスを適量に切り出してゴブを形成する。切断ユニット160は、鉛直方向に互いにずらして配置され、且つ、水平方向で互いに対向配置された一対の切断刃(上側切断刃161及び下側切断刃162)を有する。各切断刃161,162は、協働して溶融ガラスを切断する。具体的には、各切断刃161,162は、一定のタイミングで溶融ガラスの経路上で交差するよう駆動され、各切断刃161,162が交差したとき、溶融ガラスが切り出されてゴブが得られる。
また、切断ユニット160には、図5に示すように、切断工程において溶融ガラスLGから切り出されたゴブGGをキャッチ位置まで案内するための複数の案内部材163が設けられている。各案内部材163は、鉛直方向に延びた形状を有し、各切断刃161,162の下方において溶融ガラス流出口111を中心として所定の間隔で配置されている。また、案内部材163の表面のうちゴブGGの落下経路に面する表面は、鉛直方向に沿った平面形状をなしており、落下中のゴブGGをキャッチ位置まで案内するようになっている。この場合、ゴブGGが各案内部材163に案内されながら落下することにより、溶融ガラスの切断の際の一対の切断刃161,162による押し出しに起因して生じたゴブGGの回転モーメントが打ち消され、ゴブGGの落下軌道を安定させる(つまり、ゴブGGを溶融ガラス流出口111の真下に落下させる)ことができる。このため、後述する一対の型のプレス面におけるゴブGGとの最初の接触領域を一定にすることができる。
複数の案内部材163の各々は、ゴブGGの落下経路を介して他の案内部材163と対向するように配置されてもよい。この場合、対向する一対の案内部材163の間隔は、ゴブGGが案内部材163に接触しながらキャッチ位置まで落下し得る程度に形成されていればよい。なお、案内部材163は複数設けられなくてもよく、例えば、一つの案内部材163を鉛直方向に延びた筒状に形成し、案内部材163の貫通孔を通じてゴブGGを落下させるように配置してもよい。
ここで、図15を参照して説明したように、溶融ガラスの切断の際に、一対の切断刃のうちの下側切断刃による押し出しによって、ゴブGGの中心を通りかつ下側切断刃の駆動方向に対する直交方向に沿う軸を中心に回転する方向へゴブGGに回転モーメントが生じる。この回転モーメントによって、ゴブGGは落下中に回転する。このため、プレス毎にプレス位置でのゴブGGの切断部の位置のばらつきが生じ、ガラスブランクGのシアマーク(切断痕)の位置及び深さの個体間のばらつきが生じ、後の加工工程(研削工程,研磨工程等)でのシアマークの除去が煩雑であった。
本実施形態では、複数の案内部材163を設けたことにより、図5に示すように、ゴブGGを、各案内部材163に接触しながら落下させることができる。この場合、切断時にゴブGGに生じた回転モーメントは、各案内部材163との接触により打ち消される。このため、図5に示すように、ゴブGGは、切断部G1が鉛直上方に常に位置する状態で落下する。これにより、プレス位置でのゴブGGの切断部G1の位置のばらつきを低減することができるので、ガラスブランクGのシアマークの位置及び深さの個体間のばらつきを低減することができる。したがって、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
本実施形態では、複数の案内部材163を設けたことにより、図5に示すように、ゴブGGを、各案内部材163に接触しながら落下させることができる。この場合、切断時にゴブGGに生じた回転モーメントは、各案内部材163との接触により打ち消される。このため、図5に示すように、ゴブGGは、切断部G1が鉛直上方に常に位置する状態で落下する。これにより、プレス位置でのゴブGGの切断部G1の位置のばらつきを低減することができるので、ガラスブランクGのシアマークの位置及び深さの個体間のばらつきを低減することができる。したがって、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
各案内部材163を構成する材料は特に限定されないが、落下中のゴブGGと接触する場合があることから、耐熱性を有することが好ましい。また、各案内部材163は、落下中のゴブGGが付着することを防ぐために、ガラスに対する濡れ性が低い材料で構成されることが好ましい。例えば、各案内部材163は、セラミックなどから構成されてもよいし、表面にめっき(例えば金めっきやプラチナめっきなど)加工が施された材料から構成されてもよい。
図4に戻り、プレスユニット120について説明する。プレスユニット120は、第1の型121と、第2の型122と、第1駆動部123と、第2駆動部124と、を有する。
第1の型121と第2の型122の各々は、ゴブGGをプレス成形するための面を有するプレート状の部材である。この2つの面の法線方向が略水平方向となり、この2つの面が互いに平行に対向するよう配置されている。
第1の型121と第2の型122の各々は、ゴブGGをプレス成形するための面を有するプレート状の部材である。この2つの面の法線方向が略水平方向となり、この2つの面が互いに平行に対向するよう配置されている。
第1駆動部123は、第1の型121を第2の型122に対して進退させる。一方、第2駆動部124は、第2の型122を第1の型121に対して進退させる。第1駆動部123及び第2駆動部124は、第1の型121の面と第2の型122の面とを急速に近接させる機構を有する。第1駆動部123及び第2駆動部124は、例えば、エアシリンダやソレノイドとコイルばねを組み合わせた機構である。
なお、プレスユニット130,140及び150の構造は、プレスユニット120と同様であるため、説明は省略する。
なお、プレスユニット130,140及び150の構造は、プレスユニット120と同様であるため、説明は省略する。
プレスユニットの各々は、キャッチ位置に移動した後、第1駆動部と第2駆動部の駆動により、落下するゴブGGを第1の型と第2の型の問で挟み込んで所定の厚さに成形すると共に冷却し、円形状のガラスブランクGを作製する。
ここで、ゴブGGの切断部G1は、一対の切断刃161,162と接触した際の熱伝導によって部分的に放熱されているため、ゴブGGの表面における他の部分よりも温度が低い状態である。このため、プレスの際に、切断部G1が型のプレス面と接触すると、切断部G1周辺は、他の部分に比べて早く冷え固まるため、ガラスブランクの比較的深い場所(例えば50μm)にシアマークが生じることとなる。
そこで、プレスユニットの各々は、ゴブGGの全表面のうち切断部G1を除く部分と一対の型のプレス面が最初に接触するように、ゴブGGをプレス成形することが好ましい。具体的には、ゴブGGの切断部G1が鉛直方向真上又は真下となるような位置でプレスするように、一対の型のプレス位置が調節されていればよい。この場合、プレスの際のゴブGGの延伸の態様として、ゴブGG内部の比較的高温の溶融ガラスが、ゴブGGの切断部G1を再加熱して外側へ飛び出す。溶融ガラスの延伸の際に溶融ガラスの切断部とその他の部分との温度差が小さい状態で冷え固まっていくため、ガラスブランク中のシアマークの深さが浅くなる(薄くなる)。このため、研削工程や研磨工程等の加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
そこで、プレスユニットの各々は、ゴブGGの全表面のうち切断部G1を除く部分と一対の型のプレス面が最初に接触するように、ゴブGGをプレス成形することが好ましい。具体的には、ゴブGGの切断部G1が鉛直方向真上又は真下となるような位置でプレスするように、一対の型のプレス位置が調節されていればよい。この場合、プレスの際のゴブGGの延伸の態様として、ゴブGG内部の比較的高温の溶融ガラスが、ゴブGGの切断部G1を再加熱して外側へ飛び出す。溶融ガラスの延伸の際に溶融ガラスの切断部とその他の部分との温度差が小さい状態で冷え固まっていくため、ガラスブランク中のシアマークの深さが浅くなる(薄くなる)。このため、研削工程や研磨工程等の加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
つぎに、プレスユニットは退避位置に移動した後、第1の型と第2の型を引き離し、成形されたガラスブランクGを落下させる。
プレスユニット120,130,140,150の退避位置の下には、それぞれ、第1コンベア171、第2コンベア172、第3コンベア173、第4コンベア174が設けられている。第1〜第4コンベア171〜174の各々は、対応する各プレスユニットから落下するガラスブランクGを受け止めて図示しない次工程の装置にガラスブランクGを搬送する。
本実施形態では、プレスユニット120,130,140及び150が、順番にキャッチ位置に移動して、ゴブを挟み込んで退避位置に移動するよう構成されている。このため、各プレスユニットでのガラスブランクGの冷却を待たずに、連続的にガラスブランクGの成形を行うことができる。
なお、1つのプレスユニット120のみを用いて、連続的にゴブGGを挟み込んでガラスブランクGの成形を行うこともできる。この場合、第1の型121と第2の型122は、ゴブGGをプレス成形した直後に開放され、次に落下する溶融ガラスの塊をプレス成形する。
ここで、図6に示される側面図を参照して、本実施形態のプレス成形工程について説明する。図6のS1は、溶融ガラスLGと切断ユニット160の各切断刃161,162が接触する前の側面図である。図6のS2は、切断ユニット160の各切断刃161,162が溶融ガラスLGを切り出したときの側面図である。図6のS3は、ゴブGGが落下する状態を示す側面図である。図6のS4は、プレスユニット120がゴブGGをプレス成形している状態の側面図である。
図6のS1に示されるように、溶融ガラスLGは、溶融ガラス流出口111から連続的に流出される。このとき、図6のS2に示されるように、所定のタイミングで上側切断刃161と下側切断刃162を駆動し、溶融ガラスLGを切断する。これにより、切断された溶融ガラスは、ゴブGGとなる。図6のS2に示される例では、切断ユニット160を駆動する度に、例えば、半径10mm程度のゴブGGが形成されるように、溶融ガラスLGの時間当たりの流出量や切断ユニット160の駆動間隔が調整される。
ここで、切断された時点(溶融ガラスLGから切り離された時点)のゴブGGの形状は、そのゴブGGの鉛直方向の中心を通る水平面に対して上下非対称な形状である。なお、切断された時点のゴブGGの水平投影面における鉛直方向の最長寸法と、鉛直投影面における水平方向の最長寸法の比は、例えば1:1.5〜3である。このようなゴブGGの形状に場合に特に落下の不安定化が生じやすい。また、ゴブGGの重量は、7〜15gである。
作られたゴブGGは、図6のS3に示されるように、プレスユニット120の第1の型121と第2の型122の隙間に向かって落下する。このとき、ゴブGGが各案内部材163に接触しながら落下することにより、ゴブGGの落下軌道が安定化される。そして、ゴブGGが第1の型121と第2の型122の隙間に入るタイミングで、第1の型121と第2の型122が互いに近づくように、第1駆動部125及び第2駆動部126が駆動される。これにより、図6のS4に示されるように、第1の型121と第2の型122の間にゴブGGが捕獲(キャッチ)される。この場合、ゴブGGの落下軌道が安定化されているので、ゴブGGと各型121,122のプレス面121a,122aとの最初の接触領域が一定となる。さらに、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aとが、所定の間隔にて近接した状態になり、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの間に挟み込まれたゴブGGが、薄板状に成形される。
なお、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの間隔を一定に維持するために、第1の型121のプレス面121a及び第2の型122のプレス面122aの各々には、突起状のスペーサ121b,122bが設けられる。各スペーサ121b,122bが互いに当接することによって、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの間隔は一定に維持されて、板状の空間が作られる。
第1の型121及び第2の型122には、図示しない温度調節機構が設けられている。第1の型121及び第2の型122の温度は、温度調節機構により、溶融ガラスLGの歪点以下の温度に調整されていることが好ましい。
ゴブGGが第1の型121のプレス面121a又は第2の型122のプレス面122aに接触してから、第1の型121と第2の型122とがゴブGGを完全に閉じ込める状態になるまでの時間は約0.06秒と極めて短い。このため、ゴブGGは極めて短時間の内に第1の型121のプレス面121a及び第2の型122のプレス面122aに沿って広がって略円形状に成形され、さらに、冷却されて非晶質のガラスとして固化する。これによって、ガラスブランクGが作製される。
なお、本実施形態において成形されるガラスブランクGは、目的とする磁気ディスク用ガラス基板の大きさにもよるが、例えば、直径75〜80mm、厚さ約1mmの円形状の板である。
なお、本実施形態において成形されるガラスブランクGは、目的とする磁気ディスク用ガラス基板の大きさにもよるが、例えば、直径75〜80mm、厚さ約1mmの円形状の板である。
第1の型121と第2の型122が閉じられた後、プレスユニット120は速やかに退避位置に移動する。続いて、他のプレスユニット130がキャッチ位置に移動し、このプレスユニット130によって、ゴブGGのプレスが行われる。
プレスユニット120が退避位置に移動した後、ガラスブランクGが十分に冷却されるまで(例えば、屈服点よりも低い温度となるまで)、第1の型121と第2の型122は閉じた状態を維特する。この後、第1駆動部123及び第2駆動部124が駆動されて第1の型121と第2の型122が離間し、ガラスブランクGは、プレスユニット120を離れて落下し、下部にあるコンベア171に受け止められる(図4参照)。
本実施形態では、0.1秒以内(約0.06秒)という極めて短時間の間に第1の型121と第2の型122が閉じられ、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの全体に、略同時に溶融ガラスが接触することになる。このため、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aが局所的に加熱されることが抑制され、プレス面121aとプレス面122aに歪みは殆ど生じない。
また、ゴブGGから第1の型121及び第2の型122に熱が移動する前に、ゴブGGが円形状に成形されるため、成形されるガラスブランクGの温度分布は略一様となる。このため、溶融ガラスの冷却時、ガラス材料の収縮量の分布は小さく、ガラスブランクGの歪みが発生しにくい。したがって、作製されたガラスブランク材Gの主表面の平面度は、従来のプレス成形により作製されるガラスブランクに比べて向上し、磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平面度にすることができる。
また、プレス面121a及びプレス面122aの表面の粗さは、ガラスブランクGの算術平均粗さRaが0.01μm〜10μmとなるように、好ましくは、0.01μm〜1μmとなるように、調整することができる。
図7は、図5に示す実施形態の変形例を説明する図である。図7に示すように、複数の案内部材163は、鉛直方向に間隔をおいて設けられてもよい。この場合においても、ゴブGGが各案内部材163に接触しながら落下することにより、ゴブGGの落下軌道を安定させることができる。また、図8に示すように、案内部材163を上側切断刃161の下面に一体に設けてもよい。この場合、案内部材163は、鉛直下方に延びた形状を有し、一対の切断刃161,162が交差したとき(つまり、溶融ガラスLGの切断によりゴブGGが得られたとき)に、鉛直下方の先端がキャッチ位置に向くように形成されている。これにより、図8に示すように、ゴブGGが案内部材163に接触しながら落下することにより、溶融ガラスの切断の際の一対の切断刃による押し出しに起因して生じたゴブGGの回転モーメントを打ち消すことにより、切断後のゴブGGの落下の回転を規制することができ、ゴブGGの落下軌道を安定させることができる。
(b)スクライブ工程(ステップS20)
次に、スクライブ工程について説明する。プレス成形工程の後、スクライブ工程では、成形されたガラスブランクGに対してスクライブが行われる。
ここでスクライブとは、成形されたガラスブランクGを所定のサイズのリング形状とするために、ガラスブランクGの表面に超鋼合金製あるいはダイヤモンド粒子からなるスクライバにより2つの同心円(内側同心円および外側同心円)状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。2つの同心円の形状にスクライブされたガラスブランクGは、部分的に加熱され、ガラスブランクGの熱膨張の差異により、外側同心円の外側部分および内側同心円の内側部分が除去される。これにより、円環状のガラス基板が得られる。
なお、ガラスブランクGに対してコアドリル等を用いて円孔を形成することにより円環状のガラス基板を得ることもできる。
次に、スクライブ工程について説明する。プレス成形工程の後、スクライブ工程では、成形されたガラスブランクGに対してスクライブが行われる。
ここでスクライブとは、成形されたガラスブランクGを所定のサイズのリング形状とするために、ガラスブランクGの表面に超鋼合金製あるいはダイヤモンド粒子からなるスクライバにより2つの同心円(内側同心円および外側同心円)状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。2つの同心円の形状にスクライブされたガラスブランクGは、部分的に加熱され、ガラスブランクGの熱膨張の差異により、外側同心円の外側部分および内側同心円の内側部分が除去される。これにより、円環状のガラス基板が得られる。
なお、ガラスブランクGに対してコアドリル等を用いて円孔を形成することにより円環状のガラス基板を得ることもできる。
(c)形状加工工程(ステップS30)
次に、形状加工工程について説明する。形状加工工程では、スクライブ工程後のガラス基板の端部に対するチャンファリング加工(外周端部および内周端部の面取り加工)を含む。チャンファリング加工は、スクライブ工程後のガラス基板の外周端部および内周端部において、ダイヤモンド砥石により面取りを施す形状加工である。面取り角度は、主表面に対して例えば40〜50度である。
次に、形状加工工程について説明する。形状加工工程では、スクライブ工程後のガラス基板の端部に対するチャンファリング加工(外周端部および内周端部の面取り加工)を含む。チャンファリング加工は、スクライブ工程後のガラス基板の外周端部および内周端部において、ダイヤモンド砥石により面取りを施す形状加工である。面取り角度は、主表面に対して例えば40〜50度である。
(d)固定砥粒による研削工程(ステップS40)
固定砥粒による研削工程では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、形状加工工程後のガラス基板の主表面に対して研削加工(機械加工)を行う。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研削することができる。
固定砥粒による研削工程では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、形状加工工程後のガラス基板の主表面に対して研削加工(機械加工)を行う。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研削することができる。
(e)端面研磨工程(ステップS50)
次に、端面研磨工程について説明する。固定砥粒による研削工程後、端面研磨工程では、ガラス基板の端面研磨が行われる。
端面研磨では、ガラス基板の内周端面及び外周端面に対して、ブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵等が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティの発生の防止や、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。
次に、端面研磨工程について説明する。固定砥粒による研削工程後、端面研磨工程では、ガラス基板の端面研磨が行われる。
端面研磨では、ガラス基板の内周端面及び外周端面に対して、ブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵等が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティの発生の防止や、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。
(f)第1研磨(主表面研磨)工程(ステップS60)
次に、端面研磨工程後のガラス基板の主表面に第1研磨が施される。第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したキズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。
第1研磨工程では、例えば、遊星歯車機構を備えた両面研磨装置を用いて、研磨液を与えながら研磨する。第1研磨工程では、固定砥粒による研削と異なり、固定砥粒の代わりにスラリーに混濁した遊離砥粒を用いる。第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させた酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒などが用いられる。両面研磨装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。なお、下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッドが取り付けられている。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研磨することができる。
次に、端面研磨工程後のガラス基板の主表面に第1研磨が施される。第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したキズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。
第1研磨工程では、例えば、遊星歯車機構を備えた両面研磨装置を用いて、研磨液を与えながら研磨する。第1研磨工程では、固定砥粒による研削と異なり、固定砥粒の代わりにスラリーに混濁した遊離砥粒を用いる。第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させた酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒などが用いられる。両面研磨装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。なお、下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッドが取り付けられている。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研磨することができる。
(g)化学強化工程(ステップS70)
次に、第1研磨工程後のガラス基板は化学強化される。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60重量%)と硫酸ナトリウム(40重量%)の混合液等を用いることができる。化学強化工程では、化学強化液を例えば300℃〜400℃に加熱し、洗浄したガラス基板を例えば200℃〜300℃に予熱した後、ガラス基板を化学強化液中に、例えば3時間〜4時間浸漬する。この浸漬の際には、ガラス基板の両主表面全体が化学強化されるように、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
次に、第1研磨工程後のガラス基板は化学強化される。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60重量%)と硫酸ナトリウム(40重量%)の混合液等を用いることができる。化学強化工程では、化学強化液を例えば300℃〜400℃に加熱し、洗浄したガラス基板を例えば200℃〜300℃に予熱した後、ガラス基板を化学強化液中に、例えば3時間〜4時間浸漬する。この浸漬の際には、ガラス基板の両主表面全体が化学強化されるように、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。
なお、化学強化処理されたガラス基板は洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水等で洗浄される。
なお、化学強化処理されたガラス基板は洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水等で洗浄される。
(h)第2研磨(最終研磨)工程(ステップS80)
次に、化学強化工程後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨工程は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨工程では、例えば、第1研磨工程で用いた両面研磨装置を用いる。このとき、第1研磨工程と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
次に、化学強化工程後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨工程は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨工程では、例えば、第1研磨工程で用いた両面研磨装置を用いる。このとき、第1研磨工程と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
第2研磨工程に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子が用いられる。
研磨されたガラス基板を中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨工程を実施することは必ずしも必須ではないが、ガラス基板の主表面の表面凹凸のレベルをさらに良好なものとすることができる点で実施することが好ましい。第2研磨工程を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.1nm以下かつ上記主表面のマイク
ロウェービネス(MW−Rq)を0.1nm以下とすることができる。
研磨されたガラス基板を中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨工程を実施することは必ずしも必須ではないが、ガラス基板の主表面の表面凹凸のレベルをさらに良好なものとすることができる点で実施することが好ましい。第2研磨工程を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.1nm以下かつ上記主表面のマイク
ロウェービネス(MW−Rq)を0.1nm以下とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、切断工程からプレス工程までの間では、プレス位置での各型121,122のプレス面121a,122aにおけるゴブGGとの最初の接触領域が一定となるように、ゴブGGの落下を案内している。
これにより、各型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、各型121,122のプレス面121a,122a内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクGの個体の面内での平面度のばらつきを軽減できるとともに、ガラスブランクGの個体間の平面度ばらつきを軽減できる。この結果、研削工程や研磨工程などの加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスク用ガラス基板の製造効率を向上させることができる。
これにより、各型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、各型121,122のプレス面121a,122a内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクGの個体の面内での平面度のばらつきを軽減できるとともに、ガラスブランクGの個体間の平面度ばらつきを軽減できる。この結果、研削工程や研磨工程などの加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスク用ガラス基板の製造効率を向上させることができる。
さらにまた、切断された時点のゴブGGの形状は、そのゴブGGの中心を通る水平面に対して上下非対称な形状であるため、ゴブGGが落下中に回転する場合には、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置がプレスの度にばらつきが生じてしまう。これに対して、本実施形態では、ゴブGGの回転が抑えられるため、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置の精度をより向上させることができ、型のプレス面内の温度分布のプレス毎のばらつきがより小さくなり、ガラスブランクの固体面内の平面度と個体間の平面度とのばらつきをより軽減できる。
次に、本実施形態について、効果を確認するために、次の実験を行った。
ゴブの直径を20mm、ゴブの重量を10gとし、図7に示すような複数の案内部材163によってゴブの落下を案内した場合について、100枚のガラスブランクを成形し、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値を測定した。なお、落下位置のずれについては、金型のプレス成形面の中心位置に予め形成した凹凸が、ガラスブランクのどの位置に形成されたかを、ガラスブランクの最大径の中心位置からの当該凹凸までの距離を測定して求めた。また、成形されたガラスブランクの平面度を、市販のフラットネステスターを用いて測定し、平面度のばらつきの値を取得した。この結果を例1〜3として表1に示す。なお、例1〜3のそれぞれは、鉛直方向で隣り合う案内部材間の間隔が異なっている。またこれと同様に、案内部材を用いない場合についても、100枚のガラスブランクを成形し、100枚のプレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値と、成形されたガラスブランクの平面度のばらつき幅とを測定した。この結果を例4として表1に示す。
ゴブの直径を20mm、ゴブの重量を10gとし、図7に示すような複数の案内部材163によってゴブの落下を案内した場合について、100枚のガラスブランクを成形し、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値を測定した。なお、落下位置のずれについては、金型のプレス成形面の中心位置に予め形成した凹凸が、ガラスブランクのどの位置に形成されたかを、ガラスブランクの最大径の中心位置からの当該凹凸までの距離を測定して求めた。また、成形されたガラスブランクの平面度を、市販のフラットネステスターを用いて測定し、平面度のばらつきの値を取得した。この結果を例1〜3として表1に示す。なお、例1〜3のそれぞれは、鉛直方向で隣り合う案内部材間の間隔が異なっている。またこれと同様に、案内部材を用いない場合についても、100枚のガラスブランクを成形し、100枚のプレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値と、成形されたガラスブランクの平面度のばらつき幅とを測定した。この結果を例4として表1に示す。
また、例1の場合では、100枚中70枚のガラスブランクで片面30μmの取りしろでシアマークを除去することが出来た。例2の場合では、100枚中97枚のガラスブランクで100μm(片面50μm)の取りしろでシアマークを除去することが出来た。例3の場合では、100枚中全てのガラスブランクで100μmの取りしろでシアマークを除去することが出来た。これに対して、例4の場合には、100μmの取りしろでシアマークを除去することが出来たのは100枚中51枚であった。つまり、押圧力を溶融ガラスに加えずに切断した場合には、ゴブの回転によって、プレスする際に、ゴブの切断部が最初に金型に接して、シアマークが深くなっていたものと考えられる。
従って、例1〜3について、案内部材を用いることによって、ゴブの落下安定性が向上したことが確認され、ガラスブランクの平面度ばらつきの向上とシアマークの深さばらつきの低減が確認された。また、鉛直方向で隣り合う案内部材間の間隔が狭い方が、その間隔が広い場合に比べて、ガラスブランクの平面度のばらつきがより向上する点が確認された。
従って、例1〜3について、案内部材を用いることによって、ゴブの落下安定性が向上したことが確認され、ガラスブランクの平面度ばらつきの向上とシアマークの深さばらつきの低減が確認された。また、鉛直方向で隣り合う案内部材間の間隔が狭い方が、その間隔が広い場合に比べて、ガラスブランクの平面度のばらつきがより向上する点が確認された。
(3)変形例1
以下、上述した実施形態についての変形例1について図9を参照して説明する。図9のS1は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図9のS2は、ゴブGGが作られた状態を示す図であり、図9のS3は、ゴブGGが落下する状態を示す図であり、図9のS4は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
以下、上述した実施形態についての変形例1について図9を参照して説明する。図9のS1は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図9のS2は、ゴブGGが作られた状態を示す図であり、図9のS3は、ゴブGGが落下する状態を示す図であり、図9のS4は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
本変形例が実施形態と異なる点は、切断工程からプレス工程までの間では、水平方向に流れる空気の押圧によりゴブGGの落下を案内する点にある。具体的に説明すると、各切断刃161,162の下方近傍には、図示しない複数の送風装置が溶融ガラス流出口111を中心として所定の間隔で設けられている。そして、図9のS1に示すように、送風装置から送られた所定量の空気が、溶融ガラス流出口111の真下の位置に向かって水平方向に流れるようになっている。
次に、図9のS2に示すように、所定のタイミングで上側切断刃161と下側切断刃162を駆動し、溶融ガラスLGを切断する。このとき、溶融ガラスLGから切り出されたゴブGGは、図9のS3に示すように、プレスユニット120の第1の型121と第2の型122の隙間に向かって落下する。この場合、落下中のゴブGGの水平方向への移動は、空気により押圧されることで規制される。これにより、ゴブGGは溶融ガラス流出口111から真下に落下するように案内されるため、ゴブGGの落下軌道を安定させることができる。そして、ゴブGGは、図9のS4に示すように、第1の型121と第2の型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状のガラスブランクGが作製される。なお、空気による押圧力の大きさは、落下中のゴブGGの水平方向の移動又は落下中のゴブGGの回転が規制される程度であってよい。例えば、風圧が0.5MPa以上で3MPa以下、風量が10L/分〜100L/分、空気の温度が室温以上であることが好ましい。
本変形例では、実施形態と同様に、ゴブGGの落下軌道を安定させることができるので、各型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、各型121,122のプレス面121a,122a内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクGの個体の面内での平面度のばらつきを軽減できるとともに、ガラスブランクGの個体間の平面度ばらつきを軽減できる。この結果、研削工程や研磨工程などの加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスク用ガラス基板の製造効率を向上させることができる。
(4)変形例2
以下、上述した実施形態についての変形例2について説明する。まず、図8に示す構成例では、案内部材163を用いた場合について説明した。これに対して、本変形例では、図8に示す案内部材163を省略し、上側切断刃161の駆動速度と下側切断刃162の駆動速度とを互いに変化させても、図8に示す構成と同様に、ゴブGGの回転を規制することができる。具体的に、上側切断刃161の駆動速度を下側切断刃162の駆動速度よりも速くすることによって、下側切断刃162の押し出しにより生じるゴブGGの回転モーメントを低減することができ、落下中のゴブGGの回転を抑えることができる。以下の表2に上側切断刃161の駆動速度に対して下側切断刃162の駆動速度を変化させた場合の落下位置ずれの平均値とガラスブランクの平面度ばらつきの値を示す。表2には、各例で100枚のガラスブランクを成形した場合の落下位置ずれの平均値、及び100μm(片面50μm)研削した際のシアマーク除去率を示す。
以下、上述した実施形態についての変形例2について説明する。まず、図8に示す構成例では、案内部材163を用いた場合について説明した。これに対して、本変形例では、図8に示す案内部材163を省略し、上側切断刃161の駆動速度と下側切断刃162の駆動速度とを互いに変化させても、図8に示す構成と同様に、ゴブGGの回転を規制することができる。具体的に、上側切断刃161の駆動速度を下側切断刃162の駆動速度よりも速くすることによって、下側切断刃162の押し出しにより生じるゴブGGの回転モーメントを低減することができ、落下中のゴブGGの回転を抑えることができる。以下の表2に上側切断刃161の駆動速度に対して下側切断刃162の駆動速度を変化させた場合の落下位置ずれの平均値とガラスブランクの平面度ばらつきの値を示す。表2には、各例で100枚のガラスブランクを成形した場合の落下位置ずれの平均値、及び100μm(片面50μm)研削した際のシアマーク除去率を示す。
表2に示すように、上側切断刃161の駆動速度を下側切断刃162よりも速めたほうが、ゴブの落下安定性が向上したことが確認され、シアマークの深さばらつきの低減が確認された。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、第1の磁気ディスク用ガラス基板に対して、プレス成形工程のみが異なる。以下では主として、プレス成形工程において第1の実施形態と異なる特徴について説明する。
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、第1の磁気ディスク用ガラス基板に対して、プレス成形工程のみが異なる。以下では主として、プレス成形工程において第1の実施形態と異なる特徴について説明する。
(1)本実施形態のプレス成形工程
本実施形態のプレス成形工程において、切断ユニット160には、図10に示すように、切断工程において切り出される溶融ガラスLGを、溶融ガラスLGの経路上で押さえるための一対の押さえ部材(第1の押さえ部材163及び第2の押さえ部材164)が設けられている。各押さえ部材161,162は、各切断刃161,162の下方近傍に設けられており、溶融ガラス流出口111の真下の位置を中心として水平方向に互いに対向配置されている。各押さえ部材163,164は、図示しない移動機構によって駆動され、各押さえ部材163,164間の中心(つまり、溶融ガラス流出口111の真下の位置)に対して水平方向に進退可能となっている。
本実施形態のプレス成形工程において、切断ユニット160には、図10に示すように、切断工程において切り出される溶融ガラスLGを、溶融ガラスLGの経路上で押さえるための一対の押さえ部材(第1の押さえ部材163及び第2の押さえ部材164)が設けられている。各押さえ部材161,162は、各切断刃161,162の下方近傍に設けられており、溶融ガラス流出口111の真下の位置を中心として水平方向に互いに対向配置されている。各押さえ部材163,164は、図示しない移動機構によって駆動され、各押さえ部材163,164間の中心(つまり、溶融ガラス流出口111の真下の位置)に対して水平方向に進退可能となっている。
各押さえ部材163,164は、溶融ガラスLGが各切断刃161,162によって切断される際、各押さえ部材163,164間の中心に向かって移動し、溶融ガラス流出口111と繋がった状態の溶融ガラスLGに当接して水平方向に向けた押圧力を加える。この押圧力の大きさは、溶融ガラスLGの水平方向の移動が規制される程度であってよい。また、溶融ガラスLGが切り出されてゴブが得られると、各押さえ部材163,164は互いに離間する方向に移動する。このとき、ゴブは、キャッチ位置に向かって落下する。この場合、溶融ガラスLGの切断時に各切断刃161,162から押圧されることに基づく回転モーメントがゴブ(各押さえ部材163,164から押圧されている部分を含む)に生じ難くなる。このため、ゴブの落下安定性(すなわち、回転及び落下軌道の安定性)が向上する。
また、溶融ガラスLGが各押さえ部材163,164によって押さえられた状態で切断されることにより、溶融ガラスLGが押さえられていない状態で切断される場合と比較して、溶融ガラスLGの切断具合が良好となる。このため、溶融ガラスLGの切断時における各切断刃161,162の負荷を低減することができるので、各切断刃161,162の使用可能期間を長期化することができ、各切断刃161,162の交換に係るコストなどを低減することができる。
各押さえ部材163,164を構成する材料は特に限定されないが、溶融ガラスLGに当接して押圧する必要があることから、溶融ガラスLGの熱を奪わない耐熱性を有することが好ましい。また、各押さえ部材163,164は、溶融ガラスLGから切り出されたゴブを落下させる際にゴブが付着することを防ぐために、ガラスに対する濡れ性が低い材料で構成されることが好ましい。ガラスの濡れ性については、例えば、各押さえ部材163,164は、セラミックなどから構成されてもよいし、表面にめっき(例えば金めっきやプラチナめっきなど)加工が施された材料から構成されてもよい。
また、各押さえ部材163,164の溶融ガラスLGに当接する部分の面積は、各押さえ部材163,164を介して放出される溶融ガラスLGの熱量を低減するという観点から、小さく形成されることが好ましい。
次に、図11に示される側面図を参照して、本実施形態のプレス成形工程について説明する。図11のS1は、溶融ガラスLGと切断ユニット160の各切断刃161,162が接触する前の側面図である。図11のS2は、切断ユニット160の各切断刃161,162が溶融ガラスLGを切り出したときの側面図である。図11のS3は、切断ユニット160の各押さえ部材163,164が互いに離間する方向に移動したときの側面図である。図11のS4は、プレスユニット120が溶融ガラスの塊GGをプレス成形している状態の側面図である。
図11のS1に示されるように、溶融ガラスLGは、溶融ガラス流出口111から連続的に流出される。このとき、各押さえ部材163,164は互いに近接するように水平方向に移動し、溶融ガラスLGに当接して水平方向に押圧する。これにより、溶融ガラスLGの水平方向への移動が規制される。図11のS2に示されるように、所定のタイミングで上側切断刃161と下側切断刃162を駆動し、溶融ガラスLGを切断する。これにより、切断された溶融ガラスがゴブGGとなる。図11のS2に示される例では、切断ユニット160を駆動する度に、例えば、半径10mm程度のゴブGGが形成されるように、溶融ガラスLGの時間当たりの流出量や切断ユニット160の駆動間隔が調整される。
ここで、切断された時点(溶融ガラスLGから切り離された時点)のゴブGGの形状は、そのゴブGGの鉛直方向の中心を通る水平面に対して上下非対称な形状である。なお、切断された時点のゴブGGの鉛直水平投影面における鉛直方向の最長寸法と、その鉛直投影面における水平方向の最長寸法の比は、例えば1:1.5〜3である。このようなゴブGGの形状に場合に特に落下の不安定化が生じやすい。また、ゴブGGの重量は、7〜15gである。
作られたゴブGGは、図11のS3に示されるように、各押さえ部材163,164が互いに離間するように水平方向に移動することによって、プレスユニット120の第1の金型121と第2の金型122の隙間に向かって落下する。このとき、ゴブGGが第1の金型121と第2の金型122の隙間に入るタイミングで、第1の金型121と第2の金型122が互いに近づくように、第1駆動部125及び第2駆動部126が駆動される。これにより、図11のS4に示されるように、第1の金型121と第2の金型122の間にゴブGGが捕獲(キャッチ)される。さらに、第1の金型121のプレス面121aと第2の金型122のプレス面122aとが、所定の間隔にて近接した状態になり、第1の金型121のプレス面121aと第2の金型122のプレス面122aの間に挟み込まれたゴブGGが、薄板状に成形される。
図12は、図11に示す実施形態の変形例を説明する図である。この変形例では、第1の押さえ部材163が上側切断刃161と一体に設けられ、且つ、第2の押さえ部材164が下側切断刃162と一体に設けられている。図12のS1は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図12のS2は、各押さえ部材163,164によって溶融ガラスLGの水平方向への移動が規制された状態でゴブGGが作られた状態を示す図であり、図12のS3は、各押さえ部材163,164が離間するように切断ユニット160が駆動されることによりゴブGGが落下する状態を示す図であり、図12のS4は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
図12のS1に示すように、溶融ガラスLGは、溶融ガラス流出口111から連続的に流出される。次に、図12のS2に示すように、所定のタイミングで上側切断刃161と下側切断刃162を駆動し、溶融ガラスLGを切断する。このとき、溶融ガラスLGから切り出されたゴブGGは、各切断刃161,162に設けられた各押さえ部材163,164によって保持された状態となっている。この後、図12のS3に示すように、各押さえ部材163,164が互いに離間するように水平方向に移動することによって、ゴブGGは、プレスユニット120の第1の金型121と第2の金型122の隙間に向かって落下する。そして、ゴブGGは、図12のS4に示すように、第1の金型121と第2の金型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状のガラスブランクGが作製される。
以上説明したように、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、プレス成形工程の切断工程において、溶融ガラスLGの水平方向への移動を規制するように、水平方向に向けた押圧力をガラス流出口111(供給部)と繋がった状態の溶融ガラスLGに加えた状態(押さえた状態)で、溶融ガラスLGを切断している。
これにより、溶融ガラスLGの切断時に各切断刃161,162から押圧されることに基づく回転モーメントがゴブGGに生じ難くなる。このため、ゴブGGの落下安定性(すなわち、回転及び落下軌道の安定性)が向上する。
これにより、溶融ガラスLGの切断時に各切断刃161,162から押圧されることに基づく回転モーメントがゴブGGに生じ難くなる。このため、ゴブGGの落下安定性(すなわち、回転及び落下軌道の安定性)が向上する。
また、ゴブGGの落下安定性が向上するため、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、各金型121,122のプレス面121a,122a内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクGの個体間の平面度のばらつきを軽減できる。この結果、加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスクの製造効率を向上させることができる。
さらに、ガラスブランクGのシアマークの位置及び深さの個体間のばらつきが低減し、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
さらに、ガラスブランクGのシアマークの位置及び深さの個体間のばらつきが低減し、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
さらにまた、切断された時点のゴブGGの形状は、そのゴブGGの中心を通る水平面に対して上下非対称な形状であるため、ゴブGGが落下中に回転する場合には、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置がプレスの度にばらつきが生じてしまう。これに対して、本実施形態では、ゴブGGの回転が抑えられるため、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGGとの最初の接触位置の精度をより向上させることができ、型のプレス面内の温度分布のプレス毎のばらつきがより小さくなり、ガラスブランクの固体面内の平面度と個体間の平面度とのばらつきをより軽減できる。
次に、本実施形態について、効果を確認するために、次の実験を行った。
ゴブの直径を20mm、ゴブの重量を10gとし、ガラス流出口と繋がった状態の溶融ガラスに押さえ部材により押圧力を溶融ガラスに加えて切断した場合について、100枚のガラスブランクを成形し、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値を測定した。なお、落下位置のずれについては、金型のプレス成形面の中心位置に予め形成した凹凸が、ガラスブランクのどの位置に形成されたかを、ガラスブランクの最大径の中心位置からの当該凹凸までの距離を測定して求めた。
また、成形されたガラスブランクの平面度を、市販のフラットネステスターを用いて測定し、100枚のガラスブランクの平面度のばらつきの値を取得した。これと同様に、ガラス流出口と繋がった状態の溶融ガラスに押圧力を加えない状態で切断した場合についても、100枚のガラスブランクを成形し、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値と、成形されたガラスブランクの平面度のばらつきの値とを測定した。
ゴブの直径を20mm、ゴブの重量を10gとし、ガラス流出口と繋がった状態の溶融ガラスに押さえ部材により押圧力を溶融ガラスに加えて切断した場合について、100枚のガラスブランクを成形し、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値を測定した。なお、落下位置のずれについては、金型のプレス成形面の中心位置に予め形成した凹凸が、ガラスブランクのどの位置に形成されたかを、ガラスブランクの最大径の中心位置からの当該凹凸までの距離を測定して求めた。
また、成形されたガラスブランクの平面度を、市販のフラットネステスターを用いて測定し、100枚のガラスブランクの平面度のばらつきの値を取得した。これと同様に、ガラス流出口と繋がった状態の溶融ガラスに押圧力を加えない状態で切断した場合についても、100枚のガラスブランクを成形し、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれの平均値と、成形されたガラスブランクの平面度のばらつきの値とを測定した。
その結果、押圧力を溶融ガラスに加えて切断した場合には、ゴブの落下位置のずれの平均値が4mmであり、ガラスブランクの平面度のばらつきは10μmであった。また、押圧力を溶融ガラスに加えて切断した場合には、100枚全て100μm(片面50μm)の取りしろでシアマークを除去することが出来た。これに対して、押圧力を溶融ガラスに加えずに切断した場合には、ゴブの落下位置のずれの平均値が25mmであり、ガラスブランクの平面度のばらつきは50μmであった。また、押圧力を溶融ガラスに加えずに切断した場合には、100μm(片面50μm)の取りしろでシアマークを除去することが出来たのは100枚中51枚であった。つまり、押圧力を溶融ガラスに加えずに切断した場合には、ゴブの回転によって、プレスする際に、ゴブの切断部が最初に金型に接して、シアマークが深くなっていたものと考えられる。
従って、本実施形態について、ゴブの落下安定性が向上したことが確認され、ガラスブランクの平面度ばらつきの向上とシアマークの深さばらつきの低減が確認された。
従って、本実施形態について、ゴブの落下安定性が向上したことが確認され、ガラスブランクの平面度ばらつきの向上とシアマークの深さばらつきの低減が確認された。
(2)変形例
以下、上述した実施形態についての変形例について説明する。
(2−1)変形例1
上述した実施形態の変形例1について図13を参照して説明する。図13のS1は、溶融ガラスLGと各切断刃161,162が接触する前の平面図であり、図13のS2は、溶融ガラスLGと各切断刃161,162が接触するタイミングの平面図である。
以下、上述した実施形態についての変形例について説明する。
(2−1)変形例1
上述した実施形態の変形例1について図13を参照して説明する。図13のS1は、溶融ガラスLGと各切断刃161,162が接触する前の平面図であり、図13のS2は、溶融ガラスLGと各切断刃161,162が接触するタイミングの平面図である。
本変形例が実施形態と異なる点は、切断工程において、各押さえ部材163,164を用いることなく、溶融ガラスLGの水平方向への移動を規制するように構成した点にある。具体的に説明すると、図13のS1に示すように、下側切断刃162における溶融ガラスLGとの接触面162a(接触部位)は、溶融ガラスの水平方向の変位を押さえるように、上側切断刃161から離れる方向へ向けて凸となるように湾曲し、鉛直方向に厚みをもつように構成されている。
この場合、図13のS2に示すように、下側切断刃162の接触面162aで溶融ガラスLGと接し、下側切断刃162が溶融ガラスLGと接した状態で上側切断刃161との協働により溶融ガラスLGが切断される。このとき、下側切断刃162と溶融ガラスLGとの接触面積が比較的大きいため、下側切断刃162の接触面162aによって切り出されたゴブGGの水平方向への移動が規制され、切断工程での回転モーメントがゴブGGに発生しにくくなる。このため、ゴブの落下中の回転が押さえられ、ゴブの落下安定性が向上する。
(2−2)変形例2
上述した実施形態の変形例2について図14を参照して説明する。図12のS1は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図14のS2は、溶融ガラスLGの水平方向への移動が規制された状態でゴブGGが作られた状態を示す図であり、図14のS3は、ゴブGGが落下する状態を示す図であり、図14のS4は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
上述した実施形態の変形例2について図14を参照して説明する。図12のS1は、ゴブを作る前の状態を示す図であり、図14のS2は、溶融ガラスLGの水平方向への移動が規制された状態でゴブGGが作られた状態を示す図であり、図14のS3は、ゴブGGが落下する状態を示す図であり、図14のS4は、ゴブGGをプレス成形してガラスブランクGが作られた状態を示す図である。
本変形例が実施形態と異なる点は、切断工程において、溶融ガラスLGが水平方向に流れる空気によって押圧された状態で、溶融ガラスLGを切断するように構成した点にある。具体的に説明すると、各切断刃161,162の下方近傍には、図示しない複数の送風装置が溶融ガラス流出口111を中心として所定の間隔で設けられている。そして、図14のS1に示すように、送風装置から送られた所定量の空気が、溶融ガラス流出口111の真下の位置に向かって水平方向に流れるようになっている。この場合、溶融ガラスLGが空気によって所定の押圧力を受けることにより、溶融ガラスLGの水平方向への移動が規制される。なお、空気による押圧力の大きさは、溶融ガラスLGの水平方向の移動が規制される程度であってよい。
次に、図14のS2に示すように、所定のタイミングで上側切断刃161と下側切断刃162を駆動し、溶融ガラスLGを切断する。このとき、溶融ガラスLGから切り出されたゴブGGは、空気によって水平方向への移動が規制され、図14のS3に示すように、プレスユニット120の第1の金型121と第2の金型122の隙間に向かって落下する。そして、ゴブGGは、図14のS4に示すように、第1の金型121と第2の金型122とに挟まれてプレス成形されることにより、円形状のガラスブランクGが作製される。
本変形例では、実施形態と同様に、プレス成形工程の切断工程において、溶融ガラスLGの水平方向への移動を規制するように、水平方向に向けた押圧力をガラス流出口111(供給部)と繋がった状態の溶融ガラスLGに加えた状態で、溶融ガラスLGを切断している。
これにより、溶融ガラスLGの切断時に各切断刃161,162から押圧されることに基づく回転モーメントがゴブGGに生じ難くなる。このため、ゴブGGの落下安定性(すなわち、回転及び落下軌道の安定性)が向上する。
これにより、溶融ガラスLGの切断時に各切断刃161,162から押圧されることに基づく回転モーメントがゴブGGに生じ難くなる。このため、ゴブGGの落下安定性(すなわち、回転及び落下軌道の安定性)が向上する。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
なお、上記実施形態では、空中の所定のプレス位置でゴブをプレスする構成について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、ゴブを落下させてプレスする構成であれば、本発明を適用することができる。例えば、一方の金型でゴブを受けて、その後プレスするような構成であっても、本発明を適用することができる。
Claims (13)
- 一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、
水平方向に互いに対向配置され、かつ鉛直方向に互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
を含み、
前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因して生じた溶融ガラスの塊の回転モーメントを打ち消すように、前記プレス位置へ前記塊の落下を案内する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、
水平方向に互いに対向配置され、かつ鉛直方向に互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
を含み、
前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因して生じた溶融ガラスの塊の回転モーメントを打ち消すことにより、切断後の前記塊の落下の回転を規制する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、
水平方向に互いに対向配置され、かつ鉛直方向に互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
を含み、
前記切断工程から前記プレス工程までの間では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因して生じた溶融ガラスの塊の回転モーメントを打ち消すように、前記一対の切断刃のうちの上側に配置された切断刃の駆動速度を、下側に配置された切断刃よりも速めることにより、切断後の前記塊の落下の回転を規制する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 前記プレス工程では、前記切断工程で切断されてなる落下中の前記溶融ガラスの塊を、前記落下方向の両側から前記一対の型でプレスする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
- 前記切断工程から前記プレス工程までの間では、水平方向に流れる空気の押圧により前記塊の落下を案内する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、
水平方向で互いに対向配置され、鉛直方向で互いにずらして配置された一対の切断刃の協働により溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
を含み、
前記切断工程では、前記溶融ガラスの切断の際の前記一対の切断刃による押し出しに起因する前記溶融ガラスの水平方向への移動を規制するように、水平方向に向けた押圧力を前記供給部と繋がった状態の前記溶融ガラスに加えた状態で、前記溶融ガラスを切断する
ことを特徴とする磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 前記プレス工程では、前記切断工程で切断されてなる落下中の前記溶融ガラスの塊を、前記落下方向の両側から前記一対の型でプレスする請求項6に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
- 前記切断工程では、前記一対の切断刃の近傍に設けられた押さえ部材によって、前記溶融ガラスを押さえる
ことを特徴とする請求項6又は7記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 前記一対の切断刃は、鉛直方向で互いにずらして配置されかつ水平方向で互いに対向配置された上側切断刃及び下側切断刃であり、
前記下側切断刃における前記溶融ガラスとの接触部位は、前記溶融ガラスの水平方向の変位を押さえるように、前記上側切断刃から離れる方向へ向けて凸となるように湾曲し、鉛直方向に厚みをもつように構成されている
ことを特徴とする請求項6又は7記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 前記切断工程では、前記溶融ガラスが水平方向に流れる空気によって押圧された状態で、前記溶融ガラスを切断する
ことを特徴とする請求項6又は7記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 前記プレス工程で、前記塊の全表面のうち切断部位を除く部分と前記一対の型のプレス面が最初に接触するように、前記溶融ガラスの塊をプレス成形すべく、予めプレス位置が調整されている
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。 - 溶融ガラス流出口から流出される際の前記溶融ガラスの粘度が、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法により製造された磁気ディスク用ガラスブランクを用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製造することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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