JPWO2013140822A1 - 細胞培養基材および細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 細胞の培養に適した足場を有する細胞培養基材およびそれを利用した細胞培養方法を提供することである。【解決手段】 細胞培養基材100は、基板100と、カーボンナノウォールCNW1とを有している。基板110は、支持基板111と、金属層112とを有している。カーボンナノウォールCNW1は、基板100の板面に交差する向きに配置されている。カーボンナノウォールCNW1におけるグラフェンシートの先端部E1は、細胞を培養するための足場部である。先端部E1の炭素原子のうちの少なくとも一部に結合している化学種については、選ぶことができる。【選択図】図2
Description
本発明は、細胞培養基材および細胞培養方法に関する。さらに詳細には、カーボンを素材とする細胞培養基材およびそれを用いた細胞培養方法に関するものである。
従来、細胞を培養するのに、平底フラスコを用いた平面培養が一般的であった。しかし、それでは、細胞が本来備える酵素活性や生合成活性等の性質を十分に発揮しきれないことが分かっている(非特許文献1、2参照)。
ところで、一部の細胞、特にヒト由来の細胞は、何かに接着した状態で培養する必要がある。生体外で浮遊している状態では、長期間にわたって生存することが困難であるからである。つまり、細胞の培養には、その成長の基礎とするための足場が必要である。そのため、細胞が接着するための基材が開発されてきている。例えば、特許文献1には、カーボンナノチューブを利用した細胞培養容器およびその製造方法が開示されている。
N a t u r e 4 2 4 ,p 8 7 0 ( 2 0 0 3 )
S c i e n c e 3 0 2 ,p 4 6 ( 2 0 0 3 )
カーボンナノチューブを足場にする場合には、細胞は、グラフェンシートのシート面(側面)を足場とすることとなる。そのため、細胞を培養するための好適性は、グラフェンシートの物理的性質および化学的性質に拘束される。したがって、カーボンナノチューブのシート面(側面)に化学修飾や孔を形成する研究がなされてきている。しかしそれでもなお、カーボンナノチューブのシート面(側面)の物理的性質および化学的性質を変化させる自由度は、それほど高くない。つまり、足場の性質を著しく変えるには不十分である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、カーボンナノウォールを細胞培養基材とすると好適であることを発見した。ここで、カーボンナノウォールとは、基板の板面に交差する向きに形成されたグラフェンシートのことをいう。実際には、後述するように、各グラフェンシートは、基板に対してほぼ垂直に配置されている。そのため、グラフェンシートの先端部(エッジ)を、細胞の成長の足場とする。この場合には、グラフェンシートの間隔の異なる細胞培養基材を作成することができる。また、グラフェンシートの先端部(エッジ)の炭素原子と結合している原子を置換することにより、その化学的性質を変えることができる。
本発明は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、細胞の培養に適した足場を有する細胞培養基材およびそれを利用した細胞培養方法を提供することである。
第1の態様における細胞培養基材は、基板と、基板に形成されたカーボンナノウォールとを有するものである。そして、カーボンナノウォールのグラフェンシートの先端部が、細胞を培養するための足場部である。
この細胞培養基材では、グラフェンシートの先端部の化学的性質を制御することができる。親水性から撥水性まで、連続的に変えることができる。また、ウォール間隔等の構造など、足場の物理的性質をも制御することができる。つまり、この細胞培養基材は、培養しようとする細胞に合わせた好適な足場を有している。
第2の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートは、基板の板面に交差する向きに形成されている。
第3の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの平均ウォール間隔は、10nm以上1000nm以下の範囲内である。
第4の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの先端部の少なくとも一部の炭素原子は、炭素原子以外の原子と結合している。これにより、種々の化学種が終端基である細胞培養基材が実現されている。
第5の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの先端部の少なくとも一部の炭素原子は、酸素原子または窒素原子と結合している。この細胞培養基材は、親水性を有している。そのため、親水性の足場で生育した場合の細胞を観察することができる。
第6の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの先端部の少なくとも一部の炭素原子は、フッ素原子と結合している。そのため、撥水性の足場で生育した場合の細胞を観察することができる。
第7の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの平均ウォール間隔は、10nm以上500nm以下の範囲内である。この場合に、培養する細胞がよく増殖する。
第8の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの平均ウォール間隔は、80nm以上120nm以下の範囲内である。この場合に、培養する細胞がよく増殖する。
第9の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの平均ウォール間隔は、120nm以上200nm以下の範囲内である。細胞の低侵襲性回収を行うことができる。
第10の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの先端部の少なくとも一部の炭素原子は、水素原子と結合している。
第11の態様における細胞培養基材では、足場部での水との接触角が、1°以上170°以下の範囲内である。種々の足場の環境で、細胞を培養することができるからである。
第12の態様における細胞培養基材では、グラフェンシートの先端部をコーティングするコーティング膜を有する。
第13の態様における細胞培養基材では、コーティング膜は、コラーゲンコート処理がなされたものである。細胞の増殖を促進するとともに、細胞の分化をも促進する。
第14の態様における細胞培養方法は、細胞培養基材の上に細胞を培養する方法である。そして、細胞培養基材として、基板にカーボンナノウォールが形成されたものを用いる。また、カーボンナノウォールのグラフェンシートの先端部を、細胞を培養するための足場とする。足場の物理的性質および化学的性質を制御した上で、細胞の培養を行うことができる。
第15の態様における細胞培養方法では、細胞培養基材として、グラフェンシートが基板の板面に交差する向きに形成されているものを用いる。
第16の態様における細胞培養方法では、細胞培養基材として、先端部の少なくとも一部の炭素原子は、炭素原子以外の原子と結合しているグラフェンシートを有するものを用いる。
第17の態様における細胞培養方法では、細胞培養基材として、先端部の少なくとも一部の炭素原子が、酸素原子または窒素原子と結合しているグラフェンシートを有するものを用いる。親水性の足場で生育した場合の細胞を観察することができる。
第18の態様における細胞培養方法では、細胞培養基材として、先端部の少なくとも一部の炭素原子が、フッ素原子または水素原子と結合しているグラフェンシートを有するものを用いる。そのため、撥水性の足場で生育した場合の細胞を観察することができる。
第19の態様における細胞培養方法では、細胞培養基材として、足場部での水との接触角が、1°以上170°以下の範囲内であるものを用いる。種々の足場の環境で、細胞を培養することができるからである。
第20の態様における細胞培養方法では、細胞培養基材として、グラフェンシートの先端部をコーティングするコーティング膜を有するものを用いる。
第21の態様における細胞培養方法では、コーティング膜は、コラーゲンコート処理がなされたものである。細胞の増殖を促進するとともに、細胞の分化をも促進する。
本発明によれば、細胞の培養に適した足場を有する細胞培養基材およびそれを利用した細胞培養方法が提供されている。
以下、具体的な実施形態について、細胞培養基材および細胞培養方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
1.細胞培養基材
1−1.第1の細胞培養基材
1−1−1.第1の細胞培養基材の構造
図1は、実施形態に係る第1の細胞培養基材100を示す概略構成図である。細胞培養基材100は、動物細胞、特にヒト由来細胞を培養するために使用される細胞培養基材である。図1に示すように、細胞培養基材100は、基板110と、カーボンナノウォールCNW1と、を有している。
1−1.第1の細胞培養基材
1−1−1.第1の細胞培養基材の構造
図1は、実施形態に係る第1の細胞培養基材100を示す概略構成図である。細胞培養基材100は、動物細胞、特にヒト由来細胞を培養するために使用される細胞培養基材である。図1に示すように、細胞培養基材100は、基板110と、カーボンナノウォールCNW1と、を有している。
基板110は、支持基板111と、金属層112とを有している。支持基板111は、Si、Ge、GaAsなどの半導体基板またはSiO2 、TiO2 、Al2 O3 などの酸化物基板である。金属層112は、Ti、Ta、Ni、Co、Al、W、Fe、Pt、TiNなどの金属から成る層である。金属層112は、カーボンナノウォールの初期成長核を発生させる触媒として作用するものである。そのため、金属層112を設けることが好ましい。しかし、必ずしも必要であるわけではない。
カーボンナノウォールCNW1は、基板110の上に形成されている。カーボンナノウォールCNW1において、基板110の側には根元部R1があり、基板110の反対側には、先端部E1がある。根元部R1は、基板110に固定されている固定部である。先端部E1は、細胞を培養するための足場となる足場部である。
1−1−2.第1の細胞培養基材の微細構造
図2は、カーボンナノウォールCNW1の構造を模式的に表した図である。カーボンナノウォールCNW1において、グラフェンシートは、基板110の板面に交差する向きに形成されている。図2では、グラフェンシートと、基板110とは、ほぼ垂直である。そのため、グラフェンシートの先端には、先端部E1がある。先端部E1は、グラフェンシートの先端に位置する箇所である。そして、前述したように、先端部E1が細胞を培養するための足場となる。なお、先端部E1における炭素原子C1は、水素原子と結合している。つまり、カーボンナノウォールCNW1の終端基は、水素原子である。そして、この終端基が主に足場部としての役割を担うこととなる。
図2は、カーボンナノウォールCNW1の構造を模式的に表した図である。カーボンナノウォールCNW1において、グラフェンシートは、基板110の板面に交差する向きに形成されている。図2では、グラフェンシートと、基板110とは、ほぼ垂直である。そのため、グラフェンシートの先端には、先端部E1がある。先端部E1は、グラフェンシートの先端に位置する箇所である。そして、前述したように、先端部E1が細胞を培養するための足場となる。なお、先端部E1における炭素原子C1は、水素原子と結合している。つまり、カーボンナノウォールCNW1の終端基は、水素原子である。そして、この終端基が主に足場部としての役割を担うこととなる。
また、図2に示すように、カーボンナノウォールCNW1は、グラフェンシートを多数枚積層したものである。実際には、互いのグラフェンシートが平行に延びているわけではない。各々の初期成長核で異なる方向にグラフェンシートが成長するため、実際には、グラフェンシートがランダムに重ね合わせられた形状となっている。詳しくは、後述する。そして、図2に示すように、隣り合うグラフェンシート間の距離をウォール間隔D1ということとする。ウォール間隔D1は、細胞の足場部における足場間の距離を決めるものである。また、ウォール間隔D1を含めたカーボンナノウォールCNW1の構造を示す数値を表1に示す。ただし、これらの数値はあくまで例示であり、これらの値に限るものではない。
このウォール間隔D1の平均値である平均ウォール間隔は、カーボンナノウォールCNW1の密度と関連している。つまり、平均ウォール間隔が広いほど、カーボンナノウォールCNW1の密度は低い。逆に、平均ウォール間隔が狭いほど、カーボンナノウォールCNW1の密度は高い。
[表1]
ウォール間隔 10nm〜1000nm
ウォールの厚さ 0.3nm〜50nm
ウォールの高さ 20nm〜3000nm
ウォール間隔 10nm〜1000nm
ウォールの厚さ 0.3nm〜50nm
ウォールの高さ 20nm〜3000nm
1−2.第2の細胞培養基材
1−2−1.第2の細胞培養基材の構造
図3は、第2の細胞培養基材200を示す概略構成図である。図3に示すように、細胞培養基材200は、基板110と、カーボンナノウォールCNW2と、を有している。カーボンナノウォールCNW2における根本部R1の反対側には、先端部E2がある。カーボンナノウォールCNW2の先端部E2の側には、置換部SPが形成されている。
1−2−1.第2の細胞培養基材の構造
図3は、第2の細胞培養基材200を示す概略構成図である。図3に示すように、細胞培養基材200は、基板110と、カーボンナノウォールCNW2と、を有している。カーボンナノウォールCNW2における根本部R1の反対側には、先端部E2がある。カーボンナノウォールCNW2の先端部E2の側には、置換部SPが形成されている。
置換部SPは、カーボンナノウォールCNW2の先端部E2の炭素原子と結合する原子を、別の原子で置き換えたものである。この置換により、カーボンナノウォールCNW2の先端部E2の炭素原子は、炭素原子以外の原子と結合している。そして、この置換により、細胞培養基材200の親水性、疎水性といった性質が変化する。すなわち、細胞を培養するための足場部の化学的性質を選ぶことができる。
置換する原子として、例えば、酸素原子を用いることができる。そのため、カーボンナノウォールCNW2の先端部E2の少なくとも一部の炭素原子C1は、酸素原子と結合する。そして、先端部E2の残部の炭素原子は、水素原子と結合したままである。そのため、グラフェンシートの先端部E2の終端基は、酸素原子もしくは水素原子である。これらの置換の度合いは、置換処理の処理時間等、種々の条件により変わる。また、置換する原子として、窒素原子、フッ素原子等種々の原子が挙げられる。
1−3.第3の細胞培養基材
1−3−1.第3の細胞培養基材の構造
図4は、第3の細胞培養基材300を示す概略構成図である。図4に示すように、細胞培養基材300は、基板110と、カーボンナノウォールCNW3と、を有している。カーボンナノウォールCNW3における根元部R1の反対側には、先端部E3がある。カーボンナノウォールCNW3の先端部E3の側には、コーティング膜CMが形成されている。コーティング膜CMは、グラフェンシートの先端部を細胞と親和性のあるコーティング材でコーティングしたものである。コーティング膜CMの材質として、例えば、コラーゲンが挙げられる。細胞培養基材300におけるコーティング膜CMを除くその他の構成は、第1の細胞培養基材100と同様である。また、第2の細胞培養基材200にコーティング膜CMを形成してもよい。
1−3−1.第3の細胞培養基材の構造
図4は、第3の細胞培養基材300を示す概略構成図である。図4に示すように、細胞培養基材300は、基板110と、カーボンナノウォールCNW3と、を有している。カーボンナノウォールCNW3における根元部R1の反対側には、先端部E3がある。カーボンナノウォールCNW3の先端部E3の側には、コーティング膜CMが形成されている。コーティング膜CMは、グラフェンシートの先端部を細胞と親和性のあるコーティング材でコーティングしたものである。コーティング膜CMの材質として、例えば、コラーゲンが挙げられる。細胞培養基材300におけるコーティング膜CMを除くその他の構成は、第1の細胞培養基材100と同様である。また、第2の細胞培養基材200にコーティング膜CMを形成してもよい。
2.細胞培養基材の製造装置
続いて、細胞培養基材100を製造する製造装置について説明する。
続いて、細胞培養基材100を製造する製造装置について説明する。
図5は、製造装置1の構成を示す概略構成図である。製造装置1は、プラズマ生成室46と、反応室10とを有している。プラズマ生成室46は、その内部でプラズマを発生させるとともに、反応室10に供給するラジカルをも発生させるためのものである。反応室10は、プラズマ生成室46で生じたラジカルを利用して、カーボンナノウォールCNW1を形成するためのものである。
また、製造装置1は、導波路47と、石英窓48と、スロットアンテナ49とを、有している。導波路47は、マイクロ波39を導入するためのものである。スロットアンテナ49は、石英窓48からプラズマ生成室46にマイクロ波39を導入するためのものである。
プラズマ生成室46は、マイクロ波39により表面波プラズマ(SWP)を発生させるためのものである。プラズマ生成室46には、ラジカル源導入口42が設けられている。ラジカル源導入口42は、プラズマ生成室46に発生するプラズマ61の内部にラジカル源となるガスを供給するためのものである。
プラズマ生成室46と、反応室10との間には、隔壁44が設けられている。隔壁44は、プラズマ生成室46と、反応室10とを仕切るためのものである。また、後述するように、電圧を印加するための電極も兼ねている。そして、隔壁44には、貫通孔が形成されている。プラズマ生成室46で生成されたラジカルを反応室10に供給するためである。
反応室10は、容量結合型プラズマ(CCP)を発生させるためのものである。また、基板50にカーボンナノウォールを形成するためのものでもある。反応室10は、第2電極24と、ヒーター25と、原料導入口12と、排気口16とを有している。第2電極24は、後述するように、第1電極22との間に電圧を印加するためのものである。ヒーター25は、基板50を加熱して、基板50の温度を制御するためのものである。原料導入口12は、カーボンナノウォールの原料となる炭素系ガス32を供給するためのものである。排気口16は、真空ポンプ等に接続されている。真空ポンプは、反応室10の内部の圧力を調整するためのものである。
ここで、隔壁44は、第2電極24との間に電圧を印加するための第1電極22を兼ねている。第1電極22には、電源および回路が接続されている。第1電極22の電位を時間的に制御するためである。第2電極24は、第1電極22との間に電圧を印加するためのものである。そして、第2電極24は、基板50を載置するための載置台でもある。第2電極24は、接地されている。第1電極22と第2電極24との間の距離は約5cmである。もちろん、この値に限らない。
3.細胞培養基材の製造方法
3−1.第1の細胞培養基材の製造方法
まず、製造装置1の内部に、カーボンナノウォールCNW1を形成する前の基板50をセットする。次に、マイクロ波39を導波路47に導入する。マイクロ波39は、スロットアンテナ49により、石英窓48から、プラズマ生成室46に導入される。これにより、高密度プラズマ60が発生する。
3−1.第1の細胞培養基材の製造方法
まず、製造装置1の内部に、カーボンナノウォールCNW1を形成する前の基板50をセットする。次に、マイクロ波39を導波路47に導入する。マイクロ波39は、スロットアンテナ49により、石英窓48から、プラズマ生成室46に導入される。これにより、高密度プラズマ60が発生する。
そして、この高密度プラズマ60がプラズマ生成室46の内部で拡散して、プラズマ61となる。このプラズマ61は、ラジカル源導入口42から供給されるラジカル源のイオンを含んでいる。ラジカル源として、水素を用いる。もしくは、酸素、窒素、その他の気体であってもよい。プラズマ61中の大部分のイオンは、隔壁44に衝突して中性化して、ラジカルとなる。ラジカル38は、隔壁44の貫通孔を通過して、反応室10に入る。
反応室10の内部には、ラジカル38の他に、原料導入口12から炭素系ガス32が供給される。炭素系ガス32とは、例えば、CH4 やC2 F6 である。もちろん、それ以外のものであってもよい。そして、第1電極24と、第2電極22との間に電圧を印加する。これにより、反応室10の内部にプラズマ34が発生する。
プラズマ34の雰囲気中には、原料である炭素系ガス32と、ラジカル38とが混在している。そして、このプラズマ34の雰囲気中で基板50の表面にカーボンナノウォールが成長する。なお、反応室10の内部の圧力は、5〜2000mTorr(0.65Pa〜267Pa)の範囲内である。また、基板50の温度は、100〜800℃の範囲内である。もちろん、これらは例示であり、これらの数値範囲に限らない。
3−2.第2の細胞培養基材の製造方法
第2の細胞培養基材200は、第1の細胞培養基材100にプラズマ処理を施すことにより製造される。そのため、第1の細胞培養基材100に、置換しようとする原子を含むガスをプラズマガスとしてプラズマを発生させる。ここでは、まず、チャンバーの内部にプラズマ発生装置を置く。そして、チャンバーの内部をArガスでパージしながら、Ar+O2 ガスをプラズマ化する。これにより、酸素原子に由来するラジカル等がプラズマ発生領域に発生する。そして、発生した酸素原子は、細胞培養基材100の先端部E1で反応して、酸素原子の結合した先端部E2が製造される。先端部E2の炭素原子にその他の原子を結合させるには、その他のガスを用いればよい。
第2の細胞培養基材200は、第1の細胞培養基材100にプラズマ処理を施すことにより製造される。そのため、第1の細胞培養基材100に、置換しようとする原子を含むガスをプラズマガスとしてプラズマを発生させる。ここでは、まず、チャンバーの内部にプラズマ発生装置を置く。そして、チャンバーの内部をArガスでパージしながら、Ar+O2 ガスをプラズマ化する。これにより、酸素原子に由来するラジカル等がプラズマ発生領域に発生する。そして、発生した酸素原子は、細胞培養基材100の先端部E1で反応して、酸素原子の結合した先端部E2が製造される。先端部E2の炭素原子にその他の原子を結合させるには、その他のガスを用いればよい。
3−3.第3の細胞培養基材の製造方法
第3の細胞培養基材300は、第1の細胞培養基材100にコラーゲンコート処理を施すことにより製造される。そのため、細胞培養基材100へのコラーゲンのコーティング方法について説明する。まず、コラーゲン酸性溶液の入っている容器に、第1の細胞培養基材100を入れる。これにより、先端部E1にコラーゲンの薄い膜が形成される。このとき、細胞培養基材100は、酸性となる。次に、コラーゲン酸性溶液に浸けた後の細胞培養基材100を乾燥後、培地に浸す。そのため、細胞培養基材100は、中性となる。これにより、先端部E1は、コラーゲンコート処理がなされた先端部E3となる。以上により、先端部E3にコーティング膜CMを有する細胞培養基材が作製される。
第3の細胞培養基材300は、第1の細胞培養基材100にコラーゲンコート処理を施すことにより製造される。そのため、細胞培養基材100へのコラーゲンのコーティング方法について説明する。まず、コラーゲン酸性溶液の入っている容器に、第1の細胞培養基材100を入れる。これにより、先端部E1にコラーゲンの薄い膜が形成される。このとき、細胞培養基材100は、酸性となる。次に、コラーゲン酸性溶液に浸けた後の細胞培養基材100を乾燥後、培地に浸す。そのため、細胞培養基材100は、中性となる。これにより、先端部E1は、コラーゲンコート処理がなされた先端部E3となる。以上により、先端部E3にコーティング膜CMを有する細胞培養基材が作製される。
3−2.製造されたカーボンナノウォール
図6は、上記のように形成されたカーボンナノウォールの構造を先端部の側から見た顕微鏡写真である。図6に示すように、カーボンナノウォールは、ランダムに成長している。ただし、その間隔は、ある程度均一である。図7は、形成されたカーボンナノウォールの構造を基板側面から見た断面を示す顕微鏡写真である。図7に示すように、カーボンナノウォールは、基板に対してほぼ垂直に形成されている。
図6は、上記のように形成されたカーボンナノウォールの構造を先端部の側から見た顕微鏡写真である。図6に示すように、カーボンナノウォールは、ランダムに成長している。ただし、その間隔は、ある程度均一である。図7は、形成されたカーボンナノウォールの構造を基板側面から見た断面を示す顕微鏡写真である。図7に示すように、カーボンナノウォールは、基板に対してほぼ垂直に形成されている。
4.細胞培養基材における細胞培養方法
図8は、細胞培養基材100を用いて細胞を培養しているところを示す図である。図8に示すように、シャーレ500の底面に細胞培養基材100を置く。その向きはもちろん、カーボンナノウォールCNW1が上となる向きである。したがって、細胞培養基材100の先端部E1は、シャーレ500の底面と接触することはない。そして、細胞培養基材100を置いたシャーレ500に、培養液を注ぐ。その培養液としては、細胞の培養に用いられる一般的なものを用いればよい。そして、細胞培養基材100の先端部E1に、培養したい細胞を供給する。例えば、ピペットを用いることができる。また、細胞培養基材200、300を用いる場合にも、同様に細胞を培養することができる。
図8は、細胞培養基材100を用いて細胞を培養しているところを示す図である。図8に示すように、シャーレ500の底面に細胞培養基材100を置く。その向きはもちろん、カーボンナノウォールCNW1が上となる向きである。したがって、細胞培養基材100の先端部E1は、シャーレ500の底面と接触することはない。そして、細胞培養基材100を置いたシャーレ500に、培養液を注ぐ。その培養液としては、細胞の培養に用いられる一般的なものを用いればよい。そして、細胞培養基材100の先端部E1に、培養したい細胞を供給する。例えば、ピペットを用いることができる。また、細胞培養基材200、300を用いる場合にも、同様に細胞を培養することができる。
5.実験A(親水性および撥水性)
5−1.親水性および撥水性の制御
前述したように、本実施形態の細胞培養基材100では、先端部E1の炭素原子C1と結合している原子もしくは分子を置換することができる。これにより、本実施形態のカーボンナノウォールCNW1では、親水性または撥水性を備えるようにすることができる。
5−1.親水性および撥水性の制御
前述したように、本実施形態の細胞培養基材100では、先端部E1の炭素原子C1と結合している原子もしくは分子を置換することができる。これにより、本実施形態のカーボンナノウォールCNW1では、親水性または撥水性を備えるようにすることができる。
所望の親水性または撥水性を備えるカーボンナノウォールを形成するには、次の3点が主に重要である。
(A)先端部の炭素原子と結合する化学種
(B)化学種の置換の度合い
(C)カーボンナノウォールの構造
(A)先端部の炭素原子と結合する化学種
(B)化学種の置換の度合い
(C)カーボンナノウォールの構造
ここで、(A)先端部の炭素原子と結合する化学種(例えば、H、F等)により、カーボンナノウォールCNW1の先端部E1の親水性または撥水性は、もちろん変化する。この制御は、カーボンナノウォールCNW1を形成後に、ラジカルを供給することにより行うことができる。
カーボンナノウォールCNW1にプラズマを照射することにより、炭素原子C1の化学種を置換することができる。例えば、ラジカル源として酸素を導入することで、炭素原子C1に酸素原子を結合させることができる。これにより、先端部E2の炭素原子C1が酸素原子と結合している酸化グラフェンシートを生成することができる。つまり、複数の炭素原子C1のうちの少なくとも一部は、酸素原子と結合している。ただし、先端部E2に位置する全ての炭素原子を酸素原子に結合させることは困難である。つまり、終端基のすべてを酸素原子とすることは困難である。水素原子を酸素原子で置換したこのグラフェンシートは、後述するように、親水性を有する。
また、ラジカル源として水素を導入することで、炭素原子C1により多くの水素を結合させることができる。これにより、先端部E1の炭素原子C1が水素と結合しているグラフェンシートを生成することができる。このグラフェンシートは、撥水性を有する。また、ラジカル源としてフッ素を導入することで、先端部E1の炭素原子C1がフッ素原子と結合しているグラフェンシートを生成することができる。このグラフェンシートも、撥水性を有する。
そして、その(B)化学種の置換の度合い(例えば、50%置換)によっても、親水性または撥水性は、変化する。この制御は、プラズマの照射時間を変えることで、調整することができる。
また、(C)カーボンナノウォールの構造(例えば、ウォール間隔D1)によっても、親水性または撥水性は、わずかに変化する。この制御は、反応室10における基板温度、原料ガス、圧力など、その他の条件を変えることで調整することができる。これら(A)〜(C)の組み合わせにより、先端部における親水性または撥水性を、ほぼ連続的に変えることができる。なお、これら(A)〜(C)により、親水性または撥水性といった化学的性質のみならず、細胞の足場となる先端部におけるその他の化学的性質も変化する。
5−2.親水性および撥水性についての実験
続いて、親水性および撥水性について行った実験について説明する。実験条件は次の通りである。マイクロ波39を発生させるための電力として400Wを用いた。その周波数として2.45GHzを用いた。容量結合型プラズマを発生させるための電力として300Wを用いた。その周波数として100MHzを用いた。基板温度を540℃とした。成長時間を15分とした。反応室10の内部の圧力を1Paとした。原料ガスとして、
1)CH4 ガス(100sccm)、
2)C2 H6 /H2 ガス(100sccm/50sccm)
のいずれかを用いた。
続いて、親水性および撥水性について行った実験について説明する。実験条件は次の通りである。マイクロ波39を発生させるための電力として400Wを用いた。その周波数として2.45GHzを用いた。容量結合型プラズマを発生させるための電力として300Wを用いた。その周波数として100MHzを用いた。基板温度を540℃とした。成長時間を15分とした。反応室10の内部の圧力を1Paとした。原料ガスとして、
1)CH4 ガス(100sccm)、
2)C2 H6 /H2 ガス(100sccm/50sccm)
のいずれかを用いた。
図9から図12に水との接触角を示す。図9は、原料である炭素系ガス32をCH4 ガスとしてカーボンナノウォールを作成した後に、大気圧プラズマ処理を行って製造された細胞培養基材における水との接触角を示す写真である。その接触角は10°以下である。図10は、カーボンナノウォールをCH4 ガスで作成した細胞培養基材における水との接触角を示す写真である。その接触角は約50°である。
図11は、カーボンナノウォールをC2 F6 ガスで作成した細胞培養基材における水との接触角を示す写真である。その接触角はおよそ105°である。図12は、カーボンナノウォールをCH4 ガスで作成した後にフッ素処理を行って製造された細胞培養基材における水との接触角を示す写真である。このフッ素処理は、プラズマ照射により行った。その際の供給ガスは、フルオロカーボンガスである。その接触角はおよそ135°である。なお、このフッ素処理は、フッ化水素(HF)溶液に浸漬することにより行ってもよい。
以上説明したように、足場部における水との接触角は、1°以上170°以下の範囲内である。
5−3.カーボンナノチューブとの比較
以上説明したように、カーボンナノウォールでは、細胞の足場となる先端部の炭素原子に結合する化学種を置換することができる。これに対して、カーボンナノチューブでは、細胞の足場となるのは、グラフェンシートの側面(例えば、図2のS1)である。このグラフェンシートの側面には、π電子が存在する。しかし、カーボンナノチューブには、カーボンナノウォールCNW1のように、先端部E1が存在するわけではない。したがって、カーボンナノチューブでは、化学種の置換や、格子欠陥の形成による表面構造の変化も可能であるものの、カーボンナノウォールCNW1におけるウォール間隔D1の変化量に比べると、その変化の度合いは極めて小さいといえる。
以上説明したように、カーボンナノウォールでは、細胞の足場となる先端部の炭素原子に結合する化学種を置換することができる。これに対して、カーボンナノチューブでは、細胞の足場となるのは、グラフェンシートの側面(例えば、図2のS1)である。このグラフェンシートの側面には、π電子が存在する。しかし、カーボンナノチューブには、カーボンナノウォールCNW1のように、先端部E1が存在するわけではない。したがって、カーボンナノチューブでは、化学種の置換や、格子欠陥の形成による表面構造の変化も可能であるものの、カーボンナノウォールCNW1におけるウォール間隔D1の変化量に比べると、その変化の度合いは極めて小さいといえる。
6.実験B(親水性または撥水性と培養する細胞との関係)
図13から図16までに、水との接触角の異なる場合における細胞の顕微鏡写真を示す。これらは、いずれもHeLa細胞である。そして、培養を開始してから4日経過後の顕微鏡写真である。
図13から図16までに、水との接触角の異なる場合における細胞の顕微鏡写真を示す。これらは、いずれもHeLa細胞である。そして、培養を開始してから4日経過後の顕微鏡写真である。
図13は、水との接触角が10°以下の場合における細胞の顕微鏡写真である。図14は、水との接触角がおよそ50°の場合における細胞の顕微鏡写真である。図15は、水との接触角がおよそ105°の場合における細胞の顕微鏡写真である。図16は、水との接触角がおよそ135°の場合における細胞の顕微鏡写真である。これらの結果から、水との接触角が大きくなるほど、細胞は球形に近い形状に変化している。以上、具体例を挙げて示したように、足場部での水との接触角が、1°以上170°以下の範囲内の細胞培養基材100を製造することができる。
図17は、細胞培養基材の足場における水との接触角と、培養を開始してから4日経過後の細胞数との関係を示すグラフである。培養した細胞はHeLa細胞である。図17では、本実施形態の細胞培養基材で培養した細胞数と、ガラス基板で培養した細胞数とを比較している。図17の横軸は、水との接触角である。図17の縦軸は、細胞数である。ここで、細胞数が多い細胞培養基材ほど、細胞の培養に適していることを示している。全体的に、本実施形態の細胞培養基材で培養した細胞数は、ガラス基板で培養した細胞数よりも多い。
また、本実施形態の細胞培養基材では、撥水性の強い接触角135°であっても細胞を1×104 細胞/cm2 程度は培養できることが明らかとなった。また、接触角135°の場合には、細胞の低侵襲性回収を行うことができた。
7.実験C(タンパク質の吸着量)
図18は、細胞培養基材の足場における水との接触角と、タンパク質の吸着量との関係を示すグラフである。培養した細胞は、同じくHeLa細胞である。図18の横軸は、水との接触角である。図18の縦軸は、細胞培養基材におけるタンパク質の吸着量である。図18に示すように、本実施形態の細胞培養基材におけるタンパク質の吸着量は、ガラス基板におけるタンパク質の吸着量の2倍程度である。すなわち、ガラス基板に比べてカーボンナノウォールCNW1を有する本実施形態の細胞培養基材のほうが、細胞の培養に適している。
図18は、細胞培養基材の足場における水との接触角と、タンパク質の吸着量との関係を示すグラフである。培養した細胞は、同じくHeLa細胞である。図18の横軸は、水との接触角である。図18の縦軸は、細胞培養基材におけるタンパク質の吸着量である。図18に示すように、本実施形態の細胞培養基材におけるタンパク質の吸着量は、ガラス基板におけるタンパク質の吸着量の2倍程度である。すなわち、ガラス基板に比べてカーボンナノウォールCNW1を有する本実施形態の細胞培養基材のほうが、細胞の培養に適している。
8.実験D(骨芽細胞への分化(アルカリフォスファターゼ活性))
ここで、骨芽細胞への分化について行った実験結果について説明する。本実験では、間葉系幹細胞を用いた。培養に用いた溶液は、DMEMにFBSおよびペニシリン−ストレプトマイシンを混合した混合溶液である。FBSの混合比は10%である。ペニシリン−ストレプトマイシンの混合比は、1%である。培養を開始してから10日経過後に、その間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化しているか調べた。
ここで、骨芽細胞への分化について行った実験結果について説明する。本実験では、間葉系幹細胞を用いた。培養に用いた溶液は、DMEMにFBSおよびペニシリン−ストレプトマイシンを混合した混合溶液である。FBSの混合比は10%である。ペニシリン−ストレプトマイシンの混合比は、1%である。培養を開始してから10日経過後に、その間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化しているか調べた。
本実験では、4種類の方法で培養した細胞に対してアルカリフォスファターゼ活性を測定して比較した。4種類とは、次のようなものである。
A.培養ディッシュ(接触角70°)
B.ガラス基板(接触角60°)
C.カーボンナノウォール(接触角10°以下)
D.カーボンナノウォール(接触角50°)
A.培養ディッシュ(接触角70°)
B.ガラス基板(接触角60°)
C.カーボンナノウォール(接触角10°以下)
D.カーボンナノウォール(接触角50°)
図19は、その結果である。縦軸は、未分化細胞を基準としたアルカリフォスファターゼ活性の測定結果である。未分化細胞に比べて、この測定値が大きいほど、骨芽細胞への分化が進んでいると考えられる。図19に示すように、測定値はいずれも未分化細胞におけるアルカリフォスファターゼ活性の測定値の1.1倍程度である。ガラス基板を用いた場合の測定値が他の場合と比べてやや低い。
図20は、各基板にコラーゲンコートした細胞培養基材を用いて細胞を培養した結果である。カーボンナノウォールを用いた細胞培養基材(コラーゲンコート済)のほうが、培養ディッシュやガラス基板を用いたものに比べて、骨芽細胞への分化が進んでいると考えられる。
9.実験E(密度制御)
9−1.実験に用いる細胞培養基材の種類
図21は、圧力、成長時間、CCPPower、というカーボンナノウォールの製造条件を変えた場合に、どのような性質のカーボンナノウォールが製造されるかを示す表である。図21に示すように、製造条件を変えることにより、高密度のカーボンナノウォールから低密度のカーボンナノウォールまで製造することができる。なお、図21に示した条件以外の条件については、実験Aと同様である。
9−1.実験に用いる細胞培養基材の種類
図21は、圧力、成長時間、CCPPower、というカーボンナノウォールの製造条件を変えた場合に、どのような性質のカーボンナノウォールが製造されるかを示す表である。図21に示すように、製造条件を変えることにより、高密度のカーボンナノウォールから低密度のカーボンナノウォールまで製造することができる。なお、図21に示した条件以外の条件については、実験Aと同様である。
図21の(a)に、高密度のカーボンナノウォールを示す。(a)の高密度のカーボンナノウォールのウォール間隔は、95nmであった。(a)の高密度のカーボンナノウォールを製造するために、製造装置1の内圧を1Paとし、CCPPowerを100Wとし、成長時間を80分とした。
図21の(b)に、中密度のカーボンナノウォールを示す。(b)の中密度のカーボンナノウォールのウォール間隔は、131nmであった。(b)の中密度のカーボンナノウォールを製造するために、製造装置1の内圧を1Paとし、CCPPowerを300Wとし、成長時間を15分とした。
図21の(c)に、低密度のカーボンナノウォールを示す。(c)の低密度のカーボンナノウォールのウォール間隔は、313nmであった。(c)の低密度のカーボンナノウォールを製造するために、製造装置1の内圧を5Paとし、CCPPowerを500Wとし、成長時間を8分とした。
このように、これ以降、便宜上、図21(a)に示すものを高密度のカーボンナノウォールと呼ぶこととし、図21(b)に示すものを中密度のカーボンナノウォールと呼ぶこととし、図21(c)に示すものを低密度のカーボンナノウォールと呼ぶこととする。これら(a)〜(c)の3種類のサンプルに細胞を培養することとして、以下の実験を実施した。
10.実験F(水との接触角の密度依存性)
本実験では、(a)〜(c)のそれぞれのサンプルに、酸素原子置換、窒素原子置換、水素原子置換、フッ素原子置換を行い、計12種類のサンプルを得た。そして、それぞれのサンプルで接触角を測定した。図22にその結果を示す。
本実験では、(a)〜(c)のそれぞれのサンプルに、酸素原子置換、窒素原子置換、水素原子置換、フッ素原子置換を行い、計12種類のサンプルを得た。そして、それぞれのサンプルで接触角を測定した。図22にその結果を示す。
図22に示すように、水との接触角は、先端部E2で結合する原子の種類に強く依存することが分かった。先端部E2の原子が酸素原子である場合には、水との接触角は、5°程度である。先端部E2の原子が窒素原子である場合には、水との接触角は、5°程度である。先端部E2の原子が水素原子である場合には、水との接触角は、50°程度である。先端部E2の原子がフッ素原子である場合には、水との接触角は、およそ130°〜150°である。
一方、酸素原子置換、窒素原子置換、水素原子置換、フッ素原子置換のいずれを行った場合であっても、水との接触角はカーボンナノウォールのウォール間隔にほとんど依存していなかった。つまり、ウォール間隔を変えても、水との接触角は、ほとんど変わらない。
11.実験G(結晶構造)
図23は、低密度のカーボンナノウォールと、中密度のカーボンナノウォールと、高密度のカーボンナノウォールとで、ラマンシフトを測定した結果を示すグラフである。これらの終端基は、水素の場合である。つまり、終端基の置換を施していない場合の結果である。図23に示すように、1590cm-1付近のGバンドのピークと、1350cm-1付近のDバンドのピークと、1620cm-1付近のD’バンドのピークとが観測された。これらのカーボンナノウォールのスペクトルは、互いにやや異なっている。例えば、高密度になるほど、Dバンドの成分が大きくなる。
図23は、低密度のカーボンナノウォールと、中密度のカーボンナノウォールと、高密度のカーボンナノウォールとで、ラマンシフトを測定した結果を示すグラフである。これらの終端基は、水素の場合である。つまり、終端基の置換を施していない場合の結果である。図23に示すように、1590cm-1付近のGバンドのピークと、1350cm-1付近のDバンドのピークと、1620cm-1付近のD’バンドのピークとが観測された。これらのカーボンナノウォールのスペクトルは、互いにやや異なっている。例えば、高密度になるほど、Dバンドの成分が大きくなる。
12.実験H(化学組成比)
図24は、中密度のカーボンナノウォールの終端基を変化させた場合における化学組成比を示すものである。図24の横軸は、結合エネルギーである。図24の縦軸は、強度である。図24(a)は、グラフェンシートの終端基の一部を酸素原子で置換したものの結果を示す。図24(b)は、グラフェンシートの終端基の一部を窒素原子で置換したものの結果を示す。図24(c)は、グラフェンシートの終端基の一部を置換しなかったものの結果を示す。しかし、一部に、C−O結合の成分が混じっていることが確認された。図24(d)は、グラフェンシートの終端基の一部をフッ素原子で置換したものの結果を示す。
図24は、中密度のカーボンナノウォールの終端基を変化させた場合における化学組成比を示すものである。図24の横軸は、結合エネルギーである。図24の縦軸は、強度である。図24(a)は、グラフェンシートの終端基の一部を酸素原子で置換したものの結果を示す。図24(b)は、グラフェンシートの終端基の一部を窒素原子で置換したものの結果を示す。図24(c)は、グラフェンシートの終端基の一部を置換しなかったものの結果を示す。しかし、一部に、C−O結合の成分が混じっていることが確認された。図24(d)は、グラフェンシートの終端基の一部をフッ素原子で置換したものの結果を示す。
13.実験I(足場部と細胞数との関係)
図25は、細胞培養基材の足場部と、その足場部で培養したHeLa細胞の培養数との関係を示すグラフである。図25の横軸は、水との接触角である。図25の縦軸は、HeLa細胞の細胞数である。図25に示すように、初期のHeLa細胞の細胞数は、10000細胞/cm2 程度であった。そして、図25には、4日後の細胞数をプロットした。なお、比較のために、ガラス基板で培養した細胞数もプロットしてある。
図25は、細胞培養基材の足場部と、その足場部で培養したHeLa細胞の培養数との関係を示すグラフである。図25の横軸は、水との接触角である。図25の縦軸は、HeLa細胞の細胞数である。図25に示すように、初期のHeLa細胞の細胞数は、10000細胞/cm2 程度であった。そして、図25には、4日後の細胞数をプロットした。なお、比較のために、ガラス基板で培養した細胞数もプロットしてある。
図25に示すように、中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合の細胞数と、ガラス基板で培養した場合の細胞数とは、ほぼ同程度である。例えば、水との接触角が55°の中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合には、40000細胞/cm2 程度であり、水との接触角が60°のガラス基板で培養した場合も、40000細胞/cm2 程度であった。水との接触角が5°の中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合には、31000細胞/cm2 程度であり、水との接触角が10°のガラス基板で培養した場合には、25000細胞/cm2 程度であった。
また、水との接触角が135°の中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合には、10000細胞/cm2 程度であり、水との接触角が105°のガラス基板で培養した場合には、10000細胞/cm2 程度であった。ただし、これらの場合には、水との接触角が異なっている。なお、ガラス基板では、水との接触角を105°程度までしかとることができない。
水との接触角が0°〜10°程度の領域では、低密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合の細胞数が55000細胞/cm2 程度であり、細胞数が非常に多かった。水との接触角が0°〜10°程度の領域では、それ以外の場合の細胞数は、25000細胞/cm2 程度から35000細胞/cm2 程度までの間であった。
水との接触角が50°〜60°程度の領域では、前述したように、中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合とガラス基板で培養した場合とで、細胞数が40000細胞/cm2 程度であった。それ以外の場合には、25000細胞/cm2 程度であった。
水との接触角が130°〜140°程度の領域では、ウォール間隔の違いに応じて大きな差異が表れた。つまり、高密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合には、細胞数が60000細胞/cm2 程度であり、細胞数が非常に多かった。一方、低密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合には、細胞数は25000細胞/cm2 程度であった。また、中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合には、細胞数は10000細胞/cm2 程度であった。
このように、細胞数という観点からは、水との接触角が大きく、高密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合に、細胞数が多かった。つまり、水との接触角が120°以上150°以下の範囲内であって、平均ウォール間隔が80nm以上120nm以下の範囲内であるとよい。ここで、水との接触角が120°以上150°以下の範囲内となるのは、グラフェンシートの終端基がフッ素原子の場合である。
また、細胞数という観点からは、水との接触角が小さく、低密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材で培養した場合に、細胞数が多かった。つまり、水との接触角が3°以上10°以下の範囲内であって、平均ウォール間隔が10nm以上500nm以下の範囲内であるとよい。特に平均ウォール間隔が200nm以上500nm以下の範囲内であるとよい。ここで、水との接触角が3°以上10°以下の範囲内となるのは、グラフェンシートの終端基が酸素原子または窒素原子の場合である。
14.実験J(化学組成と細胞数)
14−1.化学組成
図26は、カーボンナノウォールの密度と、酸素密度もしくはフッ素密度との関係を示すグラフである。ここでは、酸素もしくはフッ素をプラズマガスとして用いて、グラフェンシートの終端基を酸素原子もしくはフッ素原子とした。図26の横軸は、カーボンナノウォールの密度である。図26の左側の縦軸は、終端基における炭素原子に対するフッ素原子の割合である。図26の右側の縦軸は、終端基における炭素原子に対する酸素原子の割合である。
14−1.化学組成
図26は、カーボンナノウォールの密度と、酸素密度もしくはフッ素密度との関係を示すグラフである。ここでは、酸素もしくはフッ素をプラズマガスとして用いて、グラフェンシートの終端基を酸素原子もしくはフッ素原子とした。図26の横軸は、カーボンナノウォールの密度である。図26の左側の縦軸は、終端基における炭素原子に対するフッ素原子の割合である。図26の右側の縦軸は、終端基における炭素原子に対する酸素原子の割合である。
図26に示すように、低密度では、終端基における炭素原子に対するフッ素原子の割合は、1.0程度である。中密度では、終端基における炭素原子に対するフッ素原子の割合は、1.7程度である。高密度では、終端基における炭素原子に対するフッ素原子の割合は、1.5程度である。
また、低密度では、終端基における炭素原子に対する酸素原子の割合は、0.22程度である。中密度では、終端基における炭素原子に対する酸素原子の割合は、0.32程度である。高密度では、終端基における炭素原子に対する酸素原子の割合は、0.18程度である。
14−2.細胞数
図27は、終端基をフッ素原子とした場合におけるカーボンナノウォールの密度と細胞数との関係を示すグラフである。ただし、終端基のすべてがフッ素原子になったわけではなく、図26に示したような炭素原子に対する割合をもったものである。図26に示したように、炭素原子に対するフッ素原子の割合は、1.0から1.5までの範囲内である。それに比べて、図27に示すように、培養後の細胞数には大きな差異がある。中密度と高密度とでは、フッ素原子の割合に差異はほとんどないのに対して、細胞数では6倍程度異なっている。これは、水との接触角と、ウォール間隔とが、培養する細胞の数に大きく影響を与えることを示すとともに、終端基の化学種の影響はそれほど大きくないことを示唆している。
図27は、終端基をフッ素原子とした場合におけるカーボンナノウォールの密度と細胞数との関係を示すグラフである。ただし、終端基のすべてがフッ素原子になったわけではなく、図26に示したような炭素原子に対する割合をもったものである。図26に示したように、炭素原子に対するフッ素原子の割合は、1.0から1.5までの範囲内である。それに比べて、図27に示すように、培養後の細胞数には大きな差異がある。中密度と高密度とでは、フッ素原子の割合に差異はほとんどないのに対して、細胞数では6倍程度異なっている。これは、水との接触角と、ウォール間隔とが、培養する細胞の数に大きく影響を与えることを示すとともに、終端基の化学種の影響はそれほど大きくないことを示唆している。
15.実験K(細胞の形状)
図28は、高密度もしくは低密度のカーボンナノウォールと、その終端基の原子との組み合わせと、その組み合わせによる細胞培養基材での細胞の形状を示す顕微鏡写真を対応させたものである。そして、図28は、細胞を培養して1日後の様子を撮影したものである。図28に示すように、終端基が水素原子の場合に、HeLa細胞の形状がやや円形もしくは球形に近い形状となっている。
図28は、高密度もしくは低密度のカーボンナノウォールと、その終端基の原子との組み合わせと、その組み合わせによる細胞培養基材での細胞の形状を示す顕微鏡写真を対応させたものである。そして、図28は、細胞を培養して1日後の様子を撮影したものである。図28に示すように、終端基が水素原子の場合に、HeLa細胞の形状がやや円形もしくは球形に近い形状となっている。
図29は、HeLa細胞の伸びを示すグラフである。この値が大きいほど、細胞の一辺の長さが長い。つまり、円形からずれている。逆に、この値が小さいほど、円形に近い。図29に示すように、終端基が水素原子の場合に、特に値が小さい。すなわち、終端基が水素原子の場合に、HeLa細胞の形状は、より円形に近い。
16.実験L(細胞の回収)
図30は、HeLa細胞の顕微鏡写真である。そして、図31は、HeLa細胞を染色した顕微鏡写真である。光源として、水銀ランプを用いるとともに、フィルターとして、652nmのFITCを用いた。図31では、染色されている細胞が生存しているHeLa細胞である。
図30は、HeLa細胞の顕微鏡写真である。そして、図31は、HeLa細胞を染色した顕微鏡写真である。光源として、水銀ランプを用いるとともに、フィルターとして、652nmのFITCを用いた。図31では、染色されている細胞が生存しているHeLa細胞である。
そして、これらの写真からは明らかではないが、本実施形態の細胞培養基材から浮遊している細胞が生存していることを確認した。一般に、基板から遊離して浮遊している細胞は、死滅している。これに対して、本実施形態は、生存しているHeLa細胞を遊離させることができる。そのため、細胞にダメージを与えないで細胞を回収することができる。ただし、遊離しており、かつ、生存している細胞は、水との接触角が135°であって、中密度のカーボンナノウォールを有する細胞培養基材についてのみ、発見された。つまり、水との接触角が120°以上150°以下の範囲内であって、平均ウォール間隔が、120nm以上200nm以下の範囲内であると、低侵襲性回収を行うことができる。ここで水との接触角が120°以上150°以下の範囲内となるのは、グラフェンシートの終端基がフッ素原子の場合である。
17.変形例
17−1.導電性
また、カーボンナノウォールCNW1に、金属微粒子を担持させることにより、グラフェンシートの先端部E1を導電性にすることもできる。また、製造装置1を用いて、形成後のカーボンナノウォールCNW1に、ラジカルを打ち込むこととしてもよい。これにより、カーボンナノウォールCNW1を半導体とすることもできる。そして、反応室10の内部に窒素を導入して窒素雰囲気中でプラズマを発生させることにより、カーボンナノウォールCNW1をn型半導体とすることもできる。
17−1.導電性
また、カーボンナノウォールCNW1に、金属微粒子を担持させることにより、グラフェンシートの先端部E1を導電性にすることもできる。また、製造装置1を用いて、形成後のカーボンナノウォールCNW1に、ラジカルを打ち込むこととしてもよい。これにより、カーボンナノウォールCNW1を半導体とすることもできる。そして、反応室10の内部に窒素を導入して窒素雰囲気中でプラズマを発生させることにより、カーボンナノウォールCNW1をn型半導体とすることもできる。
17−2.コーティング材の種類
本実施形態では、カーボンナノウォールの先端にコラーゲンコートした第3の細胞培養基材300を用いた。しかし、その他のコーティング材を用いてもよい。例えば、コラーゲン以外のコーティング材として、コラーゲンペプチド、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどが挙げられる。
本実施形態では、カーボンナノウォールの先端にコラーゲンコートした第3の細胞培養基材300を用いた。しかし、その他のコーティング材を用いてもよい。例えば、コラーゲン以外のコーティング材として、コラーゲンペプチド、ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどが挙げられる。
18.本実施形態のまとめ
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る細胞培養基材100では、カーボンナノウォールCNW1を形成することとした。カーボンナノウォールCNW1の先端部E1が、細胞の足場となる。先端部E1の化学的性質および構造について、細かい調整を行うことが可能である。したがって、細胞を培養するのに好適な細胞培養基材100、200、300が実現されている。また、その細胞培養基材100、200、300を利用することにより、好適に細胞を培養することのできる細胞培養方法が実現されている。
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る細胞培養基材100では、カーボンナノウォールCNW1を形成することとした。カーボンナノウォールCNW1の先端部E1が、細胞の足場となる。先端部E1の化学的性質および構造について、細かい調整を行うことが可能である。したがって、細胞を培養するのに好適な細胞培養基材100、200、300が実現されている。また、その細胞培養基材100、200、300を利用することにより、好適に細胞を培養することのできる細胞培養方法が実現されている。
なお、本実施形態は単なる例示にすぎない。したがって当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、カーボンナノウォールCNW1を形成する基板110の表面に予め凹凸を形成しておいてもよい。
1…製造装置
100、200、300…細胞培養基材
110…基板
111…支持基板
112…金属層
CNW1、CNW2、CNW3…カーボンナノウォール
E1、E2、E3…先端部
R1…根元部
C1…炭素原子
D1…ウォール間隔
100、200、300…細胞培養基材
110…基板
111…支持基板
112…金属層
CNW1、CNW2、CNW3…カーボンナノウォール
E1、E2、E3…先端部
R1…根元部
C1…炭素原子
D1…ウォール間隔
Claims (21)
- 基板と、
前記基板に形成されたカーボンナノウォールとを有する細胞培養基材において、
前記カーボンナノウォールのグラフェンシートの先端部が、
細胞を培養するための足場部であること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項1に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートは、
前記基板の板面に交差する向きに形成されていること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項2に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの平均ウォール間隔は、
10nm以上1000nm以下の範囲内であること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの前記先端部の少なくとも一部の炭素原子は、
炭素原子以外の原子と結合していること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項4に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの前記先端部の少なくとも一部の炭素原子は、
酸素原子または窒素原子と結合していること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項4に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの前記先端部の少なくとも一部の炭素原子は、
フッ素原子と結合していること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項5に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの平均ウォール間隔は、
10nm以上500nm以下の範囲内であること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項6に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの平均ウォール間隔は、
80nm以上120nm以下の範囲内であること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項6に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの平均ウォール間隔は、
120nm以上200nm以下の範囲内であること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの前記先端部の少なくとも一部の炭素原子は、
水素原子と結合していること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の細胞培養基材において、
前記足場部での水との接触角が、
1°以上170°以下の範囲内であること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の細胞培養基材において、
前記グラフェンシートの前記先端部をコーティングするコーティング膜を有すること
を特徴とする細胞培養基材。 - 請求項12に記載の細胞培養基材において、
前記コーティング膜は、
コラーゲンコート処理がなされたものであること
を特徴とする細胞培養基材。 - 細胞培養基材の上に細胞を培養する細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
基板にカーボンナノウォールが形成されたものを用い、
前記カーボンナノウォールのグラフェンシートの先端部を、
細胞を培養するための足場とすること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項14に記載の細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
前記グラフェンシートが前記基板の板面に交差する向きに形成されているものを用いること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項14または請求項15に記載の細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
前記先端部の少なくとも一部の炭素原子は、炭素原子以外の原子と結合しているグラフェンシートを有するものを用いること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項16に記載の細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
前記先端部の少なくとも一部の炭素原子が、酸素原子または窒素原子と結合しているグラフェンシートを有するものを用いること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項16に記載の細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
前記先端部の少なくとも一部の炭素原子が、フッ素原子または水素原子と結合しているグラフェンシートを有するものを用いること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項14から請求項18までのいずれか1項に記載の細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
前記足場部での水との接触角が、1°以上170°以下の範囲内であるものを用いること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項14から請求項19までのいずれか1項に記載の細胞培養方法において、
前記細胞培養基材として、
前記グラフェンシートの前記先端部をコーティングするコーティング膜を有するものを用いること
を特徴とする細胞培養方法。 - 請求項20に記載の細胞培養方法において、
前記コーティング膜は、
コラーゲンコート処理がなされたものであること
を特徴とする細胞培養方法。
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JP2012067665 | 2012-03-23 | ||
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-
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