JPWO2013136977A1 - λ/4位相差フィルムとその製造方法、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

λ/4位相差フィルムとその製造方法、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、位相差発現性、薄膜適性、逆波長分散特性に優れ、低ヘイズで、耐光性、着色耐性に優れたλ/4位相差フィルムとその製造方法、円偏光板、及び有機EL表示装置を提供することである。本発明のλ/4位相差フィルムは、熱可塑性樹脂と化合物(I)を含有し、該化合物(I)の連結基と2箇所の連結部位を介して連結され、200〜280nmに極大吸収を有する主鎖と、連結基の他の連結部位のうち、一つ以上の連結部位で結合し、化学構造部分X(主鎖)に対し分岐した側鎖を有し、下記(a)及び(b)を満たし、波長分散特性が下記(c)及び(d)を満たすことを特徴とする。(a)前記側鎖が、280〜380nmに極大吸収波長を有する(b)25.0≧ΣABSy/ΣABSx≧1.01(c)Ro(450)/Ro(550)=0.72〜0.96(d)Ro(550)/Ro(650)=0.83〜0.98

Description

本発明は、λ/4位相差フィルムとその製造方法と、λ/4位相差フィルムを具備した円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
近年、新たなディスプレイ装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置のような自発光型の表示装置が注目されている。自発光型表示装置は、バックライトが常に点灯している液晶表示装置に対して消費電力を抑制できる余地があり、加えて、有機エレクトロルミネッセンス表示装置のような各色に対応した光源がそれぞれ点灯する自発光表示装置では、コントラスト低減の原因となるカラーフィルターを設置する必要がない為、コントラストを更に高めることが可能である。しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス表示装置においては、光取り出し効率を高めるため、ディスプレイの背面側にアルミニウム板等の反射体が設けられるため、ディスプレイに入射した外光がこの反射体で反射されることで画像のコントラストを低下させるという問題がある。
これらの問題を改善するため、鏡面の外光反射防止を目的として、λ/4位相差フィルムを備えた円偏光板を使用する方法が知られている。
λ/4位相差フィルムは、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換、もしくは円偏光や楕円偏光を直線偏光に変換することが可能な特性を備えており、このようなλ/4位相差フィルムは、画像表示装置や光ピックアップ装置など、様々な光学用途に広く用いられている。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いられるλ/4位相差フィルムは、可視光の広い波長域に対して実質的にλ/4の位相差を付与することが理想的であり、その為、長波長の光に対して付与する位相差が、短波長の光に対して付与する位相差よりも大きい、負の波長分散性(逆波長分散性)を有することが求められる。しかしながら、現状では、1/4波長の位相差を付与し、かつ十分な負の波長分散性(逆波長分散性)を示すフィルムで、かつ広い波長領域の光に対してλ/4の位相差を付与しうるフィルムを得ることは困難であった。
例えば、特開平8−321381号公報には、鏡面の外光反射防止に円偏光素子を使用する方法が開示されている。上記特許文献に記載されている円偏光素子では、吸収型直線偏光板と、λ/4位相差フィルムとを、それらの光軸が45度あるいは135度で交差するように積層して形成されている。
ここで、λ/4位相差フィルムを、例えば、1枚の延伸フィルムで形成した場合、この延伸フィルムの屈折率が、波長毎に異なる波長分散に起因して、その位相差はある波長に対しては丁度1/4波長となり得るが、他の波長ではその位相差がλ/4波長からずれるため、λ/4位相差フィルムとして機能しないことになる。
すなわち、例えば、550nmの緑色の光に対しλ/4位相差フィルムとして機能する場合、それより波長の長い赤色の光や、波長の短い青色の光の反射を完全に防止することが困難であり、特に、青色の光についての位相差のずれが大きく、反射色が、青色味がかったものとなってしまうという問題がある。
可視光の全波長領域に対して反射を防止するためには、全波長領域でλ/4の位相差値を有する逆波長分散性(長波長ほど位相差値が大きい)を備えていることが必要である。
上記問題に対し、λ/4位相差フィルムとして、広帯域でその物性を満たすため、位相差とその波長分散を制御する様々な方法が検討されていた。
例えば、特開平2−285304号公報には、アッベ数の異なる一軸延伸フィルムを積層させる方法が記載されており、特許第03734211号公報には、液晶塗布フィルムを用いてλ/2位相差フィルムとλ/4位相差フィルムを積層させる方法が開示されている。また、特開2001−194527号公報には、固有複屈折性が正と負のポリマーをブレンドする方法が、特許第3459779号公報には、固有複屈折が正と負の材料を共重合してフィルム化する方法がそれぞれ開示されている。
一方、近年では、表示装置の薄膜化が更に進み、λ/4位相差フィルムについても、薄膜でかつ単層のフィルムで、広帯域λ/4特性を得ることが切望されている。このような要望に対し、上記の技術では十分に対応することが困難であった。
別の技術として、位相差が逆波長分散性を示すセルロースエステルフィルムに、リターデーション上昇機能を有する化合物を添加し、延伸処理することで液晶表示装置用光学補償フィルムを製造する方法が知られている。しかしながら、セルロースエステル樹脂は一般的に等方性が高い物質であるため、位相差発現性が低く、λ/4に必要な位相差を達成するためには、リターデーション上昇能を有する化合物の添加量を増やす必要があった。その場合、従来のリターデーション上昇能を有する化合物では、その上昇能と波長分散調整能とが取り合いとなり、波長分散が順波長分散となり、λ/4に必要な波長分散を満たすことができなかったのが現状である。
上記問題に対し、特許文献1には、斜めに延伸したセルロースエステルフィルム上に垂直配向液晶層を設けた位相差フィルムが、幅広い波長範囲でλ/4位相差を有し、該位相差フィルムを設けた有機EL表示装置により、外光反射による色味変動が改善されることが開示されている。
しかしながら、特許文献1で開示されている方法では、位相差フィルムを作製した後、垂直配向液晶層を設けるため、工程が複雑であり、製造容易性の観点からは更なる改善が望まれていた。また、上記位相差フィルムを設けた有機EL表示装置は、画像に滲みがあり、高精細な画像が得られないという問題も抱えている。この問題は、発光層から位相差フィルムに入った光が、位相差フィルムと隣接層との界面で反射され、更に位相差フィルム内で相分離した添加剤により乱反射され、画像の滲みが生じることが原因であると推定している。
特許文献2及び特許文献3には、特定の構造を有する化合物を含有することにより、全波長領域でλ/4の位相差値を有する逆波長分散性の単一層からなる位相差板が開示されている。しかしながら、上記開示されている方法では、実際の位相差発現性は低く、λ/4位相差を実現するためには厚膜化しなくてはならないため、経済性や画像表示装置の薄膜化の観点で問題を抱えており、更に、透過率の低下に伴い、光取出し効率が劣化するという問題点も有している。
特許文献4には、特定の化合物を含有することにより、更に位相差と逆波長分散特性が改良された位相差板が開示されているが、厚さ方向における位相差が高いため、斜めから見た位相差がλ/4より大きく外れ、視認性が劣化するという問題がある。
また、特許文献5では、リターデーション制御剤として、分子長軸方向と直交する方向の双極子モーメントの大きさが、分子長軸方向と平行方向の双極子モーメントの大きさよりも大きい低分子化合物を含む光学フィルムが提案されている。しかしながら、特許文献5に記載のレターデーション制御剤は、位相差発現性、特に面内方向の位相差発現性が低く、所望の位相差を得るためには、フィルム膜厚を厚くしなければならないという問題を抱えている。
このように、位相差発現性と逆波長分散性とはトレードオフの関係にあり、広い波長領域において高い位相差発現性を有し、かつ十分な逆波長分散性を示すλ/4位相差フィルムの開発が切望されている。
国際公開第2009/25170号 特開2008−6602号公報 特開2011−75924号公報 特開2010−254949号公報 特開2007−249180号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、広波長領域で位相差発現性が高く、薄膜で優れた逆波長分散特性を備え、低ヘイズで透明性が高く、耐光性及び着色耐性に優れたλ/4位相差フィルム及びその製造方法と、それを用いた円偏光板と、該円偏光板を具備し、色味安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することである。
本発明者は、上記問題に鑑み鋭意検討を進めた結果、熱可塑性樹脂と、位相差調整剤として、少なくとも3箇所に連結部位を有する連結基で結合された化合物(I)を含有するλ/4位相差フィルムで、化合物(I)が、連結基とその2箇所の連結部位を介して連結された基を含み、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有する化学構造部分X(主鎖)と、該連結基の他の連結部位のうち、少なくとも一つの連結部位を介して結合された基で、該化学構造部分X(主鎖)に対し分岐した構造の化学構造部分Y(側鎖)とを有し、該化合物(I)のa)化学構造部分Y(側鎖)が、280〜380nmの波長域内に極大吸収波長を有し、b)化学構造部分X(主鎖)の総吸収強度と化学構造部分Y(側鎖)の総吸収強度との比が特定の範囲にあり、かつ波長分散特性として、Ro(450)/Ro(550)の値及びRo(550)/Ro(650)の値を特定の範囲に設定したことを特徴とするλ/4位相差フィルムにより、広波長領域で位相差発現性が高く、薄膜で優れた逆波長分散特性を備え、低ヘイズで透明性が高く、耐光性、着色耐性に優れたλ/4位相差フィルムを実現することができることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、本発明の上記問題は、下記の手段により解決される。
1.熱可塑性樹脂と、少なくとも3箇所に連結部位を有する連結基で結合された化合物(I)とを含有するλ/4位相差フィルムであって、該化合物(I)における前記連結基とその2箇所の連結部位を介して連結された基を含み、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有する化学構造部分X(主鎖)と、該連結基の他の連結部位のうち、少なくとも一つの連結部位を介して結合された基で、該化学構造部分X(主鎖)に対し分岐した構造の化学構造部分Y(側鎖)を有し、該化合物(I)が下記(a)及び(b)で規定する条件を同時に満たし、波長分散特性が下記(c)及び(d)を同時に満たすことを特徴とするλ/4位相差フィルム。
(a)前記化学構造部分Y(側鎖)が、280〜380nmの波長域内に極大吸収波長を有する
(b)25.0≧ΣABS/ΣABS≧1.01
(c)DSP1;Ro(450)/Ro(550)=0.72〜0.96
(d)DSP2;Ro(550)/Ro(650)=0.83〜0.98
〔式中、ΣABSは、化合物(I)の化学構造部分X(主鎖)の総吸収強度を表し、ΣABSは、化合物(I)の化学構造部分Y(側鎖)の総吸収強度を表す。DSP1及びDSP2はそれぞれλ/4位相差フィルムの波長分散特性を表し、Ro(450)は波長450nmの光における面内リターデーション値であり、Ro(550)は波長550nmの光における面内リターデーション値であり、Ro(650)は波長650nmの光における面内リターデーション値である。なお、それぞれの面内リターデーション値は、23℃、55%RHの環境下で測定した値である。〕
2.前記化合物(I)が、下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする第1項に記載のλ/4位相差フィルム。
Figure 2013136977
〔式中、L及びLは各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R、R及びRは各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。Wa及びWbはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成する、(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有する、又は(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基若しくはアルキニル基である。〕
3.前記化合物(I)のアスペクト比が、1.70未満であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のλ/4位相差フィルム。
4.前記熱可塑性樹脂が、セルロースエステルであることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
5.遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮されて作製され、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
6.遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向していることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
7.フィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交し、かつ該フィルムの引取り方向に対して30〜60°の角度範囲内に遅相軸があることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
8.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを製造するλ/4位相差フィルムの製造方法であって、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内となる条件で延伸して製造することを特徴とするλ/4位相差フィルムの製造方法。
9.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを製造するλ/4位相差フィルムの製造方法であって、遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向する条件で製造することを特徴とするλ/4位相差フィルムの製造方法。
10.第1項から第4項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを製造するλ/4位相差フィルムの製造方法であって、延伸工程におけるフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とを斜交させ、該フィルムの引取り方向に対して30〜60°の角度範囲内に遅相軸を設ける条件で製造することを特徴とするλ/4位相差フィルムの製造方法。
11.第1項から第7項までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムと偏光子とを具備することを特徴とする円偏光板。
12.第11項に記載の円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができたのは、以下の理由によるものと推測している。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、位相差上昇効果に優れる位相差調整剤の主鎖構造に着目して、様々な構造を有する化合物を広範囲にわたり検討を進めてきたが、いずれも波長分散特性が不十分であった。更に、側鎖部分を構成する置換基の種類及び組合せを変化させて検討を進めた結果、主鎖構造と側鎖構造との吸収強度比が特定の条件にあり、特異な吸収ピークを有する化合物が、波長分散特性と位相差発現性に優れることを見出した。
また、このような化合物を含有するフィルムを、特定の延伸方法及び延伸条件で製造することにより、位相差と波長分散特性を兼ね備えたλ/4位相差フィルムを得ることができた。
本発明の上記手段により、広波長領域での位相差発現性が高く、薄膜で優れた逆波長分散特性を備え、低ヘイズで透明性が高く、耐光性及び着色耐性に優れたλ/4位相差フィルムとその製造方法、それを用いた円偏光板と、該円偏光板を具備し、色味安定性に優れた有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することができる。
遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程における収縮倍率を説明する模式図 本発明に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致している延伸装置の一例を示す模式図 本発明に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致している延伸装置の他の一例を示す模式図 本発明に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交している延伸装置の一例を示す模式図 本発明に適用可能な有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略断面図である
本発明のλ/4位相差フィルムは、熱可塑性樹脂と、少なくとも3箇所に連結部位を有する連結基で結合された化合物(I)とを含有するλ/4位相差フィルムであって、該化合物(I)における前記連結基とその2箇所の連結部位を介して連結された基を含み、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有する化学構造部分X(主鎖)と、該連結基の他の連結部位のうち、少なくとも一つの連結部位を介して結合された基で、該化学構造部分X(主鎖、以下主鎖Xともいう)より分子長が短い化学構造部分Y(側鎖、以下側鎖Yともいう)を有し、該化合物(I)が前記(a)及び(b)で規定する条件を同時に満たし、波長分散特性が前記(c)及び(d)を同時に満たすことを特徴とし、広波長領域で位相差発現性が高く、薄膜で優れた逆波長分散特性を備え、低ヘイズで透明性が高く、耐光性及び着色耐性に優れたλ/4位相差フィルムを実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項12までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明に係る化合物(I)における化学構造部分X(主鎖)と化学構造部分Y(側鎖)は、以下のように定義する。
すなわち、少なくとも3箇所に連結部位を有する連結基で結合された化合物(I)の分子構造において、連結基とその2箇所の連結部位を介して連結された基を含み、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有する化学構造部分を化学構造部分X(主鎖)と定義する。化学構造部分X(主鎖)としては、最も直線距離が長い原子同士の原子間距離で構成する化学構造部分をとることが多い。また、化学構造部分Y(側鎖)は、連結基の他の連結部位のうち、少なくとも一つの連結部位を介して結合された基で、該化学構造部分X(主鎖)に対し分岐した構造で、280〜380nmの波長域内に極大吸収波長を有する化学構造部分であると定義する。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記化合物(I)が、前記一般式(A)で表される化合物であることが好ましい。また、前記化合物(I)のアスペクト比が、1.70未満であることが好ましい態様であり、より好ましくは、1.01以上、1.70未満の範囲である。
また、前記熱可塑性樹脂がセルロースエステルであることが好ましい。また、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮されて作製され、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内であることが好ましい。また、遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向していることが好ましい。また、フィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交し、かつ該フィルムの引取り方向に対して30〜60°の角度範囲内に遅相軸があることが好ましい。
また、本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法としては、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内となる条件で延伸して製造すること、遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向する条件で製造すること、延伸工程におけるフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とを斜交させ、該フィルムの引取り方向に対して30〜60°の角度範囲内に遅相軸を設ける条件で製造すること、が好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムは、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に好適に具備させることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《λ/4位相差フィルム》
本発明のλ/4位相差フィルムとは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に、又は、円偏光を直線偏光に変換する機能を有するフィルムをいう。λ/4位相差フィルムは、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、フィルム層の面内の位相差値Roが約1/4である。
本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定したRo(550)が120〜180nmの範囲内であることが好ましく、120〜160nmの範囲内であることが更に好ましく、125〜150nmの範囲内であることが特に好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムは、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲内において、概ね波長の1/4の位相差を有する位相差板(フィルム)である広帯域λ/4位相差フィルムであることが好ましい。
本発明でいう「可視光の波長の範囲において概ね1/4の位相差」とは、波長400から700nmの領域において、長波長ほど位相差値が大きい逆波長分散特性であることを意味する。
本発明においては、面内位相差値Roは下記式(i)で表される。
式(i)
Ro=(n−n)×d
上記式(i)において、n及びnは、それぞれ23℃、55%RHの環境下で測定した、波長450nm、550nm、又は650nmにおける屈折率であり、nはフィルムの面内の最大の屈折率(遅相軸方向の屈折率)であり、nはフィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、前記(c)項で規定するように、波長550nmで測定した面内位相差値Ro(550)に対する波長450nmで測定したRo(450)の比(DSP1;Ro(450)/Ro(550))が0.72〜0.96の範囲内であることを特徴とするが、0.75〜0.92の範囲内であることが好ましく、0.78〜0.88の範囲内であることがより好ましい。
また、前記(d)項で規定するように、波長650nmで測定した面内位相差値Ro(650)に対する波長550nmで測定した面内リターデーション値Ro(550)の比(DSP2;Ro(550)/Ro(650))の値は、0.83〜0.98範囲内であることを特徴とするが、前記Ro(450)/Ro(550)の値とのバランスが大切であり、Ro(450)/Ro(550)の値が0.72〜0.96の範囲内にある場合には、Ro(550)/Ro(650)の値は0.87〜0.98の範囲内であることが好ましく、Ro(450)/Ro(550)の値が0.75〜0.92の範囲にある場合には、Ro(550)/Ro(650)の値は0.88〜0.96の範囲内であることが好ましく、Ro(450)/Ro(550)の値が0.78〜0.88の範囲である場合は、Ro(550)/Ro(650)の値は0.90〜0.94の範囲内であることがより好ましい。
面内位相差値Ro(550)を高める場合には、フィルム膜厚dを高めることが簡単な手段ではあるが、経済性の低下、画像表示装置の厚さの増大、透過率低下による光取出し効率低下の観点から好ましくない。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、フィルム膜厚dは、おおむね30〜150μmの範囲内であるが、40〜100μmの範囲内が好ましく、50〜75μmの範囲内であることが、本発明の効果をより発現できる観点から特に好ましい。
本発明において、面内位相差値Roは、Axometrcs社製のAxoscanを用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定により算出することができる。
本発明のλ/4位相差フィルムの遅相軸と、後述する偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように積層することにより、円偏光板が得られる。
本発明でいう「実質的に45°」とは、40〜50°の範囲内であることを意味する。本発明のλ/4位相差フィルムの面内の遅相軸と、偏光子の透過軸との角度は、41〜49°の範囲内であることが好ましく、42〜48°の範囲内であることがより好ましく、43〜47°の範囲内であることが更に好ましく、44〜46°の範囲内であることが最も好ましい。
〔位相差調整剤:化合物(I)〕
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、本発明に係る化合物(I)は、少なくとも3箇所に連結部位を有する連結基で結合された化合物であり、前記連結基とその2箇所の連結部位を介して連結された基を含み、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有する化学構造部分X(主鎖)と、該連結基の他の連結部位のうち、少なくとも一つの連結部位を介して結合された基で、該化学構造部分X(主鎖)に対し分岐した構造の化学構造部分Y(側鎖)とを有し、下記(a)及び(b)で規定する条件を同時に満たすことを特徴とする。
第1の条件としては、
(a)化合物(I)を構成する化学構造部分Y(側鎖)部分が、280〜380nmの波長域内に最大吸収波長を有することを特徴としている。
本発明に係る主鎖及び側鎖を有する化合物(I)は、溶媒に溶解した状態で、紫外吸収領域に少なくとも2つの極大吸収波長を有しており、より短波側の極大吸収波長λmaxは化合物(I)の主鎖Xに帰属する分光吸収特性で、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有し、より長波側の極大吸収波長λmaxは化合物(I)の側鎖Yに帰属する分光吸収特性である。本発明では、側鎖Yに帰属する該長波側の極大吸収波長λmaxが280〜380nmの波長域内にあることを特徴とする。
第2の条件は、
(b)化合物(I)の化学構造部分X(主鎖)に帰属する総吸収強度をΣABSとし、化合物(I)の化学構造部分Y(側鎖)に帰属する総吸収強度をΣABSとしたとき、ΣABSとΣABSの吸収強度比(ΣABS/ΣABS)の値が、1.01〜25.0の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係る化学構造部分X(主鎖)に帰属する総吸収強度をΣABS及び化学構造部分Y(側鎖)に帰属する総吸収強度をΣABSは、下記の手順に従って測定することができる。
本発明に係る化合物(I)を、テトラヒドロフラン(安定剤なし)に、濃度として10−4mol/Lで溶解し、化合物(I)溶液を調製する。
調製した化合物(I)溶液を、石英セル(10mm長四角セル)に入れて、紫外可視赤外分光光度計(U−570、日本分光社製)を用いて、化合物(I)溶液の波長領域200〜380nmの範囲における吸光度(溶液吸収スペクトラム)を測定する。
得られた溶液吸収スペクトル特性のうち、波長領域200〜380nmの範囲における吸収スペクトルの中で、上記のように化学構造部分Y(側鎖)に帰属する長波長側の極大吸収の波長をλmaxとし、λmaxにおける吸光度を化学構造部分Y(側鎖)に帰属する総吸収強度ΣABSとして求める。同様に、化学構造部分X(主鎖)に帰属する短波長側の極大吸収の波長をλmaxとし、λmaxにおける吸光度を化学構造部分X(主鎖)に帰属する総吸収強度ΣABSとして測定する。次いで、得られた各測定値より、吸収強度比(ΣABS/ΣABS)の値を算出する。
本発明に係る化合物(I)の主鎖X及び側鎖Yは、上記の方法で測定することにより定義することができるが、多くの化合物(I)においては、後述するλ/4位相差フィルムの遅相軸の方向と化合物(I)の主鎖Xの方向が一致するように配向する場合が多い。
本発明に係る化合物(I)においては、アスペクト比が、1.70未満であることが好ましい態様であり、より好ましくは、1.01以上、1.70未満の範囲である。
本発明でいう化合物(I)のアスペクト比とは、Winmostar MOPAC AM1(MOP6W70)(千田,“分子計算支援システムWinmostarの開発”,出光技報,49,1,106−111(2006))を用いて算出した値である。
本発明でいうアスペクト比とは、分子長/分子幅であり、分子長とは、化合物中で最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値であり、分子幅は分子長軸に垂直な面に各原子を投影したときの最大の原子間距離に両端の2原子のファンデルワールス半径を加えた値である。
本発明において、アスペクト比が1.70未満である化合物(I)を選択することにより、熱可塑性樹脂に対して異方的になり、逆波長分散性を高める効果が得られやすく、λ/4位相差フィルムに必要な位相差発現性を達成することができる。
本発明に係る化合物(I)としては、上記で規定する条件(a)及び(b)を同時に満たすものであれば特に制限はないが、下記一般式(A)で表され、かつ条件(a)及び(b)で規定する条件を同時に満たす化合物であることが好ましい。
下記一般式(A)で表される化合物を用いることにより、遅相軸方向の屈折率nxを高くすることができ、かつ紫外領域での進相軸方向屈折率nyを高めて、進相軸方向屈折率nyの順波長分散傾きを急峻にすることができる。
Figure 2013136977
上記一般式(A)において、L及びLは各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R、R及びRは各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。Wa及びWbはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成してもよく、(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有してもよく、又は(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。
一般式(A)において、L及びLは各々独立に単結合又は2価の連結基を表すが、2価の連結基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、O、(C=O)、(C=O)−O、NR、S及び(C=O)−NR(Rは、後述するR、R及びRと同義である)が挙げられる。L及びLとして、好ましくはO、(C=O)−O、又はO(C=O)である。
、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R及びRで表される置換基の具体例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)が挙げられる。
及びRとしては、好ましくは、置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに4位に置換基を有するベンゼン環が、λ/4位相差フィルムの遅相軸方向に一般式(A)の化合物の主鎖を配向させて、遅相軸方向屈折率nxを高めることができる観点で、特に好ましい。
として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
Wa及びWbは各々独立に水素原子又は置換基を表し、Wa及びWbが互いに結合して環を形成しても、Wa及びWbの少なくとも1つが環構造を有しても、又はWa及びWbの少なくとも1つがアルケニル基又はアルキニル基であってもよい。
Wa及びWbで表される置換基の具体例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシル編みの基(例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(例えば、アセチル基ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)を挙げることができる。
上記の置換基は、更に上記の基で置換されていてもよい。
Wa及びWbが互いに結合して環を形成する場合、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2013136977
式中、R、R、Rはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、置換基としては、上記R、R及びRで表される置換基の具体例と同様の基を挙げることができる。
また、Wa及びWbのいずれか一方が水素原子で、他方が置環基を有する場合、以下のような構造が挙げられる。
Figure 2013136977
式中、Rii、Riiiは、それぞれ上記R、R及びRで表される置換基の具体例と同様の基を挙げることができる。
以下に、本発明に係る化合物(I)の具体例を示すが、本発明で用いることができる化合物(I)は、以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2013136977
Figure 2013136977
Figure 2013136977
本発明に係る化合物(I)のλ/4位相差フィルム中での含有量としては、0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜20質量%の範囲内である。
なお、本発明に係る化合物(I)は、既知の合成方法を適用して行うことができる。具体的には、Journal of Chemical Crystallography(1997);27(9); 512−526)、特開2010−31223号公報、特開2008−107767号公報等に記載の方法を参照に合成することができる。
〔熱可塑性樹脂〕
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いて構成される。熱可塑性樹脂としては、特に制限は無いが、セルロースエステル樹脂(セルロースアセテート、セルロースアシレート等)、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂が好ましく、特に、主たる成分がセルロースエステル樹脂であることが好ましい。本発明でいう「主たる成分」とは、λ/4位相差フィルムを構成する熱可塑性樹脂成分の60質量%以上がセルロースエステルで構成されていることをいう。
上記構成とすることにより、リターデーション発現性が高く、その結果、高いリターデーションを有する位相差フィルムとする場合であっても薄膜化が可能となり、高倍率延伸を行っても、高温高湿環境下で長期間にわたり保存した際の視認性及び耐久性と、鹸化適性に優れている特性を有している。
(セルロースエステル樹脂)
本発明に適用可能なセルロースエステル樹脂のひとつとして、セルロースアセテートを挙げることができる。セルロースアセテートとしては、平均アセチル基置換度が2.00以上であることが好ましく、より好ましくは2.00〜2.95の範囲であり、2.20〜2.90の範囲であることが更に好ましい。ここでいう平均アセチル基平均置換度とは、セルロースを構成する各無水グルコースの有する3個のヒドロキシ基(水酸基)のうち、エステル化(アセチル化)されているヒドロキシ基(水酸基)の数の平均値を示し、0〜3.0の範囲内の値を示す。
セルロースアセテートの平均アセチル基置換度が2.0以上であれば、ドープ粘度の上昇によるフィルム面品質の劣化や延伸張力の上昇によるヘイズアップなどが発生を抑制することができる。
本発明において、アセチル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシ基(水酸基)として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
なお、アセチル基の置換度は、ASTM−D817−96(セルロースアセテート等の試験方法)に規定されている方法に従って求めたものである。
本発明に係るセルロースアセテートの数平均分子量(Mn)は、30,000〜300,000の範囲内であることが、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に50,000〜200,000の範囲内であることが好ましい。
セルロースアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnの値は、1.4〜3.0の範囲内であることが好ましい。
セルロースアセテートの重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた測定により求めることができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明に係るセルロースアセテートの原料であるセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明に係るセルロースアセテートは、公知の方法により製造することができる。一般的には、原料のセルロースと所定の有機酸(酢酸など)と酸無水物(無水酢酸など)、触媒(硫酸など)と混合して、セルロースをエステル化(アセチル化)し、セルロースのトリエステル(アセチル化)ができるまで反応を進める。トリエステル(アセチル化)においてはグルコース単位の三個のヒドロキシ基(水酸基)は、有機酸のアセチル基で置換されている。次いで、セルロースのトリエステルを加水分解することで、所望のアセチル基置換度を有するセルロースアセテートを合成することができる。その後、濾過、沈殿、水洗、脱水、乾燥などの工程を経て、セルロースアセテートを得ることができる。
具体的には、特開平10−45804号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいて、リターデーション発現性が高く、高いリターデーションを有する位相差フィルムとする場合であっても薄膜化可能であること、高いリターデーションを発現させても延伸倍率を低く抑えることができ破断等の故障を回避できるなどの観点から、セルロースエステル樹脂として、上述のセルロースアセテート以外のセルロースアシレートを適用することもでき、該セルロースアシレートの総アシル基置換度の平均値が1.00以上、3.00以下であるフィルムを用いることが好ましい態様のひとつである。
加えて、透湿性を保ちつつ疎水性を高める観点から、炭素数が3以上のアシル基の置換度の平均値が0.50〜2.50の範囲内であることが好ましい。
本発明で規定するアシル基置換度の測定方法は、ASTMのD−817−91に準じて行うことができる。総アシル基置換度の平均値は、1.00〜3.00の範囲内であることが好ましいが、2.00〜2.90の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは2.40〜2.75の範囲内である。また、炭素数が3以上のアシル基の置換度の平均値が0.50〜2.50の範囲内であることが好ましいが、より好ましくは0.80〜2.00の範囲内であり、特に好ましくは1.00〜1.70の範囲内である。
セルロースアシレートの総アシル基置換度が1.0以上であれば、円偏光板作成時のアルカリ鹸化処理でフィルムがダメージを受けることがなく、保護フィルムとしての機能を果たすことができる。セルロースアシレートの総アシル基置換度は、上限が3.0と決まっている。
セルロースアシレートの炭素数3以上のアシル基置換度が0.50以上であれば、λ/4板に疎水性を付与することができ、本発明に係る発光体素子の耐久性改良の効果を得ることができ、2.50以下であれば、偏光子との接着性が良好となり、偏光板の作製が容易になる。
鹸化適性の観点からは、炭素数が3以上のアシル基は、プロピオニル基であることが好ましい。
セルロースアシレートの数平均分子量(Mn)は、30000〜300000の範囲内であることが、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に50000〜200000の範囲内のものが好ましく用いられる。
セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnの値は、1.4〜3.0の範囲内であることが好ましい。
セルロースアシレートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、上述のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定して求めることができる。
本発明に係るセルロースアセテートを含めたセルロースアシレートは、セルロース原料をアシル化することにより得ることができる。例えば、アシル化剤が酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等。)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて合成する。また、例えば、アシル化剤が酸クロライド(例えば、CHCOCl、CCOCl、CCOCl等。)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。
本発明に適用可能なセルロースアシレートは、公知の方法により製造することができる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
セルロース樹脂の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(例えば、針葉樹由来、広葉樹由来等)、ケナフ等を挙げることができる。また、それらから得られたセルロースアシレートは、それぞれ任意の割合で混合して使用することができる。
具体的なセルロースアシレートとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート又はセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基又はフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。尚、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
本発明において好ましく用いられるセルロースアシレートとしては、特に、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。中でもセルロースアセテートプロピオネートが最も好ましい。
また、目的に叶う光学特性を得るため、置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。混合比としては10:90〜90:10(質量比)の範囲内が好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムには、セルロースエステル以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
本発明でいう「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度(Tg)又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる特性を備えた樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリルスチレン共重合体)、アクリル樹脂(PMMA)等を用いることができる。
また、強度や壊れにくさを特に要求される場合には、例えば、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに、高い熱変形温度と長期使用できる耐久性が要求される場合には、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
なお、本発明の用途に沿って、熱可塑性樹脂の種類や分子量を組み合わせて、2種以上用いることも可能である。
〔λ/4位相差フィルムのその他の添加剤〕
(有機溶媒)
セルロースエステルを溶解してセルロースエステル溶液、あるいはドープを調製するのに有用な有機溶媒としては、主に、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒が挙げられる。
塩素系有機溶媒としては、例えば、メチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができる。しかしながら、昨今の環境問題の視点から、非塩素系有機溶媒の適用が盛んに検討されている。非塩素系有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。
これらの有機溶媒を、セルロースエステルに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の公知の溶解方法を用いることが、不溶解物を少なくすることができる観点で好ましい。セルロースエステルに対しては、メチレンクロライドを用いることもできるが、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを用いることが好ましく、その中でも、特に酢酸メチルが好ましい。
本発明において、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で多量に使用する有機溶媒を、主(有機)溶媒又は主たる(有機)溶媒という。
本発明のλ/4位相差フィルムの製膜に用いられるドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の範囲内で、炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらのアルコールは、ドープを金属支持体上に流延した後、有機溶媒の蒸発が開始され、アルコール成分の相対比率が高くなると、ドープ膜(ウェブ)がゲル化し、ウェブを丈夫にし、金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として作用させることができ、これらのアルコールの割合が低い時には、非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。
炭素原子数が1〜4の範囲内にあるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良いこと等の観点から、エタノールを用いることが好ましい。これらのアルコール類は、単独ではセルロースエステルに対して溶解性を有していないので、貧溶媒として分類される。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は15〜30質量%の範囲内であることが好ましく、ドープ粘度は100〜500Pa・sの範囲内に調整することが、優れたフィルム面品質を得ることができる観点から好ましい。
ドープ中に添加することのできる添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等が挙げられる。本発明において、微粒子以外の添加剤については、セルロースエステル溶液の調製時に添加してもよいし、微粒子分散液の調製時に添加してもよい。画像表示装置に使用する偏光板には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。
(可塑剤)
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、可塑剤を含有することが好ましい。特に、本発明のλ/4位相差フィルムでは、数平均分子量(Mn)が1000〜10000の範囲内にあるポリエステル系可塑剤を含有することが好ましい。
ポリエステル系可塑剤の具体的な構造については、特に制限はなく、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。
ポリエステル系可塑剤としては、例えば、下記一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤が挙げられる。
一般式(a)
B−(G−A)−G−B
上記一般式(a)において、Bはベンゼンモノカルボン酸基又は脂肪族モノカルボン酸基を表し、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール基、炭素数6〜12のアリールグリコール基又は炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール基を表し、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸基を表し、nは1以上の整数を表す。
一般式(a)で表されるポリエステル系可塑剤は、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られるものである。
ポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリーブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。
また、ポリエステル系可塑剤の脂肪族モノカルボン酸成分としては、例えば、炭素数3以下の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸がより好ましく、酢酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の炭素数が3以下であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない。
また、炭素数3以上8以下の環状脂肪族を有するモノカルボン酸が好ましく、炭素数6の環状脂肪族を有するモノカルボン酸がより好ましく、シクロヘキサンカルボン酸、4−メチル−シクロヘキサンカルボン酸が最も好ましい。重縮合エステルの両末端に使用するモノカルボン酸類の環状脂肪族の炭素数が3から8の範囲内であると、化合物の加熱減量が大きくならず、面状故障が発生しない点で好ましい。
ポリエステル系可塑剤の炭素数が2〜12のアルキレングリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられ、これらはそれぞれが1種単独で、又は2種以上の混合物として使用することができる。中でも、特に、炭素数が2〜12のアルキレングリコールが、セルロースエステルとの相溶性に優れている点で好ましく、より好ましくは炭素数が2〜6のアルキレングリコールであり、さらに好ましくは炭素数が2〜4のアルキレングリコールである。
また、ポリエステル系可塑剤の炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。
ポリエステル系可塑剤の炭素数が4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が挙げられ、これらはそれぞれ1種単独で、又は2種以上の混合物として使用されうる。さらに、炭素数が6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
本発明のλ/4位相差フィルムに好ましく用いられるポリエステル系可塑剤は、その数平均分子量が200〜10000の範囲内であり、より好ましくは300〜3000の範囲内である。
ポリエステル系可塑剤の酸価としては、好ましくは0.5mgKOH/g以下であり、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。また、ポリエステル系可塑剤のヒドロキシ基価は、好ましくは25mgKOH/g以下であり、より好ましくは15mgKOH/g以下である。なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
以上説明したポリエステル系可塑剤以外にも、従来公知の各種可塑剤を、本発明のλ/4位相差フィルムに適用してもよい。
このような従来公知の可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等が挙げられる。
(糖エステル化合物)
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、相溶媒として糖エステル化合物を含有することが好ましく、糖エステル化合物としては。ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個の範囲内で有し、その構造のヒドロキシ基の一部又はすべてがエステル化された、セルロースエステルを除くエステル化合物である糖エステル化合物を挙げることができる。
糖エステル化合物の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
ピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖類)としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース、及びケストース等が挙げられる。
このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特に、ピラノース構造とフラノース構造の双方を有する化合物が好ましい。その例としては、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、さらに好ましくは、スクロースである。
糖エステル化合物を調製する際に、上述したピラノース構造又はフラノース構造を有する化合物(糖)のヒドロキシ基のすべて又は一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種単独でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体が挙げられ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸が挙げられるが、特に安息香酸が好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいて、位相差値の変動を抑制して表示品位を安定化するという観点から、上述した糖エステル化合物は、λ/4位相差フィルム100質量%に対して、1〜30質量%の範囲内で含まれることが好ましく、5〜30質量%の範囲内で含まれることがより好ましい。この範囲内であれば、上記の優れた効果を呈するとともに、ブリードアウトなどもなく好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明のλ/4位相差フィルム、あるいは後述する円偏光板を構成する保護フィルムにおいては、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐光性を改良することができる。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、更には2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
これらの紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズの紫外線吸収剤を好ましく使用できる。
(その他の添加剤)
更に、λ/4位相差フィルムには、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また、帯電防止剤を加えて、λ/4位相差フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
〈リン系難燃剤〉
本発明のλ/4位相差フィルムには、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いても良い。
本発明に適用可能なリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、あるいは2種以上の混合物を挙げることができる。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
〈マット剤〉
また、本発明のλ/4位相差フィルムには、取扱性を向上させる観点から、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。なかでも、二酸化ケイ素は、フィルムのヘイズを小さくすることができる観点から好ましく用いられる。
微粒子の一次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmの範囲内であり、特に好ましくは、5〜12nmの範囲内である。
〔λ/4位相差フィルムの製膜方法〕
本発明のλ/4位相差フィルムは、公知の方法に従って製膜することができる。以下、代表的な溶液流延法及び溶融流延法について説明する。
(溶液流延法)
本発明のλ/4位相差フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、熱可塑性樹脂であるセルロースエステル及び添加剤等を、有機溶媒に加熱溶解させてドープを調製するドープ調製工程、調製したドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する流延工程、流延したドープをウェブとして乾燥する乾燥工程、金属支持体からウェブを剥離する剥離工程、剥離したウェブを延伸又は収縮する延伸工程、更に乾燥する乾燥工程、仕上がったフィルムの巻取り工程等を経て製造される。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷は低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増大し、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%の範囲内である。流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススチールベルト、又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mの範囲とすることが好ましい。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶媒が沸騰して発泡しない温度以下の範囲で適宜選択して設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、過度に高すぎるとウェブが発泡し、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃の範囲内で適宜決定され、5〜30℃の温度範囲内が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は、特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法等がある。温水を用いる方法が、熱の伝達が効率的に行われ、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短い点で好ましい。
温風を用いる場合は、溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行う方法が好ましい。
λ/4位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量として、10〜150質量%の範囲内で設定することが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%の範囲内であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%の範囲内である。
本発明でいう残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
式中、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱した後の質量である。
また、λ/4位相差フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1.0質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0〜0.01質量%の範囲である。
フィルム乾燥工程では、一般にローラー乾燥方式、例えば、上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式や、テンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
〈延伸工程〉
本発明のλ/4位相差フィルムは、波長550nmで測定した面内方向の位相差Ro550が120〜180nmの範囲内が好ましいが、該位相差はフィルム延伸によって付与することができる。以下、本発明においては、λ/4位相差フィルムをセルロースエステルフィルムと称する場合がある。
延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のローラーに周速差をつけ、その間でローラー周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法(テンター方式)、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれらの方法は、組み合わせて用いてもよい。すなわち、製膜方向に対して横方向に延伸しても、縦方向に延伸しても、両方向に延伸してもよく、さらに両方向に延伸する場合は同時延伸であっても、逐次延伸であってもよい。なお、いわゆるテンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸が行うことができ、破断等の危険性を減少することができる観点から好ましい。
次いで、本発明のλ/4位相差フィルムの具体的な製造方法について、図を交えて説明する。
本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法の一つとしては、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内となる条件で延伸して製造することを特徴とする。
本発明のλ/4位相差フィルムにおいては、特に、遅相軸を発生させたい方向に延伸し、垂直方向(進相軸方向)には収縮させ、その延伸倍率に対する収縮率の比率をコントロールすることにより、本発明で係る化合物(I)の主鎖X方向と、セルロースエステルの主軸方向(延伸方向、遅相軸方向)とを一致させるように化合物(I)の主軸Xの配向方向を制御することが好ましい。
すなわち、遅相軸方向(幅手方向)への延伸倍率と、遅相軸方向とは垂直の方向(進相軸方向)への収縮倍率の比率としては、収縮倍率/延伸倍率=0.05〜0.70の範囲とすることが好ましい態様であるが、最も好ましいのは0.10〜0.30の範囲内であり、この範囲において、化合物(I)の主鎖Xをマトリックス樹脂の主鎖に合わせることができると共に、化合物(I)の側鎖Yもフィルム進相軸方向に配向し、側鎖に高屈折率分子を含有させれば、紫外線領域280nmにおける進相軸方向の屈折率n(280)を高めることが可能となり、可視光領域のn順波長分散の傾きを急峻にすることができる。
本発明に係る延伸工程においては、全延伸工程の30〜70%の範囲内で延伸した後に、収縮を開始する方法が好ましい。
延伸工程としては、通常、幅手方向(TD方向)に延伸し、搬送方向(MD方向)に収縮する場合が多いが、収縮させる際、斜め方向に搬送させると主鎖方向を合せ易くなるため、位相差発現効果はさらに大きい。収縮率は搬送させる角度によって決まる。
図1は、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程において、斜め延伸における収縮倍率を説明する模式図である。
図1において、セルロースエステルフィルムFを斜め延伸112する際に、搬送方向である長軸Mが、斜め屈曲することでMに収縮する。このとき、収縮率(%)は、
収縮率(%)=(M−M)/M×100
で表される。
屈曲角度をθとすると、
=M×sin(π−θ)
となり、よって、
収縮率(%)=(1−sin(π−θ))×100
で表される。
図1において、111は延伸方向(TD方向)であり、113は搬送方向(MD方向)であり、114は遅相軸である。
化合物(I)の配向をコントロール方法としては、λ/4位相差フィルムの遅相軸が搬送方向に対して30〜60°の範囲内であることが好ましく、その際の収縮率としては、10〜50%の範囲内であることが好ましい。
円偏光板の生産性を考慮すると、本発明のλ/4位相差フィルムは、搬送方向に対する配向角が45°±2°であることが、偏光フィルムとのロールツーロールで貼合が可能となり最も好ましい。
(斜め延伸テンターによる延伸)
次いで、斜め延伸方法について説明する。
本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法において、延伸にするセルロースエステルフィルムに斜め方向の配向を付与する方法として、斜め延伸テンターを用いることが好ましい。
本発明に適用可能な斜め延伸テンターとしては、レールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸をフィルム幅方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚さやリターデーションを制御できるフィルム延伸装置であることが好ましい。
本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法の一つの態様としては、λ/4位相差フィルムの製造方法が、遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向する条件で製造することを特徴とする。
図2A及び図2Bは、本発明に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致している斜め延伸装置の一例を示す模式図である。
図2Aにおいて、テンター入口部においてフィルムの両端を把持した左右一対の把持具は、テンター内の初期において左右のレール間の距離が一定のゾーンでは左右のレール上を等速で走行し、その後左右のレール間距離が拡幅するゾーンにおいては左右のレール上を異なる速度で走行し、その後再び左右のレール間距離が等しくなるゾーンにおいて左右のレール上を等速で走行するようになる。
例えば、図2A中の左側のレールを走行する把持具が図中右側のレールを走行する把持具よりも速い場合を例に挙げて説明する。
テンター入り口側のガイドローラー12−1によって方向を制御された長尺フィルム原反4は、外側のフィルム把持開始点8−1、内側のフィルム把持開始点8−2の位置で把持具によって把持される。その後左右のレール間隔が等しい領域においては左右一対の把持具はレール上を等速で走行する。その後左右のレールが拡幅を始める点10−1及び10−2において、図中左側の把持具(以下、高速側の把持具)の走行速度が図中右側の把持具(以下、低速側の把持具)の走行速度よりも速く走行しはじめ、左右のレールが拡幅を終えて左右のレールの拡幅が終了する点11−3において、高速側の把持具は再度低速側の把持具と等しい走行速度まで減速し、左右一対の把持具は再び同じ速度で走行を始める。その後、低速側の把持具が、左右レールの拡幅が終了する点11−1まで到達した際に、左右一対の把持具の片方は11−2に到達することになる。
この後、左右一対のクリップは等速に左右レール上を走行し、左側把持終了点9−2において左側の把持具がフィルムを解放し、次いで右側把持終了点9−1において右側の把持具がフィルムを解放し、斜め延伸が終了する。
図2Bも、本発明に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致した方式の斜め延伸テンターの模式図である。
テンター入口部においてフィルムの両端を把持した左右一対の把持具は、テンター内初期において左右のレール間の距離が一定のゾーンでは左右のレール上を異なる速度で走行する。
図2Bで示されるテンターは、左右のレール間距離が拡幅する箇所を有するテンターである。テンター入口部8−1、8−2にて左右一対の把持具がフィルムを把持し、左右の把持具はそれぞれ異なる速度で左右のレール上を走行する。左右一対の把持具のうち高速側の把持具がテンター出口部の把持解放点9−2に到達した際に、対となる低速側のクリップは11−1に位置することになるため、左右一対の把持具によって把持されたフィルムは斜め延伸されることになる。
図2Bで示されるテンターは、左右のレール間距離が拡幅する箇所を有するテンターであるが、必ずしも左右のレール間距離が拡幅する箇所を有していなくてもよい。
図2A及び図2Bにおいて、把持具の走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜100m/分である。また、左右一対のフィルム把持具がそれぞれ異なる速度で走行するとは実質的に、左右一対の把持具の走行速度の差として、走行速度の1%を超えることを意味する。
左右一対の把持具の走行速度の差としては、走行速度の1%を超えて、50%以下の範囲内が好ましく、走行速度の1%を超えて30%以下の範囲内がさらに好ましく、走行速度の1%を超えて10%以下の範囲内がさらに好ましい。
また、図2A及び図2Bに示す斜め延伸装置においては、テンターの途中にて把持具の走行速度が変化する機構を有しているテンターであれば公知のものを用いることができる。
一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モーターの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%の速度ムラを生ずるが、これらは本発明でいう走行速度の差には該当しない。
また、本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法の一つの態様としては、延伸工程におけるフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とを斜交させ、該フィルムの引取り方向に対して30°〜60°の角度範囲内に遅相軸を設ける条件で製造することを特徴とする。
図3は、本発明に適用可能なフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交している斜め延伸装置の一例を示す模式図である。
図3において、テンター入り口側のガイドローラー12−1によって方向を制御された長尺フィルム原反4は、外側のフィルム保持開始点8−1、内側のフィルム保持開始点8−2の位置でフィルム把持具によって把持される。
左右一対のフィルム把持具は互いに等速度で、斜め延伸テンター6にて外側のフィルム把持手段の軌跡7−1、内側のフィルム把持手段の軌跡7−2で示される斜め方向に搬送、延伸され、外側のフィルム把持終了点9−1、内側のフィルム把持終了点9−2によって把持を解放され、テンター出口側のガイドローラー12−2によって搬送を制御されて斜め延伸フィルム5が形成される。図中、長尺フィルム原反は、フィルムの送り方向14−1に対して、フィルムの延伸方向14−2の角度(繰出し角度θi)で斜め延伸される。
図3において、フィルム把持具の走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜100m/分である。また、左右一対のフィルム把持具が互いに等速度とは実質的に、左右一対の把持具の走行速度の差として走行速度の1%以下であることを意味する。
本発明に用いられる斜め延伸テンターにおいて、特に、図3に示すようにテンター内部において、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
図2A及び図2Bで示される斜め延伸テンターにおいては、長尺フィルム原反のテンター入口での進行方向14−1は、延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向14−2と異なっている。繰出し角度θiは、テンター入口での進行方向14−1と延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向14−2とのなす角度である。
更に詳しく説明すると、本発明のλ/4位相差フィルムを製造する方法においては、図3に示す斜め延伸可能なテンターを用いて斜め延伸を行うことが、特に好ましい。
このテンターは、フィルム原反を、延伸可能な任意の温度に加熱し、斜め延伸する装置である。このテンターは、加熱ゾーンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、加熱ゾーン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
なお、テンターのレールパターンは左右で非対称な形状となっており、製造すべき長尺延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、そのレールパターンは手動で又は自動で調整できるようになっている。本発明のλ/4位相差フィルムの製造方法で用いられる斜め延伸装置では、各レール部及びレール連結部の位置を自由に設定し、レールパターンを任意に変更できることが好ましい。なお、図3に示す「○」部は連結部の一例である。
本発明の実施形態において、テンターの把持具は、前後の把持具と一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。
把持具の走行速度は適宜選択できるが、通常、1〜100m/分である。左右一対の把持具の走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具の速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。
(溶融製膜法)
本発明のλ/4位相差フィルムは、溶融製膜法によって製膜しても良い。溶融製膜法は、樹脂及び可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を呈する温度まで加熱溶融した後、流動性の熱可塑性樹脂を含む溶融物を流延する成形方法である。
加熱溶融する成形法としては、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度及び表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出し法に用いる複数の原材料は、通常、あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法を適用することができ、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し、一軸や二軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることで得ることができる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよく、あるいはそれぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。なお、微粒子や酸化防止剤等の少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておく方法が好ましい。
ペレット化に用いる押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないように、ペレット化可能でなるべく低温で加工する方式が好ましい。例えば、二軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーに投入して押出し機に供給し、加熱溶融した後、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを一軸や二軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度としては200〜300℃の範囲内とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過して異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ローラーと弾性タッチローラーでフィルムをニップし、冷却ローラー上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は、真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下で行って、酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し、接触箇所を焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や微粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ローラーと弾性タッチローラーでフィルムをニップする際のタッチローラー側のフィルム温度は、フィルムのTg以上、Tg+110℃以下の範囲内とすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有する弾性タッチローラーとしては、公知の弾性タッチローラーを使用することができる。弾性タッチローラーは、挟圧回転体ともいい、市販されているものを用いることもできる。
冷却ローラーからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ローラーに接する工程を通過した後、前記延伸操作により延伸及び収縮処理を施す。
延伸及び収縮する方法は、前述のような公知のローラー延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常、フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、切除部は再利用される。
〔λ/4位相差フィルムの特性〕
(フィルム仕様)
本発明のλ/4位相差フィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜250μmの範囲内で用いることができるが、好ましくは20〜100μmの範囲内であり、より好ましくは40〜80μmの範囲内であり、特に好ましくは40〜65μmの範囲内である。
本発明のλ/4位相差フィルムは、幅として1〜4mの範囲内のものを用いることができる。更には、幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mである。幅として4m以下であれば、搬送安定性を確保することができる。
(表面粗さ)
本発明のλ/4位相差フィルム表面の算術平均粗さRaとしては、おおむね2.0〜4.0nmの範囲内であり、好ましくは2.5〜3.5nmの範囲内である。
(寸法変化率)
本発明のλ/4位相差フィルムを、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置に具備した場合、使用する環境雰囲気、例えば、高湿環境下での吸湿による寸法変化に起因する、ムラや位相差値の変化、及びコントラストの低下や色むらといった問題の発生を抑制する観点から、本発明のλ/4位相差フィルムの寸法変化率(%)は、0.5%未満であることが好ましく、更に、0.3%未満であることが好ましい。
(故障耐性)
本発明のλ/4位相差フィルムでは、フィルム中の故障(以下、欠点ともいう)が少ないことが好ましい。ここでいう故障とは、溶液流延法により製膜において、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞故障(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物故障(異物欠点)をいう。
具体的にはフィルム面内に、直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下であり、特に好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
上記欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさで測定する。また、欠点が、ローラー傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化を伴う場合には、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方以下であれば、例えば、後工程での加工時などでフィルムに張力がかかる場合でも、欠点が起点となりフィルムが破断する発生確率を低減でき、高い生産性を維持することができる。また、欠点の直径が5μm以下であれば、偏光板観察などにより視認されることがなく、光学部材として用いた際にも、輝点が生じることがない。
(破断伸度)
また、本発明のλ/4位相差フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向(TD方向又はMD方向)の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は、特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには、異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
(全光線透過率)
本発明のλ/4位相差フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。また、製膜時のフィルム接触部(冷却ローラー、カレンダーローラー、ドラム、ベルト、溶液製膜における塗布基材、搬送ローラーなど)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることにより、フィルム表面の光の拡散や反射を低減させる方法が有効である。
《円偏光板》
本発明の円偏光板は、長尺状の保護フィルム、長尺状の偏光子及び長尺状の本発明のλ/4位相差フィルムをこの順に有する長尺ロールを断裁して作製され、該長尺状のλ/4位相差フィルムが、請求項1で規定する条件を満たすことを特徴とするものであり、本発明の円偏光板を有機EL表示装置に適用することにより、有機EL発光体の金属電極の鏡面反射を遮蔽する効果を発現する。
また、本発明のλ/4位相差フィルムを斜め延伸することによって遅相軸の角度(即ち配向角θ)を長手方向に対して「実質的に45°」となるようにすると、面内の最大弾性率となる方向も長手方向に対して「実質的に45°」となり、円偏光板が斜め方向の反りを生じやすくなる。
本発明の円偏光板では、偏光子を本発明のλ/4位相差フィルムと保護フィルムによって挟持して構成することが好ましく、該保護フィルムの視認側に硬化層が積層されることが、円偏光板の反りを防止する効果を有することから、更に好ましい。
また、本発明の有機EL表示装置は、紫外線による劣化を防止するために、本発明の円偏光板が紫外線吸収機能を備えていることが好ましい。視認側の保護フィルムが紫外線吸収機能を備えていると、偏光子と有機EL素子の両方を紫外線に対する保護効果を発現できる観点から好ましいが、さらに発光体側のλ/4位相差フィルムも紫外線吸収機能を備えていると、より有機EL素子の劣化を抑制できて好ましい。
《有機エレクトロルミネッセンス表示装置》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、本発明のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、画面サイズが20インチ以上であることを特徴とする。
図6に、本発明の有機EL表示装置の構成の一例を示すが、これに限定されるものではない。
ガラスやポリイミド等を用いた基板101上に、順に金属電極102、TFT103、有機発光層104、透明電極(ITO等)105、絶縁層106、封止層107、フィルム108(省略可)を有する有機EL素子B上に、偏光子110を本発明のλ/4位相差フィルム109と保護フィルム111によって挟持した本発明の円偏光板Cを設けて、有機EL表示装置Aを構成する。該保護フィルム111には硬化層112が積層されていることが好ましい。硬化層112は、有機EL表示装置の表面のキズを防止するだけではなく、円偏光板による反りを防止する効果を有する。更に、硬化層112上には、反射防止層113を有していてもよい。上記有機EL素子自体の厚さは1μm程度である。
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に金属電極と有機発光層と透明電極とを順に積層して発光体である素子(有機EL素子)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、及び電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極に電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子と注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質あるいはリン光物質を励起し、励起された蛍光物質あるいはリン光物質が基底状態に戻るときに光(蛍光あるいはリン光)を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明であることが必要であり、通常、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いていることが好ましい。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
本発明のλ/4位相差フィルムを有する円偏光板は、画面サイズが20インチ以上、即ち対角線距離が50.8cm以上の大型画面からなる有機EL表示装置に適用することが好ましい。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度と、極めて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと放射されるため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように観察される。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機EL素子を含む構成の有機EL表示装置において、透明電極の表面側(視認側)に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板及び偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4位相差フィルムで構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過し、この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、特に、位相差板がλ/4位相差フィルムで、しかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《λ/4位相差フィルムの作製》
〔λ/4位相差フィルム1の作製〕
(微粒子分散液の調製)
微粒子(アエロジル R812、一次粒子径:約7nm 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、高圧式分散機であるマントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液を調製した。
(微粒子添加液1の調製)
溶解タンクにメチレンクロライドを50質量部入れ、メチレンクロライドを十分に攪拌しながら、上記調製した微粒子分散液の50質量部をゆっくりと添加した。更に、二次粒子径が、所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を調製した。
(ドープ1の調製)
はじめに、加圧溶解タンクに下記に示すメチレンクロライドとエタノールを添加した。有機溶媒の入った加圧溶解タンクに、アセチル基置換度が2.45の下記セルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱及び攪拌しながら、完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過して、主ドープを調製した。
次いで、化合物(I)として例示化合物(I−2)、糖エステル化合物(平均置換度7.3のベンジルサッカロース)及び上記調製した微粒子添加液を下記の比率で、主溶解釜に投入し、密閉した後、攪拌しながら溶解してドープ1を調製した。
〈ドープ1の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(CE−1、アセチル基置換度:2.45、プロピオニル基置換度:0、重量平均分子量約22万) 100質量部
化合物(I):例示化合物(I−2)(側鎖のλmax=355nm、ΣABS/ΣABS=1.15、アスペクト比(AR)=1.37)
5質量部
糖エステル化合物(平均置換度7.3のベンジルサッカロース)
10質量部
微粒子添加液1 2質量部
(製膜)
上記調製したドープ1を、ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)し、フィルム中の残留溶媒量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させた後、フィルムを、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
〈延伸工程〉
次いで、剥離したフィルムに対し、図1に記載の延伸方法に従って延伸処理を施した。剥離したフィルムを185℃で加熱しながらテンターを用いて、幅手方向11(TD方向)にのみ、100%の延伸倍率で一軸延伸し、次いで、搬送方向13(MD方向)に27%収縮させた。延伸開始時の残留溶媒は15質量%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーを介して搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。
以上のようにして、乾燥膜厚が60μmのロール状のλ/4位相差フィルム1を得た。なお、λ/4位相差フィルム1の配向角は、0°であった。
〔λ/4位相差フィルム2〜24の作製〕
上記λ/4位相差フィルム1の作製において、セルロースエステルの種類(アセチル基置換度、プロピオニル基置換度)、位相差調整剤として本発明に係る化合物(I)及び比較の化合物の種類と添加量、延伸条件(詳細は、表2に記載)、及び膜厚を、それぞれ表1に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、λ/4位相差フィルム2〜24を作製した。
〔フィルムの各特性値の測定〕
上記作製した各λ/4位相差フィルムについて、23℃、55%RH環境下で、Axometrcs社製のAxoscanを用いて、450nm、550nm、650nmの波長での面内方向のリターデーションRo(450)、Ro(550)、Ro(650)を測定し、Ro(450)/Ro(550)、Ro(550)/Ro(650)を算出した。
また、配向角も、Axometrcs社製のAxoscanを用いて測定した。
また、フィルム膜厚は、市販のマイクロメーターを用いて測定した。
以上により得られた各フィルムの特性値を、表1に示す。
Figure 2013136977
Figure 2013136977
Figure 2013136977
なお、表1に略称で記載した各延伸条件の詳細を表2に示す。
Figure 2013136977
表2に記載の延伸条件において、条件(I)は、請求項4及び請求項7に係る延伸方法で、図1に示す方法で、遅相軸方向に100%延伸し、進相軸方向に27%の条件で収縮し、遅相軸方向の延伸倍率に対する進相軸方向の収縮倍率の比(収縮倍率/延伸倍率)の値が、0.27である。
また、条件(II)は、請求項6及び請求項9に係る延伸方法で、図3に示すようにフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交し、引取り方向に対して45°に遅相軸がある方法である。また、条件(III)は、請求項5及び請求項8に係る延伸方法で、図2A及び図2Bに示す方法で、フィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが一致しており、経路に速度差を施して斜め延伸する方法である。条件(IV)は、斜め延伸は行わずに、特開2007−197508号公報に記載の方法で、MD方向(フィルム搬送方向)にのみ一軸延伸を行う方法である。
なお、表2に記載の配向角は、TD方向(幅手方向)を基準として表示してある。
《円偏光板101〜124の作製》
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いで、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、及び水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥して偏光子を得た。
上記作製したλ/4位相差フィルム101〜124の片面に、粘着剤として完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を用いて、上記偏光子を貼合した。その際、偏光子の透過軸とλ/4位相差フィルムの遅相軸が45度となるよう貼合した。偏光子のもう一方の面に、下記保護フィルム1を、同様にアルカリケン化処理して貼り合わせて、λ/4位相差フィルム、偏光子及び保護フィルムから構成される円偏光板101〜124を作製した。
(保護フィルム1の作製)
〈エステル化合物1の調製〉
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中で230℃まで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物1を得た。酸価は0.10mgKOH/g、数平均分子量は450であった。
〈ドープAの調製〉
セルロースエステル(アセチル基置換度2.88、重量平均分子量:約18万) 90質量部
エステル化合物1 10質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製) 2.5質量部
微粒子添加液1(前出) 4質量部
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
上記各構成材料を密閉容器に投入し、加熱及び撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープAを調製した。
(製膜)
次に、ベルト流延装置を用い、ドープAをステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、160℃の熱をかけながらテンターでTD方向(フィルムの幅手方向)に30%(延伸倍率:1.30倍)、MD方向の延伸倍率は1%(延伸倍率:1.01倍)で延伸した。延伸を始めたときの残留溶媒量は20%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.49m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、保護フィルム1を得た。保護フィルム1の残留溶媒量は0.2%であり、膜厚は40μm、巻長は3900mであった。
保護フィルム1の配向角θは、王子計測器社製KOBRA−21ADHを用いて測定した結果、フィルム長手方向に対して90°±1°の範囲にあった。
《有機EL素子の作製》
厚さ3mmの50インチ(127cm)用無アルカリガラスを用いて、下記の方法に従って、図4に記載した構成からなる有機EL素子を作製した。
図4に示すように、ガラスの透明基板1a上に蒸着法によりクロムからなる反射電極を形成し、形成した反射電極上に蒸着法により金属電極2a(陽極)としてITOを成膜した。次いで、陽極上に正孔輸送層として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を、スパッタリング法により厚さ80nmで形成した。
次いで、正孔輸送層上にシャドーマスクを用いて、図6に示すようにRGBそれぞれの発光層3aR、3aG、3aBを100nmの層厚で形成した。
赤色発光層3aRは、ホスト化合物としてトリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(Alq)と、発光性化合物として[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran](DCM)とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。
緑色発光層3aGは、ホスト化合物としてAlqと、発光性化合物としてクマリン6とを共蒸着(質量比99:1)して100nmの厚さで形成した。
青色発光層3aBは、ホスト化合物として下記BAlqと、発光性化合物としてPeryleneとを共蒸着(質量比90:10)して100nmの厚さで形成した。
Figure 2013136977
さらに、発光層上に、電子が効率的に注入できるような仕事関数の低い第1の陰極として、カルシウムを真空蒸着法により4nmの厚さで成膜し、第1の陰極上に第2の陰極としてアルミニウムを2nmの厚さで形成した。ここで、第2の陰極として用いたアルミニウムは、その上に形成される透明電極4a(透明導電膜)をスパッタリング法により成膜する際に、第1の陰極であるカルシウムが化学的変質をすることを防ぐ役割がある。以上のようにして、有機発光層及び各陰極を形成した。
次に、陰極上にスパッタリング法によって透明導電膜(透明電極)を80nmの厚さで成膜した。ここで透明導電膜としてはITOを用いた。さらに、透明導電膜上にCVD法によって窒化珪素を200nm成膜することで、絶縁膜5aとすることで有機EL素子11aを作製した。
《有機EL表示装置の作製》
上記作製した各円偏光板のλ/4位相差フィルムの表面に接着剤を塗工した後、上記作製した有機EL素子の視認側に貼合することで、有機EL表示装置101〜124を作製した。
《λ/4位相差フィルム及び有機EL表示装置の評価》
〔λ/4位相差フィルムの評価〕
上記作製したλ/4位相差フィルムについて、下記評価を行った。
(散乱耐性の評価)
上記作製した各位相差フィルムについて、下記の方法に従って内部ヘイズを測定した。
まず、位相差フィルム以外の測定器具のブランクヘイズ1(外部ヘイズ値)を測定した。
1)きれいに洗浄したスライドガラス上に、気泡が入らないように注意しながら、グリセリンを一滴(0.05ml)滴下した。
2)その上にカバーガラスを乗せて、カバーガラス全面にグリセリンを広げた。
3)下記のヘイズメーターにセットし、ブランクヘイズ1(外部ヘイズ値)を測定した。
次いで以下の手順で、位相差フィルムを含めたヘイズ2(全ヘイズ値)を測定した。
4)スライドガラス上にグリセリン0.05mlを滴下した。
5)その上に測定する位相差フィルムを、気泡が入らないように乗せた。
6)位相差フィルム上にグリセリン0.05mlを滴下した。
7)その上にカバーガラスを乗せた。
8)上記のように作製した積層体(上から、カバーガラス/グリセリン/位相差フィルム/グリセリン/スライドガラス)を、ヘイズメーターにセットしてヘイズ2を測定した。
9)下式より内部ヘイズ値を求めた
(ヘイズ2)−(ヘイズ1)=(位相差フィルムの内部ヘイズ値)
なお、内部ヘイズは、23℃、55%RHの環境下で5時間以上調湿した位相差フィルムを用い、23℃、55%RHの環境下で測定した。
また、上記測定に使用したヘイズメーター、ガラス、グリセリンを以下の通りである。
ヘイズメーター:ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色(株)製)を用いて測定。光源は5V9Wハロゲン球、受光部はシリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)で、測定はJIS K−7136に準じて測定した。
スライドガラス:MICRO SLIDE GLASS S9213 MATSUNAMI
カバーガラス:マツナミカバーグラス 24×50mm(KN3321827)
グリセリン:関東化学製鹿特級(純度>99.0%)、屈折率1.47
上記測定した各内部ヘイズを基にして、下記の基準に従って、各位相差フィルムの散乱耐性を評価した。
◎:内部ヘイズ値が、0.015未満である
○:内部ヘイズ値が、0.015以上、0.040未満である
△:内部ヘイズ値が、0.040以上、0.060未満である
×:内部ヘイズ値が、0.060以上である
(耐光性の評価)
上記作製した各位相差フィルムについて、23℃、55%RHの環境下で、耐光試験機(アイスーパーUVテスター、岩崎電気株式会社製)により、紫外線を連続200時間照射した。
次いで、波長550nmにおける分光透過率を、紫外線処理前の位相差フィルムの分光透過率T(%)と、紫外線照射後の位相差フィルムの分光透過率T(%)を測定し、Tに対するTの透過率の低下幅ΔT(%)を求め、下記の基準に従って耐光性を評価した。
なお、分光透過率の測定は、分光光度計U−3400(日立製作所(株)製)を用い、350〜700nmの波長領域で10nmおきに求めた分光透過率τ(λ)プロファイルから、波長550nmにおける透過率を求めた。
○:透過率の低下幅ΔTが、5%未満である
△:透過率の低下幅ΔTが、5%以上、10%未満である
×:透過率の低下幅ΔTが、10%以上である
(着色特性の評価)
各λ/4位相差フィルムを30mm四方のサンプルとして断裁し、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−3310を用いて、その吸収スペクトルを測定し、三刺激値X、Y、Zを算出した。この三刺激値X、Y、Zから、JIS−K7103、具体的には下式に従って、イエローインデックスYIを算出し、下記の基準に従って着色特性を評価した。
◎:YIが、0.8未満である
○:YIが、0.8以上、1.0未満である
△:YIが、1.0以上、2.0未満である
×:YIが、2.0以上である
〔有機EL表示装置の評価〕
上記作製した各有機EL表示装置について、下記の各評価を行った。
(視認性の評価1:色味特性)
23℃、55%RHの環境で、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなる条件で、有機EL表示装置にBGRカラーチャート画像を表示した。
次いで、表示したBGRカラーチャート画像について、有機EL表示装置の正面位置(面法線に対し0°)と、面法線に対し40°の斜め角度からの視認性を一般モニター10人で行い、下記の基準に従って、BGRカラー画像の視認性を評価した。本発明では、評価ランクが△以上であれば、実用上可と判断した。
◎:9人以上のモニターが良好なBGRカラー画像であると判定した
○:7〜8人のモニターが良好なBGRカラー画像であると判定した
△:5〜6人のモニターが良好なBGRカラー画像であると判定した
×:良好なBGRカラー画像であると判定したモニターが、4人以下である
(視認性の評価1:黒表示特性)
23℃、55%RHの環境下で、有機EL表示装置の最表面から5cm高い位置での照度が1000Lxとなる条件で、有機EL表示装置に黒画像を表示した。
次いで、表示した黒画像について、有機EL表示装置の正面位置(面法線に対し0°)と、面法線に対し40°の斜め角度からの視認性を一般モニター10人で行い、下記の基準に従って、黒画像の視認性を評価した。本発明では、評価ランクが△以上であれば、実用上可と判断した。
◎:9人以上のモニターが、表示された画像が黒であると判定した
○:7〜8人のモニターが、表示された画像が黒であると判定した
△:5〜6人のモニターが、表示された画像が黒であると判定した
×:表示された画像が黒であると判定したモニターが、4人以下である
以上により得られた結果を、表3に示す。
Figure 2013136977
表3に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する各特性値を備えた本発明のλ/4位相差フィルムは透明性、耐光性及び着色耐性に優れ、このλ/4位相差フィルムを有す円偏光板を具備した有機EL表示装置は、比較例に対し、表示した黒画像及びBGRカラー画像の画像表示性能(視認性)に優れていることが分かる。
本発明のλ/4位相差フィルムは、広波長領域での位相差発現性が高く、薄膜で優れた逆波長分散特性を備え、低ヘイズで透明性が高く、耐光性及び着色耐性に優れた特性を備えており、円偏光板や有機エレクトロルミネッセンス表示装置に、好適に利用できる。
4 長尺フィルム原反
5 延伸フィルム
6 斜め延伸テンター
7−1 外側のフィルム把持手段の軌跡
7−2 内側のフィルム把持手段の軌跡
8−1 外側のフィルム把持開始点、テンター入口部、
8−2 内側のフィルム把持開始点、テンター入口部
9−1 右側のフィルム把持終了点
9−2 左側のフィルム把持終了点
10−1、10−2 レールが拡幅を始める点
11−3 拡幅が終了する点
12−1、12−2 ガイドローラー
14−1 フィルムの送り方向
14−2 フィルムの延伸方向
θi 屈曲角度(繰出し角度)
111 延伸方向(TD方向)
112 斜め延伸
113 搬送方向
114 遅相軸
F セルロースアシレートフィルム
1a 透明基盤
2a 金属電極
3aR 赤色発光層
3aG 緑色発光層
3aB 青色発光層
4a 透明電極
5a 絶縁膜
6a 接着層
7a λ/4板T2
8a 偏光子
9a 保護フィルム
10a 円偏光板
11a 有機EL素子

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂と、少なくとも3箇所に連結部位を有する連結基で結合された化合物(I)とを含有するλ/4位相差フィルムであって、該化合物(I)における前記連結基とその2箇所の連結部位を介して連結された基を含み、200nm以上、280nm未満の波長域に極大吸収波長を有する化学構造部分X(主鎖)と、該連結基の他の連結部位のうち、少なくとも一つの連結部位を介して結合された基で、該化学構造部分X(主鎖)に対し分岐した構造の化学構造部分Y(側鎖)とを有し、該化合物(I)が下記(a)及び(b)で規定する条件を同時に満たし、波長分散特性が下記(c)及び(d)を同時に満たすことを特徴とするλ/4位相差フィルム。
    (a)前記化学構造部分Y(側鎖)が、280〜380nmの波長域内に極大吸収波長を有する
    (b)25.0≧ΣABS/ΣABS≧1.01
    (c)DSP1;Ro(450)/Ro(550)=0.72〜0.96
    (d)DSP2;Ro(550)/Ro(650)=0.83〜0.98
    〔式中、ΣABSは、化合物(I)の化学構造部分X(主鎖)の総吸収強度を表し、ΣABSは、化合物(I)の化学構造部分Y(側鎖)の総吸収強度を表す。DSP1及びDSP2はそれぞれλ/4位相差フィルムの波長分散特性を表し、Ro(450)は波長450nmの光における面内リターデーション値であり、Ro(550)は波長550nmの光における面内リターデーション値であり、Ro(650)は波長650nmの光における面内リターデーション値である。なお、それぞれの面内リターデーション値は、23℃、55%RHの環境下で測定した値である。〕
  2. 前記化合物(I)が、下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のλ/4位相差フィルム。
    Figure 2013136977
    〔式中、L及びLは各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。R、R及びRは各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。Wa及びWbはそれぞれ水素原子又は置換基を表し、(I)Wa及びWbが互いに結合して環を形成する、(II)Wa及びWbの少なくとも一つが環構造を有する、又は(III)Wa及びWbの少なくとも一つがアルケニル基若しくはアルキニル基である。〕
  3. 前記化合物(I)のアスペクト比が、1.70未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のλ/4位相差フィルム。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、セルロースエステルであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
  5. 遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮されて作製され、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
  6. 遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向していることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
  7. フィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とが斜交し、かつ該フィルムの引取り方向に対して30〜60°の角度範囲内に遅相軸があることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルム。
  8. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを製造するλ/4位相差フィルムの製造方法であって、遅相軸方向に延伸し、進相軸方向に収縮する延伸収縮工程を経て、該遅相軸方向の延伸倍率に対する該進相軸方向の収縮倍率の比率(収縮倍率/延伸倍率)が、0.05〜0.70の範囲内となる条件で延伸して製造することを特徴とするλ/4位相差フィルムの製造方法。
  9. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを製造するλ/4位相差フィルムの製造方法であって、遅相軸方向が、搬送方向に対し30〜60°の角度範囲内で配向する条件で製造することを特徴とするλ/4位相差フィルムの製造方法。
  10. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムを製造するλ/4位相差フィルムの製造方法であって、延伸工程におけるフィルムの送り方向とフィルムの引取り方向とを斜交させ、該フィルムの引取り方向に対して30〜60°の角度範囲内に遅相軸を設ける条件で製造することを特徴とするλ/4位相差フィルムの製造方法。
  11. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のλ/4位相差フィルムと偏光子とを具備することを特徴とする円偏光板。
  12. 請求項11に記載の円偏光板と、有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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