JPWO2013121467A1 - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

大きなサイズの基板に対して、VHF周波数帯のような高周波で励起されるプラズマの密度の均一性を改善できるプラズマ処理装置を提供する。導波路(WG)を画定する導波路部材(401)と、導波路(WG)の長手方向(A)における所定の給電位置から電磁エネルギーを当該導波路内に供給する同軸管と、プラズマ形成空間(PS)に面するように配置された電界形成用の第1および第2の電極(460A,460B)と、磁場による電磁誘導作用により電圧を発生するように導波路内に配置され、かつ、第1および第2の電極(460A,460B)と電気的に接続されたコイル部材(410)と、を有する。

Description

本発明は、基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
平板ディスプレイ、太陽電池、半導体装置等の製造工程では、薄膜の形成やエッチング等にプラズマが用いられている。プラズマは、例えば、真空チャンバ内にガスを導入し、チャンバ内に設けられた電極に数MHz〜数100MHzの高周波を印加することによって生成される。生産性を向上させるために、平板ディスプレイや太陽電池用のガラス基板のサイズは年々大きくなっており、既に2m角を越えるガラス基板で量産が行われている。
プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)等の成膜プロセスでは、成膜速度を向上させるために、より高い密度のプラズマが求められている。また、基板表面に入射するイオンのエネルギを低く抑えてイオン照射ダメージを低減するとともに、ガス分子の過剰解離を抑制するために、電子温度の低いプラズマが求められている。一般に、プラズマ励起周波数を高くすると、プラズマ密度が増加し電子温度が低下する。従って、高品質な薄膜を高いスループットで成膜するには、プラズマ励起周波数を高くする必要がある。そこで、通常の高周波電源の周波数である13.56MHzより高い30〜300MHzのVHF(Very High Frequency)帯の高周波をプラズマ処理に用いることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平9−312268号公報 特開2009−021256号公報
ところで、処理するガラス基板のサイズが、例えば、2m角のように大きくなると、上記のようなVHF帯のプラズマ励起周波数でプラズマ処理した場合には、高周波が印加される電極内に生じる表面波の定在波によりプラズマ密度の均一性が低下してしまう。一般的には、高周波が印加される電極のサイズが自由空間の波長の1/20より大きくなると、何らかの対策を行わないと均一なプラズマを励起することができない。
本発明は、2m角を越えるようなより大きなサイズの基板に対して、VHF周波数帯のような高周波で励起されるプラズマの密度の均一性を改善できるプラズマ処理装置を提供する。
本発明のプラズマ処理装置は、導波路を形成する導波路部材と、前記導波路の導波方向における所定の給電位置から電磁エネルギーを当該導波路内に供給する伝送路と、プラズマ形成空間に面するように配置された電界形成用の少なくとも一の電極と、磁場による電磁誘導作用により電圧を発生するように前記導波路内に配置され、かつ、前記少なくとも一の電極と電気的に接続された少なくとも一のコイル部材と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、より大きなサイズの被処理体(基板)に対して、VHF周波数帯で励起されるプラズマのプラズマ密度の均一性を導波路の長手方向において改善できる。
プラズマ処理装置の一例を示す断面図である。 図1のプラズマ処理装置のII−II断面図である。 カットオフ状態にある導波管を示す斜視断面図である。 図3Aの導波管と等価な関係にある導波路の斜視断面図である。 図1のプラズマ処理装置における基本タイプのプラズマ発生機構の構造を示す斜視断面図である。 本発明の第1実施形態に係るプラズマ発生機構の構造を示す斜視断面図である。 図5の導波路と同軸管との接続関係を示す断面斜視図である。 図5の導波路構造を用いた場合と、図3の導波路構造を用いた場合の、電極間電圧の長手方向の分布を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るプラズマ発生機構の構造を示す斜視断面図である。 図8のプラズマ発生機構の外観斜視図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[プラズマ処理装置の基本構成]
まず、本発明が適用されるタイプのプラズマ処理装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は図2のI−I断面図であり、図2は図1のII−II断面図である。図1及び図2に示したプラズマ処理装置10は、供給された電磁波が共振するように設計された導波路を利用して電磁エネルギーを電極へ供給することにより、導波路の長手方向に沿って均一な密度のプラズマを励起可能な構成を有する。
ここで、導波路の共振について説明する。先ず、図3Aに示すように、長辺の長さa、短辺の長さbという断面を有する矩形導波管GTの管内波長について考える。管内波長λgは式(1)で表される。
Figure 2013121467
ここで、λは自由空間の波長、εrは導波管内の比誘電率、μrは導波管内の比透磁率である。式(1)によれば、εr=μr=1のとき導波管GTの管内波長λgは自由空間の波長λよりも常に長いことがわかる。λ<2aのとき、管内波長λgは長辺の長さaが短くなると長くなる。λ=2aのとき、即ち長辺の長さaが自由空間の波長λの1/2に等しくなると、分母が0になり管内波長λgが無限大になる。このとき導波管GTはカットオフ状態となり、導波管GT内を伝搬する電磁波の位相速度は無限大、群速度は0になる。さらに、λ>2aになると、電磁波は導波管内を伝搬することができなくなるが、ある程度の距離は進入することができる。なお、一般にはこの状態もカットオフ状態といわれるが、ここでは、λ=2aのときをカットオフ状態ということにする。例えば、プラズマ励起周波数が60Mhzにおいて、中空導波管ではaが250cmとなり、アルミナ導波管ではaが81cmとなる。
図3Bは、プラズマ処理装置10に用いられる基本的なタイプの導波路を示している。この導波路WGを画定する導波路部材GMは、導電性部材で形成され、導波方向(長手方向)A、幅方向Bにおいて互いに対向する側壁部W1,W2と、側壁部W1およびW2の高さ方向Hにおける下端部にフランジ状に延びる第1および第2電極部EL1,EL2を有する。また、側壁部W1およびW2の間に形成される隙間には、プレート状の誘電体DIが挿入されている。この誘電体DIは、導波路WG内でプラズマが励起されるのを防ぐ役割を果たす。図3Bに示す導波路WGの幅wは、導波路の短辺の長さbと等しい値に設定され、高さhは、カットオフ状態にある導波管GTと電気的に等価になるようλ/4(a/2)よりも小さい最適値に設定される。導波路WGでは、L(インダクタンス)とC(キャパシタンス)によるLC共振回路が形成され、カットオフ状態になることにより、供給される電磁波が共振する。導波路WG中を導波方向Aに伝搬する高周波の波長を無限大にすれば、電極EL1およびEL2の長手方向に沿って均一な高周波電界が形成され、長手方向に密度が均一なプラズマが励起される。なお、導波路WGからプラズマ側を見たインピーダンスが仮に無限大だとすると、導波路WGは、矩形導波管を長辺方向において丁度2等分した伝送路とみなすことができる。従って、導波路WGの高さhがλ/4のとき、管内波長λgが無限大になる。しかし、実際には導波路WGからプラズマ側を見たインピーダンスは容量性なので、管内波長λgを無限大にする導波路WGの高さhは、λ/4よりも小さい。
プラズマ処理装置10は、内部に基板Gを載置する真空容器100を有し、内部にてガラス基板(以下、基板Gと称呼する)をプラズマ処理する。真空容器100は断面が矩形状であり、アルミ合金等の金属から形成され、接地されている。真空容器100の上部開口は天井部105で覆われている。基板Gは、載置台115に載置されている。なお、基板Gは被処理体の一例であり、これに限定されるわけではなく、シリコンウエハなどであってもよい。
真空容器100の床部には、基板Gを置くため載置台115が設けられている。載置台115の上方には、プラズマ形成空間PSを介して複数(2つ)のプラズマ発生機構200が設けられている。プラズマ発生機構200は、真空容器100の天井部105に固定されている。
各プラズマ発生機構200は、アルミ合金で形成された同じサイズの2つの導波路部材201A,201Bと、同軸管225と、2つの対向する導波路部材201A,201Bの間に形成される導波路WG内に挿入された誘電体板220とを有する。
導波路部材201A,201Bは、導波路WGを形成するために、互いに所定の隙間をおいて対向する平板部201Wと、この平板部201Wの下端部にフランジ状に形成されたプラズマを励起する電界形成用の電極部201EA,201EBとをそれぞれ有する。導波路部材201A,201Bの上端部は、導電性材料で形成された天井部105に接続され、導波路部材201A,201Bの上端部は互いに電気的に接続されている。
誘電体板220は、酸化アルミニウム又は石英等の誘電体で形成され、導波路WGの下端から上方に向けて当該導波路WGの途中まで延びている。導波路WGの上部が短絡されているため、導波路WGの上側は下側に比べて電界が弱い。したがって、電界の強い導波路WGの下側を誘電体板220で閉塞しておけば導波路WGの上部は空洞であってもよい。もちろん、導波路WGの上部まで誘電体板220で埋められていてもよい。
同軸管225は、図2に示すように、導波路WGの長手方向Aの略中央位置に接続され、この位置が給電位置となる。同軸管225の外部導体225bは、導波路部材201Bの一部で構成され、外部導体225bの中心部を内部導体225a1が通過している。内部導体225a1の下端部は、当該内部導体225a1に対して垂直に配置された内部導体225a2に電気的に接続されている。内部導体225a2は、誘電体板220に開いた穴を貫通して、導波路部材201A側の電極部201EAに電気的に接続されている。
同軸管225の内部導体225a1,225a2は、プラズマ発生機構200の一方の電極部201EAに電気的に接続され、同軸管225の外部導体225bはプラズマ発生機構200の他方の電極部201EBに電気的に接続される。同軸管225の上端には、整合器245を介して高周波電源250が接続されている。高周波電源250から給電された高周波電力は、同軸管225を介して長手方向Aの中央位置から導波路WGの両端部に向けて伝搬する。
内部導体225a2は、誘電体板220を貫通する。隣接するプラズマ発生機構200にそれぞれ設けられた内部導体225a2が各プラズマ発生機構200の誘電体板220を貫通する向きは、互いに逆向きである。ここで、2つのプラズマ発生機構200の同軸管225に同振幅、同位相の高周波をそれぞれ給電すると、図4に示すように、2つのプラズマ発生機構200の電極部201EA,201EBにはそれぞれ振幅が等しく逆位相の高周波が印加される。なお、本明細書では、高周波とは10MHz〜3000MHzの周波数帯をいい、電磁波の一例である。また、同軸管225は、高周波を供給する伝送路の一例であり、同軸管225の替わりに同軸ケーブルや矩形導波管等を用いてもよい。
図1に示すように、電極部201EA、201EBの側面での放電と、上部へのプラズマの侵入を防止するため、電極部201EA、201EBの幅方向Bにおける側面は、第1の誘電体カバー221で覆われている。図2に示すように、導波路WGの長手方向Aの端面を開放状態にするとともに、両側面での放電を防止するために、平板部201Wの長手方向Aの両側面は、第2の誘電体カバー215で覆われている。
電極部201EA、201EBの下面は、誘電体板220の下端面と概ね同一面になるように形成されているが、誘電体板220の下端面は電極部201EA,201EBの下面に対して突出していても凹んでいてもよい。電極部201EA,201EBはシャワープレートを兼ねている。具体的には、電極部201EA、201EBの下面には凹みが形成され、この凹みにシャワープレート用の電極蓋270がはめ込まれている。電極蓋270には複数のガス放出孔が設けられており、ガス流路を通過したガスはこのガス放出孔から基板G側に放出される。ガス流路の下端には酸化アルミニウム等の電気絶縁体からなるガスノズルが設けられている(図4参照)。
均一なプロセスを行うためには、プラズマの密度が均一なだけでは十分ではない。ガスの圧力、原料ガスの密度、反応生成ガスの密度、ガスの滞在時間、基板温度等がプロセスに影響を与えるから、これらが基板G上で均一になっていなければならない。通常のプラズマ処理装置では、基板Gと対向する部分にシャワープレートが設けられ、基板に向かってガスが供給される。ガスは、基板Gの中央部から外周部に向かって流れ、基板の周囲から排気されるようになっている。必然的に、圧力は基板の中央部が外周部より高く、滞在時間は基板の外周部が中央部より長くなる。基板サイズが大きくなると、この圧力と滞在時間の均一性の悪化により均一なプロセスが行えなくなる。大面積基板に対しても均一なプロセスを行うには、基板Gの直上からガスを供給すると同時に、基板の直上から排気する必要がある。
プラズマ処理装置10では、隣接するプラズマ発生機構200間に排気スリットCが設けられている。つまり、ガス供給器290から出力されたガスは、プラズマ発生機構200内に形成されたガス流路を通ってプラズマ発生機構200の下面から処理室内に供給され、基板Gの直上に設けられた排気スリットCから上方向に排気される。排気スリットCを通過したガスは、隣接するプラズマ発生機構200により排気スリットCの上部に形成される第1の排気路281内を流れ、第2の誘電体カバー215と真空容器100との間に設けられた第2の排気路283に導かれる。さらに、真空容器100の側壁に設けられた第3の排気路285中を下方向に流れ、第3の排気路285の下方に設けられた真空ポンプ(不図示)により排気される。
天井部105には冷媒流路295aが形成されている。冷媒供給器295から出力された冷媒は冷媒流路295aに流され、これにより、プラズマ発生機構200を介して天井部105側にプラズマから流入した熱を伝えるようになっている。
プラズマ処理装置10では、導波路WGの実効的な高さhを電気的に変えるために、インピーダンス可変回路380が設けられている。電極長手方向の中央部に設けられた高周波を供給する同軸管225の他に、電極長手方向の両端付近には、2個のインピーダンス可変回路380をそれぞれ接続する2本の同軸管385が設けられている。第一のガス排気路281のガス流を妨げないようにするために、同軸管385の内部導体385a2は、同軸管225の内部導体225a2よりも上方に設けられている。
インピーダンス可変回路380の構成例としては、可変コンデンサのみの構成、可変コンデンサとコイルとを並列接続した構成、可変コンデンサとコイルと直列接続した構成等が考えられる。
プラズマ処理装置10においては、カットオフ状態になったとき、同軸管225から見た反射が最も小さくなるように導波路WGの実効的な高さを調節する。また、プロセス中であっても導波路の実効的な高さを調節することが好ましい。そこで、プラズマ処理装置10では、整合器245と同軸管225との間に反射計300が取り付けられていて、同軸管225から見た反射の状態をモニタするようになっている。反射計300による検出値は制御部305に送信される。制御部305では、検出値に基づきインピーダンス可変回路380を調整するように指示する。これによって導波路WGの実効的な高さを調整して同軸管225から見た反射を最小にする。なお、以上の制御をすれば反射係数はかなり小さく抑えることができるため、整合器245の設置を省略することもできる。
隣り合う2つのプラズマ発生機構200に逆位相の高周波を供給すれば、図4に示したように、隣り合う2つの電極部201EA、201EAには、同位相の高周波が印加される。この状態では、プラズマ発生機構200間の排気スリットCに高周波電界が印加されないので、この部分でプラズマが発生することがない。
排気スリットCに電界が生じないようにするためには、隣接するプラズマ発生機構200の導波路WGのそれぞれを伝搬する高周波の位相を180°ずらし、高周波の電界が逆向きにかかるようにする。
図1に示したように、左側のプラズマ発生機構200に配置された同軸管の内部導体225a2と、右側のプラズマ発生機構200に配置された同軸管の内部導体225a2が逆向きに配置される。これにより、高周波電源250から供給される同位相の高周波は、同軸管を介して導波路WGに伝えられるとき逆相になる。
なお、内部導体225a2を同じ向きに配置した場合には、高周波電源250から逆相の高周波を隣接する電極対にそれぞれ印加することにより、プラズマ発生機構200の全ての電極部201EA,201EBの下面に形成される高周波の電界を同じ向きにでき、排気スリットCで高周波の電界を0にすることができる。
第1実施形態
上記構成のプラズマ処理装置10では、導波路WGをカットオフ状態にすることにより、例えば、長さ2m以上の電極上で均一なプラズマを励起することが可能である。しかしながら、ある条件下では、導波路WG内に蓄えられる電磁エネルギーの一部がプラズマを含む負荷の抵抗成分によって消費され、この電磁エネルギーは上記した所定の給電位置(同軸管225と導波路WGの接続部)から離れるにつれて次第に減衰していく。特に、プラズマの抵抗成分が大きい条件では、電磁エネルギーの減衰が大きく導波路WGの長手方向Aにおいてプラズマの密度が不均一な分布になってしまう。本実施形態では、上記のようなプラズマの抵抗成分が大きい条件下においても、導波路WGの長手方向Aにおけるプラズマ密度の均一性の低下を抑制できるプラズマ発生機構について説明する。
図5は、本実施形態に係るプラズマ発生機構400の斜視断面図である。図6は、図5のプラズマ発生機構400における導波路と同軸管との接続関係を示す断面斜視図である。なお、プラズマ発生機構400は、図1および図4に示す2つのプラズマ発生機構200のそれぞれに対応している。すなわち、本実施形態に係るプラズマ処理装置は、図1および図4に示す2つのプラズマ発生機構200,200のそれぞれを図5に示すプラズマ発生機構400でそれぞれ置き換えたものである。本実施形態に係るプラズマ処理装置は、負荷が変わっても導波路を常にカットオフ状態にするための調整機構、すなわち、上記した2個のインピーダンス可変回路380と、2個のインピーダンス可変回路380をそれぞれ接続する2本の同軸管385とが設けられている。
プラズマ発生機構400は、導波路WGを画定する導波路部材401と、導波路WG内に配置された複数のコイル部材410と、複数のコイル部材410を貫通する誘電体板420と、誘電体板420の両側に配置された誘電体板421,422と、第1および第2の電極460A,460B、第1および第2の電極460A,460Bの間を電気的に分離するとともに導波路部材401と第1および第2の電極460A,460Bとの間を電気的に分離する誘電体板450とを有する。
導波路部材401は、アルミニウム合金等の導電性材料で長手方向Aに沿って管状に形成され、長手方向Aを横断する方向の断面が矩形状の導波路WGを画定している。具体的には、導波路部材401は、上壁部401tと、この上壁部401tの幅方向Bの両端部から下方に向かって延びる側壁部401w1,401w2と、この側壁部401w1,401w2の下端部に連結されて一部が側壁部401w1,401w2の外側へフランジ状に突出するように形成される底壁部401bとを有する。
複数のコイル部材410は、導波路WG内の底壁部401b上に、長手方向Aに延在する2つの誘電体板421,422を介して、長手方向Aに沿って所定の間隔で配列されている。誘電体板421,422は、フッ素樹脂等の誘電体で形成されている。複数のコイル部材410は、導波路部材401と電気的に分離されている。コイル部材410は、アルミニウム合金等の導電性材料で形成され、長手方向Aを横断する方向の断面が矩形状となるよう形成され、2つの誘電体板421,422上に配置される端部410e1,410e2が所定の隙間をもって互いに対向している。コイル部材410は、約1ターンのコイルであり、導波路WG内の磁場による電磁誘導作用により電圧を発生するように当該導波路WG内に配置される。
第1および第2の電極460A,460Bは、アルミニウム合金等の金属板で形成され、それぞれ長手方向Aに延在するとともに、誘電体板450の長手方向Aに沿って延在する突起部451により互いに電気的に分離されている。第1および第2の電極460A,460Bは、上記したプラズマ形成空間PSに面するように配置された電界形成用の電極である。第1の電極460Aは、複数のコイル部材410の底部410b1と複数の接続ピン430と電気的に接続されている。第2の電極460Bは、複数のコイル部材410の底部410b2と複数の接続ピン430によって電気的に接続されている。なお、複数の接続ピン430は、2つの誘電体板421,422をそれぞれ貫通しているとともに、酸化アルミニウム等の誘電体440を介してそれぞれ導波路部材401の底壁部401bと電気的に分離されている。また、複数の接続ピン430は、長手方向Aに沿って配列されている。なお、底壁部401bには、電極の温度を一定にするための冷媒流路が形成されていてもよい。
誘電体板420は、フッ素樹脂等の誘電体で形成され、複数のコイル部材410の内部を貫通するように、長手方向Aに沿って配置されている。この誘電体板420は、その下端部が、コイル部材410の対向する端部410e1,410e2の間の隙間を通過している。
図6に示すように、プラズマ発生機構400導波路WGには、長手方向Aの略中央位置において、同軸管225が接続されている。同軸管225の内部導体は、高さ方向Hに延びる内部導体225a1とこれに接続され幅方向Bに延びる内部導体225a2とを有する。内部導体225a2が、一方の側壁部401w1に電気的に接続されている。同軸管225の外部導体も同様に、高さ方向Hに延びる外部導体225b1とこれに接続された幅方向Bに延びる外部導体225b2とを有する。外部導体225b2が他方の側壁部401w1に電気的に接続されている。
本実施形態のプラズマ発生機構400においては、同軸管225から複数のコイル部材410を介して電磁エネルギーが第1および第2の電極460A,460Bに供給される。このため、複数のコイル部材410を介さずに、第1および第2の電極460A,460Bに電磁エネルギーが直接的に供給される場合と比べて、第1および第2の電極460A,460B間の電圧を小さくすることができる。第1および第2の電極460A,460B間の電圧が相対的に小さければ、プラズマを含む負荷の抵抗成分によって消費される電磁エネルギーが相対的に小さくなり、導波路WG内に蓄えられる電磁エネルギーの減衰が抑制される。
図7は、一定の電力を供給したときの第1および第2の電極460A,460B間の電圧を計算した結果を示すグラフである。実線はコイル部材410を介して給電した場合であり、点線は、比較例として、図3Bに示すタイプの導波路を用いて直接給電した場合を示している。プラズマの励起条件は同一とした。プラズマ励起周波数は60MHzである。両者とも導波路WGの長手方向の均一性が最も良くなるように導波路WGの断面のサイズが最適化されている。
直接給電した場合の長手方向Aにおける電圧分布では、点線で示すように、導波路WGの長手方向の中央にある給電位置付近での電圧変化が非常に大きくなっている。一方、実線で示すように、コイル部材を介して給電した場合の長手方向Aにおける電圧の分布では、導波路WGの長手方向の中央付近での電圧変化が比較例と比べてかなり小さくなり、長手方向Aにおける電圧の分布の均一性が著しく改善されることがわかる。本発明および比較例のどちらにおいても、供給される電力は同一であるから、プラズマを含む負荷の抵抗成分によって消費されるエネルギーに違いはない。したがって、コイル部材410を介して給電した方が、導波路内に蓄えられる電磁エネルギーが大きくなるため、消費されるエネルギーが同一であっても、電磁エネルギーが減衰しにくく、より均一な分布になる。
本実施形態では、複数のコイル部材410を長手方向Aに沿って配置している。複数のコイル部材410が一つにつながっていると、条件によっては、コイル部材410内を長手方向Aに伝搬するモードが発生して長手方向Aにおけるプラズマ密度の均一性が低下する場合がある。本実施形態では、コイル部材を複数に分割することで、このようなモード発生を抑制することができる。なお、条件によっては、コイル部材は長手方向Aにおいて複数に分割されていなくてもよい。コイル部材410の形態は、本実施形態に限定されない。たとえば、断面形状が矩形状以外に、円形、楕円等の様々な形状を採用できる。また、約1ターンのコイルでなくても、例えば半ターンや、あるいは、数ターンのコイルでもよい。
第2実施形態
図8は、第2の実施形態に係るプラズマ発生機構500の斜視断面図である。図9は、図8のプラズマ発生機構500の斜視外観図である。なお、本実施形態に係るプラズマ発生機構500は、図1および図4に示す2つのプラズマ発生機構200,200のそれぞれに対応している。すなわち、本実施形態に係るプラズマ処理装置は、図1および図4に示す2つのプラズマ発生機構200,200を図8および図9に示すプラズマ発生機構500でそれぞれ置き換えたものである。本実施形態に係るプラズマ処理装置は、負荷が変わっても導波路を常にカットオフ状態にするための調整機構、すなわち、上記した2個のインピーダンス可変回路380と、2個のインピーダンス可変回路380をそれぞれ接続する2本の同軸管385とが設けられている。
プラズマ発生機構500は、第1および第2の導波路部材501,502を有する。第1の導波路部材501は、アルミニウム合金等の導電性材料で形成され、並列する2つの隆起部501rA,501rBと、2つの隆起部501rA,501rBの間で延びる平坦部501fとを有する。第2の導波路部材502は、アルミニウム合金等の導電性材料で平板状に形成され、この第2の導波路部材502上に、第1の導波路部材501が配置されている。導波路部材501と導波路部材502との間で2つの隆起部をもつ導波路WGが画定されている。
導波路WGの2つの隆起部内には、上記したコイル部材410と同様の構成の第1および第2のコイル部材510A,510Bがそれぞれ複数配置されている。第1および第2のコイル部材510A,510Bと第2の導波路部材502との間には、フッ素樹脂等の誘電体材料で形成された誘電体板521,522,523が設けられている。なお、第2の導波路部材502には、電極の温度を一定にするための冷媒流路が形成されていてもよい。
第2の導波路部材502の下には、フッ素樹脂等の誘電体材料で形成された誘電体板550を介して第1〜第3の電極560A〜560Cが配置されている。第1〜第3の電極560A〜560Cは、誘電体板550の突出部551a,551bにより互いに電気的に分離されている。また、第1の電極560Aは、上記した接続ピン430と同様の複数の接続ピン530により第1のコイル部材の一端部に電気的に接続されている。第2の電極560Bは、複数の接続ピン530により第1のコイル部材510Aの他端部に電気的に接続されているとともに、第2のコイル部材510Bの一端部に電気的に接続されている。第3の電極560Cは、複数の接続ピン530により第2のコイル部材Bの他端部に電気的に接続されている。
同軸管225は、図8および図9に示すように、第1および第2の導波路部材501,502と電気的に接続され、導波路WG内に電磁エネルギーをそれぞれ供給する。具体的には、同軸管225は、第1および第2の隆起部の間に設けられ、導波路WGの高さ方向に沿って配置されている。そして、内部導体225aの下端部は、高さ方向Hから誘電体板521を貫通して平板状の第2の導波路部材502に電気的に接続されている。外部導体225aの下端部は、第1の導波路部材502の平端部501fに電気的に接続されている。
上記構成によれば、第1の実施形態と比べて、導波路の高さを半分以下にできるとともに、第1〜第3の電極560A〜560Cの幅方向Bの寸法を、第1実施形態の第1および第2の電極の幅方向Bの寸法の約2倍にすることができる。この結果、プラズマ発生機構の製造コストを削減できる。また、本実施形態によれば、同軸管225を途中で曲げることなくストレートに導波路部材に接続できるので、構造を簡素化できる。
上記第1および第2の実施形態では、給電位置を導波路の長手方向の中央位置としたが、これに限定されるわけではなく、必要に応じて変更可能である。
上記実施形態では、電極460A,460B、560A〜560Cが図1において説明したようにシャワープレートを兼ねているが、これに限定されず、シャワープレートを兼ねていなくともよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
225 同軸管
400,500 プラズマ発生機構
410,510A,510B コイル部材
401,501,502 導波路部材
WG 導波路
460A,460B,560A〜560C 電極
PS プラズマ形成空間

Claims (11)

  1. 導波路を画定する導波路部材と、
    前記導波路の長手方向における所定の給電位置から電磁エネルギーを当該導波路内に供給する伝送路と、
    プラズマ形成空間に面するように配置された電界形成用の少なくとも一の電極と、
    磁場による電磁誘導作用により電圧を発生するように前記導波路内に配置され、かつ、前記少なくとも一の電極と電気的に接続された少なくとも一のコイル部材と、を有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記少なくとも一のコイル部材は、複数のコイル部材を含み、
    前記複数のコイル部材は、前記長手方向に沿って配列されている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記長手方向に延在し、前記少なくとも一のコイル部材内を貫通する誘電体をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記少なくとも一のコイル部材は、誘電体を介して前記導波路部材上に配置されている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記少なくとも一の電極は、第1および第2の電極を含み、
    前記少なくとも一のコイルは、前記第1および第2の電極にそれぞれ電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記導波路部材は、並列する第1および第2の隆起部を有する導波路を画定するように形成された第1の導波路部材と、
    前記第1の導波路部材と協同して前記導波路を画定する第2の導波路部材と、を有し、
    前記少なくとも一のコイル部材は、前記導波路の第1および第2の隆起部内にそれぞれ配置される第1および第2のコイル部材を含む、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記伝送路は、同軸管を含み、
    前記同軸管は、前記導波路の第1および第2の隆起部の間において、前記第1および第2の隆起部の高さ方向に延在して前記第1および第2の導波路部材に接続されている、ことを特徴とする請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記少なくとも一のコイル部材は、両端部が対向するように筒状に形成されている、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記所定の給電位置は、前記導波路の前記長手方向における略中央位置にある、ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  10. 前記伝送路から供給される所定のプラズマ励起周波数の高周波が共振するように、前記導波路が構成されている、ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  11. 導波路を画定する導波路部材と、前記導波路の長手方向における所定の給電位置から電磁エネルギーを当該導波路内に供給する伝送路と、プラズマ形成空間に面するように配置された電界形成用の少なくとも一の電極と、 磁場による電磁誘導作用により電圧を発生するように前記導波路内に配置され、かつ、前記少なくとも一の電極と電気的に接続された少なくとも一のコイル部材と、を有するプラズマ発生機構が内部に設けられた容器内の前記プラズマ形成空間に面する位置に被処理体を設置するステップと、
    前記プラズマ発生機構によりプラズマを励起させて前記被処理体をプラズマ処理するステップと、を有することを特徴とするプラズマ処理方法。
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