JP2005158564A - プラズマ励起用コイル、プラズマ励起装置、及びプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ励起用コイル、プラズマ励起装置、及びプラズマ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 プラズマ励起において、略均一な磁界分布を行なうことで、発生されるプラズマ密度の均一化を図ることができるプラズマ励起用コイル、プラズマ励起装置、及びプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】 上記コイルにおいて、誘電部材に対する当該コイルの配置領域が互いに略均等に分割された偶数の要素領域を夫々周回する偶数の要素コイルからなり、上記夫々の要素コイルに上記高周波電流が流れる時、一の上記要素領域に生じる磁界の方向と、当該一の要素領域に隣接する要素領域に生じる磁界の方向とが互いに逆向きとなるように、上記夫々の要素コイルを配置する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、誘電体部を備える容器内にガスを導入するとともに、上記誘電体部の近傍における上記容器外部に配置されたコイルに高周波電力を印加して、上記容器内部にプラズマを励起するプラズマ励起用コイル及びプラズマ励起装置、並びに、当該励起されたプラズマにより上記容器内部に収容された被処理基板に対して所定の処理を行なうプラズマ処理装置に関する。
従来、この種のプラズマ励起用コイルが用いられるプラズマ処理装置は、種々構造のものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。このような従来のプラズマ処理装置の一例として、図36にプラズマ処理装置700の模式断面図を示す。
図36に示すように、プラズマ処理装置700は、略円筒形状を有する有底の真空容器716と、これに連なる真空排気装置(図示せず)と、この真空容器716の上部に固定されて、同じ内径を有する略円筒形状に誘電体にて形成された誘電体円筒容器715と、この誘電体円筒容器715の上部を閉鎖する導体天井714とを備えている。また、真空容器716の内部には、バイアス用高周波電源717に接続された下部電極718が設置されており、この下部電極718には、プラズマ処理が施される対象(被処理基板)である基板720が載置可能となっている。
さらに、誘電体円筒容器715の外周面近傍には、その外周面を導体配線が複数回周回して形成されたソレノイド形コイル712が配置されており、このソレノイド形コイル712は、高周波電圧を印加可能に高周波電源722に接続されている。なお、ソレノイド形コイル712は、真空容器716及び誘電体円筒容器715の軸心P1をその同心として配置されている。また、導体天井714には、真空容器716内に所定の反応ガスを導入するガス導入ノズル711が設けられている。
このような構成のプラズマ処理装置700においては、下部電極718の上面に基板720を載置して、真空容器716を密閉した後、ガス導入ノズル711より真空容器716内に所定の反応ガスを導入するとともに、高周波電源722よりソレノイド形コイル712に、バイアス用高周波電源717より下部電極718に、夫々高周波電力を印加して、ある瞬間に図36に示すように、ソレノイド形コイル712の周囲に、夫々の導体配線における高周波電流の通過方向に向って時計方向の向きの磁力線G1を形成する。この磁力線G1の形成と高周波による磁力線の時間的変動による作用により、真空容器716の内部における基板720の周囲の空間にプラズマを発生させることができ、当該プラズマを用いて、基板720に対する処理が行なわれる。なお、図36に示すように、真空容器716の中心軸P1は、ソレノイド形コイル712の周囲に発生される磁力線G1の対称軸でもある。
さらに、別の例にかかる従来のプラズマ処理装置800の模式的な構成を示す模式断面図を図37に示す。図37に示すように、プラズマ処理装置800は、前述のプラズマ処理装置700とは異なり、真空排気装置(図示せず)に連なる略円筒形状の有底の真空容器816の上部に、略半球形状を有する誘電体ドーム天井814を備えている。また、真空容器816の内部には、基板820が載置されるとともに、バイアス用高周波電源817により高周波電力が印加される下部電極818が備えられている。さらに、誘電体ドーム天井814の外周面近傍には、その外周面を導体配線が複数回周回して形成された円錐形コイル812が配置されており、この円錐形コイル812は、高周波電圧を印加可能に高周波電源822に接続されている。なお、811は真空容器816を貫通するガス導入ノズルである。
このようなプラズマ処理装置800においては、高周波電源822より円錐型コイル812に高周波電力を印加することで、図37に示すように、ある瞬間には、真空容器816の中心軸P2を対称軸として、その図示左右夫々の円錐形コイル812の周囲に、夫々の導体配線における高周波電流の通過方向に向って時計方向の向きの磁力線G2を形成することができ、当該磁力線G2の形成と高周波による磁力線の時間的変動による作用により、プラズマを発生させ、基板820に対するプラズマ処理を行なうことができる。
さらに、別の例にかかる従来のプラズマ処理装置900の模式的な構成を示す模式断面図を図38に示し、図38のプラズマ処理装置900におけるA−A線矢視図を図39に示す。図38に示すように、プラズマ処理装置900は、真空排気装置(図示せず)に連なる略円筒形状の有底の真空容器916の上部に、略平板円形状の誘電体天井914を備えており、真空容器916の内部には、基板920が載置される下部電極918が備えられている。また、図38及び図39に示すように、誘電体天井914の上面には、渦巻き形コイル912が備えられている。さらに、真空容器916の外周面近傍及び渦巻き形コイル912の上方近傍には、マグネット939が備えられている。
このような構成のプラズマ処理装置900においては、渦巻き形コイル912に高周波電力を印加することで、図38に示すように、真空容器916の中心軸P3を対称軸として、その図示左右夫々の渦巻き形コイル912の周囲に、ある瞬間に夫々の導体配線における高周波電流の通過方向に向って時計方向の向きの磁力線G3を形成することができ、この磁力線G3の形成と高周波による磁力線の時間的変動による作用により、プラズマを発生させ、基板920に対するプラズマ処理を行なうことができる。
特公平3−79025号公報 特公平7−70532号公報 特開平11−87096号公報 米国特許第5540824号明細書
近年、このようなプラズマ処理装置を用いたプラズマ処理においては、より高機能化や高精度化された精密かつ微細な構造を有する基板等の非処理対象物に対する安定したプラズマ処理等に対応すべく、均一かつ高精度なエッチングやスパッタリング等のプラズマ処理を安定して行なえることが望まれている。
しかしながら、上記構造のプラズマ処理装置700、800、及び900では、夫々のコイル712、812、及び922の周囲に形成される磁力線G1、G2、及びG3が、対称軸から離れた位置においては、真空容器716の導体壁等に吸収されて、その強度が低下される一方、上記対称軸近傍の位置、すなわち、真空容器716の中央付近においては、その強度が低下されることなく、逆に夫々の磁力線が集中してその強度が高められることとなる。そのため、全体として、真空容器716等の中央付近のプラズマ密度が高くなり、周辺部のプラズマ密度が低くなるというプラズマ密度の不均一が生じる。このような傾向は、Si基板が直径300mmに達し、LCD基板が1m角を超えるというように、近年顕著なものとなっている。このような場合にあっては、均一かつ高精度なプラズマ処理を安定して行なうことができないという問題がある。
また、近年の非処理基板の大型化に伴い、プラズマ励起用コイルは大型化せざるを得ず、このことは、コイルのインピーダンスを増加させて、従来の13.56MHzを主とした高周波のコイル負荷と高周波電源とのマッチングが困難なものとなる。やむを得ぬ適用高周波の低周波化は、本質的プラズマ化学の変化をもたらし、従来可能であった13.56MHzでのプラズマ加工が再現できない場合があるという根本的問題を引き起こしている。
また、近年のプラズマ加工の研究によれば、従来の中波・短波領域(RF:300KHz以上、30MHz未満)の高周波による加工よりも、超短波領域(VHF:30MHz以上、300MHz未満)の高周波を用いれば、0.1μmオーダー以下の被処理基板上のパターン幅を忠実かつ垂直にエッチング加工できるという報告がある。しかしながら、このような領域の高周波においては、従来の径の大きな複数巻きコイルでは、そのインピーダンスが大きすぎて、十分な超短波電力の投入ができないものであった。
さらに、従来の円筒真空容器や円形被処理基板と略同心の略円形プラズマ励起用コイルは、コイル近傍に存在する環状導体に強い逆方向の環状電流を誘起し、このことは大きな鉄損を生じ、高周波の効率低下や部材の温度上昇による悪影響をもたらすものであった。また、被処理基板内に環状回路があると、この中に励起された電流は、基板内回路を損傷する恐れがあった。
従って、本発明の目的は、
(1)上記問題を解決することにあって、誘電部材を備える容器内部に導入されたガスに対して、高周波電力を印加することにより、上記誘電部材を介して電磁界を作用させることで、上記容器内部にプラズマを励起するプラズマ処理において、均一な磁界形成を行なうことで、発生されるプラズマ密度の均一化を図ることができるプラズマ励起用コイル、プラズマ励起装置、及びプラズマ処理装置を提供することにある。
(2)また、大型化する基板に対しても、従来用いられている周波数の高周波電力を効率よく投入できるプラズマ励起用コイルを提供するという目的がある。
(3)さらには、大型化する基板に対し、従来より微細かつ精密なプラズマ加工を可能とするために、より高い周波数の高周波を効率よく投入できるプラズマ励起用コイルを提供するという目的がある。
(4)加えて、本発明は、高周波の利用効率が高く、同時にプラズマ処理装置の温度上昇が小さく、被処理基板内回路に損傷を与える恐れの少ないプラズマ処理装置を提供するという目的がある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、誘電部材を備える容器内部に導入されたガスに対して、高周波電力の印加により、上記誘電部材を介して電磁界を作用させることで、上記容器内部にプラズマを励起するプラズマ励起用コイルであって、
上記誘電部材に対する当該コイルの配置領域が略均等に分割された偶数の要素領域を、夫々周回する偶数の要素コイルから構成され、ある瞬間に一の上記要素領域に生じる磁界の方向と、当該一の要素領域に隣接する要素領域に生じる電磁界の方向とが互いに逆向きとなるように、上記夫々の要素コイルへ上記高周波電力が印加可能に、上記夫々の要素コイルが配置されることを特徴とするプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第2態様によれば、一の上記要素コイルにおけるコイル形状及び上記高周波電力の印加方向が、上記一の要素コイルに隣接する上記要素コイルにおけるコイル形状及び上記高周波電力の印加方向と、当該隣接の境界面を対称面として、互いに略面対称に配置される第1態様に記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第3態様によれば、上記夫々の要素コイルの周長が略同じとなるように上記配置領域が分割される第1態様又は第2態様に記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第4態様によれば、上記夫々の要素コイルは、上記高周波電力を印加可能な略線状の導体部材により形成され、
上記一の要素領域を周回する上記要素コイルと、上記隣接する要素領域を周回する要素コイルとの互いの上記隣接の部分が、共通の導体部材により一体的に形成される第1態様から第3態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第5態様によれば、上記夫々の要素コイルは、上記高周波電力を印加可能な略線状の導体部材により形成され、
上記一の要素領域を周回する上記要素コイルと、上記隣接する要素領域を周回する要素コイルとの互いの上記隣接の部分が、互いに略近接かつ略平行に配置された2以上の上記導体部材にて形成される第1態様から第3態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第6態様によれば、上記夫々の要素コイルは、上記各々の要素領域を1回、周回して形成される第1態様から第5態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第7態様によれば、上記夫々の要素コイルは、上記各々の要素領域を複数回、周回して形成される第1態様から第5態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第8態様によれば、上記誘電部材に対する上記配置領域が略平面状の円形領域であり、上記夫々の要素領域は、当該円形領域がその中心回りに半径方向に分割して形成された略扇形状の領域である第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第9態様によれば、上記誘電部材に対する上記配置領域が略平面状の円形領域又は略平面状の四角形領域であり、上記夫々の要素領域は、当該円形領域又は当該四角形領域がその中心からその外周に向けて略帯状かつ略渦巻き状に延在するように分割して形成された領域である第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第10態様によれば、上記誘電部材に対する上記配置領域が略平面状の四角形領域であり、上記夫々の要素領域は、当該四角形領域がその略中心を共通の頂点として分割された略三角形状又は略四角形状の領域である第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第11態様によれば、上記配置領域の略中心に、上記高周波電力の入出力部が配置されている第8態様から第10態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第12態様によれば、上記誘電部材に対する上記配置領域が略半球面状又は略球面状の領域であり、上記夫々の要素領域は、当該略半球面状又は略球面状の領域が、当該略半球面又は略球面の経線により分割された領域である第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第13態様によれば、上記誘電部材に対する上記配置領域が略平面状の四角形領域であり、上記夫々の要素領域は、略平行に配列されるように分割された略短冊形状の領域である第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第14態様によれば、上記誘電部材に対する上記配置領域が略円筒の円筒面領域であり、上記夫々の要素領域は、上記略円筒の軸方向に配列され、かつ、上記略円筒の周方向に巻きつけるように延在された略短冊形状の領域である第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第15態様によれば、上記夫々の要素コイルは、上記配置領域内に配置された一の上記高周波電力の入出力部を起点として分割された複数の導体線路が結線されて形成される第1態様から第14態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルを提供する。
本発明の第16態様によれば、上記誘電部材を有し、その内部にガスを導入可能な容器と、
上記誘電部材の外面の近傍に配置された第1態様から第15態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイルと、
上記プラズマ励起用コイルに高周波電力を印加する高周波電力印加装置とを備えることを特徴とするプラズマ励起装置を提供する。
本発明の第17態様によれば、複数の上記プラズマ励起用コイルと、
複数の上記高周波電力印加装置と、
上記夫々の高周波電力印加装置の間の電力印加を同期させる同期装置とを備える第16態様に記載のプラズマ励起装置を提供する。
本発明の第18態様によれば、1又は複数の電磁石又は永久磁石を、上記容器の内部又は外部にさらに備える第16態様又は第17態様に記載のプラズマ励起装置を提供する。
本発明の第19態様によれば、第16態様から第18態様のいずれか1つに記載のプラズマ励起装置と、
被処理基板を保持する上記容器内部に備えられた保持台と、
上記容器内部に上記反応ガスを供給するガス供給装置と、
上記容器内部を排気する真空排気装置とを備え、
上記ガス供給装置により上記容器内部に上記反応ガスを供給しながら、上記排気装置により上記容器内部を排気して、上記容器内部を所定の圧力に保持した状態において、上記プラズマ励起装置により、上記容器内部に発生されたプラズマを用いて、上記保持台に保持された上記基板に対して所定の処理を施すプラズマ処理装置を提供する。
本発明の上記第1態様によれば、上記プラズマ励起用コイルの配置領域が略均等に分割された偶数の要素領域を周回する偶数の要素コイルから上記プラズマ励起用コイルが形成され、上記夫々の要素コイルへのある瞬間における高周波電力の印加の際に、一の上記要素領域に生じる電磁界の方向と、当該一の要素領域に隣接するこの要素領域に生じる電磁界の方向とが互いに逆向きとなるように、上記夫々の要素コイルが配置される(あるいは結線される)ことにより、上記配置領域に生じる磁界分布が、中央付近に集中することもなく、略均一な分布とすることができる。従って、上記誘電部材を介して励起されるプラズマ密度を均一化することができる。特に、このような磁界分布の均一化は、上記配置領域が略均等な面積にて偶数の要素領域に分割されていること、及び、ある瞬間において互いに隣接する要素領域に発生される電磁界の方向が常に互いに逆向きとされることにより達成されるものである。
本発明の上記第2態様によれば、一の上記要素コイルにおけるコイル形状及び上記高周波電力の印加方向と、上記一の要素コイルに隣接する上記要素コイルにおけるコイル形状及び上記高周波電力の印加方向とが、当該隣接の境界面を対称面として、互いに略面対称に配置されることにより、上記夫々の要素コイルに対応する互いに隣接した要素領域において生じる電磁界の強さと方向を、上記高周波電力が印加されている間は、そのすべての周期で、常に逆向きで均等な状態とすることができ、上記第1態様による効果を具体的に実現することができる。
本発明の上記第3態様によれば、上記夫々の要素コイルの周長が略同じ長さとされることにより、上記高周波電流通過の際のインピーダンスと位相を、上記夫々の要素コイル間で均一化することができ、上記夫々の要素領域に発生される磁界の強度を均一化することができ、上記磁界分布の均一化に寄与することができる。また、逆に、夫々のインピーダンスと位相が略同じとなるように上記夫々の周長を決定するような場合であってもよい。
本発明の上記第4態様によれば、互いに隣接する上記要素コイルにおける当該隣接の部分が、共通の導体部材で一体的に形成されていることにより、上記コイルの構造を簡素化することができる。
本発明の上記第5態様によれば、上記互いに隣接する要素コイルにおける当該隣接の部分が、互いに近接かつ略平行に配置された2以上の上記導体部材にて形成されていることにより、開始端から終端まで略同じ断面積を有する上記導体部材を用いて、上記夫々の要素コイルを形成することができ、上記夫々の要素コイルにおけるインピーダンスと位相の均一化を容易に達成することができる。
本発明の上記第6態様によれば、上記夫々の要素領域を1回のみ周回するように、上記夫々の要素コイルが形成されることにより、上記夫々の要素コイルの構造を簡素化して、インピーダンスの小さなプラズマ励起用コイルを容易に製作可能とすることができる。
本発明の上記第7態様によれば、上記周回数が複数回であることにより、高周波電源に適合したインピーダンスを得ると共に、上記夫々の要素領域にて形成される磁界強度を高めることができる。
本発明の上記第8態様によれば、上記夫々の要素領域が、円形領域をその半径方向に略扇形状に分割された領域であることにより、簡素な構造としながら、円形の被処理基板に適合した汎用性の高いプラズマ励起用コイルを提供することができる。
本発明の上記第9態様によれば、上記夫々の要素領域が、当該コイルの配置領域をその略中心点より帯状かつ渦巻き状に延在するように分割形成する領域であることにより、上記コイルの配置領域をその中心から外周に向って、複数の上記要素領域を任意に配置させることができるため、少ない分割数でも磁界分布をより均一化させることができる。特に、上記配置領域が大面積で円形又は略四角形の領域であるような場合に効果的である。なお、このような上記夫々の要素領域の配置手法は、上記配置領域が、略半球面状又は略球面状の領域であるような場合にも適用することができ、上記同様な効果を得ることができる。
本発明の上記第10態様によれば、略四角形状の領域をその略中心から共通の頂点を持つ略三角形又は略四角形に分割することにより、上記配置領域が略四角形状の領域であるような場合であっても、略均等に分割して上記夫々の要素領域を形成することができる。特に、略四角形状の液晶用基板に対するプラズマ処理のためのプラズマ励起に有効である。
本発明の上記第11態様によれば、上記配置領域の略中心に、上記高周波電流の入出力部が配置されていることにより、上記夫々の要素コイルに均等な高周波電力を印加することができ、磁界分布及びプラズマ密度の均一化に寄与することができる。
本発明の上記第12態様によれば、上記配置領域が略半球面状又は略球面状の領域であるような場合であっても、当該配置領域をその略半球面又は略球面の経線に沿って分割することで、略均等な面積と略均等な要素コイルの周長さを有する上記夫々の要素領域を形成することができる。上記配置領域が略半球面状であるような場合にあっては、例えば、ドーム形の誘電部材を備えるプラズマ処理装置におけるプラズマ励起の用途に有用であり、また、略球面状であるような場合にあっては、例えば、無電極電球におけるプラズマ励起の用途に有用である。
本発明の上記第13態様によれば、当該コイルの上記配置領域が大面積の略四角形状の領域であるような場合には、その領域表面沿いの一の方向に、偶数の略短冊形状の領域が配列されるように、当該配置領域を分割することで、上記夫々の要素領域を形成することができる。このような分割方法を採用することで、特に、上記配置領域が、大面積であっても上記夫々の要素領域の形成数量を増加させることで、その対応の自由度を高めることができる。
本発明の上記第14態様によれば、当該コイルの上記配置領域が略円筒の周面状の領域であるような場合であっても、その円筒の周方向に巻きつけるように略短冊状に形成された領域が、上記円筒の軸方向に配列されるように、上記配置領域を分割することで、上記夫々の要素領域を形成することができる。
本発明の上記第15態様によれば、上記夫々の要素コイルが、上記配置領域内に配置された一の上記高周波電流の入出力部を起点として分割された複数の線路が結線されて形成されていることにより、高周波電源が1台ですみ、上記夫々の要素コイルに通過される高周波電流の同期を容易にとることができ、確実に磁界分布の均一化を達成することができる。
本発明の上記第16態様によれば、一部分に誘電部材を備える容器内部にガスを導入し、上記第1態様から第15態様のプラズマ励起用コイルを用いて、高周波電力印加装置により高周波電力を印加可能とすることで、有用なプラズマ励起装置を実現することができる。
本発明の上記第17態様によれば、プラズマ励起装置が複数の高周波電力印加装置を備えるような場合であっても、上記夫々の高周波電力印加装置間で電力印加を同期させる同期装置が備えられていることで、プラズマ密度の均一化を確実に達成することができる。
また、上記プラズマ励起用コイルの配置領域が大面積化されるような場合であっても、取扱い性に問題のある大型の高周波電力印加装置を採用することなく、高周波電力印加を複数の小型の高周波電力印加装置に分担させて用いることができる。
本発明の上記第18態様によれば、電磁石や永久磁石を併用して用いるような場合にあっては、上記プラズマ励起用コイルにより得られる効果に加えて、プラズマ密度の増大と、任意の場所へのプラズマの偏在可能といういわゆるマグネトロン効果をも併せて得ることが可能なプラズマ励起装置を得ることができる。
本発明の上記第19態様によれば、被処理基板の保持台とガス供給装置と真空排気装置とを備えることにより、上記第16態様から第18態様のプラズマ励起装置を用いて、任意の形状と大きさの基板に対して、所定の処理を施す有用なプラズマ処理装置を実現することができる。
本発明にかかる実施の形態を説明する前に、特許請求の範囲及び本明細書にて用いられる用語の意義について説明する。
(1)用語「誘電部材に対するコイルの配置領域」とは、上記誘電部材を介して上記容器内部の空間と対向するように、当該誘電部材の近傍に配置される上記コイル(当該コイルの集合体を含む)の配置領域のことであって、上記容器内部におけるプラズマ発生に実質的に寄与する電磁界の発生を行なう上記コイルの配置領域のことである。従って、上記プラズマ発生に実質的に寄与しないような部分を上記コイルが含んでいるような場合にあっては、当該部分を除いた上記コイルの配置領域が、上記コイルの配置領域となる。
(2)用語「要素領域」とは、上記コイルの配置領域が分割された個々の面領域のことである。上記配置領域が曲面で構成されるような場合にあっては、上記要素領域も曲面領域となる。また、上記要素領域においては、その周囲に周回するように配置された要素コイルに高周波電力が印加されることで、略要素領域毎にある方向性を有する電磁界が形成されるため、上記要素領域を、磁界形成領域ということもできる。
(3)用語「要素コイル」とは、単独でもコイルとして機能し得る部品コイルである。そして、複数の部品コイルにより集合体である上記コイルが構成される。また、上記要素コイルは、上記要素領域を周回するように配置された線状の導体部材により構成されるコイルであり、当該要素コイルで囲まれた領域が上記要素領域となっている。
(4)用語「要素領域に生じる磁界の方向」とは、上記要素領域面に略垂直なマクロ的な電磁界の方向であり、上記要素領域面が曲面で形成されるような場合にも適用される。従って、「一の要素領域に生じる磁界の方向と、隣接する要素領域に生じる磁界の方向とが互いに逆向きとなる」とは、各々の上記要素領域における相対的な磁界の方向が、マクロ的に逆向きであることを意味する。
(5)また、高周波では、電圧波形と電流波形とは、位相差を有するものであるが、以下の説明本文中においては、その説明の簡略化してその理解を容易なものとするために、電圧の印加方向と電流の流れる方向は、同方向・同位相として説明を記すものとする。
(6)また、プラズマ励起用コイルの真空容器中のガス分子に対するプラズマ励起作用の説明においては、本来電磁波の作用は互いに直交する電界と磁界との相互作用により行なわれるものであるが、その説明を簡略化してその理解を容易なものとするために、磁界の作用に代表させて説明を行なうものとする。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかるプラズマ励起用コイルを備えるプラズマ励起装置10の模式的な構成を示す模式断面図を図1に示す。図1に示すように、プラズマ励起装置10は、略円筒形状の有底の容器の一例である真空容器1と、この真空容器1の上部開口を閉止する誘電部材の一例である誘電体天板2とを備えている。なお、真空容器1は、例えば金属材料で形成され、誘電体天板2は、例えば、石英にて形成される。また、略平板円形形状を有する誘電体天板2の上面には、プラズマ励起用コイルの一例であるコイル3(あるいはコイル本体3)が配置されている。このコイル3は、例えば、導体(例えば金属材料)の線状(あるいは棒状)材料である導体部材(導体配線あるいは導体線路)により形成されており、高周波電力を印加可能に、高周波電源4に接続されている。真空容器1には真空排気装置405が連なっており、外部よりガス(反応ガス)を導入するガス導入ノズル406が設けられている。さらに、真空容器1の内部には、被処理基板407を載置する下部電極408があり、バイアス用高周波電源409に接続されている。
このようなプラズマ励起装置10においては、密閉された真空容器1の内部にガスノズル406より所定の反応ガスを導入して所定の圧力に保ちながら、高周波電源4によりコイル3に高周波電力を印加することで、反応ガスに誘電体天板2を介して交番磁界を印加することでもって、真空容器1の内部にプラズマを励起させることができる。このようにプラズマを励起させることで、真空容器1の内部に載置された被処理基板407に対して、プラズマ処理を行なうことができる。なお、このようなプラズマ処理の一例としては、基板に対するエッチング処理やスパッタリング処理がある。また、図1においては、誘電体天板2の上面における略平面状の円形領域が、コイル3の配置領域R0となっている。
ここで、このようなプラズマ励起装置10に用いられ、プラズマ励起を行なうプラズマ励起用コイル3の構造について、以下に図面を用いて詳述する。
このようなプラズマ励起用コイル3の模式的な構造を示す模式構造図(斜視図としている)を図2に示す。図2に示すように、コイル3は、略平面状の円形領域である配置領域R0の円周状の外周部分を周回する円周方向の線路3cと、この円周方向の線路3cで囲まれた円形領域(すなわち配置領域R0)を、偶数個の領域、例えば4つの領域に均等に分割するその半径方向の線路3a、3bとが互いに接続されることにより構成されている。
また、この配置領域R0の中心部分には、コイル3への高周波電力の入出力部の一例である入出力端子5が配置されており、夫々の径方向の線路3a、3bのうちの線路3aが入出力端子5の端子5aに接続されており、線路3bが入出力端子5の端子5bに接続されている。なお、図2においては、ある瞬間に、端子5aがプラス極であり、端子5bがマイナス極である場合について示している。
このようなプラズマ励起用コイル3において、配置領域R0が略均等に4分割された夫々の領域を要素領域r1、r2、r3、及びr4とし、夫々の要素領域r1〜r4を周回し、かつ円周方向の線路3cの一部と、複数の半径方向の線路3a、3bとで形成される線路を要素コイルc1、c2、c3、及びc4とする。図2に示すように、端子5aがプラス、端子5bがマイナスの高周波電位のとき、コイル3における夫々の要素コイルc1〜c4に、夫々の線路上の図示矢印の方向に高周波電流が通過されることとなる。具体的には、端子5aから外向きに夫々の半径方向の線路3aを高周波電流が流れ、円周方向の線路3cに達すると、左右夫々の方向に分岐して流れ、さらにその後、端子5bと接続されている夫々の半径方向の線路3bとの合流位置に達すると、高周波電流が合流され、上記夫々の径方向の線路3bを通過して、端子5bまで流れる。このように夫々の要素コイルc1〜c4に高周波電流が流れる場合、夫々の要素コイルc1〜c4における高周波電流の通過方向は、互いに隣接する要素領域r1〜r4における隣接の境界面を対称面として、互いに略面対称の方向に配置されている。ここで、上記隣接の境界面とは、上記隣接の境界線を含む仮想平面であって、配置領域R0と略直交する平面のことである。また、コイル3において、上記隣接の境界は、具体的には、径方向の線路3a、3bの中心線上にある。
また、上記方向に高周波電流が流れる場合に、夫々の線路に生じる磁力線の方向dを、円弧矢印で図2に示す。具体的には、要素コイルc1においては、時計回りに高周波電流が流れるので、形成される磁力線の方向dは、紙面にて要素コイルc1の外側から上方を回って内向きの方向となり、一方、この要素コイルc1と隣接する要素コイルc2においては、図示反時計回りに高周波電流が流れるため、形成される磁力線の方向dは、紙面にて要素コイルc2の内側から上方を回って外向きの方向となる。
このような高周波電流の通過により夫々の線路、すなわち要素コイルc1〜c4にて形成される磁力線の向きを要素領域毎に統合して磁界(電磁界)の方向として円錐形状矢印にて図4に示す。図4に示すように、夫々の要素領域r1及びr3に対して鉛直下方向に磁界Dが形成され、夫々の要素領域r2及びr4に対して鉛直上方向に磁界Dが形成される。すなわち、コイル3のある平面に対し、要素領域r1及びr3においては、沈み込むような方向に磁界Dが形成され、また、要素領域r2及びr4においては、湧き上がるような方向に磁界Dが形成される。
また、図2に示すプラズマ励起用コイル3において、入出力端子5における高周波電力の位相が移り、端子5aがマイナス極、端子5bがプラス極となった瞬間の高周波電流の流れ方向及び形成される磁力線の向きdを図3に示す。図3に示すように、高周波電流の通過方向及び夫々の磁力線の向きdは、図2の場合と比べて、全て逆向きとなっている。また、このような場合において形成される要素領域毎の磁界Dの向きを図5に示すと、磁界Dの向きも、図4の場合と全て逆向きとなっている。
従って、上記高周波の半波長毎に、夫々の要素コイルc1〜c4において発生される磁界Dの向きも、図4及び図5に示す状態が繰り返して可変されることとなる。このように発生される磁界Dが、誘電体天板2を介して、真空容器1内に交番磁界を付与することで、内部のガス分子を励起し、プラズマを励起することができる。また、コイル3において、夫々の要素領域r1〜r4における互いに隣接する要素領域にて発生される磁界Dの向きは、上記高周波のすべての位相で、常に逆向きとなるように形成されるため、コイル3の配置領域R0全体に磁界を略均等に分布することができる。従って、上記プラズマ励起用コイル3より誘電体天板2を介して、真空容器1の内部に発生されるプラズマ密度を均一なものとすることができる。
なお、コイル3においてはその構造的な特徴により、夫々の径方向の線路3a、3bを通過する電流量は、夫々の円周方向の線路3cを通過する電流量の略2倍となっているため、夫々の線路を通過する電流の通過抵抗を均一にすべく、夫々の径方向の線路3a、3bの線断面積又は線表面積を、夫々の円周方向の線路3cのものの2倍程度とすることが好ましい。このように線路を設定することで、電流の通過により形成される磁力線の強度を、夫々の線路において均一な強度とすることができ、より均一化された磁界Dの形成に寄与することができる。また、通過する高周波電流の位相を揃えるために、夫々の要素コイルc1〜c4の線路長さ(周長)も、互いに略同じ長さとすることが好ましい。また、図2のプラズマ励起用コイル3において、夫々の要素コイルc1〜c4が、一体的に形成されていることにより、コイル3の構造を簡単なものとすることができ、プラズマ励起装置10への装備におけるコイル3の支持方法を容易とすることができる。
このようなプラズマ励起用コイル3の構造は、上述のような形態のもののみに限定されるものではなく、その他様々な形態を取り得る。以下、このようなプラズマ励起用コイルのいくつかの変形例について説明する。
これまでは、図6(C)にも示すように、プラズマ励起用コイル3の略円形の配置領域R0が放射状に(すなわち、半径方向に)略均等に4分割されるような場合について説明したが、このような分割数は、偶数であれば、さらに増加すること、あるいは、減少させることができる。例えば、図6(A)に示すように、配置領域R0を8分割として形成されたコイル3A、あるいは、図6(B)に示すように、配置領域R0を6分割として形成されたコイル3Bのいずれの場合であってもよく、このように分割数を増加させることで、真空容器1内で励起されるプラズマ密度の更なる均一化を実現することができる。このような分割数を増加させることは、特に、配置領域R0の面積が比較的大きなプラズマ励起用コイルが用いられるような場合に有効である。また、図6(D)に示すように、配置領域R0を2分割とするように分割数が減少されて形成されたコイル3Cが用いられるような場合にあっては、コイル3Cの構造を簡単なものとすると共に、コイルのインピーダンスを増大し、比較的低い周波数の高周波電源に対し、整合を容易にすることができる。
図6(A)から(D)に示す夫々のプラズマ励起用コイル3、3A、3B、及び3Cにおいては、1本の導体配線により一体的にコイルが形成される場合、より具体的には、互いに隣接される要素コイルの隣接部分、すなわち、径方向の線路3a、3bが、隣接する要素コイル間で共有される1本の導体配線で形成されるような場合について説明したが、このような場合に代えて、例えば、図7(A)、(B)、(C)、及び(D)に示すように、互いに隣接するコイル間で半径方向の線路3a、3bが共用されず、各々の要素コイルで別々の線路を形成するような場合であってもよい。すなわち、図7(A)〜(D)に示すように、プラズマ励起用コイル3D、3E、3F、及び3Gにおいて、夫々の要素コイルが、端子5aから5bの間において、独自の1本の導体配線により形成されているような場合であってもよい。このような構造を採用することにより、図6に示すコイルの構造と比べて、複雑な構造となるものの、容易に各線路上のインピーダンスを一様とすることができ、高周波電力の反射が少なくなり、より効率的な磁界の形成を行なうことができる。
さらに、プラズマ励起用コイルにおける高周波電力の入出力端子5の構造を変形したプラズマ励起用コイル3Iの模式的な構造を示す模式構造図を図8に示す。図8示すように、コイル3Iにおいては、入出力端子5における端子5aに平面的な広い電極面5cが備えられている。このような電極面5cを備えさせることで、真空容器内のガスへの高周波電力の印加の際に、コイル3Iによる誘導励起だけでなく、さらに、電極面5cの容量成分による静電励起効果が加わり、プラズマの着火性を良好とすることができる。
また、プラズマ励起用コイル3において、複数の半径方向の線路3a、3bにより、配置領域R0を偶数の要素領域に分割する場合について説明したが、配置領域R0の分割方法は、このような場合にのみ限られるものではない。例えば、図9に示すコイル3Jのように、半径方向より傾斜された複数の線路3a、3bにより、配置領域R0が略均等に偶数、例えば8つの要素領域に分割されるような場合であってもよい。この場合、分割された夫々の要素コイルにおける線路の周長が略同じとなるように、半径方向に対する上記夫々の線路3a、3bの傾斜の方向が略同じとされることが望ましい。このような構造を採用することにより、コイル3Jにおいては、プラズマ密度の均一性に、より効果的なものとすることができる。
さらに、本第1実施形態のコイルの変形例にかかるプラズマ励起用コイル13の模式平面図を図10Aに示す。図10に示すように、コイル13は、略円形状の配置領域R0を、その中心部を起点として、複数条、例えば4条の帯状かつ渦巻き状の要素領域r11〜r14に分割して、上記帯状かつ渦巻き状の要素コイルc11〜c14をその周囲に形成したものである。
このような構造のコイル13においては、高周波電力を中央の入出力端子15に印加した時に、端子15aがプラス極、端子15bがマイナス極の瞬間には、図示ハッチングが施された領域である要素領域r11及びr13においては、紙面に鉛直方向下向きの磁界を形成し、その他の要素領域r12及びr14においては、紙面に鉛直方向上向きの磁界を形成する。従って、略円形状の配置領域R0内に、少ない分割数(すなわち、少ない要素コイルの個数)で、中心部と周辺部の磁束密度の差が少なく、全体として、磁界分布の均一化を図ることができ、プラズマ密度の更なる均一化を達成することができる。このようなプラズマ励起用コイル13は、特に、配置領域R0が大面積であるような場合に効果的である。なお、夫々の要素コイルc11〜c14における帯状の幅寸法は、発生される磁界分布の均一化を図るため、略同じ寸法とされることが好ましい。また、図10Aに示すプラズマ励起用コイル13においては、互いに隣接する要素コイルc11〜c14が、独立した線路により形成されている場合について示すが、このような場合に代えて、図10Bに示すように、隣接する夫々の線路を一体化するような場合であってもよい。さらに、プラズマ励起用コイルの配置領域を、偶数の帯状かつスパイラル状の要素領域で分割する方法は、当該コイルの配置領域が、略円形領域R0の場合のみでなく、後述する略四角形領域R1、さらには、半球面状領域R2、球面状領域R3にも適用できるものである。
これまで主に、プラズマ励起用コイルの配置領域R0が略円形状である場合について説明したが、このような場合に代えて、略四角形状の配置領域R1にコイルが配置されるような場合であってもよい。例えば、図11(A)に示すコイル23Aは、略四角形状の配置領域R1を、その略中心部から放射状に略均等に8分割された夫々の要素領域rを周回する要素コイルcにより形成されている。また、夫々の要素領域rは、略同じ面積の三角形状の領域となっており、その周長についても略同じ長さとされている。なお、図11(B)に示すプラズマ励起用コイル23Bは、配置領域R1をその四角形にて4つに等分割したものであり、夫々の要素領域rは略四角形状の領域となっている。
また、図11(C)に示すコイル23Cは、コイル23Aと同じ分割形態であるものの、互いに隣接する線路が一体化されておらず、夫々の要素コイルcにおいて、独立した線路を有している点において異なっている。また、図11(D)に示すコイル23Dと、コイル23Bの関係についても、同様である。
このような夫々のプラズマ励起用コイル23A〜23Dにおいて、その中心部に配置された夫々の端子25a及び25bから高周波電力を印加した際に、発生される磁界分布は、先に説明した略円形状の配置領域R0を有する夫々のコイル3等の場合と同様である。特に、これらのコイル23A〜23Dは、その配置領域R1が略四角形状であることを利用して、液晶(LCD等)用角基板のプラズマ処理に好適なものとなる。
また、プラズマ励起用コイル3等の略円形状の配置領域R0の分割方法は、その他様々な形態を取り得る。例えば、図12に示すように、配置領域R0を偶数個、例えば4つの略円形状の要素領域r31〜r34に分割し、当該分割された夫々の要素領域r31〜r34を周回する4つの要素コイルc31〜c34によりコイル33が形成されるような場合であってもよい。また、この夫々の要素コイルc31〜c34においては、夫々の要素領域r31〜r34を周回する回数が複数回、例えば2回とされている。なお、配置領域R0の中心部には、端子35a(プラス極)と端子35b(マイナス極)とが配置されている。
このように夫々の要素コイルの形状は実用上必ずしも配置領域R0の円を密に等分割した形状でなくてもよい。また、多重巻とすることで、巻数に応じて励起する磁力線密度を増加することができるという効果がある。また、夫々の要素コイルc31〜c34のインピーダンスを増加させて、高周波電源4との電気的な整合を容易なものとすることができるという効果もある。
上記第1実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
まず、プラズマ励起装置10へのプラズマ励起用コイル3の配置領域R0を略均等に分割して形成された偶数の要素領域rを夫々周回する要素コイルcによりコイル3を形成して、夫々の要素コイルcへの高周波電流の通過の際に、互いに隣接する要素領域rに形成される磁界Dの向きが、互いに逆方向となるように、夫々の要素コイルcを配置することで、配置領域R0において発生される磁界分布を略均一なものとすることができる。従って、プラズマ励起装置10において、誘電体天板2を介して、コイル3より真空容器1内に略均一化された分布を有する磁界を付与することができ、発生されたプラズマのプラズマ密度を均一化することができる。これにより、例えば、発生されたプラズマでもって真空容器1内に配置された基板に対して、所定のプラズマ処理を施すような場合にあっては、当該プラズマ処理を均一かつ高精度なものとすることができ、安定したプラズマ処理を行なうことが可能となる。また、大型化する基板に対しても、適用高周波の低周波化に伴う本質的プラズマ化学の変化を抑制することができ、プラズマ加工の再現性を向上させることができる。
また、このような複数の要素コイルにより構成されるプラズマ励起用コイルを用いることにより、従来の径の大きな複数巻きコイルでは困難であった超短波領域の高周波の投入を可能とし、例えば、線幅0.1μm以下のパターン形成を忠実かつ垂直にエッチング形成することが可能となる。
さらに、ある瞬間毎に互いに隣接する要素領域rにて形成される磁界Dの向きが、互いに逆向きとされていることで、従来の略円形プラズマ励起用コイルのように、隣接する真空容器壁中に周回する電流を生じることなく、大きな鉄損を生じるというようなことを防止することができ、高周波の効率向上や被処理対象基板内の回路損傷の発生防止を図ることができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、さらに、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかるプラズマ励起用コイルの一例であるプラズマ励起用コイル43の模式構成図(斜視図的な図である)を図13に示す。図13に示すように、プラズマ励起用コイル43は、その配置領域R2が、上記第1実施形態の略平面状の配置領域R0及びR1とは異なり、曲面的、具体的には略半球面状(あるいはドーム状)の領域となっている点において、上記第1実施形態のコイル3等とは異なるものの、基本的な要素領域や要素コイルの構造及び機能は同様な技術的思想に基づいている。以下に、この配置領域R2が略半球面状に形成されていることに起因する上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図13に示すように、コイル43は、略半球面状の配置領域R2の略円周状の端部部分を周回する円周方向(あるいは赤道方向)の線路43cと、略半球面状の配置領域R2を偶数の領域、例えば4つの領域に略均等に分割し、かつ上記略半球面の頂点(北極)を略通過する4本の経線方向の線路43a、43a、43b、43bとが互いに接続されることにより構成されている。なお、上記経線とは、上記頂点から上記略円周状の端部に向けて、当該略半球面上を最短距離で通過する線のことである。
また、この配置領域R2の上記頂点(その近傍を含む)には、コイル43への高周波電力の入出力部の一例である入出力端子45が配置されており、この入出力端子45には夫々の経線方向の線路43a、43bが高周波電力を印加可能に接続されている。入出力端子45は、端子45a及び45bを備えており、端子45aに線路43aが接続され、線路43bが、端子45bに接続されている。
このようなコイル43において、略半球面状の配置領域R2が略均等に4分割された夫々の領域を要素領域r41、r42、r43、及びr44とし、夫々の要素領域r41〜r44を周回し、かつ、円周方向の線路43cの一部と、複数の経線方向の線路43a、43bとで形成される線路を要素コイルc41、c42、c43、及びc44とする。図13に示すように、高周波電力を印加したある瞬間に、端子45aがプラスで、端子45bがマイナスの時、夫々の要素コイルc41〜c44に、夫々の線路上の図示矢印の方向に高周波電流が流れることとなる。
夫々の要素コイルc41〜c44に、矢印方向に高周波電流が流れるような場合に夫々の線路に生じる磁力線の方向dを、図13上の円弧矢印にて示す。
このような高周波電流の通過により夫々の要素領域、すなわち各要素コイルc41〜c44にて囲まれた領域毎の磁力線の向きを統合した磁界Dの方向を図15の円錐形矢印にて示す。図15に示すように、要素領域r41及びr43に対して半球の中心に向って磁界Dが形成され、要素領域r42及びr44においては、半球の中心から外に向って磁界Dが形成される。
また、図13に示すプラズマ励起用コイル43において、入出力端子45に印加される高周波電力の位相がある瞬間に、端子45aがマイナス、端子45bがプラスとなる時の高周波電流の方向及び形成される磁力線の向きdを図14に示す。図14に示すように、高周波電流の方向及び夫々の磁力線の向きdは図13の場合と比べて、全て逆向きとなっている。また、このような場合において形成される各要素領域の磁界Dの向きを図16に円錐形矢印で示すと、磁界Dの向きも、図15の場合と全て逆向きとなっている。
このような構造のプラズマ励起用コイル43を、例えば、その配置領域R2の形状に合致するような略半球面状の誘電体天板の外部に配置し、高周波電力を印加することで、上記誘電体天板を介して、真空容器内部に交番磁界を付与することができ、真空容器内のガス分子を励起して、プラズマを励起することができる。
このようなプラズマ励起用コイル43の立体的な構造は、上述のような形態のもののみに限定されるものではなく、その他様々な形態を取り得る。以下、このようなプラズマ励起用コイルのいくつかの変形例について説明する。
まず、図17に示すプラズマ励起用コイル53は、略半球面状の配置領域R2を、略均等に2分割することにより形成したものである。このように分割数を減少させるような場合にあっては、コイル53の構造をより簡単なものとすることができ、図13に比べて、コイルのインピーダンスを増すことができる。また、図18は、図17に示すコイル53における夫々の端子55a及び55bに印加される高周波電力の位相が半波長異なる状態を示している。なお、図17と図18とでは、各要素コイルに流れる電流の向きと、これによって生ずる磁力線の向きdが逆方向であることがわかる。
さらに、図19に示すプラズマ励起用コイル63は、プラズマを励起すべき領域、すなわち、コイル63が配置される配置領域R3が略球面状の領域であるコイルである。図19に示すように、コイル63は、上記略球面状の配置領域R3における互いに対向する2つの極を通過する複数、例えば4本の経線方向の線路63a、63a、63b、63bが互いに接続されることにより形成されている。また、夫々の線路63a、63a、63b、63bにより、配置領域R3は、略均等に4分割されており、分割された夫々の領域が要素領域r61〜r64となっており、夫々の要素領域r61〜r64を周回するように、夫々の要素コイルc61〜c64が形成されている。なお、夫々の経線方向の線路63a、63bは、図示上方の上記極に配置された端子65a及び65bに高周波電力を印加可能に接続されているとともに、図示下方の極(南極)において互いに接触されて結線されている。
このような構造のプラズマ励起用コイル63において、ある瞬間に、端子65a及び65bに高周波電力を印加して、夫々の要素コイルc61〜c64に高周波電流を流すことで、互いに隣接する要素領域において逆向きの磁界を形成することができる。また、この磁界を略球面状の配置領域R3に付与することで、配置領域R3の近傍あるいはその内部にプラズマをそのプラズマ密度が均一化された状態で励起することができる。特にこのようなプラズマ励起用コイルは、無電極電球のプラズマ励起用コイルとして好適である。なお、このコイル63は、無電極電球の外周又は球内部にも配置することができる。
また、このような略球面状の配置領域R3を有するコイルは、図19に示すように、図示下方の極(南極)において、夫々の経線方向の線路63a、63bが交差接続するような場合に限定されるものではなく、例えば、図20に示すコイル63Aのように、図示下方の極において、夫々の経線方向の線路63aが交差しないように接続することも可能である。また、その用途や機能に応じて、配置領域R3の分割数を偶数の範囲で増減することも可能である。
上記第2実施形態によれば、誘電体天板が平面状ではなく、曲面状、例えば半球状や球状に形成されているような場合であっても、上記第1実施形態による効果と同様な効果を得ることができるプラズマ励起用コイルを提供することができる。このようなプラズマ励起用コイルは、特に、ドーム形の誘導体天板を有するプラズマ励起装置や、上述した無電極電球用としての用途に適したものである。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかるプラズマ励起用コイルの一例であるプラズマ励起用コイル73の模式構成図を図21に示す。図21に示すように、コイル73は、略平面状かつ四角形状のコイルの配置領域R4を有している点においては、上記第1実施形態のコイルと共通する部分を有しているが、その配置領域R4の分割方法が上記第1実施形態とは異なっている。この異なる点を中心に以下に説明する。
図21に示すように、プラズマ励起用コイル73は、その略四角形状の配置領域R4を、その表面沿いの一の方向、例えば、上記四角形の一辺沿いの方向に配列された略均等な偶数(例えば4つ)の略短冊形状の要素領域r71、r72、r73、及びr74と、夫々の要素領域r71〜r74を周回する線路により構成される4つの要素コイルc71、c72、c73、及びc74とを備えている。また、夫々の要素領域r71〜r74の配列方向と直交する方向の端部近傍には、コイル73に高周波電力が印加される入出力端子75が備えられている。なお、入出力端子75は、互いに異なる極である端子75aと端子75bとを備えている。また、要素コイルc71とc72との隣接部分における2本の線路73b、73bと、要素コイルc73とc74との隣接部分における2本の線路73b、73bとは、夫々端子75bに接続されており、要素コイルc72とc73との隣接部分における2本の線路73a、73aと、要素コイルc71及びc74におけるいずれの要素コイルにも隣接されない端部の夫々の線路73a、73aは、夫々端子75aに接続されている。なお、このような構造的特徴により、コイル73をくし形コイルと呼ぶような場合であってもよい。
このように夫々の要素コイルc71〜c74が形成されていることにより、図21に示すようにある瞬間に、端子75aにプラス、端子75bにマイナスの高周波電力が印加される時、夫々の要素コイルc71〜c74に高周波電流を流すことができる。夫々の要素コイルc71〜c74の高周波電流の通過方向は、図示上方から見て、要素コイルc71及びc73においては反時計回りとなり、要素コイルc72及びc74においては時計回りとなり、互いに隣接する要素コイル同士が逆向きの方向となる。
従って、この高周波電力の印加の瞬間には、要素領域r71及びr73においては、図示上向きの磁界が生じ、要素領域r72及びr74においては、図示下向きの磁界が生じることとなる。続いて、図22に示す如く次の瞬間にコイル73において、端子75aにマイナス、端子75bにプラスの、高周波電力が印加される瞬間には、図21と比べると、夫々の要素領域r71〜r74に形成される磁界の向きが逆転することが判る。従って、印加される高周波の半波長毎に発生される磁界の方向が変化し、互いに隣接する要素領域における磁界の向きは常に逆向きとなるため、コイル73が配置される真空容器71内に、その磁界分布が均一化された交番磁界を付与して、均一なプラズマを励起することができる。
なお、コイル73においては、高周波電力が印加された際の各要素コイルr71〜r74のインピーダンスと通過する電流の位相を揃えるために、夫々の要素コイルr71〜r74の線路長を略等しくすることが望ましい。
このような構成及び機能を有するプラズマ励起用コイル73は、略四角形状の基板に対するプラズマ処理に対して効果的であり、特に、液晶(LCD等)用の角基板に対するプラズマ処理に用いられるプラズマ励起に好適である。
また、このようなプラズマ励起用コイル73は、単独でプラズマ励起装置に用いられるような場合のみに限られるものではなく、例えば、図23に示すプラズマ励起装置80のように、プラズマ励起用コイル73と高周波電源が並列して配置されて用いられるような場合であってもよい。図23に示すように、プラズマ励起装置80においては、2つのプラズマ励起用コイル73が、夫々の要素コイルの配列方向の延長上に互いに隣接して、真空容器81の上方に配置されている。また、夫々のコイル73には、2台の高周波電源84に個別に接続されている。さらに、夫々の高周波電源84と夫々のコイル73との接続回路の途中には、印加される高周波の整合をとるために高周波電源84の一部である整合器84aが備えられている。さらに、2台の高周波電源84の間には、高周波の位相を揃えるための同期装置85が備えられる。
このような構成のプラズマ励起装置80においては、同期装置85により、印加される高周波の位相の同期をとりながら、夫々の高周波電源84により夫々のプラズマ励起用コイル73に高周波電力を印加して、真空容器81内に均一なプラズマを励起することができる。このようなプラズマ励起装置80は、例えば、その外形寸法が2m×1m等と大型化するLCD基板に対するプラズマ処理に対応することができるとともに、大型化する高周波電源84を分散して小型化することができるので、大型のLCD基板のプラズマ処理装置用として好適である。
なお、このようなプラズマ励起用コイル73における分割数は、その用途等に応じて偶数の範囲内で自由に増減することができることは、上記夫々の実施形態と共通である。例えば、その分割数を8分割に増加させ、かつ、隣り合う要素コイルの並行線路を一体化させたプラズマ励起用コイル93の平面的な模式構成図を図24に示す。図24に示すように、コイル93に高周波電力を印加することで、互いに隣接する夫々の要素領域において、逆向きの磁界を形成することができる。具体的には、ある瞬間に図示ハッチングが施されている要素領域においては、紙面に対し鉛直下向きの方向の磁界が生じ、上記ハッチングが施されていない要素領域においては、紙面に対し鉛直上向きの方向の磁界が生じる。印加される高周波の半波長毎に高周波電流の向きが変化し、次の瞬間には、図25に示すように、夫々の磁界の向きが逆転することになる。従って、プラズマ励起装置のコイル93において、真空容器91内に励起されるプラズマ密度を均一化することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態にかかるプラズマ励起用コイルの一例であるプラズマ励起用コイル103の模式構成図を図26に示す。コイル103は、略円筒面状の配置領域R5を有しており、この配置領域R5を取り囲むように、コイル103が配置されている。すなわち、プラズマ励起用コイル103は、上記第3実施形態のくし形コイルであるコイル73を、夫々の要素コイルの長手方向に曲げることにより、略円筒状の形状とさせたようなコイルである。
また、図26に示すように、プラズマ励起用コイル103は、その配置領域R5を略均等に4分割して形成された4つの要素領域r101〜r104と、夫々の要素領域r101〜r104を周回する線路により形成された要素コイルc101〜c104とを備えている。要素コイルc101とc102とは互いに周方向に隣接して配置されており、要素コイルc103とc104も互いに周方向に隣接して配置されている。また、要素コイルc101とc103とは、上記円筒の軸方向に隣接して配置されており、要素コイルc102とc104とも、上記軸方向に隣接して配置されている。また、要素コイルc101とc103との隣接部分における線路103a、及び、要素コイルc102とc104との隣接部分における線路103aは、夫々の隣接部分において互いに一体化されて共有されており、当該夫々の線路103a、103aが互いに接合位置において、端子105aに接続されている。また、要素コイルc101とc102の隣接部分における線路103b、及び、要素コイルc103とc104の隣接部分における線路103bも、夫々の隣接部分において互いに一体化されて共有されており、当該夫々の線路103bが、端子105bに接続されている。
このような構成のプラズマ励起用コイル103において、ある瞬間に端子105aにプラス、端子105bにマイナスの高周波電力が印加されることで、夫々の要素コイルc101〜c104において、互いの隣接境界を対称面として面対称の方向の高周波電流が流れる。従って、夫々の要素領域r101〜r104において、上記対称面において互いに逆向きの磁界を形成する。さらに、図27に示すように、印加される高周波の半波長毎に電流の流れ方向と発生する磁界の向きが逆転するため、配置領域R5の内側に配置される略円筒形の真空容器内に励起されるプラズマ密度を均一化することができる。
このような構成のプラズマ励起用コイル103によれば、磁力線を各要素コイルc101〜c104の近傍に閉じ込めることができることより、プラズマ処理において、被処理基板に与える磁力線(電磁界)の変化を小さくすることができ、図36に示す従来のソレノイド状コイル712を用いたものより、上記被処理基板に与えるダメージを少なくすることができる。
上記第4実施形態のさらなる変形例として、図26における高周波印加端子105a、105bの取付位置をコイル103の中央部からコイル103の端部103c付近に移した構成が可能である。さらには、図26に示す上記第4実施形態においては、くし形要素コイルc101〜c104を曲げて円周上に巻き付けたが、くし形要素コイルc101〜c104を、円筒状配置領域の円筒軸線に沿って、伸展させた方向に巻き付けて構成することも可能である。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態にかかるプラズマ励起用コイルの一例であるプラズマ励起用コイル113の模式構成図を図28に示す。図28に示すように、コイル113は、略円筒の周面状の配置領域R6を有している点において、上記第4実施形態のコイル103と同様であるが、その線路により構成される各要素コイルの形態が上記第4実施形態とは異なっている。以下、この異なる点を中心に説明する。
図28に示すように、コイル113は、その略円筒周面状の配置領域R6が略均等に4分割された4つの要素領域r111〜r114を有しており、夫々の要素領域r111〜r114は略円形状の領域となっており、上記略円筒の周方向に沿って互いに隣接するように配列されている。また、夫々の要素領域r111〜r114を周回するように配置された線路113aにより4つの要素コイルc111〜c114が形成されており、夫々の要素コイルc111〜c114は、夫々の要素領域r111〜r114を2回周回(すなわち2重巻)している。なお、この線路113aの周回数は、1回又は3回以上であってもよい。
また、図28に示すように、夫々の要素コイルc111〜c114を形成する夫々の線路113aは、その一端が端子115aに接続されており、その他端が端子115bに接続されている。さらに、コイル113の外側から夫々の要素コイルc111〜114を見た場合に、端子115aから端子115bへの方向への夫々の線路113aの巻方向が、互いに隣接する要素コイル間で対称の向き(逆向き)となるように夫々の要素コイルc111〜c114の巻方向が決定されている。
このように構成されたプラズマ励起用コイル113において、端子115a及び115bに高周波電力を印加することで、夫々の要素コイルc111〜c114に互いに逆向きの方向の交番磁界を発生させることができ、配置領域R6の内部に置かれた真空容器内に均一なプラズマを励起することができる。
なお、コイル113においては、夫々の要素コイル形状が略円形状の場合について説明したが、このような場合のみに限られるものではなく、その他、略四角形状の要素コイルや、上記円筒周面に密着された鞍形状の要素コイルであってもよい。
また、コイル113等のように、夫々の要素コイルにおける線路113aの両端部が互いに近接して配置されて夫々の端子115a及び115bに接続され、夫々の線路113aの一の端部が他の端部に近接して配置されるような場合のみに本実施形態が限られるものではない。このような場合に代えて、例えば、図29に示すコイル123のように、略円筒円周面状の配置領域R6を取り囲む導体材料で形成された略円筒状のアース筐体125c(あるいはアース板等でもよい)に、一方の端子125bを接続して、端子125aに他端が接続された各要素コイルc126〜c129が上記2つの円筒面の間に配置されるような場合であってもよい。
このようにプラズマ励起用コイル123が構成されることにより、夫々の要素コイルを形成する線路の自由度を高めることができる。また、夫々の要素コイル毎に電気的に略均等なインピーダンスの回路を形成することもできる。このようなアース筐体あるいはアース板を用いた各要素コイルの線路の構成は、上記第5実施形態に限らず、上記第1実施形態〜第4実施形態においても実施可能である。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態にかかるプラズマ励起装置130及びこのプラズマ励起装置130に備えられたプラズマ励起用コイルの一例であるプラズマ励起用コイル133の模式構成図を図30に示す。なお、図30に示すプラズマ励起装置130においては、誘電体部等の詳細な構成を省略しているが、これら詳細な構成は図1に示すプラズマ励起装置10と略同様な構成となっている。
上記夫々の実施形態におけるプラズマ励起用コイルあるいはプラズマ励起装置の説明においては、コイルの線路により構成される形態に着目して行なってきたが、このようなコイルの近傍や真空容器の近傍に、永久磁石や電磁石をさらに配置させることができる。このような永久磁石139を、図12に示すコイルの夫々の要素領域内に配置させることにより形成されたのが、プラズマ励起装置130である。図30に示すように、プラズマ励起用コイル133がその配置領域R0上の4つの要素領域r141〜r144に対して、永久磁石151〜154のS極とN極とが交互に上向きとなるように配置されている。
このように夫々の永久磁石151〜154が併せて配置されることにより、磁石の定常的な磁力線と、夫々の要素コイルにて発生される磁力線との相互作用により、プラズマ密度の均一性を高めながら、その密度を増加させることができる。また、意図的にある部分のプラズマ密度を局部的に高めることもでき、被処理基板へのより強力なプラズマ加工を促進することができる。プラズマ加工における磁石の応用とその効果はこれまでの技術の知るところであり、本発明は、本発明によるプラズマ励起用コイルに何らかの磁石を付加したプラズマ励起装置、あるいはプラズマ処理装置を含むものである。なお、上記永久磁石等の配置は、その用途や対象により様々な形態を採ることができる。図38に示す従来のプラズマ処理装置における磁石の配列もその一例である。
(プラズマ処理装置実施例1)
次に、本発明の上記第1実施形態から上記第6実施形態までの夫々のプラズマ励起用コイル及びプラズマ励起装置をプラズマ処理装置の一例であるドライエッチング装置200に応用した実施例1について説明する。また、このドライエッチング装置200の構成を示す装置断面図を図31に示す。
図31に示すように、ドライエッチング装置200は、略円筒形状を有する有底体の容器の一例である真空容器201(導体材料で形成されている)と、この真空容器201の上部の開口を閉止するように誘電部材の一例である石英により略円盤状に形成された石英天板202と、プラズマ処理(エッチング処理)が施される被処理基板206を真空容器201内で載置する保持台の一例である下部電極207とを備えている。この下部電極207は、真空容器201の底板に絶縁体円筒部材210を介して固定されており、さらにバイアス用高周波電源208に整合器208aを介して接続されて高周波電力が印加可能とされている。
さらに、ドライエッチング装置200の石英天板202の上方には、プラズマ励起用コイル203が配置されている。ここで、このコイル203の平面図を図32に示す。図32に示すように、コイル203は、円周方向の線路203cと、この円周方向の線路203cで囲まれた円を均等に8分割する8本の半径方向の線路203a及び203bとにより形成されている。夫々の径方向の線路203aと203bは、円周方向の線路203cと外周端で接続されながら、中心部分にて、半径方向の線路203a同士が互いに接続されている。
また、図31に示すように、コイル203は、導体で形成されたコイルカバー(アース導体)205cにより囲まれて配置されており、夫々の半径方向の線路203bがアース端子205dを介してコイルカバー205cに電気的に接続されている。一方、夫々の半径方向の線路203aは、中央位置において絶縁スリーブ214を介して支持された端子205aに接続されている。端子205aはさらに高周波電源204に整合器204aを介して電気的に接続されている。また、コイルカバー205cは、高周波電源204のアースに接続されている。プラズマ励起用コイル高周波電源204とのこのような接続構成を採られていることにより、プラズマ励起用コイル203に高周波電力を印加することが可能とされている。
また、図31に示すように、真空容器201の内壁側面上部近傍には、真空容器201内に所定の反応ガスを導入するガス供給装置の一例であるガス導入口211が設けられており、さらに、真空容器201の内壁側面下部近傍には、内部空間のガスを排気する排気口209aが設けられており、この排気口209aが真空排気装置の一例である真空排気ポンプ209に接続されている。また、真空容器201内の空間の密閉性を保つため、石英天板202と真空容器201との間には、Oリングシール212が設けられている。なお、真空容器201の内部における下部電極207の上面と、石英天板202の下面との間の空間が、プラズマ発生領域213となっている。
このような構成のドライエッチング装置200において、被処理基板206に対してドライエッチング処理を行なうような場合には、下部電極207に被処理基板206を載置し、真空容器201を密閉するとともに、真空排気ポンプ209にて真空容器201内部を真空排気して、ガス導入口211より反応ガスを導入しながら、所定の圧力に保たれた状態とする。
このような状態において、高周波電源204より整合器204a、端子205a、205bを介してプラズマ励起用コイル203に高周波電力を印加する。また、それとともに、高周波電源208より整合器208aを介して下部電極207に高周波電力を印加する。このようにしてプラズマ励起用コイルの周囲に発生する交番磁界が、誘電体部である石英天板202を介して真空容器201内の反応ガス(希薄ガス)の分子を励起し、プラズマ発生領域213においてプラズマを発生させる。この発生されたプラズマは、その内部の遊離電子とイオンの運動により良導電体となり、石英天板202を介して入射する電磁界は、プラズマの上面近傍にのみに浸透し、深く入り込むことはない。従って、石英天板202に接する付近のプラズマのミクロな不均一性は、被処理基板206に接するプラズマの下面に現われることはなく、非処理基板206のプラズマによる均一な加工が可能となる。
なお、高周波電源204によりコイル203に印加される高周波は、半周期毎にその極性が変化されることとなるが、図31においては、端子205aがプラス極、端子205bがマイナス極となった状態における電流の流れ方向eと磁力線の向きd(円弧矢印)を示している。
(プラズマ処理装置実施例2)
次に、実施例2としてプラズマ処理装置の一例であるドライエッチング装置300の装置断面図を図33に示す。また、ドライエッチング装置300が備えるプラズマ励起用コイル303の外観を示すドライエッチング装置300の外観側面図(一部断面あり)を図34に示し、コイル303の平面図を図35に示す。
図33に示すように、ドライエッチング装置300は、石英天井302及びプラズマ励起用コイル303がドーム形の形状を有している点において、上記実施例1のドライエッチング装置200と異なる構成を有しているものの、その他の構成はその形状等における僅かな相違を除いては略同様な構成となっている。以下、その説明の理解を容易なものとするため、ドライエッチング装置200と同じ構成の部材には同じ参照番号を付すものとし、上記異なる構成のみについて説明する。
図33、図34、及び図35に示すように、プラズマ励起用コイル303はプラズマ励起用コイル203と同様にその配置領域を略均等に8分割して構成されているものの、当該配置領域がドーム状である点において異なっている。また、図34にその側面外観を、図35にその平面形状を示すように、このコイル303は、ドーム状の石英天板302に合致するようにが形成されて、真空容器201の上部に備えられている。また、真空容器201内においては、このドーム形の石英天板302の下面と下部電極207の上面で囲まれた空間がプラズマ発生領域313とされている。
このような構成のドライエッチング装置300においては、上記実施例1のドライエッチング装置200と同様な動作で、被処理基板206に対するプラズマ加工を施すことができる。また、このようにドーム状の石英天板302及びプラズマ励起用コイル303を採用する場合には、上記実施例1と比べて、石英天板302の厚さを薄くできること、プラズマ発生領域313に対するコイル303の各線路の長さ(コイルの配置領域面積)を大きくできることにより、プラズマ密度をさらに高めることができることという利点がある。また、下部電極207の設置位置をドームの内部にまで上昇させれば、図32の装置より強いプラズマに被処理基板をさらすことができ、高速かつ強力なエッチング処理を行なうことができる。
なお、高周波電源204によりコイル303に印加される高周波は、半周期毎にその極性が変化されることとなるが、図33及び図34においては、端子205aにプラス極、端子205bがマイナス極とされた状態における電流の流れ方向eと磁力線の向きd(円弧矢印)を示している。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明の第1実施形態にかかるプラズマ励起装置の模式断面図である。 図1のプラズマ励起装置が備えるコイルの模式構成図である。 図2のコイルにおいて、高周波電力の印加極性が反転した状態を示すプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 図1のコイルにおける磁界の向きを示す模式説明図である。 図3のコイルにおける磁界の向きを示す模式説明図である。 上記第1実施形態の変形例にかかるプラズマ励起用コイルの模式図であり、(A)は8分割のコイル、(B)は6分割のコイル、(C)は4分割のコイル、(D)は2分割のコイルを示す。 図6の夫々のプラズマ励起用コイルの変形例を示す模式図であり、各要素コイルが独立して形成されている状態を示し、(A)は8分割のコイル、(B)は6分割のコイル、(C)は4分割のコイル、(D)は2分割のコイルを示す。 中央端子に平板部が備えられたコイルの模式図である。 半径方向の線路が傾斜されて形成されたコイルの模式図である。 夫々の配置領域が帯状かつ渦巻き状に配置されたコイルの模式図である。 図10Aのプラズマ励起用コイルの変形例であり、相隣り合う要素コイルの平行部を一体化し外周を円形としたコイルの模式図である。 上記第1実施形態の変形例にかかる略四角形状のコイルの模式図であり、(A)は8分割のコイル、(B)は4分割のコイル、(C)は8分割でありかつ各要素コイルが独立して形成されたコイル、(D)は4分割でありかつ各線路が独立して形成されたコイルを示す。 上記第1実施形態にかかる夫々の要素コイルが略円形状かつ多重巻きに形成されたプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 本発明の第2実施形態にかかる略半球面状の配置領域を有するプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 図13のコイルにおいて、高周波電位の極性を反転させた状態を示すコイルの模式構成図である。 図13のコイルにおける磁界のマクロ的向きを示す模式説明図である。 図14のコイルにおける磁界のマクロ的向きを示す模式説明図である。 上記略半球面状の配置領域を2分割にして形成されたプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 図17のコイルにおいて、高周波電位の極性を反転させた状態を示すコイルの模式構成図である。 上記配置領域が略球面状の領域であるプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 上記略球面状の配置領域を有する別の例にかかるコイルの模式構成図である。 本発明の第3実施形態にかかる略短冊形状の要素領域を有するプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 図21のコイルにおいて、高周波電位の極性を反転させた状態を示すコイルの模式構成図である。 図21のコイルを並列して備えさせたプラズマ励起装置の模式構成図である。 図21のコイルに対してさらに要素領域を増加させたコイルの模式図である。 図24のコイルにおいて、高周波電位の極性を反転させた状態を示すコイルの模式図である。 本発明の第4実施形態にかかる略円筒周面状の配置領域を有するプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 図26のコイルにおいて、高周波電位の極性を反転させた状態を示すコイルの模式構成図である。 本発明の第5実施形態にかかる略円筒周面状の配置領域を有するプラズマ励起用コイルの模式構成図である。 図28のコイルの変形例にかかるコイルの模式構成図である。 本発明の第6実施形態にかかる磁石を併用したプラズマ励起装置の模式構成図である。 本発明の実施例1にかかるドライエッチング装置の断面図である。 図31の装置に備えられるプラズマ励起用コイルの平面図である。 本発明の実施例2にかかるドライエッチング装置の断面図である。 図32の装置の外観側面図(一部断面あり)である。 図32の装置に備えられるプラズマ励起用コイルの平面図である。 従来のプラズマ処理装置の断面図である。 従来の別の例にかかるプラズマ処理装置の断面図である。 従来のさらに別の例にかかるプラズマ処理装置の断面図である。 図38の装置におけるA−A線矢視図であり、従来のプラズマ励起用コイルの平面矢視図である。
符号の説明
1 真空容器
2 誘電体天板
3 プラズマ励起用コイル
3a 径方向の線路(往き)
3b 径方向の線路(戻り)
3c 周方向の線路
4 高周波電源
5 入出力端子
5a、5b 端子
R(R0等) 配置領域
r(r1等) 要素領域
c(c1等) 要素コイル
d 磁力線の向き
e 電流の向き
D 全体磁界の向き
10 プラズマ励起装置
200 ドライエッチング装置

Claims (19)

  1. 誘電部材(2)を備える容器(1)内部に導入されたガスに対して、高周波電力の印加により、上記誘電部材を介して電磁界(D)を作用させることで、上記容器内部にプラズマを励起するプラズマ励起用コイル(3)であって、
    上記誘電部材に対する当該コイルの配置領域(R0)が略均等に分割された偶数の要素領域(r1〜r4)を、夫々周回する偶数の要素コイル(c1〜c4)から構成され、ある瞬間に一の上記要素領域に生じる磁界の方向と、当該一の要素領域に隣接する要素領域に生じる電磁界の方向とが互いに逆向きとなるように、上記夫々の要素コイルへ上記高周波電力が印加可能に、上記夫々の要素コイルが配置されることを特徴とするプラズマ励起用コイル。
  2. 一の上記要素コイルにおけるコイル形状及び上記高周波電力の印加方向が、上記一の要素コイルに隣接する上記要素コイルにおけるコイル形状及び上記高周波電力の印加方向と、当該隣接の境界面を対称面として、互いに略面対称に配置される請求項1に記載のプラズマ励起用コイル。
  3. 上記夫々の要素コイルの周長が略同じとなるように上記配置領域が分割される請求項1又は2に記載のプラズマ励起用コイル。
  4. 上記夫々の要素コイルは、上記高周波電力を印加可能な略線状の導体部材(3a、3b、3c)により形成され、
    上記一の要素領域を周回する上記要素コイルと、上記隣接する要素領域を周回する要素コイルとの互いの上記隣接の部分が、共通の導体部材(3a、3b)により一体的に形成される請求項1から3のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  5. 上記夫々の要素コイルは、上記高周波電力を印加可能な略線状の導体部材(3a、3b、3c)により形成され、
    上記一の要素領域を周回する上記要素コイルと、上記隣接する要素領域を周回する要素コイルとの互いの上記隣接の部分が、互いに略近接かつ略平行に配置された2以上の上記導体部材(3a、3b)にて形成される請求項1から3のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  6. 上記夫々の要素コイル(c1〜c4)は、上記各々の要素領域(r1〜r4)を1回、周回して形成される請求項1から5のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  7. 上記夫々の要素コイル(c31〜c34)は、上記各々の要素領域(r31〜r34)を複数回、周回して形成される請求項1から5のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  8. 上記誘電部材に対する上記配置領域(R0)が略平面状の円形領域であり、上記夫々の要素領域(r1〜r4)は、当該円形領域がその中心回りに半径方向に分割して形成された略扇形状の領域である請求項1から7のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  9. 上記誘電部材に対する上記配置領域(R0)が略平面状の円形領域又は略平面状の四角形領域であり、上記夫々の要素領域(r11〜r14)は、当該円形領域又は当該四角形領域がその中心からその外周に向けて略帯状かつ略渦巻き状に延在するように分割して形成された領域である請求項1から7のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  10. 上記誘電部材に対する上記配置領域(R1)が略平面状の四角形領域であり、上記夫々の要素領域(r)は、当該四角形領域がその略中心を共通の頂点として分割された略三角形状又は略四角形状の領域である請求項1から7のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  11. 上記配置領域の略中心に、上記高周波電力の入出力部(5、5a、5b)が配置されている請求項8から10のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  12. 上記誘電部材に対する上記配置領域(R2、R3)が略半球面状又は略球面状の領域であり、上記夫々の要素領域(r41〜r44、r61〜r64)は、当該略半球面状又は略球面状の領域が、当該略半球面又は略球面の経線により分割された領域である請求項1から7のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  13. 上記誘電部材に対する上記配置領域(R4)が略平面状の四角形領域であり、上記夫々の要素領域(r71〜r74)は、略平行に配列されるように分割された略短冊形状の領域である請求項1から7のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  14. 上記誘電部材に対する上記配置領域(R5)が略円筒の円筒面領域であり、上記夫々の要素領域(r101〜r104)は、上記略円筒の軸方向に配列され、かつ、上記略円筒の周方向に巻きつけるように延在された略短冊形状の領域である請求項1から7のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  15. 上記夫々の要素コイルは、上記配置領域内に配置された一の上記高周波電力の入出力部(5、5a、5b)を起点として分割された複数の導体線路(3a、3b)が結線されて形成される請求項1から14のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル。
  16. 上記誘電部材を有し、その内部にガスを導入可能な容器(1)と、
    上記誘電部材の外面の近傍に配置された請求項1から15のいずれか1つに記載のプラズマ励起用コイル(3)と、
    上記プラズマ励起用コイルに高周波電力を印加する高周波電力印加装置(4)とを備えることを特徴とするプラズマ励起装置。
  17. 複数の上記プラズマ励起用コイルと、
    複数の上記高周波電力印加装置(84)と、
    上記夫々の高周波電力印加装置の間の電力印加を同期させる同期装置(85)とを備える請求項16に記載のプラズマ励起装置。
  18. 1又は複数の電磁石又は永久磁石(151、152、153、154)を、上記容器の内部又は外部にさらに備える請求項16又は17に記載のプラズマ励起装置。
  19. 請求項16から18のいずれか1つに記載のプラズマ励起装置と、
    被処理基板(206)を保持する上記容器内部に備えられた保持台(207)と、
    上記容器内部に上記反応ガスを供給するガス供給装置(211)と、
    上記容器内部を排気する真空排気装置(209)とを備え、
    上記ガス供給装置により上記容器内部に上記反応ガスを供給しながら、上記排気装置により上記容器内部を排気して、上記容器内部を所定の圧力に保持した状態において、上記プラズマ励起装置により、上記容器内部に発生されたプラズマを用いて、上記保持台に保持された上記基板に対して所定の処理を施すプラズマ処理装置。

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