JPWO2013111259A1 - 風力発電設備 - Google Patents
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Abstract
本発明は、冷却系の要素部品を大型化することなく、冷却系の冷却効率の低下を防ぐことのできる風力発電設備を提供する。本発明による風力発電設備は、ハブとブレードから成るロータと、該ロータに前記ハブに接続された主軸を介して接続される発電機と、該発電機を少なくとも収納し、前記主軸を介して前記ロータを軸支するナセルと、該ナセルを頂部に支持するタワーとを備え、前記ロータが前記タワーより風下側に位置するダウンウインド方式の風力発電設備において、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセルは、垂直方向断面における水平方向直線部と、該水平方向直線部から前記ナセルの垂直方向中心に向かう傾斜部とから成り、該ナセルの水平方向直線部と傾斜部の境界部分の外部に熱交換器を設け、該熱交換器によって前記発電機からの冷却媒体が外気と熱交換して冷却されることを特徴とする。
Description
本発明は風力発電設備に係り、特に、ハブとブレードから成るロータがナセルを支持するタワーより風下側に位置するダウンウインド方式に好適な風力発電設備に関する。
自然エネルギーの効果的利用が図られている昨今、風力発電設備は、特に採算性のある試みであるとして、世界各国で開発が進められている。現在、建設されている風力発電設備は、主に湾岸部の陸上に設置されているものが多い。
ところが、風力発電の原動力たる風は、障害物のある陸上に比べて洋上のほうが一般に風速が大きく、風向も安定しているため、大電力を得ることができる。また、洋上のほうが住宅からの距離がとれるため騒音公害の原因にもならない。以上の理由から、陸上ではなく洋上に風力発電設備を設置する動きが加速している。
通常、風力発電設備は、ブレードにより回転するロータを支持するナセルを備え、このナセルには、ブレードの回転により駆動される発電機が内蔵されている。ナセル内の発電機からは、損失として熱エネルギーが発せられるため、この熱エネルギーを低減する方策が種々提案されている。例えば、特許文献1では、損失として生じた熱エネルギーの冷却法として、発電機が閉じた第1の冷却系を備え、ナセルに設置した第2の冷却系が、前記第1の冷却系を冷却する技術が開示されている。
この特許文献1によれば、損失として生じた熱エネルギーを低減することは勿論、洋上での塩気を含む空気が直接、発電機に触れないために、塩害による損傷を防ぐことができ、風力発電機の信頼性が向上する。
ところで、特許文献1の風力発電設備は、ハブとブレードから成るロータがナセルを支持するタワーより風上側に位置するアップウインド方式であり、ブレードによって回転するロータの風下側に第2の冷却系が位置することになる。このため、風はロータやタワーに当たってから第2の冷却系に導かれることになり、第2の冷却系が吸気する空気の流れは、風がロータやタワーに当たることで乱れており、冷却系の冷却効率は、空気の流れに乱れのない場合に比べて低下してしまう。
よって、冷却系の冷却効率を低下させないためには、第2の冷却系は、より寸法の大きい形状の部品(熱交換器等)を採用して、空気が触れる表面積を増やす必要がある。
一般に、洋上の風力発電設備は、陸上に比べて基礎の建設コストが高いため、風力発電機の単機出力容量を増加させる傾向にある。従って、洋上風力発電設備では、発電機で生じる損失も増加するため、冷却効率を低下させないためには、上述した特許文献1の第2の冷却系の形状が大型化し、ナセル全体の重量が増える問題がある。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、冷却系の要素部品を大型化することなく、冷却系の冷却効率の低下を防ぐことのできる風力発電設備を提供することにある。
本発明の風力発電設備は、上記目的を達成するために、ハブとブレードから成るロータと、該ロータに前記ハブに接続された主軸を介して接続される発電機と、該発電機を少なくとも収納し、前記主軸を介して前記ロータを軸支するナセルと、該ナセルを頂部に支持するタワーとを備え、前記ロータが前記タワーより風下側に位置するダウンウインド方式の風力発電設備において、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセルは、垂直方向断面における水平方向直線部と、該水平方向直線部から前記ナセルの垂直方向中心に向かう傾斜部とから成り、該ナセルの水平方向直線部と傾斜部の境界部分の外部に熱交換器を設け、該熱交換器によって前記発電機からの冷却媒体が外気と熱交換して冷却されるか、
或いは、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセル内に、前記発電機からの冷却媒体を外気と熱交換して冷却する熱交換器を設け、該熱交換器は、熱交換器本体と、該熱交換器本体と接続する吸気側ダクト及び排気側ダクトから成ると共に、前記吸気側ダクトの吸気口が風上側に、前記排気ダクトの排気口が風下側に位置していることを特徴とする。
或いは、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセル内に、前記発電機からの冷却媒体を外気と熱交換して冷却する熱交換器を設け、該熱交換器は、熱交換器本体と、該熱交換器本体と接続する吸気側ダクト及び排気側ダクトから成ると共に、前記吸気側ダクトの吸気口が風上側に、前記排気ダクトの排気口が風下側に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、冷却系の要素部品を大型化することなく、冷却系の冷却効率の低下を防ぐことができ、発電効率低下の恐れがない風力発電設備を得ることができる。
以下、図示した実施例に基づき本発明の風力発電設備について説明する。尚、各実施例で、同一構成部品には同符号を使用する。
図1及び図2に、本発明の風力発電設備の実施例1を示す。
該図に示す本実施例の風力発電設備は、ハブ4とブレード5から成るロータと、このロータにハブ4に接続された主軸13を介して接続される発電機1と、この発電機1を少なくとも収納し、主軸13を介してロータを軸支し、かつ、垂直方向断面における水平方向が直線部2Aと、その水平方向直線部2Aから垂直方向中心14に向かう傾斜部である曲線部2Bとから成るナセル2と、このナセル2を頂部に支持するタワー3とを備えていると共に、ハブ4とブレード5から成るロータが、タワー3より風下側に位置するダウンウインド方式の風力発電設備であり、洋上に設置されている場合を想定している。
そして、本実施例では、このダウンウインド方式の風力発電設備において、ナセル2の水平方向直線部2Aと曲線部2Bの境界部分の外側で、かつ、ナセル2の上面部と両側面部に、周方向に所定間隔をもって複数個(本実施例では3箇所)の熱交換器7a、7bを設置している。また、熱交換器7aには吸気口11aと排気口12aを、熱交換器7bには吸気口11bと排気口12bをそれぞれ備え、吸気口11a及び11bが風上側に位置するように構成されている。
本実施例での熱交換器7a、7bは、例えば多管式熱交換器が採用され、円筒胴内に伝熱管(図示せず)を多数配列し、この伝熱管に吸気口11a及び11bを介して矢印6からの外部空気9a、9bが流入し、ここで伝熱管内の外部空気9a、9bと発電機1からの温まった冷却媒体8が熱交換して、冷却された冷却媒体8は発電機1内に導かれて発電機を冷却し、温まった外部空気9a、9bは、排気口12a、12bから排気されるものである。
次に、本実施例における発電機1の冷却方法について説明する。
本実施例では、上述した如く、風力発電設備に対して矢印6で示す風向で風があたるように、風力発電設備を運用、即ち、風力発電設備としてダウンウインド方式として運用し、ハブ4とブレード5からなるロータがタワー3より風下側に位置している。これにより、熱交換器7a、7bが、ロータから見て風上側に位置することになる。
その結果、吸気口11a、11bには、矢印6で示す方向で流れる風が直接入るため、特許文献1で述べたアップウインド方式のように、風がロータやタワー3に当たってから吸気口11a、11bに導かれることがなくなり、吸気口11a、11bが吸気する空気の流れは乱れておらず、効率的に風が導かれる。従って、熱交換器7a、7bでの上述した熱交換は効果的に行われ、その冷却効率は低下することがない。
次に、本実施例における熱交換器7a、7bの取り付け位置について説明する。
本実施例のようなダウンウインド方式の風車の場合、図1及び図2に示すように、空気抵抗を減らすためにナセル2の形状を、矢印6で示す風の方向から見て流線形(曲線部2B)にする場合がある。しかし、その場合、ナセル2の外面の曲率が変化する部分(水平方向直線部2Aと曲線部2Bの境界部分)で、空気の流れがナセル2の外面より剥離して乱れを生じる。この空気の流れの乱れを、模式的に描いたのが図3である(図3は、図2の風力発電設備から熱交換器7a、7bを取り除いている)。
図3に示す如く、矢印6で示す風上からの空気の流れは、矢印10で示すように、ナセル2の前面でナセル2の流線形の形状に沿って両側に分流し、ナセル2の外面曲線部分(傾斜部である曲線部2B)と平行に流れる。しかし、図3のA部(水平方向直線部2Aと曲線部2Bの境界部分)においては、ナセル2の外面形状が曲がると、矢印10で示す空気の流れは、ナセル2の外面から大きく剥離して渦を生じている。この空気の乱れ(渦)は、結果的に後流側にあるブレード5へ機械的なストレスを与えるため、問題となる。
そこで、本実施例では、矢印10で示す前述の空気の流れが、ナセル2の外面より剥離する部分、即ちナセル2外面の曲率が大きくなる部分(図3のA部)に、熱交換器7a、7bを設置するものである。
飛行機やグライダーの翼で採用されている公知のボルテックスジェネレータと同様の原理により、熱交換器7a、7bを通過することによって乱流化した空気の流れは、ナセル2の外面から剥離せず、図1及び図2に示す外部空気9a、9bのように空気が流れる。これにより、後流側のブレード5に与える機械的なストレスが軽減される効果がある。
尚、本実施例では、ナセル2の上面側に熱交換器7aを1つ、ナセル2の両側面側に熱交換器7bを2つ取り付ける例を示したが、熱交換器の個数が増減しても効果は同じであることは言うまでもない。また、熱交換器をナセル2の下側につけても、効果は同様である。また、ナセル2の垂直方向断面における傾斜部が曲線部2Bの例について説明したが、傾斜部は直線であっても構わない。
このような本実施例によれば、洋上に設置された場合には塩害の影響を受けないことは勿論、設備を大型化することなく発電機1の冷却が良好に行える風力発電設備を得ることができる。また、冷却系を設置しても、冷却系の後流の挙動を安定化し、風車ブレードへかかる乱れを抑制し、発電効率の低下の恐れがない風力発電設備を得ることができる。
図4に、本発明の風力発電設備の実施例2を示す。尚、実施例1と同一構成のものにつては同符号を使用し、その説明は省略する。
図4に示す実施例2の風力発電設備は、熱交換器7cが、ナセル2の外部ではなく、ナセル2の内部に設置されている点で実施例1と異なる。
本実施例の熱交換器7cは、熱交換器本体7c1と、この熱交換器本体7c1と接続する吸気側ダクト7c2及び排気側ダクト7c3から成り、かつ、吸気側ダクト7c2の吸気口11cが風上側に、排気ダクト7c3の排気口12cが風下側に位置している。尚、熱交換器本体7c1の構成は、実施例1の熱交換器7a、7bと同一である。
次に、本実施例における発電機1の冷却方法について説明する。
本実施例の構成では、熱交換器本体7c1の吸気側ダクト7c2の風上側に設置された吸気口11cに、矢印6で示す方向で流れる外部空気9cが入り、一方、発電機1で発生した熱は、冷却媒体8によって熱交換器本体7c1に運ばれ、この熱交換器本体7c1で、発電機1で発生した熱である冷却媒体8と吸気口11cから流入した外部空気9cとで熱交換が行われ、冷却媒体8が外部空気9cによって冷却されることになる。冷却された冷却媒体8は発電機1内に導かれて発電機1を冷却し、温まった外部空気9cは、排気口12cから排気される。
このような本実施例の構成とすることでも、実施例1と同様な効果を得ることができる。
尚、洋上に設置される風力発電設備の場合、動力伝達系として、故障確率の高い増速機(ギヤ)を用いないダイレクトドライブの構成が使われる例がある。
この場合、発電機1には、直径の大きな多極機を使うことになるため、図4に示すように、ナセル2は、実施例1に比べて水平方向に短く(矢印6の方向の奥行きが短い)、垂直方向に伸びた(矢印6と垂直な方向が太くなる)形状となり、ダウンウインド方式では、ブレード5の風上側に、形状の大きなナセル2が位置することになる。
しかし、本実施例によれば、ナセル2の前面で受ける空気の流れの一部を、ナセル2の内部を通して流すことができるため、ナセル2の外面に沿って流れる空気の乱れを軽減でき、結果的に、後流側のブレード5に与える機械的なストレスを軽減することができると言う効果がある。
尚、上述した各実施例では、熱交換器として多管式熱交換器の例につて説明したが、熱交換器は、多管式熱交換器に限定されるものではなく、他の熱交換器を採用しても同様な効果が得られることは言うまでもない。また、主軸13の先に増速ギヤが付いていて、高速軸で発電機1を回す風車もあるが、この場合も本発明に含まれ、上述した効果と同様な効果が得られる。
1…発電機、2…ナセル、2A…ナセルの水平方向直線部、2B…ナセルの曲線部、3…タワー、4…ハブ、5…ブレード、7a、7b、7c…熱交換器、7c1…熱交換器本体、7c2…吸気側ダクト、7c3…排気側ダクト、8…冷却媒体、9a、9b、9c…外部空気、11a、11b、11c…吸気口、12a、12b、12c…排気口、13…主軸、14…ナセルの垂直方向中心
本発明の風力発電設備は、上記目的を達成するために、ハブとブレードから成るロータと、該ロータに前記ハプに接続された主軸を介して接続される発電機と、該発電機を少なくとも収納し、前記主軸を介して前記ロータを軸支するナセルと、該ナセルを頂部に支持するタワーとを備え、前記ロータが前記タワーより風下側に位置するダウンウインド方式の風力発電設備において、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセルは、垂直方向断面における水平方向直線部と、該水平方向直線部から前記ナセルの垂直方向中心に向かう傾斜部とから成り、該ナセルの水平方向直線部と傾斜部の境界部分の外部に熱交換器を設け、該熱交換器によって前記発電機からの冷却媒体が外気と熱交換して冷却されるか、
或いは、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセル内に、前記発電機からの冷却媒体を外気と熱交換して冷却する熱交換器を設け、該熱交換器は、熱交換器本体と、該熱交換器本体と接続する吸気側ダクト及び排気側ダクトから成ると共に、前記吸気側ダクトの吸気口が風上側に、前記排気側ダクトの排気口が風下側に位置し、前記排気側ダクトは、風下側に向かって下側を向くように配置され、かつ、前記排気側ダクトの排気口が下側を向いていることを特徴とする。
或いは、前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセル内に、前記発電機からの冷却媒体を外気と熱交換して冷却する熱交換器を設け、該熱交換器は、熱交換器本体と、該熱交換器本体と接続する吸気側ダクト及び排気側ダクトから成ると共に、前記吸気側ダクトの吸気口が風上側に、前記排気側ダクトの排気口が風下側に位置し、前記排気側ダクトは、風下側に向かって下側を向くように配置され、かつ、前記排気側ダクトの排気口が下側を向いていることを特徴とする。
本実施例の熱交換器7cは、熱交換器本体7c1と、この熱交換器本体7c1と接続する吸気側ダクト7c2及び排気側ダクト7c3から成り、かつ、吸気側ダクト7c2の吸気口11cが風上側に、排気側ダクト7c3の排気口12cが風下側に位置している。尚、熱交換器本体7c1の構成は、実施例1の熱交換器7a、7bと同一である。
Claims (6)
- ハブとブレードから成るロータと、該ロータに前記ハブに接続された主軸を介して接続される発電機と、該発電機を少なくとも収納し、前記主軸を介して前記ロータを軸支するナセルと、該ナセルを頂部に支持するタワーとを備え、前記ロータが前記タワーより風下側に位置するダウンウインド方式の風力発電設備において、
前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセルは、垂直方向断面における水平方向直線部と、該水平方向直線部から前記ナセルの垂直方向中心に向かう傾斜部とから成り、該ナセルの水平方向直線部と傾斜部の境界部分の外部に熱交換器を設け、該熱交換器によって前記発電機からの冷却媒体が外気と熱交換して冷却されることを特徴とする風力発電設備。 - 請求項1に記載の風力発電設備において、
前記ナセルの傾斜部は、曲線部又は直線部であることを特徴とする風力発電設備。 - 請求項1又は2に記載の風力発電設備において、
前記熱交換器は、前記ナセルの周方向に所定間隔をもって複数個設置されていることを特徴とする風力発電設備。 - 請求項3に記載の風力発電設備において、
前記熱交換器は、前記ナセルの上面部及び側面部に配置されていることを特徴とする風力発電設備。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の風力発電設備において、
前記熱交換器は、外気の吸気口が風上側に位置していることを特徴とする風力発電設備。 - ハブとブレードから成るロータと、該ロータに前記ハブに接続された主軸を介して接続される発電機と、該発電機を少なくとも収納し、前記主軸を介して前記ロータを軸支するナセルと、該ナセルを頂部に支持するタワーとを備え、前記ロータが前記タワーより風下側に位置するダウンウインド方式の風力発電設備において、
前記ロータよりも風上側に位置する前記ナセル内に、前記発電機からの冷却媒体を外気と熱交換して冷却する熱交換器を設け、該熱交換器は、熱交換器本体と、該熱交換器本体と接続する吸気側ダクト及び排気側ダクトから成ると共に、前記吸気側ダクトの吸気口が風上側に、前記排気ダクトの排気口が風下側に位置していることを特徴とする風力発電設備。
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