JPWO2013038914A1 - 表面プラズモン共鳴及び表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いた特定のアナライトの定量測定方法 - Google Patents

表面プラズモン共鳴及び表面プラズモン励起増強蛍光分光法を用いた特定のアナライトの定量測定方法 Download PDF

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Abstract

[課題] カラムを用いることなく、迅速に測定することができ、カラム処理に伴う抗原のロスもなく、レクチンなどの標識プローブの消費量も抑えることができる特定のアナライトの定量測定方法を提供する。[解決手段] SPR測定によって総アナライト濃度を測定した後、蛍光標識プローブによって特定のアナライトを標識して、SPFS測定によって特定のアナライト濃度を測定し、総アナライト濃度と特定のアナライト濃度とから、総アナライト量に対する特定のアナライト量の割合を算出する。

Description

本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR;Surface Plasmon Resonance)現象、及び、SPR現象を応用した表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理を用いた、特定のアナライトの定量測定方法に関する。
従来から、疾病診断において血液、尿、組織中のタンパク質が広く用いられている。生体内のタンパク質のほとんどは、アミノ酸からなるタンパク質の表面に、糖鎖が修飾された状態で存在する。
同じアミノ酸配列のタンパク質(同一名称のタンパク質)であっても、修飾されている糖鎖は多種多様であり、タンパク質を産生する細胞の状態によってその糖鎖構造は異なることが知られている。
このような糖鎖の変化と疾病との関係性についても明らかになってきており、例えば、非特許文献1、特許文献1に開示されるようなαフェトプロテイン(AFP)糖鎖分画測定や、非特許文献2、3に開示されるような癌胎児性抗原(CEA)糖鎖分画測定などに応用されている。
AFP糖鎖分画測定のうち、癌化に伴う糖鎖の変化をレクチン(LCA)との結合性を検出するAFP−L3分画が、肝癌のマーカーとして用いられている。AFPは、LCA非結合性分画(L1)、LCA弱結合性分画(L2)、LCA結合性分画(L3)の3つに分かれ、慢性肝炎や肝硬変では主にL1が、肝癌ではL3が増加することになる。
このため、総AFP量に占めるL3分画量を測定することによって、肝癌の発見、肝炎と肝癌との識別などに応用することができる。
また、CEA糖鎖分画測定は、主に腺癌に対する指標となり、大腸癌、胃癌、肺癌、卵巣癌、子宮癌などの発見に用いられている。
他にも、絨毛癌、直腸癌などで糖鎖の癌性変化が知られており、このような糖鎖の癌性変化を測定することで、癌診断に非常に有用であることがわかってきた。
このような糖鎖が変化した糖タンパク質の存在割合を定量する方法としては、レクチンカラムクロマトグラフィーを用いて、糖タンパク質を修飾している糖鎖の違いを利用して、カラムによって分離した後に、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)測定を行うことによって、特定の糖鎖を有するタンパク質の定量を行うことができる。
特開昭61−292062号公報
Sugar Chains of Human Cord Serum α-Fetoprotein: Characteristics of N-linked Sugar Chains of Glycoproteins Produced in Human Liver and Hepatocellular Carcinomas, K. Yamashita et al., Cancer Res., 53, 1 (1993) Carbohydrate Structures of Nonspecific Cross-reacting Antigen-2, a Glycoprotein Purified from Meconium as an Antigen Cross-reacting with Anticarcinoembryonic Antigen Antibody, K. Yamashita et al., Biol. Chem., 264, 17873 (1989) Structural Studies of the Carbohydrate Moieties of Carcinoembryonic Antigens, K. Yamashita et al., Cancer Res., 47, 3451 (1987)
しかしながら、このような方法では、カラムによって抗原を分離精製する工程が含まれており、測定に時間がかかる、カラム処理を行う段階で抗原をロスする、といった問題が生じていた。また、抗原を分離するために必要となるレクチンを非常に大量に消費するため、測定コストが高くなってしまっていた。
また、分画定量に使用されるレクチンは、親和性が低く検出プローブとして用いた場合、ある程度高い濃度の抗原量の定量にしか利用できず、抗原量が少ない場合には、ELISAのような測定系では、良好に検出・定量することができなかった。
ところで、極微少な物質の検出を行う場合において、物質の物理的現象を応用することでこのような物質の検出を可能とした検体検出装置として、ナノメートルレベルなどの微細領域中で電子と光が共鳴する現象(表面プラズモン現象(SPR;Surface Plasmon Resonance)現象)を応用し、例えば、生体内の極微少なアナライトの検出を行うようにした表面プラズモン共鳴装置(以下、「SPR装置」と言う)が知られている。
また、表面プラズモン共鳴(SPR)現象を応用した、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づき、SPR装置よりもさらに高精度にアナライト検出を行えるようにした表面プラズモン励起増強蛍光分光測定装置(以下、「SPFS装置」と言う)も、このような検体検出装置として知られている。
この表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)は、光源より照射したレーザー光などの入射光が、金属薄膜表面で全反射減衰(ATR;Attenuated Total Reflectance)する条件において、金属薄膜表面に表面プラズモン光(疎密波)を発生させることによって、光源より照射した入射光が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やして、表面プラズモン光の電場増強効果を得るようになっている。
そして、この電場増強効果により、金属薄膜近傍に捕捉したアナライトと結合(標識)した蛍光物質を効率良く励起させ、例えば、フォトンカウンティング方式の光電子倍増管(PMT;Photomultiplier Tube)やCCD(Charge Coupled Device)カメラなどの光検出手段を用いて、この蛍光を観察することによって、極微量、極低濃度のアナライトをも検出することができる。
本発明では、このようなSPR装置及びSPFS装置を用いて糖鎖の癌化変化を測定することによって、カラムを用いることなく、迅速に測定することができ、カラム処理に伴う抗原のロスもなく、レクチンなどの標識プローブの消費量も抑えることができる特定のアナライトの定量測定方法を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の特定のアナライトの定量測定方法は、
誘電体部材と、該誘電体部材上に形成された金属膜と、該金属膜上に形成され前記特定のアナライトを含むアナライトを捕捉するリガンドと、を有するセンサーチップに、前記特定のアナライトを含む検体を供給して前記リガンドに接触させる工程と、
前記センサーチップの金属膜に対して、前記誘電体部材を介して入射光を照射するとともに、前記入射光が前記金属膜で反射した金属膜反射光を、受光手段によって受光することによって、前記金属膜反射光の光量を測定する工程と、
前記金属膜反射光の光量を測定した後に、前記特定のアナライトを蛍光標識するための蛍光標識プローブを、前記特定のアナライトと反応させる工程と、
前記センサーチップの金属膜に対して、前記誘電体部材を介して入射光を照射することによって発生した表面プラズモン光で、前記特定のアナライトと結合した蛍光標識プローブを励起して、発生した蛍光を光検出手段によって受光することによって、前記蛍光の光量を測定する工程と、
前記金属膜反射光の光量に基づいて、前記検体における総アナライト濃度を算出する工程と、
前記蛍光の光量に基づいて、前記検体における特定のアナライト濃度を算出する工程と、
前記総アナライト濃度と、前記特定のアナライト濃度とから、総アナライト量に対する特定のアナライト量の割合を算出する工程と、
を有することを特徴とする。
このように構成することによって、特定のアナライトをカラムによって予め分離精製する必要がなくなり、迅速に測定することができる。また、カラム処理を行わないため特定のアナライトのロスなどの問題が生じることもない。また、レクチンの消費量を抑制することもできるため、測定コストを低減することもできる。
さらに、特定のアナライトを定量するためにSPFS測定を行っているため、特定のアナライトの量が微量であった場合でも、高精度に特定のアナライトを検出することができるため、総アナライト量に対する特定のアナライト量の割合を精確に測定することができる。
また、本発明の定量測定方法は、前記金属膜上に流路が形成され、該流路の一部に、前記リガンドが形成されていることを特徴とする。
このように、金属膜上に流路を形成することで、検体液を送液することができ、流路の一部に形成された捕捉体によって、検体液中のアナライトを確実に捕捉することができる。
また、本発明の定量測定方法は、前記リガンドが、タンパク質または核酸であることを特徴とする。
また、本発明の定量測定方法は、前記特定のアナライトが、糖鎖を有することを特徴とする。
また、本発明の定量測定方法は、前記蛍光標識プローブが、蛍光色素によって標識され、前記特定のアナライトに結合するレクチンであることを特徴とする。
このように、αフェトプロテイン(AFP)や癌胎児性抗原(CEA)などの定量測定に用いることができ、例えば、AFP−L3を検出するのに用いることによって、精確かつ迅速に肝癌の診断などを行うことができる。
また、本発明の定量測定方法は、前記検体における総アナライト濃度を算出する工程は、複数の濃度の標準抗原から、予め作成した総アナライト濃度と金属膜反射光の光量に関する検量線と、前記金属膜反射光の光量を測定する工程により測定された金属膜反射光の光量とに基づいて算出することにより行うとともに、
前記検体における特定のアナライト濃度を算出する工程は、複数の濃度の標準抗原から、予め作成した特定のアナライト濃度と蛍光の光量に関する検量線と、前記蛍光の光量を測定する工程により測定された蛍光の光量とに基づいて算出することにより行うことを特徴とする。
このように、予め金属膜反射光の光量に関する検量線及び蛍光の光量に関する検量線を作成しておくことで、定量演算手段などによって、正確かつ迅速に総アナライト濃度及び特定のアナライト濃度の定量を行うことができる。
本発明によれば、SPR測定によって総アナライト濃度を測定した後、SPFS測定によって特定のアナライト濃度を測定することによって、アナライトの分画を行う必要がなく、総アナライト量に対する特定のアナライトの濃度を精確かつ迅速に測定することができ、例えば、AFP−L3の検出に用いることによって、肝癌の疾病診断などに応用することなどができる。
図1は、本発明の特定のアナライトの定量測定方法を説明する定量測定装置の概略を模式的に示す概略図である。 図2は、図1の定量測定装置の部分拡大図である。 図3は、標準抗原(アナライト46)を送液する前のセンサ部38を模式的に表す拡大模式図である。 図4は、標準抗原(アナライト46)を送液した後のセンサ部38を模式的に表す拡大模式図である。 図5は、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPRシグナルと、ブランクシグナルとの差であるSPRシグナル値の、時間経過に伴う変化を示すグラフである。 図6は、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPRシグナル値と、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のAFP濃度との関係を示すグラフである。 図7は、蛍光標識プローブ48を送液した後のセンサ部38を模式的に表す拡大模式図である。 図8は、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPFSシグナル値と、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のAFP―L3濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
1.定量測定装置の構成
図1は、本発明のアナライトの定量測定方法を説明する定量測定装置の概略を模式的に示す概略図、図2は、図1の定量測定装置の部分拡大図である。
図1,2に示すように、本発明の定量測定装置10は、鉛直断面形状が略台形であるプリズム形状の誘電体部材12と、この誘電体部材12の水平な上面12aに形成された金属膜14とを有するセンサーチップ16を備えており、このセンサーチップ16は、定量測定装置10のセンサーチップ装填部18に装填されている。
また、誘電体部材12の下方の一方の側面12bの側には、図1に示すように、光源20が配置されており、この光源20からの入射光22が、誘電体部材12の外側下方から、誘電体部材12の側面12bに入射して、誘電体部材12を介して、誘電体部材12の上面12aに形成された金属膜14に向かって照射されるようになっている。
なお、誘電体部材12の材料としては、特に限定されるものではないが、光学的に透明な、例えば、ガラス、セラミックスなどの各種の無機物、天然ポリマー、合成ポリマーを用いることができ、化学的安定性、製造安定性、光学的透明性の観点から、二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(TiO2)を含むものが好ましい。
また、誘電体部材12は、d線(波長588nm)における屈折率(nd)が、好ましくは1.40〜2.20であり、厚さが、好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmである。なお、誘電体部材12の大きさ(縦×横)は特に限定されない。
なお、ガラス製の誘電体部材12は、市販品として、ショット日本(株)製の「BK7」(屈折率(nd)1.52)および「LaSFN9」(屈折率(nd)1.85)、(株)住田光学ガラス製の「K−PSFn3」(屈折率(nd)1.84)、「K−LaSFn17」(屈折率(nd)1.88)および「K−LaSFn22」(屈折率(nd)1.90)、(株)オハラ製の「S−LAL10」(屈折率(nd)1.72)などが、光学的特性と洗浄性との観点から好ましい。
また、誘電体部材12は、その上面12aに金属膜14を形成する前に、表面を酸および/またはプラズマにより洗浄することが好ましい。
酸による洗浄処理としては、0.001〜1Nの塩酸中に、1〜3時間浸漬することが好ましい。
プラズマによる洗浄処理としては、例えば、プラズマドライクリーナー(ヤマト科学(株)製の「PDC200」)中に、0.1〜30分間浸漬させる方法が挙げられる。
また、この実施例では、鉛直断面形状が略台形であるプリズム形状の誘電体部材12を用いたが、鉛直断面形状を三角形(いわゆる三角プリズム)、半円形状、半楕円形状にするなど、誘電体部材12の形状は、適宜変更可能である。
また、誘電体部材12の上面12aに形成される金属膜14の材質としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなり、より好ましくは、金からなり、さらに、これらの金属の合金から構成してもよい。
このような金属は、酸化に対して安定であり、かつ、後述するように、表面プラズモン光による電場増強が大きくなるので、金属膜14として好適である。
また、金属膜14の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法など)、電解メッキ、無電解メッキ法などが挙げられる。好ましくは、スパッタリング法、蒸着法を使用するのが、薄膜形成条件の調整が容易であるので望ましい。
さらに、金属膜14の厚さとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、金:5〜500nm、銀:5〜500nm、アルミニウム:5〜500nm、銅:5〜500nm、白金:5〜500nm、および、それらの合金:5〜500nmの範囲内であるのが望ましい。
なお、後述する電場増強効果の観点から、より好ましい金属膜14の厚さとしては、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、および、それらの合金:10〜70nmの範囲内であるのが望ましい。
金属膜14の厚さが上記範囲内であれば、後述する表面プラズモン光が発生し易く好適である。また、このような厚さを有する金属膜14であれば、大きさ(縦×横)の寸法、形状は、特に限定されない。
また、光源20としては、金属膜14にプラズモン光を発生させることができるものであれば、特に限定されるものではないが、波長分布の単一性および光エネルギーの強さの点で、フォトダイオードなどのレーザー光を光源として用いることが好ましい。フォトダイオードなどのレーザー光は、光学フィルタを通して、プリズムに入射する直前のエネルギーおよびフォトン量を調節することが望ましい。
なお、光源20として、レーザー光を用いる場合には、例えば、波長200〜900nm、0.001〜1,000mWのLD(Laser Diode);波長230〜800nm、0.01〜100mWの半導体レーザーなどを用いることができる。
また、光学フィルタとしては、例えば、ND(減光)フィルタ、中性濃度フィルタ、ダイアフラムレンズなどが挙げられる。ND(減光)フィルタや中性濃度フィルタなどは、入射レーザー光量を調整することを目的とするものである。特に、ダイナミックレンジの狭い検出器を使用するときには、精度の高い測定を実施するために、このような光学フィルタを用いることが好ましい。
また、光源20と誘電体部材12との間には、光源20から照射されるレーザー光を、金属膜14上で表面プラズモンを効率よく発生させるP偏光とするための偏光フィルタを設けることもできる。
また、誘電体部材12の下方の他方の側面12cの側には、図1に示すように、入射光22が金属膜14によって反射された金属膜反射光24を受光する受光手段26が備えられている。
なお、光源20には、光源20から照射される入射光22の、金属膜14に対する入射角α1を適宜変更可能とする入射角調整手段(図示せず)が備えられている。一方で、受光手段26にも、図示しない可動手段が備えられており、金属膜反射光24の反射角が変わった場合にも、光源20と同期して、確実に金属膜反射光24を受光するように構成されている。
また、光源20の入射角調整手段や受光手段26の可動手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、ステッピングモーターや歯車列などを用いて、光源20や受光手段26を回動(例えば、図1において、平面内で金属膜14への入射光の照射位置を中心に回動)させるように構成することができる。
なお、センサーチップ16、光源20、受光手段26によって、本発明の定量測定装置10のSPR測定を行うSPR測定部28が構成されている。
また、センサーチップ16の上方には、後述するような蛍光物質が励起されて発光した蛍光30を受光するための光検出手段32が備えられている。
ここで、光検出手段32としては、特に限定されるものではないが、例えば、フォトンカウンティング方式の光電子増倍管(PMT;PhotoMultiplier Tube)や、多点計測が可能なCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることができる。
なお、センサーチップ16と、光検出手段32との間には、例えば、カットフィルタや集光レンズなどを設けることもできる。
カットフィルタは、外光(定量測定装置10外の照明光や環境光など)、光源20から照射された入射光の透過成分、迷光(各所における入射光の散乱成分)、プラズモン光の散乱光(入射光を起源とし、センサーチップ16表面上の構造体または付着物などの影響で発生する散乱光)などの光学ノイズや、蛍光物質の自家蛍光を除去するフィルタであって、例えば、干渉フィルタや色フィルタなどを用いることができる。
また、集光レンズは、蛍光物質が励起されて生じる蛍光シグナルを、光検出手段32に効率よく集光することを目的とするものであり、任意の集光系を用いることができる。簡易な集光系としては、例えば、顕微鏡などで使用されている、例えば、(株)ニコン製またはオリンパス(株)製などの市販の対物レンズを転用してもよい。対物レンズの倍率としては、10〜100倍が好ましい。
なお、センサーチップ16、光源20、光検出手段32によって、本発明の定量測定装置10のSPFS測定を行うSPFS測定部34が構成されている。
また、受光手段26および光検出手段32は、それぞれ、定量演算手段40に接続されており、受光手段26によって受光した金属膜反射光24の光量と、光検出手段32によって受光した蛍光30の光量とが、定量演算手段40に送信されるように構成されている。
また、本実施例のセンサーチップ16では、金属膜14の上面14aに流路36が形成されている。この流路36の一部には、特定のアナライトを含むアナライトと特異的に結合するリガンド(以下、「特定のアナライトを含むアナライトを捕捉するリガンド」ともいう。両者は同じ意味である。)が固定化されたセンサ部38が設けられている。
ここで、アナライトとしては、特に限定されるものではないが、例えば、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む)、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等の癌胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよい。
また、特定のアナライトとしては、例えば、上述するアナライトのうち、後述するような蛍光標識プローブと特異的に結合するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、特定のレクチンと結合する糖鎖を有するアナライトとすることができる。
また、例えば、特定のアナライトをリン酸化したタンパク質として、リン酸化したタンパク質と特異的に結合する蛍光標識プローブを用いることによって、本発明の定量測定方法を、p53やK−rasなどの癌に関係するタンパク質のリン酸化レベルの違いを見分けたり、特異的変異を有するK−rasタンパク質の割合を測定したりすることなどに用いることもできる。
また、リガンドとしては、特定のアナライトを含むアナライトと特異的に結合するものであれば、特に限定されるものではなく、タンパク質であっても核酸であっても構わない。
本実施例においては、流路36に特定のアナライトを含む検体液を送液することによって、アナライトをセンサ部38に結合させ、後述するように、SPR測定部28およびSPFS測定部34によって、金属膜反射光24の光量と、蛍光30の光量とを測定するように構成されている。
なお、流路36を設けずに、金属膜14の上にリガンドが固定化されたセンサ部38を設けた構成にしてもよい。このように構成した場合には、特定のアナライトを含む検体液を、例えば、スポイトなどを用いてセンサ部38に適量添加することによって、センサ部38に特定のアナライトを含むアナライトを捕捉させることができる。
このように、金属膜14上にセンサ部38を設ける場合には、例えば、金属膜14上にSAM(Self-Assembled Monolayer;自己組織化単分子膜)を形成するとともに、SAM上に固相化層を設けるなどし、この固相化層に、リガンドを固定化することによって、構成することができる。
なお、このようなSAMを構成する単分子としては、通常、炭素原子数4〜20程度のカルボキシアルカンチオール(例えば、(株)同任化学研究所、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)などから入手可能)、特に好ましくは10−カルボキシ−1−デカンチオールが用いられる。炭素原子数4〜20のカルボキシアルカンチオールは、それを用いて形成されたSAMの光学的な影響が少ない、すなわち透明性が高く、屈折率が低く、膜厚が薄いなどの性質を有していることから好適である。
このようなSAMの形成方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体例として、金属膜がその表面に形成された誘電体部材を、10−カルボキシ−1−デカンチオール((株)同仁化学研究所製)を含むエタノール溶液に浸漬する方法などが挙げられる。このように、10−カルボキシ−1−デカンチオールが有するチオール基が、金属と結合し固定化され、金薄膜の表面上で自己組織化し、SAMを形成する。
また、SAMを形成する代わりに「誘電体からなるスペーサ層」を形成してもよく、この場合、有機物とケイ素から構成される化合物で、分子中に2種以上の異なった反応基を持つシランカップリング剤を用いてもよい。シランカップリング剤としては、加水分解でシラノール基〔Si-OH〕を与えるエトキシ基(またはメトキシ基)を有し、他端にアミノ基やグリシジル基、カルボキシル基などの反応基を有する分子が利用できる。
誘電体からなるスペーサ層の厚さは、通常10nm〜1mmであり、共鳴角安定性の観点からは、好ましくは30nm以下、より好ましくは10〜20nmである。一方、電場増強の観点から、好ましくは200nm〜1mmであり、さらに電場増強の効果の安定性から、400nm〜1,600nmがより好ましい。
誘電体からなるスペーサ層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法,電子線蒸着法,熱蒸着法,ポリシラザン等の材料を用いた化学反応による形成方法,またはスピンコータによる塗布などが挙げられる。
また、SAM上に形成される固相化層としては、グルコース,カルボキシメチル化グルコース,ならびにビニルエステル類,アクリル酸エステル類,メタクリル酸エステル類,オレフィン類,スチレン類,クロトン酸エステル類,イタコン酸ジエステル類,マレイン酸ジエステル類,フマル酸ジエステル類,アリル化合物類,ビニルエーテル類およびビニルケトン類それぞれに包含される単量体からなる群より選択される少なくとも1種の単量体から構成される高分子を含むことが好ましく、デキストランおよびデキストラン誘導体などの親水性高分子ならびにビニルエステル類,アクリル酸エステル類,メタクリル酸エステル類,オレフィン類,スチレン類,クロトン酸エステル類,イタコン酸ジエステル類,マレイン酸ジエステル類,フマル酸ジエステル類,アリル化合物類,ビニルエーテル類およびビニルケトン類それぞれに包含される疎水性単量体から構成される疎水性高分子を含むことがより好ましく、カルボキシメチルデキストラン〔CMD〕などのデキストランが生体親和性、非特異的な吸着反応の抑制性、高い親水性の観点から特に好適である。
固相化層の平均膜厚は、3nm以上80nm以下であることが好ましい。この膜厚は原子間力顕微鏡〔AFM〕などを用いて測定することができる。固相化層の平均膜厚がこのような範囲内であると、SPFS用センサーチップをアッセイ法に用いた場合に、アッセイのシグナルが安定化し、かつ増加するため好適である。
2.定量測定に用いる検量線について
上述する定量測定装置10を用いて、特定の糖鎖を有するアナライトの定量を行う場合に用いる検量線の作成方法について詳述する。
まず、定量測定装置10のSPR測定部28において、光源20から入射光22を、誘電体部材12を介して、金属膜14に照射するとともに、金属膜反射光24を受光手段26によって受光する。
この状態で、入射角調整手段によって、入射光22の入射角α1を変えながら、受光手段26において受光する金属膜反射光24のシグナル(SPRシグナル)を測定する。
そして、SPRシグナルが最も小さくなる入射角α2(ATRする入射角)を探しだし、入射光22の入射角がα2となるように、入射角調整手段を固定する。
続いて、センサーチップ16に設けられた流路36に、所定濃度の標準抗原を適量送液し、所定時間循環させる。ここで、標準抗原としては、例えば、ミューコスワコー AFP−L3用コントロールLなどを用いることができる。また、標準抗原の濃度は、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などによって希釈することで調整することができる。
標準抗原を送液するのと同時に、定量測定装置10のSPR測定部28において、SPR測定を開始する。すなわち、光源20から入射光22を、誘電体部材12を介して、金属膜14に照射するとともに、金属膜反射光24を受光手段26によって受光する。
続いて、流路36に、例えば、Tween20を含むTBS(Tris-Buffered Saline)などの洗浄液を送液し、所定時間経過後のSPR測定による金属膜反射光の光量(以下、「SPRシグナル」と呼ぶ。)を測定する。
次に、蛍光標識プローブとして、蛍光色素によって標識され、特定のアナライトと結合するレクチンを含んだレクチン溶液を、流路36に適量送液し、所定時間循環させる。ここで、蛍光色素としては、例えば、Alexa Fluor 647などを用いることができる。
続いて、流路36に、例えば、Tween20を含むTBSなどの洗浄液を送液し、所定時間洗浄を行う。そして、SPFS測定部34によって、SPFS測定を行う。すなわち、光源20から入射光22を、誘電体部材12を介して、金属膜14に照射するとともに、蛍光30を光検出手段32によって受光することによって、SPFS測定による蛍光の光量(以下、「SPFSシグナル」と呼ぶ。)を測定する。
複数の濃度の標準抗原について、上述するのと同様にして、SPRシグナルとSPFSシグナルとをそれぞれ測定することによって、標準抗原の総アナライト濃度とSPRシグナルとに関する検量線、および、標準抗原の特定のアナライト濃度とSPFSシグナルとに関する検量線を作成することができる。
なお、SPRシグナルおよびSPFSシグナルに関する検量線の作成には、既知の方法を用いることができ、例えば、得られたSPRシグナルやSPFSシグナルから、線形近似や線形補間、二次補間などを用いて、検量線を作成することができる。
また、SPRシグナルおよびSPFSシグナルは、得られた値をそのまま用いて検量線を作成してもよいし、後述するようにブランクシグナルを測定し、SPRシグナルとブランクシグナルとの差であるSPRシグナル値、および、SPFSシグナルとブランクシグナルとの差であるSPFSシグナル値を用いて検量線を作成することもできる。
なお、このようにして得られたSPRシグナルおよびSPFSシグナルに関する検量線は、定量演算手段40に事前に記憶しておくことで、以下のようにして、未知のサンプルを定量することができる。
3.定量測定方法
まず、センサーチップ16に設けられた流路36に、未知のサンプルを適量送液し、所定時間循環させる。未知のサンプルを送液するのと同時に、定量測定装置10のSPR測定部28において、SPR測定を開始する。
続いて、流路36に洗浄液を送液し、所定時間経過後のSPRシグナルを測定する。ここで得られたSPRシグナルは、定量演算手段40に送られ、SPRシグナルに関する検量線に基づいて、未知のサンプルに含まれる総アナライト濃度が算出される。
次に、蛍光色素によって標識され、特定のアナライトと結合するレクチンを含んだレクチン溶液を、流路36に適量送液し、所定時間反応させる。
続いて、流路36に洗浄液を送液し、所定時間洗浄を行う。そして、SPFS測定部34によって、SPFSシグナルを測定する。ここで得られたSPFSシグナルは、定量演算手段40に送られ、SPFSシグナルに関する検量線に基づいて、未知のサンプルに含まれる特定のアナライト濃度が算出される。
このようにして得られた総アナライト濃度及び特定のアナライト濃度に基づいて、定量演算手段40において、数1に示す計算式によって総アナライト量に対する特定のアナライトの割合(以下、単に「特定のアナライトの割合(%)」とも言う。)が算出される。
Figure 2013038914
(定量測定装置の構成)
この実施例で用いた定量測定装置は、基本的には、上述した定量測定装置10と同様な構成となっている。
なお、光源20として、波長635nmの光を照射することができるレーザーダイオード(LD)を用いており、光源20と誘電体部材12との間には、光学フィルタとして減光フィルタ(中性濃度フィルタ)を設けてフォトン量を調整できるようにした。
また、誘電体部材12としては、シグマ光機(株)製の60度プリズムを用い、この誘電体部材12の上部に、後述する、プラズモン励起センサを固定することによって、センサーチップ16を構成する。
また、センサーチップ16の上部には、集光レンズとして対物レンズを備え、光検出手段32としては、光電子増倍管(PMT)を用いた。
(プラズモン励起センサの作製)
屈折率1.72、厚さ1mmのガラス製の透明平面基板((株)オハラ製のS−LAL 10)をプラズマ洗浄し、この基板の片面にクロム薄膜をスパッタリング法によって形成した。その後、その表面にさらに金薄膜をスパッタリング法によって形成した。クロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
このようにして金薄膜が形成された基板を、10−カルボキシ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、金薄膜の表面にSAM膜を形成した。基板をこの溶液から取り出し、エタノール及びイソプロパノールで洗浄した後、エアガンを用いて乾燥させた。
高さ0.5mmの流路となる溝を有し、溝の両端に貫通穴を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)製シートを、SAM膜の表面が流路の内側となるように溝をSAM膜に対向させて基板上に配置し、流路の外側のPDMS製シート上部から圧着して、ビスでPDMS製シート(流路36)とプラズモン励起センサとを固定した。
(標識レクチンの作製)
蛍光標識レクチンを、蛍光物質ラベリングキットを利用して作製した。LCAレクチン100μg相当と、0.1M重炭酸ナトリウムと、Alexa Fluor 647 reactive dyeとを混合し、室温で1時間反応させた後、ゲル濾過クロマトグラフィー及び限外濾過を行い、標識に利用されなかったAlexa Fluor 647 reactive dyeを取り除いた。その後、吸光度を測定し標識レクチン濃度を定量した。
(抗体の固相化)
作製したセンサーチップを外部流路に接続し、超純水を10分間、その後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を20分間、ペリスタポンプによって、室温(25℃)、流速500μL/分の条件で循環送液させ、その表面を平衡化した。
続いて、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)を50mMと、水溶性カルボジイミド(WSC)を100mMとを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を5mL送液し、20分間循環させた後、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体(1D5、2.5mg/mL、(株)日本医学臨床検査研究所製)溶液2.5mLを30分間循環送液することで、SAM上に1次抗体を固相化した。なお、1重量%牛血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を30分間循環送液することによって、流路内の非特異吸着防止処理を行った。
(SPRシグナルに関する検量線の作成)
図3は、標準抗原(アナライト46)を送液する前のセンサ部38を模式的に表す拡大模式図、図4は、標準抗原(アナライト46)を送液した後のセンサ部38を模式的に表す拡大模式図である。
標準抗原を送液する前のセンサ部38には、図3に示すように、上記のような1次抗体(リガンド44)が形成された状態となっている。
標準抗原として、ミュータスワコー AFP−L3用コントロールL(L3=32%、AFP濃度49ng/mL)を用い、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液にて希釈して、AFP抗原濃度0ng/mL、1.0ng/mL、2.0ng/mL、4.0ng/mL、8.0ng/mLの検量線用サンプルAFP抗原溶液を作製した。
各検量線用サンプルAFP抗原溶液は、L3を32%含有する抗原溶液であり、L3の濃度としては、0ng/mL、0.32ng/mL、0.64ng/mL、1.28ng/mL、2.56ng/mLとなっている。
各濃度の検量線用サンプルAFP抗原溶液を、流路に0.5mL添加し、20分間循環送液させた。続いて、Tween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して、15分間洗浄した。
このように、標準抗原(アナライト46)を送液することによって、図4に示すように、アナライト46として、検量線用サンプルAFP抗原が、リガンド44と結合することになる。なお、符号46aは、検量線用サンプルAFP抗原のタンパク質、符号46b、46cは、検量線用サンプルAFP抗原の糖鎖である。本実施例においては、糖鎖46cを有する検量線用サンプルAFP抗原が、特定のアナライトであるAFP−L3に特有の糖鎖構造を有するAFPとする。
検量線用サンプルAFP抗原溶液を送液すると同時に、定量測定装置10によって、レーザー光を所定の入射角(本実施例では56°)にて入射させ、金薄膜で反射された光を受光手段26としてフォトダイオードを用いてリアルタイムにSPR測定を行った。
AFP抗原濃度0ng/mLの検量線用サンプルAFP抗原溶液を送液した時のSPRシグナルをブランクシグナルとして、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPRシグナルと、ブランクシグナルとの差であるSPRシグナル値は、図5に示すようになった。また、TBSによる洗浄後10分経過時のSPRシグナル値は、以下の表1のようになった。
Figure 2013038914
表1にまとめた各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPRシグナル値を用いて、図6に示すような検量線が得られた。なお、検量線の作成には、線形近似を用いた。
(SPFSシグナルに関する検量線の作成)
図7は、蛍光標識プローブ48を送液した後のセンサ部38を模式的に表す拡大模式図である。
各検量線用サンプルAFP抗原溶液の反応後、蛍光標識プローブ48として、Alexa Fluor 647を標識したLCAレクチン溶液(1μg/mLとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解したもの)を1mL添加し、流速200μL/分にて5分間送液した。
その後Tween20を0.05重量%含有するTBS(TBS−T)を送液して、5分間洗浄した。その後、定量測定装置によって、SPFS測定を行った。
このように、蛍光標識プローブ48としてLCAレクチン溶液を送液することによって、図7に示すように、LCAレクチンは、糖鎖46cと特異的に結合し、AFP−L3のみを選択的に蛍光標識することができる。
AFP抗原濃度0ng/mLの検量線用サンプルAFP抗原溶液を送液した時のSPFSシグナルをブランクシグナルとして、各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPFSシグナルと、ブランクシグナルとの差であるSPFSシグナル値は、以下の表2のようになった。
Figure 2013038914
表2にまとめた各検量線用サンプルAFP抗原溶液のSPFSシグナル値を用いて、図8に示すような検量線が得られた。なお、検量線の作成には、線形近似を用いた。
(テストサンプルの定量測定)
テストサンプルとして、AFP抗原濃度5ng/mL、L3含有量20%のAFP抗原溶液を調製した。調製は、ミュータスワコー AFP−L3用コントロールL(L3=20%、AFP濃度200ng/mL)をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)によって希釈することで行った。
このAFP抗原溶液について、上述するのと同様に、SPR測定及びSPFS測定を実施した。その結果、SPRシグナル値は80、SPFSシグナル値は20106となった。SPRシグナルに関する検量線及びSPFSシグナルに関する検量線を用いて定量を行うと、総アナライト濃度は4.61、L3濃度は1.03となった。これらの値を数1に代入することによって、特定のアナライトであるL3の割合は22%となる。
このように、濃度定量の結果は、±5%に収まり、かつ、L3の割合も実測値と理論値とがほぼ一致する結果が得られた。このように、本発明の定量測定方法を用いることによって、例えば、癌患者血清中の糖鎖量を精確かつ迅速に定量することが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、SPR測定部の光源と、SPFS測定部の光源とを共通した1台の光源で賄っているが、必要に応じて複数の光源を備えていてもよい。
また、各種溶液を循環送液する態様を例として説明したが、必ずしも循環させる必要はなく、一方向に送液し続ける態様や、両方向に往復送液する態様、あるいは、所定量の溶液を送液した後、所定時間滞留させる態様など、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明は、AFP糖鎖測定やCEA糖鎖測定などの臨床試験のような、高精度の測定が要求される分野において、精確でかつ迅速に特定のアナライトの定量測定を行うことができる。
10 定量測定装置
12 誘電体部材
12a 上面
12b 側面
12c 側面
14 金属膜
14a 上面
16 センサーチップ
18 センサーチップ装填部
20 光源
22 入射光
24 金属膜反射光
26 受光手段
28 SPR測定部
30 蛍光
32 光検出手段
34 SPFS測定部
36 微細流路
38 センサ部
40 定量演算手段
44 リガンド
46 アナライト
46a タンパク質
46b 糖鎖
46c 糖鎖
48 蛍光標識プローブ

Claims (6)

  1. 特定のアナライトを定量するための定量測定方法であって、
    誘電体部材と、該誘電体部材上に形成された金属膜と、該金属膜上に形成され前記特定のアナライトを含むアナライトを捕捉するリガンドと、を有するセンサーチップに、前記特定のアナライトを含む検体を供給して前記リガンドに接触させる工程と、
    前記センサーチップの金属膜に対して、前記誘電体部材を介して入射光を照射するとともに、前記入射光が前記金属膜で反射した金属膜反射光を、受光手段によって受光することによって、前記金属膜反射光の光量を測定する工程と、
    前記金属膜反射光の光量を測定した後に、前記特定のアナライトを蛍光標識するための蛍光標識プローブを、前記特定のアナライトと反応させる工程と、
    前記センサーチップの金属膜に対して、前記誘電体部材を介して入射光を照射することによって発生した表面プラズモン光で、前記特定のアナライトと結合した蛍光標識プローブを励起して、発生した蛍光を光検出手段によって受光することによって、前記蛍光の光量を測定する工程と、
    前記金属膜反射光の光量に基づいて、前記検体における総アナライト濃度を算出する工程と、
    前記蛍光の光量に基づいて、前記検体における特定のアナライト濃度を算出する工程と、
    前記総アナライト濃度と、前記特定のアナライト濃度とから、総アナライト量に対する特定のアナライト量の割合を算出する工程と、
    を有することを特徴とする定量測定方法。
  2. 前記金属膜上に流路が形成され、該流路の一部に、前記リガンドが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定量測定方法。
  3. 前記リガンドが、タンパク質または核酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の定量測定方法。
  4. 前記特定のアナライトが、糖鎖を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の定量測定方法。
  5. 前記蛍光標識プローブが、蛍光色素によって標識され、前記特定のアナライトに結合するレクチンであることを特徴とする請求項4に記載の定量測定方法。
  6. 前記検体における総アナライト濃度を算出する工程は、複数の濃度の標準抗原から、予め作成した総アナライト濃度と金属膜反射光の光量に関する検量線と、前記金属膜反射光の光量を測定する工程により測定された金属膜反射光の光量とに基づいて算出することにより行うとともに、
    前記検体における特定のアナライト濃度を算出する工程は、複数の濃度の標準抗原から、予め作成した特定のアナライト濃度と蛍光の光量に関する検量線と、前記蛍光の光量を測定する工程により測定された蛍光の光量とに基づいて、算出することにより行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の定量測定方法。
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