JPWO2013038705A1 - 抗ウイルス性薄膜つき基材 - Google Patents

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Abstract

抗ウイルス性薄膜つき基材1は、基材11と、基材11の上に形成された抗ウイルス性薄膜21と、を備える。抗ウイルス性薄膜21が、酸化チタンを主成分とする層22と、層22の表面上に配置された、Cu系の材料を主成分とする島部23と、を有する。島部23における、全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比は0.25〜0.35である。

Description

本発明は、抗ウイルス性薄膜つき基材に関する。
衛生上の観点から、微生物が接する可能性のある物品に、銀、銅、亜鉛等の金属からなる層、または酸化チタン等の光触媒からなる層が設けられることがある。これらの金属および光触媒は、抗菌性を有することが知られている。上記の金属は、細胞膜、細胞質構成物質との置換反応により、菌を失活させて、抗菌効果を発揮する。上記の光触媒は、紫外線の照射によって発生する活性酸素種が、菌の細胞壁、細胞膜を攻撃することで、抗菌効果を発揮する。
また、光触媒と金属とを併用し、光触媒により細菌等の細胞壁を破壊し、金属による抗菌機能を促進させることも知られている。例えば、特許文献1には、基材の上に酸化チタンを含む光触媒層を設け、この光触媒層上に、銅等からなる島部を設けることにより抗菌性基材を作製することが記載されている。
また、特許文献1には、作製した抗菌性基材をウイルスが接する可能性がある物品に適用することも記載されている。
特許文献2には、銅二価イオンと塩素イオンの存在下で、金属酸化物粒子が光触媒作用を発現し、これに基づくアレルゲン不活性化作用を発現することが記載されている。具体的に、特許文献2の実施例2には、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物の溶液と、銅二価塩を担持したルチル型二酸化チタン微粒子の分散液とを混合してコーティング材を作製することが記載されている。
特許文献3には、一価の銅化合物微粒子が二価の銅イオンになる際に放出される電子によって、ウイルスを不活性化させることが記載されている。特許文献3の実施例には、一価の銅化合物微粒子の分散液が開示されている。
国際公開第2008/047810号 特開2011−111600号公報 特開2010−239897号公報
本出願人らが検討したところ、特許文献1に記載の抗菌性基材、特許文献2に記載のコーティング剤、および特許文献3に記載の分散液の何れも十分な抗ウイルス性を有していないことが分かった。
本発明は、このような事情に鑑み、優れた抗ウイルス性を有する抗ウイルス性薄膜つき基材を提供することを目的とする。
本発明は、
基材と、前記基材の上に形成された抗ウイルス性薄膜と、を備え、
前記抗ウイルス性薄膜が、酸化チタンを主成分とする層と、前記層の表面上に配置された、Cu系の材料を主成分とする島部と、を有し、
前記島部における、全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比が0.25〜0.35である、抗ウイルス性薄膜つき基材、
を提供する。
また、本発明は、その別の側面から、
基材と、前記基材の上に形成された抗ウイルス性薄膜と、を備え、
前記抗ウイルス性薄膜が、酸化チタンを主成分とする層と、前記層の表面上に配置された、Cu系の材料を主成分とする島部と、を有し、
前記島部における、全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比Aが0.15〜0.35であり、
前記島部における、全てのCu原子のモル数に対する、CuOのモル数とCu(OH)2のモル数の総和の比であるモル比Bが0.70〜0.95である、抗ウイルス性薄膜つき基材、
を提供する。
なお、本明細書において、「主成分」は、慣用のとおり、含有率が50質量%以上を占める成分を指す用語として用いる。また、本明細書において、Cu系の材料とは、Cu元素からなる単体またはCu元素を含む化合物をいう。
本発明によれば、優れた抗ウイルス性を有する抗ウイルス性薄膜つき基材を提供できる。
本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材の典型的な構成の一例を示す断面図 本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材の典型的な構成の別の例を示す断面図 島部を形成する方法を示す概念図
以下、本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材について説明する。
まず、基材の上に形成される抗ウイルス性薄膜について説明する。抗ウイルス性薄膜は、光が照射されることにより抗ウイルス性を発揮する膜である。抗ウイルス性薄膜は、酸化チタンを主成分とする層(以下、光触媒層と記載することがある)と、Cu系の材料を主成分とする島部とを有する。
光触媒層は、表面の一部が露出しており、光が照射されることにより抗ウイルス効果を発揮する。本実施形態の光触媒層は、光が照射されることによって、電荷(電子又は正孔)を発生させる。
光触媒層の光触媒としての機能を高める観点から、光触媒層の主成分は、アナターゼ型の結晶構造を含む多結晶酸化チタンであることが好ましい。
また、光触媒層は、実質的に酸化チタンからなっていてもよい。「実質的に」とは、不可避的に混入する不純物まで排除するものではないという趣旨である。
また、光触媒層は酸化チタンを主成分とする限り他の材料を含んでいてもよいが、例えば光触媒層は、結晶構造の乱れを生じない程度に、鉄又はアルミニウム等の金属を含んでいてもよい。光触媒層に少量の金属が添加されると、光触媒層においてキャリアの発生が促進されて、光触媒層の光触媒活性が高まる。光触媒層の好適な金属含有量は、0.001〜1.0質量%である。これより添加量が少ないと効果が得られないことがあり、多過ぎると光触媒層の結晶構造の乱れや再結合中心生成の原因となって光触媒活性が低下することがある。
光触媒層は、化学気相堆積法(CVD法)、スパッタリング法、液相法(例えばゾルゲル法)等の公知の成膜方法によって基材の上に形成できる。中でも、大面積で均一な膜を容易に形成できることから、スパッタリング法およびCVD法が推奨される。
また、スパッタリング法で光触媒層を形成する場合、光触媒層の成膜中に基材を加熱したり(加熱成膜)、光触媒層の成膜後に基材を加熱したり(成膜後加熱)してもよい。これにより、光触媒層の酸化チタンの結晶性が高まり、光触媒機能の高い光触媒層を得ることができる。加熱成膜および成膜後加熱の際の温度は、室温より高い温度であり、基材が軟化、変形、変質しない温度であることが好ましい。基材としてガラス板を採用する場合は、加熱成膜および成膜後加熱の際の温度は、例えば200〜600℃に設定すればよい。
島部は、光触媒層の表面に点在した状態で堆積している。島部は、その表面が露出しており、ウイルスと接触することにより抗ウイルス効果を発揮する。具体的には、島部は、主として島部に含まれるCu(OH)2に由来する抗ウイルス作用を発揮する。より具体的には、島部における全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比が0.25〜0.35である場合は、抗ウイルス性薄膜は良好な抗ウイルス性を発揮する。上記モル比は0.26〜0.35であることが好ましく、0.27〜0.35であることがより好ましい。別例では、上記モル比の範囲は0.25〜0.30であり、好ましい範囲は0.26〜0.30であり、より好ましい範囲は0.27〜0.30である。また、島部におけるCu(OH)2の重量の金属銅換算量を光触媒層の表面の面積で割って算出した、Cu(OH)2の担持量は、例えば1ng/cm以上であり、好ましくは4ng/cm以上である。
ところで、抗ウイルス性薄膜は、光(具体的には紫外線または可視光線)が照射されることにより抗ウイルス性を発揮する膜であるが、光が照射されている間に島部においてCu(OH)2が生成され、島部におけるCu(OH)2の比率が増えることがある。このように、光が照射されている間に島部において生成したCu(OH)2も、抗ウイルス性薄膜の抗ウイルス性に寄与する。本発明者らが確認したところ、光照射前の島部におけるCuOの比率が高い場合にCu(OH)2の比率が増え易いことが分かった。これは、抗ウイルス性薄膜に光が照射されると、抗ウイルス性薄膜つき基材が使用される雰囲気中に存在する水または水分(H2O)等とCuOとが反応してCu(OH)2が生成されるためであると考えられる。すなわち、CuOは、光照射によりCu(OH)2に転化することにより、後発的に抗ウイルス性を獲得し得るといえる。ただし、島部におけるCuOの比率が高い場合に限り、光照射によるCu(OH)2の増加は有効なものとなる。また、CuOのCu(OH)2への転化が照射される光の強度等に影響を受けること等を考慮すると、光照射前の島部にはCuOとともに一定比率以上のCu(OH)2が存在することが望まれる。これらを考慮すると、良好な抗ウイルス性が発現されるためには、島部における全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比Aが0.15〜0.35、例えば0.15〜0.30、また例えば0.15以上0.25未満であり、かつ島部における、全てのCu原子のモル数に対する、CuOのモル数とCu(OH)2のモル数の総和の比であるモル比Bが0.70〜0.95であることが好ましい。モル比Bは、0.75〜0.95が好ましく、0.80〜0.95がより好ましい。また、島部における全てのCu原子のモル数に対するCuOのモル数の比であるモル比Cは、0.50〜0.85が好ましく、0.65〜0.85が好ましく、0.70〜0.80が特に好ましい。また、島部におけるCuOの重量の金属銅換算量とCu(OH)2の重量の金属銅換算量の総和を光触媒層の表面の面積で割って算出した、CuOとCu(OH)2の担持量の総和は、例えば3ng/cm以上であり、好ましくは10ng/cm以上である。
また、島部は、実質的にCu系の材料からなっていてもよい。ただし、島部は、Cu系の材料よりも少ない量(質量基準で)の添加金属を含んでいてもよい。添加金属としては、錫(Sn)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの金属の添加により、島部の耐食性の改善を期待できる。
島部は、光触媒層の表面における1×1μmの広さの任意の領域中に、少なくとも1つ、例えば100〜3000個、好ましくは250〜750個存在していることが好ましい。この特徴により、面内で一様に抗ウイルス効果を発現することができる。
また、島部の高さは特に限定されない。雑巾等の物体の島部への引っ掛かりを避け、島部の耐摩耗性を高める観点からは、島部の最大高さは、20nm以下が好ましい。他方、抗ウイルス性を確保する観点からは、島部の最大高さは1nm以上であることが好ましい。すなわち、上記両観点から、島部の最大高さは1〜20nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、2〜5nmが特に好ましい。
島部は、下記で詳細に述べるように、スパッタリング法により光触媒層上に形成できる。光触媒層と島部の両方をスパッタリング法によって形成する場合、光触媒層を形成するためのスパッタリング工程と島部を形成するためのスパッタリング工程とを同一の製造ラインで実施できることから、生産性の向上が期待される。
抗ウイルス性薄膜が有する抗ウイルス性は、光触媒層の作用と島部の作用の両方に基づくものである。より具体的には、島部がウイルスと接触することにより抗ウイルス性が発揮され、光触媒層に光が照射されることで光触媒層において発生した電荷が島部に移動することにより島部に由来する抗ウイルス作用が顕著に促進されると考えられる。島部に基づく抗ウイルス性と、光触媒層に基づく電荷の発生作用の両方をバランスよく組み合わせれば、抗ウイルス性薄膜全体の抗ウイルス性を高めることができる。この観点から、抗ウイルス性薄膜の厚さ方向に沿って観察したとき、すなわち抗ウイルス性薄膜を島部の上方から観察したときの、抗ウイルス性薄膜の面積に対する島部の面積の総和の比は、0.01〜0.20が好ましく、0.03〜0.15がより好ましく、0.05〜0.12がより好ましい。
本実施形態の抗ウイルス性薄膜つき基材では、酸化チタンを主成分とする光触媒層上にCu系の材料を主成分とする島部が点在するように形成されている。本実施形態のように島部を形成すると、島部により区画された(隣接する3つの島部を結ぶ直線により囲まれた)光触媒層の露出面の各領域は、それぞれがある程度のまとまった面積(例えば500〜2000nm2)を有する。これにより、光触媒層が効果的に電荷を発生させることができる。また、酸化チタンにドープされて酸化チタンの結晶中に取り込まれたCu系の材料等に比べると、本実施形態の島部は外気に十分に面しているため、ウイルスに接触し易い。また、Cu系の材料の粒子どうしをバインダーにより固定することにより作製した膜とは異なり、本実施形態の抗ウイルス性薄膜つき基材では、バインダー等の障害物により島部の露出面が減少することがない。
また、各島部の大きさは特に限定されないが、各島部が小さすぎると、島部の体積に対する島部の露出面積が大きくなりすぎ、水、酸、アルカリ等に溶解する量が大きくなり、耐候性、耐薬品性が不十分となるおそれがある。したがって、各島部は1nm以上の直径を有していることが好ましい。他方、各島部が大きすぎると、島部の体積に対する島部の露出面積が小さくなりすぎ、島部と接触できるウイルスの数が少なくなり、抗ウイルス性が十分に発揮されないおそれがある。したがって、各島部は20nm以下の直径を有していることが好ましい。すなわち、上記両観点から、島部の直径は1〜20nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、2〜5nmが特に好ましい。
なお、島部が島状に点在していることを確認する方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)像、透過型電子顕微鏡(TEM)像による評価等が挙げられる。
次に、基材について説明する。基材は特に限定されないが、透光性を有していることが好ましい。透光性を有する基材としては、ガラス板、プラスチック板および樹脂フィルムからなる群より選ばれる1種または2種以上の素材が挙げられる。ガラス板としては、市販されているフロート板ガラス、型板ガラス、網入りガラスや、それらに各種の着色をしたガラス板を用いることができる。また、ホウケイ酸ガラスやアルミノシリケートガラス等のガラス板を用いることもできる。また、鏡等の光反射性の基材を用いることもできる。
また、基材が透明で透光性を有する場合は、抗ウイルス性薄膜つき基材の可視光域(例えば380〜760nmの波長域)におけるヘイズ率を0.5%以下に抑えることが好ましい。これにより、良好な意匠性を得ることができる。
また、基材は、基材本体と、基材本体に接するように形成された下地層とを含んでいてもよい。基材本体がガラス板である場合は、下地層はガラス板中のアルカリ成分の拡散を防止する機能を有していることが好ましい。
下地層は、酸化珪素、窒化珪素、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび亜鉛と錫との複合酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいることが好ましい。また、下地層として酸化錫を含む場合は、酸化錫にフッ素がドープされていてもよい。また、下地層の厚さは5〜10nmの範囲であれば十分な効果が得られる。下地層は、光触媒層や島部の形成に先立って、化学気相堆積法、スパッタリング法、液相法等の公知の成膜方法によって基材本体の上に形成することができる。
スパッタリング法で光触媒層および下地層を形成する場合、下地層は、単斜晶型の結晶構造を含む多結晶酸化ジルコニウムを含む膜を有していることが好ましい。単斜晶型の酸化ジルコニウムの格子定数は、アナターゼ型酸化チタンの格子定数に近い。したがって、単斜晶型の酸化ジルコニウムを含む膜を下地層として設けることにより、その上に形成する酸化チタン層を、アナターゼ型の結晶構造をヘテロエピタキシャル成長させた層とすることができる。これにより、光触媒効果の高い光触媒層を形成することができる。
なお、下地層は、複数の層から構成されていてもよい。下地層を2層で構成する場合は、例えば、基材本体側から、第1下地層として酸化珪素膜を、第2下地層として酸化ジルコニウム膜を採用できる。
また、加熱成膜の技術および成膜後加熱の技術は、下地層を設ける場合にも適用できる。すなわち、下地層の成膜中に基材本体を加熱したり、下地層の成膜後に基材本体を加熱したりしてもよい。
また、基材の本体部(基材本体)として、フロート法によって製造されるガラス板を使用する場合、ガラス形成時の熱を利用した熱CVD法によって下地層および酸化チタンを主成分とする光触媒層を形成してもよい。フロートガラス形成時の熱を利用した熱CVD法は、一般に、オンラインCVD法(またはバス内CVD法)と呼ばれる。オンラインCVD法によれば、フロート法によるガラスの成形ライン上(例えばフロートバス内)に、下地層および光触媒層を形成するためのCVD装置が設置される。オンラインCVD法によれば、フロート法によるガラスの成形と、CVD法による下地層および光触媒層の形成とを連続して行えるため、経済性に優れる。
次に、抗ウイルス性薄膜つき基材のいくつかの典型的な構成を図面に示す。
図1は、本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材の典型的な構成の一例を示す断面図である。本例の抗ウイルス性薄膜つき基材1においては、透光性を有する基材としてのソーダライムガラス板11の表面に、抗ウイルス性薄膜21が形成されている。すなわち、ソーダライムガラス板11の表面に光触媒層22が形成され、光触媒層22の表面には複数の島部23(島部23の群)が形成されている。島部23の表面は露出しており、光触媒層22の表面は島部23との接触面を除いて露出している。図1に示すように島部23を島状に堆積させることにより、光触媒層22に基づく抗ウイルス性と島部23に基づく抗ウイルス性の両方を確保するとともに、ガラス板11の材料および光触媒層の主成分である酸化チタンに由来する色調および透光性を良好に保つことができる。
また、図2に示すように、ソーダライムガラス板11(基材本体)の表面に、下地層14が形成され、下地層14の表面に抗ウイルス性薄膜21が形成されることにより、抗ウイルス性薄膜つき基材101が構成されていてもよい。
次に、島部の具体的な製造方法について説明する。
島部は、スパッタリング法によって形成できる。スパッタリング法によって堆積させる島部を構成する材料の量は、高度に制御することが可能である。
スパッタリング法は、アルゴン等の不活性ガスと酸素を含むガス雰囲気下で実施できる。また、スパッタリング法による目安膜厚を調整することにより(例えば0.1〜1.0nmに設定することにより)、島部を構成する材料を島状に堆積させることができる。ここで、目安膜厚とは、島部を構成する材料の全量が、膜厚が均一な連続膜を構成したと換算した際の、該連続膜の膜厚をいい、形成された島部の実際の高さそのものを示すものではない。
この目安膜厚は、例えば、以下のようにして定めることができる。まず、島部の成膜条件(成膜装置、成膜雰囲気ガス、真空度、基板温度、成膜パワー等)を定める。該成膜条件で、比較的長い時間に渡って成膜を行い、島部を構成する材料からなる連続膜を形成する。成膜時間だけを変更して、何度か成膜を行い、膜厚が異なる複数の連続膜を得る。得られた連続膜の膜厚を測定し、膜厚と成膜時間との関係を求める。連続膜の膜厚は、触針式段差膜厚計またはエリプソメータによって測定できる。膜厚と成膜時間の関係から、所定の成膜時間に対する膜厚の予測値を求めることができ、この予測値を目安膜厚として用いることができる。すなわち、所定の目安膜厚に相当する成膜時間を予め算出し、この算出した成膜時間に島部の成膜時間を設定する。こうした手順により、島部を構成する材料を島状に堆積させることが可能となる。なお、インライン型スパッタリング装置(基材を連続的に搬送し、ターゲット領域(ターゲットから弾き飛ばされた金属が基材に到達し得る領域)を通過させて成膜する装置)においては、成膜時間は、基材の各部分がターゲット領域の中に存在する時間に相当する。
ところで、スパッタリングを実施する際の酸素分圧と、形成される島部の組成との間には特徴的な関係がある。スパッタリングを行いながら酸素分圧を0から高めていくと、初めはターゲット表面が金属の状態に保たれ、主として金属の状態の島部が形成される(この領域は、メタルモードと呼ばれる)が、酸素分圧が所定の閾値を超えると、放電電圧が不連続に変化(モード遷移)し、ターゲット表面が酸化された状態になり、酸化物の比率が高い島部が形成されるようになる(この領域は酸化物モードと呼ばれる)。また、この状態から酸素分圧を減らし、モード遷移が起こった酸素分圧を下回ると、メタルモードに戻る(逆遷移)。なお、モード遷移中における酸素分圧および形成される島部の組成の関係と、逆遷移中における酸素分圧および形成される島部の組成の関係との間には、ヒステリシスが生じる。なお、モード遷移の前後で放電電圧が変化する方向はターゲットの金属種によって異なる。Ti等では酸化物モードにおける電圧がより高くなるが、CuおよびSiでは逆により低くなる。
島部の好適な製造条件には、島部におけるCu(OH)2の比率を高めることに適した第1の製造条件と、島部におけるCuOの比率を高めることに適した第2の製造条件とがある。第1の製造条件は、酸素分圧を、上記のメタルモードにおける低側領域の酸素分圧とする製造条件である。第1の製造条件における好適な酸素分圧の範囲は成膜装置毎に異なるが、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量と不活性ガスの流量の比で表現すると、3:97〜10:90が好ましく、4:96〜7:93であることがより好ましい。
第2の製造条件は、酸素分圧を、第1の製造条件の場合よりも高い、メタルモードにおける中〜高側領域、遷移モードおよび酸化物モードの何れかにおける酸素分圧とする製造条件である。ただし、遷移モードでは、モードがメタルモードと酸化物モードとの間で頻繁に切り替わるため、成膜が安定しない。また、酸化物モードでは、成膜レートが低く(メタルモードの1/10以下)ため、生産性が低下する。これらを考慮すると、スパッタリング中の酸素分圧を、メタルモードにおける酸素分圧であって遷移モードに近い領域の酸素分圧とすることが好ましい。好ましい酸素分圧の範囲は、成膜装置毎に異なるが、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量と不活性ガスの流量の比で表現すると、12:88〜27:73が好ましく、15:80〜25:75であることがより好ましい。
図3に、島部を形成するためのスパッタリング装置の一例を示す。図3に示すスパッタリング装置50では、キャリア43が、基材上に光触媒層が形成された光触媒層つきガラス板31が並べられた状態で移動する。一方、排出口41からは、不活性ガス(アルゴン等)および酸素を含むスパッタリングガスが供給される。その後、イオン化されたスパッタリングガスの衝突によってターゲット33から弾き飛ばされた金属Cuは、2つの平行なシールド板42によって形成された開口溝を通って光触媒層つきガラス板31上に到達する。これにより、島部を構成する材料が、光触媒層つきガラス板31上に堆積する。
なお、シールド板42によって形成される開口溝の幅を調整することによって、成膜レートを制御することができる。開口溝の幅は、例えば1〜150mm程度の範囲で調整できる。開口溝の幅を調整することに代えて、またはこれとともに、光触媒層つきガラス板31の搬送速度を速くしたり、投入パワーを低く抑えたりすることで成膜レートを制御してもよい。また、スパッタリング条件を変えた場合は、成膜目安膜厚と成膜効率を考えて開口溝の広さを調整してもよい。
ターゲット33は、金属Cuの他に、適量の添加金属を含んでいてもよい。添加金属として、錫(Sn)、鉄(Fe)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)等から選ばれる少なくとも1種がターゲット33に含まれていてもよい。これにより、島部の耐食性の改善を期待できる。
本発明をさらに詳細に説明するために、実施例および比較例を示す。
〈実施例1−3〉
(実施例1)
実施例1では、まず、基材本体としての厚さ3.0mmのフロートガラス板(ソーダライムガラス板)を準備した。次に、フロートガラス板の表面上に、下地層(第1下地層)としての酸化珪素膜を成膜した。酸化珪素膜の成膜は、ULVAC社製インライン型スパッタ装置MLH−6215を用いてスパッタリング法により行った。具体的には、5×15インチのサイズで、導電性を付与するためにリンをドーピングしたシリコンターゲットを用い、酸素含有ガス雰囲気下での反応性スパッタリング法により酸化珪素膜を形成した。成膜時に基材本体は加熱しなかった。基材本体とターゲットとの間隔は約60mmとした。酸化珪素膜のスパッタリング条件の詳細は以下の通りである。
酸化珪素(SiO2)成膜時のスパッタリング条件
・ ターゲット:Si(Pドープ)
・ ガス圧:0.4Pa
・ スパッタリングガス種:酸素(O2)80% + アルゴン(Ar)20%
・ 投入パワー:DCパルス2.0kW(パワー密度:4.13W/cm2
・ 膜厚:10nm
ただし、スパッタリングガス種の項目の酸素およびアルゴンのパーセンテージは、スパッタリングガス全体の流量に対する流量の比率である(以下同様)。
次に、酸化珪素膜上に、下地層(第2下地層)としての酸化ジルコニウム膜を成膜した。酸化ジルコニウム膜の成膜は、ULVAC社製インライン型スパッタ装置MLH−6215を用いてスパッタリング法により行った。具体的には、5×15インチのサイズの金属ターゲットを用い、酸素ガス雰囲気下での反応性スパッタリング法により酸化ジルコニウム膜を形成した。なお、成膜時に基材本体は加熱しなかった。第1下地層が形成された基材本体とターゲットとの間隔は約60mmとした。酸化ジルコニウム膜のスパッタリング条件の詳細は以下の通りである。
酸化ジルコニウム膜(ZrO2)の成膜時のスパッタリング条件
・ ターゲット:ジルコニウム(Zr)
・ ガス圧:1.33Pa
・ スパッタリングガス種:酸素(O2)100%
・ 投入パワー:DC2.6kW(パワー密度:5.54W/cm2
・ 膜厚:10nm
次に、酸化ジルコニウム膜の表面上に光触媒層を形成した。光触媒層の成膜は、ULVAC社製インライン型スパッタ装置MLH−6215を用いてスパッタリング法により行った。具体的には、5×15インチのサイズの金属ターゲットを用い、酸素ガス雰囲気下での反応性スパッタリング法により光触媒層を形成した。なお、成膜時に基材本体は加熱しなかった。第1下地層および第2下地層が形成された基材本体とターゲットとの間隔は約60mmとした。光触媒層のスパッタリング条件の詳細は以下の通りである。
光触媒層のスパッタリング条件
・ ターゲット:チタン(Ti)
・ ガス圧:2.67Pa
・ スパッタリングガス種:酸素(O2)100%
・ 投入パワー:DC3.0kW(パワー密度:6.40W/cm2
・ 膜厚:10nm
次に、光触媒層の表面上に、島部を形成した。島部の形成には、ULVAC製インライン型スパッタ装置SCH−3030を用いてスパッタリング法により行った。ターゲットのサイズは5×20インチとした。光触媒層が形成された基材とターゲットとの間隔は約65mmとした。成膜レートを低減するため、図3に示したように基材本体とターゲットの間であって基材本体から50mmの位置にシールド板を設置した。シールド板によって、図3に示すようにターゲットの長手方向と並行、かつ搬送方向と直交する方向に延びる細長い隙間を作った。隙間の広さは15mmとした。なお、成膜時に基材本体は加熱しなかった。
島部を形成する際の、スパッタリング条件の詳細は以下の通りである。
・ ターゲット:Cu
・ ガス圧:0.67Pa
・ スパッタリングガス種:酸素(O2)5% + アルゴン(Ar)95%
・ 投入パワー:DC250W(0.51W/cm2
・ 搬送速度:1000mm/min(ターゲットの成膜レートに応じて微調整)
・ 目安膜厚:0.5nm
また、スパッタリングガスの排出口は、図3に示すように、シールド板とターゲットとの間にガスが放出されるように設置した。
なお、島部のスパッタリングの条件は、ターゲットを金属Cuとするスパッタリングを別途行い、20nm程度の連続膜を堆積させ、この連続膜の組成をIn−planeXRD法によって分析することにより定めた。
以上の手順で実施例1のサンプルを作製した。
次に、作製したサンプルの島部に含まれるCu、Cu2O、CuOおよびCu(OH)2の存在比率をXPS法(X線光電子分光法)により分析した。具体的には、真空中でサンプルにX線(Al−Kα線、出力150W)を照射し、X線光電子分光装置(アルバックファイ社製、ESCA−5600i)によりサンプルの島部におけるCu、O、Tiを検出した。Cuについては、スペクトルの波形分離を行って、全てのCu原子に対するCu、Cu2O、CuOおよびCu(OH)2のそれぞれの存在比率(モル比)を求めた。なお、CuのスペクトルとCu2Oのスペクトルとは類似しており、各々のスペクトルの分離が困難であるため、CuおよびCu2Oについては、Cuのモル比とCu2Oのモル比の総和を求めた。Cuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.218、CuOのモル比は0.510、Cu(OH)2のモル比は0.272であった。また、化学分析により、島部におけるCu系の材料の、金属銅換算の総重量を測定した。化学分析は、ICP発光分析により行った。ICP発光分析装置には、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「SPS3520UV」を用いた。具体的には、装置の条件を、印加電力を1.2kW、測定波長を324.847nmに設定し、原子吸光分析用のCu1000ppm標準溶液(関東化学株式会社製)を適宜希釈して作製した標準溶液を用いたCuの検量線に基づいて、定量分析を行った。測定した存在比率と、総重量と、光触媒層の表面の面積とから、Cu、Cu2O、CuOおよびCu(OH)2の金属銅換算重量(光触媒層の単位面積あたりの金属銅換算重量)である担持量を求めた。CuとCu2Oの担持量の総和は75ng/cm、CuOの担持量は175ng/cm、Cu(OH)2の担持量は93ng/cmであった。なお、実施例1におけるスパッタリグガスにはH原子を有する物質が含まれていないにも関わらず、成膜された島部にCu(OH)2が含まれているのは、島部の成膜後にスパッタ装置からサンプルを取り出した際に、大気中に含まれる水分がサンプルと反応したためであると考えられる。
また、TEM観察により、島部の平均直径を測定した。具体的には、TOPCON社製のEM−002Bを用い、加速電圧を200kVに設定し、倍率を20万倍としてTEM写真を撮影した。同様の撮影を、撮影時の視野を変更して3回実施し、認識できる粒子の大きさを計測した。島部の平均直径は、約2.8nmであった。
次に、実施例1のサンプルの抗ウイルス性を以下の手順で評価した。
まず、試験ウイルスとして大腸菌ファージ(Escherichia coli phage)Qβを準備し、これを希釈して濃度が4×109個/mlのファージ液を調製した。なお、大腸菌ファージQβは、抗ウイルス性評価において、インフルエンザウイルスの代用として汎用のものである。
次に、このファージ液100μlを、サンプルの抗ウイルス性薄膜上に滴下した。次に、大腸菌ファージを滴下したサンプルに、乾燥防止のための透明のプラスチックシート(市販のOHPシートを40mm角に切ったもの)を被せた。このようにして、サンプルとプラスチックシートとの間にファージ液が保持されるようにした。
次に、純水で湿らせたろ紙をシャーレに敷き、このろ紙の上にガラス片を配置した。次に、このガラス片上にプラスチックシートが被されたサンプルを配置し、石英ガラス板でシャーレに蓋をした。このようにして、シャーレ内の湿度が保たれ、かつ、ろ紙がサンプルに接触していない状態を得た。
次に、石英ガラス板上から紫外線を照射した。具体的には、ブラックランプ(東芝ライテック社製 BLB−20S)により、強度が0.25mW/cm2の紫外線を10分間照射した。
次に、サンプルとプラスチックシートとを別の容器に移し、リン酸緩衝生理食塩水(全重量に対して0.1wt%の界面活性剤(Tween20)を含む)により洗浄した。これにより、滴下したファージ液の体積を基準にして100倍に希釈された希釈液を回収した。
次に、この希釈液を上記のリン酸緩衝生理食塩水によりさらに101〜105倍に希釈して、試験液を調製した。
次に、この試験液に含まれる大腸菌ファージに対して大過剰の大腸菌を含む宿主液を準備した。次に、試験液100μlと宿主液とを混合して混合液を得た。得られた混合液を、上層寒天培地(Nutrient Agar 5g/l、Nutrient Broth 8g/l、NaCl 0.5wt%)に混合し、予めシャーレに固定されている下層寒天培地(Nutrient Agar 15g/l、Nutrient Broth 8g/l、NaCl 0.5wt%)に塗布した。
次に、このシャーレを37℃に設定した恒温層で15時間以上温めた。次に、発生したプラ−クの数を、シャーレの底側から目視で数え、プラ−クの数と希釈倍率とから、滴下したファージ液に含まれていた大腸菌ファージのうち、感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度(PFU/ml)を算出した。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。
なお、ファージ液および宿主液を除く全ての器具類は、オートクレープ滅菌器およびUV滅菌器により滅菌したものを用いた。
また、実施例1のサンプルの評価では、紫外線照射後の島部の組成も分析した。具体的には、実施例1のサンプルと同じサンプルを準備して、このサンプルに、上記の抗ウイルス性の評価における紫外線照射と同様の条件で紫外線を照射し、紫外線照射後にこのサンプルの島部の組成を上記と同様にして分析した。Cuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.215、CuOのモル比は0.510、Cu(OH)2のモル比は0.274であった。Cu、Cu2O、CuOおよびCu(OH)2の担持量は、モル比の変化率と同様の変化率で変化していた(この点は、後述の実施例および比較例においても同様)。
また、実施例1のサンプルの評価では、上記の抗ウイルス性の評価において、紫外線に変えて強度が800lxの可視光(光源:通常の蛍光灯)を60分間照射した場合の抗ウイルス性も評価した。可視光を照射した後の大腸菌ファージの濃度は、5.0×103PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部の組成の分析と同様の方法で、可視光照射後の島部の組成の分析を行った。Cuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.218、CuOのモル比は0.507、Cu(OH)2のモル比は0.275であった。
また、実施例1のサンプルの評価では、上記の抗ウイルス性の評価において、紫外線または可視光を照射する代わりに、シャーレを暗室で180分放置した後の抗ウイルス性も評価した。この場合の大腸菌ファージの濃度は、5.2×107PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部の組成の分析と同様の方法で、暗室で放置した後の島部の組成を分析した。Cuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.214、CuOのモル比は0.509、Cu(OH)2のモル比は0.277であった。
また、実施例1のサンプルについては、ヘイズ率を測定した。具体的には、ヘイズメーター(日本電色工業社製 NDH2000)を用いて、ガラス板側から光(波長域:380〜760nm)を入射させることにより、ヘイズ率を測定した。実施例1のサンプルのヘイズ率は0.2%であった。このサンプルのヘイズは目視では認識できなかった。また、このサンプルは透光性が高いことが、目視で認識できた。
(実施例2)
実施例2では、島部を成膜する際のスパッタリングガス中の酸素の流量比を4%(0.04)にした。それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。実施例2のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.278、CuOのモル比は0.471、Cu(OH)2のモル比は0.251であった。CuとCu2Oの担持量の総和は91ng/cm、CuOの担持量は155ng/cm、Cu(OH)2の担持量は83ng/cmであった。また、実施例2では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、5.2×105PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.273、CuOのモル比は0.474、Cu(OH)2のモル比は0.253であった。
(実施例3)
実施例3では、光触媒層の厚さを50nmにした。それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。実施例3のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.216、CuOのモル比は0.508、Cu(OH)2のモル比は0.276であった。CuとCu2Oの担持量の総和は73ng/cm、CuOの担持量は173ng/cm、Cu(OH)2の担持量は94ng/cmであった。実施例3では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.212、CuOのモル比は0.510、Cu(OH)2のモル比は0.278であった。
実施例1−3の結果を表1にまとめる。
Figure 2013038705
(実施例4)
実施例4では、スパッタリングガス中の酸素の流量比を20%(0.20)にした。それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。実施例4のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.110、CuOのモル比は0.735、Cu(OH)2のモル比は0.156であった。CuとCu2Oの担持量の総和は39ng/cm、CuOの担持量は262ng/cm、Cu(OH)2の担持量は56ng/cmであった。実施例4で得られたサンプルについて、実施例1と同様に、紫外線照射後、可視光照射後、および暗室で放置後の抗ウイルス性の評価を行った。実施例4のサンプルに紫外線を照射した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。また、紫外線照射後のCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.091、CuOのモル比は0.629、Cu(OH)2のモル比は0.279であった。実施例4のサンプルに可視光を照射した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、6.0×103PFU/mlであった。また、可視光照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.080、CuOのモル比は0.660、Cu(OH)2のモル比は0.260であった。実施例4のサンプルを暗室に放置した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、6.2×108PFU/mlであった。また、暗室で放置した後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.114、CuOのモル比は0.733、Cu(OH)2のモル比は0.153であった。
実施例4の結果を表2にまとめる。
Figure 2013038705
〈比較例1−3〉
(比較例1)
比較例1では、島部を成膜する際のスパッタリングガス中の酸素の流量比を3%(0.03)にした。それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。比較例1のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.310、CuOのモル比は0.450、Cu(OH)2のモル比は0.240であった。CuとCu2Oの担持量の総和は102ng/cm、CuOの担持量は148ng/cm、Cu(OH)2の担持量は79ng/cmであった。比較例1では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、4.1×107PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.315、CuOのモル比は0.446、Cu(OH)2のモル比は0.239であった。
(比較例2)
比較例2では、スパッタリングガス中の酸素を2%(0.02)にした。それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。比較例2のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.419、CuOのモル比は0.379、Cu(OH)2のモル比は0.202であった。CuとCu2Oの担持量の総和は138ng/cm、CuOの担持量は125ng/cm、Cu(OH)2の担持量は66ng/cmであった。比較例2では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線および可視光をそれぞれ照射して抗ウイルス性の評価を行った。紫外線照射後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、6.1×107PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.415、CuOのモル比は0.380、Cu(OH)2のモル比は0.205であった。可視光照射後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、8.1×107PFU/mlであった。また、可視光照射後のCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.422、CuOのモル比は0.376、Cu(OH)2のモル比は0.201であった。
(比較例3)
比較例3では、スパッタリングガス中の酸素を0%にした。それ以外は、実施例1と同様にしてサンプルを作製した。比較例3のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.700、CuOのモル比は0.180、Cu(OH)2のモル比は0.120であった。CuとCu2Oの担持量の総和は211ng/cm、CuOの担持量は54ng/cm、Cu(OH)2の担持量は36ng/cmであった。比較例3では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、2.5×108PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.699、CuOのモル比は0.177、Cu(OH)2のモル比は0.124であった。
比較例1−3の結果を表3にまとめる。
Figure 2013038705
〈比較例4−7〉
(比較例4)
比較例4では、ターゲットをCuとするスパッタリングにおける目安膜厚を5nmにした。それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。比較例4では、Cu系の島部は形成されず、Cu系の連続膜(Cu膜)が形成されていた。比較例4のサンプルのCu膜におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.202、CuOのモル比は0.547、Cu(OH)2のモル比は0.251であった。CuとCu2Oの担持量の総和は211ng/cm、CuOの担持量は1882ng/cm、Cu(OH)2の担持量は865ng/cmであった。比較例4では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、8.3×107PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.202、CuOのモル比は0.547、Cu(OH)2のモル比は0.251であった。
(比較例5)
比較例5では、光触媒層を設けなかった。それ以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。比較例5のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.214、CuOのモル比は0.512、Cu(OH)2のモル比は0.273であった。CuとCu2Oの担持量の総和は68ng/cm、CuOの担持量は162ng/cm、Cu(OH)2の担持量は88ng/cmであった。比較例5では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、5.8×107PFU/mlであった。また、紫外線照射後の島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.214、CuOのモル比は0.511、Cu(OH)2のモル比は0.276であった。
(比較例6)
比較例6では、島部を設けなかった。それ以外は実施例1と同様にして、サンプルを作製した。比較例6では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、2.9×109PFU/mlであった。
(比較例7)
比較例7では、ガラス板のみをサンプルとした。比較例7では、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、3.5×109PFU/mlであった。
比較例4−7の結果を表4にまとめる。
Figure 2013038705
〈比較例8−10〉
(比較例8)
比較例8では、ルチル型二酸化チタン(テイカ株式会社製のMT−150A)を蒸留水中に、この蒸留水に対する割合が10質量%になるように加えて懸濁させた。この懸濁液にCu(NO32・3H2O(和光純薬工業株式会社製)を、銅イオンのルチル型二酸化チタンに対する割合が0.1質量%になるように加え、攪拌しながら90℃に加熱して1時間保持した。次に、この懸濁液を吸引濾過した後に、残渣を蒸留水によって洗浄し、さらにこの残渣を110℃で加熱乾燥することによって、銅二価塩を担持したルチル型二酸化チタン微粒子を得た。
この銅二価塩担持ルチル型二酸化チタンを乳鉢にて粉末化した後、蒸留水へ、この蒸留水に対する割合が10質量%になるように加え、超音波分散により懸濁させた後、24時間静置した。この静置後の液から上澄みを採取することで、銅二価塩担持ルチル型二酸化チタン微粒子分散液を得た。この分散液の一部を加熱乾燥して分散液中の銅二価塩担持ルチル型二酸化チタン微粒子の含有量を確認したところ、6.1質量%であった。
次に、反応容器中にテトラエトキシシラン(和光純薬工業株式会社製)5質量部、イオン交換水0.8質量部、濃度0.1mol/lのHCl水溶液0.07質量部、およびエタノール94.13質量部を混合し、16時間攪拌することで、テトラエトキシシランの部分加水分解縮重合物の溶液を得た。
このテトラエトキシシランの部分加水分解縮重合物の溶液100質量部と、上記の銅二価塩担持ルチル型二酸化チタン微粒子分散液100質量部とを混合し、1時間攪拌することで、コーティング材を得た。
このコーティング材を厚さ3.0mmのガラス板上にスピンコートにより塗布し、100℃で30分間加熱して乾燥・硬化させることで、ガラス板上にコーティング膜が形成されたサンプルを得た。
得られたサンプルにおけるコーティング膜は80nmであった。また、このサンプルについて、実施例1と同様の方法で測定したヘイズ率は2.1%であった。このサンプルのヘイズは目視で認識できた。また、このサンプルは、透光性が低いことも目視で認識できた。したがって、このサンプルは、透光性、意匠性等を要する用途には不適当である。
(比較例9)
比較例9では、比較例8のコーティング材を、水とエタノールを重量比で1:1の割合で混合した溶液により11倍に希釈し、ガラス板上にスピンコートにより塗布し、100℃で30分間加熱して乾燥・硬化させることで、ガラス板上にコーティング膜が形成されたサンプルを得た。
得られたサンプルにおけるコーティング膜は7nmであった。コーティング膜の組成から換算すると、このコーティング膜に含まれる酸化チタンの質量は、5nmの厚さの酸化チタン膜が有する質量に相当する。比較例9のサンプルのコーティング膜におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.000、CuOのモル比は0.630、Cu(OH)2のモル比は0.370であった。CuとCu2Oの担持量の総和は0ng/cm、CuOの担持量は345ng/cm、Cu(OH)2の担持量は203ng/cmであった。このサンプルについて、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行った。感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、3.2×107PFU/mlであった。また、紫外線照射後のコーティング膜におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.000、CuOのモル比は0.632、Cu(OH)2のモル比は0.368であった。また、このサンプルについて、実施例1と同様の方法で測定したヘイズ率は0.6%であった。
比較例9の結果を表5にまとめる。
Figure 2013038705
(比較例10)
比較例10では、実施例1と同様に、フロートガラス上に、酸化珪素膜、酸化ジルコニウム膜および光触媒層を形成した。次に、塩化銅(I)粉末(和光純薬工業株式会社製 和光一級、粒径40.9μm)を水100μlに懸濁させて、濃度1.0質量%の懸濁液を得た。この懸濁液を霧吹きにより光触媒層上に噴霧し、常温で乾燥させることによりサンプルを得た。また、比較例10により得られたサンプルについて、実施例1と同様にしてサンプルに紫外線を照射して抗ウイルス性の評価を行ったが、比較例10のサンプルの抗ウイルス性は皆無であった。
〈実施例5−6〉
(実施例5)
実施例5では、市販の光触媒層つきガラス板(ACTIV;Pilkington Group Limited社製)上に、実施例1と同一の条件で島部を形成した。なお、この光触媒つきガラス板は、ガラス板と、CVD法により形成されたTiO膜とを含んでいる。
実施例5のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.148、CuOのモル比は0.601、Cu(OH)2のモル比は0.251であった。CuとCu2Oの担持量の総和は31ng/cm、CuOの担持量は126ng/cm、Cu(OH)2の担持量は52ng/cmであった。また、島部の直径は、約2.8nmであった。実施例5で得られたサンプルについて、実施例1と同様に、紫外線照射後、可視光照射後、および暗室で放置後の抗ウイルス性の評価を行った。実施例5のサンプルに紫外線を照射した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。実施例5のサンプルに可視光を照射した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。実施例5のサンプルを暗室に放置した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.1×108PFU/mlであった。実施例5のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和、CuOのモル比およびCu(OH)2のモル比は、紫外線照射、可視光照射および暗室での放置の前後でほとんど変化していなかった(この点は、実施例6のサンプルでも同様)。
(実施例6)
実施例6では、市販の光触媒層つきガラス板(クリアテクト;日本板硝子株式会社製)上に、実施例1と同一の条件で島部を形成した。なお、この光触媒つきガラス板は、ガラス板と、ゾルゲル法により形成されたTiO膜とを含んでいる。
実施例6のサンプルの島部におけるCuのモル比とCu2Oのモル比の総和は0.267、CuOのモル比は0.495、Cu(OH)2のモル比は0.238であった。CuとCu2Oの担持量の総和は32ng/cm、CuOの担持量は58ng/cm、Cu(OH)2の担持量は28ng/cmであった。実施例6で得られたサンプルについて、実施例1と同様に、紫外線照射後、可視光照射後、および暗室で放置後の抗ウイルス性の評価を行った。実施例6のサンプルに紫外線を照射した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。実施例6のサンプルに可視光を照射した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、1.0×103PFU/ml以下であった。実施例6のサンプルを暗室に放置した後に感染力を失わなかった大腸菌ファージの濃度は、5.1×108PFU/mlであった。
実施例5および6の結果を表6にまとめる。
Figure 2013038705
〈実施例7−13〉
実施例7,8および12では、Cu系の材料(島部)の担持量を小さくしたこと以外は実施例1と同様にサンプルを作製した。実施例9−11および13では、Cu系の材料の担持量を小さくしたこと以外は実施例4と同様にサンプルを作製した。実施例7−13の各サンプルについて、実施例1のサンプルに実施した評価と同様の評価を実施した。実施例7−13の各サンプルについて実施した評価結果を図7にまとめて示す。
Figure 2013038705
〈実施例14−17〉
実施例14では、実施例1のサンプル(抗ウイルス性薄膜つき基材)を用い、当業者によって慣用されている工程によって合わせガラスを作製し、サンプルとした。実施例15では、実施例5のサンプルを用いて合わせガラスを作製し、サンプルとした。実施例16では、実施例1のサンプルを用い、当業者によって慣用されている工程によって複層ガラスを作製し、サンプルとした。実施例17では、実施例5のサンプルを用いて複層ガラスを作製し、サンプルとした。実施例14−17の各サンプルについて、実施例1のサンプルに実施した抗ウイルス性評価と同様の抗ウイルス性評価を実施した。実施例14−17の各サンプルについて実施した評価結果を表8にまとめて示す。表8に示すように、抗ウイルス性薄膜つき基材を合わせガラスや複層ガラスに適用した場合には、Cu系の各種材料のモル比が変化することがある。この理由は詳細には分かっていないが、合わせガラスや複層ガラスを作製する慣用の工程においてガラスに加えられる熱等が寄与している可能性がある。
Figure 2013038705
〈実施例および比較例の分析〉
表1に示すように、光触媒層上に島部が形成され、紫外線または可視光を照射する工程(照射工程)前の島部におけるCu(OH)2のモル比(モル比A)が0.25を超えている実施例1−3のサンプルでは、照射工程によりウイルスの量が1/1000以下に減少した。照射工程前の島部におけるモル比Aが0.26以上である実施例1および3のサンプルでは、ウイルスの減少がより顕著であった。
また、表1から、モル比Aは、スパッタリングガス全体の流量に対する酸素の流量の比である流量比と相関があることがわかる。すなわち、抗ウイルス性が高い抗ウイルス性薄膜つき基材を作製するためには、スパッタリングガスを不活性ガスおよび酸素により構成するとともに、ガス全体の流量に対する酸素の流量の比である流量比を4%(0.04)以上に設定することが好ましい。また、表1から、スパッタリングガスに含まれる酸素の流量と不活性ガスの流量の比を4:96〜10:90程度にした場合には、抗ウイルス性が高い抗ウイルス性薄膜つき基材を作製できるといえる。
また、実施例1のサンプルは、紫外線を照射した場合のみならず、可視光を照射した場合にも良好な抗ウイルス性を発揮することが把握される。
また、表2に示すように、実施例4のサンプルも良好な抗ウイルス性を示した。実施例4のサンプルでは、照射工程前の島部におけるモル比Aは0.25未満であったが、照射工程後にはモル比Aが0.25以上となっていた。一方、実施例4のサンプルでは、照射工程前の島部における、全てのCu原子のモル数に対するCuOのモル数の比(モル比C)は0.735であり、実施例1−3の場合に比べて0.20以上高かったが、照射工程後には0.07以上低下した。これらから、実施例4では、紫外線または可視光の照射中に、CuOがCu(OH)2に変化し、良好な抗ウイルス性を発現するに至ったと考えられる。また、表1および表2から、照射工程前のモル比Cが高かった理由は、スパッタリングガス全体の流量に対する酸素の流量の比である流量比が20%(0.20)であり、実施例1−3に比べて高かったからであると考えられる。
また、実施例4の結果から、紫外線を照射した場合も可視光を照射した場合もCuOがCu(OH)2に変化するものの、可視光を照射した場合に比べて、紫外線を照射した場合は、より多くのCuOがCu(OH)2に変化して、より高い抗ウイルス性を得るといえる。
比較例1−7のサンプルでは、実施例の場合ほどにはウイルスの量が減少しなかった。比較例1−3および6のサンプルは島部におけるCu(OH)2のモル比が低いこと、比較例4のサンプルは光触媒層が露出していないこと、比較例5のサンプルは光触媒層を有していないこと、比較例7のサンプルは光触媒層も島部も有していないことが原因であるといえる。
比較例9のサンプルは、モル比Aが高いものの、抗ウイルス性をほとんど示さなかった。これは、比較例9のサンプルでは、モル比Aがやや高すぎることが1つの原因であると考えられる。また、テトラエトキシシランの部分加水分解縮重合物が障害となってウイルスに接触できた銅二価塩が制限されたこと、およびこの部分加水分解縮重合物が紫外線を遮って、酸化チタンに十分な量の紫外線が照射されなかったことも原因であると考えられる。
実施例1、実施例5および実施例6からは、光触媒層をスパッタリング法、CVD法およびゾルゲル法のいずれにより形成しても、良好な抗ウイルス性を有する抗ウイルス性薄膜つき基材が得られるといえる。
実施例7−13から、本実施形態の抗ウイルス性薄膜つき基材は、Cu系の各種材料の担持量が数ng/cm程度であっても抗ウイルス性を示すことが把握される。実施例7−13のサンプルは、抗ウイルス性の発揮に要するCu系の材料(例えばCu(OH))の担持量の下限が数ng/cm程度以下であることを表しているといえる。
実施例1,5および14−17から、抗ウイルス性薄膜つき基材を合わせガラスまたは複層ガラスに適用しても、抗ウイルス性が実質的に変化(劣化)しないといえる。同様に、本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材を当業者に慣用されている工程によって強化ガラスや曲げガラス等の二次加工品に適用してもよい。
本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材は、ウイルスが接する可能性のあるあらゆる物品、具体的には、建築用の窓ガラス、間仕切り用ガラス、ドアガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラス、鏡、DNA分析用の透明基板、太陽電池、情報携帯機器、衛生、医療、電子機器、光学部品、生化学実験用のガラス製品、医療用の検査チップ、医療用内視鏡・手術用光ファイバーに適用できる。
本発明の抗ウイルス性薄膜つき基材を使用すれば、病院、介護施設、住宅等におけるウイルスの繁殖を抑制できるので、ウイルスを原因とした健康、衛生上の問題の減少が期待される。

Claims (16)

  1. 基材と、前記基材の上に形成された抗ウイルス性薄膜と、を備え、
    前記抗ウイルス性薄膜が、酸化チタンを主成分とする層と、前記層の表面上に配置された、Cu系の材料を主成分とする島部と、を有し、
    前記島部における、全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比が0.25〜0.35である、抗ウイルス性薄膜つき基材。
  2. 前記モル比が0.25〜0.30である、請求項1に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  3. 前記抗ウイルス性薄膜を前記島部の上方から観察したときの、前記抗ウイルス性薄膜の面積に対する前記島部の面積の総和の比が0.01〜0.20である、請求項1に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  4. 前記抗ウイルス性薄膜の厚さ方向に沿って観察したときの、前記島部の平均面積を円に換算して算出した直径が1〜20nmである、請求項1に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  5. 前記直径が2〜5nmである、請求項4に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  6. 前記基材が透明であり、
    380〜760nmの波長域のヘイズ率が0.5%以下である、請求項1に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  7. 前記島部におけるCu(OH)2の重量の金属銅換算量を前記層の表面の面積で割って算出した、Cu(OH)2の担持量が1ng/cm以上である、請求項1に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  8. 前記Cu(OH)2の担持量が4ng/cm以上である、請求項7に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  9. 基材と、前記基材の上に形成された抗ウイルス性薄膜と、を備え、
    前記抗ウイルス性薄膜が、酸化チタンを主成分とする層と、前記層の表面上に配置された、Cu系の材料を主成分とする島部と、を有し、
    前記島部における、全てのCu原子のモル数に対するCu(OH)2のモル数の比であるモル比Aが0.15〜0.35であり、
    前記島部における、全てのCu原子のモル数に対する、CuOのモル数とCu(OH)2のモル数の総和の比であるモル比Bが0.70〜0.95である、抗ウイルス性薄膜つき基材。
  10. 前記モル比Aが0.15〜0.30である、請求項9に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  11. 前記抗ウイルス性薄膜の厚さ方向に沿って観察したときの、前記抗ウイルス性薄膜の面積に対する前記島部の面積の総和の比が0.01〜0.20である、請求項9に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  12. 前記抗ウイルス性薄膜を前記島部の上方から観察したときの、前記島部の平均面積を円に換算して算出した直径が1〜20nmである、請求項9に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  13. 前記直径が2〜5nmである、請求項12に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  14. 前記基材が透明であり、
    380〜760nmの波長域のヘイズ率が0.5%以下である、請求項9に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  15. 前記島部におけるCuOの重量の金属銅換算量とCu(OH)2の重量の金属銅換算量の総和を前記層の表面の面積で割って算出した、CuOとCu(OH)2の担持量の総和が3ng/cm以上である、請求項9に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
  16. 前記CuOとCu(OH)2の担持量の総和が10ng/cm以上である、請求項15に記載の抗ウイルス性薄膜つき基材。
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