JPWO2013027431A1 - 硫化水素合成反応器、硫化水素製造装置、硫化水素ナトリウム製造装置、及びそれらの方法 - Google Patents

硫化水素合成反応器、硫化水素製造装置、硫化水素ナトリウム製造装置、及びそれらの方法 Download PDF

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Abstract

硫黄と水素とを無触媒で気相反応させて、硫化水素を合成する硫化水素合成反応器であって、下部に液体硫黄を溜める反応器本体と、前記液体硫黄の一部をガス化する加熱部と、前記液体硫黄に水素ガスを供給する水素ガス供給部と、前記反応器本体内の液体硫黄の液面より上方の気相反応領域に設ける熱交換部と、を備え、前記熱交換部を、前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの交換熱量と、前記液面に近い気相反応領域で単位容積当りの交換熱量とを変えて、前記気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするように構成する硫化水素合成反応器が提供される。

Description

本発明は、硫黄と水素を反応させて硫化水素を製造する方法、及び当該方法に用いられる硫化水素製造装置に関する。また、本発明はさらに、硫化水素に水酸化ナトリウムを反応させて硫化水素ナトリウムを製造する方法、及び当該方法に用いられる硫化水素ナトリウム製造装置に関する。
硫化水素は、可燃性の有毒ガスであり、石油や天然ガスに含まれる硫黄化合物を、水素化脱硫することで生成し、硫黄回収装置を介して固体硫黄として回収される。一方で、硫化水素は、種々の含硫黄化合物の合成原料として貴重な化合物でもある。硫化水素、あるいは硫化水素と水酸化ナトリウムから生成する硫化水素ナトリウムは、染料、農薬、プラスチック、医薬品、化粧品などのファインケミカルの製材原料や、金属硫化物の製造原料として広範囲に使用されている。
気相反応により、硫黄と水素から硫化水素を製造する方法としては、以下の2つの方法が知られている。
(1)触媒反応
硫黄ガス及び水素ガスが、触媒が充填された反応管内で反応することで、硫化水素が生成する。反応熱は、反応管の外部に熱媒体を流して除去する。このような触媒反応は、例えば、下記特許文献1に示される。
(2)無触媒反応
無触媒気相反応は、例えば、下記非特許文献1の頁474のFigure1に示される。無触媒の気相反応では、沸点温度で液体硫黄を保持する塔底部と、硫黄ガスと水素ガスとを反応させるガス空間部を有する反応塔を用いて、硫化水素を製造する。水素ガスは、塔底部内の液体硫黄に導入され、水素ガスおよび硫黄ガスは、ガス空間部で反応し、硫化水素を生成する。硫化水素の反応熱は、ガス空間部上部から供給される液体硫黄と接触させることで、回収される。硫化水素と硫黄ガスを含有する生成物ガスは、熱交換器により冷却して、硫黄を固化することで、硫化水素ガスを精製する。
特表2010−515658号公報 Ullmann's Encyclopedia ofIndustrial Chemistry, Sixth Edition, 2003, Vol. 17. 第291頁参照
硫化水素の触媒反応は、硫黄濃度が高いと反応熱による温度上昇が大きくなって触媒が異常に加熱されて劣化に通じるので、それを防止するための除熱対策が必要になって反応器構造が複雑になる。また、使用後の触媒は硫化されており空気に触れると発火する恐れがあるので定期的メンテナンスが容易でない。
硫化水素は、その合成に際して多硫化水素(化学式Hで表わされる化学物質)等の不純物を少なくすることで、精製工程の簡略化、経済性の向上、および硫化水素を原料として合成される最終製品の品質向上に寄与することができる。そのため、硫化水素の合成においては、副反応物である多硫化水素の生成を防ぐことが望ましい。
硫化水素の転化率を上げるために反応温度を上げると、同時に、上記の副反応物である多硫化水素(H)等への不純物の転化率も上がる。したがって、高純度の硫化水素を、無触媒反応で製造するためには、多硫化水素等への転化率が小さい温度で、硫化水素を合成する必要がある。
従来の無触媒気相反応は、原料ガスと、上部から供給される液体硫黄が気液接触することで、液体硫黄により熱回収及び反応ガスの冷却がなされる。しかしながら、気液接触が行われない空間が存在すると、当該空間において、無触媒気相反応が暴走的に進行して、反応温度が異常に上昇し、多硫化水素(H)の濃度が上がってしまう。このような不純物が含まれると、ファインケミカルの製材原料としては好ましくない硫化水素が製造される。
上記の知見に基づき検討した結果、硫黄液面から遠い気相反応領域より、硫黄液面に近い気相反応領域の反応熱を多く除熱して、反応温度を所定値にすることで、多硫化水素の生成を防ぐことができ、副反応物の少ない硫化水素を製造する技術が得られた。すなわち、1つの側面では、本発明の目的は、副反応物の生成を少なくして純度の高い硫化水素を製造することである。
上記課題を解決する形態は、以下のようなものである。
1.硫黄と水素とを無触媒で気相反応させて、硫化水素を合成する硫化水素合成反応器であって、
下部に液体硫黄を溜める反応器本体と、
前記液体硫黄の一部をガス化する加熱部と、
前記液体硫黄に水素ガスを供給する水素ガス供給部と、
前記反応器本体内の液体硫黄の液面より上方の気相反応領域に設ける熱交換部と、を備え、
前記熱交換部を、前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの交換熱量と、前記液面に近い気相反応領域で単位容積当りの交換熱量とを変えて、前記気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするように構成することを特徴とする硫化水素合成反応器。副反応物の生成を少なくして純度の高い硫化水素を製造することができる。
2.前記熱交換部は、液面から離れるにつれて、単位容積当りの交換熱量が下がるように構成される項目1に記載の硫化水素合成反応器。
3.前記熱交換部を、前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当たりの伝熱面積より、前記液面に近い気相反応領域の単位容積当たりの伝熱面積が大きくなるように構成する項目1又は2に記載の硫化水素合成反応器。
4.前記所定の温度は、380℃〜410℃である項目1〜3の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。410℃以下にすることで、圧力0.5
MPaの時、Hの濃度を10ppm未満に抑えることができる。反応温度を下げると、反応速度が下がるために、少なくとも380℃以上にする。
5.前記熱交換部の冷媒は、硫黄の凝固点以上で供給される項目1〜4の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
6.前記熱交換部は、複数の熱交換器から構成される項目1〜5の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
7.前記熱交換部に、前記ガスが通過する複数の孔を有する整流部を備える項目1〜6の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。下部から上部へのガス流を整流して均一に分散するとともに、冷却により生じ得る下部への逆流を防ぎ、気相部高さに応じた理論的な転化率を実現できる。
8.前記気相反応領域のガス温度を検出する温度検出器と、
前記検出した温度が所定値になるように、前記各熱交換部の熱交換量を制御する制御部と、をさらに備える項目1〜7の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
9.前記硫化水素反応熱により生じる熱量より、前記反応器本体の表面からの放熱が高い場合、気相反応領域における反応温度を所定温度内に保つために、前記熱交換部を、前記反応器本体を加熱するように構成することを特徴とする項目1〜8の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。反応器本体の塔径が小さい場合でも、副反応物の生成を少なくして純度の高い硫化水素を製造することができる。
10.項目1〜9の何れか1項に記載の前記硫化水素合成反応器と、
前記硫化水素合成反応器から放出される未反応硫黄ガスと水素ガスとを水添触媒を用いて反応させて、硫化水素を合成する水添反応器と、を備えることを特徴とする硫化水素製造装置。未反応の硫黄ガスを、水素ガスで硫化水素ガスに転化することができる。
11.硫化水素を液化する液化装置をさらに備える項目1〜10の何れか1項に記載の硫化水素製造装置。
12.硫化水素ナトリウムを合成する硫化水素ナトリウム製造装置であって、
項目1〜11の何れか1項に記載の前記硫化水素合成反応器と、
前記硫化水素合成反応器から放出される未反応硫黄ガスと水素ガスとを水添触媒を用いて反応させて、硫化水素を合成する水添反応器と、
硫化水素と、水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、硫化水素ナトリウムを合成する硫化水素ナトリウム合成反応器と、を備える硫化水素ナトリウム製造装置。
13.硫黄と水素とを無触媒で気相反応させて、硫化水素を合成する硫化水素製造方法であって、
反応器の下部に溜まった液体硫黄の一部を加熱し、
前記液体硫黄に水素ガスを供給し、
前記反応器内の液体硫黄の液面より上方の気相反応領域で、前記加熱により生成した硫黄ガスと、前記水素ガスとを気相反応させ、
前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの交換熱量と、前記液面に近い気相反応領域で単位容積当りの交換熱量とを変えて、前記気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするように除熱する、ことを特徴とする硫化水素製造方法。
14.前記除熱工程は、液面から離れるにつれて、単位容積当りの交換熱量が下がるように除熱することを含む項目13に記載の硫化水素製造方法。
15.前記所定の温度は、380℃〜410℃である項目13又は14に記載の硫化水素合成反応器。
16.前記除熱は、硫黄の凝固点以上の冷媒で行う項目13〜15の何れか1項に記載の硫化水素製造反応。
17.前記除熱を行う熱交換部の設けられた複数の孔を有する整流部を、前記ガスが通過する項目13〜16の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
18.前記硫化水素合成反応器から放出される未反応硫黄ガスと水素ガスとを水添触媒を用いて反応させて、硫化水素に転化する項目13〜17の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
19.前記除熱工程は、前記硫化水素反応熱により生じる熱量より、前記反応器本体の表面からの放熱が高い場合、気相反応領域における反応温度を所定温度内に保つために、加熱する工程を含む項目13〜18の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
20.硫化水素を液化する項目13〜19の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
21.硫化水素ナトリウムを生成する硫化水素ナトリウム製造方法であって、
項目13〜19の何れか1項に記載の硫化水素製造方法により生成された硫化水素と、水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、硫化水素ナトリウムを生成する硫化水素ナトリウム製造方法。
本発明は、副反応物の生成を少なくして純度の高い硫化水素を製造することができる。
平衡状態にある硫化水素濃度と、H濃度との関係を示す図である。 温度制御が不十分な硫化水素合成反応器の一例を示す図である。 硫化水素合成反応器の第1例を示す図である。 無触媒気相反応における硫化水素濃度と、液面からの高さの関係の一例を示す図である。 熱交換器の詳細例を示す図ある。 熱交換器の別な詳細例を示す図ある。 反応器の別な例を示す図である。 硫化水素の反応温度を制御する硫化水素合成反応器の一例を説明する図である。 硫化水素合成反応器の第2例を示す図である。 硫化水素製造装置の一例を示す図である。 硫化水素ナトリウム製造装置の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、[1]硫化水素および多硫化水素の濃度、[2]硫化水素合成反応器、[3]硫化水素製造装置、[4]硫化水素ナトリウム製造装置について順に説明する。
[1]硫化水素および多硫化水素の濃度
硫化水素生成反応は、以下の式1により進行するが、硫化水素生成とともに、式2に示す反応式により、多硫化水素が生成する。以下の説明においては、硫化水素生成反応において、最も濃度が高い多硫化水素である二硫化水素(H)について説明する。
+ 1/2S → HS (式1)
2HS → H + H (式2)
図1は、H、HS、Hの3成分系の平衡状態における硫化水素濃度と、H濃度の関係を示す図である。図1には、圧力が0.5MPaGにおける380℃、410℃、500℃におけるH濃度相関曲線1001〜1003がそれぞれ示される。図1に示すグラフの縦軸は、Hの平衡濃度[molppm]であり、横軸は、硫化水素の平衡濃度[mol%]である。硫化水素の生成反応では、硫化水素の濃度上昇とともに、Hの濃度も上昇することになる。図1に示す、硫化水素濃度とHの濃度相関曲線1001〜1003がその様子を示している。図示のように、平衡温度の増加とともに、HS濃度に対するHの濃度が上がる。
さらに、式2は吸熱反応であり、高温になるほどHの濃度が高くなる。反応速度は高温ほど早いので、できるだけ高温にすることが反応器サイズを小さくすることが好ましい。一方、反応平衡の点では、高温になるほどHの濃度が高くなる。
そこで、Hの濃度を一定濃度以下に要求される硫化水素の製品仕様に合わせるためには、温度を制御する必要がある。例えば、濃度相関曲線1001で、精製ガス中の硫化水素濃度を60%とする場合、H濃度を10ppm未満に抑えるためには、圧力0.5
MPaの時、反応温度を410℃以下に制御する必要がある。当該反応温度より温度が上昇すると、H濃度が10ppmを超えてしまう。このように、硫化水素の反応温度は、410℃以下になることが好ましい。一方、反応温度を下げると、反応速度が下がるために、少なくとも380温度以上になることが好ましい。
図2は、温度制御が不十分な硫化水素合成反応器の一例を示す参考図である。図2に示す硫化水素合成反応器500の中では、底部に保持される液体硫黄を図示しない加熱器等で加熱してガス化した硫黄ガスと、液体硫黄を通過した水素ガスとが、気相反応領域530で反応して、硫化水素が生成する。このとき、気相反応領域535の反応熱を熱交換器540で除去しても、気相反応領域530で反応熱を取り除かないと、気相反応領域530で反応温度が上昇してHの濃度が上がり、H濃度が製品仕様を超えてしまう。
[2]硫化水素合成反応器
図3は、本発明の実施形態に係る硫化水素合成反応器の第1例を示す図である。図3に示す硫化水素合成反応器100は、液体硫黄を下部に貯留可能とする反応器本体105、反応器本体105内の反応領域温度を一定に維持する熱交換部110、反応器本体105に貯留される液体硫黄を加熱して、液体硫黄の一部をガス化する加熱部120、および液体硫黄中に水素ガスを供給する水素供給部130を備える。さらに、液体硫黄の供給用配管11、水素ガスの供給用配管12、及び生成ガスの排出用配管13を備える。硫化水素合成反応器100は、反応器本体105の内部を、液体硫黄を保持する液体硫黄保持部101と、無触媒気相反応が起こる空間である気相反応領域102として使用する。本発明の熱交換部110は、3つの熱交換器111〜113を有し、硫黄液面に近い側の熱交換器111の熱交換容量が最も大きく、熱交換器112、113の順に熱交換容量が小さくなるように構成されている。
加熱部120では、図示しない温度制御可能な伝熱コイルなどで構成され液体硫黄を加熱して、硫黄をガス化を可能とする。ガス化した硫黄ガスは、液面から気相部に上昇する。加熱部120は、上記反応条件で示した硫化水素生成反応に必要な硫黄ガスを供給するために必要な熱量を供給する。
硫化水素合成反応器100は、液体硫黄保持部101の液レベルを検出して、所定位置に液面を制御する液レベルコントローラ51を有する。液体硫黄の供給用配管11は、図示されない原料硫黄の予備加熱槽に接続されており、また、予備加熱槽で加熱された液体硫黄の流量制御弁54が設けられている。液レベルコントローラ51は、硫黄液の液レベルを検出すると共に、硫黄液が所定の液レベルより下がると、流量制御弁54を開くことで、反応器本体105内に液体硫黄を供給して、液体硫黄保持部101の液位を一定にするように制御する。
水素ガス供給部130には、液体硫黄保持部101中に水素ガスを分散して供給する供給ノズル131を有し、そのノズル131から供給される水素ガスは、液体硫黄保持部101中を気泡として上昇し、硫黄ガスを同伴しながら気相反応領域102に達する。また、水素供給ノズル131に連結した水素ガス供給用配管12には、水素ガスの流量制御弁54が設けられ、水素ガスの流量を検出して、所定流量に制御する流量コントローラ53が設けられている。流量コントローラ53は、硫化水素生成反応に必要な水素ガスを供給するために必要な所定流量に制御する。
A.液面に近い気相反応領域で多く除熱する熱交換部構成
図4は、硫化水素濃度と、反応器本体105で保持される硫化水素液面からの高さの関係を示すグラフの例である。図示するグラフの縦軸は、硫化水素濃度[mol%]であり、横軸は、硫黄液面を“0”とした場合の液面からの高さ[m]である。硫化水素生成の反応速度は、液面に近いほど高いことがわかる。例えば、液面から1[m]の範囲内では、転化率が高く、当該範囲で反応熱除去と、温度制御が必要なことがわかる。
図4に示すように、液面近傍で、転化率が高く、液面を離れるにつれて単位高さあたりの転化率が下がる。これは、液面近傍では、硫化水素濃度が低く、且つ硫黄濃度も、水素濃度も高いからである。転化率が高ければ、反応熱により反応温度は上昇しやすい。そのため、図3、図5A、及び図5Bを用いて後述するように、液面に近づくほど、熱交換器111〜113の熱交換量を大きくするように構成することで、反応温度が、所定温度以上になることを抑制し、多硫化水素の過剰な生成を防ぐことができ、また、所定温度以下になることを抑制することで反応速度の低下を防ぐ。
B.過冷却を回避する熱交換部構成
熱交換部での除熱量が硫化水素反応熱より大きくなると、反応温度が低下し、硫化水素生成反応が停止する。それにより、未反応の水素、硫黄が増加して、硫化水素合成反応器100から流出する。したがって、液面側に近い熱交換器で硫化水素反応熱力より過剰に大きな除熱量をとる、又は、液面側から遠い熱交換器で硫化水素反応熱力より過剰に大きな除熱量をとると、硫化水素生成反応が停止するという問題が生じる。そのため、熱交換部は、液面から遠い気相反応領域より、液面に近い気相反応領域で多く除熱するとともに、過剰な除熱を生じないように、液面から離れるにつれて減少する気相反応領域の硫化水素反応熱を適切に除熱するように構成される。
C.熱交換部の詳細例
図5Aは、熱交換器の詳細例を示す図である。上記したように、熱交換部は、気相反応領域の硫化水素反応熱を適切に除熱するように構成される必要がある。しかしながら、冷媒温度を下げて、除熱量を温度差デルタTで制御した場合、チューブの温度が硫黄の凝固点よりも低いと、チューブ表面での硫黄の固化、それによる伝熱係数の低下が生じ、熱交換部の熱交換量が下がる。そのため、以下に示す熱交換部の詳細例は、温度差デルタTを一定範囲に保ちながら、伝熱面積を増やすことにより、熱交換量を変化させる。
熱交換機111は、らせん形状を有するチューブで、反応器本体105内部の気相反応領域102を冷却する。チューブ内を流れる冷媒は、硫黄の凝固点以上の温度で供給される。冷媒は、例えば、オイルやスチームが用いられる。図5Aに、熱交換器111は複数のループから構成されるらせん形状を有する。熱交換器111は、チューブの下方端から冷媒が供給され、チューブの上方端から冷媒が抜き取られる。なお、図5Aには示していないが、熱交換器111のチューブは、反応器内部の気相空間を充填するとともに、液体硫黄から上昇するガスと交差するように構成される。例えば、熱交換器111は、反応器の軸心から、外周方向に複数のループを有するように構成されてもよい。反応器内部における他の熱交換器についても同じである。
ループの垂直方向の間隔d1、d2、d3(ここで、d1≦d2≦d3)は、液面に近づくほど小さくなることで、熱交換機111は、気相反応領域102における単位容積当たりの熱交換量(除熱量)及び伝熱面積を液面に近づくほど大きくするように構成される。熱交換機111と同様に、熱交換機112は、ループ間の間隔d4、d5、d6(ここで、d4≦d5≦d6)が、液面に近づくほど小さくなることで、熱交換機112は、気相反応領域102における単位容積当たりの熱交換量(除熱量)及び伝熱面積を液面に近づくほど大きくするように構成される。
また、図5Aに示すように、(d1+d2+d3)<(d4+d5+d6)の関係にあるため、熱交換器111は、熱交換器112よりも気相反応領域102における占有領域が小さい。しかしながら、熱交換器111は、熱交換器112よりも同じか又は熱交換機112以上の熱交換量を有するため、熱交換器111及び112、液面に近づくほど、気相反応領域102における容積当たりの熱交換量が大きくなるように構成される。そして、液面に一番近い熱交換器111は、液面から高さ1[m]以内の範囲を冷却するように配置される。
なお、図5Aにおいては、熱交換器111、112のみを詳細に示しているが、熱交換器113も同様に、液面に近づくほど各ループの垂直方向の間隔が小さくなる。
図5Bは、熱交換器の別な詳細例を示す図である。図5Aでは、ループの垂直方向の間隔が、d1<d2<d3、及びd4<d5<d6となるように示したが、図5Bに示すように、熱交換器111a及び112aにおけるループの垂直方向の間隔は同じで(d1=d2=d3、d4=d5=d6)、熱交換器111のループの垂直方向の間隔が、熱交換器112のループの垂直方向の間隔より短い(d1<d4)となるように、熱交換器111a及び112aを構成してもよい。図示されない熱交換器113aも同様である。
再び、図3に戻ると、熱交換部110としての熱交換器111〜113は、気相反応領域102の硫化水素反応熱を適切に除熱するために、液体硫黄保持部102の液面から、生成ガスの排出用配管13に至るまでの空間を占めるように配置される。図3に示すように、熱交換器を多段化するのは、気相空間の反応温度をできるだけ一定温度に維持してH濃度を増加させない手段として好適である。
図3、図5A及び図5Bを用いて説明したように、熱交換部110としての熱交換器111〜113は、液面に近づくほど除熱のための熱交換量が大きくなるように構成されているので、硫化水素反応温度が、所定温度以上になることを抑制し、多硫化水素の過剰な生成を防ぐことができ、また、所定温度以下になることを抑制することで反応速度の低下を防ぐ。また、熱交換器111〜113は、液面から離れるにつれて減少する気相反応領域の硫化水素反応熱を適切に除熱することで、硫化水素反応の停止を防ぐこともできる。
以上のように、硫化水素合成反応器100は、液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの除熱の交換熱量と、液面に近い気相反応領域で単位容積当りの除熱の交換熱量とを変えて、気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするので、副反応物の生成を少なくして純度の高い硫化水素を製造することができる。
D. 整流部
熱交換部110としての熱交換器111〜113には、その中間の適宜の位置に複数の穴を有する整流板115及び116(図3又は図5A、5B)を配置する。複数の穴は、液面から上昇するガスが通過し、穴以外の部分は、冷えたガスの逆流を防ぐ。このように、整流板115及び116が、熱交換器111〜113の間に配置されることで、下部から上部へのガス流を整流して均一に分散するとともに、冷却により生じ得る下部への逆流を防ぎ、図4に示すような、気相部高さに応じた理論的な転化率を実現できる。よって、理論的な転化率に基づいて、熱交換部110としての熱交換器111〜113を構成し、硫化水素反応温度が、所定温度以上になることを抑制し、多硫化水素の過剰な生成を防ぐことができ、また、所定温度以下になることを抑制することで反応速度の低下を防ぐ。
図6は、図3に示す反応器の変形例を示す図である。図6に示す反応器100aは、熱交換器と、整流板以外は、図3に示す反応器100と同じ構成であるので、同じ構成については説明を省略する。硫化水素合成反応器100aは、熱交換器の台数を1つとしたものであるので、熱交換器をシリーズ化する必要が無いので、硫化水素反応熱が、硫化水素合成反応器100より小さい場合や、チューブ側流体の流量が多い場合などに好適である。熱交換部110としての1台の熱交換機110aは、気相反応領域102における単位容積当たりの熱交換量(除熱量)及び伝熱面積を液面に近づくほど大きくするように構成されているので、硫化水素反応温度が、所定温度以上になることを抑制し、多硫化水素の過剰な生成を防ぐことができる。
本発明の熱交換部110は、上記したように熱交換器1台で構成しても複数台で構成しても基本的に硫黄液面に近い側の熱交換容量が大きくなるように構成されていればよく、さらに言えば、熱交換部全体として熱交換容量が連続的に変化しているものだけでなく、階段状に不連続に熱交換容量が変化して液面に近い側の熱交換容量が大きくなるように構成されているものはすべて本発明の構成である。
整流部としての整流板115a及び116aは、熱交換部110として複数の熱交換器の間に配置されるのではなく、1台の熱交換器からなる熱交換部110aを貫通させるように構成される。整流板115a及び116aは、下部から上部へのガス流を整流してチューブと流体との均一な熱交換を実現し、冷却により生じ得る下部への逆流を防ぐことで、気相部高さに応じた理論的な転化率を実現できる。
E.温度制御
図7は、熱交換部110の冷媒量を制御することで、硫化水素の反応温度を制御する硫化水素合成反応器の一例を説明する図である。図7に示す硫化水素合成反応器100Aは、熱交換部110としての熱交換器111、112、及び113の下流に、ガス温度を検出する温度検出器171〜173を有する。熱交換器111、112、及び113は、それぞれ冷媒流量を調整する流量制御弁174、175、及び176を備える。硫化水素合成反応器100Aはさらに、流量制御弁を制御することで、硫化水素の反応温度を制御する制御部160を有する。制御部160は、温度検出器171〜173で検出したガス温度が所定値より上がると、流量制御弁171〜173を開くことで、熱交換部110としての熱交換器111〜113の熱交換量を制御し、ガス温度が所定値になるように除熱する。制御部160は、例えば、分散制御システム(Distributed Control System)である。
図2に示す硫化水素合成反応器500は、塔頂部にある温度コントローラ551によって、熱交換器540の冷媒流量制御弁552により、塔頂部の温度を所定値にすることができる。しかしながら、気相反応領域530全体、特に硫黄液面近傍の温度を制御できないので、当該領域530において、反応温度が上昇し、H濃度が製品仕様を超えてしまう。一方、図7に示す硫化水素合成反応器100Aは、熱交換部110として熱交換器111〜113の熱交換量を硫黄液面に近い側の除熱量を大きくするとともに、硫黄液面から遠い側での過冷却を回避するように制御する。それにより、気相反応領域102全体の温度制御が可能になり、図2に示すような、温度制御不能な気相反応領域を無くして、多硫化水素の生成及び硫化水素反応の停止を防ぐ。
図8は、硫化水素合成反応器の第2例を示す図である。図8に示す硫化水素合成反応器100aは、反応器本体105aの塔径が図3に示す硫化水素合成反応器100と比して小さく、外部との熱交換面積が大きいため、自然放熱量が大きい構成となっている。反応器本体105a底部の外表面上に設けられる加熱部120は、電気ヒータ121a、122aで構成され、液体硫黄の一部をガス化するとともに、温度計174a、175aで検出した温度が所定温度内になるように、制御部160により給電制御される。
硫化水素合成反応器100aは、反応器本体105の内部を、液体硫黄を保持する液体硫黄保持部101と、無触媒気相反応が起こる空間である気相反応領域102として使用する。熱交換部110bは、電気ヒータ111a〜113aを有する。塔径が非常に小さいため、反応器本体105aの周囲は、自然放熱量が大きく、電気ヒータ111a〜113aにより加熱をしない場合、反応温度を一定に保つことはできない。電気ヒータ111a〜113aは、温度計171a〜173aで検出した温度が所定温度内になるように、制御部160により給電制御される。電気ヒータ111a〜113aは、硫黄液面に近い側の電気ヒータ111aの熱交換量が最も大きく、電気ヒータ112a、113aの順に熱交換量が小さくなるように構成されている。
このように、反応器本体の塔径が小さく、且つ外部との熱交換面積が大きいため、自然放熱量が大きい場合でも、電気ヒータにより加熱することで反応器の冷え込みを抑える。液面から離れるにつれて、硫化水素の反応熱は小さくなるので、放熱量も液面から離れるにつれて、小さくなる。したがって、電気ヒータの加熱のための交換熱量は、液面から離れるにつれて小さくなるように構成される。このときの、反応器本体105aの温度圧力条件は、図3を用いて説明した水素合成反応器100の反応器内部と同じである。
以上のように、硫化水素合成反応器100aは、液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの加熱のための交換熱量と、液面に近い気相反応領域で単位容積当りの加熱のための交換熱量とを変えて、気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするので、反応器本体の塔径が小さい場合でも、副反応物の生成を少なくして純度の高い硫化水素を製造することができる。
[3]硫化水素製造装置
図9は、図3に示した硫化水素合成反応器を含む硫化水素製造装置の一例を示す図である。硫化水素製造装置10は、図3に示した硫化水素合成反応器100、硫化水素ガスと共に放出される未反応硫黄ガスを、硫化水素に転化する水添反応器200、高温の生成ガスと、原料水素ガスを熱交換する水素ガス熱交換器210、液化装置220、及び、水素ガスと液化硫化水素とを分離する気液分離器300を有する。
水添反応器200は、Co−MoやNi−Moの硫化物やNi等の水添触媒が内部に充填され、硫化水素合成反応器100から配管13を介して、水素ガス、硫黄ガス、硫化水素ガスを受け取り、未反応の硫黄ガスを、水素ガスで硫化水素ガスに転化させる。また、水素ガスは、後段の気液分離器300で分離されて、硫化水素合成反応器100で再利用される。
なお、水添反応器200の出口ガスは、硫黄ガス濃度が実質的にゼロとなるため、硫黄ガスの除去に関わる下流設備が不要となる。
液化装置220は、生成ガスを圧縮する生成ガス圧縮機230、生成ガスを冷却する熱交換器240を有する。水添反応器200で処理されたガスは、配管14を介して、熱交換器210に供給され、気液分離器300から供給される低温の水素ガスと熱交換される。熱交換機210の排出ガスは、生成ガス圧縮機230で圧縮されて、配管15を介して、熱交換器240に供給される。熱交換器240は、例えば、マイナス30℃で冷却され、気液分離器300で、液体硫化水素と、水素ガスに分けられる。水素ガスは、配管16、配管12を介して反応器本体110に供給され、液化硫化水素は、配管17を介して製品出荷、又は、他プロセスで利用される。
[4]硫化水素ナトリウム製造装置
図10は、図3に示した硫化水素合成反応器を含む硫化水素ナトリウム製造装置の一例を示す図である。図10に示す硫化水素ナトリウム製造装置20は、図3に示す硫化水素製造装置10と比して、生成ガス圧縮機230、冷却器240、及び、気液分離器300を有さず、代わりに、硫化水素と、水酸化ナトリウム(NaOH)から硫化水素ナトリウムを生成する硫化水素ナトリウム合成反応器400を有する。
硫化水素ナトリウムは、以下の化学反応を示す。
2NaOH + HS →NaS + 2HO (式3)
NaS + HS →2NaSH (式4)
NaOH + HS →NaSH + HO (式5)
水酸化ナトリウム水溶液に硫化水素ガスを接触させると、水酸化ナトリウムは硫化水素を吸収してまず(式3)により硫化ナトリウム(NaS)を生成し、さらに硫化水素ガスを接触させると、(式4)により硫化水素ナトリウム(NaSH)を生成する。式3と式4をまとめると式5となる。ソーダと硫化水素の供給比は、式5から1.0[mol/mol]となる。
硫化水素ナトリウム合成反応器400の下部に水酸化ナトリウムを含む液層があり、当該液層に硫化水素と水素の混合ガスを供給して、式5に基づいて、硫化水素ナトリウムを合成する。硫化水素ナトリウム合成反応器400の上部から原料ガス中に含まれる硫化水素の全量を反応するのに必要な化学量論量の水酸化ナトリウムを供給する。硫化水素ナトリウム合成反応器400は、例えば、1インチのポールリングを充填した充填層を有し、充填層で水酸化ナトリウムと、硫化水素とを接触させることで、ライン23から排出される硫化水素ガス濃度を下げる。
なお、硫化水素ガス中に、多硫化水素(下記例では、H)が含まれていると、下記式により多硫化ナトリウム不純物が生成する。
2NaOH + H →Na + 2HO (式6)
多硫化ナトリウムが多く含まれると下流反応工程の製品品質を悪化することに通じる。硫化水素ナトリウム製造装置20は、硫化水素合成反応器100において、二硫化水素の生成を防ぐことで、多硫化ナトリウムの生成を防ぐことができる。
硫化水素製造装置10では、硫化水素を液化分離するために、生成ガス圧縮機230等の設備を要していたが、硫化水素ナトリウム製造装置20は、硫化水素をガスのまま利用して、水酸化ナトリウムと反応させることで、生成ガス圧縮機230等の設備を要しない。
図3に示した硫化水素合成反応器100を用いて硫化水素を合成した。反応器本体105は、例えば、内径1200mm、高さ4000mmのステンレス製であり、反応器本体105下部より200℃に加熱した水素ガスを配管12を介して送入し、硫化水素合成反応器内の液体硫黄を加熱器で410℃に加熱した。
本実施例では、以下の反応条件で硫化水素を生成する。
反応温度 405〜410[℃]
反応圧力 0.2〜0.6[MPaA]
転化率 50〜60[mol%]
多硫化水素濃度を10ppm未満とすることができる。
上記構成により、反応温度の変化を5℃以内に抑えることができた。
図8に示した硫化水素合成反応器100aを用いて硫化水素を合成した。反応器本体105は径が80mm(3インチ)、高さが2,500mmのステンレス製であり、その上に図示されていない硫黄凝縮器が設置されている。反応器の外部には、温度制御のために、5分割された電気ヒータ120a、および、110bが設置されている。
配管12から、流量調節器53で600NL/hに制御された水素を、120℃に予熱して、硫黄が保持されている反応器下部130に、スパージャー131で供給した。反応圧力は0.6MPaGに制御した。反応器内の温度を均一にするように、制御部160で電気ヒータを調節したところ、反応部の最低温度が422℃、最高温度が431℃、平均温度が429℃であり、良好に制御されていた。
図示されていない硫黄凝縮器で、反応器出口に含まれている硫黄を凝縮させ、やはり図示されていない触媒反応器で、残存硫黄を完全に硫化水素に転化させてからガスを分析したところ、硫化水素が54%、水素が46%で、H2S2は10ppmであった。
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素の組合せ、変形及びバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理及び請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。

Claims (21)

  1. 硫黄と水素とを無触媒で気相反応させて、硫化水素を合成する硫化水素合成反応器であって、
    下部に液体硫黄を溜める反応器本体と、
    前記液体硫黄の一部をガス化する加熱部と、
    前記液体硫黄に水素ガスを供給する水素ガス供給部と、
    前記反応器本体内の液体硫黄の液面より上方の気相反応領域に設ける熱交換部と、を備え、
    前記熱交換部を、前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの交換熱量と、前記液面に近い気相反応領域で単位容積当りの交換熱量とを変えて、前記気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするように構成することを特徴とする硫化水素合成反応器。
  2. 前記熱交換部は、液面から離れるにつれて、単位容積当りの交換熱量が下がるように構成される請求項1に記載の硫化水素合成反応器。
  3. 前記熱交換部を、前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当たりの伝熱面積より、前記液面に近い気相反応領域の単位容積当たりの伝熱面積が大きくなるように構成する請求項1又は2に記載の硫化水素合成反応器。
  4. 前記所定の温度は、380℃〜410℃である請求項1〜3の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
  5. 前記熱交換部の冷媒は、硫黄の凝固点以上で供給される請求項1〜4の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
  6. 前記熱交換部は、複数の熱交換器から構成される請求項1〜5の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
  7. 前記熱交換部に、前記ガスが通過する複数の孔を有する整流部を備える請求項1〜6の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
  8. 前記気相反応領域のガス温度を検出する温度検出器と、
    前記検出した温度が所定値になるように、前記各熱交換部の熱交換量を制御する制御部と、をさらに備える請求項1〜7の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
  9. 前記硫化水素反応熱により生じる熱量より、前記反応器本体の表面からの放熱が高い場合、気相反応領域における反応温度を所定温度内に保つために、前記熱交換部を、前記反応器本体を加熱するように構成することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の硫化水素合成反応器。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の前記硫化水素合成反応器と、
    前記硫化水素合成反応器から放出される未反応硫黄ガスと水素ガスとを水添触媒を用いて反応させて、硫化水素を合成する水添反応器と、を備えることを特徴とする硫化水素製造装置。
  11. 硫化水素を液化する液化装置をさらに備える請求項1〜10の何れか1項に記載の硫化水素製造装置。
  12. 硫化水素ナトリウムを合成する硫化水素ナトリウム製造装置であって、
    請求項1〜11の何れか1項に記載の前記硫化水素合成反応器と、
    前記硫化水素合成反応器から放出される未反応硫黄ガスと水素ガスとを水添触媒を用いて反応させて、硫化水素を合成する水添反応器と、
    硫化水素と、水酸化ナトリウム水溶液を反応させて、硫化水素ナトリウムを合成する硫化水素ナトリウム合成反応器と、を備える硫化水素ナトリウム製造装置。
  13. 硫黄と水素とを無触媒で気相反応させて、硫化水素を合成する硫化水素製造方法であって、
    反応器の下部に溜まった液体硫黄の一部を加熱し、
    前記液体硫黄に水素ガスを供給し、
    前記反応器内の液体硫黄の液面より上方の気相反応領域で、前記加熱により生成した硫黄ガスと、前記水素ガスとを気相反応させ、
    前記液面から遠い気相反応領域の単位容積当りの交換熱量と、前記液面に近い気相反応領域で単位容積当りの交換熱量とを変えて、前記気相反応領域での反応温度を所定の温度内にするように除熱する、ことを特徴とする硫化水素製造方法。
  14. 前記除熱工程は、液面から離れるにつれて、単位容積当りの交換熱量が下がるように除熱することを含む請求項13に記載の硫化水素製造方法。
  15. 前記所定の温度は、380℃〜410℃である請求項13又は14に記載の硫化水素合成反応器。
  16. 前記除熱は、硫黄の凝固点以上の冷媒で行う請求項13〜15の何れか1項に記載の硫化水素製造反応。
  17. 前記除熱を行う熱交換部の設けられた複数の孔を有する整流部を、前記ガスが通過する請求項13〜16の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
  18. 前記硫化水素合成反応器から放出される未反応硫黄ガスと水素ガスとを水添触媒を用いて反応させて、硫化水素に転化する請求項13〜17の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
  19. 前記除熱工程は、前記硫化水素反応熱により生じる熱量より、前記反応器本体の表面からの放熱が高い場合、気相反応領域における反応温度を所定温度内に保つために、加熱する工程を含む請求項13〜18の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
  20. 硫化水素を液化する請求項13〜19の何れか1項に記載の硫化水素製造方法。
  21. 硫化水素ナトリウムを生成する硫化水素ナトリウム製造方法であって、
    請求項13〜19の何れか1項に記載の硫化水素製造方法により生成された硫化水素と、水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、硫化水素ナトリウムを生成する硫化水素ナトリウム製造方法。
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