JPWO2013018187A1 - 反射防止膜および反射防止板 - Google Patents
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Abstract
Description
プラスチック基板上に、多層の膜を形成した反射防止板も公知であり、例えば、透光性を有するプラスチック基板、該基板上にコートされた金属アルコキシドとコロイド状金属酸化物及び/または金属ハライドとを主成分とする帯電防止性能を有する高屈折率層、高屈折率層上にコートされた屈折率(nd)が1.36以下の非晶質フッ素樹脂の反射防止層、並びに該反射防止膜上にコートされた有機ポリシロキサンを主成分とし且つ界面活性能力を有するフッ素系材料を含有するコート層から成る耐磨耗性、耐擦傷性、密着性及び透光性に優れた反射防止板が知られている(特許文献1)。
本願発明者らも、内部に空洞を有する中空シリカゾルを使用した三層から成る眩光防止(ノングレア)機能を有する反射防止膜(特許文献2)、或いは、シラン化合物と金属キレート化合物とを併用した層を有する、耐久性、耐油性に優れた反射防止膜(特許文献3)を提案した。
従って、本発明の目的は、高度の反射防止効果に加えて、耐擦傷性及び耐湿性に優れた反射防止膜、並びに該膜を積層した反射防止板を提供するにある。
層の屈折率が1.48未満であり、厚みが50〜200nmである低屈折率層を有する反射防止膜であって、
該低屈折率層が、
(A)平均粒径が10〜150nmであり、屈折率が1.44以下である低屈折率中空シリカゾル、
(B)平均粒径が5〜110nmであり、屈折率が1.44以上1.50以下であるシリカゾル、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、および
(D)金属キレート化合物
を含有してなる層であり、
低屈折率層は、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとを5〜95重量%:95〜5重量%の配合比で含有し、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物とを60〜99重量%:40〜1重量%の配合比で含有し、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの合計量と、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物との合計量の比が、10〜50重量%:90〜50重量%であり、(A)低屈折率中空シリカゾルが低屈折率層全量に対し30重量部以下である
ことを特徴とする前記反射防止膜が提供される。
上記反射防止膜の発明において、更に下記の態様とすることが好適である。
1)低屈折率層の屈折率が1.47未満であり、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとを10〜90重量%:90〜10重量%の配合比で含有し、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物とを70〜98重量%:30〜2重量%の配合比で含有し、(A)低屈折率中空シリカゾルが低屈折率層全量に対し20重量部以下であること。
2)低屈折率層の基板面側に中屈折率層が積層されてなり、
該中屈折率層は、その屈折率が1.50以上1.75未満であり、厚みが50〜200nmであり、且つ、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、
(D)金属キレート化合物、および
(E)平均粒径が10〜100nmであり、屈折率が1.70以上2.80以下の金属酸化物粒子を含有してなる層であり、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物を20〜80重量部、(D)金属キレート化合物を0.1〜2重量部、(E)金属酸化物粒子を20〜80重量部含有していること。
3)低屈折率層と中屈折率層の間に高屈折率層が設けられ、
該高屈折率層は、その屈折率が1.60以上2.00未満であり、厚みが50〜200nmであり、且つ、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物を10〜50重量部、および
(E)平均粒径が10〜100nmであり、屈折率が1.70以上2.80以下の金属酸化物粒子を50〜90重量部を含有してなる層であり、高屈折率層の屈折率が中屈折率層の屈折率より大きいこと。
上記反射防止板の発明において、
1)透明樹脂基板と反射防止膜の間に、ハードコート層が設けられていること、
2)反射防止膜の低屈折率層の表面に、オーバーコート層が設けられていること、
が好適である。
本発明の反射防止膜は、下記低屈折率層を必須とする。
低屈折率層の屈折率は1.48未満であり、厚みが50〜200nmである。該層の屈折率は、反射防止効果の観点から、1.47未満であることが好ましい。
そして、該低屈折率層は、
(A)平均粒径が10〜150nmであり、屈折率が1.44以下である低屈折率中空シリカゾル(以下、低屈折率中空シリカゾルともいう。)、
(B)平均粒径が5〜110nmであり、屈折率が1.44以上1.50以下であるシリカゾル(以下、シリカゾルともいう。)、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、および
(D)金属キレート化合物
を含有してなる層であり、しかも、
該低屈折率層は、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとを5〜95重量%:95〜5重量%の配合比で含有し、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物とを60〜99重量%:40〜1重量%の配合比で含有し、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの合計量と、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物との合計量の比が、10〜50重量%:90〜50重量%であり、(A)低屈折率中空シリカゾルが低屈折率層全量に対し30重量部以下である。
後述するように、反射防止膜が、複数の反射防止層から成る場合には、該低屈折率層は、最外層(視野側)となる反射防止層である。
低屈折率中空シリカゾルは、反射防止効果を発現させる観点から、内部に空間を有する中空のシリカ粒子であり、平均粒径が10〜150nmであり、屈折率が1.44以下であることが重要である。好ましくは、屈折率が1.35以下である。
該低屈折率中空シリカゾルは、内部が空洞の粒子であるため、他のシリカゾルに比べて、その密度は低く、例えば、通常1.5g/cm3以下である。
このような低屈折率中空シリカゾルは、それ自体公知であり、例えば、テンプレートとなる界面活性剤の存在下にシリカを合成し、最後に焼成を行って界面活性剤を分解除去することにより製造され、市販されている。なお、このような市販品は、中空シリカゾルが水やアルコールなどの溶媒中に分散されているので、本発明の反射防止膜を形成させるために調製される反射防止膜形成用コーティング溶液中には、これらの溶媒が必然的混入する。しかし、コーティング後の乾燥、および硬化過程で、コーティング溶液とするために別途配合される溶剤ともどもこれら溶媒は揮発、除去される。
シリカゾルは、耐擦傷性および耐湿性の向上に寄与する粒子であり、単粒子或いは凝集粒子からなる、平均粒径が5〜110nmであり、屈折率が1.44以上1.50以下のシリカゾルである。該シリカゾルは、(A)低屈折率中空シリカゾルと違い、内部が密な、内部に空間を有しない非中空の粒子であり、密度は通常1.9g/cm3以上である。
シリカゾルはそれ自体公知で、市販品をそのまま使用できる。該シリカゾルも、通常、溶媒に分散された状態で供されるが、この溶媒は、上記低屈折率中空シリカゾルの場合と同様に挙動する。
シランカップリング化合物またはその加水分解物は、それ自体が加水分解して緻密な珪酸質の被膜を形成する。
該シランカップリング化合物としては、公知のものを制限なく使用できる。例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
該シランカップリング化合物は、その種類によっては、水や溶剤に対する溶解性を向上させる目的で、希薄な酸等で予め加水分解された分解物とすることが好適である。予め加水分解する方法は特に制限なく、酢酸などの酸触媒を用いてその一部を加水分解する方法、或いは、反射防止膜形成用コーティング溶液中に他の成分と併せて、シランカップリング化合物と上記酸などとを共存させて一部加水分解する方法が採用される。
金属キレート化合物は、層の緻密性や強度、更には硬度を高める目的で含有させる。該金属キレート化合物は、二座配位子を代表例とするキレート剤が、チタン、ジルコニウム、アルミニウムなどの金属に配位した化合物である。
具体的には、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテイト)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテイト)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテイト)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテイト)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテイト)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテイト)チタン等のチタンキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテイト)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;
ジエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテイト)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテイト)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテイト)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物が挙げられる。
前記低屈折率層は、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとを5〜95重量%:95〜5重量%の配合比で含有し、(C)シランカップリング化合物の加水分解物と(D)金属キレート化合物とを60〜99重量%:40〜1重量%の配合比で含有する。
(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの配合比において、(B)シリカゾルの配合比が5重量%未満である場合は、耐擦傷性および耐湿性の向上が見られない。
(C)シランカップリング化合物の加水分解物と(D)金属キレート化合物との配合比において、(D)金属キレート化合物の配合比が40重量%を超える場合は、膜が脆くなったり、キレート化合物が析出するので、好ましくない。
更に、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの合計量と、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物との合計量の比が、10〜50重量%:90〜50重量%であり、(A)低屈折率中空シリカゾルが低屈折率層全量に対し30重量部以下ことが必要である。
(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの合計量と、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物との合計量の比が、10:90重量%(下限値)を満たさない場合は反射防止効果が劣り、50:50重量%(上限値)を超える場合は耐擦傷性や耐湿性が劣る。また、(A)低屈折率シリカゾルが低屈折率層全量に対し30重量部を超えると耐湿性が悪くなるので好ましくない。
上記配合比は、反射防止効果並びに耐擦傷性、耐湿性のバランスさせる観点から、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの配合比を10〜90重量%:90〜10重量%とし、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物との配合比を70〜98重量%:30〜2重量%とし、(A)低屈折率シリカゾルが低屈折率層全量に対し20重量部以下であることが好ましい。
透明樹脂基板としては、耐衝撃強度に優れ視野性の障害にならない透明樹脂であれば何ら制限はない。透明性及び耐衝撃強度の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂或いはポリメチルメタクリレート樹脂からなる基板が好ましい。ポリカーボネート樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂との積層基板でもよい。当該基板の厚みは、要求される透明度や耐衝撃強度から適宜選択して設計されるが、通常、0.2〜2.0mmの範囲に設定される。
低屈折率層は、上記(A)〜(D)の各必須成分を特定量、更には任意成分を、粘度調整や易塗布性の目的で、下記溶剤に溶解して低屈折率層用コーティング溶液とし、この溶液を前記透明樹脂基板に塗布した後乾燥し、次いで加熱、硬化させて形成される。該層の厚みは、反射防止性能の観点から、50〜200nmの範囲に設定される。
低屈折率層用コーティング溶液に使用される溶剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコール化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール等のケトン化合物等が適している。その他、メチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、更にはメチルセロソルブやエチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ化合物などの溶剤も使用できる。
溶液の透明樹脂基板上への塗工方法は特に制限されず、ディップコート法、ロールコート法、ダイコート法、フローコート法、スプレー法等の方法が採用されるが、外観品位や膜厚制御の観点からディップコート法が好適である。尚、反射防止層が後出の中屈折率層と低屈折率層との二層からなる場合は、透明樹脂基板上に、先ず中屈折率層用を形成し、次いで該層の上に低屈折率層が形成される。更に、反射防止層が後出の中屈折率層、高屈折率層、および低屈折率層との三層から成る場合は、透明樹脂基板上に、先ず中屈折率層用を形成し、次いで該層の上に高屈折率層、更にその上に低屈折率層が形成される。
本発明の反射防止膜は、その反射防止効果をより高めるために、低屈折率層の基板面側に中屈折率層が積層されていることが好ましい。
該中屈折率層は、その屈折率が1.50以上1.75未満であり、厚みが50〜200nmであり、且つ、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、
(D)金属キレート化合物、および
(E)平均粒径が10〜100nmであり、屈折率が1.70以上2.80以下の金属酸化物粒子(以下、金属酸化物粒子ともいう。)を含有してなる層であり、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物を20〜80重量部、(D)金属キレート化合物を0.1〜2重量部、(E)金属酸化物粒子を20〜80重量部含有している。
該金属酸化物粒子は、中屈折率層の屈折率が1.50以上1.75未満になることを満たす目的で含有させる、平均粒径が10〜100nmであり、屈折率が1.70以上2.80以下の金属酸化物粒子である。
金属酸化物粒子としては、酸化ジルコニウム粒子(屈折率=2.40)、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素等の他の酸化物とを分子レベルで複合化させて屈折率を調整した複合ジルコニウム金属酸化粒子、酸化チタニウム粒子(屈折率=2.71)、酸化チタニウムと酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の他の酸化物とを分子レベルで複合化させて屈折率を調整した複合チタニウム金属酸化粒子などが使用される。これらの金属酸化物粒子を適宜組み合わせて、所望の屈折率の層に調整する。このような粒子はそれ自体公知であり、市販されている。
中屈折率層は、上記(C)、(D)および(E)の各必須成分を特定量、更には任意成分を、低屈折率層形成時に用いた各種溶剤に溶解して中屈折率層用コーティング溶液とし、この溶液を前記透明樹脂基板に塗布した後乾燥し、次いで加熱、硬化させて形成される。該層の厚みは、反射防止性能の観点から、50〜200nmの範囲に設定される。
但し、本発明の反射防止膜が、低屈折率層と中屈折率層との二層から成る場合は、透明樹脂基板側に中屈折率層が存在しないと反射防止効果が発現しづらい。従って、透明樹脂基板上に、先ず、中屈折率層を形成し、次いで、この中屈折率層の上に、前出の方法に準じて低屈折率層を形成して二層とする。
本発明の反射防止膜は、極めて高い反射防止効果を発現させるために、更に、低屈折率層と中屈折率層の間に高屈折率層が積層されていることが好ましい。
該高屈折率層は、その屈折率が1.60以上2.00未満であり、厚みが50〜200nmであり、且つ、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物10〜50重量部、および
(E)金属酸化物粒子50〜90重量部を含有してなる層であり、高屈折率層の屈折率が中屈折率層の屈折率より大きくなるように設計される。
尚、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、並びに(E)金属酸化物粒子は、各々前記した通りである。
高屈折率層は、上記(C)および(E)の各必須成分を特定量、更には任意成分を、低屈折率層形成時に用いた各種溶剤に溶解して高屈折率層用コーティング溶液とし、この溶液を前記透明樹脂基板に塗布した後乾燥し、次いで加熱、硬化させて形成される。該層の厚みは、反射防止性能の観点から、50〜200nmの範囲に設定される。
但し、本発明の反射防止膜が、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層の三層から成る場合は、低屈折率層と中屈折率層の間に高屈折率層が存在する必要がある。従って、透明樹脂基板上に、前出の方法に準じて、先ず中屈折率層を形成し、次いで、この中屈折率層の上に高屈折率層、該層の上に低屈折率層を形成して三層とする。
また、低屈折率層の保護の目的で、オーバーコート層を設けることができる。このようなオーバーコート層としては、耐磨耗性、耐擦傷性を付与する有機ポリシロキサン系材料やフッ素樹脂系のコート層を挙げることができる。ポリシロキサンコート層としては、シラノール基、アルコキシ基、アセチル基、フェニル基、ポリエーテル基、パーフルオロアルキル基等を側鎖に持つメチルポリシロキサン又はジメチルポリシロキサンが挙げられる。また、フッ素樹脂としては、パーフルロ非晶質フッ素樹脂、特に主鎖に環構造を有するパーフルオロ非晶質フッ素樹脂が使用される。
更に、透明樹脂基板の裏側には、アクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着剤からなる。粘着剤層を設けることができる。更にまた、本発明の反射防止膜は、透明樹脂基板の表及び裏の両面に積層してもよい。
以下の実施例及び比較例で用いた各種成分と略号、並びに試験方法は、以下の通りである。
A−1;平均粒径:60nm、屈折率:1.25、IPA分散、
固形部:20wt%
A−2;平均粒径:60nm、屈折率:1.25、MIBK分散、
固形部:20wt%
A−3;平均粒径:50nm、屈折率:1.30、IPA分散、
固形部:20wt%
(B)シリカゾル
B−1;平均粒径:10nm、屈折率:1.46、IPA分散、
固形部:20wt%
B−2;平均粒径:12nm、屈折率:1.46、IPA分散、
固形部:20wt%
B−3;平均粒径:80nm、屈折率:1.46、IPA分散、
固形部:20wt%
(C)シランカップリング化合物の加水分解物
C−1;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(酢酸配合)
C−2;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(酢酸配合)
C−3;2−(3,4‐エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン(酢酸配合)
(D)金属キレート化合物
D−1;ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)
D−2;アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
D−3;アルミニウムトリスアセチルアセトナート
(E)金属酸化物粒子
E−1;平均粒径:50nm、ジルコニアゾル、
屈折率:2.40、PGM分散、
固形部:55wt%、
E−2;平均粒径:20nm、チタニアゾル、
屈折率:2.71、MIBK分散、
固形部:20wt%
(F)その他
F−1;IPA;イソプロピルアルコール
F−2;MIBK;メチルイソブチルケトン
F−3;PGM;プロピレングリコールモノメチルエーテル
F−4;光重合開始剤
F−5;多官能ウレタンアクリレート
F−6;反応性紫外線吸収剤
F−7;0.05N酢酸
初期の試験片と、恒温恒湿試験器(65℃,95%設定)に96時間放置した後の試験片の両面反射率を、分光光度器(型式V-650、JASCO製)に積分球装置を取付けて反射率を計測した。〔耐湿性試験〕
初期の反射率と恒温恒湿試験後の反射率との差から、初期の反射率に対する変動率を算出して、耐湿性の目安とした。この値が小さいほど耐湿性に優れていることを意味する。〔耐擦傷性試験〕
擦り試験器に試験片をセットし、スチールウール#0000上で500g/cm2荷重で50mm間を150往復させ、キズの入り方を測定した。具体的には、反射光で見えるキズであって、反射防止膜が取れることによりハードコート層や基材がむき出しとなり反射の高い白い線傷として見えるキズの本数で評価した。
厚さ1mmのポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂基板に、以下の方法で低屈折率層を形成した。
[低屈折率層形成用コーティング溶液組成]
・A−1 ;18.00g(固形分比15.00)
・B−1 ;2.00g(固形分比1.67)
・C−1 ;12.00g(固形分比50.00)
・D−1 ;8.00g(固形分比33.33)
・F−7 ;11.58g
・F−1 ;948.42g
[ハードコート溶液組成]
・C−1 ;25.00g(固形分比10.00)
・F−5 ;132.50g(固形分比53.00)
・B−1 ;75.00g(固形分比30.00)
・D−1 ;2.00g
・F−1 ;371.50g
・F−2 ;371.50g
・F−4 ;10.0g(固形分比4.00)
・F−6 ;7.50g(固形分比3.00)
・F−7 ;5.0g
得られた、反射防止膜を有する反射防止板の反射率と耐湿性を、前記試験方法に従って測定し評価した。結果を表1に示す。
実施例2〜4
表1に示す、低屈折率層形成用コーティング溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反射防止膜を有する反射防止板を作製し、同様に測定を行った。結果を表1に示す。
表2に示す、低屈折率層形成用コーティング溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、反射防止膜を有する反射防止板を作製し、同様に測定を行った。結果を表2に示す。
表3に示す組成の低屈折率層形成用コーティング溶液、中屈折率層形成用コーティング溶液、並びに高屈折率層形成用コーティング溶液を用いて以下の方法で、三層から成る反射防止膜を有する反射防止板を作製し評価した。結果を表3に示す。
実施例1と同様にして、1mmのPMMA樹脂基板に2μmのハードコート層を形成した後、中屈折率層形成用コーティング溶液に上記ハードコート層を有する基板をディップし、90℃、30分間、加熱処理して、厚さ85nmの中屈折率層を形成した。次いで、高屈折率層形成用コーティング溶液に該基板をディップし、90℃、30分間、加熱処理して、厚さ80nmの高屈折率層を形成し、続いて、低屈折率層形成用コーティング溶液に該基板をディップし、100℃、120分間、加熱処理して、厚さ100nmの低屈折率層を形成した。
表3に示す、低屈折率層形成用コーティング溶液、および中屈折率層形成用コーティング溶液を用いた以外は、実施例5に準じて、二層から成る反射防止膜を有する反射防止板を作製し評価した。結果を表3に示す。
Claims (7)
- 層の屈折率が1.48未満であり、厚みが50〜200nmである低屈折率層を有する反射防止膜であって、
該低屈折率層が、
(A)平均粒径が10〜150nmであり、屈折率が1.44以下である低屈折率中空シリカゾル、
(B)平均粒径が5〜110nmであり、屈折率が1.44以上1.50以下であるシリカゾル、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、および
(D)金属キレート化合物
を含有してなる層であり、
該低屈折率層は、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとを5〜95重量%:95〜5重量%の配合比で含有し、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物とを60〜99重量%:40〜1重量%の配合比で含有し、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとの合計量と、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物との合計量の比が、10〜50重量%:90〜50重量%であり、(A)低屈折率中空シリカゾルが低屈折率層全量に対し30重量部以下である
ことを特徴とする前記反射防止膜。 - 低屈折率層の屈折率が1.47未満であり、(A)低屈折率中空シリカゾルと(B)シリカゾルとを10〜90重量%:90〜10重量%の配合比で含有し、(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物と(D)金属キレート化合物とを70〜98重量%:30〜2重量%の配合比で含有し、(A)低屈折率中空シリカゾルが低屈折率層全量に対し20重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の反射防止膜。
- 低屈折率層の基板面側に中屈折率層が積層されてなり、
該中屈折率層は、その屈折率が1.50以上1.75未満であり、厚みが50〜200nmであり、且つ、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物、
(D)金属キレート化合物、および
(E)平均粒径が10〜100nmであり、屈折率が1.70以上2.80以下の金属酸化物粒子
を含有してなる層であり、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物を20〜80重量部、(D)金属キレート化合物を0.1〜2重量部、(E)金属酸化物粒子を20〜80重量部含有していることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。 - 低屈折率層と中屈折率層の間に高屈折率層が設けられ、
該高屈折率層は、その屈折率が1.60以上2.00未満であり、厚みが50〜200nmであり、且つ、
(C)シランカップリング化合物またはその加水分解物を10〜50重量部、および
(E)平均粒径が10〜100nmであり、屈折率が1.70以上2.80以下の金属酸化物粒子を50〜90重量部
を含有してなる層であり、高屈折率層の屈折率が中屈折率層の屈折率より大きいことを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。 - 請求項1〜4の何れかに記載の反射防止膜が、低屈折率層を視野側にして透明樹脂基板上に装着されていることを特徴とする反射防止板。
- 透明樹脂基板と反射防止膜の間に、ハードコート層が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の反射防止板。
- 反射防止膜の低屈折率層の表面に、オーバーコート層が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の反射防止板。
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