JPWO2013002382A1 - ニコランジル含有医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度?0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度?0.3度(2θ)のピーク値」が、2.0以下であるか、又は(2)「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz?0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz?0.2THzのピーク強度」が1.5以下である医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、保存安定性に優れている。
Description
本発明は、保存安定性に優れたニコランジルを含有する医薬組成物及びその製造方法に関する。
ニコランジル(化学名N−(2−ヒドロキシエチル)ニコチン酸アミド硝酸エステル)は、狭心症治療剤として経口投与用の錠剤が、また不安定狭心症及び急性心不全の治療剤として静脈内投与用の凍結乾燥製剤が、日本において臨床に提供されている。ニコランジルは他のニトロ系冠拡張剤と同様に水溶液中では不安定であり、そのため静脈内投与用には凍結乾燥製剤を用時に生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液など所定の溶媒で溶解して溶液剤を調製する必要がある。
ニコランジル凍結乾燥製剤の規格として、溶解時のニコランジル定量値は表示量の95.0〜115.0%、純度試験での硝酸イオン量は0.8%以下(表示量のニコランジルを100%とする)と定められている(非特許文献1)。ニコランジルは凍結乾燥製剤化しても、保存期間中に経時的にニコランジル含量が低下して硝酸イオン等の分解物が増加してくることが知られており、現在市販されているニコランジル凍結乾燥製剤の貯法・保存条件は10℃以下で使用期限は2年とされている(非特許文献2)。
そのため、製造工場での保管時、流通時及び病院での保管時に冷蔵施設が必要であること、使用直前に冷蔵庫から取り出す必要があり事前に準備をすることが難しいことや救急時の医療過誤の危険性が高まる等の問題点が考えられる。
そのため、製造工場での保管時、流通時及び病院での保管時に冷蔵施設が必要であること、使用直前に冷蔵庫から取り出す必要があり事前に準備をすることが難しいことや救急時の医療過誤の危険性が高まる等の問題点が考えられる。
非特許文献2に、ニコランジルにD−マンニトールをD−マンニトール/ニコランジルの質量比が1.5となる量及びクエン酸ナトリウム水和物を適量添加し凍結乾燥したニコランジル凍結乾燥製剤が開示されている。この製剤の25℃9ヶ月保存後のニコランジル含量低下は0.9〜3.0%であり、貯法・保存条件は10℃以下で使用期限は2年と記載されており、室温(1〜30℃)保存は不可とされている。
一方、ニコランジル凍結乾燥製剤の保存安定性改善に関する提案がなされている。特許文献1に、ニコランジルにクエン酸などの特定のカルボン酸のアルカリ金属塩を併用した非溶液型注射剤とすることが開示されている(請求項1)。その実施例には、D−マンニトールをD−マンニトール/ニコランジルの質量比が15となる量及びクエン酸ナトリウムをクエン酸ナトリウム/ニコランジルの質量比が2.5となる量添加したニコランジル凍結乾燥製剤が開示されている。この製剤の40℃、30日保存後のニコランジル残存率は89.0%と記載されている。後述する通り、ニコランジル凍結乾燥製剤において40℃30日の保存条件は、25℃1年程度の保存条件に相当すると考えられることから、この製剤の室温保存での使用期限は1年未満であると推測される。
特許文献2に、ニコランジル水溶液をフマル酸を用いてpH4以下に調整した後、凍結乾燥することにより、安定なニコランジル凍結乾燥製剤の製造方法が開示されている(請求項1)。その実施例には、ニコランジルにD−マンニトールをD−マンニトール/ニコランジルの質量比が5となる量及びクエン酸を適量添加したニコランジル凍結乾燥製剤が開示されている。この製剤の40℃、1週保存後のニコランジル残存率は78.4%と記載されており、室温での流通・保存は実質的に不可能であると推測される。
特許文献3に、ニコランジル水溶液へ、塩基性アミノ酸などの特定の安定化剤を溶解し、乾燥することによる安定なニコランジル粉末の製造方法が開示されている(請求項1)。その実施例には、ニコランジルにD−マンニトールをD−マンニトール/ニコランジルの質量比が1.5となる量、L−アルギニンをL−アルギニン/ニコランジルの質量比が0.83となる量及びクエン酸ナトリウムをクエン酸ナトリウム/ニコランジルの質量比が0.33となる量添加したニコランジル凍結乾燥製剤が開示されている。この製剤の50℃7日保存後のニコランジル残存率は89.5%と記載されている。後述する通り、ニコランジル凍結乾燥製剤において50℃7日の保存条件は、25℃1年数ヶ月程度の保存条件に相当すると考えられることから、この製剤の室温保存での使用期限は1年未満であると推測される。
このように、室温で1年以上、例えば2年間の保存が可能なニコランジル製剤は実用化されておらず、従って、室温保存安定性に優れたニコランジル製剤、例えば凍結乾燥製剤が医療現場で求められている。
ニコランジル点滴静注用2mg「F」、12mg「F」、48mg「F」の安定性試験に関する資料、富士製薬工業株式会社、2008年4月
医薬品インタビューフォーム シグマート(登録商標)注、中外製薬株式会社、2010年6月改訂第7版
本発明は、保存安定性に優れたニコランジルを含有する医薬組成物及びその製法を提供することを目的とする。特に、室温で長期保存安定なニコランジル医薬組成物、例えば凍結乾燥製剤及びその製法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特に室温で長期保存安定なニコランジル組成物を開発すべく、鋭意検討した結果、特許文献1〜3に開示の成分を用いるものの、特許文献1〜3に具体的に開示されていない条件を採用すると、驚くべきことに、長期保存安定性に極めて優れたニコランジルを含有する医薬組成物、及び該組成物を製造するための優れた方法が得られるとの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が、2.0以下であるか、又は(2)「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下であることを特徴とする医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、マンニトール/ニコランジルの質量比が0.25〜1.25であることを特徴とする医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が0.4〜4.0であることを特徴とする医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、マンニトール/ニコランジルの質量比が0.25〜1.25であることを特徴とする医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が0.4〜4.0であることを特徴とする医薬組成物を提供する。
本発明は、又、凍結乾燥組成物の形態にある上記医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造される上記医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する凍結乾燥組成物であって、凍結乾燥組成物が、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造されるものである凍結乾燥組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥して医薬組成物を製造するに当たり、凍結乾燥工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行うことを特徴とする医薬組成物の製造方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物におけるニコランジルの安定化方法であって、(1)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となるように、又は(2)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となるように、ニコランジルとマンニトールを存在させることを特徴とするニコランジルの安定化方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造される上記医薬組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する凍結乾燥組成物であって、凍結乾燥組成物が、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造されるものである凍結乾燥組成物を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥して医薬組成物を製造するに当たり、凍結乾燥工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行うことを特徴とする医薬組成物の製造方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物におけるニコランジルの安定化方法であって、(1)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となるように、又は(2)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となるように、ニコランジルとマンニトールを存在させることを特徴とするニコランジルの安定化方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の、(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となるか否を測定すること、又は(2)「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となるか否を測定すること含む、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物と評価する、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物を評価する、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物と評価する、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を提供する。
本発明は、又、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物を評価する、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を提供する。
本発明によれば、ニコランジル組成物中のマンニトールδ型結晶/ニコランジル結晶の比を低くすることで、室温でも保存安定性に優れるニコランジル組成物、特にニコランジル凍結乾燥組成物を得ることができる。具体的には、ニコランジルにマンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩の1種以上を特定の比率で添加すること、及び/又は凍結乾燥工程に特定条件の加熱処理(アニーリングともいう)工程を設けることで室温でも保存安定性に優れるニコランジル組成物を得ることができる。特に好ましい本発明の医薬組成物は、室温で2年間安定であるとの優れた効果を奏する。したがって、製造工場での保管、流通時及び病院での保管を室温で行うことが可能であり、冷蔵施設を使用しなくてもよいという利点がある。これにより、病院において自動払出し機を使用すること、使用前日に他の製剤とともにトレイなどに準備しておくこと、または救急使用に備えて救急外来用の薬品棚やトレイにあらかじめ準備しておくことが可能になり、医療過誤の危険性が低くできることが期待される。本発明の組成物、特に凍結乾燥組成物は、上記好ましい効果の少なくとも1つを、好ましくはすべてを有する。本発明の医薬組成物の保存安定性を評価する方法は、凍結乾燥直後に保存安定性を推定することができ、実際に長期保存試験や加速試験を行わずに室温で2年間安定な医薬組成物を特定することができる。
本発明で対象とする医薬組成物は、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を必須成分とする。
ニコランジルは、日局ニコランジルとして、容易に入手することができる。
マンニトールとしては、D-マンニトールを用いるのが好ましい。尚、マンニトールとしては、種々の結晶形のものを用いることができるが、δ型結晶を用いないのが好ましい。
有機カルボン酸としては、クエン酸、酒石酸、酢酸、リンゴ酸やコハク酸などが好ましく、特に、クエン酸が好ましい。アルカリ金属塩としては、カリウム塩やナトリウム塩などがあげられるが、ナトリウム塩が好ましい。これらのうち、特にクエン酸3ナトリウム塩(単にクエン酸ナトリウム塩ということがある)やクエン酸2ナトリウム塩が好ましい。
ニコランジルは、日局ニコランジルとして、容易に入手することができる。
マンニトールとしては、D-マンニトールを用いるのが好ましい。尚、マンニトールとしては、種々の結晶形のものを用いることができるが、δ型結晶を用いないのが好ましい。
有機カルボン酸としては、クエン酸、酒石酸、酢酸、リンゴ酸やコハク酸などが好ましく、特に、クエン酸が好ましい。アルカリ金属塩としては、カリウム塩やナトリウム塩などがあげられるが、ナトリウム塩が好ましい。これらのうち、特にクエン酸3ナトリウム塩(単にクエン酸ナトリウム塩ということがある)やクエン酸2ナトリウム塩が好ましい。
本発明では、マンニトール/ニコランジルの質量比が0.25〜1.25となるように用いるのが好ましく、より好ましくは、0.25〜1.0である。これに加えて、又はこれとは独立して、マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が0.4〜4.0(クエン酸ナトリウムの場合は質量比が0.25〜2.5)となるように用いるのが好ましく、より好ましくは、1.2〜3.2(クエン酸ナトリウムの場合は質量比が0.75〜2.0)である。
本発明では、上記必須成分に加えて、トロメタモール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)を添加するのが好ましい。トロメタモールの添加量は任意とすることができるが、トロメタモール/ニコランジルの質量比が0.1〜1.5となるように用いるのが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.5である。
本発明では、上記必須成分に加えて、トロメタモール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)を添加するのが好ましい。トロメタモールの添加量は任意とすることができるが、トロメタモール/ニコランジルの質量比が0.1〜1.5となるように用いるのが好ましく、より好ましくは、0.1〜0.5である。
本発明では、さらに、追加の成分として、賦形剤、界面活性剤、着色剤や甘味剤などの医薬組成物に通常含有させる添加剤を添加することができる。ここで、賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖などの糖類、α化デンプンやデキストリンなどのデンプン類、結晶セルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、二酸化ケイ素があげられる。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムやショ糖脂肪酸エステルなどが、又、甘味剤としては、ショ糖やアスパルテームなどがあげられる。さらに、ステアリン酸マグネシウムやタルクなどの滑沢剤も添加できる。
本発明の医薬組成物は、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥して医薬組成物を製造するに当たり、凍結乾燥工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理を行うことを特徴とする製造方法により、製造するのが好ましい。
ここで、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液としては、マンニトール/ニコランジルの質量比、及び/又はマンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が上記範囲となるように、水、好ましくは注射用蒸留水に溶解するのが好ましい。この際、マンニトールの濃度が、1.25〜10質量%となるようにするのが好ましく、さらに、1.25〜8質量%となるようにするのが好ましい。同様に、トロメタモールを用いる場合には、トロメタモール/ニコランジルの質量比が上記範囲となるように、水に溶解するのが好ましい。
ここで、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液としては、マンニトール/ニコランジルの質量比、及び/又はマンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が上記範囲となるように、水、好ましくは注射用蒸留水に溶解するのが好ましい。この際、マンニトールの濃度が、1.25〜10質量%となるようにするのが好ましく、さらに、1.25〜8質量%となるようにするのが好ましい。同様に、トロメタモールを用いる場合には、トロメタモール/ニコランジルの質量比が上記範囲となるように、水に溶解するのが好ましい。
このようにして調整した水溶液のpHは、略中性から弱アルカリ性に調整するのが好ましく、より好ましくはpH7〜9に調整するのが好ましい。
このようにして調製した水溶液は、常法により、予備凍結の工程、加熱処理(アニーリング)を行う工程、乾燥工程、を順次含む凍結乾燥が行われる。加熱処理(アニーリング)後に2次凍結工程を行ってもよい。乾燥工程は1次(昇華)工程と2次(脱湿)工程と2回に分けてもよく、3回以上でもよい。例えば、予備凍結を−20℃〜−60℃で、好ましくは−30℃〜−50℃で、より好ましくは−35℃〜−45℃で行い、水溶液が凍結した後、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理(アニーリング)を行うのがよい。−2℃〜0℃への加熱処理(アニーリング)を行うのがより好ましく、−1℃〜0℃への加熱処理(アニーリング)を行うのがさらに好ましい。特に好ましくは0℃への加熱処理(アニーリング)である。0℃とは、該水溶液を凍結した凍結物が完全には水溶液にならない程度の温度である。この加熱処理は、合計で20分〜21日間行うのが好ましく、より好ましくは30分〜7日間であり、更に好ましくは40分〜72時間である。特に、加熱処理(アニーリング)時間は、ニコランジル2mg製剤では40分以上、12mg製剤では2時間以上及び48mg製剤では8時間以上あればよい。
2次凍結温度は予備凍結と同様に行うことができる。乾燥工程での1次(昇華)工程は、通常の減圧下で、温度−10℃〜−40℃、好ましくは−15℃〜−30℃で、2時間〜7日間、好ましくは5〜72時間行うことができる。乾燥工程での2次(脱湿)工程は、通常の減圧下で、温度10℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃で、3時間〜72時間、好ましくは6〜24時間行うことができる。
上記追加の成分は、必須成分とともに水溶液に添加して凍結乾燥処理に付すことができるが、必須成分の凍結乾燥後に、混合するのが好ましい。
このようにして調製した水溶液は、常法により、予備凍結の工程、加熱処理(アニーリング)を行う工程、乾燥工程、を順次含む凍結乾燥が行われる。加熱処理(アニーリング)後に2次凍結工程を行ってもよい。乾燥工程は1次(昇華)工程と2次(脱湿)工程と2回に分けてもよく、3回以上でもよい。例えば、予備凍結を−20℃〜−60℃で、好ましくは−30℃〜−50℃で、より好ましくは−35℃〜−45℃で行い、水溶液が凍結した後、少なくとも1回−3℃〜3℃へ、好ましくは−3℃〜0℃への加熱処理(アニーリング)を行うのがよい。−2℃〜0℃への加熱処理(アニーリング)を行うのがより好ましく、−1℃〜0℃への加熱処理(アニーリング)を行うのがさらに好ましい。特に好ましくは0℃への加熱処理(アニーリング)である。0℃とは、該水溶液を凍結した凍結物が完全には水溶液にならない程度の温度である。この加熱処理は、合計で20分〜21日間行うのが好ましく、より好ましくは30分〜7日間であり、更に好ましくは40分〜72時間である。特に、加熱処理(アニーリング)時間は、ニコランジル2mg製剤では40分以上、12mg製剤では2時間以上及び48mg製剤では8時間以上あればよい。
2次凍結温度は予備凍結と同様に行うことができる。乾燥工程での1次(昇華)工程は、通常の減圧下で、温度−10℃〜−40℃、好ましくは−15℃〜−30℃で、2時間〜7日間、好ましくは5〜72時間行うことができる。乾燥工程での2次(脱湿)工程は、通常の減圧下で、温度10℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃で、3時間〜72時間、好ましくは6〜24時間行うことができる。
上記追加の成分は、必須成分とともに水溶液に添加して凍結乾燥処理に付すことができるが、必須成分の凍結乾燥後に、混合するのが好ましい。
本発明の医薬組成物では、「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度近辺(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線の10.6度近辺(2θ)の回折ピーク値」が、2.0以下であるのが好ましい。ここで、X線回折のピーク角度(2θ)は各測定間で±0.3度、±0.2度若しくは±0.1度程度ずれる(主に平行移動する)ことがある。このため、本明細書において、9.8度(2θ)近辺は9.8度±0.3度(2θ)、9.8度±0.2度(2θ)若しくは9.8度±0.1度(2θ)であるのが好ましく、10.6度近辺(2θ)は10.6度±0.3度(2θ)、10.6度±0.2度(2θ)若しくは10.6度±0.1度(2θ)であるのが好ましい。
本発明において、例えば、上記ピーク比率を有するものは、上記凍結乾燥により容易に得ることができる。ここで、「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線の10.6度±0.3度(2θ)の回折ピーク値」は、0〜2.0であるのが好ましく、0〜1.0であるのがより好ましい。
「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」と「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」は、例えば、X線回折測定装置(Miniflex、理学電気株式会社、又はD8 DISCOVER with GADDS、ブルカーエイエックスエス株式会社)を用いて定法により、Cu−Kα線を用いて、X線回折チャートを得、このチャート上の9.8度(2θ)近辺のピーク値と10.6度近辺(2θ)のピーク値を実測し、その比率から容易に算出することができる。この際、X線回折の測定は、医薬組成物調製後1時間以内に行うのが好ましく、30分以内に行うのがより好ましい。
本発明において、例えば、上記ピーク比率を有するものは、上記凍結乾燥により容易に得ることができる。ここで、「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線の10.6度±0.3度(2θ)の回折ピーク値」は、0〜2.0であるのが好ましく、0〜1.0であるのがより好ましい。
「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」と「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」は、例えば、X線回折測定装置(Miniflex、理学電気株式会社、又はD8 DISCOVER with GADDS、ブルカーエイエックスエス株式会社)を用いて定法により、Cu−Kα線を用いて、X線回折チャートを得、このチャート上の9.8度(2θ)近辺のピーク値と10.6度近辺(2θ)のピーク値を実測し、その比率から容易に算出することができる。この際、X線回折の測定は、医薬組成物調製後1時間以内に行うのが好ましく、30分以内に行うのがより好ましい。
本発明の医薬組成物では、「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz近辺のピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz近辺のピーク強度」が、1.5以下であるのが好ましい。ここで、テラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルは各測定間で±0.2THz若しくは±0.1THz程度ずれる(主に平行移動する)ことがある。このため、本明細書において、1.01THz近辺は1.01THz±0.2THz若しくは1.01THz±0.1THzであるのが好ましく、0.95THz近辺は0.95THz±0.2THz若しくは0.95THz±0.1THzであるのが好ましい。
本発明において、例えば、上記ピーク強度比率を有するものは、上記凍結乾燥により容易に得ることができる。ここで、医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下、好ましくは1.3以下であるのがよい。
マンニトールのδ型結晶やニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルは、例えば、テラヘルツ分光システム(TAS7500、株式会社アドバンテスト)を用いて、周波数分解能7.6GHz、積算回数8192回で透過分光測定し吸光スペクトルを得、得られた吸光スペクトルを2次微分し2次微分スペクトルおよびピーク強度を得ることができる。得られたピーク強度の比率を算出する。この際、テラヘルツ透過分光測定は、医薬組成物調製後1時間以内に行うのが好ましく、30分以内に行うのがより好ましい。
本発明において、例えば、上記ピーク強度比率を有するものは、上記凍結乾燥により容易に得ることができる。ここで、医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下、好ましくは1.3以下であるのがよい。
マンニトールのδ型結晶やニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルは、例えば、テラヘルツ分光システム(TAS7500、株式会社アドバンテスト)を用いて、周波数分解能7.6GHz、積算回数8192回で透過分光測定し吸光スペクトルを得、得られた吸光スペクトルを2次微分し2次微分スペクトルおよびピーク強度を得ることができる。得られたピーク強度の比率を算出する。この際、テラヘルツ透過分光測定は、医薬組成物調製後1時間以内に行うのが好ましく、30分以内に行うのがより好ましい。
本発明では、さらに、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物中の(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下、好ましくは1.0以下となるように、又は(2)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下、好ましくは1.3以下となるように、ニコランジルとマンニトールを存在させることにより、該医薬組成物中のニコランジルを安定化させることができる。この安定化方法におけるピーク値の比率などは、上述した通りである。
本発明では、さらに、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の、(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下、好ましくは1.0以下となるか否かを測定すること、又は(2)「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下、好ましくは1.3以下となるか否かを測定することを含む、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を使用することができる。この保存安定性を評価する方法におけるピーク値の比率などは、上述した通りである。
本発明では、さらに、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下、好ましくは1.0以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物と評価する、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を使用することが出来る。この保存安定性を評価する方法におけるピーク値の比率などは、上述した通りである。
本発明では、さらに、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下、好ましくは1.3以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物と評価する、医薬組成物の保存安定性を評価する方法を使用することが出来る。この保存安定性を評価する方法におけるピーク値の比率などは、上述した通りである。
次に、実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製剤例1
日局ニコランジル300mg、D−マンニトール(商品名:マンニットS、三菱商事フードテック株式会社)75mg及びクエン酸ナトリウム水和物(和光純薬工業株式会社)300mgをそれぞれ秤量し、注射用蒸留水に溶解し、必要に応じてクエン酸(和光純薬工業株式会社)及び/又は水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)を添加してpHを7.0〜8.5の範囲に調整して全量を50mLとした。この溶解液を0.22μmメンブランフィルターで濾過後、胴径33.0mmのガラスバイアルに8mLずつ分注し、凍結乾燥装置(商品名:TriomasterII−A04、共和真空技術株式会社)を用いて、−40℃で予備凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥工程中の初期の冷却工程において品温0℃で6時間の加熱処理(アニーリング)を2回行なった。加熱処理工程中、目視上、凍結物は融解していなかった。その後、減圧して乾燥させた。その他は常法により凍結乾燥を行い、ゴム栓およびアルミキャップで密封して凍結乾燥製剤を得た。
製剤例2、6、7、11、13、14
製剤例1の製造方法に準じ、表1に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)となる様に凍結乾燥製剤を得た。
製剤例3
日局ニコランジル300mg、D−マンニトール(商品名:マンニットS、三菱商事フードテック株式会社)75mg及びクエン酸ナトリウム水和物(和光純薬工業株式会社)300mgをそれぞれ秤量し、注射用蒸留水に溶解し、必要に応じてクエン酸(和光純薬工業株式会社)及び/又は水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)を添加してpHを7.0〜8.5の範囲に調整して全量を50mLとした。この溶解液を0.22μmメンブランフィルターで濾過後、胴径24.5mmのガラスバイアルに2mLずつ分注し、凍結乾燥装置(商品名:TriomasterII−A04、共和真空技術株式会社)を用いて、−40℃で予備凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥工程中の初期の冷却工程において品温0℃で8時間の加熱処理(アニーリング)を2回行なった。加熱処理工程中、目視上、凍結物は融解していなかった。その後、減圧して乾燥させた。その他は常法により凍結乾燥を行い、ゴム栓およびアルミキャップで密封して凍結乾燥製剤を得た。
製剤例4〜5、8〜10、12、15〜17
製剤例3の製造方法に準じ、表1に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)となる様に凍結乾燥製剤を得た。
表1に製剤例1〜17の処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)を示す。
製剤例1
日局ニコランジル300mg、D−マンニトール(商品名:マンニットS、三菱商事フードテック株式会社)75mg及びクエン酸ナトリウム水和物(和光純薬工業株式会社)300mgをそれぞれ秤量し、注射用蒸留水に溶解し、必要に応じてクエン酸(和光純薬工業株式会社)及び/又は水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)を添加してpHを7.0〜8.5の範囲に調整して全量を50mLとした。この溶解液を0.22μmメンブランフィルターで濾過後、胴径33.0mmのガラスバイアルに8mLずつ分注し、凍結乾燥装置(商品名:TriomasterII−A04、共和真空技術株式会社)を用いて、−40℃で予備凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥工程中の初期の冷却工程において品温0℃で6時間の加熱処理(アニーリング)を2回行なった。加熱処理工程中、目視上、凍結物は融解していなかった。その後、減圧して乾燥させた。その他は常法により凍結乾燥を行い、ゴム栓およびアルミキャップで密封して凍結乾燥製剤を得た。
製剤例2、6、7、11、13、14
製剤例1の製造方法に準じ、表1に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)となる様に凍結乾燥製剤を得た。
製剤例3
日局ニコランジル300mg、D−マンニトール(商品名:マンニットS、三菱商事フードテック株式会社)75mg及びクエン酸ナトリウム水和物(和光純薬工業株式会社)300mgをそれぞれ秤量し、注射用蒸留水に溶解し、必要に応じてクエン酸(和光純薬工業株式会社)及び/又は水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社)を添加してpHを7.0〜8.5の範囲に調整して全量を50mLとした。この溶解液を0.22μmメンブランフィルターで濾過後、胴径24.5mmのガラスバイアルに2mLずつ分注し、凍結乾燥装置(商品名:TriomasterII−A04、共和真空技術株式会社)を用いて、−40℃で予備凍結し、凍結乾燥した。凍結乾燥工程中の初期の冷却工程において品温0℃で8時間の加熱処理(アニーリング)を2回行なった。加熱処理工程中、目視上、凍結物は融解していなかった。その後、減圧して乾燥させた。その他は常法により凍結乾燥を行い、ゴム栓およびアルミキャップで密封して凍結乾燥製剤を得た。
製剤例4〜5、8〜10、12、15〜17
製剤例3の製造方法に準じ、表1に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)となる様に凍結乾燥製剤を得た。
表1に製剤例1〜17の処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)を示す。
表1
製剤例18
製剤例9の処方にさらにトロメタモール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン、和光純薬工業株式会社)3mgを添加したこと、および凍結乾燥での加熱処理(アニーリング)を0℃で3時間及び−4℃で24時間の計2回としたこと以外は、製剤例9の製造方法に準じて凍結乾燥し、凍結乾燥製剤を得た。
製剤例19〜28−5
製剤例1の製造方法に準じ、表2に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)となるようにガラスバイアル(2mg製剤は胴径18.1mm、12mg製剤は胴径24.5mm、48mg製剤のうち製剤例19〜27、29〜36は胴径33.0mm、48mg製剤のうち製剤例28〜28−5は胴径30.0mm)に分注した。これらガラスバイアルを、凍結乾燥での加熱処理(アニーリング)を表3に示す条件としたこと以外は製剤例1の製造方法に準じて凍結乾燥し、凍結乾燥製剤を得た。製剤例28−3では、加熱処理工程中、目視上、凍結物は一部融解しており、ニコランジルの析出が確認された。製剤例28−4では、加熱処理工程中、凍結物は1.6時間までは一部融解していたが、終了時には全て融解したため、製造を中止した。
製剤例9の処方にさらにトロメタモール(トリスヒドロキシメチルアミノメタン、和光純薬工業株式会社)3mgを添加したこと、および凍結乾燥での加熱処理(アニーリング)を0℃で3時間及び−4℃で24時間の計2回としたこと以外は、製剤例9の製造方法に準じて凍結乾燥し、凍結乾燥製剤を得た。
製剤例19〜28−5
製剤例1の製造方法に準じ、表2に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)となるようにガラスバイアル(2mg製剤は胴径18.1mm、12mg製剤は胴径24.5mm、48mg製剤のうち製剤例19〜27、29〜36は胴径33.0mm、48mg製剤のうち製剤例28〜28−5は胴径30.0mm)に分注した。これらガラスバイアルを、凍結乾燥での加熱処理(アニーリング)を表3に示す条件としたこと以外は製剤例1の製造方法に準じて凍結乾燥し、凍結乾燥製剤を得た。製剤例28−3では、加熱処理工程中、目視上、凍結物は一部融解しており、ニコランジルの析出が確認された。製剤例28−4では、加熱処理工程中、凍結物は1.6時間までは一部融解していたが、終了時には全て融解したため、製造を中止した。
表2
表3
製剤例29〜38
製剤例28のクエン酸ナトリウムを表4に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)に置き換え、製剤例28の製造方法に準じて凍結乾燥製剤を得た。表4に記載した化合物はすべて和光純薬工業株式会社より入手した。
製剤例28のクエン酸ナトリウムを表4に示す処方(ガラスバイアルあたりの各成分の含量)に置き換え、製剤例28の製造方法に準じて凍結乾燥製剤を得た。表4に記載した化合物はすべて和光純薬工業株式会社より入手した。
表4
参考製剤1
ニコランジル12mg、D−マンニトール18mg及びクエン酸ナトリウム水和物を適量含有する凍結乾燥製剤(製品名:シグマート(登録商標)注12mg、中外製薬株式会社)を約4℃で保存し、用時取り出して使用した。
参考製剤2
ニコランジル12mg、D−マンニトール18mg及びクエン酸ナトリウム水和物6mg含有する凍結乾燥製剤(製品名:ニコランジル点滴静注用12mg「F」、富士製薬工業株式会社)を約4℃で保存し、用時取り出して使用した。
ニコランジル12mg、D−マンニトール18mg及びクエン酸ナトリウム水和物を適量含有する凍結乾燥製剤(製品名:シグマート(登録商標)注12mg、中外製薬株式会社)を約4℃で保存し、用時取り出して使用した。
参考製剤2
ニコランジル12mg、D−マンニトール18mg及びクエン酸ナトリウム水和物6mg含有する凍結乾燥製剤(製品名:ニコランジル点滴静注用12mg「F」、富士製薬工業株式会社)を約4℃で保存し、用時取り出して使用した。
試験例1<保存安定性試験>
凍結乾燥製剤を25℃60%相対湿度(RH)、40℃75%RH及び/又は50℃30%RHの恒温槽に保存した。製剤を経時的に取り出して以下の方法でニコランジル及び/又はニコランジルの分解物である硝酸イオン量を定量した。
ニコランジル定量法:
各製剤中に処方したニコランジル量としてニコランジル濃度が1mg/mLとなるよう製剤を以下の移動相溶液で溶解し、試料溶液とした。例えば、製剤例3のニコランジル12mg処方製剤は12mLの移動相溶液で溶解した。別にニコランジル20mgを量りとり、移動相溶液を加えて正確に20mLとし標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLにつき、以下の条件で液体クロマトグラフィーにより測定を行い、ニコランジルのピーク面積AT及びASを求めた。
凍結乾燥製剤を25℃60%相対湿度(RH)、40℃75%RH及び/又は50℃30%RHの恒温槽に保存した。製剤を経時的に取り出して以下の方法でニコランジル及び/又はニコランジルの分解物である硝酸イオン量を定量した。
ニコランジル定量法:
各製剤中に処方したニコランジル量としてニコランジル濃度が1mg/mLとなるよう製剤を以下の移動相溶液で溶解し、試料溶液とした。例えば、製剤例3のニコランジル12mg処方製剤は12mLの移動相溶液で溶解した。別にニコランジル20mgを量りとり、移動相溶液を加えて正確に20mLとし標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLにつき、以下の条件で液体クロマトグラフィーにより測定を行い、ニコランジルのピーク面積AT及びASを求めた。
測定条件
カラム:内径4mm、長さ25cmのステンレス管に粒子径5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てん
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相溶液:水/テトラヒドロフラン/トリエチルアミン/トリフルオロ酢酸混液(982:10:5:3)
測定波長:254nm
各製剤中のニコランジル量を以下の式(I)で算出した。
式(I):ニコランジル量(mg)=処方したニコランジル量×AT/AS
試験開始時のニコランジル量を100%として、保存後の各製剤のニコランジル残存率(%)を以下の式(II)で算出した。
式(II):ニコランジル残存率(%)= 保存後のニコランジル量/試験開始時のニコランジル量 × 100
カラム:内径4mm、長さ25cmのステンレス管に粒子径5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てん
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相溶液:水/テトラヒドロフラン/トリエチルアミン/トリフルオロ酢酸混液(982:10:5:3)
測定波長:254nm
各製剤中のニコランジル量を以下の式(I)で算出した。
式(I):ニコランジル量(mg)=処方したニコランジル量×AT/AS
試験開始時のニコランジル量を100%として、保存後の各製剤のニコランジル残存率(%)を以下の式(II)で算出した。
式(II):ニコランジル残存率(%)= 保存後のニコランジル量/試験開始時のニコランジル量 × 100
硝酸イオン定量法:
各製剤中に処方したニコランジル量としてニコランジル濃度が1mg/mLあるいは1.2mg/mLとなるよう製剤を移動相溶液で溶解し、試料溶液とした。別に硝酸ナトリウム27.4mgあるいは82.2mg(硝酸イオンとして20mgあるいは60mg)を量りとり、移動相溶液を加えて正確に20mLあるいは50mLとした。この溶液をさらに移動相溶液で125倍に希釈して標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLにつき、測定波長を210nmとした以外は、ニコランジル定量法の測定条件に準じて、硝酸イオンのピーク面積AT及びASを求めた。
各製剤に処方したニコランジル量を100%として、各製剤の硝酸イオン量(%)を以下の式(III)で算出した。
式(III):硝酸イオン量(%)= AT/AS × 100/125
表5〜7にニコランジル残存率(%)及び/又は硝酸イオン量(%)の算出結果を示す。
各製剤中に処方したニコランジル量としてニコランジル濃度が1mg/mLあるいは1.2mg/mLとなるよう製剤を移動相溶液で溶解し、試料溶液とした。別に硝酸ナトリウム27.4mgあるいは82.2mg(硝酸イオンとして20mgあるいは60mg)を量りとり、移動相溶液を加えて正確に20mLあるいは50mLとした。この溶液をさらに移動相溶液で125倍に希釈して標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液10μLにつき、測定波長を210nmとした以外は、ニコランジル定量法の測定条件に準じて、硝酸イオンのピーク面積AT及びASを求めた。
各製剤に処方したニコランジル量を100%として、各製剤の硝酸イオン量(%)を以下の式(III)で算出した。
式(III):硝酸イオン量(%)= AT/AS × 100/125
表5〜7にニコランジル残存率(%)及び/又は硝酸イオン量(%)の算出結果を示す。
表5
表中、製剤例1〜14は本発明品であり、製剤例16と17は比較例である。
表中、製剤例1〜14は本発明品であり、製剤例16と17は比較例である。
製剤例16、17及び参考製剤1の25℃60%RH、12ヶ月保存後の硝酸イオン量は、0.8%以上であった。ニコランジル凍結乾燥製剤の硝酸イオン量の規格値は0.8%以下であることから、これらの製剤は室温で12ヶ月の保存は困難である。一方、製剤例3〜5、8〜9および12の25℃60%RH、12ヶ月保存後の硝酸イオン量は0.39〜0.55%であり、室温で少なくとも12ヶ月の保存が可能である。製剤例1、2、6、7、11、13および14の50℃30%RH、6日保存後の硝酸イオン量は0.37〜0.50%であり、25℃保存に当てはめると約1年は保存が可能と考えられる。また、製剤例1〜14はさらに長い期間、例えば室温で18ヶ月あるいは24ヶ月以上保存可能であることが推測され、一部製剤については、25℃60%RH、24ヶ月以上保存可能であることが確認された。
これは、D−マンニトール/ニコランジルの質量比が製剤例16、17及び参考製剤1では1.5であるのに対し、製剤例1〜14では0.25〜1.25と低値であること、及び/又は、D−マンニトール/クエン酸ナトリウムの質量比が製剤例16及び17では3〜6であるのに対し、製剤例1〜9、及び11〜14では0.25〜2.5と低値であることで、後述するように、凍結乾燥時の各成分、特にD−マンニトールの結晶化に差異が生じたことによるものと考えられる。
これは、D−マンニトール/ニコランジルの質量比が製剤例16、17及び参考製剤1では1.5であるのに対し、製剤例1〜14では0.25〜1.25と低値であること、及び/又は、D−マンニトール/クエン酸ナトリウムの質量比が製剤例16及び17では3〜6であるのに対し、製剤例1〜9、及び11〜14では0.25〜2.5と低値であることで、後述するように、凍結乾燥時の各成分、特にD−マンニトールの結晶化に差異が生じたことによるものと考えられる。
表6
製剤例18は、いずれの保存条件においても、製剤例9および24と比較して硝酸イオン量がより低い値を示した。これはニコランジルの分解に伴い生成される硝酸イオンによるpH低下をトロメタモールの緩衝能で抑制することで、pH低下によるさらなるニコランジルの分解促進を抑制したものと考えられる。
ニコランジル凍結乾燥製剤では、40℃75%RHで4週及び8週の保存条件は25℃保存に当てはめると約1年程度及び約2年程度の保存条件に、また、50℃30%RHで6日及び13日の保存条件は25℃保存に当てはめると約1年及び約3年程度の保存条件に該当すると推測されることから、これらの製剤は室温で2年以上保存可能であることが推測される。
製剤例18は、いずれの保存条件においても、製剤例9および24と比較して硝酸イオン量がより低い値を示した。これはニコランジルの分解に伴い生成される硝酸イオンによるpH低下をトロメタモールの緩衝能で抑制することで、pH低下によるさらなるニコランジルの分解促進を抑制したものと考えられる。
ニコランジル凍結乾燥製剤では、40℃75%RHで4週及び8週の保存条件は25℃保存に当てはめると約1年程度及び約2年程度の保存条件に、また、50℃30%RHで6日及び13日の保存条件は25℃保存に当てはめると約1年及び約3年程度の保存条件に該当すると推測されることから、これらの製剤は室温で2年以上保存可能であることが推測される。
表7
表中の製剤例19〜21は比較例、製剤例22〜28−5は本発明品である。
表中の製剤例19〜21は比較例、製剤例22〜28−5は本発明品である。
製剤例19及び20の50℃30%RH、12日保存後のニコランジル残存率は35.9及び44.2%と低値であり、製剤例21の50℃30%RH、6日保存後の硝酸イオン量は1.02%と高値であった。一方、製剤例22〜28−5では、50℃30%RH、12日保存後のニコランジル残存率は97.6%と高値を、及び/又は50℃30%RH、6日保存後の硝酸イオン量は0.32〜0.58%と低値を示した。
これは、凍結乾燥時に加熱処理(アニーリング)を行っていない製剤例19及び−10℃又は−4℃で加熱処理(アニーリング)を行った製剤20及び21では保存安定性を得るための結晶化条件として適切ではなかったものと考えられる。一方、製剤例22〜28−5では0〜1℃での加熱処理(アニーリング)を行ったことにより凍結乾燥時の保存安定性を得るための結晶化に好影響を及ぼしたものと考えられる。
ニコランジル凍結乾燥製剤では、50℃30%RHで6日、12日の保存条件は25℃保存に当てはめるとそれぞれ約1年、2年〜3年程度の保存条件に該当すると推測される。また、0℃での加熱処理(アニーリング)の時間は2mg製剤では40分以上、12mg製剤では2時間以上及び48mg製剤では8時間以上あればよく、加熱処理(アニーリング)は1回でも2回以上に分けて行っても良いと考えられる。
加熱処理工程中では凍結物が全て融解しないことが望ましく、1℃での加熱処理(アニーリング)の時間は48mg製剤では9時間以内、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内であり、3℃での加熱処理(アニーリング)の時間は48mg製剤では1.6時間以内、好ましくは0.8時間以内、より好ましくは0.4時間以内である。
これは、凍結乾燥時に加熱処理(アニーリング)を行っていない製剤例19及び−10℃又は−4℃で加熱処理(アニーリング)を行った製剤20及び21では保存安定性を得るための結晶化条件として適切ではなかったものと考えられる。一方、製剤例22〜28−5では0〜1℃での加熱処理(アニーリング)を行ったことにより凍結乾燥時の保存安定性を得るための結晶化に好影響を及ぼしたものと考えられる。
ニコランジル凍結乾燥製剤では、50℃30%RHで6日、12日の保存条件は25℃保存に当てはめるとそれぞれ約1年、2年〜3年程度の保存条件に該当すると推測される。また、0℃での加熱処理(アニーリング)の時間は2mg製剤では40分以上、12mg製剤では2時間以上及び48mg製剤では8時間以上あればよく、加熱処理(アニーリング)は1回でも2回以上に分けて行っても良いと考えられる。
加熱処理工程中では凍結物が全て融解しないことが望ましく、1℃での加熱処理(アニーリング)の時間は48mg製剤では9時間以内、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内であり、3℃での加熱処理(アニーリング)の時間は48mg製剤では1.6時間以内、好ましくは0.8時間以内、より好ましくは0.4時間以内である。
表8
表中、製剤例28〜34は本発明品、製剤例35〜36は比較例。
表中、製剤例28〜34は本発明品、製剤例35〜36は比較例。
クエン酸ナトリウムをL−酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウムあるいはコハク酸2ナトリウムに置き換えた製剤例29〜34では、硝酸イオン量は凍結乾燥直後は0.2%以下、50℃30%RH、6日保存後は0.36〜0.69%とニコランジル凍結乾燥製剤の硝酸イオン量の規格値である0.8%以下であり、これらの製剤は室温で12ヶ月以上の保存が可能であることが推測される。また、製剤例28のクエン酸ナトリウムと当モル量の有機カルボン酸のナトリウム塩を添加した製剤例29、31および33の50℃30%RH、6日保存後の硝酸イオン量は製剤例28に比べ若干高めであったが、クエン酸ナトリウムと同じくニコランジルの保存安定化効果を有すると考えられる。
一方、クエン酸ナトリウムをリン酸水素ナトリウム水和物に置き換えた製剤例35では、硝酸イオン量は凍結乾燥直後に0.68%と高値を示し、50℃30%RH、6日保存後は3.25%であった。クエン酸ナトリウムを炭酸水素ナトリウムに置き換えた製剤例36では、硝酸イオン量は凍結乾燥直後は0.2%以下であったが、50℃30%RH、6日保存後は2.66%と高値を示した。
従って、無機酸のアルカリ金属塩を添加した製剤は室温で12ヶ月以上の保存は不可能である。また、リン酸水素ナトリウム水和物は凍結乾燥工程におけるニコランジルの安定化作用を有しないと考えられる。
一方、クエン酸ナトリウムをリン酸水素ナトリウム水和物に置き換えた製剤例35では、硝酸イオン量は凍結乾燥直後に0.68%と高値を示し、50℃30%RH、6日保存後は3.25%であった。クエン酸ナトリウムを炭酸水素ナトリウムに置き換えた製剤例36では、硝酸イオン量は凍結乾燥直後は0.2%以下であったが、50℃30%RH、6日保存後は2.66%と高値を示した。
従って、無機酸のアルカリ金属塩を添加した製剤は室温で12ヶ月以上の保存は不可能である。また、リン酸水素ナトリウム水和物は凍結乾燥工程におけるニコランジルの安定化作用を有しないと考えられる。
試験例2<凍結乾燥組成物のX線回折測定>
D−マンニトールδ型結晶(商品名:パーテック デルタM、メルク株式会社)、日局ニコランジルおよびこれらを表9に示す質量比率で混合した試料を、試料混合後30分以内に、X線回折測定装置(Miniflex、理学電気株式会社、又はD8 DISCOVER with GADDS、ブルカーエイエックスエス株式会社)を用いて定法により、X線回折測定を開始してX線回折チャートおよび各X線回折ピークのピーク強度を得た。尚、X線回折測定装置の検出限界以下のピークのピーク強度は0とした。図1にD−マンニトールδ型結晶のX線回折チャートを、図2にニコランジルのX線回折チャートを示す。D−マンニトールδ型結晶に特異的なX線回折反射である9.8度近辺(図中の▼印)のピーク強度とニコランジルに特異的なX線回折反射である10.6度近辺(図中の★印)のピーク強度の比を算出し、混合比率との相関関係を得た。表9に9.8度近辺のピーク強度、10.6度近辺のピーク強度およびこれらの強度比(9.8度/10.6度)を、図3にD−マンニトールδ型結晶/ニコランジル混合比率と9.8度/10.6度の相関図を示す。
D−マンニトールδ型結晶(商品名:パーテック デルタM、メルク株式会社)、日局ニコランジルおよびこれらを表9に示す質量比率で混合した試料を、試料混合後30分以内に、X線回折測定装置(Miniflex、理学電気株式会社、又はD8 DISCOVER with GADDS、ブルカーエイエックスエス株式会社)を用いて定法により、X線回折測定を開始してX線回折チャートおよび各X線回折ピークのピーク強度を得た。尚、X線回折測定装置の検出限界以下のピークのピーク強度は0とした。図1にD−マンニトールδ型結晶のX線回折チャートを、図2にニコランジルのX線回折チャートを示す。D−マンニトールδ型結晶に特異的なX線回折反射である9.8度近辺(図中の▼印)のピーク強度とニコランジルに特異的なX線回折反射である10.6度近辺(図中の★印)のピーク強度の比を算出し、混合比率との相関関係を得た。表9に9.8度近辺のピーク強度、10.6度近辺のピーク強度およびこれらの強度比(9.8度/10.6度)を、図3にD−マンニトールδ型結晶/ニコランジル混合比率と9.8度/10.6度の相関図を示す。
表9
D−マンニトールδ型結晶/ニコランジル質量比が0.000〜4.000の範囲では9.8度/10.6度との相関係数(R2)は0.9982であり、図3に示されるように、ほぼ直線性が得られた。
表10に示した製剤例および参考製剤を開封して中の凍結乾燥組成物を粉末化して試料とし、開封後30分以内に同様にX線回折測定を開始してX線回折チャートおよび各X線回折ピークのピーク強度を得た。また、D−マンニトールβ型結晶(商品名:マンニットS、三菱商事フードテック株式会社)のX線回折チャートおよび各X線回折ピークのピーク強度を同様に得た。図4〜9に代表的な試料のX線回折チャートを示す。
表10に示した製剤例および参考製剤を開封して中の凍結乾燥組成物を粉末化して試料とし、開封後30分以内に同様にX線回折測定を開始してX線回折チャートおよび各X線回折ピークのピーク強度を得た。また、D−マンニトールβ型結晶(商品名:マンニットS、三菱商事フードテック株式会社)のX線回折チャートおよび各X線回折ピークのピーク強度を同様に得た。図4〜9に代表的な試料のX線回折チャートを示す。
すべての製剤例および参考製剤のX線回折パターンから、ニコランジル結晶に特異的なX線回折反射である9.0度及び10.6度近辺のピークが認められた。製剤例6、13、29、31、33、16、35、参考製剤1及び2のX線回折パターンから、D−マンニトールδ型結晶に特異的なX線回折反射である9.8度近辺のピークが認められたが、製剤例1、2、7、9、11、28−2および28−3のX線回折パターンからは9.8度近辺のピークは認められなかった。また、すべての製剤例および参考製剤のX線回折パターンから、D−マンニトールβ型結晶に特異的なX線回折反射である29.5度近辺のピークは認められなかった。したがって、いずれの製剤例および参考製剤の組成物にはニコランジル結晶が存在しており、一方、D−マンニトールβ型結晶はほとんど存在していないと考えられる。製剤例6、13、29、31、33、16、35、参考製剤1及び2の組成物にはD−マンニトールδ型結晶が存在していると考えられるが、製剤例1、2、7、9、11、28−2および28−3の組成物にはD−マンニトールδ型結晶が存在していないと考えられる。
D−マンニトールδ型結晶に特異的なX線回折反射である9.8度近辺のピーク強度とニコランジルに特異的なX線回折反射である10.6度近辺のピーク強度および9.8度/10.6度を算出した。表10に各製剤の9.8度/10.6度の算出結果を示す。
D−マンニトールδ型結晶に特異的なX線回折反射である9.8度近辺のピーク強度とニコランジルに特異的なX線回折反射である10.6度近辺のピーク強度および9.8度/10.6度を算出した。表10に各製剤の9.8度/10.6度の算出結果を示す。
表10
表中、製剤例1〜13および製剤例28−2〜33は本発明品、製剤例16および製剤例35は比較例。
表中、製剤例1〜13および製剤例28−2〜33は本発明品、製剤例16および製剤例35は比較例。
有機カルボン酸のアルカリ金属塩を添加した製剤の9.8度/10.6度は、製剤例16では2.88、参考製剤1および2では5.46および3.88と高値を示した。一方、製剤例1〜13および28−2〜33では0〜1.64と低値であり、D−マンニトールδ型結晶のニコランジル結晶に対する比率が低い状態であった。試験例1の保存安定性試験の結果と併せてみると、有機カルボン酸のアルカリ金属塩を添加した製剤では9.8度/10.6度が2.88以上の製剤は、室温で12ヶ月の保存は困難である。一方、9.8度/10.6度が1.64以下の製剤は、室温で少なくとも12ヶ月の保存が可能である。また、さらに長い期間、例えば室温で18ヶ月あるいは24ヶ月以上保存可能であることが推測され、一部製剤については25℃60%RH、24ヶ月以上保存可能であることが確認された。
これは、凍結乾燥組成物の処方中のD−マンニトール/ニコランジル質量比が低いこと及び凍結乾燥組成物中のD−マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩質量比が低いこと及び加熱処理を行う工程を含む凍結乾燥工程、により凍結乾燥時にD−マンニトールのδ型結晶生成が抑制され、その結果ニコランジルの保存安定性が改善されているものと考えられる。
これは、凍結乾燥組成物の処方中のD−マンニトール/ニコランジル質量比が低いこと及び凍結乾燥組成物中のD−マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩質量比が低いこと及び加熱処理を行う工程を含む凍結乾燥工程、により凍結乾燥時にD−マンニトールのδ型結晶生成が抑制され、その結果ニコランジルの保存安定性が改善されているものと考えられる。
試験例3<凍結乾燥組成物のテラヘルツ透過分光測定>
D-マンニトールδ型結晶、日局ニコランジルおよびこれらを表11に示す質量比率で混合した試料各70mgをポリエチレン130mgとメノウ乳鉢で均一になるまで混合し、錠剤成型器および手動油圧プレス(STJ−10P、株式会社エス・テイ・ジャパン)を用いて真空ポンプで脱気しながら14.5kNで圧縮成型して直径10mm厚さ約2.7mmの錠剤を作製した。混合開始後30分以内に、テラヘルツ分光システム(TAS7500、株式会社アドバンテスト)を用いて、周波数分解能7.6GHz、積算回数8192回で透過分光測定し吸光スペクトルを得た。得られた吸光スペクトルを2次微分し2次微分スペクトルおよびピーク強度を得た。尚、テラヘルツ分光システムの検出限界以下のピークのピーク強度は0とした。図10にD-マンニトールδ型結晶の吸光スペクトルおよび図11にニコランジルの吸光スペクトルを、図12にD-マンニトールδ型結晶の吸光スペクトルの2次微分スペクトルおよび図13にニコランジルの吸光スペクトルの2次微分スペクトル示す。D-マンニトールδ型結晶に特異的な2次微分ピークである1.01THz近辺(図中の▲印)のピーク強度とニコランジルに特異的な2次微分ピークである0.95THz近辺(図中の☆印)のピーク強度との比を算出し、混合比率との相関関係を得た。表11に1.01THz近辺のピーク強度と0.95THz近辺のピーク強度との強度比(1.01THz/0.95THz)を、図14にD-マンニトールδ型結晶/ニコランジル混合比率と1.01THz/0.95THzの相関図を示す。
D-マンニトールδ型結晶、日局ニコランジルおよびこれらを表11に示す質量比率で混合した試料各70mgをポリエチレン130mgとメノウ乳鉢で均一になるまで混合し、錠剤成型器および手動油圧プレス(STJ−10P、株式会社エス・テイ・ジャパン)を用いて真空ポンプで脱気しながら14.5kNで圧縮成型して直径10mm厚さ約2.7mmの錠剤を作製した。混合開始後30分以内に、テラヘルツ分光システム(TAS7500、株式会社アドバンテスト)を用いて、周波数分解能7.6GHz、積算回数8192回で透過分光測定し吸光スペクトルを得た。得られた吸光スペクトルを2次微分し2次微分スペクトルおよびピーク強度を得た。尚、テラヘルツ分光システムの検出限界以下のピークのピーク強度は0とした。図10にD-マンニトールδ型結晶の吸光スペクトルおよび図11にニコランジルの吸光スペクトルを、図12にD-マンニトールδ型結晶の吸光スペクトルの2次微分スペクトルおよび図13にニコランジルの吸光スペクトルの2次微分スペクトル示す。D-マンニトールδ型結晶に特異的な2次微分ピークである1.01THz近辺(図中の▲印)のピーク強度とニコランジルに特異的な2次微分ピークである0.95THz近辺(図中の☆印)のピーク強度との比を算出し、混合比率との相関関係を得た。表11に1.01THz近辺のピーク強度と0.95THz近辺のピーク強度との強度比(1.01THz/0.95THz)を、図14にD-マンニトールδ型結晶/ニコランジル混合比率と1.01THz/0.95THzの相関図を示す。
表11
D-マンニトールδ型結晶/ニコランジル質量比が0.053〜0.250では検出限界以下であり、ピーク強度は0とした。0.250〜1.500の範囲では1.01THz/0.95THzとの相関係数(R2)は0.9976であり、図14に示されるように、ほぼ直線性が得られた。
表12に示した製剤例および参考製剤を開封して中の凍結乾燥組成物を粉末化して試料とし、開封後30分以内に同様にテラヘルツ透過分光測定を開始して吸収スペクトルおよび吸収スペクトル2次微分スペクトルおよび2次微分ピークのピーク強度を得た。また、D-マンニトールβ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトルおよび吸収スペクトル2次微分スペクトルを同様に得た。図15〜19に代表的な試料のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルを示す。
表12に示した製剤例および参考製剤を開封して中の凍結乾燥組成物を粉末化して試料とし、開封後30分以内に同様にテラヘルツ透過分光測定を開始して吸収スペクトルおよび吸収スペクトル2次微分スペクトルおよび2次微分ピークのピーク強度を得た。また、D-マンニトールβ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトルおよび吸収スペクトル2次微分スペクトルを同様に得た。図15〜19に代表的な試料のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルを示す。
すべての製剤例および参考製剤の2次微分スペクトルパターンから、ニコランジル結晶に特異的な吸収である0.95THz近辺のピークが認められた。製剤例9、13、29、31、33、16、35、参考製剤1及び2の2次微分スペクトルパターンから、D-マンニトールδ型結晶に特異的な吸収である1.01THz近辺のピークが認められたが、製剤例1、2、6、7および11の2次微分スペクトルパターンからは0.95THz近辺のピークは認められなかった。また、すべての製剤例および参考製剤の2次微分スペクトルパターンから、D-マンニトールδ型結晶に特異的な吸収である1.50THz近辺のピークは認められなかった。したがって、いずれの製剤例および参考製剤の組成物にはニコランジル結晶が存在しており、一方、D-マンニトールβ型結晶はほとんど存在していないと考えられる。製剤例9、13、29、31、33、16、35、参考製剤1及び2の組成物にはD-マンニトールδ型結晶が存在していると考えられるが、製剤例1、2、6、7および11の組成物にはD-マンニトールδ型結晶が存在していないと考えられる。
D-マンニトールδ型結晶に特異的な吸収である1.01THz近辺のピーク強度とニコランジルに特異的な吸収である0.95THz近辺のピーク強度の比(1.01THz/0.95THz)を算出した。表12に各製剤の1.01THz/0.95THzの算出結果を示す。
D-マンニトールδ型結晶に特異的な吸収である1.01THz近辺のピーク強度とニコランジルに特異的な吸収である0.95THz近辺のピーク強度の比(1.01THz/0.95THz)を算出した。表12に各製剤の1.01THz/0.95THzの算出結果を示す。
表12
有機カルボン酸のアルカリ金属塩を添加した製剤の1.01THz/0.95THzは、製剤例16では3.574、参考製剤1および2では3.643および3.806と高値を示した。一方、製剤例1〜13および29〜33では0〜1.296と低値であり、D-マンニトールδ型結晶のニコランジル結晶に対する比率が低い状態であった。試験例1の保存安定性試験の結果と併せてみると、有機カルボン酸のアルカリ金属塩を添加した製剤では1.01THz/0.95THzが3.574以上の製剤は、室温で12ヶ月の保存は困難である。一方、1.01THz/0.95THzが1.296以下の製剤は、室温で少なくとも12ヶ月の保存が可能である。また、さらに長い期間、例えば室温で18ヶ月あるいは24ヶ月以上保存可能であることが推測され、一部製剤については25℃60%RH、24ヶ月以上保存可能であることが確認された。
これは、凍結乾燥組成物の処方中のD−マンニトール/ニコランジル質量比が低いこと及び凍結乾燥組成物中のD−マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩質量比が低いこと及び加熱処理を行う工程を含む凍結乾燥工程、により凍結乾燥時にD−マンニトールのδ型結晶生成が抑制され、その結果ニコランジルの保存安定性が改善されているものと考えられる。
これは、凍結乾燥組成物の処方中のD−マンニトール/ニコランジル質量比が低いこと及び凍結乾燥組成物中のD−マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩質量比が低いこと及び加熱処理を行う工程を含む凍結乾燥工程、により凍結乾燥時にD−マンニトールのδ型結晶生成が抑制され、その結果ニコランジルの保存安定性が改善されているものと考えられる。
Claims (18)
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が、2.0以下であるか、又は(2)「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下であることを特徴とする医薬組成物。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が、2.0以下であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物であって、「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
- マンニトール/ニコランジルの質量比が0.25〜1.25である請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
- マンニトール/有機カルボン酸のアルカリ金属塩のモル比が0.4〜4.0である請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
- 凍結乾燥組成物の形態にある請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
- 凍結乾燥組成物が、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造されるものである請求項6記載の医薬組成物。
- 凍結乾燥組成物が、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜0℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造されるものである請求項6記載の医薬組成物。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する凍結乾燥組成物であって、凍結乾燥組成物が、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造されるものである凍結乾燥組成物。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する凍結乾燥組成物であって、凍結乾燥組成物が、ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥する工程中に、少なくとも1回−3℃〜0℃への加熱処理を行う凍結乾燥方法により製造されるものである凍結乾燥組成物。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥して医薬組成物を製造するに当たり、凍結乾燥工程中に、少なくとも1回−3℃〜3℃への加熱処理を行うことを特徴とする医薬組成物の製造方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する水溶液を凍結乾燥して医薬組成物を製造するに当たり、凍結乾燥工程中に、少なくとも1回−3℃〜0℃への加熱処理を行うことを特徴とする医薬組成物の製造方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物におけるニコランジルの安定化方法であって、(1)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となるように、又は(2)医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となるように、ニコランジルとマンニトールを存在させることを特徴とするニコランジルの安定化方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物におけるニコランジルの安定化方法であって、医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となるように、ニコランジルとマンニトールを存在させることを特徴とする請求項13記載のニコランジルの安定化方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物におけるニコランジルの安定化方法であって、医薬組成物中の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となるように、ニコランジルとマンニトールを存在させることを特徴とする請求項14記載のニコランジルの安定化方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の、(1)「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となるか否を測定すること、又は(2)「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となるか否を測定すること含む、医薬組成物の保存安定性を評価する方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のX線回折の9.8度±0.3度(2θ)のピーク値」/「ニコランジル結晶のX線回折の10.6度±0.3度(2θ)のピーク値」が2.0以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物と評価する、請求項16記載の医薬組成物の保存安定性を評価する方法。
- ニコランジル、マンニトール及び有機カルボン酸のアルカリ金属塩を含有する医薬組成物の「マンニトールのδ型結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの1.01THz±0.2THzのピーク強度」/「ニコランジル結晶のテラヘルツ透過分光測定の吸収スペクトル2次微分スペクトルの0.95THz±0.2THzのピーク強度」が1.5以下となる場合に室温で2年間安定な医薬組成物を評価する、請求項16記載の医薬組成物の保存安定性を評価する方法。
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