JPWO2012173110A1 - 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の作成方法 - Google Patents

色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の作成方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、色素増感太陽電池であって、負電極基板と、前記負電極基板上に形成され、増感剤を担持する光電変換層と、前記光電変換層上に形成された電解質層と、前記電解質層上に形成された対向電極とを備え、前記対向電極は、透明基材と、前記透明基材上に形成された透明導電層と、前記透明導電層上に配置され、所定のパターン形状を有する金属配線層と、絶縁性樹脂を含む材料により形成され、前記所定のパターン形状を有する金属配線層を被覆する保護層と、前記透明導電層および前記保護層を被覆する触媒層とを備える。

Description

本発明は、色素増感太陽電池に関する。より詳細には、本発明は、負電極に対向して設けられている対向電極(正電極)を介して光を照射することにより発電する色素増感太陽電池に関する。
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらにより開発され、光電変換効率が高く、製造コストが安い等の利点を有し、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている(例えば、特許文献1など参照)。
色素増感太陽電池は、図1に示されるように、負電極7の上に、電解質層8を介して正極11が設けられた構造を有している。また、前記負電極7は、図1に示されるように、透明ガラスもしくは透明樹脂フィルムなどの透明基材1aの上に透明導電膜1b(例えば、ITO膜)が設けられた電極基板1と、この電極基板1の透明導電膜1b上に設けられ、その表面に増感剤(例えば、Ru色素)5を吸着させた二酸化チタンなどの金属半導体で形成される多孔質層3とを有している。
このような構造の色素増感太陽電池では、負電極7側から可視光を照射すると、増感剤(光電変換材料)5が励起され、基底状態から励起状態へと遷移する。また、励起された光電変換材料5に含まれる電子は、半導体で形成される多孔質層3の伝導帯へ注入され、外部回路12を通って正電極11に移動する。さらに、正電極11に移動した電子は、電解液中のイオンによって、光電変換材料5に運ばれ、元の状態に戻る。上述の過程を繰り返すことによって電気エネルギーが取り出される。上述の色素増感太陽電池の発電メカニズムは、pn接合型光電変換素子と異なり、光の捕捉と電子伝導とが別々の場所で行われるため、植物の光電変換プロセスに非常に似たメカニズムである。
ところで、上記のように電極基板1を介して光電変換材料5に光照射を行った場合には、透明導電膜1bの電気抵抗が大きいため、セル(電池として機能する発電最小単位)を大型化すると、内部抵抗が上昇する、もしくは変換効率が大きく低下するという問題が生じる。
このような問題を解決するために、特許文献1には、負電極の対向電極(正電極)を介して光を照射することで発電を行う色素増感太陽電池が開示されている。この構造の太陽電池では、負電極側に設けられた電極基板を介して光が照射されないため、色素を担持している半導体多孔質層を、直接、低抵抗金属基体に設けることができる。したがって、この構造の太陽電池を用いることで、セルの大型化による内部抵抗が上昇すること、及び変換効率が低下することを有効に回避することができる。
日本国特許第4638973号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるような対向電極を用いた場合、セルの大型化によって対向電極の内部抵抗が上昇するため、光電変換効率が低下する。また、透明導電層だけで所定の表面抵抗値を得るためには、透明導電層を厚くする必要があるため、対向電極の全光線透過率が低下してしまい、光電変換効率が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、対向電極を介して光を照射することにより発電し、セルの大型化による対向電極の内部抵抗上昇による変換効率の低下を防止することができ、かつ、耐久性に優れ、長期間にわたって安定した変換効率を確保できる色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第1様態の色素増感太陽電池は、負電極基板と、前記負電極基板上に形成され、増感剤を担持する光電変換層と、前記光電変換層上に形成された電解質層と、前記電解質層上に形成された対向電極とを備え、前記対向電極は、透明基材と、前記透明基材上に形成された透明導電層と、前記透明導電層上に配置され、所定のパターン状を有する金属配線層と、絶縁性樹脂を含む材料により形成され、前記所定のパターン形状を有する金属配線層を被覆する保護層と、前記透明導電層および前記保護層を被覆する触媒層とを備える。
本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記絶縁性樹脂はフッ素系レベリングを含むことが好ましい。
本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記絶縁性樹脂はシリコーン系レベリングを含有するレベリングを含むことが好ましい。
本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記絶縁性樹脂はアクリル系レベリングを含有するレベリングを含むことが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記対向電極において、前記透明基材、前記透明導電層、および前記触媒層が積層されている部分の全光線透過率が60%以上95%以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記対向電極において、前記透明導電層を前記金属配線層と前記保護層とが透明基材を覆っている面積の割合は、2.5%以上30%以下であることが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記透明導電層の表面抵抗値は0.1Ω/□以上1000Ω/□以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記金属配線層は、5×10−3Ω・m以下の比抵抗を有する金属または合金から形成されていることが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記金属配線層は、アルミニウム、銅、チタン、もしくは銀から形成されていることが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記絶縁性保護層は無機粒子を含むことが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記無機粒子は、一次粒子径が1nm以上5μm以下の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の第1様態の色素増感太陽電池においては、前記触媒層は、白金、もしくは白金化合物を含む化合物、または、カーボンを含む化合物または導電性高分子を含む化合物であることが好ましい。
また、本発明の第2様態の負電極基板と、前記負電極基板上に形成された増感剤を担持する光電変換層と、前記光電変換層上に形成された電解質層と、前記電解質層上に形成された対向電極とを積層させて備える色素増感太陽電池における前記対向電極の製造方法は、透明基材上に透明導電層を形成し、前記透明導電層上に所定のパターン形状を有する金属配線層を形成し、前記所定のパターン形状を有する金属配線を被覆するように絶縁性樹脂を含む保護層材料を含む塗液を塗布し、前記保護層材料を硬化させ、保護層を形成し、前記透明導電層および前記保護層を被覆するように触媒層を形成することによって形成される。
本発明の色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の製造方法によれば、対向電極に用いる透明電極層の電気抵抗を下げるとともに、全光線透過率および開口率を向上させることができるために、光電変換効率を向上させることができる。さらに、本発明の色素増感太陽電池の製造方法によれば、製造工程の歩留まりを向上させることができる。
例えば、対向電極に金属配線層を設けない場合、セルの大型化による対向電極における内部抵抗が上昇することで、光電変換効率が低下する。また、金属配線を設けずに、透明導電層だけで所定の表面抵抗値を得るためには、透明導電層を厚くする必要がある。そのため、対向電極の全光線透過率が低下し、光電変換効率が低下する。
本発明の色素増感太陽電池を用いる場合、上記課題が解決され、対向電極を介して光を照射することにより発電し、セルの大型化による対向電極の内部抵抗上昇による変換効率の低下を防止することができる。
また、金属配線層を設けた場合は、金属配線層が電解質層に直接接触するため、劣化してしまう。その結果として、光電変換効率が低下する。本願発明の色素増感太陽電池を用いる場合、保護層により金属配線層を覆うことにより、耐久性に優れ、長期間にわたって安定した変換効率を確保できる。また、本発明では、絶縁性樹脂を用いて保護層を形成する。保護層が絶縁性であることにより金属配線から電解質層へ電子が移動することを防ぎ、光電変換効率の低下を防ぐことができる。
従来の色素増感太陽電池を示す断面模式図である。 本発明の色素増感太陽電池を示す断面模式図である。 本発明の色素増感太陽電池における金属配線層及び保護層を示す説明図(断面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における金属配線層及び保護層を示す説明図(上面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における製造工程(対向電極形成工程)を示す説明図(断面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における製造工程(対向電極形成工程)を示す説明図(断面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における製造工程(対向電極形成工程)を示す説明図(断面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における金属配線層及び保護層を示す説明図(断面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における製造工程(光電変換層形成工程)を示す説明図(断面図)である。 本発明の色素増感太陽電池における金属配線層を示す説明図(上面図)である。 本発明の色素増感太陽電池を示す模式図(側面図)である。
以下に、本発明における色素増感太陽電池の一実施形態を、図2を参照しながら説明する。
図2に示される色素増感太陽電池は、電極基板10と、電極基板10上に形成された増感剤25を有する光電変換層20と、光電変換層20上に形成された電解質層30と、電解質層30上に形成された対向電極40とが積層されている。さらに、対向電極40は、透明基材41と、透明基材41上に形成された透明導電層42と、透明導電層42上に配置され、所定のパターン形状を有する金属配線層43と、絶縁性を有する樹脂により形成され、金属配線層43を被覆する保護層45と、透明導電層42と保護層45とを被覆する触媒層47とを有している。
〔電極基板〕
アルミニウム、チタン、銅、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、亜鉛、およびモリブデンのいずれかが電極基板10として用いることが好ましい。これらの金属の代わりに、前記金属の特性を損なわない合金を用いてもよい。前記金属のうち、アルミニウム、チタン、銅、ニッケル、またはステンレス鋼を用いることがより好ましく、ニッケル、銅、またはチタンを用いることがさらに好ましく、チタンを用いることがもっとも好ましい。本発明に用いられる金属基板の表面抵抗は、低いほどよい。好ましい表面抵抗の範囲としては10Ω/□以下であり、さらに好ましくは1Ω/□以下であり、特に好ましくは0.1Ω/□以下である。本発明における金属基板の厚さは10μm以上2000μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは10μm以上1000μm以下であり、特に好ましくは50μm以上200μm以下である。
ここで、上述の表面抵抗の単位に用いられる「Ω/□」は、単位面積あたりの抵抗を表しており、「Ω/sq.」もしくは「Ω/cm」と置き換えることも可能である。
〔光電変換層〕
光電変換層20は、酸化物半導体多孔質膜21に増感剤25を担持させることで形成される。酸化物半導体多孔質膜は、平均粒子径の異なる少なくとも2種の半導体粒子を含有していることが好ましい。光電変換層20は、特定の半導体粒子群を含有するペーストの塗膜を形成し、この塗膜を焼結して形成される。上述のように、異なる平均粒子径を有する半導体粒子を焼結により形成することによって、酸化物半導体多孔質膜に多数のナノ細孔を形成することができる。従って、電極基板10の単位面積当たりの半導体粒子の表面積の割合を極めて大きくすることができる。これにより、十分な量の増感剤を担持させることができ、結果として、高い光吸収効率が得られる。また、酸化物半導体多孔質膜が平均粒子径の異なる2種以上の半導体粒子を含有すること、たとえば、長波長の光を透過しやすい傾向にある平均粒子径20nm程度のナノサイズの半導体粒子と、平均粒子径100nm程度の大粒径の半導体粒子とが混在することにより光が散乱され、酸化物半導体多孔質膜中における光路長が増大され、いわゆる光閉じ込め効果を十分に得ることができる。その結果、増感色素について十分な光吸収効率が得られ、したがって、色素増感太陽電池1において、高い光電変換効率が達成される。このとき、酸化物半導体多孔質膜の膜厚は2μm以上20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、酸化物半導体多孔質膜の膜厚が5μm以上20μm以下である。5μm未満の膜厚では、色素の吸着量が少ないため、光電変換効率が低下する。また、20μmを超える膜厚では酸化物半導体多孔質膜と電極基板10との密着力が落ち、衝撃など外的要因に対して弱くなるため、耐久性が低下する問題がある。また、酸化物半導体多孔質膜が20μmを超えると、酸化物半導体多孔質膜の内部抵抗が上昇するため、電圧が低下してしまう。
〔半導体粒子〕
半導体粒子は、電子伝達作用を発揮する半導体で構成され、具体的には、たとえば、TiO、SnO、ZnO、WO、Nb、In、ZrO、Ta、もしくはTiSrOなどの酸化物半導体;CdS、ZnS、InS、PbS、MoS、WS、Sb、Bi、ZnCdS、もしくはCuSなどの硫化物半導体;CdSe、InSe、WSe、PbSe、もしくはCdTeなどの金属カルコゲナイド;GaAs、Si、Se、もしくはInPなどの元素半導体などが挙げられ、たとえばSnOとZnOとの複合体、TiOとNbの複合体などの、これらの2種以上よりなる複合体を用いることもできる。また、半導体の種類はこれらに限定されず、2種類以上を混合して用いることもできる。半導体粒子を構成する半導体としては、上記の中でTi、Zn、Sn、もしくはNbの酸化物が好ましく、特にTiOが好ましい。TiOで形成されるチタニア粒子としては、アナターゼ結晶型の粒子およびルチル結晶型の粒子が挙げられる。上記の粒子は、両方とも使用可能であるが、特にアナターゼ結晶型のチタニア粒子を用いると、色素増感太陽電池において、確実に所期の性能が得られる。
特定の半導体粒子群を構成する半導体粒子のうちの平均粒子径が小さい半導体粒子(以下、「半導体小粒子」ともいう。)の平均粒子径は、好ましくは3〜40nmであり、より好ましくは15〜25nmである。また、特定の半導体粒子群を構成する半導体粒子のうちの平均粒子径が大きい半導体粒子(以下、「半導体大粒子」ともいう。)は、光散乱能を有し、その平均粒子径は好ましくは50nm以上、より好ましくは80〜400nm、特に好ましくは90〜120nmである。
〔増感剤〕
光電変換層20において半導体粒子に担持される増感剤としては、増感作用を示す材料であれば特に限定されず、たとえば、N3錯体、N719錯体(N719色素)、Ruターピリジン錯体(ブラックダイ)、もしくはRuジケトナート錯体などのRu錯体;クマリン系色素、メロシアニン系色素、もしくはポリエン系色素などの有機系色素;金属ポルフィリン系色素;もしくはフタロシアニン色素、などを挙げることができる。これら中ではRu錯体を用いることが好ましく、特に、可視光域に広い吸収スペクトルを有するため、N719色素およびブラックダイを用いることが好ましい。N719色素は(RuL(NCS)・2TBA)で表される化合物であり、Blackdye色素は(RuL´(NCS)・2TBA)で表される化合物である。ただし、Lは、4,4´−ジカルボキシ−2,2´−ビピリジン、L´は、4,4´,4″−テトラ−カルボキシ−2,2´,2″−ターピリジンであり、TBAは、テトラブチルアンモニウムカオチンである。
これらの材料は単独でもしくは2種類以上を混合して用いることができる。
光電変換層20における増感剤の担持量は、酸化物半導体多孔質膜の単位表面積当たりの量が1×10−8〜1×10−7mol/cmであること、好ましくは3×10−8〜7×10−8mol/cmであることが好ましい。増感色素の担持量がこの範囲内であることにより、半導体粒子の表面に増感色素が単分子層として担持される。そのため、増感色素において励起された電子が電解質部分の電解質を還元することなどによって生じるエネルギーロスが発生せずに、十分な光吸収効率が得られる。
〔電解質層〕
電解質層30は、液体状、固体状、凝固体状、もしくは常温溶融塩状態のいずれの状態であってもよい。電解質層30が、たとえば溶液状である場合は、この電解質層30は、電解質、溶媒、および添加物で構成されることが好ましい。電解質としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、もしくはヨウ化セシウムなどの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせ、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、もしくはイミダゾリウムヨーダイドなどの第4級アンモニウム化合物のヨウ素塩−ヨウ素の組み合わせ、あるいは前記ヨウ素、ヨウ素化合物のかわりに臭素化合物−臭素の組み合わせが用いられる。
電解質がイオン性液体の場合は、特に溶媒を用いなくてもよい。電解質は、ゲル電解質、高分子電解質、もしくは固体電解質でもよく、また、電解質の代わりに有機電荷輸送物質を用いてもよい。電解質層30が溶液状である場合の溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、またはプロピオニトリルのようなニトリル系溶媒、エチレンカーボネートのようなカーボネート系溶媒、エーテル系溶媒、あるいはアルコール系溶媒などが挙げられる。
〔透明基材〕
透明基材41は、透明樹脂により形成されている。透明基材41は、全光線透過率の高い材料が好ましい。透明基材41の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)以外にも、たとえば、以下に列挙される材料などで形成される透明なフィルムを用いることができる。
(1)ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム乃至ブロック共重合体等のポリオレフィン系樹脂。
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいはエチレン−塩化ビニル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体樹脂。
(3)ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂。
(4)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、あるいはポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂。
(5)ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、あるいはナイロン12等のポリアミド樹脂。
(6)ポリフェニレンオキサイド。
(7)カルボキシメチルセルロース、あるいはヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体。
(8)酸化澱粉、エーテル化澱粉、あるいはデキストリンなどの澱粉;
(9)上記(1)〜(8)に記載された材料の混合物で形成される樹脂。
透明基材41としては、たとえば厚さが80〜200μmであり、全光線透過率が75%以上である基材が好適に用いられる。透明基材41を介して太陽光は色素増感太陽電池に入射するので、透明基材41の全光線透過率は高ければ高いほど好ましい。
〔透明導電層〕
透明導電層42は、透明基材41上にスパッタ法、蒸着法、SPD法、CVD法などの手法で形成される。透明導電層42は、たとえば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、もしくはフッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物により構成される。透明導電層42には、一定の光透過性と導電性が要求されるので、その膜厚は、通常5nm〜10μm程度であることが好ましい。さらに、膜厚が20nm〜300nmであることがより好ましい。また、このときの透明導電層の表面抵抗値は1000Ω/□以下であることが好ましい。また透明導電層の表面抵抗値は0.1Ω/□以上であることが好ましい。さらに、透明導電層の表面抵抗値は5Ω/□以上300Ω/□以下であることがより好ましい。
〔金属配線層〕
金属配線層43は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、もしくはチタンなどの金属で形成される。また、金属配線層43は、格子状、縞状、櫛型などの所定のパターン形状を有する。中でも金属配線層は、アルミニウム、銅、チタン、もしくは銀から形成されていることが、低抵抗である点で好ましい。さらには、金属配線層形成材料ペーストに含まれる金属粒子の安定性の点から、アルミニウム、銅、もしくは銀により金属配線層を形成することが好ましい。
図3に示す金属配線層43の軸線C1に直交する断面において、透明導電層42に接する面43aと、金属配線層43における面43aとは反対側の面43bとは、ほぼ平行に形成されている。さらに、この断面において、面43aの長さは面43bの長さより長くなるように形成されている。より詳しく説明すると、この断面において、面43aの中心を通り面43aに直交する基準線Sを規定したときに、面43aの基準線Sに対する一方の端部は、面43bの基準線Sに対する上述の面43aと同じ方向の端部より基準線Sから離れた位置に配置されている。同様に、面13aの基準線Sに対する上記第1端部とは反対側の端部は、面13bの基準線Sに対する上記第1端部とは反対側の端部より基準線Sから離れた位置に配置されている。すなわち、この断面における金属配線層43の形状は、等脚台形に似た形状になる。
透明基材41および透明導電層42の光透過性を著しく損ねないために、各金属配線層43の幅(面43aの長さ)を3,000μm以下にすることが好ましい。また、金属配線層43の厚さ(高さ)は、特に制限されないが、0.1〜30μmとすることが好ましい。金属配線層43は、導電性を有する粒子と樹脂の微粒子などの結合剤(バインダーマトリックス)とによって形成されている。金属配線層43を形成する導電性を有する粒子としては、たとえば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、もしくはチタンなどの金属粒子を挙げることができる。また、樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を含有する材料を挙げることができる。これらの樹脂はベークすることにより、除去されても良い。また、これらの樹脂は金属配線層の抵抗に影響を与えない範囲で残存していても良い。金属配線層形成材料は、これらの材料をペースト状にし、これをスクリーン印刷法などにより、金属配線層43が所定のパターン形状を有するように塗膜し、透明基材41の硬化基準温度以下で熱硬化(キュア、ベーク)またはUV硬化させて形成される。また、金属配線層形成材料は、樹脂を除去するため、また、導電性を有する粒子の接合点を多くするため、熱硬化材料であることがより好ましい。
なお、上述の硬化基準温度としては、透明基材41の融点より10℃高い温度よりも低い温度を用いることが好ましく、「プラスチック成形品の破壊・欠陥・トラブルその発生原因と防止対策総合技術資料集」、正鵠堂、昭和57年10月4日、p438−439に記載された有機材料(熱硬化性樹脂)の使用上限温度の表において、その2の欄に記載された値(その2の欄に値が記載されていない場合はその1の欄に記載された値)より低い温度を用いることがより好ましい。
透明基材41としてポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、透明基材41の融点は約260℃であり、上記文献のその2に記載された値は125℃である。よって、この場合、透明基材41の硬化基準温度として、約270℃より低い温度を用いることが好ましく、125℃より低い温度を用いることがより好ましい。
透明基材11の融点より10℃高い温度以上で透明基材41を硬化させた場合には、熱劣化により透明基材41が変形したり、透明基材41と透明導電層42との密着性が低下したりする問題が生じる。硬化基準温度が60℃以下で熱硬化させた場合には、金属配線層43の材料中に含まれる金属微粒子同士の結合および融解が進みにくいため、導電性が著しく低下する問題が生じる。また、この場合、金属配線層43の材料中に含まれているバインダーマトリックスの除去も進まないため、金属配線層43の導電性を低下させる原因となる。
金属配線層43を形成する材料中には、必要に応じてレベリング剤を添加することで、金属配線層43の作成時にレベリング性を高めることができる。従って、レベリング剤を添加することで、配線13の軸線C1に直交する断面において、金属配線層43の電極基板10側(金属配線層43と透明導電層42との界面から離れた側)の面43bを、両端部から中間部に向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成しやすくする効果がある。また、レベリング剤として再塗工を妨げない材料を選ぶことで、金属配線層43上に保護層45を積層した際に、金属配線層43と保護層45との間の密着性を向上させることができる。金属配線層43は、体積抵抗が5×10−3Ω・cm以下であればよい。さらに好ましくは体積抵抗が1×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
金属配線層43は、図3に示されるように金属配線断面が等脚台形に似た形状とするほかに、図8に示されるように、金属配線層43の軸線C1に直交する断面において、金属配線層43の金属電極10に近い側(透明導電層42から離れた側)の面43bは、両端部から中間部に向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成されていてもよい。金属配線43の形状を上記のようにすることで、保護層45は金属配線層43の形状に沿ってほぼ均一な厚みで金属配線43を被覆する。そのため、より効率よく、保護層45の形状について、金属配線層43の軸線に直交する断面において、金属電極10側の面45aは、両端部から中間部45bに向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成することができる。金属配線層43をこのような形状に形成するには、上記スクリーン印刷法により金属配線層を形成した後、金属配線層形成材料を熱もしくは光照射により硬化する前に静置し、レベリングすることで達成できる。また、金属配線層形成材料を所定の粘度に設定することでレベリングが生じやすくなり、自然に断面形状が整えられる。
金属配線層43は、上記スクリーン印刷法によるほか、透明導電層42の一部をレジストで保護した上でメッキ法により形成してもよいし、転写型のスクリーン印刷法、もしくは直接描画であるインクジェット法などにより形成してもよい。インクジェット法により直接描画を行えば、レベリングを経なくても自然に、金属配線層43の軸線C1に直交する断面において、金属配線層43の面43bが、両端部から中間部に向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成することができる。その他の金属配線層43を形成する方法としては、透明基材41上にプリント配線を形成するエッチング法などの公知の方法によって金属配線層43を形成し、金属配線層43の上から透明基材41全体に透明導電層42を形成する方法を用いることができる。
金属配線層は、図10に示されるように、所定のパターンが形成される。図10においては、金属配線層43が、透明基材41の透明導電層42上に格子形状を有するように形成されているが、金属配線層のパターンの形状はこれに限定されない。
〔保護層〕
保護層45は、図3、図4に示されるように、金属配線層43における幅方向に直交する2つの面、および金属電極10側の面のそれぞれにほぼ同じ厚さで形成されている。図4は、本発明の色素増感太陽電池における金属配線層43及び保護層45の上面図を示す。金属配線層43の軸線C1に直交する断面において、保護層45の金属電極10側(透明導電層42から離れた側)の面15aは、両端部から中間部45bに向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成されている。保護層45は、絶縁性を有する透明な樹脂により形成されている。保護層45を形成する材料としては、たとえば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、フォスファーゼ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、イソブチレン樹脂、もしくはフッ素樹脂などが挙げられる。保護層45は、絶縁性を有していれば、どのような樹脂により形成されてよく、色は透明でなくてもよい。保護層45は、上記の材料を、熱硬化させたり、UV硬化させたりすることなどで形成されている。
ただし、保護層45を形成する材料としては、透明基材41の融点より10℃以上低い温度で硬化可能であることが好ましく、電離線硬化材料であればより好ましい。保護層が電離線硬化材料で形成されている場合、保護層にレベリング材料を添加することができる。
本発明の保護層45の形成に用いることができる電離線硬化材料としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、もしくはエポキシ系樹脂等をあげることができる。電離線硬化材料としては、特にアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂であることが好ましい。このとき添加されるレベリング材料としては、フッ素系レベリング材料、シリコーン系レベリング材料、もしくはアクリル系レベリング材料を用いることができる。
アクリル系レベリング材料としては、具体的には、ビックケミージャパン社製のBYK−350、BYK−352、BYK−354、BYK−355、BYK−356、BYK−358N、BYK−361N、BYK−380、BYK−392、もしくはBYK−394等が挙げられる。
また、フッ素系レベリング材料としては、具体的には、フタージェント222F(ネオス社製)、F470(DIC社製)、F489(DIC社製)、もしくはRS−75(DIC社製)等が挙げられる。
さらに、シリコーン系レベリング材料としては、具体的には、ビックケミージャパン社製のBYK−300、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYKUV3570、BYK−Silclean3700、もしくはBYK−Silclean3720を用いることができる。また、上記の他に、シリコーン系レベリング材料としては、モメンティブ社製のTSF410、TSF411、TSF4700、TSF4701、XF42−B0970、TSF4730、YF3965、TSF4421、XF42−334、XF42−B3629、XF42−A3161、TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、もしくはTSF4460を用いることができる。また、上記の他に、シリコーン系レベリング材料としては、共栄社化学社製のポリフローKL400X、ポリフローKL400HL、ポリフローKL401、ポリフローKL402、ポリフローKL403、もしくはポリフローKL404等を挙げることができる。
さらに、レベリング材料は、レベリング材料の樹脂からの脱離を防止できるため、−OH基(ヒドロキシ基)もしくは二重結合をレベリング材料中に導入し、樹脂と反応することができる材料を選択することが望ましい。具体的には、−OH基を有するレベルリング材料としてはBYK−394、BYK−370、BYK−375、BYK−377が挙げられる。また、二重結合を有するレベルリング材料としては、BYK−UV3500、BYK−UV3570、RS−75が挙げられる。
上記のレベリング材料においては、保護層45が塗布された後に、保護層45の表面に撥水基が外に向けて自己組織的に配列される。そのため、保護層45を硬化した際に、保護層の撥水性を高めることができる。また、レベリング材料は、電離線硬化型反応基を有することが好ましい。レベリング材料が電離線硬化型反応基を有することで、このレベリング材料が保護層に組み込まれた場合に、保護層の耐久性を高めることができる。保護層の撥水性を高めることで、光電変換層に含まれた電解質が保護層を侵すのを防ぐことができる。また、光電変換層から脱離した増感剤が吸着することを防ぐことができ、効率の低下を防ぐことができる。
また、保護層45の表面の水に対する接触角としては、70°以上130°未満であることが好ましい。接触角が70°未満であると、保護膜と電解質との接触が起こりやすく、耐久性の低下が起こる。また、接触角が130°以上であると保護層45を塗布した際に下地である金属配線層43や透明導電層42との相性が悪いため、塗布ムラやピンホールが生じやすくなる問題が生じる。なお、この接触角は、接触角計(協和界面科学社製、CA−X型)を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)で直径1.8mmの液滴を針先に作り、この液滴を保護層の表面に接触させて測定した。接触角とは、水平面を有する固体と前記水平面上に滴下された液体(液滴)とが接触する点における液体表面に対する接線と固体表面とがなす角であり、液体を含む側の角度で定義した。なお、液体としては、蒸留水を使用した。
また、前記純水接触角の測定方法としては、JIS−R3257に準拠して測定した。
また、保護層45は無機微粒子を含んでいてもよい。無機微粒子は耐溶剤性及び耐薬品性が高いため、保護層45が樹脂であることに起因する耐溶剤性等の低下を補うことができる。
すなわち、保護層45が無機微粒子を含んでいることで、色素増感太陽電池の製造工程において、電解質層が保護層45を侵すのを抑えることができる。さらに、保護層45に光散乱性を与えることができ、光電変換効率を向上させることができる。
保護層45に添加することができる無機微粒子としては、シリカ、タルク、もしくは酸化チタンの微粒子を挙げることができる。また、無機微粒子の形状はとくに限定されない。無機微粒子の一次粒子径としては、光散乱法により測定した場合に1nm以上5μm以下であることが好ましく、10nm以上3μm以下であることがより好ましい。上記の範囲より一次粒子径が小さい場合、現段階ではコスト的に実用が困難である。上記の範囲より一次粒子径が大きい場合、保護層15から脱落する恐れがあり、また、保護層15のパターニング精度が低下する可能性が高い。無機微粒子の添加量は、保護層45に占める質量%で、散乱性付与のためであれば0.5質量%以上であること好ましく、耐溶剤性付与のためであれば5質量%以上であることが好ましい。無機微粒子の添加量の上限は特にないが、保護層45が形成可能である限界は80質量%程度である。なお、光散乱性の付与を目的とするだけであれば、添加する微粒子は樹脂の微粒子であってもよい。保護層45の光散乱性が高まることで、保護層45を通過する光を金属配線層43の方向ではなく、光電変換層に向けて導くことができるため、より多くの光を利用して発電することができる。
また、本発明の色素増感太陽電池においては、透明基材において、対向電極の透明導電層を金属配線層と保護層とが覆っている面積の割合が2.5%以上30%以下の範囲内であることが好ましい。上記の面積が2.5%に満たない場合には、対向電極の抵抗が上昇し光電変換効率が低下する場合がある。また、上記の面積が30%を超える場合には、太陽光をさえぎる割合が大きくなるため、光電変換効率が低下する場合がある。
〔触媒層〕
本発明の色素増感太陽電池においては、透明導電層42と保護層45を覆うように触媒層47が形成されている。触媒層47を形成する材料としては、白金、白金化合物、カーボン、もしくは導電性高分子を用いることができる。上述の材料として、特に、透明性に優れている点から、白金もしくは導電性高分子を用いることが好ましい。さらには、上述の材料として、触媒能力に優れている点から、白金を用いることが最も好ましい。白金で形成される薄膜層の厚さとしては、0.5nm以上100nm以下であることが好ましい。白金で形成される薄膜の厚さが0.5nm以下であると、触媒機能が不十分であり、十分な電流を得ることができない。また、白金で形成される薄膜の厚さが100nm以上であると、全光線透過率が低下するため、光電変換効率が低下する。また、導電性高分子を用いた場合、薄膜の厚さが5nm以上100nm以下であることが好ましい。また、導電性高分子としては、PEDOT・PSSやポリアニリンを好適に用いることができる。
次に、以上のように構成された本実施形態の色素増感太陽電池の製造方法について説明する。
〔透明導電層形成工程〕
まず、図5に示されるように、たとえば、透明なポリエチレンナフタレートにより形成されたフィルム状の基材41上に、スパッタ法により、スズ添加酸化インジウムで構成される透明導電層42を形成する。また、この後で、透明導電層42に対する金属配線層43の密着性を向上させるために、UV−オゾン処理などの表面処理を行ってもよい。
〔金属配線層形成工程〕
次に、スクリーン印刷法により、金属配線層43を透明導電層42上に格子状に配置することで金属配線層43を形成する。このとき、透明導電層42上に金属配線層形成材料を塗布後、透明基材41の硬化基準温度以下で1時間以下ベークし金属配線層43を硬化させる。この後で、透明導電層42と金属配線層43との密着性を向上させるために、UV−オゾン処理などの表面処理を行ってもよい。
〔保護層形成材料塗布工程〕
続いて、スクリーン印刷法などにより、図6に示されるように、金属配線層43を被覆するようにエポキシ系樹脂である保護層形成材料45cを塗布する。保護層形成材料45cとしては、たとえば、エポキシ系樹脂を溶媒中で溶解させた材料であり、絶縁性を有する材料を用いる。保護層形成材料45cを塗布した段階では、金属配線層43と保護層形成材料45cとの界面から離れた表面の中央部は平坦に形成される。
〔保護層形成工程〕
次に、透明基材41の硬化基準温度以下で保護層形成材料45cを1時間以下ベークし硬化させて、図7に示されるように、保護層45を形成する。保護層形成材料45cは、硬化する際に突出する角部が丸くなる性質を有する。この理由としては、保護層形成材料45cは、ペースト状で流動性を備えているため、金属配線層43へ塗布された後に一定時間静置することで、金属配線層43にそってレベリングするためと考えられる。また、加熱によって、硬化する材料を用いたときは、加熱時のリフロー効果により角部が丸くなる傾向が強まる。また、電離線硬化材料を使用し、加熱工程を経ない場合には、レベリング剤の添加もしくは粘度の調整により、保護層のレべリングを補うことができる。
図7に示されるように、本発明の色素増感太陽電池における保護層の断面形状は、角部を持たず、両端部から中間部に向かって湾曲していく丸みを帯びた形状(R形状)であることが好ましい。保護層がR形状を有することにより、保護層と電解質層との接触面積を減らすことができ、また、得られる色素増感太陽電池に外部から応力が印加された場合に壊れにくくすることができる。
上記のような条件でベークし、保護層を硬化させることで、保護層形成材料45cにおける前述の平坦に形成された面も丸みを有する。レベリングにより保護層45が丸みを有するように形成するには、保護層形成材料45cの粘度が1Pa・s以上10Pa・s未満の範囲である場合、レベリング時間は10秒以上であることが好ましく、10Pa・s以上100Pa・s未満である場合、レベリング時間は30秒以上であることが好ましく、100Pa・s以上2000Pa・s未満である場合、レベリング時間は1分以上であることが好ましい。
レベリング温度は20℃以上150℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは、40℃以上120℃以下であることが好ましい。レベリングを行う温度については、保護層形成材料45cが所定の粘度範囲になるように設定するとよい。
保護層形成材料45cが所定のパターン形状を有するように配置する方法として、インクジェット法などの直接描画によれば、配置当初から断面が丸みを帯びた形状で形成される。従って、レベリングの手間を要しない上、マスクも不要である。このため、保護層45は、金属配線層43の軸線C1に直交する断面において、透明導電層42から離れた側の面45aが、両端部から中間部45bに向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成される。
〔触媒層形成工程〕
触媒層形成方法として、触媒層が白金である場合は、スパッタ法もしくはCVD法を最適に用いることができるが、ほかの方法であっても構わない。
白金層の形成は、スパッタ装置を用いて、マグネトロンスパッタリング法によって行うことができる。チャンバー内に上述の方法で保護層まで形成した透明基材をセットし、スパッタを行うことで、触媒層として白金層を形成することができる。また、形成された白金層の厚みは、微細形状測定機を用いて測定することにより確認することができる。
また、触媒層として導電性高分子もしくはカーボンを利用する際には、導電性高分子もしくはカーボンを含有した塗布液を用いて塗布することで、触媒層を形成することができる。塗布方法は特に制限されず、ロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、もしくはディップコーターなどを用いた均一塗布が可能な方法を用いることができる。また、その他の塗布方法として、インクジェット法もしくはスクリーン法を用いることもできる。上述のいずれかの方法で形成された導電性高分子もしくはカーボンを触媒層として用いた。また、触媒層の膜厚は、断面をSEM等で観察することで求めることができる。
この色素増感太陽電池は、対向電極40において、光を、主に金属配線層43および保護層45がない部分、つまり、透明基材41、透明導電層42、および触媒層47が積層されている部分から光電変換層20へ取り込む。従って、透明基材41、透明導電層42、および触媒層47が積層されている部分の全光線透過率が光電変換効率に寄与する。上記積層部分を窓部分と定義し、対向電極40における窓部分の全光線透過率は60%以上95%以下であることが好ましい。全光線透過率が向上すると光電変換効率が向上するため、窓部分の全光線透過率は70%以上95%以下であることがより好ましい。
〔光電変換層形成工程〕
金属基板10上に平均粒子径の異なる少なくとも2つの半導体粒子を含有する水性ペーストを、図9に示す金属基板10上に塗布して塗膜20aを形成する。また、本製造方法に用いられるペーストは、半導体粒子を含んでおり、バインダーもしくは溶剤を適時選択することができる。
光電変換層20を構成する特定の半導体粒子群を含有するペーストの調製方法は、特に限定されないが、たとえば、アルコキサイドを4級アンモニウム塩により加水分解する塩基性法が好ましく用いられる。この塩基性法においては、具体的には、半導体小粒子を得るためのアルコキサイドが、4級アンモニウム塩によって加水分解することにより得られ、同様にして半導体大粒子を得るためのアルコキサイドが、4級アンモニウム塩によって加水分解することにより得られ、これらを混合することにより、特定の半導体粒子群を含有するペーストを調製することができる。得られる半導体粒子の平均粒子径は、加水分解に供される4級アンモニウム塩の添加量を調整することにより、制御することができ、4級アンモニウム塩の添加量を大きくするほど、平均粒子径の小さい半導体粒子を得ることができる。
4級アンモニウム塩としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を用いることができるが、メチル基については限定されず、炭素数が1〜4個のアルキル基を有する材料を例示することができる。また、半導体大粒子を得るためのアルコキサイドとしては、上述の半導体粒子を構成する金属のアルコキサイドを用いることができる。具体的には、たとえば半導体粒子がチタニア粒子である場合は、半導体粒子のアルコキサイドとしてTi(OCを用い、4級アンモニウム塩として、TMAHを用いることができる。
電極基板10上にペーストを塗布する方法は特に制限されず、たとえば、ドクターブレード法、スプレー法、もしくはスクリーンプリント法など、公知の種々の方法に従って行うことができる。金属基板10上におけるペーストが塗布された領域が作用極として機能し、用途によってこの作用極領域の面積を適宜に選択することができる。
〔乾燥工程〕
半導体粒子を金属電極10上に塗布した後で半導体粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗膜強度を向上させるため及び金属電極10との密着性を向上させるために、塗布されたペーストを加熱処理をするのが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以上700℃以下であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また、加熱時間は10分〜10時間程度であることが好ましい。
〔光電変換層形成工程〕
増感色素を酸化物半導体多孔質膜20bに担持させて、光電変換層20を形成する方法は特に限定されず、たとえば、増感色素をアルコール類、ニトリル類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、アミド類、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素、もしくは水などの溶媒、あるいは上記溶媒が2種以上混合された混合溶媒に溶解させ、この溶解液に酸化物半導体多孔質膜20bを浸漬する浸漬法、スプレー塗布法、もしくは印刷塗布法などを用いて光電変換層を形成することが挙げられる。
続いて、図2に示されるように、光電変換層20上に電解質層30を形成し、さらに、電解層30上に、光電変換層20と対向電極40との間に電解質層30を挟むように対向電極40を配置することで、色素増感太陽電池が完成する。
以上説明したように、本実施形態の色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の製造方法によれば、透明導電層42上に金属配線層43が配置されている。このため、金属配線層14により透明導電層12の電気抵抗を下げることができる。また、金属配線層43を保護層45で被覆することにより金属配線層43と電解質層30とが分離している。このため、一般的に、電解質層30を形成する電解質は金属配線層43に浸透し、腐食の原因となるが、電解質層30と金属配線層43とを保護層45により分離することで、電解質層30による金属配線43の腐食を防止して耐久性を向上させることができる。
保護層45は、面45aが両端部から中間部45bに向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成されている。従って、突出しない場合と比べ、保護層45と電解質層30との接触面積を減らすことができる。そのため、保護層45が電解質の影響を受けにくくなる。
また、透明基材41に入射した光は、透明基材41、透明導電層42、及び電解質層30を介して光電変換層20に入射する。さらに、光電変換層20で増感剤が入射した光を吸収することで、電子を発生させる。増感剤により吸収されなかった光は、散乱して進行方向を変えながら光電変換層20及び金属基板10によって反射し、再び電解質層30を通過して対向電極40に再入射する。このとき、保護層45が散乱しやすい物質を含有することにより、再び光電変換層に向かって光を反射することができる。
保護層45は、透明な樹脂により形成されている場合は、透明基材41及び透明導電層42を介して保護層45に入射した光についても、保護層45を通過して、電解質層30を介して、光電変換層20に入射できるので有効に発電に利用することができる。このため、入射する光の光電変換効率をさらに向上させるこができる。
透明基材41は樹脂により形成されているため、色素増感太陽電池をロール・トゥ・ロール方式で連続的に製造することができる。保護層45は樹脂により形成されているため、一般的に、金属配線43に比べて、保護層45の弾性係数の方が小さい。このため、ロール・トゥ・ロール方式で作成する際に、金属配線にクラックが発生するのを防止することができる。本発明の色素増感太陽電池において、保護層45は、面45aが両端部から中間部45bに向かって透明導電層42から離間する方向に突出するように形成されている。従って、ロール・トゥ・ロール方式によって色素増感太陽電池を製造する際に、色素増感太陽電池を曲げる工程がある場合であっても、保護層が突出しない場合と比べ、曲げに対して強いため、保護層にクラックが発生するのを防ぐことができる。
金属基板10の表面は金属であり、光をよく反射するため、光電変換層20で吸収しきれずに透過してしまった光を、光電変換層20に向かって反射することができる。従って、光電変換層20の光電変換効率をさらに高めることができる。
本実施形態の色素増感太陽電池の製造方法では、透明基材41に樹脂を用いることで対向電極40が割れにくくなり、酸化物半導体多孔質膜20を金属電極上に形成する。従って、フレキシブルであり、かつ、割れない色素増感太陽電池を作成することができる。
以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を超えない限り、本発明は実施例に限定されない。
〔実施例1〕
〔半導体多孔質層の作製〕
チタン板(JIS−1種、厚さ0.3mm)をアセトンで洗浄し、チタン板の一方の面に18NR−Tと18NR−A0を重量比10対1で混ぜ合わせた酸化チタンペースト(Dyesol社製)を、スクリーン印刷機を用いて、5cm×10cmとなるように均一に塗布した。その後、半導体多孔質層を形成するために、酸化チタンペーストを450℃で5時間加熱処理した。このとき形成された半導体多孔質層の膜厚は5μmである。また、X線構造解析により形成された半導体多孔質層がアナターゼ型酸化チタンであることを確認した。
〔光電変換層の作製〕
増感剤としてシス−ビス(イソチオシアナート)−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)ビス−テトラブチルアンモニウムを用意して、それをエタノール中に0.2mMの濃度で溶解させて色素溶液を得た。さらに、得られた色素溶液中に上記の半導体多孔質層を形成させたチタン板を24時間浸漬させ、半導体多孔質層に増感剤が担持された光電変換層を得た。
〔対向電極の作成〕
透明基材41と透明導電膜42として5cm×10cmのシート抵抗が13Ω/□であるITO/PEN(ポリエチレンナフタレート)基板(王子トービ製・PEN膜厚200μm)を用いた。前記透明基材41及び透明導電膜42の上に図10に示すような金属配線43を作製した。印刷用銀ペースト(焼結後の比抵抗率が3.5×10−5Ω)をスクリーン印刷し、10分間レベリングした。その後、135℃、60分間、熱風循環炉で乾燥し、銀回路で構成される金属配線層43を形成した。ここで、金属配線層43の回路幅は500μmであり、膜厚は最大5μmであった。また、金属配線層43を格子状形状に形成することで、金属配線層43と集電端子とを接続した。
さらに、金属配線層43と保護層とが重ね合うように、CCDカメラを用いて位置合わせを行いながら、スクリーン印刷により、保護層材料として31X−101(スリーボンド社製)を印刷することにより、保護層を形成した。保護層45の形成幅は、金属配線層12の幅方向の両側において、片側あたり100μm程度金属配線層12からはみ出るように形成し、透明導電膜の表面からの高さは最大で10μmを目安とした。従って、金属配線層43上に積層された保護層45の厚さは、最大で約5μmである。
さらに、その上に、白金を蒸着することで、触媒層が形成された。触媒層の形成には、スパッタ装置を用いることで、白金を10nm蒸着した。この触媒層の膜厚はXRFを用いることにより求めた。このときの、窓部分の全光線透過率は70%であった。なお、この全光線透過率は写像性測定器(日本電色工業社製、NDH−2000)を用いて測定した。また、対向電極に配置された透明導電層を金属配線層と保護層とが覆っている面積の割合は15%であった。
(色素増感太陽電池の作製)
上記で作成した光電変換層を有した金属基板と上記で作製した対向電極とを向かい合わせ、図11に示されるような穴があけられる前のサーリン30を絶縁スペーサーとして挟み、周囲にサーリン50を配置した。その後、穴あきサーリン30を形成するために、サーリン30の2か所に穴をあけた。その後、31X−101を穴あきサーリン30及びサーリン50の周囲に塗布し、キセノンランプを用いて、3000J/□の光照射をすることで31X−101を硬化させた。2か所の穴の一方より、電解質層として、電解液を注入した。注入後、31X−101を塗布し、キセノンランプを用い、再度、3000J/□の光照射をすることで31X−101を硬化させた。以上の工程により、色素増感太陽電池を形成した。なお、電解質層形成材料としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、およびt−ブチルピリジンが溶解されたアセトニトリル溶液が用いられた。これらの溶液はそれぞれ0.05M、0.1M、0.6M、および0.5Mになるよう、窒素雰囲気下でアセトニトリルに溶解して作製された。
なお、上述の照射量の単位に用いられる「J/□」は、「J/cm」と置き換えることも可能である。
〔実施例2〕
31X−101にRS−75を重量比で99.95対0.05の割合で混合させた、保護層材料を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて色素増感太陽電池を作製した。
〔実施例3〕
31X−101にBYK−UV3500を重量比で99.95対0.05の割合で混合させた、保護層材料を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて色素増感太陽電池を作製した。
〔実施例4〕
31X−101にBYK−350を重量比で99.95対0.05の割合で混合させた、保護層材料を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて色素増感太陽電池を作製した。
〔比較例1〕
対向電極を作製する工程以外は実施例1と同様の方法を用いて色素増感太陽電池を作製した。
〔比較例1の対向電極の作成〕
透明基材41と透明導電膜42として5cm×10cmのシート抵抗が13Ω/□であるITO/PEN(ポリエチレンナフタレート)基板(王子トービ製PEN膜厚200μm)を用いた。
前記透明基材41及び透明導電膜42の上に図10に示すような金属配線43を作製した。印刷用銀ペースト(焼結後の比抵抗率が3.5×10−5Ω)をスクリーン印刷し、10分間レベリングした後、135℃、60分間、熱風循環炉で乾燥し、銀回路で構成される金属配線層43を形成した。ここで、金属配線層43の回路幅は500μmであり、膜厚は最大5μmであった。また、金属配線層43を格子状形状に形成することで、金属配線層43と集電端子とを接続した。さらに、その上に、白金を蒸着することで触媒層が形成された。触媒層の形成には、スパッタ装置を用い、白金を10nm蒸着した。この触媒層の膜厚は、XRFを用いることにより求めた。
〔比較例2〕
〔比較例2の対向電極の作成〕
対向電極を作製する工程以外は実施例1の方法を用いて色素増感太陽電池を作製した。
透明基材41と透明導電膜42として5cm×10cmのシート抵抗が13Ω/□であるITO/PEN(ポリエチレンナフタレート)基板(王子トービ製PEN膜厚200μm)を用いた。また、スパッタ装置を用いることで、図10に示されるように白金を蒸着し、金属配線層を形成した。このときの白金の膜厚は1μmである。さらに、その上に、白金を蒸着することで触媒層が形成された。触媒層の形成には、スパッタ装置を用い、白金を10nm蒸着した。この触媒層の膜厚は、XRFを用いることにより求めた。
〔比較例3〕
〔比較例3の対向電極の作成〕
膜厚200μmのPEN(帝人デュポン社製)上にスパッタ装置を用い、図10に示すように白金を蒸着することで、金属配線層を形成した。このときの白金の膜厚は1μmである。この上に、スパッタ装置を用いて、ITO層をシート抵抗が13Ω/□になるように蒸着した。さらに、その上に、白金を蒸着することで触媒層が形成された。触媒層の形成には、スパッタ装置を用い、白金を10nm蒸着した。この触媒層の膜厚は、XRFを用いることにより求めた。
〔比較例4〕
〔比較例4の対向電極の作成〕
膜厚200μmのPEN(帝人デュポン社製)上に、白金を蒸着することで、触媒層が形成された。触媒層の形成には、スパッタ装置を用い、白金を10nm蒸着した。この触媒層の膜厚は、XRFを用いることにより求めた。
〔色素増感太陽電池の性能評価〕
実施例1、および比較例1から比較例4に示される工程で作製された色素増感太陽電池を「ソーラーシミュレータ」(ペクセル社製)を用いて、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を照射しながら「2400型ソースメータ」(KEITHLEY社製)を用いてI−V特性を測定して短絡電流、開放電圧、形状因子ffの値を得た。また、これらの値を用いて下記式(1)により、光電変換効率を算出した。結果を表1に示す。
式(1);光電変換効率(%)=[短絡電流値(mA/cm)×開放電圧値(V)×{形状因子ff/入射光(100mW/cm)}]×100
〔色素増感太陽電池の劣化性能評価〕
実施例1および比較例1から比較例4に示される工程で作製された色素増感太陽電池を、温度40℃−湿度50RH%の環境下で20日間静置した。その後、色素増感太陽電池を「ソーラーシミュレータ」(ペクセル社製)を用いて、AM1.5、100mW/cmの擬似太陽光を照射しながら「2400型ソースメータ」(KEITHLEY社製)を用いてI−V特性を測定して短絡電流、開放電圧、および形状因子ffの値を得た。また、これらの値を用いて式(1)により、光電変換効率を算出した。算出された結果を表1に示す。
実施例1に示される工程で作製された本発明の色素増感太陽電池は、表1より、高い変換効率を得ることができ、かつ、劣化しないことが示された。また、比較例1から比較例3に示される工程で作製された色素増感太陽電池では、対向電極に設けた金属配線層が電解質層により劣化することで、内部抵抗が上昇し、電池性能が低下した。また、比較例4では、対向電極に金属配線層を設置していないため、初期の段階から内部抵抗が高く、所望の電池性能を得ることができなかった。
10 電極基板
20 光電変換層
25 増感剤
30 電解質層
40 対向電極
41 透明基材
42 透明導電層
43 金属配線層
45 保護層
47 触媒層

Claims (13)

  1. 色素増感太陽電池であって、
    負電極基板と、
    前記負電極基板上に形成され、増感剤を担持する光電変換層と、
    前記光電変換層上に形成された電解質層と、
    前記電解質層上に形成された対向電極とを備え、 前記対向電極は、
    透明基材と、
    前記透明基材上に形成された透明導電層と、
    前記透明導電層上に配置され、所定のパターン形状を有する金属配線層と、
    絶縁性樹脂を含む材料により形成され、前記所定のパターン形状を有する金属配線層を被覆する保護層と、
    前記透明導電層および前記保護層を被覆する触媒層と
    を備えることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 請求項1に記載の色素増感太陽電池であって、
    前記絶縁性樹脂はフッ素系レベリングを含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
  3. 請求項1に記載の色素増感太陽電池であって、
    前記絶縁性樹脂はシリコーン系レベリングを含有するレベリングを含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
  4. 請求項1に記載の色素増感太陽電池であって、
    前記絶縁性樹脂はアクリル系レベリングを含有するレベリングを含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記対向電極において、前記透明基材、前記透明導電層、および前記触媒層が積層されている部分の全光線透過率が60%以上95%以下の範囲内であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記対向電極において、前記透明導電層を前記金属配線層と前記保護層とが透明基材を覆っている面積の割合は、2.5%以上30%以下であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記透明導電層の表面抵抗値は0.1Ω/□以上1000Ω/□以下の範囲内であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記金属配線層は、5×10−3Ω・m以下の比抵抗を有する金属または合金から形成されていることを特徴とする色素増感太陽電池。
  9. 請求項1から5のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記金属配線層は、アルミニウム、銅、チタン、もしくは銀から形成されていることを特徴とする色素増感太陽電池。
  10. 請求項1から6のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記絶縁性保護層は無機粒子を含むことを特徴とする色素増感太陽電池。
  11. 請求項10に記載の色素増感太陽電池であって、
    前記無機粒子は、一次粒子径が1nm以上5μm以下の範囲内であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  12. 請求項1から11のいずれかに記載の色素増感太陽電池であって、
    前記触媒層は、白金、白金化合物を含む化合物、カーボンを含む化合物、または導電性高分子を含む化合物であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  13. 負電極基板と、前記負電極基板上に形成された増感剤を担持する光電変換層と、前記光電変換層上に形成された電解質層と、前記電解質層上に形成された対向電極とを積層させて備える色素増感太陽電池における前記対向電極の製造方法であって、
    透明基材上に透明導電層を形成し、
    前記透明導電層上に、所定のパターン形状を有する金属配線層を形成し、
    前記所定のパターン形状を有する金属配線を被覆するように絶縁性樹脂を含む保護層材料を含む塗液を塗布し、
    前記保護層材料を硬化させ、保護層を形成し、
    前記透明導電層および前記保護層を被覆するように触媒層を形成する
    ことを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法。
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