JPWO2012169259A1 - 炭化モリブデン造粒粉の製造方法および炭化モリブデン造粒粉 - Google Patents

炭化モリブデン造粒粉の製造方法および炭化モリブデン造粒粉 Download PDF

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Abstract

容器に有機溶媒を注入する工程と、有機溶媒にバインダーとしてポリビニルブチラールを添加する工程と、有機溶媒を攪拌しながら平均粒径1〜10μmの炭化モリブデン粉末を投入することにより炭化モリブデン含有溶液を調製する工程と、スプレードライヤーの回転板の回転数をA(rpm)とし、調製する造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときA/Bが50〜700の範囲とするスプレードライヤーに炭化モリブデン含有溶液を投入し、上記回転板により炭化モリブデン含有溶液を分散させ、さらに乾燥して所定の平均粒径を有する炭化モリブデン造粒粉を調製する工程と、を有することを特徴とする炭化モリブデン造粒粉の製造方法である。上記構成によれば、目的とする平均粒径を有する炭化モリブデン造粒粉を効率的に製造することができる。

Description

本発明は、炭化モリブデン造粒粉の製造方法および炭化モリブデン造粒粉に関する。
炭化モリブデン(MoC)は、融点が約2687℃と高く、硬度も高いことから耐熱材料や超硬材として様々な分野に用いられている。例えば、溶射用材料、超硬工具などの用途が挙げられる。溶射用材料は、炭化モリブデン粉末で供給する方法がある。また、超硬工具などは、焼結法によって製造する場合がある。
このように炭化モリブデンを使用する場合、(1)炭化モリブデンを粉末のまま使用する場合、(2)炭化モリブデンを焼結した焼結体として使用する場合、(3)圧延、鍛造、鋳造などにより板状に加工する場合、などが挙げられる。いずれの使用方法であっても、炭化モリブデン粉末を初期原料(出発材料)として用いることになる。
焼結法であれば、金型に炭化モリブデン粉末を充填することにより、複雑な形状を有する部品の作製も可能である。焼結法により、焼結体を作製する場合、炭化モリブデン粉末に対して造粒工程、成形工程、脱脂工程、焼結工程などが行われる。これまで焼結法では脱脂工程や焼結工程の改良を中心として進められてきた。
また、特開2002−4026号公報(特許文献1)では、炭化モリブデン粉末を使った溶射用粉末が開示されている。溶射は燃焼フレーム炎に溶射用粉末を供給し、溶射用粉末を溶解して基材方向に飛ばすことにより、基材に被膜を行う方法である。
このように炭化モリブデンを使用した製品には、様々なものが実用化されてきたが、いずれの場合においても、歩留まりの向上が図られないという問題が提起されていた。
特開2002−4026号公報
本発明者らは、炭化モリブデン粉末を初期原料として使用した製品の歩留まりが向上しない原因を追究した。その結果、造粒粉のサイズ、密度、流動性などのばらつきが大きく、そのために成形工程における充填密度や供給量のばらつきを生じ、製品歩留まりが低下する原因となることが判明した。また、溶射用粉末として炭化モリブデン造粒粉を使うには、燃焼フレーム炎への供給量のばらつきが生じ、溶射膜としての特性が安定しないなどの問題が生じていた。
この原因を追及したところ、造粒工程において目的とする造粒粉の平均粒径に対応した管理がなされていないことに原因があることを見出した。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、炭化モリブデン製品(粉末または焼結体)の品質の安定化や歩留まりを向上させることが可能な炭化モリブデン造粒粉の製造方法を提供するものである。
本発明に係る炭化モリブデン造粒粉の製造方法は、容器に有機溶媒を注入する工程と、有機溶媒にバインダーとしてポリビニルブチラールを添加する工程と、有機溶媒を攪拌しながら平均粒径1〜10μmの炭化モリブデン粉末を投入することにより炭化モリブデン含有溶液を調製する工程と、スプレードライヤーの回転板の回転数をA(rpm)とし、調製する造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときA/Bが50〜700の範囲とするスプレードライヤーに炭化モリブデン含有溶液を投入し、上記回転板により炭化モリブデン含有溶液を分散させ、さらに乾燥して所定の平均粒径を有する炭化モリブデン造粒粉を調製する工程と、を有することを特徴とするものである。
また、炭化モリブデン粉末は、炭化モリブデン中の炭素量が11.0〜11.3wt%であることが好ましい。
また、スプレードライヤー工程後の造粒粉を平均粒径Bの2〜3倍のメッシュ径を有する篩を通す篩分け工程を実施することが好ましい。また、造粒粉の平均粒径Bが20〜150μmであることが好ましい。また、前記スプレードライヤーの回転板の回転数Aが5000〜16000rpmであることが好ましい。また、有機溶媒がエタノールであることが好ましい。また、投入する炭化モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたとき、バインダーの体積を3〜20体積部とすることが好ましい。また、得られる炭化モリブデン造粒粉の見かけ密度が1.3〜3.0g/ccであることが好ましい。また、炭化モリブデン含有溶液は、炭化モリブデン粉末量を100質量部としたとき、有機溶媒量が0.2〜1リットルであることが好ましい。
また、前記スプレードライヤーは、100〜300℃の熱風を供給しながら造粒粉の乾燥を行うことが好ましい。また、スプレードライヤーは大気圧以下の減圧雰囲気で造粒粉の乾燥を行うことが好ましい。また、得られた造粒粉は流動性が50sec/50g以下であることが好ましい。
また、本発明の炭化モリブデン造粒粉は、見かけ密度が1.3〜3.0g/ccであることを特徴とするものである。
さらに、炭化モリブデン造粒粉の平均粒径が20〜150μmであることが好ましい。また、炭化モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたとき、バインダーの体積が3〜20体積部であることが好ましい。また、流動性が50sec/50g以下であることが好ましい。
本発明に係る製造方法において、有機溶媒を攪拌しながら炭化モリブデン粉末およびバインダーを供給し、さらに目的とする造粒粉の平均粒径とスプレードライヤーの回転速度を所定範囲に制御していることから、平均粒径、見かけ密度および流動性が優れた炭化モリブデン造粒粉を製造することができる。
本発明方法において炭化モリブデン含有溶液を調製する工程の一例を示す断面図である。 本発明方法において、スプレードライヤーに炭化モリブデン含有溶液を投入する工程の一例を示す断面図である。 本発明に係る炭化モリブデン造粒粉の一例を示す正面図である。
本発明の実施形態に係る炭化モリブデン造粒粉の製造方法は、容器に有機溶媒を注入する工程と、有機溶媒を攪拌しながら平均粒径1〜10μmの炭化モリブデン粉末を投入することによりモリブデン含有溶液を調製する工程と、モリブデン含有溶液を分散する回転板の回転数をA(rpm)とし、造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときA/Bが50〜700の範囲とするスプレードライヤーに炭化モリブデン含有溶液を投入する工程と、を有することを特徴とするものである。
図1に、炭化モリブデン含有溶液を調製する工程の一例を示した。図中、符号1は容器(炭化モリブデン含有溶液を調製するための容器)であり、2は有機溶媒であり、3は炭化モリブデン粉末であり、4はバインダーであり、5は必要に応じて再度投入する有機溶媒であり、6は炭化モリブデン含有溶液である。
まず、容器に有機溶媒を注入する。この有機溶媒としては、アルコールなどが挙げられる。アルコールはエタノール(エチルアルコール:COH)が好ましい。エチルアルコールは、後述するバインダー(ポリビニルブチラール)を溶かし易いので好ましい。
また、容器1に有機溶媒を投入する。その後、必要に応じ50℃以下に加熱する工程を実施してもよい。50℃を超えた加熱は有機溶媒が蒸発し過ぎてしまうので好ましくない。50℃以下の加熱であれば、バインダーを効率的に溶解することができる。
次に、有機溶媒にバインダーを添加する工程を行う。バインダーの材質はポリビニルブチラール(PVB:polyvinyl butyral)を用いる。ポリビニルブチラールは、有機溶媒、特にエタノールに溶け易い。また、均一に有機溶媒に溶け込ませるには、有機溶媒を攪拌しながらバインダーを添加することが好ましい。
次に、有機溶媒を攪拌しながら平均粒径1〜10μmの炭化モリブデン粉末を投入することにより炭化モリブデン含有溶液を調製する工程を行う。炭化モリブデン粉末の平均粒径とは一次粒径の平均粒径である。ここではFSSS法(フィッシャー法)により求めた値を平均粒径とする。炭化モリブデン粉末の平均粒径が1μm未満では、炭化モリブデン粉が小さすぎて製造することが困難でありコストアップの要因となる。
一方、炭化モリブデン粉末の平均粒径が10μmを超えると、一次粒径が大きすぎて造粒粉の特性を安定化させることが困難となる。そのため、炭化モリブデン粉末の平均粒径は1〜10μmの範囲、さらには2〜5μmが好ましい。また、炭化モリブデン粉末を一度に大量の粉末を投入すると、炭化モリブデン粉末が必要以上に凝集し易いので少量ずつ、例えば0.5〜2kgずつ投入することが好ましい。
また、バインダーの全量が有機溶媒に溶解したことを確認した後に、炭化モリブデン粉末を添加することが好ましい。バインダーを粉末で添加すれば、溶けたか否かが肉眼で判別できる。なお、バインダーとしてポリビニルブチラール粉末を使用した場合、ポリビニルブチラール粉末が有機溶媒(エタノール)に完全に溶解すると炭化モリブデン粉末を添加する前の有機溶媒(エタノール)が半透明になる。バインダーが有機溶媒(エタノール)に完全に溶解したか否かを判定し易くするためにも、バインダーを添加した後、炭化モリブデン粉末を添加する順番であることが好ましい。
ここで、有機溶媒2に、炭化モリブデン粉末3、バインダー4を添加して、炭化モリブデン含有溶液6を調製するに際して、投入する炭化モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたとき、バインダーの体積を3〜20体積部とすることが好ましい。
上記バインダーは炭化モリブデン造粒粉を形成する際に、炭化モリブデン粉末同士を接着する接着剤の役割を果たす。そのため、炭化モリブデン粉末の合計量を100体積部としたとき、バインダーの添加量が3体積部未満ではバインダー量が少なすぎて均一な造粒粉を得られない恐れがある。
一方、バインダーの添加量が20体積部を超えて過大になると、炭化モリブデン粉末同士の隙間にバインダーが入りすぎて密度のばらつきが大きな造粒粉となってしまう。そのため、バインダーの添加量は炭化モリブデン粉末100体積部に対し、3〜20体積部であり、さらには5〜15体積部であることが好ましい。
また、炭化モリブデン含有溶液は、炭化モリブデン粉末量を100質量部としたとき、有機溶媒量が0.2〜1リットルであることが好ましい。スプレードライヤーには、炭化モリブデン含有溶液の状態で投入される。このとき、炭化モリブデン粉末量100質量部に対し、有機溶媒量が0.2リットル未満では有機溶媒の量が少なすぎて炭化モリブデン含有溶液の粘性が上昇し、スプレードライヤーに対する安定供給が困難になる。また、有機溶媒量が1リットルを超えると有機溶媒の量が過剰になり、安定供給し難い。なお、有機溶媒量が多いときは、攪拌しながら供給することにより安定供給する方法もある。このスプレードライヤーへの炭化モリブデン含有溶液の供給は、機械化して自動化することも可能である。
また、必要に応じて、有機溶媒5を追加投入してもよい。例えば、エタノールは沸点が78.3℃と比較的低いため、バインダーおよび炭化モリブデン粉末を投入し混合している段階で、エタノールが蒸発して溶媒量が大きく変わってしまう恐れもある。
また、容器1が20リットル以上の大きな容積を有する容器を使用する場合、有機溶媒量を最終的な量の30〜60%でバインダーおよび炭化モリブデン粉末と混合した後、残りの有機溶媒量70〜40%を追加投入して炭化モリブデン粉末と有機溶媒量とを調整する方法も可能である。バインダーが有機溶媒に完全に溶解したかを目視により確認し易くするためにも、有機溶媒を追加投入する方法は有効である。
また、炭化モリブデン粉末の純度に関しては特に限定されるものではないが、炭化モリブデンの純度は、99質量%以上、さらには99.9%質量以上であることが好ましい。炭化モリブデン粉末の主な不純物は、Fe(鉄)、Al(アルミニウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)が挙げられる。また、これ以外の不純物としては、Ni(ニッケル)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Cd(カドミウム)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Sn(錫)が挙げられる。
このモリブデンの純度の測定は、Fe(鉄)、Al(アルミニウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)、Ni(ニッケル)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Cd(カドミウム)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Sn(錫)の合計量を100質量%から差し引いて求めるものとする。
また、それぞれの不純物量としてはFe(鉄)は10wtppm以下、Al(アルミニウム)は50wtppm以下、Ca(カルシウム)は30wtppm以下、Mg(マグネシウム)は20wtppm以下、Si(ケイ素)は50wtppm以下、Ni(ニッケル)は50wtppm以下、Na(ナトリウム)は10wtppm以下、K(カリウム)は20wtppm以下、Pb(鉛)は70wtppm以下、Bi(ビスマス)は70wtppm以下、Cd(カドミウム)は70wtppm以下、Cu(銅)は70wtppm以下、Mn(マンガン)は20wtppm以下、Sn(錫)は30wtppm以下であることが好ましい。
また、上記金属不純物以外の不純物としては、酸素などのガス成分が挙げられる。酸素量は7質量%以下であり、窒素量は7質量%以下であることが好ましい。
また、炭化モリブデン粉末は、炭化モリブデン中の炭素量が11.0〜11.3質量%であることが好ましい。炭化モリブデンとしては、MoCやMoCなどモリブデンと炭素の原子比が異なる炭化物が存在する。溶射用粉末や超硬工具として使用する場合、炭化モリブデン中の炭素量が11.0〜11.3質量%であると熱的に安定であり寿命が向上する。
また、炭化モリブデン粉末の調整方法としては、次の方法が挙げられる。まず、原料としてアンモニウムダイモリブデート((NH・Mo)を用意し、水素雰囲気中で500〜800℃で加熱してモリブデン酸化物粉末を得る。得られたモリブデン酸化物粉末を水素雰囲気中1000〜1200℃で2〜5時間加熱、還元して金属モリブデン粉末を得る。得られた金属モリブデン粉末に炭素を添加して、振動ミルなどを用いて均一混合した後、カーボン製ボート上に置いて水素雰囲気中900〜1200℃で炭化して炭化モリブデン粉末を得ることができる。このとき、添加する炭素量を11.0〜11.3質量%にすることが好ましい。また、添加する炭素としては、比重が1.65〜1.70であり、水分が0.1%以下であり、平均粒度が1μm以下であるカーボンブラック粉末であることが好ましい。
次に、得られた炭化モリブデン含有溶液をスプレードライヤーに投入する工程を行う。図2にスプレードライヤー工程の一例を示した。図中、符号1は炭化モリブデン含有溶液を入れた容器であり、6は炭化モリブデン含有溶液であり、7は炭化モリブデン含有水溶液の投入口であり、8は炭化モリブデン含有水溶液6を分散する回転板であり、9は炭化モリブデン造粒粉であり、10はスプレードライヤーの外壁であり、11は炭化モリブデン造粒粉の回収容器である。
前記工程にて調整された炭化モリブデン含有溶液6を投入口7に流し込む。投入口7への投入速度は、10〜80cc/分が好ましい。投入速度が10cc/分未満では投入量が少なすぎて量産性が悪い。一方、80cc/分を超えると投入量が多すぎて得られる造粒粉の特性にばらつきが生じる。
次に、投入されたモリブデン含有溶液6は回転板8上に供給される。回転板8は一定の回転数で回転している。回転している回転板に炭化モリブデン含有溶液が供給されると、一定量ずつ弾かれ表面張力により、球状の造粒粉9が形成される。造粒粉9はスプレードライヤーの外壁10を伝って炭化モリブデン造粒粉9の回収容器11に集められる。
炭化モリブデン造粒粉の平均粒径は、回転板の回転速度との関連性が高い。そこで本発明では回転板の回転速度をA(rpm)、造粒粉の平均粒径をB(μm)としたとき、比A/Bが50〜700の範囲に制御することを特徴とするものである。炭化モリブデン含有溶液6を回転板8に供給したとき、回転板8に一定量ずつ弾かれ、弾かれた炭化モリブデン含有溶液6は表面張力により球状の造粒粉9になる。また、バインダーを添加していることからも均一な造粒粉を製造することができる。
比A/Bが50未満の場合は、目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して回転板の回転速度Aが不足しているため、目的とする造粒粉の平均粒径Bが得られない。また、A/Bが50未満である場合は、目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して大きな平均粒径を有する造粒粉となる。また、A/Bが700を超えると、目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して回転板の回転速度Aが速すぎるため、目的とする造粒粉の平均粒径Bが得られない。A/Bが700を超えると目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して、小さな平均粒径となる。
A/Bを50〜700の範囲に制御することにより、目的とする造粒粉の平均粒径Bに対して±50%の範囲内の平均粒径を有する造粒粉が得られる。例えば、目的とする造粒粉の平均粒径Bを50μmとしたとき、±50%とは50×0.5=25μmから平均粒径が25〜75μmのものが得られることを意味している。なお、造粒粉の平均粒径は拡大写真を使って、そこに写る造粒粉の最大径を粒径とし、造粒粉100粒の平均値を造粒粉の平均粒径とする。
また、造粒粉の平均粒径Bは20〜150μmであることが好ましい。造粒粉の平均粒径が20〜150μmの範囲であれば、様々な用途に適用できる。また、回転数Aは5000〜16000rpmであることが好ましい。回転数Aが5000〜16000rpmの範囲であれば、回転板上で炭化モリブデン含有溶液が効率的に分散されて弾かれ、目的とする平均粒径を有する造粒粉が得やすい。
また、スプレードライヤーは、100〜300℃の熱風を供給しながら造粒粉の乾燥を行うことが好ましい。スプレードライヤーの外壁内に100〜300℃の熱風を供給することにより、造粒粉中の有機溶媒を蒸発させ、バインダーによる炭化モリブデン粉末同士の結合力を強化することができる。その結果、目的とする平均粒径を有する炭化モリブデン造粒粉を製造することができる。熱風は図示しない熱風供給口からスプレードライヤーの外壁10内に供給され、図示しない排気口から排気される。熱風を供給口から排気口に排気しながら供給することにより、常に新鮮な熱風を供給することにより造粒粉から蒸発した水分が他の造粒粉に取り込まれるのを防ぐことができる。なお、熱風の供給温度が100℃未満では有機溶媒分の蒸発速度が遅く、300℃を超えると有機溶媒が瞬間的に蒸発し過ぎて造粒粉の粒径のばらつきの発生原因となる。
また、スプレードライヤーによる造粒粉の乾燥は、大気圧以下の減圧雰囲気で行うことが好ましい。スプレードライヤーの外壁10内を大気圧以下の減圧雰囲気とすることにより、造粒粉中の有機溶媒を蒸発し易くすることができる。なお、減圧雰囲気は、大気圧(1atm=1.01×10Pa)から100〜500Pa低い減圧雰囲気であることが好ましい。100Pa未満では減圧雰囲気とする効果が十分でなく、500Paを超えると減圧雰囲気を制御する負担が大きくなりコストアップの要因となる。
本発明に係る炭化モリブデン造粒粉の製造方法によれば、造粒粉の平均粒径に合わせてスプレードライヤーの回転板の回転速度を調整していることから、目的とする平均粒径に対し±50%の範囲にある均一な造粒粉を得ることができる。
また、得られる炭化モリブデン造粒粉の見かけ密度が1.3〜3.0g/ccであることが好ましい。前述のように本発明では炭化モリブデン造粒粉の平均粒径は拡大写真を使用して求めている。この方法であれば、外観上の平均粒径は判断できる。しかしながら、造粒粉の内部に空隙が多く密度が小さな造粒粉が存在すると、その後の製品(溶射用粉末や焼結体)に使用するときに、部分的な炭化モリブデン粉末の存在比率にばらつきが生じる。存在比率のばらつきは、製品のばらつきにつながる。
例えば、造粒粉を溶射用粉末として使用する場合、密度が大きく異なる造粒粉が存在すると溶射フレーム炎に投入される炭化モリブデン粉末量にばらつきが生じ、結果として溶射Mo膜にばらつきが生じる原因となる。また、焼結体を作製する場合は、成形金型に挿入される炭化モリブデン量のばらつきが生じ、焼結体中のポアが必要以上に大きくなる恐れがある。
炭化モリブデン造粒粉の見かけ密度が1.3g/cc未満であると造粒粉中の炭化モリブデン量が過少となり、その後の製品化における品質のばらつきの原因となる。一方、見かけ密度が3.0g/ccを超えて過大であると炭化モリブデン粉末がぎっしりと詰まった状態であるため、スプレードライヤーで安定的に製造することが困難である。見かけ密度の測定方法は、JIS−Z−2504に準じた方法で行うものとする。
また、得られた造粒粉は流動性が50sec/50g以下であることが好ましい。流動性の測定もJIS−Z−2504に準じた方法で行うものとする。ここで流動性とは、造粒粉がどれだけ円滑に移動する(流れる)かを示すものである。流動性が良い(流動性50sec/50g以下)と、製品化する際の成形金型への供給がスムーズに行えるのである。つまりは、取扱い性の良い造粒粉であるということである。
また、流動性が良いということは造粒粉の形状が球体に近いことを意味している。造粒粉が球体に近いとは、アスペクト比が1.5以下を示すものとする。図3に炭化モリブデン造粒粉の形状例を示す。図中、符号3はモリブデン粉末であり、9は炭化モリブデン造粒粉であり、L1は短径であり、L2は長径である。アスペクト比は「長径L2/短径L1」により求める。アスペクト比1.0とは真球に近い状態であることを示す。
このように本発明に係る炭化モリブデン造粒粉の製造方法であれば、平均粒径、見かけ密度、流動性が優れた炭化モリブデン造粒粉を歩留り良く効率的に製造することができる。
また、平均粒径、特に粒度分布の制御として、スプレードライヤー工程後の造粒粉を平均粒径Bの2〜3倍のメッシュ径を有する篩を通す篩分け工程を行う方法もある。この篩分け工程を実施することにより、過大な造粒粉を除去することができる。これにより、さらに造粒粉の平均粒径の制御が可能となる。また、篩分け工程により、過小な造粒粉を除去することも有効である。
以上のように本発明に係る炭化モリブデン造粒粉の製造方法であれば、平均粒径、見かけ密度、流動性が優れた炭化モリブデン造粒粉を歩留り良く効率的に製造することができる。そのため、各製品に応じた造粒粉を歩留り良く製造することができる。
なお造粒粉の用途としては、溶射用粉末、各種焼結体の原料粉などが挙げられる。溶射用粉末として、平均粒径、見かけ密度および流動性が優れた炭化モリブデン造粒粉を使うことにより溶射フレーム炎への供給量を安定化させることができる。その結果、溶射膜の品質を均質なものとすることができる。
また、各種焼結体の原料粉末として炭化モリブデン造粒粉を使う場合に、平均粒径、見かけ密度および流動性が優れた炭化モリブデン造粒粉を使用することにより成形金型への充填量を均一化できる。その結果、焼結体の密度などを安定化させることができる。特に、成形金型の形状に応じて、平均粒径を変えることにより、さらに歩留りの向上を図ることができる。例えば、厚さ1mm以下の焼結体では造粒粉の平均粒径を50μm、厚さ5mm程度の焼結体では造粒粉の平均粒径を100μmにすることにより、成形金型への充填を効率よく実施することができる。
(実施例)
(実施例1〜5および比較例1〜2)
炭化モリブデン粉末(MoC純度99.9%以上)と、バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)粉末およびエタノールを用意した。ステンレス製容器に、エタノールを入れ、常温で攪拌しながら、ポリビニルブチラール粉末を添加し、添加したポリビニルブチラール粉末をすべて溶解させた。ポリビニルブチラール粉末がすべて溶けたときは半透明の溶液となっていることが確認できた。その後、炭化モリブデン粉末を1〜2kgずつ、合計40kg投入した。炭化モリブデン粉末の攪拌において、エタノールが蒸発して不足する分は、必要に応じてエタノールを追加投入して、実施例1〜5用の炭化モリブデン含有溶液を調製した。
ここまでの炭化モリブデン含有溶液の調製工程の条件を下記表1に示す。
Figure 2012169259
次に、実施例1〜5の炭化モリブデン含有溶液を用いて、スプレードライヤー工程を実施し、実施例1A〜5Bおよび比較例1〜2に係る炭化モリブデン造粒粉を調製した。上記各スプレードライヤー工程の条件を下記表2に示す。
Figure 2012169259
実施例1A〜5Bおよび比較例1〜2の製造方法によって得られた炭化モリブデン造粒粉の平均粒径、アスペクト比、見かけ密度、流動性および歩留りを調査した。
なお各造粒粉の平均粒径は、得られた炭化モリブデン造粒粉の任意の100粒を抜き出し、拡大写真を撮り、そこに写る最大径を求め100粒の平均値を平均粒径とした。またアスペクト比は、同様の拡大写真を使用して、短径L1および長径L2を求め、それぞれのL2/L1の平均値をアスペクト比とした。また、見かけ密度および流動性はJIS−Z−2504に規定された測定法に準拠して測定した。また、歩留りは、投入したモリブデン粉末40kg量と炭化モリブデン造粒粉の合計量の比「(造粒粉の合計量/40kg)×100%」から算出した。
その測定結果を下記表3に示す。
Figure 2012169259
上記表3に示す結果から明らかなように、本実施例に係る炭化モリブデン造粒粉の製造方法により製造された炭化モリブデン造粒粉は、目的とする平均粒径Bに対するずれが小さく、アスペクト比、見かけ密度および流動性が優れていた。また、歩留まりも高く効率の良い製造方法であると言える。それに対し、A/Bが本発明の範囲外である比較例1および比較例2では、いずれのパラメータも悪化した特性を示した。
1…容器(炭化モリブデン含有溶液を調製するための容器)
2…有機溶媒
3…炭化モリブデン粉末
4…バインダー
5…必要に応じて再度投入する有機溶媒
6…炭化モリブデン含有溶液
7…炭化モリブデン含有溶液の投入口
8…回転板
9…炭化モリブデン造粒粉
10…スプレードライヤーの外壁
11…炭化モリブデン造粒粉の回収容器

Claims (16)

  1. 容器に有機溶媒を注入する工程と、
    有機溶媒にバインダーとしてポリビニルブチラールを添加する工程と、
    有機溶媒を攪拌しながら平均粒径1〜10μmの炭化モリブデン粉末を投入することにより炭化モリブデン含有溶液を調製する工程と、
    スプレードライヤーの回転板の回転数をA(rpm)とし、調製する造粒粉の平均粒径をB(μm)としたときA/Bが50〜700の範囲とするスプレードライヤーに炭化モリブデン含有溶液を投入し、上記回転板により炭化モリブデン含有溶液を分散させ、さらに乾燥して所定の平均粒径を有する炭化モリブデン造粒粉を調製する工程と、
    を有することを特徴とする炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  2. 前記炭化モリブデン粉末は、炭化モリブデン中の炭素量が11.0〜11.3質量%であることを特徴とする請求項1記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  3. 前記スプレードライヤー工程完了後の造粒粉を、平均粒径Bの2〜3倍のメッシュ径を有する篩を通す篩分け工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  4. 前記炭化モリブデン造粒粉の平均粒径Bが20〜150μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  5. 前記スプレードライヤーの回転板の回転数Aが5000〜16000rpmであることを特徴とする請求項1または請求項4のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  6. 前記有機溶媒がエタノールであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  7. 前記容器に投入する炭化モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたとき、バインダーの体積を3〜20体積部とすることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  8. 得られる炭化モリブデン造粒粉の見かけ密度が1.3〜3.0g/ccであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  9. 前記炭化モリブデン含有溶液は、炭化モリブデン粉末量を100質量部としたとき、有機溶媒量が0.2〜1リットルであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  10. 前記スプレードライヤーは、100〜300℃の熱風を供給しながら造粒粉の乾燥を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  11. 前記スプレードライヤーは大気圧以下の減圧雰囲気で造粒粉の乾燥を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  12. 得られた造粒粉は流動性が50sec/50g以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉の製造方法。
  13. 見かけ密度が1.3〜3.0g/ccであることを特徴とする炭化モリブデン造粒粉。
  14. 前記炭化モリブデン造粒粉の平均粒径が20〜150μmであること特徴とする請求項13に記載の炭化モリブデン造粒粉。
  15. 前記炭化モリブデン粉末の合計量を100体積部にしたとき、バインダーの体積が3〜20体積部であることを特徴とする請求項13または請求項14のいずれか1項に記載の炭化モリブデン造粒粉。
  16. 前記炭化モリブデン粉末の流動性が50sec/50g以下であることを特徴とする請求項13ないし請求項15のいずれか1項に記載のモリブデン造粒粉。
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