JPWO2012169057A1 - 無段変速機 - Google Patents

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Abstract

シャフト(50)上の第1及び第2の回転部材(10,20)並びにサンローラ(30)で挟持された各遊星ボール(40)と、シャフト(50)を中心に相対回転でき、各遊星ボール(40)の各支持軸(41)の一方の突出部を径方向に案内する第1ガイド部(63)の形成された第1キャリア(61)と、各支持軸(41)の他方の突出部を径方向に案内する第2ガイド部(64)の形成された第2キャリア(62)と、軸線方向に観たときにできる第1ガイド部(63)との交差点で支持軸(41)の一方の突出部を保持する絞り部(72)を備え、この交差点を回転に伴い径方向に移動させるアイリスプレート(70)と、アイリスプレート(70)をシャフト(50)に対して相対回転させるモータ(MG)と、第1キャリア(61)とアイリスプレート(70)との間の相対回転速度に応じた伝達トルクを相互間に発生させるトルク伝達部(80)と、を備えること。

Description

本発明は、共通の回転軸を有する複数の回転要素と、その回転軸に対して放射状に複数配置した転動部材と、を備え、各回転要素の内の2つに挟持された各転動部材を傾転させることによって入出力間の変速比を無段階に変化させる無段変速機に関する。
従来、この種の無段変速機としては、所謂トラクション遊星ギヤ機構と云われるものが知られている。例えば、そのトラクション遊星ギヤ機構には、回転中心となる変速機軸と、この変速機軸の中心軸を第1回転中心軸とする相対回転可能な複数の回転要素と、その第1回転中心軸と平行な別の第2回転中心軸を有し、第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置した転動部材と、この転動部材を自転させると共に支持する支持軸と、変速機軸に対して固定され、その支持軸における転動部材からの突出部分を介して当該転動部材を保持する保持部材と、を備えたものがある。このトラクション遊星ギヤ機構においては、対向させて配置した第1回転要素と第2回転要素とで各転動部材を挟持すると共に、各転動部材を第3回転要素の外周面上に配置し、その転動部材を傾転させることで変速比を無段階に変化させる。
例えば、下記の特許文献1には、この種の無段変速機について開示されている。この特許文献1の無段変速機は、自らの回転により支持軸を介して転動部材を傾転させるアイリスプレートと、このアイリスプレートを回転させる駆動源としてのモータと、自らの回転により支持軸を介して転動部材にスキューを発生させるサポートプレート(保持部材)と、このサポートプレートを回転させる上記とは別の駆動源としてのモータと、を備えている。そのアイリスプレートは、支持軸が挿入される弧状のアイリス溝を備えている。また、サポートプレートは、支持軸が挿入される径方向のガイド部を備えている。この無段変速機は、アイリスプレートの回転によってアイリス溝から支持軸に力を加え、これにより転動部材を傾転させるものであるが、サポートプレートの回転により転動部材にスキューを発生させるので、アイリス溝から支持軸に加える力を軽減できる。つまり、この無段変速機は、サポートプレートの回転により転動部材にスキューを発生させることで、転動部材の傾転に要するエネルギ(変速に要するエネルギ)の低減を図ったものであり、モータによるアイリスプレートの回転を補助している。尚、特許文献2には、この種の無段変速機の一例として、自らの回転によりサンローラ(第3回転要素)を軸線方向に移動させるカムを備え、そのサンローラの移動によって転動部材を傾転させるものが開示されている。この無段変速機には、カムの回転に連動してキャリア(保持部材)を回転させるスプラインが設けられている。
米国特許出願公開第2009/0082169号明細書 特表2010−532454号公報
上記特許文献1の無段変速機は、アイリスプレートの回転用のモータだけでなく、サポートプレートを回転させる為の別のモータも備えている。従って、この無段変速機は、アイリスプレートの変速エネルギを低減できる一方で、複数のモータによる変速機の体格の増大を招く虞がある。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、変速エネルギを低減しつつ、体格の大型化を抑えることが可能な無段変速機を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明は、回転中心となる固定軸としての変速機軸と、前記変速機軸上で対向させて配置した共通の第1回転中心軸を有する相対回転可能な第1及び第2の回転要素と、前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有し、該第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置して前記第1及び第2の回転要素に挟持させた転動部材と、前記第2回転中心軸を有し、前記転動部材から両端を突出させた当該転動部材の支持軸と、前記各転動部材を外周面上に配置し、前記変速機軸並びに前記第1及び第2の回転要素に対する相対回転が可能な第3回転要素と、前記変速機軸に対して前記第1回転中心軸を中心とする相対回転ができるよう配置し、前記各支持軸の一方の突出部を径方向に案内する第1ガイド部の形成された第1保持部材と、前記変速機軸に固定され、且つ、前記各支持軸の他方の突出部を径方向に案内する第2ガイド部の形成された第2保持部材と、軸線方向に観たときに前記第1ガイド部と交差している交差点を有し、該交差点で前記支持軸の一方の突出部を保持する絞り部を備え、前記変速機軸に対して前記第1回転中心軸を中心に相対回転することで前記交差点を径方向に移動させる傾転要素と、前記傾転要素を前記変速機軸に対して相対回転させるアクチュエータと、前記第1保持部材と前記傾転要素との間の相対回転速度に応じた伝達トルクを当該第1保持部材と当該傾転要素との間に発生させるトルク伝達部と、を備えたことを特徴としている。
ここで、前記トルク伝達部は、入力トルクに応じた前記支持軸から前記第1保持部材への力と当該力の作用半径との積よりも大きい伝達トルクに設定することが望ましい。
本発明に係る無段変速機においては、アクチュエータで傾転要素を回転させることによってトルク伝達部の伝達トルクが第1保持部材に伝わり、この第1保持部材を回転させることができる。つまり、この無段変速機に依れば、トルク伝達部を設けることにより、従来のように第1保持部材の回転の為の専用のアクチュエータを用意する必要が無く、傾転要素を回転させる為のアクチュエータのみで第1保持部材も回転させることができる。従って、この無段変速機は、変速に必要な変速エネルギの低減と変速機の小型化の両立を図ることができる。
図1は、本発明に係る無段変速機の実施例の構成を示す部分断面図である。 図2は、第1キャリアについて説明する図であって、図1のX−X線で切った断面図である。 図3は、第2キャリアについて説明する図である。 図4は、アイリスプレートについて説明する図である。 図5は、入力トルクにより発生する力と減速側変速時のアイリスプレートの回転方向について説明する図である。 図6は、トルク伝達部のトルク伝達特性の一例を示す図である。 図7は、減速側変速時のスキュー力について説明する図である。 図8は、入力トルクにより発生する力と増速側変速時のアイリスプレートの回転方向について説明する図である。 図9は、増速側変速時のスキュー力について説明する図である。 図10は、弾性部材の特性の一例を示す図である。
以下に、本発明に係る無段変速機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[実施例]
本発明に係る無段変速機の実施例を図1から図10に基づいて説明する。
最初に、本実施例の無段変速機の一例について図1を用いて説明する。図1の符号1は、本実施例の無段変速機を示す。
この無段変速機1の主要部を成す無段変速機構は、共通の第1回転中心軸A1を有する相互間での相対回転が可能な第1から第3の回転要素10,20,30と、その第1回転中心軸A1を中心にして放射状に複数個配置され、その第1回転中心軸A1と後述する基準位置において平行な別の第2回転中心軸A2を各々有する転動部材40と、第1から第3の回転要素10,20,30の回転中心に配置した変速機軸としてのシャフト50と、夫々の転動部材40を傾転自在に保持する第1及び第2の保持部材61,62と、を備えた所謂トラクション遊星ギヤ機構と云われるものである。この無段変速機1は、第2回転中心軸A2を第1回転中心軸A1に対して傾斜させ、転動部材40を傾転させることによって、入出力間の変速比γを変えるものである。以下においては、特に言及しない限り、その第1回転中心軸A1や第2回転中心軸A2に沿う方向を軸線方向と云い、その第1回転中心軸A1周りの方向を周方向と云う。また、その第1回転中心軸A1に直交する方向を径方向と云い、その中でも、内方に向けた側を径方向内側と、外方に向けた側を径方向外側と云う。
この無段変速機1においては、対向させて配置した第1回転要素10と第2回転要素20とで夫々の転動部材40を挟持すると共に、その夫々の転動部材40を第3回転要素30の外周面上に配設し、その第1回転要素10と第2回転要素20と第3回転要素30との間で各転動部材40を介したトルクの伝達を行うことができる。例えば、この無段変速機1においては、第1から第3の回転要素10,20,30の内の1つをトルク(動力)の入力部とし、残りの回転要素の内の少なくとも1つをトルクの出力部にすることができる。これが為、この無段変速機1においては、入力部となる何れかの回転要素と出力部となる何れかの回転要素との間の回転速度(回転数)の比が変速比γとなる。例えば、この無段変速機1は、車両の動力伝達経路上に配設される。その際には、その入力部がエンジンやモータ等の動力源側に連結され、その出力部が駆動輪側に連結される。この無段変速機1においては、入力部としての回転要素にトルクが入力された場合の各回転要素の回転動作を正駆動と云い、出力部としての回転要素に正駆動時とは逆方向のトルクが入力された場合の各回転要素の回転動作を逆駆動と云う。例えば、この無段変速機1は、先の車両の例示に従えば、加速等の様に動力源側からトルクが入力部たる回転要素に入力されて当該回転要素を回転させているときが正駆動となり、減速等の様に駆動輪側から出力部たる回転中の回転要素に正駆動時とは逆方向のトルクが入力されているときが逆駆動となる。
この無段変速機1は、第1及び第2の回転要素10,20の内の少なくとも一方を転動部材40に押し付けることによって、第1から第3の回転要素10,20,30と転動部材40との間に適切な接線力(トラクション力)を発生させ、その間におけるトルクの伝達を可能にする。また、この無段変速機1は、夫々の転動部材40を自身の第2回転中心軸A2と第1回転中心軸A1とを含む傾転平面上で傾転させ、第1回転要素10と第2回転要素20との間の回転速度(回転数)の比を変化させることによって、入出力間の回転速度(回転数)の比を変える。
ここで、この無段変速機1においては、第1及び第2の回転要素10,20が遊星歯車機構で云うところのリングギヤの機能を為すものとなる。また、第3回転要素30は、トラクション遊星ギヤ機構のサンローラとして機能する。また、転動部材40はトラクション遊星ギヤ機構におけるボール型ピニオンとして機能し、第1及び第2の保持部材61,62はキャリアとして機能する。以下、第1及び第2の回転要素10,20については、各々「第1及び第2の回転部材10,20」と云う。また、第3回転要素30については「サンローラ30」と云い、転動部材40については「遊星ボール40」と云う。また、第1及び第2の保持部材61,62については、各々「第1キャリア61」、「第2キャリア62」と云う。以下の例示では、第2キャリア62を固定要素とし、シャフト50に固定する。
そのシャフト50は、図示しない筐体や車体等における無段変速機1の固定部に固定したものであり、その固定部に対して相対回転させぬよう構成した円柱状又は円筒状の固定軸とする。
第1及び第2の回転部材10,20は、中心軸を第1回転中心軸A1に一致させた円盤部材(ディスク)や円環部材(リング)であり、軸線方向で対向させて各遊星ボール40を挟み込むように配設する。この例示においては、双方とも円環部材とする。
この第1及び第2の回転部材10,20は、後で詳述する各遊星ボール40の径方向外側の外周曲面と接触する接触面を有している。その夫々の接触面は、例えば、遊星ボール40の外周曲面の曲率と同等の曲率の凹円弧面、その外周曲面の曲率とは異なる曲率の凹円弧面、凸円弧面又は平面等の形状を成している。ここでは、後述する基準位置の状態で第1回転中心軸A1から各遊星ボール40との接触点までの距離が同じ長さになるように夫々の接触面を形成して、第1及び第2の回転部材10,20の各遊星ボール40に対する夫々の接触角θが同じ角度になるようにしている。その接触角θとは、基準から各遊星ボール40との接触点までの角度のことである。ここでは、径方向を基準にしている。その夫々の接触面は、遊星ボール40の外周曲面に対して点接触又は面接触している。また、夫々の接触面は、第1及び第2の回転部材10,20から遊星ボール40に向けて軸線方向の力(押圧力)が加わった際に、その遊星ボール40に対して径方向内側で且つ斜め方向の力(法線力)が加わるように形成されている。
この例示においては、第1回転部材10を無段変速機1の正駆動時におけるトルク入力部として作用させ、第2回転部材20を無段変速機1の正駆動時におけるトルク出力部として作用させる。従って、その第1回転部材10には入力軸(図示略)が連結され、第2回転部材20には出力軸(図示略)が連結される。その入力軸や出力軸は、シャフト50に対する周方向の相対回転を行うことができる。尚、この無段変速機1は、入力軸として設けているものを出力軸として利用し、出力軸として設けているものを入力軸として利用してもよい。
ここで、その入力軸と第1回転部材10との間には、軸力を発生させる軸力発生部(図示略)が設けられている。その軸力発生部としては、トルクカムが考えられる。従って、この軸力発生部は、入力軸側の係合部材と第1回転部材10側の係合部材とが係合することで、入力軸と第1回転部材10との間で軸力を発生させると共に回転トルクを伝達させ、これらを一体になって回転させる。その軸力発生部による軸力は、第1回転部材10と第2回転部材20とに伝わり、これらが各遊星ボール40を押圧する際の押圧力となる。その軸力発生部は、第1回転部材10側に替えて又は第1回転部材10側と共に、出力軸と第2回転部材20との間に設けてもよい。
サンローラ30は、シャフト50と同心上に配置され、このシャフト50に対する周方向への相対回転を行う。ここでは、このサンローラ30とシャフト50との間にラジアル軸受RB1,RB2が配設されている。このサンローラ30の外周面には、複数個の遊星ボール40が放射状に略等間隔で配置される。従って、このサンローラ30においては、その外周面が遊星ボール40の自転の際の転動面となる。このサンローラ30は、自らの回転動作によって夫々の遊星ボール40を転動(自転)させることもできれば、夫々の遊星ボール40の転動動作(自転動作)に伴って回転することもできる。このサンローラ30においては、シャフト50に対して軸線方向へと移動させないように、ラジアル軸受RB1,RB2の側面に例えばスナップリング等の係止部材を配設している。
遊星ボール40は、サンローラ30の外周面上を転がる転動部材である。この遊星ボール40は、完全な球状体であることが好ましいが、少なくとも転動方向にて球形を成すもの、例えばラグビーボールの様な断面が楕円形状のものであってもよい。この遊星ボール40は、その中心を通って貫通させた支持軸41によって回転自在に支持する。例えば、遊星ボール40は、支持軸41の外周面との間に配設した軸受によって、第2回転中心軸A2を回転軸とした支持軸41に対する相対回転(つまり自転)ができるようにしている。従って、この遊星ボール40は、支持軸41を中心にしてサンローラ30の外周面上を転動することができる。その支持軸41の両端は、遊星ボール40から突出させておく。
その支持軸41の基準となる位置は、図1に示すように、第2回転中心軸A2が第1回転中心軸A1と平行になる位置である。この支持軸41は、その基準位置で形成される自身の回転中心軸(第2回転中心軸A2)と第1回転中心軸A1とを含む傾転平面内において、基準位置とそこから傾斜させた位置との間を遊星ボール40と共に揺動(傾転)することができる。その傾転は、その傾転平面内で遊星ボール40の中心を支点にして行われる。
第1及び第2のキャリア61,62は、シャフト50上で互いに対向させて配設し、その間に配置した各遊星ボール40の傾転動作を妨げないように支持軸41を保持するものである。遊星ボール40から突出させた支持軸41の夫々の突出部は、一方が第1キャリア61に保持され、他方が第2キャリア62に保持される。これら第1及び第2のキャリア61,62は、例えば、中心軸を第1回転中心軸A1に一致させた円盤部材とする。
この無段変速機1には、夫々の遊星ボール40の傾転時に支持軸41を傾転方向へと案内する為の第1及び第2のガイド部63,64が設けられている。この例示では、その第1及び第2のガイド部63,64を第1及び第2のキャリア61,62に各々設ける。第1及び第2のガイド部63,64は、遊星ボール40から突出させた支持軸41を傾転方向に向けて案内する径方向のガイド溝やガイド孔であり、第1及び第2のキャリア61,62の夫々の対向する部分に遊星ボール40毎に形成する(図2,3)。つまり、全ての第1及び第2のガイド部63,64は、軸線方向(例えば図1の矢印Aの方向)から観ると夫々に放射状を成している。
この例示では、各遊星ボール40と後述するアイリスプレート70との間に第1キャリア61を配設する。これが為、この第1キャリア61の第1ガイド部63は、ガイド孔とし、支持軸41を貫通させる。一方の第2キャリア62の第2ガイド部64は、ガイド溝又はガイド孔のどちらでもよい。第1及び第2のガイド部63,64は、第1及び第2のキャリア61,62の周方向を幅とする。そして、第1及び第2のガイド部63,64は、その幅を支持軸41の直径(ころ軸受等が介在している場合には、その外形。)よりも拡げることで、遊星ボール40の傾転動作を妨げないようにしている。
また、この例示では、アイリスプレート70の近くに配置した第1キャリア61をシャフト50に対して相対回転できるよう取り付ける一方、この第1キャリア61よりもアイリスプレート70から離れた位置に配置した第2キャリア62をシャフト50に固定する。
第1キャリア61は、その内周側に溝部65が形成されている。この例示では図2に示すように溝部65を1つにしているが、溝部65は、第1回転中心軸A1を中心にして対角線上又は放射状に複数形成してもよい。シャフト50の外周面上には、その溝部65に対応する位置に突出部51を設ける。この第1キャリア61は、その溝部65の中に突出部51が挿入された状態でシャフト50に取り付ける。ここでは、溝部65の径方向内側の壁面と突出部51の径方向外側の壁面とが互いに接触しないよう形成する。また、ここでは、溝部65の周方向における夫々の壁面と突出部51の周方向における夫々の壁面との間に隙間を形成する。
その夫々の隙間には、弦巻バネ等の弾性部材66を配設する。その夫々の弾性部材66は、周方向又は略周方向に伸縮できるよう配設され、第1キャリア61に周方向の力が加わらなければ、この第1キャリア61を中立位置に保持する。尚、その中立位置とは、第1及び第2のガイド部63,64の幅方向と径方向の形状が同じ場合、軸線方向に観たときに第1ガイド部63と第2ガイド部64とが完全に重なり合う位置のことであって、支持軸41と第1ガイド部63の夫々の幅方向の壁面との各隙間が均等になっている状態のことを云う。
第2キャリア62は、その内周面側をシャフト50の外周面側に嵌合や圧入等で固定することにより、そのシャフト50に対する周方向への相対回転や軸線方向への相対移動が行えないようにする。
この無段変速機1においては、夫々の遊星ボール40の傾転角が基準位置、即ち0度のときに、第1回転部材10と第2回転部材20とが同一回転速度(同一回転数)で回転する。つまり、このときには、第1回転部材10と第2回転部材20の回転比(回転速度又は回転数の比)が1となり、変速比γが1になっている。一方、夫々の遊星ボール40を基準位置から傾転させた際には、支持軸41の中心軸(第2回転中心軸A2)から第1回転部材10との接触点までの距離が変化すると共に、支持軸41の中心軸から第2回転部材20との接触点までの距離が変化する。これが為、第1回転部材10又は第2回転部材20の内の何れか一方が基準位置のときよりも高速で回転し、他方が低速で回転するようになる。例えば第2回転部材20は、遊星ボール40を一方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも低回転になり(減速)、他方へと傾転させたときに第1回転部材10よりも高回転になる(増速)。従って、この無段変速機1においては、その傾転角を変えることによって、第1回転部材10と第2回転部材20との間の回転比(変速比γ)を無段階に変化させることができる。尚、変速比γが増速のとき(γ<1)には、図1における上側の遊星ボール40が基準位置よりも紙面反時計回り方向に傾転し且つ下側の遊星ボール40が基準位置よりも紙面時計回り方向に傾転している。また、変速比γが減速のとき(γ>1)には、図1における上側の遊星ボール40が基準位置よりも紙面時計回り方向に傾転し且つ下側の遊星ボール40が基準位置よりも紙面反時計回り方向に傾転している。
この無段変速機1には、その変速比γを変える変速装置が設けられている。変速比γは遊星ボール40の傾転角の変化に伴い変わるので、その変速装置としては、夫々の遊星ボール40を傾転させる傾転装置を用いる。ここでは、この変速装置が円盤状のアイリスプレート(傾転要素)70を備えている。そのアイリスプレート70は、その径方向内側のラジアル軸受RB3を介してシャフト50に取り付けられており、そのシャフト50に対して第1回転中心軸A1を中心とする相対回転を行える。その相対回転には、アイリスプレート70の駆動源としてのアクチュエータを用いる。ここでは、図4に示すモータMGが配設されている。このモータMGの駆動力は、例えばウォームギア71等の動力伝達部を介してアイリスプレート70の外周部分に伝えられる。
このアイリスプレート70は、第1キャリア61の外側(軸線方向にて各遊星ボール40の配置されていない側)、第2キャリア62の外側(軸線方向にて各遊星ボール40の配置されていない側)、第1キャリア61と各遊星ボール40との間又は第2キャリア62と各遊星ボール40との間の何れかの場所に配置する。ここでは、第1キャリア61の外側に配置している。
このアイリスプレート70には、支持軸41の一方の突出部が挿入される絞り部72が形成されている。その絞り部72は、径方向内側から径方向外側に向かうにつれて径方向に対して周方向にずれていく形状のものであり、所謂絞り孔(アイリス孔)や絞り溝(アイリス溝)と云われるものである。ここでは、絞り孔を例示している。具体的に、この絞り部72は、径方向内側の端部が起点の径方向を基準線Lと仮定する場合、径方向内側から径方向外側に向かうにつれて基準線Lから周方向に離れていく弧状になっている(図4)。そして、この絞り部72は、軸線方向に観たときに第1ガイド部63と交差する交差点を有しており、この交差点で支持軸41の一方の突出部を保持する。その交差点は、アイリスプレート70の回転と共に径方向へと移動する。尚、その図4は、アイリスプレート70を図1の矢印Aの方向に観た図である。
支持軸41の一方の突出部は、アイリスプレート70が図4の紙面時計回り方向に回転することで、絞り部72に沿ってアイリスプレート70の中心側に移動する。その際、支持軸41の夫々の突出部が第1及び第2のキャリア61,62のガイド部63,64に挿入されているので、絞り部72に挿入されている一方の突出部は、径方向内側に移動する。また、その一方の突出部は、アイリスプレート70が図4の紙面反時計回り方向に回転することで、絞り部72に沿ってアイリスプレート70の外周側に移動する。その際、この一方の突出部は、ガイド部63,64の作用によって径方向外側に移動する。このように、支持軸41は、ガイド部63,64と絞り部72によって径方向に移動できる。従って、遊星ボール40は、上述した傾転動作が可能になる。この例示では、減速方向へと傾転させる場合、アイリスプレート70を図4の紙面時計回り方向に回転させ、増速方向へと傾転させる場合、アイリスプレート70を図4の紙面反時計回り方向に回転させる。
この無段変速機1には、アイリスプレート70の回転に連動して第1キャリア61を回転させるトルク伝達部80を設ける。このトルク伝達部80は、第1キャリア61とアイリスプレート70との間の相対回転速度Vに応じた伝達トルクTを相互間に発生させるものであり、例えば回転速度感応型のカップリングやフルードカップリング等を用いればよい。この例示のトルク伝達部80は、アイリスプレート70の回転に伴い伝達トルクTを発生し、これを第1キャリア61に伝えることで、この第1キャリア61を回転させる。ここでは、アイリスプレート70と同一の周方向に第1キャリア61を回転させるものとする。また、このトルク伝達部80は、第1キャリア61とアイリスプレート70との間に配設されるものであるが、これらよりも径方向外側へと食み出さないように配設することが好ましい。ここでは、第1キャリア61とアイリスプレート70との間の中でも各支持軸41よりも径方向内側に配設している。
このトルク伝達部80に関して詳述する前に、動力源からのトルクの入力に伴い遊星ボール40等に作用する力について説明する。
例えば正駆動時には、動力源から第1回転部材10にトルクが入力される。ここでは、その入力トルクの向きを図4の紙面時計回り方向(つまりアイリスプレート70で変速比γを減速側に変える方向)と同じにして説明する。
遊星ボール40における第1及び第2の回転部材10,20との接触点においては、図5に示すように、その入力トルクによって互いに逆向きの接線力(トラクション力)F1,F2が働いている。その図5は、遊星ボール40等を図1の矢印Bの方向に観た図であって、第2回転中心軸A2に沿って切った部分断面図である。ここでは、「F1=F2」とする。そして、その夫々の接触点は、遊星ボール40の外周面上において遊星ボール40の重心からずらした位置にある。これが為、その夫々の接線力F1,F2は遊星ボール40において偏心荷重となるので、その接線力F1,F2が加わった際には、その重心を中心にした回転モーメント(以下、「スピンモーメント」という。)が遊星ボール40に発生する。この図5の例示では、反時計回り方向のスピンモーメントが働く。
支持軸41と第1及び第2のガイド部63,64との間には第1及び第2のガイド部63,64の幅方向に隙間が存在しているので、遊星ボール40は、図5に示すように、スピンモーメントの方向に回転軸ずれが生じて傾く。その回転軸ずれによるスキュー状態では、支持軸41の第1及び第2のガイド部63,64内に位置している部分に対して、接線力F1,F2に応じた力F3,F4が作用している(式1,2)。その力F3,F4は、動力源からの入力トルクに応じた力と云える。そして、この力F3,F4は、支持軸41が第1及び第2のガイド部63,64の壁面に接したならば、第1及び第2のガイド部63,64に対する周方向への押圧力となる。
F3=(Lb1/Lc1)*F1 … (1)
F4=(Lb2/Lc2)*F2 … (2)
Lb1、Lb2、Lc1及びLc2は、遊星ボール40を図1の矢印Bの方向に観た状態での距離を表している。「Lb1」は、遊星ボール40の重心と一方の接触点(第1回転部材10と遊星ボール40との接触点)までの距離である。「Lb2」は、遊星ボール40の重心と他方の接触点(第2回転部材20と遊星ボール40との接触点)までの距離である。「Lc1」は、遊星ボール40の重心と第1ガイド部63における支持軸41からの作用点(例えば第1ガイド部63内の支持軸41の中央部分)との間の距離である。「Lc2」は、遊星ボール40の重心と第2ガイド部64における支持軸41からの作用点(例えば第2ガイド部64内の支持軸41の中央部分)との間の距離である。ここでは、「Lb1=Lb2」、「Lc1=Lc2」とするので、「F3=F4」になる。
更に、このスキュー状態では、支持軸41の絞り部72内に位置している部分に対して、接線力F1(つまり動力源の入力トルク)に応じた力F5が作用している(式3)。その力F5は、支持軸41が絞り部72の壁面に接したならば、絞り部72に対する周方向への押圧力となる。「La」は、遊星ボール40の重心と絞り部72における支持軸41からの作用点(例えば絞り部72内の支持軸41の中央部分)との間の距離である。
F5=(Lb1/La)*F1 … (3)
本実施例のトルク伝達部80は、下記の式4に示す力F3と力F3の作用半径Rc(図2)との積Tcの絶対値よりも伝達トルクTの絶対値が大きくなるようにトルク伝達特性を設定する。その作用半径Rcは、変速比γに応じて変化する。その積Tcとは、支持軸41から第1キャリア61に作用するトルクのことであり、動力源からの入力トルクによって第1キャリア61に作用するトルクと云える。以下、この積Tcを「キャリアトルクTc」と云う。
Tc=Rc*F3=Rc*(Lb1/Lc1)*F1 … (4)
このキャリアトルクTcは、その向きが動力源からの入力トルクの方向に依存しているので、変速が減速側であると増速側であるとに拘わらず、同じ向きに発生する。この例示では、減速側へと変速させるときのアイリスプレート70の回転方向と同じ向きに発生している。これに対して、トルク伝達部80の伝達トルクTは、その向きがアイリスプレート70の回転方向によって決まる。これが為、この伝達トルクTは、減速側への変速時であれば、キャリアトルクTcと同じ向きに発生し、増速側への変速時であれば、キャリアトルクTcとは逆向きに発生する。ここでは、減速側への変速時における伝達トルクTの向きを正回転方向と云い、増速側への変速時における伝達トルクTの向きを負回転方向と云う。
ここで、動力源からの入力トルクは、例えば同じ走行状態からの加速であっても、急加速時や緩加速時等の様々な条件によって異なる大きさになる。従って、トルク伝達部80の伝達トルクTは、実際の走行場面として想定され得る全ての条件の入力トルクにおいて、その絶対値がキャリアトルクTcの絶対値よりも大きくなるように設定する。これにより、このトルク伝達部80は、入力トルクが如何様な条件による大きさのものであったとしても、アイリスプレート70の回転と共に第1キャリア61を回転させることができる。
図6には、このトルク伝達部80のトルク伝達特性の一例を示している。縦軸は、トルク伝達部80の伝達トルクTを表しており、横軸は、第1キャリア61に対するアイリスプレート70の相対回転速度Vを表している。このトルク伝達部80は、その相対回転速度Vが0になっているときに伝達トルクTが0になる。この0のときを境にして、図6の紙面右側が変速比γを減速側に変化させるときの正回転時のトルク伝達特性であり、紙面左側が変速比γを増速側に変化させるときの負回転時のトルク伝達特性である。ここでは、これらが対称となるトルク伝達特性を示している。
図6の「T1」と「T2」は、夫々急加速時と緩加速時におけるトルク伝達部80の伝達トルクを示す。また、「Tc1」と「Tc2」は、夫々急加速時と緩加速時のキャリアトルクを示す。また、「V1」と「V2」は、夫々急加速時と緩加速時における第1キャリア61に対するアイリスプレート70の相対回転速度を示す。これらは、全て正回転時のものである。一方、負回転時のものについては、図6において「−T1」、「−T2」等と表している。
急加速時には、正回転(V>0)であれば、キャリアトルクTc1の絶対値よりも大きい伝達トルクT1の絶対値が設定されている。これに対して、負回転(V<0)の場合には、キャリアトルク−Tc1の絶対値よりも大きい伝達トルク−T1の絶対値が設定されている。また、緩加速時には、正回転であれば、キャリアトルクTc2の絶対値よりも大きい伝達トルクT2の絶対値が設定されている。これに対して、負回転の場合には、キャリアトルク−Tc2の絶対値よりも大きい伝達トルク−T2の絶対値が設定されている。この例示では、正回転と負回転の夫々の場合において、少なくとも急加速時と緩加速時との間の伝達トルクTの絶対値をキャリアトルクTcの絶対値よりも大きく設定する。その領域(図6のハッチング領域)が、本車両で想定される変速速度と入力トルクとによるモーメントの範囲を示すものだからである。
このトルク伝達部80は、このようなトルク伝達特性の設定により、減速側へと変速させる場合、第1キャリア61に対してキャリアトルクTcと同じ向きの伝達トルクTが作用して、その第1キャリア61をキャリアトルクTcと同じ向きに回転させるので、図5のスキュー状態を容易に作り出すことができる。何故ならば、この場合には、第1キャリア61の回転に伴い、第1ガイド部63の幅方向における一方の壁面から支持軸41への抗力が減少し、その壁面でのスピンモーメントによるスキュー状態の生成が邪魔され難くなるからである。
このスキュー状態においては、サンローラ30の回転方向と遊星ボール40の回転方向との間にもずれが生じている。これが為、サンローラ30と遊星ボール40との間においては、サンローラ30の回転速度と遊星ボール40の回転速度とにより決まるサイドスリップ速度が発生している。そのサイドスリップ速度によりサンローラ30を軸線方向(図5の紙面右方向)に動かそうとする力Faが働くが、そのサンローラ30の軸線方向への移動は規制されているので、このスキュー状態の遊星ボール40には、その反作用として逆方向(図5の紙面左方向)に動かそうとする力Faがサンローラ30との間で生じる。そして、この遊星ボール40は第1及び第2の回転部材10,20とサンローラ30の3点で拘束されているので、その反作用の力Faは、図1の上側の遊星ボール40を同図の紙面時計回り方向に動かす力となる。更に、このスキュー状態においては、図5では詳述していないが、支持軸41のずれ角の分だけ出力側の接線力F2のベクトルの向きが内側(図5において第1キャリア61側)に傾いている。そして、接線力F2の一部は、幾何学的に図1の上側の遊星ボール40を同図の紙面時計回り方向に回転させる力Fbとなる。このように、図5のスキュー状態にある遊星ボール40の表面には、その力Faと力Fbとの合力による接線力が作用する。この合力による接線力は、図1の上側の遊星ボール40において同図の紙面時計回り方向の回転モーメントになり、支持軸41の第1キャリア61側及びアイリスプレート70側の突出部に径方向内側に向けたスキュー力を発生させる。図7には、第1キャリア61における上記の距離Lc1の位置に発生するスキュー力Fsを示している。そのスキュー力Fsは、減速側へ変速させる際の傾転力となる。
この無段変速機1においては、アイリスプレート70を減速側へ変速させるよう回転させることで、トルク伝達部80を介して第1キャリア61も同一方向に回転させ、スピンモーメントによる図5のスキュー状態の生成を補助することができる。そして、これにより、この無段変速機1においては、減速側への変速に要するスキュー力Fsを支持軸41に発生させることができ、減速側へと遊星ボール40を傾転させることが可能になる。
ここで、遊星ボール40を傾転させる為には、必要とされるスキュー力(必要スキュー力)Fs0の大きさが傾転動作の速度や効率等の観点から決められており、その必要スキュー力Fs0の発生に要するスキュー状態(支持軸41のずれ角)を作り出す必要がある。この例示では、必要スキュー力Fs0の発生に必要な第1ガイド部63における必要スキュー量の最大値Smaxに基づいて、支持軸41と第1ガイド部63との間の第1ガイド部63の幅方向における隙間CL(図2)を設定する。ここでは、その必要スキュー量の最大値Smaxとの関係が下記の式5の関係式を満たすように隙間CLの設定を行う。尚、第1ガイド部63のスキュー量とは、スキュー発生に伴う第1ガイド部63内での支持軸41の移動量のことであり、例えば支持軸41のずれ角と上記の距離Lc1とから大凡の値を推定できる。この例示では、第2ガイド部64における支持軸41との隙間CLも同じ大きさに設定する。
CL/2≧Smax … (5)
一方、変速比γを増速側に変化させる場合には、力F3や力F5とは逆向きの力が働くようにアイリスプレート70を回転させる。この無段変速機1においては、そのアイリスプレート70の回転と共に、トルク伝達部80を介してキャリアトルクTcとは逆向きの伝達トルクTが第1キャリア61に働く。ここでは、その伝達トルクTの絶対値がキャリアトルクTcの絶対値よりも大きいので、第1キャリア61がキャリアトルクTcとは逆向きに回転する。この第1キャリア61の回転と同時に、第1ガイド部63の壁面が支持軸41をスピンモーメントとは逆向きに押し動かすので、遊星ボール40は、図8に示すように、図5のスキュー状態とは逆向きのスキュー状態になる。
増速側への変速時には、このように減速側とは逆のスキュー状態を作り出すことにより、上記の反作用力たるサンローラ30と遊星ボール40の間の力Faが図8の紙面右方向を向いたものとして発生する。ここでの力Faは、図1の上側の遊星ボール40を同図の紙面反時計回り方向に動かす力となる。更に、このスキュー状態においては、図8では詳述していないが、支持軸41のずれ角の分だけ出力側の接線力F2のベクトルの向きが外側(図8において第2キャリア62側)に傾いている。そして、接線力F2の一部は、幾何学的に図1の上側の遊星ボール40を同図の紙面反時計回り方向に回転させる力Fbとなる。増速側への変速時には、その力Faと力Fbとの合力による接線力を遊星ボール40の表面に作用させ、その図1の上側の遊星ボール40に同図の紙面反時計回り方向の回転モーメントを働かせる。その回転モーメントは、支持軸41の第1キャリア61側及びアイリスプレート70側の突出部に径方向外側に向けたスキュー力を発生させる。図9には、第1キャリア61における上記の距離Lc1の位置に発生するスキュー力Fsを示している。そのスキュー力Fsは、増速側へ変速させる際の傾転力となる。
この無段変速機1においては、アイリスプレート70を増速側へ変速させるよう回転させることで、トルク伝達部80を介して第1キャリア61も同一方向に回転させ、減速側とは逆向きのスキュー状態の生成を補助することができる。そして、これにより、この無段変速機1においては、増速側への変速に要するスキュー力Fsを支持軸41に発生させることができ、増速側へと遊星ボール40を傾転させることが可能になる。
ところで、前述したように、第1キャリア61の溝部65とシャフト50の突出部51との間にできる2つの隙間には、夫々に弾性部材66が配設されている。これが為、第1キャリア61における力F3の作用点には、弾性部材66の弾発力による力も作用している。故に、特に増速側への変速時には、遊星ボール40が基準位置から図6のスキュー状態になるまでの間において、その弾発力による力が第1キャリア61の回転の妨げとなり、トルク伝達部80で第1キャリア61を回転させることが難しくなる可能性がある。そこで、この無段変速機1においては、弾性部材66の特性(バネ定数)を図10に示すように設定する。この弾性部材66は、増速側へ変速させる際に、緩加速時でもトルク伝達部80が第1キャリア61を回転できるように特性を設定する。具体的には、緩加速時におけるトルク伝達部80が伝達トルクT2を発生させているので、このときに弾性部材66に作用する荷重(T2/Rsp)と上記の隙間内での弾性部材66の最大変位量X0とに基づいて、その伝達トルクT2による荷重(T2/Rsp)よりも小さい荷重で最大変位量X0となるように弾性部材66の特性を設定する。「Rsp」は、弾性部材66の作用半径である(図2)。これにより、この無段変速機1にいては、トルク伝達部80の伝達トルクTでスキュー状態の生成に要する第1キャリア61の回転が可能になる。
以上示したように、この無段変速機1は、第1キャリア61とアイリスプレート70との間に上記のトルク伝達部80を備えることによって、様々な状況下でも減速側又は増速側への変速に適した遊星ボール40のスキュー状態を作り出すことができる。その際、第1キャリア61は、アイリスプレート70の回転により発生するトルク伝達部80の伝達トルクTで回転させられる。これが為、この無段変速機1においては、第1キャリア61を回転させる為の専用の駆動源が不要で、アイリスプレート70の回転の為の駆動源(モータMG)だけを配備すればよいので、第1キャリア61用のモータも有していた従来のものよりも変速機の小型化が可能になり、且つ、変速に必要な変速エネルギの低減も可能になる。また、この無段変速機1においては、トルク伝達部80を第1キャリア61とアイリスプレート70との間に元々ある隙間に配置すればよく、その隙間の拡張を要するとしても大幅に拡げる必要はないので、変速機の大型化を抑えつつトルク伝達部80を配置することができる。
尚、この例示のトルク伝達部80は、正回転と負回転とで同じトルク伝達特性に設定しているが、正回転と負回転とで異なるトルク伝達特性に設定してもよい。この場合には、例えば、キャリアトルクTcと同一方向である正回転の伝達トルクTを負回転のものよりも小さくできる。
1 無段変速機
10 第1回転部材(第1回転要素)
20 第2回転部材(第2回転要素)
30 サンローラ(第3回転要素)
40 遊星ボール(転動部材)
41 支持軸
50 シャフト(変速機軸)
51 突出部
61 第1キャリア(第1保持部材)
62 第2キャリア(第2保持部材)
63 第1ガイド部
64 第2ガイド部
65 溝部
66 弾性部材
70 アイリスプレート(傾転要素)
72 絞り部
80 トルク伝達部
MG モータ

Claims (2)

  1. 回転中心となる固定軸としての変速機軸と、
    前記変速機軸上で対向させて配置した共通の第1回転中心軸を有する相対回転可能な第1及び第2の回転要素と、
    前記第1回転中心軸と平行な第2回転中心軸を有し、該第1回転中心軸を中心にして放射状に複数配置して前記第1及び第2の回転要素に挟持させた転動部材と、
    前記第2回転中心軸を有し、前記転動部材から両端を突出させた当該転動部材の支持軸と、
    前記各転動部材を外周面上に配置し、前記変速機軸並びに前記第1及び第2の回転要素に対する相対回転が可能な第3回転要素と、
    前記変速機軸に対して前記第1回転中心軸を中心とする相対回転ができるよう配置し、前記各支持軸の一方の突出部を径方向に案内する第1ガイド部の形成された第1保持部材と、
    前記変速機軸に固定され、且つ、前記各支持軸の他方の突出部を径方向に案内する第2ガイド部の形成された第2保持部材と、
    軸線方向に観たときに前記第1ガイド部と交差している交差点を有し、該交差点で前記支持軸の一方の突出部を保持する絞り部を備え、前記変速機軸に対して前記第1回転中心軸を中心に相対回転することで前記交差点を径方向に移動させる傾転要素と、
    前記傾転要素を前記変速機軸に対して相対回転させるアクチュエータと、
    前記第1保持部材と前記傾転要素との間の相対回転速度に応じた伝達トルクを当該第1保持部材と当該傾転要素との間に発生させるトルク伝達部と、
    を備えたことを特徴とする無段変速機。
  2. 前記トルク伝達部は、入力トルクに応じた前記支持軸から前記第1保持部材への力と当該力の作用半径との積よりも大きい伝達トルクに設定したことを特徴とする請求項1記載の無段変速機。
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