JPWO2012086082A1 - 燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

膜電極接合体(50)とアノード側ガス拡散層(52)とカソード側ガス拡散層(54)を備える燃料電池及びその製造方法である。アノード側ガス拡散層(52)における炭素繊維の突き出しを抑制する処理と、カソード側ガス拡散層(54)における炭素繊維の突き出しを抑制する処理の程度を変化させる。アノード側ガス拡散層(52)については突き出しを抑制して膜電極接合体(50)の損傷を防止する。カソード側ガス拡散層(54)については抑制処理の程度を低くして生成水の排水性を確保する。

Description

本発明は燃料電池及びその製造方法に関し、特にガス拡散層の構成に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜からなる電解質膜を燃料極と空気極との2枚の電極で挟んだ膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を、さらに2枚のセパレータで挟持してなるセルを最小単位とし、このセルを複数積み重ねて燃料電池スタックとして高出力を得ている。
固体高分子型燃料電池の発電の仕組みは周知であるが、簡単に説明すると、燃料極(アノード側電極)に燃料ガスとして例えば水素含有ガスが、空気極(カソード側電極)に酸化剤ガスとして例えば主に酸素を含有するガスあるいは空気が供給される。水素含有ガスは、燃料ガス流路を通ってアノード側電極に供給され、電極の触媒の作用により電子と水素イオンに分解される。電子は外部回路を通ってカソード側電極に移動する。一方、水素イオンは電解質膜を通過してカソード電極に達し、酸素および外部回路を通ってきた電子と結合し、反応水になる。水素と酸素及び電子の結合反応により発生する熱は、冷却水によって回収される。また、カソード電極側に生成した水(以下「生成水」という)は、カソード側から排出される。
上述した燃料電池のアノード電極及びカソード電極は、それぞれ触媒層からなり、この触媒層にはそれぞれ水素含有ガス、酸化剤ガスを拡散するためのガス拡散層が積層されている。ところで、上述の反応により生成した生成水の排出がカソード側で滞った場合、カソード電極に閉塞現象(「フラッディング現象」)が生じる場合がある。そこで、ガス拡散層を、炭素繊維からなる層と撥水層から構成し、撥水層により生成水の排水を促進している。
しかしながら、ガス拡散層における炭素繊維の少なくとも一部が表面から突出している場合、ガス拡散層を膜電極接合体に積層した場合に、炭素繊維の突き出しにより、膜電極接合体が損傷するおそれがある。従って、このような炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体の損傷を防止する必要がある。
下記の特許文献1には、繊維を含んでなるガス拡散層基材をローラに載せて反らせ、繊維突起を起き上がらせた状態で繊維突起を除去した後に膜電極接合体と一体化する方法が開示されている。
特開2008−198526号公報
図11に、炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体の損傷の状況を模式的に示す。図11において、燃料電池のセルは、電極としてそれぞれ機能する一対の触媒層で電解質膜を挟んで形成された膜電極接合体(MEA)50の両面に、それぞれ炭素繊維24から成る層と撥水層22とが積層してなるガス拡散層52,54が設けられ、さらに膜電極接合体50とガス拡散層52,54を挟むようにセパレータ62,64が配置されて形成される。炭素繊維24からなる層は、炭素繊維24の集合体からなり、この炭素繊維24の集合体が撥水層22に接合されて、ガス拡散層52,54が形成される。ガス拡散層52に水素含有ガスが供給されるものとすると、ガス拡散層52はアノード側ガス拡散層52として機能し、ガス拡散層54に空気等の酸化剤ガスが供給されるものとすると、ガス拡散層54はカソード側ガス拡散層54として機能する。
通常、燃料電池のセルの状態では、炭素繊維24からなる層から炭素繊維24が撥水層22に向かってたとえ突き出したとしても、炭素繊維24の突き出し部分は撥水層22内に留まる。しかし、燃料電池の複数のセルをスタック状に積層した場合には、ガス拡散層52,54の厚み方向に圧力が加わり、炭素繊維24の突き出し部分60は撥水層22から突出し、膜電極接合体50に損傷を与える可能性がある。
ここで、膜電極接合体50がある程度厚いと炭素繊維24が突出したとしても膜電極接合体50を貫通することがなく損傷は軽微であってその電池特性に与える影響も少ないが、燃料電池の高出力化を図るべく膜電極接合体50の厚さ、より特定的には電解質膜の厚さを薄くすると、その分だけ膜電極接合体50が損傷する可能性が高くなり、電解質膜の貫通によるガスのクロスリークや短絡電流の増加を引き起こす。
本発明の目的は、高出力化を図るとともに、炭素繊維の面表面からの突き出しによる膜電極接合体の損傷を防止し得る燃料電池及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、燃料電池であって、電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、前記膜電極接合体のアノード側に設けられるアノード側ガス拡散層と、前記膜電極接合体のカソード側に設けられるカソード側ガス拡散層とを備え、前記アノード側ガス拡散層及び前記カソード側ガス拡散層は炭素繊維を含み、前記アノード側ガス拡散層の前記炭素繊維の面表面からの突き出しの程度と、前記カソード側ガス拡散層の前記炭素繊維の面表面からの突き出しの程度は互いに異なり、前記アノード側ガス拡散層は、前記カソード側ガス拡散層に比べて相対的に前記炭素繊維の面表面からの突き出しが抑制されていることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記アノード側ガス拡散層は、前記炭素繊維の突き出しが抑制され、前記カソード側ガス拡散層は、前記炭素繊維の突き出しが抑制されない。
本発明の他の実施形態では、前記アノード側ガス拡散層は、第1の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制され、前記カソード側ガス拡散層は、前記第1の方法と異なる第2の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制される。
本発明のさらに他の実施形態では、前記アノード側ガス拡散層の短絡電流値は、前記カソード側ガス拡散層の短絡電流値よりも小さく設定される。
本発明のさらに他の実施形態では、少なくとも前記アノード側ガス拡散層の短絡電流値は、所定のしきい値以下である。
本発明のさらに他の実施形態では、前記アノード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量は、前記カソード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量よりも大きく設定される。
また、本発明は、燃料電池の製造方法であって、アノード側ガス拡散層の炭素繊維の面表面からの突き出しを抑制する工程と、カソード側ガス拡散層の炭素繊維の面表面からの突き出しを前記アノード側ガス拡散層と比べて相対的に低く抑制する工程と、前記アノード側ガス拡散層及び前記カソード側ガス拡散層と膜電極接合体とを熱プレス工程を用いて一体化する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の1つの実施形態では、前記カソード側ガス拡散層については前記炭素繊維の突き出しを抑制する処理を非実行とすることを特徴とする。
本発明の他の実施形態では、前記アノード側ガス拡散層は、第1の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制され、前記カソード側ガス拡散層は、前記第1の方法と異なる第2の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制される。
本発明のさらに他の実施形態では、前記アノード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量は、前記カソード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量よりも大きく設定される。
本発明のさらに他の実施形態では、前記アノード側ガス拡散層の炭素繊維の突き出しを抑制する工程は、コールドプレスである。
本発明のさらに他の実施形態では、前記カソード側ガス拡散層の前記炭素繊維の突き出しにより生じた前記膜電極接合体の孔を、前記膜電極接合体を構成する電解質膜の成分で埋める工程をさらに備える。
本発明によれば、燃料電池の高出力化を図るとともに、ガス拡散層の炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体の損傷を防止することができる。
第1実施形態の燃料電池の説明図である。 第1実施形態の燃料電池の構成図である。 バインダ樹脂比率と短絡電流の関係を示すグラフである。 バインダ樹脂比率と透水性の関係を示すグラフである。 コールドプレスと短絡電流の関係を示すグラフである。 コールドプレスと毛羽の角度並びに毛羽本数の関係を示すグラフである。 第2実施形態の燃料電池の製造方法を示す説明図である。 第3実施形態の燃料電池の説明図である。 第3実施形態の燃料電池の構成図である。 第4実施形態の燃料電池の説明図である。 背景技術の燃料電池の構成図である。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。但し、以下に示す実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.基本構成及び基本原理
本実施形態における燃料電池のセルの基本構成は、以下の通りである。すなわち、電極としてそれぞれ機能する一対の触媒層で電解質膜を挟んで形成された膜電極接合体(MEA)の両面に、それぞれ炭素繊維からなる層と撥水層とが積層してなるガス拡散層が設けられ、さらに膜電極接合体とそれぞれのガス拡散層を挟むようにそれぞれセパレータが配置されて形成される。炭素繊維からなる層は、炭素繊維の集合体からなり、この炭素繊維の集合体が撥水層に接合されて、ガス拡散層が形成される。水素含有ガスが供給されるガス拡散層はアノード側ガス拡散層として機能し、空気等の酸化剤ガスが供給されるガス拡散層はカソード側ガス拡散層として機能する。
水素含有ガスは、燃料ガス流路を通ってアノード側電極に供給され、電極の触媒の作用により電子と水素イオンに分解される。電子は外部回路を通ってカソード側電極に移動する。一方、水素イオンは電解質膜を通過してカソード電極に達し、酸素および外部回路を通ってきた電子と結合し、反応水になる。カソード電極側の生成水は、カソード側から排出される。
このような構成において、ガス拡散層における炭素繊維の少なくとも一部が表面から突出している場合、ガス拡散層を膜電極接合体に積層した場合に、炭素繊維の面表面からの突き出し(毛羽)により膜電極接合体が損傷する。特に、燃料電池のセルの高出力化を図るべく膜電極接合体の厚さ、より特定的には電解質膜の厚さを薄くし、水素イオン(プロトン)抵抗を低減させると、その分だけ膜電極接合体が損傷する可能性が高くなり、電解質膜の貫通によるガスのクロスリークや短絡電流の増加を引き起こす。そこで、本実施形態においては、ガス拡散層に所定の処理を施して炭素繊維の突き出しを抑制し、ガス拡散層を膜電極接合体に積層した際の膜電極接合体の損傷を防止する。
一方、炭素繊維の突き出しを抑制するための処理は、一般に、ガス拡散層が本来有している撥水性(あるいは排水性ないし透水性)を低下させてしまう。例えば、炭素繊維からなる層と撥水層はバインダ樹脂により接合ないし接着する場合において、バインダ樹脂の比率を増大させることで炭素繊維をより強固に接合することが可能となるから炭素繊維の突き出しを抑制することが可能である。ところが、バインダ樹脂の比率を増大させると、その分だけ炭素繊維あるいは撥水層の孔にもバインダ樹脂が入り込みその孔を埋めることになるから撥水性あるいは排水性が低下してしまう。特に、カソード側ガス拡散層は、既述したように生成水を排水するために撥水性の機能を持たせているところ、このように炭素繊維の突き出しを抑制する処理により撥水性が低下したのでは、カソード側においてフラッディング現象が生じて出力が低下するだけでなく、カソード側の生成水をアノード側に逆拡散させてアノード側を湿潤状態に維持して出力を向上させることも困難となる。
そこで、本実施形態では、アノード側ガス拡散層については、炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体の損傷を防止するために炭素繊維の突き出しを抑制する処理を施す一方で、カソード側ガス拡散層については、撥水性あるいは排水性を考慮して炭素繊維の突き出しを抑制する処理を実施しないか、あるいは実施したとしてもその処理程度を制限する。カソード側ガス拡散層について炭素繊維の突き出しを抑制する処理を実施しない場合には、カソード側ガス拡散層を膜電極接合体に積層する際に炭素繊維の突き出しが膜電極接合体に突き刺さる可能性はあるが、アノード側ガス拡散層については炭素繊維の突き出しを抑制する処理を施しているので、膜電極接合体を貫通するには至らない。本願出願人は、膜電極接合体を両面から挟むアノード側ガス拡散層の炭素繊維とカソード側ガス拡散層の炭素繊維がともに突き出して両面から膜電極接合体に突き刺さるような場合に膜電極接合体に貫通孔が生じてガスクロスリークや短絡電流の増大が生じるおそれが高いことを確認している。すなわち、アノード側ガス拡散層とカソード側ガス拡散層の少なくともいずれかに炭素繊維の突き出し抑制処理を施すことで、膜電極接合体の損傷を抑制できることを確認している。
本実施形態では、このような原理に基づいて、アノード側ガス拡散層については炭素繊維の突き出し抑制処理を施し、カソード側ガス拡散層については炭素繊維の突き出し抑制処理を実施しない、あるいは実施したとしてもその程度を制限することで、膜電極接合体の損傷を防止するとともに、カソード側における生成水の排水性を確保して高出力化を図るものである。
なお、カソード側ガス拡散層について炭素繊維の突き出しを抑制する処理を実施したとしてもその程度を制限するとは、言い換えれば、アノード側ガス拡散層について炭素繊維の突き出しを抑制する処理に比べて、カソード側ガス拡散層について炭素繊維の突き出しを抑制する処理の程度を相対的に低くすることである。具体的には、ある処理をアノード側とカソード側のガス拡散層に施す場合に、その処理の程度をカソード側において相対的に低くする、またはその処理の時間をカソード側において短くする等である。あるいは、ある処理をアノード側ガス拡散層に施すとともに、別の処理をカソード側ガス拡散層に施す場合において、カソード側ガス拡散層に施される処理の炭素繊維の突き出し抑制効果が低い等である。
従来の燃料電池のセルにおいては、アノード側ガス拡散層とカソード側ガス拡散層は、同一もしくはほぼ同一の材質で構成されているが、本実施形態では、アノード側とカソード側とでガス拡散層の炭素繊維の突き出しの程度が異なる、あるいは非対称であるということもできよう。
以下、本実施形態について、より詳細に説明する。
2.第1実施形態
図1に、本実施形態における燃料電池セルの断面説明図を示す。電極としてそれぞれ機能する一対の触媒層で電解質膜を挟んで形成された膜電極接合体(MEA)50の両面に、それぞれ炭素繊維24から成る層と撥水層22とが積層してなるガス拡散層52,54が設けられ、さらに膜電極接合体50とガス拡散層52,54を挟むようにセパレータ62,64が配置されて形成される。ガス拡散層52に水素含有ガスが供給されるものとすると、ガス拡散層52はアノード側ガス拡散層52として機能し、ガス拡散層54に空気等の酸化剤ガスが供給されるものとすると、ガス拡散層54はカソード側ガス拡散層54として機能する。
アノード側ガス拡散層52は、炭素繊維の突き出しを抑制する処理が施される。一方、カソード側ガス拡散層54は、炭素繊維の突き出しを抑制する処理は実行されない。図において、「突き出し抑制層」は炭素繊維の突き出しを抑制する処理が施されたことを意味し、「突き出し未抑制層」は炭素繊維の突き出しを抑制する処理が実行されないことを意味している。
カソード側ガス拡散層54において炭素繊維の突き出し抑制処理が実行されていないため、カソード側ガス拡散層54では炭素繊維の突き出しが生じているものの、生成水の排水性が確保される。一方、アノード側ガス拡散層52では炭素繊維の突き出しが抑制され、炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体50の貫通が防止される。
図2に、本実施形態における燃料電池セルの断面構成図を示す。アノード側ガス拡散層52及びカソード側ガス拡散層54ともに、炭素繊維24からなる層と撥水層22をバインダ樹脂により接合して構成される。炭素繊維24からなる層は、炭素繊維の集合体として、カーボンペーパ、カーボンクロス等の炭素質多孔質体が用いられ、炭素繊維としては、アクリル樹脂、加熱溶融して紡糸したピッチを高温で炭化させたPAN(Polyacrylonitrile)系炭素繊維等が用いられる。また、撥水層22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系ポリマーとカーボンブラックから形成される。
カソード側ガス拡散層54は、炭素繊維の突き出しを抑制する処理が実行されていないので、炭素繊維の突き出しが生じている可能性がある。図では、いくつかの炭素繊維の突き出しが模式的に示されている。一方、アノード側ガス拡散層52は、炭素繊維の突き出しを抑制する処理が施されているため、炭素繊維の突き出しが十分抑制される。図では、アノード側ガス拡散層52の炭素繊維の突き出しがほとんどないことが示されている。図2のアノード側ガス拡散層52の炭素繊維24と、図11のアノード側ガス拡散層52の炭素繊維24との相違に留意されたい。
このように、選択的にアノード側ガス拡散層52について炭素繊維の突き出しを抑制する処理が施されているので、たとえカソード側ガス拡散層54の炭素繊維の突き出しが生じていたとしても、膜電極接合体50を貫通させるような損傷に至ることはなく、燃料電池セルの高出力化が図られる。
次に、炭素繊維の突き出し抑制処理について説明する。
アノード側ガス拡散層52は炭素繊維24と撥水層22をバインダ樹脂で接合して構成されるため、バインダ樹脂の含有量を増大させ、炭素繊維24をより強固に接合することで突き出しを抑制できる。すなわち、既述したように、燃料電池の複数のセルをスタック状に積層する場合に、アノード側ガス拡散層52及びカソード側ガス拡散層54には厚み方向に圧力が加わり、これに伴って炭素繊維24の突き出し部分が撥水層22から突出する事態が生じるが、バインダ樹脂の含有量を増大させて炭素繊維24と撥水層22をより強固に接合することで、炭素繊維24が撥水層22から乖離してガス拡散層の表面から突き出すことを効果的に抑制できる。
図3に、ガス拡散層52,54のバインダ樹脂の含有量と短絡電流との関係を示す。図において、横軸は樹脂含有量(%)を示し、縦軸はガス拡散層52,54に一定荷重を印加し、かつ所定の電圧を印加した状態での短絡電流(mA/cm2)を示す。ガス拡散層52,54の炭素繊維の突き出しにより膜電極接合体50に貫通孔が生じるとアノード電極とカソード電極は短絡状態となるため短絡電流が流れることとなり、貫通孔が増大するほど短絡電流値もこれに応じて増大する。従って、短絡電流値が増大するほど貫通孔が増大しており、炭素繊維の突き出しが多いことを意味する。逆に、短絡電流値が小さいほど炭素繊維の突き出しが少なく、抑制されていることを示す。短絡電流値は、印加電圧や膜電極接合体50、ガス拡散層52,54の材料によって変化するが、これらを一定に維持したときの短絡電流値を所定のしきい値と比較し、しきい値を超えれば突き出しは抑制されておらず膜電極接合体50に貫通孔が生じていると判断し、しきい値以下であれば突き出しが抑制されており膜電極接合体50に貫通孔がほとんど生じていないと判断することができる。図3に即して説明すれば、短絡電流値が0.1mA/cm2以下であれば貫通孔は生じておらず、0.1mA/cm2を超えれば貫通孔が生じていると判断する。
図において、樹脂比率を20%、30%、40%、50%と順次増大させるほど、短絡電流値が減少している。従って、バインダ樹脂の含有量を増大させることは、炭素繊維の突き出しを抑制する効果があることがわかる。
一方、バインダ樹脂を増大させると炭素繊維の突き出しを抑制できるものの、ガス拡散層52,54の排水性は逆に低下してしまう。
図4に、ガス拡散送52,54のバインダ樹脂の含有量と透水性との関係を示す。図において、横軸は樹脂含有量(%)を示し、縦軸は樹脂含有量が20%の場合のガス拡散層の透水性の値を基準値1としたときの相対的な透水性(規格化された値)を示す。ガス拡散層52,54の透水性が高いほど、生成水を外部に排水する能力が高いことを示す。
図において、樹脂比率を20%、30%、40%、50%と順次増大させるほど、透水性は低下している。従って、バインダ樹脂の含有量を増大させることで、排水性は低下ないし劣化してしまうことがわかる。
以上より、炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体50の損傷を防止するためにアノード側ガス拡散層52についてはバインダ樹脂の含有量を増大させ、例えば20%から50%に増大することで炭素繊維の突き出しを抑制するとともに、生成水の排水を考慮してカソード側ガス拡散層54についてはバインダ樹脂の含有量を20%のまま維持することで、図1あるいは図2に示す燃料電池セルが得られる。
また、バインダ樹脂の含有量を増大させるのではなく、ガス拡散層52,54に常温下でその厚さ方向に一定の圧力を印加することによって炭素繊維の突き出しを抑制することができる。すなわち、ガス拡散層52,54の炭素繊維の突き出しが生じているところ、これに厚さ方向に一定の圧力を印加して炭素繊維の突き出しをその面に沿って曲げて「寝かせて」しまうのである。常温下で一定の圧力を加える本方法を、加熱下で圧力を加える方法と対比してコールドプレス(CP)法と称する。
図5に、コールドプレス法によりガス拡散層52,54に一定の圧力を印加する前後における短絡電流の変化を示す。コールドプレス前では短絡電流値は0.25mA/cm2であるところ、コールドプレス後では短絡電流値は0.1mA/cm2以下と1/2以上に減少している。従って、コールドプレス法により炭素繊維の突き出しを効果的に抑制できることがわかる。
図6に、コールドプレス前後における炭素繊維の突き出しの角度と本数の関係の一例を示す。図において、横軸は炭素繊維の突き出しの面方向からの角度(仰角)を10°間隔で示す。また、縦軸は該当する角度範囲に存在する突き出しの本数(1cm2当たり)を示す。また、図において、各角度範囲の左側のグラフはコールドプレス前の本数を示し、右側はコールドプレス後の本数を示す。コールドプレス前では30°〜80°にわたって突き出しが広く存在し、特に60°〜90°の突き出しも多く存在する。これに対し、コールドプレス後では、30°〜70°の突き出しが著しく減少し、70°〜90°の突き出しは存在していない。
炭素繊維の突き出しの角度が増大して90°に近いほど、膜電極接合体50に突き刺さる可能性が高くなる。本願出願人は、種々の実験の結果、突き出し角度が60°以上となると膜電極接合体50に突き刺さり、膜電極接合体50に損傷を与える可能性が高くなることを見出している。コールドプレス法では、角度が60°以上の突き出しの本数を著しく低減できるから、このことからもコールドプレス法により炭素繊維の突き出し、特にまく電極接合体50に損傷を与える可能性が高い突き出し角度60°以上の突き出しを効果的に抑制できる。
なお、コールドプレス法によれば炭素繊維の突き出しを抑制できるものの、バインダ樹脂の含有量を増大させる場合と同様にガス拡散層の排水性は逆に低下してしまう。従って、コールドプレス法を用いる場合においても、図1に示すようにアノード側ガス拡散層52にコールドプレス法を施す一方、カソード側ガス拡散層54にコールドプレス法を実行しない。
さらに、バインダ樹脂含有量増大させる、あるいはコールドプレス法により炭素繊維を曲げる方法以外にも、炭素繊維の突き出しを抑制することが可能である。例えば、ガス拡散層52,54に一定荷重を印加して表面の突き出しを折り曲げ、一定荷重を除去した後にクリーナー等で折れた突き出しを除去する方法、メッシュ状の部材でガス拡散層52,54に一定荷重を印加し、メッシュから飛び出した突き出しを刃物で切断して除去する方法、ガス拡散層52,54を一対の電極及び加圧装置で挟持し、押圧しながら電圧を印加することで突き出しを焼き切る方法、メッシュ状の部材でガス拡散層52,54に一定荷重を印加し、ガス拡散層においてメッシュと反対側に酸素プラズマを発生させ、メッシュから飛び出した突き出しを化学反応によりCO2にして除去する方法等である。図1のアノード側ガス拡散層52として、これらの方法のうちいずれかの方法を用いることができる。
3.第2実施形態
第1実施形態では、アノード側ガス拡散層52について炭素繊維の突き出しを抑制する処理を施し、カソード側ガス拡散層54については炭素繊維の突き出しを抑制する処理を実行しないで燃料電池セルを製造したが、カソード側ガス拡散層54について炭素繊維の突き出しを抑制する処理を実行していないため、カソード側ガスガス拡散層54の炭素繊維の突き出しが膜電極接合層50を貫通するおそれが全くないわけではない。
そこで、本実施形態では、カソード側ガス拡散層54の炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体50への影響をさらに低減する処理を補充的に追加する。
図7に、本実施形態における燃料電池セルの製造方法を模式的に示す。図7(a)〜図7(d)の順序で燃料電池セルが製造される。まず、図7(a)に示すように、膜電極接合体50とカソード側ガス拡散層54とをそれぞれ製造し、膜電極接合体50とカソード側ガス拡散層54とを熱プレスにより接合する。この際、プレス圧によってカソード側ガス拡散層54がクリープし、炭素繊維の突き出し24aが生じて膜電極接合体50に貫通孔50aが生じる場合がある。
このような場合、図7(b)に示すように、ブレード等を用いて膜電極接合体50の電解質膜と同じ成分51を貫通孔50aに選択的に注入して貫通孔50aを埋める。なお、この工程では電解質膜成分51は融点以上であってゲル状になっている。
次に、図7(c)に示すように、貫通孔50aを埋めた電解質成分51が冷却により凝固して貫通孔50aを塞いだ状態となる。
最後に、アノード側拡散層52に対して炭素繊維の突き出しを抑制する処理を施し、処理済みのアノード側拡散層52と膜電極接合対50とを熱プレスにより接合する。カソード側ガス拡散層54の炭素繊維の突き出し24aは膜電極接合体50内に存在しているが、電解質膜成分51で貫通孔を塞いでいるのでガスクロスリークや短絡が抑制される。
なお、第1実施形態では、図7(b)、(c)の工程を経ることなく、図7(a)の工程から図7(d)の工程に移行する。繰り返すが、電解質膜成分51による貫通孔の補填処理は必須工程というわけではなく、必要に応じて実行される選択的工程である。
4.第3実施形態
第1実施形態では、アノード側ガス拡散層52について炭素繊維の突き出しを抑制する処理を施す一方、カソード側ガス拡散層54については炭素繊維の突き出しを抑制する処理を実行していないが、カソード側ガス拡散層54についても炭素繊維の抑制処理を施すものの、排水性を考慮してその処理の程度をアノード側に比べて相対的に低く抑えることも可能である。
図8に、本実施形態における燃料電池セルの断面説明図を示す。電極としてそれぞれ機能する一対の触媒層で電解質膜を挟んで形成された膜電極接合体(MEA)50の両面に、それぞれ炭素繊維24から成る層と撥水層22とが積層してなるガス拡散層52,54が設けられ、さらに膜電極接合体50とガス拡散層52,54を挟むようにセパレータ62,64が配置されて形成される。
アノード側ガス拡散層52は、炭素繊維の突き出しを相対的に高く抑制する処理が施される。一方、カソード側ガス拡散層54は、アノード側に比べて炭素繊維の突き出しを相対的に低く抑制する処理が施される。
カソード側ガス拡散層54において炭素繊維の突き出し抑制処理が相対的に低く実行されているため、炭素繊維の突き出しをある程度抑制しつつ、生成水の排水性も確保される。一方、アノード側ガス拡散層52では炭素繊維の突き出しが十分抑制され、炭素繊維の突き出しによる膜電極接合体50の貫通が防止される。
炭素繊維の突き出し抑制の程度を変えるには、炭素繊維の突き出し抑制処理時の条件を変化させればよい。例えば、バインダ樹脂の含有量を増大させることで突き出しを抑制する場合には、カソード側ガス拡散層54のバインダ樹脂の含有量を増大させるものの、その増大量をアノード側ガス拡散層52の増大量よりも低く設定する。具体的には、アノード側ガス拡散層52のバインダ樹脂の含有量を40%に設定する一方、カソード側ガス拡散層54のバインダ樹脂の含有量を30%に設定する等である。あるいはコールドプレス方法により突き出しを抑制する場合には、カソード側ガス拡散層54にもコールドプレス法を適用するものの印加圧力をアノード側ガス拡散層52よりも低下させるか、またはプレス時間をアノード側ガス拡散層52よりも短くする。
図9に、本実施形態における燃料電池セルの断面構成図を示す。アノード側ガス拡散層52及びカソード側ガス拡散層54ともに、炭素繊維24からなる層と撥水層22をバインダ樹脂により接合して構成される。
カソード側ガス拡散層54は、炭素繊維の突き出しを抑制する処理が実行されているもののその程度は相対的に低いので、炭素繊維の突き出しはある程度抑制されている。図では、わずかの炭素繊維の突き出しが模式的に示されている。一方、アノード側ガス拡散層52は、炭素繊維の突き出しを抑制する処理が相対的に高い程度で施されているため、炭素繊維の突き出しが十分抑制される。図では、アノード側ガス拡散層52の炭素繊維の突き出しがほとんどないことが示されている。図9のアノード側ガス拡散層52及びカソード側ガス拡散層54の炭素繊維24と、図11のアノード側ガス拡散層52及びカソード側ガス拡散層54の炭素繊維24との相違に留意されたい。
このように、アノード側ガス拡散層52、カソード側ガス拡散層54ともに炭素繊維の突き出し抑制処理が施されているので、膜電極接合体50の損傷が効果的に抑制される。しかも、カソード側ガス拡散層54については排水性も考慮して炭素繊維の抑制処理が相対的に制限されているので、生成水の排水性も確保される。
なお、炭素繊維の突き出しの程度は、図3に示す短絡電流値で評価することが可能である。従って、本実施形態のように、アノード側ガス拡散層52の処理の程度とカソード側ガス拡散層の処理の程度が異なる場合、同じ電圧を印加した場合の短絡電流の大小によりその程度の高低を評価することができる。本実施形態では、処理の程度はアノード側ガス拡散層52>カソード側ガス拡散層54であるので、短絡電流値ではアノード側ガス拡散層52の短絡電流値<カソード側ガス拡散層54の短絡電流値となる。ここで、「アノード側ガス拡散層52の短絡電流値」とは、膜電極接合体50の両側をアノード側ガス拡散層52で挟んだ構成における短絡電流を意味する。「カソード側ガス拡散層54の短絡電流値
」についても同様であり、膜電極接合体50の両側をカソード側ガス拡散層54で挟んだ構成における短絡電流を意味する。
また、アノード側ガス拡散層52については炭素繊維の突き出しが十分抑制されている必要があり、これはアノード側ガス拡散層52の短絡電流値が所定のしきい値以下であることを意味する。もちろん、上記の大小関係が維持される限り、カソード側ガス拡散層54の短絡電流値も同様に所定のしきい値以下であってもよい。
5.第4実施形態
第3実施形態では、アノード側ガス拡散層52とカソード側ガス拡散層54についてともに同一の炭素繊維の突き出し抑制処理を施すもののその程度を変化させているが、本実施形態では、アノード側ガス拡散層52の炭素繊維の突き出し抑制処理の方法と、カソード側ガス拡散層54の炭素繊維の突き出し抑制処理の方法を変化させる。
図10に、本実施形態における燃料電池セルの断面説明図を示す。電極としてそれぞれ機能する一対の触媒層で電解質膜を挟んで形成された膜電極接合体(MEA)50の両面に、それぞれ炭素繊維24から成る層と撥水層22とが積層してなるガス拡散層52,54が設けられ、さらに膜電極接合体50とガス拡散層52,54を挟むようにセパレータ62,64が配置されて形成される。
アノード側ガス拡散層52は、α方法によって炭素繊維の突き出し抑制処理が施される。一方、カソード側ガス拡散層54は、α方法と異なるβ方法によって炭素繊維の突き出し抑制処理が施される。ここで、α方法は、β方法に比べて炭素繊維の突き出し抑制効果が相対的に高い方法である。言い換えれば、β方法は、α方向に比べて排水性の低下(あるいは劣化)が相対的に少ない方法である。α方法は、既述した炭素繊維の突き出し抑制処理のなかのいずれかの方法とし、β方法は、既述した炭素繊維の突き出し抑制処理の中の別のいずれかの方法とすることができる。仮に、バインダ樹脂の含有量を20%から30%に増大させる方法と、コールドプレス法とを比較した場合に、バインダ樹脂の含有量を30%に設定する方法が抑制効果が高く、かつ、排水性を低下させてしまう効果もこれに応じて高いものと想定すると、α方法としてバインダ樹脂の含有量を増大させる方法を適用し、β方法としてコールドプレスを適用する。もちろん、これは一例であり、当業者であれば、炭素繊維の突き出しを抑制する各種の方法による抑制効果と排水性低下効果を実験により決定し、これに応じてα方法とβ方法を選択すればよい。
なお、炭素繊維の突き出しを抑制する各種方法のうち、特に突き出しを抑制する効果が高いものの排水性を著しく低下させてしまう方法と、突き出しを抑制する効果はある程度あるものの排水性はほとんど低下させない方法が存在する場合、前者をα方法に適用し、後者をβ方法に適用すればよい。要するに、α方法のプライオリティは炭素繊維の突き出し抑制効果とし、β方法のプライオリティは排水性の維持効果とすればよい。
アノード側ガス拡散層52についてはα方法により炭素繊維の突き出しが抑制され、カソード側ガス拡散層54についてはβ方法により炭素繊維の突き出しが抑制されるとともに生成水の排水性も確保されるため、膜電極接合体50の損傷を防止して燃料電池セルの高出力化が図られる。
6.変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記以外にも種々の変形例が可能である。
例えば、炭素繊維の突き出しを抑制する方法として、
(1)バインダ樹脂の含有量を増大させる
(2)コールドプレス法
(3)ガス拡散層に荷重を印加して突き出しを折り曲げ、クリーナー等で折れた突き出しを除去する
(4)メッシュから飛び出した突き出しを刃物で切断する
(5)ガス拡散層を押圧しながら電圧を印加して突き出しを焼き切る
(6)酸素プラズマ処理
を例示したが、これらを任意に組み合わせてもよい。例えば、(1)と(2)を組み合わせ、バインダ樹脂の含有量を増大させると共にコールドプレスを施す等である。あるいは(2)と(5)を組み合わせ、コールドプレスを施した後に電圧を印加して突き出しを焼き切る等である。
また、図8の構成と図10の構成を組み合わせることもできる。すなわち、アノード側ガス拡散層52とカソード側ガス拡散層54の炭素繊維の突き出し抑制方法を互いに異なる方法に設定するとともに、カソード側ガス拡散層54についてはその所定の程度を相対的に低く設定する等である。
また、本実施形態では、カソード側ガス拡散層54に対して特に生成水の排水性について考慮して炭素繊維の突き出しを抑制する処理を選択しているが、生成水の排水性のみならずガスの拡散性をさらに考慮して処理を選択してもよい。すなわち、カソード側ガス拡散層54には酸化剤ガスとして空気が供給される場合には、アノード側からの水素イオンと反応させるべき酸素を効率的に拡散させるために、カソード側ガス拡散層54のガス拡散性能はアノード側よりも高い性能が要求される。従って、カソード側ガス拡散層54の処理としては、排水性のみならずガス拡散性能もアノード側に比べて相対的に高い処理を選択することが好適である。
さらに、本実施形態の燃料電池セルは、好適には車両に搭載され、車両の駆動モータに電力を供給する電力源として機能し得るものであるが、特に車両用に限定されるものではない。
22 撥水層、24 炭素繊維、50 膜電極接合体、52 アノード側ガス拡散層、54 カソード側ガス拡散層、62,64 セパレータ。

Claims (12)

  1. 燃料電池であって、
    電解質膜の両面に触媒層を有する膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体のアノード側に設けられるアノード側ガス拡散層と、
    前記膜電極接合体のカソード側に設けられるカソード側ガス拡散層と、
    を備え、
    前記アノード側ガス拡散層及び前記カソード側ガス拡散層は炭素繊維を含み、
    前記アノード側ガス拡散層の前記炭素繊維の面表面からの突き出しの程度と、前記カソード側ガス拡散層の前記炭素繊維の面表面からの突き出しの程度は互いに異なり、前記アノード側ガス拡散層は、前記カソード側ガス拡散層に比べて相対的に前記炭素繊維の面表面からの突き出しが抑制されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記アノード側ガス拡散層は、前記炭素繊維の突き出しが抑制され、
    前記カソード側ガス拡散層は、前記炭素繊維の突き出しが抑制されていない
    ことを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記アノード側ガス拡散層は、第1の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制され、
    前記カソード側ガス拡散層は、前記第1の方法と異なる第2の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記アノード側ガス拡散層の短絡電流値は、前記カソード側ガス拡散層の短絡電流値よりも小さく設定される
    ことを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項4記載の燃料電池において、
    少なくとも前記アノード側ガス拡散層の短絡電流値は、所定のしきい値以下であることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1記載の燃料電池において、
    前記アノード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量は、前記カソード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量よりも大きく設定される
    ことを特徴とする燃料電池。
  7. 燃料電池の製造方法であって、
    アノード側ガス拡散層の炭素繊維の面表面からの突き出しを抑制する工程と、
    カソード側ガス拡散層の炭素繊維の面表面からの突き出しを前記アノード側ガス拡散層と比べて相対的に低く抑制する工程と、
    前記アノード側ガス拡散層及び前記カソード側ガス拡散層と膜電極接合体とを熱プレス工程を用いて一体化する工程と、
    を備えることを特徴とする燃料電池の製造方法。
  8. 請求項7記載の燃料電池の製造方法において、
    前記カソード側ガス拡散層については前記炭素繊維の突き出しを抑制する処理を非実行とする
    ことを特徴とする燃料電池の製造方法。
  9. 請求項7記載の燃料電池の製造方法において、
    前記アノード側ガス拡散層は、第1の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制され、
    前記カソード側ガス拡散層は、前記第1の方法と異なる第2の方法により前記炭素繊維の突き出しが抑制される
    ことを特徴とする燃料電池の製造方法。
  10. 請求項7記載の燃料電池の製造方法において、
    前記アノード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量は、前記カソード側ガス拡散層のバインダ樹脂の含有量よりも大きく設定される
    ことを特徴とする燃料電池。
  11. 請求項7記載の燃料電池の製造方法において、
    前記アノード側ガス拡散層の炭素繊維の突き出しを抑制する工程は、コールドプレスであることを特徴とする燃料電池の製造方法。
  12. 請求項7記載の燃料電池の製造方法において、さらに、
    前記カソード側ガス拡散層の前記炭素繊維の突き出しにより生じた前記膜電極接合体の孔を、前記膜電極接合体を構成する電解質膜の成分で埋める工程と、
    を備えることを特徴とする燃料電池の製造方法。
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