JP4487537B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
現在、自動車用、携帯機器用、据置用燃料電池において、PEFC(固体高分子電解質型燃料電池)が開発の主流となっている。このPEFCは、電解質層、電極層、ガス拡散層が順に積層され、この積層されたものがセパレータによって狭持されたものである。電解質層および電極層としては、通常、高分子電解質膜が中央に位置し、その両側に触媒電極が形成されたMEA(Membrane electrode assembly)が用いられている。
電解質層は、水素イオン(プロトン)を移動させる機能を有するものであり、パーフルオロカーボンスルホン酸等の高分子電解質(イオン伝導体)からなる。電極層は、一方がアノード(燃料極)、他方がカソード(空気極)として構成されている。電極層は、一般に、触媒を含んでおり、白金担持カーボン等の触媒と電解質とから構成されている。
また、ガス拡散層は、セパレータに設けられたガス流路から送られてくる燃料ガス(水素および改質ガス等)または酸化ガス(酸素や空気等)をMEAへ均一に拡散させるものである。この拡散層は、一般にカーボンクロス、カーボンペーパー等の集電作用を持つ多孔質体からなる。
このような燃料電池においては、燃料電池に燃料ガスおよび酸化ガスを供給すると、ガス拡散層を通過して、燃料ガスおよび酸化ガスがMEA内に形成される3相界面(電気化学的反応場:電気が発生する部位)にまで到達する。そして、アノード(燃料極)で、H→2H+2eの反応が起こり、ここで生じた2個の電子は外部に接続された回路を通って反対側のカソード(空気極)に達する。また、アノードで生じた水素イオンは電解質層を通ってカソードへ達し、カソードでは、2H+1/2O→HOの反応が起こる。これにより、電流が流れる。
ここで、ガス拡散層には、上記した機能の他にカソードで生成した水(生成水)をオフガスとともに燃料電池外に排出するという機能もある。この水の排出機能は、生成水が滞留しやすいカソード側のガス拡散層には必須の機能であり、通常、ガス拡散層表面にさらに撥水剤を塗布することで、排出機能が高められている(例えば、特許文献1参照)。これにより、以下のような利点がある。
カソードでの上記した反応が増大し、燃料電池の出力が高くなるほど、反応増大に伴い多量の生成水が発生する。この多量の生成水を燃料電池外に排出しきれなくなると、水が触媒層、ガス拡散層を覆ってしまうため、3相界面へのガス供給量が低下する、いわゆるフラッティング現象が発生する。その結果、燃料電池の出力が低下してしまうという問題があった。
そこで、ガス拡散層として撥水加工されたものを用いることで、カソード極での生成水の排出を促進し、フラッティング現象の発生を抑制している。これにより、フラッティング現象による燃料電池の出力低下を抑制することができる。
特開2003−208904号
上記したように、フラッティング現象の発生を抑制するためには、ガス拡散層が生成水の排出機能を有することが求められる。
しかし、燃料電池の起動時の生成水量が少ない場合では、逆に生成水をなるべく燃料電池内にとどめておく必要がある。このため、ガス拡散層の排出機能は不必要であり、むしろ、ガス拡散層に対しては保水機能を有することが求められる。
これは以下の理由のためである。燃料電池内の凍結防止のために、燃料電池の運転停止後に燃料電池内を乾燥させることが行われる場合があり、この場合、燃料電池内は乾燥している。なお、この凍結防止とは、燃料電池の運転停止後に燃料電池内に水分が残存すると、燃料電池が凍結温度以下の状態におかれた場合、燃料電池の内部が凍結する。燃料電池内が凍結していると、燃料電池の起動から定常運転状態にいたるまでに時間がかかってしまうために行われるものである。
ここで、電解質層は、上記したようにプロトン伝導性を有しており、起電反応にはこのプロトン伝導性が必要である。そして、このプロトン伝導性を確保するためには、電解質層中に保水することが不可欠である。
したがって、燃料電池内が乾燥している場合では、燃料電池の起動時に、電解質層がプロトン伝導性を有するように水分を確保する必要がある。その方法として、起電反応による生成水を電解質層にとどまらせる方法が考えられる。
このことから、燃料電池の起動時においては、ガス拡散層が保水機能を有していることが望まれる。
本発明は、上記点に鑑み、燃料電池の起動時では生成水を電解質膜中にとどまらせ、燃料電池の高出力時には燃料電池内部からの生成水の排出を促進させることができる燃料電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ガス拡散層は少なくとも形状記憶合金からなる多孔質体により構成されており、ガス拡散層は、ガス拡散層の温度が所定温度を超えた場合に、形状記憶合金が変形することにより、ガス拡散層の空隙率が所定温度を超える前の状態におけるガス拡散層の空隙率よりも大きくなる構成であり、
所定温度は、燃料電池の定常運転時におけるガス拡散層の温度であり、
ガス拡散層の温度が所定温度よりも低い燃料電池の起動時に、ガス拡散層の空隙率が小さくなり、ガス拡散層の温度が所定温度よりも高い燃料電池の高出力時に、ガス拡散層の空隙率が大きくなるようになっていることを特徴としている。
燃料電池の起動時と高出力時とでは、起動時の方が燃料電池内の温度は低く、高出力時の方が燃料電池内の温度が高い。一方、形状記憶合金は加熱することで記憶した形状に戻る特性を有している。本発明はこれらのことに着目して創出されたものである。
本発明では、ガス拡散層の形状を、形状記憶合金を用いて、ガス拡散層の温度が所定温度よりも低い場合、ガス拡散層中を燃料電池内で生成した水が通り難くするため、ガス拡散層の空隙率が小さくなるように設計しておく。さらに、ガス拡散層の温度が所定温度を超えた場合、その形状記憶合金が記憶した形状に戻ることで、ガス拡散層中を生成水が通り易くするため、ガス拡散層の空隙率が大きくなるように、ガス拡散層の形状をあらかじめ設計しておく。このとき、所定温度を燃料電池の起動時の温度から高出力運転時の温度の間となるように設定しておく。
これにより、燃料電池の起動時では、ガス拡散層を介して、電極層(空気極)で生成した水が排出されるのを抑制することがきることから、この生成水を電解質膜中にとどまらせることができる。一方、燃料電池の高出力時では、ガス拡散層の空隙率が大きくなるので、燃料電池の起動時と比較して、燃料電池外への生成水の排出を促進させることができる。
また、形状記憶合金として、例えば、1℃以上の幅を持って変形するものを用いることができる。このような形状記憶合金を用いる場合では、請求項に示すように、例えば、ガス拡散層の温度が所定温度から燃料電池が運転可能な範囲で最大となる温度までの温度幅を持って変形するものを用いることが好ましい。
ガス拡散層の構成としては、請求項に示すように、電極層側に配置され、孔質材料により構成された第1の層(11)と、電極層から離れた側に配置され、形状記憶合金からなる多孔質体により構成された第2の層(12)とが積層され、第1の層と第2の層との接合面(13)に対して垂直な方向での第2の層の伸縮により、第1の層の空隙の大きさが変化することで、ガス拡散層の空隙率が変化する構成とすることができる。
この場合、請求項4に示すように、第1の層(11)として、カーボン系多孔質材料により構成されているものを用いることができる。
また、請求項5に示すように、ガス拡散層を、空隙が存在するように繊維状の形状記憶合金が織り目を有して織られた構造とし、織り目の大きさが変化することにより、ガス拡散層の空隙率が変化するようにすることもできる。この場合、請求項6に示すように、繊維状の形状記憶合金の表面には凹凸が形成されていることが望ましい。
形状記憶合金としては、請求項7に示すように、双方向形状記憶効果を有するものを用いることもできる。特に、ガス拡散層を形状記憶合金のみで構成する場合では、双方向形状記憶効果を有する形状記憶合金が必要である。双方向形状記憶効果とは、変態点が2つあるものをいう。高温側の変態点を第1の変態点として、低温側の変態点を第2の変態点とし、第1の変態点では形状記憶合金の変態によって、ガス拡散層の空隙率が大きくなるようにし、第2の変態点では形状記憶合金の変態によって、ガス拡散層の空隙率が小さくなるようにする。
これにより、ガス拡散層を形状記憶合金のみで構成する場合であっても、燃料電池の起動時では生成水を電解質膜中にとどまらせ、燃料電池の高出力発生時には、燃料電池外への生成水の排出を促進させることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態における燃料電池の構成を示す。また、図2に図1中の電解質層、電極触媒層およびガス拡散層を図中の破線で示す面で切断したときの断面図を示す。
本実施形態の燃料電池は、図1に示すように、電解質層1と、電極触媒層2と、ガス拡散層3と、ガス流路4a付きのセパレータ4とが順に積層されている。これらによってセルが構成され、セルが複数集合化されてスタックが構成される。
電解質層1、電極触媒層2およびセパレータ4の配置およびそれぞれの構造は従来の燃料電池と同様である。なお、電極触媒層2が本発明の電極層に相当する。また、電極触媒層2の代わりに、電極層と触媒層とを重ねたものを用いることもできる。
ガス拡散層3は、図2(a)、(b)に示すように、電極触媒層2側に配置された第1の層11と、電極触媒層2から離れた側に配置された第2の層12とが積層された構成となっている。
第1の層11はカーボン系多孔質材料により構成されている。ここで、カーボン系多孔質材料とは、カーボン材料により構成され、表面からその反対側の裏面にかけて連通する空隙を有するものをいう。第1の層11としては、例えば、カーボンクロスやカーボンペーパーを用いることができる。
なお、後に説明するが、第1の層11は、第2の層12によって、引っ張られるため、弾性を有していることが望ましい。また、本実施形態では、第1の層11が引っ張られることで、第1の層11の空隙が大きくなるようにするため、カーボンペーパーよりもカーボンクロスを用いる方が好ましい。
一方、第2の層12は形状記憶合金からなる多孔質体により構成されている。この多孔質体は、表面からその反対側の裏面にかけて連通する空隙を有するものである。そして、第2の層12は、図2(a)中に示す矢印のように、電極触媒層2とガス拡散層3との接合面13に対して垂直な方向に伸縮する構造となっている。なお、図2(a)は第2の層12が伸びている状態を示しており、図2(b)は第2の層12が縮んでいる状態を示している。
形状記憶合金としては、強酸性でも腐食されないような耐腐食性効果が高いものを用いることが好ましい。例えば、形状記憶特性を有するTi−Ni系合金を用いることができる。なお、形状記憶合金としては超弾性を持つものがより好ましい。ガス拡散層3は電解質層1とセパレータ4に挟まれており、電解質層1とセパレータ4とによってガス拡散層3を押さえつけることで、電解質層1、ガス拡散層3、セパレータ4間の接触抵抗を低減することができるからである。これにより、従来の燃料電池と比較して、燃料電池の出力を向上させることができる。
第2の層12は、繊維状の形状記憶合金が織られたものである。第2の層12は、具体的には、つるまきバネが密に並べられたような形状で織られている。このつるまきバネ状の部位は、電極触媒層2とガス拡散層3との接合面13に対して垂直な方向に伸縮するように配置されている。また、そのつるまきバネの中心部が、表面からその反対側の裏面にかけて連通する空隙となっており、第2の層12が伸縮してもこの空隙の大きさは変わらないようになっている。
次に、第2の層12が、電極触媒層2とガス拡散層3との接合面に対して垂直な方向に伸縮するしくみを説明する。この伸縮は、以下に説明するように、形状記憶合金の形状記憶特性と、第1の層11が有する弾性とによって起こる。
ここで、形状記憶特性とは、形状記憶合金線を変形させた後、形状回復温度(変態温度)以上に暖めると、元の形状に戻る特性をいう。これは、例えば、Ti−Ni系合金は、形状回復温度よりも高温側でオーステナイト相という結晶構造をとり、これを冷却すると結晶構造はマルテンサイト相に変態する。そして、再び形状回復温度以上になると、結晶構造がマルテンサイト相からオーステナイト相に戻るため、Ti−Ni系合金は元の形状に戻る。
そこで、本実施形態では、図2(b)に示すように、第2の層12が縮んでいる状態を元の形状として、形状記憶合金に記憶させている。
そして、燃料電池の温度が形状記憶合金の変態温度よりも低い場合、ガス拡散層3の形状を図2(a)に示す形状とする。すなわち、第2の層12が伸びている形状とする。このとき、第1の層11は通常の形状である。
これは、この温度では、上記したように、形状記憶合金の結晶相はマルテンサイト相であり、このマルテンサイト相はオーステナイト相と比較して非常に柔らかく、外部からの応力で簡単に変形する。そこで、本実施形態では、ガス拡散層3を、第1の層11の弾性力によって、図2(a)に示すように、形状記憶合金が引っ張られ、第2の層12が電極触媒層2側に伸びた状態となるようにしている。このとき、燃料電池内で生成した水が第1の層11を通り難いようにするために、第1の層11として密度が高いものを用いる。すなわち、空隙率が小さい第1の層11を用いる。
一方、燃料電池の温度が形状記憶合金の変態温度よりも高くなった場合、上記したように、形状記憶合金は相変態により記憶された形状に戻る。このため、ガス拡散層3では、図2(b)中に実線で記した矢印のように、第2の層12は電極触媒層2から離れた側に向かって縮んだ状態となる。また、第1の層11は、第2の層12に引っ張られ、電極触媒層2から離れる側に向かって伸びた状態となる。
これにより、第1の層11の密度は、燃料電池の温度が変態温度よりも低いときの密度と比較して、大きくなる。すなわち、第1の層11が有する空隙自体が大きくなり、空隙率が大きくなる。
そして、燃料電池の温度が形状記憶合金の変態温度よりも低くなった場合、形状記憶合金は、オーステナイト相からマルテンサイト相に相変態する。ここで、燃料電池の温度が相変態する温度よりも高くなった場合、第1の層11は伸びた状態となるため、第1の層11自身の弾性により、第1の層11は元の形状に戻ろうとしている。このため、第2の層12は第1の層11から引っ張り応力が加えられた状態となっている。したがって、マルテンサイト相は非常に柔らかいことから、図2(b)中に破線で記した矢印のように、第2の層12は第1の層11に引っ張られ、電極触媒層2側に伸びた状態となる。このようにして、図2(a)に示すように、第1の層11は元の形状に戻る。
これにより、第1の層11の密度は、燃料電池の温度が形状記憶合金の変態温度よりも高いときの密度と比較して、小さくなる。すなわち、第1の層11が有する空隙自体が小さくなり、空隙率が小さくなる。
このようにして、ガス拡散層3は、温度変化に伴う第2の層12による伸縮により、第1の層11の密度が変化するようになっている。すなわち、ガス拡散層3の密度が変化するようになっている。
次に、第2の層12の伸縮が起きる温度について説明する。
形状記憶合金の変態は、1℃以上の温度幅、一般に10〜30℃程度の幅を持って起きるため、形状記憶合金の変形もある温度幅で徐々に起こる。
また、図3に従来の燃料電池におけるI−V特性と、燃料電池スタックの温度変化とをあわせて示す。図3中に破線で囲んで示すように、定常運転時よりも電流密度が高い高出力時では、急激な電圧低下が発生している。したがって、この図中の破線で示す領域のときに、フラッティングが発生していると推測される。すなわち、この図中の破線で示す領域のときに、フラッティング現象が最大になっていると推測される。
そこで、本実施形態では、形状記憶合金の変形が起こる温度範囲が、燃料電池の定常運転時における燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度から、燃料電池の高出力運転によってフラッティング現象が最大となる際の燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度までである形状記憶合金を用いている。
ここで、図3に示すように、定常運転時では、セル電圧は例えば0.5V近傍であり、電流密度は例えば1.0A/cmであり、このときの燃料電池内の温度は例えば80℃である。
また、燃料電池の高出力運転によってフラッティング現象が最大となる温度は、本発明者が調査したところ、燃料電池の出力が最大となる温度とほぼ同等であることがわかっている。また、この温度は、燃料電池が運転可能な状態で、燃料電池が最大となる温度に近い温度であることもわかっており、例えば、90℃である。
したがって、形状記憶合金の変形が起こる温度範囲は、言い換えると、燃料電池の定常運転時における燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度から、燃料電池の出力が最大となるときの燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度までである。より具体的には、80℃よりも高く、90℃よりも低い温度の間である。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池は、ガス拡散層3を第1の層11と第2の層12とが積層された構成としている。さらに、第1の層11として密度の小さなものを用い、第2の層12として、温度変化によって、電極触媒層2とガス拡散層3との接合面13に対して垂直な方向に伸縮するように、繊維状の形状記憶合金で織られたものを用いている。
そして、この燃料電池では、定常運転時におけるガス拡散層3の温度を超えたときにガス拡散層3の密度が変形するようになっている。
すなわち、燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度が燃料電池の定常運転時の温度よりも低い場合、図2(a)に示すように、第2の層12は伸びた状態であり、第1の層11は通常の形状となっている。
一方、燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度が燃料電池の定常運転時の温度よりも高い場合、形状記憶合金の相変態が起きるため、図2(b)に示すように、第2の層12は縮んだ状態となる。このとき、第1の層11は、第2の層12によって引っ張られるため、伸びた状態となる。
このことから、この燃料電池では、ガス拡散層3の温度が、燃料電池の定常運転時の温度よりも低い燃料電池の起動時の場合、燃料電池の高出力時と比較して、ガス拡散層3は密度が高くなっている。言い換えると、ガス拡散層3の空隙率が小さくなっている。このため、燃料電池の起動時では、燃料電池の高出力時と比較して、3相界面で起電反応により生成した水は、ガス拡散層3中を通り難く、セパレータ4に到達し難い。
一方、ガス拡散層3の温度が、燃料電池の定常運転時の温度よりも高い燃料電池の高出力時の場合では、燃料電池の起動時と比較して、ガス拡散層3の密度が低くなっている。言い換えると、ガス拡散層3の空隙率が大きくなっている。このため、燃料電池の高出力時では、燃料電池の起動時と比較して、3相界面で起電反応により生成した水は、ガス拡散層3中を通って、セパレータ4に到達しやすい。
これにより、燃料電池の起動時では、3相界面で生成された水を電解質膜1中にとどまらせ、燃料電池の高出力発生時では、燃料電池内部からの生成水の排出を促進させることができる。
また、本実施形態では、形状記憶合金の変形が起きる温度範囲を、燃料電池が定常状態であるときの温度から、従来の燃料電池における燃料電池の高出力運転によってフラッティング現象が最大となる温度までとしている。
一般に、燃料電池の出力は徐々に高くなる。また、燃料電池の出力が高くなるのは、それだけ起電反応が進むためであり、その分、生成水の量も多くなる。したがって、従来の燃料電池では、徐々に高出力になるにつれ、起電反応による生成水の発生量も徐々に増える。また、このとき、燃料電池スタック内の温度も徐々に上がる。
そこで、本実施形態では、変形が起きる温度範囲が上記となる形状記憶合金を第2の層12に用いることで、起電反応による生成水の生成量が徐々に増加するにつれ、ガス拡散層3の密度が徐々に小さくなるようにしている。これにより、ガス拡散層3に形状記憶合金の変形がある温度を境にして急激に起きるものを用いた場合と比較して、効果的にフラッティング現象の発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、変形が起きる温度範囲が上記した温度範囲である形状記憶合金を第2の層12に用いていたが、他の温度範囲で変形が起きる形状記憶合金を用いることもできる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、ガス拡散層3をカーボン材からなる第1の層11と、形状記憶合金からなる第2の層12との積層構造とした場合を説明したが、本実施形態のように、ガス拡散層3を形状記憶合金のみで構成することもできる。
に本実施形態の燃料電池における電解質層、電極触媒層およびガス拡散層の断面図を示す。この図は、図1中の電解質層、電極触媒層およびガス拡散層を図中の破線で示す面で切断したときの断面図である。本実施形態の燃料電池は、第1実施形態の燃料電池に対して、ガス拡散層3の構造が異なるものであり、その他の構造は同じであるため、以下では、ガス拡散層3の構造についてのみ説明する。
本実施形態のガス拡散層3は、電極触媒層2とガス拡散層3との接合面13からその反対側の面まで連通する空隙が存在するように繊維状の形状記憶合金が織り目を有して織られたものであり、織り目の大きさが変化することにより、ガス拡散層3の空隙率が変化する構造となっている。
具体的には、繊維状の形状記憶合金として、表面に凹凸が形成されているものを用いている。この凹凸は、形状記憶合金が変形するとき、形状記憶合金同士の滑り防止のためのものである。
そして、ガス拡散層3は、織り目が荒い状態となるように、繊維状の形状記憶合金が縦横に織られており、その織られた布状のものが何層にも積層された構成となっている。そして、このガス拡散層3は、形状記憶合金の相変態により、電極触媒層2とガス拡散層3との接合面13に対して平行な方向において、ガス拡散層3の織り目が大小に変化するようになっている。
また、本実施形態では、形状記憶合金として、双方向形状記憶効果を有するものを用いている。ここで、双方向形状記憶とは、暖めた場合と冷やした場合の2種類の形状を記憶しており、温度を上下させることで形状を可逆的に変化させることをいう。すなわち、変態点(変態温度)が2つあるものをいう。
この形状記憶合金の高温側の変態点を第1の変態点として、低温側の変態点を第2の変態点とする。そして、第1の変態点での形状記憶合金の第1の変態によって、ガス拡散層3は、織り目が大きくなるようになっている。すなわち、ガス拡散層の空隙率が大きくなるようになっている。
一方、第2の変態点では、形状記憶合金の第2の変態によって、ガス拡散層3は、第1の変態点での変態が起きたときと比較して、織り目が小さくなるようになっている。すなわち、ガス拡散層3の空隙率が小さくなるようになっている。
また、本実施形態では、第1の変態時における形状記憶合金の変形が起こる第1の温度範囲を、第1実施形態と同様に、燃料電池の定常運転時における燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度から、燃料電池の高出力運転によってフラッティング現象が最大となる際の燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度までとしている。
一方、第2の変態点を燃料電池の定常運転時における燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度としている。
本実施形態の燃料電池では、ガス拡散層3がこのような構造となっていることから、燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度が燃料電池の定常運転時の温度よりも低い場合、ガス拡散層3の織り目は小さくなっている。
一方、燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度が燃料電池の定常運転時の温度よりも高い場合、形状記憶合金の相変態が起きるため、ガス拡散層3の織り目が大きくなる。
このことから、この燃料電池においても、第1実施形態と同様に、ガス拡散層3の温度が、燃料電池の定常運転時の温度よりも低い燃料電池の起動時の場合、燃料電池の高出力時と比較して、ガス拡散層3は密度が高くなっている。一方、ガス拡散層3の温度が、燃料電池の定常運転時の温度よりも高い燃料電池の高出力時の場合では、燃料電池の起動時と比較して、ガス拡散層3の密度が低くなっている。
これにより、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、燃料電池の起動時では生成水を電解質膜中にとどまらせ、燃料電池の高出力発生時に燃料電池外への生成水の排出を促進させることができる。
(他の実施形態)
第1の実施形態では、変態温度以上に暖めると元の形状に戻る特性(一方向性形状記憶)の形状記憶合金を用いる場合を例として説明したが、第2の実施形態のように、双方向形状記憶の形状記憶合金を用いることもできる。この場合、燃料電池の運転が停止し、ガス拡散層3の温度が低くなると、形状記憶合金が変形することで、ガス拡散層3の密度が小さくなる。
第1、第2実施形態では、形状記憶合金として、温度幅を持って変形が起きるものを用いる場合を例として説明したが、温度幅を持たずに変形が起きるものを用いることもできる。
この場合、低温から高温になったときに変態が起きる変態温度が、燃料電池の定常運転時におけるガス拡散層3の温度を超えているものであって、燃料電池の高出力運転によってフラッティング現象が最大となる際の燃料電池スタック内のガス拡散層3の温度よりも低い形状記憶合金を用いることができる。
また、上記した各実施形態において、燃料電池の高出力時における生成水の排出を促進させる観点から、カソード側、アノード側のガス拡散層3のうち、カソード側の方の厚さをアノード側の方の厚さよりも薄くすることもできる。ガス拡散層3が厚い場合よりも薄い場合の方が、生成水が排出されやすいからである。
また、上記した各実施形態において、従来と同様に、ガス拡散層3のうち、アノード側のガス拡散層3に対して親水処理を施し、カソード側のガス拡散層3に対して撥水処理を施すこともできる。
本発明の第1実施形態における燃料電池の構成を示す図である。 図1中の電解質層、電極触媒層およびガス拡散層を図中の破線で示す面で切断したときの断面図である。 従来の燃料電池における典型的な燃料電池のI−V特性およびそのときの温度を示す図である。 本発明の第2実施形態における燃料電池の電解質層、電極触媒層およびガス拡散層の断面図である。
符号の説明
1…電解質層、2…電極触媒層、3…ガス拡散層、4…セパレータ、
11…第1の層、12…第2の層。

Claims (7)

  1. 電解質層(1)と、電極層(2)と、ガス拡散層(3)とが順に積層されてなる燃料電池において、
    前記ガス拡散層は少なくとも形状記憶合金からなる多孔質体により構成されており、前記ガス拡散層は、前記ガス拡散層の温度が所定温度を超えた場合に、前記形状記憶合金が変形することにより、前記ガス拡散層の空隙率が所定温度を超える前の状態における前記ガス拡散層の空隙率よりも大きくなる構成であり、
    前記所定温度は、燃料電池の定常運転時における前記ガス拡散層の温度であり、
    前記ガス拡散層の温度が前記所定温度よりも低い燃料電池の起動時に、前記ガス拡散層の空隙率が小さくなり、前記ガス拡散層の温度が前記所定温度よりも高い燃料電池の高出力時に、前記ガス拡散層の空隙率が大きくなるようになっていることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記形状記憶合金は、前記ガス拡散層の温度が前記所定温度から前記燃料電池が運転可能な範囲で最大となる温度までの温度幅を持って、変形が起きるものであることを特徴とする請求項に記載の燃料電池。
  3. 前記ガス拡散層は、前記電極層側に配置され、孔質材料により構成された第1の層(11)と、前記電極層から離れた側に配置され、前記形状記憶合金からなる多孔質体により構成された第2の層(12)とが積層された構成であり、
    前記第1の層と前記第2の層との接合面(13)に対して垂直な方向での前記第2の層の伸縮により、前記第1の層の空隙の大きさが変化することで、前記ガス拡散層の空隙率が変化することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記第1の層(11)は、カーボン系多孔質材料により構成されていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池。
  5. 前記ガス拡散層は、空隙が存在するように繊維状の前記形状記憶合金が織り目を有して織られた構造であり、前記織り目の大きさが変化することにより、前記ガス拡散層の空隙率が変化することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
  6. 前記繊維状の前記形状記憶合金の表面には凹凸が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
  7. 前記形状記憶合金として、双方向形状記憶効果を有するものを用いることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の燃料電池。
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