JPWO2012073523A1 - 内壁面への噴射材および粉塵の付着が抑制されたブラスト加工室を備えたブラスト加工装置 - Google Patents

内壁面への噴射材および粉塵の付着が抑制されたブラスト加工室を備えたブラスト加工装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ブラスト加工用ノズルから被加工物に向けて噴射材を噴射することでブラスト加工を行うためのブラスト加工装置において、ブラスト加工室内壁に噴射材および粉塵の付着が抑制されたブラスト加工室を提供する。【解決手段】ブラスト加工室の天井面または側壁面に外気をブラスト加工室内に吸引すると共に、吸引された外気が該ブラスト加工装置の内壁面に沿って流れるための外気吸引口を1つ以上備えることで、ブラスト加工室内に吸引された外気の流れによって前記噴射材および粉塵の付着が阻害される。【選択図】図2

Description

本発明は、被加工物の表面に噴射材を衝突させることでブラスト加工を行うブラスト加工装置に係る。
被加工物の粗面化、平滑化仕上げ、表面粗さ調整、面取り、バリ取り、端面加工(丸め付け)、鋳造品の湯じわの除去等の表面処理の分野において、ブラスト加工が用いられてきた。また、最近では細かい噴射材を使ったエッチング等の微細加工においてもブラスト加工が用いられている。ブラスト加工室内に設置されたブラスト加工用ノズルより噴射された噴射材およびブラスト加工によって生じた粉塵(以降、単に「粉塵」と記す)は、ダクトを介して連結された吸引手段(一般には集塵装置)にて回収されるが、その一部は内壁面に付着する。内壁面には、外部からブラスト加工の様子を確認するための窓が配置されていることが多く、該窓に噴射材および粉塵が付着することでブラスト加工の様子の確認が困難となる。また、噴射材および粉塵は内壁面に徐々に堆積していくが、噴射材等の堆積量が内壁面への付着力を上回ると一気に落下する。ブラスト加工が完了した被加工物は、該被加工物に付着した噴射材および粉塵をブラスト加工室内で除去した後にブラスト加工室外に取り出すので、取り出す際にブラスト加工室の内壁面に付着した噴射材および粉塵が落下すると、再度被加工物に噴射材および粉塵が付着し、ブラスト加工室外に噴射材および粉塵を漏出させることになり、作業環境上好ましくない。
ブラスト加工室の内壁面へ噴射材の付着を防ぐ方法として、ブラスト加工室の天井面に圧縮空気供給源を連結させ、圧縮空気供給源より発生した圧縮空気をブラスト加工装置の内壁面に流すブラスト加工装置が提案されている(特許文献1)。この装置では、前記ブラスト加工室内に導入された圧縮空気も吸引手段によって吸引する必要があるので、吸引手段が大型化する。
特開2001−334466
以上の事由に鑑み、本発明では簡単な構造で、ブラスト加工室の内壁面に噴射材および粉塵が付着しないブラスト加工装置を提供する。
本発明のブラスト加工装置は、内部に設置されたブラスト加工用ノズルから被加工物に向けて噴射材を噴射することでブラスト加工を行うためのブラスト加工室と、前記ブラスト加工室内を吸引するための吸引手段と、を備えており、前記ブラスト加工室は、外気を該ブラスト加工室内に吸引すると共に、吸引された外気が該ブラスト加工装置の内壁面に沿って流れるように外気吸引口を少なくとも1以上備える。(第1の発明)
また、第1の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気吸引口が備えられている前記ブラスト加工室の外壁面側には、外気を整流して前記ブラスト加工室内に吸引するための外気流整流部材を配置することができる。(第2の発明)
また、第2の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流整流部材は両端が開口している中空状部材であり、開口面の1つを前記ブラスト加工室の外壁面取り付け、前記外気吸引口と接続することができる。(第3の発明)
また、第3の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流整流部材は、前記開口面に直交する方向の断面を矩形とすることができる。(第4の発明)
また、第3の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流整流部材は、前記開口面に直交する方向の断面をく字状またはL字状に屈曲した形状、またはノ字状に湾曲した形状のいずれかとすることができる。(第5の発明)
また、第1または第2の発明に記載のブラスト加工装置において、前記ブラスト加工室内には、前記外気吸引口によって吸引された外気を内壁面に沿って流れるように誘導する外気流誘導部材を配置することができる。(第6の発明)
また、第6の発明に記載のブラスト加工装置において、前記ブラスト加工室内の天井面および側壁面の少なくともいずれかに一端面が固着された前記外気流誘導部材は板状であり、該外気流誘導部材が固着されている前記ブラスト加工室の天井面及び/又は側壁面に対して直交する縦断面を矩形とすることができる。(第7の発明)
また、第6の発明に記載のブラスト加工装置において、前記ブラスト加工室の天井面および壁面の少なくともいずれかに一端面が固着された前記外気流誘導部材は板状であり、該外気流誘導部材が固着されている前記ブラスト加工室の天井面および側壁面に対して直交する縦断面が、く字状に屈曲した形状もしくはノ字状に湾曲した形状のいずれかとすることができる。(第8の発明)
また、第7または第8の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流誘導部材と、該外気誘導部材が固着されている内壁面の外気流が導入される側の内壁面とのなす角度を90°以下とすることができる。(第9の発明)
また、第9の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流誘導部材は、前記外気吸引口によって吸引された外気を、前記外気吸引口の配置されている内壁面に沿うように誘導するように配置することができる。(第10の発明)
また、第6の発明に記載のブラスト加工装置において、前記ブラスト加工室内には、該ブラスト加工室の内部で発生した気流を内壁面に沿って流れるように誘導する内気流誘導部材を配置することができる。(第11の発明)
また、第11の発明に記載のブラスト加工装置において、前記内気流誘導部材は、例えば、平坦面が矩形の板状であり、該内気流誘導部材の平行する両端面を前記ブラスト加工室の側面に各々固着することができる。(第12の発明)
(第12の発明)
また、第12の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流誘導部材に固着された前記ブラスト加工室の内壁面にその内壁面と直交する前記内気流誘導部材の縦断面が、く字状に屈曲した形状またはノ字状に湾曲した形状のいずれかとすることができる。(第13の発明)
また、第11の発明に記載のブラスト加工装置において、前記内気流誘導部材は、前記外気流誘導部材から離れ、前記外気吸引口より遠くなる側の位置に配置することができる。(第14の発明)
また、第11の発明に記載のブラスト加工装置において、前記内気流誘導部材は、前記ブラスト加工室の内壁との距離が前記外気吸引口に近い端面側に比べ、前記外気吸引口に遠い端面側においてより狭くすることができる。(第15の発明)
また、第6の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流誘導部材が天井面に取り付けられた場合、前記ブラスト加工室の側壁面には、前記外気流誘導部材の前記ブラスト加工室の天井内壁面に固着されている端と反対側の端よりも前記外気吸引口から遠ざかる位置に、逆流阻害部材を配置することができる。(第16の発明)
また、第11の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流誘導部材が天井面に取り付けられた場合、前記外気流誘導部材の前記ブラスト加工室の天井内壁面に固着されている端と反対側の端よりも前記外気吸引口から遠ざかり、かつ前記内気流誘導部材の前記外気吸引口から、より遠い端面よりさらに遠ざかった前記ブラスト加工室の側壁面上に逆流阻害部材を固着することができる。(第17の発明)
また、第16または第17の発明に記載のブラスト加工装置において、前記逆流阻害部材の前記外気吸引口より遠ざかる方向に直交する断面積を、前記ブラスト加工室の前記外気吸引口より遠ざかる方向に向かって大きくすることができる。(第18の発明)
また,第18の発明に記載のブラスト加工装置において、前記外気流誘導部材が固着された前記ブラスト加工室の天井面および側壁面に直交する前記逆流阻害部材の縦断面を三角形とすることができる。(第19の発明)
ブラスト加工時において、ブラスト加工室内は吸引手段により吸引され負圧雰囲気となっている。ブラスト加工室の壁面に外気吸引口を配置することで外気がブラスト加工室内に吸引(導入)される。ブラスト加工室内に吸引される外気の流れ(以降、「外気流」と記す)が該ブラスト加工室の内壁面に沿う様な位置に外気吸引口を配置することで、ブラスト加工室の内壁に噴射材および粉塵が付着するのを防ぐことができる(第1の発明)。この時、前記外気吸引口の前記ブラスト加工室の外壁面側に外気流整流部材を配置すると、外気流は該外気流整流部材によって整流された後、外気吸引口を通過してブラスト加工室内に吸引されるので、効率よく前記ブラスト加工室内に吸引することができる(第2の発明)。前記外気流整流部材は両端が開口した中空状部材であり、開口面の1つが前記ブラスト加工室の外壁面に固着され、前記外気吸引口と接続されている(第3の発明)。前記外気流整流部材の開口面に直交する断面は矩形でも、L字状またはく字状に屈曲した形状でも、ノ字状に湾曲した形状でも、いずれでもよい(第4および第5の発明)。また、前記外気流誘導部材をブラスト加工室内に配置することで、噴射材および粉塵の付着を防ぎたい壁面に沿って効率的に外気流を形成することができる(第6の発明)。前記外気流誘導部材を板状とし、該板の一端面をブラスト加工室の天井面または側壁面に固着するのが望ましい。前記外気流誘導部材が固着されている前記ブラスト加工装置の内壁面に直交する前記外気流誘導部材の縦断面を矩形とすると、ブラスト加工室の製作において非常に簡単である(第7の発明)。また、外気流が効率よく前記内壁面に沿うように、前記縦断面をく字状に屈曲させあるいはノ字状に湾曲させてもよい(第8の発明)。この時、前記外気誘導部材と、該外気誘導部材が固着されている内壁面の外気流が導入される側の内壁面とのなす角度は90°以下とすることが好ましい(第9の発明)。前記外気導入部材は、前記外気吸引口が配置された内壁面を外気流が沿うように配置しても、前記外気吸引口が配置された内壁面と直角をなす内壁面を外気流が沿うように配置してもよいが、前記外気導入部材は前記外気吸引口が配置された内壁面を沿うように外気流が流れるようにするために好適に用いることができる(第10の発明)。
吸引された外気は、前記外気吸引口から遠ざかるにつれて気流が弱くなり、噴射材および粉塵の付着を防ぐ力が低下する。一方、ブラスト加工室内は、吸引手段に向かって流れる気流(以降、「内気流」と記す)が発生しているので、前記内気流誘導部材をブラスト加工室内に配置することで、内気流を内壁面に誘導することができる(第11の発明)。前記内気流誘導部材を、例えば、平坦面が矩形の板状とし、該内気流誘導部材の平行する両端面をブラスト加工室の側面に各々固着させることで、内気流を効率よく内壁面に誘導することができる(第12の発明)。前記外気流誘導部材が固着された内壁面に対して直交する前記外気流誘導部材の縦断面をく字状に屈曲もしくはノ字状に湾曲とすることが好ましい(第13の発明)。また、前記外気流誘導部材は、外気流誘導部材から離れた、前記外気吸引口より遠くなる側の位置に配置することで、外気の吸引に影響を与えることなく内気流を外気吸引口より吸引された外気の流れが弱くなる箇所等、目的の箇所に誘導することができる(第14の発明)。また、前記内気流誘導部材は、ブラスト加工室の内壁との距離が前記外気吸引口に近い端面側に比べ前記外気吸引口に遠い端面側を狭くすることで、外気吸引口より吸引された外気の流れが弱くなる箇所等、目的の箇所に効率的に内気流を誘導することができる(第15の発明)。
特に圧縮空気と共に噴射材を噴射するエアブラストにおいて、ブラスト加工用ノズルから噴射された圧縮空気(以降、「噴射流」と記す)は被加工物またはブラスト加工室の内壁面に衝突し、その一部が天井面方向(上方向)に向かって反射する。反射によって生じた気流によって、前記外気吸引口より吸引された外気流や前記内気流誘導部材により内壁面に誘導された内気流が、反射気流によって阻害される。逆流阻害部材を設置することで、反射流による外気流および内気流の流れが阻害されることを防ぐことができる(第16の発明)。前記内気流誘導部材を前記ブラスト加工室に固着させた場合は、該内気流誘導部材の前記外気吸引口より遠い側の端面より遠い位置に前記内気流誘導部材を設置することが好ましい(第17の発明)。前記逆流阻害部材の前記外気吸引口より遠ざかる方向と直交する断面積を、前記ブラスト加工装置の前記外気吸引口より遠ざかる方向に向かって大きくすることで、該逆流阻害部材の設置による外気流および内気流の流れが阻害されることが生じることがない。特に縦断面が三角形であることが好ましい(第18および第19の発明)。
本実施形態におけるブラスト加工装置の構成を説明する概略図である。 本実施形態におけるブラスト加工室の構成を示す概略図である。図2(A)は正面図、図2(B)は図2(A)におけるA方向矢視図(右側面図)、図2(C)は図2(A)におけるB方向矢視図、図2(D)は図2(B)におけるC−C線断面図、図2(E)は図2(A)におけるD−D線断面図、図2(F)は図2(A)におけるE−E線断面図である。 本発明における外気吸引口による外気流の流れを示す説明図である。 本発明における外気流誘導部材を示す概略図である。図4(A)は設置状態を説明する説明図、図4(B)は変更例を説明する説明図である。 本発明における外気流誘導部材の設置例を示す概略図である。 本発明における内気流誘導部材の設置例を示す概略図である。 本発明における逆流阻害部材を設置した際の噴射流の流れ示す概略図である。 本発明における逆流阻害部材の形態を示す概略図である。
本発明におけるブラスト加工装置の実施形態の一例を、サンドブラスト装置を例に、図を用いて説明する。なお、本発明は本明細書に記載の実施形態に限定されず、必要に応じて適宜変更することができる。なお、以下の説明において、上下左右方向は特に断りのない限り、図における上下左右方向(天井側を上方向とする)として説明する。また、本明細書における内壁面とは、特に断りのない限りブラスト加工室における天井面および側壁面を示す。
ブラスト加工装置1は、内部にブラスト加工用ノズル11(本実施形態では吸引式)が配置されたブラスト加工室10と、該ブラスト加工室10の底部に接続されたダクトDを介して連結された、吸引力を発生し、かつ粉末を回収するための吸引手段20(本実施形態では集塵装置)を含む。また、噴射材と粉塵から、再使用可能な噴射材と、再使用できない噴射材および粉塵と、を分離するための分離手段21(本実施形態ではサイクロン式分級装置)が配置されている。
ブラスト加工用ノズルには、圧縮空気供給源(図示せず)がホース(図示せず)を介して接続されている。被加工物Wに向けて噴射材を、圧縮空気供給源より発生した圧縮空気と共に噴射することで、被加工物のブラスト加工が行われる。噴射材は、被加工物Wとの衝突等によりその一部に割れや欠けが発生する。また、噴射材との衝突により被加工物Wの表面は研削され粉塵が発生する。これらの噴射材や粉塵がブラスト加工室内を舞っており、これらは吸引手段20より発生した吸引力によって吸引され、分離手段21に移送される。分離手段21に移送された噴射材および粉塵は、割れや欠けなどによって再使用できない噴射材および粉塵(軽い粉体)と、再使用可能な噴射材(重い粉体)に分級され、再使用できない噴射材および粉塵は吸引装置20により回収される。一方、再使用可能な噴射材は噴射材ホッパ22に貯留され、ホースHを介して再び噴射ノズルに送られ、再度圧縮空気と共に噴射されてブラスト加工が行われる。(図1参照)
ブラスト加工室10内は吸引手段20により吸引され、すなわち負圧雰囲気にあるので、ブラスト加工室10の壁面に外気吸引口12を配置することで、外気がブラスト加工室10内に吸引(導入)される。外気吸引口12は、吸引される外気の流れがブラスト加工室10の内壁面を沿うように配置されている。噴射材および粉塵は、ブラスト加工用ノズル11からの噴射による摩擦や被加工物Wとの衝突による静電気の帯電、大気および圧縮空気中の水分や油分の吸着、分子間力、凹凸部同士の引っかかり等が原因となりブラスト加工室10の内壁面に付着するが、吸引された外気が内壁面にそって流れることで噴射材および粉塵の付着が阻害される。ブラスト加工室10の内壁面のうち、天井面10aへの付着を防ぎたい場合は側壁面10bの上部位に、側壁面10bへの付着を防ぎたい場合は天井面10aのうち該側壁側に前記外気吸引口12を配置すればよいし、それらを組み合わせてもよい。また、前記外気吸引口12は、該外気吸引口12に対し該ブラスト加工室10の外壁面側に外気流整流部材12fを配置することが好ましい(図3(A)参照)。外気流整流部材12f内はブラスト加工室10の外部から内部に向かう外気が整流されて流れていることから、ブラスト加工室10内の気流の外気吸引口12付近でブラスト加工室10の外部に向かうベクトルが大きい場合でも、該整流された外気によって、外部に流出することなく効率よく外気をブラスト加工室10内に吸引することができる。なお外気流整流部材12fは外気吸引口12よりブラスト加工室10の外側方向に向かって配置されており、かつ吸引する外気を整流出来さえすればその形状、ブラスト加工室10の壁面とのなす角度、大きさは特に限定されない。例えば、図3(B)の様に、ブラスト加工室10の壁面に対して外気流整流部材12fを直角ではなく所定の任意の好適な角度を持たせてよいし、R面を持つ湾曲した外気整流部材12fを用いてもよい。また、図3(C)(図3(C)は図3(A)のA−A線断面図に相当)の様に、外気吸引口12が同一線上に複数配置されている時には、それぞれの外気吸引口12に対してそれぞれ外気流整流部材12fを配置してもよいし、全ての外気吸引口12を覆うように外気吸引口12全体に対し外気流整流部材12fを配置してもよい。
ブラスト加工室10内には、付着を防ぎたい内壁面に吸引された外気を誘導するための外気流誘導部材13が設置されている。外気流誘導部材13は板状部材にて形成されており、その一端面がブラスト加工装置10の天井面10aまたは側壁面10bに固着されている(図4(A)参照)。該外気流誘導部材13が固着された内壁面と直交する縦断面は、矩形、く字状に屈曲した形状、ノ字状に湾曲した形状、のいずれでもよい。その際、該外気流誘導部材13と該外気流誘導部材13が固着された内壁面の外気流が導入される側の内壁面とがなす角度θは90°以下とすることが好ましい。θが90°より大きいと、ブラスト加工室10の内壁面を沿って流れる外気流の量が少なくなり、前述の噴射材および粉塵の付着を阻害する力が弱くなる(図4(B)参照)。また、外気流誘導部材13は、図5(A)のように前記外気吸引口が配置されている内壁面に直交する内壁面に一端面を固着してもよいし、図5(B)のように前記外気吸引口が配置されている内壁面に一端面を固着してもよい。前者は吸引された外気の流れる方向を変えることができ、後者は外気がブラスト加工室10内に吸引された直後に内壁面から離れる流れにならないように整流することができる。また、外気流誘導部材13は、前記外気吸引口12を複数設置した場合、外気流誘導部材13は、目的に応じて前記外気吸引口12が配置されている内壁面に直交する内壁面にその一端を固着する場合と、前記外気吸引口12が配置されている内壁面に固着する場合と、またそれらの組み合わせのいずれでもよい(図5(C))。また、必ずしもすべての前記外気吸引口12に対して前記外気流誘導部材13を配置する必要がない場合、一部の前記外気吸引口12に対してのみ外気流誘導部材13を設置してもよい(図5(D))。
外気吸引口12より吸引された直後は、外気の流れが強く、噴射材および粉塵のブラスト加工室10の内壁面への付着を阻害する効果が高いが、外気吸引口12より遠ざかるにつれて、外気の流れは弱くなっていき、前記付着を阻害する効果が弱くなっていく。ブラスト加工室10内には、ブラスト加工室10の底部、すなわち吸引手段に向かう気流(内気流)が発生している。(なお、本明細書における内気流とは、ブラスト加工用ノズル11により噴射材と共に噴射された圧縮空気(噴射流)は、被加工物Wや内壁面に衝突し反射し、その一部が上方向へ向かい、その後吸引手段20に連結されている底部に向かう気流をはじめ、ブラスト加工室内で発生しているに導入された直後の外気流以外の気流を示す概念である。)内気流を、前記外気流の流れが弱くなる箇所へ誘導することで、前記付着を阻害することができる。内気流を、前記外気の流れが弱くなる箇所へ誘導するための内気流誘導部材14がブラスト加工室10内に配置されている。内気流誘導部材14は、く字状に屈曲した板状部材(例えば、135°〜170°に屈曲させた)を用いた(図6(A)参照)。前記内気流誘導部材14は外気吸引口12に対し、前記外気流誘導部材13から遠ざかる位置に配置した。また、内気流誘導部材14とブラスト加工室10の内壁面との距離は、外気吸引口12に近い端面側に比べ外気吸引口12より遠い端面側の方が狭くなるように配置した。すなわち、図6のように外気流誘導部材13と内気流誘導部材14を配置した場合、外気吸引口12が配置されている側面と内気流誘導部材14との距離が、外気吸引口12に近い側、すなわち上方に比べ、外気吸引口12に遠い側、すなわち下方の方が小さくなる様に配置されている。この距離は連続的に狭くなっていても、その一部に連続した同一の距離を有する箇所があってもよい(図6(A)および図6(B)参照)。前記内気流誘導部材14は、前記形状の他、ノの字状に湾曲した板状(図6(C)参照)、屈曲および湾曲しない矩形板状でも(図6(D)参照)、いずれの場合も適用することができる。
また、前記反射された気流の一部は側壁面10bおよびその近傍を流れるため、外気吸引口12により導入され、また、外気流誘導部材により側壁面10bに沿って下向きに流れる外気流、および内気流誘導部材により側壁面10bに沿って下向きに流れる内気流の流れが前記反射された気流によって阻害される(図7参照)。これを防ぐために、逆流阻害部材15がブラスト加工室10の側壁面10bに配置されている。前記逆流阻害部材15は、上端部が前記内気流誘導部材14の下端部より下方になるように設置されている。前記逆流阻害部材15の設置によって、前述の下向きに流れる外気流および内気流の流れが阻害されることのないように、該逆流阻害部材15は下方になるほど水平方向の断面積が連続的に大きくなっていることが望ましい。縦断面が三角形(図8(A)参照)、1/4円(図8(B)参照)、1/4楕円(図8(C)参照)、楕円の一部が変形され上端が鋭角である1/4楕円(図8(D)参照)、等いずれにおいても好適に用いることができる。
本実施形態では、図2に示すように、ブラスト加工室10の上部位に外気吸引口12を配置し、前記外気吸引口12より吸引された外気流を側壁面10bに沿って流れるようにするために、矩形板状の外気流誘導部材13をその一端を天井面10aに垂直に配置し、外気流の流れが弱くなる位置より下方の側壁面10bに、噴射材および粉塵が付着するのを防ぐために付着が予想される位置に、内気流を誘導するための、く字状に屈曲した板状部材からなる内気流誘導部材14を前記外気流誘導部材から離れ、前記外気吸引口12より遠くなる側の位置に配置した。また、前記外気吸引口12を設置した側壁面10bに縦断面が三角形の逆流阻害部材15を、縦断面の底辺が該側壁面10bと垂直となるよう、かつ該逆流阻害部材15の上端部が前記内気流誘導部材14の下端部より下方に位置するように配置した。
(実施例)
図2(図2(A)は平面図、図2(B)は右側面図、図2(C)は平面図を示す。また、図2(D)は図2(B)におけるC−C線断面図、図2(E)は図2(A)におけるD−D線断面図、図2(F)は図2(A)におけるE−E線断面図を示す。また、図2(E)および図2(F)は便宜上ブラスト加工用ノズル11および被加工物Wを省略している。(図1)に示すブラスト加工室を用い、ブラスト加工をおこなった。吸引手段20を稼働し、被工物W(270×280×t10の鋼材)に対し、噴射材(WA#600:新東工業株式会社製)を150分間噴射した。また、ブラスト加工室10の側壁面10bにはブラスト加工中のブラスト加工室10の内部を確認するための窓(図示せず)が配置されており、ブラスト加工中の内壁面の状態を確認した。ブラスト加工後、内壁面への噴射材および粉塵の堆積は確認されなかった。また、ブラスト加工中においても、内壁面への噴射材および粉塵の堆積は確認されず、本発明によりブラスト加工室10の内壁面へ噴射材および粉塵が付着することなくブラスト加工を行うことができた。
(変更例)
本実施形態におけるブラスト加工用ノズルが吸引式の場合について説明したが、噴射材を装填した加圧タンクを加圧することで噴射材を圧縮空気流と共にブラスト加工用ノズルに送り噴射する、いわゆる直圧式の場合においても本発明を好適に用いることができる。
また、ブラスト加工は、圧縮空気と共に噴射材を噴射するエアブラストばかりでなく、羽根車の回転による遠心力によって噴射材を投射する遠心式ブラスト加工装置(いわゆるショットブラスト装置)においても本発明を好適に用いることができる。
また、ブラスト加工に用いる噴射材は、一般にブラスト加工にて用いられるもの(金属系(いわゆるショット、グリッド、カットワイヤー)の他に、セラミックス系、樹脂系、植物系の粉体)であれば特に限定されず、本発明に適用することができる。
実施例では、四角形の外気吸引口をブラスト加工室の側壁面に対し平行に3つ配置したが、形状および数量は限定されず適宜変更することができる。
実施例では、ブラスト加工室の外壁に接続されていない外気流整流部材の開口面を上向き(天井面方向)になるように設置したが、水平方向に設置してもよい。
く字状に屈曲した内気流誘導部材は、連続的に屈曲していても、一部分が直線であっても、部位によって屈曲率(角度)が変化していてもよい。
内気流誘導部材は、ノ字状に湾曲した板状部材であってもよい。この場合、連続的に湾曲していても、一部分が直線であっても、部位によって湾曲率が変化していても、いずれの場合も好適に用いることができる。
逆流阻害部材は、実施形態および実施例に示すように、前記外気吸引口を備えたブラスト加工室であれば、前記外気流整流部材、前記外気流誘導部材、前記内気流誘導部材を備えていない場合にも用いることができる。
実施例では、外気流および内気流をブラスト加工室の側壁面に流れるように前記外気吸引口、前記外気流整流部材、前記外気流誘導部材、前記内気流誘導部材、前記逆流阻害部材を設置したが、外気流および内気流をブラスト加工室の天井面に流れるように配置してもよい。
1 ブラスト加工装置
10 ブラスト加工室
10a 天井面
10b 側壁面
11 ブラスト加工用ノズル
12 外気吸引口
12f 外気流整流部材
13 外気流誘導部材
14 内気流誘導部材
15 逆流阻害部材
20 吸引手段(集塵装置)
21 分離手段(サイクロン式分級装置)
22 噴射材ホッパ
D ダクト
H ホース
W 被加工物

Claims (19)

  1. 内部に設置されたブラスト加工用ノズルから被加工物に向けて噴射材を噴射することでブラスト加工を行うためのブラスト加工室と、前記ブラスト加工室内を吸引するための吸引手段と、を備えており、
    前記ブラスト加工室は、外気を該ブラスト加工室内に吸引すると共に、吸引された外気が該ブラスト加工装置の内壁面に沿って流れるように外気吸引口を少なくとも1以上備えることを特徴とするブラスト加工装置。
  2. 前記外気吸引口が備えられている前記ブラスト加工室の外壁面側には、外気を整流して前記ブラスト加工室内に吸引するための外気流整流部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のブラスト加工装置。
  3. 前記外気流整流部材は両端が開口されている中空状部材であり、開口面の1つが前記ブラスト加工室の外壁面に取り付けられ、前記外気吸引口と接続されていることを特徴とする請求項2に記載のブラスト加工装置。
  4. 前記外気流整流部材は、前記開口面に直交する方向の断面が矩形であることを特徴とする請求項3に記載のブラスト加工装置。
  5. 前記外気流整流部材は、前記開口面に直交する方向の断面がく字状またはL字状に屈曲した形状、またはノ字状に湾曲した形状のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載のブラスト加工装置。
  6. 前記ブラスト加工室内には、前記外気吸引口によって吸引された外気を内壁面に沿って流れるように誘導する外気流誘導部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のブラスト加工装置。
  7. 前記ブラスト加工室内の天井面および側壁面の少なくともいずれかに一端面が固着された前記外気流誘導部材は板状であり、該外気流誘導部材が固着されている前記ブラスト加工室の天井面および側壁面に対して直交する縦断面が矩形であることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  8. 前記ブラスト加工室の天井面および側壁面の少なくともいずれかに一端面が固着された前記外気流誘導部材は板状であり、該外気流誘導部材が固着されている前記ブラスト加工室の天井面および側壁面に対して直交する縦断面が、く字状に屈曲した形状もしくはノ字状に湾曲した形状のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  9. 前記外気流誘導部材と、該外気誘導部材が固着されている内壁面の外気流が導入される側の内壁面とのなす角度が90°以下であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のブラスト加工装置。
  10. 前記外気流誘導部材は、前記外気吸引口によって吸引された外気を、前記外気吸引口の配置されている内壁面に沿うように誘導するように配置されていることを特徴とする請求項9に記載のブラスト加工装置。
  11. 前記ブラスト加工室内には、該ブラスト加工室の内部で発生した気流を内壁面に沿って流れるように誘導する内気流誘導部材が配置されていることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  12. 前記内気流誘導部材は平坦面が矩形の板状であり、該内気流誘導部材の平行する両端面が前記ブラスト加工室の側面に各々固着されていることを特徴とする請求項11に記載のブラスト加工装置。
  13. 前記外気流誘導部材に固着された前記ブラスト加工室の内壁面にその内壁面と直交する前記内気流誘導部材の縦断面が、く字状に屈曲した形状またはノ字状に湾曲した形状のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載のブラスト加工装置。
  14. 前記内気流誘導部材は、前記外気流誘導部材から離れ、前記外気吸引口より遠くなる側の位置に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のブラスト加工装置。
  15. 前記内気流誘導部材は、前記ブラスト加工室の内壁との距離が前記外気吸引口に近い端面側に比べ、前記外気吸引口に遠い端面側においてより狭くなっていることを特徴とする請求項11に記載のブラスト加工装置。
  16. 前記外気流誘導部材が天井面に取り付けられた場合において、前記ブラスト加工室の側壁面には、前記外気流誘導部材の前記ブラスト加工室の天井内壁面に固着されている端と反対側の端よりも前記外気吸引口から遠ざかる位置に、逆流阻害部材が固着されていることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  17. 前記外気流誘導部材が天井面に取り付けられた場合において、前記外気流誘導部材の前記ブラスト加工室の天井内壁面に固着されている端と反対側の端よりも前記外気吸引口から遠ざかり、かつ前記内気流誘導部材の前記外気吸引口から、より遠い端面よりさらに遠ざかった前記ブラスト加工室の側壁面上に逆流阻害部材が固着されていることを特徴とする請求項11に記載のブラスト加工装置。
  18. 前記逆流阻害部材の前記外気吸引口より遠ざかる方向に直交する断面積が、前記ブラスト加工室の前記外気吸引口より遠ざかる方向に向かって大きくなっていることを特徴とする請求項16または請求項17に記載のブラスト加工装置。
  19. 前記外気流誘導部材に固着された前記ブラスト加工室の天井面および壁面に直交する前記逆流阻害部材の縦断面が三角形であることを特徴とする請求項18に記載のブラスト加工装置。
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