JPWO2012063491A1 - 無線通信システムおよび無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

WiFi通信を行うシステムでは、複数の端末が存在する場合、端末が基地局と通信するタイミングが競合してしまい、データの送信が長時間待たされ、または端末の受信部を起動させている時間が長くなって省電力効率が悪い。本発明は、各基地局にDECT通信部とWiFi通信部を共に設け、複数の基地局の中の1つをマスター基地局とし、マスター基地局のDECT通信部が送信出する制御信号によって各基地局のDECT通信のタイミングを同期させるとともに、各基地局はDECTの制御信号により通知されたタイマー情報によりWiFi通信部のタイマーの補正を行う。これにより、各端末は、各基地局が発するWiFiビーコンの送信タイミングを正確に予測することができ、受信動作を必要最短時間にすることができる。

Description

本発明は、携帯可能な端末と、この端末と無線通信を行う複数の基地局を有する無線通信システムおよび無線通信装置に関するものである。
主に欧州において、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)規格に準拠した複数の基地局と主装置からなる構内無線通信システムが有る。DECT規格はTDMA−TDD(Time Division Multiple Access−Time Division Duplex)を採用しており、その一形態として、送信6スロット、受信6スロットの計12スロットを1サイクルとした略定期的な通話および通信を行う形態が採用されている。DECT規格の通信システムを電話通話に使うと高音質が期待でき、また基地局および端末機のコスト低下を期待できる。
一方、IEEE802.11シリーズの通信規格を利用した無線LAN(以下、WiFiとする)によって通信をするアクセスポイントを介する無線通信システムも広く用いられている通信システムであり、これは電話通話には不向きであるが、パーソナルコンピュータなどを対象にした高速な通信に適している。またWiFi(802.11)では、端末を常時受信モードで動作させれば基地局からの通信はほぼリアルタイムで端末へ届けられるが、端末をスリープモードで動作させた場合、基地局が周期的に送信するビーコンのタイミングで一時的に起動することを繰り返す。基地局が送信するビーコンにTIM(トラヒック通知マップ)情報が含まれている場合、これにより一時的に起動した端末は自分宛のデータフレームを基地局が保持しているか否かが分かる。また基地局が送信するビーコンにDTIM情報が含まれている場合、これにより端末は基地局がブロードキャストまたはマルチキャストのためのデータフレームを保持していることが分かる。
WiFi通信を行う基地局は、各ビーコン間隔でTIMを含むビーコンを放送する。例えばある端末(端末A)は、1つおきにTIMを受信するために起動する。一方、他の端末(端末B)は2つおきにTIMを受信するために起動する。従って2つ目のビーコンのときは、端末AのみがTIMを受信するために起動する。
各端末宛のデータフレームを基地局がブロードキャストのためのデータフレームをバッファリングしている時、前記TIMではなく、端末宛のデータの存在を示す基地局が送信するビーコンにはDTIM情報が含まれる。例えば2つ目のビーコンとともにDTIMを受信した端末Aは基地局にあるデータがブロードキャストのデータであることが分かるので、フレームが基地局でバッファリングされていると分かった場合、端末Aは基地局に対してPS−Pollを発行し、その応答として基地局から端末Aへデータフレームが送信される。このやり取りが終わると、端末Aはスリープモードに戻る。この間、端末Bはスリープモードのままである。3つ目のビーコンのときには、端末Aはスリープしたままで、端末Bがビーコンを受信するために起動し、端末Bは基地局が送信するビーコンを受信する。端末Bが受信したビーコンにDTIM情報が含まれる場合、端末Bは基地局に対してPS−Pollを発行し、基地局から端末Bへデータフレームが送られる。4つ目のビーコンのときには、端末Bがビーコンを受信するために起動する。
日本国特開2005−167898号公報 日本国特開2008−263335号公報 日本国特開平9−162798号公報
しかしながら、前記したWiFi通信を行うシステムでは、複数の端末が存在する場合、基地局と通信するタイミングが競合してしまい、受信のタイミングが合わない場合に基地局からある端末へのデータフレームの送信は、バッファリングが終了したあとも長時間待たされる場合がある。
このような競合を避けるためには、各端末はそれぞれ長時間の受信タイミングを設定し、他の何れの端末も反応しないビーコンに対してのみPS−Pollを発行するようにすればよいが、その結果、受信部を起動させている時間が長くなり、省電力効率が劣化する。
また、WiFi(802.11)を利用した複数の基地局を有するシステムでは、基地局同士が同期して動作する機能はなく、隣接する基地局は互いに相手との衝突を避け合って信号を出力している。設置した直後は問題なくても、時間の経過に伴って送信タイミングがシフトし、隣接する基地局の送信タイミングが衝突することが有り得る。これを防ぐためには各基地局のクロック発生の基準として高精度な時計が必要になる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、各端末は各基地局が発するWiFiビーコンの送信タイミングを正確に予測することができ、受信動作を必要最短時間にすることができ、消費電力を削減することが可能な無線通信システムおよび無線通信装置を提供することを目的とする。
本発明は、各基地局にDECT通信部とWiFi通信部を共に設け、複数の基地局の中の1つをマスター基地局とし、マスター基地局のDECT通信部が出す制御信号によって各基地局のDECT通信のタイミングが同期し、さらに各基地局はDECTの制御信号より、WiFi通信部のクロック発生の基準となるタイマーの補正を行うようにした。
これにより、マスター基地局のDECT通信部が出す制御信号を使って各基地局のWiFi通信部のビーコン送信タイミングが制御されるので、時間の経過に伴って送信タイミングがシフトすることによる各基地局のWiFi送信タイミングが衝突することが無くなり、各端末は、基地局からのDECTの制御信号に含まれる情報によってWiFiビーコンの送信タイミングを正確に把握することができ、基地局からのWiFiビーコンを受信可能なタイミングで起動することが出来るので、無駄な受信動作をせずに済む。
本発明の無線通信システムにより、各端末は各基地局が発するWiFiビーコンの送信タイミングを正確に予測することができ、受信動作を必要最短時間にすることができ、消費電力を削減することができる。
(a)、(b)本発明の実施形態における無線通信システムの無線基地局および無線端末のブロック図 本発明の実施形態における無線通信システムを示す図 同無線通信システムにおける複数の基地局の中の連携動作を説明するための説明図 同無線通信システムにおけるマスター基地局とスレーブ基地局との間で同期を取る様子を説明するためのタイムチャート 同無線通信システムにおける基地局と通信する端末が基地局からのDECT制御信号およびWiFi信号を受信するタイミングを示すタイムチャート 同無線通信システムの基地局にて定期的に割り込みをかけることによりWiFi通信部のタイマーを補正する様子を示す説明図 (a)、(b)同無線通信システムの基地局におけるDECT通信部のタイマー処理手順、を示すフローチャート 同無線通信システムの基地局におけるWiFi通信部のタイマー変換手順を示すフローチャート (a)、(b)同無線通信システムの端末におけるWiFi通信の起動時の処理を示すフローチャート 同無線通信システムの端末におけるWiFi通信部の通信処理手順を示すフローチャート (a)、(b)同無線通信システムの基地局が行うセルフサーベイ処理手順を示すフローチャート 同無線通信システムの基地局のWiFi通信部が行うセルフサーベイ処理手順を示すフローチャート 同無線通信システムの端末においてWiFi通信部をDTIM情報が送られるタイミングに合わせて起動させる例を示すタイムチャート 同無線通信システムにおける各信号の送信タイミングの一例を示す図
以上の課題を解決するために為された本願発明の無線通信システムは、基地局および端末の間で通信を行う無線通信システムであって、基地局はTDMA方式の第1の通信方式を使う第1の通信部と、第2の通信方式を使う第2の通信部とを有し、端末はTDMA方式の第1の通信方式を使う第3の通信部と、第2の通信方式を使う第4の通信部を有し、基地局は、第1の通信部を使って第1の通信方式の制御信号を送信するとともに、第1の通信部のTDMAのタイミングに応じて第2の通信部の送信のタイミングを決め、端末の第3の通信部は、第1の通信方式によって基地局から送られる制御信号を受信し、第4の通信部は、第1の通信方式によって送られた前記制御信号に含まれる情報に応じて受信動作を制御するように構成した。
また複数の基地局が連携して機能するシステムにおいては、複数の基地局の中のマスターとして設定された基地局は第1の通信方式の制御信号を送信し、スレーブである基地局は前記制御信号に同期して第1の通信方式の通信を行い、各基地局は第1の通信部を使って第1の通信方式の制御信号を送信するとともに、第1の通信部のTDMAのタイミングに応じて第2の通信部の送信のタイミングを決め、端末の第3の通信部は第1の通信方式によって基地局からの制御信号を受信し、端末の第4の通信部は前記制御信号に含まれるタイミングを示す情報に応じて受信動作を制御するように構成した。
また本願発明の無線通信システムは、前述の構成に加え、基地局の第1の通信部は周辺の他の基地局から受信される信号の電界強度から干渉の可能性があるチャンネルを検知するとともに該チャンネルを示す情報を第2の通信部へ通知し、第2の通信部は通知されたチャンネルを使用禁止チャンネルとして使用を避けるように制御するように構成した。
また本願発明の無線通信システムは、前述の構成に加え、第2の通信方式をWiFi通信方式とし、端末の第4の通信部は、基地局が送信する無線LANのビーコンタイミングに合わせて起動するように構成した。
<第1の実施形態>
図2は本発明の実施形態における無線通信システムの構成を示す図、図1(a)、(b)は同無線通信システムの無線基地局および無線端末のブロック図である。図2において、符号1はLAN接続を構成するためのルータ、符号2はLAN接続が可能な内線電話機、符号3aおよび3bは無線基地局(基地局)、符号4a,4b,4cは無線端末(端末)である。ルータ1は外部のWAN側に接続するためのWAN接続ポート、LAN(local area network)側の各端末装置を接続するLAN接続ポートを有する。WAN接続ポートはインターネット等に接続される。ルータ1は、内線電話機2や各基地局(基地局3a,3b他)の相互の信号パケットのルーティング、およびローカルIPアドレスの管理を行う。
無線基地局3(3a、3b、他)は、DECT方式で通信をするDECT通信部と、WiFi方式で通信をするWiFi通信部を備える。無線端末4(4a、4b、4c、他)も、DECT方式で通信をするDECT通信部、WiFi方式で通信をするWiFi通信部を備える。
次に基地局3の構成を説明する。図1(a)、(b)は、本発明の実施形態における無線通信システムの構成要素である無線基地局3(以下、基地局3とする)と、無線端末4(以下、端末4とする)の構成を示す。図1(a)において、基地局3は、DECT方式を用いた無線通信システムと、WiFi(802.11)によって通信をするアクセスポイント機能の両方を備えている。
図1(a)において、符号31はDECT方式で通信をするDECT通信部、符号32はWiFi方式で通信をするWiFi通信部である。符号33はDECT通信のための無線通信回路(DECT−RF)、符号34はWiFi通信のための無線通信回路(WiFi−RF)である。符号35は、DECT方式の通信路およびWiFi方式の通信路に対して通信対象のデータを振り分け、また双方の送受信タイミングを制御する基地局ホスト部((図1(a)では単にホスト部と記載))である。基地局3の基地局ホスト部35は、他の基地局3または内線電話機から有線LANを介して送信される音声チャネルの信号が端末4宛のものであればその信号をDECT通信部31へ渡し、DECT通信部31を介して送られる音声チャネルの信号を有線LANを介して他の基地局3または内線電話機へ送信する。また基地局3の基地局ホスト部35は、他の基地局3または内線電話機から有線LANを介して送信されるデータチャネルの信号が端末4宛のものであればその信号をWiFi通信部32へ渡し、WiFi通信部32を介して送られるデータチャネルの信号を有線LANを介して他の基地局3または内線電話機へ送信する。本実施の形態における無線通信システムでは、複数の基地局3が事務所の壁、廊下などに設置され、これら基地局3が直接各端末4とDECT方式およびWiFi方式で通信する。
日本国内で使用が予定されているDECTは、1893.5MHz〜1906.1MHzの上記周波数帯域を利用し、10ms周期の1フレームに24スロット(アップリンク用に12スロット、ダウンリンク用に12スロット)を含んで構成されるTDMA/TDD方式を採用している。また、最低1スロットの制御チャネルスロットを備えており、制御チャネルも通話チャネルも10msのフレーム周期で送受信される。また、各々の周波数/スロット位置は任意であり、周波数は5つの周波数が割り当てられる見通しである。
図3に示すように、複数の基地局3の中の少なくとも1台はマスター基地局3aとして設定される。マスターとして設定されている基地局3aは、電源が投入されると、自らが接続されているルータ1の配下の有線LANにスレーブとして設定されている基地局3b、3cが接続されているかどうかを判定する。マスター基地局3aは同じ有線LANにスレーブ基地局3b、3cが接続されていると判定すると、各スレーブ基地局3b、3cのローカルIPアドレスに対してマスター基地局3a自身の機種コード(DECT方式であることを示す機種コード)を送る。またマスター基地局3aは、各スレーブ基地局3b、3cに対してローカルIPアドレスおよび機種コードを送るように要求し、各スレーブ基地局3b、3cからこれらの情報が送られると、マスター基地局3aはこれら各スレーブ基地局3b、3cのローカルIPアドレスに関連付けてそれぞれの機種コード(DECT方式であることを示す機種コード)を内部のメモリに登録する。また各スレーブ基地局3b,3cは、マスター基地局3aからローカルIPアドレスおよびマスター基地局3aの機種コードが送られると、その情報を内部のメモリに登録する。
マスター基地局3aは、他の各基地局3がDECT方式の通信で用いるTDMA/TDDのタイミング同期のための基準となり、スレーブとなる各基地局3b,3cはマスター基地局3aが発信する制御信号を受信し、そのタイミングに従って自らのTDMA/TDDの送受信タイミングを決める。
またDECT通信を用いた、無線通信システムは隣接設置機能を備えている。隣接設置機能とは、個々の基地局3が周辺の他の基地局3の存在を検知し、その基地局3から受信される信号の電界強度からその基地局3との間の無線距離を測定し、各基地局3がこれらの情報をもとに隣接基地局3の設置情況および動作状況を把握する機能を有する。本実施形態は、この隣接設置機能を利用して各基地局3がWiFi通信に使うチャンネルの状態を共有し、干渉の可能性があるチャンネルの使用を避ける機能(セルフサーベイ)を備える。これについては後半で詳細に説明する。
図4はマスター基地局3aと、スレーブである他の各基地局3b,3cとの間で同期を取る様子を説明するためのシステム同期タイムチャートである。図4において、上からそれぞれマスター基地局3aのDECT制御信号送信タイミング、マスター基地局3aのWiFiビーコン送信タイミング、スレーブ基地局3bのDECT制御信号受信タイミング、スレーブ基地局3bのWiFiビーコン送信タイミング、スレーブ基地局3cのDECT制御信号受信タイミング、スレーブ基地局3cのWiFiビーコン送信タイミングである。
DECTでは10ms周期の1フレームに1回のスロットを制御チャネル用に割り当て、図4に示すようにマスター基地局3aのDECT通信部31は10ms周期でDECT制御信号を送信する。また各基地局3がWiFi通信で用いる送受信タイミングは、DECTの1フレーム周期(10ms)の整数倍のビーコン間隔をおいてWiFiビーコンを送信するように設定されており、WiFiビーコンと、その直近のDECT制御信号との時間差は基地局3毎に異なる値に設定される。図4の例では、マスター基地局3aはDECT制御信号送信から時間差:ΔT0だけ進んだ時間位置でWiFiビーコンを送信する。他の各基地局3のWiFiビーコンと、その直近のDECT制御信号との時間差はマスター基地局3aが決め、有線LANを使ってマスター基地局3aから他の各基地局3へ伝えられる。図4の例では、スレーブ基地局3bのWiFi通信で用いるビーコン送信タイミングを決定するための時間差はΔT1、スレーブ基地局3cのWiFi通信で用いるビーコン送信タイミングを決定するための時間差はΔT2とされ、これら時間差ΔT0、ΔT1、ΔT2を基地局3毎に変えることにより、各基地局3のビーコン送信タイミングが重ならないようになっている。
スレーブ基地局3bおよびスレーブ基地局3cのDECT通信部31は、常時マスター基地局3aが発するDECT制御信号を受信している。ある時、スレーブ基地局3bのDECT制御信号受信タイミングがマスター基地局3aを発するDECT制御信号タイミングに対して幾分遅れたことが検出された場合、スレーブ基地局3bのDECT通信部31はその遅れたタイミング差分を自己のタイマーから引く補正を行い、以降の受信タイミングがDECT制御信号タイミングに合うようにする。またある時、スレーブ基地局3cのDECT制御信号受信タイミングがマスター基地局3aを発するDECT制御信号タイミングに対して幾分速いことが検出された場合、スレーブ基地局3bのDECT通信部31はその遅れたタイミング差分を自己のタイマーに足す補正を行い、以降の受信タイミングがDECT制御信号タイミングに合うようにする。
このように各基地局3cがWiFi通信で用いるビーコン送信タイミングはDECT制御信号の受信タイミングとの差はマスター基地局3aの制御の元に固定され(マスター基地局3aの時間差:ΔT0、スレーブ基地局3bの時間差:ΔT1、スレーブ基地局3cの時間差:ΔT2)、しかも各基地局3のDECT制御信号の受信タイミングもマスター基地局3aに同期しているので、各スレーブ基地局3b、3cの無線LANのビーコン送信タイミングは常時マスター基地局3aのタイミングで制御されることになる。
以上のように、基地局3の中のマスター基地局3aのDECT通信部31は、自己のタイマーに従って作成された無線フレーム同期信号を使ってDECT制御信号を送信するが、前述のようにスレーブ基地局3b,3cのDECT通信部31は、DECTのエアー同期の機能を使ってマスター基地局3aからの信号を基準に補正を受けた無線フレーム同期信号を使ってDECT制御信号を送信する。さらに各基地局3はそのDECTのタイミングに基づいてWiFiタイマーの補正を行うことで、WiFi通信においても各基地局3の同期を実現している。これにより、WiFi通信部32のクロックに多少の揺らぎがあったとしても、各基地局3はDECT無線同期で得られた正確なタイミングで同期したビーコンを発信し、端末(PS)4は無駄な受信動作をすることなくWiFiのビーコンを受信する事ができる。基地局3と端末4の通信については以降で詳細に説明する。
次に無線端末4の構成を説明する。図1(b)において、本発明の実施形態における無線通信システムの構成要素である無線端末(以下、端末とする)4は、基地局3と同様にDECT方式とWiFi方式の両方の通信機能の両方を備えている。符号41はDECT方式で通信をするDECT通信部、符号42はWiFi方式で通信をするWiFi通信部である。符号43はDECT通信のための無線通信回路(DECT−RF)、符号44はWiFi通信のための無線通信回路(WiFi−RF)である。符号45は、DECT方式の通信路およびWiFi方式の通信制御および送受信タイミングを制御する端末ホスト部(図1(b)では単にホスト部と記載)である。
DECT通信部31は、送信無線チャネルに対して誤り検出用の符号化、簡易秘話処理、スクランブル処理等を行い、受信無線チャネルに対しては誤り検出、同期語(SYNCWORD)検出、デススクランブル処理、受信した信号ら無線フレームタイミングの検出等を行う。
次に、端末4と基地局3の間のDECT方式の通信について説明する。図5は基地局3と通信する端末4が基地局3からのDECT制御信号およびWiFi信号を受信するタイミングを示す。図5において、上からそれぞれ基地局3(3a,3b,3c)のDECT制御信号の送信タイミング、基地局3のWiFiビーコン送信タイミング、基地局3が端末からのWiFi信号を受信するタイミングを示す。また図5の下部に、端末4(4a,4b)が基地局3からのDECT制御信号を受信するタイミング、端末4が基地局3からのWiFi信号を受信するタイミング、端末4が基地局3へWiFi信号を送信するタイミングを示す。
前述のように、基地局3がWiFiビーコンを送信するタイミングはDECT制御信号に同期しており、図5の例では、基地局3はDECT制御信号送信から時間差:ΔTだけ進んだ時間位置でWiFiビーコン(DTIM,TIM)を送信する。そのWiFi通信部32が端末4宛に送信予定のデータをバッファ内に保持している場合、WiFiビーコンの中のDTIM情報に端末4宛のデータをバッファ内に保持していることを示す通知、およびその宛先である端末4を示すID情報を乗せて送信する。
端末4のWiFi通信部42は衝突回避や消費電力を抑えるために、通信の必要が無い期間は休止(Doze)している。このWiFi通信部42はホスト部45からの指令によって起動され、WiFi信号の受信動作を行う。端末4のWiFi通信部42が起動すると基地局3のWiFi通信部32から送られるWiFiビーコンを受信する。端末4はWiFiビーコンを受信し、TIM情報がある場合には基地局3に自分宛に送信予定のデータが有るか否かを判別し、自分宛のデータが基地局3に存在しない(または送信準備のためのバッファリングが完了していない)と判断した場合は、PS−Pollの送信は行わない。
その後、WiFiビーコンを受信した端末4は、WiFiビーコンのその中のDTIM情報からブロードキャストのためのデータが基地局3に存在し、送信準備のためのバッファリングが完了していると判断した場合、基地局3に対してPS−Pollを送信する。基地局3のWiFi通信部32は端末4からのPS−Pollを受信すると、そのPS−Pollを送信した端末4に対して送信予定のデータをバッファより取り出し、当該端末4に対してデータを送信する。PS−Pollを送信した端末4は基地局3から送られた自己宛のデータを受信する。また当該端末4から他の端末4宛て、または外部ネットワークを介して送信予定のデータがある場合、端末4は基地局3へそのデータを送信する。データの送受信が完了すると、基地局3は当該端末4に対してデータの受信が完了したことを意味するACK信号を送信し、当該端末4はACK信号を受信したあと、WiFi通信部42の動作を停止し、休止(Doze)状態に戻る。
次に、基地局3から端末4宛に送信予定のデータがある場合に、基地局3が対象端末のWiFi通信部42を起動させるための動作を説明する。基地局3で、そのWiFi通信部32が端末4宛に送信予定のデータをバッファ内に保持している場合、基地局3のホスト部35はその事をDECT通信部31へ伝える。このホスト部35からの指示に従い、DECT通信部31は送信するDECT制御信号(図5に示す制御信号A)の中に、端末4宛のデータをバッファ内に保持していることを示す通知、およびその宛先である端末4を示すID情報およびDTIMまでの時間:ΔT1の情報を乗せて送信する。
端末4のホスト部45は図5に示すように、DECT制御信号(制御信号A)の中に自分宛のデータが基地局3のバッファ内に保持されていることを示す情報があることを知ると、直ぐに端末4のWiFi通信部42を起動する(図5に示すWiFi起動B)。これにより、それまで休止(Doze)状態であった端末4のWiFi通信部42はホスト部45からの指令によって起動され、受信動作を開始する。その後は前述同様に、端末4はWiFiビーコンを受信し、基地局3に対してPS−Pollを送信する。基地局3は端末4からのPS−Pollを受信すると、端末4に対して送信予定のデータをバッファより取り出し、当該端末4に対してデータを送信する。PS−Pollを送信した端末4は基地局3から送られた自己宛のデータを受信する。また当該端末4から他の端末4宛て、または外部ネットワークを介して送信予定のデータがある場合、端末4は基地局3へそのデータを送信する。データの送受信が完了すると、基地局3は端末4に対してデータの受信が完了したことを意味するACK信号を送信し、当該端末4はACK信号を受信したあと、WiFi通信部42の動作を停止し、休止(Doze)状態に戻る。
端末4のWiFi通信部42は、受信したWiFiビーコンがTIM情報を示すものであればPS−Pollの送信は行なわないが、受信したWiFiビーコンがDTIM情報を示すものであれば基地局3に対してPS−Pollの送信は行ない、データの送受信が始まる。
なお、端末4は衝突回避のため、自らがPS−Pollを送信する前に他の端末4が送信するPS−Pollを検出した場合、自らのPS−Pollの送信を中止する。この場合は次にWiFiビーコンの中のDTIM情報を受信した直後にもう一度PS−Pollを送信し、その後基地局3から送られるデータを受信する。
以下、本発明の実施形態のシステムにおけるWiFiタイマーの補正について説明する。図6に示すように、基地局3の基地局ホスト部35は、基地局3のDECT通信部31がDECT制御信号を送信する10ms周期でWiFi通信部32にタイマー補正の割り込みをかける。10msの1回、基地局ホスト部35はDECT通信部31のタイマー31aを基準に生成された補正値をWiFi通信部32へ通知し、この補正値をWiFiタイマーの値に上書きすることによりWiFiタイマーを補正する。
図7(a)、(b)はスレーブ基地局3b、3cにおけるDECT通信部31のタイマー処理手順、基地局ホスト部35のDECT−WiFiタイマー変換手順を示す。図7(a)に示すDECT通信部31のタイマー処理において、マスター基地局3aからの制御信号を検出する動作を行っているスレーブ基地局3b、3cは、マスター基地局3aからの制御信号が受信されると(STEP1:はい)、自身のDECT通信の送受信タイミングをマスター基地局3aからの制御信号に書き込まれたタイマー信号により補正する(STEP2)。次いでスレーブ基地局3b、3cのDECT通信部31は、マスター基地局3aから入手したタイマー信号を基地局ホスト部35へ通知する(STEP3)。
図7(b)はスレーブ基地局3b、3cにおける基地局ホスト部35のタイマー変換手順を示す。スレーブ基地局3b、3cの基地局ホスト部35では、DECT通信部31からタイマー信号が通知されると(STEP4:はい)、前回通知されたDECTタイマーの値との差分を計算し(STEP5)、得られた差分値を、WiFiカウンターを補正する為の差分値に変換する(STEP6)。次に前回のWiFiタイマー値に、今回入手したDECTタイマー値より得た差分値を加算し(STEP7)する。さら上記加算値に、通信および演算処理に必要な時間を加算し(STEP8)、上記加算値をWiFiタイマーの値としてWiFi通信部32へ通知する(STEP9)。
図8は、WiFi通信部32のタイマー変換手順を示す。図8において、WiFi通信部32は、基地局ホスト部35からWiFiタイマーの値が通知されると(STEP10:はい)、通知されたタイマーの値をタイマー32aの値に上書きする(STEP11)。以降、スレーブ基地局3b、3cはマスター基地局3aからのタイマー信号に従って補正されたWiFiタイマーの値に従ってWiFi通信の送受信のタイミングが決定される。
図9(a)、(b)は端末4におけるWiFi通信の起動時の処理を示す。まず図9(a)に示す端末4のDECT通信部41が基地局(CS)3から信号を受信する処理において、基地局3からの制御信号を受信すると(STEP12:はい)、自身のDECT通信の送受信タイミングを基地局3からの制御信号に書き込まれたタイマー信号により補正する(STEP13)。
次に端末4は、基地局3からのに制御信号よりWiFiで送信準備されたデータが存在するか否かが判別される。基地局3にWiFiを使って送信準備されたデータが存在することが分かると(STEP14:はい)、端末4のDECT通信部41は、基地局3からDECT制御信号とWiFiビーコンの送信時間差を表すDECT−WiFi送信時間差情報を取得する(STEP15)。次にDECT通信部41は、端末ホスト部45へWiFi通信部42の起動の指示、および基地局3から入手したDECT−WiFi送信時間差情報を通知する(STEP16)。
図9(b)は、端末ホスト部45が、WiFi通信部42にWiFi通信を起動させる時の手順を示す。端末ホスト部45がDECT通信部41よりWiFi通信部42の起動の指示を受けると(STEP17:はい)、端末ホスト部45はその時のWiFi通信部42の状態を調べる。その時にWiFi通信部42が起動(アクティブ)していない場合(STEP18:いいえ)、端末ホスト部45はWiFi通信部42にWiFi通信を起動させ(STEP22,23)、WiFi通信部42が起動する。端末ホスト部45がWiFi通信部42の起動の指示を受けたときにすでにWiFi通信部42が起動している場合(STEP18:はい)、無線LANのビーコン受信動作タイミングを適切に設定するために、端末ホスト部45が基地局3から入手した最新のDECT−WiFi送信時間差情報を取得する(STEP19)。そして得られた時間差情報をWiFiカウンターを補正する為の差分値に変換し(STEP20)、その差分値をWiFi通信部42に通知する(STEP21)。
図10は端末4におけるWiFi通信部42の通信処理手順を示す。図10において、端末4のWiFi通信部42は端末ホスト部45からWiFiカウンターの差分値通知を受けると(STEP24:はい)、WiFi通信部42は現在のカウンター値に端末ホスト部45から受けた最新の差分値を加算する事によりカウンター値を補正する(STEP25)。そしてこの最新のカウンター値をWiFi受信タイミングとしてWiFi通信部42のタイマー部42aに設定する(STEP26)。以降、端末4はWiFi通信部42のタイマー部42aを監視し、受信タイミングに到達する度にWiFi通信の受信動作を行う。
端末4のWiFi通信部42は、通信の必要が無い時は休止状態(Doze状態)を維持している。WiFi通信部42のタイマー部42aを監視する過程で、WiFi受信タイミングに達すると(STEP27:はい)、端末4はWiFi通信部42を起動して受信部をアクティブにする(STEP28)。そのWiFi受信タイミングの間に基地局3からWiFiビーコン等のデータが送られてきた場合(STEP29)、端末4はそのデータを受信し、その受信したデータを端末ホスト部45へ送る。また基地局3からデータを受信した後、端末4はWiFi通信部42の送信部をアクティブにし(STEP30)、基地局3へPS−Pollを送信する。その後、基地局3へ送る予定のデータがある場合、端末4のWiFi通信部42はそのデータを基地局3へ送信する。基地局3との送受信が完了すると、端末4はWiFi通信部42の動作を止め、休止状態(Doze状態)に戻す。
このように、複数の基地局3がマスター基地局3aのタイミングを基準にDECTによる無線同期するとともに、このマスター基地局3aに同期したDECTの送受信タイミングを使ってWiFi通信の為のWiFiタイマーの補正を行うことにより、複数の基地局3が各端末4の間で行うWiFi通信の送受信タイミングを複数の基地局3間で同期(WiFi同期)させることができ、各端末4はこのDECT無線同期で得られた正確なタイミングでWiFi通信部42の動作を制御することができる。従って各端末4のWiFi通信部42をアクティブにする時間幅を最小にして、端末4の消費電力を抑えることができる。
次に、各基地局3が隣接設置機能を用いてWiFi通信に使うチャンネルの状態を自主的に把握し、干渉の可能性があるチャンネルの使用を避ける機能(セルフサーベイ)について、図11(a)、(b)および図12に基づいて詳細に説明する。
図11(a)は基地局3のDECT通信部31の受信処理の手順を示す。図11(a)において、基地局3のDECT通信部31は、隣接する他の基地局3が発信するDECTの制御信号を定期的に受信する動作を行っている。基地局3のDECT通信部31が他の基地局3の制御信号を受信すると(STEP33:はい)、基地局3のDECT通信部31はその時の受信信号の電界強度を測り、得られた電界強度の情報を保存する(STEP34)。また、その制御信号の中に埋め込まれた同じ基地局3のWiFi通信の情報を取り出す(STEP35:はい)。このWiFi通信の情報は、その基地局3のWiFi通信部31が送信するWiFiビーコンのチャンネルを示す情報が含まれる。基地局3のDECT通信部31が他の基地局3のWiFiビーコンのチャンネル情報を取得すると(STEP36)、基地局3のDECT通信部31は前述の電界強度の情報と、このWiFiビーコンチャンネル情報を基地局3の基地局ホスト部35へ通知する(STEP37)。
図11(b)は基地局3の基地局ホスト部35が行うセルフサーベイ処理手順を示す。図11(b)において基地局3の基地局ホスト部35では、他の基地局3からDECT制御信号によって送られたWiFiチャンネル情報、およびこのWiFiチャンネル情報と共にDECT通信部31より通知される電界強度の情報を受けると(STEP38:はい)、このWiFiチャンネルに対応する電界強度が予め設定された閾値より大きいか否かを判別する(STEP39)。
DECT通信部31より通知された他の基地局3のDECT制御信号に関する電界強度が閾値より大きい場合(STEP39:はい)、その時にWiFiチャンネルを自身の基地局3が使用する事が無いよう使用禁止チャンネルとして設定し(STEP40)、その使用禁止チャンネルの情報をWiFi通信部32に通知する(STEP41)。またDECT通信部31より通知された電界強度が閾値より小さい場合(STEP39:いいえ)、その時にWiFiチャンネルを使用可能と見なし、そのチャンネルの情報をWiFi使用チャンネルリストに保存する(STEP42)。
図12は基地局3のWiFi通信部32が行うセルフサーベイ処理手順を示す。図12において基地局3のWiFi通信部32では、基地局ホスト部35から使用禁止チャンネルの情報を受けると(STEP43:はい)、WiFi通信部32の中にあるチャンネルリスト32b(図12では単にチャンネルと記載)の更新処理を行う。
本実施形態の基地局3のWiFi通信部32が行うセルフサーベイ処理では、1つの使用禁止チャンネルの情報を受けると、その使用禁止として通知されたチャンネルを中心に周波数が高い方の数チャンネル分および同チャンネルを中心に周波数が低い方の数チャンネル分を含めて使用禁止とする。以降、使用禁止として通知されたチャンネルより周波数が高い方または低い方で使用禁止と決定するチャンネルの数を、使用禁止チャンネル幅の閾値(X)とする。この使用禁止チャンネル幅の閾値(X)は固定する必要は無く、種々の条件に従って変更する事があり、最新の閾値(X)はWiFi通信部32のメモリに保持されている。
以下、WiFi通信部32にあるチャンネルリスト32b中の各チャンネルについて、使用禁止として通知されたチャンネルを中心に使用禁止とされる閾値(X)の中に含まれているか否かを調べるSTEPについて説明する。WiFi通信部32は、チャンネルリスト32bから使用禁止に設定されているチャンネルの情報を取り出し(STEP44)、チャンネルリストの一番小さいチャンネル番号(N)を取得し(STEP45)さらに使用禁止チャンネル幅の閾値(X)を取得する(STEP46)。次に、STEP47にて、取り出したチャンネル番号(N)が、基地局ホスト部35から使用禁止として通知されたチャンネル番号に閾値(X)を加えた番号より小さいか否かを調べる。チャンネル番号(N)が基地局ホスト部35から通知されたチャンネル番号に閾値(X)を加えた番号より小さい場合は(STEP47:はい)、次のSTEP48にて、取り出したチャンネル番号(N)が基地局ホスト部35から使用禁止として通知されたチャンネル番号より閾値(X)を引いた番号より大きいか否かを調べる。チャンネル番号(N)が大きい場合は(STEP48:はい)、その時のチャンネル番号(N)については使用禁止チャンネル幅に含まれていると判定し、使用禁止に設定する(STEP49)。
一方、STEP47にて、取り出したチャンネル番号(N)が、基地局ホスト部35から使用禁止として通知されたチャンネル番号に閾値(X)を加えた番号より大きい場合(STEP47:いいえ)、または基地局ホスト部35から使用禁止として通知されたチャンネル番号から閾値(X)を引いた番号より小さい場合(STEP48:いいえ)、その時のチャンネル番号(N)については使用可能と判断される。
次に、チャンネル番号に1を加算する(STEP50)。前のSTEPで1を加算した番号(N)がチャンネルリスト32bの一番大きい番号を超えた場合には(STEP51:はい)、全てのチャンネルについて処理が終了したものとして、リストの設定を保存する(STEP52)。番号(N)がチャンネルリスト32bの一番大きい番号を超えない場合は(STEP51:いいえ)、STEP47、STEP48、STEP49、STEP50を繰り返し、全チャンネルについて使用禁止チャンネル幅に含まれているか否かを判定する。このように基地局3のWiFi通信部32のチャンネルリスト32bでは、使用禁止として通知されたチャンネルおよびそのチャンネルから閾値(X)の範囲のチャンネルが使用禁止として設定され、新たに使用禁止として通知されたチャンネルが有る度に更新される。
以上のように、DECT経由で入手した隣接基地局との距離から使用禁止チャンネル情報を得ることができ、基地局3のWiFi通信部32の送信電力を制御することができる。
<第2の実施形態>
次に、端末4に消費電力をさらに抑えることができる例について説明する。
前述のように端末4のWiFi通信部42は、通信の必要が無い時は動作せず、休止状態(Doze状態)を維持している。また端末4のDECT通信部41は、通常は基地局3からの制御信号を全て受信し、いつでも着信/発信に対応できるようにしているが、可能であれば、端末4がDECT通信においても制御信号の受信を定期的に休止(sleep)することにより、さらに端末4に消費電力を抑えることができる。
ただこのようにDECT制御信号の受信を長時間休止(sleep)すると、端末4の送受信タイミングと基地局3のタイミングのずれ(タイミング誤差)も大きくなるので、端末4がWiFiビーコンを逃さず確実に受信するためにはこのタイミング誤差を吸収できるくらいにWiFiビーコンを受信する為の受信時間窓の大きさを大きくする必要があり、その分、端末4の消費電力の効果が損なわれる。
本実施形態は、基地局3の基地局ホスト部35は定期的に同じ基地局3内でWiFi通信部32とDECT通信部31のタイミング同期をする為に、基地局3はDECTの制御信号送信用に準備されているDECT−Dummyにタイミング信号をWiFi通信部32へ送り、WiFi通信部32が送信するWiFiビーコンの送信タイミングを決めている。このDECT−Dummyのタイミングにて毎回DECT制御信号が送信されるのではなく、DECT制御信号は10msの整数倍の周期で基地局3から送信される。端末4のDECT通信部41は、消費電力を抑えるため基地局3がDECT制御信号を送信するタイミングに合わせて受信動作をする。
図5の例では、基地局3は端末4宛のデータをバッファ内に保持している時にそのことを示す情報をDECTの制御信号に乗せ、端末4はそのことを示す情報をDECTの制御信号によって通知された時点でWiFi通信部42をアクティブにしているが、実際に基地局3から端末4へデータが送られるのはブロードキャストのデータが基地局3に存在する事を示すWiFiビーコンによりDTIM情報が端末4へ送られた後である。端末4はDTIM情報を正常に受信出来れば基地局3からデータを受信できるので、DTIM情報が送られる直前まではWiFi通信部42をアクティブにする必要は無い。図13は、端末4のWiFi通信部42をDTIM情報が送られるタイミングに合わせて起動させる例を示す。
図13において、上から基地局3のDECT−Dummyのタイミング、基地局3のWiFiビーコンの送信タイミングを示す。また図13の下部に、端末4が基地局3からのDECT制御信号を受信するタイミング、端末4が基地局3からのWiFi信号を受信するタイミング、端末4が基地局3へWiFi信号を送信するタイミングを示す。基地局3は、WiFi通信部32が送信するWiFiビーコンとの時間差:ΔTの情報、およびWiFiビーコンの中のDTIM情報が乗せられるタイミングに関する情報をDECT制御信号に乗せて端末4へ送る。
図13に示すように、基地局3のDECT通信部31からDECT制御信号を受信した端末4は、時間差:ΔTの情報およびDTIM情報が乗せられるタイミングに関する情報に基づいて、DTIM情報が乗せられるタイミングの直前に端末4のWiFi通信部42を起動する。すなわち、DTIM情報は端末4宛に送信予定のデータが基地局3に存在し、送信準備のためのバッファリングが完了している事を意味しており、端末4は前述のようにDECT制御信号によって受け取った時間差:ΔTに基づいて基地局3がDTIM情報を乗せて送信するWiFiビーコンの送信タイミングを精度良く把握することが出来、このWiFiビーコンのタイミングの直前にWiFi通信部42を起動することができる。WiFiビーコンのDTIM情報によって自分宛に送信予定のデータが基地局3に存在することを知った端末4は、基地局3に対してPS−Pollを送信する。
このように図13の例は、端末4のWiFi通信部42はDTIM情報が送られる直前まで休止状態(Doze状態)を維持し、基地局3がDTIM情報を乗せたWiFiビーコンを送信するタイミングに合わせて起動させるので、端末4の休止状態を長くする事ができ、端末4の消費電力を低減できる。
<第3の実施形態>
WiFi(IEEE802.11シリーズ)では、一つの基地局は原則として一つのチャネルを使い、基地局がある端末と接続する時はそのチャネルを占有しておかなければならない。ただし、複数の端末に対応できるようにするために、時間に応じて異なる端末を接続する仕組として「アクセス制御機能」が規定されている。この機能は、送信すべきデータがある端末は、まずデータ送信の許可を求めるための「RTS」(request to send)の信号を送信する。RTS信号を受信した基地局は、空き状態であれば(他の端末との接続が無い)データの送信を許可することを意味する「CTS」(clear to send)信号を当該端末へ返信する。これらのRTSまたはCTS信号を傍受した他の端末は、所定の期間、電波の送信を控える。このようにRTSとCTSを使うことで信号の衝突を低減することができる。
図14は本願発明の第3の実施形態を説明するための図であり、無線通信システムにおける各信号の送信タイミングの一例を示す図である。本実施形態のように端末4の受信期間が限られている場合、基地局3が送信するWiFiビーコン(図14では「Beacon」と記載)を妨害なく端末4に受信させることが望ましい。本実施形態では、基地局3のWiFi通信部32は、WiFiビーコンを送信する前に、CTS信号を送信する。このCTS信号を傍受した各端末4は、所定の期間、電波の送信を控える(図14に示すNAV(Network Allocation Vector))。CTS信号は通常、端末4から出されるRTS信号に応じて送信され、CTS信号によって他の端末4の送信を止めることにより、図14に示すようにその後端末4から基地局3へ送信されるPS−Poll(Power Save Poll)への妨害を阻止する。本実施形態では、図14に示すように、WiFiビーコンを送信する前に、基地局3がある(架空の)端末からリクエストされていることを装うCTSを送信することにより、WiFiビーコン送信のタイミングでは実在の各端末4の送信を止めさせることができ、WiFiビーコンが端末4の送信信号によって妨害されるのを阻止することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2010年11月10日出願の日本特許出願No.2010-251479に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
以上のように本発明は、携帯可能な端末と、この端末と無線通信を行う複数の基地局を有する無線通信システムにおいて、各基地局にDECT通信部とWiFi通信部を共に設け、DECT通信部が出す制御信号を使って各基地局のWiFi通信部のビーコン送信タイミングを制御するので、各端末は受信動作を短くして消費電力を削減することができる。
1 ルータ
2 内線電話機
3a,3b,3c 基地局
31 DECT通信部
32 WiFi通信部
35 基地局ホスト部
4a,4b 端末
41 DECT通信部
42 WiFi通信部
45 端末ホスト部

Claims (15)

  1. 基地局および端末の間で通信を行う無線通信システムであって、
    前記基地局は、TDMA方式の第1の通信方式を使う第1の通信部と、第2の通信方式を使う第2の通信部と、を有し、
    前記端末は、TDMA方式の前記第1の通信方式を使う第3の通信部と、前記第2の通信方式を使う第4の通信部と、を有し、
    前記基地局は、前記第1の通信部を使って前記第1の通信方式の制御信号を送信し、
    前記基地局は、前記第1の通信部のTDMAのタイミングに応じて前記第2の通信部の送信のタイミングを決め、
    前記端末の前記第3の通信部は、前記第1の通信方式によって前記基地局から送られる前記制御信号を受信し、
    前記端末の前記第4の通信部は、前記第1の通信方式によって送られた前記制御信号に含まれる情報に応じて受信動作を制御する無線通信システム。
  2. 前記第2の通信方式は、IEEE802.11シリーズの通信規格を利用した無線LANであり、
    前記端末の前記第4の通信部は、前記制御信号に含まれる情報に応じて前記基地局が送信する無線LANのビーコンを受信可能なタイミングに合わせて起動する
    請求項1記載の無線通信システム。
  3. 前記基地局の前記第1の通信部は、自己のタイマーに従って作成された無線フレーム同期信号を使って前記制御信号を送信し、
    前記基地局の第2の通信部は、前記第1の通信部のタイマーを使って補正することによって得られたタイミングで無線LANのビーコンを送信する
    請求項2記載の無線通信システム。
  4. 前記第2の通信方式は、IEEE802.11シリーズの通信規格を利用した無線LANであり、
    前記端末の前記第4の通信部は、前記基地局が送信する前記制御信号に含まれる情報に応じて前記基地局が送信する無線LANのビーコンを受信可能なタイミングで起動し、前記基地局が送信する送信完了を示す信号に応じて動作を停止する
    請求項1記載の無線通信システム。
  5. 前記基地局の前記第2の通信部が前記端末へ送信予定のデータを保持している場合に、
    前記第1の通信部は、送信する前記制御信号の中に送信予定のデータを保持していることを示す情報、およびそのデータの宛先である端末が当該データを受信できるようにするためのビーコンを送信する時間情報を乗せて送信する
    請求項2記載の無線通信システム。
  6. マスターである基地局、スレーブである基地局および端末の間で通信を行う無線通信システムであって、
    各基地局は、TDMA方式の第1の通信方式を使う第1の通信部と、第2の通信方式を使う第2の通信部と、を有し、
    前記端末は、TDMA方式の前記第1の通信方式を使う第3の通信部と、前記第2の通信方式を使う第4の通信部と、を有し、
    前記各基地局は、前記第1の通信部のTDMAのタイミングに応じて前記第2の通信部の送信のタイミングを決め、
    複数の前記基地局の中のマスターである基地局は、前記第1の通信方式の制御信号を送信し、
    複数の前記基地局の中のスレーブである基地局は、前記制御信号に同期して前記第1の通信方式の通信を行い、
    前記端末の前記第3の通信部は、前記第1の通信方式によって前記基地局から送られる前記制御信号を受信し、
    前記端末の前記第4の通信部は、前記第1の通信方式によって送られた前記制御信号に含まれる情報に応じて受信動作を制御する無線通信システム。
  7. 前記基地局の前記第1の通信部は、周辺の他の基地局から受信される信号の電界強度から干渉の可能性があるチャンネルを検知するとともに該チャンネルを示す情報を前記第2の通信部へ通知し、
    前記第2の通信部は、通知されたチャンネルの使用を避けるように制御する
    請求項6記載の無線通信システム。
  8. 前記第2の通信方式は、IEEE802.11シリーズの通信規格を利用した無線LANであり、
    前記端末の前記第4の通信部は、前記基地局が送信する無線LANのビーコンを受信可能なタイミングで起動する
    請求項6記載の無線通信システム。
  9. スレーブである基地局の前記第1の通信部は、エアー同期の機能を使ってマスターの基地局からの前記制御信号を基準に補正を受けた無線フレーム同期信号を使って前記制御信号を送信し、さらに各基地局は前記無線フレーム同期信号に従って補正することによって得られたタイミングで無線LANのビーコンを送信する
    請求項6記載の無線通信システム。
  10. 基地局および端末の間で通信を行う無線通信システムにおいて、基地局として動作する無線通信装置であって、
    TDMA方式の第1の通信方式を使う第1の通信部と、第2の通信方式を使う第2の通信部と、を有し、
    前記基地局は、前記第1の通信方式のTDMAのタイミングに応じて前記第2の通信部の送信のタイミングを決め、
    前記第1の通信部は、第1の通信方式の制御信号を送信し、
    前記第2の通信部は、前記TDMAのタイミングに応じて補正されたタイミングで前記端末に対してデータを送信する無線通信装置。
  11. 前記第2の通信方式は、IEEE802.11シリーズの通信規格を利用した無線LANであり、
    前記第1の通信部は、自己のタイマーに従って作成された無線フレーム同期信号を使って前記制御信号を送信し、
    前記第2の通信部は、前記第1の通信部のタイマーを使って補正することによって得られたタイミングで無線LANのビーコンを送信する
    請求項10記載の無線通信装置。
  12. 前記基地局の前記第2の通信部が前記端末へ送信予定のデータを保持している場合に、
    前記第1の通信部は、送信する前記制御信号の中に送信予定のデータを保持していることを示す情報、およびそのデータの宛先である端末が当該データを受信できるようにするためのビーコンを送信する時間情報を乗せて送信する
    請求項10記載の無線通信装置。
  13. マスターとして動作する基地局および端末の間で通信を行う無線通信システムにおいて、端末として動作する無線通信装置であって、
    TDMA方式の第1の通信方式を使う第3の通信部と、第2の通信方式を使う第4の通信部と、を有し、
    前記第3の通信部は、前記基地局から送られた前記第1の通信方式の前記制御信号を受信し、
    前記第4の通信部は、前記第1の通信方式によって送られた前記制御信号に含まれる情報に応じて前記第2の通信方式を使った受信動作を制御する無線通信装置。
  14. 前記第4の通信部は、前記第1の通信方式によって送られた前記制御信号に自己宛のデータを送信予定であることを意味する情報が含まれている場合に、前記第2の通信方式を使った受信動作を開始する
    請求項13記載の無線通信装置。
  15. 前記第2の通信方式は、IEEE802.11シリーズの通信規格を利用した無線LANであり、
    前記第4の通信部は、前記制御信号に含まれる情報によって得られた無線LANのビーコンを受信可能なタイミングで起動する
    請求項13記載の無線通信装置。
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