JPWO2012060186A1 - マイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法 - Google Patents

マイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法 Download PDF

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Abstract

精度の高い流路形状を備えており、容易かつ安定的に量産するのに適しており、更に、PCRに利用可能なマイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法を提供する。片側の表面に流路用溝が設けられた基板と、この片側の基板面に熱接合されたカバー部材と、を備え、カバー部材は、積層された複数の層を備え、隣接するこれらの層同士を接合することで形成され、カバー部材の複数層のうち、基板から最も遠い第1の層を構成する材質の第1荷重たわみ温度は、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より高く、カバー部材の複数層のうち、基板と接合される第2の層を構成する材質の第2荷重たわみ温度は、第1荷重たわみ温度より低いことを特徴とする。

Description

本発明は、PCRに利用可能なマイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法に関する。
従来、微細加工技術を利用してシリコンやガラス基板上に微細な流路や回路を形成し、微小空間で核酸、タンパク質、又は血液などの液体試料の化学反応や、分離、分析などを行うマイクロチップ(マイクロ分析チップやマイクロ流体チップとも称される)、或いは、マイクロチップを用いたμTAS(Micro Total Analysis Systems)と称される装置が実用化されている。このようなマイクロチップによれば、サンプルや試薬の使用量又は廃液の排出量が軽減され、省スペースで持ち運び可能な安価なシステムの実現が可能となる。
マイクロチップは、少なくとも一方の部材に微細加工が施された2つの部材を貼り合わせることにより製造される。より具体的には、マイクロチップを製造するためには、表面に流路用溝を有する基板と、流路用溝をカバーするカバー部材(例えば、フィルム)とを接合する。このとき、基板とフィルムとは、熱接合させるのが好ましい。これは、フィルムと基板との接合に接着剤を用いると、この接着剤が流路用溝にはみ出して流路用溝を狭めたり、導入された試料と反応したりするという問題が生じることによる。流路用溝を有する基板には、流路用溝の終端等に、厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されている。そして、流路用溝を内側にして、表面に流路用溝を有する基板と、カバー部材とを接合する。この接合によって、カバー部材が流路用溝の蓋として機能し、流路用溝とカバー部材とによって流路が形成される。これにより、内部に流路を有するマイクロチップが製造される。また、基板に形成された貫通孔によって、流路とマイクロチップの外部とが繋がり、貫通孔を介して、液体試料の導入や排出などが行われる。
このマイクロチップを用いた分析や解析を容易に行うには、マイクロチップ自体も容易に安定して量産可能である必要がある。そこで、近年は、容易に低コストで製造可能な樹脂製のマイクロチップが提案されている。特許文献1には、用途に応じて用いる樹脂を選択し、例えば、耐熱性が要求される場合には、熱硬化性樹脂を選択して流路用溝を形成する技術について記載されている。
また、特許文献2には、マイクロチップの素材として親水性樹脂を用いたり、疎水性樹脂に親水性付与材や親水性ポリマーを添加させて親水性を付与したりすることで、試料がマイクロチップの接触部分に吸着して残留することを防ぐ技術について記載されている。
特開2004−276124号公報 特開2003−159526号公報
このようなマイクロチップでは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応、polymerase chain reaction)や電気泳動を用いた遺伝子解析を行うこともできる。PCRを用いた遺伝子解析(以下、PCR法という)では、2本鎖DNAを含む溶液を高温(例えば、約95℃)で加熱することにより1本鎖DNAに変性させ、その後、この1本鎖DNAを含む溶液を、例えば、約60℃まで冷却していく。これにより、長い1本鎖DNAの一部にプライマーが結合する(アニーリング)。この溶液をプライマーの分離が起きず、かつ、DNAポリメラーゼの活性に適した温度(例えば、約72℃)まで再び加熱すると、プライマーが結合した部分を起点として1本鎖部分と相補的なDNAが合成される。このような加熱/冷却工程を短周期で繰り返すことにより、標的DNAを増幅・培養する(遺伝子増幅)ことができる。なお、PCR法により得た産物は、この後、電気泳動法(アガロース電気泳動法、キャピラリ電気泳動法)にかけられて標的物質の検出が行われる。
DNAが含まれる溶液は、ヒータにより加熱される。このヒータは、マイクロチップにおける加熱部位の表面で、カバー部材、または、基材と接触するように配置される。マイクロチップのカバー部材や基材を構成する樹脂は、熱伝導性が低く、マイクロチップとヒータとの接触面は、溶液温度以上、例えば、約110℃にまで加熱される。従って、ヒータと接触する基板やカバー部材に用いられる樹脂の材質には、この温度に対する耐熱性が要求される。しかしながら、少なくとも一方がPCR法で要求される耐熱性を有する(以後、高耐熱性と記す)樹脂であるカバー部材と基板とを熱接合させる場合には、以下のように問題が生じる。
図8A、図8Bは、高耐熱性の樹脂によるフィルムを基板と熱接合する場合の接合断面を示した図である。
図8Aには、高耐熱性樹脂によるカバー部材としてのフィルムを高耐熱性樹脂の基板と熱接合させる場合の接合断面図を示す。基板3とフィルム4とが何れも高耐熱性の場合には、高温で基板3及びフィルム4を接合する結果、フィルム4が破線で示される元の形状から変形したり撓んだりすることで流路用溝30に押し込まれてしまい、その結果、流路の形状が不均一になったり、閉塞されてしまったりしてしまうという問題が生じる。
一方、図8Bには、荷重たわみ温度がPCR法で要求される耐熱性を有しない(以下、低耐熱性と記す)樹脂の基板と高耐熱性樹脂のフィルムとを熱接合する場合の接合断面図を示す。このとき、フィルム4の荷重たわみ温度に合わせた温度で熱接合を行うことで、基板3が必要以上に軟化してしまう。従って、破線で示した元の基板3及びフィルム4の位置に対し、フィルム4をプレスして熱接合させる際に基板3が圧縮されて流路用溝30が浅くなってしまうという問題が生じる。
なお、荷重たわみ温度(HDT)とは、ISO規格75−1、75−2(ASTM D648,JIS7191)に規定された、樹脂の熱的特性(耐熱性など)を表す指標の一つであり、試験法規格に決められた荷重を与えた状態で試料の温度を上げていった場合、撓みの大きさが一定の値になる温度を示すものである。本件明細書においては、ISO規格75−2(0.45MPa)での荷重たわみ温度を示すものとする。
このように、フィルムと基板との接合において、流路の形状が正確に保持されるようにすることが必要であることに加え、マイクロチップをPCR法に利用する場合は、チップが高温に曝され、かつ、比較的広い範囲で繰り返し温度変化を受けることになる。このため、従来のマイクロチップでは、流路に変形を生じたり、フィルムに剥がれが生じたりする恐れがあった。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、精度の高い流路形状を備えており、容易かつ安定的に量産するのに適しており、更に、PCRに利用可能なマイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
片側の表面に流路用溝が設けられた基板と、当該基板の前記片側の表面に熱接合されたカバー部材と、を備え、
前記カバー部材は、積層された複数の層を備え、隣接する当該層同士を接合することで形成され、
前記カバー部材の複数層のうち、前記基板から最も遠い第1の層を構成する材質の第1荷重たわみ温度は、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より高く、
前記カバー部材の複数層のうち、前記基板と接合される第2の層を構成する材質の第2荷重たわみ温度は、前記第1荷重たわみ温度より低いことを特徴とするマイクロチップである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマイクロチップにおいて、
前記カバー部材の前記第2の層の材質と、前記基板の材質とは同一、又は、同じ種類の樹脂を用いたものであることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマイクロチップにおいて、
前記基板の前記片側の表面には、前記流路用溝に連通する反応室用凹部が設けられており、前記カバー部材を熱接合することで形成される反応室の容積が、10mm〜100mmの範囲内の値であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のマイクロチップにおいて、
前記第1の層の厚さが、50μm〜200μmの範囲内の値であることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載のマイクロチップにおいて、
前記第2の層の厚さが、50μm〜200μmの範囲内の値であることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロチップにおいて、
前記カバー部材を構成する複数の層が接着剤を介さずに互いに熱融着されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロチップにおいて、
前記第1の層の、前記カバー部材全体の厚みに占める割合が半分以下であることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロチップにおいて、
前記隣接するカバー部材同士は、接着層を介して接合されることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のマイクロチップにおいて、
前記接着層の厚さが30μm以下であることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載のマイクロチップにおいて、
前記第1の層の、前記接着層を除く前記カバー部材全体の厚みに占める割合が半分以下であることを特徴としている。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載のマイクロチップにおいて、
前記カバー部材の前記基板に対向する面に、導電性の通電部が形成されていることを特徴としている。
請求項12に記載の発明は、
マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より高い第1荷重たわみ温度を有する材質により構成される第1の層と、前記第1荷重たわみ温度より低い第2荷重たわみ温度を有する材質により構成される第2の層とが複数の層の両端に配置されるように積層し、隣接する当該層同士を接合することでカバー部材を形成し、
片側の表面に流路用溝が設けられた基板の当該片側の表面に、前記第2荷重たわみ温度よりも高温、かつ、前記第1荷重たわみ温度よりも低温で、前記カバー部材の前記第2の層を熱接合させることを特徴とするマイクロチップの製造方法である。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のマイクロチップの製造方法において、
前記複数の層を接着層によって接合して前記カバー部材を作製することを特徴としている。
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載のマイクロチップの製造方法において、
前記複数の層を、接着層を介さずに熱融着して前記カバー部材を作製することを特徴としている。
請求項15に記載の発明は、請求項12〜14の何れか一項に記載のマイクロチップの製造方法において、
加熱された熱板によって前記基板と前記カバー部材とを挟み、前記熱板によって圧力を加えて所定時間保持することで、前記基板と前記カバー部材の前記第2の層とを熱接合することを特徴としている。
請求項16に記載の発明は、請求項12〜15の何れか一項に記載のマイクロチップの製造方法において、
前記カバー部材の、前記基板と対向する面に、印刷によって導電性の通電部をパターニングすることを特徴としている。
本発明によれば、精度の高い流路形状を備えており、PCRにも利用可能であり、更に、容易かつ安定的に量産し得る、マイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法を提供することができる。
検査装置の外観構成を示す図である。 検査装置の内部構成を示す模式図である。 マイクロチップの概略構成を示す平面図である。 マイクロチップを側方から見た内部形状を示す透視図である。 マイクロチップを側方から見た内部形状を示す透視図である。 マイクロチップの概略構成を示す平面図である。 マイクロチップを側方から見た内部形状を示す透視図である。 マイクロチップを側方から見た内部形状を示す透視図である。 マイクロチップの概略構成を示す平面図である。 マイクロチップを側方から見た内部形状を示す透視図である。 マイクロチップを側方から見た内部形状を示す透視図である。 実験例のマイクロチップの評価結果を示す図表である。 実験例のマイクロチップの評価結果を示す図表である。 基板とフィルムとの接合断面の模式図である。 基板とフィルムとの接合断面の模式図である。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
(1.検査装置)
最初に、本実施の形態における検査装置について、図1および図2を用いて説明する。
図1は検査装置1の外観構成の一例を示す斜視図であり、図2は検査装置1の内部構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、検査装置1は、マイクロチップ2を載置するためのトレイ10と、図示しないローディング機構によってトレイ10上からマイクロチップ2が搬入される搬送口11と、検査内容や検査対象のデータ等を入力するための操作部12と、検査結果を表示するための表示部13等とを備えている。
また、この検査装置1は、図2に示すように、送液部14と、加熱部15と、電圧印加部18と、検出部16と、駆動制御部17等とを備えている。
(1−1.送液部)
送液部14は、マイクロチップ2内の送液を行うためのユニットであり、搬送口11から検査装置1内に搬入されるマイクロチップ2と接続されるようになっている。この送液部14は、マイクロポンプ140、チップ接続部141、駆動液タンク142および駆動液供給部143等を有している。
このうち、マイクロポンプ140は、送液部14に1つ以上具備されており、マイクロチップ2内に駆動液146を注入したり、マイクロチップ2内から分析試料などの流体を吸引したりすることで、マイクロチップ2内の送液を行う。なお、マイクロポンプ140が複数具備される場合は、各々のマイクロポンプ140は独立に、或いは連動して駆動可能である。なお、マイクロチップに予め媒質や検体、試薬等を注入してある場合には、必ずしも駆動液を使った送液を行わなくても良く、マイクロポンプのみを動作させて媒質の移動を補助しても良い。或いは、試薬や検体の投入のみにマイクロポンプを使用しても良い。
チップ接続部141は、マイクロポンプ140とマイクロチップ2とを接続して連通させる。
駆動液タンク142は、駆動液146を貯留しつつ、駆動液供給部143に供給する。この駆動液タンク142は、駆動液146の補充のために駆動液供給部143から取り外して交換可能である。
駆動液供給部143は、駆動液タンク142からマイクロポンプ140に駆動液146を供給する。
以上の送液部14においては、チップ接続部141によってマイクロチップ2とマイクロポンプ140とが接続されて連通される。そして、マイクロポンプ140が駆動されると、チップ接続部141を介して駆動液146がマイクロチップ2に注入されるか、或いはマイクロチップ2から吸引される。このとき、マイクロチップ2内の複数の収容部に収容されている検体や試薬等は、駆動液146によってマイクロチップ2内で送液される。これにより、マイクロチップ2内の検体と試薬とが混合されて反応する結果、目的物質の検出や病気の判定等の検査が行われる。
(1−2.加熱部)
加熱部15は、マイクロチップ2内部の液体試料を複数の設定温度(例えば、約95℃の熱変性温度、約55℃のアニーリング温度、約70℃の重合温度の3つの温度)の間で順次切り替えながら加熱することで、PCR法による遺伝子増幅を行う。この加熱部15による液体試料の加熱には、ヒータやペルチエ素子等の通電によって温度を可変に制御できる素子等が用いられる。また、液体試料の冷却には、通水によって温度を低下させる水冷素子が用いられる。この加熱部15は、本実施形態の検査装置1では、マイクロチップ2の後述する反応室201を加熱するように配置される。
(1−3.電圧印加部)
電圧印加部18は、複数の電極を有している。これらの電極は、マイクロチップ2内の液体試料に挿入されてこの液体試料に直接電圧を印加するか、或いは、後述の通電部40に接触してこの通電部40を介して液体試料に電圧を印加することにより、マイクロチップ2内の液体試料に電気泳動を行わせるようになっている。
(1−4.検出部)
検出部16は、発光ダイオード(LED)やレーザ等の光源と、フォトダイオード(PD)やフォトマル等の受光部などとで構成され、マイクロチップ2内の反応によって得られる生成液に含まれる標的物質を、マイクロチップ2上の所定位置(後述の検出領域200)で光学的に検出する。光源と受光部との配置には透過型と反射型とがあり、必要に応じて決定されればよい。
(1−5.駆動制御部)
駆動制御部17は、図示しないマイクロコンピュータやメモリ等で構成され、検査装置1内の各部の駆動、制御、検出等を行う。
(2.マイクロチップ)
続いて、本実施の形態におけるマイクロチップ2について、図3A〜図3Cを用いて説明する。
図3Aは、マイクロチップ2を示す平面図であり、図3Bおよび図3Cは、マイクロチップ2を側方から見た内部形状を示す透視図である。
図3Aおよび図3Bに示すように、マイクロチップ2は、互いに貼り合わされた基板3とフィルム4とを備えている。
基板3は、フィルム4に対する接合面(以下、内側面3Aとする)に流路用溝30及び反応室用凹部301を有している。この流路用溝30は、基板3とフィルム4とが貼り合わされた場合に、フィルム4と協働して微細流路20を形成する。また、反応室用凹部301は、基板3とフィルム4とが貼り合わされた場合に、フィルム4と協働してPCRを行う反応室201を形成する。この反応室201は、微細流路20により連通されている。微細流路20には、検査装置1の検出部16による標的物質の検出対象領域として、検出領域200が設けられている。なお、微細流路20(流路用溝30)の形状は、分析試料、試薬の使用量を少なくできること、成形金型の作製精度、転写性、離型性などを考慮して、幅、深さともに、10μm〜200μmの範囲内の値であることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、微細流路20の幅と深さは、マイクロチップの用途によって決めれば良い。なお、微細流路20の断面の形状は矩形状でも良いし、曲面状でも良い。反応室201(反応室用凹部301)の形状は、特に制限されないが、本実施形態のマイクロチップ2では、楕円形である。また、反応室201の深さは、微細流路20と同一の範囲内の値であることが好ましいが、微細流路20とは異なる深さであっても良い。なお、反応室201の容積は、反応を好適に行うため、10mm〜100mmの範囲内の値であることが好ましいが、特に限定されるものではない。
また、基板3は、厚さ方向に貫通する貫通孔31を複数有している。これらの貫通孔31は、流路用溝30の端部や中途部に形成されており、基板3とフィルム4とが貼り合わされた場合に、微細流路20とマイクロチップ2の外部とを接続する開口部21を形成する。この開口部21は、検査装置1の送液部14に設けられたチップ接続部141(たとえば、チューブやノズル)と接続されて、ゲルや液体試料、緩衝液などを微細流路20に導入したり、微細流路20から排出したりする。また、この開口部21には、検査装置1における電圧印加部18の電極(図示せず)が挿入可能となっている。なお、開口部21(貫通孔31)の形状は、円形状や矩形状の他、様々な形状であっても良い。また、例えば図3Cに示すように、基板3における内側面3Aとは反対側の面(以下、外側面3Bとする)において貫通孔31の周囲を筒状に突出させ、チップ接続部141を接続しやすくしても良い。
本実施形態において、フィルム4は、流路用溝や反応室凹部を塞ぐためのカバー部材として用いられる。このフィルム4は、基板3における内側面3Aの側から順番に、低耐熱性フィルム4a、接着層4c、及び、高耐熱性フィルム4bにより構成される。これらの低耐熱性フィルム4a、接着層4c、及び、高耐熱性フィルム4bは、それぞれシート状となっており、接着層4cを構成する接着剤によって低耐熱性フィルム4aと高耐熱性フィルム4bとが接合されている。検体や試薬、或いは、検査の種類によって必要なときには、電圧印加部18の電極を開口部21(貫通孔31)に挿入して電圧を印加することにより、微細流路20内の試料に電気泳動を行わせる。なお、低耐熱性フィルム4aの基板3との接合面にも流路用溝や凹部を設けることとしても良いし、カバー部材としてのフィルム4に貫通孔を設けても良い。
なお、開口部21の位置や形状は、例えば図4A、図4Bや図5A、図5Bに示すように、他の態様としても良い。ここで、図4B、図5Bは、図4A、図5Aにおいて太線で囲まれた部分を側方から見た内部形状を示す透視図である。図4A、図4Bのマイクロチップ2では、導電性の通電部40がフィルム4における基板3との対向面のうち、貫通孔31との対向位置からフィルム4の縁部までに亘って設けられている。この通電部40は、フィルム4に対して、印刷などによりパターンニングすると良い。このようなマイクロチップ2によれば、貫通孔31(開口部21)に電極を挿入することなく、フィルム4の縁部から通電部40を介して微細流路20内の流体に電圧を印加することができるため(図4B中、右側の矢印記号を参照)、複数のマイクロチップ2を順に使用する場合であっても、電極に液体試料が付着して次回のマイクロチップ2に混入してしまうのを防止することができる。また、図5A、図5Bのマイクロチップ2では、貫通孔31が流路用溝30の各端部と、当該端部の隣接位置とに並んで設けられるとともに、通電部40が、隣接する2つの貫通孔31の対向位置に亘って設けられている。このようなマイクロチップ2によれば、流路用溝30の端部の貫通孔31(開口部21)を用いて液体試料などの供給・排出を行い(図5B中、左側の矢印記号を参照)、隣接する貫通孔31(開口部21)から通電部40を介して微細流路20内の流体に電圧を印加することができるため(図5B中、右側の矢印記号を参照)、複数のマイクロチップ2を順に使用する場合であっても、電極に液体試料が付着して次回のマイクロチップ2に混入してしまうのを防止することができる。これらの場合であっても、図4C、図5Cに示すように、基板3の外側面3Bにおいては、貫通孔31の周囲を筒状に突出させ、チップ接続部141を接続しやすくしても良い。
また、基板3及びフィルム4の外形形状は、ハンドリング、分析しやすい形状であれば良く、平面視において正方形や長方形などの形状が好ましい。1例として、10mm角〜200mm角の大きさであれば良い。また、10mm角〜100mm角の大きさであっても良い。また、流路用溝30を有する基板3の板厚は、成形性を考慮して、0.2mm〜5mmが好ましく、0.5mm〜2mmがより好ましい。流路用溝を覆うための蓋(カバー部材)として機能するフィルム4の厚さは、全体で30μm〜300μmであることが好ましく、50μm〜150μmであることがより好ましい。
また、基板3、低耐熱性フィルム4a、及び、高耐熱性フィルム4bは、樹脂によって形成される。基板3、低耐熱性フィルム4a、及び、高耐熱性フィルム4bに用いられる樹脂に関しては、成形性(転写性、離型性)が良いこと、透明性が高いこと、紫外線や可視光に対する自家蛍光の発生効率が低いことなどが条件として挙げられる。例えば、低耐熱性フィルム4aや高耐熱性フィルム4bには熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、環状ポリオレフィンなどを用いることが好ましい。特に好ましいのは、PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンを用いることである。
なお、基板3と低耐熱性フィルム4aとを同じ材料にしたり、同じ種類に分類される樹脂(例えば、分子主鎖が同じで側鎖のみが異なる複数の樹脂、用いる単量体の一部が異なる複数の重合体など)を用いた材料としたり、或いは、同じ樹脂や同じ種類に分類される樹脂を母材として添加剤の種類や量を異ならせた材料を用いたりした場合には、互いの相溶性が良くなり、溶融した後に結合し易くすることができる。基板3及び低耐熱性フィルム4aには、異なる材料を用いても良い。基板3及び低耐熱性フィルム4aに異なる材料を用いる場合には、相溶性を考慮した材料選択をするか、基板3または低耐熱性フィルム4aのいずれかの材料に接合を補助するような物質を予め添加しておくと良い。例えば、低耐熱性フィルム4aとして、ベース材料であるPMMAに数%程度のアクリル系ゴムを添加した材料(例えば、三菱レイヨン製アクリプレンHBS006(商品名))を用いれば、基板3として高耐熱性樹脂(例えば、ポリカーボネート)を使用しても良好に接合させることができる。市販の低耐熱性フィルムとしては、三菱レイヨン製PMMA樹脂アクリプレンHBS−006(商品名)、エボニック・デグザ製PMMA樹脂PLEXIGLAS(商品名)などを用いることができる。基板に使用可能な市販の樹脂としては、旭化成製PMMA樹脂デルペット70NH、帝人化成製PMMA樹脂パンライトAD−5503(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス製ポリカーボネート樹脂ユーピロンH−4000(商品名)などを用いることができる。一方、高耐熱性フィルム4bには、特に制限されないが、熱硬化性樹脂や、より好ましくは、ポリカーボネートを用いる。市販の高耐熱性フィルムとしては、帝人化成製ポリカーボネート樹脂パンライトD−92(商品名)、ピュアエースC110−100(商品名)、三菱エンジニアリングプラスチックス製ポリカーボネート樹脂ユーピロンFE−2000(商品名)、旭硝子製ポリカーボネート樹脂レキサン8010−112C(商品名)、などを用いることができる。
いずれにしても、カバー部材となるフィルムを構成する複数層のうち、マイクロチップを作製した際に基板から最も遠くに配置されることになる第1の層の材料として、その荷重たわみ温度(第1荷重たわみ温度)が、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より高くなるものを選択し、カバー部材となるフィルムを構成する複数層のうち、マイクロチップを作製した際に基板側に配置されることになる第2の層の材料として、その荷重たわみ温度(第2荷重たわみ温度)が、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より低くなるものを選択する。これにより、流路形状を正確に保ちながら、十分な接合強度で接合を行うことができ、しかも、マイクロチップ使用時にも変形や剥がれなどの問題を生じないマイクロチップを得ることができる。なお、第1荷重たわみ温度は、マイクロチップ使用時の加熱による影響をより確実に防ぐため、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度(複数段階の加熱温度がある場合は最大の加熱温度)よりも少なくとも40℃以上、より好ましくは50℃以上高くすることが望ましい。また、第2荷重たわみ温度は、第1荷重たわみ温度よりも低く、カバー部材が基板に融着し得る温度であればよいが、反応時の加熱での変形等を防止する観点から、少なくともマイクロチップ使用時の加熱による影響を防止するため、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度(複数段階の加熱温度がある場合は最大の加熱温度)に比べて−25℃低い温度と等しいかそれより高い温度とすること、より好ましくは上記加熱温度と比べて−20℃低い温度と等しいかそれより高い温度とすることが望ましい。結果的に、第2荷重たわみ温度は、第1荷重たわみ温度に対して、−50℃〜−75℃、より好ましくは−50℃〜−70℃とすることが望ましい。
また、基板3及びフィルム4は、熱融着によって接合(熱接合)される。例えば、熱板、熱風、熱ロール、超音波、振動、又はレーザなどを用いて、基板3とフィルム4とを加熱することで接合する。1例として、熱プレス機を用いて、加熱された熱板によって基板3とフィルム4とを挟み、熱板によって圧力を加えて所定時間保持することで、基板3と低耐熱性フィルム4aとを接合する。これにより、フィルム4が流路用溝30の蓋(カバー部材)として機能し、流路用溝30とフィルム4とによって微細流路20が形成されて、マイクロチップ2が製造される。
ここで、上記第2荷重たわみ温度よりも高温、かつ、上記第1荷重たわみ温度よりも低温で、カバー部材であるフィルムの低耐熱性フィルムを基板の流路用溝形成面に熱接合することで、流路用溝の変形や流路へのフィルムの入り込みを生じることなく、良好に接合を行うことができる。
低耐熱性フィルム4aと高耐熱性フィルム4bは、接着層4cを構成する接着剤により接合される。接着層4cに用いられる接着剤に関しては、異なる機械物性(熱膨張率、弾性率、ポアソン比、ヤング率など)のフィルムに対して接着強度が確保できること、高温下でも接合強度が確保できること、透明性が高いこと、紫外線や可視光に対する自家蛍光の発生効率が低いことなどが条件として挙げられる。この接着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤を用いることができる。この接着層4cは、接着剤の光透過性および自家蛍光の発生効率を考慮して、低耐熱性フィルム4a及び高耐熱性フィルム4bに比して薄く形成されている。この接着層4cの厚さは、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは15μm以下である。また、接着層4cは、前述のように1層で構成されていても良いし、基材(例えば、薄いポリエステルフィルム)の両側に薄い接着層を形成した3層構造のものであっても良い。低耐熱性フィルム4aと高耐熱性フィルム4bとを、接着剤を介さずに、例えば、熱ラミネータで熱融着させることも可能である。接着剤、熱融着、又は、それ以外の方法でフィルム4を作製しても良い。
低耐熱性フィルム4aの厚さについては、低耐熱性フィルムの機能の一つが基板3との接合力をPCR温度条件下において確保することなので、50μm以上とすることが望ましい。これより薄いと加熱時の接合強度が不足する恐れがある。また、厚くしすぎると、熱伝導性及び透明性の低下や、自家蛍光の発生効率の上昇を招くことから、200μm以下とすることが望ましい。より好ましくは、50μm以上100μm以下である。高耐熱性フィルム4bの厚さについては、高耐熱性フィルム4bは、直接ヒータに接触して熱的負荷がかかること、或いは、ヒータその他装置部分に接触して機械的負荷がかかることがあるため、50μm以上が望ましい。また、厚くしすぎると、熱伝導性及び透明性の低下や自家蛍光の発生効率の上昇を招くことから、200μm以下が望ましい。より好ましくは、50μm以上100μm以下である。
低耐熱性フィルム4a及び高耐熱性フィルム4bの内部において、ヒータに接する高耐熱性フィルム4bの界面から、PCR用の媒体に接する低耐熱性フィルム4aの界面まで瞬間的に温度勾配が発生すると予想される。低耐熱性フィルム4aの全フィルム厚に占める割合が高すぎると、ヒータ界面が例えば110℃まで加熱された場合やヒータがオーバシュートした場合に、低耐熱性フィルム4aが軟化、変形してしまう恐れがあるため、低耐熱性フィルム4aの全フィルム厚に占める割合は、半分以下、より好ましくは1/3以下が望ましい(この場合、接着層の厚さは、全体厚さに含めない)。
[実験例1]
縦40mm、横30mmのサイズで、深さ18μm、幅40μmの流路用溝とこれに接続する深さ18μm、体積40mmの反応室用凹部(反応室)が表面に設けられた厚さ1.5mmのPMMA樹脂(旭化成製デルペット70NH(商品名))からなる基板を成形により作製した。一方、厚さ125μmのPMMA樹脂フィルム(三菱レイヨン製アクリプレンHBS−006(商品名)、荷重たわみ温度77℃)と、厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(三菱エンジニアリングプラスチックス製ユーピロンFE−2000(商品名)、荷重たわみ温度145℃)とを、ポリエステル基材にアクリル系粘着剤を使用した厚さ10μmの3層構成の接着層により接合して、カバー部材となるフィルムを作製した。そして、このフィルムのPMMA樹脂フィルム側が上記基板の流路用溝形成面に向き合うように重ねて、86℃、4kNの条件で熱融着させてマイクロチップを作製した。
[実験例2]
用いる樹脂をポリカーボネート樹脂(帝人化成製パンライトAD−5503(商品名))に変えた以外は、上記実験例1と同様にして、流路用溝などが形成されたポリカーボネート製の基板を作製した。そして、上記実験例1と同様にして作製したフィルムのPMMA樹脂フィルム側が上記基板の流路用溝形成面に向き合うように重ねて、86℃、4kNの条件で熱融着させてマイクロチップを作製した。
[実験例3]
上記実験例1と同様の手順で、流路用溝などが形成されたPMMA樹脂製の基板を作製した。また、カバー部材として、厚さ125μmのPMMA樹脂フィルム(三菱レイヨン製アクリプレンHBS−006(商品名))を用い、上記基板の流路用溝形成面に重ねて、78.8℃、2kNの条件で熱融着させてマイクロチップを作製した。
[実験例4]
上記実験例2と同様の手順で、流路用溝などが形成されたポリカーボネート樹脂製の基板を作製した。また、カバー部材として厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(帝人化成製ピュアエースC110−100(商品名))を用い、上記基板に重ねて、157℃、0.01kNの条件で熱融着させてマイクロチップを作製した。
図6は、これらの実験例1〜4のマイクロチップをそれぞれ20サンプル作製した際の微細流路の深さの平均値、変動係数(CV値、Coefficient of Variation)、及び、フィルムと基板との接合力を示した図表である。
図6に示す接合強度は、JISZ0237における90度引き剥がし法にて測定した。具体的な試験装置として、島津製作所製の万能試験機オートグラフを使用し、長さ1cmあたりの接合力を測定した。
図6に示されるように、実験例1、2のマイクロチップに比べて、実験例3、4のマイクロチップでは、微細流路の深さの低下やばらつきがやや増大するか、フィルムと基板との接合力がやや低下する傾向が理解される。
次に、上記実験例1〜4に記載する手順でそれぞれ10個のサンプルを作製し、これらを用いて、以下の手順により耐熱試験を行った。
マイクロチップの流路に生理食塩水を満たした状態で、常温(室温)から95℃まで加熱し、さらに常温に冷却するプロセスを5回繰り返した後のフィルム接合状態を顕微鏡で観察し、状況を評価した。
図7に示す実験結果から明らかなように、実験例1、2では、高温使用環境においても流路形状が保たれている。そして、接合したフィルムも剥がれることがなく、使用上問題がないことが示されている。一方、実験例3では、高温負荷によると考えられる基材側の変形や、この変形に基づくフィルムの剥がれが発生している。同様に実験例4では、剥がれ部が多発していることが理解できる。
以上の実施形態で示したように、本発明の実施形態のマイクロチップによれば、片側の表面に流路用溝が設けられた基板と、この基板面に熱接合されたフィルム層とを備え、このフィルム層は、2枚のフィルムを積層し、これら2枚のフィルム同士を接合することで形成され、2枚のフィルムのうち、基板と熱接合されていない側のフィルムは、PCRの際に設定される加熱温度に対し耐熱性のある高耐熱性フィルムであり、基板と接合される側のフィルムは、高耐熱性フィルムより荷重たわみ温度の低い低耐熱性フィルムであるので、高耐熱性フィルムの側からヒータで加熱することにより、フィルム層の表面ではヒータ温度に耐えることができるとともに、マイクロチップの内部では、液体試料を適切な温度に保つように制御することができ、また、基板と低耐熱性フィルムとにより形成される微細流路のサイズと接合強度とを安定に保つことができる。また、上記のような性質を備えるマイクロチップを容易かつ安定に量産することができる。
また、低耐熱性フィルムの材質と、基板の材質とを同一、又は、同じ種類の樹脂を用いたものとすることで、接合強度を上げることができるので、マイクロチップの耐久性を上げることができる。
また、低耐熱性フィルムと高耐熱性フィルムとを接着層を介して接合することで、異なる性質のフィルムをより確実に接合することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、高耐熱性フィルムと低耐熱性フィルムとの二層フィルムを示したが、例えば、高耐熱性フィルムと低耐熱性フィルムとの両者に対して接合の相性の良いフィルムを間に挟むなどにより、三種類以上のフィルムを重ねて形成することとしても良い。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であり、マイクロチップの形状、各部の配置やサイズなど、その細部は、請求の範囲で示した発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
産業上の利用の可能性
本発明は、PCRに利用可能なマイクロチップ、及び、マイクロチップの製造方法に利用することが出来る。
1 検査装置
2 マイクロチップ
3 基板
3A 内側面
3B 外側面
4 フィルム
4a 低耐熱性フィルム
4b 高耐熱性フィルム
4c 接着層
10 トレイ
11 搬送口
12 操作部
13 表示部
14 送液部
140 マイクロポンプ
141 チップ接続部
142 駆動液タンク
143 駆動液供給部
146 駆動液
15 加熱部
16 検出部
17 駆動制御部
18 電圧印加部
20 微細流路
200 検出領域
201 反応室
21 開口部
30 流路用溝
301 反応室用凹部
31 貫通孔
40 通電部

Claims (16)

  1. 片側の表面に流路用溝が設けられた基板と、当該基板の前記片側の表面に熱接合されたカバー部材と、を備え、
    前記カバー部材は、積層された複数の層を備え、隣接する当該層同士を接合することで形成され、
    前記カバー部材の複数層のうち、前記基板から最も遠い第1の層を構成する材質の第1荷重たわみ温度は、マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より高く、
    前記カバー部材の複数層のうち、前記基板と接合される第2の層を構成する材質の第2荷重たわみ温度は、前記第1荷重たわみ温度より低いことを特徴とするマイクロチップ。
  2. 前記カバー部材の前記第2の層の材質と、前記基板の材質とは同一、又は、同じ種類の樹脂を用いたものであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記基板の前記片側の表面には、前記流路用溝に連通する反応室用凹部が設けられており、前記カバー部材を熱接合することで形成される反応室の容積が、10mm〜100mmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロチップ。
  4. 前記第1の層の厚さが、50μm〜200μmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のマイクロチップ。
  5. 前記第2の層の厚さが、50μm〜200μmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のマイクロチップ。
  6. 前記カバー部材を構成する複数の層が接着剤を介さずに互いに熱融着されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロチップ。
  7. 前記第1の層の、前記カバー部材全体の厚みに占める割合が半分以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロチップ。
  8. 前記隣接するカバー部材同士は、接着層を介して接合されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のマイクロチップ。
  9. 前記接着層の厚さが30μm以下であることを特徴とする請求項8に記載のマイクロチップ。
  10. 前記第1の層の、前記接着層を除く前記カバー部材全体の厚みに占める割合が半分以下であることを特徴とする請求項8又は9に記載のマイクロチップ。
  11. 前記カバー部材の前記基板に対向する面に、導電性の通電部が形成されていることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載のマイクロチップ。
  12. マイクロチップ使用時に設定される加熱温度より高い第1荷重たわみ温度を有する材質により構成される第1の層と、前記第1荷重たわみ温度より低い第2荷重たわみ温度を有する材質により構成される第2の層とが複数の層の両端に配置されるように積層し、隣接する当該層同士を接合することでカバー部材を形成し、
    片側の表面に流路用溝が設けられた基板の当該片側の表面に、前記第2荷重たわみ温度よりも高温、かつ、前記第1荷重たわみ温度よりも低温で、前記カバー部材の前記第2の層を熱接合させることを特徴とするマイクロチップの製造方法。
  13. 前記複数の層を接着層によって接合して前記カバー部材を作製することを特徴とする請求項12に記載のマイクロチップの製造方法。
  14. 前記複数の層を、接着層を介さずに熱融着して前記カバー部材を作製することを特徴とする請求項12に記載のマイクロチップの製造方法。
  15. 加熱された熱板によって前記基板と前記カバー部材とを挟み、前記熱板によって圧力を加えて所定時間保持することで、前記基板と前記カバー部材の前記第2の層とを熱接合することを特徴とする請求項12〜14の何れか一項に記載のマイクロチップの製造方法。
  16. 前記カバー部材の、前記基板と対向する面に、印刷によって導電性の通電部をパターニングすることを特徴とする請求項12〜15の何れか一項に記載のマイクロチップの製造方法。
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