以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
(実施の形態1)
<流量センサの回路構成>
まず、流量センサの回路構成を説明する。図1は、本実施の形態1における流量センサの回路構成を示す回路ブロック図である。図1において、本実施の形態1における流量センサは、まず、流量センサを制御するためのCPU(Central Processing Unit)1を有し、さらに、このCPU1に入力信号を入力するための入力回路2、および、CPU1からの出力信号を出力するための出力回路3を有している。そして、流量センサにはデータを記憶するメモリ4が設けられており、CPU1は、メモリ4にアクセスして、メモリ4に記憶されているデータを参照できるようになっている。
次に、CPU1は、出力回路3を介して、トランジスタTrのベース電極と接続されている。そして、このトランジスタTrのコレクタ電極は電源PSに接続され、トランジスタTrのエミッタ電極は発熱抵抗体HRを介してグランド(GND)に接続されている。したがって、トランジスタTrは、CPU1によって制御されるようになっている。すなわち、トランジスタTrのベース電極は、出力回路3を介してCPU1に接続されているので、CPU1からの出力信号がトランジスタTrのベース電極に入力される。この結果、CPU1からの出力信号(制御信号)によって、トランジスタTrを流れる電流が制御されるように構成されている。CPU1からの出力信号によってトランジスタTrを流れる電流が大きくなると、電源PSから発熱抵抗体HRに供給される電流が大きくなり、発熱抵抗体HRの加熱量が大きくなる。一方、CPU1からの出力信号によってトランジスタTrを流れる電流が少なくなると、発熱抵抗体HRへ供給される電流が少なくなり、発熱抵抗体HRの加熱量は減少する。このように本実施の形態1における流量センサでは、CPU1によって発熱抵抗体HRを流れる電流量が制御され、これによって、発熱抵抗体HRからの発熱量がCPU1によって制御されるように構成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態1における流量センサでは、CPU1によって発熱抵抗体HRを流れる電流を制御するため、ヒータ制御ブリッジHCBが設けられている。このヒータ制御ブリッジHCBは、発熱抵抗体HRから放散される発熱量を検知し、この検知結果を入力回路2へ出力するように構成されている。この結果、CPU1は、ヒータ制御ブリッジHCBからの検知結果を入力することができ、これに基づいて、トランジスタTrを流れる電流を制御する。
具体的に、ヒータ制御ブリッジHCBは、図1に示すように、参照電圧Vref1とグランド(GND)との間にブリッジを構成する抵抗体R1〜抵抗体R4を有している。このように構成されているヒータ制御ブリッジHCBでは、発熱抵抗体HRで加熱された気体が吸気温度よりもある一定温度(ΔT、例えば、100℃)だけ高い場合に、ノードAの電位とノードBの電位の電位差が0Vとなるように、抵抗体R1〜抵抗体R4の抵抗値が設定されている。つまり、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1〜抵抗体R4は、抵抗体R1と抵抗体R3を直列接続した構成要素と、抵抗体R2と抵抗体R4を直列接続した構成要素とが、参照電圧Vref1とグランド(GND)との間に並列接続されるようにしてブリッジが構成されている。そして、抵抗体R1と抵抗体R3の接続点がノードAとなっており、抵抗体R2と抵抗体R4の接続点がノードBとなっている。このとき、発熱抵抗体HRで加熱された気体は、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1に接触するようになっている。したがって、発熱抵抗体HRからの発熱量によって、ヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1の抵抗値が主に変化することになる。このように抵抗体R1の抵抗値が変化すると、ノードAとノードBとの間の電位差が変化する。このノードAとノードBとの電位差は、入力回路2を介してCPU1に入力されるので、CPU1は、ノードAとノードBとの電位差に基づいて、トランジスタTrを流れる電流を制御する。具体的に、CPU1は、ノードAとノードBとの電位差が0VとなるようにトランジスタTrを流れる電流を制御して、発熱抵抗体HRからの発熱量を制御するようになっている。すなわち、本実施の形態1における流量センサでは、CPU1がヒータ制御ブリッジHCBの出力に基づいて、発熱抵抗体HRで加熱された気体が吸気温度よりもある一定温度(ΔT、例えば、100℃)だけ高い一定値に保持するようにフィードバック制御するように構成されていることがわかる。
続いて、本実施の形態1における流量センサは、気体の流量を検知するための温度センサブリッジTSBを有している。この温度センサブリッジTSBは、参照電圧Vref2とグランド(GND)との間にブリッジを構成する4つの測温抵抗体から構成されている。この4つの測温抵抗体は、2つの上流測温抵抗体UR1、UR2と、2つの下流測温抵抗体BR1、BR2から構成されている。つまり、図1の矢印の方向は、気体が流れる方向を示しており、この気体が流れる方向の上流側に上流測温抵抗体UR1、UR2が設けられ、下流側に下流測温抵抗体BR1、BR2が設けられている。これらの上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRまでの距離が同じになるように配置されている。
温度センサブリッジTSBでは、参照電圧Vref2とグランド(GND)の間に上流測温抵抗体UR1と下流測温抵抗体BR1が直列接続されており、この上流測温抵抗体UR1と下流測温抵抗体BR1の接続点がノードCとなっている。一方、グランド(GND)と参照電圧Vref2の間に上流測温抵抗体UR2と下流測温抵抗体BR2が直列接続されており、この上流測温抵抗体UR2と下流測温抵抗体BR2の接続点がノードDとなっている。そして、ノードCの電位とノードDの電位は、入力回路2を介してCPU1に入力されるように構成されている。そして、矢印方向に流れる気体の流量が零である無風状態のとき、ノードCの電位とノードDの電位との差電位が0Vとなるように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2の各抵抗値が設定されている。具体的に、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRからの距離が等しく、かつ、抵抗値も等しくなるように構成されている。このため、温度センサブリッジTSBでは、発熱抵抗体HRの発熱量にかかわらず、無風状態であれば、ノードCとノードDの差電位は0Vとなるように構成されていることがわかる。
<流量センサの動作>
本実施の形態1における流量センサは上記のように構成されており、以下に、その動作について図1を参照しながら説明する。まず、CPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に出力信号(制御信号)を出力することにより、トランジスタTrに電流を流す。すると、トランジスタTrのコレクタ電極に接続されている電源PSから、トランジスタTrのエミッタ電極に接続されている発熱抵抗体HRに電流が流れる。このため、発熱抵抗体HRは発熱する。そして、発熱抵抗体HRからの発熱で暖められた気体がヒータ制御ブリッジHCBを構成する抵抗体R1を加熱する。このとき、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)だけ高くなっている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBの差電位が0Vとなるように、抵抗体R1〜R4の各抵抗値が設定されている。このため、例えば、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)だけ高くなっている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間の差電位は0Vとなり、この差電位(0V)が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、ヒータ制御ブリッジHCBからの差電位が0Vであることを認識したCPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に、現状の電流量を維持するための出力信号(制御信号)を出力する。
一方、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)からずれている場合、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間に0Vではない差電位が発生し、この差電位が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、ヒータ制御ブリッジHCBからの差電位が発生していることを認識したCPU1は、出力回路3を介してトランジスタTrのベース電極に、差電位が0Vになるような出力信号(制御信号)を出力する。例えば、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)よりも高くなる方向の差電位が発生している場合、CPU1は、トランジスタTrを流れる電流が減少するような制御信号(出力信号)を、トランジスタTrのベース電極へ出力する。これに対し、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度(例えば、100℃)よりも低くなる方向の差電位が発生している場合、CPU1は、トランジスタTrを流れる電流が増加するような制御信号(出力信号)を、トランジスタTrのベース電極へ出力する。以上のようにして、CPU1は、ヒータ制御ブリッジHCBのノードAとノードBとの間の差電位が0V(平衡状態)になるように、ヒータ制御ブリッジHCBからの出力信号に基づいて、フィードバック制御する。このことから、本実施の形態1における流量センサでは、発熱抵抗体HRで暖められた気体が一定温度となるように制御されることがわかる。
次に、本実施の形態1における流量センサでの気体の流量を測定する動作について説明する。まず、無風状態の場合について説明する。矢印方向に流れる気体の流量が零である無風状態のとき、温度センサブリッジTSBのノードCの電位とノードDの電位との差電位が0Vとなるように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2の各抵抗値が設定されている。具体的に、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRからの距離が等しく、かつ、抵抗値も等しくなるように構成されている。このため、温度センサブリッジTSBでは、発熱抵抗体HRの発熱量にかかわらず、無風状態であれば、ノードCとノードDの差電位は0Vとなり、この差電位(0V)が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、温度センサブリッジTSBからの差電位が0Vであることを認識したCPU1は、矢印方向に流れる気体の流量が零であると認識し、出力回路3を介して気体流量Qが零であることを示す出力信号が本実施の形態1における流量センサから出力される。
続いて、図1の矢印方向に気体が流れている場合を考える。この場合、図1に示すように、気体の流れる方向の上流側に配置されている上流測温抵抗体UR1、UR2は、矢印方向に流れる気体によって冷却される。このため、上流測温抵抗体UR1、UR2の温度は低下する。これに対し、気体の流れる方向の下流側に配置されている下流測温抵抗体BR1、BR2は、発熱抵抗体HRで暖められた気体が下流測温抵抗体BR1、BR2に流れてくるので温度が上昇する。この結果、温度センサブリッジTSBのバランスが崩れ、温度センサブリッジTSBのノードCとノードDとの間に零ではない差電位が発生する。この差電位が入力回路2を介してCPU1に入力される。そして、温度センサブリッジTSBからの差電位が零ではないことを認識したCPU1は、矢印方向に流れる気体の流量が零ではないことを認識する。その後、CPU1はメモリ4にアクセスする。メモリ4には、差電位と気体流量を対応づけた対比表(テーブル)が記憶されているので、メモリ4にアクセスしたCPU1は、メモリ4に記憶されている対比表から気体流量Qを算出する。このようにして、CPU1で算出された気体流量Qは出力回路3を介して、本実施の形態1における流量センサから出力される。以上のようにして、本実施の形態1における流量センサによれば、気体の流量を求めることができることがわかる。
<流量センサのレイアウト構成>
次に、本実施の形態1における流量センサのレイアウト構成について説明する。例えば、図1に示す本実施の形態1における流量センサは、2つの半導体チップに形成される。具体的には、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが1つの半導体チップに形成され、CPU1、入力回路2、出力回路3およびメモリ4などが別の半導体チップに形成される。以下では、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが形成されている半導体チップのレイアウト構成について説明する。
図2は、本実施の形態1における流量センサの一部を構成した半導体チップCHP1のレイアウト構成を示す平面図である。まず、図2に示すように、半導体チップCHP1が矩形形状をしており、この半導体チップCHP1の左側から右側に向って(矢印方向)、気体が流れるようになっている。そして、図2に示すように、矩形形状をした半導体チップCHP1の裏面側に矩形形状のダイヤフラムDFが形成されている。ダイヤフラムDFとは、半導体チップCHP1の厚さを薄くした薄板領域のことを示している。つまり、ダイヤフラムDFが形成されている領域の厚さは、その他の半導体チップCHP1の領域の厚さよりも薄くなっている。
このようにダイヤフラムDFが形成されている裏面領域に相対する半導体チップCHP1の表面領域には、図2に示すように、流量検出部FDUが形成されている。具体的に、この流量検出部FDUの中央部には、発熱抵抗体HRが形成されており、この発熱抵抗体HRの周囲にヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1が形成されている。そして、流量検出部FDUの外側にヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R2〜R4が形成されている。このように形成された抵抗体R1〜R4によってヒータ制御ブリッジが構成される。特に、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1は、発熱抵抗体HRの近傍に形成されているので、発熱抵抗体HRからの発熱で暖められた気体の温度を抵抗体R1に精度良く反映させることができる。一方、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R2〜R4は、発熱抵抗体HRから離れて配置されているので、発熱抵抗体HRからの発熱の影響を受けにくくすることができる。したがって、抵抗体R1は発熱抵抗体HRで暖められた気体の温度に敏感に反応するように構成することができるとともに、抵抗体R2〜R4は発熱抵抗体HRの影響を受けにくく抵抗値を一定値に維持しやすく構成することができる。このため、ヒータ制御ブリッジの検出精度を高めることができる。
さらに、流量検出部FDUに形成されている発熱抵抗体HRを挟むように、上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2が配置されている。具体的に、気体が流れる矢印方向の上流側に上流測温抵抗体UR1、UR2が形成され、気体が流れる矢印方向の下流側に下流測温抵抗体BR1、BR2が形成されている。このように構成することにより、気体が矢印方向に流れる場合、上流測温抵抗体UR1、UR2の温度を低下させることができるとともに、下流測温抵抗体BR1、BR2の温度を上昇させることができる。このように流量検出部FDUに配置されている上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2により温度センサブリッジが形成される。
上述した発熱抵抗体HR、上流測温抵抗体UR1、UR2および下流測温抵抗体BR1、BR2は、例えば、白金(プラチナ)などの金属膜やポリシリコン(多結晶シリコン)などの半導体薄膜をスパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの方法で形成した後、イオンエッチングなどの方法でパターニングすることにより形成することができる。
このように構成されている発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジを構成する抵抗体R1〜R4、および、温度センサブリッジを構成する上流測温抵抗体UR1、UR2と下流測温抵抗体BR1、BR2は、それぞれ、配線WL1と接続されて、半導体チップCHP1の下辺に沿って配置されているパッドPD1に引き出されている。
以上のようにして、本実施の形態1における流量センサの一部を構成する半導体チップCHP1がレイアウト構成されている。実際の流量センサは、発熱抵抗体HR、ヒータ制御ブリッジHCBおよび温度センサブリッジTSBが形成された1つの半導体チップと、CPU1、入力回路2、出力回路3およびメモリ4などが形成されたもう1つの半導体チップとを有し、これらの半導体チップを基板上に実装した構造をしている。以下では、このように実装構成された流量センサについて説明する。まず始めに、従来技術における流量センサの実装構成について説明し、その後、従来技術における流量センサの実装構成上の問題点について説明する。そして、従来技術における流量センサの実装構成上の問題点を解決するための工夫を施した本実施の形態1における流量センサの実装構成について説明する。
<従来の流量センサの実装構成>
図3は、従来技術における流量センサFSPの実装構成を示す図である。具体的に図3(a)は、従来技術における流量センサFSPの実装構成を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線での断面図である。
図3(a)に示すように、従来技術における流量センサFSPは、矩形形状(長方形形状)の配線基板WBを有し、この配線基板WBのX方向に沿って、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2が並ぶように配置されている。
半導体チップCHP1には流量検出部FDUが形成されており、この流量検出部FDU上を気体が流れるようになっている。具体的に、気体は流量検出部FDU上の矢印方向(Y方向)に沿って流れるようになっている。この半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUは、半導体チップCHP1上に設けられている配線WL1に接続しており、この配線WL1は配線基板WB上に形成されている配線WL2と接続されている。このとき、図3(a)では、半導体チップCHP1に形成されている配線WL1と、配線基板WBに形成されている配線WL2との接続領域は、ポッティング樹脂POTで覆われている。そして、配線基板WBに形成されている配線WL2は、半導体チップCHP2と接続され、半導体チップCHP2は、さらに、配線基板WBに形成されている配線WL3と接続されている。このようにして、配線基板WB上に搭載された半導体チップCHP1と半導体チップCHP2が電気的に接続されている。
次に、図3(b)に示すように、配線基板WBの一部領域には溝が形成されており、この溝の内部に半導体チップCHP1が配置されている。半導体チップCHP1の裏面側にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFに相対する半導体チップCHP1の表面に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUから離れた半導体チップCHP1の表面にパッドPD1が形成されている。この流量検出部FDUとパッドPD1とは、図3(a)に示す配線WL1で接続されている。
半導体チップCHP1は、溝の底部と接着材ADHによって固定されている。具体的に、パッドPD1に相対する半導体チップCHP1の裏面に接着材ADHが塗布されており、この接着材ADHによって半導体チップCHP1が配線基板WBに形成されている溝の底部に固定されている。一方、半導体チップCHP1の裏面のうち、ダイヤフラムDFが形成されている領域側には接着材ADHが形成されておらず、外部空間とダイヤフラムDFの内部が連通している。これにより、ダイヤフラムDFの内部の圧力を外部空間の圧力と等しくすることができ、ダイヤフラムDFに相対する半導体チップCHP1の表面に形成されている流量検出部FDUに圧力差に起因した応力が作用することを抑制している。
半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1は、配線基板WBに形成されている配線WL2とワイヤW1により接続されており、このワイヤW1はポッティング樹脂POTにより封止されている。
一方、半導体チップCHP2は、配線基板WBに形成されている配線WL2とバンプ電極BMPにより接続されているとともに、配線基板WBに形成されている配線WL3ともバンプ電極を介して接続されている。
<従来の流量センサの問題点>
以上のようにして、従来技術における流量センサFSPが実装構成されているが、従来の流量センサFSPでは、以下に示すような問題点がある。上述したように、半導体チップCHP1と配線基板WBとを接続する金線(ワイヤW1)は、変形による接触などを防止するため、通常、ポッティング樹脂POTによって固定されている。つまり、金線(ワイヤW1)は、ポッティング樹脂POTによって覆われて固定されており、このポッティング樹脂POTにより、金線(ワイヤW1)は保護されている。一方、流量センサFSPを構成する半導体チップCHP1および半導体チップCHP2は通常、ポッティング樹脂POTで封止されていない。すなわち、通常の流量センサFSPにおいては、金線(ワイヤW1)だけがポッティング樹脂POTで覆われた構造をしている。
ここで、金線(ワイヤW1)のポッティング樹脂POTによる固定は、半導体チップCHP1を金型などで固定した状態で行われないため、ポッティング樹脂POTの収縮により、半導体チップCHP1が搭載位置からずれてしまう問題がある。さらに、ポッティング樹脂POTは滴下することにより形成されるので、ポッティング樹脂POTの寸法精度が低い問題がある。この結果、個々の流量センサFSPごとに、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1の搭載位置にずれが生じるとともに、ポッティング樹脂POTの形成位置も微妙に異なることとなり、各流量センサFSPの検出性能にバラツキが生じることになる。このため、各流量センサFSPの性能バラツキを抑制するため、流量センサFSPごとに検出性能の補正を行なう必要があり、流量センサFSPの製造工程における性能補正工程を追加する必要性が生じる。特に、性能補正工程が長くなると、流量センサFSPの製造工程におけるスループットが低下し、流量センサFSPのコストが上昇してしまう問題点も存在する。さらに、ポッティング樹脂POTは、加熱による硬化の促進を行っていないので、ポッティング樹脂POTが硬化するまでの時間が長くなり、流量センサFSPの製造工程におけるスループットが低下してしまう。以上のことから、従来の流量センサFSPの実装構成においては、ワイヤW1だけを位置精度の良くないポッティング樹脂POTで封止する構成を取っていることから、主に、流量センサFSPごとの性能バラツキが生じてしまう問題点が存在することがわかる。
<実施の形態1における流量センサの実装構成>
そこで、本実施の形態1では、上述した従来技術の流量センサFSPに存在する性能バラツキという問題点を解決するために、流量センサの実装構成に工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態1における流量センサの実装構成について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す図であり、樹脂で封止する前の構成を示す図である。特に、図4(a)は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図4(b)は、図4(a)のA−A線で切断した断面図であり、図4(c)は半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。
まず、図4(a)に示すように、本実施の形態1における流量センサFS1は、例えば、ガラスエポキシ樹脂から構成される矩形形状の配線基板WBを有しており、この配線基板WB上のX方向に並ぶように、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2が搭載されている。半導体チップCHP1は、矩形形状をしており、ほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUと接続する配線WL1が半導体チップCHP1上に形成されており、この配線WL1は、半導体チップCHP1の一辺に沿って形成された複数のパッドPD1と接続されている。すなわち、流量検出部FDUと複数のパッドPD1とは配線WL1で接続されていることになる。これらのパッドPD1は、配線基板WBに形成されている端子TE1と、例えば、金線からなるワイヤW1を介して接続されている。配線基板WBに形成されている端子TE1は、配線基板WBに形成されている配線WL2と接続され、配線WL2は、端子TE2と接続されている。さらに、端子TE2は、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、例えば、金線からなるワイヤW2を介して接続されている。
半導体チップCHP2には、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子や配線からなる集積回路が形成されている。具体的には、図1に示すCPU1、入力回路2、出力回路3、あるいは、メモリ4などを構成する集積回路が形成されている。これらの集積回路は、外部接続端子として機能するパッドPD2やパッドPD3と接続されている。そして、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3は、配線基板WBに形成されている端子TE3と、例えば、金線からなるワイヤW3を介して接続されており、この端子TE3は配線基板WB上に形成されている配線WL3と接続されている。このようにして、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1と、制御回路が形成されている半導体チップCHP2は、配線基板WBに形成されている配線WL2を介して接続されていることがわかる。
続いて、図4(b)に示すように、配線基板WBの所定領域には溝(キャビティ)が形成されており、この溝の内部に半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1は、接着材ADH1によって配線基板WBと接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在する溝の底部には開口部OP1が形成されている。
ダイヤフラムDFは、半導体チップCHP1の表面に形成されている流量検出部FDUを、なるべく熱絶縁しやすくする機能を有している。つまり、流量検出部FDUには、図2に示すように、上流測温抵抗体UR1、UR2や下流測温抵抗体BR1、BR2が形成されている。このような流量検出部FDUでは、気体が流れることにより、上流測温抵抗体UR1、UR2や下流測温抵抗体BR1、BR2の温度が変化し、この温度変化によって、上流測温抵抗体UR1、UR2や下流測温抵抗体BR1、BR2の抵抗値が変化することを利用して、気体の流量を検出する。このため、流量検出部FDUを構成する上流測温抵抗体UR1、UR2や下流測温抵抗体BR1、BR2は、なるべく、気体が流れることによる温度変化だけを検知することが望ましく、半導体チップCHP1の内部を介した熱伝導などの影響による温度変化を取り除くことが望ましい。このことから、流量検出部FDUと相対する半導体チップCHP1の裏面に、半導体チップCHP1の厚さを薄くした領域であるダイヤフラムDFを設け、流量検出部FDUへの半導体チップCHP1の内部を介した熱伝導の影響を小さくしているのである。
以上のような理由から半導体チップCHP1にダイヤフラムDFを設けているが、このダイヤフラムDFの内部空間が半導体チップCHP1の外部空間から隔離されていると、外部空間の圧力とダイヤフラムDF内の内部圧力が異なることになる。この場合、外部空間の圧力とダイヤフラムDF内の内部圧力の差に起因して、ダイヤフラムDFに応力が生じ、ダイヤフラムDF上に形成されている流量検出部FDUの検出精度が低下するおそれがある。このことから、本実施の形態1では、ダイヤフラムDFの下方に存在する溝の底部に開口部OP1を設けている。これにより、ダイヤフラムDFの内部空間と外部空間が開口部OP1を介して連通することになり、外部空間の圧力とダイヤフラムDF内の内部圧力とを等しくすることができる。この結果、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制することができ、ダイヤフラムDF上に形成されている流量検出部FDUの検出精度の低下を防止することができる。
図4(b)に示すように、半導体チップCHP1の表面(上面)には、流量検出部FDUの他に、流量検出部FDUと接続されたパッドPD1が形成されており、このパッドPD1は、配線基板WBに形成された配線WL2とワイヤW1を介して接続されている。そして、配線基板WBには、半導体チップCHP1の他に半導体チップCHP2も搭載されており、半導体チップCHP2は、接着材ADH2によって配線基板WBに接着している。さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、配線基板WBに形成されている配線WL2がワイヤW2を介して接続されている。また、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3と、配線基板WBに形成されている配線WL3は、ワイヤW3を介して電気的に接続されている。
半導体チップCHP1と配線基板WBとを接着している接着材ADH1や、半導体チップCHP2と配線基板WBとを接着している接着材ADH2は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。
例えば、半導体チップCHP1と配線基板WBの接着は、図4(c)に示すように接着材ADH1を塗布することにより行うことができる。図4(c)は、半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。図4(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1が塗布されている。なお、図4(c)では、ダイヤフラムDFを四角形形状に囲むように接着材ADH1を塗布する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダイヤフラムDFを楕円形状などの任意の形状で囲むように接着材ADH1を塗布してもよい。
本実施の形態1における流量センサFS1において、樹脂で封止する前の流量センサFS1の実装構成は上記のように構成されており、以下に、樹脂で封止した後の流量センサFS1の実装構成について説明する。
図5は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図5(a)は、本実施の形態1における流量センサFS1の実装構成を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)のA−A線で切断した断面図であり、図5(c)は、図5(a)のB−B線で切断した断面図である。
まず、図4(a)および図5(a)を参照するとわかるように、本実施の形態1における流量センサFS1では、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている。この点が本実施の形態1の第1特徴点である。
例えば、図3に示す従来の流量センサFSPにおいては、金線(ワイヤW1)だけがポッティング樹脂POTで覆われた構造をしており、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2は樹脂で覆われていない構造をしている。この場合、金線(ワイヤW1)のポッティング樹脂POTによる固定は、半導体チップCHP1を金型などで固定した状態で行われないため、ポッティング樹脂POTの収縮により、半導体チップCHP1が搭載位置からずれてしまう。さらには、ポッティング樹脂POTは滴下することにより形成されるので、ポッティング樹脂POTの寸法精度が低いという問題もある。このことは、個々の流量センサFSPごとに半導体チップCHP1の位置にバラツキが生じることを意味し、この結果、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置にもバラツキが生じることになる。この結果、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFSPで異なることになるため、各流量センサFSPにおいて気体流量を検出する性能にバラツキが生じてしまう。
これに対し、本実施の形態1における流量センサFS1では、図4(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている。つまり、本実施の形態1では、流量検出部FDU以外の半導体チップCHP1の領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、各流量センサFS1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFS1で一致させることができるため、各流量センサFS1において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。つまり、本実施の形態1では、金型を使用して半導体チップCHP1を固定しながら樹脂MRで封止できる観点から、流量検出部FDUを露出しながら半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を一括して樹脂MRで封止する構成を取っているのである。すなわち、本実施の形態1によれば、金型で半導体チップCHP1を含む配線基板WBをクランプした状態で封止することができるので、半導体チップCHP1の位置決め精度が向上するとともに、さらに、金型から注入する樹脂MRへの熱伝導により、樹脂MRの硬化時間を短くすることができる。例えば、図3に示す従来の流量センサFSPでは、ポッティング樹脂POTを使用しているが、このポッティング樹脂POTでは加熱して硬化させる時間を短くすることができないので、ポッティング樹脂POTが硬化するまでの時間が長くなる。この結果、スループットが低下し、コストが上昇してしまう。これに対し、本実施の形態1における第1特徴点によれば、金型から注入する樹脂MRへの熱伝導により、樹脂MRの硬化時間も短くすることができるので、スループットを向上させることができ、この結果、本実施の形態1における流量センサFS1の製造コストを削減することもできる。
なお、上述した樹脂MRは、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を使用することができるとともに、樹脂中にガラスやマイカなどの充填材を混入させることもできる。
続いて、本実施の形態1における第2特徴点は、図5(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟んだ両側における樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高い点にある。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を樹脂MRで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む樹脂MRの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。言い換えれば、本実施の形態1では、樹脂MRに凹部が形成されており、この樹脂MRに形成された凹部の内部に流量検出部FDUが形成されているということができる。さらに言えば、半導体チップCHP1の露出面(XY面)と直交する流量検出部FDUを含む任意断面において、流量検出部FDUを挟む両側の樹脂MRの高さ寸法が半導体チップCHP1の露出面(XY面)よりも大きいということができる。このような本実施の形態2における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを挟んでいる樹脂MRの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い樹脂MRに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、本実施の形態1によれば、露出している流量検出部FDU以外の大部分の半導体チップCHP1の領域が樹脂MRで覆われているため、この観点からも、半導体チップCHP1は樹脂MRによって保護され、半導体チップCHP1の破損を抑制することができる。例えば、図3に示すように、従来の流量センサFSPでは、流量検出部FDU以外の大部分の半導体チップCHP1の領域も露出しているので、部品の取り付け組み立て時などに、部品が半導体チップCHP1に接触して半導体チップCHP1を破損する可能性が高くなる。これに対し、本実施の形態1によれば、露出している流量検出部FDU以外の大部分の半導体チップCHP1の領域が樹脂MRで覆われているという点と、露出している流量検出部FDU自体が樹脂MRの高さよりも低くなっている点との組み合わせにより、半導体チップCHP1の破損を効果的に防止することができる。
次に、本実施の形態1における第3特徴点は、図5(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MR(封止体)と一体的に形成されている点にある。例えば、図3に示す従来の流量センサFSPでは、流量検出部FDUの上部をY方向へ気体が流れるが、ポッティング樹脂POTが流量検出部FDUの上部を流れる気体の片側の通路を形成している。したがって、ポッティング樹脂POTの寸法精度によって気体の流れが乱され、正確な気体の流量を測定できないおそれがある。さらに、図3に示す従来の流量センサFSPでは、流量検出部FDUに対して、ポッティング樹脂POTと相対する反対側には通路を形成するポッティング樹脂POTが配置されていないため、気体の流路寸法を絞った状態で流量検出部FDUの上部に気体を流すことができない。したがって、特に、流れる気体の流量が少ない場合、気体流量の検出感度が低くなる問題点がある。
これに対し、本実施の形態1における第3特徴点として、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MR(封止体)と一体的に形成している。これにより、まず、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。そして、一対の気流制御部FCU1、FCU2は、樹脂MRと一体的に寸法精度の高い金型による挟み込みで高精度に形成されている。このことから、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、一対の気流制御部FCU1、FCU2の寸法精度によって気体の流れが乱されることもなく正確に気体の流量を測定することができる。さらに、本実施の形態1では、上述したように、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。このため、気体の流路寸法を絞った状態で流量検出部FDUの上部に気体を流すことができる。この結果、本実施の形態1における流量センサFS1によれば、特に、流れる気体の流量が少ない場合でも、気体流量の検出感度の低下を抑制することができる。
さらに、本実施の形態1における第4特徴点は、図5(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である点である。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように本実施の形態1では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
続いて、本実施の形態1における流量センサFS1は、第5特徴点と第6特徴点を有しているが、これらの特徴点を説明する前提として、図5(b)および図5(c)の構造について説明する。図5(b)は、図5(a)のA−A線での断面図であり、図5(c)は、図5(a)のB−B線での断面図である。
図5(b)に示すように、配線基板WBには溝が形成されており、この溝の内部に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にある溝の底部に開口部OP1が形成されている。一方、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には流量検出部FDUが形成されており、さらに、この流量検出部FDUと接続するパッドPD1が形成されている。このパッドPD1は配線基板WBに形成された配線WL2とワイヤW1を介して接続されており、配線WL2は、配線基板WB上に接着材ADH2を介して搭載された半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2とワイヤW2で接続されている。また、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3は、ワイヤW3を介して配線基板WB上に形成されている配線WL3と接続されている。そして、本実施の形態1における流量センサFS1では、流量検出部FDUおよびその近傍を露出した状態で、その他の領域(パッドPD1を含む)である半導体チップCHP1の一部、ワイヤW1、配線WL2、ワイヤW2、半導体チップCHP2、ワイヤW3および配線WL3の一部が樹脂MRで一括封止されている。このとき、露出している流量検出部FDUと樹脂MRの境界領域はテーパ形状TP2となっており、流量検出部FDUを挟むように一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MRと一体的に形成されている。
また、図5(c)に示すように、配線基板WBには溝が形成されており、この溝の内部に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にある溝の底部に開口部OP1が形成されている。一方、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には流量検出部FDUが形成されており、半導体チップCHP1の周囲を囲むように樹脂MRが形成されている。このとき、流量検出部FDUと樹脂MRの境界領域はテーパ形状TP1となっており、このテーパ形状TP1の角度は、図5(b)に示すテーパ形状TP2の角度よりも緩やかになっている。
ここで、本実施の形態1における第5特徴点は、図5(b)および図5(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にある溝の底部に開口部OP1が形成されている点にある。このように本実施の形態1において、配線基板WBに開口部OP1を設ける理由について説明する。
まず、図3に示す従来の流量センサFSPでは、図3(b)に示すように、半導体チップCHP1の片側の端部にだけ接着材ADHが塗布されており、もう一方の端部には接着材ADHが塗布されておらず隙間が形成されている。これにより、従来の流量センサFSPでは、この隙間を介して半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFSPの外部空間が連通されることになり、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と流量センサFSPの外部空間の圧力を等しくすることができる。このようにして、従来の流量センサFSPでは、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制している。
一方、図5(b)および図5(c)に示す本実施の形態1における流量センサFS1では、図3に示す従来の流量センサFSPと同様の構成を取ることはできない。なぜなら、本実施の形態1における流量センサFS1では、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の領域は樹脂MRで覆われることになるからである。つまり、本実施の形態1では、半導体チップCHP1と溝の底部の間に隙間を形成すると、その隙間から樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間まで侵入してしまうのである。このことから、本実施の形態1では、半導体チップCHP1の両方の端部に接着材ADH1が塗布されており、この接着材ADH1によって、ダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが侵入することを抑制しているのである。すなわち、本実施の形態1における流量センサFS1において、接着材ADH1は、半導体チップCHP1と配線基板WBとを接着する本来の機能を有するとともに、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するという本実施の形態1に特有の機能も有しているのである。この接着材ADH1による特有の機能を実現するために、本実施の形態1では、例えば、図4(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布しているのである。
このような構成を取り、かつ、配線基板WBの溝の底部に開口部OP1を形成しない場合、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS1の外部空間は隔離されることになり、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS1の外部空間の圧力が異なることになってしまい、ダイヤフラムDF上に差圧に起因した応力が加わることになってしまう。そこで、本実施の形態1では、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、図4(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提として、この構成による不都合を回避するために、図5(b)および図5(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にある溝の底部に開口部OP1を形成している。これにより、本実施の形態1による流量センサFS1によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、配線基板WBの溝の底部に形成された開口部OP1を介して流量センサFS1の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS1の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できるのである。
続いて、本実施の形態1における第6特徴点は、半導体チップCHP1と配線基板WBだけでなく、半導体チップCHP2と配線基板WBもワイヤW2、W3で接続する点にある。例えば、図3に示す従来の流量センサFSPにおいて、半導体チップCHP2はバンプ電極BMPを使用して配線基板WBに接続している。これは、半導体チップCHP2もワイヤで接続する場合、このワイヤを保護するために、さらに、ポッティング樹脂POTで、このワイヤを封止する必要があるからである。つまり、図3に示すように、半導体チップCHP1と配線基板WBとはワイヤW1で接続されているため、このワイヤW1はポッティング樹脂POTで封止する必要があるが、さらに、半導体チップCHP2と配線基板WBもワイヤW2、W3で接続すると、このワイヤW2およびワイヤW3もポッティング樹脂POTで保護する必要がある。このため、従来の流量センサFSPでは、半導体チップCHP2をバンプ電極BMPで配線基板WBに接続することにより、さらなるポッティング樹脂POTによる封止を省いている。しかし、バンプ電極を使用して半導体チップCHP2を配線基板WBに接続する場合、例えば、半田ボールを使用する必要があり、製造コストが高くなってしまう問題がある。
そこで、本実施の形態1では、半導体チップCHP1と配線基板WBだけでなく、半導体チップCHP2と配線基板WBもワイヤW2、W3で接続している。この構成は、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1および半導体チップCHP2の全体を樹脂MRで一括封止するという本実施の形態1による特徴構成を取ることで実現できるものである。つまり、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP2も樹脂MRで一括封止するため、半導体チップCHP2と配線基板WBとをワイヤW2およびワイヤW3で接続しても、半導体チップCHP1と配線基板WBとを接続しているワイヤW1と同時にワイヤW2およびワイヤW3も樹脂MRで保護することができるのである。つまり、本実施の形態1では、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とを一括して樹脂MRで封止するので、半導体チップCHP2と配線基板WBとの接続をバンプ電極で行なおうが、ワイヤで行なおうが樹脂MRの封止は一回で完了する。したがって、本実施の形態1では、半田ボールを使用せず、ワイヤW2、W3で半導体チップCHP2を配線基板WBに接続することにより、製造コストの削減を図ることができる。
<本実施の形態1における流量センサの製造方法>
本実施の形態1における流量センサFS1は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図6〜図10を参照しながら説明する。図6〜図10は、図5(a)のA−A線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図6に示すように、例えば、ガラスエポキシ樹脂からなる配線基板WBを用意する。この配線基板WBの主面(表面、上面)上には溝が形成されており、溝も底部に開口部OP1が形成されている。一方、配線基板WBの主面には、配線WL2および配線WL3も形成されている。
続いて、図7に示すように、配線基板WB上に半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載する。具体的には、配線基板WBに形成された溝の内部に半導体チップCHP1を接着材ADH1で接続する。このとき、半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFが配線基板WBに形成されている開口部OP1と連通するように、半導体チップCHP1が配線基板WB上に搭載される。なお、半導体チップCHP1には、通常の半導体製造プロセスによって流量検出部FDU、配線(図示せず)およびパッドPD1が形成される。そして、例えば、異方性エッチングにより、半導体チップCHP1の表面に形成された流量検出部FDUと相対する裏面の位置にダイヤフラムDFが形成されている。また、配線基板WB上には、接着材ADH2によって半導体チップCHP2も搭載されている。この半導体チップCHP2には、予め、通常の半導体製造プロセスによって、MISFETなどの半導体素子(図示せず)や配線(図示せず)、パッドPD2、パッドPD3が形成されている。
次に、図8に示すように、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1と、配線基板WBに形成されている配線WL2とをワイヤW1で接続する(ワイヤボンディング)。同様に、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2を配線WL2とワイヤW2で接続し、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3を配線WL3とワイヤW3で接続する。ワイヤW1〜W3は、例えば、金線から形成される。
その後、図9に示すように、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、配線WL2、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3および配線WL3を樹脂MRで封止する(モールド工程)。具体的には、図9に示すように、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載した配線基板WBを上金型UMと下金型BMで第1空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この第1空間に樹脂MRを流し込むことにより、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、配線WL2、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3および配線WL3を樹脂MRで封止する。このとき、図9に示すように、ダイヤフラムDFの内部空間は、接着材ADH1によって、上述した第1空間と隔離されているので、第1空間を樹脂MRで充填する際にも、ダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが侵入することを防止できる。
さらに、本実施の形態1では、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができる。このことは、本実施の形態1における流量センサの製造方法によれば、各流量センサの位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態1によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサで一致させることができるため、各流量センサにおいて気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態1における流量センサの製造方法の特徴は、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを第1空間とは隔離された第2空間SP2で囲まれるように、下金型BMと上金型UMで、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBを挟み込むことにある。これにより、本実施の形態1によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、それ以外の半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。
さらに、本実施の形態1における流量センサの製造方法の特徴は、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBを、上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFを介在させる点にある。例えば、個々の半導体チップCHP1の厚さには寸法バラツキが存在するため、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じ、この隙間から半導体チップCHP1上に樹脂MRがもれ出てしまう。一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1に加わる力が大きくなり、半導体チップCHP1が破断するおそれがある。
そこで、本実施の形態1では、上述した半導体チップCHP1の厚さバラツキに起因した半導体チップCHP1上への樹脂漏れ、あるいは、半導体チップCHP1の破断を防止するため、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFを介在させる工夫を施している。これにより、例えば、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じるが、この隙間を弾性体フィルムLAFで充填できるため、半導体チップCHP1上への樹脂漏れを防止できる。一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載した配線基板WBを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、弾性体フィルムLAFは柔らかいため、半導体チップCHP1の厚さを吸収するように弾性体フィルムLAFの厚さ方向の寸法が変化する。これにより、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚くても、必要以上に半導体チップCHP1へ力が加わることを防止することができ、この結果、半導体チップCHP1の破断を防止することができる。
なお、上述した弾性体フィルムLAFとしては、例えば、テフロン(登録商標)やフッ素樹脂などの高分子材料を使用することができる。
その後、図10に示すように、樹脂MRが硬化した段階で、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載した配線基板WBを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態1における流量センサFS1を製造することができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2を樹脂MR(封止体)と一体的に形成する例について説明した。本実施の形態2では、上述した気流制御部FCU1、FCU2を設けない流量センサについて説明する。
図11は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図11(a)は、本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成を示す平面図である。図11(b)は、図11(a)のA−A線で切断した断面図であり、図11(c)は図11(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態2における流量センサFS2の実装構成は、気流制御部FCU1、FCU2を設けない点を除いては、前記実施の形態1における流量センサFS1の実装構成と同様である。したがって、本実施の形態2における流量センサFS2においても、前記実施の形態1で説明した第1特徴点〜第2特徴点、第4特徴点〜第6特徴点を有している。
具体的に、本実施の形態2における流量センサFS2でも、図11(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている(第1特徴点)。つまり、本実施の形態2では、流量検出部FDU以外の半導体チップCHP1の領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態2における流量センサFS2によれば、各流量センサFS2の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態2によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFS2で一致させることができるため、各流量センサFS2において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態2における流量センサFS2でも、図11(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟んだ両側における樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2特徴点)。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を樹脂MRで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む樹脂MRの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このような本実施の形態2における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを挟んでいる樹脂MRの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い樹脂MRに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
さらに、本実施の形態2における流量センサFS2でも、図11(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である(第4特徴点)。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように本実施の形態2では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
また、本実施の形態2でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提として、この構成による不都合を回避するために、図11(b)および図11(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にある溝の底部に開口部OP1を形成している(第5特徴点)。これにより、本実施の形態2による流量センサFS2によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、配線基板WBの溝の底部に形成された開口部OP1を介して流量センサFS2の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS2の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
本実施の形態2における流量センサFS2でも、半導体チップCHP1と配線基板WBだけでなく、半導体チップCHP2と配線基板WBもワイヤW2、W3で接続している(第6特徴点)。これにより、本実施の形態2では、半田ボールを使用しないため、製造コストの削減を図ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、上述した従来技術の流量センサFSPに存在する性能バラツキに基づく流量センサのFSPの性能劣化という問題点を解決するために、流量センサの実装構成に工夫を施している。以下に、この工夫を施した本実施の形態3における流量センサの実装構成について、図面を参照しながら説明する。
前記実施の形態1および前記実施の形態2では、配線基板WB上に半導体チップCHP1と半導体チップCHP2を搭載する例について説明したが、本実施の形態3では、配線基板WBの代わりにリードフレームを使用する例について説明する。
図12は、本実施の形態3における流量センサFS3の実装構成を示す図であり、樹脂で封止する前の構成を示す図である。特に、図12(a)は、本実施の形態3における流量センサFS3の実装構成を示す平面図である。図12(b)は、図12(a)のA−A線で切断した断面図であり、図12(c)は半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。
まず、図12(a)に示すように、本実施の形態3における流量センサFS3は、例えば、銅材からなるリードフレームLFを有している。このリードフレームLFは、外枠体を構成するダムバーDMで囲まれた内部にチップ搭載部TAB1とチップ搭載部TAB2を有している。そして、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載され、チップ搭載部TAB2上に半導体チップCHP2が搭載されている。
半導体チップCHP1は、矩形形状をしており、ほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUと接続する配線WL1が半導体チップCHP1上に形成されており、この配線WL1は、半導体チップCHP1の一辺に沿って形成された複数のパッドPD1と接続されている。すなわち、流量検出部FDUと複数のパッドPD1とは配線WL1で接続されていることになる。これらのパッドPD1は、リードフレームLFに形成されているリードLD1と、例えば、金線からなるワイヤW1を介して接続されている。リードフレームLFに形成されているリードLD1は、さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、例えば、金線からなるワイヤW2を介して接続されている。なお、半導体チップCHP1の最外表面(素子形成面)には、接着する樹脂との応力緩衝機能、表面保護機能、あるいは、絶縁保護機能などを目的としてポリイミド膜が形成されていても良いものとする。
半導体チップCHP2には、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子や配線からなる集積回路が形成されている。具体的には、図1に示すCPU1、入力回路2、出力回路3、あるいは、メモリ4などを構成する集積回路が形成されている。これらの集積回路は、外部接続端子として機能するパッドPD2やパッドPD3と接続されている。そして、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3は、リードフレームLFに形成されているリードLD2と、例えば、金線からなるワイヤW3を介して接続されている。このようにして、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1と、制御回路が形成されている半導体チップCHP2は、リードフレームLFに形成されているリードLD1を介して接続されていることがわかる。
続いて、図12(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1は、接着材ADH1によってチップ搭載部TAB1と接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。
さらに、図12(b)に示すように、半導体チップCHP1の表面(上面)には、流量検出部FDUの他に、流量検出部FDUと接続されたパッドPD1が形成されており、このパッドPD1は、リードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されている。そして、リードフレームLFには、半導体チップCHP1の他に半導体チップCHP2も搭載されており、半導体チップCHP2は、接着材ADH2によってチップ搭載部TAB2に接着している。さらに、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2と、リードフレームLFに形成されているリードLD1がワイヤW2を介して接続されている。また、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3と、リードフレームLFに形成されているリードLD2は、ワイヤW3を介して電気的に接続されている。
半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1とを接着している接着材ADH1や、半導体チップCHP2とチップ搭載部TAB2とを接着している接着材ADH2は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。
例えば、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1の接着は、図12(c)に示すように接着材ADH1を塗布することにより行うことができる。図12(c)は、半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。図12(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1が塗布されている。なお、図12(c)では、ダイヤフラムDFを四角形形状に囲むように接着材ADH1を塗布する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダイヤフラムDFを楕円形状などの任意の形状で囲むように接着材ADH1を塗布してもよい。
本実施の形態3における流量センサFS3において、樹脂で封止する前の流量センサFS3の実装構成は上記のように構成されており、以下に、樹脂で封止した後の流量センサFS3の実装構成について説明する。
図13は、本実施の形態3における流量センサFS3の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図13(a)は、本実施の形態3における流量センサFS3の実装構成を示す平面図である。図13(b)は、図13(a)のA−A線で切断した断面図であり、図13(c)は図13(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態3における流量センサFS3でも、図13(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている(第1特徴点)。つまり、本実施の形態3では、流量検出部FDU以外の半導体チップCHP1の領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態3における流量センサFS3によれば、各流量センサFS3の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態3によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFS3で一致させることができるため、各流量センサFS3において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態3における流量センサFS3でも、図13(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟んだ両側における樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2特徴点)。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を樹脂MRで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む樹脂MRの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このような本実施の形態3における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを挟んでいる樹脂MRの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い樹脂MRに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、空気の流れと並行方向の断面(図13(c))において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっていることを特徴とする(第2A特徴点)。これにより、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させることができる。具体的な第2A特徴点の詳細については、後述する実施の形態12で詳細に説明する。
さらに、上述した従来構造の流量センサのセンサごとの性能バラツキを抑制するため、特開2009−36639号公報(特許文献4)に開示があるように、樹脂で半導体チップを封止すると同時に空気の通路構造を形成することが考えられる。
しかし、流量検出部は露出させる必要があり、この流量検出部近傍の部分露出構造は、半導体チップの表面を全て樹脂で封止する通常のパッケージ構造とは異なり、半導体チップと樹脂との接触面積が小さくなるので、半導体チップと樹脂との界面に剥離を生じ、割れが発生したり、空気の流れが乱される問題が生じるおそれがある。
この点に関して、特開2009−36639号公報(特許文献4)には、空気流れの並行方向における断面において、半導体チップと樹脂との界面での接着性を向上する構造について言及されていない。このため、半導体チップと樹脂との界面の構造によっては、流量検出部近傍の空気の流れが乱される問題が生じたり、半導体チップと樹脂の界面剥離を生じる問題が発生する可能性がある。つまり、特開2009−36639号公報(特許文献4)では、空気の流れ方向(Y方向)の任意断面において、気温の変化などによるヒートサイクルで、半導体チップと樹脂との界面が剥離すると、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題や、剥離部分で空気の流れが乱れた後、流れが乱れた空気が流量検出部へ流れるので、正確な空気流量の測定が困難になる問題が生じるおそれがある。
そこで、本実施の形態3では、例えば、図13(c)に示すように、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)。このことから、空気の流れと並行方向の断面において、半導体チップCHP1と樹脂MRの接触面積が増えるため、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面の剥離を防止することができる。この結果、本実施の形態3によれば、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題を回避することができるとともに、流量検出部FDUの上方での空気の乱れを抑制することができるので、流量検出部FDUでの正確な空気流量の測定精度を向上させることができる。
ここで、図13(b)および図13(c)に示すように、半導体チップCHP1の最外表面(素子形成面)には、樹脂MRとの接着強度が高いポリイミド膜PIQを形成していてもよい。この場合、半導体チップCHP1の最外表面に、樹脂MRとの接着強度が高いポリイミド膜PIQを形成することによって、半導体チップCHP1と樹脂MRとの接着強度をさらに向上することが可能となる。なお、ポリイミド膜PIQは、例えば、半導体チップCHP1への塗布によって形成し、必要に応じてフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を施すことによりパターニングすることができる。また、本発明では、ポリイミド膜PIQの膜厚は、約1〜120μmを想定しているが、この膜厚にに限定されるものではなく、半導体チップCHP1の表面領域のうち、樹脂MRで覆われる領域にポリイミド膜PIQが形成されていれば良いものとする。なお、以降の図では、ポリイミド膜PIQは図示されていないが、必要に応じて、ポリイミド膜PIQが形成されていてもよいものとする。
次に、本実施の形態1における流量センサFS3でも、図13(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MR(封止体)と一体的に形成されている(第3特徴点)。これにより、まず、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。そして、一対の気流制御部FCU1、FCU2は、樹脂MRと一体的に寸法精度の高い金型による挟み込みで高精度に形成されている。このことから、本実施の形態3における流量センサFS3によれば、一対の気流制御部FCU1、FCU2の寸法精度によって気体の流れが乱されることもなく正確に気体の流量を測定することができる。さらに、本実施の形態3では、上述したように、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。このため、気体の流路寸法を絞った状態で流量検出部FDUの上部に気体を流すことができる。この結果、本実施の形態3における流量センサFS3によれば、特に、流れる気体の流量が少ない場合でも、気体流量の検出感度の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態3における流量センサFS3でも、図13(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である(第4特徴点)。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように本実施の形態3では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
続いて、本実施の形態3における流量センサFS3も、第5特徴点と第6特徴点を有しているが、これらの特徴点を説明する前提として、図13(b)および図13(c)の構造について説明する。図13(b)は、図13(a)のA−A線での断面図であり、図13(c)は、図13(a)のB−B線での断面図である。
図13(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。さらに、リードフレームLFの裏面は、樹脂MRで覆われているが、リードフレームLFの裏面のうち、チップ搭載部TAB1の裏面に形成されている樹脂MRには、開口部OP2が形成されている。このチップ搭載部TAB1に形成されている開口部OP1と、樹脂MRに形成されている開口部OP2は連通しており、この開口部OP1および開口部OP2を介して、ダイヤフラムDFの内部空間は、流量センサFS3の外部空間とつながっている。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも小さくなるように構成されている。言い換えれば、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなるように構成されている。
一方、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には流量検出部FDUが形成されており、さらに、この流量検出部FDUと接続するパッドPD1が形成されている。このパッドPD1はリードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されており、リードLD1は、チップ搭載部TAB2に接着材ADH2を介して搭載された半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2とワイヤW2で接続されている。また、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3は、ワイヤW3を介してリードフレームLFに形成されているリードLD2と接続されている。そして、本実施の形態3における流量センサFS3では、流量検出部FDUおよびその近傍を露出した状態で、その他の領域(パッドPD1を含む)である半導体チップCHP1の一部、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、半導体チップCHP2、ワイヤW3およびリードLD2の一部が樹脂MRで一括封止されている。このとき、露出している流量検出部FDUと樹脂MRの境界領域はテーパ形状TP2となっており、流量検出部FDUを挟むように一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MRと一体的に形成されている。
また、図13(c)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成され、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2が形成されている。このチップ搭載部TAB1に形成されている開口部OP1と、樹脂MRに形成されている開口部OP2は連通しており、この開口部OP1および開口部OP2を介して、ダイヤフラムDFの内部空間は、流量センサFS3の外部空間とつながっている。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも小さくなるように構成されている。言い換えれば、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなるように構成されている。
一方、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には流量検出部FDUが形成されており、半導体チップCHP1の周囲を囲むように樹脂MRが形成されている。このとき、流量検出部FDUと樹脂MRの境界領域はテーパ形状TP1となっており、このテーパ形状TP1の角度は、図13(b)に示すテーパ形状TP2の角度よりも緩やかになっている。
ここで、本実施の形態3でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、この構成による不都合を回避するために、図13(b)および図13(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている(第5特徴点)。これにより、本実施の形態3による流量センサFS3によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS3の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS3の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
また、本実施の形態3における流量センサFS3でも、半導体チップCHP1とリードLD1だけでなく、半導体チップCHP2とリードLD1、LD2もワイヤW2、W3で接続している(第6特徴点)。これにより、本実施の形態3では、半田ボールを使用しないため、製造コストの削減を図ることができる。
以上のようにして、本実施の形態3における流量センサFS3が実装構成されているが、実際の流量センサFS3では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図14は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS3の実装構成を示す平面図である。図14に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
<本実施の形態3における流量センサの製造方法>
本実施の形態3における流量センサFS3は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図15〜図19を参照しながら説明する。図15〜図19は、図13(a)のA−A線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図15に示すように、例えば、銅材からなるリードフレームLFを用意する。このリードフレームLFには、チップ搭載部TAB1、チップ搭載部TAB2、リードLD1およびリードLD2が一体的に形成されており、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。
続いて、図16に示すように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を搭載し、チップ搭載部TAB2上に半導体チップCHP2を搭載する。具体的には、リードフレームLFに形成されたチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を接着材ADH1で接続する。このとき、半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFがチップ搭載部TAB1の底部に形成されている開口部OP1と連通するように、半導体チップCHP1がチップ搭載部TAB1上に搭載される。なお、半導体チップCHP1には、通常の半導体製造プロセスによって流量検出部FDU、配線(図示せず)およびパッドPD1が形成される。そして、例えば、異方性エッチングにより、半導体チップCHP1の表面に形成された流量検出部FDUと相対する裏面の位置にダイヤフラムDFが形成されている。また、リードフレームLFに形成されているチップ搭載部TAB2上に、接着材ADH2によって半導体チップCHP2も搭載されている。この半導体チップCHP2には、予め、通常の半導体製造プロセスによって、MISFETなどの半導体素子(図示せず)や配線(図示せず)、パッドPD2、パッドPD3が形成されている。
次に、図17に示すように、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1と、リードフレームLFに形成されているリードLD1とをワイヤW1で接続する(ワイヤボンディング)。同様に、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD2をリードLD1とワイヤW2で接続し、半導体チップCHP2に形成されているパッドPD3をリードLD2とワイヤW3で接続する。ワイヤW1〜W3は、例えば、金線から形成される。
その後、図18に示すように、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3およびリードLD2の一部を樹脂MRで封止する(モールド工程)。具体的には、図18に示すように、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで第1空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この第1空間に樹脂MRを流し込むことにより、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の表面、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、半導体チップCHP2の主面全面、ワイヤW3およびリードLD2の一部を樹脂MRで封止する。このとき、図18に示すように、ダイヤフラムDFの内部空間は、接着材ADH1によって、上述した第1空間と隔離されているので、第1空間を樹脂MRで充填する際にも、ダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが侵入することを防止できる。
さらに、本実施の形態3では、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができる。このことは、本実施の形態3における流量センサの製造方法によれば、各流量センサの位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態3によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサで一致させることができるため、各流量センサにおいて気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態3における流量センサの製造方法の特徴は、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを第1空間とは隔離された第2空間SP2で囲まれるように、下金型BMと上金型UMで、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを挟み込むことにある。これにより、本実施の形態3によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、それ以外の半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。
さらに、本実施の形態3における流量センサの製造方法の特徴は、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを、上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFを介在させる点にある。例えば、個々の半導体チップCHP1の厚さには寸法バラツキが存在するため、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じ、この隙間から半導体チップCHP1上に樹脂MRがもれ出てしまう。一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1に加わる力が大きくなり、半導体チップCHP1が破断するおそれがある。
そこで、本実施の形態3では、上述した半導体チップCHP1の厚さバラツキに起因した半導体チップCHP1上への樹脂漏れ、あるいは、半導体チップCHP1の破断を防止するため、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFを介在させる工夫を施している。これにより、例えば、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じるが、この隙間を弾性体フィルムLAFで充填できるため、半導体チップCHP1上への樹脂漏れを防止できる。一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、弾性体フィルムLAFは柔らかいため、半導体チップCHP1の厚さを吸収するように弾性体フィルムLAFの厚さ方向の寸法が変化する。これにより、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚くても、必要以上に半導体チップCHP1へ力が加わることを防止することができ、この結果、半導体チップCHP1の破断を防止することができる。
ここで、上述した弾性体フィルムLAFを用いた製造方法でも、弾性体フィルムLAFを介して半導体チップCHP1を金型によってクランプする場合には、半導体チップCHP1上の流量検出部FDUや薄いダイヤフラムDFにクランプ加重が加わって破損する問題が生じる可能性がある。
そこで、本実施の形態3では、図18に示すように、このような流量検出部FDUや薄いダイヤフラムDFの破損を防止するために、半導体チップCHP1上の流量検出部FDUの投影面を含む上金型UMに、第2空間SP2を設置し、上金型UMの第2空間SP2に弾性体フィルムLAFを吸着させる製造方法を用いている。このように本実施の形態3によれば、金型構造と弾性体フィルムLAFを用いた製造方法によって、半導体チップCHP1上の流量検出部FDUと弾性体フィルムLAFとを接触させること無く、金型をクランプできるので、流量検出部FDUや薄いダイヤフラムDFの破損を防止することができる。
なお、上述した弾性体フィルムLAFとしては、例えば、テフロン(登録商標)やフッ素樹脂などの高分子材料を使用することができる。
続いて、本実施の形態3に特有の特徴について説明する。図18に示すように、本実施の形態3では、リードフレームLFの裏面側にも樹脂MRが流れ込む。したがって、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されているため、この開口部OP1からダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが流れ込むことが懸念される。そこで、本実施の形態3では、リードフレームLFを挟み込む下金型BMの形状に工夫を施している。具体的には、図18に示すように、下金型BMに突起状の入れ駒IP1を形成し、上金型UMと下金型BMでリードフレームLFを挟み込む際、下金型BMに形成されている突起状の入れ駒IP1がチップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1に挿入されるように構成している。これにより、開口部OP1に入れ駒IP1が隙間無く挿入されるので、開口部OP1からダイヤフラムDFの内部空間への樹脂MRの侵入を防止することができる。つまり、本実施の形態3では、下金型BMに突起状の入れ駒IP1を形成し、樹脂封止の際、この入れ駒IP1をチップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1に挿入する点に特徴がある。
さらに、本実施の形態3の特徴は、入れ駒IP1の形状に工夫を施している点にある。具体的に、本実施の形態3において、入れ駒IP1は、開口部OP1に挿入する挿入部と、この挿入部を支持する台座部から構成されており、挿入部の断面積よりも台座部の断面積が大きくなっている。これにより、入れ駒IP1は、挿入部と台座部の間に段差部が設けられる構造となり、この段差部がチップ搭載部TAB1の底面に密着することになる。
このように入れ駒IP1を構成することにより、以下に示す効果が得られる。例えば、入れ駒IP1の形状を上述した挿入部だけから構成する場合、挿入部は開口部OP1に挿入されるため、入れ駒IP1の挿入部の径は、開口部OP1の径よりもわずかに小さくなっている。したがって、入れ駒IP1を挿入部だけから構成する場合、入れ駒IP1の挿入部を開口部OP1に挿入した場合であっても、挿入した挿入部と開口部OP1の間にわずかな隙間が存在すると考えられる。この場合、隙間から樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入するおそれがある。
そこで、本実施の形態3において、入れ駒IP1を挿入部よりも断面積の大きな台座部上に挿入部を形成する構成をとっている。この場合、図18に示すように、開口部OP1の内部に入れ駒IP1の挿入部が挿入されるとともに、入れ駒IP1の台座部がチップ搭載部TAB1の底面に密着するようになる。この結果、入れ駒IP1の挿入部と開口部OP1の間にわずかな隙間が生じても、台座部がチップ搭載部TAB1の裏面にしっかり押し付けられているので、樹脂MRが開口部OP1内へ侵入することを防止できるのである。つまり、本実施の形態3では、入れ駒IP1を挿入部よりも断面積の大きな台座部上に挿入部を設けるように構成しているので、台座部によって、樹脂MRが開口部OP1にまで達することはないという点と、台座部と挿入部との間に形成される段差部がチップ搭載部TAB1に押し付けられるという点との組み合わせにより、樹脂MRが開口部OP1を介してダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを効果的に防止することができるのである。
その後、図19に示すように、樹脂MRが硬化した段階で、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態3における流量センサFS3を製造することができる。このとき製造される流量センサFS3においては、樹脂封止工程で入れ駒IP1を形成した下金型BMを使用する結果、図19に示すように、チップ搭載部TAB1の底面に開口部OP1が形成され、この開口部OP1と連通する開口部OP2が樹脂MRに形成される。この開口部OP2は、入れ駒IP1に台座部を形成した結果として生じるものであり、この開口部OP2の断面積は、開口部OP1の断面積よりも大きくなっている。これにより、本実施の形態3による流量センサFS3によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS3の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS3の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
(実施の形態4)
前記実施の形態3では、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2を樹脂MR(封止体)と一体的に形成する例について説明した。本実施の形態4では、上述した気流制御部FCU1、FCU2を設けない流量センサについて説明する。
図20は、本実施の形態4における流量センサFS4の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図20(a)は、本実施の形態4における流量センサFS4の実装構成を示す平面図である。図20(b)は、図20(a)のA−A線で切断した断面図であり、図20(c)は図20(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態4における流量センサFS4の実装構成は、気流制御部FCU1、FCU2を設けない点を除いては、前記実施の形態3における流量センサFS3の実装構成と同様である。したがって、本実施の形態4における流量センサFS4においても、前記実施の形態3で説明した第1特徴点〜第2特徴点、第4特徴点〜第6特徴点を有している。
なお、半導体チップCHP1の最外表面(素子形成面)には、接着する樹脂との応力緩衝機能、表面保護機能、あるいは、絶縁保護機能などを目的としてポリイミド膜が形成されていても良いものとする。
具体的に、本実施の形態4における流量センサFS4でも、図20(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている(第1特徴点)。つまり、本実施の形態4では、流量検出部FDU以外の半導体チップCHP1の領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態4における流量センサFS4によれば、各流量センサFS4の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態4によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFS4で一致させることができるため、各流量センサFS4において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態4における流量センサFS4でも、図20(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟んだ両側における樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2特徴点)。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を樹脂MRで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む樹脂MRの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このような本実施の形態4における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを挟んでいる樹脂MRの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い樹脂MRに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、空気の流れと並行方向の断面(図20(c))において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっていることを特徴とする(第2A特徴点)。これにより、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させることができる。具体的な第2A特徴点の詳細については、後述する実施の形態12で詳細に説明する。
さらに、空気の流れ方向(Y方向)の任意断面において、気温の変化などによるヒートサイクルで、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面が剥離すると、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題や、剥離部分で空気の流れが乱れた後、流れが乱れた空気が流量検出部FDUへ流れるので、正確な空気流量の測定が困難になる問題が生じる。そこで、本実施の形態4では、例えば、図20(c)に示すように、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)。このことから、空気の流れと並行方向の断面において、半導体チップCHP1と樹脂MRの接触面積が増えるため、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面の剥離を防止することができる。この結果、本実施の形態4によれば、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題を回避することができるとともに、流量検出部FDUの上方での空気の乱れを抑制することができるので、流量検出部FDUでの正確な空気流量の測定精度を向上させることができる。
また、本実施の形態4における流量センサFS4でも、図20(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である(第4特徴点)。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように本実施の形態4では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
さらに、本実施の形態4でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、この構成による不都合を回避するために、図20(b)および図20(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている(第5特徴点)。これにより、本実施の形態4による流量センサFS4によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS4の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS4の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
また、本実施の形態4における流量センサFS4でも、半導体チップCHP1とリードLD1だけでなく、半導体チップCHP2とリードLD1、LD2もワイヤW2、W3で接続している(第6特徴点)。これにより、本実施の形態4では、半田ボールを使用しないため、製造コストの削減を図ることができる。
以上のようにして、本実施の形態4における流量センサFS4が実装構成されているが、実際の流量センサFS4では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図21は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS4の実装構成を示す平面図である。図21に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
(実施の形態5)
前記実施の形態1〜4における流量センサFS1〜FS4では、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1と、制御回路を形成した半導体チップCHP2を含むように構成していたが、本実施の形態5では、流量検出部と制御回路とを1つの半導体チップに形成した流量センサについて説明する。
図22は、本実施の形態5における流量センサFS5の実装構成を示す図であり、樹脂で封止する前の構成を示す図である。特に、図22(a)は、本実施の形態5における流量センサFS5の実装構成を示す平面図である。図22(b)は、図22(a)のA−A線で切断した断面図であり、図22(c)は、図22(a)のB−B線で切断した断面図である。また、図22(d)は半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。
まず、図22(a)に示すように、本実施の形態5における流量センサFS5は、例えば、銅材からなるリードフレームLFを有している。このリードフレームLFは、外枠体を構成するダムバーDMで囲まれた内部にチップ搭載部TAB1を有している。そして、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。
半導体チップCHP1は、長方形形状をしており、ほぼ中央部に流量検出部FDUが形成されている。そして、流量検出部FDUと接続する配線WL1Aが半導体チップCHP1上に形成されており、この配線WL1Aは、半導体チップCHP1に形成された制御部CUと接続されている。この制御部CUには、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子や配線からなる集積回路が形成されている。具体的には、図1に示すCPU1、入力回路2、出力回路3、あるいは、メモリ4などを構成する集積回路が形成されている。そして、制御部CUは、半導体チップCHP1の長辺に沿って形成された複数のパッドPD1やパッドPD2と配線WL1Bで接続されている。すなわち、流量検出部FDUと制御部CUとは配線WL1Aで接続され、制御部CUは、配線WL1BによってパッドPD1、パッドPD2と接続されていることになる。パッドPD1は、リードフレームLFに形成されているリードLD1と、例えば、金線からなるワイヤW1を介して接続されている。一方、パッドPD2は、リードフレームLFに形成されているリードLD2と、例えば、金線からなるワイヤW2を介して接続されている。なお、半導体チップCHP1の最外表面(素子形成面)には、接着する樹脂との応力緩衝機能、表面保護機能、あるいは、絶縁保護機能などを目的としてポリイミド膜が形成されていても良いものとする。
リードLD1およびリードLD2は、気体の流れるY方向と直交するX方向に延在するように配置されており、外部回路との入出力を行なう機能を有している。一方、リードフレームLFのY方向に沿って、突出リードPLDが形成されている。この突出リードPLDは、チップ搭載部TAB1と接続されているが、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1、PD2とは接続されていない。つまり、突出リードPLDは、上述した入出力端子として機能するリードLD1やリードLD2とは異なる。
ここで、本実施の形態5においては、長方形形状した半導体チップCHP1の長辺が気体の流れる方向(矢印方向、Y方向)に並行するように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。そして、半導体チップCHP1の長辺には、長辺方向に沿って複数のパッドPD1、PD2が配置されている。これらの複数のパッドPD1のそれぞれと、複数のリードLD1のそれぞれが、半導体チップCHP1の長辺を跨ぐように配置された複数のワイヤW1で接続されている。同様に、複数のパッドPD2のそれぞれと、複数のリードLD2のそれぞれが、半導体チップCHP1の長辺を跨ぐように配置された複数のワイヤW2で接続されている。このように長方形形状の半導体チップCHP1の長辺に沿って複数のパッドPD1、PD2を配置しているので、半導体チップCHP1の短辺方向に複数のパッドPD1、PD2を配置する場合に比べて、多くのパッドPD1、PD2を半導体チップCHP1に形成することができる。特に、本実施の形態5では、半導体チップCHP1に制御部CUだけでなく流量検出部FDUも一緒に形成されているので、多数のパッドPD1、PD2を長辺方向に並べることにより、半導体チップCHP1上の領域を有効活用することができる。
続いて、図22(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が搭載されている。この半導体チップCHP1は、接着材ADH1によってチップ搭載部TAB1と接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。
さらに、図22(b)に示すように、半導体チップCHP1の表面(上面)には、流量検出部FDUの他に、パッドPD1やパッドPD2が形成されており、このパッドPD1は、リードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されている。同様に、パッドPD2は、リードフレームLFに形成されたリードLD2とワイヤW2を介して接続されている。
また、図22(c)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1と突出リードPLDが形成されており、チップ搭載部TAB1と突出リードPLDは一体的に形成されている。このチップ搭載部TAB1上には、接着材ADH1によって半導体チップCHP1が接着している。半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDF(薄板部)が形成されており、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUが形成されている。一方、ダイヤフラムDFの下方に存在するチップ搭載部TAB1の底部には開口部OP1が形成されている。また、半導体チップCHP1の表面には、流量検出部FDUと並ぶように制御部CUが形成されている。
半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1とを接着している接着材ADH1は、例えば、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂を使用することができる。
例えば、半導体チップCHP1とチップ搭載部TAB1の接着は、図22(d)に示すように接着材ADH1を塗布することにより行うことができる。図22(d)は、半導体チップCHP1の裏面を示す平面図である。図22(d)に示すように、半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1が塗布されている。なお、図22(c)では、ダイヤフラムDFを四角形形状に囲むように接着材ADH1を塗布する例を示しているが、これに限らず、例えば、ダイヤフラムDFを楕円形状などの任意の形状で囲むように接着材ADH1を塗布してもよい。
本実施の形態5における流量センサFS5において、樹脂で封止する前の流量センサFS5の実装構成は上記のように構成されており、以下に、樹脂で封止した後の流量センサFS5の実装構成について説明する。
図23は、本実施の形態5における流量センサFS5の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図23(a)は、本実施の形態5における流量センサFS5の実装構成を示す平面図である。図23(b)は、図23(a)のA−A線で切断した断面図であり、図23(c)は図23(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態5における流量センサFS5でも、図23(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全体が樹脂MRで覆われた構造をしている(第1特徴点)。つまり、本実施の形態5では、流量検出部FDU以外の半導体チップCHP1の領域および半導体チップCHP2の全領域を一括して樹脂MRで封止している。この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態5における流量センサFS5によれば、各流量センサFS5の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部および半導体チップCHP2の全領域を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態5によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFS5で一致させることができるため、各流量センサFS5において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態5における流量センサFS5でも、図23(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟んだ両側における樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2特徴点)。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を樹脂MRで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む樹脂MRの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このような本実施の形態5における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを挟んでいる樹脂MRの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い樹脂MRに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、空気の流れと並行方向の断面(図23(c))において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっていることを特徴とする(第2A特徴点)。これにより、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させることができる。具体的な第2A特徴点の詳細については、後述する実施の形態12で詳細に説明する。
さらに、空気の流れ方向(Y方向)の任意断面において、気温の変化などによるヒートサイクルで、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面が剥離すると、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題や、剥離部分で空気の流れが乱れた後、流れが乱れた空気が流量検出部FDUへ流れるので、正確な空気流量の測定が困難になる問題が生じる。そこで、本実施の形態5では、例えば、図23(c)に示すように、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)。このことから、空気の流れと並行方向の断面において、半導体チップCHP1と樹脂MRの接触面積が増えるため、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面の剥離を防止することができる。この結果、本実施の形態5によれば、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題を回避することができるとともに、流量検出部FDUの上方での空気の乱れを抑制することができるので、流量検出部FDUでの正確な空気流量の測定精度を向上させることができる。
次に、本実施の形態1における流量センサFS5でも、図23(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MR(封止体)と一体的に形成されている(第3特徴点)。これにより、まず、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。そして、一対の気流制御部FCU1、FCU2は、樹脂MRと一体的に寸法精度の高い金型による挟み込みで高精度に形成されている。このことから、本実施の形態5における流量センサFS5によれば、一対の気流制御部FCU1、FCU2の寸法精度によって気体の流れが乱されることもなく正確に気体の流量を測定することができる。さらに、本実施の形態5では、上述したように、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。このため、気体の流路寸法を絞った状態で流量検出部FDUの上部に気体を流すことができる。この結果、本実施の形態5における流量センサFS5によれば、特に、流れる気体の流量が少ない場合でも、気体流量の検出感度の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態5における流量センサFS5でも、図23(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である(第4特徴点)。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように本実施の形態5では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
続いて、本実施の形態5における流量センサFS5も、第5特徴点と第6特徴点を有しているが、これらの特徴点を説明する前提として、図23(b)および図23(c)の構造について説明する。図23(b)は、図23(a)のA−A線での断面図であり、図23(c)は、図23(a)のB−B線での断面図である。
図23(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。さらに、リードフレームLFの裏面は、樹脂MRで覆われているが、リードフレームLFの裏面のうち、チップ搭載部TAB1の裏面に形成されている樹脂MRには、開口部OP2が形成されている。このチップ搭載部TAB1に形成されている開口部OP1と、樹脂MRに形成されている開口部OP2は連通しており、この開口部OP1および開口部OP2を介して、ダイヤフラムDFの内部空間は、流量センサFS3の外部空間とつながっている。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも小さくなるように構成されている。言い換えれば、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなるように構成されている。
一方、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には流量検出部FDUが形成されており、さらに、パッドPD1およびパッドPD2が形成されている。このパッドPD1はリードフレームLFに形成されたリードLD1とワイヤW1を介して接続されており、パッドPD2はリードフレームLFに形成されたリードLD2とワイヤW2を介して接続されている。そして、本実施の形態5における流量センサFS5では、流量検出部FDUおよびその近傍を露出した状態で、その他の領域(パッドPD1、パッドPD2を含む)である半導体チップCHP1の一部、ワイヤW1、リードLD1、ワイヤW2、リードLD2の一部が樹脂MRで一括封止されている。このとき、露出している流量検出部FDUと樹脂MRの境界領域はテーパ形状TP2となっており、流量検出部FDUを挟むように一対の気流制御部FCU1、FCU2が樹脂MRと一体的に形成されている。
また、図23(c)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成され、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2が形成されている。このチップ搭載部TAB1に形成されている開口部OP1と、樹脂MRに形成されている開口部OP2は連通しており、この開口部OP1および開口部OP2を介して、ダイヤフラムDFの内部空間は、流量センサFS3の外部空間とつながっている。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも小さくなるように構成されている。言い換えれば、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなるように構成されている。
一方、ダイヤフラムDFと相対する半導体チップCHP1の表面には流量検出部FDUや制御部CUが形成されており、半導体チップCHP1の周囲を囲むように樹脂MRが形成されている。このとき、流量検出部FDUと樹脂MRの境界領域はテーパ形状TP1となっており、このテーパ形状TP1の角度は、図23(b)に示すテーパ形状TP2の角度よりも緩やかになっている。
ここで、本実施の形態5でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、この構成による不都合を回避するために、図23(b)および図23(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている(第5特徴点)。これにより、本実施の形態5による流量センサFS5によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS3の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS3の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
また、本実施の形態5における流量センサFS5では、半導体チップCHP1とリードLD1および半導体チップCHP1とリードLD2をワイヤW1、W2で接続している(第6特徴点)。これにより、本実施の形態5では、半田ボールを使用しないため、製造コストの削減を図ることができる。
以上のようにして、本実施の形態5における流量センサFS5が実装構成されているが、実際の流量センサFS5では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図24は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS5の実装構成を示す平面図である。図24に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD1やリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
<実施の形態5における流量センサの製造方法>
本実施の形態5における流量センサFS5は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について、図25〜図28を参照しながら説明する。図25〜図28は、図23(a)のB−B線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図25に示すように、例えば、銅材からなるリードフレームLFを用意する。このリードフレームLFには、チップ搭載部TAB1と突出リードPLDが一体的に形成されており、チップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。
続いて、図26に示すように、チップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を搭載する。具体的には、リードフレームLFに形成されたチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1を接着材ADH1で接続する。このとき、半導体チップCHP1に形成されているダイヤフラムDFがチップ搭載部TAB1の底部に形成されている開口部OP1と連通するように、半導体チップCHP1がチップ搭載部TAB1上に搭載される。なお、半導体チップCHP1には、通常の半導体製造プロセスによって流量検出部FDU、配線(図示せず)、制御部CUが形成される。特に、制御部CUには、通常の半導体製造プロセスによって、MISFETなどの半導体素子(図示せず)や配線(図示せず)が形成されている。そして、例えば、異方性エッチングにより、半導体チップCHP1の表面に形成された流量検出部FDUと相対する裏面の位置にダイヤフラムDFが形成されている。
次に、図示はしないが、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD1と、リードフレームLFに形成されているリードLD1とをワイヤW1で接続する(ワイヤボンディング)。同様に、半導体チップCHP1に形成されているパッドPD2をリードLD2とワイヤW2で接続する。ワイヤW1〜W2は、例えば、金線から形成される。
その後、図27に示すように、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の表面を樹脂MRで封止する(モールド工程)。具体的には、図27に示すように、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで第1空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この第1空間にプランジャPJを使用して樹脂MRを流し込むことにより、流量検出部FDUおよびその近傍を除く半導体チップCHP1の表面を樹脂MRで封止する。このとき、図27に示すように、ダイヤフラムDFの内部空間は、接着材ADH1によって、上述した第1空間と隔離されているので、第1空間を樹脂MRで充填する際にも、ダイヤフラムDFの内部空間へ樹脂MRが侵入することを防止できる。
さらに、本実施の形態5では、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止することができる。このことは、本実施の形態5における流量センサの製造方法によれば、各流量センサの位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態5によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサで一致させることができるため、各流量センサにおいて気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態5における流量センサの製造方法の特徴は、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを第1空間とは隔離された第2空間SP2で囲まれるように、下金型BMと上金型UMで、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを挟み込むことにある。これにより、本実施の形態5によれば、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUおよびその近傍領域を露出させつつ、それ以外の半導体チップCHP1の表面領域を封止することができる。
さらに、本実施の形態5における流量センサの製造方法の特徴は、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを、上金型UMと下金型BMで挟み込む際、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFと上金型UMとの間に弾性体フィルムLAFを介在させる点にある。これにより、例えば、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも薄い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、隙間が生じるが、この隙間を弾性体フィルムLAFで充填できるため、半導体チップCHP1上への樹脂漏れを防止できる。一方、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚い場合、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMで挟み込む際、弾性体フィルムLAFは柔らかいため、半導体チップCHP1の厚さを吸収するように弾性体フィルムLAFの厚さ方向の寸法が変化する。これにより、半導体チップCHP1の厚さが平均的な厚さよりも厚くても、必要以上に半導体チップCHP1へ力が加わることを防止することができ、この結果、半導体チップCHP1の破断を防止することができる。
ここで、上述した弾性体フィルムLAFを用いた製造方法でも、弾性体フィルムLAFを介して半導体チップCHP1を金型によってクランプする場合には、半導体チップCHP1上の流量検出部FDUや薄いダイヤフラムDFにクランプ加重が加わって破損する問題が生じる可能性がある。
そこで、本実施の形態5では、図27に示すように、このような流量検出部FDUや薄いダイヤフラムDFの破損を防止するために、半導体チップCHP1上の流量検出部FDUの投影面を含む上金型UMに、第2空間SP2を設置し、上金型UMの第2空間SP2に弾性体フィルムLAFを吸着させる製造方法を用いている。このように本実施の形態5によれば、金型構造と弾性体フィルムLAFを用いた製造方法によって、半導体チップCHP1上の流量検出部FDUと弾性体フィルムLAFとを接触させること無く、金型をクランプできるので、流量検出部FDUや薄いダイヤフラムDFの破損を防止することができる。
なお、上述した弾性体フィルムLAFとしては、例えば、テフロン(登録商標)やフッ素樹脂などの高分子材料を使用することができる。
また、本実施の形態5における流量センサの製造方法の特徴は、下金型BMに形成される入れ駒IP1を挿入部よりも断面積の大きな台座部上に挿入部を形成する構成をとっている点にある。この場合、図27に示すように、開口部OP1の内部に入れ駒IP1の挿入部が挿入されるとともに、入れ駒IP1の台座部がチップ搭載部TAB1の底面に密着するようになる。この結果、入れ駒IP1の挿入部と開口部OP1の間にわずかな隙間が生じても、台座部がチップ搭載部TAB1の裏面にしっかり押し付けられているので、樹脂MRが開口部OP1内へ侵入することを防止できるのである。つまり、本実施の形態5では、入れ駒IP1を挿入部よりも断面積の大きな台座部上に挿入部を設けるように構成しているので、台座部によって、樹脂MRが開口部OP1にまで達することはないという点と、台座部と挿入部との間に形成される段差部がチップ搭載部TAB1に押し付けられるという点との組み合わせにより、樹脂MRが開口部OP1を介してダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを効果的に防止することができる。
その後、図28に示すように、樹脂MRが硬化した段階で、半導体チップCHP1を搭載したリードフレームLFを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態5における流量センサFS5を製造することができる。このとき製造される流量センサFS5においては、樹脂封止工程で、入れ駒IP1を形成した下金型BMを使用する結果、図28に示すように、チップ搭載部TAB1の底面に開口部OP1が形成され、この開口部OP1と連通する開口部OP2が樹脂MRに形成される。この開口部OP2は、入れ駒IP1に台座部を形成した結果として生じるものであり、この開口部OP2の断面積は、開口部OP1の断面積よりも大きくなっている。これにより、本実施の形態5による流量センサFS5によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS5の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS5の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
(実施の形態6)
前記実施の形態5では、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2を樹脂MR(封止体)と一体的に形成する例について説明した。本実施の形態6では、上述した気流制御部FCU1、FCU2を設けない流量センサについて説明する。
図29は、本実施の形態6における流量センサFS6の実装構成を示す図であり、樹脂で封止した後の構成を示す図である。特に、図29(a)は、本実施の形態6における流量センサFS6の実装構成を示す平面図である。図29(b)は、図29(a)のA−A線で切断した断面図であり、図29(c)は図29(a)のB−B線で切断した断面図である。
本実施の形態6における流量センサFS6の実装構成は、気流制御部FCU1、FCU2を設けない点を除いては、前記実施の形態5における流量センサFS5の実装構成と同様である。したがって、本実施の形態6における流量センサFS6においても、前記実施の形態5で説明した第1特徴点〜第2特徴点、第4特徴点〜第6特徴点を有している。なお、半導体チップCHP1の最外表面(素子形成面)には、接着する樹脂との応力緩衝機能、表面保護機能、あるいは、絶縁保護機能などを目的としてポリイミド膜が形成されていても良いものとする。
具体的に、本実施の形態6における流量センサFS6でも、図29(a)に示すように、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUを露出した状態で、半導体チップCHP1の一部が樹脂MRで覆われた構造をしている(第1特徴点)。つまり、本実施の形態6では、流量検出部FDU以外の半導体チップCHP1の領域を一括して樹脂MRで封止している。この樹脂MRによる封止は、流量検出部FDUが形成されている半導体チップCHP1を金型で固定した状態で行なうことができるので、半導体チップCHP1の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止することができるのである。このことは、本実施の形態6における流量センサFS6によれば、各流量センサFS6の位置ずれを抑制しながら、半導体チップCHP1の一部を樹脂MRで封止できることを意味し、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUの位置のバラツキを抑制できることを意味する。この結果、本実施の形態6によれば、気体の流量を検出する流量検出部FDUの位置が各流量センサFS6で一致させることができるため、各流量センサFS6において気体流量を検出する性能バラツキを抑制できる顕著な効果を得ることができる。
続いて、本実施の形態6における流量センサFS6でも、図29(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟んだ両側における樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2特徴点)。つまり、露出している流量検出部FDUは、周囲を樹脂MRで囲まれ、かつ、流量検出部FDUを囲む樹脂MRの高さが流量検出部FDUの高さよりも高くなっている。このような本実施の形態6における第2特徴点によれば、部品の取り付け組み立て時などに部品が露出している流量検出部FDUにぶつかることを防止できるので、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の破損を防止できる。すなわち、露出している流量検出部FDUの高さよりも流量検出部FDUを挟んでいる樹脂MRの高さが高くなっている。このため、部品が接触する際、まず、高さの高い樹脂MRに接触するので、高さの低い流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の露出面(XY面)が部品に接触して、半導体チップCHP1が破損することを防止できる。
特に、空気の流れと並行方向の断面(図29(c))において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっていることを特徴とする(第2A特徴点)。これにより、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させることができる。具体的な第2A特徴点の詳細については、後述する実施の形態12で詳細に説明する。
さらに、空気の流れ方向(Y方向)の任意断面において、気温の変化などによるヒートサイクルで、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面が剥離すると、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題や、剥離部分で空気の流れが乱れた後、流れが乱れた空気が流量検出部FDUへ流れるので、正確な空気流量の測定が困難になる問題が生じる。そこで、本実施の形態6では、例えば、図29(c)に示すように、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)。このことから、空気の流れと並行方向の断面において、半導体チップCHP1と樹脂MRの接触面積が増えるため、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面の剥離を防止することができる。この結果、本実施の形態6によれば、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題を回避することができるとともに、流量検出部FDUの上方での空気の乱れを抑制することができるので、流量検出部FDUでの正確な空気流量の測定精度を向上させることができる。
また、本実施の形態6における流量センサFS6でも、図29(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である(第4特徴点)。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように本実施の形態6では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
さらに、本実施の形態6でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、この構成による不都合を回避するために、図29(b)および図29(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている(第5特徴点)。これにより、本実施の形態6による流量センサFS6によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS4の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS4の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
また、本実施の形態6における流量センサFS6でも、半導体チップCHP1とリードLD1をワイヤW1で接続し、かつ、半導体チップCHP1とリードLD2をワイヤW2で接続している(第6特徴点)。これにより、本実施の形態6では、半田ボールを使用しないため、製造コストの削減を図ることができる。
以上のようにして、本実施の形態6における流量センサFS6が実装構成されているが、実際の流量センサFS6では、樹脂MRで封止した後、リードフレームLFの外枠体を構成するダムバーDMが除去される。図30は、ダムバーDMを除去した後の流量センサFS6の実装構成を示す平面図である。図30に示すように、ダムバーDMを切断することにより、複数の電気信号を複数のリードLD1やリードLD2から独立して取り出すことができることがわかる。
(実施の形態7)
前記実施の形態1〜2では、配線基板WBに開口部OP1を設けることにより、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS1〜FS2の外部空間とを連通させる構成について説明した。また、前記実施の形態3〜6では、チップ搭載部TAB1に形成された開口部OP1と、樹脂MRに形成された開口部OP2を介して、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS3〜FS6の外部空間とを連通させる構成について説明した。本実施の形態7では、これらの手段とは異なる別の手段を用いることにより、ダイヤフラムの内部空間と流量センサの外部空間とを連通させる構造について説明する。
図31は、本実施の形態7における流量センサFS7の実装構成を示す図である。特に、図31(a)は、本実施の形態7における流量センサFS7の実装構成を示す平面図であり、図31(b)は、図31(a)のA−A線で切断した断面図である。図31(a)および図31(b)に示す本実施の形態7における流量センサFS7の実装構成は、図23(a)〜図23(c)に示す前記実施の形態5における流量センサFS5とほぼ同様であるため、異なる点について説明する。
図31(a)に示すように、本実施の形態7における流量センサFS7では、樹脂MRから露出している流量検出部FDUの近傍に孔HLが形成されている。つまり、本実施の形態7における流量センサFS7では、樹脂MRから露出している半導体チップの表面に孔HLが形成されている点に特徴がある。
この孔HLの構成を図31(b)で説明する。図31(b)に示すように、本実施の形態7における流量センサFS7は、突出リードPLDと一体的に形成されたチップ搭載部TAB1を有している。本実施の形態7では、このチップ搭載部TAB1に開口部OP1は形成されておらず、かつ、チップ搭載部TAB1の底面を覆う樹脂MRにも開口部OP2は形成されていない。
一方、チップ搭載部TAB1上には接着材ADH1によって半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1の裏面にダイヤフラムDFが形成されている。そして、ダイヤフラムDFに相対する半導体チップCHP1の表面に流量検出部FDUが形成され、この流量検出部FDUの横側に制御部CUが形成されている。そして、半導体チップCHP1の表面は、流量検出部FDUとその近傍領域を露出した状態で、その他の領域が樹脂MRで覆われている。このとき、樹脂MRから露出している半導体チップCHP1の表面に孔HLが形成されている。この孔HLは、半導体チップCHP1の表面から、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFまで貫通するように形成されている。したがって、本実施の形態7における流量センサFS7によれば、この孔HLによって、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS7の外部空間が連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS7の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
以上のように本実施の形態7における流量センサFS7では、樹脂MRから露出している半導体チップCHP1の表面から、ダイヤフラムDFが形成されている半導体チップCHP1の裏面に貫通する孔HLを形成することにより、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS7の外部空間とを連通させている点に特徴がある。
なお、本実施の形態7では、前記実施の形態5における流量センサFS5に孔HLを設ける構成例について説明したが、本実施の形態7における技術的思想は、これに限らず、例えば、前記実施の形態1〜4、6における流量センサFS1〜FS4、FS6にも適用することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態8では、ダイヤフラムの内部空間と、流量センサの外部空間とを連通させる別の構成例について説明する。
図32は、本実施の形態8における流量センサFS8の実装構成を示す図である。特に、図32(a)は、本実施の形態8における流量センサFS8の実装構成を示す平面図であり、図32(b)は、図32(a)のA−A線で切断した断面図である。図32(a)および図32(b)に示す本実施の形態8における流量センサFS8の実装構成は、図23(a)〜図23(c)に示す前記実施の形態5における流量センサFS5とほぼ同様であるため、異なる点について説明する。
図32(a)に示すように、本実施の形態8における流量センサFS8では、突出リードPLDに溝DITが形成されている。つまり、本実施の形態8における流量センサFS8では、突出リードPLDに溝DITが形成されている点に特徴がある。
この突出リードPLDに形成された溝DITの構成を図32(b)で説明する。図32(b)に示すように、本実施の形態8における流量センサFS8は、突出リードPLDと一体的に形成されたチップ搭載部TAB1を有している。本実施の形態8では、このチップ搭載部TAB1に開口部OP1は形成されておらず、かつ、チップ搭載部TAB1の底面を覆う樹脂MRにも開口部OP2は形成されていない。
一方、チップ搭載部TAB1上には接着材ADH1によって半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1の裏面にダイヤフラムDFが形成されている。そして、ダイヤフラムDFに相対する半導体チップCHP1の表面に流量検出部FDUが形成され、この流量検出部FDUの横側に制御部CUが形成されている。そして、半導体チップCHP1の表面は、流量検出部FDUとその近傍領域を露出した状態で、その他の領域が樹脂MRで覆われている。
このとき、本実施の形態8では、突出リードPLDに形成された溝DITがチップ搭載部TAB1まで延在しており、ダイヤフラムDFが形成されている領域下のチップ搭載部TAB1にまで達している。したがって、本実施の形態8における流量センサFS8によれば、この溝DITによって、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS8の外部空間が連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS8の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
以上のように本実施の形態8における流量センサFS8では、突出リードPLDから、ダイヤフラムDFが形成されている領域下のチップ搭載部TAB1にまで溝DITを形成することにより、ダイヤフラムDFの内部空間と、流量センサFS8の外部空間とを連通させている点に特徴がある。
なお、本実施の形態8では、前記実施の形態5における流量センサFS5に溝DITを設ける構成例について説明したが、本実施の形態8における技術的思想は、これに限らず、例えば、前記実施の形態1〜4、6における流量センサFS1〜FS4、FS6にも適用することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態9では、流量センサを組み込んだ流量センサモジュールについて説明する。図33は、本実施の形態9における流量センサモジュールの実装構成を示す図である。特に、図33(a)は、本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1の実装構成を示す平面図である。また、図33(b)は、図33(a)のA−A線で切断した断面図であり、図33(c)は、図33(a)のB−B線で切断した断面図である。
まず、図33(a)に示すように、本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1は、矩形形状をした樹脂MR2からなる構造体を有し、この構造体を構成している樹脂MR2に形成された溝により気体流路部PASが形成されている。そして、気体流路部PASと連通するように流量センサFS5が樹脂MR2に埋め込まれている。このとき、樹脂MR2からは、流量センサFS5を構成する一対の気流制御部FCU1、FCU2、流量検出部FDUおよび配線WL1Aの一部が露出している。樹脂MR2は、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂から構成することができる。そして、これらの樹脂中にガラスやマイカなどの充填材を入れるように構成してもよい。
本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1において、気体は気体流路部PASを矢印方向に沿って流れるようになっており、気体流路部PASと連通するように設けられている流量センサFS5上を気体が通過し、その後、図示しない出口から気体が排出されるように構成されている。
このとき、流量センサFS5は、図33(a)に示すように、露出している流量検出部FDUを挟み、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向と並行する方向に長尺形状を有する一対の気流制御部FCU1、FCU2を樹脂MR(封止体)と一体的に形成している。これにより、まず、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。そして、一対の気流制御部FCU1、FCU2は、樹脂MRと一体的に寸法精度の高い金型による挟み込みで高精度に形成されている。このことから、流量センサFS5によれば、一対の気流制御部FCU1、FCU2の寸法精度によって気体の流れが乱されることもなく正確に気体の流量を測定することができる。さらに、一対の気流制御部FCU1、FCU2が流量検出部FDUの上部を流れる気体の両側の通路を形成している。このため、気体の流路寸法を絞った状態で流量検出部FDUの上部に気体を流すことができる。この結果、流量センサFS5によれば、特に、流れる気体の流量が少ない場合でも、気体流量の検出感度の低下を抑制することができる。
また、流量センサFS5は、図33(a)に示すように、樹脂MR(封止体)から露出している流量検出部FDUと樹脂MR(封止体)との境界領域がテーパ形状をしており、境界領域のうち、流量検出部FDU上を流れる気体の進行方向(矢印方向、Y方向)と直交する境界領域のテーパ形状は、気体の進行方向と並行する境界領域のテーパ形状よりも急峻である。すなわち、流量検出部FDUの気体の流れと直交する方向(X方向)のテーパ形状TP2の角度は、流量検出部FDUの気体の流れる方向(Y方向)のテーパ形状TP1の角度よりも急峻である。このように流量センサFS5では、気体の流れる方向(Y方向)において、テーパ形状TP1の角度を小さくすることにより、Y方向に流れる気体の流路の寸法変化を少なくすることができる。これにより、樹脂MRから気体の剥離を防止できるので、気体の逆流や乱流による流量測定のずれを抑制することができる。一方、気体の流れる方向と直交する方向(X方向)において、テーパ形状TP2の角度を大きくすることにより、気体流路の壁を形成することができ、X方向への気体流動を抑制することができる。
次に、図33(b)に示すように、気体流路部PASが形成された樹脂MR2に埋め込まれるように流量センサFS5が形成されており、流量センサFS5に形成されているリードLD1およびリードLD2は、折り曲げられて、樹脂MR2の下方から突き出るように構成されている。そして、気体流路部PASが形成された樹脂MR2の上部にはカバーCAPが形成されている。このカバーCAPは、例えば、アルミニウム合金などの金属材料、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂から構成することができる。そして、これらの樹脂中にガラスやマイカなどの充填材を入れるように構成してもよい。
流量センサFS5を構成する半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFと平面的に見て重なるチップ搭載部TAB1に開口部OP1が形成されている。そして、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRには開口部OP2が形成されており、開口部OP1と開口部OP2は連通している。さらに、開口部OP2を形成した樹脂MRの裏面を覆うように樹脂MR2が形成されている、この樹脂MR2に開口部OP3が形成されている。この開口部OP3は、開口部OP2と連通している。したがって、チップ搭載部TAB1に形成されている開口部OP1と、樹脂MRに形成されている開口部OP2と、樹脂MR2に形成されている開口部OP3は、互いに連通しており、これによって、ダイヤフラムDFの内部空間は、開口部OP1、開口部OP2および開口部OP3を介して流量センサモジュールFSM1の外部空間と連通していることになる。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも小さく、かつ、開口部OP2の断面積は、開口部OP3の断面積よりも小さくなっている。
続いて、図33(c)に示すように、気体流路部PASが形成された樹脂MR2に埋め込まれている流量センサFS5からは突出リードPLDが突き出ており、この突き出ている突出リードPLDは折り曲げられ、ガルウィング形状に加工されている。
以上のように構成されている本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1の実装構成は以下のようになる。すなわち、本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1は、半導体基板の主面上に形成された流量検出部FDUと、半導体基板の主面とは反対側の裏面のうち、流量検出部FDUと相対する領域に形成されたダイヤフラムDFとを有する半導体チップCHP1を、流量検出部FDUを露出させつつ、樹脂MRで封止した流量センサFS5と、流量センサFS5の流量検出部FDUへ気体を誘導する気体流路部PASとを備える。このとき、流量センサモジュールFSM1は、流量センサFS5を封止している樹脂MRのさらに外側を覆うように形成され、かつ、流量検出部FDUを露出するように形成された樹脂MR2を有する。そして、気体流路部PASは、樹脂MR2の表面に形成された溝から構成されており、樹脂MR2の表面に形成された溝から構成された気体流路部PASは、流量センサFS5の流量検出部FDUと繋がるように形成されており、気体が気体流路部PASを通って、流量センサFS5の流量検出部FDUへ誘導されるように構成されているものである。
本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1は、例えば、気体流路部PASと流量センサFS5を含む部品で構成され、図33(b)に示すように、樹脂MR2に形成された溝と組み合わせて気体流路部PASを構成するカバーCAPを設置したり、流量センサモジュールFSM1を外部機器にネジで接続するためのネジ取り付け穴なども設けることができる。
なお、本実施の形態9では、例えば、気体流路部PASを樹脂MR2に形成された溝で形成する例を示しているが、これに限定されず、カバーCAPに溝加工を施して気体流路部PASを形成するように構成してもよい。
本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について図34〜図36を参照しながら説明する。図34〜図36は、図33(a)のB−B線で切断した断面における製造工程を示している。
まず、図34に示すように、流量センサFS5を製造する。流量センサFS5は、例えば、前記実施の形態5で説明した方法で製造することができる。続いて、図35に示すように、樹脂MRから突き出ている突出リードPLDに対して折り曲げ加工を実施する。つまり、図35に示すように、樹脂MRから突き出ている突出リードPLDは、ガルウィング形状に折り曲げ加工される。
その後、図36に示すように、突出リードPLDを折り曲げ加工した流量センサFS5を上金型UMと下金型BMで空間を介して挟み込む。その後、加熱下において、この空間に樹脂MR2を流し込むことにより、流量センサFS5をさらに樹脂MR2で封止する。このとき、図36に示すように、半導体チップCHP1の表面上に形成されている流量検出部FDUの高さは、流量検出部FDUを挟む樹脂MRの高さよりも低くなっているので、流量センサFS5を上金型UMと下金型BMで挟み込んだ場合、上金型UMの下面は流量センサFS5の樹脂MRの上面に接触し、この樹脂MRの上面よりも低い位置に形成されている流量検出部FDUには接触しない。すなわち、露出している流量検出部FDUと上金型UMとの間には隙間が形成される。このため、流量センサFS5をさらに樹脂MR2で封止する際にも、半導体チップCHP1に形成されている流量検出部FDUは露出したままの状態を維持することができる。
ここで、本実施の形態9における特徴は、流量センサFS5から突出している突出リードPLDに折り曲げ加工を施している点にある。これにより、流量センサFS5を上金型UMと下金型BMで挟み込んだ場合、折り曲げ加工された突出リードPLDが下金型BMに押し付けられることになり、この下金型BMに押し付けられた突出リードPLDによって流量センサFS5は、上金型UMと下金型BMの間で固定される。すなわち、折り曲げ加工された突出リードPLDは、流量センサFS5を所定位置へ確実に固定するための機能を有することになる。(位置決め機能)。これにより、流量センサFS5を所定位置に固定した状態で樹脂MR2による封止を行なうことができる。
さらに、本実施の形態9における流量センサモジュールの製造方法の特徴は、下金型BMに形成される入れ駒IP2を、断面積の大きな台座部上に挿入部を形成する構成をとっている点にある。この場合、図36に示すように、開口部OP1の内部に入れ駒IP2の第1挿入部が挿入され、かつ、開口部OP2の内部に入れ駒IP2の第2挿入部が挿入される。そして、この入れ駒IP2には、第2挿入部の下に台座部が形成されており、この台座部が樹脂MRの底面に密着するようになる。この結果、入れ駒IP2の第1挿入部と開口部OP1の間や第2挿入部と開口部OP2の間にわずかな隙間が生じても、台座部が樹脂MRの裏面にしっかり押し付けられているので、樹脂MR2が開口部OP1や開口部OP2内へ侵入することを防止できるのである。つまり、本実施の形態9では、入れ駒IP2を第2挿入部よりも断面積の大きな台座部上に第2挿入部を設けるように構成しているので、台座部によって、樹脂MR2が開口部OP1や開口部OP2にまで達することはないという点と、台座部と第2挿入部との間に形成される段差部が樹脂MRに押し付けられるという点との組み合わせにより、樹脂MR2が開口部OP1と開口部OP2を介してダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを効果的に防止することができる。
その後、樹脂MR2が硬化した段階で、流量センサFS5を樹脂MR2で封止した流量センサモジュールを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態9における流量センサモジュールを製造することができる。このとき製造される流量センサモジュールにおいては、樹脂封止工程で、入れ駒IP2を形成した下金型BMを使用する結果、図36に示すように、チップ搭載部TAB1の底面に開口部OP1が形成され、この開口部OP1と連通する開口部OP2が樹脂MRに形成され、さらに、開口部OP2と連通する開口部OP3が樹脂MR3に形成される。この開口部OP3は、入れ駒IP2に台座部を形成した結果として生じるものであり、この開口部OP3の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなっている。これにより、本実施の形態9による流量センサモジュールによれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1と樹脂MRに形成された開口部OP2と樹脂MR2に形成された開口部OP3を介して流量センサモジュールの外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサモジュールの外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
なお、本実施の形態9における流量センサモジュールFSM1では、前記実施の形態5で説明した流量センサFS5を使用する例について説明したが、本発明の技術的思想はこれに限らず、前記実施の形態1〜4で説明した流量センサFS1〜FS4や前記実施の形態6〜8で説明した流量センサFS6〜FS8を樹脂MR2で一体的に封止した流量センサモジュールにも幅広く適用することができる。例えば、これらの流量センサFS1〜FS4、FS6〜FS8を使用した流量センサモジュールでも、気体流路部PASを樹脂MR2の表面に形成された溝から形成し、この気体流路部PASを、流量センサFS1〜FS4、FS6〜FS8の流量検出部FDUと繋がるように形成して、気体が気体流路部PASを通って、流量センサFS1〜FS4、FS6〜FS8の流量検出部FDUへ誘導されるように構成することができる。
ここで、流量センサFS1や流量センサFS2は、配線基板WBを使用した構成をしているが、この場合、図5(b)や図11(b)に示すように、配線基板WBの裏面に樹脂MRが形成されない。したがって、このように構成されている流量センサFS1や流量センサFS2を使用した流量センサモジュールでは、配線基板WBの裏面に直接樹脂MR2が形成され、この樹脂MR2に開口部OP3が形成される。このため、流量センサFS1〜FS2を構成する半導体チップCHP1の裏面には、ダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFと平面的に見て重なる配線基板WBに開口部OP1が形成されている。そして、配線基板WBの裏面を覆う樹脂MR2には開口部OP3が形成されており、開口部OP1と開口部OP3は連通するように構成されることになる。これによって、ダイヤフラムDFの内部空間は、開口部OP1および開口部OP3を介して流量センサモジュールの外部空間と連通することになる。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP3の断面積よりも小さくなる。
(実施の形態10)
本実施の形態10では、前記実施の形態9で説明した流量センサモジュールFSM1の変形例について説明する。
図37は、本実施の形態10における流量センサモジュールFSM2の実装構成を示す図である。特に、図37(a)は、本実施の形態10における流量センサモジュールFSM2の実装構成を示す平面図である。また、図37(b)は、図37(a)のA−A線で切断した断面図であり、図37(c)は、図37(a)のB−B線で切断した断面図である。図37(a)〜(c)に示す本実施の形態10における流量センサモジュールFSM2の実装構成は、図33(a)〜(c)に示す前記実施の形態9における流量センサモジュールFSM1とほぼ同様であるため、異なる点について説明する。
前記実施の形態9では、図33(b)に示すように、気体流路部PASが形成された樹脂MR2に埋め込まれるように流量センサFS5が形成されており、流量センサFS5に形成されているリードLD1およびリードLD2は、折り曲げられて、樹脂MR2の下方から突き出るように構成されている。
これに対し、本実施の形態10では、図37(b)に示すように、気体流路部PASが形成された樹脂MR2に埋め込まれるように流量センサFS5が形成されており、流量センサFS5に形成されているリードLD1およびリードLD2は、折り曲げられて、樹脂MR2の上方から突き出るように構成されている。このように構成されている本実施の形態10における流量センサモジュールFSM2でも、本発明の技術的思想を適用することができる。
(実施の形態11)
本実施の形態11では、前記実施の形態9で説明した流量センサモジュールFSM1の変形例について説明する。
図38は、本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3の実装構成を示す図である。特に、図38(a)は、本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3の実装構成を示す平面図である。また、図38(b)は、図38(a)のA−A線で切断した断面図であり、図38(c)は、図38(a)のB−B線で切断した断面図である。図38(a)〜(c)に示す本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3の実装構成は、図33(a)〜(c)に示す前記実施の形態9における流量センサモジュールFSM1とほぼ同様であるため、異なる点について説明する。
前記実施の形態9では、図33(b)に示すように、流量センサFS5を構成する樹脂MRの底面を覆うように、さらなる樹脂MR2が形成されている。これに対し、本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3では、流量センサFS5を構成する樹脂MRの底面は樹脂MR2で覆われておらず、樹脂MRの底面と、樹脂MR2の底面が面一となっている。このように構成されている本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3でも、本発明の技術的思想を適用することができる。特に、本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3では、樹脂MRの底面を覆うように樹脂MR2が形成されていないため、樹脂MR2の使用量を削減することができる。この結果、本実施の形態11における流量センサモジュールFSM3によれば、樹脂MR2の使用量を削減することによるコスト削減および流量センサモジュールFSM3の軽量化を図ることができる。
(実施の形態12)
本願発明における流量センサの特徴の1つは、例えば、図13(c)、図20(c)、図23(c)あるいは図29(c)などに示すように、空気の流れと並行方向の断面において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっていることをにある(第2A特徴点)。これにより、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させることができる。さらに、本願発明における流量センサでは、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)。このことから、空気の流れと並行方向の断面において、半導体チップCHP1と樹脂MRの接触面積が増えるため、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面の剥離を防止することができる。以上のように、本願発明における流量センサは、上述したように、第2A特徴点と第2B特徴点を備えているので、剥離部分からクラックが成長して大きな割れが発生する問題を回避することができるとともに、流量検出部FDUの上方での空気の乱れを抑制することができる結果、流量検出部FDUでの正確な空気流量の測定精度を向上させることができる。
例えば、流量センサを構成する半導体チップを樹脂で封止する技術として、図39に示すように、弾性体フィルム(離型フィルムシート)を設置した金型によって半導体チップなどの部品をクランプして、樹脂で封止する方法が考えられる。この方法によれば、半導体チップやリードフレームなどの部品の実装寸法バラツキを、離型フィルムの肉厚方向の寸法変化で吸収することができる利点がある。
具体的に、図39は、上述した製造方法として、下金型BMと、弾性体フィルムLAFを設置した上金型UMとによって、リードフレームのチップ搭載部TAB1上に搭載された半導体チップCHP1などの部品をクランプした状態で、上金型UMと下金型BMとの間に形成される空間に樹脂MRを注入する工程を示す断面図である。特に、図39は、流量センサの空気(気体)の流れ方向の断面図が示されている。図39に示すように、半導体チップCHP1の端部は、弾性体フィルムLAFを介して上金型UMで押し付けられており、これによって、半導体チップCHP1が上金型UMで固定される。このとき、上金型UMから押し付けられる圧力によって、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と上金型UMで挟まれる弾性体フィルムLAFは、膜厚方向に圧縮されて、弾性体フィルムLAFの膜厚寸法が小さくなる。一方、半導体チップCHP1に隣接する領域においては、上金型UMが半導体チップCHP1を押さえ付けずに空間を形成することから、この空間に存在する弾性体フィルムLAFは、膜厚方向に圧縮されない。この結果、図39に示すように、半導体チップCHP1と上金型UMで挟まれる弾性体フィルムLAFの膜厚が、空間に配置される弾性体フィルムLAFの膜厚より小さくなる。そして、上述した空間に樹脂MRが注入されることになるから、結果として、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置よりも樹脂MRの上面SUR(MR)の位置のほうが低くなる。このように、図39に示す製造方法で半導体チップCHP1を樹脂MRで封止する場合、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置よりも樹脂MRの上面SUR(MR)の位置のほうが低くなる流量センサが製造されることになる。この場合、流量検出部FDUの上方での空気の乱れが発生するため、流量検出部FDUでの空気流量の測定が不安定になる問題点が発生する。以下に、このメカニズムについて説明する。
図40は、図39の製造方法によって製造した流量センサの空気(気体)の流れ方向の断面構造を示す図である。図40に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1によって半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)は樹脂MRから露出している。すなわち、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に形成されている流量検出部FDUおよび制御部CUが樹脂MRから露出しているとともに、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置が樹脂MRの上面SUR(MR)の位置よりも高くなっている。このように構成されている流量センサにおいて、流量検出部FDUの上方に気体(空気)が流れている場合を考える。図40では、紙面の左側から右側に向って気体(空気)が流れている状態が示されている。
図40に示すように、紙面の左側から流れてきた気体(空気)は、まず、流量センサの樹脂MRの上方を通過する。そして、樹脂MRの上方から半導体チップCHP1の上方に向って気体(空気)が流れるとき、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低い位置にあるため、気体(空気)は、高さが低い樹脂MRの上面SUR(MR)から半導体チップCHP1の突出している側面に衝突する。これによって、気体(空気)の流れが乱されて、気体(空気)は、半導体チップCHP1の上方へと大きく変化して流れる。この後、半導体チップCHP1の上方へ流れた気体(空気)は、再度、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に並行な方向へ流れる。このように、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低い場合、樹脂MRから突出している半導体チップCHP1の側面の影響によって、気体(空気)の流れが大きく乱されることになる。すると、流量検出部FDUの上流において、気体(空気)の流れの方向が大きく変わって流量が不安定となる結果、流量検出部FDUでの流量検出精度が不安定になってしまうのである。
これに対し、前記実施の形態1〜6で説明した本願発明によれば、空気の流れと並行方向の断面において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっており(第2A特徴点)、かつ、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)。これにより、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させることができる。以下、具体的に説明する。
図41は、例えば、前記実施の形態1〜6で説明した本願発明の製造方法によって製造した流量センサの空気(気体)の流れ方向の断面構造を示す図である。図41に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1によって半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の端部(半導体チップCHP1の一部)は樹脂MRで覆われている。すなわち、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に形成されている流量検出部FDUは樹脂MRから露出しているものの、流量検出部FDUを除く半導体チップCHP1の端部は樹脂MRで覆われている。したがって、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置は、樹脂MRの上面SUR(MR)の位置よりも低くなることになる。このように構成されている流量センサにおいて、流量検出部FDUの上方に気体(空気)が流れている場合を考える。図41では、紙面の左側から右側に向って気体(空気)が流れている状態が示されている。
図41に示すように、紙面の左側から流れてきた気体(空気)は、まず、流量センサの樹脂MRの上方を通過する。そして、樹脂MRの上方から半導体チップCHP1の上方に向って気体(空気)が流れるとき、本願発明では、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い位置にあるため、気体(空気)は、半導体チップCHP1の側面に邪魔されることなく、スムーズに半導体チップCHP1の上方へと流れを変化させることなく流れる。すなわち、本願発明では、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い位置にあるため、半導体チップCHP1の側面が突出することがない。このことから、流量検出部FDUの上方を流れる気体(空気)の流れを乱すことなく、安定して流量検出部FDUの上方を気体(空気)がスムーズに流れるのである。このように、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い場合、気体(空気)の流れが乱されることなくスムーズに流れるため、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れが安定する結果、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上させることができるのである。以上のように、第2A特徴点と第2B特徴点とを両方備える構成をとる場合、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化することができ、これによって、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させる利点が得られるとともに、半導体チップCHP1と樹脂MRの接触面積が増えるため、半導体チップCHP1と樹脂MRとの界面の剥離を防止することができる利点も得ることができる。
ここで、特に、流量検出部FDUにおける流量検出精度を向上させるために、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化させることを優先的に考慮することを本発明者が検討したところ、以下に示す技術的思想を想到したので、この技術的思想についてさらに説明する。
具体的に、本発明者は、前記実施の形態3〜6に示した気体(空気)の流れ方向における流量センサの断面において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1の比率を変更した場合の流量検出部FDUにおける気体の流れを流体解析で検討した。この流体解析にはFLOW−3D(FLOW SCIENCE社製)を用いて、解析モデルとして図42に示す形状を用いた。図42は、流体解析モデルの構成を示す図である。図42(a)は、流体解析モデルの構造を上部から見た平面図であり、図42(b)は、図42(a)のA−A線で切断した断面図である。また、図42(c)は、図42(a)のB−B線で切断した断面図である。図42(a)〜(c)において、中央部に半導体チップCHP1が配置されている。そして、半導体チップCHP1の端部を覆うように樹脂MRが形成されており、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置よりも、樹脂MRの上面SUR(MR)の位置が高くなるように構成している。このとき、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さを高さ寸法H1とし、露出している半導体チップCHP1の寸法を寸法L1と定義している。また、樹脂MRの両側面を側面WS1および側面WS2としている。ここで、気体(空気)は、図42(a)の左側から右側へ流れるものとし、気体(空気)の通路TRは、図42(b)および図42(c)に示す通りである。なお、流体解析モデルにおける気体の通路TRの高さ(Z方向)は0.5mm、幅(X方向)は2mm、長さ(Y方向)は8mmとし、要素分割数は40000としている。また、気体(空気)の物性値として、密度1.225kg/m3、粘度1.781×10−5Pa・s、気体(空気)流量0.01Kg/hとしている。そして、Zプラス方向は対称境界とし、Yマイナス方向から気体(空気)が流入し、Yプラス方向に気体(空気)が流出する設定とし、非圧縮性流体の伝熱を伴わない解析検討を行っている。なお、流量検出部FDUは、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さ寸法H1と比較して寸法が小さいので、今回の流体解析モデルではモデル化はしていないが、例えば、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の中央部に設置されているものとする。
このような条件の下、気体(空気)の流れ方向の断面(YZ平面)での半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の中央部(流量検出部FDUの配置位置)において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)からZ方向に25μmだけ離れた位置におけるY方向の速度を計算した。この結果を図43に示す。
図43は、上述した条件下におけるY方向の速度を計算した結果を示すグラフである。図43において、横軸は、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1の比率(H1/L1)の値を示しており、縦軸は、Y方向の速度を示している。図43に示すように、H1/L1が小さい場合には、Y方向の速度は正の値を示しているのに対し、H1/L1が大きくなると、Y方向の速度は負の値を示すようになることがわかる。これは、気体(空気)の流れ方向の下流において半導体チップCHP1を部分的に封止(モールド)している樹脂MRの側面WS2と衝突した空気が逆流して流れるため、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の近傍においても気体が逆流して流れる結果と考えることができる。このことから、流量検出部FDU(半導体チップCHP1)の上方における気体(空気)の流れを充分に安定化させる観点を優先させる場合、H1/L1の値はあまり大きくならない方が望ましいことがわかる。言い換えれば、H1/L1が小さい場合には、気体(空気)の流れ方向の上流側において、半導体チップCHP1を部分的に封止(モールド)している樹脂MRの側面WS1から半導体チップCHP1へ気体(空気)がスムーズに流れ、かつ、下流側の樹脂MRの側面WS2での逆流も生じにくくなることから、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)近傍の気体(空気)の流れは均一となり、さらには、逆流の抑制によって正確な流量測定が可能となる。すなわち、図43に示すように、例えば、0<H1/L1≦1.5の範囲にある流量センサの構造によれば、Y方向の速度が負になることはなく、つまり、下流側の樹脂MRの側面WS2での逆流が生じず、安定して流量測定精度を向上させることができる。なお、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)近傍の気体(空気)の流れを均一にできれば、気体(空気)の流量が小さくても、流量値を補正して、正確な流量測定を行なうことができる。以上の結果から、本願発明(本実施の形態12)では、気体(空気)の流れ方向における断面において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1の比率であるH1/L1が、0<H1/L1≦1.5の条件を満たしていることが、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化させることを優先する観点から望ましい。
なお、本発明者の検討の結果、流量検出部FDUの上方を流れる空気の流れを安定化させるためには、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1の比率が重要であり、半導体チップCHP1と樹脂MRの境界領域におけるテーパ形状には依存しないことがわかっている。
(実施の形態13)
前記実施の形態12では、空気の流れと並行方向の断面において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっており(第2A特徴点)、かつ、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆う形状をしている(第2B特徴点)例について説明した。ところが、流量センサの小型・軽量化に対応して、半導体チップCHP1の寸法が小さくなる場合には、気体(空気)の流れ方向と並行な方向において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRで覆うと、流量検出部FDUまでも樹脂MRで覆われてしまうおそれがある。
このとき、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)を部分的に樹脂MRの上面SUR(MR)で覆わない構造を取ることが考えられる。この構造は、例えば、図39に示す製造方法(例えば、特開2004?74713号公報(特許文献7))で製造することができる。この場合、図40に示すように、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に形成されている流量検出部FDUおよび制御部CUが樹脂MRから露出するが、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の位置が樹脂MRの上面SUR(MR)の位置よりも高くなる流量センサが製造されることになる。図40に示す流量センサにおいて、気体(空気)は、高さの低い樹脂MRの上面SUR(MR)から半導体チップCHP1の側面に衝突するように流れ、この気体(空気)は、半導体チップCHP1の上部へと大きく変化して流れる。この後、半導体チップCHP1の上部へ流れた気体(空気)は、再度、半導体チップCHP1の方向(下部方向)に流れる。このように、流量検出部FDUの上流において、空気の流れの方向が大きく変わると、流量検出部FDUでの流量検出精度が不安定になってしまう。
そこで、本実施の形態13では、空気の流れと並行方向の断面において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなる一方で、空気の流れと並行方向(Y方向)の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRが覆わない流量センサを得る工夫を施している。
図44は、本実施の形態13における流量センサの空気(気体)の流れ方向の断面構造を示す図である。図44に示すように、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1によって半導体チップCHP1が搭載されており、この半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)は樹脂MRで覆われていない。すなわち、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)は樹脂MRから露出している。したがって、流量センサの小型・軽量化に対応して、半導体チップCHP1の寸法が小さくなる場合であっても、流量検出部FDUまでも樹脂MRで覆われてしまうことを防止できる。
そして、図44に示すように、露出している流量検出部FDU上を流れる気体(空気)の進行方向と並行する任意断面において、半導体チップCHP1と接する第1領域では、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR1)が低く、かつ、第1領域よりも半導体チップCHP1から離れた第2領域の少なくとも一部においては、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR2)の高さが高くなっている。これにより、本実施の形態13における流量センサによれば、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れを安定化させることができ、これによって、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上させることができる。
具体的に、本実施の形態13の流量センサにおいて、流量検出部FDUの上方に気体(空気)が流れている場合を考える。図44では、紙面の左側から右側に向って気体(空気)が流れている状態が示されている。
図44に示すように、紙面の左側から流れてきた気体(空気)は、まず、流量センサの樹脂MRの上方を通過する。そして、樹脂MRの上方から半導体チップCHP1の上方に向って気体(空気)が流れるとき、本願発明では、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い位置にあるため、気体(空気)は、半導体チップCHP1の側面に邪魔されることなく、スムーズに半導体チップCHP1の上方へと流れを変化させることなく流れる。すなわち、本願発明では、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い位置にあるため、半導体チップCHP1と接する第1領域における樹脂MRの上面SUR(MR1)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなっている影響は少なくなる。このことから、流量検出部FDUの上方を流れる気体(空気)の流れを乱すことなく、安定して流量検出部FDUの上方を気体(空気)がスムーズに流れるのである。このように、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い場合、気体(空気)の流れが乱されることなくスムーズに流れるため、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れが安定する結果、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上させることができるのである。以上のことから、本実施の形態13における流量センサによれば、樹脂MRが半導体チップCHP1を覆っていないため、半導体チップCHP1の小型化が推進される場合であっても、流量検出部FDUが樹脂MRで覆われることを防止できる。さらに、本実施の形態13における流量センサによれば、半導体チップCHP1と接する第1領域においては、樹脂MRの上面SUR(MR1)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなるものの、第1領域よりも半導体チップCHP1から離れた第2領域においては、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高くなっている。この結果、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れが安定する結果、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上させることができる。
以下に、本実施の形態13における流量センサを製造する封止工程について説明する。図45は、本実施の形態13における流量センサを製造する封止工程を説明する図である。図45に示すように、上金型UMに設置した入れ駒IPUの先端の寸法LR1を半導体チップCHP1の寸法LC1よりも大きくすることによって、気体(空気)の流れ方向の断面において、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRで覆わない構造としている。なお、入れ駒IPUの上金型UMから突き出す寸法LPは、入れ駒IPUの根元に設置したスペーサSPCによって調整できるものとする。
ここで、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と上金型UMに設置した入れ駒IPUに挟まれる領域では、弾性体フィルムLAFが膜厚方向に圧縮されて膜厚が小さくなる。一方、半導体チップCHP1に接する第1領域近傍において、弾性体フィルムLAFは圧縮されないため、弾性体フィルムLAFの膜厚は、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と上金型UMで挟まれる領域よりも大きくなる。
この場合、気体(空気)の流れ方向の断面において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR)が低くなり、半導体チップCHP1の上流側において、気体(空気)の流れが乱れる問題が生じるおそれがある。
そこで、本実施の形態13では、半導体チップCHP1の上流側において、気体(空気)の流れが乱れることを防止する工夫を施している。具体的に、半導体チップCHP1に接する第1領域近傍では、樹脂MRの上面SUR(MR1)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなるものの、第1領域よりも半導体チップCHP1から離れた第2領域においては、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(MR2)よりも高くなる工夫を施している。すなわち、上金型UMから入れ駒IPUを寸法LPだけ突出して設置することにより、入れ駒IPUの先端と半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)で弾性体フィルムLAFを圧縮して半導体チップCHP1をクランプする。このとき、入れ駒IPUの先端の寸法LR1が半導体チップCHP1の寸法LC1よりも大きいので、半導体チップCHP1に接する第1領域近傍では、弾性体フィルムLAFの膜厚寸法によって、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR1)が低くなるものの、第1領域よりも半導体チップCHP1から離れた第2領域においては、入れ駒IPUの突き出す寸法LPの設定によって、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高くすることができる。
このようにして製造された流量センサ近傍の気体(空気)の流れを図42に示す流体解析で検討した空気の流れ方向の模式図を図44に示す。図44に示すように、本実施の形態13における流量センサによって、Yマイナス方向から流れてきた気体(空気)の主流が半導体チップCHP1の側面に直接衝突することを防止できるので、半導体チップCHP1の上部を部分的に樹脂MRで覆わなくても、空気の流れが乱されることを防止できることがわかる。
また、図43の結果から、気体(空気)の流れ方向における断面において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR2)までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1との比率が、0<H1/L1≦1.5を満たしていることが望ましい。
ここで、入れ駒IPUの先端の寸法LR1と半導体チップCHP1の寸法LC1を等しくすれば、半導体チップCHP1の端部から、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面を高い形状とすることができると考えられる。つまり、半導体チップCHP1と接する第1領域においても、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも樹脂MRの上面SUR(MR1)が低くなることを防止することができると考えられる。
しかし、実際の製造工程では、リードフレームへの半導体チップCHP1の搭載精度にはバラツキが生じ、更に、リードフレームの寸法や半導体チップCHP1の寸法自体にもバラツキが生じる。このため、入れ駒IPUの先端の寸法LR1と半導体チップCHP1の寸法LC1を等しくしても、クランプ時に、入れ駒IPUの先端の寸法LR1と半導体チップCHP1の寸法LC1をバラツキなく位置合わせすることは困難となる。
このことから、本実施の形態13では、上述したバラツキが生じることを考慮して、半導体チップCHP1と接する第1領域においては、樹脂MRの上面SUR(MR1)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなるものの、第1領域よりも半導体チップCHP1から離れた第2領域においては、樹脂MRの上面SUR(MR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高くなるようにしているのである。
なお、本実施の形態13では、1チップ構造の流量センサについて説明したが、本発明の技術的思想は、これに限らず、流量検出部FDUを搭載した第1半導体チップと、制御回路部を搭載した第2半導体チップを備える2チップ構造の流量センサにも適用できる。さらに、半導体チップCHP1の上面よりも高さの低い樹脂MRの上面SUR(MR1)とは別の樹脂MRの上面においては、少なくとも一部の上面が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高さが高ければ良いものとする。
また、半導体チップCHP1と樹脂MRの接着性を向上するために、例えば、半導体チップCHP1の側面にポリイミド膜を形成し、このポリイミド膜と樹脂MRが、半導体チップCHP1の側面で接するように構成してもよい。このとき、ポリイミド膜は、半導体チップCHP1の側面全体に形成されていてもよい。
(実施の形態14)
本実施の形態14においては、空気の流れと並行方向の断面において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっており(第2A特徴点)、かつ、半導体チップCHP1上に開口部を有する枠体を搭載する例について説明する。
例えば、半導体チップCHP1の上部に、接着材ADHを介して、更に別の半導体チップを積層し、樹脂で封止したパッケージ構造として、特開2000−31309号公報(特許文献5)に示す技術がある。この技術は、半導体チップ上に接着剤を介して他の半導体チップを搭載した構造をしており、この構造を応用して、図46に示すように、気体(空気)の流れ方向の断面において、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1に、半導体チップCHP1と同素材のシリコン材質からなる板STに貫通孔THを開けた構造体を接着材ADH3で接着して樹脂で封止した構造の流量センサが考えられる。この流量センサによれば、シリコン材質の板STに貫通孔THを開けて使用しているため、脆性材料のシリコン素材に貫通孔THを開けることが困難な問題と、シリコン素材の板STの肉厚が薄くなると、板STに割れが発生しやすくなり、取り扱いが難くなる問題点が考えられる。
そこで、本実施の形態14では、シリコン材質の板STに替えて枠体FRを使用することを特徴としている。図47は、枠体FRの構成を示す図である。具体的に、図47(a)は、枠体FRの構成を示す平面図であり、図47(b)は、図47(a)のA−A線で切断した断面図である。図47(a)および図47(b)に示すように、枠体FRは、段差を有するフレーム形状をしており、中央に開口部OP4が形成されている。この枠体FRは、例えば、PBT、ABS、PC、ナイロンなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いて、射出成形やトランスファ成形法で、金型内に樹脂を充填してモールド成形することにより形成されたり、鉄合金、アルミニウム合金、あるいは、銅合金などの金属材料を用いてプレス加工で成形することにより形成される。
図48は、気体(空気)の流れ方向の断面において、本実施の形態14における流量センサの断面構造を示す図である。具体的に、本実施の形態14における流量センサは、チップ搭載部TAB1上に接着材ADH1で接着した半導体チップCHP1を有している。そして、この半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)には、流量検出部FDUが形成されており、この流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1に、開口部OP4を有する枠体FRが搭載され、半導体チップCHP1の側面および枠体FRの側面を樹脂MRで封止した構造をしている。このとき、樹脂MRの上面SUR(MR)は、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い位置に配置されている。そして、枠体FRに形成された開口部OP4から流量検出部FDUが露出している。さらに、枠体FRに形成されている段差部によって、枠体FRが半導体チップCHP1に固定されている。つまり、枠体FRには、半導体チップCHP1の側面に並行する壁部を有しており、この壁部を半導体チップCHP1に密着させることにより、半導体チップCHP1に位置合わせされた状態で枠体FRを配置することができる。このとき、枠体FRは、半導体チップCHP1と接着していてもよいし、あるいは、接着されていなくてもよい。特に、枠体FRが半導体チップCHP1に接着されている場合には、枠体FRの位置ずれを防止できる効果を得ることができる。
このように構成されている本実施の形態14における流量センサによれば、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高いので、気体(空気)の流れが乱されることなくスムーズに流れる。このため、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れが安定する結果、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上させることができる。
続いて、本実施の形態14における流量センサを製造する封止工程について説明する。まず、図49に示すように、チップ搭載部TAB1に接着材ADH1を介して搭載した半導体チップCHP1上に枠体FRを配置する。このとき、枠体FRは開口部OP4を有するフレーム形状をしており、枠体FRに形成されている開口部OP4から流量検出部FDUが露出するように、枠体FRが半導体チップCHP1上に配置される。ここで、枠体FRは、半導体チップCHP1と接着されていてもよいし、あるいは、接着されていなくてもよい。
次に、図50に示すように、チップ搭載部TAB1上に搭載された半導体チップCHP1を金型でクランプし、金型内の空間に樹脂を充填する。具体的には、図50に示すように、チップ搭載部TAB1上に搭載された半導体チップCHP1を上金型UMと下金型BMでクランプする。このとき、上金型UMには弾性体フィルムLAFが貼り付けており、弾性体フィルムLAFを介して上金型UMが半導体チップCHP1上に設けられた枠体FRに押し付けられることになる。このため、弾性体フィルムLAFを介して半導体チップCHP1が押さえつけられるため、半導体チップCHPの実装バラツキを弾性体フィルムLAFの膜厚変化によって吸収することができる。さらに、半導体チップCHP1上に設けられた枠体FRに上金型UMが弾性体フィルムLAFを介して押し付けられるため、枠体FRの開口部OP4から露出する流量検出部FDUを上金型UMから保護することができる。その後、金型内に形成された空間に樹脂MRを注入することにより、封止工程が実施される。これにより、樹脂MRの上面SUR(MR)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い状態の流量センサを製造することができる。
ここで、上金型UMと下金型BMで、中央に開口部OP4を形成した枠体FRと半導体チップCHP1とをクランプして、枠体FRと半導体チップCHP1とを密着させた状態で樹脂MRを金型内の空間に注入しているため、中央に開口部OP4を形成した枠体FRと半導体チップCHP1とを接着しない構造にしても、中央に開口部OP4を形成した枠体FRと半導体チップCHP1との隙間から流量検出部FDUへ樹脂が流入することを防止することができる。ただし、封止工程よりも前の工程での取り扱いを容易にするため、中央に開口部OP4を形成した枠体FRと半導体チップCHP1とを接着した構造とすることもできる。
このように本実施の形態14における流量センサにおいても、空気の流れと並行方向の断面において、樹脂MR(封止体)の高さが、流量検出部FDUを含む半導体チップCHP1の表面の高さよりも高くなっている(第2A特徴点)。このため、本実施の形態14における流量センサによれば、流量検出部FDUの上方における気体(空気)の流れが安定する結果、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上させることができる。さらに、気体(空気)の流れを安定させて、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上する観点からは、気体(空気)の流れ方向における断面において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(MR)までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1の比率が、0<H1/L1≦1.5を満たすことが望ましい。なお、本実施の形態14では、1チップ構造の流量センサを例に挙げて説明したが、本発明の技術的思想は、これに限らず、例えば、流量検出部FDUを搭載した第1半導体チップと制御部を搭載した第2半導体チップとを備える2チップ構造の流量センサにも適用することができる。
(実施の形態15)
前記実施の形態3〜6では、例えば、図13、図20、図23、図29に示すように、半導体チップCHP1に対して気体(空気)の流れ方向の上流側(Yプラス方向)の樹脂MRの上面SUR(MR)の高さと、気体(空気)の流れ方向の下流側(Yマイナス方向)の樹脂MRの上面SUR(MR)の高さがほぼ等しい形状について説明した。
このような場合、例えば、樹脂MRの上面SUR(MR)よりも高さの低い半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に水やダストなどが溜まって、排出されない可能性がある。このことから、本実施の形態15では、気体(空気)の流れ方向の断面において、半導体チップCHP1に対して気体(空気)の流れ方向の下流側での樹脂MRの上面SUR(LR)の高さの少なくとも一部が、気体(空気)流れ方向の上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低い形状としている。これにより、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)に水やダストなどが溜まることを抑制することができる。
図51は、本実施の形態15における流量センサの構成を示す図である。具体的に、図51(a)は、本実施の形態15における流量センサを上面から見た平面図である。図51(b)は、図51(a)のA−A線での断面図を示しており、図51(a)のB−B線での断面図を示している。
気体(空気)の流れ方向の断面を示す図51(c)において、半導体チップCHP1に対して、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さの少なくとも一部が、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低くなっている。特に、図51(c)では、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さが、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)の高さよりも低くなっている。このような形状を用いると、気体(空気)の流れ方向の上流から流れてきた水やダストは、半導体チップCHP1上に溜まらずに、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低い下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)を通って下流側へ排出することができる。
ここで、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低い下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)は、例えば、図52に示すように、露出している半導体チップCHP1のX方向の幅と等しい寸法にわたって低くなっていてもよいし、図53に示すように、半導体チップCHP1に近い領域では、高さが低くなっている下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)のX方向の幅が広く、気体(空気)の流れ方向の下流に進むに従って、高さが低くなっている下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)のX方向の幅が狭くなっていてもよい。
また、図54に示すように、ワイヤ(金線)W1のループ高さが高い場合には、このワイヤW1のループ部を封止するために樹脂面を部分的に高くすることもできる。
次に、図55は、本実施の形態15における流量センサにおいて、気体(空気)の流れ方向の断面を示す図である。図55に示すように、上流側から流れてきた水やダストを排出するためには、半導体チップCHP1に対して下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さの少なくとも一部が、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低ければよい。具体的には、例えば、図55に示すように、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さは、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低く、かつ、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い構造とすることもできるし、例えば、図56に示すように、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さは、上流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さよりも低く、かつ、半導体チップCHP1と同じ高さとなる構造とすることもできる。
さらに、図57に示すように、露出している流量検出部FDUを挟むように気流制御部FCU1および気流制御部FCU2が形成されている構造においても、気体(空気)の流れ方向の断面において、半導体チップCHP1に対して下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さの少なくとも一部が、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低くなるようにすることもできる。
また、図58に示すように、1チップ構造の流量センサについても、気体(空気)の流れ方向の断面(図58(c))において、半導体チップCHP1に対して下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さの少なくとも一部が、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低い構造とすることもできる。
なお、図58においても、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さは、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低く、かつ、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高い構造とすることもできるし、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さが、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低く、かつ、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)と同じ高さとなる構造とすることができる。
さらに、1チップ構造の流量センサにおいても、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さよりも低い下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)は、例えば、露出している半導体チップCHP1のX方向の幅と等しい寸法にわたって低くなっていてもよいし、半導体チップCHP1に近い領域では、高さが低くなっている下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)のX方向の幅が広く、気体(空気)の流れ方向の下流に進むに従って、高さが低くなっている下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)のX方向の幅が狭くなっていてもよい。また、1チップ構造の流量センサについても、ワイヤW1のループ高さが高い場合には、このワイヤW1のループ部を封止するために樹脂面を部分的に高くすることもできる。
ここで、図51〜図58に示す半導体チップCHP1の上面または側面において、樹脂MRで覆われる部分の少なくとも一部にポリイミド膜が形成されていることが望ましい。
また、図59に示すように、半導体チップCHP1に接する第1領域近傍では、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR2)が半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも低くなるものの、第1領域よりも半導体チップCHP1から離れた第2領域においては、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR1)が半導体チップCHP1の上面SUR(MR2)よりも高くなる構造においても、下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さの少なくとも一部が、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR1)の高さよりも低くなる構造を取ることができる。このとき、例えば、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)および側面には、ポリイミド膜が形成されており、このポリイミド膜と樹脂MRが、半導体チップCHP1の側面で接していることが、半導体チップCHP1からの樹脂MRの剥離を防止する観点から望ましい。なお、ポリイミド膜は、半導体チップCHP1側面の一部に形成されていてもよいし、側面全体に形成されていてもよい。
なお、本実施の形態15における流量センサにおいても、気体(空気)の流れを安定させて、流量検出部FDUでの流量検出精度を向上する観点から、気体(空気)の流れ方向における断面において、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)から樹脂MRの上面SUR(UR)(SUR(UR1))までの高さ寸法H1と、露出している半導体チップCHP1の寸法L1の比率が、0<H1/L1≦1.5を満たすことが望ましい。
また、本実施の形態15における流量センサを用いて、エンジンの脈動による空気の逆流を検知する場合には、下流から上流に逆流する水やダストを上流側から排出するために、空気流動の上流側(Y方向のマイナス側)の樹脂MRの上面SUR(UR)を、空気流動の下流側に設置した樹脂MRの上面SUR(LR)と同様に、他の領域の樹脂面よりも低くすることができる。
図60は、空気流動の上流側(Y方向のマイナス側)の樹脂MRの上面SUR(UR)を、空気流動の下流側に設置した樹脂MRの上面SUR(LR)と同様に、他の領域の樹脂面よりも低くする構成例を示す図である。このように、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さおよび下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さを低くする場合には、気体(空気)の流れ方向と直交する方向おいて、他の樹脂MRの上面の高さよりも低い形状とすることができる。このとき、上流側の樹脂MRの上面SUR(UR)の高さおよび下流側の樹脂MRの上面SUR(LR)の高さは、半導体チップCHP1の上面SUR(CHP)よりも高さが高くても、低くても、高さが同一でもよく、気体(空気)の流れ方向と直交する方向において、他の樹脂面の高さよりも低い形状をしていればよい。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
また、上述した前記実施の形態で説明した流量センサは、流量検出部FDUを形成した半導体チップCHP1の表面(上面)にポリイミド膜PIQを形成する例を示したが、本発明の技術的思想は、これだけに限定されるものではなく、窒化シリコン膜(Si3N4)、ポリシリコン膜、TEOS(Si(OC2H5)4)を原料とした酸化シリコン膜(SiO2)などの膜を、半導体チップCHP1の表面に形成してもよい。これによって、樹脂MRと半導体チップCHP1の接着性を向上させて、剥離を防止することができる。
なお、窒化シリコン膜、ポリシリコン膜、酸化シリコン膜は、プラズマCVD法、減圧CVD法、常圧CVD法などの化学気相成長法、化学気相蒸着法または化学蒸着法や物理気相成長法または物理蒸着法によって形成することができる。これらの半導体チップCHP1上に形成された膜は、半導体チップCHP1を構成するシリコン(Si)上に形成される酸化シリコン膜の増加を防止して、樹脂MRと半導体チップCHP1の接着性を向上させることができる。なお、これらの膜は、樹脂MRで覆われる半導体チップCHP1の少なくとも一部に成膜されていればよい。
また、上述した実施の形態では、接着材ADHを介してリードフレームLFに半導体チップCHPを搭載する例を示したが、本発明は、これだけに限定されるものではなく、半導体チップCHPを銀ペーストなどのペースト材を介して、リードフレームLFに搭載することもできる。更に、半導体チップCHPとリードフレームLFの間に、構造体を挿入して、半導体チップCHPとリードフレームLFと構造体を、接着材ADHまたはペースト材を用いて接合することもできるし、リードフレームLF上に、コンデンサなどの部品を搭載することもできる。
なお、上記構造体は、例えば、PBT、ABS、PC、ナイロンなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を用いて、射出成形やトランスファ成形法で、金型内に樹脂を充填してモールド成形することにより形成することができる。また、上記構造体は、鉄合金、アルミニウム合金、あるいは、銅合金などの金属材料を用いてプレス加工されたり、ガラス材料によって形成することもできる。
上述した実施の形態で説明した流量センサは、気体の流量を測定するデバイスであるが、具体的な気体の種類は限定されるものではなく、空気、LPガス、炭酸ガス(CO2ガス)、フロンガスなどの任意の気体の流量を測定するデバイスに幅広く適用することができる。
また、上述した前記実施の形態では、気体の流量を測定する流量センサについて説明したが、本発明の技術的思想はこれに限定されるものではなく、湿度センサなどの半導体素子の一部を露出させた状態で樹脂封止する半導体装置にも幅広く適用することができる。
図23(b)に示すように、リードフレームLFにはチップ搭載部TAB1が形成されており、このチップ搭載部TAB1上に半導体チップCHP1が接着材ADH1によって接着している。そして、半導体チップCHP1の裏面にはダイヤフラムDFが形成されており、このダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1が形成されている。さらに、リードフレームLFの裏面は、樹脂MRで覆われているが、リードフレームLFの裏面のうち、チップ搭載部TAB1の裏面に形成されている樹脂MRには、開口部OP2が形成されている。このチップ搭載部TAB1に形成されている開口部OP1と、樹脂MRに形成されている開口部OP2は連通しており、この開口部OP1および開口部OP2を介して、ダイヤフラムDFの内部空間は、流量センサFS5の外部空間とつながっている。このとき、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも小さくなるように構成されている。言い換えれば、開口部OP1の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなるように構成されている。
ここで、本実施の形態5でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、この構成による不都合を回避するために、図23(b)および図23(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている(第5特徴点)。これにより、本実施の形態5による流量センサFS5によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS5の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS5の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
さらに、本実施の形態6でも、樹脂MRがダイヤフラムDFの内部空間へ侵入することを防止するために、例えば、半導体チップCHP1の裏面に形成されているダイヤフラムDFを囲むように接着材ADH1を塗布する構成を取ることを前提としている。そして、この構成による不都合を回避するために、図29(b)および図29(c)に示すように、半導体チップCHP1の裏面に形成されたダイヤフラムDFの下方にあるチップ搭載部TAB1の底部に開口部OP1を形成し、さらに、チップ搭載部TAB1の裏面を覆う樹脂MRに開口部OP2を設けている(第5特徴点)。これにより、本実施の形態6による流量センサFS6によれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1および樹脂MRに形成された開口部OP2を介して流量センサFS6の外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサFS6の外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
その後、樹脂MR2が硬化した段階で、流量センサFS5を樹脂MR2で封止した流量センサモジュールを上金型UMと下金型BMから取り外す。これにより、本実施の形態9における流量センサモジュールを製造することができる。このとき製造される流量センサモジュールにおいては、樹脂封止工程で、入れ駒IP2を形成した下金型BMを使用する結果、図36に示すように、チップ搭載部TAB1の底面に開口部OP1が形成され、この開口部OP1と連通する開口部OP2が樹脂MRに形成され、さらに、開口部OP2と連通する開口部OP3が樹脂MR2に形成される。この開口部OP3は、入れ駒IP2に台座部を形成した結果として生じるものであり、この開口部OP3の断面積は、開口部OP2の断面積よりも大きくなっている。これにより、本実施の形態9による流量センサモジュールによれば、ダイヤフラムDFの内部空間は、チップ搭載部TAB1の底部に形成された開口部OP1と樹脂MRに形成された開口部OP2と樹脂MR2に形成された開口部OP3を介して流量センサモジュールの外部空間と連通することになる。この結果、ダイヤフラムDFの内部空間の圧力と、流量センサモジュールの外部空間の圧力とを等しくすることができ、ダイヤフラムDF上に応力が加わることを抑制できる。
図51は、本実施の形態15における流量センサの構成を示す図である。具体的に、図51(a)は、本実施の形態15における流量センサを上面から見た平面図である。図51(b)は、図51(a)のA−A線での断面図を示しており、図51(c)は、図51(a)のB−B線での断面図を示している。