JPWO2012036286A1 - 人工骨、人工骨製造装置及び人工骨製造方法 - Google Patents

人工骨、人工骨製造装置及び人工骨製造方法 Download PDF

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Abstract

構造の性質を改善(改質)することで骨再生活性化された人工骨を提供することを目的とする。本発明による人工骨100は、バイオセラミックスを含む人工骨100であって、バイオセラミックスは、骨再生活性化された改質構造を有する。改質構造は、プラズマ改質構造であり得る。バイオセラミックスは多孔質であり得る。バイオセラミックスは連球状開気孔を有する。バイオセラミックスは、リン酸カルシウム含有セラミックス又はガラスセラミックスを含有し得る。

Description

本発明は、バイオセラミックスを含む人工骨、人工骨製造装置及び人工骨製造方法に関する。
従来から外科、整形外科等の医療分野において、疾病、事故、手術等によって生じた骨の欠損部及び空隙に対して、自分の他の身体部分の骨を採取、充填することで骨組織の再建を図ることが広く行われてきた。しかし、骨採取のための手術は合併症が多く大きな苦痛を伴う上に、骨採取に要する費用や労力も多大である。また、欠損部が広範囲に及ぶ場合、欠損部を人骨だけで補綴するには十分な量が確保できないことも多い。このため、近年、補綴用人工骨材に関する研究が盛んに行われている。例えば、ハイドロキシアパタイトは、骨補填材として生体内に埋入した場合、これを足場として速やかに骨修復が行われ、新生骨と直接結合するという優れた骨伝導能を発揮する。また、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)も、生体内で分解され易く、徐々に新生骨に置換するという特徴を有している。
しかし、無気孔で緻密なリン酸カルシウム系焼結材を埋入した場合には、生体内での骨組織形成が遅く、治癒までに長期間を要する。そのため、開気孔を有する多孔質体とし、開気孔内に骨組織が入り込み易くしたリン酸カルシウム系焼結材が提案されている(特許文献1)。
このように、従来の人工骨はハイドロキシアパタイトを含む人工骨であって、ハイドロキシアパタイトの多孔を緻密連通させることで骨再生活性化するよう構造改善されていた。バイオセラミックスの特殊多孔質構造においては、骨組織細胞(骨芽細胞)や血管が孔内に入り込み、骨組織形成が早期になされる。
特開2002−17846号公報
しかし、人工骨の構造を特殊多孔質構造に改善するには、人工骨を形成する段階で特殊な工程が必要であった。また、人工骨の構造を改善させるのみならず、さらに容易な改良をすることで、骨伝導能を向上させる技術が求められている。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、構造を改善(改造)することなく性質を改善(改質)することで、骨再生活性化された人工骨、人工骨製造装置及び人工骨製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の人工骨の特徴的な構成は、バイオセラミックスを含む人工骨であって、バイオセラミックスは、骨再生活性化された改質構造を有する。従って、構造を改善(改造)させることなく性質を改善(改質)させることで、骨再生活性化された人工骨を得ることができる。
本発明に係る人工骨の好適な実施形態によれば、改質構造は、プラズマ改質構造である。例えば大気圧プラズマは、大気中で照射し得る。従って、真空装置が不要となり、改質プロセスが安易である。その結果、術中での使用も可能となる。
本発明に係る人工骨の好適な実施形態によれば、バイオセラミックスは多孔質である。従って、多孔質でないバイオセラミックスと比較して、骨再生活性化された改質面積が広く、骨伝導能が向上する。その結果、骨欠損部における早期治癒が可能となる。
本発明に係る人工骨の好適な実施形態によれば、バイオセラミックスは連球状開気孔を有する。連球状開気孔は、球状であり、3次元的に連通している。従って、プラズマ照射によって骨再生活性化する場合は、燃焼ガスを気孔内に導入し易く、広範囲なプラズマ改質が可能となる。さらに、連球状開気孔は、粒界空隙状開気孔や閉気孔と比べ、気孔径が大きいため、気孔内にまで生体液や骨組織細胞(骨芽細胞)が侵入し得、骨伝導能を向上し得る。
本発明に係る人工骨の好適な実施形態によれば、バイオセラミックスは、リン酸カルシウム含有セラミックス又はガラスセラミックスを含有する。リン酸カルシウム含有セラミックス又はガラスセラミックスは、人工骨の材料として一般に使用されているので、入手が容易である。さらに、リン酸カルシウム含有セラミックス(例えば、ハイドロキシアパタイト)は生体骨の成分でもあり、再生骨に馴染みやすい。
本発明に係る人工骨の好適な実施形態によれば、改質構造は、液滴の接線とバイオセラミックの表面とのなす角度が0度〜15度であり得る。
本発明に係る人工骨の好適な実施形態によれば、バイオセラミックの表面において、酸素(O)とリン(P)との組成比(O/P)は6.0〜7.0であり、酸素(O)とカルシウム(Ca)との組成比(O/Ca)は4.0〜5.0であり得る。
上記課題を解決するために、本発明に係る人工骨製造装置の特徴的な構成は、バイオセラミックスを含む人工骨の製造装置であって、バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理装置を備える。本発明に係る人工骨製造装置によれば、上記説明した本発明の人工骨を製造することができる。従って、構造を改善させることなく改質させることで骨再生活性化された人工骨を製造し得る。
本発明に係る人工骨製造装置の好適な実施形態によれば、処理装置は、バイオセラミックスにプラズマを照射する。例えば大気圧プラズマは、大気中で照射し得る。従って、真空装置が不要となり、改質プロセスが安易である。その結果、術中での使用も可能となる。
本発明に係る人工骨製造装置の好適な実施形態によれば、改質処理の領域を制御する領域制御装置を更に備える。その結果、処理領域の位置、大きさ、範囲を精度よく制御し得る。
本発明に係る人工骨製造装置の好適な実施形態によれば、領域制御装置は、バイオセラミックスへのプラズマ照射時間を制御する。バイオセラミックスへのプラズマ照射時間を長くする場合には、人工骨の内部の非改質層に至るまでプラズマが到達し、人工骨の内部の非改質層を骨再生活性化した改質構造にし得る。また、プラズマ照射時間を短くする場合には、人工骨の表面付近の非改質層を骨再生活性化した改質構造にし得る。その結果、改質部分を選択的に形成し得、目的に応じた人工骨を製造し得る。
本発明に係る人工骨製造装置の好適な実施形態によれば、領域制御装置は、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御する。周辺空間を減圧することで、バイオセラミックスの多孔内部にプラズマを導入し得る。その結果、バイオセラミックスの多孔内部を骨再生活性化した改質構造にし得る。また、周辺空間の圧力の加減を繰り返すことで、多孔内の隅々までプラズマを導入し得る。その結果、バイオセラミックスの多孔内部をより確実に改質構造にし得る。
上記課題を解決するために、本発明に係る人工骨製造方法の特徴的な構成は、バイオセラミックスを含む人工骨の製造方法であって、バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理工程を包含する。本発明に係る人工骨製造方法によれば、上記説明した本発明の人工骨を製造することができる。従って、構造を改善させることなく改質させることで骨再生活性化された人工骨を製造し得る。
本発明に係る人工骨製造方法の好適な実施形態によれば、処理工程は、バイオセラミックスにプラズマを照射することにより実行される。
本発明に係る人工骨製造方法の好適な実施形態によれば、改質処理の領域を制御する領域制御工程を更に包含する。
本発明に係る人工骨製造方法の好適な実施形態によれば、処理工程において、バイオセラミックスを酸化し、バイオセラミックスの酸素組成比を増加させる。
本発明の実施形態1に係る人工骨及び従来の人工骨を示す写真である。 本発明の実施形態1に係る人工骨の多孔質を示す写真又は模式図である。 従来の人工骨の例を示す表である。 実験動物への人工骨の移植部位を示す模式図である。 本発明の実施形態1に係る人工骨と従来の人工骨とにおける骨再生の程度を示す写真である。 本発明の実施形態1に係る人工骨のZone3と従来の人工骨のZone3とにおける骨再生の程度を示す写真である。 本発明の実施形態2に係る人工骨製造装置を示す模式図である。 本発明の実施形態2に係る他の人工骨製造装置を示す模式図である。 様々な厚みの改質層を有する人工骨を示す写真である。 従来の人工骨へのプラズマ照射時間と改質層の厚みとの関係を示すグラフである。 本発明の実施形態2に係る更に他の人工骨製造装置を示す模式図である。 本発明の実施形態2に係る更に他の人工骨製造装置を示す模式図である。 人工骨表面処理による濡れ性の変化を説明する図である。 人工骨表面におけるX線光電子分析(XPS)の結果を示すグラフである。
図1〜図14を参照して、本発明の人工骨、人工骨製造装置及び人工骨製造方法に関する実施形態を説明する。本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図せず、当該構成と均等な構成も含む。
[実施形態1]
[人工骨]
図1は、本発明の実施形態1に係る人工骨100及び従来の人工骨200を示す写真である。図1(a1)は、人工骨100を示す写真であり、図1(a2)は、人工骨100の断面の一部を拡大した写真である。人工骨100は、生体骨の欠損部分を補う人工的な素材である。人工骨100は、非改質層110と改質層120とを含む。
改質層120は、骨再生活性化された改質構造を有する。改質層120は、バイオセラミックスを含む。骨再生活性化された改質構造の一例は、プラズマ改質構造である。プラズマ改質は、バイオセラミックスにプラズマを照射することで起こし得る。プラズマ改質によって、改質層120の親水性、細胞接着性及び細胞増殖性が改善され得る。改質層120に含まれるバイオセラミックスは、多孔質である。改質層120は複数の気孔を有する。気孔と気孔とを区分するのは、壁部である。気孔には複数の種類がある。例えば、連球状開気孔、粒界空隙状開気孔及び閉気孔である。気孔の詳細は、図2を参照して後述する。プラズマ改質によって改質層120の親水性が改善されるため、改質層120の多孔質内に液体が吸収される。従って、図1(a2)は、人工骨100 の上に水滴を垂らした時の、水の侵入深さをも表す。改質層120は水の侵入し易い個所(侵入容易層)であり、非改質層110は、水の侵入し難い個所(侵入非容易層)を表す。
図1(b1)は、従来の人工骨200を示す写真であり、図1(b2)は、従来の人工骨200の一部を拡大した写真である。人工骨100と同様、人工骨200もバイオセラミックスを含み、多孔質である。しかし、人工骨200は骨再生活性化された改質構造を有しない。従って、人工骨200の表面は親水性が悪く、液体を弾く。
図2は、人工骨100の多孔質を示す写真又は模式図である。図2を参照して、種々の気孔を説明する。
図2(a1)は、人工骨100aを示す写真であり、図2(a2)は、人工骨100aの断面の一部を拡大した写真である。人工骨100aは、連球状開気孔を有する。ここで、気孔とは、ひとまとまりの物体に含まれる微小な空洞であり、開気孔は、外気と接続している気孔である。連球状開気孔は、複数の開気孔であって、それらの各々が球状であり、3次元的に連通している複数の開気孔である。
図2(b1)は、人工骨100bを示し、図2(b2)は、人工骨100bの一部を拡大した模式図であり、図2(b3)は、人工骨100bの一部を更に拡大した模式図である。人工骨100bは、人工骨100aと異なる内部構造を有する。すなわち、人工骨100bは、微小粒子(個体)の集合体であり、隣接する微小粒子の間に隙間を有し、これが細孔をなす。すなわち、人工骨100bは、粒界空隙状開気孔を有する。ここで、粒界空隙状開気孔とは、粒子と粒子との間に生じる空隙が連なる開気孔である。
図2(c1)は、人工骨100cを示す写真であり、図2(c2)は、人工骨100cの断面の一部を拡大した写真である。人工骨100cは、閉気孔を有する。閉気孔は物体内部に孤立している気孔である。従って、外気と接続していない。人工骨100cに含まれる複数の気孔の各々は、壁部によって区分されている。
図3は、従来の人工骨200の例を示す表である。人工骨200は、人工骨100と同様にバイオセラミックスを含むが、人工骨200は骨再生活性化された改質構造を有しない。しかし、人工骨200に含まれるバイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理を施すことによって、人工骨100を製造し得る。人工骨200は改質処理されていない改質未処理人工骨であり、人工骨100は改質処理されている改質処理済人工骨である。骨再生活性化のための改質処理の具体例は、プラズマ改質処理であり、バイオセラミックスにプラズマを照射することで実行し得る。
人工骨200aは、ペンタックスHOYAから販売名ボンフィルで販売されている人工骨である。人工骨200aの組成は、ハイドロキシアパタイトである。人工骨200aは、閉気孔を有し、連通性はない。製品に応じて気孔径は90、200、300μm、気孔率は60、70%である。
人工骨200bは、コバレントマテリアルから販売名ネオボーンで販売されている人工骨である。人工骨200bの組成は、ハイドロキシアパタイトである。人工骨200bは、連球状開気孔を有し、連通性がある。気孔径は、約150μmであり、気孔率75%を有する。連通径は、50μmである。
なお、人工骨の内部にまで骨再生のための細胞や栄養を導入し易くする等の観点から、人工骨200bの平均気孔径は90μm以上600μm以下であることが好ましい。また、気孔率は50%以上90%以下であり、特に、65%以上85%以下が好ましい。また、人工骨200bの連球状開気孔の連通部分の平均孔径は20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。
人工骨200bは、撹拌起泡により製造し得る。具体的には、下記に示すステップ1〜ステップ4を実行することで人工骨200bを製造することができる。
ハイドロキシアパタイト粉末に、架橋重合性樹脂としてポリエチレンイミン等を添加し、分散媒として水を用いて、混合、解砕し、スラリーを調製する(ステップ1)。スラリーに、起泡剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル等を添加し、撹拌して起泡させる(ステップ2)。スラリーに、架橋剤としてソルビトールグリシジルエーテル等を添加し、得られた泡沫状スラリーを注型して、泡構造を固定した状態で乾燥させる(ステップ3)。泡沫状スラリーを800〜1300℃程度で焼結する(ステップ4)。
人工骨200cは、日本特殊陶業から販売名セラタイトで販売されている人工骨である。人工骨200cの組成は、ハイドロキシアパタイト70%、β−TCP(β−リン酸三カルシウム)30%である。人工骨200cは多孔質であり、気孔径は150〜200μmであるが、連通性はあまり良くない。連通径は、40〜80μmである。
人工骨200dは、オリンパステルモバイオマテリアルから販売名ボーンセラムPで販売されている人工骨である。人工骨200dの組成は、ハイドロキシアパタイトである。人工骨200dは多孔質であり、気孔径は30〜400μmであるが、連通性はない。
上述のように人工骨200に含まれるバイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理を施すことによって、人工骨100を製造し得る。人工骨200a、人工骨200b、人工骨200c、人工骨200d以外に、種々の人工骨を採用し得る。人工骨200は、好適には、生体為害性を有さず、かつ、十分な機械的強度を有する材質のバイオセラミックスを含む。具体的には、アルミナ、ジルコニア、シリカ、ムライト、ディオプサイド、ウォラストナイト、エーライト、べライト、アーケルマナイト、モンティセライト、生体用ガラスおよびリン酸カルシウム系セラミックスのうち、少なくとも1種を含む。リン酸カルシウム系セラミックスは生体適合性に優れ、最も好適である。リン酸カルシウム系セラミックスとしては、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、フッ化アパタイトが挙げられる。特に、骨との同化性、癒着性、強度等の観点から、人工骨200は骨の主組成成分であるハイドロキシアパタイトを含むことが好ましい。
以下、図4〜図6を参照して本発明の人工骨100の効果を説明する。
図4は、実験動物への人工骨の移植部位を示す模式図である。実験動物としてウサギを用いた。円柱形の人工骨100と人工骨200(共に直径6mm、長さ15mm)をウサギの大腿骨内側顆に移植して、人工骨100と人工骨200との骨再生機能を比較した。図3を参照して説明した人工骨200bにプラズマを1時間30分照射することによって、人工骨100を作製した。
図5は、人工骨100と人工骨200とにおける骨再生の程度を示す写真である。図5(a)は、人工骨100における骨再生の程度を示し、図5(b)は、人工骨200における骨再生の程度を示す。ウサギに人工骨100と人工骨200とを移植してから3週間後の結果である。円柱の円形断面を3つの領域(外周から内部にかけて順番にZone1、Zone2、Zone3)に区分して、各々の領域における骨再生の程度を比較した。人工骨100と人工骨200との各々の3つの全ての領域において、生体液や未分化細胞は侵入していた。しかし、骨組織細胞(骨芽細胞)の侵入の程度は、人工骨200よりも人工骨100の方が好適であった。
図6は、人工骨100のZone3と人工骨200のZone3とにおける骨再生の程度を示す写真である。図6(a)は、人工骨100における骨再生の程度を示し、図6(b)は、人工骨200における骨再生の程度を示す。白色部分は、人工骨の壁部(連球状開気孔でない部分)を示す。複数の連球状開気孔の内部には生体液や未分化細胞は侵入しているが、生体液や未分化細胞の侵入の程度は、人工骨200よりも人工骨100の方が好適であった。骨組織細胞(骨芽細胞)への分化は、人工骨100においてのみ確認し得た。
以上、図1〜図6を参照して、本発明の実施形態1の人工骨100を説明した。本発明の人工骨によれば、バイオセラミックスを含む人工骨であって、バイオセラミックスは、骨再生活性化された改質構造を有する。従って、構造を改善(改造)させることなく性質を改善(改質)させることで、骨再生活性化された人工骨を得ることができる。
また、本発明の好適な人工骨によれば、改質構造は、プラズマ改質構造である。例えば大気圧プラズマは、大気中で照射し得る。従って、真空装置が不要となり、改質プロセスが安易である。その結果、術中での使用も可能となる。更に、本発明の好適な人工骨によれば、バイオセラミックスは多孔質である。従って、多孔質でないバイオセラミックスと比較して、骨再生活性化された改質面積が広く、骨伝導能が向上する。その結果、骨欠損部における早期治癒が可能となる。
更に、本発明の好適な人工骨によれば、バイオセラミックスは連球状開気孔を有する。連球状開気孔は、球状であり、3次元的に連通している。従って、プラズマ照射によって骨再生活性化する場合は、燃焼ガスを気孔内に導入し易く、広範囲なプラズマ改質が可能となる。さらに、連球状開気孔は、粒界空隙状開気孔や閉気孔と比べ、気孔径が大きいため、気孔内にまで生体液や骨組織細胞(骨芽細胞)が侵入し得、骨伝導能を向上し得る。
更に、本発明の好適な人工骨によれば、バイオセラミックスは、リン酸カルシウム含有セラミックス又はガラスセラミックスを含有する。リン酸カルシウム含有セラミックス又はガラスセラミックスは、人工骨の材料として一般に使用されているので、入手が容易である。さらに、リン酸カルシウム含有セラミックスは生体骨の成分でもあり、再生骨に馴染みやすい。
なお、本発明の実施形態1において、人工骨100の全てがバイオセラミックスで作製されるに限らない。一部がバイオセラミックスであり得る。また、バイオセラミックスの全てが骨再生活性化された改質構造を有するに限定されない。バイオセラミックスの一部が骨再生活性化された改質構造であり得る。従って、改質部分を選択し得、目的に応じて人工骨を使い分け得る。特に、人工骨の深部に至るまで改質構造を有し得る場合には、骨の再生が人工骨の深部にまで及び、骨欠損部における早期治癒が可能となる。
更に、本発明の実施形態1において、非改質層110と改質層120とを有する人工骨100について説明したが、人工骨100は、改質層120を有しさえすれば非改質層110の有無は限定されない。人工骨200へのプラズマ照射によって、人工骨200の全てを改質した場合は、製造された人工骨100は非改質層110と改質層120とのうち、改質層120のみを有する。
更に、本発明の実施形態1において、骨再生活性化された改質構造は、プラズマ改質構造に限定されない。骨再生活性化された改質構造である限りは、希塩酸処理による改質構造であり得る。
更に、本発明の実施形態1において、プラズマ処理の対象として、人工骨200bを選択したが、骨再生活性化のための改質処理を実行して人工骨100を製造し得る限りは、プラズマ処理の対象は人工骨200bに限定されない。人工骨200b以外にも、図3を参照して説明した人工骨200a、人工骨200c、人工骨200dやその他種々の人工骨を活用し得る。
[実施形態2]
[人工骨製造装置及び人工骨製造方法]
図7は、本発明の実施形態2に係る人工骨製造装置300を示す模式図である。人工骨製造装置300によって、人工骨100が製造される。人工骨製造装置300は、人工骨200に含まれるバイオセラミックスに対してプラズマAを照射し、骨再生活性化のための改質処理をする処理装置として機能する。人工骨製造装置300による製造方法は、バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理工程を包含する。処理工程は、バイオセラミックスにプラズマを照射することにより実行される。
人工骨製造装置300は、ガス供給管312と第1電極314aと第2電極314bと電圧印加装置316とを備える。ガス供給管312は内径が2〜5mm程度の絶縁体(たとえば、石英、ガラス、プラスチックなど)からなるガス供給管である。ガス供給管312は、噴出口312aを有する。噴出口312aからは、ガス供給管312の内腔を通ったヘリウムガスBが噴出される。第1電極314aと第2電極314bとは、同軸状の一対のプラズマ発生用の電極である。第1電極314aと第2電極314bとは、ガス供給管312の噴出口312a側の端部の外周上の上流側と下流側とに各々設置されている。第1電極314aにパルス電圧を印加し、第2電極314bをグラウンド電位とする。電圧印加装置316は、10〜100kHz程度の低周波のパルス電圧(例えば、6〜12kV、13kHz)を第1電極314aと第2電極314bとの間に印加してパルス放電させることにより、噴出口312aから細く伸びるプラズマジェット(以下、LF(Lower Frequency)プラズマジェットとも称する)を生成する。なお、第1電極314aをグラウンド電位にして、第2電極314bにパルス電圧を印加しても、プラズマジェットを生成し得る。
LFプラズマジェットは、2つの点で希有な特徴を有している。まず、他の種類の大気圧プラズマ生成装置とは異なり、直径に対する長さの比すなわちアスペクト比が大きい形状のプラズマジェットが得られる。また、高時間分解能測定によると、柱状の放電が維持されているのではなく、小さなプラズマの塊(プラズマ・ブレット)が電源周波数と同期して、媒質ガス流に比べてきわめて大きな速度(たとえば、ガス流速の1万倍程度:10km/s程度)で移動している。したがって、プラズマ・ブレットは媒質ガス流によって流されているわけではなく、電場により駆動されて移動している。
LFプラズマジェットではパルス状にプラズマ塊(プラズマ・ブレット)が射出されるため、時間的に非平衡となることによって、熱的に非平衡の状態が作り出される。熱非平衡なプラズマであるので、対象物の温度上昇をもたらすことなく高エネルギー成分を照射することができる。
図8は、本発明の実施形態2に係る他の人工骨製造装置320を示す模式図である。人工骨製造装置320は、人工骨製造装置300と第1領域制御装置330とを備える。第1領域制御装置330は、改質処理の領域を制御する。第1領域制御装置330の機能の詳細は、図9を参照して説明する。人工骨製造装置300が備える構成要素については、図7を参照して説明したので、その説明は省略する。人工骨製造装置320による製造方法は、バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理工程と改質処理の領域を制御する領域制御工程を包含する。領域制御工程は、バイオセラミックスへのプラズマ照射時間を制御することにより実行される。
図9は、様々な厚みの改質層120を有する人工骨100を示す写真である。第1領域制御装置330がバイオセラミックスへのプラズマ照射時間を制御することで、改質層120の厚さを制御し得る。図9(a)は、プラズマ照射されていない人工骨(即ち人工骨200)を示す。図9(b)は、10秒間プラズマ照射された人工骨100を示す。図9(c)は、1分間プラズマ照射された人工骨100を示す。図9(d)は、5分間プラズマ照射された人工骨100を示す。図9(e)は、10分間プラズマ照射された人工骨100を示す。図9(f)は、30分間プラズマ照射された人工骨100を示す。図9(g)は、60分間プラズマ照射された人工骨100を示す。照射時間の増加に伴って人工骨の改質層120の厚みが増加する。
図10は、人工骨200へのプラズマ照射時間と改質層120の厚みとの関係を示すグラフである。縦軸は人工骨100の改質層120の厚みを示し、横軸は人工骨100の表面へのプラズマ照射時間を示す。改質層120の厚みは照射時間が10秒の場合は約120μmであり、照射時間が1分の場合は約300μmであり、照射時間が5分の場合は約350μmであった。さらに、照射時間が10分の場合は人工骨の改質層120の厚みは約460μmであり、照射時間が30分の場合は約820μmであり、照射時間が60分の場合は約890μmであった。照射時間の増加に伴って人工骨の改質層120の厚みが増加する。
図11は、本発明の実施形態2に係る更に他の人工骨製造装置400を示す模式図である。人工骨製造装置400は人工骨製造装置300と改質処理の領域を制御する第2領域処理装置420とを備える。人工骨製造装置300が備える構成要素については、図7を参照して説明したので、その説明は省略する。人工骨製造装置400による製造方法は、バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理工程と改質処理の領域を制御する領域制御工程を包含する。領域処理工程は、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御することにより実行される。
第2領域処理装置420は、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御することによって、改質処理の領域を制御する。第2領域処理装置420は、チャンバ402と加減圧装置404とを備える。チャンバ402の内部に人工骨200が配置されており、人工骨200を含む周辺空間を定義する。加減圧装置404は、人工骨200の連通性の程度に応じて、増圧と減圧との繰り返し回数を調整し得る。増圧と減圧とを繰り返すことによって、人工骨200の内部にまでプラズマAが侵入し、人工骨200の内部がプラズマ処理される。その結果、増圧と減圧との繰り返し回数の増加に伴って人工骨の改質層120の厚みが増加する。
なお、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御し得る人工骨製造装置の構成は、人工骨製造装置400の構成に限定されない。例えば、図12を参照して下記に説明する人工骨製造装置600も、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御し得る。
図12は、本発明の実施形態2に係る更に他の人工骨製造装置600を示す模式図である。人工骨製造装置600は、プラズマ発生装置610とプラズマチャンバ620と第3領域処理装置630とを備える。
プラズマ発生装置610は、誘電体バリア放電を形成することでプラズマAを発生する。プラズマ発生装置610は、上部電極と誘電体(たとえば、ガラス板)とを備える。プラズマ発生装置610への印加電圧は10〜100kHzの周期的に時間変動する電圧(正弦波電圧、パルス電圧を含む)である。プラズマチャンバ620は、プラズマ発生ガスB(空気、ヘリウムガス等)を導入する第1ゲート622と、プラズマチャンバ620から減圧チャンバ630に排気ガスを導出する第2ゲート624と、人工骨製造装置600の外部に排気ガスCを排出する排出手段626とを含む。プラズマチャンバ620内には、人工骨200が配置された試料ステージ628とプラズマ発生装置610とが設けられており、人工骨を含む周辺空間を定義する。プラズマ発生装置610とプラズマチャンバ620とは、バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理装置として機能する。
第3領域処理装置630は、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御することによって、改質処理の領域を制御する。第3領域処理装置630は、チャンバ632と加減圧装置634とを備える。例えば、加減圧装置634は、減圧チャンバ632内の圧力を調整する排気ポンプ、ピストン、ダイヤフラム等である。加減圧装置634によって減圧チャンバ632内の排気ガスDの排出スピードを調整し、人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御し得る。
誘電体を含む電極系は一種のコンデンサとみなせるため、プラズマ発生装置610へは交流電圧を印加しなければならない。商用から高周波仕様まで様々な電源を使って簡単に誘電体バリア放電を形成し、プラズマを発生し得る。
なお、図11及び図12を参照して説明したように、人工骨製造装置400や人工骨製造装置600によれば、プラズマチャンバ内に人工骨200を入れて、プラズマチャンバ内の圧力を低下することができる。従って、人工骨200が有する気孔内(人工骨200の内部)にまでプラズマを侵入させ、人工骨200の内部を改質することができる。
図13は、人工骨表面処理による濡れ性の変化を説明する図である。図13(a)は、人工骨200(従来の人工骨)の濡れ性を示す写真である。図13(b)は、人工骨100(本発明の人工骨)の濡れ性を示す写真である。図13(c)は、人工骨の接触角を示すグラフである。
人工骨100は、人工骨200にプラズマを5分照射することにより製造された。人工骨表面処理による濡れ性の変化を調べるため、人工骨100と人工骨200との表面に液滴を垂らし、液滴と人工骨との接触角(液滴の接線と固体表面(人工骨表面)とのなす角度θ)を計測した。人工骨200の接触角度は、約70度であった。人工骨100の接触角度は、約12度であった。プラズマ照射による人工骨表面改質によって、液滴と人工骨との接触角が10度〜15度になり、濡れ性が増した。プラズマ照射によって人工骨の表面が改質され、親水性が増したと判断し得る。
なお、プラズマ照射時間を更に増すことで、人工骨の表面や内部の改質程度が進み、人工骨の濡れ性を増すことができた。例えばプラズマ照射時間が30分を越えた場合、接触角は0度になった。プラズマ照射による人工骨表面改質によって、濡れ性(親水性)が増し、液滴と人工骨との接触角が狭くなり、液滴と人工骨との接触角は0度〜15度になった。
また、連球状開気孔を有する人工骨200にプラズマ照射して作製した人工骨100を用いる場合は、粒界空隙状開気孔を有する人工骨200や閉気孔を有する人工骨200にプラズマ照射して作製した人工骨100の場合と比較してプラズマが人工骨内部に侵入し易い。連球状開気孔は、粒界空隙状開気孔や閉気孔と比較して、気孔の連通性が高いからである。従って、連球状開気孔を有する人工骨200にプラズマ照射して作製した人工骨100によれば、人工骨の内部の改質程度が進み、人工骨の濡れ性を増すことができる。
図14は、人工骨表面におけるX線光電子分析(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)の結果を示すグラフである。グラフの横軸は結合エネルギーを示し、グラフの縦軸は吸収強度(相対強度)を示す。(a)は人工骨200の表面におけるX線光電子分析の結果であり、(b)は人工骨100の上表面におけるX線光電子分析の結果であり、(c)は人工骨100の下表面におけるX線光電子分析の結果である。人工骨100の上表面は、プラズマ処理時のチャンバ中で、プラズマ密度が高い側に位置し、人工骨100の下表面は、プラズマ処理時のチャンバ中で、プラズマ密度が低い側に位置していた。
HeとO2との混合ガス(He80%程度、O220%程度)を用いてプラズマを発生させ、人工骨200の表面をプラズマ照射することによって人工骨100を作製した。X線光電子分析には、X線光電子分析装置(品番:ESCA−850M/島津製作所製)を用いた。
表1は、人工骨表面におけるX線光電子分析の結果(人工骨表面の組成比)を示す表である。分析対象の人工骨は、バイオセラミックとしてハイドロキシアパタイトを含む。
Figure 2012036286
人工骨200の表面において、カルシウム(Ca)とリン(P)との比率(Ca/P)は、1.29であった。同様に人工骨200の表面において、酸素(O)とリン(P)との比率(O/P)は、4.49であり、酸素(O)とカルシウム(Ca)との比率(O/Ca)は、3.47であった。人工骨100の上表面において、Ca/Pは、1.33であり、O/Pは、6.45であり、O/Caは、4.85であった。人工骨100の下表面において、Ca/Pは、1.28であり、O/Pは、6.09であり、O/Caは、4.75であった。
HeとO2との混合ガスを用いて発生させたプラズマを照射することで、Ca/Pに大きな変化はなかったが、O/PとO/Caとはプラズマを照射することによって増加し、人工骨表面の組成比に変化が見られた。HeとO2との混合ガスを用いて発生させたプラズマを人工骨200の表面に照射することによって人工骨表面(バイオセラミックス)が酸化し、人工骨表面(バイオセラミックス)の酸素組成比が増えた。人工骨200の表面において、酸素(O)とリン(P)との組成比(O/P)が約4.5であり、酸素(O)とカルシウム(Ca)との組成比(O/Ca)が約3.5の場合、人工骨100の表面において、O/Pは6.0〜7.0であり、O/Caは4.0〜5.0であった。
なお、分析対象の人工骨にハイドロキシアパタイトではなく他のバイオセラミックスが含まれる場合は、元素の種類や元素の構成比が異なることもあり得る。例えば、バイオセラミックスとしてβ−TCP(β―リン酸三カルシウム)が含まれる場合は、ハイドロキシアパタイトが含まれる場合と比較して、元素の構成比が異なる。さらに、バイオセラミックスとしてガラスセラミックスが含まれる場合も、ハイドロキシアパタイトが含まれる場合と比較して、元素の種類、構成比は異なる。
X線光電子分析のために、HeとO2との混合ガス(He80%程度、O220%程度)を用いてプラズマを発生させ、人工骨200の表面をプラズマ照射することによって人工骨100を作製したが、プラズマ照射によって人工骨表面が酸化し、人工骨表面の酸素組成比が増える限りは、HeとO2との混合ガスによるプラズマ発生に限定されない。混合ガスは、アルゴン(Ar)と酸素との混合ガスや窒素と酸素との混合ガス等、酸素を含んだ混合ガスであり得る。
本発明の好適な人工骨製造装置及び人工骨製造方法によれば、バイオセラミックスへのプラズマ照射時間を長くする場合には、人工骨の内部の非改質層に至るまでプラズマが到達し、人工骨の内部の非改質層を骨再生活性化した改質構造にし得る。また、プラズマ照射時間を短くする場合には、人工骨の表面付近の非改質層を骨再生活性化した改質構造にし得る。その結果、改質部分を選択的に形成し得、目的に応じた人工骨を製造し得る。
本発明の好適な人工骨製造装置及び人工骨製造方法によれば、周辺空間を減圧することで、バイオセラミックスの多孔内部にプラズマを導入し得る。その結果、バイオセラミックスの多孔内部を骨再生活性化した改質構造にし得る。また、周辺空間の圧力の加減を繰り返すことで、多孔内の隅々までプラズマを導入し得る。その結果、バイオセラミックスの多孔内部をより確実に改質構造にし得る。
なお、本発明の実施形態2において、改質処理の領域を制御し得る限りは、領域制御装置による制御対象は、バイオセラミックスへのプラズマ照射時間や人工骨を含む周辺空間の圧力の加減に限らない。例えば、領域制御装置は、プラズマ処理装置の位置を移動してバイオセラミックスへの照射位置を変更する移動装置を備え得る。
更に、本発明の実施形態2において、照射するプラズマの圧力および種類は限定されない。例えば、プラズマ温度が、バイオセラミックスの焼結温度以下であれば、バイオセラミックスの構造を変更することなく、骨再生活性化された改質が可能となる。
更に、本発明の実施形態2において、プラズマ照射時間を制御する第1領域制御装置、周辺空間の圧力の加減を制御する第2領域制御装置及び第3領域制御装置の各々を備える人工骨製造装置を説明したが、本発明の人工骨製造装置が備える領域制御装置の数は、1つに限定されない。例えば、人工骨製造装置400は、人工骨製造装置300にプラズマ照射時間を制御する第1領域制御装置を更に備え得る。また、人工骨製造装置600は、プラズマ発生装置610に第1領域制御装置を更に備え得る。この場合、人工骨製造装置400及び人工骨製造装置600は、プラズマ照射時間の制御及び周辺空間の圧力の加減の制御が可能となり、バイオセラミックスに占める処理領域の位置、大きさ、範囲を精度よく制御し得る。
本発明の人工骨、人工骨製造装置及び人工骨製造方法によれば、主に、外科、整形外科等の医療分野において、骨の欠損部及び空隙への欠損補填の実現に利用可能である。
100 人工骨
110 非改質層
120 改質層
200 従来の人工骨
300 人工骨製造装置
320 人工骨製造装置
330 第1領域制御装置
400 人工骨製造装置
420 第2領域処理装置
600 人工骨製造装置
610 プラズマ発生装置
620 プラズマチャンバ
630 第3領域処理装置

Claims (15)

  1. バイオセラミックスを含む人工骨であって、
    前記バイオセラミックスは、骨再生活性化された改質構造を有する、人工骨。
  2. 前記改質構造は、プラズマ改質構造である、請求項1に記載の人工骨。
  3. 前記バイオセラミックスは多孔質である、請求項1又は請求項2に記載の人工骨。
  4. 前記バイオセラミックスは連球状開気孔を有する、請求項1から請求項3のうちの一項に記載の人工骨。
  5. 前記バイオセラミックスは、リン酸カルシウム含有セラミックス又はガラスセラミックスを含有する、請求項1から請求項4のうちの一項に記載の人工骨。
  6. 前記改質構造は、液滴の接線と前記バイオセラミックの表面とのなす角度が0度〜15度である、請求項1から請求項5のうちの一項に記載の人工骨。
  7. 前記バイオセラミックの表面において、酸素(O)とリン(P)との組成比(O/P)は6.0〜7.0であり、酸素(O)とカルシウム(Ca)との組成比(O/Ca)は4.0〜5.0である、請求項1から請求項6のうちの一項に記載の人工骨。
  8. バイオセラミックスを含む人工骨の製造装置であって、
    前記バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理装置を備えた、人工骨製造装置。
  9. 前記処理装置は、前記バイオセラミックスにプラズマを照射する、請求項8に記載の人工骨製造装置。
  10. 前記改質処理の領域を制御する領域制御装置を更に備えた、請求項8又は請求項9に記載の人工骨製造装置。
  11. 前記領域制御装置は、前記バイオセラミックスへのプラズマ照射時間を制御する、請求項10に記載の人工骨製造装置。
  12. 前記領域制御装置は、前記人工骨を含む周辺空間の圧力の加減を制御する、請求項10又は請求項11に記載の人工骨製造装置。
  13. バイオセラミックスを含む人工骨の製造方法であって、
    前記バイオセラミックスに骨再生活性化のための改質処理をする処理工程を包含する、人工骨製造方法。
  14. 前記処理工程は、前記バイオセラミックスにプラズマを照射することにより実行される、請求項13に記載の人工骨製造方法。
  15. 前記処理工程において、前記バイオセラミックスを酸化し、前記バイオセラミックスの酸素組成比を増加させる、請求項13又は請求項14に記載の人工骨製造方法。
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