JPWO2012011185A1 - たばこ製品 - Google Patents

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Abstract

たばこ刻をパウチまたは巻紙で包んだたばこ製品であって、前記パウチまたは巻紙は内層および外層を有し、前記外層の紙は前記内層の紙よりも通気度が大きいことを特徴とするたばこ製品。

Description

本発明は、たばこ刻をパウチまたは巻紙で包んだたばこ製品に関する。
SNUSは、製造後、使用者に渡るまでに、パウチに染みが発生することがある。SNUSのパウチに染みが発生すると、使用者は商品の品質が低下したという印象をもつという問題があるため、できる限り染みを抑制することが望まれている。シガレットの巻紙における染みにも同様の問題がある。染みは、パウチまたは巻紙に包まれたたばこ刻の成分が液体としてパウチまたは巻紙に浸透することによって生じる。
特許文献1、2は、シガレットにおける染みを低減するために二重巻紙を用い、内側巻紙として細孔が設けられ、坪量が低く、通気度が高い巻紙を用いることを開示している。また、アルカリケテンダイマーなどサイズ剤塗布による表面濡れ性を抑えることも記載されてある。
染み成分の浸透は毛管力によって生じる現象であり、毛管力は細孔径が大きい紙ほど減少し、細孔径が小さい紙ほど浸透距離が大きくなる。特許文献1、2のように、外側巻紙に比べて内側巻紙の細孔径が大きい場合、染み成分が内側巻紙を浸透すると、染み成分は外側巻紙も浸透する。したがって、特許文献1、2の技術は、二重巻紙の効果というよりもむしろ、単純に内側巻紙を設けたことにより染み低減を図っている。
特許文献3は、副流煙に風味を有する喫煙品に関し、二層巻紙の内層と外層との間にカプセル香料を保持し、外側巻紙は200CU以上の通気度、内側巻紙はそれより小さい通気度とすることを開示している。特許文献3は、二重巻紙間に設けたカプセル香料から香味成分を蒸発させて巻紙を通した拡散を促進させる。
しかし、特許文献3は、液体の浸透および染みに関して考慮していないので、内側巻紙および外側巻紙の通気度ならびに二重巻紙による液体の浸透および染みへの影響も不明である。
特許第2660876号公報 米国特許第5143099号明細書 特許第4024249号公報
本発明の目的は、たばこ刻をパウチまたは巻紙で包んだたばこ製品において、パウチまたは巻紙への液体の染みを防止することにある。
本発明によれば、たばこ刻をパウチまたは巻紙で包んだたばこ製品であって、前記パウチまたは巻紙は内層および外層を有し、前記外層の紙は前記内層の紙よりも通気度が大きいことを特徴とするたばこ製品が提供される。
図1は、本発明に係るたばこ製品の断面図である。 図2は、紙の通気度と、1枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間との関係を示す図である。 図3は、パウチの外層の表面での染みの発生状況を模式的に示す図である。 図4は、実施例1〜4および比較例1〜4のサンプルについて得られた染み面積率を示す図。 図5は、実施例5〜8および比較例5〜8のサンプルについて得られた染み面積率を示す図。 図6は、実施例9のサンプルについて得られた染み面積率を示す図。 図7は、紙−B,C,Dについて、通気度と代替通気度との関係を示す図。
本発明によれば、たばこ刻を内層および外層を有する二層のパウチまたは巻紙で包み、前記外層の通気度を前記内層の通気度よりも大きくすることによって、パウチまたは巻紙への液体の染みを防止する。
図1に、本発明に係るたばこ製品の断面図を示す。図1に示すように、本発明に係るたばこ製品1は、たばこ刻み10を内層11および外層12を含む二層のパウチまたは巻紙で包んだものである。外層12の通気度は内層11の通気度よりも大きい。このことは、外層12の細孔径Dが内層11の細孔径Dよりも大きいことを意味する。以下、本発明の構成により、パウチまたは巻紙への液体の染みを防止できる理由を説明する。その理由は、前述したように、液体のパウチまたは巻紙への浸透が毛管力によって生じる現象であることから説明できる。
第1に、細孔が液体で完全に濡れると毛管力により液体の浸透が生じるが、細孔が液体で濡れなければ液体の浸透を防止できる。図1のように、外層12の細孔径Dが内層11の細孔径Dよりも大きくなっていると、細孔が液体で濡れる可能性が低くなるので、液体の浸透、したがって染みを防止できる。
第2に、紙の細孔径が小さいほど毛管力は大きくなるため浸透距離は大きくなる。細孔径の小さい内層と細孔径の大きい外層を組み合わせた場合、内層が保水機能を有し、液体が内層の細孔内に十分満たされた後、内層の細孔における毛管力を超えてはじめて細孔径の大きい外層へ浸透し始める。逆に、細孔径の大きい内層と細孔径の小さい外層を組み合わせた場合、内層の大きな細孔における毛管力が小さいため、液体が小さい毛管力を超えるのが容易になり、内層から外層へ液体が浸透しやすくなる。上記のように、細孔径の小さい内層と細孔径の大きい外層を組み合わせた方が、内層の保水効果のために液体が浸透しにくくなり、液体の染みを防止できる。
なお、紙の細孔径が大きいほど毛管力が小さい、すなわち液体の吸い上げ高さが小さくなることに関する理論的な考察は、たとえば、中西ら、化学工学論文集、14(6)、pp.794−802、1988に示されている。
本発明においては、内層と外層との間にスペーサーを入れて内層と外層と間に間隙を設けたり、サイズ剤を塗布し接触角を高めたりすることによって、液体の染みをさらに有効に防止できる。
本発明において、紙の二層化による染みの防止は細孔径に依存するので、内層および外層の紙の種類は不織布や機械漉き和紙などいずれでもよく、特に限定されない。
本発明におけるパウチまたは巻紙への染みを防止する技術は毛管力現象を利用したものであり、二層構造のパウチまたは巻紙が乾燥している場合にのみ成立する。たとえば、SNUS使用時のように、SNUSを口に含んで二層構造のパウチ全体が濡れたときにパウチ内成分が溶出することは考慮する必要がない。
ここで、染みは紙断面方向に液体が浸透することにより生じる。液体の浸透は紙の細孔構造によることが知られている(M.Miyauchi and Y.Nakanishi, Drying Technology,24,31−36,2006)。一方、紙の通気度も紙の細孔構造に依存している。
そこで、特開2007−255891または上記文献(Dying Technology,24,31−36,2006)記載の液体浸透度検査装置を用いて、1枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間を求めた。一方、CORESTA Recommended Method No.40記載の方法で通気度を測定した。通気度は、紙の両面の差圧が1kPaのときに、面積1cmを通過する気体の流量をcm/minの単位で表す。1cm/minを1CU(CORESTA UNIT)という。
図2に、紙の通気度と、1枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間との関係を示す。図2に示すように、紙の通気度が高くなると、1枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間が短くなっている。このように、通気度と枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間とは相関を有する。上記文献に記載されている理論式によると、1枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間が空隙率、つまり細孔径に依存していることがわかる。
本発明においては、内層よりも外層の細孔径を大きくすることと等価な関係として、内層よりも外層の通気度を大きくすることを規定している。
本発明において、紙の通気度を制御するには、紙の仕様または製造プロセスを調節してもよいし、紙に孔を開けてもよい。巻紙の紙層内において10μm以下の空隙の分布を調節するには、炭酸カルシウムの添加量を調節する方法、パルプの叩解度を調節する方法、および抄紙工程での脱水速度を調節する方法などが知られている。また、紙に孔を開けるには、シガレット巻紙に通常の手法により機械的または電気的に穿孔する方法を用いることができる。具体的には、針状の歯型によりプレス開孔する機械的な方法、コロナ放電による電気的な方法、巻紙を連続走行させながらレーザー発振器から出力された連続ビームを回転チョッパーによりパルス状に照射して開孔する方法などを用いることができる。
実施例
二層構造のパウチにおける染みの低減効果を容易にかつ迅速に判断するために、水分含有率がたかく、自由水が多いたばこ刻を準備し、SNUSを作製して試験に供した。
(1)たばこ刻20gを秤量して、水20gをガラス製噴霧器で添加した。得られたたばこ刻を100℃で1時間乾燥し、減量分を水とみなして、たばこ刻中の水分含有率を算出すると、53%wet basisであった。
一方、紙として、通気度40000CU以上(Filtrona製、PPM300にて測定限界以上)から通気度9CUまでのものを用いた。表1に紙の物性値を示す。
前記文献(Dying Technology,24,31−36,2006)記載の方法によれば、最も浸透速度の遅い紙Jでも、1枚の紙の断面を液体が浸透するのに要する時間は38秒であった。
Figure 2012011185
表1に記載の紙を長方形(約25mm×約30mm)にカットし、中心から折って両サイドを固定してポケット(巾約18mm×高さ約12mm)を作り、その中に上記の水分含有率の高いたばこ刻を280±10mg入れ、残りのサイドを固定してサンプルを作製した。紙の固定は迅速さを考慮してホッチキスで行った。表2に紙の組み合わせを示す。
Figure 2012011185
次に、以下のようにして染みの発生状況を評価した。サンプルの上にガラス板(φ42mm、15.75g)を載せ、その上から200gの分銅により3分間荷重をかけて、内層の紙をたばこ刻中に存在する自由水に直接接触させた。分銅を取り除いた後、サンプルを密封ビンに入れて保存した。1日経過後、サンプルを密封ビンから取り出して、サンプルの外層表面を写真撮影した。図3にパウチの外層の表面での染みの発生状況を模式的に示す。この図では、パウチ20の外層表面に発生した染み21を斜線で表示している。次に、得られた写真画像を、WinROOF(ver.6.3.1、三谷商事株式会社)を用いて画像解析し、染み発生面積率を求めた。画像解析は以下の通り行った。まず、RGBの色抽出による二値化処理を行い、染み領域を切り出し、次に二値化された領域の面積のサンプル総面積に対する比率を、染み面積率として求めた。
実施例1〜4および比較例1〜4の各組み合わせのサンプルについて得られた染み面積率を図4に示す。図4から、外層に内層より通気度の高い紙を用いたサンプルは、外層に内層より通気度の低い紙を用いたサンプルまたは外層に内層と同じ通気度の紙を用いたサンプルよりも染みの発生が少ないことがわかる。また、予期したとおり、巻紙の坪量が異なる紙HとIとの間には他のサンプルと大きな違いは見られず、紙の坪量はあまり関係がないことがわかった。
二層構造の紙の内層と外層との組み合わせに関しては、以下のことがわかった。外層に紙Aのような不織布を用いる場合には、内層に通気度30000CU以下の紙を配置することが好ましい。外層に通気度10000CU以下の紙を用いる場合には、内層に通気度100CU以下の紙を用いることが好ましい。一方、通気度9CUの紙Jを用いた場合には、細孔径が小さく、浸透距離が大きくなる。このため、実施例のように荷重をかけて水分含有率の高いたばこ刻中の自由水が自由に移動できる条件では、細孔径の小さい紙を十分に浸透し、紙Jの保水効果も少なくなるため、内外層の通気度に十分な開差がなければ、本発明に係る紙の二層化による染み低減効果が極めて低い。
なお、上記の実験に用いた通気度の高い紙は透明性が高いので、染みの低減によって外観品質を向上させるためには、填料の添加などにより通気度の高い紙を不透明化することも好ましい。
(2)SNUS用パウチには一般的に不織布のような通気度40000CU以上(Filtrona製、PPM300による測定限界以上)が使われる場合が多い。そこで、このような通気度レベルを有する紙を試験に供した。
ただし、通気度が高すぎると、Filtrona製、PPM300では、通気度を求めるための圧力と流量との関係を測定できない。このような場合、以下のようにして代替的な測定を行い、通気度の目安値を求めた。まず、紙を二枚重ねにした以外は、測定マニュアル通りに通気度を測定した。このように紙を二枚重ねにしても、測定装置の測定限界流量である80L/minを超過した。そこで、80L/min以下の流量で得られた圧力と流量の関係から代替通気度目安値を算出した。代替通気度目安値を算出する際に、圧力と流量との関係は十分な線形性を有し、供試した紙サンプルの通気度の大きさを正しく判断できることがわかった。そこで、上記の紙A〜Dについても代替数値目安値を測定した。表3に紙の物性値を示す。
Figure 2012011185
表3に記載の紙を用い、上記と同様にしてサンプルを作製した。表4に紙の組み合わせを示す。
Figure 2012011185
次に、上記と同様にして、内層の紙をたばこ刻中に存在する自由水に直接接触させた後に、サンプルの外層の表面を写真撮影し、画像解析により染み面積率を求めた。実施例5〜8および比較例5〜8の各組み合わせのサンプルについて得られた染み面積率を図5に示す。図5から、外層に不織布からなる通気度の高い紙を用いた場合でも、外層に内層より通気度の高い紙を用いたサンプルは、そうでないサンプルよりも染みの発生が少なかった。図6に、実施例9の各組み合わせのサンプル、つまり通気度20000CU以上の紙の組み合わせのサンプルで得られた染み面積率を示している。図6に示される染み面積率は、図4および図5に示される比較例の染み面積率と比較して十分に低いことが明らかである。したがって、通気度20000CU以上の紙の組み合わせにおいても、外層に内層より通気度の高い紙を用いたサンプルは染みの発生が少ないことがわかる。
実施例5〜9および比較例5〜9の各組み合わせについて撮影した写真を観察した結果、外層に不織布からなる通気度の高い紙を用いた場合でも、外層に内層より通気度の高い紙を用いたサンプルは、そうでないサンプルよりも染みの発生が少なかった。
二層構造の紙の内層と外層との組み合わせに関しては、以下のことがわかった。外層に通気度30000CU以上のような不織布を用いる場合には、内層に通気度30000CU以下、さらに20000CU以下の紙を配置することが好ましい。
また、実施例7、8および比較例7、8の比較から代替通気度目安値による評価で以下のことがわかった。すなわち、実施例8および比較例8のように外層および内層に不織布を用い、両者の間で代替通気度に十分に差がない場合には、荷重をかけて水分含有率の高いたばこ刻中の自由水が移動できる条件では染みの低減効果が低いことがわかった。これに対して、実施例7および比較例7のように外層および内層に不織布を用いた場合でも、両者の間で代替通気度に10000以上の差があれば、十分な染みの低減効果が得られることがわかった。
実施例7と比較例7では代替通気度の開差が12200CU、実施例8と比較例8では代替通気度の開差が6700CUである。ここで、紙−B,C,Dについて、通気度と代替通気度との関係を図7に示す。この図から得られた関係を用いると、実施例7と比較例7では通気度の開差が21000CU、実施例8と比較例8では通気度の開差が11000CUに相当する。したがって、外層および内層に不織布を用いた場合でも、両者の間で通気度に20000CU以上の差があれば、十分な染みの低減効果が得られることがわかった。

Claims (5)

  1. たばこ刻をパウチまたは巻紙で包んだたばこ製品であって、前記パウチまたは巻紙は内層および外層を有し、前記外層の紙は前記内層の紙よりも通気度が大きいことを特徴とするたばこ製品。
  2. 前記外層の紙は不織布であり、前記内層の紙は通気度が30000CU以下であることを特徴とする請求項1に記載のたばこ製品。
  3. 前記外層の紙は通気度が10000CU以下であり、前記内層の紙は通気度が100CU以下であることを特徴とする請求項1に記載のたばこ製品。
  4. 前記外層の紙および前記内層の紙は不織布であり、前記外層の紙と前記内層の紙との通気度の差は20000CU以上であることを特徴とする請求項1に記載のたばこ製品。
  5. 前記外層の紙および前記内層の紙は通気度が9CU以上であることを特徴とする請求項1に記載のたばこ製品。
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