JPWO2011158827A1 - 紫外線センサ、及び紫外線センサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層1と、ZnOを主成分としかつp型半導体層1の表面の一部が露出した形態でp型半導体層1に接合されたn型半導体層2とを有している。p型半導体層1の両端部には内部電極4に接続された第1の端子電極3aと、n型半導体層2に接続された第2の端子電極3bとが形成されている。内部電極4は、一般式RNiO3等で表される希土類元素RとNiを主成分とした低抵抗の複合酸化物で形成されている。これにより周辺回路を必要とせず、かつデラミネーション等を生じることもなく、光起電力として紫外線を容易に検出することができる安価で小型化が可能な紫外線センサを実現する。

Description

本発明は、紫外線センサ、及び紫外線センサの製造方法に関し、より詳しくは、酸化化合物半導体を使用してp型半導体層とn型半導体層とをヘテロ接合させた積層構造を有するフォトダイオード型の紫外線センサ、及びその製造方法に関する。
紫外線センサは、火災報知器、バーナーの燃焼監視装置等の炎センサや、屋外での紫外線照射量を検出する紫外線検出デバイスとして広く使用されており、近年では光通信デバイスへの応用にも期待されている。
この種の紫外線センサは、従来より、センサ材料としてダイヤモンド半導体やSiC半導体を使用したものが知られている。しかしながら、これらのダイヤモンド半導体やSiC半導体は、材料加工性に劣り、高価であるという欠点があった。
そこで、最近では、材料加工性が容易で比較的安価な酸化物半導体が注目されており、これらの酸化物半導体を使用してp型半導体層とn型半導体層とをヘテロ接合させた紫外線センサの研究・開発が盛んに行なわれている。
例えば、特許文献1には、図16に示すように、n型の酸化物半導体であるZnO層101と、該ZnO層101に接するように設けられたp型の酸化物半導体である(Ni,Zn)O層102と、前記ZnO層101に電気的に接続された第1の端子電極103と、遷移金属酸化物等からなる導電層104を介して(Ni,Zn)O層102と電気的に接続された第2の端子電極105とを備えた紫外線センサ106が開示されている。
この特許文献1では、矢印a方向に紫外線を照射し、n型のZnO層101とp型の(Ni,Zn)O層102との接合部に形成される空乏層に紫外光が当たると、キャリアが励起されて光電流が発生し、これにより紫外線を検知することが可能である。
しかしながら、(Ni,Zn)O層102のキャリア濃度はZnO層101のキャリア濃度に比べて極端に低く、(Ni,Zn)O層102の比抵抗を十分に低くすることができないため、ZnO層101に紫外線を照射しても微弱な光電流しか生成しない。しかも、この微弱な光電流は、(Ni,Zn)O層102の有する内部抵抗によって殆ど消費されるため、実際には電流値として検出することができないのが現状である。
このため特許文献1では、図16に示すように、ZnO層101の表面側及び導電層104の裏面側にそれぞれ第1及び第2の端子電極103、105を形成すると共に、外部に電源回路107を設け、抵抗値の変化として紫外線強度を検出している。すなわち、紫外線照射時に第1及び第2の端子電極103、105に電圧を印加し、電源108に並列接続された抵抗109でその変化を計測し、抵抗値の変化により紫外線強度を検出している。
また、特許文献2には、(Ni,Zn)O層と前記(Ni,Zn)O層の一方主面の一部を覆うように形成されたZnO層とを含む積層体と、(Ni,Zn)O層に電気的に接続された第1の端子電極と、前記(Ni,Zn)O層及び前記ZnO層の双方に電気的に接続された第2の端子電極と、前記第1の端子電極に電気的に接続されながら、前記(Ni,Zn)O層内に形成されるPd等からなる内部電極とを備えた紫外線センサが開示されている。
この特許文献2では、p型半導体である(Ni,Zn)O層とn型半導体であるZnO層との接合部の少なくとも一部が表面露出しているので、検出されるべき紫外線がZnO層を透過して上記接合部に到達させる必要がなく、したがって、ZnO層を透過する際の減衰によって感度低下を招くことのない紫外線センサを得ることができる。
特許第3952076号公報(図3) 特開2009−300206号公報(図1、段落番号〔0053〕)
しかしながら、特許文献1では、上述したように外部に電源回路107を設け、紫外線強度を抵抗値の変化として検出しなければならないため、該電源回路107の搭載スペースを確保する必要がある。また、電源回路107により検出される抵抗値は高く、このため高入力インピーダンスの測定機や増幅回路が別途必要となる。このように特許文献1は、高価な周辺回路が必要となり、かつデバイスも大型化するという問題点があった。
また、特許文献1では、紫外線強度を抵抗値の変化で検出しているが、(Ni,Zn)O層102の抵抗値が測定温度によって大きく変動するため、電源回路107により検出された抵抗値は紫外線照射による抵抗値と温度変化による抵抗変動値とが複合されたものとなる。このため紫外線強度のみを取得するためには温度補正等が必要となり、デバイスの煩雑化を招くという問題点があった。
さらに、特許文献1では、基板実装する場合、(Ni,Zn)O層102が基板と略同程度の高抵抗であるため、実装した場合の絶縁性確保が困難である。
一方、特許文献2は、1250℃の酸化性雰囲気で(Ni,Zn)Oと同時焼成させるために、内部電極材料としてPdを使用している。すなわち、(Ni,Zn)Oと同時焼成させるためには、内部電極材料として、通常は貴金属材料が使用され、Pdの他、Ptの使用が考えられる。
しかしながら、これらの貴金属材料を使用した場合、材料費が高価になる上、以下のような問題点があった。
すなわち、これらの貴金属材料は仕事関数が大きいため、(Ni,Zn)Oとの間で不必要なショットキー障壁を形成する。したがって、たとえ紫外線照射により光起電力が生じてもこのショットキー障壁によって殆ど消費されることとなり、特許文献1と同様、外部に電源回路を設けて抵抗の変化値として検出せざるを得ない。
また、Ptを使用した場合、Ptは酸化反応に対し触媒作用を奏し、焼成過程で反応が急激に促進される。このため、内部電極の膨張を招いたり(Ni,Zn)O層にクラックを招き、デラミネーション(層間剥離)が生じるおそれがある。
また、Pdを使用した場合、Pdは一定温度以上(例えば、800℃)の高温になると酸素を吸収し、焼成後の降温時には酸素を放出する。すなわち、このようなPdの酸素放出作用により、降温時には被焼成物に酸素が供給されることとなり、(Ni,Zn)Oの結晶粒界や表面に強固な酸化層が形成されるおそれがある。そして、このような酸化層が形成される結果、(Ni,Zn)Oの見掛け上の比抵抗が上昇し、このため光起電力が生じても微弱であり、検出するのは困難である。
このように特許文献2のような貴金属材料を内部電極材料に使用した場合は、高価である上、Ptの場合はデラミネーションを生じるおそれがあり、またPdを使用した場合は、特許文献1と同様、外部に電源回路を設けて紫外線強度を抵抗変化で検出せざるを得ず、高価な周辺回路が必要となり、かつデバイスの大型化を招くおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、周辺回路を必要とせずかつデラミネーション等を生じることもなく、光起電力として紫外線を容易に検出することができる安価で小型化が可能な紫外線センサ、及び紫外線センサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するために、p型の酸化物半導体として(Ni,Zn)Oを使用し、n型の酸化物半導体としてZnOを使用し、内部電極を(Ni,Zn)Oの内部に埋設させた紫外線センサについて鋭意研究を行ったところ、内部電極材料として、希土類元素とNiとを主成分とした低抵抗の複合酸化物を使用することにより、(Ni,Zn)Oの比抵抗を十分に低くすることが可能となり、光起電力として紫外線を検出できるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る紫外線センサは、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層と、ZnOを主成分としかつ前記p型半導体層の一部が表面に露出した形態で前記p型半導体層に接合されたn型半導体層と、前記p型半導体層に埋設された内部電極と、前記p型半導体層の両端部に形成された端子電極とを有する紫外線センサにおいて、前記内部電極が、希土類元素とNiとを主成分とした複合酸化物で形成されていることを特徴としている。
また、本発明の紫外線センサは、前記希土類元素は、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、及びYbの中から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
ところで、上記紫外線センサでは、構造上、内部電極は、一方の端子電極に電気的に接続されるが、他方の端子電極とは電気的に接続されず、内部電極と該他方の端子電極との間には電気的な抵抗が形成されてn型半導体層とp型半導体層との間で閉回路が形成されるおそれがある。
そして、発生した光電流が、上記閉回路、すなわちp型半導体層側にリークすると、エネルギー損失が生じ、材料本来の有する特性を損なうおそれがある。したがって内部電極と前記他方の端子電極との間を高抵抗化し、電気的に絶縁させて光電流がp型半導体層側にリークしないようにするのが好ましい。
すなわち、本発明の紫外線センサは、前記端子電極が、前記内部電極に接続された第1の端子電極と、前記n型半導体層に接続された第2の端子電極とを有し、少なくとも前記第2の端子電極と前記内部電極との間に絶縁層が形成されていることが好ましい。
また、絶縁層を、前記p型半導体層の中央部を包囲するような形態で前記p型半導体層の表面、及びp型半導体層とn型半導体層の接合界面の全域又は一部を除く領域に形成することにより、センサ特性の取得部分と平行な端子間の略全領域に絶縁層を形成することができ、p型半導体層側に加え、第1の端子電極への光電流のリークも低減することができ、より一層のエネルギー損失の抑制を図ることが可能となる。
すなわち、本発明の紫外線センサは、前記絶縁層が、前記p型半導体層の中央部を包囲するような形態で前記p型半導体層の表面、及びp型半導体層とn型半導体層の接合界面の全部又は一部を除く領域に形成されていることが好ましい。
また、p型半導体層と第2の端子電極との間に絶縁層を設けることによっても、上述と同様、エネルギー損失を抑制することが可能である。
すなわち、本発明の紫外線センサは、前記絶縁層が、前記p型半導体層と前記第2の端子電極との間に介在されていることが好ましい。
また、本発明の紫外線センサは、前記絶縁層が、少なくともSiを含有していることが好ましい。
また、本発明の紫外線センサは、前記絶縁層が、ケイ酸亜鉛を主成分としていることが好ましい。
上記紫外線センサにおける内部電極の作製方法としては、Ni及び希土類元素を主成分とした複合酸化物を含有するペーストをグリーンシートに塗布して焼成する方法、或いは希土類元素を含有したペーストを塗付し、p型半導体層となるべきグリーンシートに含有されるNiと反応させて形成する方法がある。前者は安定した特性を得ることができ、後者は安価に製造することができる。
すなわち、本発明に係る紫外線センサの製造方法は、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層に内部電極を埋め込み、前記p型半導体層とZnOを主成分とするn型半導体層とを接合させた紫外線センサの製造方法であって、前記内部電極を埋め込んだ前記p型半導体層を作製するp型半導体層作製工程が、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、少なくとも希土類元素を含有した第1のペーストを作製する第1のペースト作製工程と、前記第1のペーストを前記グリーンシートの表面に塗布し、第1の塗布膜を形成する第1の塗布膜形成工程と、前記第1の塗布膜が前記グリーンシート間に挟持されるように前記グリーンシートを所定枚数積層し、グリーン積層体を作製する積層体作製工程と、前記グリーン積層体を焼成する焼成工程とを含んでいることを特徴としている。
さらに、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記第1のペースト作製工程は、希土類酸化物とNi酸化物とを含む原料粉末から複合酸化物を作製する複合酸化物作製工程を含むことが好ましい。
また、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記第1のペースト作製工程は、希土類酸化物を主成分とした希土類ペーストを作製し、前記焼成工程は、前記グリーンシートに含有されるNiを拡散させて前記希土類元素と反応させ、複合酸化物からなる内部電極を形成することが好ましい。
また、上述した絶縁層は、Siを含有したペーストをグリーンシートに塗付し、焼成工程における同時焼成時にSiとグリーンシートに含有されるZnとを反応させ、高抵抗のケイ酸亜鉛を形成することにより、容易に作製することができる。
すなわち、本発明の紫外線センサの製造方法は、少なくともSiを含有した第2のペーストを作製する第2のペースト作製工程と、前記第1の塗布膜の周囲に前記第2のペーストを塗布し、第2の塗布膜を形成する第2の塗布膜形成工程とを含み、前記焼成工程は、前記グリーンシートに含有されるZnと前記第2の塗布膜に含有されるSiとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層を形成することが好ましい。
また、本発明の紫外線センサの製造方法は、前記第1の塗布膜が形成されていないグリーンシートを使用し、該グリーンシートの周縁部に前記第2のペーストを塗布し、第3の塗布膜を形成する第3の塗布膜形成工程と、前記グリーンシートの一方の表面全域に前記第2のペーストを塗布し、第4の塗布膜を形成する第4の塗布膜形成工程とを含み、前記積層体作製工程は、前記第4の塗布膜が形成された前記グリーンシートを下層に配して前記グリーン積層体を作製し、前記焼成工程は、前記グリーンシートに含有されるZnと前記第3及び第4の塗布膜に含有されるSiとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層を形成することが好ましい。
また、本発明の紫外線センサの製造方法は、少なくともSi成分を含有した前記第2のペーストを作製する第2のペースト作製工程を含み、前記第1の塗布膜が表面露出していない側の前記グリーン積層体の端面に前記第2のペーストを塗布することが好ましい。
本発明の紫外線センサによれば、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層と、ZnOを主成分としかつ前記p型半導体層の一部が表面に露出した形態で前記p型半導体層に接合されたn型半導体層と、前記p型半導体層に埋設された内部電極と、前記p型半導体層の両端部に形成された端子電極とを有する紫外線センサにおいて、前記内部電極が、希土類元素(例えば、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、及びYb)とNiとを含有した複合酸化物で形成されているので、p型半導体層を低抵抗化することができ、紫外光照射時に得られる光起電力によって紫外線強度を検知することができる。すなわち、内部電極はp型半導体層と同様、Ni系酸化物であることから両者のエネルギー準位が近く、ショットキー障壁を形成することもなく、p型半導体層と内部電極とはほぼオーミック接触となる。したがって、紫外線を光起電力、特に光起電圧として検出することが可能となり、外部に電源回路やその他の周辺回路を設ける必要もなく、かつ内部電極材料に高価な貴金属材料を使用する必要もなく、安価で小型化された紫外線センサを得ることができる。
また、前記端子電極を、前記内部電極に接続された第1の端子電極と、前記n型半導体層に接続された第2の端子電極とを有し、少なくとも前記第2の端子電極と前記内部電極との間に絶縁層(Siを含有したケイ酸亜鉛等)を設けて形成した場合には、光電流が紫外線照射時に第2の端子電極からp型半導体層にリークするのを低減することができ、これによりエネルギー損失を抑制できる。
しかも、第2の端子電極と前記内部電極との間に形成され得る抵抗の温度特性をカットできることから、温度特性も平坦となり、前記p型半導体層の抵抗温度特性に影響されることなく、所望の光起電圧でもって紫外線強度を検出することが可能となる。
また、前記絶縁層を、前記p型半導体層の中央部を包囲するような形態で前記p型半導体層の表面、及びp型半導体層とn型半導体層の接合界面の全域又は一部を除く領域に形成した場合には、センサ特性を発現する部分以外の殆どの部分が絶縁層で覆われることとなり、表面絶縁が促進され、p型半導体層側に加え、第1の端子電極への光電流のリークも低減することができる。そしてこれによりエネルギー損失をより一層効果的に抑制でき、しかも環境適応性も向上させることが可能となる。
また、前記絶縁層を、前記p型半導体層と前記第2の端子電極との間に介在するようにした場合には、上述と同様、エネルギー損失を抑制でき、高感度の紫外線センサを実現することができる。
また、本発明の紫外線センサの製造方法によれば、内部電極を埋め込んだp型半導体層作製工程が、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、少なくとも希土類元素を含有した第1のペーストを作製する第1のペースト作製工程と、前記第1のペーストを前記グリーンシートの表面に塗布し、第1の塗布膜を形成する第1の塗布膜形成工程と、前記第1の塗布膜が前記グリーンシート間に挟持されるように前記グリーンシートを所定枚数積層し、グリーン積層体を作製する積層体作製工程と、前記グリーン積層体を焼成する焼成工程とを含んでいるので、p型半導体層に拡散し難い希土類元素が内部電極に含まれており、Pdのように酸化反応を促進することもなく、p型半導体層の結晶粒界や表面に酸化層が形成されることもない。また、Ptのように触媒作用を起こすこともなく、グリーンシートと第1の塗布膜はNi系酸化物であることから、高温での収縮挙動も近く、デラミネーションが生じることもなく、また内部電極がp型半導体層に引き込まれることもない。
このように本発明の製造方法によれば、内部電極とp型半導体層との間にショットキー障壁や酸化層が形成されることがなく、またデラミネーションが生じることもなくp型半導体層を低抵抗化することができ、光起電力により紫外線強度を検知できる紫外線センサを容易に製造することができる。
また、第1のペースト作製工程を、希土類酸化物とNi酸化物とを含む原料粉末から複合酸化物を作製する複合酸化物作製工程を含むようにした場合には、内部電極の組成は安定しており、したがって紫外線照射により特性の安定した所望の光起電力を得ることができる。
また、第1のペースト作製工程を、希土類酸化物を主成分とした希土類ペーストを作製するようにし、焼成工程を、前記グリーンシートに含有されるNiを拡散させて前記希土類元素と反応させ、複合酸化物からなる内部電極を形成するようにした場合には、内部電極形成用の複合酸化物を予め作製しなくても所望の内部電極を得ることができ、紫外線センサを安価に製造することができる。
また、少なくともSiを含有したペーストを作製する第2のペースト作製工程と、前記第1の塗布膜の周囲に前記第2のペーストを塗布し、第2の塗布膜を形成する第2の塗布膜形成工程とを含み、前記焼成工程を、前記グリーンシートに含有されるZnと前記第2の塗布膜に含有されるSiとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層を形成するようにした場合には、積層方向に拡がった高抵抗の絶縁層を容易かつ安価に製造することが可能となる。
また、前記第1の塗布膜が形成されていないグリーンシートを使用し、該グリーンシートの周縁部に前記第2のペーストを塗布し、第3の塗布膜を形成する第3の塗布膜形成工程と、前記グリーンシートの一方の表面全域に前記第2のペーストを塗布し、第4の塗布膜を形成する第4の塗布膜形成工程とを含み、前記積層体作製工程を、前記第4の塗布膜が形成された前記グリーンシートを下層に配して前記グリーン積層体を作製するようにし、前記焼成工程を、前記グリーンシートに含有されるZnと前記第3及び第4の塗布膜に含有されるSiとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層を形成するようにした場合には、センサ特性の取得部分と平行な端子間の全領域に絶縁層を容易に形成することができ、より一層エネルギー損失の抑制が可能な紫外線センサを製造することができる。
本発明に係る紫外線センサの一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。 第1の実施の形態のグリーン積層体の分解斜視図である。 紫外線照射時に閉回路を形成した紫外線センサを模式的に示した断面図である。 図3の等価回路図である。 本発明に係る紫外線センサの第2の実施の形態を模式的に示す断面図である。 第2の実施の形態のグリーン積層体の分解斜視図である。 本発明に係る紫外線センサの第3の実施の形態を模式的に示す断面図である。 第3の実施の形態のグリーン積層体を模式的に示す断面図である。 本発明に係る紫外線センサの第4の実施の形態を模式的に示す断面図である。 第4の実施の形態のグリーン積層体の分解斜視図である。 実施例1の出力電流の測定方法を示す図である。 実施例1における放射照度と出力電流の関係を示す図である。 実施例1の試料番号1における波長と出力電流の関係を示す図である。 実施例3における放射照度と出力電流の関係を示す図である。 実施例3における波長と出力電流の関係を示す図である。 特許文献1に記載された紫外線センサと起電力の検出方法を示す図である。
次に、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、本発明に係る紫外線センサの一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。
すなわち、この紫外線センサは、NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層1と、ZnO系材料からなるn型半導体層2とを有し、n型半導体層2は、p型半導体層1の表面の一部が露出した形態でp型半導体層1に接合されている。
p型半導体層1は、一般式(Ni1-xZn)O(以下、(Ni,Zn)Oと表記する。)で表わすことができ、Znの配合モル比xは、良好な感度を安定して得る観点からは、0.2≦x≦0.4が好ましい。これはxが0.2未満になると、Niの含有量が過剰となって高抵抗化するおそれがあり、一方、xが0.4を超えると、Znの含有量が過剰となってZnO粒子が結晶粒界に析出し、n型に半導体化してしまうおそれがあるからである。
また、n型半導体層2を形成するZnO系材料は、ZnOを主成分とするのであれば、微量の添加物が含まれていてもよい。例えば、ドープ剤として、Al、Co、In、Ga等を含有していてもよく、拡散剤として、Fe、Ni、Mn等を含有していてもよい。また、不純物として微量のZr、Si等を含有していても特性に影響を与えるものではない。
また、p型半導体層1の両端には第1及び第2の端子電極3a、3bが形成されている。すなわち、p型半導体層1の上部には、一端が表面露出するように内部電極4が埋設されており、第1の端子電極3aは、内部電極4と電気的に接続されるようにp型半導体層1の一方の端部に形成されている。また、第2の端子電極3bは、n型半導体層2と電気的に接続されるようにp型半導体層1の他方の端部に形成されている。
また、第1及び第2の端子電極3a、3bは、Ag等からなる外部電極の表面にNi等からなる第1のめっき皮膜及びSn等からなる第2のめっき皮膜が順次形成されている。
このように形成された紫外線センサでは、矢印Aに示すように紫外線が照射され、p型半導体層1とn型半導体層2との接合界面7に形成される空乏層に紫外光が当たると、キャリアが励起されて光電流が生じ、この光電流を検知することにより紫外線強度を検出することができる。
そして、本実施の形態では、内部電極4は、希土類元素RとNiを主成分とした一般式RNiOで表されるペロブスカイト型構造の酸化物や一般式RNiOで表される酸化物を含有する低抵抗の複合酸化物で形成されている。
このように内部電極4を上述した複合酸化物で形成したのは以下の理由による。
p型半導体層1を形成する(Ni,Zn)Oは、1200℃前後の酸化性雰囲気で焼成されることから、通常は、内部電極材料としてPdやPt等の貴金属材料を使用し、同時焼成することが考えられる。
しかしながら、〔発明が解決しようとする課題〕の項でも述べたように、これらの貴金属材料は高価な上、仕事関数が大きく、(Ni,Zn)Oとの間にショットキー障壁が形成される。そして、光起電力はこのショットキー障壁に消費されることから、紫外線強度を光起電力として検知するのは困難である。しかも、Ptを使用した場合は、Ptの触媒作用により焼成過程で急激に反応が進行し、デラミネーションが生じるおそれがある。また、Pdを使用した場合は、焼成時におけるPdの酸素放出作用により、(Ni,Zn)Oの結晶粒界や表面に強固な酸化層を形成し、その結果(Ni,Zn)Oの見掛け上の比抵抗が上昇し、このため紫外線センサでは微弱な光電流しか生成することができない。したがって、内部電極材料として、貴金属材料を使用した場合は、外部に電源回路を設け、抵抗の変化値で紫外線強度を検出せざるを得ず、デバイスの高価格化・大型化を避けるのは困難である。
これに対し希土類元素RとNiを主成分とした複合酸化物は、(Ni,Zn)Oと同様、Ni系酸化物であり、両者はエネルギー準位が近く、(Ni,Zn)Oとの間で不必要なショットキー障壁が形成されるのを抑制でき、ほぼオーミック接触となる。また、希土類元素は、Niに比べ、(Ni,Zn)O側に拡散しにくく、触媒作用や酸素放出作用が生じることもない。したがって、(Ni,Zn)Oの比抵抗を低下させることが可能となり、紫外線強度を抵抗の変化値で検出しなくても、光起電力により検出することができる。そしてこれにより外部に電源回路やその他の周辺機器を設ける必要がなくなり、デバイスの小型化が可能となる。しかも、上述したように希土類元素RとNiを主成分とした複合酸化物は、(Ni,Zn)Oと同様のNi系酸化物であることから、高温での収縮挙動が(Ni,Zn)Oと近く、p型半導体層1と内部電極4との間でデラミネーションは招じ難く、焼結体内部に電極を引き込むような現象もない。また、高価な貴金属材料を使用しなくて済むので、高価格化を抑制することが可能となる。
以上の理由から本実施の形態では、希土類元素RとNiを主成分とした一般式RNiOで表されるペロブスカイト型構造の酸化物や一般式RNiOで表される酸化物を含有する低抵抗の複合酸化物で内部電極4を形成している。
そして、このような希土類元素としては、Niとの間で複合酸化物を形成した場合に低抵抗であれば、特に限定されるものではなく、例えば、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、及びYbの中から選択された少なくとも1種を使用することができる。尚、これらの中では、経済的理由から安価なLaを使用するのが好ましい。
次に、上記紫外線センサの製造方法を詳述する。
〔ZnO焼結体の作製〕
ZnO粉末、及び必要に応じて各種ドープ剤、拡散剤等の添加物を用意し、所定量秤量する。そして、これら秤量物に純水等の溶媒を加え、PSZ(部分安定化ジルコニア)等の玉石を粉砕媒体とし、ボールミルを使用して十分に湿式で混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥した後、所定粒径に造粒し、その後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体とし、ボールミルを使用して十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、純水、分散剤、バインダ、可塑剤等を添加して成形用スラリーを作製する。そしてこの後、このドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形用スラリーに成形加工を施し、所定膜厚のZnOグリーンシートを作製する。次いでこのZnOグリーンシートを所定枚数積層し、圧着して圧着体を作製する。その後、この圧着体を脱脂した後、焼成し、これによりZnO焼結体を得る。
〔(Ni,Zn)Oグリーンシートの作製〕
NiO粉末及びZnO粉末を、Znの配合モル比xが0.2〜0.4となるように秤量し、この秤量物に純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、この混合物を脱水乾燥し、所定粒径に造粒した後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤、分散剤、バインダ及び可塑剤等を加えて成形用スラリーを作製する。次いで、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形用スラリーを成形加工し、これにより所定膜厚の(Ni,Zn)Oグリーンシートを得る。
〔内部電極形成用ペースト(第1のペースト)の作製〕
NiO粉末及びR粉末(R:希土類元素)を、モル比で2:1となるように秤量し、この秤量物に純水等の溶媒を添加し、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で湿式で十分に混合粉砕し、スラリー状混合物を得る。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、所定粒径に造粒した後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末を得る。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水等の溶媒を加え、玉石を粉砕媒体としてボールミル内で十分に湿式で粉砕し、スラリー状粉砕物を得る。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥し、一般式RNiOや一般式RNiOで表される酸化物を含有した複合酸化物粉末を得る。そして、得られた複合酸化物粉末を有機ビヒクルと混合し、三本ロールミルで混練し、これにより内部電極形成用ペーストを作製する。
尚、有機ビヒクルは、バインダ樹脂が有機溶剤に溶解されてなり、バインダ樹脂と有機溶剤とは、例えば体積比率で、1〜3:7〜9となるように調製されている。バインダ樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、又はこれらの組み合わせを使用することができる。また、有機溶剤についても特に限定されるものではなく、α―テルピネオール、キシレン、トルエン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を単独、或いはこれらを組み合わせて使用することができる。
〔グリーン積層体の作製〕
グリーン積層体の作製方法を図2を参照しながら説明する。
まず、所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート5a、5b、5c、…5nを用意し、そのうちの1枚の(Ni,Zn)Oグリーンシート5bの表面に上述した内部電極形成用ペーストを塗付し、導電膜(第1の塗布膜)6を形成する。
次に、導電膜の形成されていない所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート5c〜5nを積層し、その上に導電膜6が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシート5bを積層し、さらに、その上に導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシート5aを積層し、圧着してグリーン積層体を作製する。
〔p型半導体層1の作製〕
グリーン積層体を十分に脱脂した後、1200℃前後の温度で約5時間焼成し、導電膜6と(Ni,Zn)Oグリーンシート5a〜5nとを同時焼成し、これにより内部電極4が埋設されたp型半導体層1を得る。
〔端子電極3a、3bの作製〕
p型半導体層1の両端部に外部電極形成用ペーストを塗布して焼付け処理を行い、これにより外部電極を形成する。ここで、外部電極形成用ペーストの導電性材料としては、良好な導電率を有するものであれば、特に限定されるものではなく、Ag、Ag−Pd等を使用することができる。
そしてその後、電解めっきを施し、第1のめっき皮膜及び第2のめっき皮膜からなる二層構造のめっき皮膜を形成し、これにより第1及び第2の端子電極3a、3bを形成する。
〔n型半導体層2の形成〕
ZnO焼結体をターゲットとし、所定の開口部を有する金属マスクを介してスパッタリングを行い、p型半導体層1の一部が表面露出し、かつ第2の端子電極3bと電気的に接続されるように、ZnO系薄膜からなるn型半導体層2をp型半導体層1の表面に形成し、これにより紫外線センサを得る。
このように本実施の形態では、内部電極4が、希土類元素とNiを主成分とした低抵抗の複合酸化物で形成されているので、p型半導体層1を低抵抗化することができ、紫外光照射時に得られる光起電力によって紫外線強度を検知することができる。すなわち、内部電極4はp型半導体層1と同様、Ni系酸化物であることから両者のエネルギー準位が近く、p型半導体層1と内部電極4とは、ショットキー障壁を形成することもなくほぼオーミック接触となる。さらに(Ni,Zn)Oグリーンシート5a、5b、5c…5nと導電膜6とを同時焼成しても、希土類元素は(Ni,Zn)Oグリーンシート5a、5b、5c…5nに拡散し難く、Pdのような酸素放出作用も生じない。したがって、(Ni,Zn)Oの結晶粒界や表面に強固な酸化層を形成することもなく、p型半導体層1の比抵抗を十分に低くすることができる。そしてこれにより、紫外線強度を抵抗値変化で検出しなくても、光起電力、特に光起電流により紫外線強度を検出することができる。したがって、外部に電源回路やその他の周辺回路を設ける必要もなく、かつ内部電極材料に高価な貴金属材料を使用する必要もなく、安価で小型化された紫外線センサを得ることができる。
しかも、内部電極にPtを使用した場合のように触媒作用も生じず、さらに内部電極材料はp型半導体層1と同様のNi系酸化物であることから、両者は焼成時における収縮挙動も近く、デラミネーションが生じ難く、p型半導体層1の内部に内部電極4が引き込まれることもない。
また、PdやPt等の貴金属材料を使用していないので、高価格化を招くことなく高感度の紫外線センサを得ることが可能となる。
尚、上記実施の形態では、複合酸化物を含有した内部電極形成用ペーストを作製し、該内部電極形成用ペーストを(Ni,Zn)Oグリーンシートの表面に塗付し、その後焼成することにより、内部電極4を形成しているが、変形例として内部電極形成用ペースト中にNiを含めることなく、主成分が希土類酸化物Rで構成された希土類ペーストを作製し、焼成時に(Ni,Zn)Oグリーンシートに埋め込んで形成するのも好ましい。
この変形例の紫外線センサは以下のようにして作製することができる。
すなわち、上記実施の形態と同様、ZnO焼結体及び(Ni,Zn)Oグリーンシートを作製する。
次いで、R粉末を上述した有機ビヒクルと混合し、三本ロールミルで混練し、これにより希土類ペーストを作製する。
そしてその後、この希土類ペーストを(Ni,Zn)Oグリーンシート5bの表面に塗付し、希土類膜(第1の塗布膜)を形成する。
次いで、希土類膜の形成されていない所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート5c、…5nを積層し、その上に希土類膜が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシート5bを積層し、さらに、その上に希土類膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシート5aを積層し、圧着してグリーン積層体を作製する。
次いで、グリーン積層体を十分に脱脂した後、1200℃前後の温度で約5時間焼成し、導電膜6と(Ni,Zn)Oグリーンシート5a〜5nとを同時焼成し、これにより内部電極4が埋設されたp型半導体層1を作製する。そしてこの焼成処理では、希土類元素Rは(Ni,Zn)Oグリーンシート側に拡散され難く、(Ni,Zn)Oグリーンシート中のNiが、希土類膜側に拡散し、これにより焼成中に希土類元素RとNiを主成分とした複合酸化物からなる内部電極が形成される。
その後は、上記実施の形態と同様の方法・手順で第1及び第2の端子電極3a、3b、n型半導体層2を順次形成し、これにより紫外線センサが作製される。
このように内部電極形成用ペースト作製時に予め複合酸化物を合成しなくても、焼成中に希土類元素RとNiを主成分とした複合酸化物からなる低抵抗層が合成されるため安価に製造することが可能である。ただし、上記変形例の場合、焼成中に(Ni,Zn)Oの組成が変動し易く、RNiO等の異相が生成され易いため、焼成条件を制御するのが好ましい。
ところで、内部電極材料として、上述したように希土類元素RとNiを主成分とした低抵抗の複合酸化物を使用することにより、紫外線強度を抵抗値の変化として検出しなくても光起電力で検出することができるが、図3に示すように、内部電極4の寸法によっては内部電極4の先端と第2の端子電極3bとの間に電気的な抵抗8が形成される。
そしてこの場合、図4に示すように、p型半導体層1とn型半導体層2との間にはpn接合によってダイオード9が形成されることから、抵抗8により閉回路が形成されることになる。
しかしながら、紫外線が照射されて生じる光電流が、矢印B方向に示すように、閉回路を流れ、第2の端子電極3bからp型半導体層1側にリークすると、エネルギー損失が生じ、材料本来の特性が損なわれるおそれがある。
したがって、光電流が第2の端子電極3bからp型半導体層1側にリークしないように、内部電極4と第2の端子電極3bとの間を高抵抗化して絶縁性を高めるのが好ましい。
以下、第2〜4の実施の形態で、この好ましい形態を詳述する。
図5は、本発明に係る紫外線センサの第2の実施の形態を示す断面図であって、本第2の実施の形態では、内部電極4と第2の端子電極3bとの間に絶縁層10が形成されている。
ここで、絶縁層10としては、絶縁性を有する高抵抗層であれば特に限定されるものではなく、例えばSiを含有したSi酸化物を使用することができ、本実施の形態では、主成分がケイ酸亜鉛で形成されている。すなわち、後述するように焼成工程での同時焼成で、絶縁膜中のSiが周囲の(Ni,Zn)Oグリーンシートと反応し、ケイ酸亜鉛を生成し、これにより積層方向に拡がった主成分がケイ酸亜鉛からなる高抵抗の絶縁層10が形成される。
そして、この第2の実施の形態の紫外線センサは、以下のようにして製造することができる。
まず、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、ZnO焼結体、(Ni,Zn)Oグリーンシート、内部電極形成用ペーストを作製する。また、SiO粉末を有機ビヒクルと混合し、三本ロールミルで混練し、これによりSiOペースト(第2のペースト)を作製する。
次いで、(Ni,Zn)Oグリーンシート、内部電極形成用ペースト、及びSiOペーストを使用し、グリーン積層体を作製する。
図6は上記グリーン積層体の分解斜視図である。
まず、所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート11a、11b、11c、…11nを用意し、そのうちの1枚の(Ni,Zn)Oグリーンシート11bの表面に、第1の実施の形態と同様、内部電極形成用ペーストを塗付し、導電膜(第1の塗布膜)12を形成する。
次いで、(Ni,Zn)Oグリーンシート11b上に、導電膜12と重ならないようにコ字状にSiOペーストを塗付し、導電膜12の周囲に絶縁膜(第2の塗布膜)13を形成する。
次いで、所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート11c〜11nを積層し、その上に導電膜12及び絶縁膜13が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシート11bを積層し、さらに、その上に(Ni,Zn)Oグリーンシート11aを積層し、圧着してグリーン積層体を作製する。
次に、グリーン積層体を十分に脱脂した後、1200℃前後の温度で約5時間焼成し、導電膜12及び絶縁膜13と(Ni,Zn)Oグリーンシート11a〜11nとを同時焼成する。すると、(Ni,Zn)O中の融点の低いZnと絶縁膜13のSiOとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層10が積層方向に拡がった状態で形成される。そしてこれにより内部電極4及び絶縁層10が埋設されたp型半導体層1が得られる。
そしてその後は、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、第1及び第2の端子電極3a、3bを作製し、次いでZnO焼結体をターゲットにしてスパッタリングし、p型半導体層1の表面にn型半導体層2を形成し、これにより紫外線センサが作製される。
このように本第2の実施の形態では、内部電極4と第2の端子電極3bとの間にケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層10が形成されるので、第2の端子電極3bからp型半導体層1側に光電流がリークするのを低減することができ、エネルギー損失が生じるのを抑制することができる。
しかも、第2の端子電極3bと内部電極4との間に形成され得る抵抗の温度特性をカットすることができることから、温度特性も平坦となり、前記抵抗の温度特性に影響されることなく所望の光起電圧でもって紫外線強度を検出することが可能となる。
図7は、本発明に係る紫外線センサの第3の実施の形態を示す断面図であって、本第3の実施の形態では、p型半導体層1と第2の端子電極3b′の間に絶縁層14が形成されている。
この第3の実施の形態の紫外線センサは、以下のようにして作製することができる。
すなわち、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、図8に示すようにグリーン積層体15を作製し、次いで導電膜6が表面露出していない側の端面にSiOペーストを塗付して絶縁膜16を形成する。次いで、第1の実施の形態と同様に焼成し、p型半導体層1を形成する。そしてこの場合もSiOと(Ni,Zn)OシートのZnとが反応してケイ酸亜鉛の絶縁層14が形成される。そしてその後は、第1の実施の形態と略同様、端子電極3a、3b′を形成した後、ZnO焼結体をターゲットとしたスパッタリング法によりn型半導体層2を形成し、これにより紫外線センサが作製される。
このように本第3の実施の形態では、p型半導体層1と第2の端子電極3b′の間に絶縁層14が形成されているので、光電流が第2の端子電極3b′からp型半導体層1にリークするのを低減することができ、エネルギー損失が生じるのを抑制できる。
図9は、本発明に係る紫外線センサの第4の実施の形態を示す断面図であって、本第4の実施の形態では、上記第2の実施の形態に加え、p型半導体層1の中央部を包囲するような形態で前記p型半導体層1の表面、及びp型半導体層1とn型半導体層2の接合界面の一部を除く領域に絶縁層17が形成されている。
この第4の実施の形態の紫外線センサは、以下のようにして製造することができる。
まず、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、ZnO焼結体、(Ni,Zn)Oグリーンシート、内部電極形成用ペーストを作製し、第2の実施の形態と同様の方法・手順でSiOペーストを作製する。
次いで、(Ni,Zn)Oグリーンシート、内部電極形成用ペースト、及びSiOペーストを使用し、グリーン積層体を作製する。
図10は上記グリーン積層体の分解斜視図である。
まず、所定枚数の(Ni,Zn)Oグリーンシート18a、18b、18c、…、18m、18nを用意し、そのうちの1枚の(Ni,Zn)Oグリーンシート18bの表面に、第1の実施の形態と同様、内部電極形成用ペーストを塗付し、導電膜19を形成する。
次いで、(Ni,Zn)Oグリーンシート18b上に、導電膜19と重ならないようにコ字状にSiOペーストを塗付し、導電膜19の周囲に絶縁膜20bを形成する。
また、(Ni,Zn)Oグリーンシート18a、18c、…18mの周縁部にSiOペーストを塗布し、絶縁膜(第3の塗布膜)20a、20c、…20mを形成する。さらに、(Ni,Zn)Oグリーンシート18nの表面全域にSiOペーストを塗布し、絶縁膜(第4の塗布膜)20nを形成する。
次いで、(Ni,Zn)Oグリーンシート18n上に(Ni,Zn)Oグリーンシート18a、18b、18c、…18mを積層し、圧着してグリーン積層体を作製する。
次に、グリーン積層体を十分に脱脂した後、1200℃前後の温度で約5時間焼成し、導電膜19、各絶縁膜20a〜20n、及び(Ni,Zn)Oグリーンシート18a〜18nを同時焼成する。そしてこの焼成時に(Ni,Zn)Oグリーンシート18a〜18nのZnと絶縁膜20a〜20mのSiOとが反応してケイ酸亜鉛を生成する。すなわち、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層17が、p型半導体層1の中央部を包囲するような形態で前記p型半導体層1の表面、及びp型半導体層1とn型半導体層2の接合界面の一部を除く領域に形成され、これによりp型半導体層1が作製される。
そしてその後は、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、第1及び第2の端子電極3a、3bを作製し、次いでZnO焼結体をターゲットにしてスパッタリングし、p型半導体層1の表面にn型半導体層2を形成し、これにより紫外線センサが作製される。
このように本第4の実施の形態では、p型半導体層1の中央部を包囲するような形態でp型半導体層1の表面、及びp型半導体層1とn型半導体層2の接合界面7の一部を除く領域に形成されているので、センサ特性を発現する部分以外の殆どの部分が絶縁層17で覆われることとなり、表面絶縁が促進されて良好な絶縁性を得ることができる。そしてこれにより、端子電極3a、n型半導体層2間に光電流がリークするのを抑制することができ、より一層のエネルギー損失の抑制を図ることができる。また、センサ特性を発現する部分以外の殆どの部分が絶縁層17で覆われるので、めっき性や耐フラックス性、耐環境性を向上させることができる。
また、第2の実施の形態と同様、第2の端子電極3bと内部電極4との間に形成され得る抵抗の温度特性をカットすることができることから、抵抗温度特性もより平坦で良好なものとなり、前記抵抗の温度特性に影響されることなく、所望の光起電圧でもって紫外線強度を検出することが可能となる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記第2〜第4の実施の形態では、絶縁ペーストとしてSiOを塗付しているが、少なくともSiを含んでいればよく、例えばゾルや有機化合物の形態であってもよい。
また、前記第4の実施の形態では、p型半導体層1の表面、及びp型半導体層1とn型半導体層2の接合界面7の一部を除く領域に形成されているが、求められる用途・性能等に応じ、前記接合界面7の全域を除く領域に絶縁層を形成してもよい。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
(試料番号1)
〔ZnO焼結体の作製〕
主成分となるZnOとドープ剤としてのGaとを、配合比がモル%でそれぞれ99.9mol%、0.1mol%となるように秤量した。そして、これら秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μm以下のスラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。
次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、純水及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製し、ドクターブレード法を使用して厚みが20μmのグリーンシートを作製した。次いで、このグリーンシートを厚みが20mmとなるように所定枚数積層し、250MPaの圧力で5分間圧着処理を施し、圧着体を得た。次いで、この圧着体を脱脂した後、1200℃の温度で20時間焼成し、ZnO焼結体を得た。
〔(Ni,Zn)Oグリーンシートの作製〕
NiO粉末及びZnO粉末を、モル比で7:3となるように秤量し、これに純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミルで混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。次に、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えて成形用スラリーを作製した。そして、ドクターブレード法を使用し、この成形用スラリーに成形加工を施し、膜厚10μmの(Ni,Zn)Oグリーンシートを得た。
〔内部電極形成用ペースト〕
NiO粉末及び希土類酸化物としてのLa粉末を、モル比で2:1となるようにそれぞれ秤量し、この秤量物に純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で混合粉砕し、スラリー状混合物を得た。次いで、このスラリー状混合物を脱水乾燥し、50μmの程度の粒径となるように造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼し、仮焼粉末を得た。次に、このようにして得られた仮焼粉末に、再び、純水を加え、PSZビーズを粉砕媒体としてボールミル内で粉砕し、平均粒径0.5μmのスラリー状粉砕物を得た。そして、このスラリー状粉砕物を脱水乾燥し、LaNiO粉末を得た。その後、得られたLaNiO粉末を、有機ビヒクルと混合させ、三本ロールミルで混練し、これにより内部電極形成用ペーストを作製した。尚、有機ビヒクルは、バインダー樹脂としてエチルセルロース樹脂30体積%、有機溶剤としてα―テルピネオール70体積%となるようにエチルセルロース樹脂とα―テルピネオールとを混合し、作製した。
〔グリーン積層体の作製〕
(Ni,Zn)Oグリーンシートのうちの1枚について、内部電極形成用ペーストを表面にスクリーン印刷して塗付し、60℃の温度で1時間乾燥させ、所定パターンの導電膜を形成した。
次いで、導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシートを20枚積層し、その上に導電膜が形成された(Ni,Zn)Oグリーンシートを積層し、さらに、その上に導電膜の形成されていない(Ni,Zn)Oグリーンシートを1枚順次積層した。そして、これらを20MPaの圧力で圧着した後、3.2mm×1.6mmの寸法に切断し、これによりグリーン積層体を作製した。
〔p型半導体層の作製〕
グリーン積層体を300℃の温度で十分に脱脂した後、1250℃の温度で5時間焼成し、これによりp型半導体層を得た。
〔端子電極の作製〕
p型半導体層の両端部にAgペーストを塗付して800℃の温度で焼付け処理を行い、第1及び第2の外部電極を作製した。そして、この第1及び第2の外部電極の表面に電解めっきを施してNi皮膜及びSn皮膜を順次形成し、これにより第1及び第2の端子電極を作製した。
〔n型半導体層の形成〕
ZnO焼結体をターゲットとし、p型半導体層の一方の主面の一部を覆い、かつ第2の端子電極の一部と重なり合うように金属マスクを使用してスパッタリングを行い、厚みが約0.5μmの所定パターンを有するn型半導体層を作製し、これにより試料番号1の試料を得た。
(試料番号2)
内部電極となるべき導電膜を、Laペーストを使用して作製した以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号2の試料を作製した。
尚、Laペーストは、市販のLa粉末を、試料番号1と同様の有機ビヒクルと混合させ、三本ロールミルで混練することにより作製した。
(試料番号3)
内部電極となるべき導電膜を、市販のPdペーストを使用して作製した以外は、試料番号1と同様の方法・手順で試料番号3の試料を作製した。
〔試料の評価〕
試料番号1〜3の各試料は、図11に示すように、いずれもp型半導体層31に内部電極32が埋設されると共に、前記p型半導体層31の両端には第1及び第2の端子電極33a、33bが形成され、かつp型半導体層31の表面にはn型半導体層34が接合されている。そして、これらの各試料について、分光器を備えた紫外線光源から365nmの波長の紫外光を、暗室で矢印Cに示すように、n型半導体層34側の外表面に照射し、電流計35で第1及び第2の端子電極33a,33b間に流れる電流を計測した。
尚、紫外光の放射照度は、0.001〜10mW/cmとし、測定温度は、25℃±1℃となるように制御した。
図12は、その測定結果を示している。横軸が放射照度(mW/cm)、縦軸が出力電流(nA)であり、○印が試料番号1、△印が試料番号2を示している。
Pdペーストを使用した試料番号3は、出力電流を検出することができなかった。これは内部電極32がPdで形成されているため、Pdの高温時における酸素放出作用により、(Ni,Zn)Oの結晶粒界及び表面に強固な酸化層が形成され、このため(Ni,Zn)Oの見掛け上の比抵抗が上昇し、出力電流を光起電力として検出できなかったものと思われる。
これに対し試料番号1及び2の各試料は、放射照度に比例して出力電流を検出できることが分かった。特に、LaNiOの導電膜を形成して焼成した試料番号1は、組成が安定しているので、より大きな出力電流(光起電力)が得られることが分かった。
次に、試料番号1について、放射照度を1mW/cmとし、紫外光の光源波長を200nmから600nmまで10nm毎に階段状に変化させて波長応答特性を調べた。
図13はその測定結果を示し、横軸が波長(nm)、縦軸が出力電流(nA)である。
この図13から明らかなように、本発明の紫外線センサは、波長が380nm以下の紫外線にのみ反応し、波長が500nm以上の可視光には全く反応せず、紫外光に対し良好な波長応答特性を有することが確認された。
希土類酸化物粉末としてPr11、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Rr、及びYbを用意した。そして、内部電極形成用ペーストを、Laに代えてこれらの希土類酸化物粉末を使用して作製した以外は、〔実施例1〕の試料番号1と同様の方法・手順で試料番号11〜18の試料を作製した。
次いで、〔実施例1〕と同様、波長365nm、放射照度1mW/cmの紫外光を各試料に照射し、第1及び第2の端子電極間の電流値を計測した。
表1は試料番号11〜18に使用した希土類酸化物、内部電極形成用ペースト、及び出力電流を示している。また、参考例として〔実施例1〕の測定結果も示している。
Figure 2011158827
この表1から明らかなように、La以外の希土類元素を使用した場合であっても、Laと同様、外部に電源回路を設けなくても出力電流を検出できることが確認された。
導電膜を形成した(Ni,Zn)Oグリーンシートの周囲にSiOペーストを塗付し、内部電極と第2の端子電極との間に絶縁膜(絶縁層)を形成した以外は、実施例1の試料番号1と同様の方法・手順で試料番号21の試料を作製した。
ここで、SiOペーストは、市販のSiO粉末を、〔実施例1〕の試料番号1と同様の有機ビヒクルに混合させた後、三本ロールミルで混練して作製した。
また、絶縁膜は、(Ni,Zn)Oグリーンシート上に、LaNiOペーストを塗布し60℃で1時間乾燥させて導電膜を形成した後、導電膜の周囲にSiOペーストを塗付し、60℃で1時間乾燥させて形成した。
そして、試料番号21の試料について、実施例1と同様の方法・手順で放射照度と出力電流の関係を調べた。
図14は、その測定結果を示している。横軸が放射照度(mW/cm)、縦軸が出力電流(nA)であり、参考のため試料番号1の試料を再掲している。図中、●印が試料番号21である、○印が試料番号1である。
この図14から明らかなように、試料番号21の試料は、試料番号1の試料に比べ、放射照度が大きくなるに伴い、大きな出力電流が得られることが分かった。これは内部電極と第2の端子電極との間に絶縁層が形成されているため、第2の端子電極からp型半導体層側にリークする光電流が低減され、これによりエネルギー損失が抑制されたためと思われる。
次に、試料番号21について、実施例1と同様の方法・手順で波長応答特性を調べた。
図15はその測定結果を示し、横軸が波長(nm)、縦軸が出力電流(nA)であり、参考のため試料番号1の測定結果を再掲している。図中、●印が試料番号21、○印が試料番号1である。
この図15から明らかなように、試料番号21の試料は、波長が380nm以下の紫外線にのみ反応し、波長が500nm以上の可視光には全く反応せず、紫外線に対し良好な波長応答特性を有することが確認された。
そして、試料番号21の試料は、内部電極と第2の端子電極との間に絶縁層が形成されていることから、上述したようにエネルギー損失が抑制され、その結果、ピーク電流(波長:約330nm)は、試料番号1の試料に比べ、10倍近くなることが確認された。
光起電力で紫外線強度を検出することにより、外部に電源回路等を設けて抵抗変化で紫外線強度を検出しなくてもよいようにし、これにより小型で安価な紫外線センサの実現が可能となる。
1 p型半導体層
2 n型半導体層
3a 第1の端子電極
3b、3b′ 第2の端子電極
4 内部電極
5a〜5n (Ni,Zn)Oグリーンシート
6 導電膜(第1の塗布膜)
10 絶縁層
11a〜11n (Ni,Zn)Oグリーンシート
12 導電膜(第1の塗布膜)
13、20b 絶縁膜(第2の塗布膜)
14 絶縁層
15 グリーン積層体
16 絶縁膜
17a〜17n 絶縁層
18a〜18n (Ni,Zn)Oグリーンシート
19 導電膜(第1の塗布膜)
20a、20c〜20m 絶縁膜(第3の塗布膜)
20n 絶縁膜(第4の塗布膜)

Claims (13)

  1. NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層と、ZnOを主成分としかつ前記p型半導体層の一部が表面に露出した形態で前記p型半導体層に接合されたn型半導体層と、前記p型半導体層に埋設された内部電極と、前記p型半導体層の両端部に形成された端子電極とを有する紫外線センサにおいて、
    前記内部電極が、希土類元素とNiとを主成分とした複合酸化物で形成されていることを特徴とする紫外線センサ。
  2. 前記希土類元素は、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Ho、Er、及びYbの中から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の紫外線センサ。
  3. 前記端子電極は、前記内部電極に接続された第1の端子電極と、前記n型半導体層に接続された第2の端子電極とを有し、
    少なくとも前記第2の端子電極と前記内部電極との間に絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の紫外線センサ。
  4. 前記絶縁層は、前記p型半導体層の中央部を包囲するような形態で前記p型半導体層の表面、及びp型半導体層とn型半導体層の接合界面の全域又は一部を除く領域に形成されていることを特徴とする請求項3記載の紫外線センサ。
  5. 前記絶縁層は、前記p型半導体層と前記第2の端子電極との間に介在されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の紫外線センサ。
  6. 前記絶縁層は、少なくともSiを含有していることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の紫外線センサ。
  7. 前記絶縁層は、ケイ酸亜鉛を主成分としていることを特徴とする請求項6記載の紫外線センサ。
  8. NiOとZnOとの固溶体を主成分とするp型半導体層に内部電極を埋め込み、前記p型半導体層とZnOを主成分とするn型半導体層とを接合させた紫外線センサの製造方法であって、
    前記内部電極を埋め込んだ前記p型半導体層を作製するp型半導体層作製工程が、
    NiOとZnOとの固溶体を主成分とするグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
    少なくとも希土類元素を含有した第1のペーストを作製する第1のペースト作製工程と、
    前記第1のペーストを前記グリーンシートの表面に塗布し、第1の塗布膜を形成する第1の塗布膜形成工程と、
    前記第1の塗布膜が前記グリーンシート間に挟持されるように前記グリーンシートを所定枚数積層し、グリーン積層体を作製する積層体作製工程と、
    前記グリーン積層体を焼成する焼成工程とを含んでいることを特徴とする紫外線センサの製造方法。
  9. 前記第1のペースト作製工程は、希土類酸化物とNi酸化物とを含む原料粉末から複合酸化物を作製する複合酸化物作製工程を含むことを特徴とする請求項8記載の紫外線センサの製造方法。
  10. 前記第1のペースト作製工程は、希土類酸化物を主成分とした希土類ペーストを作製し、
    前記焼成工程は、前記グリーンシートに含有されるNiを拡散させて前記希土類元素と反応させ、複合酸化物からなる内部電極を形成することを特徴とする請求項8記載の紫外線センサの製造方法。
  11. 少なくともSiを含有した第2のペーストを作製する第2のペースト作製工程と、
    前記第1の塗布膜の周囲に前記第2のペーストを塗布し、第2の塗布膜を形成する第2の塗布膜形成工程とを含み、
    前記焼成工程は、前記グリーンシートに含有されるZnと前記第2の塗布膜に含有されるSiとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層を形成することを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の紫外線センサの製造方法。
  12. 前記第1の塗布膜が形成されていないグリーンシートを使用し、該グリーンシートの周縁部に前記第2のペーストを塗布し、第3の塗布膜を形成する第3の塗布膜形成工程と、
    前記グリーンシートの一方の表面全域に前記第2のペーストを塗布し、第4の塗布膜を形成する第4の塗布膜形成工程とを含み、
    前記積層体作製工程は、前記第4の塗布膜が形成された前記グリーンシートを下層に配して前記グリーン積層体を作製し、
    前記焼成工程は、前記グリーンシートに含有されるZnと前記第3及び第4の塗布膜に含有されるSiとが反応し、ケイ酸亜鉛を主成分とする絶縁層を形成することを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の紫外線センサの製造方法。
  13. 少なくともSi成分を含有した第2のペーストを作製する第2のペースト作製工程を含み、
    前記第1の塗布膜が表面露出していない側の前記グリーン積層体の端面に前記第2のペーストを塗布することを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれかに記載の紫外線センサの製造方法。
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