JPWO2011145146A1 - トンネル磁気抵抗効果素子及びそれを用いた磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

トンネル磁気抵抗効果素子及びそれを用いた磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリ Download PDF

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Abstract

大容量化に適した単純な構造で、消費電力を増加させることなく十分な熱安定性E/kTを実現可能なトンネル磁気抵抗効果素子、及びそれを用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリを提供するために、トンネル磁気抵抗効果素子400において、電界により磁化方向を制御可能な反強磁性を示す電界磁化制御層409と第一の強磁性層408を交換結合させた構造と、強磁性記録層406を含む磁気抵抗効果検出部410とを並列接続し、第一の強磁性層408により強磁性記録層406に有効磁場を印加する。また、このトンネル磁気抵抗効果素子を磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリに適用する。

Description

本発明は、記録層の磁化方向を安定化したトンネル磁気抵抗効果素子、及びそれを用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリに関する。
近年、低消費電力化、及び大容量化の要求から、スピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリが、例えば特許文献1、特許文献2あるいは特許文献3に開示されている。この不揮発性磁気メモリは、磁化方向の固定された強磁性層(固定層)と磁化方向の可変な強磁性層(記録層)とを非磁性層を介して積層した磁気抵抗効果素子をメモリセルに用いる。
この磁気抵抗効果素子は記録層と固定層の相対的な磁化方向に応じて、互いに平行(反平行)な状態で低抵抗(高抵抗)になるため、情報の読み出し動作ではこの2状態の抵抗を2値情報として検出する。前述の非磁性層を絶縁体としたトンネル磁気抵抗素子は、非磁性層を金属とした場合に比べて磁気抵抗比(低抵抗、高抵抗状態の抵抗の比)が大きいため、2値情報の検出が容易になる。
書き込み動作では、磁気抵抗効果素子に電流を流し、記録層の磁化にスピントランスファトルクを作用させて、その磁化方向を回転させる。この方式の書き込み電流は記録層の体積に比例するため、大容量化による素子の微細化とともに書き込み電流は減少する。一方、記憶されている情報の熱安定性の指標E/kTは記録層の体積に比例し、この値が小さい場合、予期せずに記憶情報が書き変わる確率が増加する。そのため、素子の微細化とともに熱安定性は低下する。このように両者はトレードオフの関係にある。
したがって、大容量化に適した単純な構造で、消費電力を増加させることなく十分な熱安定性E/kTを実現可能な不揮発性磁気メモリが求められている。このような状況の中で、従来の不揮発性磁気記憶素子で用いられてきた強磁性体と異なった性質を示すマルチフェロイック材料を適用した不揮発性磁気記憶素子が、例えば特許文献4に開示されている。
米国特許第5,695,864号明細書 米国特許第6,256,223号明細書 特開2002−305337号公報 特開2009−93781号公報
大容量化が期待されるスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリでは、書き込み電流の低減と情報の熱安定性指標E/kTの向上が必須である。しかし、両者はトレードオフの関係にあるため、それらの両立は困難であった。
本発明は、大容量化に適した単純な構造で、消費電力を増加させることなく十分な熱安定性E/kTを実現可能なトンネル磁気抵抗効果素子、及びそれを用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリの提供を目的とする。
上記目的を達成するための一実施形態として、電力を消費することなく記録層に有効磁場を印加するために、絶縁性と反強磁性を示すマルチフェロイック材料と強磁性層を交換結合させた構造が、磁気抵抗効果検出構造と並列に接続されていることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子とする。
また、トンネル磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子を備えた磁気メモリセルにおいて、前記磁気抵抗効果素子は、電力を消費することなく記録層に有効磁場を印加するために、絶縁性と反強磁性を示すマルチフェロイック材料と強磁性層を交換結合させた構造が、磁気抵抗効果検出構造と並列に接続されていることを特徴とする磁気メモリセルとする。
また、複数の磁気メモリセルと、前記複数の磁気メモリセルの中から所望の磁気メモリセルを選択する手段と、前記選択された磁気メモリセルに対して情報の読み出しあるいは書き込みを行う手段とを備えた磁気ランダムアクセスメモリにおいて、前記磁気メモリセルは、磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子を備え、前記磁気抵抗効果素子は、電力を消費することなく記録層に有効磁場を印加するために、絶縁性と反強磁性を示すマルチフェロイック材料と強磁性層を交換結合させた構造が、磁気抵抗効果検出構造と並列に接続されていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリとする。
上記構成とすることにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子、及びそれを用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。また、本発明の構造の作製プロセス、及び制御回路は、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリのものと同様であるため、現行の技術を有効利用することができる。
(a)は反強磁性を示すマルチフェロイック層と強磁性層を交換結合させた積層構造の断面模式図、(b)、(c)は、(a)に示す積層構造の両端にそれぞれ電圧V0、V1を印加した場合の分極と磁化の模式図で、上部が上面図、下部が断面図である。 (a)は磁気抵抗効果検出構造と電界磁化制御層が直列に接続されたトンネル磁気抵抗素子の断面模式図、(b)は磁気抵抗効果検出構造と電界磁化制御層が並列に接続されたトンネル磁気抵抗素子の断面模式図、(c)は(b)の構成を有するトンネル磁気抵抗効果素子の一例で上部が上面図、下部が断面図である。 (a)は図2(b)に示したトンネル磁気抵抗効果素子が情報保持状態にある場合の断面模式図、(b)は図2(b)に示したトンネル磁気抵抗効果素子に書き込み電流を印加した後の断面模式図。(c)は(b)の後に記録層の磁化反転が終了した時の断面模式図である。 第1の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。 (a)は従来構造のトンネル磁気抵抗効果素子の模式図で上部が上面図、下部が断面図、(b)は第1の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の模式図で上部が上面図、下部が断面図、(c)は(a)(b)に示したトンネル磁気抵抗効果素子における熱安定性の指標E/kTの素子面積依存性の計算結果を示す。 第2の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。 第3の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。 第4の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。 第5の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。 第6の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。 第7の実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子を用いた磁気メモリセル(上部)と磁気ランダムアクセスメモリ(下部)の概略構成図である。
本発明を実施するための形態では、電界により磁化方向を制御可能な電界磁化制御材料をトンネル磁気抵抗効果素子に適用することにより、消費電力低減と熱安定性向上をした不揮発性磁気メモリを実現する。電界磁化制御材料の一つに、マルチフェロイック材料がある。以下では、マルチフェロイック材料を用いた電界による磁化方向の制御について述べる。このマルチフェロイック材料は強誘電性と反強磁性の両方の性質を有しており、分極とスピンの間に相互作用が働く。
図1(a)の断面模式図に示すような、マルチフェロイック層100と強磁性層101が交換結合しており、それらの両端に電極102、電極103が接続された積層構造104について検討した。マルチフェロイック層100に電界を印加すると分極105が誘起されると同時に、スピン構造も変化する。そのため、交換結合を介して強磁性層101の磁化106の磁化方向も変化する。例えば、電極102と電極103の間に電圧V0が印加されている場合、分極105と磁化106の方向がそれぞれ図1(b)に示すような状態にあったとする。続いて電極102と電極103間の電圧をV1にすると、分極105と磁化106はそれぞれ図1(c)に示す方向に変化する。ここで、マルチフェロイック層100は絶縁体であり、電流はほとんど流れないため、図1(b)から図1(c)の状態に変化させるために、ほとんど電力を消費しない。
このように、積層構造104により電力をほとんど消費することなく、磁化方向の制御が可能となる。また、磁化106はマルチフェロイック層100と交換結合しているため、熱揺らぎの影響を受けづらく熱安定性が向上する。したがって、状態を検出するために強磁性層101を記録層とした磁気抵抗効果素子を構成すれば、消費電力低減と熱安定性向上をした不揮発性磁気メモリを実現可能である。
以上をもとに、電界磁化制御材料を適用したトンネル磁気抵抗効果素子について検討した。図2(a)に強磁性固定層201、絶縁層202、強磁性記録層203で構成された磁気抵抗効果検出構造204と、強磁性層205と電界磁化制御層206で構成された有効磁場印加構造207を導線208で直列に接続した直列型トンネル磁気抵抗素子200の模式図を示す。
この構造では強磁性層205から強磁性記録層203に有効磁場を印加可能である。電界磁化制御層206は電界を印加するため絶縁体とする。電界磁化制御層206に電流は流れないため、磁気抵抗効果検出構造204で強磁性記録層203の磁化方向を検出するためには、図2(a)に示した端子以外に強磁性記録層203に接続した端子が必要である。したがって、直列型トンネル磁気抵抗効果素子200をメモリセルとして利用した場合、メモリセル当たり3端子必要になり、大容量化、及び微細化の際に不利となる。
一方、図2(b)の磁気抵抗効果検出構造204と有効磁場印加構造207を並列に接続した並列型トンネル磁気抵抗効果素子209は、強磁性層205から強磁性記録層203に有効磁場を印加可能である。また、図2(a)に示した2端子で強磁性記録層203の磁化方向を検出可能なため、並列型トンネル磁気抵抗効果素子209をメモリセルとして利用した場合、従来の不揮発性磁気メモリと同じくメモリセル当たり2端子となり、大容量化に都合が良い。なお、並列型トンネル磁気抵抗素子209の2端子に電圧を印加した場合、磁気抵抗効果検出構造204では主に絶縁層202に、有効磁場印加構造207では電界磁化制御層206に電圧が印加される。
磁気抵抗効果検出構造と有効磁場印加構造を並列に接続したトンネル磁気抵抗効果素子の構成の一例として、本図2(c)のような素子断面をもつトンネル磁気抵抗効果素子210について検討した。トンネル磁気抵抗効果素子210は下部電極層211と磁気抵抗効果検出構造212、非磁性層213、強磁性層214、電界磁化制御層215で構成されている。磁気抵抗効果検出構造212は、強磁性記録層216、絶縁層217、強磁性固定層218、層間絶縁層219、上部電極層220で構成されている。図2(c)は、下部電極層211と強磁性層214の寸法が異なる場合であるが、両者の寸法が同じでもよい。その場合には、強磁性層214の加工と同時に電界磁化制御層215と下部電極層211を加工可能なため、素子作製が容易になる。非磁性層213は強磁性層214と強磁性記録層216間に交換相互作用が働かない厚さに設計されている。
電界磁化制御層215は、下部電極層211と強磁性層214間に設けられている。また、電界磁化制御層215は、絶縁性と反強磁性を示し、強磁性層214と接触することにより、強磁性層214と交換結合している。電界磁化制御層215は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧が印加された状態では|θ|≧80度となる材料、または電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、強磁性層214の磁化方向を反転可能な材料である。
ここで、強磁性層214の磁化容易軸と強磁性層固定層218の磁化容易軸のなす角度をθ(|θ|≦180度で定義する)とした。このような機能を有する電界磁化制御層215の材料の一例としてマルチフェロイック材料があるが、前述の機能を実現できれば、他の材料でもよい。この構造では、強磁性記録層216に強磁性層214からの漏れ磁場が有効磁場として作用する。また、このトンネル磁気抵抗効果素子210は、強磁性記録層216の読み出し動作、書き込み動作ともに、強磁性層214と下部電極209間に電圧(電流)を印加することにより行う。なお、強磁性記録層216の端子はこの層に直接設けてもよいが、例えば強磁性層214上に設けてもよい。これは、強磁性層214における電圧低下は小さく無視できるためである。
ここで、磁気ランダムアクセスメモリのようにトンネル磁気抵抗効果素子210を多数個集積化させた場合を考える。この場合、隣接するトンネル磁気抵抗効果素子210の電界磁化制御層215は層間絶縁層219により分離する。層間絶縁層219は酸化シリコン、アルミナ、窒化シリコンなどである。層間絶縁層219は、下部電極層211と上部電極層220間のショートを防止すると同時に、隣接するトンネル磁気抵抗効果素子210の電界磁化制御層215間の相互作用を防止する。
次に、図3を用いてトンネル磁気抵抗効果素子210をメモリセルに適用した場合の動作を説明する。図3(a)は情報保持状態を示している。強磁性記録層216の磁化300には強磁性層214の磁化301から漏れ磁場302が作用する。磁化301の方向は電界磁化制御層215により固定されているので、磁化300には方向の安定した漏れ磁場302が作用する。磁化300の方向は、この漏れ磁場302によって安定化され、熱安定性が向上する。
図3(b)は書き込み電流303を印加した後の状態を表している。強磁性層214と下部電極層211の間には電位差が生じ、電界磁化制御層215に電圧が印加される。この電圧により、例えば、磁化301の磁化容易軸方向が情報保持状態の方向から90度傾く(紙面表から裏方向)ように(図3(b)参照)、電界磁化制御層215、及び強磁性層214を設計する。この時、磁化301から磁化300に、紙面裏から表方向の漏れ磁場304が作用する。ここで、トンネル磁気抵抗効果素子210に電流が流れているので、磁化300にスピントランスファトルクが作用し、図3(c)のように磁化300の方向が反転する。この状態では、磁化300から磁化301に漏れ磁界305が印加されている。
したがって、書き込み電圧(電流)をオフすれば、電界磁化制御層へ印加されていた電圧がオフするので、磁化301の磁化容易軸方向は図3(a)と同じ方向に戻る。そして、磁化301は、漏れ磁場305により図3(a)と反平行に向き、書き込み動作が終了する。ここで、磁化300に漏れ磁場304が作用することによって、磁化300のスピントランスファトルクによる書き込み電流は、漏れ磁場304が無い場合に比べて低減する。したがって、この書き込み動作を適用することにより、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリに比べて、消費電力の低減が可能となる。
以下、実施例により説明する。
第1の実施例について、図4を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態に記載され本実施例に未記載の事項は、本実施例にも適用することができる。
図4は本実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。このトンネル磁気抵抗効果素子400は、下部電極層401、配向制御層402、反強磁性層403、強磁性固定層404、絶縁層405、強磁性記録層406、第一の非磁性層407、第一の強磁性層408、電界磁化制御層409で構成されており、適当な温度で熱処理することにより磁気抵抗比が最適化される。
電界磁化制御層409は絶縁性と反強磁性を示し、第一の強磁性層408と接触することにより、第一の強磁性層408の磁化と交換結合している。また、電界磁化制御層409は、下部電極層401と第一の強磁性層408の間に配置されており、配向制御層402、反強磁性層403、強磁性固定層404、絶縁層405、強磁性記録層406、第一の非磁性層407で構成される磁気抵抗効果検出構造410と並列に接続される。
ここで、図4は、電界磁化制御層409が磁気抵抗効果検出構造410に接触している場合についての断面概略図であるが、必ずしも接触していなくても良い。また、図4では、電界磁化制御層409が磁気抵抗効果検出構造410の両側に配置されているが、第一の強磁性層408と接触する部分があり、十分な交換結合が得られれば、電界磁化制御層409を磁気抵抗効果検出構造410の片側だけに配置した構造も用いることができる。また、電界磁化制御層409を磁気抵抗効果検出構造410の周囲を取り囲むように設けることもできる。この場合、第一の強磁性層408は、磁気抵抗効果検出構造410の周囲を取り囲む電界磁化制御層409の辺部の、互いに対向する2箇所で接するように配置される。
強磁性固定層404は第二の強磁性層411、第二の非磁性層412、第三の強磁性層413で構成される。強磁性固定層404として第三の強磁性層413だけの構成も用いることができる。
配向制御層402は例えばNiFeやTaとNiFeの積層膜などであり、反強磁性層403の配向性を向上させ、安定した反強磁性結合を実現することができれば他の材料を用いてもよい。反強磁性層403は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。
第二の強磁性層411にはCoFe、第二の非磁性層412にはRu、第三の強磁性層413には体心立方構造のCoFeBが望ましい。第二の強磁性層411、第二の非磁性層412、第三の強磁性層413は、第二の強磁性層411と第三の強磁性層413の磁化が反強磁性結合し、かつ第二の強磁性層411と第三の強磁性層413の磁化の大きさがほぼ等しくなるように材料と膜厚を選択する。
絶縁層405は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。膜厚は0.8から1.5nmが望ましい。強磁性記録層406は体心立方格子構造のCoFeBが望ましい。
第一の非磁性層407はCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、Moまたはそれらの合金を用いることができる。膜厚は強磁性記録層406と第一の強磁性層408の間の交換相互作用が十分小さくなるように、1.5nm以上にすることが望ましい。
第一の強磁性層408はNi0.78Fe0.22、Co0.9Fe0.1などの軟磁性材料が望ましいが、電界磁化制御層409に電圧を印加した際に、磁気異方性を制御できれば強磁性材料(Co、Fe、Niの合金、及びその合金にB、Cr、C、Ta、Mg、V、Mo、Si、Ru、Ti、Hf、Mg、Ptなどを添加したもの)も用いることができる。膜厚(高さ方向)は電界磁化制御層409と十分な交換結合が得られる1から20nmが望ましい。また、第一の強磁性層408の形状は、電界磁化制御層409と接触部分があり、強磁性記録性406へ十分な有効磁場を印加できれば、図4に記載の形状に限らない。
電界磁化制御層409は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧が印加された状態では|θ|≧80度となる材料、または電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、第一の強磁性層408の磁化方向を反転可能な材料である。ここで、第一の強磁性層408の磁化容易軸と第三の強磁性層413の磁化容易軸のなす角度をθ(|θ|≦180度で定義する)とした。
電界磁化制御層409に電圧が印加されていない状態における、第一の強磁性層408の磁化容易軸方向の初期設定は、第三の強磁性層413と概平行または概反平行方向に数100Oe以上の磁場を印加した状態で第一の強磁性層408を形成する、または第一の強磁性層408を形成した後、前述の方向に数kOe以上の磁場を印加した状態で、電界磁化制御層409のブロッキング温度以上の温度まで加熱した後、冷却することで可能となる。なお、概平行方向とは0±10度以内の範囲、概反平行方向とは180±10度以内の範囲であればよい。
前述の機能を実現する電界磁化制御層409の材料としてマルチフェロイック材料であるBiFeOが望ましいが、同様の性質を示すCr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12やそれらの多層膜なども用いることができる。また、前述の機能を有する材料であれば、他の材料、及びそれらの多層膜も用いることができる。
電界磁化制御層409に書き込み電圧を印加した際のθの調整は、電界磁化制御層409の材料、及び印加する電界強度、第一の強磁性層408の材料、及び膜厚を調整することにより可能である。例えば、書き込みの際に、下部電極層401と第一の強磁性層408間に0.3Vの電圧を印加し、第一の強磁性層408と下部電極層401間の間隔が30nmとすると電界磁化制御層409には100kV/cmの電界強度が印加される。この電界強度は、電界磁化制御層409にマルチフェロイック材料のBiFeO、第一の強磁性層408にNi0.78Fe0.22を適用した場合に|θ|〜90度とするために十分な大きさである。
さらに電界磁化制御層409の膜厚を調整するために、図4に記載されていないが、電界磁化制御層409と下部電極層401の間にCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、M、及びそれらの合金の非磁性金属層、Si酸化物、Al酸化物、Si窒化物などの非磁性絶縁体を挿入してもよい。
続いて本実施例による熱安定性向上の効果を計算により確認した。図5(a)(b)は従来構造のトンネル磁気抵抗効果素子500と本実施例のトンネル磁気抵抗効果素子501の上面図、及び断面模式図である。従来構造のトンネル磁気抵抗効果素子500と本実施例のトンネル磁気抵抗効果素子501の下部電極層502、磁気抵抗効果検出構造503の膜構成はともに同じである。磁気抵抗効果検出構造503は強磁性固定層504、絶縁層505、強磁性記録層506で構成されている。強磁性記録層506の膜厚は3nm、磁化は1.2T、異方性磁界は100Oeとした。
本実施例のトンネル磁気抵抗効果素子501は、従来のトンネル磁気抵抗効果素子の膜構成に加えて、非磁性層507、強磁性層508、電界磁化制御層509を備えている。ここで、非磁性層層507の膜厚は5nmとし、強磁性層508の膜厚は5nm、磁化は1.2Tとした。従来構造のトンネル磁気抵抗効果素子500と本実施例のトンネル磁気抵抗効果素子501の上面から見た面積は同じとし、磁気抵抗効果検出構造503の縦横比はともに1:2とした。また、本実施例のトンネル磁気抵抗効果素子501の磁気抵抗効果検出構造503の上面から見た面積は全体の半分とした。
熱安定性の指標E/kTの素子面積依存性を図5(c)に示す。本実施例の構造を適用することにより、従来構造に比べてE/kTを大幅に改善できることがわかる。例えば、20x40nmの面積相当においてもE/kT〜77である。これは、1メガビットの素子を読み出し電流(書き込み電流の1/10)で10年間読み出し続けた場合に、熱安定性を保証可能な(反転してしまう確率が10−5以下)E/kT>75を満たしている。
スピントランスファトルクによる書き込み電流は、本実施例の構造を適用することにより、従来構造に比べて1/2以下に低減可能である。これは、本実施例のトンネル磁気抵抗効果素子501の磁気抵抗効果検出構造503は従来構造のトンネル磁気抵抗効果素子500の磁気抵抗効果検出構造503の1/2であること、また、図3(b)で説明したように書き込みの際に強磁性層508から強磁性記録層506に漏れ磁場が働くことに起因する。
以上では、強磁性層の磁化方向は積層構造の概膜面内方向であったが、磁化方向は積層構造の概膜面垂直方向であっても良い。その場合、反強磁性層403は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。しかし、第二の強磁性層411の一軸異方性エネルギが十分大きい場合には、反強磁性層403を使用しなくてもよい。
第二の強磁性層411、第三の強磁性層413、強磁性記録層406、第一の強磁性層408にはFe、Co、Ni、Mn、Crの中の一つ以上の元素とPt、Pd、Ir、Ru、Rhの中の一つ以上の元素からなる合金を用いることができる。また、希土類元素を含むGdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどの合金も用いることができる。
絶縁層405は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。その場合、第三の強磁性層413、及び強磁性記録層406と絶縁層405側との接合部分には、体心立方構造のCoFeB層を挿入することが望ましい。しかし、十分な磁気抵抗比が得られれば、CoFeB層は不要である。第一の非磁性層407、及び第二の非磁性層412、電界磁化制御層409については、前述の強磁性層の磁化方向が積層構造の概膜面内方向にある場合と同様である。
以上述べたように、本実施例の構造を適用することにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子を提供することができる。また、本実施例に係るトンネル磁気抵抗素子は不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリへの適用が可能である。
第2の実施例について、図6を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態や実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が内限り本実施例にも適用することができる。本実施例と実施例1との主な違いは、本実施例では第一の非磁性層607の膜厚が強磁性記録層606と第一の強磁性層608の間の交換相互作用により反強磁性結合または強磁性結合するように調整されている点にある。
図6は本実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。このトンネル磁気抵抗効果素子600は、下部電極層601、配向制御層602、反強磁性層603、強磁性固定層604、絶縁層605、強磁性記録層606、第一の非磁性層607、第一の強磁性層608、電界磁化制御層609で構成されており、適当な温度で熱処理することにより磁気抵抗比が最適化される。
電界磁化制御層609は絶縁性と反強磁性を示し、第一の強磁性層608と接触することにより、第一の強磁性層608の磁化と交換結合している。また、電界磁化制御層609は、下部電極層601と第一の強磁性層608の間に配置されており、配向制御層602、反強磁性層603、強磁性固定層604、絶縁層605、強磁性記録層606、第一の非磁性層607で構成される磁気抵抗効果検出構造610と並列に接続される。
ここで、図6は、電界磁化制御層609が磁気抵抗効果検出構造610に接触している場合についての断面概略図であるが、必ずしも接触していなくても良い。また、図6では、電界磁化制御層609が磁気抵抗効果検出構造610の両側に配置されているが、第一の強磁性層608と接触する部分があり、十分な交換結合が得られれば、電界磁化制御層609を磁気抵抗効果検出構造610の片側だけに配置した構造も用いることができる。また、電界磁化制御層609を磁気抵抗効果検出構造610の周囲を取り囲むように設けることもできる。この場合、第一の強磁性層608は、磁気抵抗効果検出構造610の周囲を取り囲む電界磁化制御層609の辺部の、互いに対向する2箇所で接するように配置される。強磁性固定層604は第二の強磁性層611、第二の非磁性層612、第三の強磁性層613で構成される。強磁性固定層604として第三の強磁性層613だけの構成も用いることができる。
配向制御層602は例えばNiFeやTaとNiFeの積層膜などであり、反強磁性層603の配向性を向上させ、安定した反強磁性結合を実現することができれば他の材料を用いてもよい。反強磁性層603は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。
第二の強磁性層611にはCoFe、第二の非磁性層612にはRu、第三の強磁性層613には体心立方構造のCoFeBが望ましい。第二の強磁性層611、第二の非磁性層612、第三の強磁性層613は、第二の強磁性層611と第三の強磁性層613の磁化が反強磁性結合し、かつ第二の強磁性層611と第三の強磁性層613の磁化の大きさがほぼ等しくなるように材料と膜厚を選択する。
絶縁層605は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。膜厚は0.8から1.5nmが望ましい。強磁性記録層606は体心立方格子構造のCoFeBが望ましい。
第一の非磁性層607はCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、Moまたはそれらの合金を用いることができる。膜厚は強磁性記録層606と第一の強磁性層608の間の交換相互作用により反強磁性結合または強磁性結合するように調整する。
第一の強磁性層608はNi0.78Fe0.22、Co0.9Fe0.1などの軟磁性材料が望ましいが、電界磁化制御層609に電圧を印加した際に、磁気異方性を制御できれば強磁性材料(Co、Fe、Niの合金、及びその合金にB、Cr、C、Ta、Mg、V、Mo、Si、Ru、Ti、Hf、Mg、Ptなどを添加したもの)も用いることができる。膜厚は電界磁化制御層609と十分な交換結合が得られる1から20nmが望ましい。また、形状は、電界磁化制御層609と接触部分があり、強磁性記録性606へ十分な有効磁場を印加できれば、図6に記載の形状に限らない。
電界磁化制御層609は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧が印加された状態では|θ|≧80度となる材料、または電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、第一の強磁性層608の磁化方向を反転可能な材料である。ここで、第一の強磁性層608の磁化容易軸と第三の強磁性層613の磁化容易軸のなす角度をθ(|θ|≦180度で定義する)とした。
電界磁化制御層609に電圧が印加されていない状態における、第一の強磁性層608の磁化容易軸方向の初期設定は、第三の強磁性層613と概平行または概反平行方向に数100Oe以上の磁場を印加した状態で第一の強磁性層608を形成する、または第一の強磁性層608を形成した後、前述の方向に数kOe以上の磁場を印加した状態で、電界磁化制御層609のブロッキング温度以上の温度まで加熱した後、冷却することで可能となる。前述の機能を実現する電界磁化制御層609の材料としてマルチフェロイック材料であるBiFeOが望ましいが、同様の性質を示すCr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12、及びそれらの多層膜なども用いることができる。また、前述の機能を有する材料であれば、他の材料、及びそれらの多層膜も用いることができる。
電界磁化制御層609に書き込み電圧を印加した際のθの調整は、電界磁化制御層609の材料、及び印加する電界強度、第一の強磁性層の材料、及び膜厚を調整することにより可能である。例えば、書き込みの際に、下部電極層601と第一の強磁性層608間に0.3Vの電圧を印加し、第一の強磁性層608と下部電極層601間の間隔が30nmとすると電界磁化制御層609には100kV/cmの電界強度を印加される。この電界強度は、電界磁化制御層609にマルチフェロイック材料のBiFeO、第一の強磁性層608にNi0.78Fe0.22を適用した場合に|θ|〜90度とするために十分な大きさである。さらに電界磁化制御層609の膜厚を調整するために、図6に記載されていないが、電界磁化制御層609と下部電極層601の間にCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、M、及びそれらの合金の非磁性金属層、Si酸化物、Al酸化物、Si窒化物などの非磁性絶縁体を挿入してもよい。
以上では、強磁性層の磁化方向は積層構造の概膜面内方向であったが、磁化方向は積層構造の概膜面垂直方向であっても良い。その場合、反強磁性層603は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。しかし、第二の強磁性層611の一軸異方性エネルギが十分大きい場合には、反強磁性層603を使用しなくてもよい。
第二の強磁性層611、第三の強磁性層613、強磁性記録層606、第一の強磁性層608にはFe、Co、Ni、Mn、Crの中の一つ以上の元素とPt、Pd、Ir、Ru、Rhの中の一つ以上の元素からなる合金を用いることができる。また、希土類元素を含むGdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどの合金も用いることができる。
絶縁層605は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。その場合、第三の強磁性層613、及び強磁性記録層606と絶縁層605側との接合部分には、体心立方構造のCoFeB層を挿入することが望ましい。しかし、十分な磁気抵抗比が得られれば、CoFeB層は不要である。第一の非磁性層607、及び第二の非磁性層612、電界磁化制御層609については、前述の強磁性層の磁化方向が積層構造の概膜面内方向にある場合と同様である。
以上述べたように、本実施例の構造を適用することにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子及びそれを用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。また、第一の実施例よりも、強磁性記録層へ作用する有効磁場が大きいために、さらに熱安定性を改善することができる。例えば、第一の実施例で20x40nmの面積相当とし、図5(c)の計算で用いたパラメータを用いると、強磁性記録層に印加される有効磁場は640Oe程度である。しかし、本実施例の有効磁場は750Oe以上にすることが可能なので、第一の実施例よりも熱安定性を1.2倍以上改善することが可能である。また、消費電力は、書き込み電圧を印加するだけでも第一の強磁性層608の磁化方向を反転可能なため、実施例1と同様に従来構造のトンネル磁気抵抗素子500の場合の1/2以下に低減可能である。また、本実施例に係るトンネル磁気抵抗素子は不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリへの適用が可能である。
第3の実施例について、図7を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態や実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が内限り本実施例にも適用することができる。本実施例と実施例1との主な違いは、本実施例では強磁性記録層706と第一の強磁性層707とが反強磁性結合または強磁性結合している点にある。
図7は本実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。このトンネル磁気抵抗効果素子700は、下部電極層701、配向制御層702、反強磁性層703、強磁性固定層704、絶縁層705、強磁性記録層706、第一の強磁性層707、電界磁化制御層708で構成されており、適当な温度で熱処理することにより磁気抵抗比が最適化される。
電界磁化制御層708は絶縁性と反強磁性を示し、第一の強磁性層707と接触することにより、第一の強磁性層707の磁化と交換結合している。また、電界磁化制御層708は、下部電極層701と第一の強磁性層707の間に配置されており、配向制御層702、反強磁性層703、強磁性固定層704、絶縁層705、強磁性記録層706で構成される磁気抵抗効果検出構造709と並列に接続される。
ここで、図7は、電界磁化制御層708が磁気抵抗効果検出構造709に接触している場合についての断面概略図であるが、必ずしも接触していなくても良い。また、図7では、電界磁化制御層708が磁気抵抗効果検出構造709の両側に配置されているが、第一の強磁性層707と接触する部分があり、十分な交換結合が得られれば、電界磁化制御層708を磁気抵抗効果検出構造709の片側だけに配置した構造も用いることができる。また、電界磁化制御層708を磁気抵抗効果検出構造709の周囲を取り囲むように設けることもできる。この場合、第一の強磁性層707は、磁気抵抗効果検出構造709の周囲を取り囲む電界磁化制御層708の辺部の、互いに対向する2箇所で接するように配置される。強磁性固定層704は第二の強磁性層710、非磁性層711、第三の強磁性層712で構成される。強磁性固定層704として第三の強磁性層712だけの構成も用いることができる。
配向制御層702は例えばNiFeやTaとNiFeの積層膜などであり、反強磁性層703の配向性を向上させ、安定した反強磁性結合を実現することができれば他の材料を用いてもよい。反強磁性層703は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。
第二の強磁性層710にはCoFe、非磁性層711にはRu、第三の強磁性層712には体心立方構造のCoFeBが望ましい。第二の強磁性層710、非磁性層711、第三の強磁性層712は、第二の強磁性層710と第三の強磁性層712の磁化が反強磁性結合し、かつ第二の強磁性層710と第三の強磁性層712の磁化の大きさがほぼ等しくなるように材料と膜厚を選択する。
絶縁層705は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。膜厚は0.8から1.5nmが望ましい。
強磁性記録層706は体心立方格子構造のCoFeBが望ましい。第一の強磁性層707はNi0.78Fe0.22、Co0.9Fe0.1などの軟磁性材料が望ましいが、電界磁化制御層708に電圧を印加した際に、磁気異方性を制御できれば強磁性材料(Co、Fe、Niの合金、及びその合金にB、Cr、C、Ta、Mg、V、Mo、Si、Ru、Ti、Hf、Mg、Ptなどを添加したもの)も用いることができる。膜厚は電界磁化制御層708と十分な交換結合が得られる1から20nmが望ましい。また、形状は、電界磁化制御層708と接触部分があり、強磁性記録性706へ十分な有効磁場を印加できれば、図7に記載の形状に限らない。
電界磁化制御層708は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、第一の強磁性層707の磁化方向を反転可能な材料である。ここで、第一の強磁性層707の磁化容易軸と第三の強磁性層712の磁化容易軸のなす角度をθ(|θ|≦180度で定義する)とした。電界磁化制御層708に電圧が印加されていない状態における、第一の強磁性層708の磁化容易軸方向の初期設定は、第三の強磁性層712と概平行または概反平行方向に数100Oe以上の磁場を印加した状態で第一の強磁性層707を形成する、または第一の強磁性層707を形成した後、前述の方向に数kOe以上の磁場を印加した状態で、電界磁化制御層708のブロッキング温度以上の温度まで加熱した後、冷却することで可能となる。前述の機能を実現する電界磁化制御層708の材料としてマルチフェロイック材料であるBiFeOが望ましいが、同様の性質を示すCr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12、及びそれらの多層膜なども用いることができる。また、前述の機能を有する材料であれば、他の材料、及びそれらの多層膜も用いることができる。
電界磁化制御層708に書き込み電圧を印加した際のθの調整は、電界磁化制御層708の材料、及び印加する電界強度、第一の強磁性層707の材料、及び膜厚を調整することにより可能である。例えば、書き込みの際に、下部電極層701と第一の強磁性層707間に0.3Vの電圧を印加し、第一の強磁性層707と下部電極層701間の間隔が30nmとすると電界磁化制御層708には100kV/cmの電界強度を印加される。この電界強度は、電界磁化制御層708にマルチフェロイック材料のBiFeO、第一の強磁性層707にNi0.78Fe0.22を適用した場合に|θ|〜90度とするために十分な大きさである。さらに電界磁化制御層708の膜厚を調整するために、図7に記載されていないが、電界磁化制御層708と下部電極層701の間にCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、M、及びそれらの合金の非磁性金属層、Si酸化物、Al酸化物、Si窒化物などの非磁性絶縁体を挿入してもよい。
以上では、強磁性層の磁化方向は積層構造の概膜面内方向であったが、磁化方向は積層構造の概膜面垂直方向であっても良い。その場合、反強磁性層703は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。しかし、第二の強磁性層710の一軸異方性エネルギが十分大きい場合には、反強磁性層703を使用しなくてもよい。
第二の強磁性層710、第三の強磁性層712、強磁性記録層706、第一の強磁性層707にはFe、Co、Ni、Mn、Crの中の一つ以上の元素とPt、Pd、Ir、Ru、Rhの中の一つ以上の元素からなる合金を用いることができる。また、希土類元素を含むGdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどの合金も用いることができる。
絶縁層705は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。その場合、第三の強磁性層712、及び強磁性記録層706と絶縁層705側との接合部分には、体心立方構造のCoFeB層を挿入することが望ましい。しかし、十分な磁気抵抗比が得られれば、CoFeB層は不要である。非磁性層711、電界磁化制御層708については、前述の強磁性層の磁化方向が積層構造の概膜面内方向にある場合と同様である。
以上述べたように、本実施例の構造を適用することにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子及びそれを用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。また、第二の実施例よりも、強磁性記録層へ作用する有効磁場が大きいために、さらに熱安定性を改善することができる。具体的には、第二の実施例の有効磁場は750Oe程度であるが、本実施例の構造において強磁性記録層706に印加される有効磁場は1000Oe以上である。したがって、本実施例の熱安定性は、第二の実施例の約1.3倍以上である。また、消費電力は、書き込み電圧を印加するだけでも第一の強磁性層608の磁化方向を反転可能なため、実施例1、2と同様に従来構造のトンネル磁気抵抗素子500の場合の1/2以下に低減可能である。また、本実施例に係るトンネル磁気抵抗素子は不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリへの適用が可能である。
第4の実施例について、図8を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態や実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
図8は本実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。このトンネル磁気抵抗効果素子800は、下部電極層801、配向制御層802、反強磁性層803、強磁性固定層804、絶縁層805、強磁性記録層806、第一の非磁性層807、第一の強磁性層808、電界磁化制御層809で構成されており、適当な温度で熱処理することにより磁気抵抗比が最適化される。電界磁化制御層809は絶縁性と反強磁性を示し、第一の強磁性層808と接触することにより、第一の強磁性層808の磁化と交換結合している。また、電界磁化制御層809は、絶縁層805と第一の強磁性層808の間に配置されており、配向制御層802、反強磁性層803、強磁性固定層804、絶縁層805、強磁性記録層806、第一の非磁性層807で構成される磁気抵抗効果検出構造810と並列に接続される。
ここで、図8は、電界磁化制御層809が磁気抵抗効果検出構造810に接触している場合についての断面概略図であるが、必ずしも接触していなくても良い。また、図8では、電界磁化制御層809が磁気抵抗効果検出構造810の両側に配置されているが、第一の強磁性層808と接触する部分があり、十分な交換結合が得られれば、電界磁化制御層809を磁気抵抗効果検出構造810の片側だけに配置した構造も用いることができる。また、電界磁化制御層809を磁気抵抗効果検出構造810の周囲を取り囲むように設けることもできる。この場合、第一の強磁性層808は、磁気抵抗効果検出構造810の周囲を取り囲む電界磁化制御層809の辺部の、互いに対向する2箇所で接するように配置される。強磁性固定層804は第二の強磁性層811、第二の非磁性層812、第三の強磁性層813で構成される。強磁性固定層804として第三の強磁性層813だけの構成も用いることができる。
配向制御層802は例えばNiFeやTaとNiFeの積層膜などであり、反強磁性層803の配向性を向上させ、安定した反強磁性結合を実現することができれば他の材料を用いてもよい。
反強磁性層803は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。
第二の強磁性層811にはCoFe、第二の非磁性層812にはRu、第三の強磁性層813には体心立方構造のCoFeBが望ましい。第二の強磁性層811、第二の非磁性層812、第三の強磁性層813は、第二の強磁性層811と第三の強磁性層813の磁化が反強磁性結合し、かつ第二の強磁性層811と第三の強磁性層813の磁化の大きさがほぼ等しくなるように材料と膜厚を選択する。
絶縁層805は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。膜厚は0.8から1.5nmが望ましい。強磁性記録層806は体心立方格子構造のCoFeBが望ましい。
第一の非磁性層807はCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、Moまたはそれらの合金を用いることができる。膜厚は強磁性記録層806と第一の強磁性層808の間の交換相互作用が十分小さくなるように、1.5nm以上にすることが望ましい。
第一の強磁性層808はNi0.78Fe0.22、Co0.9Fe0.1などの軟磁性材料が望ましいが、電界磁化制御層809に電圧を印加した際に、磁気異方性を制御できれば強磁性材料(Co、Fe、Niの合金、及びその合金にB、Cr、C、Ta、Mg、V、Mo、Si、Ru、Ti、Hf、Mg、Ptなどを添加したもの)も用いることができる。膜厚は電界磁化制御層809と十分な交換結合が得られる1から20nmが望ましい。また、形状は、電界磁化制御層809と接触部分があり、強磁性記録性806へ十分な有効磁場を印加できれば、図8に記載の形状に限らない。
電界磁化制御層809は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧が印加された状態では|θ|≧80度となる材料、または電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、第一の強磁性層808の磁化方向を反転可能な材料である。ここで、第一の強磁性層808の磁化容易軸と第三の強磁性層813の磁化容易軸のなす角度をθ(|θ|≦180度で定義する)とした。
電界磁化制御層809に電圧が印加されていない状態における、第一の強磁性層808の磁化容易軸方向の初期設定は、第三の強磁性層813と概平行または概反平行方向に数100Oe以上の磁場を印加した状態で第一の強磁性層808形成する、または第一の強磁性層808を形成した後、前述の方向に数kOe以上の磁場を印加した状態で、電界磁化制御層809のブロッキング温度以上の温度まで加熱した後、冷却することで可能となる。前述の機能を実現する電界磁化制御層809の材料としてマルチフェロイック材料であるBiFeOが望ましいが、同様の性質を示すCr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12、及びそれらの多層膜なども用いることができる。また、前述の機能を有する材料であれば、他の材料、及びそれらの多層膜も用いることができる。
電界磁化制御層809に書き込み電圧を印加した際のθの調整は、電界磁化制御層809の材料、及び印加する電界強度、第一の強磁性層808の材料、及び膜厚を調整することにより可能である。例えば、書き込みの際に、下部電極層801と第一の強磁性層808間に0.3Vの電圧を印加し、第一の強磁性層808と絶縁層805の膜厚を1nm、強磁性記録層806の膜厚を3nm、第一の非磁性層807の膜厚を5nmとすると、磁化制御層809には300kV/cmの電界強度を印加可能である。したがって、本実施例の構造により、書き込み電圧が同じであっても、実施例1、2、3よりも大きな電界強度を電界磁化制御層809へ印加可能である。
さらに電界磁化制御層809の膜厚を調整するために、図8に記載されていないが、電界磁化制御層809と絶縁層805の間にCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、M、及びそれらの合金の非磁性金属層、Si酸化物、Al酸化物、Si窒化物などの非磁性絶縁体を挿入してもよい。
以上では、強磁性層の磁化方向は積層構造の概膜面内方向であったが、磁化方向は積層構造の概膜面垂直方向であっても良い。その場合、反強磁性層803は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。しかし、第二の強磁性層811の一軸異方性エネルギが十分大きい場合には、反強磁性層803を使用しなくてもよい。第二の強磁性層811、第三の強磁性層813、強磁性記録層806、第一の強磁性層808にはFe、Co、Ni、Mn、Crの中の一つ以上の元素とPt、Pd、Ir、Ru、Rhの中の一つ以上の元素からなる合金を用いることができる。また、希土類元素を含むGdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどの合金も用いることができる。
絶縁層805は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。その場合、第三の強磁性層813、及び強磁性記録層806と絶縁層805側との接合部分には、体心立方構造のCoFeB層を挿入することが望ましい。しかし、十分な磁気抵抗比が得られれば、CoFeB層は不要である。第一の非磁性層807、及び第二の非磁性層812、電界磁化制御層809については、前述の強磁性層の磁化方向が積層構造の概膜面内方向にある場合と同様である。
以上述べたように、本実施例の構造を適用することにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子を提供することができる。また、本実施例の構造を用いると、前述のように、書き込み電圧が同じであっても、実施例1−3の構造の約3倍の電界強度を電界磁化制御層へ印加可能となり、書き込み動作が容易になる。本実施例では実施例1の構造にトンネル磁気抵抗素子800の構造を適用した場合について述べたが、実施例2、3についても同様の構造を適用可能である。また、本実施例に係るトンネル磁気抵抗素子は不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリへの適用が可能である。
第5の実施例について、図9を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態や実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が内限り本実施例にも適用することができる。
図9は本実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。このトンネル磁気抵抗効果素子900は、下部電極層901、配向制御層902、反強磁性層903、強磁性固定層904、絶縁層905、強磁性記録層906、第一の非磁性層907、第一の強磁性層908、電界磁化制御層909、上部電極層910で構成されており、適当な温度で熱処理することにより磁気抵抗比が最適化される。
電界磁化制御層909は絶縁性と反強磁性を示し、第一の強磁性層908と接触することにより、第一の強磁性層908の磁化と交換結合している。また、電界磁化制御層909は、上部電極層910と絶縁層905の間に配置されており、配向制御層902、反強磁性層903、強磁性固定層904、絶縁層905、強磁性記録層906、第一の非磁性層907で構成される磁気抵抗効果検出構造911と並列に接続される。
ここで、図9は、電界磁化制御層909が磁気抵抗効果検出構造911に接触している場合についての断面概略図であるが、必ずしも接触していなくても良い。また、図9では、電界磁化制御層909が磁気抵抗効果検出構造911の両側に配置されているが、第一の強磁性層908と接触する部分があり、十分な交換結合が得られれば、電界磁化制御層909を磁気抵抗効果検出構造911の片側だけに配置した構造も用いることができる。強磁性固定層904は第二の強磁性層912、第二の非磁性層913、第三の強磁性層914で構成される。強磁性固定層904として第三の強磁性層914だけの構成も用いることができる。
配向制御層902は例えばNiFeやTaとNiFeの積層膜などであり、反強磁性層903の配向性を向上させ、安定した反強磁性結合を実現することができれば他の材料を用いてもよい。
反強磁性層903は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。
第二の強磁性層912にはCoFe、第二の非磁性層913にはRu、第三の強磁性層914には体心立方構造のCoFeBが望ましい。第二の強磁性層912、第二の非磁性層913、第三の強磁性層914は、第二の強磁性層912と第三の強磁性層914の磁化が反強磁性結合し、かつ第二の強磁性層912と第三の強磁性層914の磁化の大きさがほぼ等しくなるように材料と膜厚を選択する。
絶縁層905は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。膜厚は0.8から1.5nmが望ましい。強磁性記録層906は体心立方格子構造のCoFeBが望ましい。
第一の非磁性層907はCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、Moまたはそれらの合金を用いることができる。また、第一の非磁性層907は上部電極層910と同じ材料であってもよい。
第一の強磁性層908はNi0.78Fe0.22、Co0.9Fe0.1などの軟磁性材料が望ましいが、電界磁化制御層909に電圧を印加した際に、磁気異方性を制御できれば強磁性材料(Co、Fe、Niの合金、及びその合金にB、Cr、C、Ta、Mg、V、Mo、Si、Ru、Ti、Hf、Mg、Ptなどを添加したもの)も用いることができる。膜厚は電界磁化制御層909と十分な交換結合が得られる1から20nmが望ましい。また、形状は、電界磁化制御層909と接触部分があり、強磁性記録性906へ十分な有効磁場を印加できれば、図9に記載の形状に限らない。
電界磁化制御層909は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧が印加された状態では|θ|≧80度となる材料、または電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、第一の強磁性層908の磁化方向を反転可能な材料である。ここで、第一の強磁性層908の磁化容易軸と第三の強磁性層413の磁化容易軸のなす角度をθ(|θ|≦180度で定義する)とした。
電界磁化制御層909に電圧が印加されていない状態における、第一の強磁性層908の磁化容易軸方向の初期設定は、第三の強磁性層914と概平行または概反平行方向に数100Oe以上の磁場を印加した状態で第一の強磁性層908形成する、または第一の強磁性層908を形成した後、前述の方向に数kOe以上の磁場を印加した状態で、電界磁化制御層909のブロッキング温度以上の温度まで加熱した後、冷却することで可能となる。前述の機能を実現する電界磁化制御層909の材料としてマルチフェロイック材料であるBiFeOが望ましいが、同様の性質を示すCr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12、及びそれらの多層膜なども用いることができる。また、前述の機能を有する材料であれば、他の材料、及びそれらの多層膜も用いることができる。
電界磁化制御層909に書き込み電圧を印加した際のθの調整は、電界磁化制御層909の材料、及び印加する電界強度、第一の強磁性層908の材料、及び膜厚を調整することにより可能である。さらに電界磁化制御層909の膜厚を調整するために、図9に記載されていないが、電界磁化制御層909と上部電極層910の間にCu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、M、及びそれらの合金の非磁性金属層、Si酸化物、Al酸化物、Si窒化物などの非磁性絶縁体を挿入してもよい。
以上では、強磁性層の磁化方向は積層構造の概膜面内方向であったが、磁化方向は積層構造の概膜面垂直方向であっても良い。その場合、反強磁性層903は膜厚8nmのMnIrが望ましい。MnPt、MnFeを用いることもできる。膜厚は反強磁性を示すために十分な膜厚以上の膜厚が望ましい。しかし、第二の強磁性層912の一軸異方性エネルギが十分大きい場合には、反強磁性層903を使用しなくてもよい。第二の強磁性層912、第三の強磁性層914、強磁性記録層906、第一の強磁性層908にはFe、Co、Ni、Mn、Crの中の一つ以上の元素とPt、Pd、Ir、Ru、Rhの中の一つ以上の元素からなる合金を用いることができる。また、希土類元素を含むGdFe、GdCo、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCo、GdTbFe、GdTbCo、DyFe、DyCo、DyFeCoなどの合金も用いることができる。
絶縁層905は、岩塩構造をもつ酸化マグネシウム結晶膜であり、(100)方向に配向した膜が望ましい。その場合、第三の強磁性層914、及び強磁性記録層906と絶縁層905側との接合部分には、体心立方構造のCoFeB層を挿入することが望ましい。しかし、十分な磁気抵抗比が得られれば、CoFeB層は不要である。第一の非磁性層907、及び第二の非磁性層913、電界磁化制御層909については、前述の強磁性層の磁化方向が積層構造の概膜面内方向にある場合と同様である。
以上述べたように、本発明の構造を適用することにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子を提供することができる。また、本実施例の構造を用いると、実施例5と同様に、書き込み電圧が同じであっても、実施例1−3の構造の約3倍の電界強度を電界磁化制御層へ印加可能となり、書き込み動作が容易になる。また、本実施例に係るトンネル磁気抵抗素子は不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリへの適用が可能である。
第6の実施例について、図10を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態や実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が内限り本実施例にも適用することができる。
図10は本実施例に係るトンネル磁気抵抗効果素子の概略構造断面図である。このトンネル磁気抵抗効果素子1000は、下部電極層1001、磁気抵抗効果検出構造1002、上部電極層1003、非磁性金属層1004、強磁性層1005、電界磁化制御層1006で構成されている。磁気抵抗効果検出構造1002の構成は実施例5と同じである。
非磁性金属層1004は下部電極層1001と接しており、Cu、Al、Ag、Au、Cr、Ta、Ru、Ir、Pt、W、Moまたはそれらの合金を用いることができる。
強磁性層1005は非磁性金属層1004と接している。強磁性層1005はNi0.78Fe0.22、Co0.9Fe0.1などの軟磁性材料が望ましいが、電界磁化制御層1006に電圧を印加した際に、磁気異方性を制御できれば強磁性材料(Co、Fe、Niの合金、及びその合金にB、Cr、C、Ta、Mg、V、Mo、Si、Ru、Ti、Hf、Mg、Ptなどを添加したもの)も用いることができる。膜厚は電界磁化制御層1006と十分な交換結合が得られる1から20nmが望ましい。また、形状は、電界磁化制御層1006と接触部分があり、磁気抵抗効果検出構造1002における強磁性記録層へ十分な有効磁場を印加できれば、図10に記載の形状に限らない。
電界磁化制御層1006は絶縁性と反強磁性を示し、強磁性層1005と接触することにより、強磁性層1005の磁化と交換結合している。また、電界磁化制御層1006は、上部電極層1003と強磁性層1005の間に配置されており、磁気抵抗効果検出構造1002と並列に接続される。
ここで、図10は、電界磁化制御層1006が磁気抵抗効果検出構造1002に接触している場合についての断面概略図であるが、必ずしも接触していなくても良い。また、図10では、電界磁化制御層1006が磁気抵抗効果検出構造1002の両側に配置されているが、強磁性層1005と接触する部分があり、十分な交換結合が得られれば、電界磁化制御層1006を磁気抵抗効果検出構造1002の片側だけに配置した構造も用いることができる。
電界磁化制御層1006は、電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧が印加された状態では|θ|≧80度となる材料、または電圧が印加されていない状態において|θ|≦10度であり、書き込み電圧を印加することにより、強磁性層1005の磁化方向を反転可能な材料である。ここで、強磁性層1005の磁化容易軸と磁気抵抗効果検出構造1002において絶縁層と接している強磁性固定層の磁化容易軸のなす角度をθ((|θ|≦180度で定義する)とした。
電界磁化制御層1006に電圧が印加されていない状態における、強磁性層1005の磁化容易軸方向の初期設定は、強磁性層1005の磁化容易軸方向を磁気抵抗効果検出構造1002の絶縁層と接している強磁性固定層の磁化方向と概平行または概反平行方向に数100Oe以上の磁場を印加した状態で強磁性層1005を形成する、または強磁性層1005を形成した後、前述の方向に数kOe以上の磁場を印加した状態で、電界磁化制御層1006のブロッキング温度以上の温度まで加熱した後、冷却することで可能となる。
前述の機能を実現する電界磁化制御層1006の材料としてマルチフェロイック材料であるBiFeOが望ましいが、同様の性質を示すCr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12、及びそれらの多層膜なども用いることができる。また、前述の機能を有する材料であれば、他の材料、及びそれらの多層膜も用いることができる。
電界磁化制御層1006に書き込み電圧を印加した際のθの調整は、電界磁化制御層1006の材料、及び印加する電界強度、強磁性層1005の材料、及び膜厚を調整することにより可能である。
以上述べたように、本実施例の構造を適用することにより、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも低消費電力かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子を提供することができる。また、本実施例の構造を用いると、実施例4、5と同様に、書き込み電圧が同じであっても、実施例1−3の構造の約3倍の電界強度を電界磁化制御層へ印加可能となり、書き込み動作が容易になる。さらに、強磁性層1005の位置を所望の位置に調整できるため、強磁性記録層へ印加される有効磁場の設計が容易となる。また、本実施例に係るトンネル磁気抵抗素子は不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリへの適用が可能である。
第7の実施例について図11を用いて説明する。なお、発明を実施するための形態、実施例1から実施例6のいずれかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が内限り本実施例にも適用することができる。
図11はトンネル磁気抵抗効果素子を用いた磁気メモリセル(上部)並びに磁気ランダムアクセスメモリ(下部)の概略構成図である。磁気メモリセル1100は実施例1−6に記載のトンネル磁気抵抗効果素子1102、トンネル磁気抵抗効果素子1102に接続された電極1103、トンネル磁気抵抗効果素子1102に接続され、トンネル磁気抵抗効果素子1102に流れる電流のON/OFFを制御する選択トランジスタ(スイッチング素子)1101、選択トランジスタ(スイッチング素子)1101の電流のON/OFFを制御する信号を伝達するためのゲート電極1104で構成される。
メモリアレイ1105は磁気メモリセル1100をアレイ状に複数配置したもので、各磁気メモリセル1100の電極1103およびゲート電極1104にはそれぞれビット線1106およびワード線1107が接続されている。
各ビット線1106およびワード線1107には、それぞれビット線ドライバ1108およびワード線ドライバ1109が接続されており、ワード線ドライバ1109から所望の選択トランジスタに制御信号を送り選択トランジスタをONにすること、またビット線ドライバ1108から所望のメモリセルに読み出し又は書き込み電流を流すことが可能である。
このようにして目的のメモリセルに接続されているワード線1107およびビット線1106を選択することにより、所望の磁気メモリセル1100への書き込み、読み出しが可能となる。磁気メモリセルへ書き込み電流等が低減された上記トンネル磁気抵抗効果素子を用いることにより、選択トランジスタを小さくすることが可能となり、微細な磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。
以上述べたように、本実施例によれば、大容量化に適した単純な構造で、従来のスピントランスファトルク書き込み方式の不揮発性磁気メモリよりも消費電力を1/2以下に低減可能であり、かつ、高熱安定性なトンネル磁気抵抗効果素子を用いた不揮発性の磁気メモリセル並びに磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。
以上、本願発明を詳細に説明したが、以下に主な発明の形態を列挙する。
(1) 電界により磁化方向が制御可能な、反強磁性の性質を備えた電界磁化制御層と、
絶縁層と前記絶縁層を挟んで設けられた強磁性固定層と強磁性記録層とを備え、前記電界磁化制御層と電気的に並列接続された磁気抵抗効果検出構造と、
前記電界磁化制御層に電圧が印加されていない状態で、前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±10度以内の磁化容易軸を備え、前記電界磁化制御層と接触して交換結合すると共に、前記強磁性記録層へ有効磁場を印加する強磁性層と、を有する特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
(2) トンネル磁気抵抗効果素子と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子を備えた磁気メモリセルにおいて、
前記トンネル磁気抵抗効果素子は、
電界により磁化方向が制御可能な、反強磁性の性質を備えた電界磁化制御層と、
強磁性固定層と、前記強磁性固定層上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられスピントランスファトルクにより磁化反転可能な強磁性記録層とを備え、前記電界磁化制御層と電気的に並列接続された磁気抵抗効果検出構造と、
前記電界磁化制御層に電圧が印加されていない状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±10度以内、前記電界磁化制御層に書き込み電圧が印加された状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±80度以上の磁化容易軸を備え、前記電界磁化制御層と接触して交換結合すると共に、前記強磁性記録層へ有効磁場を印加する強磁性層と、を有することを特徴とする磁気メモリセル。
(3) 複数の磁気メモリセルと、前記複数の磁気メモリセルの中から所望の磁気メモリセルを選択する手段と、前記選択された磁気メモリセルに対して情報の読み出しあるいは書き込みを行う手段とを備えた磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
前記磁気メモリセルは、トンネル磁気抵抗効果素子と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子を備え、
前記トンネル磁気抵抗効果素子は、
電界により磁化方向が制御可能な、反強磁性の性質を備えた電界磁化制御層と、
強磁性固定層と、前記強磁性固定層上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられスピントランスファトルクにより磁化反転可能な強磁性記録層とを備え、前記電界磁化制御層と電気的に並列接続された磁気抵抗効果検出構造と、
前記電界磁化制御層に電圧が印加されていない状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±10度以内、前記電界磁化制御層に書き込み電圧が印加された状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±80度以上の磁化容易軸を備え、前記電界磁化制御層と接触して交換結合すると共に、前記強磁性記録層へ有効磁場を印加する強磁性層と、を有することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
100…マルチフェロイック層、101…強磁性層、102…電極、103…電極、104…積層構造、105…分極、106…磁化、200…直列型トンネル磁気抵抗効果素子、201…強磁性固定層、202…絶縁層、203…強磁性記録層、204…磁気抵抗効果検出構造、205…強磁性層、206…電界磁化制御層、207…有効磁場印加構造、208…導線、209…並列型トンネル磁気抵抗効果素子、210…トンネル磁気抵抗効果素子、211…下部電極層、212…磁気抵抗効果検出構造、213…非磁性層、214…強磁性層、215…電界磁化制御層、216…強磁性記録層、217…絶縁層、218…強磁性固定層、219…層間絶縁層、220…上部電極層、300…磁化、301…磁化、302…漏れ磁場、303…書き込み電流、304…漏れ磁場、305…漏れ磁場、400…トンネル磁気抵抗効果素子、401…下部電極層、402…配向制御層、403…反強磁性層、404…強磁性固定層、405…絶縁層、406…強磁性記録層、407…第一の非磁性層、408…第一の強磁性層、409…電界磁化制御層、410…磁気抵抗効果検出構造、411…第二の強磁性層、412…第二の非磁性層、413…第三の強磁性層、500…従来構造のトンネル磁気抵抗効果素子、501…本発明のトンネル磁気抵抗効果素子、502…下部電極層、503…磁気抵抗効果検出構造、504…強磁性固定層、505…絶縁層、506…強磁性記録層、507…非磁性層、508…強磁性層、509…電界磁化制御層、600…トンネル磁気抵抗効果素子、601…下部電極層、602…配向制御層、603…反強磁性層、604…強磁性固定層、605…絶縁層、606…強磁性記録層、607…第一の非磁性層、608…第一の強磁性層、609…電界磁化制御層、610…磁気抵抗効果検出構造、611…第二の強磁性層、612…第二の非磁性層、613…第三の強磁性層、700…トンネル磁気抵抗効果素子、701…下部電極層、702…配向制御層、703…反強磁性層、704…強磁性固定層、705…絶縁層、706…強磁性記録層、707…第一の強磁性層、708…電界磁化制御層、709…磁気抵抗効果検出構造、710…第二の強磁性層、711…非磁性層、712…第三の強磁性層、800…トンネル磁気抵抗効果素子、801…下部電極層、802…配向制御層、803…反強磁性層、804…強磁性固定層、805…絶縁層、806…強磁性記録層、807…第一の非磁性層、808…第一の強磁性層、809…電界磁化制御層、810…磁気抵抗効果検出構造、811…第二の強磁性層、812…第二の非磁性層、813…第三の強磁性層、900…トンネル磁気抵抗効果素子、901…下部電極層、902…配向制御層、903…反強磁性層、904…強磁性固定層、905…絶縁層、906…強磁性記録層、907…第一の非磁性層、908…第一の強磁性層、909…電界磁化制御層、910…上部電極層、911…磁気抵抗効果検出構造、912…第二の強磁性層、913…第二の非磁性層、914…第三の強磁性層、1000…トンネル磁気抵抗効果素子、1001…下部電極層、1002…磁気抵抗効果検出構造、1003…上部電極層、1004…非磁性金属層、1005…強磁性層、1006…電界磁化制御層、1100…磁気メモリセル、1101…選択トランジスタ(スイッチング素子)、1102…トンネル磁気抵抗効果素子、1103…電極、1104…ゲート電極、1105…メモリアレイ、1106…ビット線、1107…ワード線、1108…ビット線ドライバ、1109…ワード線ドライバ。

Claims (16)

  1. 電界により磁化方向が制御可能な、反強磁性の性質を備えた電界磁化制御層と、
    絶縁層と前記絶縁層を挟んで設けられた強磁性固定層と強磁性記録層とを備え、前記電界磁化制御層と電気的に並列接続された磁気抵抗効果検出構造と、
    前記電界磁化制御層に電圧が印加されていない状態で、前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±10度以内の磁化容易軸を備え、前記電界磁化制御層と接触して交換結合すると共に、前記強磁性記録層へ有効磁場を印加する強磁性層と、を有する特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  2. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記電界磁化制御層は、マルチフェロイック材料層であることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  3. トンネル磁気抵抗効果素子と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子を備えた磁気メモリセルにおいて、
    前記トンネル磁気抵抗効果素子は、
    電界により磁化方向が制御可能な、反強磁性の性質を備えた電界磁化制御層と、
    強磁性固定層と、前記強磁性固定層上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられスピントランスファトルクにより磁化反転可能な強磁性記録層とを備え、前記電界磁化制御層と電気的に並列接続された磁気抵抗効果検出構造と、
    前記電界磁化制御層に電圧が印加されていない状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±10度以内、前記電界磁化制御層に書き込み電圧が印加された状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±80度以上の磁化容易軸を備え、前記電界磁化制御層と接触して交換結合すると共に、前記強磁性記録層へ有効磁場を印加する強磁性層と、を有することを特徴とする磁気メモリセル。
  4. 請求項3記載の磁気メモリセルにおいて、
    前記電界磁化制御層は、マルチフェロイック材料層であることを特徴とする磁気メモリセル。
  5. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子とを備えた磁気メモリセルにおいて、
    前記強磁性記録層の磁化方向は、スピントランスファトルクにより反転可能であり、
    前記強磁性層の磁化方向は、前記電界磁化制御層に書き込み電圧を印加することにより反転可能であることを特徴とする磁気メモリセル。
  6. 請求項5記載の磁気メモリセルにおいて、
    前記電界磁化制御層は、マルチフェロイック材料層であることを特徴とする磁気メモリセル。
  7. 複数の磁気メモリセルと、前記複数の磁気メモリセルの中から所望の磁気メモリセルを選択する手段と、前記選択された磁気メモリセルに対して情報の読み出しあるいは書き込みを行う手段とを備えた磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記磁気メモリセルは、トンネル磁気抵抗効果素子と、前記トンネル磁気抵抗効果素子に流れる電流をオン・オフ制御するスイッチング素子を備え、
    前記トンネル磁気抵抗効果素子は、
    電界により磁化方向が制御可能な、反強磁性の性質を備えた電界磁化制御層と、
    強磁性固定層と、前記強磁性固定層上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層上に設けられスピントランスファトルクにより磁化反転可能な強磁性記録層とを備え、前記電界磁化制御層と電気的に並列接続された磁気抵抗効果検出構造と、
    前記電界磁化制御層に電圧が印加されていない状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±10度以内、前記電界磁化制御層に書き込み電圧が印加された状態で前記強磁性固定層の磁化容易軸となす角度が±80度以上の磁化容易軸を備え、前記電界磁化制御層と接触して交換結合すると共に、前記強磁性記録層へ有効磁場を印加する強磁性層と、を有することを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  8. 請求項7記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記電界磁化制御層は、マルチフェロイック材料層であることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  9. 複数の請求項5記載の磁気メモリセルと、前記複数の磁気メモリセルの中から所望の磁気メモリセルを選択する手段と、前記選択された磁気メモリセルに対して情報の読み出しあるいは書き込みを行う手段とを備えた磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記電界磁化制御層に書き込み電圧が印加された状態で、前記強磁性層の磁化容易軸と前記強磁性固定層の磁化容易軸のなす角度が±80度以上であることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  10. 請求項9記載の磁気ランダムアクセスメモリにおいて、
    前記電界磁化制御層は、マルチフェロイック材料層であることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  11. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記電界磁化制御層は、BiFeO、Cr、GaFeO、Ni13I、LiMnPO、Y3Fe12、の単層膜又はそれらの多層膜層であることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  12. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記電界磁化制御層に書き込み電圧が印加された状態で、前記強磁性層の磁化容易軸と前記強磁性固定層の磁化容易軸のなす角度が±80度以上であることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  13. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記強磁性層の磁化方向は、前記電界磁化制御層に書き込み電圧を印加することにより反転可能であることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  14. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記電界磁化制御層は、前記磁気抵抗効果検出構造に接触して配置されていることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  15. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記強磁性層は、前記磁気抵抗効果検出構造に接触して配置されていることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
  16. 請求項1記載のトンネル磁気抵抗効果素子において、
    前記強磁性層は、前記磁気抵抗効果検出構造には非接触となるように配置されていることを特徴とするトンネル磁気抵抗効果素子。
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