JPWO2011118791A1 - 塗膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

低温硬化性に優れる塗膜形成方法を提供すること。本発明の塗膜形成方法は、基材に、水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することを含み、該水性塗料組成物が、分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基を有する水性エポキシ系ポリアミノ樹脂(A)と、分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)とを含む。好ましい実施形態においては、上記水性塗料組成物が2液型水性塗料組成物であり、主剤塗料液が上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含み、硬化剤が上記化合物(B)を含む。

Description

本発明は、塗膜形成方法に関する。
一般に、エポキシ樹脂とポリアミン化合物とを含む溶剤型塗料が防食塗料として用いられている。しかしながら、近年、環境保護の観点から、溶剤系塗料から水性塗料へ転換することが社会的に求められている。このような水性塗料としては、例えば、水溶性ポリアミン樹脂に各種顔料、添加剤を配合したものを主剤とし、さらに、エポキシ樹脂エマルションとグリシジル基およびアルコキシシリル基を含有するアクリルシリコン樹脂エマルションとを含む水性塗料が挙げられる(特許文献1)。
ところが、エポキシ樹脂とポリアミン化合物との硬化反応を利用する場合、当該硬化反応は低温(例えば、5℃以下)では進行しにくいので、低温時において実用的な性能を発揮する塗膜を形成することが困難である。
特開平11−166153号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低温硬化性に優れる塗膜形成方法を提供することにある。
本発明の塗膜形成方法は、基材に、水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することを含み、該水性塗料組成物が、分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基を有する水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と、分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)とを含む。
好ましい実施形態においては、上記水性塗料組成物が2液型水性塗料組成物であり、主剤塗料液が上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含み、硬化剤が上記化合物(B)を含む。
好ましい実施形態においては、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が水分散型である。
好ましい実施形態においては、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)のアミノ基の当量が100〜3000である。
好ましい実施形態においては、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が、エポキシ樹脂をアミン変性して得られ、該エポキシ樹脂のエポキシ当量が180〜3800である。
好ましい実施形態においては、上記水性塗料組成物は、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)として、エポキシ当量が400〜1500であるエポキシ樹脂(a1)をアミン変成して得られる水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A1)と、エポキシ当量が2000〜3200であるエポキシ樹脂(a2)をアミン変性して得られる水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A2)とを含む。
好ましい実施形態においては、上記前記エポキシ樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)との質量比a1/a2が、8/2〜2/8である。
好ましい実施形態においては、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が、エポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基を酸で中和して得られ、該中和の際の中和率が10%〜70%である。
好ましい実施形態においては、上記化合物(B)の25℃における粘度が3000mPa・s以下である。
好ましい実施形態においては、上記化合物(B)の分子量が150以上2000以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の塗膜形成方法は、上記水性塗料組成物による塗膜形成後、該塗膜上に、上塗り層を形成することを含む。
好ましい実施形態においては、本発明の塗膜形成方法は、上記水性塗料組成物による塗膜形成後、上記上塗り層形成前に、中塗り層を形成することを含む。
好ましい実施形態においては、本発明の塗膜形成方法は、上記水性塗料組成物による塗膜形成前に、上記基材に、下塗り層を形成することを含む。
本発明の塗膜形成方法によれば、分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基を有する水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)、および分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)を含む水性塗料組成物を用いることにより、低温下(例えば、5℃以下)でも、実用的な性能を発揮する塗膜を得ることができる。より詳細には、上記水性塗料組成物は、硬化反応に反応性の非常に高いマイケル付加反応を利用するので、低温下(例えば、5℃以下)でも硬化塗膜を得ることができる。さらに、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が水分散型である場合、マイケル付加反応自体は反応性の非常に高い反応であるにも関わらず常温下での水性塗料組成物の安定性がよく、溶剤系の塗料組成物を用いるよりも作業性に優れる。さらに、エポキシ樹脂をバインダーとして用いているので、防食性に優れる塗膜を得ることができる。
A.塗膜形成方法
本発明の塗膜形成方法は、基材に水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することを含む。
A−1.水性塗料組成物の概要
上記水性塗料組成物は、分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基を有する水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)および分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)を含む。上記水性塗料組成物は、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを混合することにより、これら化合物の硬化反応(マイケル付加反応)を進行させて、塗膜を形成することができる。水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とは、低温下(例えば、5℃)でも硬化反応し得るので、上記水性塗料組成物は低温硬化性に優れる。
上記水性塗料組成物は、好ましくは、主剤塗料液および硬化剤からなる2液型水性塗料組成物である。好ましくは、当該主剤塗料液は上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含み、当該硬化剤は上記化合物(B)を含む。上記水性塗料組成物を2液型水性塗料組成物として用いることにより、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とについて両者が互いに高い反応性を示す組み合わせを選択することができるので、低温硬化性に優れる水性塗料組成物を得ることができる。
上記水性塗料組成物は、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と上記化合物(B)とを混合する前に、(1)化合物(B)を有機溶剤で希釈する、(2)化合物(B)に乳化剤を混合させる、または化合物(B)を分散剤、乳化剤もしくは水性樹脂を用いて水に対して乳化もしくは分散させる、あるいは(3)化合物(B)を水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)とは異なる樹脂の分散体中に分散させる等の処理を行ってもよい。このような処理を行えば、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを特殊な混合装置を使用することなく混合でき、分散性に優れ、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを相互に効率よく反応させることのできる水性塗料組成物が得られる。
上記化合物(B)を有機溶剤で希釈する際の有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノブチエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
上記化合物(B)に乳化剤を混合させる、または化合物(B)を分散剤、乳化剤もしくは水性樹脂を用いて水に対して乳化もしくは分散させる際の乳化剤としては、例えば、ノニオン系乳化剤、アニオン系乳化剤等が用いられる。ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン系乳化剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。上記分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ソーダ塩、スチレンマレイン酸共重合体のハーフエステルのアンモニウム塩、スチレンマレイン酸共重合体のハーフエステルのポリエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。上記水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸エステルのソーダ塩等が挙げられる。なお、水性塗料組成物が2液型の場合、硬化剤に、上記分散剤、乳化剤または水性樹脂を含有させてもよい。
上記化合物(B)を水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)とは異なる樹脂の分散体中に分散させる際の分散体としては、例えば、アクリル樹脂のエマルションおよびディスパージョン、ウレタン樹脂のエマルションおよびディスパージョン、第1アミノ基および第2アミノ基を有さない水性エポキシ系ポリアミン樹脂等が挙げられる。
上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の固形分としての含有量は、水性塗料組成物の全固形分量に対して、好ましくは5〜95質量%であり、さらに好ましくは10〜90質量%である。
上記化合物(B)の含有量は、水性塗料組成物の全固形分量に対して、好ましくは2〜30質量%であり、さらに好ましくは5〜25質量%である。
上記化合物(B)の(メタ)アクリロイル基と水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)のアミノ基との当量比((メタ)アクリロイル基/アミノ基)は、好ましくは0.7〜2.5であり、さらに好ましくは0.8〜2.0である。当該当量比が0.7未満の場合、水性塗料組成物の低温硬化性が低下するおそれがある。2.5を超える場合、得られる塗膜の付着性が低下するおそれがある。
上記水性塗料組成物は、さらに、顔料を含んでいてもよい。顔料を含ませることにより、水性塗料組成物の粘性を高め、1回の塗装で得られる膜厚を厚くすることができる。その結果、塗装回数を減らすことができるので、塗装作業性に優れ、かつ、十分な防食性を示す塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。
上記顔料の具体例としては、酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アゾレッド、キナクリドンレッド、ベンズイミダゾロンイエロー等の着色顔料;炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、マイカ等の体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等の防錆顔料等が挙げられる。
上記顔料の水性塗料組成物中の顔料体積濃度は、好ましくは20〜50%であり、さらに好ましくは25〜45%であり、特に好ましくは30〜40%である。顔料体積濃度が20%未満の場合、顔料を含有させることの効果が十分に得られないおそれがあり、50%より大きい場合、塗膜外観が低下するおそれがある。なお、顔料体積濃度は、顔料の配合質量および塗料中の各成分の比重から計算により求めることができる。
上記水性塗料組成物は、水、溶剤または添加剤を含んでいてもよい。溶剤の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコール系溶剤;キシレン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200等の芳香族系溶剤;ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(チッソ社製、商品名「CS-12」)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(チッソ社製、商品名「CS−16」)、ジエチルアジペート、ジイソブチルアジペート等のエステル系溶剤等が挙げられる。添加剤の具体例としては、分散剤、粘性調整剤、硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。上記水性塗料組成物を2液型水性塗料組成物として用いる場合、水、溶剤および/または添加剤は、主剤塗料液と硬化剤とを混合する前の主剤塗料液または硬化剤に加えてもよく、主剤塗料液と硬化剤とを混合した後に加えてもよい。水、溶剤および/または添加剤を主剤塗料液、硬化剤のいずれに加えるかは、その期待される機能および性質に応じて決定され得る。
上記水性塗料組成物は、添加剤としてアルコキシシラン化合物を含んでいてもよい。アルコキシシラン化合物を含むことにより、基材との付着性に優れる塗膜を形成することができる。
上記アルコキシシラン化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロポキシトリメトキシシラン等のγ−グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン等のγ−アミノプロピルトリアルコキシシラン;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン等のN−フェニル−γ−アミノアルキルトリアルコキシシランなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。これらは、一部が加水分解および/または加水分解脱水縮合していてよい。
上記アルコキシシラン化合物を含む場合、その含有量は、水性塗料組成物の全固形分量に対して、好ましくは0.3〜3質量%であり、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
A−2.水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)
上記水性塗料組成物は、分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基を有する水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含む。上記水性塗料組成物は、このような樹脂をバインダーとして含むことにより、防食性に優れた塗膜を形成することができる。なお、本明細書において「水性」とは、「水溶性」および「水分散型」を含む概念である。
好ましくは、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)は水分散型である。水分散型の水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を用いれば、耐水性に優れる塗膜を形成することができる。また、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が水分散型であれば、上記化合物(B)と容易に混合可能であり、かつ、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)との反応の急激な進行を抑制して、反応性を適度に調整して、可使時間の長い水性塗料組成物を得ることができる。より詳細には、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が水分散型であれば、塗装前の水性塗料組成物は、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とが接触しにくいので、常温下でも反応が進みにくく安定性および塗布性が良好である。一方、塗布後は、分散媒(例えば、水)が揮発し、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とが接触しやすくなり、低温下においても硬化反応が進行し、塗膜を形成することができる。
上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)は、例えば、エポキシ樹脂をアミン変性して得ることができる。また、エポキシ樹脂をアミン変性して得られたエポキシ系ポリアミン樹脂が水性ではない場合は、例えば、当該エポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基を酸で中和することにより水性化して水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を得ることができる。
上記エポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂であり、特に好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、所望の塗膜物性に応じて決定し得る。好ましくは180〜3800であり、さらに好ましくは400〜3200であり、特に好ましくは700〜3200である。エポキシ樹脂のエポキシ当量がこのような範囲であれば、耐水性、防食性、耐水付着性に優れる塗膜を得ることができる。上記エポキシ樹脂のエポキシ当量が180未満の場合、得られる塗膜の初期耐降雨性が低くなるおそれがある。また、3800を超える場合、エポキシ系ポリアミン樹脂が水に分散せずに相分離を起こし、塗料組成物を水性化できないおそれがあり、また、十分な耐水付着性を有する水性塗料組成物が得られないおそれがある。なお、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JISK7236にしたがって求めることができる。また、本明細書において「初期耐降雨性」とは、塗膜の硬化初期段階、具体的には完全に硬化していないがベタツキはない塗膜が形成されている段階における耐水性を意味する。初期耐降雨性が劣る場合、塗布後の塗膜が完全に硬化する前に降雨に晒されると、塗膜にワレ、フクレが発生するおそれがある。初期耐降雨性の高い塗膜を形成し得る水性塗料組成物は、塗布後、塗膜が完全に硬化する前に、降雨に晒される可能性のある屋外の被塗物への適用に特に有効である。
1つの実施形態においては、上記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が400〜1500のエポキシ樹脂(a1)である。このようなエポキシ樹脂(a1)をアミン変性して得られた水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A1)を用いれば、耐水付着性に優れる塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。上記エポキシ樹脂(a1)のエポキシ当量は、さらに好ましくは600〜1400であり、特に好ましくは800〜1300である。
別の実施形態においては、上記エポキシ樹脂は、エポキシ当量が2000〜3200のエポキシ樹脂(a2)である。このようなエポキシ樹脂(a2)をアミン変性して得られた水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A2)を用いれば、初期耐降雨性に優れる塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。上記エポキシ樹脂(a2)のエポキシ当量は、さらに好ましくは2200〜3000である。
上記エポキシ樹脂は、2種以上のエポキシ樹脂を併用してもよい。
上記エポキシ樹脂としては、エポキシ基と反応し得る活性水素含有化合物とエポキシ基との反応を利用して鎖延長して、分子量を増加させたり、変性させたものが用いられ得る。上記活性水素含有化合物としては、例えば、ダイマー酸、ジアミン、ポリエーテルポリオールなどの2官能性の化合物が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、アミン変性させる前に、脂肪酸を付加させたものが用いられ得る。この付加により、樹脂中に柔らかい成分を導入したり、エポキシ基の数を減らすことにより、アミン変性させる部位を減らして、反応性を低下させたりすることができる。
上記エポキシ系ポリアミン樹脂は、上記エポキシ樹脂を任意の適切な変性方法により変性して得ることができる。上記変性方法としては、例えば、第1アミノ基含有ポリアミンをエポキシ樹脂に付加する方法、ケチミン化したアミノ基含有化合物をエポキシ樹脂に付加する方法が挙げられる。このようにして得られたエポキシ系ポリアミン樹脂は、分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基、ならびに2級水酸基を有している。上記エポキシ系ポリアミン樹脂は、当該エポキシ系ポリアミン樹脂の第1アミノ基、第2アミノ基および/または水酸基の一部にエポキシ基、酸無水物基、酸ハロゲン基、イソシアネート基等の官能基を有する化合物を反応させて得られる樹脂であってもよい。使用する水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の一部として、このような官能基を有する化合物を反応させたエポキシ系ポリアミン樹脂の水性化物を含有させることにより、得られる塗膜の物性を調整することができる。
上記第1アミノ基含有ポリアミンをエポキシ樹脂に付加する方法とは、すなわち上記第1アミノ基含有ポリアミンの第1アミノ基とエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させて第2アミノ基を形成させ、その結果、第2アミノ基を有する上記エポキシ系ポリアミン樹脂を生成させる方法である。
上記第1アミノ基含有ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
上記ケチミン化したアミノ基含有化合物をエポキシ樹脂に付加する方法とは、すなわち上記ケチミン化したアミノ基含有化合物とエポキシ樹脂とを反応させた後、ケチミン基を加水分解することにより、第1アミノ基を形成させ、その結果、第1アミノ基を有する上記エポキシ系ポリアミン樹脂を生成させる方法である。なお、上記ケチミン化したアミノ基含有化合物とエポキシ樹脂とを反応させる際には、ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジエチルアミン等の2級アミンを併存させてもよい。
上記ケチミン化したアミノ基含有化合物は、第1アミノ基含有化合物とケトンとを反応させて得ることができる。上記第1アミノ基含有化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ジブチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の第1アミノ基含有ポリアミン;アミノエチルエタノールアミン、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。上記ケトンとしては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記エポキシ系ポリアミン樹脂は、所望の塗膜物性に応じて、アミノ基と反応する官能基を有する化合物を反応させて、さらに変性させて用いてもよい。アミノ基と反応する官能基としては、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、酸無水物基等が挙げられる。
上記エポキシ系ポリアミン樹脂が有するアミノ基の量は、所望の水性塗料組成物の特性または塗膜物性に応じて、任意の適切なアミノ基の量を採用し得る。アミノ基の量は、アミノ基の当量として、好ましくは100〜3000であり、さらに好ましくは500〜2000であり、特に好ましくは800〜2000である。アミノ基の当量がこのような範囲であれば、エポキシ系ポリアミン樹脂が水性を示し、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を得ることができる。当該水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を用いれば、低温硬化性に優れる塗膜を得ることができる。エポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基の当量が、100未満の場合、得られる塗膜の耐水性が低くなるおそれがある。また、3000を超える場合、エポキシ系ポリアミン樹脂が水に分散せずに相分離を起こし、塗料組成物を水性化できないおそれがある。なお、本明細書において、「アミノ基の当量」とは、エポキシ系ポリアミン樹脂が第1アミノ基を有する場合(エポキシ系ポリアミン樹脂が第1アミノ基および第2アミノ基を有する場合も含む)、第1アミノ基1個あたりの樹脂固形分の分子量で示され、エポキシ系ポリアミン樹脂が第1アミノ基を有しない場合、第2アミノ基の1個あたりの樹脂固形分の分子量で示される。エポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基の当量は、原料配合量から求めることができる。
上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)は、例えば、上記エポキシ系ポリアミン樹脂(すなわち、アミン変成されたエポキシ樹脂)のアミノ基を酸で中和することにより水性化して得ることもできる。酸の種類および中和率(水性化前のエポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基に対する中和率)は、所望とする水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の状態(水溶性〜水分散型)に応じて、任意の適切な酸の種類および中和率を採用し得る。上記酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸、リン酸等が挙げられる。中和率(水性化前のエポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基に対する中和率)は、好ましくは10%〜100%であり、さらに好ましくは10%〜70%であり、特に好ましくは15%〜50%である。当該中和率が、10%未満の場合、樹脂が水に分散せずに相分離を起こし、塗料組成物を水性化できないおそれがある。また、当該中和率を70%以下に調整すれば、水分散型の水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を得ることができる。
上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の分子量(数平均)は、所望の水性塗料組成物の特性または塗膜物性に応じて、任意の適切な分子量を採用し得る。好ましくは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算で500〜20000であり、さらに好ましくは1000〜10000である。水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の分子量がこのような範囲であれば、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と上記化合物(B)とを容易に混合させることができるので、効率的に反応させることができる。また、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の分子量がこのような範囲であれば、防食性、耐水性、付着性に優れる塗膜を得ることができる。
上記水性塗料組成物は、2種以上の上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含んでいてもよい。
上記水性塗料組成物は、好ましくは、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)として、上記のエポキシ当量が400〜1500であるエポキシ樹脂(a1)をアミン変成して得られる水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A1)と、上記のエポキシ当量が2000〜3200であるエポキシ樹脂(a2)をアミン変性して得られる水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A2)とを含む。上記エポキシ当量が400〜1500であるエポキシ樹脂(a1)と上記エポキシ当量が2000〜3200であるエポキシ樹脂(a2)との質量比a1/a2は、好ましくは8/2〜2/8であり、さらに好ましくは7/3〜3/7である。このような範囲であれば、初期耐降雨性および耐水付着性に優れる塗膜を形成し得る水性塗料組成物を得ることができる。
上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の分子量およびアミノ基の量により、水性塗料組成物の特性または塗膜物性を制御することができる。
A−3.化合物(B)
上記水性塗料組成物に用いられる化合物(B)は、分子内に1以上の(メタ)アクリロイル基を有する。
上記化合物(B)の分子量は、好ましくは150以上2000以下であり、さらに好ましくは200以上1700以下、特に好ましくは250以上1300以下である。化合物(B)の分子量が、このような範囲であれば、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを特殊な混合装置を使用することなく、容易に混合でき、分散性に優れた水性塗料組成物を得ることができる。その結果、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを相互に効率よく反応させることができ、硬化性に優れる水性塗料組成物を得ることができる。なお、上記化合物(B)の分子量は、化学式から算出することができる。
上記化合物(B)の有する(メタ)アクリロイル基の数は、1以上であり、好ましくは、2〜4である。化合物(B)の有する(メタ)アクリロイル基の数は、所望の塗膜物性に応じて、決定され得る。
上記化合物(B)の25℃における粘度は、好ましくは3000mPa・s以下であり、さらに好ましくは50〜3000mPa・sであり、特に好ましくは50〜2200mPa・sであり、最も好ましくは50〜1100mPa・sである。化合物(B)の粘度がこのような範囲であれば、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを特殊な混合装置を使用することなく、容易に混合でき、分散性に優れた水性塗料組成物を得ることができる。その結果、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とを相互に効率よく反応させることができ、硬化性に優れる水性塗料組成物を得ることができる。
上記化合物(B)としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタアクリレート、グリセロールアクロキシジメタアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリメタアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジアクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパンジメタアクリレート等の多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル化合物;グリシジルアクリレートやグリシジルメタアクリレートとアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸との反応物等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体とカルボキシル基含有エチレン性不飽和基単量体との付加物;エチレンジアミンジアクリレート等の多価アミンの重合性不飽和モノカルボン酸アミド化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
上記化合物(B)が、上記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と容易に混合可能である(両者が反応し得る)ことが好ましいことは上述のとおりである。さらに好ましくは、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とは、容易に混合可能である(両者が反応し得る)範囲内において、不均一な状態で用いられる。特に好ましくは、化合物(B)と水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)とは、互いに異なる相状態にて用いられる。このような状態であれば、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)との急激な反応の進行を抑制して、反応性を適度に調整することができる。より詳細には、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とが不均一な状態であれば、塗装前の水性塗料組成物は、これらの両成分が接触しにくいので、常温下でも反応が進みにくく安定性および塗布性が良好である。一方、塗布後は、分散媒(例えば、水)が揮発し、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と化合物(B)とが接触しやすくなり、低温下においても硬化反応が進行し、塗膜を形成することができる。例えば、化合物(B)が水溶性化合物でありかつ水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が水分散型樹脂である場合、化合物(B)が自己乳化性を有するかまたは非水溶性である場合等が挙げられる。
上記不均一な状態にするための方法は、化合物(B)が水に対してどのような溶解性を示すかに応じて、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、化合物(B)が水溶性の場合には、化合物(B)はそのままの形で使用することができる。この場合、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)は水分散型樹脂であることが好ましい。一方、化合物(B)が自己乳化性を有する場合には、化合物(B)はそのままの形で使用するか、あるいは、乳化剤、分散剤または水性樹脂により、水に対して乳化または分散させて使用することができる。化合物(B)が非水溶性である場合には、乳化剤、分散剤または水性樹脂により、水に対して乳化または分散させて使用することができる。これらの場合、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)の形態は、水溶性であっても、水分散型であってもよいが、好ましくは水分散型である。なお、上記化合物(B)が、「非水溶性」、「水溶性」または「自己乳化性」のいずれであるかの判断は、室温下において、化合物(B)5gを100gの水に加え、これを撹拌し(例えば、3分間)、静置した後(例えば、5分後)の状態を目視して行うことができる。静置後に、沈殿が生じていれば「非水溶性」、沈殿がなく透明であれば「水溶性」、沈殿がなく濁りがあれば「自己乳化性」と判断することができる。
上記化合物(B)は、例えば、ポリエチレンオキシドによって変性し、そのエチレンオキシド付加モル数を増やすことで親水性を高めて水溶性または自己乳化性の化合物とすることができる。
上記水溶性の化合物(B)としては、例えば、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO30mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO20mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO30mol)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(EO35mol)、エトキシ化グリセリントリアクリレート(EO20mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO30mol)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、例えば「EO30mol」の表記は、分子中に30個のエチレンオキシドを有していることを表す。
上記自己乳化性を有する化合物(B)としては、例えば、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート(EO9mol)、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート(EO14mol)、ポリエチレングリコール#1000ジアクリレート(EO23mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO10mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO20mol)、エトキシ化グリセリントリアクリレート(EO9mol)、ポリエチレングリコール#1000ジメタクリレート(EO23mol)等が挙げらる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
上記非水溶性の化合物(B)としては、例えば、ポリエチレングリコール#200グリコールジアクリレート(EO4mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO3mol)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO4mol)、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO3mol)、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、エトキシ化2-メチル-1,3−プロパンジオールジアクリレート(EO2mol)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート(PO2mol)、トリプロピレングリコールジアクリレート(PO3mol)、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート(PO7mol)、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(PO12mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO3mol)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO9mol)、トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(PO3mol)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(EO4mol)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PO4mol)、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO4mol)、エチレングリコールジメタクリレート(EO1mol)、ジエチレングリコールジメタクリレート(EO2mol)、トリエチレングリコールジメタクリレート(EO3mol)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(EO4mol)、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(EO9mol)、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(EO14mol)、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO2.6mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO4mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO6mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO10mol)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(EO17mol)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート(PO12mol,EO6mol)、グリセリンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート(PO3mol)、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート(PO7mol)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート(EO9mol)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。
上記化合物(B)は、複数の種類の化合物(B)を組み合わせて、これらの混合物として用いることができる。このように、特性の異なる化合物(B)を組み合わせて用いることによって、水性塗料組成物および得られる塗膜の物性制御を行うことができる。例えば、(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物(B)と3個有する化合物(B)とを混合することによって、硬化性を制御することができる。また、水溶性の化合物(B)と非水溶性の化合物(B)との混合物を用いれば、水溶性の化合物(B)により、容易に非水溶性の化合物(B)を反応系へ導入することができ、低温硬化性に優れる塗膜を得ることができる。非水溶性の化合物(B)としては、例えば、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO4mol)等の完全に水溶化しない化合物が挙げられる。水溶性の化合物(B)と非水溶性の化合物(B)との混合比率(水溶性/非水溶性)は、好ましくは1/9〜9/1であり、さらに好ましくは2/8〜8/2である。
A−4.水性塗料組成物の塗装方法
上記水性塗料組成物は、任意の適切な基材に塗装され得る。基材としては、例えば、金属、木材、プラスティックス、ゴム、石材、スレート、コンクリート、モルタル、繊維、紙、ガラス、磁器、陶器、フィルム、およびこれらの複合体等が挙げられる。また、例えば、基材がスレート、コンクリート等の無機系基材の場合、予めその表面にシーラーが塗装されていてもよい。特性を考慮すると、好ましくは、金属に適用される。金属としては、例えば、鉄、銅、錫、亜鉛、アルミニウム、ステンレス等が挙げられる。
金属を表面(外面および内面)に有する被塗装物としては、例えば、建築物、船舶、車両(例えば、鉄道車両、大型車両)、航空機、橋梁、海上構築物、プラント、タンク(例えば、石油タンク)、パイプ、鋼管、鋳鉄管等が挙げられる。上記以外にも、本発明の塗膜形成方法は建築物、土木構築物にも用いることができる。
上記塗装方法は、代表的には、上記水性塗料組成物を被塗装物に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。塗布方法は、被塗装物(基材)の種類等に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、コテ等による塗布や浸漬等が挙げられる。
上記水性塗料組成物の塗布量は、用途に応じて、任意の適切な塗布量に設定され得る。好ましくは、10〜350g/mである。
上記乾燥方法は、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、自然乾燥または加熱乾燥である。自然乾燥の場合、乾燥時間は、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは24時間以上、特に好ましくは1週間以上である。本発明の塗膜形成方法によれば、低温下(例えば、5℃以下)で乾燥させても、防食性に優れる塗膜を形成することができる。
上記水性塗料組成物を塗装して形成される塗膜の厚みは、乾燥塗膜の厚さで、好ましくは20〜150μmであり、さらに好ましくは30〜120μmである。乾燥塗膜の厚さが150μmより厚い場合、塗膜形成時にタレ発生などの不具合が生じるおそれがある。
上記水性塗料組成物により得られる塗膜は、優れた防食性を有し、例えば、橋梁桁の内面等の耐候性を必要としない部位では、当該塗膜単独でも充分に対応することができる。
B.複層塗膜の形成方法
上記水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成する前および/または後に、別の塗膜を形成することができる。一つの実施形態においては、上記水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成した後、当該塗膜上に上塗り塗料を塗装して上塗り層を形成する。上塗り層を形成することにより、外観、防食性および耐水付着性がさらに向上する。
上記上塗り塗料としては、任意の適切な塗料が採用され得る。例えば、エポキシ/アミン系塗料、2液型ウレタン硬化系塗料、1液型ウレタン硬化系塗料、カルボジイミド硬化系塗料、アクリル樹脂系塗料、アルキド樹脂系塗料、シリコン樹脂系塗料等が挙げられる。上塗り塗料は、溶剤型であってもよく、水性であってもよい。好ましくは、水性である。環境負荷を低減することができるからである。上塗り塗料は、さらに好ましくは、水性2液型ウレタン硬化系塗料、水性1液型ウレタン硬化系塗料、水性シリコン樹脂系塗料または水性カルボジイミド硬化系塗料である。このような水性塗料であれば、優れた耐候性を有し、長期の美観保護が達成できる。
上記上塗り層は、代表的には、上塗り塗料を塗布して乾燥(熱処理)することにより形成される。塗布方法は、上塗り塗料の種類等に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、刷毛、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、コテ等による塗布や浸漬等が挙げられる。
上塗り塗料の塗布量は、塗料の種類および塗装の目的等に応じて、任意の適切な塗布量に設定され得る。好ましくは、30〜400g/mである。
上記上塗り塗料の乾燥(加熱)方法としては、上塗り塗料の種類等に応じて、任意の適切な乾燥(加熱)方法が採用され得る。例えば、自然乾燥、強制乾燥、焼き付け等が挙げられる。
上記上塗り層の厚さは、塗料の種類および塗装の目的に応じて、任意の適切な厚さに設定され得る。好ましくは、10〜150μmである。
上記水性塗料組成物により塗膜を形成させる前に、基材表面に下塗り塗料を塗装して下塗り層を形成してもよい。下塗り層を形成することで防食性および耐水付着性により優れ、例えば、橋梁、プラント、タンク等の高い防食性が要求される場合にも充分に対応することができる。
上記下塗り塗料としては、任意の適切な塗料が採用され得る。例えば、有機または無機のジンクリッチ塗料が挙げられる。亜鉛末を含むこのような塗料を用いれば、防食性が極めて高い下塗り層を形成することができる。また、当該塗料は施工性がよいため、均一な下塗り層を形成することができる。下塗り塗料は、溶剤型であってもよく、水性であってもよい。好ましくは、水性である。環境負荷を低減することができるからである。
上記下塗り層の形成方法は、上記上塗り層と同様の方法が採用され得る。下塗り塗料の塗布量は、塗料の種類および塗装の目的等に応じて、任意の適切な塗布量に設定され得る。好ましくは、80〜1200g/mである。下塗り層の厚みは、塗料の種類および塗装の目的等に応じて、任意の適切な厚みに設定され得る。好ましくは、20〜200μmである。
上記水性塗料組成物を塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜上に中塗り塗料を塗装して中塗り層を形成してもよい。中塗り層を形成することにより、防食性および耐水付着性により優れる塗膜が得られ得る。好ましくは、中塗り層の上に、上記上塗り層が形成される。
上記中塗り塗料としては、任意の適切な塗料が採用され得る。例えば、エポキシ/アミン系塗料、2液型ウレタン硬化系塗料、1液型ウレタン硬化系塗料等が挙げられる。中塗り塗料は、溶剤型であってもよく、水性であってもよい。好ましくは、水性である。環境負荷を低減することができるからである。中塗り塗料は、さらに好ましくは、水性エポキシ/アミン系塗料、水性2液型ウレタン硬化系塗料である。このような水性塗料であれば、上塗り層との密着性がよく、強固な複層塗膜を形成することができる。
上記中塗り層の形成方法は、上記上塗り層と同様の方法が採用され得る。中塗り塗料の塗布量は、塗料の種類および塗装の目的等に応じて、任意の適切な塗布量に設定され得る。好ましくは、20〜400g/mである。中塗り層の厚みは、塗料の種類および塗装の目的等に応じて、任意の適切な厚みに設定され得る。好ましくは、10〜100μmである。
上記上塗り塗料、中塗り塗料および下塗り塗料は、顔料、添加剤等を含有し得る。顔料および添加剤としては、例えば、上記A−1項で説明した顔料および添加剤が挙げられる。添加される顔料および添加剤の数、種類および量は、目的に応じて適宜選択され得る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。また、実施例における評価項目は以下の通りである。
(防食性)
得られた塗膜に対し、JIS K 5600 7−7に定めるサイクル腐食試験を実施し、120サイクル後の塗膜状態を下記基準に基づいて評価した。
得られた塗膜面積に対する、生じた錆面積の割合
A:0.05%未満
B:0.05%以上0.1%未満
(初期耐降雨性)
塗膜を基材ごと5℃の水中に浸漬し、24時間経過後に引き上げ、5℃で24時間静置した後、塗膜外観を目視観察し、下記基準に基づき評価した。
AA:外観の異常が認められない
A :多少の艶・色の変化は認められるが、ワレ・フクレ跡は認められない
C :ワレ・フクレ跡が認められる
(耐水付着性)
塗膜を被塗物ごと20℃の水中に浸漬し、7日間経過後に引き上げた後、JIS K 5600−5.6(2006)クロスカット法に準じて、塗膜に3mm×3mmのマス目を5×5個作成した。その表面に粘着テープを貼付した後、急激に剥離し、下記基準に基づき評価した。
10点:1マスも剥離せず、カット部に沿った剥離も認められない(剥離面積:0%)
8点:マス目の剥離はないが、若干のカット部に沿った剥離が認められる(剥離面積:0%超えて5%未満)
6点以下:剥離したマス目が認められるか、またはカット部に沿った剥離が顕著に認められる(剥離面積:5%以上)
<水性塗料組成物の製造>
[製造例1]水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)Iの作製
撹拌機、冷却器、窒素導入管および温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂702部、ビスフェノールA269部、ダイマー酸108部、メチルイソブチルケトン(以下「MIBK」という)190部を仕込み、ベンジルジメチルアミン1部存在下、エポキシ当量1079g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、アミノエチルエタノールアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)255部を加え、117℃で1時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミノ基の当量1184のエポキシ系ポリアミン樹脂を得た。
ここに、酢酸を加え、中和率35.0%(樹脂のアミノ基に対する中和率)となるようにし、イオン交換水を加えて希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBKおよび水の混合物を除去し、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系ポリアミン樹脂(A)Iを調製した。
[製造例2]水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)IIの製造
撹拌機、冷却器、窒素導入管および温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂742部、ビスフェノールA336部、MIBK190部を仕込み、ベンジルジメチルアミン1部存在下、エポキシ当量1079g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)350部を加え、117℃で1時間反応させた。その後、イオン交換水27部、ネオデカン酸グリシジルエステル(ヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名「カージュラE10−P」)188部を仕込み、100℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミノ基の当量1093のエポキシ系ポリアミン樹脂を得た。
ここに、酢酸を加え、中和率35.0%(樹脂のアミノ基に対する中和率)となるようにし、イオン交換水を加え希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBKおよび水の混合物を除去し、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系ポリアミン樹脂(A)IIを調製した。
[製造例3]水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)IIIの製造
撹拌機、冷却器、窒素導入管および温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂525部、ビスフェノールA205部、MIBK110部を仕込み、ベンジルジメチルアミン1部存在下、エポキシ当量730g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)350部を加え、117℃で1時間反応させた。その後、イオン交換水27部、ネオデカン酸グリシジルエステル(ヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名「カージュラE10−P」)188部を仕込み、100℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミノ基の当量810のエポキシ系ポリアミン樹脂を得た。
ここに、酢酸を加え、中和率20.0%(樹脂のアミノ基に対する中和率)となるようにし、イオン交換水を加え希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBKおよび水の混合物を除去し、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系ポリアミン樹脂(A)IIIを調製した。
[製造例4]水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)IVの製造
撹拌機、冷却器、窒素導入管および温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂1940部、ビスフェノールA1060部、MIBK550部を仕込み、ベンジルジメチルアミン8部存在下、エポキシ当量3000g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)350部を加え、117℃で1時間反応させた。その後、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(以下、「DPnB」という)1060部を仕込み、100℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミノ基の当量1550のエポキシ系ポリアミン樹脂を得た。
ここに、酢酸を加え、中和率40.0%(樹脂のアミノ基に対する中和率)となるようにし、イオン交換水を加え希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBKおよび水の混合物を除去し、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系ポリアミン樹脂(A)IVを調製した。
[製造例5〜7]水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)V〜VIIの製造
中和率を下記表1に示す中和率とした以外は、製造例2と同様にして、水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)V〜VIIを調整した。
[製造例8]水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)VIIIの製造
撹拌機、冷却器、窒素導入管および温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂1440部、ビスフェノールA760部、MIBK388部を仕込み、ベンジルジメチルアミン3部存在下、エポキシ当量2200g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)350部を加え、117℃で1時間反応させた。次いで、100℃でさらに2時間反応させた後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミノ基の当量1150のエポキシ系ポリアミン樹脂を得た。
ここに、酢酸を加え、中和率40.0%(樹脂のアミノ基に対する中和率)となるようにし、イオン交換水を加え希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBKおよび水の混合物を除去し、乳白色の水性(水分散型)エポキシ系ポリアミン樹脂(A)VIIIを調製した。
Figure 2011118791
[製造例9]エポキシ系ポリアミン樹脂の製造
中和率を5%とした以外は、製造例2と同様にして、エポキシ系ポリアミン樹脂を調整した。エポキシ系ポリアミン樹脂は、水性化されずに水中で相分離した。
[製造例10]エポキシ系ポリアミン樹脂の製造
撹拌機、冷却器、窒素導入管および温度計を備えた反応槽に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから合成したエポキシ当量188g/当量の原料樹脂2560部、ビスフェノールA1439部、MIBK706部を仕込み、ベンジルジメチルアミン5部存在下、エポキシ当量4000g/当量になるまで117℃で反応させてエポキシ樹脂を得た。その後、ジエチレントリアミンのケチミン化合物(73質量%MIBK溶液)350部を加え、117℃で1時間反応させた。次いで、100℃でさらに2時間反応させた後、MIBKで不揮発分75%になるまで希釈し、アミノ基の当量2050のエポキシ系ポリアミン樹脂を得た。
ここに、酢酸を加え、中和率40.0%(樹脂のアミノ基に対する中和率)となるようにし、イオン交換水を加え希釈した。その後、固形分が40質量%となるまで減圧下でMIBKおよび水の混合物を除去し、エポキシ系ポリアミン樹脂を調製した。エポキシ系ポリアミン樹脂は、水性化されずに水中で相分離した。
[製造例11]主剤塗料液Iの製造
水110部、顔料分散剤(ビックケミー社製、商品名「Disperbyk−190」)32部、消泡剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−019」)4部、炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名「N重炭」)179部、酸化チタン(デュポン社製、商品名「TI−PUR R706」)172部、カルシウム系防錆顔料(東邦顔料社製、商品名「EXPERT NP1007」)25部を混合し、ディスパーで30分間攪拌することによって、顔料分散ペーストを製造した。この顔料ペースト500部に対し、製造例1で得た水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)I400部、DPnB24部および会合型増粘剤(アデカ社製、商品名「アデカノールUH−420」)1部を加えて混合し、主剤塗料液Iを得た。
[製造例12〜18]主剤塗料液II〜VIIIの製造
水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)Iに代えて、表2に示す水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を用いた以外は、製造例11と同様にして主剤塗料液II〜VIIを得た。
Figure 2011118791
[製造例19]硬化剤Iの製造
水40部、DPnB10部および化合物(B)としてポリエチレングリコール#400ジメタクリレート(EO9mol)(粘度(25℃):58mPa・s、分子量:508、官能基数:2、アクリロイル基当量:254)50部を混合し、ホモジナイザーで10分間撹拌して、硬化剤Iを得た。
[製造例20〜28]硬化剤II〜Xの製造
表3に示す化合物(B)、配合比および混合方法により、製造例19の方法に準じて、化合物(B)を含む硬化剤II〜Xを得た。なお、硬化剤II、V、VIII、IXにおける乳化剤は、ノニオン系乳化剤(日本乳化剤社製、商品名「ニューコール740」)を用いた。各製造例で用いた化合物(B)の25℃における粘度、分子量、官能基数、アクリロイル基当量および特性(自己乳化性、非水溶性、水溶性)を表3に示す。化合物(B)の特性は、室温下において、化合物(B)5gを100gの水に加えて3分間撹拌し、静置した後の状態を目視で観察して、沈殿が生じていれば「非水溶性」、沈殿がなく透明であれば「水溶性」、沈殿がなく濁りがあれば「自己乳化性」と判断した。
Figure 2011118791
[製造例29〜47]水性塗料組成物1〜19の製造
製造例11〜18のいずれかで得られた主剤塗料液と、製造例19〜27のいずれかで得られた硬化剤とを、表4に示す配合量で混合し、それぞれディスパーで10分間撹拌することにより、水性塗料組成物1〜19を得た。
<上塗り塗料および中塗り塗料の製造>
[製造例48]水性エポキシ/アミン系塗料Aの製造
イオン交換水34.5部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「ペレックスSS−H」)0.3部を仕込み、窒素雰囲気のもとで80℃に昇温した。次いで、モノマーとして、スチレン14部、2−エチルへキシルアクリレート58部、メチルメタクリレート22部、エチレングリコールジメタクリレート4部、およびメタクリル酸2部を含み、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン0.5部を含むモノマー混合液を調製した。得られたモノマー混合液の酸価は13mgKOH/gであった。このモノマー混合液を、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(花王社製、商品名「ペレックスSS−H」)1.2部をイオン交換水50部に溶解させた乳化剤水溶液中に加え、ミキサーを用いて乳化させてプレエマルションを調製した。
このようにして得られたプレエマルションと、過硫酸アンモニウム0.3部をイオン交換水13部に溶解させた開始剤水溶液とを上記セパラブルフラスコに別個の滴下漏斗から同時に滴下した。前者は120分間、後者は150分間にわたって均等に滴下を開始した。滴下終了後、同温度でさらに120分間反応を継続した。冷却後、用いたメタクリル酸の10モル%に相当するアンモニア水で中和した。中和物を200メッシュの金網で濾過し、アクリルエマルション樹脂を得た。
続いて、顔料分散剤(ビックケミー社製、商品名「Disperbyk−190」)1.9部、消泡剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−019」)0.3部、酸化チタン18.6部、炭酸カルシウム10.9部、タルク8.5部、防錆剤(キクチカラー社製、商品名「LFボウセイPM−303W」)2.9部、および水12.1部を混合し、ディスパーで分散した。
ここに、乳化エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名「アデカレジンEM−101−50」、エポキシ当量:500g/当量、固形分47%)41部、造膜助剤(チッソ社製、商品名「CS−12」)1.7部、防錆剤0.4部、消泡剤0.2部および、先に製造したアクリルエマルション樹脂17部を混合して、主剤塗料液を得た。
また、水溶性ポリアミン樹脂サンマイド(エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社製、商品名「WH−910」、活性水素当量 135g/当量(固形分換算)、固形分60%)8.9部と水11.2部とを混合して、硬化剤を得た。
上記主剤塗料液と硬化剤とを混合し、ディスパーで攪拌することによって、水性エポキシ/アミン系塗料Aを得た。
[製造例49]水性エポキシ/アミン系塗料Bの製造
主剤塗料液の配合について、アクリルエマルション樹脂17部に代えて、アクリルエマルション樹脂4部とした以外は、製造例48と同様にして、水性エポキシ/アミン系塗料Bを得た。
[製造例50]水性2液型ウレタン系塗料Aの製造
水22部、顔料分散剤(ビックケミー社製、商品名「Disperbyk−190」)6部、酸化チタン70部、消泡剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−011」、10%に希釈して使用)1部、ジメチルエタノールアミン水溶液(25質量%)0.4部を混合し、ディスパーで攪拌して、顔料ペーストを得た。
得られた顔料ペースト39部、水性アクリルポリオール(DIC社製、商品名「バーノックWE−306」)58部、表面調整剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−346」)0.4部、レベリング剤(ビックケミー社製、商品名「BYK−333」)0.05部、界面活性剤(エアープロダクツ社製、商品名「ダイノール604」)0.4部、粘性調整剤(ローム&ハース社製、商品名「プライマルRM−8W」)0.5部、ジメチルエタノールアミン水溶液(25質量%)0.1部、消泡剤(サンノプコ社製、商品名「SNディフォーマー373」)2部を混合して、ディスパーで攪拌することにより主剤塗料液を得た。
上記主剤塗料液100部に対し、水分散性ポリイソシアネート(DIC社製、商品名「バーノックDNW−5000」)17部を混合し、ディスパーで攪拌して水性2液型ウレタン系塗料Aを得た。
[製造例51]水性カルボジイミド系塗料の製造
4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100部を、カルボジイミド化触媒3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド1部の存在下、170℃で8時間反応を行い、1分子中にカルボジイミド基を約3個有し、両末端にイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物(イソシアネート当量450g/当量)を得た。
このカルボジイミド化合物をメチルイソブチルケトンで50質量%に希釈して得られた溶液360部に、ジブチル錫ラウレート0.02部および分子量2000のポリプロピレングリコール165部を加え、85℃で1時間反応させた。続いて、繰り返し単位数15のポリエチレングリコールモノメチルエーテル125部を加え、85℃で1.5時間反応させた。
赤外分光光度計でイソシアネート基の消失を確認した後、脱イオン水920部を加え、攪拌して均一化した。減圧下、40℃でメチルイソブチルケトンおよび水を留去して、有効成分が40質量%になるよう調整して、カルボジイミド当量が825g/当量の水性カルボジイミド硬化剤を得た。
次いで、水6.8部、顔料分散剤(ビックケミー社製、商品名「Disperbyk−190」)1部、エチレングリコール1部、消泡剤0.2部、硫酸バリウム2部、酸化チタン24部をディスパーで混合分散して得られた顔料ペースト35部とアクリルエマルション(酸価:30mgKOH/g、固形分:55質量%)35部、水溶性アクリル樹脂(酸価:55mgKOH/g、水酸基価:70mgKOH/g、質量平均分子量:9000、固形分:30質量%)8部、造膜助剤(チッソ社製、商品名「CS−12」)3部、粘性剤1部、消泡剤1部とを加え、主剤塗料液を得た。
得られた主剤塗料液に、先に製造した水性カルボジイミド硬化剤35部を加え、ディスパーで攪拌することにより、水性カルボジイミド系塗料を得た。
<下塗り塗料の製造>
[製造例52]水性有機系ジンクリッチ塗料の製造
水溶性ポリアミン樹脂(エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ社製、商品名「サンマイド WH−910」、活性水素当量 135g/当量(固形分換算)、固形分60%)8.8部、粘性剤1.2部、水6部を混合して硬化剤を得た。
上記硬化剤と乳化エポキシ樹脂(ADEKA社製、商品名「アデカレジンEM−101−50」、エポキシ当量 500g/当量、固形分47%)16部、亜鉛粉末68部を混合し、ディスパーで攪拌することによって、水性有機系ジンクリッチ塗料を得た。
[実施例1]単層塗膜の形成
30℃の環境下で製造例29の方法により水性塗料組成物1を調製して24時間経過後、当該水性塗料組成物1をサンドブラスト処理鋼板に塗布量200g/mとなるよう、刷毛で塗布し、20℃の環境下で7日間乾燥させて、水性塗料組成物1により形成される単層塗膜(乾燥後の厚さ60μm)を形成した。このとき、水性塗料組成物1はゲル化しておらず、作業性よく塗布することができた。得られた単層塗膜について、上記「防食性」の評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例2〜19]単層塗膜の形成
水性塗料組成物1に代えて、表4に示す水性塗料組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして単層塗膜を得た。なお、いずれの実施例においても、調製後24時間経過した水性塗料組成物を用いたが、いずれの水性塗料組成物もゲル化することはなかった。得られた単層塗膜を実施例1と同様の評価に供した。評価結果を表4に示す。
[実施例20]単層塗膜の形成
5℃の環境下で製造例29の方法により水性塗料組成物1を調製して1時間経過後、当該水性塗料組成物1を磨き鋼板に塗布量200g/mとなるよう、刷毛で塗布し、5℃の環境下で24時間乾燥させて、水性塗料組成物1により形成される単層塗膜(乾燥後の厚さ60μm)を形成した。このとき、水性塗料組成物1はゲル化しておらず、作業性よく塗布することができた。得られた塗膜について、上記「初期耐降雨性」の評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例21〜38]単層塗膜の形成
水性塗料組成物1に代えて、表4に示す水性塗料組成物を用いた以外は、実施例20と同様にして単層塗膜を得た。なお、いずれの実施例においても、調製後1時間経過した水性塗料組成物を用いたが、いずれの水性塗料組成物もゲル化することはなかった。得られた単層塗膜を実施例20と同様の評価に供した。評価結果を表4に示す。
[実施例39]単層塗膜の形成
23℃の環境下で製造例29の方法により水性塗料組成物1を調製して24時間経過後、当該水性塗料組成物1をキシレンで脱脂した磨き鋼板に塗布量200g/mとなるよう、刷毛で塗布し、23℃の環境下で7日間乾燥させて、水性塗料組成物1により形成される単層塗膜(乾燥後の厚さ60μm)を形成した。このとき、水性塗料組成物1はゲル化しておらず、作業性よく塗布することができた。得られた塗膜について、上記「耐水付着性」の評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例40〜57]単層塗膜の形成
水性塗料組成物1に代えて、表4に示す水性塗料組成物を用いた以外は、実施例39と同様にして単層塗膜を得た。なお、いずれの実施例においても、調製後24時間経過した水性塗料組成物を用いたが、いずれの水性塗料組成物もゲル化することはなかった。得られた単層塗膜を実施例39と同様の評価に供した。評価結果を表4に示す。
Figure 2011118791
[実施例58]複層塗膜(2層)の形成
基材として、キシレンで脱脂した磨き鋼板を用いた。5℃の環境下で、当該基板に、刷毛を用いて、塗布量200g/mで製造例40で得られた水性塗料組成物12を塗布した後、塗布時と同じ環境下で24時間乾燥させて、水性塗料組成物Iにより形成される塗膜(乾燥後の厚さ60μm)を得た。得られた塗膜は、指触感がなく(具体的には、べたつきがなく)、上塗り塗料を塗布することが可能であった。
得られた塗膜の上に、5℃の環境下で、上塗り塗料として溶剤型エポキシ/アミン系塗料A(日本ペイント社製、商品名「エポタールNB−20」)を刷毛を用いて、塗布量200g/m2で塗布した後、25℃で24時間乾燥させて、上塗り層(乾燥後の厚さ60μm)を形成し、複層塗膜(2層)を得た。
得られた複層塗膜(2層)について、上記「耐水付着性」の評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例59〜68]複層塗膜(2層)の形成
表5に示す基材、水性塗料組成物および上塗り塗料を用いて、表5に示す条件下、実施例58に記載の方法に準じて複層塗膜(2層)を得た。実施例59〜68で用いた表5に示す上塗り塗料は、以下のとおりである。なお、実施例59で用いた磨き鋼板は、予め、キシレンで脱脂したものであり、実施例65で用いたスレート板は、予め、その表面に、無機質材用水性シーラー(日本ペイント社製、商品名「ウルトラシーラーIII」)を塗布したものである。
水性塗料組成物により形成された塗膜は、いずれも指触感がなく(具体的には、べたつきがなく)、上塗り塗料を塗布することが可能であった。
また、得られた複層塗膜(2層)を実施例58と同様の評価に供した。評価結果を表5に示す。
[上塗り塗料]
1.溶剤型エポキシ/アミン系塗料A
溶剤型エポキシ/アミン系塗料Aとして、日本ペイント社製、商品名「エポタールNB−20」を用いた。
2.溶剤2液型ウレタン系塗料A
溶剤2液型ウレタン系塗料Aとして、日本ペイント社製、商品名「ハイポン50ファイン」を用いた。
3.溶剤2液型ウレタン系塗料B
溶剤2液型ウレタン系塗料Bとして、日本ペイント社製、商品名「ニッペウレトップエコ」を用いた。
4.水性エポキシ/アミン系塗料A
水性エポキシ/アミン系塗料Aとして、製造例48で製造した水性エポキシ/アミン系塗料Aを用いた。
5.水性2液型ウレタン系塗料A
水性2液型ウレタン系塗料Aとして、製造例50で製造した水性2液型ウレタン系塗料Aを用いた。
6.水性エマルション系塗料
水性エマルション系塗料として、日本ペイント社製、商品名「オーデコートG」を用いた。
7.水性カルボジイミド系塗料
水性カルボジイミド系塗料として、製造例51で製造した水性カルボジイミド系塗料を用いた。
Figure 2011118791
[実施例69]複層塗膜(4層)の形成
サンドブラスト鋼板に、下塗り塗料として溶剤型有機系ジンクリッチ塗料(日本ペイント社製、商品名「Nジンキー8000HB」)を、乾燥後の厚さが70μmとなるように塗装して、下塗り層を形成させた。
その後、当該下塗り層上に、5℃の環境下で、製造例41で得られた水性塗料組成物13を乾燥後の厚さが60μmとなるように刷毛で塗布した後、塗布時と同じ環境下で1日間乾燥させて、水性塗料組成物13により形成された塗膜を得た。
得られた塗膜上に、25℃の環境下で、中塗り塗料として溶剤型エポキシ/アミン系塗料B(日本ペイント社製、商品名「ハイポン30ファイン中塗」)を乾燥後の厚さが30μmになるように刷毛で塗布した後、塗布時と同じ環境下で1日間乾燥させて、中塗り層を得た。
当該中塗り層上に、25℃の環境下で、上塗り塗料として溶剤2液型ウレタン系塗料A(日本ペイント社製、商品名「ハイポン50ファイン」)を乾燥後の厚さが30μmとなるようにエアスプレーで塗布した後、塗布時と同じ環境下で7日間乾燥させて、上塗り層を形成し、複層塗膜(4層)を得た。
得られた複層塗膜(4層)について、上記「耐水付着性」および「防食性」の評価を行った。評価結果を表6に示す。
[実施例70]複層塗膜(4層)の形成
表6に示す下塗り塗料、水性塗料組成物、中塗り塗料および上塗り塗料を用いた以外は、実施例69と同様にして、複層塗膜(4層)を得た。なお、実施例70で用いた表6に示す下塗り塗料、中塗り塗料および上塗り塗料は、以下のとおりである。
得られた複層塗膜(4層)を実施例69と同様の評価に供した。評価結果を表6に示す。
[下塗り塗料]
製造例52で得られた水性有機系ジンクリッチ塗料を用いた。
[中塗り塗料]
水性エポキシ/アミン系塗料Bとして、製造例49で得られた水性エポキシ/アミン系塗料Bを用いた。
[上塗り塗料]
水性カルボジイミド系塗料として、製造例51で製造した水性カルボジイミド系塗料を用いた。
Figure 2011118791
[比較例1]
製造例40で得られた水性塗料組成物12に代えて、溶剤型エポキシ/アミン系塗料A(日本ペイント社製、商品名「エポタールNB−20」)を用いた以外は、実施例58と同様にして、基材上に、溶剤型エポキシ/アミン系塗料Aにより形成される塗膜を得た。得られた塗膜は、べたついており、上塗り塗料を塗装できる状態ではなかった。
実施例1〜19に示すように、本発明の塗膜形成方法によれば、防食性に優れる塗膜を得ることができた。
実施例1〜19および39〜57に示すように、水分散型の水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を用いた場合、長期間保存した水性塗料組成物がゲル化せず、作業性に優れ、かつ、防食性に優れる塗膜を形成することができた。
実施例20〜38、58、60および62に示すように、本発明の塗膜形成方法により形成される塗膜は、低温下でも、充分な硬化性を示した。一方、比較例1に示すように、従来のエポキシ/アミン系塗料により形成される塗膜は、低温下での硬化性が不十分であった。
実施例31〜35に示すように、エポキシ当量が2000〜3200であるエポキシ樹脂(a1)を用いて得られた水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含む水性塗料組成物を用いることにより、初期耐降雨性により優れる塗膜を形成することができる。また、実施例31、32、34、35、50、51、53および54に示すように、エポキシ当量が400〜1500であるエポキシ樹脂(a1)から得られた水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A1)とエポキシ当量が2000〜3200であるエポキシ樹脂(a2)から得られた水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A2)とを、特定の質量比(a1/a2)で含む水性塗料組成物を用いることにより、初期耐降雨性および耐水付着性に優れる塗膜を形成することができる。
実施例58〜68に示すように、本発明の塗膜形成方法は、上塗り層を形成することにより、耐水付着性に優れる塗膜を得ることができた。
実施例69および70に示すように、本発明の塗膜形成方法は、下塗り層、中塗り層および上塗り層を形成することにより、耐水付着性および防食性に優れる塗膜を得ることができた。
本発明の塗膜形成方法は、例えば、防食用途に、好適に用いられ得る。具体的には、船舶、車両(例えば、鉄道車両、大型車両)、航空機、橋梁、海上構築物、プラント、タンク(例えば、石油タンク)、パイプ、鋼管、鋳鉄管に加え、扉や窓枠等の建築物に含まれる金属部分等に好適に利用され得る。

Claims (13)

  1. 基材に、水性塗料組成物を塗装して塗膜を形成することを含み、
    該水性塗料組成物が、
    分子内に1つ以上の第1アミノ基および/または第2アミノ基を有する水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)と、
    分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(B)とを含む、
    塗膜形成方法。
  2. 前記水性塗料組成物が2液型水性塗料組成物であり、
    主剤塗料液が前記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)を含み、硬化剤が前記化合物(B)を含む、請求項1に記載の塗膜形成方法。
  3. 前記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が、水分散型である、請求項1または2に記載の塗膜形成方法。
  4. 前記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)のアミノ基の当量が、100〜3000である、請求項1から3のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  5. 前記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が、エポキシ樹脂をアミン変性して得られ、該エポキシ樹脂のエポキシ当量が180〜3800である、請求項1から4のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  6. 前記水性塗料組成物が、前記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)として、エポキシ当量が400〜1500であるエポキシ樹脂(a1)をアミン変成して得られる水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A1)と、エポキシ当量が2000〜3200であるエポキシ樹脂(a2)をアミン変性して得られる水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A2)とを含む、請求項1から4のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  7. 前記エポキシ樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)との質量比a1/a2が、8/2〜2/8である、請求項6に記載の塗膜形成方法。
  8. 前記水性エポキシ系ポリアミン樹脂(A)が、エポキシ系ポリアミン樹脂のアミノ基を酸で中和して得られ、該中和の際の中和率が10%〜70%である、請求項1から7のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  9. 前記化合物(B)の25℃における粘度が、3000mPa・s以下である、請求項1から8のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  10. 前記化合物(B)の分子量が、150以上2000以下である、請求項1から9のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  11. 前記水性塗料組成物による塗膜形成後、該塗膜上に、上塗り層を形成することを含む、請求項1から10のいずれかに記載の塗膜形成方法。
  12. 前記水性塗料組成物による塗膜形成後、前記上塗り層形成前に、中塗り層を形成することを含む、請求項11に記載の塗膜形成方法。
  13. 前記水性塗料組成物による塗膜形成前に、前記基材に、下塗り層を形成することを含む、請求項1から12のいずれかに記載の塗膜形成方法。
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