JPWO2011118530A1 - 光学素子、光源装置、及び光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、光源装置、及び光学素子の製造方法 Download PDF

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村松 研一
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Abstract

本発明は、所要の圧力を加え続けることが可能な光学素子及び光学素子等に関する。当該光学素子1は、常誘電体結晶Sと、常誘電体結晶をその間に挟む第1及び第2の押圧手段10、20と、締結手段30A〜30Dとを備える。常誘電体結晶Sは、極性周期方向に沿って極性が周期的に反転している周期構造を有する。締結手段30A〜30Dは、第1及び第2の押圧手段10、20を介して、常誘電体結晶Sに所定の圧力が極性周期方向と交差する方向に加わるよう、第1及び第2の押圧手段10、20を相互に固定する。

Description

本発明は、光学素子、光学素子の製造方法ならびに光学素子を備えた光源装置に関するものである。
非線形光学結晶に対し二次の非線形光学効果を利用し、固体レーザーへの入射光の半分の波長の光である第二高調波を発生(Second harmonic generation;SHG)させて短波長レーザー光として使う方法が知られている。非線形光学効果とは、物質の分極応答の非線形性による効果のことで、物質中にレーザー光のような強い光を入射した場合、入射光の電界に対して分極の応答が比例しなくなることにより、入射光の一部が波長変換される現象をいう。
実際に発生する第二高調波は、結晶の分散特性のため入射光の波長の1/2よりも若干短い波長になってしまう。そのため、第二高調波同士の位相は序々にずれてしまい、その結果、第二高調波同士の打ち消し合いが生じてしまう。この場合、十分な光量の第二高調波を発生させることは難しくなってしまう。
そこで、十分な光量の第二高調波を得るため、擬似位相整合素子(Quasi-Phase Matching素子;QPM素子)が提案されている。擬似位相整合とは、第二高調波同士の電場の打ち消し合いを回避すべく、結晶中において極性反転構造を作り、電場が打ち消し合わない向きに極性を変えてやることにより擬似的に位相を整合させて第二高調波を発生させることを可能にする方法をいう。擬似位相整合素子においても、近年特に常誘電体である水晶に外力を印加することにより周期的な極性反転構造を形成した擬似位相整合素子が検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。
擬似位相整合の実現には、結晶の極性が周期的に反転している構造が必要である。紫外光等の短波長発生のためには、通常単結晶内部に極性の反転したドメインを作り込む方法がとられる。強誘電体に対して分極反転構造を作る場合、電界を外部から印加することにより自発分極を反転させる方法がとられる。しかしながら、例えばニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタル等の強誘電体では、第二高調波の発生波長を決定する吸収端波長が300nm程度と長くなってしまう。そのため、真空紫外域と言われるような200nm以下での第二高調波発生は不可能となってしまう。一方、例えば常誘電体である水晶は、その吸収端波長が150nm以下の非線形光学結晶である。
特開2004−107187号公報 特開2004−279612号公報
本発明は、常誘電体結晶に所要の圧力を加え続けることが可能な光学素子及びその製造方法、ならびに前記光学素子を備えた光源装置を提供することを目的としている。
ところで、常誘電体に対し機械的外力を印加することで常誘電体内に極性反転構造が形成されることが知られている。そこで、本願発明者らは、常誘電体に対し機械的外力を印加することで極性反転構造を作製することについて鋭意研究を行った結果、機械的外力を印加して極性反転構造を得た常誘電体では、得られた周期的極性反転構造が何らかの原因により失われてしまうことがあるという新たな知見を得るに至った。このような周期的極性反転構造の消失現象は、極性反転構造を形成後、機械的外力が低減ないし除去された状態で起こり得るものであること、機械的外力の除去と同時に起こる場合もあることを本発明者らは見出した。
かかる研究結果を踏まえ、本実施形態に係る光学素子は、常誘電体結晶と、一対の押圧手段と、締結手段と、を備える。常誘電体結晶は、極性周期方向に沿って極性が周期的に反転している周期構造を有する。一対の押圧手段は、常誘電体結晶をその間に挟む。締結手段は、当該一対の押圧手段を介して常誘電体結晶に所定の圧力が極性周期方向と交差する方向に加わるよう、一対の押圧手段を相互に固定する。
一方、本実施形態に係る製造方法は、常誘電体からなる常誘電体結晶と、一対の押圧手段と、一対の押圧手段の間の間隔を固定する締結手段と、を備える光学素子を製造する。具体的に、当該方法は、押圧工程と、締結工程を備える。押圧工程は、常誘電体結晶を一対の押圧手段の間に配置した状態で、一対の押圧手段を介して常誘電体結晶を所定の圧力で一対の押圧手段の互いに向かい合う面を最短距離で結ぶ直線方向、すなわち押圧方向に沿って押圧する。締結工程は、締結手段によって一対の押圧手段を相互に固定する。
これらの光学素子及びその製造方法それぞれによれば、締結手段により一対の押圧手段が相互に固定される。そのため、常誘電体結晶に対し、一対の押圧手段により所要の圧力を加え続けることが可能となる。また、その結果、これらの光学素子及びその製造方法それぞれでは、常誘電体結晶が極性反転構造を永続的に有することが可能となる。
本実施形態に係る製造方法において、押圧工程では、その間に常誘電体結晶を挟んだ一対の押圧手段を一対の加圧手段の間に挟んだ状態で当該一対の加圧手段が一対の押圧手段を加圧することで、常誘電体結晶が所定の圧力で押圧される。また、当該製造方法は、締結工程の後、一対の押圧手段によって保持された常誘電体結晶を当該一対の押圧手段ごと一対の加圧手段の間から取り出す取り出し工程をさらに備えていてもよい。
押圧工程において、一対の押圧手段を一方が他方より高温になるように加温し、温度差を有した状態で一対の押圧手段を介して常誘電体結晶を押圧することが好ましい。特に、一対の押圧手段のうち温度が高い方の押圧手段と向かい合う、常誘電体結晶の面には凹凸が周期的に形成されていることが好ましい。あるいは、一対の押圧手段のうち温度が高い方の押圧手段は、常誘電体結晶と向かい合う面を有し、当該面には凹凸が周期的に形成されていることが好ましい。
極性反転構造は、常誘電体結晶の一端側からそれと対向する他端側に向かって作成することが好ましい。よって、上記製造方法では、高温相になる程極性を反転しやすくなる特性を利用し、常誘電体結晶に一対の押圧手段の間で温度差を設け、高温の押圧手段側から極性反転構造を作成する。
一対の押圧手段の少なくとも一方と向かい合う、常誘電体結晶の面には凹凸が周期的に形成されていることが好ましい。あるいは、一対の押圧手段の少なくとも一方は、常誘電体結晶と向かい合う面を有し、当該面には凹凸が周期的に形成されていることが好ましい。押圧手段又は常誘電体結晶の周期的に形成された凸の部分のみで押圧手段が常誘電体結晶を押圧することができる。よって、周期的な極性反転構造を容易に得ることができる。
一対の押圧手段は互いに向かい合う面を有し、当該互いに向かい合う面を最短距離で結ぶ直線方向に直交する所定の方向に沿って常誘電体結晶を見たときに、当該所定の方向に沿って一直線上に常誘電体結晶以外配置されていないことが好ましい。常誘電体結晶を観察する際に視界に遮蔽物がないため好適である。または、常誘電体結晶に入射させる光の進行経路上に遮蔽物がないため使用する上で好適である。
光学素子は、一対の押圧手段間の相対的位置を固定する位置固定手段をさらに備えることが好ましい。これにより、一対の押圧手段が押圧の間にずれてしまうことが抑制される。
常誘電体結晶は、水晶を含むのが好ましい。水晶は、その吸収端波長が150nm以下である。そのため、水晶を利用して得られる擬似位相整合素子は、200nm以下の第二高調波発生、特にArFエキシマレーザー波長に相当する193nmやFエキシマレーザー波長に相当する157nmの第二高調波を発生することが可能となる。
締結手段は、一対の押圧手段を介して、常誘電体結晶に所定の圧力が極性周期方向と略直交する方向に加わるよう、一対の押圧手段を相互に固定することが好ましい。一対の押圧手段によって、より効率的に常誘電体結晶に圧力を加えることが可能となる。
また、締結手段は、一対の押圧手段の間の間隔を固定することで一対の押圧手段を相互に固定することが好ましい。また、締結工程において、所定の圧力に対応する一対の押圧手段の間の間隔は、締結手段によって固定されるのが好ましい。一対の押圧手段の間の間隔を固定することで、一対の押圧手段によって常誘電体結晶に一定の圧力を加え続けることができる。
本発明に係る各実施形態によれば、所要の圧力を加え続けることが可能な光学素子及び光学素子の製造方法、ならびに前記光学素子を備えた光源装置を提供することができる。
は、第1実施形態に係る光学素子及びその製造装置の分解斜視図である。 は、図1のII−II矢印断面図である。 は、第1実施形態に係る光学素子及びその製造装置の一部の上面図である。 は、結晶中に形成された周期的な極性反転構造を説明するための図である。 は、第1実施形態に係る光学素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。 は、(a)水晶の高温相、(b)水晶の低温相、及び(c)水晶のドフィーネ双晶の構造を示すための図である。 は、第1実施形態に係る光学素子及びその製造装置の変形例の分解斜視図である。 は、第2実施形態に係る光学素子及びその製造装置の分解斜視図である。 は、図8のXV−XV矢印断面図である。 は、第2実施形態に係る光学素子及びその製造装置の一部の上面図である。 は、第2実施形態に係る光学素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。 は、波長1544nmの固体レーザー光源から波長193nmの8倍波を発生させる光源装置の構成図である
MA1…製造装置、2…第1の加圧ヒーターブロック、1、5…光学素子、10、50…第1の押圧手段、11、51…第1の板状部材、12、52…第1の支持部、13、53…第1の主押圧部材、20、60…第2の押圧手段、21、61…第2の板状部材、22、62…第2の支持部、23、63…第2の主押圧部材、30A〜30D、70A〜70D…締結手段、31A〜31D…ボルト、32A〜32D…座金、40…位置固定手段、41A〜41D…断熱用カラー、42A〜42D…ピン、8…押圧支持手段、81…第1の押圧支持板、82…第2の押圧支持板82、83A〜83D…ボルト、84A〜84D…座金、85A〜85D…断熱用カラー、86A〜86D…ピン。
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、第1実施形態に係る光学素子1の構成及びその製造方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る光学素子及びその製造装置の分解斜視図である。図2は、図1のII−II矢印断面図である。図3は、第1実施形態に係る光学素子及びその製造装置の一部の上面図である。
製造装置MA1は、第1及び第2の加圧ヒーターブロック(加圧手段)2、3を備える。製造装置MA1は、第2の加圧ヒーターブロック3上に常誘電体結晶Sを備える光学素子1を配置し、第1の加圧ヒーターブロック2を光学素子1の上に載せて、第1の加圧ヒーターブロック2を介して光学素子1に圧力を印加して常誘電体結晶Sを加圧する装置である。第1の加圧ヒーターブロック2による加圧は、例えば駆動制御装置に接続して行ってもよい。
第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3は何れも略直方体状を呈する。第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3は、ヒーターとしても機能する。
光学素子1は、常誘電体結晶Sと、第1の押圧手段10と、第2の押圧手段20と、締結手段30A〜30Dと、位置固定手段40A〜40Dとを備える。光学素子1は、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段10、20の間に挟む挟み込み構造をとる。第1及び第2の押圧手段10、20は互いに向き合い、これらの間の間隔を締結手段30A〜30Dが固定する。第1及び第2の押圧手段10、20が相互に固定され、第1及び第2の押圧手段10、20の間隔が固定されることにより、第1及び第2の押圧手段10、20を介して常誘電体結晶Sに所定の圧力が加わる。常誘電体結晶Sに圧力が加わることにより、常誘電体結晶S内においては当該所定の圧力に対応した応力が生じる。
第1の押圧手段10は、第1の板状部材11と、第1の支持部12と、第1の主押圧部材(主押圧部)13とを有する。第2の押圧手段20は、第2の板状部材21と、第2の支持部22と、第2の主押圧部材(主押圧部)23とを有する。
第1及び第2の板状部材11、21の主面は何れも、四隅がカットされた長方形状を呈する。第1の板状部材11は、図3に示されている。第1及び第2の板状部材11、21は、耐熱性を有するとともに熱膨張の小さ材料からなることが好ましい。したがって、第1及び第2の板状部材11、21は、例えばスタバックス(登録商標)等の金属材料又はアルミナ等のセラミックス材料からなっていてもよい。第1及び第2の板状部材11、21の主面は、同じ大きさ及び形状であることが好ましい。
第1の板状部材11の四隅それぞれには、厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられている。第2の板状部材21の四隅それぞれには、雌ねじが厚さ方向に貫通するように設けられている。各雌ねじの位置は、第1の板状部材11に形成された貫通孔の位置に対応している。
第1及び第2の板状部材11、21は、それぞれの主面の長辺方向の端部が第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3からはみ出るように、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間に配置される。第1の板状部材11上の四隅に設けられた4つの貫通孔は何れも、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3からはみ出る位置に形成される。第2の板状部材21の4つの雌ねじは何れも、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3からはみ出る位置に形成される。
第1の支持部12は、第1の板状部材11の第2の押圧手段20と向かい合うする側の主面上に取り付けられている。第1の支持部12は、第1の板状部材11の主面の長手方向の略中央に対して互いに対称となるように配置された2つのレール部材12A、12Bからなる。レール部材12Aは、第1の板状部材11の主面の長手方向の略中央に対して図1及び図2の−X側に取り付けられている。レール部材12Bは、第1の板状部材11の主面の長手方向の略中央に対して図1及び2の+X側に取り付けられている。各レール部材12A、12Bは、第1の板状部材11の短手方向に沿って延びている。
第2の支持部22は、第2の板状部材21の第1の押圧手段10と向かい合うする側の主面上に取り付けられている。第2の支持部22は、第2の板状部材21の主面の長手方向の略中央に対して互いに対称となるように配置された2つのレール部材22A、22Bからなる。レール部材22Aは、第2の板状部材21の主面の長手方向の略中央に対して図1及び図2の−X側に取り付けられている。レール部材22Bは、第2の板状部材21の主面の長手方向の略中央に対して図1及び図2の+X側に取り付けられている。各レール部材22A、22Bは、第2の板状部材21の短手方向に沿って延びている。
図2に示されているように、第1の支持部12の各レール部材12A、12B並びに第2の支持部22の各レール部材22A、22BのII−II矢印断面形状はそれぞれ、第1及び第2の板状部材11、21側に位置する長方形と、当該長方形と一辺を共有する台形とが組み合わされた形状を呈する。第1の支持部12の各レール部材12A、12BのII−II矢印断面形状における台形は、第1の板状部材11に向かって狭くなるテーパ状である。一方、第2の支持部22の各レール部材22A、22BのII−II矢印断面形状における台形は、第2の支持部22に向かって狭くなるテーパ状である。
第1及び第2の主押圧部材13、23はそれぞれ、第1及び第2の板状部材11、21の短辺方向に沿って延びる、断面が六角形である棒状を呈する。図2に示されているように、第1及び第2の主押圧部材13、23のII−II矢印断面形状はそれぞれ、第1及び第2の板状部材11、21側に位置する長方形と、当該長方形と一辺を共有する台形とが組み合わされた形状を呈する。第1の主押圧部材13のII−II矢印断面形状における台形は、第1の板状部材11から離れる方向に向かって狭くなるテーパ状である。一方、第2の主押圧部材23のII−II矢印断面形状における台形は、第2の支持部22から離れる方向に向かって狭くなるテーパ状である。
第1及び第2の主押圧部材13、23はそれぞれ、第1及び第2の支持部12、22によって支持されている。具体的には、第1及び第2の主押圧部材13、23はそれぞれ、図2に示されているように、第1及び第2の支持部12、22の2つのレール部材12A、12B、22A、22Bに嵌合されている。したがって、第1及び第2の支持部12、22それぞれの2つのレール部材12A、12B、22A、22Bに嵌め込まれた第1及び第2の主押圧部材13、23は、レール部材12A、12B、22A、22Bに沿って移動させることで第1及び第2の支持部12、22から着脱することができる。
第1及び第2の主押圧部材13、23は何れも、常誘電体結晶Sを介して対向し且つ直接接する面13a、23aをそれぞれ含む。第1及び第2の主押圧部材13、23の常誘電体結晶Sに接する面13a、23aは何れも、常誘電体結晶Sの全面を覆うように形成されている。
締結手段30A〜30Dは、常誘電体結晶Sを介して対向するよう配置された第1の板状部材11と第2の板状部材21とを相互に固定する。すなわち、締結手段30A〜30Dは、第1及び第2の板状部材11、21の間の間隔を固定する。これにより、第1及び第2の主押圧部材13、23の間の間隔が固定される。
締結手段30A〜30Dはそれぞれ、ボルト31A〜31Dと、座金32A〜32Dとを有する。
各ボルト31A〜31Dは、第1の板状部材11から第2の板状部材21に向かってに延びるように、第1の板状部材11に形成された貫通孔を通過し、第2の板状部材21に形成された雌ねじに螺合される。すなわち、第2の板状部材21の四隅に設けられた雌ねじも共に締結手段30A〜30Dとして機能する。
位置固定手段40A〜40Dはそれぞれ、断熱用カラー41A〜41Dと、ピン42A〜42Dとを有する。断熱用カラー41A〜41Dはそれぞれ、第1の板状部材11に固定されている。各断熱用カラー41A〜41Dは、円柱状を呈し、一方の底面が第1の板状部材11に接するように第1の板状部材11に取り付けられている。断熱用カラー41A〜41Dは、耐熱性を有するとともに、熱伝導率の極めて小さい材料からなる。
断熱用カラー41A、41Bは、ボルト31A、31Bと第1の支持部12のレール部材12Aとの間に配置される。断熱用カラー41A、41Bは、第1の板状部材11の長辺方向に見たときに、その間に常誘電体結晶Sが位置するように配置される。
断熱用カラー41C、41Dは、ボルト31C、31Dと第1の支持部12のレール部材12Bとの間に配置される。断熱用カラー41C、41Dは、第1の板状部材11の長辺方向に見たときに、その間に常誘電体結晶Sが位置するように配置される。
ピン42A〜42Dはそれぞれ、第2の板状部材21に固定されている。各ピン42A〜42Dは、断熱用カラー41A〜41Dと底面の大きさが同じ円柱状を呈し、一方の底面が第2の板状部材21に接するように第2の板状部材21に取り付けられている。ピン42A〜42Dは、第2の板状部材21を第1の板状部材11に対面させたときに、断熱用カラー41A〜41Dそれぞれと嵌めあわされて一本の円柱を構成するような位置に配置される。すなわち、断熱用カラー41A〜41Dはピン42A〜42Dに直列に入っている。ピン42A〜42Dは、耐熱性を有する材料からなる。
第1及び第2の主押圧部材11、21は、これらの間において各断熱用カラー41A〜41Dが対応するピン42A〜42Dと共に一本の円柱を形成するように配置する。そのため、断熱用カラー41A〜41D及びピン42A〜42Dを有する位置固定手段40A〜40Dは、第1及び第2の押圧手段10、20の間の相対的な位置を固定することができる。また、断熱用カラー41A〜41Dは、第1及び第2の押圧手段10、20の間の伝熱抵抗を大きくする作用がある。
図1及び2から明らかなように、第1及び第2の押圧手段10、20に保持された状態の常誘電体結晶Sにおいて、X方向及びY方向で常誘電体結晶Sを見たとき、X方向に沿った一直線上及びY方向に沿った一直線上の何れにも常誘電体結晶S以外配置されていない。すなわち、光学素子1は、X方向及びY方向に沿って開放部を有する。X方向及びY方向は、第1及び第2の板状部材11、21を最短距離で結ぶ直線方向(Z方向)に直交する。
常誘電体結晶Sは、極性周期方向に沿って極性が周期的に反転している周期構造を有する常誘電体である水晶からなる。すなわち、常誘電体結晶Sには、図4に示すような、極性周期方向Kに沿って極性が周期的に反転している周期構造が形成されている。常誘電体結晶Sでは図4の矢印P1、P2で示されるように、コヒーレンス長Lcごとに極性を反転させる。したがって、極性の反転周期dは、コヒーレンス長Lcの2倍となる。これにより、極性の反転周期が現れる方向に沿って基本波Lを常誘電体結晶Sに入射させた際、位相が整合され、第二高調波Lを発生することが可能となる。すなわち、常誘電体結晶Sは、第二高調波同士の打ち消し合いを回避する擬似位相整合素子として機能する。
光学素子1では、第1及び第2の押圧手段10、20の間の間隔を位置固定手段40A〜40Dによって固定することで、常誘電体結晶Sに第1及び第2の押圧手段10、20を介して所定の圧力が極性周期方向Kと交差する方向、より好ましくは略直交する方向に加わる。
また、常誘電体結晶Sは、その極性周期方向Kが図1〜図3におけるX方向又はY方向と平行になるように配置されることが好ましい。
次に、図5を参照して、本実施形態に係る光学素子の製造方法について説明する。図5は、本実施形態に係る光学素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
まず、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段10、20の第1及び第2の主押圧部材13、23の間に配置し、第1及び第2の押圧手段10、20を介して常誘電体結晶Sを所定の圧力で、第1及び第2の押圧手段10、20を最短距離で結ぶ直線方向に沿って押圧する(押圧工程S101)。
具体的には、まず第1及び第2の押圧手段10、20の間に挟まれた常誘電体結晶Sを用意する。すなわち、第2の押圧手段20の第2の主押圧部材23上に常誘電体結晶Sを載置し、さらにその常誘電体結晶S上に第1の押圧手段10を、第1の主押圧部材13の一部が常誘電体結晶Sと接するように載置する。これにより、第1及び第2の押圧手段10、20の間に挟まれた常誘電体結晶Sが得られる。
常誘電体結晶S上に第1の押圧手段10を載置する際、第1の板状部材11に設けられた断熱用カラー41A〜41Dと第2の板状部材21に設けられたピン42A〜42Dとが嵌め合わされるようにする。
こうして得られた第1及び第2の押圧手段10、20の間に挟まれた常誘電体結晶Sを、常誘電体結晶Sが第2の加圧ヒーターブロック3と反対側に位置するように、第2の加圧ヒーターブロック3の上面上に載置する。次に、第1の加圧ヒーターブロック2を第1の押圧手段10上に載置する。そして、空気圧シリンダ又は油圧シリンダを用いた加圧装置(図示を省略)により第1の加圧ヒーターブロック2を押すことにより、第1の押圧手段10の第1の板状部材11に圧力を徐々に印加する。第1の加圧ヒーターブロック2が押されることで第1及び第2の押圧手段10、20を加圧することにより、常誘電体結晶Sが所定の圧力で押圧されることとなる(押圧工程S101)。この際、第1の加圧ヒーターブロック2と第1の押圧手段10の間、および第2の加圧ヒーターブロック3と第2の押圧手段20との間に、二硫化モリブデン等の潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。潤滑剤を塗布しておくことにより、それぞれの加圧ヒーターブロックと押圧手段の間に滑り方向の自由度が確保されるので、第1の加圧ヒーターブロック2と第2の加圧ヒーターブロック3の間に横方向の位置ずれを生じた場合でも、結晶に加わる圧力の方向が変化することが無く、周期構造を正確に形成することができる。
ここで、押圧工程S101において、第1の押圧手段10が第2の押圧手段20より高温になるように第1及び第2の板状部材11、21を加温しながら第1の加圧ヒーターブロック2が押されて、第1の板状部材11に圧力が印加される。すなわち、押圧工程S101では、常誘電体結晶Sが第1の押圧手段10側と第2の押圧手段20側とで温度差を有した状態で、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段10、20を介して押圧する。
相対的に温度が高くなる第1の押圧手段10の第1の主押圧部材13の、常誘電体結晶Sと向かい合う面には凹凸が周期的に形成されている。そのため、第1の加圧ヒーターブロック2が押されて第1の板状部材11に圧力が印加されることにより、第1の主押圧部材13に形成された周期的な凸部が常誘電体結晶Sを押圧することとなる。第1の主押圧部材13の凹凸は、その周期がX方向又はY方向に沿うように形成されていることが好ましい。
次に、常誘電体結晶S内に第1の主押圧部材13の凹凸の周期方向と同じ周期方向に沿って周期的極性反転構造が形成されているか否かをクロスニコル法を用いて目視により確認する。その際、例えば、常誘電体結晶Sを第1の主押圧部材13の凹凸の周期方向と直交する方向から見て確認する。常誘電体結晶S内に形成される周期的極性反転構造の周期方向である極性周期方向Kは、第1の主押圧部材13の凹凸の周期方向によって決定される。
そして、常誘電体結晶S内に周期的極性反転構造が形成されていることを確認後、締結手段30A〜30Dのボルト31A〜31Dを締める。これにより、第1及び第2の押圧手段10、20の間の間隔、より具体的には第1及び第2の主押圧部材11、21の間の間隔が締結手段30A〜30Dによって固定される(締結工程S102)。このとき、締結手段30A〜30Dによって固定された第1及び第2の押圧手段10、20の間の間隔が、常誘電体結晶S内の周期的極性反転構造を形成する圧力に対応する。締結手段30A〜30Dによる第1及び第2の押圧手段10、20の間の間隔の固定は、温度制御により第1及び第2の押圧手段10、20が冷却されるのを待たずに行うことができる。
締結工程S102の後、第1及び第2の押圧手段10、20によって保持された常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段10、20ごと第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間から取り出す(取り出し工程S103)。このとき、第1及び第2の押圧手段10、20は、締結手段30A〜30Dによってその間隔が固定されている。そして、そのまま取り出された第1及び第2の押圧手段10、20によって保持された常誘電体結晶Sは、自然放冷した状態で素子として利用することができる。
光学素子1では、常誘電体結晶S内に周期的極性反転構造が形成された状態で、締結手段30A〜30Dにより第1及び第2の押圧手段10、20の間、より具体的には第1及び第2の主押圧部材13、23の間の間隔が固定される。そのため、光学素子1は、常誘電体結晶Sに対し、周期的極性反転構造の形成及び維持に要する圧力を加え続けることが可能となる。締結工程S102は取り出し工程S103と同時並行的に行うこともできる。すなわち、ボルト31A〜31Dを締め付けて常誘電体結晶Sに加わる荷重を僅かに増加させ、これと同時またはこれに引き続いて、加圧ヒーターブロック2、3によって印加されている荷重を同じだけ減少させる。以上のステップを繰り返し、最終的に全ての荷重がボルト31A〜31Dによって負荷されている状態とした後、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段10、20ごと第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間から取り出す。この手順によれば、常誘電体結晶Sに周期的極性反転構造が形成されている状態を維持したまま、加圧ヒーターブロック2,3によって印加されていた荷重を、押圧手段10、20による荷重に、滑らかに置き換えることが可能になる。
そのため、光学素子1では、外力によって得られた常誘電体結晶S内の極性反転構造が消失してしまうことなくて、常誘電体結晶S内で永続的に存続させることが可能となる。すなわち、反転状態を安定化させるための物理的機構が存在しない常誘電体である常誘電体結晶Sにおいて、極性反転状態をエネルギー的に安定化させることができる。
また、これにより、常誘電体材料による擬似位相整合素子を、容易に安定的に提供することが可能となる。その結果、極性反転分域を残存させるため、素子製造時に周期や素子サイズごとの実験パラメーターの探索に大変な労力がかかり、また再現も難しいという、素子開発・製造上の最大の問題を解決・改善し、波長変換素子の可能性を大きく広げることが可能となる。また、このように、極性反転構造の残存がより困難である短周期構造、特に周期10μm以下の周期構造を有する素子の開発を容易にしたことで、真空紫外光等の短波長発生用の素子の開発を大きく前進させることが可能となる。
第1の押圧手段10の第1の主押圧部材13には、凹凸が周期的に形成されている。そのため、周期的に形成された凸の部分のみで第1の押圧手段10が常誘電体結晶Sを押圧することになる。よって、周期的な極性反転構造を有する常誘電体結晶Sを容易に得ることができる。
また、極性反転構造の形成は、常誘電体結晶Sの一端側からそれと対向する他端側に向かって作成することが好ましい。よって、高温相になる程極性を反転しやすくなる特性を利用し、常誘電体結晶Sを間に挟む第1及び第2の押圧手段10、20の間で温度差を設け、高温である第1の押圧手段10側から極性反転構造を作成していくことができる。
光学素子1は、第1及び第2の押圧手段10、20の間の相対的な位置関係を固定する位置固定手段40A〜40Dを備える。第1及び第2の押圧手段に圧力を印加している間に、第1及び第2の押圧手段10、20がずれてしまうことを抑制することが可能となる。
光学素子1では、第1及び第2の押圧手段10、20の第1及び第2の板状部材11、21を最短距離で結ぶ直線方向(Z方向)に直交するX方向及びY方向で常誘電体結晶Sを見たときに、X方向及びY方向に沿った一直線上には常誘電体結晶S以外が配置されていない。そのため、光学素子をX方向又はY方向で見て観察する際に視界に遮蔽物がなく、好適である。また、光をX方向又はY方向に沿って常誘電体結晶Sに入射させる場合、光の進行経路上に遮蔽物がないため使用する上で好適である。なお、光は、常誘電体結晶Sの極性周期方向Kに沿って入射されることが好ましい。
締結手段30A〜30Dによる締結は、光学素子1がある程度徐冷された後に行った方が、ネジ止めによるトルク(印加外力)がはるかに小さくて済む。ただし、温度・圧力が急激な低下した場合であっても、極性反転構造は残存することができる。
常誘電体結晶Sは、水晶である。水晶は、その吸収端波長が150nm以下である。そのため、水晶を利用して得られる擬似位相整合素子は、200nm以下の短波長の第二高調波を発生することが可能となる。
ここでは、水晶として、水晶固有の双晶であるドフィーネ双晶を反転構造の作製に利用する。この双晶は、水晶を擬似位相整合素子として使う際に必須である、非線形分極の主軸に相当するa軸の反転構造を持つ。ドフィーネ双晶は、図6に示すように、水晶のβ相(高温相)がα相(低温型)に相転移する際に発生する双晶として知られており、c軸を双晶軸に持ち、双晶関係にあるドメイン同士はa軸が互いに反転した180°回転の関係にある。水晶の高温相は高温型石英六方晶系であり、水晶の低温相は低温型石英三方晶系である。ドフィーネ双晶は、双晶軸がc軸の双晶である。
双晶の形成には外力印加にともなう、系のギブスエネルギー変化を利用する。これは押圧による系のギブスエネルギーの増加の際に、そのままの状態でいるよりも、双晶になることで結晶方位を回転させた方がエネルギー増加が少なくて済むという性質を利用したものである。系のギブスエネルギーの変化量は、以下の式(1)で表現される。
Figure 2011118530
ここでSklは歪みテンソル、Tklは応力テンソル、Dは電束密度テンソル、Eは電界テンソル、Bは磁束密度テンソル、Hは磁界テンソル、κはエントロピー、Θは温度を表す。ここでは温度変化、磁界変化、電界変化はないため、式(1)は以下の式(2)のように簡略化される。
Figure 2011118530
ここで、歪みテンソルSklは応力テンソルTijと弾性コンプライアンスsklijにより式(3)のように表すことができる。
Figure 2011118530
したがって、式(2)及び式(3)から、以下の式(4)が得られる。
Figure 2011118530
他方、ドフィーネ双晶が形成され、結晶方位の回転が起こった場合、系の弾性コンプライアンスsijklのテンソル成分に変化が発生することになる。この時の弾性コンプライアンスをsijkl(twin)と定義し、双晶が発生(結晶方位が反転)した場合のギブスエネルギーの変化量をG(twin)とすると、以下の式(5)が得られる。
Figure 2011118530
双晶が発生する条件はG(twin)がGよりも小さくなる時である。よって、以下の式(6)がマイナスになるように応力テンソル成分を選ぶ、すなわち押圧の結晶方位を選ぶことにより、双晶の発生、それに伴う結晶方位の回転と、結果もたらされる極性軸(a軸)の反転とを得ることができる。
Figure 2011118530
この原理を利用することで、水晶の単結晶内に周期的極性反転構造を形成することが可能となる。また、周期的極性反転構造が形成された水晶を利用した擬似位相整合素子によって高調波を発生させることも可能である。
このような外力印加にともなうギブスエネルギーの変化を利用した極性反転の形成技術は、電界印加分極反転が不可能な多くの常誘電体材料においても周期的極性反転構造を形成することが可能となり、その結果擬似位相整合素子の作製が可能となるという、大きな可能性を秘めた技術なのである。
強誘電体の分極反転構造の場合、強誘電体は自発分極を有するため、隣り合う分域間で自発分極の反転が起こる。その結果、強誘電体では、静電的なエネルギーの減少を生み出し反転構造の安定化を促すことが可能となる。
一方、常誘電体の周期的極性反転構造では、単結晶内に、隣り合う極性反転分域の境界が多数存在し、それは反転前の状態に比べエネルギー的な不利をもたらしてしまう。すなわち、隣り合う極性反転分域の境界の存在は、再反転のための活性化エネルギーを超えて、一度反転した分域を再び反転させて分域境界の存在しない元の状態に戻そうとするドライビングフォースとして作用し得るものとなってしまう。よって、自発分極を持たない常誘電体の極性反転構造では、強誘電体の分極反転構造の場合のように静電的なエネルギーの安定化が起こりえない。そのため、反転分域の再反転、及びそれによる周期的極性反転構造の消失が起こりやすいという問題がある。
このことは、系に蓄積されるエネルギーとして以下のように論じることができる。常誘電体を利用した外力印加極性反転で作製された周期的極性反転構造の、系のエネルギーは、以下の式(7)で表現することができる。
Figure 2011118530
ここで、γDomai-Wall iはi番目の分域境界による界面エネルギーを表し、iの数が増えるほど系のエネルギーを増加させ、反転分域の再反転(反転構造の消失)のドライビングフォースとなる。
他方、強誘電体を利用した電界印加分極反転で作製された周期的分極反転構造の系のエネルギーは、以下の式(8)で表現することができる。
Figure 2011118530
ここで、PSpontanouss は自発分極のテンソルのj成分、εijは誘電テンソル、そしてηDomai n iは分域発生に伴う静電的な安定化エネルギーを表す。
式(7)と式(8)とを比較すると、周期構造作製のための外力を無くした際、つまり製造装置から素子がフリーになった状態での系のエネルギーには大きな差が有ることが分かる。素子として常誘電体を利用した外力印加極性反転で、外力である印加圧力Tklを0にすると、系のエネルギーは式(7)より、以下の式(9)のようになる。
Figure 2011118530
式(9)より、分域境界の数だけ系のエネルギーが上昇している事が分かる。
他方、強誘電体を利用した電界印加分極反転では、外力である印加電界Eを0にすると、系のエネルギーは以下の式(10)のようになる。
Figure 2011118530
式(10)より、この場合、分域境界の数だけ系のエネルギーが上昇するものの、静電的エネルギーによる系のエネルギー低下も確認できることが理解される。
したがって、反転した分域が、再反転の活性化エネルギーを超えて再反転をおこす、つまり反転構造が消失する可能性は、強誘電体を用いた分極反転構造に比べ、常誘電体を用いた極性反転構造の方がはるかに高いことが分かる。
このように、外力印加極性反転で作製された周期的極性反転構造は、一度形成した反転分域を残存させておくことが難しいことが上記理論によっても確かめることができる。したがって、周期や素子サイズごとの実験パラメーターの探索に大変な労力がかかり、再現も難しい。したがって、周期的極性反転構造を維持することは、素子の開発及び製造において極めて有効である。
上述したように、常誘電体を利用する場合、静電的エネルギーによる反転構造のエネルギー的安定化機構が存在する強誘電体を利用する場合と異なり、形成された極性反転構造において反転状態を安定化させるための物理的機構が存在しない。これに対し、自発分極が存在しない常誘電体において、極性反転状態をエネルギー的に安定化させる方法は、外力印加による系のギブスエネルギー変化の応用が最も合理的である。
そして、本願発明者等は、反転構造をエネルギー的に安定化させるために、一度反転構造を形成した常誘電体の素子に対し、引き続き外力を印加することにより反転分域のエネルギー的安定化機構を持たせ続けることに想到した。この場合、最も効果的なのは、反転構造作製の直後から、製造装置の荷重とは別の機構で素子に外力を印加し続けることである。
研究の結果、製造装置による反転構造の形成後、反転構造の安定化のために必要な外力は、製造時の外力に比べ大分小さくて済むことも発見した。
本実施形態では、製造装置MA1の第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3と常誘電体結晶Sとの間に、第1及び第2の板状部材11、21を挟み込むことで、常誘電体結晶Sは第1及び第2の板状部材11、21を介して間接的に製造装置MA1に押圧されることになる。本実施形態による常誘電体結晶Sの系のエネルギー増加は、以下の式(11)となる。
Figure 2011118530
式(9)と式(11)との比較から明らかなように、本実施形態に係る光学素子1の常誘電体結晶Sの系では、エネルギーを引き下げる項を追加することが可能となった。また、この場合、締結手段30A〜30Dのトルクを調整することにより、式(11)のTklの量を制御できることから、状況に応じた系のエネルギーコントロールも可能となった。
図7に、第1実施形態に係る光学素子及びその製造装置の変形例の分解斜視図を示す。第1実施形態の変形例に係る光学素子1Aは、図7に示すように、位置固定手段40A〜40Dを備えていない。この場合、図7に示すように、第1及び第2の支持部12、22のレール部材12A、12B、22A、22BのX方向での幅が、第1実施形態に係る光学素子1の場合に比べて長くてもよい。レール部材12Aの−X側端部からレール部材12Bの+X側端部までの長さが、第1の加圧ヒーターブロック2のX方向の幅と同じであることが好ましい。レール22Aの−X側端部からレール22Bの+X側端部までの長さが、第2の加圧ヒーターブロック3のX方向の幅と同じであることが好ましい。
(第2実施形態)
図8〜図10を参照して、第2実施形態に係る光学素子5の構成及びその製造方法について説明する。第2実施形態に係る光学素子5は、光学素子5が押圧支持手段によって支持されている点について第1実施形態に係る光学素子5とは異なる。
図8は、第2実施形態に係る光学素子及びその製造装置の分解斜視図である。図9は、図8のXV−XV矢印断面図である。図10は、第2実施形態に係る光学素子及びその製造装置の一部の上面図である。
製造装置MA1は、第1及び第2の加圧ヒーターブロック(加圧手段)2、3を備える。常誘電体結晶Sを備える光学素子5は、押圧支持手段8に支持される。押圧支持手段8は光学素子5を一体となるように支持する。そして、光学素子5は、押圧支持手段8に支持された状態で第1及び第2の加圧ヒーターブロック(加圧手段)2、3の間に配置される。
光学素子5は、常誘電体結晶Sと、第1の押圧手段50と、第2の押圧手段60と、締結手段70A〜70Fとを備える。光学素子5は、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段50、60の間に挟む挟み込み構造をとる。第1及び第2の押圧手段50、60は常誘電体結晶Sを介して対向し、これら間隔を締結手段70A〜70Fが固定する。第1及び第2の押圧手段50、60の間隔が固定されることにより、第1及び第2の押圧手段50、60を介して常誘電体結晶Sに所定の圧力が加わる。常誘電体結晶Sに圧力が加わることにより、常誘電体結晶S内においては当該圧力に対応した応力が生じる。
第1の押圧手段50は、第1の板状部材51と、第1の支持部52と、第1の主押圧部材53とを有する。第2の押圧手段60は、第2の板状部材61と、第2の支持部62と、第2の主押圧部材63とを有する。第1及び第2の板状部材51、61の主面は、図10に示されるように、四隅が丸みを帯びた略長方形状を呈する。第1及び第2の板状部材51、61の主面は、同じ大きさ及び形状であることが好ましい。
第1の板状部材51には、図10に示すように、主面の中央位置を中心に6つの厚さ方向に貫通する貫通孔51a〜51fが設けられている。第2の板状部材61には、第1の板状部材51の貫通孔51a〜51fに対応する位置に、厚さ方向に貫通する雌ねじが設けられている。
第1及び第2の板状部材51、61は、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の光学素子5を載置する面よりも小さく形成されている。
第1の支持部52は、第1の板状部材51の第2の押圧手段60と向かい合う側の主面上に取り付けられている。第1の支持部52は、第1の板状部材51の主面の長手方向の略中央に対して互いに対称となるように配置された2つのレール部材52A、52Bからなる。第2の支持部62は、第2の板状部材61の第1の押圧手段50と向かい合う側の主面上に取り付けられている。第2の支持部62は、第2の板状部材61の主面の長手方向の略中央に対して互いに対称となるように配置された2つのレール部材62A、62Bからなる。
第1及び第2の主押圧部材53、63はそれぞれ、第1及び第2の板状部材51、61の短辺方向に沿って延びる、断面が六角形である棒状を呈する。
第1及び第2の主押圧部材53、63はそれぞれ、第1及び第2の支持部52、62によって支持されている。具体的には、第1及び第2の主押圧部材53、63はそれぞれ、図9に示されているように、第1及び第2の支持部52、62の2つのレール部材52A、52B、62A、62Bに嵌合されている。
第1及び第2の主押圧部材53、63はそれぞれ、常誘電体結晶Sを介して対向し且つ直接接する面53a、63aを含む。第1及び第2の主押圧部材53、63の常誘電体結晶Sに接する面53a、63aは何れも、常誘電体結晶Sの全面を覆うように形成されている。
6本のボルトである締結手段70A〜70Fは、常誘電体結晶Sを介して対向するよう配置された第1の板状部材51の主面と第2の板状部材61の主面とを固定する。すなわち、締結手段70A〜70Fは、第1及び第2の板状部材51、61の間の間隔を固定する。これにより、第1及び第2の主押圧部材53、63の間の間隔が固定される。
各締結手段70A〜70Fは、第1の板状部材51から第2の板状部材61に向かってに延びるように、第1の板状部材51に形成された貫通孔を貫通し、第2の板状部材61に形成された雌ねじに螺合されている。すなわち、第2の板状部材61の四隅に設けられた雌ねじも共に締結手段70A〜70Dとして機能する。
各締結手段70A〜70Fは、第1及び第2の押圧手段50、60が第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間に配置された際に、第1及び第2の板状部材51、61の第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3で覆われた領域の内側に位置する。
図8及び図9から明らかなように、第1及び第2の押圧手段50、60に保持された状態の常誘電体結晶Sにおいて、Y方向で常誘電体結晶Sを見たとき、Y方向に沿った一直線上には常誘電体結晶S以外のものが配置されていない。すなわち、光学素子5は、Y方向に沿って開放部を有する。Y方向は、第1及び第2の板状部材51、61を最短距離で結ぶ直線方向(Z方向)に直交する。
押圧支持手段8は、第1の押圧支持板81と、第2の押圧支持板82と、ボルト83A〜83Dと、座金84A〜84Dと、断熱用カラー85A〜85Dと、ピン86A〜86Dとを備える。
第1及び第2の押圧支持板81、82は、中央部が厚さ方向に長方形状に開口した板状部材である。第1及び第2の押圧支持板81、82の主面は、図10に示されるように、四隅がカットされた長方形状を呈する。第1及び第2の押圧支持板81、82は、第1及び第2の板状部材51、61同様、耐熱性を有するとともに熱膨張の小さ材料からなることが好ましい。したがって、第1及び第2の押圧支持板81、82は、例えばスタバックス(登録商標)等の金属材料又はアルミナ等のセラミックス材料からなっていてもよい。
第1の押圧支持板81の開口部には第1の板状部材51が嵌め込まれ、一体となった板状を呈する。図9に示されるように、第1の押圧支持板81の開口部の側面及び第1の板状部材51の側面には段差が雌雄の関係で形成されており、これらの段差により第1の押圧支持板81及び第1の板状部材51は係合される。
第2の押圧支持板82の開口部には第2の板状部材61が嵌め込まれ、一体となった板状を呈する。図9に示されるように、第2の押圧支持板82の開口部の側面及び第2の板状部材61の側面には段差が雌雄の関係で形成されており、これらの段差により第2の押圧支持板82及び第2の板状部材61は係合される。
第1の押圧支持板81の四隅それぞれには、厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられている。第2の押圧支持板82の四隅であって、第1の押圧支持板81に形成された貫通孔それぞれに対応する位置には、厚さ方向に貫通する雌ねじが設けられている。
第1及び第2の押圧支持板81、82は、それぞれの主面の長辺方向の端部が第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3からはみ出るように、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2,3の間に配置される。四隅に設けられた各4つの貫通孔は何れも、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3からはみ出る位置に形成される。
各ボルト83A〜83Dは、第1の押圧支持板81から第2の押圧支持板82に向かってに延びるように、第1の押圧支持板81に形成された貫通孔を通過し、第2の押圧支持板82に形成された雌ねじに螺合される。各ボルト83A〜83Dは、第1及び第2の押圧手段50、60が第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間に配置された際には、第1及び第2の板状部材51、61並びに第1及び第2の押圧支持板81、82の第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3で覆われた領域の外側に位置する。
断熱用カラー85A〜85Dはそれぞれ、第1の押圧支持板81に固定されている。各断熱用カラー85A〜85Dは、円柱状を呈し、一方の底面が第1の押圧支持板81に接するように第1の押圧支持板81に取り付けられている。断熱用カラー85A、85Bは、ボルト83A、83Bと光学素子5との間に配置される。断熱用カラー85C、85Dは、ボルト83C、83Dと光学素子5との間に配置される。
ピン86A〜86Dはそれぞれ、第2の押圧支持板82に固定されている。各ピン86A〜86Dは、断熱用カラー85A〜85Dと底面の大きさが同じ円柱状を呈し、一方の底面が第2の押圧支持板82に接するように第2の押圧支持板82に取り付けられている。ピン86A〜86Dは、第2の押圧支持板82を第1の押圧支持板81に常誘電体結晶Sを介して対向させたときに、断熱用カラー85A〜85Dそれぞれと嵌めあわされて一本の円柱を構成するような位置に配置される。ピン86A〜86Dは、耐熱性を有する材料からなる。
第1及び第2の押圧支持板81、82は、これらの間で各断熱用カラー85A〜85Dが対応するピン86A〜86Dと共に一本の円柱を形成するように配置する。そのため、断熱用カラー85A〜85D及びピン86A〜86Dは、第1及び第2の押圧支持板81、82の間の相対的な位置を固定することができる。
図8及び図9から明らかなように、第1及び第2の押圧手段50、60に保持された状態の常誘電体結晶Sにおいて、X方向で常誘電体結晶Sを見たとき、常誘電体結晶S以外配置されていない直線がX方向に沿って存在する。すなわち、光学素子5は、X方向に沿って開放部を有する。X方向は、第1及び第2の板状部材51、61を最短距離で結ぶ直線方向(Z方向)に直交する。
常誘電体結晶Sは、図4に示すように、極性周期方向Kに沿って極性が周期的に反転している周期構造を有する常誘電体である水晶からなる。
次に、図11を参照して、本実施形態に係る光学素子の製造方法について説明する。図11は、本実施形態に係る光学素子の製造方法を説明するためのフローチャートである。
まず、第1の押圧手段50と第1の押圧支持板81とを、第2の押圧手段60と第2の押圧支持板82とを、それぞれ係合させる。次に、第2の押圧支持板82と係合された第2の押圧手段60の第2の主押圧部材63上に常誘電体結晶Sを載置し、さらにその常誘電体結晶S上に第1の押圧支持板81と係合された第1の押圧手段50を、第1の主押圧部材53が常誘電体結晶Sと接するように載置する。これにより、第1及び第2の押圧手段50、60の間に挟まれた常誘電体結晶Sが得られる。常誘電体結晶S上に第1の押圧手段50を載置する際、第1の押圧支持板81に設けられた断熱用カラー85A〜85Dが第2の押圧支持板82に設けられたピン86A〜86Dと嵌め合わされるよう
にする。
こうして得られた第1及び第2の押圧手段50、60の間に挟まれた常誘電体結晶Sを、常誘電体結晶Sが第2の加圧ヒーターブロック3と反対側に位置するように、第2の加圧ヒーターブロック3の上面上に載置する。次に、第1の加圧ヒーターブロック2を第1の押圧手段50上に載置する。そして、空気圧シリンダ又は油圧シリンダを用いた加圧装置(図示を省略)により第1の加圧ヒーターブロック2を押すことにより、第1の押圧手段50の第1の板状部材51に圧力を徐々に印加する。第1の加圧ヒーターブロック2が押されることで第1及び第2の押圧手段50、60を加圧することにより、常誘電体結晶Sが所定の圧力で押圧されることとなる(押圧工程S201)。この際、第1の加圧ヒーターブロック2と第1の板状部材51の間、および第2の加圧ヒーターブロック3と第2の板状部材61との間に、二硫化モリブデン等の潤滑剤を塗布しておくことが好ましい。潤滑剤を塗布しておくことにより、それぞれの加圧ヒーターブロックと板状部材の間に滑り方向の自由度が確保されるので、第1の加圧ヒーターブロック2と第2の加圧ヒーターブロック3の間に横方向の位置ずれを生じた場合でも、結晶に加わる圧力の方向が変化することが無く、周期構造を正確に形成することができる。
ここで、押圧工程S201において、第1の押圧手段50が第2の押圧手段60より高温になるように第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3が第1及び第2の板状部材51、61を加温しながら、第1の加圧ヒーターブロック2が押されて第1の板状部材51に圧力が印加される。すなわち、押圧工程S201では、常誘電体結晶Sが第1の押圧手段50側と第2の押圧手段60側とで温度差を有した状態で、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段50、60を介して押圧する。
相対的に温度が高くなる第1の押圧手段50の第1の主押圧部材53の、常誘電体結晶Sと向かい合う面には凹凸が周期的に形成されている。そのため、第1の加圧ヒーターブロック2の荷重が第1の板状部材51に印加されることにより、第1の主押圧部材53に形成された周期的な凸部が常誘電体結晶Sを押圧することとなる。第1の主押圧部材53の凹凸は、その周期がY方向に沿うように形成されていることが好ましい。
次に、常誘電体結晶S内に周期的極性反転構造が形成されているか否かをクロスニコル法を用いて目視により確認する。その際、例えば、常誘電体結晶Sを第1の主押圧部材53の凹凸の周期方向と直交する方向から見て確認する。そして、常誘電体結晶S内に周期的極性反転構造が形成されていることを確認後、ボルト83A〜83Dを締める。これにより、第1及び第2の押圧支持板81、82の間の間隔、さらには第1及び第2の押圧手段50、60の間の間隔がボルト83A〜83Dによって固定される(押圧支持手段締結工程S202)。このとき、ボルト83A〜83Dによって固定された第1及び第2の押圧支持板81、82の間の間隔が、常誘電体結晶S内に周期的極性反転構造を形成する圧力に対応する。ボルト83A〜83Dによる第1及び第2の押圧支持板81、82の間の間隔の固定は、温度制御により第1及び第2の押圧支持板81、82並びに第1及び第2の押圧手段50、60が冷却されるのを待たずに行うことができる。
押圧支持手段締結工程S202の後、光学素子5を押圧支持手段8ごと第1及び第2の加圧手段2、3の間から取り出す(取り出し工程S203)。このとき、第1及び第2の押圧手段50、60の間の間隔は、押圧支持手段8によってその間隔が固定されている。そして、取り出された押圧支持手段8及び光学素子5が自然放冷により冷却された後、光学素子5の締結手段であるボルト70A〜70Dを締める。これにより、第1及び第2の押圧手段50、60の間の間隔、より具体的には第1及び第2の主押圧部材51、61の間の間隔が締結手段70A〜70Fによって固定される(押圧手段締結工程S204)。
その後、ボルト83A〜83Dを外して、押圧支持手段8が光学素子5から取り外される(取り外し工程S205)。これにより、光学素子5が得られる。
光学素子5では、常誘電体結晶S内に周期的極性反転構造が形成された状態で、締結手段70A〜70Fにより第1及び第2の押圧手段50、60の間、より具体的には第1及び第2の主押圧部材53、63の間の間隔が固定される。そのため、光学素子5では、常誘電体結晶Sに対し、周期的極性反転構造の形成及び維持に要する圧力を加え続けることが可能となる。そのため、光学素子5では、極性反転構造を常誘電体結晶S内に永続的に有することが可能となる。
締結工程S202は取り出し工程S203と同時並行的に行うこともできる。すなわち、ボルト83A〜83Dを締め付けて常誘電体結晶Sに加わる荷重を僅かに増加させ、これと同時またはこれに引き続いて、加圧ヒーターブロック2、3によって印加されている荷重を同じだけ減少させる。以上のステップを繰り返し、最終的に全ての荷重がボルト83A〜83Dによって負荷されている状態とした後、常誘電体結晶Sを第1及び第2の押圧手段50、60ごと第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間から取り出す。この手順によれば、常誘電体結晶Sに周期的極性反転構造が形成されている状態を維持したまま、加圧ヒーターブロック2,3によって印加されていた荷重を、押圧手段50、60による荷重に、滑らかに置き換えることが可能になる。
第1の押圧手段50の第1の主押圧部材53には、凹凸が周期的に形成されている。そのため、周期的に形成された凸の部分のみで第1の押圧手段50が常誘電体結晶Sを押圧することになる。よって、周期的な極性反転構造を有する常誘電体結晶Sを容易に得ることができる。
また、極性反転構造の形成は、常誘電体結晶Sの一端側からそれと対向する他端側に向かって作成することが好ましい。よって、高温相になる程極性を反転しやすくなる特性を利用し、常誘電体結晶Sを間に挟む第1及び第2の押圧手段10、20の間で温度差を設け、高温である第1の押圧手段50側から極性反転構造を作成していくことができる。
光学素子5では、第1及び第2の押圧手段50、60の第1及び第2の板状部材51、61を最短距離で結ぶ直線方向(Z方向)に直交するY方向で常誘電体結晶Sを見たときに、常誘電体結晶S以外が配置されていない直線が存在する。そのため、光をY方向に沿って常誘電体結晶Sに入射させる場合、光の進行経路上に遮蔽物がないため使用する上で好適である。なお、光は、常誘電体結晶Sの極性周期方向Kに沿って入射されることが好ましい。
常誘電体結晶Sは、水晶である。したがって、200nm以下の短波長の第二高調波を発生することが可能となる。
光学素子5は、押圧支持手段8を用いることで、加圧ヒーターブロック2、3よりも小さい押圧手段50、60を有することが可能となる。すなわち、第1及び第2の押圧手段50、60の間の間隔を固定する締結手段70A〜70Fは、第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3によって所要の圧力が印可されている際の第1及び第2の押圧手段50、60の間の間隔を維持するために締結されるものである。しかしながら、第1及び第2の押圧手段50、60の小型化を推し進めると、加圧ヒーターブロック2、3よりも押圧手段50、60が小さくなってしまい、その結果加圧ヒーターブロック2、3による加圧の際、締結手段70A〜70Fが加圧ヒーターブロック2、3の間に挟まれてしまう。そのような場合、加圧ヒーターブロック2、3が所要の圧力を印加している際に締結手段70A〜70Fを締結することが実際にはできなくなってしまう。
こうした問題に対し、本実施形態のように、押圧支持手段8を用いることで、押圧手段50、60を小型化することが可能となる。すなわち、押圧支持手段8のボルト83A〜83Dを締めることによって、第1及び第2の押圧手段50、60の間の間隔も固定されるので、光学素子5を第1及び第2の加圧ヒーターブロック2,3の間から取り出した後でも、第1及び第2の押圧手段50、60の間隔を固定したまま締結手段70A〜70Fを締めることができる。
また、押圧支持手段8は、ボルト83A〜83Dで固定されているだけなので、ボルト83A〜83Dを外すことで、光学素子5から簡単に取り外すことができる。これにより、小型化された光学素子5を利用することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態として、第1実施形態の光学素子を波長変換素子として用いる光源装置について説明する。図12は、波長1544nmの固体レーザー光源から波長193nmの8倍波を発生させる光源装置の構成図である。図12において、DFB構造を持つInGaAsP系半導体レーザー100は、波長1544nmで発振するように、不図示の温度調節機構によって温度コントロールされている。半導体レーザー100から出射された波長1544nmの光は、シングルモード光ファイバー101中を伝播し、アイソレーター102を通り再びシングルモード光ファイバー101中を伝播する。半導体レーザー103は、波長980nmの光又は波長1480nmの光を発振させることができる。半導体レーザー103からの光は、シングルモードファイバー104を通り、光合波装置105で波長1544nmの光と合流し、希土類元素のエルビウム(Er)をドープした光ファイバー106に入射される。ここでエルビウムドープ光ファイバー106は、半導体レーザー103からの光によって励起され、波長1544nmの光を増幅する働きを持つ。
光ファイバー106によって増幅された光は、光ファイバー端面又はコネクタ端面107より出射光108として空間に出射され、レンズ109によって第一の波長変換素子110に入射して、波長772nmの2倍波111を発生する。ここで第一の波長変換素子110は、前述した第1実施形態の光学素子からなる波長変換素子である。第一の波長変換素子110に含まれる常誘電体結晶には、波長1544nmの入射光に対して第二高調波が擬似位相整合条件を満たすように周期的極性反転構造が形成され、さらに一対の押圧手段を介して所定の圧力が加えられている。
第一の波長変換素子110で発生した波長772nmの2倍波111は、レンズ112を介して第二の波長変換素子113に入射し、波長386nmの4倍波114を発生する。ここで第二の波長変換素子113は、前述した第1実施形態の光学素子からなる波長変換素子である。第二の波長変換素子113に含まれる常誘電体結晶には、波長772nmの入射光に対して第二高調波が擬似位相整合条件を満たすように周期的極性反転構造が形成され、さらに一対の押圧手段を介して所定の圧力が加えられている。
第二の波長変換素子113で発生した波長386nmの4倍波114は、レンズ115を介して第三の波長変換素子116に入射し、波長193nmの8倍波117を発生する。ここで第三の波長変換素子116は、前述した第1実施形態の光学素子からなる波長変換素子である。第三の波長変換素子116に含まれる常誘電体結晶には、波長386nmの入射光に対して第二高調波が擬似位相整合条件を満たすように周期的極性反転構造が形成され、さらに一対の押圧手段を介して所定の圧力が加えられている。より具体的には、第三の波長変換素子116に含まれる常誘電体結晶が水晶である場合、5次の擬似位相整
合を行うためには、約9.6μmの周期で極性反転構造を形成すれば良い。
以上の構成を有する光源装置は、波長変換素子として第1実施形態の光学素子を用いているため、常誘電体結晶からなる擬似位相整合素子の極性反転構造を永続的に維持することができ、短波長のレーザー光を安定して発生することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、第1の押圧手段10、50の主押圧部材11、51と向かい合う、常誘電体結晶Sの面に、凹凸を周期的に形成することなく、第1の押圧手段10、50の主押圧部材11、51の、常誘電体結晶Sと向かい合う面に、凹凸を周期的に形成してもよい。あるいは、主押圧部材11、51及び常誘電体結晶Sの何れにも凹凸を形成しなくてもよい。あるいは、第1の押圧手段の主押圧部材11、51ではなく、第2の押圧手段の主押圧部材21、61と向かい合う、常誘電体結晶Sの面に凹凸を周期的に形成してもよい。
第1及び第2の押圧手段10、50、20、60の互いに向かい合う面を最短距離で結ぶ直線方向(Z方向)に直交する方向で光学素子を見たときに、この方向に沿った一直線上に光学素子以外が配置されていてもよい。光学素子1は、位置固定手段40A〜40Dを備えていなくてもよい。常誘電体結晶Sは常誘電体であればよく、水晶でなくてもよい。
第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3は、ヒーター機能を有さず、光学素子1、5は押圧工程において加温されなくてもよい。
締結手段30A〜30D、70A〜70Fの数は、上記実施形態及び変形例に記載した数に限られず、例えば3つ以下であっても、あるいは7つ以上であってもよい。また、締結手段30A〜30D、70A〜70Fは、ボルト及び雌ねじの組み合わせに限られず、第1及び第2の押圧手段10、50、20、60の間の間隔を固定できればよく、これらの間に所定の圧力が加わるように相互を締結できればよい。
第1及び第2の押圧手段10、50、20、60は、上記実施形態及び変形例に記載した構成に限られない。したがって、例えば、第1及び第2の主押圧部材13、52、23、63は、支持部12、52、22、62によって支持されるのではなく、例えば板状部材11、51、21、61に直接固定されていてもよい。また、第1及び第2の板状部材11、51、21、61を有さず、締結手段30A〜30D、70A〜70Fが直接第1及び第2の主押圧部材13、52、23、63の間の間隔を固定してもよい。あるいは、第1及び第2の主押圧部材13、52、23、63を有さず、第1及び第2の主押圧部材13、52、23、63が常誘電体結晶Sと直接接する部分(主押圧部)を有してもよい。
本発明の別の実施形態としては、上記実施形態の光源装置を備えた露光装置、検査装置、および加工装置を挙げることができる。これらの装置の光源装置を除く部分の構成は、例えば国際公開第2008/010417号パンフレットに記載されているものとしても良い。実施形態の一つとしての露光装置は、半導体又は表示デバイスの製造工程の一つであるフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置であって、前記光源装置と、所定の露光パターンを形成するパターン形成部と、露光対象部を保持する対象物保持部と、光源装置から出射される光をパターン形成部に照射する照明光学系と、パターン形成部からの光を前記対象物保持部に保持された露光対象物に投影する投影光学系とを有するものである。ここで露光パターン形成部は、フォトマスクを保持するマスク保持部を含んでも良く、入力信号に応じて所望の反射パターンを形成するマイクロミラーデバイス等のパターン形成手段を含んでも良い。上記露光装置においては、光源装置から出力される光が照明光学系を通してパターン形成部に導入され、パターン形成部で形成された露光パターンが、投影光学系を介して半導体ウェハ等の露光対象物に投影される。実施形態の一つとしての露光装置は、安定した出力が得られ小型軽量で配置の自由度が高いという光源装置の特性を生かし、小型でメンテナンス性、操作性が良好で、かつ長期間安定して稼動するという特徴を有する。本実施形態の露光装置は、安定した出力が得られ小型軽量で配置の自由度が高いという光源装置の特性を生かし、小型でメンテナンス性、操作性が良好で、かつ長期間安定して稼動するという特徴を有する。長期間安定して稼動するという特徴を有する。実施形態の一つとしての検査装置は、前記光源装置と、光源装置から出射される光を被検物に照射する照明光学系と、被検物からの光を検出器に投影する投影光学系と、被検物からの光を検出する検出器とを有するものである。このような検査装置の一態様としてマスク欠陥検査装置を挙げることができる。マスク欠陥検査装置は、フォトマスク上に精密に描かれたデバイスパターンをTDIセンサ(Time Delay and Integration)上に光学的に投影し、センサ画像と所定の参照画像とを比較して、その差からパターンの欠陥を抽出する。ここで光源装置からの光は、複数のレンズからなる照明光学系を通して、マスク支持台に支持されたフォトマスク上の所定領域に照射される。フォトマスクを透過した光は投影光学系を介し、検出器であるTDIセンサ上に投影され、センサ上にマスクパターンの像が結像する。かかる態様の検査装置は、フォトマスクの検査に限られず、半導体ウェハや液晶パネル等の検査にも用いることができる。本実施形態の検査装置は、安定した出力が得られ小型軽量で配置の自由度が高いという光源装置の特性を生かし、小型でメンテナンス性、操作性が良好で、かつ長期間安定して稼動するという特徴を有する。れ小型軽量で配置の自由度が高いという光源装置の特性を生かし、小型でメンテナンス性、操作性が良好で、かつ長期間安定して稼動するという特徴を有する。実施形態の一つとしての加工装置は、前記光源装置と、光源装置から放出される光を被加工物の被加工場所に照射する照射光学系と、照射光学系と被加工物の相対位置を変化させる機構とを有するものである。このような加工装置の一態様として、高分子結晶加工装置がある。高分子結晶加工装置は、光源装置から放出される光を被加工物に集光して照射する照射光学系と、照射する光の強度を調整する強度調整素子と、照射位置を調整する照射位置調整機構とを備え、被加工物である高分子結晶の所望の位置に所望の強度の光を照射できるように構成される。ここで被加工物は3次元ステージ及び/又は回転ステージに固定され、加工位置に応じて被加工物を移動できるように構成しても良い。また、本実施形態の加工装置は、加工位置を確認するために、可視光の照明装置及び位置決め用レチクルを備えた光学顕微鏡をさらに有し、被加工物を光学顕微鏡で観察した際に、レチクルの目標位置(十字線の中心等)と加工光の焦点位置とが一致するように構成されていても良い。本実施形態の加工装置は、安定した出力が得られ小型軽量で配置の自由度が高いという光源装置の特性を生かし、小型でメンテナンス性、操作性が良好で、かつ長期間安定して稼動するという特徴を有する。
以下、第1実施形態に係る光学素子の実施例について、具体的に説明する。
エッチングにより41.7μm周期の凹凸が表面に形成された水晶板(5°Yカット板)を常誘電体結晶Sとして用意した。水晶は、波長1064nmの入射光から、532nmの第二高調波発生を得るための素子として利用が期待される。
水晶を第1及び第2の押圧手段10、20の間に挟んだ状態で第1及び第2の加圧ヒーターブロック2、3の間に配置した。各押圧手段とヒータブロックの間には二硫化モリブデンを主成分とする耐熱性潤滑剤を塗布した。第1及び第2の加圧ヒーターブロックを介して印加される圧力を弱くかけながら、これらのヒーターの温度を200℃〜300℃程度に調整した。その状態で400MPa以上の圧力を第1及び第2の押圧手段10、20に印加して、水晶内に極性周期方向Kに沿って41.7μm周期の極性反転構造を形成した。極性反転構造の形成は、水晶をその側面から光学的に「その場観察」することで確認した。観察には、クロスニコル法を利用し、極性反転部と極性非反転部の光弾性定数の差を利用して、外力印加に伴う歪み起因の複屈折量の差を見て観察した。こうして観察した結果、水晶側面全域に周期的極性反転構造の形成が確認されたところで、加圧ヒーターブロック2、3の圧力を一定に保ったまま室温まで冷却し、締結手段30A〜30Dのボルト31A〜31Dを締めつけた。この際、各ボルトには均等な締め付けトルクを与え、締め付けトルクを約0.1N・m(合計軸力に換算して約0.14kN相当)増加させる毎に、加圧ヒーターブロックを介して印加する加重を同じだけ減少させた。そして最終的に極性反転構造を維持可能な荷重である約1kNの全てがボルト31A〜31Dによって印加されている状態で、光学素子1を取り出した。
こうして得られた光学素子1を波長変換素子として用いて、以下の実験を実施した。すなわち、波長1064nmの基本波を、光学素子1の常誘電体結晶である水晶の極性周期方向Kに平行な常光で入射し、波長532nmの第二高調波が極性周期方向Kに平行な常光として発生することを確認するための波長変換実験を行った。水晶Sは光線の進む長さ方向に8mm、幅方向である極性周期方向Kに1mm、厚さ方向に1mmの板状のものを用いた。基本波の入射と第二高調波の射出が行われる端面は光学研磨されている。基本波の光路中で随時発生する第二高調波間の位相差がπになる、つまり第二高調波の打ち消し合いが始まる距離であるコヒーレンス長(Lc)は、本実験条件の下では、基本波の波長をλとし、基本波の常光の屈折率をn(ω)とし、第二高調波の屈折率をn(2ω)とすると、以下の式(12)で表される。
Figure 2011118530
また、周期構造の周期dは、以下の式(13)で表される。
Figure 2011118530
ここでmはQPMの次数を表す数で自然数である。本実験では一次の擬似位相整合を行っており、周期dは41.7μmで作成した。ただし、厳密な位相整合は、基本波の入射方向を僅かに傾けることで調整した。
実験の結果、パルスレーザー平均出力3.1W、繰り返し周波数30kHz、パルス時間幅8.8nsec、ビーム直径200μmの入射基本波に対し、検出器で第二高調波120mWの信号が確認され、1064nmから532nmの波長変換が実現できていることが確認できた。
波長変換実験の結果、第1実施形態に係る光学素子1の水晶Sでは、反転分域残存のための精密な温度・圧力制御を行わずとも、容易に極性反転構造を維持できることが確認された。

Claims (27)

  1. 極性周期方向に沿って極性が周期的に反転している周期構造を有する常誘電体結晶と、
    前記常誘電体結晶をその間に挟み、前記常誘電体結晶の前記極性周期方向と交差する方向に所定の圧力を、前記常誘電体結晶に加えるための一対の押圧手段と、を備えた光学素子。
  2. 極性周期方向に沿って極性が周期的に反転している周期構造を有する常誘電体結晶と、
    前記常誘電体結晶をその間に挟む一対の押圧手段と、
    前記一対の押圧手段を介して、前記常誘電体結晶に所定の圧力が前記極性周期方向と交差する方向に加わるよう、前記一対の押圧手段を相互に固定する締結手段と、を備えた光学素子。
  3. 請求項2に記載の光学素子において、
    前記締結手段は、前記一対の押圧手段を介して、前記常誘電体結晶に所定の圧力が前記極性周期方向と略直交する方向に加わるよう、前記一対の押圧手段を相互に固定する。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記一対の押圧手段の少なくとも一方と向かい合う、前記常誘電体結晶の面には凹凸が周期的に形成されている。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記一対の押圧手段の少なくとも一方は、前記常誘電体結晶と向かい合う面を有し、当該面には凹凸が周期的に形成されている。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記一対の押圧手段は互いに向き合った面を有し、当該互いに向き合った面を最短距離で結ぶ直線方向に直交する所定の方向に沿って前記常誘電体結晶を見たときに、当該所定の方向に沿って一直線上に前記常誘電体結晶以外配置されていない。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の光学素子は、さらに、
    前記一対の押圧手段間の相対的位置を固定する位置固定手段を備える。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記常誘電体結晶は、水晶を含む。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記常誘電体結晶は、前記周期構造に対応する周期的な双晶を含む。
  10. 請求項9記載の光学素子において、
    前記双晶は、ドフィーネ双晶を含む。
  11. 請求項2〜10のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記締結手段は、前記一対の押圧手段の間の間隔を固定することで前記一対の押圧手段を相互に固定する。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記所定の圧力は、前記結晶の周期構造を維持するために十分な圧力である。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項記載の光学素子において、
    前記周期構造の周期は、10μm以下である。
  14. 請求項4又は5記載の光学素子において、
    前記凹凸の周期は、10μm以下である。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項記載の光学素子において、
    当該光学素子は、波長200nm以下の光を発生する波長変換素子を含む。
  16. 常誘電体からなる常誘電体結晶と、一対の押圧手段と、前記一対の押圧手段の間の間隔を固定する締結手段と、を備える光学素子を製造する方法であって、
    前記常誘電体結晶を前記一対の押圧手段の間に配置した状態で、前記一対の押圧手段を介して前記常誘電体結晶を、前記一対の押圧手段の互いに向き合った面を最短距離で結ぶ直線方向に沿って所定の圧力で押圧す押圧工程と、
    前記締結手段によって前記一対の押圧手段を相互に固定する締結工程と、を備えた方法。
  17. 請求項16記載の方法において、
    前記押圧工程において、その間に前記常誘電体結晶を挟んだ前記一対の押圧手段を一対の加圧手段の間に挟んだ状態で当該一対の加圧手段が前記一対の押圧手段を加圧することで、前記常誘電体結晶が前記所定の圧力で押圧され、
    当該方法は、前記締結工程の後、前記一対の押圧手段によって保持された前記常誘電体結晶を当該一対の押圧手段ごと前記一対の加圧手段の間から取り出す取り出し工程を、さらに備える。
  18. 請求項16又は17記載の方法において、
    前記押圧工程において、前記一対の押圧手段は、その一方が他方より高温になるように加温され、温度差を有する前記一対の押圧手段は、前記常誘電体結晶を押圧する。
  19. 請求項16〜18のいずれか一項記載の方法において、
    前記一対の押圧手段のうち温度が高い方の押圧手段と向かい合う、前記常誘電体結晶の面には凹凸が周期的に形成されている。
  20. 請求項16〜18のいずれか一項記載の方法において、
    前記一対の押圧手段のうち温度が高い方の押圧手段は、前記常誘電体結晶に向いた面を有し、当該面には凹凸が周期的に形成されている。
  21. 請求項16〜20のいずれか一項記載の方法において、
    前記一対の押圧手段の少なくとも一方と向かい合う、前記常誘電体結晶の面には凹凸が周期的に形成されている。
  22. 請求項16〜21のいずれか一項記載の方法において、
    前記一対の押圧手段の少なくとも一方は、前記常誘電体結晶と向かい合う面を有し、当該面には凹凸が周期的に形成されている。
  23. 請求項16〜22のいずれか一項記載の方法において、
    前記一対の押圧手段は互いに向かい合う面を有し、当該互いに向かい合う面を最短距離で結ぶ直線方向に直交する所定の方向に沿って前記常誘電体結晶を見たときに、当該所定の方向に沿って一直線上に前記常誘電体結晶以外配置されていない。
  24. 請求項16〜23のいずれか一項記載の方法において、
    前記一対の押圧手段間の相対的位置は、位置固定手段によって固定される。
  25. 請求項16〜24のいずれか一項記載の方法において、
    前記常誘電体結晶は、水晶を含む。
  26. 請求項16〜25のいずれか一項記載の方法において、
    前記締結工程において、前記所定の圧力に対応する前記一対の押圧手段の間の間隔を前記締結手段によって固定することで、前記一対の押圧手段が相互に固定される。
  27. 第一の波長の光を第二の波長の光に変換する波長変換部を備え、前記波長変換部が請求項1〜26のいずれか一項記載の光学素子を含むことを特徴とする光源装置。
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