JPWO2011114669A1 - 生体音検査装置 - Google Patents

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Abstract

被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する生体音測定部(101)と、生体音測定部(101)によって同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出部(2301)と、パワ算出部(2301)により算出された第一生体音のパワである第一パワと第二生体音のパワある第二パワとを比較し、第一パワと第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較部(2300)と、パワ比較部により算出された比較結果と、閾値とを比較することで、生体音測定部による生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断部(2304)とを備える生体音検査装置。

Description

本発明は、生体音を取得して、信号処理することにより生体の状態を推定する生体音検査装置に関する。
医師が病院等で患者を診察する場合、聴診器によって心音および肺音などの生体音を聴取することで診断を行っている。しかしながら、聴診による診断は、医師の主観的評価に基づくものであるため、正確な診断には熟練の必要があった。
肺音とは、肺および胸郭内で呼吸運動とともに発生し、正常または異常とは関係なく、心血管系を音源とする音を除く全ての音である。さらに、肺音は呼吸により気道内に生じた空気の流れを音源とする生理的な音である呼吸音と、喘鳴または胸膜摩擦音などの、病的状態で発生する異常な音である副雑音とに分類される。なお、呼吸音の音源は、比較的太い気道内であると考えられている。
肺疾患の一つとして気胸がある。気胸とは、肺と胸壁の間に気腔が形成されるものであり、理学的所見では、呼吸音の減少として現れる。そこで、気胸の状態を検出するために、スピーカから口および気管内に音波を放射し、放射された音波が患者内を伝播し、伝播してきた音波を胸壁上で測定して信号処理を行う方法が提案されている(特許文献1参照)。
この方法では、放射される音波と胸壁上で測定した音波とを用いて伝達関数を算出し、伝達関数を用いて低周波数帯域と高周波数帯域のエネルギ比を算出し、気胸の状態を検出している。
また、特許文献1では、スピーカから音波を放射する手段を利用しない方法として、胸壁上で測定した肺音を分析する方法が提案されている。この方法では、胸壁上で測定した肺音信号を用いて周波数変換し、低周波数帯域と高周波数帯域のエネルギ比を算出し、呼吸器の状態を検出している。
一方、医師が呼吸器の診断を行う場合、身体の複数箇所に聴診器を当てて肺音を聴取している。肺音を測定した位置を検出するために、肺音を測定するセンサに加速度センサを備えた装置が提案されている(特許文献2参照)。
この装置では、加速度センサの出力値を積分してセンサの移動距離を算出し、肺音の測定位置を自動検出している。
また、患者が遠隔地にいる場合の診断において、医師以外の者が患者の所定の箇所にマイクを当てて生体音を測定し、有線および無線で生体音を医師のもとに伝送して聴診する場合がある。
患者の所定の箇所にマイクが当てられていない場合でも、遠隔地にいる医師の診断を可能にするために、患者に複数のマイクを当てることにより診断を支援する装置が提案されている(特許文献3参照)。
この装置では、複数のマイクからの音響信号を用いて重みつき和を算出し、マイクが当てられていない箇所の音響信号を擬似的に作成することにより、遠隔地での診断を支援している。
特表2004−512066号公報 特開2005−27751号公報 特許第3604127号公報
従来は、生体音を信号処理によって分析する場合、身体の適切な箇所に生体音のセンサを置く必要があり、聴診に不慣れな者は、適切な聴診位置(生体音の測定位置)を探るのが難しいという問題があった。
特に、肺音および心音の聴診位置は、鎖骨および肋骨などの骨を避け、胸壁上で聴診する必要がある。また、胸壁上にセンサを当てたとしても、身体の中心線からどの程度離れた位置が適切な聴診位置になるのかを探ることは難しい。
例えば、鎖骨中線上にある聴診位置を探る場合、中線の位置を見極めるのは難しい。また、特許文献1のように、理学的所見による呼吸音の減弱を信号処理によって検出する場合、聴診位置は非常に重要である。
ここで、生体音の測定位置の適否について特許文献2の方法を利用することを検討すると、特許文献2の方法により、所定の位置からのセンサの移動量が算出されたとしても、移動後の位置が、当該被測定者に対して適しているか否かまで判断することはできない。
また、特許文献3の方法を利用しても、身体内は臓器、骨、筋肉、および脂肪等があり、身体内での生体音の伝播中に様々な反射または干渉が発生するため、複数マイクからの信号の重みつき和によって作成される音響信号では、正確な生体音の分析をすることは難しい。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、生体音の測定位置の適否を的確に判断することのできる生体音検査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体音検査装置は、被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する生体音測定部と、前記生体音測定部によって同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、前記2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出部と、前記パワ算出部により算出された前記第一生体音のパワである第一パワと前記第二生体音のパワある第二パワとを比較し、前記第一パワと前記第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較部と、前記パワ比較部により算出された前記比較結果と、閾値とを比較することで、前記生体音測定部による生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断部とを備える。
この構成によれば、2種類の生体音間におけるパワの比または差に基づいて、生体音の測定位置の適否が判断される。つまり、測定された2種類の生体音間における物理量の違いを利用することで、当該2種類の生体音の少なくとも一方が測定された位置の適否が的確に判断される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記生体音測定部は、前記生体の第一部位で生体音を測定することで、前記第一生体音を測定する第一測定部と、前記生体の、前記第一部位とは異なる第二部位で生体音を測定することで、前記第二生体音を測定する第二測定部とを有し、前記パワ比較部は、所定の周波数帯域における前記第一パワと前記第二パワとの比であるパワ比を示す前記比較結果を算出し、前記判断部は、(a)前記パワ比から所定の基準パワ比を減算した結果である差分値が、前記閾値である第一閾値以上である場合、および、(b)前記差分値が、前記第一閾値未満の値である第二閾値以下である場合に、前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断するとしてもよい。
この構成によれば、二箇所で測定された生体音間におけるパワ比が、基準パワ比との比較において大きすぎる場合、および、当該パワ比が、基準パワ比との比較において小さすぎる場合に、第二生体音の測定位置が不適切であると判断される。
つまり、二箇所で測定された生体音間のパワ比に基づいて、いずれか一方の生体音の測定位置の適否が的確に判断される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記第一測定部は、前記第一部位である胸骨切痕の位置で生体音を測定することで、前記第一生体音を測定し、前記第二測定部は、前記第二部位である胸壁上の位置で生体音を測定することで、前記第二生体音を測定するとしてもよい。
この構成によれば、生体音検査装置は、生体音の測定位置が、肺音の測定位置として適切な範囲である胸壁上の範囲にあるか否かをより正確に判断することができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置はさらに、前記判断部により前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断された場合、前記被測定者または測定者に対して、前記測定位置の変更の指示を表示する表示部を備え、前記表示部は、前記判断部による判断結果が、前記差分値が前記第一閾値以上であることを示す場合、前記測定位置を、前記生体の中心からより遠い位置に変更させるための指示を表示し、前記判断結果が、前記差分値が前記第二閾値以下であることを示す場合、前記測定位置を前記生体の中心により近い位置に変更させるための指示を表示するとしてもよい。
この構成によれば、生体音検査装置は、測定位置が不適切である場合、例えば測定者に対して測定位置の変更方向を的確に指示することができ、これにより効果的な測定支援が実現される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記表示部は、少なくとも一つの発光部を備え、前記少なくとも一つの発光部は、前記判断部により前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断された場合、発光することで前記指示を表示するとしてもよい。
この構成によれば、測定位置が不適切である場合、例えば測定者は、測定位置の変更方向を視覚的に理解することができる。つまり、変更方向の指示を測定者に容易に認識させることができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置はさらに、所定の方向を検知する方向検出部を備え、前記方向検出部は、前記判断部により前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断された場合、前記所定の方向である前記生体の上半身から下半身に向かう方向を検出し、前記表示部は、前記少なくとも一つの発光部を含む複数の発光部を有し、前記判断部による判断結果が、前記差分値が前記第一閾値以上であることを示す場合、前記複数の発光部のうちの前記第二測定部を通る軸であって、検出された前記所定の方向に平行な軸よりも右側または左側に位置する第一発光部を発光させ、前記判断結果が、前記差分値が前記第二閾値以下であることを示す場合、前記複数の発光部のうちの、前記軸を挟んで前記第一発光部とは反対側に位置する第二発光部を発光させるとしてもよい。
この構成によれば、測定位置が不適切である場合、測定者は測定位置を左右のどちらにずらすべきかを視覚的に理解することできる。つまり、測定位置の変更方向を測定者に容易に理解させることができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記判断部は、前記基準パワ比が設定された時点の、前記被測定者の体型指標値である第一体型指標値と、前記第一生体音および前記第二生体音を測定する時点の、前記被測定者の前記体型指標値である第二体型指標値と、あらかじめ設定された補正式とを用いて補正するとしてもよい。
この構成によれば、測定者の体型の変化に応じて適切に基準パワ比が補正される。そのため、例えば頻繁に基準パワ比を更新しなくても、生体音の測定位置の適否が体型の変化に応じて的確に判断される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記補正式は、前記第一体型指標値と前記第二体型指標値との差分である体型差分値と、所定の係数を積算した値を補正前の前記基準パワ比に加算する式であるとしてもよい。
この構成によれば、例えば、簡易な計算によって、基準パワ比に対する、体型の変化に追随した適切な補正が実現される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記補正式は、補正差分値を前記基準パワ比に加算する式であり、前記補正差分値は、第一予測パワ比と第二予測パワ比との差分を示す値であり、前記第一予測パワ比は、前記体型指標値から前記パワ比を予測する予測式に基づいて、前記第一体型指標値から予測される値であり、前記第二予測パワ比は、前記予測式に基づいて、前記第二体型指標値から予測される値であるとしてもよい。
この構成によれば、例えば、パワ比と体型指標値とが線形な相関関係でない場合であっても、体型の変化に応じた基準パワ比の適切な補正が実現される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記第一体型指標値および前記第二体型指標値は、身長、年齢、体重、体表面積、および、ボディ・マス・インデックスのいずれかであるとしてもよい。
この構成によれば、例えば、一般家庭でも簡単に計測できる指標を利用することで、体型の変化に応じた基準パワ比の適切な補正が実現される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置はさらに、前記差分値の符号を反転させた値を用いて、前記第二生体音を増幅する増幅部を備えるとしてもよい。
この構成によれば、例えば、不適切な測定位置で測定した生体音を、適切な測定位置で測定した生体音の信号パワに近似させることができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記パワ算出部は、(e)前記第一生体音である、第一周波数帯域における、測定された前記生体音のパワを算出することで、前記第一パワを算出し、(f)前記第二生体音である、前記第一周波数帯域とは異なる第二周波数帯域における、測定された前記生体音のパワを算出することで、前記第二パワを算出し、前記パワ比較部は、前記第一パワの時系列データにおける極大値である第一極大値と前記第一極大値を含む第一時間区間との組を少なくとも一つ検出し、かつ、前記第二パワの時系列データにおける極大値である第二極大値と前記第二極大値を含む第二時間区間との組を少なくとも一つ検出する極値検出部と、少なくとも一つの前記第一時間区間と、少なくとも一つの前記第二時間区間との間で共通する時間区間である共通時間区間を検出する共通時間区間検出部とを有し、前記第一パワと前記第二パワとの差である、前記共通時間区間に含まれる前記第一極大値と前記第二極大値との差を示す前記比較結果を算出し、前記判断部は、前記比較結果に示される差が前記閾値以下の場合、前記生体音の測定位置が不適切であると判断するとしてもよい。
この構成によれば、ある位置で測定された生体音から得られる、互いに異なる周波数帯域における2種類の生体音それぞれのパワ(第一パワおよび第二パワ)が算出される。
また、第一パワと第二パワとが同じようなタイミングで極大値をとっている共通時間区間が検出される。さらに、共通時間区間における第一パワの極大値と第二パワの極大値との差分が閾値以下の場合に、生体音の測定位置が不適切であると判断される。
つまり、簡単にいうと、共通時間区間における第一パワの極大値と第二パワの極大値とが近い場合、例えば、第一パワの極大値が、第二パワの影響を大きく受けていると判断される。
すなわち、本態様の生体音検査装置によれば、ある臓器を音源とする生体音の測定を目的とする場合に、測定された生体音が、他の臓器からの音に大きな影響を受けているか否かに基づいて、生体音の測定位置の適否を的確に判断することができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置はさらに、前記生体音の第三周波数帯域に含まれるパワが所定値以下である低雑音区間を検出する雑音区間検出部を備え、前記判断部は、前記共通時間区間検出部により、前記低雑音区間内で前記共通時間区間が検出されない場合、前記測定位置が適切であると判断するとしてもよい。
この構成によれば、例えば、生体音の測定位置が適切な範囲内にあるか否かが、精度よくかつ短時間に判断される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置はさらに、前記判断部により前記測定位置が不適切であると判断された場合、前記被測定者または測定者に対して、前記測定位置の変更の指示を表示する表示部を備えるとしてもよい。
この構成により、例えば、測定位置が不適切である場合、生体音検査装置は測定位置の変更を被測定者または測定者へ指示することができ、これにより効果的な測定支援が実現される。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記生体音は所定の骨の近傍の所定位置において測定されるべき音であり、前記表示部は、前記判断部により前記測定位置が不適切であると判断された場合、前記測定位置を前記所定の骨から離れる方向に変更する指示を表示するとしてもよい。
この構成により、測定位置が不適切である場合、例えば測定者に、測定位置を変更させる方向を正しく理解することができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記表示部は、少なくとも一つの発光部を備え、前記少なくとも一つの発光部は、前記判断部により前記測定位置が不適切であると判断された場合、発光することで前記指示を表示するとしてもよい。
この構成によれば、例えば、測定位置が不適切である場合、測定者は、測定位置の変更方向を視覚的に理解することができる。つまり、変更方向の指示を測定者に容易に認識させることができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置はさらに、所定の方向を検知する方向検出部を備え、前記方向検出部は、前記判断部により前記測定位置が不適切と判断された場合、前記所定の方向である前記生体の上半身から下半身に向かう方向を検出し、前記表示部は、前記少なくとも一つの発光部を含む複数の発光部を有し、前記判断部により前記測定位置が不適切と判断された場合、前記複数の発光部のうちの、最も前記所定の方向側に配置された発光部を発光させるとしてもよい。
この構成によれば、例えば、測定者は、測定位置を変更させる方向を視覚的に理解することができ、適切な位置を早く探ることができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記第一周波数帯域は、前記第二周波数帯域よりも低い周波数成分を含むとしてもよい。
この構成によれば、例えば、測定位置が適切か否かを判断できる精度を向上させることができる。
また、本発明の一態様に係る生体音検査装置において、前記第三周波数帯域は、1kHz以下の肺音の周波数成分が含まれる帯域であるとしてもよい。
この構成によれば、例えば、被測定者が呼吸をしている場合であっても、測定位置が適切か否かを精度よくかつ短時間で判断することができる。
また、本発明は、上記いずれかの態様に係る生体音検査装置が実行する特徴的な処理を含む生体音検査方法として実現することもできる。また、当該生体音検査方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現すること、および、そのプログラムが記録された記録媒体として実現することもできる。そして、そのプログラムをインターネット等の伝送媒体又はDVD等の記録媒体を介して配信することもできる。
また、本発明は、上記いずれかの態様に係る生体音検査装置の構成の一部または全部を含む集積回路として実現することもできる。
本発明によれば、生体音の測定位置の適否を的確に判断することのできる生体音検査装置を提供することができる。
例えば、本発明の一態様に係る生体音検査装置は、生体音の測定位置が、鎖骨または肋骨等の骨に近すぎる不適切な位置であるか否か、および身体中心線からの距離が指定された距離とは異なる、胸壁上の不適切な位置であるか否かを判断することができる。
図1は、実施の形態1における生体音検査装置の基本的な構成を示すブロック図である。 図2は、実施の形態1における生体音測定部の構成概要を示す図である。 図3は、実施の形態1の信号処理部の基本的な構成を示すブロック図である。 図4は、実施の形態1の生体音検査装置の基本的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図5は、信号処理部において生体音測定部による測定位置が適切であるか否かを判断する処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図6は、心音の周波数特性の一例を示す図である。 図7Aは、鎖骨付近で測定した生体音信号の20Hz以上かつ80Hz以下の周波数帯域のパワの時系列データを示す図である。 図7Bは、図7Aに示すデータから心音低域極大値とその時間区間を検出し、他の時間区間の値を0でマスクした場合の時系列データを示す図である。 図8Aは、鎖骨付近で測定した生体音信号の300Hz以上かつ400Hz以下の周波数帯域のパワの時系列データを示す図である。 図8Bは、図8Aに示すデータから心音高域極大値とその時間区間を検出し、他の時間区間の値を0でマスクした場合の時系列データを示す図である。 図9Aは、図7Bと図8Bの時系列データを用いて検出された共通時間区間を示す図である。 図9Bは、低周波数帯域および高周波数帯域のパワの時系列データにおける共通時間区間として検出されない部分の一例を示す図である。 図9Cは、低周波数帯域および高周波数帯域のパワの時系列データにおける共通時間区間として検出される部分の一例を示す図である。 図10Aは、胸壁上で測定した生体音の低域パワと高域パワの時系列データの一例を示す図である。 図10Bは、図10Aに示すデータから検出された共通時間区間を示す図である。 図11は、実施の形態2における信号処理部の基本的な構成を示すブロック図である。 図12は、実施の形態2の生体音検査装置における共通時間区間の検出に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図13は、胸壁上で測定した肺音の周波数特性の一例を示す図である。 図14は、実施の形態3における生体音測定部の構成概要を示す図である。 図15は、生体音の測定位置が不適切であると判断された場合に、生体音測定部の警告灯を点灯させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図16は、実施の形態4における生体音検査装置の基本的な構成を示すブロック図である。 図17は、実施の形態4における信号処理部の構成例を示す図である。 図18は、信号処理部において生体音測定部の測定位置が胸壁上の適切な測定位置であるか否かを判断する処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図19は、健常者と喘息患者の2群間における肺音のパワ比の比較結果を示す図である。 図20は、身長と肺音のパワ比との相関の一例を示す相関図である。 図21Aは、同一個人での右鎖骨下における異なる測定位置の例を示す図である。 図21Bは、図21Aに示す各測定位置に対応する肺音のパワ比の測定結果を示す図である。 図22は、実施の形態5における生体音検査装置によって測定位置が適切でないと判断された場合の警告表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。 図23は、警告灯が点灯される場合の測定位置の一例を示す図である。 図24は、実施の形態6における生体音検査装置の処理の流れの一例を示す図である。 図25は、年齢とパワ比との相関の一例を示す相関図である。 図26は、体表面積と肺音のパワ比との相関の一例を示す相関図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における生体音検査装置100の基本的な構成を示すブロック図である。
生体音検査装置100は、生体音を測定する生体音測定部101と、生体音測定部101で測定した生体音信号を増幅する増幅部102と、増幅部102で増幅された生体音信号をデジタルデータに変換するA/D処理部103と、A/D処理部103でデジタルデータに変換された生体音信号を分析する信号処理部104と、生体音検査装置100での処理を制御する制御部105と、信号処理部104で利用する情報、および、生体音信号の分析結果を記録する記録部106と、測定者に生体音信号の分析結果および警告等を表示する表示部107とを備える。
まず、生体音測定部101の構成について、図2を用いて説明する。
図2は、実施の形態1における生体音測定部101の構成概要を示す図である。
図2に示すように、生体音測定部101は、生体内を伝播する生体音の振動を空気の振動に変換するダイヤフラム部201と、ダイヤフラム部201で空気振動に変換された生体音を伝播させる空間部202と、空間部202を伝播してきた生体音を電気信号に変換するマイクロフォン203と、マイクロフォン203で電気信号に変換された生体音信号を伝送するためのリード線204と、充填部205とを備える。
なお、充填部205には、外部からの環境雑音による振動が空間部202に伝播しないように、例えば、ゴム素材またはゲル等の制振材が充填されている。
次に、信号処理部104の構成について、図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態1の信号処理部104の基本的な構成を示すブロック図である。
信号処理部104は、互いに異なる2種類の音である第一生体音および第二生体音それぞれのパワを算出するパワ算出部2301と、算出された2種類の生体音のパワ(第一パワおよび第二パワ)を比較するパワ比較部2300と、パワ比較部2300による比較結果に示される共通時間区間における極大値の差に基づいて測定位置の適否を判断する判断部2304とを備える。
また、パワ比較部2300は、算出されたパワの時系列データの極値をそれぞれ検出する極値検出部2302と、極大値を有するそれぞれの時間区間を比較し、共通時間区間を検出する共通時間区間検出部2303とを有する。
なお、実施の形態1における生体音検査装置100は、図3に示すように、少なくとも、生体音測定部101と、パワ算出部2301と、パワ比較部2300と、判断部2304とを備えていればよい。
以上説明した構成を備える生体音検査装置100の基本的な処理の流れを、図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態1の生体音検査装置100の基本的な処理の流れの一例を示すフローチャートである。
なお、後述する実施の形態4および6における生体音検査装置1300の基本的な処理の流れも、図4に示す処理の流れと同様である。
生体音測定部101は、被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する(S100)。
パワ算出部2301は、生体音測定部によって測定された、互いに異なる2種類の音のうちの一方の音である第一生体音のパワ(第一パワ)、および、当該2種類の音のうちの他方の音である第二生体音のパワ(第二パワ)を算出する(S100)。
本実施の形態では、パワ算出部2301は、第一パワおよび第二パワとして、デジタル化された生体音信号の、第一周波数帯域におけるパワと第二周波数帯域におけるパワとを算出する。
パワ比較部2300は、算出された第一パワと第二パワとを比較し、第一パワと第二パワとの比または差を示す比較結果を算出する(S120)。
本実施の形態では、パワ比較部2300が有する極値検出部2302が、第一パワと第二パワそれぞれの時系列データの極大値(第一極大値および第二極大値)を検出する。また、パワ比較部2300が有する共通時間区間検出部2303が、第一極大値に対応する時間区間と、第二極大値に対応する時間区間との間で共通する共通時間区間を検出する。
パワ比較部2300はさらに、第一極大値と第二極大値との差を示す比較結果を算出する。
判断部2304は、当該比較結果に示される差が閾値以下の場合、当該生体音の測定位置が不適切であると判断する(S130)。
次に、上記の基本的な処理を実行する生体音検査装置100において、生体音信号が入力された場合の動作の詳細について図5を用いて説明する。
図5は、信号処理部104において、生体音測定部101による測定位置が適切であるか否かを判断する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
この一連の処理により、例えば、測定位置が、鎖骨または肋骨等の骨に近すぎる不適切な位置であるか否かが判断される。
パワ算出部2301は、A/D処理部103から生体音信号を受け取ると、心音の時間区間とその強さを抽出するために、心音の周波数帯域における低周波数帯域のパワを算出する(S300)。
この低周波数帯域は、第一周波数帯域の一例であり、低周波数帯域における生体音は第一生体音の一例である。また、低周波数帯域におけるパワは、第一パワの一例である。
この低周波数帯域のパワの算出は例えば、85msecを1フレームとし、21msec経過するごとに1フレームのパワを算出することで行われる。
図6は、心音の周波数特性の一例を示す図であり、実線は心音を示し、破線は心音測定時の背景ノイズを示す。
図6に示すように、心音のスペクトル成分の多くは、400Hz以下の周波数帯域に含まれている。このため、パワを算出する周波数帯域は、400Hz以下の周波数帯域であればよい。特に、20Hz以上かつ80Hz以下である周波数帯域であることが望ましい。この帯域は、心音の時間区間とその強さを高精度に検出できる可能性が高いという特徴を有しているためである。
図7Aに、鎖骨付近で測定した生体音信号の20Hz以上かつ80Hz以下の周波数帯域のパワの時系列データを示す。
図7Aでは、心音のI音とII音がパワのピークとして現れている。I音とは、心室収縮期の開始時に発生する音であり、II音とは、心室拡張期の開始時に発生する音である。図7Aの場合、例えば、測定開始直後に現れる20dB強のパワのピークがI音であり、その直後に現れている15dB強のパワのピークがII音である。その後、I音とII音が交互に現れている。なお、I音およびII音のパワのレベルは、個人によって異なり、同一個人であっても変化する場合がある。
次に、極値検出部2302は、S300で算出された心音の低周波数帯域のパワの時系列データから、極大値とその極大値が含まれる時間区間を検出する(S301)。検出される極大値およびその時間区間は、心音のI音またはII音が現れている時間区間に相当する。
また、検出される極大値およびその時間区間は、第一極大値および第一時間区間の一例であり、少なくとも一つの極大値とその時間区間が検出される。
この極大値および時間区間は、例えばI音およびII音の出現時間が5フレーム分の時間長に相当する場合、時間区間はこの5フレームの時間区間を指し、極大値は各フレームごとに算出される5つのパワのうちの最大値を指す。
極大値の検出は、パワの時系列データを時間軸方向に微分し、微分値が正から負に変化した時刻のパワが所定値以上である場合、極大値(以下、「心音低域極大値」という。)として検出する。
この所定値は、微分値が正から負に変化した時刻から10秒以前におけるパワの時系列データの平均パワとしてもよいし、最大値から10dB減算した値としてもよい。また、この所定値は、これに限ったものでなく、微分値が正から負に変化した時刻より以前のパワの時系列データの最小値以上かつ最大値以下を満たすような値に設定すればよい。
なお、心音低域極大値が短い時間区間で複数個検出される場合は、局所最大値となる心音低域極大値を一つ選択する。
また、心音低域極大値が含まれる時間区間については、パワの時系列データから極小値を検出し、心音低域極大値の前後で検出される極小値の時刻を当該時間区間の開始と終了時刻とすることで検出される。
極小値の検出は、パワの時系列データを時間軸方向に微分し、微分値が負から正に変化した時刻のパワが所定値以下である場合、極小値として検出する。なお、極大値および極小値の検出は、他の方法を用いても構わない。
図7Bは、図7Aに示すデータから心音低域極大値とその時間区間を検出し、他の時間区間の値を0でマスクした場合の時系列データを示す図である。
パワ算出部2301は、A/D処理部103から受け取った生体音信号を用いて、心音の周波数帯域における高域のパワを算出する(S302)。
心音のスペクトル成分の多くは400Hz以下であるため、パワを算出する周波数帯域は400Hz以下であり、S300でパワの算出対象とした周波数帯域(例えば20Hz以上かつ80Hz以下)より大きい周波数帯域を含んでいればよい。
特に、300Hz以上かつ400Hz以下の周波数帯域であることが望ましい。300Hz以上かつ400Hz以下の周波数帯域の心音は、肋骨または鎖骨等による骨伝導では、あまり減衰せずに伝播するが、骨以外の組織、例えば、筋肉、脂肪、または肺などを伝播する場合は、骨伝導と比較して大きく減衰する。
従って、この周波数帯域の心音パワは、その大きさの違いが、鎖骨付近とそれ以外とで顕著に現れ、生体音の測定位置の適否を高精度に判断できる可能性が高いという特徴を有している。
なお、この周波数帯域(高周波数帯域)は第二周波数帯域の一例であり、高周波数帯域における生体音は第二生体音の一例である。また、高周波数帯域におけるパワは、第二パワの一例である。
つまり、本実施の形態では、第一周波数帯域は、第二周波数帯域よりも低い周波数成分を含んでいる。
図8Aに、鎖骨付近で測定した生体音信号の300Hz以上かつ400Hz以下の周波数帯域のパワの時系列データを示す。図8Aに示すデータでは、心音によるパワのピークと、呼吸時の肺音によるパワの盛り上がりとが含まれる。
つまり、簡単にいうと、S300で測定された低周波数帯域の生体音は、主として心音であり、S302で測定された高周波数帯域の生体音は、主として心音と肺音との混合音である。
極値検出部2302は、S302で算出した心音の高周波数帯域のパワの時系列データから、極大値(以下、「高域極大値」ともいう。)と高域極大値が含まれる時間区間とを検出する(S303)。
検出される高域極大値およびその時間区間は、第二極大値および第二時間区間の一例であり、極値検出部2302により、高域極大値と、当該高域極大値を含む時間区間との組が少なくとも一つ検出される。
S303における検出方法は、上述のS301で用いた検出方法と同様のものを利用してもよい。図8Bは、図8Aに示すデータから高域極大値とその時間区間を検出し、他の時間区間の値を0でマスクした場合の時系列データを示す図である。
共通時間区間検出部2303は、S301で検出された少なくとも一つの時間区間と、S303で検出された少なくとも一つの時間区間とを比較することで、共通する時間区間である共通時間区間を検出する(S304)。
つまり、低周波数帯域の時系列データと高周波数帯域での時系列データとの間で、同一または近いタイミングで極大値を頂点とするパワの上昇および下降曲線が存在する時間区間が検出される。
なお、共通時間区間の検出、つまり、極大値を含む時間区間が低周波数帯域の時系列データと高周波数帯域での時系列データとの間で同じであるか否かの判別において、区間の始端または終端の時刻が必ずしも全く同じである必要はなく、所定値以内の時間差であればよい。
この所定値は、心音のI音のピークとII音のピークとは異なる時間区間に対応すると識別しておく必要があるため、300msec以下の値を選択することが望ましい。
図9Aに、図7Bと図8Bの時系列データを用いて検出された共通時間区間を示す。なお、検出された共通時間区間以外の時間区間は0でマスクされている。また、実線は心音低域極大値に相当する時間区間のパワであり、破線は高域極大値に相当する時間区間のパワである。
ここで、共通時間区間について図9Bおよび図9Cを用いて簡単に説明する。
図9Bは、低周波数帯域および高周波数帯域のパワの時系列データにおける共通時間区間として検出されない部分の一例を示す図である。
図9Cは、低周波数帯域および高周波数帯域のパワの時系列データにおける共通時間区間として検出される部分の一例を示す図である。
図9Bに示すように、それぞれが心音低域極大値に対応する時間区間[a]および[b]は、高域極大値に対応する時間区間[c]に含まれている。しかし、時間区間[a]および[b]それぞれの始端および終端と、時間区間[c]の始端および終端とは大きく離れているため、共通時間区間検出部2303は、時間区間[a]、[b]、[c]のいずれについても共通時間区間とは判断しない。
また、図9Cに示すように、心音低域極大値に対応する時間区間[d]の始端および終端と、高域極大値に対応する時間区間[e]の始端および終端とは、完全に同一ではないものの非常に近い(例えば、共通時間区間についての閾値以下)である。そのため、共通時間区間検出部2303は、時間区間[d]または[e]を、共通時間区間として検出する。
ここで、図9Bにおける、時間区間[c]は、時間区間[a]および[b]と同期していないため、呼吸時における肺音の変化に対応する時間区間であると考えられる。
一方、図9Cにおける、時間区間[d]は、時間区間[e]と同期していると言え、この同期は、偶然によるものか、または、心音が、高周波数帯域のスペクトル成分に影響を与えたために発生したものかのいずれかであると考えられる。
つまり、共通時間区間における高域極大値との心音低域極大値との差(例えば、図9Cにおける“D”)が比較的小さい場合、生体音の測定位置が、骨または肋骨等の骨に近すぎる不適切な位置であるために、骨伝導による心音が高周波数帯域に大きな影響を与えていると推認される。
そこで、判断部2304は、共通時間区間における心音低域極大値と高域極大値との差分値が、所定の閾値以下である場合、測定位置は不適切であると判断する。具体的な処理の流れは以下の通りである。
パワ比較部2300は、S304で検出された共通時間区間において、心音低域極大値と高域極大値の差分、例えば、心音低域極大値から高域極大値を減算した値を算出する。判断部2304は、算出された差分値を所定の閾値と比較する(S305)。
判断部2304は、差分値が所定の閾値以下である場合(S305でYes)、測定位置は、鎖骨または肋骨等の骨に近すぎる不適切な位置であると判断する(S306)。
この時、制御部105は、表示部107で測定者に対して生体音の測定位置が骨に近すぎる位置であることを警告する。
また、判断部2304は、差分値が所定の閾値よりも大きい場合(S305でYes)、当該測定位置は適切であると判断する(S307)。
例えば、所定の閾値が5dBであり、図9Cに示す“D”が5dB以下である場合、つまり、当該共通時間区間([d]または[e])に対応する差分値Dが所定の値以下である場合、当該生体音の測定位置は、鎖骨に近すぎる不適切な位置であると判断される。
なお、図9Aに示すように、複数の共通時間区間が検出された場合、判断部2304は、少なくとも一つの時間区間における差分値が所定の閾値以下である場合に、測定位置が不適切であると判断してもよい。これにより、例えば、測定位置が実際に適切な位置ではない場合に、当該測定位置が不適切であることが確実に判断される。
また、判断部2304は、例えば、所定の数以上の共通時間区間の差分値が所定の閾値以下である場合に、定位置が不適切であると判断してもよい。これにより、例えば、何らかのノイズが混ざることによる誤判断の発生を抑制することができる。
また、この所定の閾値は使用するマイクロフォン等によって異なるが、不適切な測定位置と適切な測定位置とが判別できる程度の値を、実験的にまたは論理的に求め、この求めた値を閾値として採用すればよい。
なお、S300およびS302において、各周波数帯域のパワを算出する場合、該当する周波数帯域の帯域通過フィルタを通過した生体音信号のパワを利用してもよい。また、A/D処理部103から受け取った生体音信号に対して周波数変換を行い、生体音信号のパワースペクトルから該当する周波数帯域のパワを算出してもよい。
図10Aおよび図10Bに、右鎖骨中線上第二肋間の位置で測定した生体音信号に関するデータを示す。
具体的には、図10Aにおいて、実線は20Hz以上かつ80Hz以下のパワの時系列データであり、破線は300Hz以上かつ400Hz以下のパワの時系列データである。また、図10Bは、図10Aの時系列データに対して、上述のS300からS304までの処理を適用して得られる共通時間区間を表している。実線は20Hz以上かつ80Hz以下のパワに相当し、破線は300Hz以上かつ400Hz以下のパワに相当する。
胸壁上で生体音を測定する場合、心音は肺を伝播する間に減衰される。特に、肺は低域通過フィルタのような特性をもつため、心音の高周波数帯域のパワは低周波数帯域のパワに比べて顕著に減衰する。
このため、図10Bのように、心音低域極大値と高域極大値の差分は大きくなる。例えば、所定の閾値が5dBの場合、S306において、図10Bに示す各共通時間区間における差分値は所定の閾値より大きくなり、その結果、308で適正位置と判断される。
以上のようにして、生体音検査装置100は、測定した生体音に含まれる心音を利用し、生体音の測定位置が、鎖骨または肋骨等の骨に近すぎる不適切な位置であるか否かを判断することができる。
なお本実施の形態では、生体音測定部101がリード線204を介して生体音信号を伝送するとして説明したが、これに限ったものではなく、リード線204の替わりに無線送信機で生体音信号を伝送してもよい。
この構成によると、リード線204が不要となり、例えば、生体音測定時に、リード線204の身体への接触等による振動、または、電磁波などの影響により、リード線204からノイズが混入することを防ぐことができる。
また、生体音検査装置100は、測定位置が適切であると判断された場合にのみ、疾病等の判別のための生体音分析を開始するとしてもよい。この構成によって、生体音検査装置100で検査される肺音は常に正しい位置で測定された生体音であることを保証することができる。従って、医師が生体音の分析結果を確認する場合、信頼性の高い肺音分析結果に基づいて診断することができる。
また、生体音測定部101は、マイクロフォン203を用いて生体音を検出するとしたが、加速度センサを用いて生体音を検出してもよい。この場合、ダイヤフラム部201および空間部202は不要となる。この結果、空気振動によって伝播してくる環境雑音が、ダイヤフラム部201または空間部202を介して生体音に混入してしまう可能性を低減することができる。
また、本実施の形態では、生体音のパワの表現について、自然対数を用いたデシベル表記を想定していたため、極大値間の差分算出には減算を用いていた。しかし、極大値間の差分算出に自然対数を用いない場合は、除算、もしくはビットシフト演算を用いることになる。
以上述べた実施の形態1についての補足事項は、他の実施の形態でも同じである。
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2における生体音検査装置100が備える信号処理部104の基本的な構成を示すブロック図であり、図12は、実施の形態2の生体音検査装置100における共通時間区間の検出に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
以下、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を用い、説明を省略する。
雑音区間検出部2401は、パワ算出部2301が算出した生体音信号のパワから、肺音レベルの小さい低雑音区間を検出する(S900)。
図13は、胸壁上で測定した肺音の周波数特性の一例を示す図である。図13が示す通り、肺音のスペクトル成分は1kHz以下に多く含まれる。また、図6に示す通り、心音のスペクトル成分の多くは100Hz以下に含まれる。
従って、パワ算出部2301は、100Hz以上かつ1kHz以下の周波数帯域に含まれるパワを算出する。雑音区間検出部2401は、パワ算出部2301で算出されたパワが所定値以下となる時間区間を低雑音区間として検出する。なお、1kHz以下の肺音の周波数成分が含まれる帯域は、第三周波数帯域の一例である。
雑音区間検出部2401は、S301で検出された、それぞれが低周波数帯域の極大値(心音低域極大値)を含む複数の時間区間の中から、低雑音区間に含まれる時間区間を検出する(S901)。この結果、肺音のレベルが小さい時間区間である低雑音区間における心音区間が検出される。
共通時間区間検出部2402は、S901で検出された時間区間と、S303で検出された時間区間とで共通する時間区間を検出する(S902)。
この結果、肺音のレベルが小さい時間区間において、心音の低周波数帯域と高周波数帯域の両周波数帯域でパワのレベルが高い時間区間が共通時間区間として検出されることになる。
判断部2403は、S902で共通時間区間の検出が成功したか否かを判断し(S903)、S903で共通時間区間の検出に成功したと判断した場合(S903でYes)、S305以降の処理を実施する。
また、判断部2403は、S903で共通時間区間の検出に失敗したと判断した場合(S903でNo)、測定位置は、鎖骨または肋骨などの骨に近すぎない適切な位置であると判断する(S904)。
心音の高周波数帯域と肺音の周波数帯域とは重なるため、呼吸区間中は心音のスペクトル成分が肺音のスペクトル成分にマスクされてしまうことがある。このため、肺音のレベルが小さい時間区間の方が、心音の低周波数帯域と高周波数帯域とで共通する時間区間の検出が容易になる。
一方、肺音のレベルが小さい時間区間にもかかわらず、心音の低周波数帯域のパワが大きく、心音の高周波数帯域のパワが小さければ、骨伝導によって心音がセンサに混入している可能性は低い。そのため、測定位置は骨に近すぎない位置であると判断することができる。
また、肺音レベルの小さい時間区間における心音を利用すれば、測定開始から、測定位置が適切であるか否かの判断までに要する時間を短くすることができる。
例えば、図5のフローチャートのように、肺音レベルの小さい時間区間である低雑音区間を考慮せずに、共通時間区間を検出してから測定位置が適切か否かを判断する場合、図10Aのような生体音信号の例であれば、早くても測定開始から約4秒経過しないと判断することができない(図10B参照)。
しかしながら、図10Aの実線によると、測定開始から2秒経過した辺りで心音の低周波数帯域のパワが大きくなっており、さらに、図10Aの破線によれば、パワの盛り上がりがなく肺音レベルが小さくなっている。
従って、S901において、低雑音区間における心音低域極大値の時間区間として検出される。しかしながら、この時間区間は、破線が示すパワが小さく高域極大値は検出されないため、共通時間区間としては検出されない。つまり、S903で時間区間の検出に失敗したと判断される。この結果、S904において、測定位置は適切であると判断される。
このように、低雑音区間を考慮することにより、測定開始から2秒程度で、測定位置が適切か否か判断される。そのため、例えば、被測定者にあまり負担を掛けずに、測定位置が適切か否かの判断が終了するまで息こらえをしてもらうことができ、その結果、より短時間で判断することも可能である。
以上のようにして、生体音検査装置100は、低雑音区間を用いることで、生体音の測定位置が鎖骨または肋骨等の骨に近すぎる位置か否かを精度よく短時間に判断することができる。
なお、実施の形態2における生体音検査装置100は、図11に示すように、少なくとも、生体音測定部101と、パワ算出部2301と、パワ比較部2300と、雑音区間検出部2401と、判断部2403とを備えていればよい。
(実施の形態3)
図14は、実施の形態3における生体音測定部1100の構成概要を示す図である。
なお、実施の形態3における生体音検査装置100の、生体音測定部1100以外の構成は、基本的には実施の形態1または2における生体音検査装置100と同様である。
以下、実施の形態1または2と同様の構成については、同じ符号を用い、説明を省略する。
生体音測定部1100は、所定の方向を検出する方向検出部1101と、生体音の測定位置が不適切である場合に警告灯を点灯する発光部1102、1103、1104、および1105とを備える。
つまり、本実施の形態では、発光部1102〜1105を有する表示部107が生体音測定部1100に配置されているとも表現できる。
次に、実施の形態3の生体音検査装置100において、生体音の測定位置が不適切であると判断された場合の動作について図15を用いて説明する。
図15は、生体音の測定位置が不適切であると判断された場合に、生体音測定部1100の警告灯を点灯させる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
判断部2304または2403により生体音の測定位置が不適切と判断されると、生体音測定部1100の方向検出部1101は、所定の方向を検出する。具体的には、重力の方向を検出する(S1200)。なお、方向検出部1101としては、ジャイロセンサまたは加速度センサなどが採用される。
次に、制御部105は、発光部1102〜1105のうち、最も重力の方向側に配置された発光部を選択する(S1201)。なお、最も重力の方向側の発光部として二つの発光部が存在する場合は、該当する二つの発光部を選択してもよい。
次に、S1201で選択された発光部は、警告灯を点灯する(S1202)。
つまり、生体音の測定の際に、生体音測定部1100がどのような方向(図14の上図における周方向)で被測定者に当てられているかに関わらず、その時点で鉛直下方に最も近い発光部が選択され、発光される。
以上のように、本実施の形態における生体音検査装置100は、発光部を備えている。具体的には、生体音測定部1100に発光部1102〜1105が配置されている。これにより、測定者は、生体音測定部1100および測定位置から目をそらすことなく、測定位置が適切か否かを確認することができる。
例えば、測定者が鎖骨に近すぎる位置に生体音測定部1100を当てた場合、測定位置が鎖骨に近すぎる不適切な位置であると判断され、重力の方向、つまり生体音測定部1100を移動させる方向(胸壁の方向)の発光部により警告灯が点灯される。この結果、測定者は、適切な測定位置を簡単に探すことが可能となる。
なお、生体音の測定位置が肋骨上であった場合、肋間に生体音測定部1100を移動させるように、肋間の方向に配置された発光部が発光されることになる。
また、生体音測定部1100は、発光部を一つだけ備えてもよい。この場合、方向検出部1101は不要となる。この場合、測定位置が不適切と判断されれば、当該一つの発光部により警告灯が点灯される。この結果、測定者は、少なくとも測定位置が適切か否かを確認することが可能となる。
また、生体音測定部1100の部品数を減らすことができるため、低コストの生体音測定部1100を製造することが可能となる。また、生体音測定部1100の小型化および軽量化も可能となり、生体音の測定感度を向上させることができる。
なお、生体音測定部1100は、発光部の代わりにスピーカ等の音出力部を備え、測定位置が不適切と判断されれば警告音を鳴らすような構成であってもよい。この場合も同様に低コストの生体音測定部1100を製造でき、かつ小型化および軽量化も可能となる。
また、本実施の形態では、方向検出部1101が重力方向を検知するとしたが、方向検出部1101が検出する所定の方向は、重力方向に限らない。方向検出部1101は、例えば、鎖骨がある方向またはその逆方向、つまり身体上部の方向(下半身から上半身に向かう方向)または身体下部の方向(上半身から下半身に向かう方向)を検知してもよい。
この場合、充填部205またはダイヤフラム部201に歪みセンサを備え、歪みを検出する箇所は鎖骨および肋骨上であることを利用し、身体下部の方向を検知するようにしてもよい。例えば、生体音測定部1100に複数の歪みセンサを備え、歪みを検出した方向とは逆の方向を身体下部の方向としてもよい。この結果、測定時の被測定者が仰臥位など直立の姿勢でない場合であっても、身体下部の方向を検知することが可能となる。
また、方向検出部1101は、生体音測定部1100が備えていなくてもよい。例えば、生体音測定部1100の外部に備えられたセンサにより方向検出部1101が実現されてもよい。
また、発光部1102〜1105は、生体音測定部1100に配置されていなくてもよく、例えば、信号処理部104等を内蔵する、生体音検査装置100の本体に配置されていてもよい。この場合、発光部1102〜1105のそれぞれは、例えば生体音測定部1100が備える方向検出部1101による方向の検出結果を受信し、その検出結果に応じて発光すればよい。
(実施の形態4)
図16は、実施の形態4における生体音検査装置1300の基本的な構成を示すブロック図であり、図17は、実施の形態4における信号処理部1304の構成例を示す図である。以下、実施の形態1と同様の構成については、同じ符号を用い、説明を省略する。
生体音検査装置1300は、実施の形態1における生体音検査装置100の構成に、さらに、生体音を測定する生体音測定部1301と、生体音測定部1301で測定した生体音信号を増幅する増幅部1302と、増幅部1302で増幅された生体音信号をデジタルデータに変換するA/D処理部1303とを備え、かつ、信号処理部104に代えて、信号処理部1304を備える。
信号処理部1304は、A/D処理部103およびA/D処理部1303でデジタルデータに変換された生体音信号を分析する。
生体音測定部1301は、生体音測定部101(図2参照)と同じ構成を備える。また、図17に示すように、信号処理部1304は、二つの生体音測定部(1301および101)で測定された2種類の生体音のパワを算出し、当該2種類の生体音間のパワ比を算出するパワ比算出部2501と、算出されたパワ比と基準パワ比とを比較して測定位置の適否を判断する判断部2502を有する。
なお、パワ比算出部2501によって、本発明の一態様に係る生体音検査装置におけるパワ算出部およびパワ比較部の機能が実現される。
また、生体音測定部1301および101により測定される2種類の生体音は、第一生体音および第二生体音の一例である。また、パワ比算出部2501により算出される二つの生体音のパワは、第一パワおよび第二パワの一例である。
また、生体音測定部1301は第一測定部の一例であり、生体音測定部101は第二測定部の一例である。
また、実施の形態4における生体音検査装置1300は、図17に示すように、少なくとも、生体音測定部101と、生体音測定部1301と、パワ比算出部2501と、判断部2502とを備えていればよい。
次に、生体音検査装置1300において、生体音信号が入力された場合の動作について図18を用いて説明する。
図18は、信号処理部1304において、生体音測定部101の測定位置が、胸壁上の適切な測定位置であるか否かを判断する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
A/D処理部103およびA/D処理部1303のそれぞれから生体音信号を受け取ると、パワ比算出部2501は、これら生体音信号間における、肺音の低周波数帯域のパワの比を算出する(S1400)。
ここで、図13に示すように、肺音のスペクトル成分の多くは、1kHz以下の周波数帯域に含まれている。このため、パワ比を算出する周波数帯域は、1kHz以下の周波数帯域であればよい。
しかしながら、図6に示されるように、100Hz以下の周波数帯域には、心音のスペクトル成分が多く含まれる。このため、心音の影響が少なく、かつ、肺音を測定するための低周波数帯域として、特に100Hz以上かつ200Hz以下の周波数帯域であることが望ましい。
パワ比の算出は、二つの生体音信号の100Hz以上かつ200Hz以下のパワをそれぞれ算出し、算出したパワの比を算出することで行われる。各生体音信号のパワの算出は、各生体音信号に対して周波数変換を行い、各生体音信号のパワースペクトルから算出したい周波数帯域のパワを算出してもよい。パワ比算出の他の方法として、周波数変換によって各生体音信号のスペクトルを算出し、クロススペクトル法を用いてパワ比を算出してもよい。
次に、判断部2502は、生体音検査装置1300で事前に測定し、記録部106に記録しておいた基準パワ比と、S1400で算出したパワ比との差分を算出する。具体的には、判断部2502は、算出したパワ比から基準パワ比を減算した値を差分値として、差分値が第一閾値以上であるか否かを判定する(S1401)。
なお、第一閾値は、測定の目的である生体音の種類に応じて決定される測定位置、その再現性、および被験者の年齢等に依存し、実験によって決められる。例えば、成人であって、右鎖骨中線上第二肋間の位置が正しい測定位置である場合、第一閾値は、“2dB”としてもよい。
判断部2502は、差分値と第一閾値との比較の結果、差分値が第一閾値以上である場合(S1401でYes)、生体音測定部101の測定位置が適正位置よりも身体の中心側に近い位置であると判断する(S1402)。
また、判断部2502は、差分値が第一閾値より小さい場合(S1401でNo)、差分値が、第一閾値未満の値である第二閾値以下か否かを判定する(S1403)。
なお、第二閾値も、測定の目的となる生体音の種類に応じて決定される測定位置、その再現性、および被験者の年齢などに依存し、実験によって決められる。また、第二閾値は、第一閾値の符号を反転させた値としてもよい。例えば、成人であって、右鎖骨中線上第二肋間の位置が正しい測定位置である場合、第二閾値は、“−2dB”としてもよい。
判断部2502は、比較の結果、差分値が第二閾値以下である場合(S1403でYes)、測定位置が適正位置よりも身体の外側に近い位置であると判断する(S1404)。また、判断部2502は、差分値が第二閾値より大きい場合(S1403でNo)、測定位置は適切であると判断する(S1405)。
ここで、各処理ステップについて詳細に説明する。
S1401で用いる基準パワ比は、適正な測定位置で測定した肺音の低周波数帯域のパワ比とする。基準パワ比の算出方法および周波数帯域は、S1400と同様のものとする。
また、生体音測定部101の測定位置は、診断等のために生体音を聴診したい位置とする。生体音測定部1301の測定位置は、副雑音でない肺音(つまり呼吸音)の音源を高S/Nで測定するために、気管から体表面までの距離が短く、かつ、頚動脈および頸静脈の血流音が混入しにくい胸骨切痕で測定することが望ましい。
また、パワ比の分母は、胸骨切痕で測定した生体音に関するパワであり、分子は、聴診したい位置の生体音に関するパワとする。
このように、互いに異なる部位で測定された肺音間の低周波数帯域のパワ比によって測定位置が適切か否かを判断できる理由としては以下の理由があげられる。
すなわち、呼吸時に肺を伝播する肺音の低周波数帯域のパワが、疾病の有無による影響を受けにくく、かつ、肺音が伝播する距離に大きく依存して減衰することがあげられる。なお、距離による肺音の低周波数帯域のパワの減衰は、例えば体格差による減衰の違いによって確認できる。
図19に、健常者と喘息患者の2群間における、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比の比較結果を示す(被験者数は262)。
測定位置は、胸骨切痕と右鎖骨中線上第二肋間である。図19に示す通り、各群における太線で示された平均値について有意な差は認められない。従って、100Hz以上かつ200Hz以下の肺音のパワ比は、喘息の有無による影響は受けないと言える。
また、図20は、身長と肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比との相関を示す相関図である(被験者数は262)。図20に示す通り、身長とパワ比には、有意な相関関係(相関係数=−0.484、有意確率<0.001)が認められる。
なお、測定位置は、胸骨切痕と右鎖骨中線上第二肋間である。また、同じ身長でもパワ比にバラツキがあるのは、脂肪または筋肉の量等による個人差が大きく影響している。一般に、身長が大きくなれば肺も大きくなっており、その結果、肺が伝播する距離も長くなっていると考えられる。
従って、同一個人の場合には、上記二箇所で測定された肺音間の低周波数帯域のパワ比は、疾病による影響を受けにくく、脂肪および筋肉等の変化による影響も少なく、かつ、肺音が伝播する距離と関係がある測定位置に大きく依存することとなる。
また、図21Aは、同一個人での右鎖骨下における異なる測定位置の例を示す図であり。図21Bは、図21Aに示す各測定位置に対応する、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比の測定結果である。
なお、測定位置3は右鎖骨中線上第二肋間の位置であり、そこから25mmおよび50mmずつ身体中心側および外側にずらした位置で測定している。
図21Bに示すように、身体の中心線から外側の測定位置に移動するに従って、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比が減少していることがわかる。肺音は、副雑音以外の場合、呼吸に伴って比較的太い気道内に生じた空気の流れによる乱流騒音および気道壁の振動が、肺を伝播して胸壁上で聴取されるものである。音源となる比較的太い気道は、身体の中心側に位置している。図21Bは、肺音が、身体の中心線から遠ざかるに従って大きく減衰していることを意味する。
図18におけるS1401以降の処理について、図21Aおよび図21Bを用いて説明する。
例えば、基準パワ比を測定した適切な位置を測定位置3(パワ比は−16.5dB)とし、再検査時に測定した位置が測定位置5(パワ比は−10.7dB)であるとする。また、第一閾値を1.0dBとし、第二閾値が−1.0dBとする。
まず、S1401において、差分値は、(−10.7)−(−16.5)=5.8dBと計算される。
次に、S1402において、差分値は、第一閾値以上となり、S1403において、測定位置は、適切な位置より中心側にずれていると判断される。
一方、再検査時に測定した位置が測定位置1(パワ比は−24.5dB)である場合、S1401において、差分値は(−24.5)−(−16.5)=−8.0dBと計算される。
S1402では、差分値は第一閾値以上とはならないが、S1403において、差分値は第二閾値以下と判断される。この結果、S1405において、測定位置は、適切な位置より外側にずれていると判断される。
なお、第一閾値および第二閾値は、上述のように、測定の目的となる生体音の種類に応じて決定される測定位置と、その再現性の精度に依存して決められる。例えば、適正位置が右鎖骨中線上第二肋間(測定位置3)の位置であって、測定位置の誤差を適正位置から±25mm以内の範囲におさめる場合には、第一閾値を+2dB,第二閾値を−2dBに設定することは有効と考えられる。
もちろん、第一閾値と第二閾値の絶対値が異なっていてもよい。例えば、第一閾値を+2dBとし、第二閾値を−2.5dBとしても構わない。
S1403およびS1405で、測定位置が適切でないと判断された場合、制御部105は、表示部107による情報表示により、測定位置が不適切であること、または、測定位置の変更を測定者に指示してもよい。
さらに、S1403において、測定位置が身体の中心側に近い位置にあると判断された場合、制御部105は、表示部107に、利用者に測定位置が身体の中心側に近すぎることを表示させ、これにより、測定位置を外側(身体の中心からより遠い位置)に変更させる指示を行うように表示部107を制御してもよい。
同様にして、S1405において、測定位置が身体の外側に近い位置であると判断された場合、制御部105は、表示部107に、測定位置が身体の外側に近すぎる(身体の中心から遠すぎる)ことを表示させ、これにより、測定位置を内側(身体の中心により近い位置)に変更する指示を行わせてもよい。
なお、基準パワ比の測定に関して、いつ、誰が、適正な測定位置で測定しておくかが問題となる。例えば、慢性疾患等により、定期的に病院で診察または検査を受けている患者の場合、病院での医師または検査技師等の専門家による肺音の検査の際に、適切な測定位置で測定した肺音の低周波数帯域のパワ比を基準パワ比として利用することができる。
病院で測定された基準パワ比を記録部106に記録しておけば、在宅であっても、かつ、測定者が一般人であったとしても、専門家が測定した位置と近い位置で体調管理のために生体音を測定することが可能となる。
なお、生体音検査装置1300が、メモリカード等の外部記録媒体との入出力インタフェースを備えれば、患者は、在宅で測定した結果をメモリカード等に記録して病院に持参できるようになる。
この場合、病院での検査時に測定された基準パワ比をメモリカードに記録し、帰宅後、当該住宅内の生体音検査装置1300に接続すれば、簡単に基準パワ比の設定および更新を行うことができる。もちろん、メモリカードの代わりに、インターネット等を経由し、病院と当該住宅との間でデータの送受信を行っても構わない。
以上のようにして、生体音検査装置1300は、生体音の測定に不慣れな者であっても、専門家等が生体音を測定する位置と近い位置で測定することができる。この結果、信頼性の高い日常管理データを取得することができ、入院または毎日の通院、および頻繁な訪問介護を受けることなく、在宅で病気の憎悪および治療の経過の管理、または病気の早期発見を行うことができる。
なお本実施の形態では、測定位置が不適切と判断された場合、表示部107で測定者に警告を表示するとして説明した。しかし、S1401で用いられる差分値に基づいて、生体音測定部101で測定した生体音信号を補正するように、信号処理部1304または増幅部102が制御されてもよい。
例えば、差分値に−1を乗じたレベルだけ、生体音信号における肺音の周波数帯域を増幅させてもよい。例えば、差分値が3dBである場合、生体音測定部101で測定した生体音信号に対して、肺音の周波数帯域である1kHz以下の帯域を−3dB増幅させてもよい。
つまり、増幅部102は、差分値の符号を反転させた値を用いて、第二生体音を増幅してもよい。
この構成によると、測定位置が正しい位置でなくても、測定位置を変更する必要はない。つまり、不適切な測定位置で測定した生体音を、適切な測定位置で測定した生体音の信号パワに近似させることができる。
また、測定位置が不適切だと判断されていない場合でも、S1401での差分値に基づいて、生体音測定部101で測定した生体音信号を補正するように、信号処理部1304または増幅部1302が制御されてもよい。
この構成によると、測定位置がある程度正しい位置であっても、測定している生体音信号のパワのレベルを、適切な位置で測定した時の生体音信号のパワにより近似させることができ、生体音分析による診断精度の向上が可能となる。
(実施の形態5)
図22は、実施の形態5における生体音検査装置1300によって測定位置が適切でないと判断された場合の警告表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
なお、実施の形態5における生体音測定部1100の構成は、図14に示す実施の形態3における生体音測定部1100の構成と同様である。
また、実施の形態5における生体音検査装置1300は、実施の形態4における生体音検査装置1300と同様の構成である。
生体音検査装置1300において、生体音の測定位置が不適切と判断されると、生体音測定部1100の方向検出部1101は、S1800において、方向検出部1101を用いて、所定の方向を検出する。本実施の形態では、所定の方向として重力の方向を検出する。
なお、生体音測定部1100が有する方向検出部1101としては、ジャイロセンサまたは加速度センサなどが採用される。また、実施の形態3と同様に、生体音測定部1100により検出される所定の方向は、重力の方向に限ったものではなく、他のセンサを用いて鎖骨がある方向またはその逆方向である、身体上部または身体下部の方向を検知してもよい。
以下、方向検出部1101が重力方向を検出する場合を例にとり、処理を説明するが、重力方向を、身体下部方向と言い換えても同様の処理が行われる。
次に、制御部105は、測定位置の判断結果が、身体の中心側であるか否かを判断する(S1801)。
さらに、制御部105は、測定位置が身体の中心側と判断されていれば、生体音測定部1100において、重力方向の軸より左側(測定者に向かって左側)に配置されている一つまたは複数の発光部を選択する(S1802)。
なお、当該重力方向の軸は、生体音測定部1100を通過し重力方向に平行な軸であり、例えば、生体音測定部1100の平面視(図14の上図参照)における中心を通り、かつ、重力方向に平行な軸である。
一方、制御部105は、測定位置が身体の中心側と判断されていなければ、重力方向の軸より右側に配置されている一つまたは複数の発光部を選択する(S1803)。
S1802およびS1803で選択された発光部は、発光することで警告灯を点灯する(S1804)。
例えば、図23に示すように、測定者が、適切な測定位置から身体の中心に近い位置に生体音測定部を当てた場合を想定する。この場合、生体音検査装置1300は、生体音の測定位置が身体の中心側に近い位置であると判断し、身体の外側に位置する発光部に警告灯を点灯させる。これにより、測定者に測定位置を身体の外側に移動させるように指示することができる。
なお、上記の例は正しい測定位置が右肺にある場合の例である。正しい測定位置が左肺にある場合は、S1802およびS1803で選択する発光部は上記の説明と逆の方向にある発光部を選択することになる。正しい位置が右肺か左肺にあるかは、測定の目的となる生体音の種類によって異なり、事前に決めておけばよい。
以上のようにして、測定者は、生体音測定部1100または測定位置から目をそらすことなく、測定位置が適切か否かを確認することができ、簡単に適切な測定位置を探すことが可能となる。
なお、生体音測定部1100は、発光部を一つだけ備えてもよい。この場合、方向検出部1101は不要となる。この場合、測定位置が不適切と判断されれば、当該一つの発光部により警告灯が点灯される。この結果、測定者は、少なくとも測定位置が適切か否かを確認することが可能となる。
また、生体音測定部1100の部品数を減らすことができるため、低コストの生体音測定部を製造することが可能となる。また、生体音測定部1100の軽量化も可能となり、生体音の測定感度を向上させることができる。
また、実施の形態5における生体音測定部1100も、実施の形態3と同様に、スピーカ等の音出力部を備えてもよい。
さらに、実施の形態5においても、実施の形態3と同様に、方向検出部1101および発光部1102〜1105は、生体音測定部1100以外に配置されていてもよい。
(実施の形態6)
図24は、実施の形態6における生体音検査装置1300の処理の流れの一例を示す図である。
以下、実施の形態4と同様の構成については、同じ符号を用い、説明を省略する。
実施の形態6における生体音検査装置1300は、実施の形態4における生体音検査装置1300と同様に、例えば図18に示す処理の流れを実行する。しかし、S1401の処理において特徴的な処理を実行する。
そこで、図24を用いて、実施の形態6における生体音検査装置1300が、図18におけるS1401において、基準パワ比と測定した肺音のパワ比との差分を算出する際の処理の流れを説明する。
判断部2502は、基準パワ比を設定した時点と、生体音を再測定しようとする時点との体型を示す体型指標値と、記録部106にあらかじめ記録されている補正式とに基づいて、基準パワ比を補正する(S2000)。補正方法の詳細については、後述する。
さらに判断部2502は、S2001において、補正された基準パワ比とS1400で算出したパワ比との差分を算出し、この差分値に基づいて比較処理を実施する。
以下に、S2000における補正方法について説明する。
体型指標値が年齢である場合、補正式は、例えば(式1)となる。
NewPowR=OrgPowR−0.583*δY (式1)
NewPowRは補正後の基準パワ比であり、OrgPowRは、最初に設定された基準パワ比であり、δYは、基準パワ比が設定された時点から再測定するまでの経過年数である。例えば、最初に設定された日から半年経過していれば、δY=0.5となる。
仮に、10歳の子供について、最初に設定した基準パワ比が−8dBであり、基準パワ比を設定してから半年後に再測定する場合、基準パワ比は−8.2915dB(−8−0.583*0.5)に補正される。
なお、体型指標値が年齢である場合は、生体音検査装置1300は、例えばあるユーザについて最初に測定する際に、ユーザが年齢を入力できるインタフェース部を有し、記録部106に体型指標値として記録しておけばよい。
また、測定するごとにそのインタフェース部を介して年齢情報を更新してもよいし、上記の例のように測定日と年齢の対応がわかるように記録部106に記録しておき、次の測定日との差分から次の測定時の年齢を判断してもよい。
(式1)の係数−0.583は、図25に示す、年齢と、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比との回帰直線における傾きである。
年齢とパワ比とには、有意な相関関係(相関係数=−0.495、有意確率<0.001)が認められる。図25における回帰直線は、例えば(式2)となる。
PowR=−0.583*Y−2.252 (式2)
PowRは肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比であり、Yは年齢である。
また、基準パワ比の補正式は、2次以上の回帰曲線から導出しても構わない。仮に、回帰曲線がPowR=f1(Y)とすると、補正式は(式3)のようになる。
NewPowR=OrgPowR+(f1(Y2)−f1(Y1)) (式3)
なお、Y1は最初に基準パワ比を設定した時の年齢であり、Y2は再測定する時の年齢である。
また、f1(Y)は予測式の一例であり、f1(Y1)およびf1(Y2)は、第一予測パワ比および第二予測パワ比の一例である。
なお、成長による体型の変化は思春期辺りで鈍化するため、パワ比と年齢の回帰直線の傾きから補正式を作る場合、例えば15歳以下の子供に対して適用するなどの対象年齢を定めてもよい。
また、基準パワ比の補正は、身長による体型指標値と補正式とから算出してもよい。前述の図20は、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比と身長との相関図である。この場合、身長とパワ比の回帰直線は、例えば(式4)となる。
PowR=−0.102*H+5.91 (式4)
Hは身長(cm)である。なお、身長を体型指標値とする場合も、生体音検査装置1300はインタフェース部を有し、それを介してユーザが身長を入力してもよい。また、インタフェース部が、例えば身長測定機器と接続されることで、ユーザの身長を取得してもよい。もしくはSDカードなどの外部メモリから、インタフェース部を介して測定時の身長を読み込んでもよい。
この結果、身長を用いた基準パワ比の補正式は、例えば(式5)のようになる。
NewPowR=OrgPowR−0.102*δH (式5)
δHは、最初に基準パワ比を設定した時から再測定するまでの身長差である。例えば、ある子供が120cmの時に設定した基準パワ比が−5dBであり、130cmになった時に生体音を再測定する場合、基準パワ比は、−6.02dB(−5−0.102*10)に補正される。
なお、身長による2次以上の回帰曲線から基準パワ比の補正式を導出しても構わない。この場合、補正式は(式6)のようになる。
NewPowR=OrgPowR+(f2(H2)−f2(H1)) (式6)
関数f2は、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比と身長とについての回帰曲線であり、予測式の一例である。また、H1は最初に基準パワ比を設定した時の身長であり、H2は生体音を再測定する際の身長である。
また、f2は予測式の一例であり、f2(H1)およびf2(H2)は、第一予測パワ比および第二予測パワ比の一例である。
また、基準パワ比の補正は、体表面積による体型指標値と補正式とから算出してもよい。図26は、体表面積と肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比との相関の一例を示す相関図である。
なお、体表面積は、(式7)を用いて身長と体重から算出した予測値を用いているが、他の予測式を用いても構わない。また、身長および体重は、上記で記載した通り、インタフェース部から取得すればよい。
BSA=H^(0.663)*W^(0.444)*0.008883 (式7)
BSAは体表面積(m^2)であり、Hは身長(cm)、Wは体重(kg)である。図26において、体表面積とパワ比とには、有意な相関関係(相関係数=−0.518、有意確率<0.001)が認められる。この場合、回帰直線は、例えば(式8)となる。
PowR=−6.947*BSA−0.416 (式8)
従って、体表面積を用いた基準パワ比の補正式は、例えば(式9)のようになる。
NewPowR=OrgPowR−6.947*δBSA (式9)
δBSAは、最初に基準パワ比を設定した時と再測定時との体表面積の差である。例えば、ある子供が1.0m^2の体表面積の時に設定した基準パワ比が−9dBであり、体表面積が1.1m^2になった時に生体音を再測定する場合、基準パワ比は、−9.6947dB(−9−6.947*0.1)に補正される。
なお、体表面積による2次以上の回帰曲線から基準パワ比の補正式を導出しても構わない。この場合、補正式は(式10)のようになる。
NewPowR=OrgPowR+(f3(BSA2)−f3(BSA1))(式10)
関数f3は、肺音の100Hz以上かつ200Hz以下のパワ比と体表面積についての回帰曲線であり、BSA1は最初に基準パワ比を設定した時の体表面積であり、BSA2は再測定する時の体表面積である。
また、f3は予測式の一例であり、f3(BSA1)およびf3(BSA2)は、第一予測パワ比および第二予測パワ比の一例である。
ここで、身長または体表面積による補正であれば、各個人の成長の度合いに応じた補正を行うことができる。また、年齢等による制限も考慮する必要はない。
同様の手法を用いれば、体重またはBMIを用いた基準パワ比の補正も可能である。一方、年齢による補正であれば、一度年齢を設定すれば、再測定の際には、生体音検査装置が経過時間を自動で算出することが可能なため、測定のたびに身長および体重等を入力する必要がなく、測定者による煩わしい操作が不要となる。また、入力ミスによる間違いも回避することができる。
なお、基準パワ比が設定された時点の年齢等の体型指標値は第一体型指標値の一例であり、再測定の時点の年齢等の体型指標値は第二体型指標値の一例である。また、δY、δH、およびδBSAのそれぞれは、体型差分値の一例である。
以上のようにして、基準パワ比を設定してから長時間が経過し、体型が変化して肺音の伝播する距離が変化したとしても、体型指標値による基準パワ比の補正が可能となる。この結果、医療機関に頻繁に行くことができず、長期間基準パワ比を更新することができなくても、在宅での日々の生体音管理が可能となる。
なお、上記で説明した回帰直線および補正式は一例であって、これに限ったものではなく、他の係数および定数から構成される式であってもよい。これら数値は所定の実験において算出された係数であって、体格の増大に従ってパワ比は減少していくため、回帰直線から導出される補正式の場合、傾き係数が負数であればほぼ同様に使用することができると考えられる。
また、補正式は、複数の体型指標値から構成される式であってもよい。この場合、補正式は、例えば、複数の体型指標値とパワ比の重回帰分析を用いて求めてもよい。さらに、補正式は、性別で異なる構成であってもよい。
上記では、パワ比の表現について、自然対数を用いたデシベル表記を想定しているが、自然対数を用いない場合は、上記の内容に応じた修正が必要となる。
(その他の変形例)
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。
例えば、生体音検査装置100および1300による測定の目的となる生体音は、肺音および心音以外であってもよい。例えば、生体内の所定の箇所を流れる血流音が測定の目的であってもよい。
この場合、生体音検査装置100または1300によれば、測定された、周波数帯域または測定位置の互いに異なる2種類の生体音から、当該測定位置が、目的となる血流音の測定に適しているか否かを判断することが可能である。
さらに、以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)上記の各装置の全部、もしくは一部を、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクユニットなどから構成されるコンピュータシステムで構成した場合。前記RAMまたはハードディスクユニットには、上記各装置と同様の動作を達成するコンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置はその機能を達成する。
(2)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、一つのシステムLSI(Large Scale Integration(大規模集積回路))から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、上記各装置と同様の動作を達成するコンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
(3)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(4)本発明は、上記に示すコンピュータの処理で実現する方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録したものとしてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどである。また、本発明は、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
また前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を、前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(5)上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
以上のように、本発明に係る生体音検査装置は、生体音測定に不慣れな人でも、正確な位置で生体音を測定することができるという効果ある。従って、病院等で、医師による外来の診察または入院患者の回診の前に、看護師が患者の生体音を事前に測定しておけば、診察時の医師による聴診の手間を省くこと、つまり、診察時間を短縮することが可能になる。
また、遠隔医療等で、患者の近くに医師がいない場合にも、一般人が正しい位置で生体音を測定することが可能なため、測定した生体音を医師に伝送すれば、問診以上のより詳細な診察が受けることができる。
さらには、慢性疾患等の在宅管理でも、一般人が正確な聴診位置で生体音を測定することが可能となる。従って、医師は、信頼性の高い日々の生体音を確認することができるため、治療経過の確認および疾病の憎悪の検知など、外来のみの診察では困難だった慢性疾患の管理が容易になる。
100,1300 生体音検査装置
101,1100,1301 生体音測定部
102,1302 増幅部
103,1303 A/D処理部
104,1304 信号処理部
105 制御部
106 記録部
107 表示部
201 ダイヤフラム部
202 空間部
203 マイクロフォン
204 リード線
205 充填部
1101 方向検出部
1102,1103,1104,1105 発光部
2300 パワ比較部
2301 パワ算出部
2302 極値検出部
2303、2402 共通時間区間検出部
2304、2403、2502 判断部
2401 雑音区間検出部
2501 パワ比算出部
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る生体音検査装置は、被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する生体音測定部と、前記生体音測定部によって同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、前記2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出部と、前記パワ算出部により算出された前記第一生体音のパワである第一パワと前記第二生体音のパワある第二パワとを比較し、前記第一パワと前記第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較部と、前記パワ比較部により算出された前記比較結果と、閾値とを比較することで、前記生体音測定部による生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断部とを備える。
パワ算出部2301は、生体音測定部によって測定された、互いに異なる2種類の音のうちの一方の音である第一生体音のパワ(第一パワ)、および、当該2種類の音のうちの他方の音である第二生体音のパワ(第二パワ)を算出する(S10)。
つまり、共通時間区間における高域極大値と心音低域極大値との差(例えば、図9Cにおける“D”)が比較的小さい場合、生体音の測定位置が、骨または肋骨等の骨に近すぎる不適切な位置であるために、骨伝導による心音が高周波数帯域に大きな影響を与えていると推認される。
また、判断部2304は、差分値が所定の閾値よりも大きい場合(S305でNo)、当該測定位置は適切であると判断する(S307)。
また、判断部2304は、例えば、所定の数以上の共通時間区間の差分値が所定の閾値以下である場合に、定位置が不適切であると判断してもよい。これにより、例えば、何らかのノイズが混ざることによる誤判断の発生を抑制することができる。
このため、図10Bのように、心音低域極大値と高域極大値の差分は大きくなる。例えば、所定の閾値が5dBの場合、S30において、図10Bに示す各共通時間区間における差分値は所定の閾値より大きくなり、その結果、30で適正位置と判断される。
図13は、胸壁上で測定した肺音の周波数特性の一例を示す図である。図13が示す通り、肺音のスペクトル成分は1kHz以下に多く含まれる。また、図6に示す通り、心音のスペクトル成分が特に強く出ているのは100Hz以下である
なお、測定位置は、胸骨切痕と右鎖骨中線上第二肋間である。また、同じ身長でもパワ比にバラツキがあるのは、脂肪または筋肉の量等による個人差が大きく影響している。一般に、身長が大きくなれば肺も大きくなっており、その結果、肺が伝播する距離も長くなっていると考えられる。
次に、S140において、差分値は、第一閾値以上となり、S140において、測定位置は、適切な位置より中心側にずれていると判断される。
S140では、差分値は第一閾値以上とはならないが、S1403において、差分値は第二閾値以下と判断される。この結果、S140において、測定位置は、適切な位置より外側にずれていると判断される。
S140およびS140で、測定位置が適切でないと判断された場合、制御部105は、表示部107による情報表示により、測定位置が不適切であること、または、測定位置の変更を測定者に指示してもよい。
さらに、制御部105は、測定位置が身体の中心側と判断されていれば、生体音測定部1100において、重力方向の軸より左側(被験者に向かって左側)に配置されている一つまたは複数の発光部を選択する(S1802)。

Claims (22)

  1. 被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する生体音測定部と、
    前記生体音測定部によって同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、前記2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出部と、
    前記パワ算出部により算出された前記第一生体音のパワである第一パワと前記第二生体音のパワある第二パワとを比較し、前記第一パワと前記第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較部と、
    前記パワ比較部により算出された前記比較結果と、閾値とを比較することで、前記生体音測定部による生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断部と
    を備える生体音検査装置。
  2. 前記生体音測定部は、
    前記生体の第一部位で生体音を測定することで、前記第一生体音を測定する第一測定部と、
    前記生体の、前記第一部位とは異なる第二部位で生体音を測定することで、前記第二生体音を測定する第二測定部とを有し、
    前記パワ比較部は、所定の周波数帯域における前記第一パワと前記第二パワとの比であるパワ比を示す前記比較結果を算出し、
    前記判断部は、(a)前記パワ比から所定の基準パワ比を減算した結果である差分値が、前記閾値である第一閾値以上である場合、および、(b)前記差分値が、前記第一閾値未満の値である第二閾値以下である場合に、前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断する
    請求項1記載の生体音検査装置。
  3. 前記第一測定部は、前記第一部位である胸骨切痕の位置で生体音を測定することで、前記第一生体音を測定し、
    前記第二測定部は、前記第二部位である胸壁上の位置で生体音を測定することで、前記第二生体音を測定する
    請求項2記載の生体音検査装置。
  4. さらに、前記判断部により前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断された場合、前記被測定者または測定者に対して、前記測定位置の変更の指示を表示する表示部を備え、
    前記表示部は、
    前記判断部による判断結果が、前記差分値が前記第一閾値以上であることを示す場合、前記測定位置を、前記生体の中心からより遠い位置に変更させるための指示を表示し、
    前記判断結果が、前記差分値が前記第二閾値以下であることを示す場合、前記測定位置を前記生体の中心により近い位置に変更させるための指示を表示する
    請求項3記載の生体音検査装置。
  5. 前記表示部は、少なくとも一つの発光部を備え、
    前記少なくとも一つの発光部は、前記判断部により前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断された場合、発光することで前記指示を表示する
    請求項4記載の生体音検査装置。
  6. さらに、所定の方向を検知する方向検出部を備え、
    前記方向検出部は、前記判断部により前記第二生体音の測定位置が不適切であると判断された場合、前記所定の方向である前記生体の上半身から下半身に向かう方向を検出し、
    前記表示部は、
    前記少なくとも一つの発光部を含む複数の発光部を有し、
    前記判断部による判断結果が、前記差分値が前記第一閾値以上であることを示す場合、前記複数の発光部のうちの前記第二測定部を通る軸であって、検出された前記所定の方向に平行な軸よりも右側または左側に位置する第一発光部を発光させ、
    前記判断結果が、前記差分値が前記第二閾値以下であることを示す場合、前記複数の発光部のうちの、前記軸を挟んで前記第一発光部とは反対側に位置する第二発光部を発光させる
    請求項5記載の生体音検査装置。
  7. 前記判断部は、前記基準パワ比が設定された時点の、前記被測定者の体型指標値である第一体型指標値と、前記第一生体音および前記第二生体音を測定する時点の、前記被測定者の前記体型指標値である第二体型指標値と、あらかじめ設定された補正式とを用いて補正する
    請求項6記載の生体音検査装置。
  8. 前記補正式は、前記第一体型指標値と前記第二体型指標値との差分である体型差分値と、所定の係数を積算した値を補正前の前記基準パワ比に加算する式である
    請求項7記載の生体音検査装置。
  9. 前記補正式は、補正差分値を前記基準パワ比に加算する式であり、
    前記補正差分値は、第一予測パワ比と第二予測パワ比との差分を示す値であり、
    前記第一予測パワ比は、前記体型指標値から前記パワ比を予測する予測式に基づいて、前記第一体型指標値から予測される値であり、
    前記第二予測パワ比は、前記予測式に基づいて、前記第二体型指標値から予測される値である
    請求項7記載の生体音検査装置。
  10. 前記第一体型指標値および前記第二体型指標値は、身長、年齢、体重、体表面積、および、ボディ・マス・インデックスのいずれかである
    請求項7〜9のいずれか一項に記載の生体音検査装置。
  11. さらに、前記差分値の符号を反転させた値を用いて、前記第二生体音を増幅する増幅部を備える
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の生体音検査装置。
  12. 前記パワ算出部は、(e)前記第一生体音である、第一周波数帯域における、測定された前記生体音のパワを算出することで、前記第一パワを算出し、(f)前記第二生体音である、前記第一周波数帯域とは異なる第二周波数帯域における、測定された前記生体音のパワを算出することで、前記第二パワを算出し、
    前記パワ比較部は、
    前記第一パワの時系列データにおける極大値である第一極大値と前記第一極大値を含む第一時間区間との組を少なくとも一つ検出し、かつ、前記第二パワの時系列データにおける極大値である第二極大値と前記第二極大値を含む第二時間区間との組を少なくとも一つ検出する極値検出部と、
    少なくとも一つの前記第一時間区間と、少なくとも一つの前記第二時間区間との間で共通する時間区間である共通時間区間を検出する共通時間区間検出部とを有し、
    前記第一パワと前記第二パワとの差である、前記共通時間区間に含まれる前記第一極大値と前記第二極大値との差を示す前記比較結果を算出し、
    前記判断部は、前記比較結果に示される差が前記閾値以下の場合、前記生体音の測定位置が不適切であると判断する
    請求項1記載の生体音検査装置。
  13. さらに、前記生体音の第三周波数帯域に含まれるパワが所定値以下である低雑音区間を検出する雑音区間検出部を備え、
    前記判断部は、前記共通時間区間検出部により、前記低雑音区間内で前記共通時間区間が検出されない場合、前記測定位置が適切であると判断する
    請求項12記載の生体音検査装置。
  14. さらに、前記判断部により前記測定位置が不適切であると判断された場合、前記被測定者または測定者に対して、前記測定位置の変更の指示を表示する表示部を備える
    請求項12または13記載の生体音検査装置。
  15. 前記生体音は所定の骨の近傍の所定位置において測定されるべき音であり、
    前記表示部は、前記判断部により前記測定位置が不適切であると判断された場合、前記測定位置を前記所定の骨から離れる方向に変更する指示を表示する
    請求項13に記載の生体音検査装置。
  16. 前記表示部は、少なくとも一つの発光部を備え、
    前記少なくとも一つの発光部は、前記判断部により前記測定位置が不適切であると判断された場合、発光することで前記指示を表示する
    請求項14または15に記載の生体音検査装置。
  17. さらに、所定の方向を検知する方向検出部を備え、
    前記方向検出部は、前記判断部により前記測定位置が不適切と判断された場合、前記所定の方向である前記生体の上半身から下半身に向かう方向を検出し、
    前記表示部は、
    前記少なくとも一つの発光部を含む複数の発光部を有し、
    前記判断部により前記測定位置が不適切と判断された場合、前記複数の発光部のうちの、最も前記所定の方向側に配置された発光部を発光させる
    請求項16記載の生体音検査装置。
  18. 前記第一周波数帯域は、前記第二周波数帯域よりも低い周波数成分を含む
    請求項12〜17のいずれか一項に記載の生体音検査装置。
  19. 前記第三周波数帯域は、1kHz以下の肺音の周波数成分が含まれる帯域である
    請求項13〜18のいずれか一項に記載の生体音検査装置。
  20. 被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する生体音測定ステップと、
    前記生体音測定ステップにおいて同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、前記2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出ステップと、
    前記パワ算出ステップにおいて算出された前記第一生体音のパワである第一パワと前記第二生体音のパワある第二パワとを比較し、前記第一パワと前記第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較ステップと、
    前記パワ比較ステップにおいて算出された前記比較結果と、閾値とを比較することで、前記生体音測定ステップにおける生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断ステップと
    を含む生体音検査方法。
  21. 被測定者の生体の内部を伝播する振動に基づく生体音を測定する生体音測定ステップと、
    前記生体音測定ステップにおいて同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、前記2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出ステップと、
    前記パワ算出ステップにおいて算出された前記第一生体音のパワである第一パワと前記第二生体音のパワある第二パワとを比較し、前記第一パワと前記第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較ステップと、
    前記パワ比較ステップにおいて算出された前記比較結果と、閾値とを比較することで、前記生体音測定ステップにおける生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断ステップと
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  22. 同一の期間に測定された、互いに異なる2種類の生体音のうちの一方である第一生体音のパワ、および、前記2種類の生体音のうちの他方である第二生体音のパワを算出するパワ算出部と、
    前記パワ算出部により算出された前記第一生体音のパワである第一パワと前記第二生体音のパワある第二パワとを比較し、前記第一パワと前記第二パワとの比または差を示す比較結果を算出するパワ比較部と、
    前記パワ比較部により算出された前記比較結果と、閾値とを比較することで、前記生体音測定部による生体音の測定位置が適切であるか否かを判断する判断部と
    を備える集積回路。
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