JP2005027751A - 生体音信号処理システム - Google Patents
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- A61B7/00—Instruments for auscultation
- A61B7/003—Detecting lung or respiration noise
Abstract
【課題】複数の異なる位置から採取された生体音データに基づいて、診断のための情報を表示し、診断精度を向上させる。
【解決手段】採取マイク2により人体の複数の異なる位置から逐次的に呼吸音データを採取する。信号処理手段3により呼吸音データを可視化処理する。また、複数の呼吸音データを解析して呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出する。表示手段6により可視化処理された呼吸音データ、呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する。
【選択図】 図1
【解決手段】採取マイク2により人体の複数の異なる位置から逐次的に呼吸音データを採取する。信号処理手段3により呼吸音データを可視化処理する。また、複数の呼吸音データを解析して呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出する。表示手段6により可視化処理された呼吸音データ、呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体音を採取して信号処理する生体音信号処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから呼吸音の聴診は、医師により重要な診察・診断手段として用いられてきた。近年、医療技術の進歩により、高度な診断機器やデータ処理技術が発達してきている中で、呼吸音の聴診は従来の形態のままに留まっている。医療の形態も多様化してきており、患者への説明、在宅看護や訪問看護における診察、また医療過誤の防止や確認のために診断データの客観化及び保存が求められている。
【0003】
しかし、聴診は医師が聞いた瞬間に生のデータが消失してしまうため、データに基づく患者への細かな説明が困難であり、一方、患者にとっては自分の病状を客観的に把握することができない。また、看護士の訪問看護によって得られた聴診情報について、医師には看護士の判断が伝えられるが、医師は直接生の情報を聴くことはできない。熟練の必要な聴診に対して、医師以外の者にも高度な診察が可能な聴診装置が要請される。
【0004】
そこで、聴診音をマイク等で採取してデジタルデータに変換し、各種疾病の聴診音の標準データと比較して患者の疾病名を診断する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、呼吸器系によって生成された呼吸音を測定し、所与の種類の呼吸音の特性を示す基準を満たす場合に、所与の種類の呼吸音として識別する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、呼吸音の診断では、複数の位置から音を採取し、それぞれの音の特徴を解析すると同時に、位置による音の差にも着目して診断を下す方法がある。例えば、肺の下部では、通常、吸気は聞こえるが、呼気は小さいか、ほとんど聞こえないのが正常である。これに対して、肺に水が溜まっていると音の伝播がよくなり、肺下部でも呼気が聞こえることがある。このことから、肺下部において呼気が聞こえる場合には、水が溜まっている可能性が高いと診断される。したがって、高い精度で診断するためには複数の位置から音を採取して、それらを比較することが好ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−165789号公報
【特許文献2】
特表2001−505085号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のデータを個々に逐次表示する場合には、相互の比較診断が困難であった。また、例えば、胸部の右上、左上、右下、左下と採取位置を変えるたびに、その都度、採取位置を処理機側に指定することは、多忙な医師や測定者にとって煩雑な作業であった。このような場合に、適正な医療診断支援システムが要請される。
【0008】
また、上記特許文献2では、呼吸音の特徴の分析については記載されているが、その表示方法については詳細な記述はない。
【0009】
本発明は、複数の異なる位置から採取された生体音データに基づいて、診断のための情報を表示し、診断精度を向上させる生体音信号処理システムを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1に記載の発明は、生体音採取手段により人体から採取された生体音データを処理する生体音信号処理システムにおいて、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理する信号処理手段と、前記可視化処理された生体音データを前記採取位置に対応付けて表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0011】
ここで、可視化処理とは、グラフ、表等のように視覚的に認識可能な状態にする処理をいう。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理し、採取位置に対応付けて表示するので、ユーザに複数の生体音データを容易に比較させることができ、診断精度を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、生体音採取手段により人体から採取された生体音データを処理する生体音信号処理システムにおいて、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出する信号処理手段と、前記抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0014】
ここで、生体音データの解析方法については、FFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)、ウェーブレット解析に基づく解析技術や音声認識の解析技術等を用いることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示するので、診断精度を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記採取された生体音データの解析に際して採取位置ごとの生体音の差を参照することを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、採取位置ごとの生体音の差を参照して、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記採取された生体音データの解析は、予め蓄積された症例データと前記採取された生体音データとの比較照合により行われることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、予め蓄積された症例データと採取された生体音データとの比較照合により、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記複数の異なる採取位置は予め定められた順番に設定され、当該設定された順番に対応付けて、前記採取された生体音データを帰属させることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、設定された順番に対応付けて、採取された生体音データを帰属させるので、採取位置を入力する手間を省き、生体音の採取時間を短縮させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記複数の異なる採取位置の順番パターンが選択可能に複数設定され、当該設定された順番パターンの選択により、前記採取位置の順番が決定されることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザにとって使いやすい順番で生体音データを採取することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記生体音採取手段に、当該生体音採取手段の人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記位置検出手段は、加速度センサであることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0026】
請求項7、8に記載の発明によれば、生体音採取手段に、人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられているので、採取位置とその位置で採取された生体音データとを対応付けることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記生体音採取手段に、前記信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記処理動作指示信号は、生体音の採取の開始若しくは終了の指示、採取位置の順番の変更指示又は採取済みデータの廃棄指示を含むことを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記指示手段は、前記生体音採取手段の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作に連動して、生体音の採取の開始又は終了の指示信号を送信することを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0030】
請求項9、10、11に記載の発明によれば、生体音採取手段に、信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられているので、ユーザは生体音採取手段から処理動作指示信号を送信することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記採取された生体音データを保存する保存手段を備え、前記信号処理手段は、前記保存手段により保存されている生体音データのうち、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較し、前記表示手段は、それらの新旧生体音データの比較結果を表示することを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記新旧生体音データの比較結果は、生体音の特徴の状態の変化又は疾病候補の状態の変化であることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0033】
請求項12、13に記載の発明によれば、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較することができるので、疾病の悪化や改善状況、治療や投薬の効果を定量的に把握することが可能となる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記生体音採取手段に、前記採取された生体音データを前記信号処理手段へ無線送信する無線送信手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0035】
生体音採取手段から信号処理手段へ長い導線を用いて信号を伝達すると、導線がこすれたり、物に当たったりして、その振動が生体音採取手段に伝達され、ノイズとなる場合がある。
【0036】
請求項14に記載の発明によれば、生体音採取手段から信号処理手段への生体音データの送信を無線で行うので、生体音採取手段と信号処理手段とをつなぐ信号配線が不要となり、生体音データのノイズを低減させることができる。
【0037】
無線の方法は、既存の種々の手段を用いることができる。医療現場を勘案すると、電磁波による医療機器への障害等を避けるために、赤外線等の光を用いるものや、ブルートゥースで代表されるような電磁波を用いるものが好ましい。赤外線等は、送信手段と受信手段との間に障害物があると、受信の障害になる場合がある。このような場合には、生体音採取手段との間に障害物が少ない位置で信号を受信し、信号処理手段へ転送する方法や、複数の受信手段で受信し、信号を選択、合成して利用する方法が用いられる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本実施の形態における呼吸音信号処理システム1の概略構成を示す。なお、本実施の形態では、生体音として呼吸音(又は肺音)を例にして説明するが、他の生体音(例えば、心音、消化器系の音)についても本発明の適用が可能である。
【0039】
図1に示すように、呼吸音信号処理システム1は、呼吸音採取用マイク(以下、採取マイクという。)2、信号処理手段3、入力手段4、再生手段5、表示手段6、プリント手段7、データベース8等を備えて構成されている。
【0040】
採取マイク2により人体から採取された呼吸音データが、入力手段4の指示に従って、データベース8に記憶されたデータを参照しながら信号処理手段3により信号処理される。処理結果は、再生手段5、表示手段6又はプリント手段7により出力される。
【0041】
図2に、呼吸音信号処理システム1の機能的構成を示す。
採取マイク2は、人体の複数の異なる位置から逐次的に呼吸音を採取し、電気信号(呼吸音データ)を出力する。採取マイク2として、種々のものを用いることができるが、例えば、エレクトリックコンデンサーマイクやピエゾ素子等が用いられる。
【0042】
図3(a)、(b)は、それぞれ採取マイク2の上面図、正面図である。図3(a)、(b)に示すように、採取マイク2は、コンデンサーマイク2a、ダイアフラム2bを備え、無線送信手段14、信号処理手段3に対する処理動作指示信号を送信するスイッチ15,16が設けられている。図3(c)に示すように、スイッチ15に人差し指を当て、スイッチ16に中指を当てることにより、採取マイク2を片手で操作しながらスイッチ15,16を押下することが可能である。
【0043】
図4に示すように、採取マイク2によって採取された呼吸音データ(電気信号)及びスイッチ15,16からの指示信号が無線送信手段14により電波に変換され、アンテナから送信される。この電波は、他の医療機器に影響しない程度の極微弱な電波である。無線送信手段14から送信された電波は、受信手段17により受信され、電気信号に復調される。そして、電気信号はA/D変換器18によりデジタル信号に変換され、図2における信号処理手段3のI/O10へ出力される。
【0044】
ユーザがスイッチ15,16を押下することにより処理動作指示信号が送信される。スイッチ15,16の押し方や押す回数等のパターンにより、呼吸音の採取の開始若しくは終了の指示、採取位置の順番の変更指示又は採取済みデータの廃棄指示を送信する。例えば、スイッチ15を1回押下することにより呼吸音の採取開始の指示、スイッチ15を短時間に2回押下することにより呼吸音の再採取及び採取済みデータの廃棄指示、スイッチ16を1回押下することによりその位置での呼吸音の採取を行わず、次の位置にスキップする旨の指示を送信する。
【0045】
図2に示すように、信号処理手段3は、CPU(Central Processing Unit)9、I/O10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶手段13を備える。信号処理手段3として、PC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)やPDA(Personal Digital Assistants:携帯端末)が用いられる。
【0046】
CPU9は、入力手段4から入力される各種指示に従って、ROM11に記憶されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM12のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果をRAM12の所定の領域に格納する。
【0047】
I/O10は、採取マイク2から出力された呼吸音データを受信して、CPU9に出力する。
【0048】
ROM11は、不揮発性の半導体メモリで構成される。ROM11は、CPU9により実行される呼吸音信号処理システム1の各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0049】
RAM12は、書き換え可能な半導体素子で構成される。RAM12は、データが一時的に保存される記憶媒体であり、CPU9が実行するためのプログラムを展開するためのプログラムエリア、入力手段4から入力されるデータやCPU9による各種処理結果等を保存するためのデータエリア、等が形成される。
【0050】
記憶手段13は、HDD(Hard Disk Drive)を備えて構成され、採取マイク2により採取された呼吸音データや処理済みのデータ、呼吸音データを採取する位置の順番パターン等を記憶している。
【0051】
入力手段4は、数字やアルファベット入力キー、各種キーを備えたキーボード及びマウス等のポインティングデバイスである。そして、キーボードのキーの押下による押下信号やマウスの操作による操作信号をCPU9へ出力する。
【0052】
再生手段5は、スピーカ又はヘッドホンを備えて構成され、採取マイク2により採取された呼吸音データを音響再生する。
【0053】
表示手段6は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を備えて構成され、信号処理手段3により可視化処理された呼吸音データ、また、信号処理手段3により抽出された呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する。
【0054】
プリント手段7は、信号処理手段3により可視化処理された呼吸音データ、また、信号処理手段3により抽出された呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を記録紙上にプリントする。
【0055】
データベース8には、呼吸音から診断可能な疾病の症例データ、疾病候補の種類等が蓄積されている。また、データベース8には、過去に採取された呼吸音データ及びそれらの解析結果が保存されている。
【0056】
次に、本実施の形態における呼吸音信号処理システム1の動作について説明する。
なお、動作説明の前提として、フローチャートに記述されている処理を実現するためのプログラムは、呼吸音信号処理システム1のCPU9が読み取り可能なプログラムコードの形態でROM11に格納されており、CPU9は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0057】
図5は、呼吸音信号処理システム1により実行される呼吸音信号処理を示すフローチャートである。
まず、採取マイク2により、人体の複数の異なる位置から逐次的に呼吸音データが採取され(ステップS1)、記憶手段13に記憶される。呼吸音データを採取する順番は、記憶手段13に記憶されている複数の呼吸音データの採取位置の順番パターンから選択可能になっており、ユーザにより採取位置の順番パターンが選択される。選択された順番に従って呼吸音データが採取され、採取された順番に基づいて、呼吸音データと採取位置とが対応付けられる。
【0058】
ここで、呼吸音の採取の開始又は終了の指示は、採取マイク2に設けられたスイッチ15,16から処理動作指示信号を送信することにより行われる。なお、採取マイク2が人体から離れる特徴音を検出して、呼吸音の採取を終了することとしてもよい。また、採取位置の順番の変更指示や、呼吸音の採取に失敗した際の採取済みデータの廃棄指示等もスイッチ15,16から送信される。
【0059】
次に、採取された呼吸音データにフィルタ処理が施され、呼吸音データ中のノイズが除去される(ステップS2)。入力手段4の指示により、ノイズが除去された呼吸音データは、スピーカ又はヘッドホン(再生手段5)で音響再生される(ステップS3)。
【0060】
次に、ノイズが除去された呼吸音データにFFT処理が施される(ステップS4)。入力手段4の指示により、FFT処理結果が可視化処理され、採取位置に対応付けられて、表示手段6によりグラフ表示される(ステップS5)。診断の基準となる数値等が表示されることとしてもよい。
【0061】
次に、呼吸音の振幅の大きさ又は音色等について採取位置ごとの差が参照され、複数の異なる採取位置で採取された呼吸音データが解析され、呼吸音の特徴が抽出される(ステップS6)。そして、呼吸音データ及び呼吸音の特徴は、データベース8に蓄積されている疾病の症例データと比較照合され(ステップS7)、疾病候補が選択され、疾病候補に該当する確率が計算される(ステップS8)。
【0062】
そして、入力手段4の指示により、呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率が、表示手段6により表示される(ステップS9)。例えば、表示手段6には、「左肺上部に断続性ら音、強度5。左肺下部吸気音が大きい。断続性パターン候補は、過敏性肺胞炎70%、肺炎50%。」等と表示される。呼吸音データ及び解析結果は、データベース8に保存される。
以上で、呼吸音信号処理が終了する。
【0063】
次に、呼吸音を採取する際の具体的な手順の例を示す。
呼吸音データを採取する順番は、例えば、図6に示すように、表示手段6に表示された人体図に対し、ユーザがマウスにより、採取位置を採取したい順にマークして決定する。図6の例では、患者の首(1)、右肺上部(2)、左肺上部(3)、右肺中部(4)、左肺中部(5)、右肺下部(6)、左肺下部(7)、心臓(8)の順に指定している。
【0064】
また、各採取位置から採取された呼吸音データのグラフの画面上の表示位置についても、指定しておく。図7に、各採取位置から採取された呼吸音データの表示例を示す。左右の肺音の差が認識しやすいように、対応する左右の肺の位置を上下又は左右に並べて表示することが好ましい。グラフの種類も、音の強度の経時変化だけでなく、サウンドスペクトログラムやウェーブレット変換して得られたグラフ等、場合に応じて選択可能とする。
【0065】
人体上の採取位置1にて採取マイク2のスイッチ15を押下することにより呼吸音の採取開始が認識され、データサンプリングが開始されるとともに、表示手段6によりグラフ表示が開始される。呼吸音データの採取が終了するタイミングで採取マイク2を人体から離すと、採取マイク2が人体から離れる際の特徴音が検出され、採取位置1の呼吸音採取が終了し、データが保存されるとともに、次の採取位置2での採取開始の待機状態になる。
【0066】
採取位置2にて採取マイク2のスイッチ15を押下することにより呼吸音の採取開始が認識され、データサンプリングが開始されるとともに、表示手段6によりグラフ表示が開始される。ここで、例えば、スイッチ15が短時間に2回押下された場合には、再採取と認識され、サンプリングデータが廃棄されるとともに、再度、採取位置2での採取開始の待機状態になる。再度、スイッチ15を押下することにより呼吸音の採取開始が認識され、データサンプリングが開始されるとともに、表示手段6によりグラフ表示が開始される。呼吸音データの採取が終了するタイミングで採取マイク2を人体から離すと、採取マイク2が人体から離れる際の特徴音が検出され、採取位置2の呼吸音採取が終了し、データが保存されるとともに、次の採取位置3での採取開始の待機状態になる。
【0067】
同様に、採取位置3での測定が終了した後に、スイッチ16を押下すると、次の採取位置4での呼吸音採取をスキップして、採取位置5での採取開始の待機状態になる。再度、スイッチ16を押下すると、次の採取位置5での呼吸音採取をスキップして、採取位置6での採取開始の待機状態になる。採取位置6,7,8での呼吸音の採取終了後、採取位置2と3、採取位置6と7における左右の音の差を解析、採取位置2と6、採取位置3と7における肺の上下による差を解析することができる。
【0068】
本実施の形態における呼吸音信号処理システム1によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された呼吸音データを可視化処理し、採取位置に対応付けて表示するので、ユーザに複数の呼吸音データを容易に比較させることができ、診断精度を向上させることができる。
【0069】
また、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された呼吸音データを解析して抽出された呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示するので、診断精度を向上させることができる。
【0070】
また、設定された順番に対応付けて、採取された呼吸音データを帰属させるので、採取位置を入力する手間を省き、呼吸音の採取時間を短縮させることができる。また、複数の呼吸音データの採取位置の順番パターンからユーザに選択させるので、ユーザにとって使いやすい順番で呼吸音データを採取することができる。
【0071】
また、採取マイク2に、信号処理手段3に対する処理動作指示信号を送信するスイッチ15,16が設けられているので、ユーザは採取マイク2を手にした状態で、採取マイク2から処理動作指示信号を送信することができる。
【0072】
また、採取マイク2から信号処理手段3への呼吸音データの送信を無線で行うので、採取マイク2と信号処理手段3とをつなぐ信号配線が不要となり、呼吸音データのノイズを低減させることができる。また、医療現場の煩雑化を回避することができ、採取マイク2の扱いが容易になる。
【0073】
また、データベース8に保存されている呼吸音データのうち、同一人物から異なる時期に採取された複数の呼吸音データを比較し、呼吸音の特徴の状態又は疾病候補の状態の変化を表示手段6に表示することも可能である。従来は、聴診した医師の記憶や推測で比較するしかなく、また、過去に聴診した医師と異なる医師が聴診した場合には比較することが不可能であった。同一患者の過去のデータを保存しておくことにより、疾病の悪化や改善状況、治療や投薬の効果を定量的に把握することが可能となる。
【0074】
<変形例1>
変形例1として、マイク位置の自動検出について説明する。
上記実施の形態では、予め定められた順番パターンに従って呼吸音データを採取し、その順番に対応付けて採取位置を特定することとしたが、図8に示すように、採取マイク2に人体上における位置を検出するマイク位置検出手段19が設けられていることとしてもよい。
【0075】
マイク位置検出手段19として、例えば、加速度センサが用いられる。加速度センサにより検出された加速度を一度積分すると速度に、再度積分すると移動距離になることを利用して、位置情報を取得する。例えば、実開平6−43516号公報には車両の移動距離を検出する技術が開示されており、また、特開2002−44778号公報にはコンサートホールにおけるマイクの位置情報を取得してハウリングを防止する技術が開示されている。マイク位置検出手段19の移動に伴って呼吸音を採取する人体上の位置が検出される。
【0076】
したがって、採取マイク2に、人体上における位置を検出するマイク位置検出手段19が設けられているので、採取位置とその位置で採取された呼吸音データとを対応付けることができる。
【0077】
なお、マイク位置検出手段19が採取マイク2ではなく、呼吸音を採取するユーザの手に装着されることとしてもよい。
【0078】
<変形例2>
変形例2として、呼吸音データの採取開始及び終了の自動指示について説明する。
上記実施の形態では、信号処理手段3に対する処理動作指示信号を送信する指示手段としてスイッチ15,16を用い、スイッチ15,16を押下することにより処理動作指示信号が送信されることとしたが、図9に示すように、指示手段として接近センサ20を用いることとしてもよい。
【0079】
接近センサ20として、例えば、光センサが用いられる。図9に示すように、採取マイク2を人体に密着させると光センサへ入射する光が妨げられるので、このタイミングで呼吸音データの採取を開始するよう設定する。また、人体から採取マイク2を離すと光センサへ光が入射するので、呼吸音データの採取を終了するよう設定する。
【0080】
したがって、接近センサ20により、採取マイク2の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作に連動して、呼吸音データの採取の開始又は終了の指示信号を送信するので、自動的に信号処理手段3に対する処理動作の切り替えを指示することができる。
【0081】
なお、採取マイク2の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作を検知する手段として、タッチセンサや人体センサを用いてもよい。
【0082】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適な呼吸音信号処理システムの例であり、これに限定されるものではない。呼吸音信号処理システム1を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0083】
また、呼吸音データ及び解析結果を電子カルテに保存することも好ましい。電子カルテへの保存は、医療データを一元的に管理することができ、疾病と呼吸音との関連付けを行うためのデータベースとして活用することができる。さらに、疾病に対する特徴音やパターンの抽出に寄与し、本発明を利用した診断の精度を向上させるためのデータ源とすることができる。
【0084】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理し、採取位置に対応付けて表示するので、ユーザに複数の生体音データを容易に比較させることができ、診断精度を向上させることができる。
【0085】
請求項2に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示するので、診断精度を向上させることができる。
【0086】
請求項3に記載の発明によれば、採取位置ごとの生体音の差を参照して、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0087】
請求項4に記載の発明によれば、予め蓄積された症例データと採取された生体音データとの比較照合により、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0088】
請求項5に記載の発明によれば、設定された順番に対応付けて、採取された生体音データを帰属させるので、採取位置を入力する手間を省き、生体音の採取時間を短縮させることができる。
【0089】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザにとって使いやすい順番で生体音データを採取することができる。
【0090】
請求項7、8に記載の発明によれば、生体音採取手段に、人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられているので、採取位置とその位置で採取された生体音データとを対応付けることができる。
【0091】
請求項9、10、11に記載の発明によれば、生体音採取手段に、信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられているので、ユーザは生体音採取手段から処理動作指示信号を送信することができる。
【0092】
請求項12、13に記載の発明によれば、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較することができるので、疾病の悪化や改善状況、治療や投薬の効果を定量的に把握することが可能となる。
【0093】
請求項14に記載の発明によれば、生体音採取手段から信号処理手段への生体音データの送信を無線で行うので、生体音採取手段と信号処理手段とをつなぐ信号配線が不要となり、生体音データのノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における呼吸音信号処理システム1の概略構成図である。
【図2】呼吸音信号処理システム1の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】採取マイク2の構造を説明するための図である。
【図4】呼吸音データの無線送信を説明するための図である。
【図5】呼吸音信号処理システム1により実行される呼吸音信号処理を示すフローチャートである。
【図6】呼吸音データを採取する順番の決定方法を説明するための図である。
【図7】各採取位置から採取された呼吸音データの表示例を示す図である。
【図8】変形例1におけるマイク位置の自動検出を説明するための図である。
【図9】変形例2における呼吸音データの採取開始及び終了の自動指示を説明するための図である。
【符号の説明】
1 呼吸音信号処理システム
2 呼吸音採取用マイク(生体音採取手段)
2a コンデンサーマイク
2b ダイアフラム
3 信号処理手段
4 入力手段
5 再生手段
6 表示手段
7 プリント手段
8 データベース(保存手段)
9 CPU
10 I/O
11 ROM
12 RAM
13 記憶手段
14 無線送信手段
15,16 スイッチ(指示手段)
17 受信手段
18 A/D変換器
19 マイク位置検出手段
20 接近センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体音を採取して信号処理する生体音信号処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから呼吸音の聴診は、医師により重要な診察・診断手段として用いられてきた。近年、医療技術の進歩により、高度な診断機器やデータ処理技術が発達してきている中で、呼吸音の聴診は従来の形態のままに留まっている。医療の形態も多様化してきており、患者への説明、在宅看護や訪問看護における診察、また医療過誤の防止や確認のために診断データの客観化及び保存が求められている。
【0003】
しかし、聴診は医師が聞いた瞬間に生のデータが消失してしまうため、データに基づく患者への細かな説明が困難であり、一方、患者にとっては自分の病状を客観的に把握することができない。また、看護士の訪問看護によって得られた聴診情報について、医師には看護士の判断が伝えられるが、医師は直接生の情報を聴くことはできない。熟練の必要な聴診に対して、医師以外の者にも高度な診察が可能な聴診装置が要請される。
【0004】
そこで、聴診音をマイク等で採取してデジタルデータに変換し、各種疾病の聴診音の標準データと比較して患者の疾病名を診断する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、呼吸器系によって生成された呼吸音を測定し、所与の種類の呼吸音の特性を示す基準を満たす場合に、所与の種類の呼吸音として識別する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、呼吸音の診断では、複数の位置から音を採取し、それぞれの音の特徴を解析すると同時に、位置による音の差にも着目して診断を下す方法がある。例えば、肺の下部では、通常、吸気は聞こえるが、呼気は小さいか、ほとんど聞こえないのが正常である。これに対して、肺に水が溜まっていると音の伝播がよくなり、肺下部でも呼気が聞こえることがある。このことから、肺下部において呼気が聞こえる場合には、水が溜まっている可能性が高いと診断される。したがって、高い精度で診断するためには複数の位置から音を採取して、それらを比較することが好ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−165789号公報
【特許文献2】
特表2001−505085号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のデータを個々に逐次表示する場合には、相互の比較診断が困難であった。また、例えば、胸部の右上、左上、右下、左下と採取位置を変えるたびに、その都度、採取位置を処理機側に指定することは、多忙な医師や測定者にとって煩雑な作業であった。このような場合に、適正な医療診断支援システムが要請される。
【0008】
また、上記特許文献2では、呼吸音の特徴の分析については記載されているが、その表示方法については詳細な記述はない。
【0009】
本発明は、複数の異なる位置から採取された生体音データに基づいて、診断のための情報を表示し、診断精度を向上させる生体音信号処理システムを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための請求項1に記載の発明は、生体音採取手段により人体から採取された生体音データを処理する生体音信号処理システムにおいて、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理する信号処理手段と、前記可視化処理された生体音データを前記採取位置に対応付けて表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0011】
ここで、可視化処理とは、グラフ、表等のように視覚的に認識可能な状態にする処理をいう。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理し、採取位置に対応付けて表示するので、ユーザに複数の生体音データを容易に比較させることができ、診断精度を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、生体音採取手段により人体から採取された生体音データを処理する生体音信号処理システムにおいて、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出する信号処理手段と、前記抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0014】
ここで、生体音データの解析方法については、FFT(Fast Fourier Transformation:高速フーリエ変換)、ウェーブレット解析に基づく解析技術や音声認識の解析技術等を用いることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示するので、診断精度を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記採取された生体音データの解析に際して採取位置ごとの生体音の差を参照することを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、採取位置ごとの生体音の差を参照して、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記採取された生体音データの解析は、予め蓄積された症例データと前記採取された生体音データとの比較照合により行われることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、予め蓄積された症例データと採取された生体音データとの比較照合により、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記複数の異なる採取位置は予め定められた順番に設定され、当該設定された順番に対応付けて、前記採取された生体音データを帰属させることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、設定された順番に対応付けて、採取された生体音データを帰属させるので、採取位置を入力する手間を省き、生体音の採取時間を短縮させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記複数の異なる採取位置の順番パターンが選択可能に複数設定され、当該設定された順番パターンの選択により、前記採取位置の順番が決定されることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザにとって使いやすい順番で生体音データを採取することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記生体音採取手段に、当該生体音採取手段の人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記位置検出手段は、加速度センサであることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0026】
請求項7、8に記載の発明によれば、生体音採取手段に、人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられているので、採取位置とその位置で採取された生体音データとを対応付けることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記生体音採取手段に、前記信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記処理動作指示信号は、生体音の採取の開始若しくは終了の指示、採取位置の順番の変更指示又は採取済みデータの廃棄指示を含むことを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記指示手段は、前記生体音採取手段の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作に連動して、生体音の採取の開始又は終了の指示信号を送信することを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0030】
請求項9、10、11に記載の発明によれば、生体音採取手段に、信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられているので、ユーザは生体音採取手段から処理動作指示信号を送信することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記採取された生体音データを保存する保存手段を備え、前記信号処理手段は、前記保存手段により保存されている生体音データのうち、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較し、前記表示手段は、それらの新旧生体音データの比較結果を表示することを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記新旧生体音データの比較結果は、生体音の特徴の状態の変化又は疾病候補の状態の変化であることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0033】
請求項12、13に記載の発明によれば、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較することができるので、疾病の悪化や改善状況、治療や投薬の効果を定量的に把握することが可能となる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、前記生体音採取手段に、前記採取された生体音データを前記信号処理手段へ無線送信する無線送信手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システムである。
【0035】
生体音採取手段から信号処理手段へ長い導線を用いて信号を伝達すると、導線がこすれたり、物に当たったりして、その振動が生体音採取手段に伝達され、ノイズとなる場合がある。
【0036】
請求項14に記載の発明によれば、生体音採取手段から信号処理手段への生体音データの送信を無線で行うので、生体音採取手段と信号処理手段とをつなぐ信号配線が不要となり、生体音データのノイズを低減させることができる。
【0037】
無線の方法は、既存の種々の手段を用いることができる。医療現場を勘案すると、電磁波による医療機器への障害等を避けるために、赤外線等の光を用いるものや、ブルートゥースで代表されるような電磁波を用いるものが好ましい。赤外線等は、送信手段と受信手段との間に障害物があると、受信の障害になる場合がある。このような場合には、生体音採取手段との間に障害物が少ない位置で信号を受信し、信号処理手段へ転送する方法や、複数の受信手段で受信し、信号を選択、合成して利用する方法が用いられる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本実施の形態における呼吸音信号処理システム1の概略構成を示す。なお、本実施の形態では、生体音として呼吸音(又は肺音)を例にして説明するが、他の生体音(例えば、心音、消化器系の音)についても本発明の適用が可能である。
【0039】
図1に示すように、呼吸音信号処理システム1は、呼吸音採取用マイク(以下、採取マイクという。)2、信号処理手段3、入力手段4、再生手段5、表示手段6、プリント手段7、データベース8等を備えて構成されている。
【0040】
採取マイク2により人体から採取された呼吸音データが、入力手段4の指示に従って、データベース8に記憶されたデータを参照しながら信号処理手段3により信号処理される。処理結果は、再生手段5、表示手段6又はプリント手段7により出力される。
【0041】
図2に、呼吸音信号処理システム1の機能的構成を示す。
採取マイク2は、人体の複数の異なる位置から逐次的に呼吸音を採取し、電気信号(呼吸音データ)を出力する。採取マイク2として、種々のものを用いることができるが、例えば、エレクトリックコンデンサーマイクやピエゾ素子等が用いられる。
【0042】
図3(a)、(b)は、それぞれ採取マイク2の上面図、正面図である。図3(a)、(b)に示すように、採取マイク2は、コンデンサーマイク2a、ダイアフラム2bを備え、無線送信手段14、信号処理手段3に対する処理動作指示信号を送信するスイッチ15,16が設けられている。図3(c)に示すように、スイッチ15に人差し指を当て、スイッチ16に中指を当てることにより、採取マイク2を片手で操作しながらスイッチ15,16を押下することが可能である。
【0043】
図4に示すように、採取マイク2によって採取された呼吸音データ(電気信号)及びスイッチ15,16からの指示信号が無線送信手段14により電波に変換され、アンテナから送信される。この電波は、他の医療機器に影響しない程度の極微弱な電波である。無線送信手段14から送信された電波は、受信手段17により受信され、電気信号に復調される。そして、電気信号はA/D変換器18によりデジタル信号に変換され、図2における信号処理手段3のI/O10へ出力される。
【0044】
ユーザがスイッチ15,16を押下することにより処理動作指示信号が送信される。スイッチ15,16の押し方や押す回数等のパターンにより、呼吸音の採取の開始若しくは終了の指示、採取位置の順番の変更指示又は採取済みデータの廃棄指示を送信する。例えば、スイッチ15を1回押下することにより呼吸音の採取開始の指示、スイッチ15を短時間に2回押下することにより呼吸音の再採取及び採取済みデータの廃棄指示、スイッチ16を1回押下することによりその位置での呼吸音の採取を行わず、次の位置にスキップする旨の指示を送信する。
【0045】
図2に示すように、信号処理手段3は、CPU(Central Processing Unit)9、I/O10、ROM(Read Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶手段13を備える。信号処理手段3として、PC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)やPDA(Personal Digital Assistants:携帯端末)が用いられる。
【0046】
CPU9は、入力手段4から入力される各種指示に従って、ROM11に記憶されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM12のワークエリアに展開し、上記プログラムとの協働によって各種処理を実行し、その処理結果をRAM12の所定の領域に格納する。
【0047】
I/O10は、採取マイク2から出力された呼吸音データを受信して、CPU9に出力する。
【0048】
ROM11は、不揮発性の半導体メモリで構成される。ROM11は、CPU9により実行される呼吸音信号処理システム1の各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0049】
RAM12は、書き換え可能な半導体素子で構成される。RAM12は、データが一時的に保存される記憶媒体であり、CPU9が実行するためのプログラムを展開するためのプログラムエリア、入力手段4から入力されるデータやCPU9による各種処理結果等を保存するためのデータエリア、等が形成される。
【0050】
記憶手段13は、HDD(Hard Disk Drive)を備えて構成され、採取マイク2により採取された呼吸音データや処理済みのデータ、呼吸音データを採取する位置の順番パターン等を記憶している。
【0051】
入力手段4は、数字やアルファベット入力キー、各種キーを備えたキーボード及びマウス等のポインティングデバイスである。そして、キーボードのキーの押下による押下信号やマウスの操作による操作信号をCPU9へ出力する。
【0052】
再生手段5は、スピーカ又はヘッドホンを備えて構成され、採取マイク2により採取された呼吸音データを音響再生する。
【0053】
表示手段6は、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等を備えて構成され、信号処理手段3により可視化処理された呼吸音データ、また、信号処理手段3により抽出された呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する。
【0054】
プリント手段7は、信号処理手段3により可視化処理された呼吸音データ、また、信号処理手段3により抽出された呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を記録紙上にプリントする。
【0055】
データベース8には、呼吸音から診断可能な疾病の症例データ、疾病候補の種類等が蓄積されている。また、データベース8には、過去に採取された呼吸音データ及びそれらの解析結果が保存されている。
【0056】
次に、本実施の形態における呼吸音信号処理システム1の動作について説明する。
なお、動作説明の前提として、フローチャートに記述されている処理を実現するためのプログラムは、呼吸音信号処理システム1のCPU9が読み取り可能なプログラムコードの形態でROM11に格納されており、CPU9は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0057】
図5は、呼吸音信号処理システム1により実行される呼吸音信号処理を示すフローチャートである。
まず、採取マイク2により、人体の複数の異なる位置から逐次的に呼吸音データが採取され(ステップS1)、記憶手段13に記憶される。呼吸音データを採取する順番は、記憶手段13に記憶されている複数の呼吸音データの採取位置の順番パターンから選択可能になっており、ユーザにより採取位置の順番パターンが選択される。選択された順番に従って呼吸音データが採取され、採取された順番に基づいて、呼吸音データと採取位置とが対応付けられる。
【0058】
ここで、呼吸音の採取の開始又は終了の指示は、採取マイク2に設けられたスイッチ15,16から処理動作指示信号を送信することにより行われる。なお、採取マイク2が人体から離れる特徴音を検出して、呼吸音の採取を終了することとしてもよい。また、採取位置の順番の変更指示や、呼吸音の採取に失敗した際の採取済みデータの廃棄指示等もスイッチ15,16から送信される。
【0059】
次に、採取された呼吸音データにフィルタ処理が施され、呼吸音データ中のノイズが除去される(ステップS2)。入力手段4の指示により、ノイズが除去された呼吸音データは、スピーカ又はヘッドホン(再生手段5)で音響再生される(ステップS3)。
【0060】
次に、ノイズが除去された呼吸音データにFFT処理が施される(ステップS4)。入力手段4の指示により、FFT処理結果が可視化処理され、採取位置に対応付けられて、表示手段6によりグラフ表示される(ステップS5)。診断の基準となる数値等が表示されることとしてもよい。
【0061】
次に、呼吸音の振幅の大きさ又は音色等について採取位置ごとの差が参照され、複数の異なる採取位置で採取された呼吸音データが解析され、呼吸音の特徴が抽出される(ステップS6)。そして、呼吸音データ及び呼吸音の特徴は、データベース8に蓄積されている疾病の症例データと比較照合され(ステップS7)、疾病候補が選択され、疾病候補に該当する確率が計算される(ステップS8)。
【0062】
そして、入力手段4の指示により、呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率が、表示手段6により表示される(ステップS9)。例えば、表示手段6には、「左肺上部に断続性ら音、強度5。左肺下部吸気音が大きい。断続性パターン候補は、過敏性肺胞炎70%、肺炎50%。」等と表示される。呼吸音データ及び解析結果は、データベース8に保存される。
以上で、呼吸音信号処理が終了する。
【0063】
次に、呼吸音を採取する際の具体的な手順の例を示す。
呼吸音データを採取する順番は、例えば、図6に示すように、表示手段6に表示された人体図に対し、ユーザがマウスにより、採取位置を採取したい順にマークして決定する。図6の例では、患者の首(1)、右肺上部(2)、左肺上部(3)、右肺中部(4)、左肺中部(5)、右肺下部(6)、左肺下部(7)、心臓(8)の順に指定している。
【0064】
また、各採取位置から採取された呼吸音データのグラフの画面上の表示位置についても、指定しておく。図7に、各採取位置から採取された呼吸音データの表示例を示す。左右の肺音の差が認識しやすいように、対応する左右の肺の位置を上下又は左右に並べて表示することが好ましい。グラフの種類も、音の強度の経時変化だけでなく、サウンドスペクトログラムやウェーブレット変換して得られたグラフ等、場合に応じて選択可能とする。
【0065】
人体上の採取位置1にて採取マイク2のスイッチ15を押下することにより呼吸音の採取開始が認識され、データサンプリングが開始されるとともに、表示手段6によりグラフ表示が開始される。呼吸音データの採取が終了するタイミングで採取マイク2を人体から離すと、採取マイク2が人体から離れる際の特徴音が検出され、採取位置1の呼吸音採取が終了し、データが保存されるとともに、次の採取位置2での採取開始の待機状態になる。
【0066】
採取位置2にて採取マイク2のスイッチ15を押下することにより呼吸音の採取開始が認識され、データサンプリングが開始されるとともに、表示手段6によりグラフ表示が開始される。ここで、例えば、スイッチ15が短時間に2回押下された場合には、再採取と認識され、サンプリングデータが廃棄されるとともに、再度、採取位置2での採取開始の待機状態になる。再度、スイッチ15を押下することにより呼吸音の採取開始が認識され、データサンプリングが開始されるとともに、表示手段6によりグラフ表示が開始される。呼吸音データの採取が終了するタイミングで採取マイク2を人体から離すと、採取マイク2が人体から離れる際の特徴音が検出され、採取位置2の呼吸音採取が終了し、データが保存されるとともに、次の採取位置3での採取開始の待機状態になる。
【0067】
同様に、採取位置3での測定が終了した後に、スイッチ16を押下すると、次の採取位置4での呼吸音採取をスキップして、採取位置5での採取開始の待機状態になる。再度、スイッチ16を押下すると、次の採取位置5での呼吸音採取をスキップして、採取位置6での採取開始の待機状態になる。採取位置6,7,8での呼吸音の採取終了後、採取位置2と3、採取位置6と7における左右の音の差を解析、採取位置2と6、採取位置3と7における肺の上下による差を解析することができる。
【0068】
本実施の形態における呼吸音信号処理システム1によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された呼吸音データを可視化処理し、採取位置に対応付けて表示するので、ユーザに複数の呼吸音データを容易に比較させることができ、診断精度を向上させることができる。
【0069】
また、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された呼吸音データを解析して抽出された呼吸音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示するので、診断精度を向上させることができる。
【0070】
また、設定された順番に対応付けて、採取された呼吸音データを帰属させるので、採取位置を入力する手間を省き、呼吸音の採取時間を短縮させることができる。また、複数の呼吸音データの採取位置の順番パターンからユーザに選択させるので、ユーザにとって使いやすい順番で呼吸音データを採取することができる。
【0071】
また、採取マイク2に、信号処理手段3に対する処理動作指示信号を送信するスイッチ15,16が設けられているので、ユーザは採取マイク2を手にした状態で、採取マイク2から処理動作指示信号を送信することができる。
【0072】
また、採取マイク2から信号処理手段3への呼吸音データの送信を無線で行うので、採取マイク2と信号処理手段3とをつなぐ信号配線が不要となり、呼吸音データのノイズを低減させることができる。また、医療現場の煩雑化を回避することができ、採取マイク2の扱いが容易になる。
【0073】
また、データベース8に保存されている呼吸音データのうち、同一人物から異なる時期に採取された複数の呼吸音データを比較し、呼吸音の特徴の状態又は疾病候補の状態の変化を表示手段6に表示することも可能である。従来は、聴診した医師の記憶や推測で比較するしかなく、また、過去に聴診した医師と異なる医師が聴診した場合には比較することが不可能であった。同一患者の過去のデータを保存しておくことにより、疾病の悪化や改善状況、治療や投薬の効果を定量的に把握することが可能となる。
【0074】
<変形例1>
変形例1として、マイク位置の自動検出について説明する。
上記実施の形態では、予め定められた順番パターンに従って呼吸音データを採取し、その順番に対応付けて採取位置を特定することとしたが、図8に示すように、採取マイク2に人体上における位置を検出するマイク位置検出手段19が設けられていることとしてもよい。
【0075】
マイク位置検出手段19として、例えば、加速度センサが用いられる。加速度センサにより検出された加速度を一度積分すると速度に、再度積分すると移動距離になることを利用して、位置情報を取得する。例えば、実開平6−43516号公報には車両の移動距離を検出する技術が開示されており、また、特開2002−44778号公報にはコンサートホールにおけるマイクの位置情報を取得してハウリングを防止する技術が開示されている。マイク位置検出手段19の移動に伴って呼吸音を採取する人体上の位置が検出される。
【0076】
したがって、採取マイク2に、人体上における位置を検出するマイク位置検出手段19が設けられているので、採取位置とその位置で採取された呼吸音データとを対応付けることができる。
【0077】
なお、マイク位置検出手段19が採取マイク2ではなく、呼吸音を採取するユーザの手に装着されることとしてもよい。
【0078】
<変形例2>
変形例2として、呼吸音データの採取開始及び終了の自動指示について説明する。
上記実施の形態では、信号処理手段3に対する処理動作指示信号を送信する指示手段としてスイッチ15,16を用い、スイッチ15,16を押下することにより処理動作指示信号が送信されることとしたが、図9に示すように、指示手段として接近センサ20を用いることとしてもよい。
【0079】
接近センサ20として、例えば、光センサが用いられる。図9に示すように、採取マイク2を人体に密着させると光センサへ入射する光が妨げられるので、このタイミングで呼吸音データの採取を開始するよう設定する。また、人体から採取マイク2を離すと光センサへ光が入射するので、呼吸音データの採取を終了するよう設定する。
【0080】
したがって、接近センサ20により、採取マイク2の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作に連動して、呼吸音データの採取の開始又は終了の指示信号を送信するので、自動的に信号処理手段3に対する処理動作の切り替えを指示することができる。
【0081】
なお、採取マイク2の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作を検知する手段として、タッチセンサや人体センサを用いてもよい。
【0082】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適な呼吸音信号処理システムの例であり、これに限定されるものではない。呼吸音信号処理システム1を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0083】
また、呼吸音データ及び解析結果を電子カルテに保存することも好ましい。電子カルテへの保存は、医療データを一元的に管理することができ、疾病と呼吸音との関連付けを行うためのデータベースとして活用することができる。さらに、疾病に対する特徴音やパターンの抽出に寄与し、本発明を利用した診断の精度を向上させるためのデータ源とすることができる。
【0084】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理し、採取位置に対応付けて表示するので、ユーザに複数の生体音データを容易に比較させることができ、診断精度を向上させることができる。
【0085】
請求項2に記載の発明によれば、複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示するので、診断精度を向上させることができる。
【0086】
請求項3に記載の発明によれば、採取位置ごとの生体音の差を参照して、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0087】
請求項4に記載の発明によれば、予め蓄積された症例データと採取された生体音データとの比較照合により、生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出するので、診断精度を向上させることができる。
【0088】
請求項5に記載の発明によれば、設定された順番に対応付けて、採取された生体音データを帰属させるので、採取位置を入力する手間を省き、生体音の採取時間を短縮させることができる。
【0089】
請求項6に記載の発明によれば、ユーザにとって使いやすい順番で生体音データを採取することができる。
【0090】
請求項7、8に記載の発明によれば、生体音採取手段に、人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられているので、採取位置とその位置で採取された生体音データとを対応付けることができる。
【0091】
請求項9、10、11に記載の発明によれば、生体音採取手段に、信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられているので、ユーザは生体音採取手段から処理動作指示信号を送信することができる。
【0092】
請求項12、13に記載の発明によれば、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較することができるので、疾病の悪化や改善状況、治療や投薬の効果を定量的に把握することが可能となる。
【0093】
請求項14に記載の発明によれば、生体音採取手段から信号処理手段への生体音データの送信を無線で行うので、生体音採取手段と信号処理手段とをつなぐ信号配線が不要となり、生体音データのノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における呼吸音信号処理システム1の概略構成図である。
【図2】呼吸音信号処理システム1の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】採取マイク2の構造を説明するための図である。
【図4】呼吸音データの無線送信を説明するための図である。
【図5】呼吸音信号処理システム1により実行される呼吸音信号処理を示すフローチャートである。
【図6】呼吸音データを採取する順番の決定方法を説明するための図である。
【図7】各採取位置から採取された呼吸音データの表示例を示す図である。
【図8】変形例1におけるマイク位置の自動検出を説明するための図である。
【図9】変形例2における呼吸音データの採取開始及び終了の自動指示を説明するための図である。
【符号の説明】
1 呼吸音信号処理システム
2 呼吸音採取用マイク(生体音採取手段)
2a コンデンサーマイク
2b ダイアフラム
3 信号処理手段
4 入力手段
5 再生手段
6 表示手段
7 プリント手段
8 データベース(保存手段)
9 CPU
10 I/O
11 ROM
12 RAM
13 記憶手段
14 無線送信手段
15,16 スイッチ(指示手段)
17 受信手段
18 A/D変換器
19 マイク位置検出手段
20 接近センサ
Claims (14)
- 生体音採取手段により人体から採取された生体音データを処理する生体音信号処理システムにおいて、
複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを可視化処理する信号処理手段と、
前記可視化処理された生体音データを前記採取位置に対応付けて表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする生体音信号処理システム。 - 生体音採取手段により人体から採取された生体音データを処理する生体音信号処理システムにおいて、
複数の異なる採取位置から逐次的に採取された生体音データを解析して生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を抽出する信号処理手段と、
前記抽出された生体音の特徴、疾病候補の種類又は疾病候補に該当する確率を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項2に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記採取された生体音データの解析に際して採取位置ごとの生体音の差を参照することを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項2に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記採取された生体音データの解析は、予め蓄積された症例データと前記採取された生体音データとの比較照合により行われることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記複数の異なる採取位置は予め定められた順番に設定され、当該設定された順番に対応付けて、前記採取された生体音データを帰属させることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項5に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記複数の異なる採取位置の順番パターンが選択可能に複数設定され、当該設定された順番パターンの選択により、前記採取位置の順番が決定されることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記生体音採取手段に、当該生体音採取手段の人体上における位置を検出する位置検出手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項7に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記位置検出手段は、加速度センサであることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記生体音採取手段に、前記信号処理手段に対する処理動作指示信号を送信する指示手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項9に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記処理動作指示信号は、生体音の採取の開始若しくは終了の指示、採取位置の順番の変更指示又は採取済みデータの廃棄指示を含むことを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項10に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記指示手段は、前記生体音採取手段の人体に対する接触若しくは接近又は引き離し動作に連動して、生体音の採取の開始又は終了の指示信号を送信することを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記採取された生体音データを保存する保存手段を備え、
前記信号処理手段は、前記保存手段により保存されている生体音データのうち、同一人物から異なる時期に採取された複数の生体音データを比較し、
前記表示手段は、それらの新旧生体音データの比較結果を表示することを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項12に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記新旧生体音データの比較結果は、生体音の特徴の状態の変化又は疾病候補の状態の変化であることを特徴とする生体音信号処理システム。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の生体音信号処理システムにおいて、
前記生体音採取手段に、前記採取された生体音データを前記信号処理手段へ無線送信する無線送信手段が設けられていることを特徴とする生体音信号処理システム。
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