JPWO2011114649A1 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Abstract

プラズマディスプレイパネルは、前面板と、背面板と、前面板と背面板とを接着する接着層と、を備える。前面板は、保護層を有する。背面板は、隔壁を有する。保護層は、下地層を含む。下地層には、凝集粒子が分散配置されている。下地層は、第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。X線回折分析において、下地層のピークは、第1金属酸化物の第1のピークと第2金属酸化物の第2のピークとの間にある。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。背面板は、隔壁を有する。接着層は、隔壁の少なくとも一部と保護層とを接着する。

Description

ここに開示された技術は、表示デバイスなどに用いられるプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)は、前面板と背面板とで構成される。前面板は、ガラス基板と、ガラス基板の一方の主面上に形成された表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、ガラス基板の一方の主面上に形成されたデータ電極と、データ電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とは電極形成面側を対向させて気密封着される。隔壁によって仕切られた放電空間には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)の放電ガスが封入されている。放電ガスは、表示電極に選択的に印加された映像信号電圧によって放電する。放電によって発生した紫外線は、各色蛍光体層を励起する。励起した蛍光体層は、赤色、緑色、青色に発光する。PDPは、このようにカラー画像表示を実現している(特許文献1参照)。
保護層には、主に4つの機能がある。1つめは、放電によるイオン衝撃から誘電体層を保護することである。2つめは、データ放電を発生させるための初期電子を放出することである。3つめは、放電を発生させるための電荷を保持することである。4つめは、維持放電の際に二次電子を放出することである。イオン衝撃から誘電体層が保護されることにより、放電電圧の上昇が抑制される。初期電子放出数が増加することにより、画像のちらつきの原因となるデータ放電ミスが低減される。電荷保持性能が向上することにより、印加電圧が低減される。二次電子放出数が増加することにより、維持放電電圧が低減される。初期電子放出数を増加させるために、たとえば保護層のMgOに珪素(Si)やアルミニウム(Al)を添加するなどの試みが行われている(例えば、特許文献1、2、3、4、5など参照)。
特開2002−260535号公報 特開平11−339665号公報 特開2006−59779号公報 特開平8−236028号公報 特開平10−334809号公報
PDPは、前面板と、前面板と対向配置された背面板と、前面板と背面板とを接着する接着層と、を備える。前面板は、誘電体層と誘電体層を覆う保護層とを有する。背面板は、下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された複数の隔壁と、下地誘電体層上および隔壁の側面に形成された蛍光体層と、を有する。保護層は、誘電体層上に形成された下地層を含む。下地層には、酸化マグネシウムの結晶粒子が複数個凝集した凝集粒子が全面に亘って分散配置されている。下地層は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、下地層は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。このピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークおよび第2のピークは、下地層のピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群の中から選ばれる2種である。背面板は、隔壁を有する。接着層は、隔壁の少なくとも一部と保護層とを接着する。
図1は実施の形態に係るPDPの構造を示す斜視図である。 図2は同PDPの前面板の構成を示す断面図である。 図3は同PDPにおける第1の隔壁に直交する断面の一部を示す図である。 図4は同PDPの下地膜のX線回折分析の結果を示す図である。 図5は同PDPの他の構成の下地膜のX線回折分析の結果を示す図である。 図6は実施の形態に係る凝集粒子の拡大図である。 図7は実施の形態に係るPDPの放電遅れと保護層中のカルシウム(Ca)濃度との関係を示す図である。 図8は同PDPにおける電子放出性能とVscn点灯電圧の関係を示す図である。 図9は実施の形態に係る凝集粒子の平均粒径と電子放出性能の関係を示す図である。 図10は実施の形態に係る凝集粒子の平均粒径と隔壁破壊確率の関係を示す図である。 図11は実施の形態に係る保護層形成工程を示す図である。 図12は実施の形態に係るPDPにおける第1の隔壁に平行な断面の一部を示す図である。
[1.PDPの基本構造]
PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型PDPである。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置されている。前面板2と背面板10とは、外周部がガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが53kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6とブラックストライプ7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成される。さらに誘電体層8の表面にMgOなどからなる保護層9が形成されている。さらに、図2に示すように、保護層9は、誘電体層8に積層した下地層である下地膜91と下地膜91上に付着させた凝集粒子92とを含む。誘電体層8の詳細、下地膜91の詳細および凝集粒子92の詳細は、後述される。
走査電極4および維持電極5は、それぞれインジウム錫酸化物(ITO)、二酸化錫(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性金属酸化物からなる透明電極上にAgを含むバス電極が積層されている。
背面ガラス基板11上には、表示電極6と直交する方向に、銀(Ag)を主成分とする導電性材料からなる複数のデータ電極12が、互いに平行に配置されている。データ電極12は、下地誘電体層13に被覆されている。さらに、データ電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14は、表示電極6と交差する方向に配置された第1の隔壁14aと、第1の隔壁14aと直交する第2の隔壁14bとを含む。下地誘電体層13上および隔壁14の側面には、データ電極12毎に、紫外線によって赤色に発光する蛍光体層15、緑色に発光する蛍光体層15および青色に発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。表示電極6とデータ電極12とが交差する位置に放電セルが形成されている。表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
図1および図3に示すように、隔壁14の上部には、接着層17が形成されている。接着層17は、隔壁14の少なくとも一部に形成されていればよい。本実施の形態では、第1の隔壁14aの上部には、接着層17が形成されている。接着層17は、隔壁14の少なくとも一部と保護層9とを接着する。つまり、接着層17を介して前面板2と背面板10とが接着されている。接着層17の詳細は、後述される。
なお、本実施の形態において、放電空間16に封入する放電ガスは、10体積%以上30%体積以下のXeを含む。
[2.PDPの製造方法]
次に、PDP1の製造方法について説明する。
まず、前面板2の製造方法について説明する。フォトリソグラフィ法によって、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5とブラックストライプ7とが形成される。走査電極4および維持電極5は、導電性を確保するためのAgを含むバス電極4b、5bを有する。また、走査電極4および維持電極5は、透明電極4a、5aを有する。バス電極4bは、透明電極4aに積層される。バス電極5bは、透明電極5aに積層される。
透明電極4a、5aの材料には、透明度と電気伝導度を確保するためITOなどが用いられる。まず、スパッタ法などによって、ITO薄膜が前面ガラス基板3に形成される。次にリソグラフィ法によって所定のパターンの透明電極4a、5aが形成される。
バス電極4b、5bの材料には、AgとAgを結着させるためのガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含む白色ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、白色ペーストが、前面ガラス基板3に塗布される。次に、乾燥炉によって、白色ペースト中の溶剤が除去される。次に、所定のパターンのフォトマスクを介して、白色ペーストが露光される。
次に、白色ペーストが現像され、バス電極パターンが形成される。最後に、焼成炉によって、バス電極パターンが所定の温度で焼成される。つまり、バス電極パターン中の感光性樹脂が除去される。また、バス電極パターン中のガラスフリットが溶融する。溶融したガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、バス電極4b、5bが形成される。
ブラックストライプ7は、黒色顔料を含む材料により、形成される。次に、誘電体層8が形成される。誘電体層8の材料には、誘電体ガラスフリットと樹脂と溶剤などを含む誘電体ペーストが用いられる。まずダイコート法などによって、誘電体ペーストが所定の厚みで走査電極4、維持電極5およびブラックストライプ7を覆うように前面ガラス基板3上に塗布される。次に、乾燥炉によって、誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、誘電体ペーストが所定の温度で焼成される。つまり、誘電体ペースト中の樹脂が除去される。また、誘電体ガラスフリットが溶融する。溶融したガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、誘電体層8が形成される。ここで、誘電体ペーストをダイコートする方法以外にも、スクリーン印刷法、スピンコート法などを用いることができる。また、誘電体ペーストを用いずに、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって、誘電体層8となる膜を形成することもできる。誘電体層8の詳細は、後述される。
次に、誘電体層8上に保護層9が形成される。保護層9の詳細は、後述される。
以上の工程により前面ガラス基板3上に走査電極4、維持電極5、ブラックストライプ7、誘電体層8、保護層9が形成され、前面板2が完成する。
次に、背面板10の製造方法について説明する。フォトリソグラフィ法によって、背面ガラス基板11上に、データ電極12が形成される。データ電極12の材料には、導電性を確保するためのAgとAgを結着させるためのガラスフリットと感光性樹脂と溶剤などを含むデータ電極ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、データ電極ペーストが所定の厚みで背面ガラス基板11上に塗布される。次に、乾燥炉によって、データ電極ペースト中の溶剤が除去される。次に、所定のパターンのフォトマスクを介して、データ電極ペーストが露光される。次に、データ電極ペーストが現像され、データ電極パターンが形成される。最後に、焼成炉によって、データ電極パターンが所定の温度で焼成される。つまり、データ電極パターン中の感光性樹脂が除去される。また、データ電極パターン中のガラスフリットが溶融する。溶融したガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、データ電極12が形成される。ここで、データ電極ペーストをスクリーン印刷する方法以外にも、スパッタ法、蒸着法などを用いることができる。
次に、下地誘電体層13が形成される。下地誘電体層13の材料には、誘電体ガラスフリットと樹脂と溶剤などを含む下地誘電体ペーストが用いられる。まず、スクリーン印刷法などによって、下地誘電体ペーストが所定の厚みでデータ電極12が形成された背面ガラス基板11上にデータ電極12を覆うように塗布される。次に、乾燥炉によって、下地誘電体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、下地誘電体ペーストが所定の温度で焼成される。つまり、下地誘電体ペースト中の樹脂が除去される。また、誘電体ガラスフリットが溶融する。溶融したガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、下地誘電体層13が形成される。ここで、下地誘電体ペーストをスクリーン印刷する方法以外にも、ダイコート法、スピンコート法などを用いることができる。また、下地誘電体ペーストを用いずに、CVD法などによって、下地誘電体層13となる膜を形成することもできる。
次に、フォトリソグラフィ法によって、隔壁14が形成される。隔壁14の材料には、フィラーと、フィラーを結着させるためのガラスフリットと、感光性樹脂と、溶剤などを含む隔壁ペーストが用いられる。まず、ダイコート法などによって、隔壁ペーストが所定の厚みで下地誘電体層13上に塗布される。次に、乾燥炉によって、隔壁ペースト中の溶剤が除去される。次に、所定のパターンのフォトマスクを介して、隔壁ペーストが露光される。次に、隔壁ペーストが現像され、隔壁パターンが形成される。最後に、焼成炉によって、隔壁パターンが所定の温度で焼成される。つまり、隔壁パターン中の感光性樹脂が除去される。また、隔壁パターン中のガラスフリットが溶融する。溶融したガラスフリットは、焼成後に再びガラス化する。以上の工程によって、隔壁14が形成される。ここで、フォトリソグラフィ法以外にも、サンドブラスト法などを用いることができる。
さらに、隔壁14上に、スクリーン印刷法を用いて接着層17が形成される。接着層17の製造方法の詳細は、後述される。
次に、蛍光体層15が形成される。蛍光体層15の材料には、蛍光体粒子とバインダと溶剤などとを含む蛍光体ペーストが用いられる。まず、ディスペンス法などによって、蛍光体ペーストが所定の厚みで隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に塗布される。次に、乾燥炉によって、蛍光体ペースト中の溶剤が除去される。最後に、焼成炉によって、蛍光体ペーストが所定の温度で焼成される。つまり、蛍光体ペースト中の樹脂が除去される。以上の工程によって、蛍光体層15が形成される。ここで、ディスペンス法以外にも、スクリーン印刷法、インクジェット法などを用いることができる。蛍光体層15の詳細は、後述される。
以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
次に、前面板2と、背面板10とが組み立てられる。まず、ディスペンス法によって、背面板10の周囲に封着材(図示せず)が形成される。封着材が配置される領域は、表示領域の外側である。封着材(図示せず)の材料には、第1のガラス部材とバインダと溶剤などを含む封着ペーストが用いられる。第1のガラス部材は、一例として、三酸化二ビスマス(Bi)、三酸化二硼素(B)、五酸化二バナジウム(V)などを主成分としたガラスフリットが用いられる。例えば、Bi−B−RO−MO系ガラスが用いられる。ここでRは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)およびマグネシウム(Mg)のいずれかである。Mは、銅(Cu)、アンチモン(Sb)および鉄(Fe)のいずれかである。他にも、例えば、V−BaO−TeO−WO系のガラスが用いられる。さらに、封着部材22としては、第1のガラス部材に三酸化二アルミニウム(Al2)、二酸化珪素(SiO2)、コージライトなどの酸化物からなるフィラーを加えたものを用いることができる。第1のガラス部材の軟化点は、460℃から480℃程度である。ガラスフリットと次に乾燥炉によって、封着ペースト中の溶剤が除去される。次に、表示電極6とデータ電極12とが直交するように、前面板2と背面板10とが対向配置される。次に、前面板2と背面板10の周囲がガラスフリットで封着される。なお、封着材の軟化点は、470℃程度である。また、封着の際の熱処理温度(以降、封着温度と称する)は、488℃であり、排気温度は、420℃である。最後に、放電空間16にNe、Xeなどを含む放電ガスが53kPa〜80kPaの圧力で封入されることによりPDP1が完成する。
[3.誘電体層の詳細]
誘電体層8について詳細に説明する。誘電体層8は、第1誘電体層81と第2誘電体層82とで構成させている。第1誘電体層81上に第2誘電体層82が積層されている。
第1誘電体層81の誘電体材料は、以下の成分を含む。三酸化二ビスマス(Bi)は20重量%〜40重量%である。酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)からなる群の中から選ばれる少なくとも1種は0.5重量%〜12重量%である。三酸化モリブデン(MoO)、三酸化タングステン(WO)、二酸化セリウム(CeO)および二酸化マンガン(MnO)からなる群の中から選ばれる少なくとも1種は0.1重量%〜7重量%である。
なお、MoO、WO、CeOおよびMnOからなる群に代えて、酸化銅(CuO)、三酸化二クロム(Cr)、三酸化二コバルト(Co)、七酸化二バナジウム(V)および三酸化二アンチモン(Sb)からなる群の中から選ばれる少なくとも1種が0.1重量%〜7重量%含まれてもよい。
また、上述の成分以外の成分として、ZnOが0重量%〜40重量%、三酸化二硼素(B)が0重量%〜35重量%、二酸化硅素(SiO)が0重量%〜15重量%、三酸化二アルミニウム(Al)が0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない成分が含まれてもよい。
誘電体材料は、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜2.5μmとなるように粉砕されて誘電体材料粉末が作製される。次にこの誘電体材料粉末55重量%〜70重量%と、バインダ成分30重量%〜45重量%とが三本ロールでよく混練してダイコート用、または印刷用の第1誘電体層用ペーストが完成する。
バインダ成分はエチルセルロース、またはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオール、またはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルが添加されてもよい。また、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどが添加されてもよい。分散剤が添加されると、印刷性が向上される。
第1誘電体層用ペーストは、表示電極6を覆い前面ガラス基板3にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷される。印刷された第1誘電体層用ペーストは、乾燥後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度である575℃〜590℃で焼成され、第1誘電体層81が形成される。
次に、第2誘電体層82について説明する。第2誘電体層82の誘電体材料は、以下の成分を含む。Biは、11重量%〜20重量%である。CaO、SrO、BaOから選ばれる少なくとも1種は1.6重量%〜21重量%である。MoO、WO、CeOから選ばれる少なくとも1種は0.1重量%〜7重量%である。
なお、MoO、WO、CeOに代えて、CuO、Cr、Co、V、Sb、MnOから選ばれる少なくとも1種が0.1重量%〜7重量%含まれてもよい。
また、上記の成分以外の成分として、ZnOが0重量%〜40重量%、Bが0重量%〜35重量%、SiOが0重量%〜15重量%、Alが0重量%〜10重量%など、鉛成分を含まない成分が含まれていてもよい。
誘電体材料は、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜2.5μmとなるように粉砕されて誘電体材料粉末が作製される。次にこの誘電体材料粉末55重量%〜70重量%と、バインダ成分30重量%〜45重量%とが三本ロールでよく混練してダイコート用、または印刷用の第2誘電体層用ペーストが完成する。
バインダ成分はエチルセルロース、またはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオール、またはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルが添加されてもよい。また、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどが添加されてもよい。分散剤が添加されると、印刷性が向上される。
第2誘電体層用ペーストは、第1誘電体層81上にスクリーン印刷法あるいはダイコート法で印刷される。印刷された第2誘電体層用ペーストは、乾燥後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度である550℃〜590℃で焼成され、第2誘電体層82が形成される。
なお、誘電体層8の膜厚は、可視光透過率を確保するために、第1誘電体層81と第2誘電体層82とを合わせ41μm以下とすることが好ましい。
第1誘電体層81は、バス電極4b、5bのAgとの反応を抑制するためにBiの含有量を第2誘電体層82のBiの含有量よりも多くして20重量%〜40重量%としている。すると、第1誘電体層81の可視光透過率が第2誘電体層82の可視光透過率よりも低くなるので、第1誘電体層81の膜厚は第2誘電体層82の膜厚よりも薄くされている。
第2誘電体層82は、Biの含有量が11重量%より少ないと着色は生じにくくなるが、第2誘電体層82中に気泡が発生しやすくなる。そのためBiの含有量が11重量%より少ないことは好ましくない。一方、Biの含有率が40重量%を超えると着色が生じやすくなるため、可視光透過率が低下する。そのためBiの含有量が40重量%を超えることは好ましくない。
また、誘電体層8の膜厚が小さいほど輝度の向上と放電電圧を低減するという効果は顕著になる。そのため、絶縁耐圧が低下しない範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定することが望ましい。
以上の観点から、本実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41μm以下に設定し、第1誘電体層81を5μm〜15μm、第2誘電体層82を20μm〜36μmとしている。
以上のようにして製造されたPDP1は、表示電極6にAg材料を用いても、前面ガラス基板3の着色現象(黄変)、および、誘電体層8中の気泡の発生などが抑制され、絶縁耐圧性能に優れた誘電体層8を実現することが確認されている。
次に、本実施の形態におけるPDP1において、これらの誘電体材料によって第1誘電体層81において黄変や気泡の発生が抑制される理由について考察する。すなわち、Biを含む誘電体ガラスにMoO、またはWOを添加することによって、AgMoO、AgMo、AgMo13、AgWO、Ag、Ag13といった化合物が580℃以下の低温で生成しやすいことが知られている。本実施の形態では、誘電体層8の焼成温度が550℃〜590℃であることから、焼成中に誘電体層8中に拡散した銀イオン(Ag)は誘電体層8中のMoO、WO、CeO、MnOと反応し、安定な化合物を生成して安定化する。すなわち、Agが還元されることなく安定化されるため、凝集してコロイドを生成することがない。したがって、Agが安定化することによって、Agのコロイド化に伴う酸素の発生も少なくなるため、誘電体層8中への気泡の発生も少なくなる。
一方、これらの効果を有効にするためには、Biを含む誘電体ガラス中にMoO、WO、CeO、MnOの含有量を0.1重量%以上にすることが好ましいが、0.1重量%以上7重量%以下がさらに好ましい。特に、0.1重量%未満では黄変を抑制する効果が少なく、7重量%を超えるとガラスに着色が起こり好ましくない。
すなわち、本実施の形態におけるPDP1の誘電体層8は、Ag材料よりなるバス電極4b、5bと接する第1誘電体層81では黄変現象と気泡発生を抑制し、第1誘電体層81上に設けた第2誘電体層82によって高い光透過率を実現している。その結果、誘電体層8全体として、気泡や黄変の発生が極めて少なく透過率の高いPDPを実現することが可能となる。
[4.保護層の詳細]
保護層9は、下地層である下地膜91と凝集粒子92とを含む。下地膜91は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。さらに、下地膜91は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。このピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークと第2のピークは、下地膜91のピークが示す面方位と同じ面方位を示す。
[4−1.下地膜の詳細]
本実施の形態におけるPDP1の保護層9を構成する下地膜91面におけるX線回折結果を図4に示す。また、図4には、MgO単体、CaO単体、SrO単体、およびBaO単体のX線回折分析の結果も示す。
図4において、横軸はブラッグの回折角(2θ)であり、縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示され、強度は任意単位(arbitrary unit)で示されている。特定方位面である結晶方位面は括弧付けで示されている。
図4に示すように、(111)の面方位において、CaO単体は回折角32.2度にピークを有する。MgO単体は回折角36.9度にピークを有する。SrO単体は回折角30.0度にピークを有する。BaO単体のピークは回折角27.9度にピークを有している。
本実施の形態におけるPDP1では、保護層9の下地膜91は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる少なくとも2つ以上の金属酸化物を含んでいる。
下地膜91を構成する単体成分が2成分の場合についてのX線回折結果を図4に示す。A点は、単体成分としてMgOとCaOの単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果である。B点は、単体成分としてMgOとSrOの単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果である。C点は、単体成分としてMgOとBaOの単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果である。
図4に示すように、A点は、(111)の面方位において、回折角36.1度にピークを有する。第1の金属酸化物となるMgO単体は、回折角36.9度にピークを有する。第2の金属酸化物となるCaO単体は、回折角32.2度にピークを有する。すなわち、A点のピークは、MgO単体のピークとCaO単体のピークとの間に存在している。同様に、B点のピークは、回折角35.7度であり、第1の金属酸化物となるMgO単体のピークと第2の金属酸化物となるSrO単体のピークとの間に存在している。C点のピークも、回折角35.4度であり、第1の金属酸化物となるMgO単体のピークと第2の金属酸化物となるBaO単体のピークとの間に存在している。
また、下地膜91を構成する単体成分が3成分以上の場合のX線回折結果を図5に示す。D点は、単体成分としてMgO、CaOおよびSrOを用いて形成した下地膜91のX線回折結果である。E点は、単体成分としてMgO、CaOおよびBaOを用いて形成した下地膜91のX線回折結果である。F点は、単体成分としてCaO、SrOおよびBaOを用いて形成した下地膜91のX線回折結果である。
図5に示すように、D点は、(111)の面方位において、回折角33.4度にピークを有する。第1の金属酸化物となるMgO単体は、回折角36.9度にピークを有する。第2の金属酸化物となるSrO単体は、回折角30.0度にピークを有する。すなわち、A点のピークは、MgO単体のピークとCaO単体のピークとの間に存在している。同様に、E点のピークは、回折角32.8度であり、第1の金属酸化物となるMgO単体のピークと第2の金属酸化物となるBaO単体のピークとの間に存在している。F点のピークも、回折角30.2度であり、第1の金属酸化物となるMgO単体のピークと第2の金属酸化物となるBaO単体のピークとの間に存在している。
したがって、本実施の形態におけるPDP1の下地膜91は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、下地膜91は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。このピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークと第2のピークは、下地膜91のピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。
なお、上記の説明では、結晶の面方位面として(111)を対象として説明したが、他の面方位を対象とした場合も金属酸化物のピークの位置が上記と同様とある。
CaO、SrOおよびBaOの真空準位からの深さは、MgOと比較して浅い領域に存在する。そのため、PDP1を駆動する場合において、CaO、SrO、BaOのエネルギー準位に存在する電子がXeイオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、MgOのエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
また、上述のように、本実施の形態における下地膜91のピークは、第1金属酸化物のピークと第2金属酸化物のピークとの間にある。すなわち、下地膜91のエネルギー準位は、単体の金属酸化物の間に存在し、オージェ効果により放出される電子数がMgOのエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
その結果、下地膜91では、MgO単体と比較して、良好な二次電子放出特性を発揮することができ、結果として、放電維持電圧を低減することができる。そのため、特に輝度を高めるために放電ガスとしてのXe分圧を高めた場合に、放電電圧を低減し、低電圧でなおかつ高輝度のPDP1を実現することが可能となる。
表1には、本実施の形態におけるPDP1において、60kPaのXeおよびNeの混合ガス(Xe、15%)を封入した場合の放電維持電圧の結果で、下地膜91の構成を変えた場合の、PDP1の結果を示す。
Figure 2011114649
なお、表1の放電維持電圧は比較例の値を「100」とした場合の相対値で表している。サンプルAの下地膜91は、MgOとCaOによって構成されている。サンプルBの下地膜91は、MgOとSrOによって構成されている。サンプルCの下地膜91は、MgOとBaOによって構成されている。サンプルDの下地膜91は、MgO、CaOおよびSrOによって構成されている。サンプルEの下地膜91はMgO、CaOおよびBaOによって構成されている。また、比較例は、下地膜91がMgO単体によって構成されている。
放電ガスのXeの分圧を10%から15%に高めた場合には輝度が約30%上昇するが、下地膜91がMgO単体の場合の比較例では、放電維持電圧が約10%上昇する。
一方、本実施の形態におけるPDPでは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルEいずれも、放電維持電圧を比較例に比較して約10%〜20%低減することができる。そのため、通常動作範囲内の放電開始電圧とすることができ、高輝度で低電圧駆動のPDPを実現することができる。
なお、CaO、SrO、BaOは、単体では反応性が高いため不純物と反応しやすく、そのために電子放出性能が低下してしまうという課題を有していた。しかしながら、本実施の形態においては、それらの金属酸化物の構成とすることにより、反応性を低減し、不純物の混入や酸素欠損の少ない結晶構造で形成されている。そのため、PDPの駆動時に電子が過剰放出されるのが抑制され、低電圧駆動と二次電子放出性能の両立効果に加えて、適度な電子保持特性の効果も発揮される。この電荷保持特性は、特に初期化期間に貯めた壁電荷を保持しておき、書き込み期間において書き込み不良を防止して確実な書き込み放電を行う上で有効である。
[4−2.凝集粒子の詳細]
次に、本実施の形態における下地膜91上に設けた凝集粒子92について詳細に説明する。
凝集粒子92は、図6に示すように、MgOの結晶粒子92aが複数個凝集したものである。形状は走査型電子顕微鏡(SEM)によって確認することができる。本実施の形態においては、複数個の凝集粒子92が、下地膜91の全面に亘って分散配置されている。
結晶粒子92aは平均粒径が0.3μm〜2μmの範囲の粒子である。なお、本実施の形態において、平均粒径とは、体積累積平均径(D50)のことである。また、平均粒径の測定には、レーザ回折式粒度分布測定装置MT−3300(日機装株式会社製)が用いられた。
凝集粒子92は、固体として強い結合力によって結晶粒子92aが結合しているのではない。凝集粒子92は、静電気やファンデルワールス力などによって複数の結晶粒子92aが集合したものである。また、凝集粒子92は、超音波などの外力により、その一部または全部が結晶粒子92aの状態に分解する程度の力で結合している。凝集粒子92の平均粒径としては、約1μm程度のもので、結晶粒子92aとしては、14面体や12面体などの7面以上の面を持つ多面体形状を有する。また、結晶粒子92aは、以下に示す気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで製造することができる。
気相合成法では、不活性ガスが満たされた雰囲気下で純度が99.9%以上のマグネシウム(Mg)金属材料が加熱される。さらに、雰囲気に酸素を少量導入して加熱されることによって、Mgが直接酸化する。これによりMgOの結晶粒子92aが作製される。
一方、前駆体焼成法では、以下の方法によって結晶粒子92aが作製される。前駆体焼成法では、MgOの前駆体を700℃以上の高温で均一に焼成される。そして、焼成されたMgOが徐冷されてMgOの結晶粒子92aが得られる。前駆体としては、例えば、マグネシウムアルコキシド(Mg(OR))、マグネシウムアセチルアセトン(Mg(acac))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム(MgCO)、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硝酸マグネシウム(Mg(NO)、シュウ酸マグネシウム(MgC)のうちのいずれか1種以上の化合物を選ぶことができる。
なお、選択した化合物によっては、通常、水和物の形態をとることもあるがこのような水和物を用いてもよい。これらの化合物は、焼成後に得られるMgOの純度が99.95%以上、望ましくは99.98%以上になるように調整される。これらの化合物中に、各種アルカリ金属、B、Si、Fe、Alなどの不純物元素が一定量以上混じっていると、熱処理時に不要な粒子間癒着や焼結を生じ、高結晶性のMgOの結晶粒子92aを得にくいためである。このため、不純物元素を除去することなどにより予め前駆体を調整することが必要となる。前駆体焼成法の焼成温度や焼成雰囲気を調整することにより、粒径の制御ができる。焼成温度は700℃程度から1500℃程度の範囲で選択できる。焼成温度が1000℃以上では、一次粒径を0.3〜2μm程度に制御可能である。結晶粒子92aは前駆体焼成法による生成過程において、複数個の結晶粒子92a同士が凝集した凝集粒子92の状態で得られる。
MgOの凝集粒子92は、本発明者の実験により、主として書き込み放電における放電遅れを抑制する効果と、放電遅れの温度依存性を改善する効果が確認されている。そこで本実施の形態では、凝集粒子92が下地膜91に比べて高度な初期電子放出特性に優れる性質を利用して、放電パルス立ち上がり時に必要な初期電子供給部として配設している。
放電遅れは、放電開始時において、トリガーとなる初期電子が下地膜91表面から放電空間16中に放出される量が不足することが主原因と考えられる。そこで、放電空間16に対する初期電子の安定供給に寄与するため、MgOの凝集粒子92を下地膜91の表面に分散配置する。これによって、放電パルスの立ち上がり時に放電空間16中に電子が豊富に存在し、放電遅れの解消が図られる。したがって、このような初期電子放出特性により、PDP1が高精細の場合などにおいても放電応答性の良い高速駆動ができるようになっている。なお下地膜91の表面に金属酸化物の凝集粒子92を配設する構成では、主として書き込み放電における放電遅れを抑制する効果に加え、放電遅れの温度依存性を改善する効果も得られる。
以上のように、本実施の形態におけるPDP1では、低電圧駆動と電荷保持の両立効果を奏する下地膜91と、放電遅れの防止効果を奏するMgOの凝集粒子92とにより構成することによって、PDP1全体として、高精細なPDPでも高速駆動を低電圧で駆動でき、かつ、点灯不良を抑制した高品位な画像表示性能を実現できる。
[4−3.実験1]
図7は、本実施の形態におけるPDP1のうち、MgOとCaOとで構成した下地膜91を用いた場合の放電遅れと保護層9中のカルシウム(Ca)濃度との関係を示す図である。下地膜91としてMgOとCaOとで構成し、下地膜91は、X線回折分析において、MgOのピークが発生する回折角とCaOのピークが発生する回折角との間にピークが存在するようにしている。
なお、図7には、保護層9として下地膜91のみの場合と、下地膜91上に凝集粒子92を配置した場合とについて示し、放電遅れは、下地膜91中にCaが含有されていない場合を基準として示している。
図7より明らかなように、下地膜91のみの場合と、下地膜91上に凝集粒子92を配置した場合とにおいて、下地膜91のみの場合はCa濃度の増加とともに放電遅れが大きくなるのに対し、下地膜91上に凝集粒子92を配置することによって放電遅れを大幅に小さくすることができ、Ca濃度が増加しても放電遅れはほとんど増大しないことがわかる。
[4−4.実験2]
次に、本実施の形態における保護層9を有するPDP1の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
まず、構成の異なる保護層9を有するPDP1を試作した。試作品1は、MgOによる保護層9のみを形成したPDP1である。試作品2は、Al,Siなどの不純物をドープしたMgOによる保護層9を形成したPDP1である。試作品3は、MgOによる保護層9上にMgOからなる結晶粒子92aの一次粒子のみを散布し、付着させたPDP1である。
一方、試作品4は本実施の形態におけるPDP1である。試作品4は、MgOによる下地膜91上に、同等の粒径を有するMgOの結晶粒子92a同士を凝集させた凝集粒子92を全面に亘って分布するように付着させたPDP1である。保護層9として、前述のサンプルAを用いている。すなわち、保護層9は、MgOとCaOとで構成した下地膜91と、下地膜91上に結晶粒子92aを凝集させた凝集粒子92を全面に亘ってほぼ均一に分布するように付着させている。なお、下地膜91は、下地膜91面のX線回折分析において、下地膜91を構成する第1の金属酸化物のピークと第2の金属酸化物のピークの間にピークを有する。すなわち、第1の金属酸化物はMgOであり、第2の金属酸化物はCaOである。そして、MgOのピークの回折角は36.9度であり、CaOのピークの回折角は32.2度であり、下地膜91のピークの回折角は36.1度に存在するようにしている。
これらの4種類の保護層の構成を有するPDP1について、電子放出性能と電荷保持性能が測定された。
なお、電子放出性能は、大きいほど電子放出量が多いことを示す数値である。電子放出性能は、放電の表面状態及びガス種とその状態によって定まる初期電子放出量として表現される。初期電子放出量は、表面にイオンあるいは電子ビームを照射して表面から放出される電子電流量を測定する方法で測定できる。しかし、非破壊で実施することが困難である。そこで、特開2007−48733号公報に記載されている方法が用いられた。つまり、放電時の遅れ時間のうち、統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しやすさの目安となる数値が測定された。統計遅れ時間の逆数を積分することにより、初期電子の放出量と線形対応する数値になる。放電時の遅れ時間とは、書込み放電パルスの立ち上がりから書込み放電が遅れて発生するまでの時間である。放電遅れは、書込み放電が発生する際のトリガーとなる初期電子が保護層表面から放電空間中に放出されにくいことが主要な要因として考えられている。
また、電荷保持性能は、その指標として、PDP1として作製した場合に電荷放出現象を抑えるために必要とする走査電極に印加する電圧(以下Vscn点灯電圧と称する)の電圧値が用いられた。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方が、電荷保持能力が高いことを示す。Vscn点灯電圧が低いと、PDPが低電圧で駆動できる。よって、電源や各電気部品として、耐圧および容量の小さい部品を使用することが可能となる。現状の製品において、走査電圧を順次パネルに印加するためのMOSFETなどの半導体スイッチング素子には、耐圧150V程度の素子が使用されている。Vscn点灯電圧としては、温度による変動を考慮し、120V以下に抑えることが望ましい。
これらのPDP1について、その電子放出性能と電荷保持性能を調べ、その結果を図8に示す。なお、電子放出性能は、大きいほど電子放出量が多いことを示す数値で、表面状態及びガス種とその状態によって定まる初期電子放出量によって表現する。初期電子放出量については表面にイオン、あるいは電子ビームを照射して表面から放出される電子電流量を測定する方法で測定できるが、PDP1の前面板2表面の評価を非破壊で実施することは困難を伴う。そこで、特開2007−48733号公報に記載されている方法を用いた。すなわち、放電時の遅れ時間のうち、統計遅れ時間と呼ばれる放電の発生しやすさの目安となる数値を測定し、その逆数を積分すると初期電子の放出量と線形に対応する数値になる。
そこで、この数値を用いて評価している。放電時の遅れ時間とは、パルスの立ち上がりから放電が遅れて行われる放電遅れの時間を意味し、放電遅れは、放電が開始される際にトリガーとなる初期電子が保護層9表面から放電空間中に放出されにくいことが主要な要因として考えられている。
電荷保持性能は、その指標として、PDP1として作製した場合に電荷放出現象を抑えるために必要とする走査電極に印加する電圧(以下、Vscn点灯電圧と呼称する)の電圧値を用いた。すなわち、Vscn点灯電圧の低い方が電荷保持能力の高いことを示す。このことは、PDP1を設計する上で、電源や各電気部品として、耐圧及び容量の小さい部品を使用することが可能となる。現状の製品において、走査電圧を順次パネルに印加するためのMOSFETなどの半導体スイッチング素子には、耐圧150V程度の素子が使用されており、Vscn点灯電圧としては、温度による変動を考慮して120V以下に抑えるのが望ましい。
図8から明らかなように、試作品4は、電荷保持性能の評価において、Vscn点灯電圧を120V以下にすることができ、なおかつ電子放出性能がMgOのみの保護層の場合の試作品1に比べて格段に良好な特性を得ることができた。
一般的にはPDPの保護層の電子放出能力と電荷保持能力は相反する。例えば、保護層の成膜条件の変更、あるいは、保護層中にAlやSi、Baなどの不純物をドーピングして成膜することにより、電子放出性能を向上することは可能である。しかし、副作用としてVscn点灯電圧も上昇してしまう。
本実施の形態の保護層9を有するPDPにおいては、電子放出能力としては、8以上の特性で、電荷保持能力としてはVscn点灯電圧が120V以下のものを得ることができる。すなわち、高精細化により走査線数が増加し、かつセルサイズが小さくなる傾向にあるPDPに対応できるような電子放出能力と電荷保持能力の両方を備えた保護層9を得ることができる。
[4−5.実験3]
次に、本実施の形態によるPDP1の保護層9に用いた凝集粒子92の平均粒径について詳細に説明する。なお、以下の説明において、粒径とは平均粒径を意味し、平均粒径とは、体積累積平均径(D50)のことを意味している。
図9は、保護層9において、MgOの凝集粒子92の平均粒径を変化させて電子放出性能を調べた実験結果を示すものである。図9において、凝集粒子92の平均粒径は、凝集粒子92をSEM観察することにより測長された。
図9に示すように、平均粒径が0.3μm程度に小さくなると、電子放出性能が低くなり、ほぼ0.9μm以上であれば、高い電子放出性能が得られる。
放電セル内での電子放出数を増加させるためには、保護層9上の単位面積当たりの結晶粒子数は多い方が望ましい。本発明者らの実験によれば、保護層9と密接に接触する隔壁14の頂部に相当する部分に結晶粒子92aが存在すると、隔壁14の頂部を破損させる場合がある。この場合、破損した隔壁14の材料が蛍光体の上に乗るなどによって、該当するセルが正常に点灯または消灯しなくなる現象が発生することがわかった。隔壁破損の現象は、結晶粒子92aが隔壁頂部に対応する部分に存在しなければ発生しにくいことから、付着させる結晶粒子数が多くなれば、隔壁14の破損発生確率が高くなる。図10は、凝集粒子92の平均粒径を変化させて隔壁破壊確率を調べた実験結果を示すものである。図10に示すように、粒径が2.5μm程度に大きくなると、隔壁破損確率が急激に高くなり、2.5μmより小さい粒径であれば、隔壁破損確率は比較的小さく抑えることができる。
以上のように本実施の形態の保護層9を有するPDP1においては、電子放出能力としては、8以上の特性で、電荷保持能力としてはVscn点灯電圧が120V以下のものを得ることができる。
なお、本実施の形態では、結晶粒子としてMgO粒子を用いて説明したが、この他の単結晶粒子でも、MgO同様に高い電子放出性能を持つSr、Ca、Ba、Alなどの金属酸化物による結晶粒子を用いても同様の効果を得ることができるため、粒子種としてはMgOに限定されるものではない。
[4−6.保護層の製造方法]
次に、本実施の形態のPDP1において、保護層9を形成する製造工程について、図12を用いて説明する。
図12に示すように、誘電体層8を形成する誘電体層形成工程を行った後、下地膜蒸着工程では、真空蒸着法によって、下地膜91が誘電体層8上に形成される。真空蒸着法の原材料は、MgO単体、CaO単体、SrO単体およびBaO単体の材料のペレットまたはそれらの材料を混合したペレットである。他にも、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
その後、未焼成の下地膜91上に、複数個の凝集粒子92が離散的に散布され、付着する。つまり下地膜91の全面に亘って、凝集粒子92が分散配置される。
この工程においては、まず、凝集粒子92を溶剤に混合した凝集粒子ペーストが作製される。その後、ペースト塗布工程において、凝集粒子ペーストが下地膜91上に塗布されることにより、平均膜厚8μm〜20μmの凝集粒子ペースト膜が形成される。なお、凝集粒子ペーストを下地膜91上に塗布する方法として、スクリーン印刷法、スプレー法、スピンコート法、ダイコート法、スリットコート法なども用いることができる。
ここで、凝集粒子ペーストの作製に使用する溶剤としては、下地膜91や凝集粒子92との親和性が高く、かつ次工程の乾燥工程での蒸発除去を容易にするため常温での蒸気圧が数十Pa程度のものが適している。例えばメチルメトキシブタノール、テルピネオール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどの有機溶剤単体もしくはそれらの混合溶剤が用いられる。これらの溶剤を含んだペーストの粘度は数mPa・s〜数十mPa・sである。
凝集粒子ペーストが塗布された基板は、直ちに乾燥工程に移される。乾燥工程では、凝集粒子ペースト膜が減圧乾燥される。具体的には、凝集粒子ペースト膜は真空チャンバ内で、数十秒以内で急速に乾燥される。よって、加熱乾燥では顕著である膜内の対流が発生しない。したがって、凝集粒子92がより均一に下地膜91上に付着する。なお、この乾燥工程における乾燥方法としては、凝集粒子ペーストを作製する際に用いる溶剤などに応じて、加熱乾燥方法を用いてもよい。
次に、焼成工程では、下地膜蒸着工程において形成された未焼成の下地膜91と、乾燥工程を経た凝集粒子ペースト膜とが、数百℃の温度で同時に焼成される。焼成によって、凝集粒子ペースト膜に残っている溶剤や樹脂成分が除去される。その結果、下地膜91上に複数個の多面体形状の結晶粒子92aからなる凝集粒子92が付着した保護層9が形成される。
この方法によれば、下地膜91に凝集粒子92を全面に亘って分散配置することが可能である。
なお、このような方法以外にも、溶剤などを用いずに、粒子群を直接にガスなどと共に吹き付ける方法や、単純に重力を用いて散布する方法などを用いてもよい。
[5.接着層17の詳細]
近年、PDP1を軽量化するために、前面ガラス基板3および背面ガラス基板11に、板厚がより薄いガラス基板が用いられるようになってきた。さらに、PDP1の高精細化に伴い、隔壁14の幅が狭小化されつつある。PDP1の機械的強度は、ガラス基板自体の強度と、前面板2と背面板10との接合部の強度に依存する。接合部とは、封着材が配置されている領域と、隔壁14と前面板2とが接合している領域である。つまり、PDP1の軽量化と高精細化を達成するためには、PDP1の機械的強度の低下を抑制することが重要である。
そこで、図1および図3に示すように、本実施の形態におけるPDP1は、放電空間16を区画する隔壁14と、隔壁14の少なくとも一部と前面板2とを接着する接着層17とを有する。さらに本実施の形態において、封着材は、上述した第1のガラス部材を含む。接着層17は、第2のガラス部材を含む。第2のガラス部材の屈伏点は、第1のガラス部材の軟化点より低い。第2のガラス部材の軟化点は、第1のガラス部材の軟化点より高い。上記の構成によれば、後述する封着温度を第1のガラス部材の軟化点より高く、第2のガラス部材の軟化点より低い範囲に設定できる。
さらに本実施の形態において、図1および図3に示すように、前面板2は、帯状の表示電極6を有している。また、隔壁14は、表示電極6と交差する方向に配置された第1の隔壁14aと、第1の隔壁14aと直交する第2の隔壁14bとを含む。接着層17は、第1の隔壁14aの上部に設けられてもよい。
[5−1.接着層17の組成]
接着層17が含む第2のガラス部材としては、BiとBとを含むガラスフリットが好ましい。Biは、熱膨張係数を増大させ、軟化点を低下させる。つまり、接着力を高める作用を持つ。Bは、ガラス骨格を形成する。さらに、Bは、熱膨張係数を低下させ、軟化点を上昇させる。ガラスフリットとしては、例えば、Bi−B−ZnO−SiO−RO系ガラスが用いられる。ここでRは、Ba、Sr、Ca、Mgのいずれかである。
また、第2のガラス部材におけるBiとBのモル比は、1:0.5以上1:1.5以下であることが好ましい。Biは、Bの結晶化を抑制するため、この範囲のときに、良好な接着力が得られる。また、第2のガラス部材におけるBiとBのモル比は、1:0.8以上1:1.2以下であると、より好ましい。この範囲のとき、より良好な接着力が得られる。
また、第2のガラス部材は、Biを10モル%以上40モル%以下含み、かつ、Bを10モル%以上40モル%以下含むとより好ましい。Biが10モル%未満だと、接着力が低下する。一方、Biが40モル%を超えると、封着の際、第2のガラス部材の結晶化が始まる。つまり、接着力が低下する。また、第2のガラス部材は、Biを20モル%以上40モル%以下含み、かつ、Bを20モル%以上40モル%以下含むとより好ましい。
上述の第2のガラス部材の屈伏点は、425℃から455℃の範囲にあった。また、第2のガラス部材の軟化点は、500℃から530℃の範囲にあった。
なお、軟化点とは、ガラスが自重で顕著に軟化変形しはじめる温度である。言い換えると、軟化点は、ガラスが約107.6dPa・sの粘度になるときの温度である。
屈伏点は、熱機械分析によって求められる。熱機械分析とは、試料の温度を一定のプログラムにもとづいて変化させながら、圧縮、引張り、曲げなどの非振動的荷重を加えてその物質の変形を温度または時間の関数として測定する方法である。熱機械分析装置としては、例えば、島津製作所製:TMA−60を用いることができる。
屈伏点とは、熱機械分析によるガラスの温度と体積変化を示す熱膨張曲線において、見かけ上、膨張が停止する温度である。つまり、熱機械分析の測定機構によって、ガラスそのものが治具の貫入を受けることでガラスの熱膨張係数が急激に減少する。言い換えると、屈伏点は、ガラスが1010〜1011dPa・sの粘度になるときの温度である。
[5−2.接着層17の製造方法]
隔壁14上に、スクリーン印刷法を用いて接着層17が形成される。本実施の形態では、一例として、第2のガラス部材とバインダ成分とが混合された、接着層ペーストが用いられる。
まず、例示した組成からなる第2のガラス部材が、湿式ジェットミルやボールミルにより平均粒径が0.5μm〜3.0μmとなるように粉砕されて第2のガラス部材粉末が作製される。次に、第2のガラス部材粉末50重量%〜65重量%と、バインダ成分35重量%〜50重量%とが、三本ロールで混練されることにより印刷用の接着層ペーストが製造される。
バインダ成分はエチルセルロースあるいはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、接着層ペーストには、可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルが添加されてもよい。分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどが添加されてもよい。このような構成の接着層ペーストは印刷性が向上する。
一例として、上述の接着層ペーストを用いて、スクリーン印刷する方法が示される。まず、隔壁14が形成された背面ガラス基板11がスクリーン印刷機に設置される。スクリーンは、所定の開口部が形成されている。つまり、隔壁14上に接着層ペーストが印刷されるように、隔壁パターンに合わせて開口部が形成されている。次に、スクリーン上に、所定の量の接着層ペーストが滴下される。続いて、スクリーンの全面に接着層ペーストが塗り拡げられる。最後にスキージなどにより、スクリーンが背面ガラス基板11に押し当てられる。以上の工程によって、隔壁14上に、接着層ペーストが印刷される。その後、接着層ペーストは、乾燥炉によってバインダ成分の一部が除去される。
なお、第2のガラス部材と感光性樹脂などが混錬された感光性ペーストを用いることもできる。具体的には、感光性ペーストを隔壁14上に塗布後、露光・現像することによっても接着層17を形成できる。
なお、本実施の形態では、スクリーン印刷法が用いられたが、サンドブラスト法を用いてもよい。また、接着層17の組成に応じて、フォトリソグラフィ法を用いてもよい。
[6.まとめ]
本実施の形態のPDP1は、前面板2と、前面板2と対向配置された背面板10と、前面板と背面板とを接着する接着層と、を備える。前面板2は、誘電体層8と誘電体層8を覆う保護層9とを有する。背面板10は、下地誘電体層13と、下地誘電体層13上に形成された複数の隔壁14と、下地誘電体層13上および隔壁14の側面に形成された蛍光体層15と、を有する。保護層9は、誘電体層8上に形成された下地層である下地膜91を含む。下地膜91には、酸化マグネシウムの結晶粒子92aが複数個凝集した凝集粒子92が全面に亘って分散配置されている。下地膜91は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含む。さらに、下地膜91は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有する。このピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にある。第1のピークおよび第2のピークは、下地膜91のピークが示す面方位と同じ面方位を示す。第1の金属酸化物および第2の金属酸化物は、MgO、CaO、SrOおよびBaOからなる群の中から選ばれる2種である。背面板10は、隔壁14を有する。接着層17は、隔壁14の少なくとも一部と保護層9とを接着する。
以上のように、本実施の形態のPDP1は、低電圧駆動と電荷保持の両立効果を奏する下地膜91と、放電遅れの防止効果を奏するMgOの凝集粒子92とにより構成される。これにより、PDP1全体として、高精細なPDPでも高速駆動を低電圧で駆動でき、かつ、点灯不良を抑制した高品位な画像表示性能を実現できる。また、本実施の形態のPDP1は、接着層17が、隔壁14の少なくとも一部と保護層9とを接着する。これにより、PDP1は、機械的強度の低下が抑制される。
[7.その他の実施の形態]
以上のように、本実施の形態にかかるPDP1を例示した。しかし、本発明はこれには限られない。図12に、その他の実施の形態にかかるPDP1が示される。なお、図12において、図1から図3に示した構成と同じ構成には同じ符号が付されている。同じ符号の構成については、適宜説明が省略される。さらに、図12は、図1のPDPおける第1の隔壁14aと平行な断面の一部を示している。図12に示すように、前面板2は、表示電極6を被覆する誘電体層8を有し、表示電極6は、平行に配置された複数のバス電極4b、5bを含む。接着層17は、第1の隔壁14aと、前面板2における複数のバス電極4b、5bと第1の隔壁14aが対向する領域と、を接着する。前面板2における複数のバス電極4b、5b間と第1の隔壁14aが対向する領域には、空隙18が形成されている。
この構成によれば、排気時に、空隙18が排気通路となるので、放電空間16内の排気が容易になる。したがって、機械的強度の低下を抑制しつつ、より製造が容易なPDP1を実現できる。また、排気が容易になることで、放電空間16中のCO系の不純物やCH系の不純物が下地膜91に付着することを抑制できる。そのため、本実施の形態の下地膜91は、長期間の使用により二次電子放出能力が減少することを抑制できる。よって、本実施の形態のPDP1は、下地膜91の劣化を抑制し、維持電圧を低減できる。
図12に示すバス電極4b、5bの膜厚は、一例として、4μm〜6μmである。また、放電時の無効電力を低減するために、比誘電率が低い誘電体層8が形成されるときには、比誘電率が高い誘電体層8が形成されたときの容量と同程度に保つために、誘電体層8の膜厚を小さくする。一例として、比誘電率が5から7の誘電体層8の場合、膜厚は10μm以上20μm以下が好ましい。従来、比誘電率が11程度の誘電体層8においては、膜厚が約40μmであった。誘電体層8の膜厚が小さくなると、誘電体層8は、図12に示すようにバス電極4b、5b部分で盛り上がり、凹凸が形成される。凹凸が形成された前面板2と背面板10とによりPDP1を形成すると、前面板2における複数のバス電極4b、5b間と第1の隔壁14aが対向する領域に、空隙18を形成できる。このとき、接着前の接着層17の厚みは、バス電極4b、5bの膜厚の1/2以上3/2以下が好ましい。1/2未満では、接着される領域が小さくなって、機械的強度が低下する。3/2を超えると、空隙18が接着層17で埋まり、排気通路の形成が困難になる。
なお、接着層17は、第1の隔壁14aと前面板2とを接着するのみではなく、第2の隔壁14bと前面板2とを接着するように構成してもよい。
以上のように本実施の形態に開示された技術は、高精細で高輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実現する上で有用である。
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 データ電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
14a 第1の隔壁
14b 第2の隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
17 接着層
18 空隙
81 第1誘電体層
82 第2誘電体層
91 下地膜
92 凝集粒子
92a 結晶粒子

Claims (3)

  1. 前面板と、前記前面板と対向配置された背面板と、前記前面板と前記背面板とを接着する接着層と、を備え、
    前記前面板は、誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを有し、
    前記保護層は、前記誘電体層上に形成された下地層を含み、
    前記下地層には、酸化マグネシウムの結晶粒子が複数個凝集した凝集粒子が全面に亘って分散配置され、
    前記下地層は、少なくとも第1の金属酸化物と第2の金属酸化物とを含み、
    さらに、前記下地層は、X線回折分析において少なくとも一つのピークを有し、
    前記ピークは、第1金属酸化物のX線回折分析における第1のピークと、第2金属酸化物のX線回折分析における第2のピークと、の間にあり、
    前記第1のピークおよび前記第2のピークは、前記ピークが示す面方位と同じ面方位を示し、
    前記第1の金属酸化物および前記第2の金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムからなる群の中から選ばれる2種であり、
    前記背面板は、隔壁を有し、
    前記接着層は、前記隔壁の少なくとも一部と前記保護層とを接着する、
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルであって、
    前記前面板は、さらに、前記誘電体層に覆われた帯状の表示電極を有し、
    前記隔壁は、前記表示電極と交差する方向に配置された第1の隔壁を含み、
    前記接着層は、前記第1の隔壁の少なくとも一部と前記保護層とを接着する、
    プラズマディスプレイパネル。
  3. 請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルであって、
    前記表示電極は、平行に配置された複数のバス電極を含み、
    前記接着層は、前記第1の隔壁と、前記保護層における前記複数のバス電極と前記第1の隔壁が対向する領域の少なくとも一部と、を接着し、
    前記保護層における前記複数のバス電極間と前記第1の隔壁が対向する領域の少なくとも一部には、空隙が形成されている、
    プラズマディスプレイパネル。
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