JPWO2011105570A1 - 生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法、判定用分子マーカーおよびキット - Google Patents

生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法、判定用分子マーカーおよびキット Download PDF

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Abstract

本発明は、癌細胞の存否を判定可能な新規分子マーカーを用いて、生体試料から抽出したDNAのメチル化状態を解析し、その解析結果に基づいて、生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法に関する。

Description

本発明は、生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法に関する。より詳細には、生体試料から抽出したDNAについて、所定の塩基配列のCpG部位のメチル化状態を解析し、その解析結果に基づいて、生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法に関する。
また、本発明は、その方法に用いられる判定用分子マーカーおよびキットに関する。
高等真核生物の染色体DNAでは、DNAを構成する塩基のうちC(シトシン)の5位がメチル化されることが知られている。このようなDNAのメチル化は、遺伝子発現の制御機構として機能している。例えば、ある遺伝子のプロモーター領域に存在する、CpG配列に富む領域(「CpGアイランド」または「CG島」とも呼ばれる)がメチル化されている場合、その遺伝子の転写は抑制される。この現象は、「遺伝子のサイレンシング」とも呼ばれる。これに対して、CpGアイランドがメチル化されていない場合、転写因子がプロモーターに結合できるので、遺伝子の転写が可能となる。
このように、DNAのメチル化は、遺伝子発現の制御機構の1つである。そのため、DNAのメチル化は、初期胚発生、組織特異的な遺伝子の発現、哺乳動物に特徴的な現象である遺伝子刷り込みやX染色体の不活性化、染色体の安定化、DNA複製のタイミングなど、様々な生理的および病理的な現象に重要な役割を果たしている。
さらに近年、DNAのメチル化の異常、すなわち、DNAのメチル化による遺伝子のサイレンシングが、癌などの疾患の発生や進行に関与することが明らかになってきている。それゆえ、種々の遺伝子についてDNAのメチル化状態を解析することにより、癌などの疾患を診断する試みがなされている。例えば、特許文献1には、NPTX2、SARP2、CLDN5などの遺伝子が、正常膵臓細胞ではメチル化されていないが、膵臓癌細胞ではメチル化されていることが記載されており、これらの遺伝子のメチル化状態を解析することにより、膵臓癌を検出する方法が記載されている。また、特許文献2には、BRCA2、PCDH7などの遺伝子のメチル化状態を解析することにより、乳癌の一種である乳房増殖性疾患を検出する方法が記載されている。
このように、種々の癌について異常メチル化される遺伝子が多数報告されている。しかしながら、それらの中で癌を検出するための分子マーカーとして用い得るものは少数に過ぎない。
そのため、遺伝子のメチル化解析を利用した癌細胞の検出方法に有用な新規分子マーカーのさらなる開発が望まれている。
特表2007−524369号公報 特表2008−506407号公報
本発明は、癌細胞の存否を判定可能な新規分子マーカーを用いて、生体試料から抽出したDNAのメチル化状態を解析し、その解析結果に基づいて、癌細胞の存否を判定する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、その方法に用い得る判定用分子マーカーおよびキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、癌組織および癌細胞株のゲノムDNAのメチル化状態を解析して、DNAのメチル化が、癌組織および癌細胞株に特異的に認められる遺伝子領域を同定した。そして、本発明者らは、これらの遺伝子領域中の所定の塩基配列についてメチル化状態を解析し、得られた解析結果を利用することにより、癌細胞を含む試料と癌細胞を含まない試料とを、高精度に区別できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、
被験者から採取した生体試料からDNAを抽出する工程と、
抽出工程で得られたDNAについて、配列番号1〜14の塩基配列から選択される少なくとも1つの塩基配列に存在する少なくとも1つのCpG部位のメチル化状態を解析する工程と、
解析工程で得られた解析結果に基づいて、生体試料中の癌細胞の存否を判定する工程と
を含む、生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法が提供される。
また、本発明によれば、配列番号1〜14の塩基配列に存在するCpG部位から少なくとも1つ選択される、メチル化状態の解析を用いた癌細胞の存否の判定用分子マーカーが提供される。
さらに、本発明によれば、
被験者から採取した生体試料から抽出したDNAに含まれる非メチル化シトシンを他の塩基に変換する非メチル化シトシン変換剤と、
配列番号1〜14の塩基配列から選択される少なくとも1つの塩基配列に存在する少なくとも1つのCpG部位のメチル化状態を、メチル化特異的PCR法により確認するためのプライマーセットと
を含む、生体試料中の癌細胞の存否の判定用キットが提供される。
本発明の生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法(以下、本発明の方法ともいう)によれば、被験者から採取した生体試料から抽出したDNAについて、本発明の判定用分子マーカーのメチル化状態を解析することにより、該試料中の癌細胞の存否を判定できる。
また、本発明は、その方法に用い得る判定用分子マーカーおよびキットを提供することができる。
膵臓癌組織の4サンプルおよび正常膵臓組織の5サンプルから得たDNAにおける、配列番号1の塩基配列の5'末端から数えて1〜54番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 膵臓癌組織の5サンプルおよび正常膵臓組織の5サンプルから得たDNAにおける、配列番号2の塩基配列の5'末端から数えて1〜79番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 膵臓癌組織の5サンプルおよび正常膵臓組織の4サンプルから得たDNAにおける、配列番号3の塩基配列の5'末端から数えて1〜12番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 配列番号1〜3の各塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の頻度を示す棒グラフである。 膵臓癌組織および正常組織から得たDNAについて、配列番号15の塩基配列をメチル化特異的PCR(MSP)法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 膵臓癌組織および正常組織から得たDNAについて、配列番号16の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 膵臓癌組織および正常膵臓組織から得たDNAについて、配列番号17の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 膵臓癌組織および正常組織から得たDNAについて、配列番号18の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 膵臓癌組織および正常組織から得たDNAについて、配列番号19の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 大腸組織および乳腺組織から得たDNAについて、配列番号15の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳腺組織から得たDNAについて、配列番号18の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌細胞株MCF7の6サンプルおよび正常乳腺上皮細胞株HMECの5サンプルにおける、配列番号7の塩基配列の5'末端から数えて1〜52番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の4サンプルおよびHMEC細胞の4サンプルにおける、配列番号8の塩基配列の5'末端から数えて1〜39番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の6サンプルおよびHMEC細胞の6サンプルにおける、配列番号9の塩基配列の5'末端から数えて1〜23番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の5サンプルおよびHMEC細胞の5サンプルにおける、配列番号10の塩基配列の5'末端から数えて1〜10番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の4サンプルおよびHMEC細胞の4サンプルにおける、配列番号11の塩基配列の5'末端から数えて1〜23番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の6サンプルおよびHMEC細胞の6サンプルにおける、配列番号12の塩基配列の5'末端から数えて1〜32番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の5サンプルおよびHMEC細胞の4サンプルにおける、配列番号13の塩基配列の5'末端から数えて1〜19番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 MCF7細胞の4サンプルおよびHMEC細胞の4サンプルにおける、配列番号14の塩基配列の5'末端から数えて1〜24番目のCpG部位のメチル化状態を示す表である。 配列番号7〜14の各塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の頻度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号20の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号21の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号22の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号23の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号24の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号25の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号26の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 MCF7細胞およびHMEC細胞から得たDNAについて、配列番号27の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号20の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号21の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号22の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号23の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号24の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号25の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号26の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 乳癌組織および正常乳腺組織から得たDNAについて、配列番号27の塩基配列をMSP法により増幅して得られたPCR産物のバンドの蛍光強度を示す棒グラフである。 大腸癌組織および正常大腸組織から得たDNAについて、配列番号17〜19、21、22および25〜27の塩基配列をMSP法により増幅し、得られた反応液をアガロース電気泳動したときの写真である。 MCF7細胞、正常心臓組織、正常腎臓組織、正常肝臓組織、正常肺組織および正常抹消血中白血球から得たDNAについて、配列番号20〜27の塩基配列をMSP法により増幅し、得られた反応液をアガロース電気泳動したときの写真である。
本明細書において、「CpG部位」とは、塩基配列中のシトシン(C)とグアニン(G)とが5'から3'への方向にこの順序で隣り合った配列の部位を意味する。なお、CpGの「p」の文字は、シトシンとグアニンとの間のホスホジエステル結合を表わす。
本明細書において、「メチル化状態を解析する」とは、解析対象の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の有無、または該塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の頻度を解析することを意味する。なお、ここでいう解析対象の塩基配列は、配列番号1〜14の塩基配列から選択される少なくとも1つの塩基配列のうち、少なくとも1つのCpG部位を含む領域であれば特に限定されない。
上記の「メチル化の有無」は、解析対象の塩基配列に存在するCpG部位のシトシン残基がメチル化されているか否かを意味する。
また、「メチル化の頻度」は、解析対象の塩基配列に存在する全てのCpG部位の数に対する、メチル化されたCpG部位の数の割合を意味する。なお、本発明においては、配列番号1〜14の各塩基配列に存在するCpG部位の位置および数は既知であるので、配列番号1〜14の各塩基配列の中から解析対象の塩基配列を特定すれば、そこに存在するCpG部位の数も予め把握することが可能である。したがって、解析対象の塩基配列におけるメチル化されたCpG部位の数自体もメチル化の頻度として利用できる。
本発明の方法では、まず被験者から採取した生体試料からDNAを抽出する。
この抽出工程において、上記の生体試料は、被験者のDNAを含む試料であれば特に限定されないが、好ましくはゲノムDNAを含む試料、例えば臨床検体を用い得る。臨床検体として具体的には、血液、血清、血漿、リンパ液、尿、乳頭分泌液、手術や生検により採取した組織および細胞などが挙げられる。
生体試料からのDNAの抽出は、公知の抽出方法により行うことができる。例えば、生体試料と、細胞や組織を可溶化する界面活性剤(例えばコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなど)を含む処理液とを混合し、得られた混合液に物理的処理(撹拌、ホモジナイズ、超音波破砕など)を施して、生体試料に含まれるDNAを該混合液中に遊離させることによって行うことができる。この場合、該溶液を遠心分離して細胞破片を沈殿させた後、DNAを含む上清を回収し、この上清を次の解析工程に用いることが好ましい。さらに、得られた上清を、公知の方法により精製してもよい。なお、生体試料からのDNAの抽出および精製は、市販のキットを用いて行うこともできる。
上記の抽出工程は、抽出したDNAを断片化する工程をさらに含むことが好ましい。そのような工程により、DNAを適当な長さに断片化しておけば、後述するメチル化DNA免疫沈降(MeDIP)法および非メチル化シトシン変換処理を効率よく行うことができる。
DNAの断片化は、超音波処理、アルカリ処理、制限酵素処理などにより行うことができる。例えば、水酸化ナトリウムを用いてアルカリ処理を行なう場合は、DNA溶液に水酸化ナトリウム溶液を終濃度0.1〜1.0 Nとなるよう添加し、10〜40℃で5〜15分間インキュベーションすることによりDNAを断片化できる。また、制限酵素処理を行う場合、制限酵素はDNAの塩基配列に基づいて適宜選択でき、例えばMseIやBamHIなどを用い得る。
次いで、本発明の方法では、生体試料から抽出したDNAについて、配列番号1〜14の塩基配列から選択される少なくとも1つの塩基配列に存在する少なくとも1つのCpG部位のメチル化状態を解析する。
上記の配列番号1〜14の塩基配列は、いずれもヒトゲノムDNAの一領域である。より具体的には、これらの塩基配列はそれぞれ、以下の表1に示される遺伝子領域またはその付近の塩基配列領域の一部である。なお、これらの塩基配列自体は公知であり、例えば米国国立医学図書館の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)により提供されるデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/)などの公知のデータベースから知ることができる。
この解析工程では、解析対象のCpG部位は、以下に示すものから選択されることが好ましい:
配列番号1の塩基配列の5'末端側から1、3〜7、9〜26および28〜54番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列の5'末端側から1〜11、13〜23、25、26、28、29、31、32、34、35、38、40〜44、46〜49、51〜57、59〜66、68、70〜73、75、76、78および79番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列の5'末端側から1〜10および12番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列の5'末端側から1〜3番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列の5'末端側から1〜4番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列の5'末端側から1および2番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列の5'末端側から1〜7および9〜52番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列の5'末端側から1〜16、18〜25および27〜39番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列の5'末端側から1、2、4、7〜11および13〜23番目のCpG部位、
配列番号10の塩基配列の5'末端側から1〜6、8および10番目のCpG部位、
配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3、5〜11、13、15〜19および21〜23番目のCpG部位、
配列番号12の塩基配列の5'末端側から1〜6、8、10〜22、25〜28および32番目のCpG部位、
配列番号13の塩基配列の5'末端側から1〜3、7〜13、15および19番目のCpG部位、ならびに
配列番号14の塩基配列の5'末端側から1〜4、14〜16、18、19、21および22番目のCpG
部位。
上記の解析工程は、配列番号1〜14の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の有無を解析する工程であってもよい。
この場合、解析対象のCpG部位は1つであってもよいが、後の判定工程での判定精度を向上させるため、複数のCpG部位のメチル化の有無を解析することが好ましい。なお、複数のCpG部位は、1つの塩基配列中から選択してもよく、複数の塩基配列のそれぞれの中から選択してもよい。
また、上記の解析工程は、配列番号1〜14の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の頻度を解析する工程であってもよい。
この場合、解析対象の塩基配列はCpG部位を1つしか含んでいなくてもよいが、後の判定工程での判定精度を向上させるため、複数のCpG部位を含む塩基配列を解析対象とすることが好ましい。また、解析対象の塩基配列は、上記の配列番号1〜14の塩基配列のうちのいずれか1つであってもよいが、好ましくは複数の塩基配列である。
メチル化状態を解析する方法としては、種々の方法が公知である。本発明の方法では、いずれの解析方法を用いるかは特に限定されないが、メチル化DNAと非メチル化DNAとを区別する工程と、DNAを増幅する工程と、メチル化DNAおよび/または非メチル化DNAを検出する工程とを含むことが好ましい。
メチル化DNAと非メチル化DNAとを区別する工程としては、メチル化感受性制限酵素処理、MeDIP法、非メチル化シトシン変換処理などを行う工程が挙げられる。
DNAを増幅する工程としては、PCR増幅法、定量的PCR増幅法、IVT(in vitro transcription)増幅法、SPIA(商標)増幅法などを行う工程が挙げられる。
メチル化DNAおよび/または非メチル化DNAを検出する工程としては、電気泳動法、シークエンス解析法、マイクロアレイ解析法、質量分析法、サザンハイブリダイゼーションなどを行う工程が挙げられる。
MeDIP法とは、抗メチル化シトシン抗体もしくは抗メチル化シチジン抗体、またはメチル化DNA結合タンパク質を特異的に認識する抗体を用いる免疫沈降により、生体試料に含まれるメチル化DNAを濃縮する方法である。本発明の方法の解析工程では、上記の抽出工程で得られたDNAに含まれるメチル化DNAをMeDIP法により濃縮し、この濃縮されたメチル化DNAのメチル化状態を解析する工程であってもよい。
また、MeDIP法により濃縮したメチル化DNAを、IVT増幅法などにより増幅し、得られた増幅産物について、マイクロアレイを用いてメチル化状態を解析できる。このような解析方法は、MeDIP on chip法と呼ばれる。
非メチル化シトシン変換処理とは、生体試料から抽出したDNAと非メチル化シトシン変換剤とを反応させることにより、該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換する処理のことである。
ここで、非メチル化シトシン変換剤とは、DNAと反応して該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換できる物質である。このような非メチル化シトシン変換剤としては、例えば亜硫酸水素のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの亜硫酸水素塩(バイサルファイト)が好適に用いられる。
バイサルファイトを用いる処理では、DNA中の非メチル化シトシンは、脱アミノ化反応によりウラシルに変換されるが、メチル化シトシンには、このような塩基の変換が起こらない。
したがって、DNAのメチル化状態の違いは、バイサルファイトを用いる非メチル化シトシン変換処理によって、塩基配列の違い(CおよびU)に変換される。なお、バイサルファイトによる非メチル化シトシン変換処理は、バイサルファイト処理と呼ばれる。
バイサルファイト処理を行なう場合、バイサルファイトの添加量(濃度)は、DNA中の非メチル化シトシンを十分に変換できる程度であれば特に限定されないが、例えば、試料中の終濃度として1 M以上、好ましくは1〜15 M、より好ましくは3〜10 Mである。また、生体試料にバイサルファイトを添加した後のインキュベーションの条件(温度および時間)は、バイサルファイトの添加量に応じて適宜設定できるが、例えば、バイサルファイトを終濃度6 Mで添加した場合、50〜80℃で10〜90分間インキュベーションする。
DNAのメチル化状態は、バイサルファイト処理後のDNAをシークエンス解析して、本来の塩基配列との違いを検出することにより解析できる。この方法は、バイサルファイトシークエンス法と呼ばれる。
また、DNAのメチル化状態は、バイサルファイト処理後のDNAを、後述するプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、PCR産物の有無を確認することによっても解析することができる。このような解析方法は、メチル化特異的PCR(MSP)法と呼ばれる。
上記のMSP法には、解析対象のCpG部位のシトシンがメチル化されている(すなわち、シトシンがウラシルに変換されていない)塩基配列は増幅できるが、CpG部位のシトシンがメチル化されていない(すなわち、該シトシンがウラシルに変換されている)塩基配列は増幅できないプライマーセットを用いる。このようなプライマーセットを用いるMSP法では、PCR産物が存在することにより、解析対象のCpG部位がメチル化されていることがわかる。
また、MSP法は、解析対象のCpG部位のシトシンがウラシルに変換されていない塩基配列は増幅できないが、CpG部位のシトシンがウラシルに変換されている塩基配列は増幅できるプライマーセットを用いて行なうこともできる。この場合、PCR産物が存在しないことにより、解析対象のCpG部位がメチル化されていることがわかる。
上記のプライマーセットに含まれる各プライマーは、解析対象のCpG部位を含む塩基配列に応じて当業者が適宜設計できるが、プライマーの3'末端またはその付近に、解析対象のCpG部位のシトシンを含むように設計することが好ましい。
本発明の方法の解析工程においては、マイクロアレイを用いてメチル化状態を解析することもできる。この場合、解析用マイクロアレイは、配列番号1〜14の塩基配列に相補的な核酸プローブ1種以上を、基板上に固定して作製できる。なお、このようなマイクロアレイは、当該技術において公知の方法により作製できる。
マイクロアレイによる解析では、生体試料から抽出したDNAは、当該技術において公知の標識物質により標識されていることが好ましい。よって、本発明の方法は、抽出したDNAを標識する工程をさらに含むことが好ましい。この標識工程は、生体試料中の全てのDNAを標識できるので、上記のDNA増幅工程の後に行われるのが有利である。なお、標識物質としては、蛍光物質、ビオチンなどのハプテン、放射性物質などが挙げられる。また、蛍光物質としては、Cy3、Cy5、Alexa Fluor(商標)、FITCなどが挙げられる。
このようにDNAを標識することにより、マイクロアレイ上のプローブからのシグナルの測定が容易になる。なお、DNAをこれらの標識物質で標識する方法は、当該技術において公知である。
上記のシグナルは、マイクロアレイの種類に応じて適切なシグナルであり得る。例えば、シグナルは、マイクロアレイの各プローブとハイブリダイズしたDNA断片が存在する場合に発生する電気的シグナルであってもよいし、上記のように解析対象のDNAが標識されている場合は、標識物質から生じる蛍光、発光などのシグナルであってもよい。
シグナルの検出は、通常のマイクロアレイ測定装置に備えられたスキャナーにより行うことができる。スキャナーとしては、例えば、GeneChip(登録商標)Scanner3000 7G(Affymetrix社)などが挙げられる。
本発明の方法では、上記の解析工程で得られた解析結果に基づいて、生体試料中の癌細胞の存否を判定する。
この判定工程では、解析工程においてメチル化されたCpG部位が有るという結果が得られた場合に、被験者から採取した生体試料中に癌細胞が存在すると判定し得る。反対に、メチル化されたCpG部位が無いという結果が得られた場合に、該生体試料中に癌細胞が存在しないと判定し得る。
なお、上記の判定は、1つのCpG部位の解析結果から行ってもよいが、判定精度を向上させるために、複数のCpG部位の解析結果から判定することが好ましい。
また、上記の判定工程では、解析工程においてメチル化の頻度が所定の閾値より高いという結果が得られた場合に、被験者から採取した生体試料中に癌細胞が存在すると判定し得る。反対に、メチル化の頻度が所定の閾値より低いという結果が得られた場合に、被験者から採取した生体試料中に癌細胞が存在しないと判定し得る。
なお、上記の閾値は、次のようにして設定できる。まず、癌細胞を含まないことが予め確認されている生体試料(正常組織または正常細胞)、および癌細胞を含む生体試料から抽出したDNAについて、メチル化の頻度を解析する。次いで、得られた解析結果に基づいて、癌細胞を含まない生体試料のメチル化の頻度よりも高く、癌細胞を含む生体試料のそれよりも低い範囲から、閾値を設定する。好ましくは、癌細胞を含まない生体試料と癌細胞を含む生体試料とを高精度に区別し得る値を、閾値として設定する。
上記の本発明の方法に用いる癌細胞の存否の判定用分子マーカー(以下、「本発明の分子マーカー」ともいう)も、本発明の1つである。
本発明の分子マーカーは、配列番号1〜14の塩基配列に存在するCpG部位から少なくとも1つ選択される。
また、本発明の分子マーカーは、以下に示すCpG部位から選択されることが好ましい:
配列番号1の塩基配列の5'末端側から1、3〜7、9〜26および28〜54番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列の5'末端側から1〜11、13〜23、25、26、28、29、31、32、34、35、38、40〜44、46〜49、51〜57、59〜66、68、70〜73、75、76、78および79番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列の5'末端側から1〜10および12番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列の5'末端側から1〜3番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列の5'末端側から1〜4番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列の5'末端側から1および2番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列の5'末端側から1〜7および9〜52番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列の5'末端側から1〜16、18〜25および27〜39番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列の5'末端側から1、2、4、7〜11および13〜23番目のCpG部位、
配列番号10の塩基配列の5'末端側から1〜6、8および10番目のCpG部位、
配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3、5〜11、13、15〜19および21〜23番目のCpG部位、
配列番号12の塩基配列の5'末端側から1〜6、8、10〜22、25〜28および32番目のCpG部位、
配列番号13の塩基配列の5'末端側から1〜3、7〜13、15および19番目のCpG部位、ならびに
配列番号14の塩基配列の5'末端側から1〜4、14〜16、18、19、21および22番目のCpG
部位。
また、上記の本発明の方法を実行するための生体試料中の癌細胞の存否の判定用キット(以下、「本発明のキット」ともいう)も本発明の1つである。
本発明のキットは、非メチル化シトシン変換剤と、配列番号1〜14の塩基配列に存在する少なくとも1つのCpG部位のメチル化状態をメチル化特異的PCRにより確認するためのプライマーセットとを含む。
本発明のキットに含まれる非メチル化シトシン変換剤は、被験者から採取した生体試料から抽出したDNAと反応して、該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換できる物質であれば特に限定されないが、好ましくはバイサルファイトである。なお、非メチル化シトシン変換剤は、溶液の形態にあってもよく、用時に適切な溶媒に溶解して液体にし得る固体の形態にあってもよい。
本発明のキットを用いる場合、MSP法により確認されるCpG部位は、以下に示すものから選択されることが好ましい:
配列番号1の塩基配列の5'末端側から1、3〜7、9〜26および28〜54番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列の5'末端側から1〜11、13〜23、25、26、28、29、31、32、34、35、38、40〜44、46〜49、51〜57、59〜66、68、70〜73、75、76、78および79番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列の5'末端側から1〜10および12番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列の5'末端側から1〜3番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列の5'末端側から1〜4番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列の5'末端側から1および2番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列の5'末端側から1〜7および9〜52番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列の5'末端側から1〜16、18〜25および27〜39番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列の5'末端側から1、2、4、7〜11および13〜23番目のCpG部位、
配列番号10の塩基配列の5'末端側から1〜6、8および10番目のCpG部位、
配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3、5〜11、13、15〜19および21〜23番目のCpG部位、
配列番号12の塩基配列の5'末端側から1〜6、8、10〜22、25〜28および32番目のCpG部位、
配列番号13の塩基配列の5'末端側から1〜3、7〜13、15および19番目のCpG部位、ならびに
配列番号14の塩基配列の5'末端側から1〜4、14〜16、18、19、21および22番目のCpG
部位。
より好ましくは、MSP法により確認されるCpG部位は、以下に示すものから選択される:
配列番号1の塩基配列の5'末端側から9、10および28〜30番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列の5'末端側から4〜7番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列の5'末端側から6および9番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列の5'末端側から3、4、11および12番目のCpG部位。
配列番号8の塩基配列の5'末端側から8、9および14〜16番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列の5'末端側から15、16および22番目のCpG部位、
配列番号10の塩基配列の5'末端側から2および6番目のCpG部位、
配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3および10番目のCpG部位、
配列番号12の塩基配列の5'末端側から10、11および16〜19番目のCpG部位、
配列番号13の塩基配列の5'末端側から7、8および15番目のCpG部位、ならびに
配列番号14の塩基配列の5'末端側から1、2および4番目のCpG部位。
本発明のキットに含まれるプライマーセットは、以下から選択されることが好ましい:
配列番号28および配列番号29の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号30および配列番号31の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号32および配列番号33の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号34および配列番号35の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号36および配列番号37の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号38および配列番号39の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号40および配列番号41の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号42および配列番号43の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号44および配列番号45の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号46および配列番号47の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号48および配列番号49の塩基配列であるプライマーセット、
配列番号50および配列番号51の塩基配列であるプライマーセット、ならびに
配列番号52および配列番号53の塩基配列であるプライマーセット。
上記のプライマーセットは、配列番号1〜14の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の有無をMSP法で解析することにより、本発明の方法を行なう場合に好適に用いられる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 膵臓癌組織のゲノムDNAからの新規マーカーの同定
ヒト膵臓癌組織およびヒト正常膵臓組織のゲノムDNAを、マイクロアレイを用いて解析することにより、膵臓癌組織のゲノムDNAに特異的にメチル化が認められる遺伝子領域の探索を行った。
なお、実施例1での具体的な操作手順は、使用したキットおよび試薬類に添付のマニュアルの記載に従って行った。
1.MeDIP法によるメチル化DNAの調製
ヒト膵臓癌組織およびヒト正常膵臓組織を生体試料として用いて、これらからゲノムDNAを抽出した。抽出した各ゲノムDNA(4μg)を、制限酵素MseI(NEB社)と37℃で一晩反応させて、300〜1000 bpに断片化した。次いで、これらを95℃で10分間加熱して変性させた後、4℃まで急冷して、一本鎖DNA断片を得た。
得られた一本鎖DNA断片をChromatin Immunoprecipitationアッセイキット(Upstate biotechnology社)の希釈用緩衝液(302μl)で希釈した。次いで、得られた各希釈液にProteinG Sepharoseビーズ(68μl:GE Healthcare社)を添加し、4℃で1時間ローテーションした後、遠心分離することにより、該ビーズに非特異的に結合するタンパク質などを除いた(以下、プレクリアー処理ともいう)。そして、各上清を回収した後、これらをそれぞれ二等分して別々のチューブに移して、一方に抗メチル化シトシン抗体BI-MECY-0500(10μg:Eurogentec社)を添加し、他方には該抗体を添加せず、それぞれ検体試料および対照試料(Input)とした。そして、各検体試料を4℃で一晩ローテーションした後、ProteinG Sepharose ビーズ(68μl:GE Healthcare社)を添加し、さらに4℃で1時間ローテーションした。その後、これらを遠心分離して、上清を除いてビーズを回収した。得られたビーズを上記のキットの洗浄用緩衝液で洗浄した後、該ビーズに溶出用緩衝液(250μl)を加えて、一本鎖DNA断片を溶出した。
得られたDNA溶液をプロテイナーゼK(Sigma社)と反応させた後、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)を用いて精製した。
なお、各検体試料においてメチル化DNAが特異的に濃縮されていることを、定量的PCR法により確認した。
2.試料中の核酸の増幅および標識
上記のヒト膵臓癌組織およびヒト正常膵臓組織のそれぞれから得た検体試料および対照試料について、CIP(Calf intestine phosphatase)(New England Biolab社)を用いて、DNAの脱リン酸化処理を行った。次いで、Terminal transferase(ROCHE社)を用いてDNAの3'末端にdATPを付加し、MinElute purificationキット(QIAGEN社)を用いてDNAを精製した。そして、GeneChip(登録商標)One-Cycle Traget Labelingキット(Affymetrix社)を用いて、各試料中の一本鎖DNA断片から二本鎖DNAを得た。さらに、得られた二本鎖DNAを鋳型としてIVT増幅によるビオチン標識をして、各試料からビオチン化cRNAを得た。得られたcRNAの濃度を、吸光度(260 nmおよび280 nm)を測定することにより確認した。
各試料からのcRNAを、GeneChip(登録商標)Sample Cleanup Module(Affymetrix社)により断片化して、マイクロアレイ解析用の検体試料および対照試料を得た。
3.マイクロアレイ解析
(1)試料とマイクロアレイとの接触
上記のマイクロアレイ解析用の各試料を、マイクロアレイとしてのGeneChip(登録商標)Human Promoter 1.0R Array(Affymetrix社)に接触させて、プローブとのハイブリダイゼーションを行った。各検体試料および対照試料について、同種のマイクロアレイを1つずつ用いた。なお、マイクロアレイとの接触後の染色、洗浄およびスキャン(シグナルの測定)は、Affymetrix社から提供されるマニュアルに従って行った。
(2)マイクロアレイデータの解析
得られたマイクロアレイのデータを、以下の手順に従って解析した。なお、この解析では、中央処理装置、記憶部、キーボードなどの入力部およびディスプレイなどの出力部を備える一般的なコンピュータを用いた。
(手順1)コンピュータに、上記のマイクロアレイに配置されている全プローブの塩基配列、ゲノムDNAの塩基配列および上記で得られたシグナル測定値を入力した。
(手順2)ゲノムDNAの塩基配列を、制限酵素MseIの認識配列“TACC”で区切ったDNA断片の塩基配列を取得した。次いで、取得した塩基配列から、その長さが300 bp以上で、且つその配列中に“CG”配列を含まないDNA断片の塩基配列を抽出した。このようにして、“CG”配列を含まない300 bp以上のDNA断片の塩基配列(以下、「断片配列」ともいう)を取得した。
(手順3)マイクロアレイに配置されている全プローブから、“CG”配列を含まないプローブを抽出した。そして、抽出されたプローブのうち、上記の断片配列と相補的なプローブを補正用プローブとした。
(手順4)入力したシグナル測定値から、上記の補正用プローブから得られたシグナル測定値を抽出し、それらの統計的代表値(最頻値)を算出した。この値をバックグラウンド値とした。なお、この手順は、検体試料および対照試料のそれぞれについて行った。
(手順5)入力した各シグナル測定値から上記のバックグラウンド値を差し引き、得られた値を各プローブの補正値とした。なお、補正値が負の場合、その値はゼロとした。なお、この手順も、検体試料および対照試料のそれぞれについて行った。
(手順6)検体試料の補正値と対照試料の補正値とについて、ウィルコクソンの符号順位検定を行って、有意確率を算出した。
得られた有意確率を、標準ブラウザーであるIGB(Integrated Genome Browser;IGB社)を用いて可視化した。なお、IGBで表示される有意確率は、(変換値)= -10 log10(有意確率)の式で変換されており、その変換値が20以上の場合に、膵臓癌組織のゲノムDNAに特異的にメチル化されたCpG部位を含む遺伝子領域を有意に検出できたと考えられる。
その結果、膵臓癌組織のゲノムDNAに特異的にメチル化が認められる遺伝子領域として、配列番号15〜19の塩基配列で示される領域を同定した。なお、配列番号15〜19の塩基配列は、それぞれHOXA9、KCNQ1DN、RAPSN、FZD9およびCDH22の遺伝子領域またはその付近の塩基配列領域の一部であり、またそれぞれ配列番号1、2、3、4および5、ならびに6の塩基配列を包含する領域である。
上記の配列番号15〜19と、配列番号1〜6の各塩基配列および各遺伝子との対応を、以下の表2にまとめた。
実施例2 バイサルファイトシークエンス法によるメチル化状態の解析
膵臓癌組織およびヒト正常膵臓組織のゲノムDNAにおいて、実施例1で同定した配列番号15〜17の塩基配列で示される遺伝子領域中のCpG部位がメチル化されているか否かを、バイサルファイトシークエンス法により調べた。
1.バイサルファイト処理
実施例1で用いたヒト膵臓癌組織およびヒト正常膵臓組織から抽出したゲノムDNA(2μg)に、0.3 N水酸化ナトリウム水溶液を300μl添加し、37℃で10分間インキュベーションして、ゲノムDNAを変性させた。次いで、各DNA溶液に10 M亜硫酸水素ナトリウム溶液を300μl添加し、80℃で40分間インキュベーションすることにより、バイサルファイト処理を行った。そして、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)を用いて、バイサルファイト処理後の各溶液からDNAを精製して、解析用試料を得た。
2.シークエンス解析
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、下記のプライマーセットを用いてPCR法を行った。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、15μlの反応液を調製した。
10×Ex Taq(登録商標)buffer(タカラバイオ株式会社) 1.5μl
dNTP mix(2.5 mM) 1.2μl
Fプライマー(10μM) 0.6μl
Rプライマー(10μM) 0.6μl
解析用試料(テンプレート) 1.0μl
Ex Taq(登録商標)polymerase(タカラバイオ株式会社) 0.12μl
蒸留水 9.98μl
合計 15.0μl
(ii)プライマーの配列および反応条件
(配列番号15の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TAGTTAGGGATAAAGTGTGAGTGTTA -3'(配列番号54)
R:5'- CAACTTATTAAATAACTATACTTCCCC -3'(配列番号55)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、55℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号16の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GGGATATTTGTTTTTTATATTTAATAAAGT -3'(配列番号56)
R:5'- ACCTCACAATAAAACTACTACAACC -3'(配列番号57)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、56℃で15秒および72℃で40秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号17の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- AGGTATTTATGGGGTAGGAATTATA -3'(配列番号58)
R:5'- AAATCACTTAACTAAAATCCCACTA -3'(配列番号59)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、56℃で15秒および72℃で40秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
得られた各PCR産物を、TA cloningキット(Invitrogen社)のpCR(登録商標)2.1ベクターに組み込んだ。得られた各プラスミド構築物をコンピテントセル(TOP10;Invitrogen社)に形質転換し、これらの形質転換体からプラスミドをGenElute Plasmid Miniprepキット(SIGMA社)を用いて抽出および精製した。得られた各プラスミドに含まれる上記のPCR産物の塩基配列を、Applied Biosystems 3730xl DNA Analyzer(Applied Biosystems社製)を用いてシークエンス解析を行った。
シークエンス解析後、上記の配列番号の塩基配列におけるCpG部位のメチル化状態を解析した。
配列番号15〜17の塩基配列のそれぞれに包含される配列番号1〜3の塩基配列中に存在するCpG部位のメチル化状態を、上記のシークエンス結果に基づいて、図1〜3に表として示した。これらの図に示される表において、「●」はメチル化CpG部位、「○」は非メチル化CpG部位、「−」は解析不能のCpG部位を表わす。また、「PT」および「PN」は、それぞれ膵臓癌組織および正常膵臓組織を意味する。
各図の表において、CpG部位の行に示される数字は、配列番号1〜3の各塩基配列の5'末端から数えたCpG部位の位置を示す番号である。また、該番号に「*」または「**」が付されたCpG部位は、正常膵臓組織サンプルと比較して膵臓癌組織サンプルにおいてメチル化傾向にあるCpG部位である。
図1〜3より、配列番号1〜3のいずれの塩基配列においても、CpG部位は、膵臓癌組織ではメチル化されている傾向にあり、正常膵臓細胞組織ではメチル化されていない傾向にあることがわかる。
これらの結果に基づいて、配列番号1〜3の各塩基配列におけるメチル化の頻度を解析した。例えば、配列番号1の塩基配列の場合では、膵臓癌組織(PT)のメチル化の頻度は、全クローン(clone1〜4)中のメチル化されたCpG部位「●」の数を、全クローン中のメチル化されたCpG部位「●」の数とメチル化されていないCpG部位「○」の数との和で除して、パーセンテージとして算出した値である。また、正常膵臓組織(PN)のメチル化の頻度も上記と同様に、全クローン(clone1〜5)中のメチル化されたCpG部位「●」の数を、全クローン中のメチル化されたCpG部位「●」の数とメチル化されていないCpG部位「○」の数との和で除して、パーセンテージとして算出した値である。
このようにして得られた各塩基配列におけるメチル化の頻度を、図4に棒グラフとして示した。なお、該グラフは、膵臓癌組織のサンプル群および正常膵臓組織のサンプル群の平均値を表す。
図4より、配列番号1〜3の各塩基配列に存在する全CpG部位を解析対象とした場合、癌細胞を含む試料と含まない試料とを区別する閾値は、例えば20〜60%の範囲から選択できることがわかる。
このことから、被験者から採取した生体試料から抽出したDNAにおいて、配列番号1、2および/または3の塩基配列中のCpG部位のメチル化の頻度が上記の閾値より高い場合、該生体試料中に癌細胞が存在すると判定し得ることが示唆された。
本発明の判定用分子マーカーとしては、癌組織ではメチル化されている傾向にあり、且つ正常組織ではメチル化されていない傾向にあるCpG部位が好適である。
したがって、配列番号1〜3の塩基配列中のCpG部位のメチル化の頻度に基づいて試料中の癌細胞の存否を判定する場合、判定用分子マーカーとしてのCpG部位は、図1〜3において、好ましくは「*」または「**」が付されたCpG部位、より好ましくは「**」が付されたCpG部位から選択することによって、より精度の高い判定を行い得る。
また、メチル化特異的PCRにより、配列番号1〜3の塩基配列中のCpG部位のメチル化の有無を解析した結果に基づいて試料中の癌細胞の存否を判定する場合、図1〜3において、好ましくは「*」または「**」が付されたCpG部位、より好ましくは「**」が付されたCpG部位から選択されるCpG部位を増幅できるプライマーを用いることによって、より精度の高い判定を行い得る。
実施例3 メチル化特異的PCR(MSP)法によるメチル化状態の解析
実施例1で同定した配列番号15〜19の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化状態をMSP法によって調べた。
1.バイサルファイト処理
ヒト膵臓癌組織、ヒト正常膵臓組織、ヒト正常心臓組織、ヒト正常腎臓組織、ヒト正常肝臓組織、ヒト正常肺組織およびヒト正常末梢血中の白血球からのゲノムDNA(各2μg)に対して、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。バイサルファイト処理後の溶液に含まれるDNAを、Qiaquick PCR purification キット(QIAGEN社)を用いて精製し、解析用試料を得た。
2.MSP法
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、下記のプライマーセットを用いてMSP法を行った。このMSP法においては、テンプレートのDNA中にメチル化されたCpG部位が存在する場合にPCR産物が得られる。なお、本実施例のMSPでの解析対象であるCpG部位は、図1〜3の「**」が付されたCpG部位である。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、25μlの反応液を調製した。
2×FastStart Universal SYBR Green Master(ROX)(ROCHE社)12.5μl
Fプライマー(10μM) 1.0μl
Rプライマー(10μM) 1.0μl
解析用試料(テンプレート) 1.0μl
蒸留水 9.5μl
合計 25.0μl
なお、上記の組成において、テンプレートに代えて蒸留水を添加したサンプルおよびテンプレートを含まないサンプルを、陰性対照として用いた。
(ii)プライマーの配列および反応条件
(配列番号15の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- CGTGGGTTTTAGTTAGGAGC -3'(配列番号28)
R:5'- ATCCAAAACGACGATATTTAACG -3'(配列番号29)
このプライマーセットは、配列番号15の塩基配列の5'末端から数えて9、10および28〜30番目(配列番号1の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、54℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号16の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- CGTTTCGTTCGTATTTATAATAGACG -3'(配列番号30)
R:5'- AAAACCCATTCTTCCTAACTCCG -3'(配列番号31)
このプライマーセットは、配列番号16の塩基配列の5'末端から数えて7〜10および20番目(配列番号2の塩基配列の5'末端から数えて4〜7および17番目)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号17の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TGAGGAATGTTAGTAGTAAGGTTACGT -3'(配列番号32)
R:5'- CCTATATACTCAAAAAAACCACGTC -3'(配列番号33)
このプライマーセットは、配列番号17の塩基配列の5'末端から数えて9および12番目(配列番号3の塩基配列の5'末端から数えて6および9番目)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号18の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GTTGGGTTATACGTCGTAGGGC -3'(配列番号34)
R:5'- GACAAACGAAAATAAACGTCGAA -3'(配列番号35)
このプライマーセットは、配列番号18の塩基配列の5'末端から数えて21〜23および36〜39番目(配列番号4の塩基配列の5'末端から数えて1〜3番目および配列番号5の塩基配列の5'末端から数えて1〜4番目)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、57℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号19の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GATAGTTTTAGAGTCGGGGAAGC -3'(配列番号36)
R:5'- CCTAATCCTAACAAAATCTACCGAC -3'(配列番号37)
このプライマーセットは、配列番号19の塩基配列の5'末端から数えて74および75番目(配列番号6の塩基配列の5'末端から数えて1および2番目)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
PCR終了後、各反応液を2%アガロースゲルに電気泳動し、ゲルに現れたバンドからPCR産物の存在を確認した。そして、ゲルの写真を撮影し、得られた写真をQuantity One(Bio-Rad社)のソフトウェアを用いて解析して、バンドの蛍光強度を定量化した。これらの結果を図5〜9に示す。これらの図において、「−」はテンプレートを含まない陰性対照、「PN」は正常膵臓組織、「PT」は膵臓癌組織を意味する。
配列番号15および16の塩基配列についてのMSP法では、各正常組織(膵臓、心臓、腎臓、肝臓、肺および末梢血の白血球)ではほとんどバンドは検出されなかったが、膵臓癌組織では顕著に高い強度のバンドが検出された(図5および6)。
配列番号17の塩基配列についてのMSP法では、正常膵臓組織よりも膵臓癌組織において、顕著に高い強度のバンドが検出された(図7)。
配列番号18および19の塩基配列についてのMSP法では、各正常組織(膵臓、心臓、腎臓、肝臓および末梢血の白血球)ではほとんどバンドは検出されなかったが、膵臓癌組織では顕著に高い強度のバンドが検出された(図8および9)。
上記のとおり、配列番号15〜19の塩基配列についてのMSP法において、膵臓癌組織に特異的に多くのPCR産物が得られた。これは、各組織のゲノムDNAについて、配列番号15〜19の塩基配列、すなわち配列番号1、2、3、4および5、ならびに6の塩基配列中のメチル化CpGの有無をMSP法で解析することにより、膵臓癌組織と正常膵臓組織とを区別できたことを示す。
したがって、被験者から採取した生体試料から抽出したDNAについて、本発明の判定用分子マーカーである配列番号1、2、3、4、5および/または6の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の有無をMSP法で解析することにより、該生体試料中の癌細胞の存否を判定し得ることが示唆された。
実施例4 他の組織におけるMSP法によるメチル化状態の解析
MSP法により、膵臓癌組織以外の癌組織からのDNAについても、メチル化CpG部位を検出できるか否かを検討した。
1.バイサルファイト処理
ヒト乳癌組織、ヒト正常乳腺組織、ヒト大腸癌組織およびヒト正常大腸組織からのゲノムDNA(各2μg)に対して、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。バイサルファイト処理後の溶液に含まれるDNAを、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)を用いて精製し、解析用試料を得た。
2.MSP法
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、上記の配列番号28および29、ならびに34および35の塩基配列のプライマーセットを用いてMSP法を行った。なお、MSP法は、実施例3と同様にして行った。
PCR終了後、実施例3と同様に、各反応液を2%アガロースゲルに電気泳動し、ゲルに現れたバンドの蛍光強度を定量化した。この結果を図10および11に示す。これらの図において、「−」はテンプレートを含まない陰性対照、「PN1」および「PN2」は正常乳腺組織、「BT1」および「BT2」は乳癌組織、「CN」は正常大腸組織、「CT1」および「CT2」は大腸癌組織を意味する。
配列番号28および29の塩基配列のプライマーセットを用いた、配列番号15の塩基配列についてのMSP法では、正常乳腺組織および正常大腸組織において、ほとんどバンドは検出されなかったが、乳癌組織および大腸癌組織で顕著に高い強度のバンドが検出された(図10)。
配列番号34および35の塩基配列のプライマーセットを用いた、配列番号18の塩基配列についてのMSP法では、正常乳腺組織よりも乳癌組織において、顕著に高い強度のバンドが検出された(図11)。
上記のとおり、配列番号15および18の塩基配列についてのMSP法において、乳癌組織および大腸癌組織に特異的に多くのPCR産物が得られた。これは、各組織のゲノムDNAについて、配列番号15および18の塩基配列、すなわち配列番号1、ならびに4および5の塩基配列中のメチル化CpGの有無をMSP法で解析することにより、癌組織と正常組織とを区別できたことを示す。
したがって、膵臓癌組織から同定された本発明の判定用分子マーカーに存在するCpG部位のメチル化の有無をMSP法で解析することによって、膵臓組織とは異なる組織についても癌細胞の存否を判定し得ることが示唆された。
実施例5 乳癌細胞株からの判定用分子マーカーの探索
乳癌細胞株および正常乳腺上皮細胞のゲノムDNAを、マイクロアレイを用いて解析することにより、乳癌由来細胞株のゲノムDNAに特異的にメチル化が認められる遺伝子領域の探索を行った。
なお、実施例5での具体的な操作手順は、使用したキットおよび試薬類に添付のマニュアルの記載に従って行った。
1.MeDIP on chip法によるメチル化遺伝子の探索
(1)MeDIP法によるメチル化DNAの調製
乳癌細胞株であるMCF7、MB-MDA231およびSK-BR-3、ならびに正常乳腺上皮細胞株であるHMECを生体試料として用いたこと以外は実施例1と同様にして、ゲノムDNAを抽出し、そして一本鎖DNA断片を得た。
得られた一本鎖DNA断片を、実施例1と同様にして希釈した後、ProteinG Sepharoseビーズ(68μl:GE Healthcare社)を添加した。そして、実施例1と同様にしてプレクリアー処理を行った。各上清を回収した後、これらをそれぞれ二等分して別々のチューブに移して、一方に抗メチル化シトシン抗体BI-MECY-0500(10μg:Eurogentec社)を添加し、他方に正常マウスIgG抗体(4μg:Santa Cruz社)を添加して、それぞれ検体試料および対照試料とした。そして、これらの検体試料および対照試料を、実施例1と同様に免疫沈降して、一本鎖DNA断片を溶出した。
得られたDNA溶液をプロテイナーゼK(Sigma社)と反応させた後、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)を用いて精製した。
なお、上記の検体試料においてメチル化DNAが特異的に濃縮されていることを、定量的PCR法により確認した。
2.試料中の核酸の増幅および標識
上記のMCF-7細胞、MB-MDA231細胞およびSK-BR-3細胞、ならびにHMEC細胞のそれぞれから得た検体試料および対照試料中のDNAを、WT-Ovation(商標)Pico RNA Amplification System Version 1.0(NuGEN社)を用いて増幅した。次いで、各試料の吸光度(260 nmおよび280 nm)を測定して増幅した核酸の濃度を確認した。
そして、上記で増幅した検体試料および対照試料に含まれる核酸を、FL-Ovation(商標)cDNA Biotin Module V2(NuGEN社)を用いて断片化およびビオチン標識を行った。各試料から得られた核酸を、マイクロアレイ解析用の検体試料および対照試料とした。
3.マイクロアレイ解析
(1)試料とマイクロアレイとの接触
上記のマイクロアレイ解析用の各試料を、実施例1と同様にして、GeneChip(登録商標)Human Promoter 1.0R Array(Affymetrix社)に接触させて、プローブとのハイブリダイゼーションを行った。各検体試料および対照試料について、同種のマイクロアレイを1つずつ用いた。
(2)マイクロアレイデータの解析
得られたマイクロアレイのデータを、実施例1と同様の手順により解析した。その結果、乳癌細胞株のゲノムDNAに特異的にメチル化が認められる遺伝子領域として、配列番号20〜27の塩基配列で示される領域を同定した。なお、配列番号20〜27の塩基配列は、それぞれLBX2、PAX9、ADD3、CCDC61、ZIC4、CGB7、TOX、およびTNNI3の遺伝子領域またはその付近の塩基配列領域の一部であり、またそれぞれ配列番号7、8、9、10、11、12、13および14の塩基配列を包含する領域である。
上記の配列番号20〜27と、配列番号7〜14の各塩基配列および各遺伝子との対応を、以下の表3にまとめた。
実施例6 バイサルファイトシークエンス法によるメチル化状態の解析
乳癌細胞株および正常乳腺細胞上皮株のゲノムDNAについて、実施例5で同定した配列番号20〜27の塩基配列で示される遺伝子領域のCpG部位がメチル化されているか否かをバイサルファイトシークエンス法により調べた。
1.バイサルファイト処理
実施例5で用いた乳癌細胞株MCF7および正常乳腺細胞上皮株HMECから抽出したゲノムDNA(2μg)に、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。そして、Qiaquick PCR purificationキット(QIAGEN社)を用いて、バイサルファイト処理後の各溶液からDNAを精製して、解析用試料を得た。
2.シークエンス解析
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、下記のプライマーセットを用いてPCR法を行った。
(i)PCR反応液の調製
実施例2と同じ試薬類を用いて、上記の15μlの反応液を調製した。
(ii)プライマーの配列および反応条件
(配列番号20の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GGAAGAGGTTTAAGTGGATTTTTTT -3'(配列番号60)
R:5'- TTTTCTTTCCAAACCCAACCTA -3'(配列番号61)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号21の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- AGTTAGGATTGTGTAATATTAGTTTT -3'(配列番号62)
R:5'- CACTATACAACCATCAACTACAAC -3'(配列番号63)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、55.5℃で15秒および72℃で40秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号22の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GTATATTTTTAGGGAGGAGGGGGG -3'(配列番号64)
R:5'- CAACCCCTACTTCACCTCCACATA -3'(配列番号65)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、65.1℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号23の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TTATTAGGATGAGTTATTGGTTATTT -3'(配列番号66)
R:5'- ACCTCCCTAACCCCAACTAC -3'(配列番号67)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、56.8℃で15秒および72℃で40秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号24の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GTTTGGGTAGTTTATTGGTT -3'(配列番号68)
R:5'- CTAAAAATTTCTCAACTCCTAACTC -3'(配列番号69)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、55.7℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号25の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GAGGTGATATTAAGGATTTTTGGGT -3'(配列番号70)
R:5'- TACAACTCAACTCCAATAACCACAC -3'(配列番号71)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61.5℃で15秒および72℃で40秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号26の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- AATAAGATTTGTTTAGTTTTATTGTTAAAA -3'(配列番号72)
R:5'- TCTACCTAATACTCACAACCCCTACA -3'(配列番号73)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
(配列番号27の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GTAGTAGTAGAGTTTGTAGAGGGGTG -3'(配列番号74)
R:5'- ATAAAAAATACCTATCCAAAAAAAA -3'(配列番号75)
(反応条件)
95℃で4分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、50.9℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
72℃で7分を1サイクル、
4℃で維持。
PCR終了後、実施例2と同様にして、得られた各PCR産物を含むプラスミド構築物を作製し、これらについてシークエンス解析を行った。
シークエンス解析後、上記の配列番号の塩基配列におけるCpG部位のメチル化状態を解析した。
配列番号20〜27の塩基配列のそれぞれに包含される配列番号7〜14の塩基配列中に存在するCpG部位のメチル化状態を、上記のシークエンス結果に基づいて、図12〜19に表として示した。これらの図に示す表において、「●」はメチル化CpG部位、「○」は非メチル化CpG部位、「−」は解析不能のCpG部位を表わす。
各図の表において、CpG部位の行に示される数字は、配列番号7〜14の各塩基配列の5'末端から数えたCpG部位の位置を示す番号である。また、該番号に「*」または「**」が付されたCpG部位は、HMEC細胞のサンプルと比較してMCF7細胞のサンプルにおいてメチル化されている傾向にあるCpG部位である。
図12〜19より、配列番号7〜14のいずれの塩基配列においても、CpG部位は、MCF7細胞ではメチル化されている傾向にあり、HMEC細胞ではメチル化されていない傾向にあることがわかる。
これらの結果に基づいて、配列番号7〜14の各塩基配列におけるメチル化の頻度を解析した。メチル化の頻度は、実施例2と同様にして算出した。
得られたメチル化の頻度を、図20に棒グラフとして示した。なお、該グラフは、MCF7細胞のサンプル群およびHMEC細胞のサンプル群の平均値を表す。
図20より、配列番号7〜14の各塩基配列に存在する全CpG部位を解析対象とした場合、癌細胞を含む試料と含まない試料とを区別する閾値は、例えば15〜35%の範囲から選択できることがわかる。
このことから、被験者から採取した生体試料から抽出したDNAにおいて、配列番号7、8、9、10、11、12、13および/または14の塩基配列中のCpG部位のメチル化の頻度が上記の閾値より高い場合、該生体試料中に癌細胞が存在すると判定し得ることが示唆された。
本発明の判定用分子マーカーとしては、癌細胞株ではメチル化されている傾向にあり、且つ正常細胞株ではメチル化されていない傾向にあるCpG部位が好適である。
したがって、配列番号7〜14の塩基配列中のCpG部位のメチル化の頻度に基づいて試料中の癌細胞の存否を判定する場合、判定用分子マーカーとしてのCpG部位は、図12〜19において、好ましくは「*」または「**」が付されたCpG部位、より好ましくは「**」が付されたCpG部位から選択することによって、より精度の高い判定を行い得る。
また、メチル化特異的PCRにより、配列番号7〜14の塩基配列中のCpG部位のメチル化の有無を解析した結果に基づいて試料中の癌細胞の存否を判定する場合、図12〜19において、好ましくは「*」または「**」が付されたCpG部位、より好ましくは「**」が付されたCpG部位から選択されるCpG部位を増幅できるプライマーを用いることによって、より精度の高い判定を行い得る。
実施例7 MSP法によるメチル化状態の解析
乳癌細胞株および正常乳腺上皮細胞株のゲノムDNAについて、実施例5で同定した配列番号20〜27の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化状態をMSP法によって調べた。
1.バイサルファイト処理
乳癌細胞株MCF7および正常乳腺上皮細胞株HMECからのゲノムDNA(各2μg)に対して、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。バイサルファイト処理後の溶液に含まれるDNAを、Qiaquick PCR purification キット(QIAGEN社)を用いて精製し、解析用試料を得た。
2.MSP法
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、下記のプライマーセットを用いてMSP法を行った。なお、本実施例のMSPでの解析対象であるCpG部位は、図12〜19の「**」が付されたCpG部位である。また、PCR反応液の調製は、実施例3と同様にして行った。
プライマーの配列および反応条件を以下に示す。
(配列番号20の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TTTTAGAGTTTAGGATTGGCGGC -3'(配列番号38)
R:5'- TACAACTTAACACTACCCGAAAACG -3'(配列番号39)
このプライマーセットは、配列番号20の塩基配列の5'末端から数えて3、4、11および12番目(配列番号7の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号21の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- ATAGGTTGGAAACGTAGTTTTTCG -3'(配列番号40)
R:5'- CTATAACGTCTAACGAATCCTCGC -3'(配列番号41)
このプライマーセットは、配列番号21の塩基配列の5'末端から数えて8、9および14〜16番目(配列番号8の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で30秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号22の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TGTTGTAAAGTTTGTTCGGTTTCGT -3'(配列番号42)
R:5'- TTCTACTTCATTTAAACCCCTCGAA -3'(配列番号43)
このプライマーセットは、配列番号22の塩基配列の5'末端から数えて15、16および22番目(配列番号9の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号23の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TGTGTGGAGTAGAATTTTGAGTAAATATGC -3'(配列番号44)
R:5'- AATTTAAAAACAAAAAAACAACCGCA -3'(配列番号45)
このプライマーセットは、配列番号23の塩基配列の5'末端から数えて7および11番目(配列番号10の塩基配列の5'末端から数えて2および6番目)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号24の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GTAGTTTATTGGTTCGCGGTC -3'(配列番号46)
R:5'- AAAAAAAATATATAAAAAAATAACGAT -3'(配列番号47)
このプライマーセットは、配列番号24の塩基配列の5'末端から数えて1〜3および10番目(配列番号11の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、51℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号25の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- AGAGTTCGGTTTATTTGGGATAGAATC -3'(配列番号48)
R:5'- GACCGAAACGTCCTAAACCG -3'(配列番号49)
このプライマーセットは、配列番号25の塩基配列の5'末端から数えて10、11および16〜19番目(配列番号12の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で30秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号26の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- TATTGTTTAAGATTCGGAGTTGCGA -3'(配列番号50)
R:5'- CTCCCAACATTTACCTAATAACGAA -3'(配列番号51)
このプライマーセットは、配列番号26の塩基配列の5'末端から数えて9、10および17番目(配列番号13の塩基配列の5'末端から数えて7、8および15番目)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を30サイクル、
4℃で維持。
(配列番号27の塩基配列を増幅するプライマーの配列)
F:5'- GGGAGGGAAGCGTAGTTTATTC -3'(配列番号52)
R:5'- CTAAAAAATTTAAAAAAACAAAAACGAT -3'(配列番号53)
このプライマーセットは、配列番号27の塩基配列の5'末端から数えて1、2および4番目(配列番号14の塩基配列においても同じ位置)のCpG部位を解析対象とする。
(反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、54℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
PCR終了後、実施例3と同様に、各反応液を2%アガロースゲルに電気泳動し、ゲルに現れたバンドの蛍光強度を定量化した。この結果を図21〜28に示す。これらの図において、「−」はテンプレートを含まない陰性対照を意味する。
配列番号20〜27の各塩基配列についてのMSP法では、HMEC細胞よりもMCF7細胞において、顕著に高い強度のバンドが検出された(図21〜図28参照)。
上記のとおり、配列番号20〜27の塩基配列についてのMSP法において、乳癌細胞に特異的に多くのPCR産物が得られた。これは、各細胞株のゲノムDNAについて、配列番号20〜27の塩基配列、すなわち配列番号7〜14の塩基配列中のメチル化CpGの有無をMSP法で解析することにより、乳癌細胞と正常乳腺上皮細胞とを区別できたことを示す。
したがって、被験者から採取した生体試料から抽出したDNAについて、本発明の判定用分子マーカーである配列番号7、8、9、10、11、12、13および/または14の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化の有無をMSP法で解析することにより、該生体試料中の癌細胞の存否を判定し得ることが示唆された。
実施例8 MSP法による乳癌組織および正常乳腺組織のゲノムDNAのメチル化状態の解析
MSP法により、乳癌細胞株のみならず乳癌組織のゲノムDNAについても、配列番号20〜27の塩基配列で示される遺伝子領域に存在するメチル化CpG部位を検出できるか否かを検討した。
1.バイサルファイト処理
ヒト乳癌組織およびヒト正常乳腺組織からのゲノムDNA(各2μg)に対して、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。バイサルファイト処理後の溶液に含まれるDNAを、Qiaquick PCR purification キット(QIAGEN社)を用いて精製し、解析用試料を得た。
2.MSP法
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、上記の配列番号38〜53の塩基配列のプライマーセットを用いてMSP法を行った。なお、PCR反応液の調製は実施例3と同様にして行い、各プライマーセットを用いるMSPの反応条件は実施例7と同じである。
PCR終了後、実施例3と同様に、各反応液を2%アガロースゲルに電気泳動し、ゲルに現れたバンドの蛍光強度を定量化した。この結果を図29〜36に示す。これらの図において、「−」はテンプレートを含まない陰性対照を意味する。
上記のプライマーセットセットを用いた、配列番号20〜27の塩基配列についてのMSP法ではいずれも正常乳腺組織において、ほとんどバンドは検出されなかったが、乳癌組織で顕著に高い強度のバンドが検出された(図29〜36参照)。
このように、配列番号20〜27の塩基配列についてのMSP法において、乳癌組織に特異的に多くのPCR産物が得られた。これは、各組織のゲノムDNAについて、配列番号20〜27の塩基配列、すなわち配列番号7〜14の塩基配列中のメチル化CpGの有無をMSP法で解析することにより、乳癌組織と正常乳腺組織とを区別できたことを示す。
したがって、本発明の判定用分子マーカーに存在するCpG部位のメチル化有無を解析することによって、被験者から採取した組織中の癌細胞の存否を判定し得ることが示唆された。
実施例9 MSP法による大腸癌組織および正常大腸組織のゲノムDNAのメチル化状態の解析
大腸癌組織および正常大腸組織のゲノムDNAについて、配列番号17〜19、21、22および25〜27の塩基配列で示される遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化状態をMSP法によって調べた。
1.バイサルファイト処理
ヒト大腸癌組織およびヒト正常大腸組織のゲノムDNA(各2μg:BioChain社)に対して、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。バイサルファイト処理後の溶液に含まれるDNAを、Qiaquick PCR purification キット(QIAGEN社)を用いて精製し、解析用試料を得た。
2.MSP法
得られた解析用試料中のDNAをテンプレートとして、上記の配列番号32〜37、40〜43および48〜53で示されるプライマーセットを用いてMSPを行った。なお、PCR反応液の調製は下記のとおりである。
(i)PCR反応液の調製
下記の試薬を混合して、25μlの反応液を調製した。
2×FastStart Universal SYBR Green Master(ROX)(ROCHE社)12.5μl
Fプライマー(10μM) 1.0μl
Rプライマー(10μM) 1.0μl
解析用試料(テンプレート) 1.0μl
蒸留水 9.5μl
合計 25.0μl
上記の各プライマーセットを用いるMSPの反応条件は下記のとおりである。
(配列番号17の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号32および33)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号18の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号34および35)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、58℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号19の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号36および37)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号21の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号40および41)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号22の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号42および43)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号25の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号48および49)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号26の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号50および51)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号27の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号52および53)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、53℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
PCR終了後、各反応液を2%アガロースゲルに電気泳動し、PCR産物のバンドの有無を確認した。この結果を図37に示す。この図において、「CN」は正常大腸組織、「CT」は大腸癌組織を意味する。
図37より、上記のプライマーセットセットを用いた、配列番号17〜19、21、22および25〜27の塩基配列についてのMSP法では、正常大腸組織ではバンドが検出されず、大腸癌組織にのみバンドが検出されたことがわかる。
このように、配列番号17〜19、21、22および25〜27の塩基配列についてのMSP法において、大腸癌組織に特異的にPCR産物が得られた。これは、各組織のゲノムDNAについて、配列番号17〜19、21、22および25〜27の塩基配列、すなわち配列番号3〜6、8、9および12〜14の塩基配列中のメチル化CpGの有無をMSP法で解析することにより、大腸癌組織と正常大腸組織とを区別できたことを示す。
したがって、膵臓癌組織および乳癌細胞株から同定された本発明の判定用分子マーカーに存在するCpG部位のメチル化の有無をMSP法で解析することによって、膵臓組織および乳腺組織とは異なる組織中の癌細胞の存否を判定し得ることが示唆された。
実施例10 MSP法による各種正常組織のゲノムDNAのメチル化状態の解析
各種正常組織のゲノムDNAについて、配列番号20〜27の塩基配列で示される遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化状態をMSP法によって調べた。
1.バイサルファイト処理
ヒト正常心臓組織、ヒト正常腎臓組織、ヒト正常肝臓組織、ヒト正常肺組織およびヒト正常末梢血中の白血球からのゲノムDNA(各2μg:BioChain社)に対して、実施例2と同様にして、バイサルファイト処理を行った。バイサルファイト処理後の溶液に含まれるDNAを、Qiaquick PCR purification キット(QIAGEN社)を用いて精製し、解析用試料を得た。また、乳癌細胞株MCF7からのゲノムDNAを上記の正常組織からのゲノムDNAと同様に処理して、陽性対照用試料を得た。
2.MSP法
得られた解析用試料及び陽性対照用試料中のDNAをテンプレートとして、上記の配列番号38〜53で示されるプライマーセットを用いてMSPを行った。なお、PCR反応液の調製は実施例9と同様にして行った。
上記の各プライマーセットを用いるMSPの反応条件は下記のとおりである。
(配列番号20の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号38および39)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号21の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号40および41)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、62℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号22の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号42および43)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号23の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号44および45)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号24の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号46および47)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、50℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
(配列番号25の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号48および49)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、61℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号26の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号50および51)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、60℃で15秒および72℃で30秒を35サイクル、
4℃で維持。
(配列番号27の塩基配列を増幅するプライマーセット(配列番号52および53)を用いるMSPの反応条件)
95℃で9分30秒を1サイクル、
95℃で30秒、53℃で15秒および72℃で30秒を40サイクル、
4℃で維持。
PCR終了後、各反応液を2%アガロースゲルに電気泳動し、PCR産物の有無を確認した。この結果を図38に示す。この図において、「MCF7」は乳癌細胞株MCF7、「H」は正常心臓組織、「K」は正常腎臓組織、「Li」は正常肝臓組織、「Lu」は正常肺組織、「Phe」は正常抹消血中白血球を意味する。
図38より、上記のプライマーセットセットを用いた、配列番号20〜27の塩基配列についてのMSP法ではいずれの正常組織でもバンドは検出されなかったことがわかる。なお、上記のMSPの反応条件はいずれも、MCF7細胞のゲノムDNAから調製された陽性対照用試料をテンプレートとした場合にバンドが十分に検出される条件である。
このように、配列番号20〜27の塩基配列についてのMSP法において、各種の正常組織ではPCR産物が得られなかった。これは、各正常組織のゲノムDNAのMSP法による解析では、配列番号20〜27の塩基配列、すなわち配列番号7〜14の塩基配列に存在するCpG部位のメチル化が検出されないことを示す。
したがって、本発明の判定用分子マーカーに存在するCpG部位のメチル化の有無を解析することによって、種々の正常組織中には癌細胞が存在しないと判定し得ることが示唆された。
本出願は2010年2月26日に出願された日本国特許出願特願2010−042814号に関し、これらの特許請求の範囲、明細書、図面および要約書の全ては本明細書中に参照として組み込まれる。

Claims (13)

  1. 被験者から採取した生体試料からDNAを抽出する工程と、
    抽出工程で得られたDNAについて、配列番号1〜14の塩基配列から選択される少なくとも1つの塩基配列に存在する少なくとも1つのCpG部位のメチル化状態を解析する工程と、
    解析工程で得られた解析結果に基づいて、生体試料中の癌細胞の存否を判定する工程と
    を含む、生体試料中の癌細胞の存否を判定する方法。
  2. CpG部位が、
    配列番号1の塩基配列の5'末端側から1、3〜7、9〜26および28〜54番目のCpG部位、
    配列番号2の塩基配列の5'末端側から1〜11、13〜23、25、26、28、29、31、32、34、35、38、40〜44、46〜49、51〜57、59〜66、68、70〜73、75、76、78および79番目のCpG部位、
    配列番号3の塩基配列の5'末端側から1〜10および12番目のCpG部位、
    配列番号4の塩基配列の5'末端側から1〜3番目のCpG部位、
    配列番号5の塩基配列の5'末端側から1〜4番目のCpG部位、
    配列番号6の塩基配列の5'末端側から1および2番目のCpG部位、
    配列番号7の塩基配列の5'末端側から1〜7および9〜52番目のCpG部位、
    配列番号8の塩基配列の5'末端側から1〜16、18〜25および27〜39番目のCpG部位、
    配列番号9の塩基配列の5'末端側から1、2、4、7〜11および13〜23番目のCpG部位、
    配列番号10の塩基配列の5'末端側から1〜6、8および10番目のCpG部位、
    配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3、5〜11、13、15〜19および21〜23番目のCpG部位、
    配列番号12の塩基配列の5'末端側から1〜6、8、10〜22、25〜28および32番目のCpG部位、
    配列番号13の塩基配列の5'末端側から1〜3、7〜13、15および19番目のCpG部位、ならびに
    配列番号14の塩基配列の5'末端側から1〜4、14〜16、18、19、21および22番目のCpG部位
    から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 解析工程が、複数のCpG部位のメチル化状態を解析する工程である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 解析工程が、CpG部位のメチル化の有無を解析する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 判定工程が、解析工程においてメチル化されたCpG部位が有るという結果が得られた場合に、生体試料中に癌細胞が存在すると判定する工程である、請求項4に記載の方法。
  6. 解析工程が、CpG部位のメチル化の頻度を解析する工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 判定工程が、解析工程においてメチル化の頻度が所定の閾値より高いという結果が得られた場合に、生体試料中に癌細胞が存在すると判定する工程である、請求項6に記載の方法。
  8. 解析工程が、抽出工程で得られたDNAに含まれるメチル化されたDNAを免疫沈降により濃縮し、該濃縮されたメチル化DNAのメチル化状態を解析する工程である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 配列番号1〜14の塩基配列に存在するCpG部位から少なくとも1つ選択される、メチル化状態の解析を用いた癌細胞の存否の判定用分子マーカー。
  10. CpG部位が、
    配列番号1の塩基配列の5'末端側から1、3〜7、9〜26および28〜54番目のCpG部位、
    配列番号2の塩基配列の5'末端側から1〜11、13〜23、25、26、28、29、31、32、34、35、38、40〜44、46〜49、51〜57、59〜66、68、70〜73、75、76、78および79番目のCpG部位、
    配列番号3の塩基配列の5'末端側から1〜10および12番目のCpG部位、
    配列番号4の塩基配列の5'末端側から1〜3番目のCpG部位、
    配列番号5の塩基配列の5'末端側から1〜4番目のCpG部位、
    配列番号6の塩基配列の5'末端側から1および2番目のCpG部位、
    配列番号7の塩基配列の5'末端側から1〜7および9〜52番目のCpG部位、
    配列番号8の塩基配列の5'末端側から1〜16、18〜25および27〜39番目のCpG部位、
    配列番号9の塩基配列の5'末端側から1、2、4、7〜11および13〜23番目のCpG部位、
    配列番号10の塩基配列の5'末端側から1〜6、8および10番目のCpG部位、
    配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3、5〜11、13、15〜19および21〜23番目のCpG部位、
    配列番号12の塩基配列の5'末端側から1〜6、8、10〜22、25〜28および32番目のCpG部位、
    配列番号13の塩基配列の5'末端側から1〜3、7〜13、15および19番目のCpG部位、ならびに
    配列番号14の塩基配列の5'末端側から1〜4、14〜16、18、19、21および22番目のCpG部位
    から選択される、請求項9に記載の判定用分子マーカー。
  11. 被験者から採取した生体試料から抽出したDNAに含まれる非メチル化シトシンを他の塩基に変換する非メチル化シトシン変換剤と、
    配列番号1〜14の塩基配列に存在する少なくとも1つのCpG部位のメチル化状態をメチル化特異的PCR法により確認するためのプライマーセットと
    を含む、生体試料中の癌細胞の存否の判定用キット。
  12. CpG部位が、
    配列番号1の塩基配列の5'末端側から1、3〜7、9〜26および28〜54番目のCpG部位、
    配列番号2の塩基配列の5'末端側から1〜11、13〜23、25、26、28、29、31、32、34、35、38、40〜44、46〜49、51〜57、59〜66、68、70〜73、75、76、78および79番目のCpG部位、
    配列番号3の塩基配列の5'末端側から1〜10および12番目のCpG部位、
    配列番号4の塩基配列の5'末端側から1〜3番目のCpG部位、
    配列番号5の塩基配列の5'末端側から1〜4番目のCpG部位、
    配列番号6の塩基配列の5'末端側から1および2番目のCpG部位、
    配列番号7の塩基配列の5'末端側から1〜7および9〜52番目のCpG部位、
    配列番号8の塩基配列の5'末端側から1〜16、18〜25および27〜39番目のCpG部位、
    配列番号9の塩基配列の5'末端側から1、2、4、7〜11および13〜23番目のCpG部位、
    配列番号10の塩基配列の5'末端側から1〜6、8および10番目のCpG部位、
    配列番号11の塩基配列の5'末端側から1〜3、5〜11、13、15〜19および21〜23番目のCpG部位、
    配列番号12の塩基配列の5'末端側から1〜6、8、10〜22、25〜28および32番目のCpG部位、
    配列番号13の塩基配列の5'末端側から1〜3、7〜13、15および19番目のCpG部位、ならびに
    配列番号14の塩基配列の5'末端側から1〜4、14〜16、18、19、21および22番目のCpG部位
    から選択される、請求項11に記載の判定用キット。
  13. プライマーセットが、
    配列番号28および配列番号29の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号30および配列番号31の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号32および配列番号33の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号34および配列番号35の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号36および配列番号37の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号38および配列番号39の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号40および配列番号41の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号42および配列番号43の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号44および配列番号45の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号46および配列番号47の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号48および配列番号49の塩基配列であるプライマーセット、
    配列番号50および配列番号51の塩基配列であるプライマーセット、ならびに
    配列番号52および配列番号53の塩基配列であるプライマーセット
    から少なくとも1つ選択される、請求項11または12に記載の判定用キット。
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