JPWO2011093032A1 - アダプティブアレーアンテナ装置及びアンテナ制御方法 - Google Patents

アダプティブアレーアンテナ装置及びアンテナ制御方法 Download PDF

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Abstract

アダプティブアレーアンテナ装置(120)は、相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部(121)と、相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部(123)と、経路情報算出部(123)で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部(124)とを備え、無線送信アンテナ部(121)は、相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、記憶部(124)に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始する。

Description

本発明は、電気的にビーム方向を切替可能である指向性可変なアダプティブアレーアンテナ装置に関するものである。
無線通信装置は、高速化、大容量化が進み、高速な無線伝送が要求されている。それにともない、所望のCNR(Carrier to noise power ratio:搬送波電力対雑音電力比)を満たすことも厳しくなってきている。それに対し、アンテナエレメントと可変位相器とを複数設け、各可変位相器に設定される位相変数を変化させることで、アレーアンテナの放射指向性を高利得且つ、適応的に変化させることが可能なアダプティブアレーアンテナが用いられるようになっている。
図11に従来のn系統のアダプティブアレーアンテナ装置の構成例を示す。図11において、従来のn系統のアダプティブアレーアンテナ装置1000は、アンテナエレメント1001と、切替えスイッチ1002と、パワーアンプ1003と、低雑音アンプ1004と、送信用ミキサ1005と、受信用ミキサ1006と、送信用局所発振器1007と、受信用局所発振器1008と、送信用ドライバアンプ1009と、受信用ドライバアンプ1010と、送信用可変位相器1011と、受信用可変位相器1012と、位相制御回路1013と、演算処理回路1014と、BB/IF回路1015とで構成されている。ただし、kは1からnまでの整数である。
まず、無線で送信する送信データがBB(Baseband:ベースバンド)、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)を扱うBB/IF回路1015に入力される。BB/IF回路1015は、入力された送信データに変調処理、及び波形整形処理を施す。BB/IF回路1015から出力された送信データは、送信用可変位相器1011、送信用ドライバアンプ1009、及び送信用ミキサ1005を介し、無線周波数に変換される。無線周波数に変換された送信データは、パワーアンプ1003で増幅され、切替えスイッチ1002を介して複数のアンテナエレメント1001で構成されるアレーアンテナにより電波として放射される。
一方、アレーアンテナで受信した無線信号は、切替えスイッチ1002を介して、低雑音アンプ1004で増幅され、受信用ミキサ1006で中間周波数に変換され、受信用ドライバアンプ1010、及び受信用可変位相器1012を介し、BB/IF回路1015で信号処理、および復調処理が施された後、受信データとして出力される。
このように、n系統の無線回路内において、送信用可変位相器1011の位相変数を各々変化させることにより、n系統の回路に位相差を生じさせ、アレーアンテナの放射指向性を変化させることができる。
従来のアダプティブアレーアンテナ装置1000は、通信相手との通信性能をあげるため、無線送信に適した放射指向性を得るように、演算処理回路1014、及び位相制御回路1013により可変位相器1011に設定される位相変数を決定する。また、その位相変数を効率良く決定するために、最急降下法などの最適化手法が用いられる。最適なビーム形成には、位相変数の最適化計算を何度も行わなければならないため、計算処理に時間を要する。そのため、送信(受信)で用いられた位相変数をそのまま、受信(送信)に用いることで、計算時間を削減する手段などが用いられている。
また、特許文献1においては、送信信号の情報に基づいて、通信相手から送信された電波の到来角情報を抽出し、抽出した到来角に基づいて各アンテナエレメントに対応した擬似的受信信号を生成し、これらの擬似的受信信号を用いて任意適応アルゴリズムにより、各アンテナエレメントに適用する受信信号の位相を制御する技術が開示されている。
また、特許文献2においては、各アンテナエレメントで受信された受信信号に基づいて、電波環境を判断し、判断した電波環境に基づいて、受信信号に対する信号処理を実行する技術が開示されている。
特開平10−145130号公報 特開2001−94488号公報
しかしながら、従来のアダプティブアレーアンテナ装置の中には、データの送信を指示されてから、位相変数の最適化計算を開始するものがある。この場合、データの送信を指示されてから実際にデータの送信を開始するまでの間に大きなタイムラグが発生するという課題がある。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、アンテナの放射指向性を決定する処理に起因する通信の遅れを抑制したアダプティブアレーアンテナ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。
本発明の一形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置は、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信する。具体的には、前記相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部と、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、前記相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部と、前記経路情報算出部で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部とを備える。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始する。
上記構成によれば、コンテンツデータの送信を開始する際に、無線送信アンテナ部から放射される電波の放射指向性を瞬時に決定することができる。その結果、コンテンツデータの送信指示から実際に送信が開始されるまでのタイムラグを少なくできる。
また、前記経路情報算出部は、予め複数の伝送経路情報を算出して、前記記憶部に記憶させてもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のうちの1つを選択し、選択された伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータを送信してもよい。これにより、現在の電波伝搬環境に最も適した放射指向性を選択することができる。その結果、通信品質がさらに向上する。
また、前記経路情報算出部は、前記相手装置に至る伝送経路が実質的に異なる複数の伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させてもよい。これにより、電波伝搬環境の変化に合わせて、伝送経路の異なる伝送経路情報を選択することができるので、無線通信の中断を最小限にすることができる。
但し、上記のように、電波伝搬環境の変化に応じて伝送経路情報を切替えたとしても、切り替えの前後で伝送経路が僅かに異なる(つまり、伝送経路が実質的に同じ)だけでは、通信品質を向上させる効果を得ることはできない。そこで、記憶部に記憶させる複数の伝送経路情報は、相手装置に至る伝送経路が実質的に異なるように算出されるのが望ましい。例えば、メインビームの方向の差が少なくともビーム幅よりも大きくなる程度に異なっているのが望ましい。 さらに、該アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置でのコンテンツデータの受信状態を示す制御データを受信する無線受信アンテナ部を備えてもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記無線受信アンテナ部で受信された制御データに示される受信状態が予め定められた閾値を下回った場合に、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のうちの他の1つを選択し、選択された他の伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を再開してもよい。
データ送信中に周囲の電波伝搬環境が変化した時、最適化計算により求められた位相変数は、必ずしも通信に適した状態ではなくなり、再度、相手装置との通信に適した伝送経路を探索しなければならないという他の課題がある。特にミリ波帯を使ったような無線通信では、人の動きによる遮蔽などで、通信がいきなり遮断されることもある。通信が遮断される度に、再度、最適化計算により位相変数を計算していては、通信速度が劣化するとともに、使用するアプリケーションによっては所望の通信速度を確保できなくなる。
そこで、上記構成のように、予め複数の伝送経路情報を記憶部に記憶させておき、電波伝搬環境の変化に応じて適切な伝送経路情報を選択できるので、無線通信の中断を最小限にすることができる。
また、受信信号から相手の方向を検知するには多数の受信アンテナ及び無線回路が必要となる。さらに、送受信に同じアンテナを用いるには送受信の切替えスイッチが必要となり、ミリ波等の超高周波帯では、信号アイソレーションの劣化、及び信号損失が大きくなる。そこで、上記構成のように、無線送信アンテナ部と無線受信アンテナ部とを独立して設けることによって、切替えスイッチを省略することができる。
また、前記経路情報算出部は、前記記憶部に記憶されているどの伝送経路情報を選択しても受信状態が前記閾値以上とならない場合、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のいずれとも異なる新たな伝送経路情報を算出してもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記経路情報算出部で算出された新たな伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を再開してもよい。これにより、例えば、設置場所が変わった場合等でも無線通信を行うことができる。
さらに、前記記憶部は、前記複数の伝送経路情報それぞれの優先順位を記憶してもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、優先順位の高い伝送経路情報から順に選択してもよい。これにより、さらに通信品質が向上する。
また、前記無線送信アンテナ部は、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子各々から放射される電波の位相を制御する複数の可変位相器とを含んでもよい。そして、前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に設定される位相変数を、伝送経路情報として算出してもよい。但し、伝送経路情報は位相変数に限定されず、アンテナの放射指向性を制御可能なあらゆる情報を用いることができる。
一例として、前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に任意に決定された位相変数を設定した状態で前記相手装置にテストデータを送信し、当該テストデータに対する応答データに示される通信性能をパラメータとする所定の最適化計算手法によって、前記複数の可変位相器それぞれの位相変数を算出し、算出した位相変数を前記記憶部に記憶させてもよい。
他の例として、前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に任意に決定された位相変数を設定した状態で前記相手装置にテストデータを送信し、当該テストデータに対する応答データに示される通信性能が所定の閾値を上回る場合に、任意に決定された位相変数を前記記憶部に記憶させてもよい。
また、前記無線送信アンテナ部は、第1の無線通信路を介してテストデータを前記相手装置に無線送信し、前記第1の無線通信路より帯域が広く、且つ高い受信感度を必要とする第2の無線通信路を介してコンテンツデータを前記相手装置に無線送信してもよい。
本発明の他の形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置は、相手装置からコンテンツデータを無線受信する。具体的には、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信する無線受信アンテナ部と、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前に、予め、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部と、前記経路情報算出部で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部とを備える。そして、前記無線受信アンテナ部は、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始する。
上記構成によれば、コンテンツデータの受信を開始する際に、無線受信アンテナ部で受信される電波の放射指向性を瞬時に決定することができる。その結果、コンテンツデータの受信指示から実際に受信されるまでのタイムラグを少なくできる。
本発明の一形態に係るアンテナ制御方法は、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信するアダプティブアレーアンテナ装置のアンテナを制御する方法である。前記アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部と、記憶部とを備える。そして、該アンテナ制御方法は、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、前記相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる経路情報算出ステップと、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記無線送信アンテナ部に前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始させる送信ステップとを含む。
本発明の他の形態に係るアンテナ制御方法は、相手装置からコンテンツデータを無線受信するアダプティブアレーアンテナ装置のアンテナを制御する方法である。前記アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信する無線受信アンテナ部と、記憶部とを備える。そして、該アンテナ制御方法は、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前に、予め、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる経路情報算出ステップと、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記無線受信アンテナ部に前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始させる受信ステップとを含む。
なお、本発明は、アダプティブアレーアンテナ装置及びアンテナ制御方法として実現できるだけでなく、アンテナ制御方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできるし、アダプティブアレーアンテナ装置の機能の一部を実現する半導体集積回路(LSI)として実現できる。そして、プログラムは、CD−ROM等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。
本発明によれば、アンテナの放射指向性を決定する処理に起因する通信の遅れを抑制することができる。
図1は、本発明の一形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)の詳細な構成を示すブロック図である。 図3は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(受信側)の詳細な構成を示すブロック図である。 図4は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置の動作を示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)の非データ伝送状態における動作を示すフローチャートである。 図6は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(受信側)の非データ伝送状態における動作を示すフローチャートである。 図7は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)のデータ伝送状態における動作を示すフローチャートである。 図8は、本発明の実施の形態2におけるアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)の非データ伝送状態における動作を示すフローチャートである。 図9は、本発明の実施の形態2に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)のデータ伝送状態における動作を示すフローチャートである。 図10は、本発明の実施の形態3に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)のデータ伝送状態における動作を示すフローチャートである。 図11は、従来のアダプティブアレーアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
図1は、本発明の一形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。まず、図1を参照して、本発明の一形態に係る無線通信システムの概要を説明する。
無線通信システムは、図1に示されるように、互いに無線接続されている送信側無線通信装置100と、受信側無線通信装置200とで構成されている。送信側無線通信装置100と、受信側無線通信装置200とは、第1の無線通信路300と、第2の無線通信路310を用いて無線通信を行うことができる。
ここで、第1の無線通信路300は、主に制御データの送受信を行うための通信路であって、双方向通信可能な通信路である。第1の無線通信路300は、第2の無線通信路310と比較して使用する帯域が狭い(例えば、数MHz)ので、サイズの大きいデータの送受信には向かない。その反面、指向性の低い電波を用いて通信を行うので、受信感度の低い環境下でも通信を行うことができる。なお、制御データとは、例えば、コンテンツデータを受信したことを相手に通知する受信確認データ(典型的には、ACK)、伝送経路探索処理に用いられるテストデータ等である。
一方、第2の無線通信路310は、主にコンテンツデータを送信するための通信路であって、一方向通信(図1の例では、送信側無線通信装置100から受信側無線通信装置200に向かう方向)のみが可能な通信路である。第2の無線通信路310は、第1の無線通信路300と比較して使用する帯域が広い(例えば、数GHz)ので、サイズの大きいデータ(例えば、非圧縮の映像データ)の送信に好適である。その反面、指向性の高い電波を用いて通信を行うので、受信感度の低い環境下では通信を行うことができない。すなわち、電波伝搬環境の変化に合わせて、送信電波の放射指向性を切替ながら無線通信を行う必要がある。なお、コンテンツデータとは、例えば、ストリーム配信される非圧縮の映像データ等である。
送信側無線通信装置100は、図1に示されるように、コンテンツ再生部110と、アダプティブアレーアンテナ装置120とで構成され、受信側無線通信装置200にコンテンツデータを無線送信する装置である。また、アダプティブアレーアンテナ装置120は、無線送信アンテナ部121と、無線受信アンテナ部122と、経路情報算出部123と、記憶部124とを備える。
コンテンツ再生部110は、コンテンツを再生してコンテンツデータを出力する。再生されるコンテンツは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、BD(Blu−ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されていてもよいし、放送波等から取得してもよい。
無線送信アンテナ部121は、第1の無線通信路300を通じて受信側無線通信装置(相手装置)200に制御データを送信すると共に、第2の無線通信路310を通じて受信側無線通信装置200にコンテンツデータを無線送信する。無線受信アンテナ部122は、第1の無線通信路300を通じて、受信側無線通信装置200から制御データを無線受信する。
経路情報算出部123は、無線送信アンテナ部121から放射される電波の放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。伝送経路情報を算出する処理は、図5を参照して詳しく説明する。
ここで、伝送経路情報の具体例は特に限定されないが、例えば、無線送信アンテナ部121が複数のアンテナ素子と、複数のアンテナ素子各々から放射される電波の位相を制御する複数の可変位相器とで構成されている場合において、伝送経路情報は、複数の可変位相器各々に設定される位相変数を含んでもよい。
記憶部124は、経路情報算出部123で算出された伝送経路情報を記憶する。記憶部124の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、DRAM(Dynamic random access memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)、フラッシュメモリ、又は強誘電体メモリ等のデータを記録可能な手段であればどのようなものを利用しても構わない。
受信側無線通信装置200は、図1に示されるように、コンテンツ出力部210と、アダプティブアレーアンテナ装置220とで構成され、送信側無線通信装置100から無線送信されたコンテンツデータを無線受信する装置である。また、アダプティブアレーアンテナ装置220は、無線送信アンテナ部221と、無線受信アンテナ部222と、経路情報算出部223と、記憶部224とを備える。
コンテンツ出力部210は、送信側無線通信装置100から取得したコンテンツデータを出力するものであって、典型的には、映像データを表示する表示部である。表示部の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を採用することができる。
無線送信アンテナ部221は、第1の無線通信路300を通じて送信側無線通信装置100に制御データを送信する。無線受信アンテナ部222は、第1の無線通信路300を通じて送信側無線通信装置100から制御データを受信すると共に、第2の無線通信路310を通じて送信側無線通信装置100からコンテンツデータを受信する。
経路情報算出部223は、無線受信アンテナ部222で受信される電波の放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。伝送経路情報を算出する処理は、図6を参照して詳しく説明する。
ここで、伝送経路情報の具体例は特に限定されないが、例えば、無線受信アンテナ部222が複数のアンテナ素子と、複数のアンテナ素子各々で受信される電波の位相を制御する複数の可変位相器とで構成されている場合において、伝送経路情報は、複数の可変位相器各々に設定される位相変数を含んでもよい。
記憶部224は、経路情報算出部223で算出された伝送経路情報を記憶する。具体的には、記憶部124と同一であってもよい。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図2〜図7を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1における送信側無線通信装置100に搭載されるアダプティブアレーアンテナ装置120の一構成例を示すブロック図である。
図2において、アダプティブアレーアンテナ装置120は、送信用アンテナエレメント1〜1と、無線送信回路7と、受信用アンテナエレメント8と、受信用局所発振器13と、無線受信回路14と、位相制御回路15と、演算処理回路16と、BB/IF回路17と、メモリ18とで構成されている。また、無線送信回路7は、送信用パワーアンプ2〜2と、送信用ミキサ3〜3と、送信用ドライバアンプ4〜4と、送信用可変位相器5〜5と、送信用局所発振器6とで構成されている。また、無線受信回路14は、低雑音アンプ9と、受信用ミキサ10と、受信用ドライバアンプ11と、受信用可変位相器12とで構成されている。
上記構成のアダプティブアレーアンテナ装置120において、例えば、図2の送信用アンテナエレメント1〜1及び無線送信回路7は図1の無線送信アンテナ部121に、図2の受信用アンテナエレメント8及び無線受信回路14は図1の無線受信アンテナ部122に、図2の位相制御回路15、演算処理回路16、及びBB/IF回路17は図1の経路情報算出部123に、メモリ18は図1の記憶部124に対応する。
なお、本実施の形態のアダプティブアレーアンテナ装置120は、図2に示すように、送信用アンテナがn系統、受信用アンテナが1系統で構成されているが、系統数はこれに限定されない。
図3は、本発明の実施の形態1における受信側無線通信装置200に搭載されるアダプティブアレーアンテナ装置220の一構成例を示すブロック図である。
図3において、アダプティブアレーアンテナ装置220は、送信用アンテナエレメント1と、無線送信回路7と、受信用アンテナエレメント8〜8と、受信用局所発振器13と、無線受信回路14と、位相制御回路15と、演算処理回路16と、BB/IF回路17と、メモリ18とで構成されている。また、無線送信回路7は、送信用パワーアンプ2と、送信用ミキサ3と、送信用ドライバアンプ4と、送信用可変位相器5と、送信用局所発振器6とで構成されている。また、無線受信回路14は、低雑音アンプ9〜9と、受信用ミキサ10〜10と、受信用ドライバアンプ11〜11と、受信用可変位相器12〜12とで構成されている。
上記構成のアダプティブアレーアンテナ装置220において、例えば、図3の送信用アンテナエレメント1及び無線送信回路7は図1の無線送信アンテナ部221に、図3の受信用アンテナエレメント8〜8及び無線受信回路14は図1の無線受信アンテナ部222に、図3の位相制御回路15、演算処理回路16、及びBB/IF回路17は図1の経路情報算出部223に、メモリ18は図1の記憶部224に対応する。
なお、本実施の形態のアダプティブアレーアンテナ装置220は、図3に示すように、送信用アンテナが1系統、受信用アンテナがn系統で構成されているが、系統数はこれに限定されない。
図4は、本発明の実施の形態1におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を示すフローチャートである。図4を用いて、本実施の形態のアダプティブアレーアンテナ装置120の動作について説明する。なお、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220の動作も共通するので、ここでは、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を中心に説明する。
ステップS101において、BB/IF回路17は、アダプティブアレーアンテナ装置120が非データ伝送状態であるかどうかを判断し、非データ伝送状態であると判断した場合は、ステップS102に進む。また、ステップS101において、データ伝送状態でないと判断した場合は、ステップS103に進む。ここで、「非データ伝送状態」とは、例えば、接続されている通信相手装置の電源が入った等により、コンテンツデータの無線伝送が可能になった場合を指すが、これに限定されない。
より具体的には、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120における「非データ伝送状態」とは、例えば、相手装置(アダプティブアレーアンテナ装置220)に対するコンテンツデータの送信を指示される前の状態を指す。また、「コンテンツデータの送信指示」には、例えば、相手装置の起動(電源ON)を検出したこと、コンテンツの再生開始を指示するボタンをユーザが押下したこと、コンテンツデータの送信を要求する制御データを相手装置から受信したこと等が該当する。
一方、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220における「非データ伝送状態」とは、例えば、相手装置(アダプティブアレーアンテナ装置120)から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前の状態を指す。また、「コンテンツデータの受信指示」には、例えば、相手装置の起動(電源ON)を検出したこと、コンテンツデータの送信開始を通知する制御データを相手装置から受信したこと等が該当する。
ステップS102において、BB/IF回路17は、伝送経路探索処理を行い、ステップS101に戻る。伝送経路探索処理は、図5及び図6を参照して詳しく説明する。
このように、アダプティブアレーアンテナ装置120は、相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前(非データ伝送状態)に、予め、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。同様に、アダプティブアレーアンテナ装置220は、相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前(非データ伝送状態)に、予め、相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。
ステップS103において、BB/IF回路17は、演算処理回路16、位相制御回路15を介して、送信用可変位相器5〜5に位相変数を設定し、ステップS104に進む。
このように、アダプティブアレーアンテナ装置120は、相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合(データ伝送状態)に、メモリ18記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始する。同様に、アダプティブアレーアンテナ装置220は、相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合(データ伝送状態)に、メモリ18に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始する。
ステップS104では、コンテンツデータの無線送信処理が行われる。BB/IF回路17は、入力された送信データに変調処理、波形整形処理を施し、n系統の送信データとして無線送信回路7に出力する。無線送信回路7は、BB/IF回路17から入力されたn系統の送信データ各々を高周波に変換し、n系統の送信用アンテナエレメント1〜1から無線電波として送信する。
具体的には、BB/IF回路17から無線送信回路7に入力されたn系統の送信データ各々は、送信用可変位相器5〜5、送信用ドライバアンプ4〜4、送信用ミキサ3〜3を介し、無線周波数に変換される。送信用ミキサ3〜3より出力された各送信データは、送信用パワーアンプ2〜2で増幅され、送信用アンテナエレメント1〜1で構成されるアレーアンテナにより無線電波として放射される。コンテンツデータの無線送信処理が終了すると、ステップS101に戻る。
次に、非データ伝送状態における動作(ステップS102)について、図5及び図6を参照して、詳細に説明する。
図5は、本実施の形態における非データ伝送状態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を説明するフローチャートである。
ステップS201において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、送信用可変位相器5〜5に対するランダムな初期位相変数をメモリ18より読み出して、位相制御回路15に与える。位相制御回路15は、送信用可変位相器5〜5に、演算処理回路16より取得した初期位相変数を設定し、ステップS202に進む。
ステップS202において、BB/IF回路17は、無線送信回路7にn系統のテストデータを送信する。n系統のテストデータは、無線送信回路7を介して、送信用アンテナエレメント1〜1からn系統の無線信号として放射される。無線送信回路7の内部の動作は後述する。ステップS204に進む。
なお、このテストデータは、第1の無線通信路300を通じて送信される。しかしながら、送信用アンテナエレメント1〜1から放射される無線電波は、第2の無線通信路310を通じて送信される場合と同じように、送信用可変位相器5〜5各々に設定された初期位相変数に応じてビームフォーミングされる。
ステップS204において、BB/IF回路17は、ステップS202におけるテストデータを受けた相手装置からの応答信号であるACK(Acknowledgement)信号を、受信用アンテナエレメント8を介して無線受信回路14で受信したかどうか判断する。このACK信号には、相手装置の受信状況から得られる通信性能情報が含まれている。ここで、通信性能情報としては、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)やPER(Packet Error Rate)等がある。
BB/IF回路17は、無線受信回路14よりACK信号が出力された場合、ACK信号を受信したと判断し、ステップS205に進む。一方、BB/IF回路17は、無線受信回路14よりACK信号が出力されない場合、ACK信号を受信していないと判断し、ステップS201に戻る。
ステップS205において、BB/IF回路17は、取得したACK信号に含まれる通信性能情報を取得する。BB/IF回路17は、取得した通信性能情報より、現在の位相変数による通信性能を確認し、確認結果を演算処理回路16に出力し、ステップS206に進む。
ステップS206において、演算処理回路16は、n個の初期位相変数をパラメータとし、取得した通信性能情報を用いた最適化計算を行うことによって、コンテンツデータの無線通信に適したn個の位相変数を決定し、ステップS207に進む。ここで、n個の位相変数は、送信用可変位相器5〜5それぞれに対応する値である。また、最適化計算方法は、本発明の主題ではないので、どんな方法でも構わない。例えば、最急降下法や平均二乗誤差最小化法などがある。
ステップS207において、前述の最適化手法のループを経て、最適化手法の初期設定条件を満たしたかどうかを判定する。初期条件を満たした場合は、ステップS208へと進む。満たしていない場合は、ステップS202に戻る。なお、初期条件とは、例えば、最適化計算の結果が、予め定められた閾値を上回った場合等を指す。
ステップS208において、演算処理回路16は、ステップS206において決定したn個の位相変数を、1つの伝送経路を示す伝送経路情報としてメモリ18に格納する。
図6は、本実施の形態における非データ伝送状態におけるアダプティブアレーアンテナ装置220の動作を説明するフローチャートである。なお、図5との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
ステップS301において、演算処理回路16は、位相制御回路15を介して、ランダムな初期位相変数を受信用可変位相器12〜12に設定し、ステップS302に進む。ステップS302において、BB/IF回路17は、相手装置から送信されたテストデータを無線受信回路14で受信する。ステップS303において、BB/IF回路17は、受信したテストデータに基づいて、通信性能情報を算出する。
ステップS304〜ステップS307の各処理は、図5のステップS204〜ステップS207の処理と共通するので、説明は省略する。なお、アダプティブアレーアンテナ装置220は、ステップS306で初期条件を満たしていない場合、テスト信号の再送信を要求する情報を含めたACK信号を相手装置に送信する。
上記のように、アダプティブアレーアンテナ装置120、220は、それぞれ無線通信に適した位相変数を算出する。但し、上記の処理を送信側と受信側とが同時に実行すると、適切な位相変数を算出することができない。そこで、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120が図5の処理を実行している間は、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220は位相変数の変更を行わないようにする。同様に、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220が図6の処理を実行している間は、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120は位相変数の変更を行わないようにする。
次に、図4のステップS103の位相制御について、図7を用いて説明する。なお、これ以降の各処理は、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120が無線送信回路7に対して行うか、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220が無線受信回路14に対して行うかが異なるだけで、処理内容は実質的に同一であるので、アダプティブアレーアンテナ装置120の動作を中心に説明する。
図7は、データ伝送状態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を説明するフローチャートである。図7の処理は、例えば、コンテンツデータの送信を指示されたタイミングで実行される。
ステップS401において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、メモリ18に格納されている伝送経路情報を読み出し、伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を位相制御回路15へ出力し、ステップS402に進む。
ステップS402において、位相制御回路15は、演算処理回路16から取得したn個の位相変数を、送信用可変位相器5〜5それぞれに設定する。これにより、アレーアンテナは、非データ伝送状態で決められた無線送信に適した位相状態、すなわち、コンテンツデータの無線送信に適した放射指向性の無線電波を送出することができる状態となる。
受信に関しては、受信用アンテナエレメント8で受信した受信電波は、低雑音アンプ9で増幅され、受信用ミキサ10で中間周波数に変換され、受信用ドライバアンプ11、受信用可変位相器12を介してBB/IF回路17に出力される。BB/IF回路17では、無線受信回路14より出力されたデータに信号処理、復調処理を施した後、受信データとして出力する。
本実施の形態では、非データ伝送状態で最適化計算を行って伝送経路情報をメモリ18に記憶していることにより、データ伝送状態になってから最適化計算をする必要が無い。そのため、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120は、コンテンツデータの無線送信に適した放射指向性を、瞬時に送信用アンテナエレメント1〜1に設定することが可能となる。また、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120は、ACK信号が得られれば良いので、多数の系統の無線受信回路14を必要としない。そこで、無線送信回路7と無線受信回路14とを別系統とすることにより、送受信の切替えスイッチを送信用アンテナエレメント1〜1の直下に設ける必要がない。
このように、本実施の形態においては、コンテンツデータを送信する際に送信用可変位相器5〜5に設定する位相変数を、非データ伝送状態で算出しておくことにより、コンテンツデータの無線送信に適した位相変数、すなわち、伝送経路を瞬時に決定することが可能となる。
同様に、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220は、コンテンツデータの無線受信に適した放射指向性を、瞬時に受信用アンテナエレメント8〜8に設定することが可能となる。また、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220は、ACK信号を送信できれば良いので、多数の系統の無線送信回路7を必要としない。そこで、無線送信回路7と無線受信回路14とを別系統とすることにより、送受信の切替えスイッチを受信用アンテナエレメント8〜8の直下に設ける必要がない。
このように、本実施の形態においては、コンテンツデータを受信する際に受信用可変位相器12〜12に設定する位相変数を、非データ伝送状態で算出しておくことにより、コンテンツデータの無線受信に適した位相変数、すなわち、伝送経路を瞬時に決定することが可能となる。
(実施の形態2)
コンテンツデータの無線伝送を行っている際に、周囲の電波伝搬環境の変化により、通信状況が悪化することがある。例えば、ミリ波のように、非常に周波数が高い電波を用いて通信を行っている場合には、人の遮蔽などにより、通信が不可能になるくらいまで電波が遮蔽されることがある。
そこで、本実施の形態では、例えば、最適化計算の初期値を位相変数が取り得る範囲内でスイープさせて最適化計算を複数回実行することで、複数の伝送経路情報を予め用意して、周囲の電波伝搬環境の変化に対応するアダプティブアレーアンテナ装置120について説明する。なお、本実施の形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置120は、演算処理回路16の具体的な動作が異なることを除いて図2と共通するので、共通部分の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
本発明の実施の形態2について、図8及び図9を用いて説明する。
図8は、本実施の形態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の非データ伝送状態におけるフローチャートである。
ステップS501において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、位相制御回路15を介して送信用可変位相器5〜5にランダムな初期位相変数を与え、ステップS502に進む。
ステップS502において、BB/IF回路17は、無線送信回路7、送信用アンテナエレメント1〜1を介して、テスト信号を相手装置に無線送信し、ステップS503に進む。
ステップS503において、BB/IF回路17は、受信用アンテナエレメント8、無線受信回路14を介して、相手装置から通信性能情報が格納されたACK信号を受信すると、ステップS504に進む。
ステップS504において、BB/IF回路17は、ACK信号に含まれる通信性能情報を演算処理回路16に出力する。演算処理回路16は、BB/IF回路17より出力された通信性能情報より、アレーファクタを計算する。アレーファクタの計算は、ある初期値に対し、最適化計算で位相変数が得られたとき、他の位相変数と比較し、伝送経路が実質的に異なるようにするために行う。
具体的には、演算処理回路16において、得られた位相変数をもとにアレーファクタを計算する。アレーファクタAF(θ,φ)は、例えば、式1に示すような計算式により算出できる。
Figure 2011093032
ただし、式1において、θはアジマス方向の角度、φはエレベーション方向の角度、αはn系統目の可変位相器の位相、βは伝搬定数、xはn系統目のアンテナ位置(x座標)、yはn系統目のアンテナ位置(y座標)、Nはn系統の最大値である。
式1の算出結果から、AFが最大となるθmax,φmaxを求めることにより、メインビームの方向が分かり、主伝送経路が推定できる。
ステップS505において、演算処理回路16は、この主伝送経路の演算結果を、既にメモリ18に格納されている位相変数の場合に得られた主伝送経路と比較する。そして、2つの主伝送経路(ビーム方向)の差がアレーファクタのビーム幅を超えない場合、同じ伝送経路となっている可能性が高いので、保存する必要は無いと判断し、ステップS501に戻り、違う条件で再計算を行う。これに対して、演算処理回路16は、2つの主伝送経路の差がアレーファクタのビーム幅を超える場合、算出したビーム方向は、異なる伝送経路である可能性が高いため、ステップS506に進む。
ステップS506において、演算処理回路16は、この時の初期位相変数を伝送経路情報としてメモリ18に格納する。
ステップS507において、演算処理回路16は、上記演算を計算条件(メモリ格納量、必要格納量、初期位相付与量等)を満たすまで、最適化計算の初期位相変数を変化させて、繰り返し実行する。
図9は、アダプティブアレーアンテナ装置120のデータ伝送状態におけるフローチャートである。
ステップS601において、演算処理回路16は、データ伝送状態になった場合に、メモリ18から伝送経路情報を読み出し、読み出した伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を位相制御回路15に与え、ステップS602に進む。
ステップS602において、位相制御回路15は、演算処理回路16から取得したn個の位相変数を、各送信用可変位相器5〜5に与えることで、アレーアンテナから放射される送信電波の放射指向性を決定し、ステップS603に進む。
ステップS603において、BB/IF回路17の制御に従って、コンテンツデータの伝送が開始される。
ステップS604において、BB/IF回路17は、無線受信回路14が受信する通信相手からのACK信号でその通信状況を判断し、電波伝搬環境の変化が発生したと判断した場合は、コンテンツデータの伝送を一旦停止し、ステップS605に進む。一方、変化していないと判断した場合は、ステップS607に進む。
ステップS605において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、メモリ18から別の伝送経路情報を読み出し、読み出した伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を位相制御回路15を介して各送信用可変位相器5〜5に与え、伝送経路を変化させ、ステップS606に進む。別の伝送経路情報の読み出しは、例えば、メモリ18に対する読み出しアドレスを変更することによって行う。
ステップS606において、BB/IF回路17は、コンテンツデータの伝送を再開し、ステップS604に戻る。
ステップS607において、BB/IF回路17は、コンテンツデータの伝送が終了していないと判断した場合は、ステップS604に戻る。一方、コンテンツデータの伝送が終了したと判断した場合は、処理を終了する。
このように、本実施の形態によれば、最適化計算の結果である伝送経路情報をメモリ18に複数記憶しておくことになるので、遮蔽などの電波伝搬環境の瞬時の変化に対しても、瞬時にアレーアンテナの放射指向性を変化させることが可能となり、通信遮断等を防ぐことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、メモリ18への保存条件としてビーム幅を例に説明しているが、他の条件を使ってもよい。
(実施の形態3)
実施の形態2に示しているように、予めメモリ18に格納してある複数の伝送経路情報を電波伝搬環境の変化により順次読み出し、伝送経路を切替えて無線通信を行ったとしても、無線通信装置の設置場所が移動した場合等には、メモリ18に格納されているどの伝送経路情報を使用しても通信できない可能性が高い。
そこで、本実施の形態では、無線通信装置の設置場所が変更になった場合に対応したアダプティブアレーアンテナ装置120について説明する。なお、本実施の形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置120は、演算処理回路16の具体的な動作が異なることを除いて図2と共通するので、共通部分の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図10は、本実施の形態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120のデータ伝送状態におけるフローチャートである。実施の形態2と同じステップに関しては、同符号を付与し、説明を省略する。
ステップS708において、BB/IF回路17は、無線通信状況(電波伝搬環境)が良好であるかどうかを判断し、良好であれば、ステップS712に進む。一方、無線通信状況が良好でない場合は、ステップS709に進む。
ステップS709において、BB/IF回路17は、位相制御回路15を用いて、メモリ18に格納している伝送経路情報を全て送信用可変位相器5〜5に設定したかを判断する。そして、未だ設定していない伝送経路情報がある場合は、ステップS605に戻り、未だ設定しない伝送経路情報を設定する。一方、全ての伝送経路情報を設定してしまった場合は、ステップS710に進む。
ステップS710において、メモリ18に格納されている全ての伝送経路情報を読み出しても無線通信状況が良くならないと判断した場合、BB/IF回路17は、演算処理回路16に、再度、最適化計算を行わせる。演算処理回路16は、通信可能な伝送経路情報を新たに算出し、ステップS711に進む。具体的には、演算処理回路16は、図5に示される処理を実行する。
ステップS711において、BB/IF回路17は、メモリ18に保存されている伝送経路情報を全てクリアし、ステップS712に進む。
ステップS712において、BB/IF回路17は、新たに算出された伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を、送信用可変位相器5〜5に設定し、コンテンツデータの無線送信を再開する。
なお、次に非データ伝送状態に入ったとき、BB/IF回路17は、演算処理回路16を用いて、実施の形態2に示しているような手段で伝送経路情報を再計算し、メモリ18に格納し直す。
このように、本実施の形態によれば、無線装置の設置場所が変更になった場合にも、再度伝送経路情報を演算して、メモリ18に格納し直すことが可能となる。
(その他の実施形態)
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成要素を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶さている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
本発明に係る無線伝送装置は、高周波通信の分野で有用に用いられる。
1,1〜1 送信用アンテナエレメント
2,2〜2,1003 パワーアンプ
3,3〜3,1005 送信用ミキサ
4,4〜4,1009 送信用ドライバアンプ
5,5〜5,1011 送信用可変位相器
6,1007 送信用局所発振器
7 無線送信回路
8,8〜8 受信用アンテナエレメント
9,9〜9,1004 低雑音アンプ
10,10〜10,1006 受信用ミキサ
11,11〜11,1010 受信用ドライバアンプ
12,12〜12,1012 受信用可変位相器
13,1008 受信用局所発振器
14 無線受信回路
15,1013 位相制御回路
16,1014 演算処理回路
17,1015 BB/IF回路
18 メモリ
100 送信側無線通信装置
200 受信側無線通信装置
110 コンテンツ再生部
120,220,1000 アダプティブアレーアンテナ装置
121,221 無線送信アンテナ部
122,222 無線受信アンテナ部
123,223 経路情報算出部
124,224 記憶部
210 コンテンツ出力部
300 第1の無線通信路
310 第2の無線通信路
1001 アンテナエレメント
1002 切替えスイッチ
【書類名】 明細書
【発明の名称】アダプティブアレーアンテナ装置及びアンテナ制御方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的にビーム方向を切替可能である指向性可変なアダプティブアレーアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置は、高速化、大容量化が進み、高速な無線伝送が要求されている。それにともない、所望のCNR(Carrier to noise power ratio:搬送波電力対雑音電力比)を満たすことも厳しくなってきている。それに対し、アンテナエレメントと可変位相器とを複数設け、各可変位相器に設定される位相変数を変化させることで、アレーアンテナの放射指向性を高利得且つ、適応的に変化させることが可能なアダプティブアレーアンテナが用いられるようになっている。
【0003】
図11に従来のn系統のアダプティブアレーアンテナ装置の構成例を示す。図11において、従来のn系統のアダプティブアレーアンテナ装置1000は、アンテナエレメント1001と、切替えスイッチ1002と、パワーアンプ1003と、低雑音アンプ1004と、送信用ミキサ1005と、受信用ミキサ1006と、送信用局所発振器1007と、受信用局所発振器1008と、送信用ドライバアンプ1009と、受信用ドライバアンプ1010と、送信用可変位相器1011と、受信用可変位相器1012と、位相制御回路1013と、演算処理回路1014と、BB/IF回路1015とで構成されている。ただし、kは1からnまでの整数である。
【0004】
まず、無線で送信する送信データがBB(Baseband:ベースバンド)、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)を扱うBB/IF回路1015に入力される。BB/IF回路1015は、入力された送信データに変調処理、及び波形整形処理を施す。BB/IF回路1015から出力された送信データは、送信用可変位相器1011、送信用ドライバアンプ1009、及び送信用ミキサ1005を介し、無線周波数に変換される。無線周波数に変換された送信データは、パワーアンプ1003で増幅され、切替えスイッチ1002を介して複数のアンテナエレメント1001で構成されるアレーアンテナにより電波として放射される。
【0005】
一方、アレーアンテナで受信した無線信号は、切替えスイッチ1002を介して、低雑音アンプ1004で増幅され、受信用ミキサ1006で中間周波数に変換され、受信用ドライバアンプ1010、及び受信用可変位相器1012を介し、BB/IF回路1015で信号処理、および復調処理が施された後、受信データとして出力される。
【0006】
このように、n系統の無線回路内において、送信用可変位相器1011の位相変数を各々変化させることにより、n系統の回路に位相差を生じさせ、アレーアンテナの放射指向性を変化させることができる。
【0007】
従来のアダプティブアレーアンテナ装置1000は、通信相手との通信性能をあげるため、無線送信に適した放射指向性を得るように、演算処理回路1014、及び位相制御回路1013により可変位相器1011に設定される位相変数を決定する。また、その位相変数を効率良く決定するために、最急降下法などの最適化手法が用いられる。最適なビーム形成には、位相変数の最適化計算を何度も行わなければならないため、計算処理に時間を要する。そのため、送信(受信)で用いられた位相変数をそのまま、受信(送信)に用いることで、計算時間を削減する手段などが用いられている。
【0008】
また、特許文献1においては、送信信号の情報に基づいて、通信相手から送信された電波の到来角情報を抽出し、抽出した到来角に基づいて各アンテナエレメントに対応した擬似的受信信号を生成し、これらの擬似的受信信号を用いて任意適応アルゴリズムにより、各アンテナエレメントに適用する受信信号の位相を制御する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2においては、各アンテナエレメントで受信された受信信号に基づいて、電波環境を判断し、判断した電波環境に基づいて、受信信号に対する信号処理を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−145130号公報
【特許文献2】特開2001−94488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のアダプティブアレーアンテナ装置の中には、データの送信を指示されてから、位相変数の最適化計算を開始するものがある。この場合、データの送信を指示されてから実際にデータの送信を開始するまでの間に大きなタイムラグが発生するという課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、アンテナの放射指向性を決定する処理に起因する通信の遅れを抑制したアダプティブアレーアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。
【0014】
本発明の一形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置は、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信する。具体的には、前記相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部と、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、前記相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部と、前記経路情報算出部で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部とを備える。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始する。
【0015】
上記構成によれば、コンテンツデータの送信を開始する際に、無線送信アンテナ部から放射される電波の放射指向性を瞬時に決定することができる。その結果、コンテンツデータの送信指示から実際に送信が開始されるまでのタイムラグを少なくできる。
【0016】
また、前記経路情報算出部は、予め複数の伝送経路情報を算出して、前記記憶部に記憶させてもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のうちの1つを選択し、選択された伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータを送信してもよい。これにより、現在の電波伝搬環境に最も適した放射指向性を選択することができる。その結果、通信品質がさらに向上する。
【0017】
また、前記経路情報算出部は、前記相手装置に至る伝送経路が実質的に異なる複数の伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させてもよい。これにより、電波伝搬環境の変化に合わせて、伝送経路の異なる伝送経路情報を選択することができるので、無線通信の中断を最小限にすることができる。
【0018】
但し、上記のように、電波伝搬環境の変化に応じて伝送経路情報を切替えたとしても、切り替えの前後で伝送経路が僅かに異なる(つまり、伝送経路が実質的に同じ)だけでは、通信品質を向上させる効果を得ることはできない。そこで、記憶部に記憶させる複数の伝送経路情報は、相手装置に至る伝送経路が実質的に異なるように算出されるのが望ましい。例えば、メインビームの方向の差が少なくともビーム幅よりも大きくなる程度に異なっているのが望ましい。
【0018】
さらに、該アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置でのコンテンツデータの受信状態を示す制御データを受信する無線受信アンテナ部を備えてもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記無線受信アンテナ部で受信された制御データに示される受信状態が予め定められた閾値を下回った場合に、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のうちの他の1つを選択し、選択された他の伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を再開してもよい。
【0019】
データ送信中に周囲の電波伝搬環境が変化した時、最適化計算により求められた位相変数は、必ずしも通信に適した状態ではなくなり、再度、相手装置との通信に適した伝送経路を探索しなければならないという他の課題がある。特にミリ波帯を使ったような無線通信では、人の動きによる遮蔽などで、通信がいきなり遮断されることもある。通信が遮断される度に、再度、最適化計算により位相変数を計算していては、通信速度が劣化するとともに、使用するアプリケーションによっては所望の通信速度を確保できなくなる。
【0020】
そこで、上記構成のように、予め複数の伝送経路情報を記憶部に記憶させておき、電波伝搬環境の変化に応じて適切な伝送経路情報を選択できるので、無線通信の中断を最小限にすることができる。
【0021】
また、受信信号から相手の方向を検知するには多数の受信アンテナ及び無線回路が必要となる。さらに、送受信に同じアンテナを用いるには送受信の切替えスイッチが必要となり、ミリ波等の超高周波帯では、信号アイソレーションの劣化、及び信号損失が大きくなる。そこで、上記構成のように、無線送信アンテナ部と無線受信アンテナ部とを独立して設けることによって、切替えスイッチを省略することができる。
【0022】
また、前記経路情報算出部は、前記記憶部に記憶されているどの伝送経路情報を選択しても受信状態が前記閾値以上とならない場合、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のいずれとも異なる新たな伝送経路情報を算出してもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、前記経路情報算出部で算出された新たな伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を再開してもよい。これにより、例えば、設置場所が変わった場合等でも無線通信を行うことができる。
【0023】
さらに、前記記憶部は、前記複数の伝送経路情報それぞれの優先順位を記憶してもよい。そして、前記無線送信アンテナ部は、優先順位の高い伝送経路情報から順に選択してもよい。これにより、さらに通信品質が向上する。
【0024】
また、前記無線送信アンテナ部は、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子各々から放射される電波の位相を制御する複数の可変位相器とを含んでもよい。そして、前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に設定される位相変数を、伝送経路情報として算出してもよい。但し、伝送経路情報は位相変数に限定されず、アンテナの放射指向性を制御可能なあらゆる情報を用いることができる。
【0025】
一例として、前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に任意に決定された位相変数を設定した状態で前記相手装置にテストデータを送信し、当該テストデータに対する応答データに示される通信性能をパラメータとする所定の最適化計算手法によって、前記複数の可変位相器それぞれの位相変数を算出し、算出した位相変数を前記記憶部に記憶させてもよい。
【0026】
他の例として、前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に任意に決定された位相変数を設定した状態で前記相手装置にテストデータを送信し、当該テストデータに対する応答データに示される通信性能が所定の閾値を上回る場合に、任意に決定された位相変数を前記記憶部に記憶させてもよい。
【0027】
また、前記無線送信アンテナ部は、第1の無線通信路を介してテストデータを前記相手装置に無線送信し、前記第1の無線通信路より帯域が広く、且つ高い受信感度を必要とする第2の無線通信路を介してコンテンツデータを前記相手装置に無線送信してもよい。
【0028】
本発明の他の形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置は、相手装置からコンテンツデータを無線受信する。具体的には、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信する無線受信アンテナ部と、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前に、予め、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部と、前記経路情報算出部で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部とを備える。そして、前記無線受信アンテナ部は、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始する。
【0029】
上記構成によれば、コンテンツデータの受信を開始する際に、無線受信アンテナ部で受信される電波の放射指向性を瞬時に決定することができる。その結果、コンテンツデータの受信指示から実際に受信されるまでのタイムラグを少なくできる。
【0030】
本発明の一形態に係るアンテナ制御方法は、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信するアダプティブアレーアンテナ装置のアンテナを制御する方法である。前記アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部と、記憶部とを備える。そして、該アンテナ制御方法は、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、前記相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる経路情報算出ステップと、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記無線送信アンテナ部に前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始させる送信ステップとを含む。
【0031】
本発明の他の形態に係るアンテナ制御方法は、相手装置からコンテンツデータを無線受信するアダプティブアレーアンテナ装置のアンテナを制御する方法である。前記アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信する無線受信アンテナ部と、記憶部とを備える。そして、該アンテナ制御方法は、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前に、予め、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる経路情報算出ステップと、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記無線受信アンテナ部に前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始させる受信ステップとを含む。
【0032】
なお、本発明は、アダプティブアレーアンテナ装置及びアンテナ制御方法として実現できるだけでなく、アンテナ制御方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできるし、アダプティブアレーアンテナ装置の機能の一部を実現する半導体集積回路(LSI)として実現できる。そして、プログラムは、CD−ROM等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体、及びインターネット等の伝送媒体を介して流通させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、アンテナの放射指向性を決定する処理に起因する通信の遅れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の一形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(受信側)の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)の非データ伝送状態における動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(受信側)の非データ伝送状態における動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)のデータ伝送状態における動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2におけるアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)の非データ伝送状態における動作を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)のデータ伝送状態における動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態3に係るアダプティブアレーアンテナ装置(送信側)のデータ伝送状態における動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、従来のアダプティブアレーアンテナ装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明の一形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。まず、図1を参照して、本発明の一形態に係る無線通信システムの概要を説明する。
【0036】
無線通信システムは、図1に示されるように、互いに無線接続されている送信側無線通信装置100と、受信側無線通信装置200とで構成されている。送信側無線通信装置100と、受信側無線通信装置200とは、第1の無線通信路300と、第2の無線通信路310を用いて無線通信を行うことができる。
【0037】
ここで、第1の無線通信路300は、主に制御データの送受信を行うための通信路であって、双方向通信可能な通信路である。第1の無線通信路300は、第2の無線通信路310と比較して使用する帯域が狭い(例えば、数MHz)ので、サイズの大きいデータの送受信には向かない。その反面、指向性の低い電波を用いて通信を行うので、受信感度の低い環境下でも通信を行うことができる。なお、制御データとは、例えば、コンテンツデータを受信したことを相手に通知する受信確認データ(典型的には、ACK)、伝送経路探索処理に用いられるテストデータ等である。
【0038】
一方、第2の無線通信路310は、主にコンテンツデータを送信するための通信路であって、一方向通信(図1の例では、送信側無線通信装置100から受信側無線通信装置200に向かう方向)のみが可能な通信路である。第2の無線通信路310は、第1の無線通信路300と比較して使用する帯域が広い(例えば、数GHz)ので、サイズの大きいデータ(例えば、非圧縮の映像データ)の送信に好適である。その反面、指向性の高い電波を用いて通信を行うので、受信感度の低い環境下では通信を行うことができない。すなわち、電波伝搬環境の変化に合わせて、送信電波の放射指向性を切替ながら無線通信を行う必要がある。なお、コンテンツデータとは、例えば、ストリーム配信される非圧縮の映像データ等である。
【0039】
送信側無線通信装置100は、図1に示されるように、コンテンツ再生部110と、アダプティブアレーアンテナ装置120とで構成され、受信側無線通信装置200にコンテンツデータを無線送信する装置である。また、アダプティブアレーアンテナ装置120は、無線送信アンテナ部121と、無線受信アンテナ部122と、経路情報算出部123と、記憶部124とを備える。
【0040】
コンテンツ再生部110は、コンテンツを再生してコンテンツデータを出力する。再生されるコンテンツは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、BD(Blu−ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されていてもよいし、放送波等から取得してもよい。
【0041】
無線送信アンテナ部121は、第1の無線通信路300を通じて受信側無線通信装置(相手装置)200に制御データを送信すると共に、第2の無線通信路310を通じて受信側無線通信装置200にコンテンツデータを無線送信する。無線受信アンテナ部122は、第1の無線通信路300を通じて、受信側無線通信装置200から制御データを無線受信する。
【0042】
経路情報算出部123は、無線送信アンテナ部121から放射される電波の放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。伝送経路情報を算出する処理は、図5を参照して詳しく説明する。
【0043】
ここで、伝送経路情報の具体例は特に限定されないが、例えば、無線送信アンテナ部121が複数のアンテナ素子と、複数のアンテナ素子各々から放射される電波の位相を制御する複数の可変位相器とで構成されている場合において、伝送経路情報は、複数の可変位相器各々に設定される位相変数を含んでもよい。
【0044】
記憶部124は、経路情報算出部123で算出された伝送経路情報を記憶する。記憶部124の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、DRAM(Dynamic random access memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)、フラッシュメモリ、又は強誘電体メモリ等のデータを記録可能な手段であればどのようなものを利用しても構わない。
【0045】
受信側無線通信装置200は、図1に示されるように、コンテンツ出力部210と、アダプティブアレーアンテナ装置220とで構成され、送信側無線通信装置100から無線送信されたコンテンツデータを無線受信する装置である。また、アダプティブアレーアンテナ装置220は、無線送信アンテナ部221と、無線受信アンテナ部222と、経路情報算出部223と、記憶部224とを備える。
【0046】
コンテンツ出力部210は、送信側無線通信装置100から取得したコンテンツデータを出力するものであって、典型的には、映像データを表示する表示部である。表示部の具体的な構成は特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を採用することができる。
【0047】
無線送信アンテナ部221は、第1の無線通信路300を通じて送信側無線通信装置100に制御データを送信する。無線受信アンテナ部222は、第1の無線通信路300を通じて送信側無線通信装置100から制御データを受信すると共に、第2の無線通信路310を通じて送信側無線通信装置100からコンテンツデータを受信する。
【0048】
経路情報算出部223は、無線受信アンテナ部222で受信される電波の放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。伝送経路情報を算出する処理は、図6を参照して詳しく説明する。
【0049】
ここで、伝送経路情報の具体例は特に限定されないが、例えば、無線受信アンテナ部222が複数のアンテナ素子と、複数のアンテナ素子各々で受信される電波の位相を制御する複数の可変位相器とで構成されている場合において、伝送経路情報は、複数の可変位相器各々に設定される位相変数を含んでもよい。
【0050】
記憶部224は、経路情報算出部223で算出された伝送経路情報を記憶する。具体的には、記憶部124と同一であってもよい。
【0051】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図2〜図7を用いて説明する。
【0052】
図2は、本発明の実施の形態1における送信側無線通信装置100に搭載されるアダプティブアレーアンテナ装置120の一構成例を示すブロック図である。
【0053】
図2において、アダプティブアレーアンテナ装置120は、送信用アンテナエレメント1〜1と、無線送信回路7と、受信用アンテナエレメント8と、受信用局所発振器13と、無線受信回路14と、位相制御回路15と、演算処理回路16と、BB/IF回路17と、メモリ18とで構成されている。また、無線送信回路7は、送信用パワーアンプ2〜2と、送信用ミキサ3〜3と、送信用ドライバアンプ4〜4と、送信用可変位相器5〜5と、送信用局所発振器6とで構成されている。また、無線受信回路14は、低雑音アンプ9と、受信用ミキサ10と、受信用ドライバアンプ11と、受信用可変位相器12とで構成されている。
【0054】
上記構成のアダプティブアレーアンテナ装置120において、例えば、図2の送信用アンテナエレメント1〜1及び無線送信回路7は図1の無線送信アンテナ部121に、図2の受信用アンテナエレメント8及び無線受信回路14は図1の無線受信アンテナ部122に、図2の位相制御回路15、演算処理回路16、及びBB/IF回路17は図1の経路情報算出部123に、メモリ18は図1の記憶部124に対応する。
【0055】
なお、本実施の形態のアダプティブアレーアンテナ装置120は、図2に示すように、送信用アンテナがn系統、受信用アンテナが1系統で構成されているが、系統数はこれに限定されない。
【0056】
図3は、本発明の実施の形態1における受信側無線通信装置200に搭載されるアダプティブアレーアンテナ装置220の一構成例を示すブロック図である。
【0057】
図3において、アダプティブアレーアンテナ装置220は、送信用アンテナエレメント1と、無線送信回路7と、受信用アンテナエレメント8〜8と、受信用局所発振器13と、無線受信回路14と、位相制御回路15と、演算処理回路16と、BB/IF回路17と、メモリ18とで構成されている。また、無線送信回路7は、送信用パワーアンプ2と、送信用ミキサ3と、送信用ドライバアンプ4と、送信用可変位相器5と、送信用局所発振器6とで構成されている。また、無線受信回路14は、低雑音アンプ9〜9と、受信用ミキサ10〜10と、受信用ドライバアンプ11〜11と、受信用可変位相器12〜12とで構成されている。
【0058】
上記構成のアダプティブアレーアンテナ装置220において、例えば、図3の送信用アンテナエレメント1及び無線送信回路7は図1の無線送信アンテナ部221に、図3の受信用アンテナエレメント8〜8及び無線受信回路14は図1の無線受信アンテナ部222に、図3の位相制御回路15、演算処理回路16、及びBB/IF回路17は図1の経路情報算出部223に、メモリ18は図1の記憶部224に対応する。
【0059】
なお、本実施の形態のアダプティブアレーアンテナ装置220は、図3に示すように、送信用アンテナが1系統、受信用アンテナがn系統で構成されているが、系統数はこれに限定されない。
【0060】
図4は、本発明の実施の形態1におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を示すフローチャートである。図4を用いて、本実施の形態のアダプティブアレーアンテナ装置120の動作について説明する。なお、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220の動作も共通するので、ここでは、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を中心に説明する。
【0061】
ステップS101において、BB/IF回路17は、アダプティブアレーアンテナ装置120が非データ伝送状態であるかどうかを判断し、非データ伝送状態であると判断した場合は、ステップS102に進む。また、ステップS101において、データ伝送状態でないと判断した場合は、ステップS103に進む。ここで、「非データ伝送状態」とは、例えば、接続されている通信相手装置の電源が入った等により、コンテンツデータの無線伝送が可能になった場合を指すが、これに限定されない。
【0062】
より具体的には、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120における「非データ伝送状態」とは、例えば、相手装置(アダプティブアレーアンテナ装置220)に対するコンテンツデータの送信を指示される前の状態を指す。また、「コンテンツデータの送信指示」には、例えば、相手装置の起動(電源ON)を検出したこと、コンテンツの再生開始を指示するボタンをユーザが押下したこと、コンテンツデータの送信を要求する制御データを相手装置から受信したこと等が該当する。
【0063】
一方、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220における「非データ伝送状態」とは、例えば、相手装置(アダプティブアレーアンテナ装置120)から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前の状態を指す。また、「コンテンツデータの受信指示」には、例えば、相手装置の起動(電源ON)を検出したこと、コンテンツデータの送信開始を通知する制御データを相手装置から受信したこと等が該当する。
【0064】
ステップS102において、BB/IF回路17は、伝送経路探索処理を行い、ステップS101に戻る。伝送経路探索処理は、図5及び図6を参照して詳しく説明する。
【0065】
このように、アダプティブアレーアンテナ装置120は、相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前(非データ伝送状態)に、予め、相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。同様に、アダプティブアレーアンテナ装置220は、相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前(非データ伝送状態)に、予め、相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する。
【0066】
ステップS103において、BB/IF回路17は、演算処理回路16、位相制御回路15を介して、送信用可変位相器5〜5に位相変数を設定し、ステップS104に進む。
【0067】
このように、アダプティブアレーアンテナ装置120は、相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合(データ伝送状態)に、メモリ18記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始する。同様に、アダプティブアレーアンテナ装置220は、相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合(データ伝送状態)に、メモリ18に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始する。
【0068】
ステップS104では、コンテンツデータの無線送信処理が行われる。BB/IF回路17は、入力された送信データに変調処理、波形整形処理を施し、n系統の送信データとして無線送信回路7に出力する。無線送信回路7は、BB/IF回路17から入力されたn系統の送信データ各々を高周波に変換し、n系統の送信用アンテナエレメント1〜1から無線電波として送信する。
【0069】
具体的には、BB/IF回路17から無線送信回路7に入力されたn系統の送信データ各々は、送信用可変位相器5〜5、送信用ドライバアンプ4〜4、送信用ミキサ3〜3を介し、無線周波数に変換される。送信用ミキサ3〜3より出力された各送信データは、送信用パワーアンプ2〜2で増幅され、送信用アンテナエレメント1〜1で構成されるアレーアンテナにより無線電波として放射される。コンテンツデータの無線送信処理が終了すると、ステップS101に戻る。
【0070】
次に、非データ伝送状態における動作(ステップS102)について、図5及び図6を参照して、詳細に説明する。
【0071】
図5は、本実施の形態における非データ伝送状態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を説明するフローチャートである。
【0072】
ステップS201において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、送信用可変位相器5〜5に対するランダムな初期位相変数をメモリ18より読み出して、位相制御回路15に与える。位相制御回路15は、送信用可変位相器5〜5に、演算処理回路16より取得した初期位相変数を設定し、ステップS202に進む。
【0073】
ステップS202において、BB/IF回路17は、無線送信回路7にn系統のテストデータを送信する。n系統のテストデータは、無線送信回路7を介して、送信用アンテナエレメント1〜1からn系統の無線信号として放射される。無線送信回路7の内部の動作は後述する。ステップS204に進む。
【0074】
なお、このテストデータは、第1の無線通信路300を通じて送信される。しかしながら、送信用アンテナエレメント1〜1から放射される無線電波は、第2の無線通信路310を通じて送信される場合と同じように、送信用可変位相器5〜5各々に設定された初期位相変数に応じてビームフォーミングされる。
【0075】
ステップS204において、BB/IF回路17は、ステップS202におけるテストデータを受けた相手装置からの応答信号であるACK(Acknowledgement)信号を、受信用アンテナエレメント8を介して無線受信回路14で受信したかどうか判断する。このACK信号には、相手装置の受信状況から得られる通信性能情報が含まれている。ここで、通信性能情報としては、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)やPER(Packet Error Rate)等がある。
【0076】
BB/IF回路17は、無線受信回路14よりACK信号が出力された場合、ACK信号を受信したと判断し、ステップS205に進む。一方、BB/IF回路17は、無線受信回路14よりACK信号が出力されない場合、ACK信号を受信していないと判断し、ステップS201に戻る。
【0077】
ステップS205において、BB/IF回路17は、取得したACK信号に含まれる通信性能情報を取得する。BB/IF回路17は、取得した通信性能情報より、現在の位相変数による通信性能を確認し、確認結果を演算処理回路16に出力し、ステップS206に進む。
【0078】
ステップS206において、演算処理回路16は、n個の初期位相変数をパラメータとし、取得した通信性能情報を用いた最適化計算を行うことによって、コンテンツデータの無線通信に適したn個の位相変数を決定し、ステップS207に進む。ここで、n個の位相変数は、送信用可変位相器5〜5それぞれに対応する値である。また、最適化計算方法は、本発明の主題ではないので、どんな方法でも構わない。例えば、最急降下法や平均二乗誤差最小化法などがある。
【0079】
ステップS207において、前述の最適化手法のループを経て、最適化手法の初期設定条件を満たしたかどうかを判定する。初期条件を満たした場合は、ステップS208へと進む。満たしていない場合は、ステップS202に戻る。なお、初期条件とは、例えば、最適化計算の結果が、予め定められた閾値を上回った場合等を指す。
【0080】
ステップS208において、演算処理回路16は、ステップS206において決定したn個の位相変数を、1つの伝送経路を示す伝送経路情報としてメモリ18に格納する。
【0081】
図6は、本実施の形態における非データ伝送状態におけるアダプティブアレーアンテナ装置220の動作を説明するフローチャートである。なお、図5との共通点の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0082】
ステップS301において、演算処理回路16は、位相制御回路15を介して、ランダムな初期位相変数を受信用可変位相器12〜12に設定し、ステップS302に進む。ステップS302において、BB/IF回路17は、相手装置から送信されたテストデータを無線受信回路14で受信する。ステップS303において、BB/IF回路17は、受信したテストデータに基づいて、通信性能情報を算出する。
【0083】
ステップS304〜ステップS307の各処理は、図5のステップS204〜ステップS207の処理と共通するので、説明は省略する。なお、アダプティブアレーアンテナ装置220は、ステップS306で初期条件を満たしていない場合、テスト信号の再送信を要求する情報を含めたACK信号を相手装置に送信する。
【0084】
上記のように、アダプティブアレーアンテナ装置120、220は、それぞれ無線通信に適した位相変数を算出する。但し、上記の処理を送信側と受信側とが同時に実行すると、適切な位相変数を算出することができない。そこで、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120が図5の処理を実行している間は、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220は位相変数の変更を行わないようにする。同様に、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220が図6の処理を実行している間は、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120は位相変数の変更を行わないようにする。
【0085】
次に、図4のステップS103の位相制御について、図7を用いて説明する。なお、これ以降の各処理は、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120が無線送信回路7に対して行うか、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220が無線受信回路14に対して行うかが異なるだけで、処理内容は実質的に同一であるので、アダプティブアレーアンテナ装置120の動作を中心に説明する。
【0086】
図7は、データ伝送状態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の動作を説明するフローチャートである。図7の処理は、例えば、コンテンツデータの送信を指示されたタイミングで実行される。
【0087】
ステップS401において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、メモリ18に格納されている伝送経路情報を読み出し、伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を位相制御回路15へ出力し、ステップS402に進む。
【0088】
ステップS402において、位相制御回路15は、演算処理回路16から取得したn個の位相変数を、送信用可変位相器5〜5それぞれに設定する。これにより、アレーアンテナは、非データ伝送状態で決められた無線送信に適した位相状態、すなわち、コンテンツデータの無線送信に適した放射指向性の無線電波を送出することができる状態となる。
【0089】
受信に関しては、受信用アンテナエレメント8で受信した受信電波は、低雑音アンプ9で増幅され、受信用ミキサ10で中間周波数に変換され、受信用ドライバアンプ11、受信用可変位相器12を介してBB/IF回路17に出力される。BB/IF回路17では、無線受信回路14より出力されたデータに信号処理、復調処理を施した後、受信データとして出力する。
【0090】
本実施の形態では、非データ伝送状態で最適化計算を行って伝送経路情報をメモリ18に記憶していることにより、データ伝送状態になってから最適化計算をする必要が無い。そのため、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120は、コンテンツデータの無線送信に適した放射指向性を、瞬時に送信用アンテナエレメント1〜1に設定することが可能となる。また、送信側のアダプティブアレーアンテナ装置120は、ACK信号が得られれば良いので、多数の系統の無線受信回路14を必要としない。そこで、無線送信回路7と無線受信回路14とを別系統とすることにより、送受信の切替えスイッチを送信用アンテナエレメント1〜1の直下に設ける必要がない。
【0091】
このように、本実施の形態においては、コンテンツデータを送信する際に送信用可変位相器5〜5に設定する位相変数を、非データ伝送状態で算出しておくことにより、コンテンツデータの無線送信に適した位相変数、すなわち、伝送経路を瞬時に決定することが可能となる。
【0092】
同様に、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220は、コンテンツデータの無線受信に適した放射指向性を、瞬時に受信用アンテナエレメント8〜8に設定することが可能となる。また、受信側のアダプティブアレーアンテナ装置220は、ACK信号を送信できれば良いので、多数の系統の無線送信回路7を必要としない。そこで、無線送信回路7と無線受信回路14とを別系統とすることにより、送受信の切替えスイッチを受信用アンテナエレメント8〜8の直下に設ける必要がない。
【0093】
このように、本実施の形態においては、コンテンツデータを受信する際に受信用可変位相器12〜12に設定する位相変数を、非データ伝送状態で算出しておくことにより、コンテンツデータの無線受信に適した位相変数、すなわち、伝送経路を瞬時に決定することが可能となる。
【0094】
(実施の形態2)
コンテンツデータの無線伝送を行っている際に、周囲の電波伝搬環境の変化により、通信状況が悪化することがある。例えば、ミリ波のように、非常に周波数が高い電波を用いて通信を行っている場合には、人の遮蔽などにより、通信が不可能になるくらいまで電波が遮蔽されることがある。
【0095】
そこで、本実施の形態では、例えば、最適化計算の初期値を位相変数が取り得る範囲内でスイープさせて最適化計算を複数回実行することで、複数の伝送経路情報を予め用意して、周囲の電波伝搬環境の変化に対応するアダプティブアレーアンテナ装置120について説明する。なお、本実施の形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置120は、演算処理回路16の具体的な動作が異なることを除いて図2と共通するので、共通部分の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0096】
本発明の実施の形態2について、図8及び図9を用いて説明する。
【0097】
図8は、本実施の形態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120の非データ伝送状態におけるフローチャートである。
【0098】
ステップS501において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、位相制御回路15を介して送信用可変位相器5〜5にランダムな初期位相変数を与え、ステップS502に進む。
【0099】
ステップS502において、BB/IF回路17は、無線送信回路7、送信用アンテナエレメント1〜1を介して、テスト信号を相手装置に無線送信し、ステップS503に進む。
【0100】
ステップS503において、BB/IF回路17は、受信用アンテナエレメント8、無線受信回路14を介して、相手装置から通信性能情報が格納されたACK信号を受信すると、ステップS504に進む。
【0101】
ステップS504において、BB/IF回路17は、ACK信号に含まれる通信性能情報を演算処理回路16に出力する。演算処理回路16は、BB/IF回路17より出力された通信性能情報より、アレーファクタを計算する。アレーファクタの計算は、ある初期値に対し、最適化計算で位相変数が得られたとき、他の位相変数と比較し、伝送経路が実質的に異なるようにするために行う。
【0102】
具体的には、演算処理回路16において、得られた位相変数をもとにアレーファクタを計算する。アレーファクタAF(θ,φ)は、例えば、式1に示すような計算式により算出できる。
【0103】
【数1】
Figure 2011093032
【0104】
ただし、式1において、θはアジマス方向の角度、φはエレベーション方向の角度、αはn系統目の可変位相器の位相、βは伝搬定数、xはn系統目のアンテナ位置(x座標)、yはn系統目のアンテナ位置(y座標)、Nはn系統の最大値である。
【0105】
式1の算出結果から、AFが最大となるθmax,φmaxを求めることにより、メインビームの方向が分かり、主伝送経路が推定できる。
【0106】
ステップS505において、演算処理回路16は、この主伝送経路の演算結果を、既にメモリ18に格納されている位相変数の場合に得られた主伝送経路と比較する。そして、2つの主伝送経路(ビーム方向)の差がアレーファクタのビーム幅を超えない場合、同じ伝送経路となっている可能性が高いので、保存する必要は無いと判断し、ステップS501に戻り、違う条件で再計算を行う。これに対して、演算処理回路16は、2つの主伝送経路の差がアレーファクタのビーム幅を超える場合、算出したビーム方向は、異なる伝送経路である可能性が高いため、ステップS506に進む。
【0107】
ステップS506において、演算処理回路16は、この時の初期位相変数を伝送経路情報としてメモリ18に格納する。
【0108】
ステップS507において、演算処理回路16は、上記演算を計算条件(メモリ格納量、必要格納量、初期位相付与量等)を満たすまで、最適化計算の初期位相変数を変化させて、繰り返し実行する。
【0109】
図9は、アダプティブアレーアンテナ装置120のデータ伝送状態におけるフローチャートである。
【0110】
ステップS601において、演算処理回路16は、データ伝送状態になった場合に、メモリ18から伝送経路情報を読み出し、読み出した伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を位相制御回路15に与え、ステップS602に進む。
【0111】
ステップS602において、位相制御回路15は、演算処理回路16から取得したn個の位相変数を、各送信用可変位相器5〜5に与えることで、アレーアンテナから放射される送信電波の放射指向性を決定し、ステップS603に進む。
【0112】
ステップS603において、BB/IF回路17の制御に従って、コンテンツデータの伝送が開始される。
【0113】
ステップS604において、BB/IF回路17は、無線受信回路14が受信する通信相手からのACK信号でその通信状況を判断し、電波伝搬環境の変化が発生したと判断した場合は、コンテンツデータの伝送を一旦停止し、ステップS605に進む。一方、変化していないと判断した場合は、ステップS607に進む。
【0114】
ステップS605において、演算処理回路16は、BB/IF回路17の制御に従って、メモリ18から別の伝送経路情報を読み出し、読み出した伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を位相制御回路15を介して各送信用可変位相器5〜5に与え、伝送経路を変化させ、ステップS606に進む。別の伝送経路情報の読み出しは、例えば、メモリ18に対する読み出しアドレスを変更することによって行う。
【0115】
ステップS606において、BB/IF回路17は、コンテンツデータの伝送を再開し、ステップS604に戻る。
【0116】
ステップS607において、BB/IF回路17は、コンテンツデータの伝送が終了していないと判断した場合は、ステップS604に戻る。一方、コンテンツデータの伝送が終了したと判断した場合は、処理を終了する。
【0117】
このように、本実施の形態によれば、最適化計算の結果である伝送経路情報をメモリ18に複数記憶しておくことになるので、遮蔽などの電波伝搬環境の瞬時の変化に対しても、瞬時にアレーアンテナの放射指向性を変化させることが可能となり、通信遮断等を防ぐことが可能となる。
【0118】
なお、本実施の形態においては、メモリ18への保存条件としてビーム幅を例に説明しているが、他の条件を使ってもよい。
【0119】
(実施の形態3)
実施の形態2に示しているように、予めメモリ18に格納してある複数の伝送経路情報を電波伝搬環境の変化により順次読み出し、伝送経路を切替えて無線通信を行ったとしても、無線通信装置の設置場所が移動した場合等には、メモリ18に格納されているどの伝送経路情報を使用しても通信できない可能性が高い。
【0120】
そこで、本実施の形態では、無線通信装置の設置場所が変更になった場合に対応したアダプティブアレーアンテナ装置120について説明する。なお、本実施の形態に係るアダプティブアレーアンテナ装置120は、演算処理回路16の具体的な動作が異なることを除いて図2と共通するので、共通部分の詳しい説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0121】
図10は、本実施の形態におけるアダプティブアレーアンテナ装置120のデータ伝送状態におけるフローチャートである。実施の形態2と同じステップに関しては、同符号を付与し、説明を省略する。
【0122】
ステップS708において、BB/IF回路17は、無線通信状況(電波伝搬環境)が良好であるかどうかを判断し、良好であれば、ステップS712に進む。一方、無線通信状況が良好でない場合は、ステップS709に進む。
【0123】
ステップS709において、BB/IF回路17は、位相制御回路15を用いて、メモリ18に格納している伝送経路情報を全て送信用可変位相器5〜5に設定したかを判断する。そして、未だ設定していない伝送経路情報がある場合は、ステップS605に戻り、未だ設定しない伝送経路情報を設定する。一方、全ての伝送経路情報を設定してしまった場合は、ステップS710に進む。
【0124】
ステップS710において、メモリ18に格納されている全ての伝送経路情報を読み出しても無線通信状況が良くならないと判断した場合、BB/IF回路17は、演算処理回路16に、再度、最適化計算を行わせる。演算処理回路16は、通信可能な伝送経路情報を新たに算出し、ステップS711に進む。具体的には、演算処理回路16は、図5に示される処理を実行する。
【0125】
ステップS711において、BB/IF回路17は、メモリ18に保存されている伝送経路情報を全てクリアし、ステップS712に進む。
【0126】
ステップS712において、BB/IF回路17は、新たに算出された伝送経路情報に含まれるn個の位相変数を、送信用可変位相器5〜5に設定し、コンテンツデータの無線送信を再開する。
【0127】
なお、次に非データ伝送状態に入ったとき、BB/IF回路17は、演算処理回路16を用いて、実施の形態2に示しているような手段で伝送経路情報を再計算し、メモリ18に格納し直す。
【0128】
このように、本実施の形態によれば、無線装置の設置場所が変更になった場合にも、再度伝送経路情報を演算して、メモリ18に格納し直すことが可能となる。
【0129】
(その他の実施形態)
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0130】
上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0131】
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成要素を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶さている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0132】
上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0133】
本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0134】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0135】
また、本発明は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0136】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、マイクロプロセッサは、コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0137】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0138】
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0139】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明に係る無線伝送装置は、高周波通信の分野で有用に用いられる。
【符号の説明】
【0141】
1,1〜1 送信用アンテナエレメント
2,2〜2,1003 パワーアンプ
3,3〜3,1005 送信用ミキサ
4,4〜4,1009 送信用ドライバアンプ
5,5〜5,1011 送信用可変位相器
6,1007 送信用局所発振器
7 無線送信回路
8,8〜8 受信用アンテナエレメント
9,9〜9,1004 低雑音アンプ
10,10〜10,1006 受信用ミキサ
11,11〜11,1010 受信用ドライバアンプ
12,12〜12,1012 受信用可変位相器
13,1008 受信用局所発振器
14 無線受信回路
15,1013 位相制御回路
16,1014 演算処理回路
17,1015 BB/IF回路
18 メモリ
100 送信側無線通信装置
200 受信側無線通信装置
110 コンテンツ再生部
120,220,1000 アダプティブアレーアンテナ装置
121,221 無線送信アンテナ部
122,222 無線受信アンテナ部
123,223 経路情報算出部
124,224 記憶部
210 コンテンツ出力部
300 第1の無線通信路
310 第2の無線通信路
1001 アンテナエレメント
1002 切替えスイッチ

Claims (13)

  1. 相手装置に対してコンテンツデータを無線送信するアダプティブアレーアンテナ装置であって、
    前記相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部と、
    前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、前記相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部と、
    前記経路情報算出部で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部とを備え、
    前記無線送信アンテナ部は、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始する
    アダプティブアレーアンテナ装置。
  2. 前記経路情報算出部は、予め複数の伝送経路情報を算出して、前記記憶部に記憶させ、
    前記無線送信アンテナ部は、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のうちの1つを選択し、選択された伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータを送信する
    請求項1に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  3. 前記経路情報算出部は、前記相手装置に至る伝送経路が実質的に異なる複数の伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる
    請求項2に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  4. 該アダプティブアレーアンテナ装置は、さらに、前記相手装置でのコンテンツデータの受信状態を示す制御データを受信する無線受信アンテナ部を備え、
    前記無線送信アンテナ部は、前記無線受信アンテナ部で受信された制御データに示される受信状態が予め定められた閾値を下回った場合に、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のうちの他の1つを選択し、選択された他の伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を再開する
    請求項2又は3に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  5. 前記経路情報算出部は、前記記憶部に記憶されているどの伝送経路情報を選択しても受信状態が前記閾値以上とならない場合、前記記憶部に記憶されている複数の伝送経路情報のいずれとも異なる新たな伝送経路情報を算出し、
    前記無線送信アンテナ部は、前記経路情報算出部で算出された新たな伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を再開する
    請求項4に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  6. 前記記憶部は、さらに、前記複数の伝送経路情報それぞれの優先順位を記憶し、
    前記無線送信アンテナ部は、優先順位の高い伝送経路情報から順に選択する
    請求項2〜5のいずれか1項に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  7. 前記無線送信アンテナ部は、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子各々から放射される電波の位相を制御する複数の可変位相器とを含み、
    前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に設定される位相変数を、伝送経路情報として算出する
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  8. 前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に任意に決定された位相変数を設定した状態で前記相手装置にテストデータを送信し、当該テストデータに対する応答データに示される通信性能をパラメータとする所定の最適化計算手法によって、前記複数の可変位相器それぞれの位相変数を算出し、算出した位相変数を前記記憶部に記憶させる
    請求項7に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  9. 前記経路情報算出部は、前記複数の可変位相器各々に任意に決定された位相変数を設定した状態で前記相手装置にテストデータを送信し、当該テストデータに対する応答データに示される通信性能が所定の閾値を上回る場合に、任意に決定された位相変数を前記記憶部に記憶させる
    請求項7に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  10. 前記無線送信アンテナ部は、
    第1の無線通信路を介してテストデータを前記相手装置に無線送信し、
    前記第1の無線通信路より帯域が広く、且つ高い受信感度を必要とする第2の無線通信路を介してコンテンツデータを前記相手装置に無線送信する
    請求項8又は9に記載のアダプティブアレーアンテナ装置。
  11. 相手装置からコンテンツデータを無線受信するアダプティブアレーアンテナ装置であって、
    前記相手装置からコンテンツデータを無線受信する無線受信アンテナ部と、
    前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前に、予め、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出する経路情報算出部と、
    前記経路情報算出部で算出された伝送経路情報を記憶する記憶部とを備え、
    前記無線受信アンテナ部は、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始する
    アダプティブアレーアンテナ装置。
  12. 相手装置に対してコンテンツデータを無線送信するアダプティブアレーアンテナ装置のアンテナ制御方法であって、
    前記アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置にコンテンツデータを無線送信する無線送信アンテナ部と、記憶部とを備え、
    該アンテナ制御方法は、
    前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示される前に、予め、前記相手装置に対してコンテンツデータを無線送信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる経路情報算出ステップと、
    前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記無線送信アンテナ部に前記相手装置に対するコンテンツデータの送信を開始させる送信ステップとを含む
    アンテナ制御方法。
  13. 相手装置からコンテンツデータを無線受信するアダプティブアレーアンテナ装置のアンテナ制御方法であって、
    前記アダプティブアレーアンテナ装置は、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信する無線受信アンテナ部と、記憶部とを備え、
    該アンテナ制御方法は、
    前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示される前に、予め、前記相手装置からコンテンツデータを無線受信可能な放射指向性を特定するための伝送経路情報を算出し、前記記憶部に記憶させる経路情報算出ステップと、
    前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を指示された場合に、前記記憶部に記憶されている伝送経路情報で特定される放射指向性を用いて、前記無線受信アンテナ部に前記相手装置から送信されるコンテンツデータの受信を開始させる受信ステップとを含む
    アンテナ制御方法。
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