JPWO2011078120A1 - Rf信号生成回路及び無線送信機 - Google Patents

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Abstract

無線送信機は、RF信号生成回路、ドライバアンプ、及びD級増幅器より構成される。RF信号生成回路において、直交変調したデジタル信号から振幅信号と位相信号を検出し、位相が0°〜180°の場合にはHighとなり、位相が180°〜360°の場合にはLowとなるパルス位相信号を生成する。振幅信号はパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調され、更に、パルス位相信号と混合されてRFパルス信号が生成される。RFパルス信号は、ドライバアンプを介してD級増幅器に入力され、予め設定した基準電圧に基づいたパルス電圧信号が出力される。これにより、良好な雑音特性及び歪特性を有し、かつ、高い電力効率を有する小型の無線送信機が実現される。

Description

本発明は、携帯電話や無線LANなどの通信機器においてデジタル信号を無線送信する無線送信機に係り、特にデジタル信号からRFパルス信号を生成するRF信号生成回路に関する。
本願は、日本国に出願された特願2009−289772号(出願日:2009年12月21日)及び特願2010−196787号(出願日:2010年9月2日)に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
携帯電話や無線LANなどの通信機器の送信部は、出力電力に関係なく送信信号の精度を確保しつつ低消費電力で動作することが求められる。特に、通信機器の送信部最終段の電力増幅器の消費電力は、通信機器全体の50%以上を占めるため、高い電力効率であることが求められる。
近年、高い電力効率を持つと期待される電力増幅器として、スイッチング増幅器が注目されている。スイッチング増幅器は、入力信号としてパルス波形信号を想定しており、その波形を維持して電力増幅する。スイッチング増幅器で増幅されたパルス波形信号は、フィルタ素子で所望の周波数成分以外の周波数成分を十分に抑制した後、アンテナにより空中に放射される。
図19は、スイッチング増幅器の代表例であるD級増幅器1を示す回路図である。D級増幅器1は、電源2とグランドGNDとの間に2つのスイッチ素子3a、3bを直列に接続した構成を有する。2つのスイッチ素子3a、3bには、開閉制御信号として相補的なパルス信号S1、S2が入力され、スイッチ素子3a、3bのどちらか一方のみがON状態となるよう制御される。電源2側のスイッチ素子3aがON、グランドGND側のスイッチ素子3bがOFFの場合、D級増幅器1から電源電圧と等しい電圧が出力される。逆に、スイッチ素子3aがOFF、スイッチ素子3bがONの場合、D級増幅器1からグランド電位と等しい電圧が出力される。
D級増幅器1は、バイアス電流を必要としないため、電力損失は理想的にはゼロとなる。尚、スイッチ素子3a、3bはMOS電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタで構成することができる。
図20は、D級増幅器1を用いた無線送信機5の構成を示すブロック図である。この構成は、非特許文献1に開示されている。図20において、図19と同一の構成部分には同一の符号を付している。無線送信機5は、RF信号生成回路6、ドライバアンプ7、及びD級増幅器1より構成される。例えば、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の場合、デジタルベースバンド8は10ビット以上の多ビットの無線信号を生成する。
D級増幅器1の入力信号は、パルス波形信号である。パルス波形信号は、1パルスで1ビットしか伝送できないため、デジタルベースバンド8の出力信号は予め1ビット情報に変換しておく必要がある。1ビット情報に変換する回路構成として、所望波の周波数帯域近傍の雑音特性を良好に保つため、シグマデルタ変調器9a、9bを採用している。この回路構成により、無線送信信号を良好な雑音特性を維持したままパルス波形信号に変換し、D級増幅器1に入力することが可能となる。
A.Frappe,B.Stefanelli,A.Flament,A.kaiser and A.Cathelin,"A Digital ΔΣ RF Signal Generator For Mobile Communication Transmitters In 90nm CMOS",in IEEE RFIC Symp.,pp.13−16,June 2008.
非特許文献1に記載されたD級増幅器1では、実際には高効率内導体電力増幅が達成されない。その理由について以下に説明する。
D級増幅器1を構成するスイッチ素子3a、3bは、理想的にはON状態で端子間インピーダンスがゼロ、OFF状態で端子間インピーダンスが無限大となる。図19に示すD級増幅器1において、スイッチ素子3a、3bがそれぞれON/OFF状態から反転した場合、スイッチ素子3bの出力端子電圧は電源電圧からグランド電位に瞬時に立ち下がる。また、スイッチ素子3bがON状態になると、負荷とグランドGNDが接続されることとなり、スイッチ素子3bには電流が流れる。
スイッチ素子3bで発生する熱損失は、その出力端子電圧とスイッチ素子3bを流れる電流の積に等しい。また、スイッチ素子3bがON状態の場合、その出力電圧はグランド電位、即ちゼロであるため、熱損失は発生しない。一方、スイッチ素子3bがOFF状態の場合には、スイッチ素子3bには電流が流れないため、熱損失は発生しない。
従って、スイッチ素子3bの熱損失は、ON状態からOFF状態、若しくはOFF状態からON状態、に遷移する過程でのみ発生することになる。例えば、ON状態からOFF状態に遷移する過程に発生する熱損失は、スイッチ素子3bの出力端子電圧がグランド電位に立ち下がるまでの電圧波形と、その遷移過程でのスイッチ素子3bを流れる電流の波形との積(即ち、I−Vオーバーラップ)に等しい。スイッチ素子3bが理想的である場合には、出力端子電圧の立ち下がり時間は近似的にゼロであるとみなせるので、電圧波形と電流波形の重複成分も近似的にゼロとなり、熱損失は発生しない。
実際には、D級増幅器1におけるスイッチ素子3aはP型FET、スイッチ素子3bはN型FETで構成される。P型FETでは、ゲート端子に閾値より十分に低い電圧を与えるとドレインとソース間を短絡させるON状態となり、一方、ゲート端子に閾値より十分に高い電圧を与えるとドレインとソース間を開放するOFF状態となる。N型FETでは、ゲート端子に閾値より十分に低い電圧を与えるとOFF状態となり、一方、ゲート端子に閾値より十分に高い電圧を与えるとON状態となる。
FET素子は、チャンネル抵抗やドレイン−ソース間容量などの寄生パラメータにより、ON状態ではドレイン−ソース間のインピーダンスはゼロより高く、OFF状態でもドレイン−ソース間には容量性の有限インピーダンスが存在する。
一般に、FET素子で構成したD級増幅器では、上側のP型FETと下側のN型FETがそれぞれON/OFF状態から反転した場合、N型FETのドレイン電圧はチャンネル抵抗とドレイン−ソース間容量で決まるRC時定数に従って鈍りを持って立ち下がる。このように鈍りが存在する場合には、I−Vオーバーラップは大きくなり、FET素子で発生する熱損失は有限の値となる。
FET素子の熱損失は、ドレイン電圧が接地電位に立ち下がるまでの間におけるドレイン電流が大きい場合、無視できないほど大きくなる。図20に示す無線送信機5では、D級増幅器1に入力されるパルス波形信号はシグマデルタ変調器9a、9bにて生成されたクロック同期型のパルス信号である。
一方、パルス信号から再生される無線信号の位相は、シグマデルタ変調器9a、9bのクロック信号とは無相関である。FET素子のドレイン電流の位相は無線信号の位相と等しいことを考慮すると、ドレイン電圧とドレイン電流の位相関係は無相関になる。このことは、ドレイン電圧の立ち下がり開始点で、ドレイン電流が大きくなることを意味する。即ち、D級増幅器1の消費電力が大きくなる。
本発明は、良好な雑音特性及び歪特性を有し、小型で高い電力効率のRF信号生成回路を提供することを目的とする。
また、このRF信号生成回路を用いた無線送信機を提供することを本発明の他の目的とする。
本発明は、デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成回路であって、デジタル信号を直交変調する直交変調器と、直交変調器の出力信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、直交変調器の出力信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調するシグマデルタ変調器と、シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器を具備する。
本発明は、デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成回路であって、デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調するシグマデルタ変調器と、シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器を具備する。
本発明は、デジタル信号を無線送信する無線送信機であって、デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調するシグマデルタ変調器と、シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器と、RFパルス信号の正極性レベルを予め設定した基準電圧値に変換し、RFパルス信号の負極性レベルを接地電位に変換する増幅器を具備する。
本発明は、デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成方法であって、デジタル信号を直交変換し、直交変調されたデジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力し、直交変調されたデジタル信号の位相を検出して位相信号を出力し、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成し、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調し、シグマデルタ変調された振幅信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する。
本発明は、デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成方法であって、デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力し、デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力し、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成し、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調し、シグマデルタ変調された振幅信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する。
本発明は、デジタル信号の無線送信に適用される信号処理方法であって、デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力し、デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力し、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成し、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調し、シグマデルタ変調された振幅信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成し、RFパルス信号の正極性レベルを予め設定した基準電圧値に変換し、RFパルス信号の負極性レベルを接地電位に変換する。
本発明は、デジタル信号を無線送信する無線送信機であって、デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調する多値出力型のシグマデルタ変調器と、シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器と、RFパルス信号を前記シグマデルタ変調器の出力値に応じて予め設定した基準電圧値に変換する増幅器を具備する。
本発明によれば、無線送信機に適用されるD級増幅器のスイッチ素子の開閉動作における端子間電圧及び電流の重複を減少することができ、以って、スイッチ素子で発生する熱損失を低減することができる。これにより、D級増幅器において良好な雑音特性及び歪特性を実現し、かつ、高い電力効率を実現することができる。
本発明の実施例1に係る無線送信機の構成を示すブロック図である。 実施例1に係る無線送信機の動作を説明するためのタイミングチャートである。 実施例1に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれるIQモジュレータの構成を示す回路図である。 実施例1に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれる振幅・位相検出器の構成を示すブロック図である。 実施例1に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれるシグマデルタ変調器の構成を示す回路図である。 実施例1に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれる混合器の構成を示す回路図である。 実施例1に係る無線送信機におけるD級増幅器の構成を示す回路図である。 D級増幅器の別の構成を示す回路図である。 本発明の実施例2に係る無線送信機の構成を示すブロック図である。 実施例2に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれる振幅検出器の構成を示すブロック図である。 実施例2に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれる位相検出器の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例3に係る無線送信機の構成を示すブロック図である。 実施例3に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれるシグマデルタ変調器の構成を示す回路図である。 図13に示すシグマデルタ変調器に含まれる3値出力型比較器の入出力関係を示すグラフである。 図12に示すRF信号生成回路の後段に接続されたデコーダの動作を示す真理値表である。 本発明の実施例4に係る無線送信機の構成を示すブロック図である。 実施例4に係る無線送信機におけるRF信号生成回路に含まれるシグマデルタ変調器の構成を示す回路図である。 実施例4に係る無線送信機における切替機能付デコーダに適用される2種類の真理値表である。 従来技術によるD級増幅器の構成を示す回路図である。 従来技術によるD級増幅器を用いた無線送信機の構成を示すブロック図である。
本発明について、実施例とともに添付図面を参照して詳細に説明する。ここで、同一の構成部分には同一の符号を付すものとする。
図1は、本発明の実施例1に係る無線送信機10の構成を示すブロック図である。無線送信機10は、RF信号生成回路11、ドライバアンプ12、及びD級増幅器13を具備する。RF信号生成回路11は、デジタルベースバンド20、IQモジュレータ21、振幅・位相検出器22、パルス位相信号生成器23、シグマデルタ変調器24、及び混合器25より構成される。
IQモジュレータ21は、デジタルベースバンド20で生成された直交無線信号をRF信号に変換する。振幅・位相検出器22は、RF信号に含まれる振幅信号γと位相信号θとを分割抽出する。振幅信号γはシグマデルタ変調器24に供給され、位相信号θはパルス位相信号生成器23に供給される。
パルス位相信号生成器23は、位相信号θが0°〜180°の場合にはHighとなり、位相信号θが180°〜360°の場合にはLowとなるパルス位相信号を生成する。パルス位相信号は、シグマデルタ変調器24のクロック端子及び混合器25に供給される。パルス位相信号の立上りエッジは位相信号θが0°の点に一致し、立下りエッジは位相信号θが180°の点に一致する。シグマデルタ変調器24は、パルス位相信号をクロック信号として入力し、振幅信号γをパルス波形のパルス振幅信号に変換して、混合器25へ供給する。尚、パルス振幅信号のパルスレートは一定ではなく、パルス位相信号に同期して変化する。
混合器25は、パルス振幅信号がLowの場合にはローレベルを出力し、パルス振幅信号がHighの場合にはパルス位相信号と等しいレベルを出力する。D級増幅器13は、電源30と接地GNDとの間に2つのスイッチ素子31a、31bを直列接続して構成される。D級増幅器13は、スイッチ素子31a、31bに入力されたパルス波形と同一の波形を持つパルス電圧信号を出力する。
D級増幅器13のスイッチ素子31a、31bには、混合器25の出力信号及びその相補信号がドライバアンプ12を介して入力される。フィルタ回路14は、D級増幅器13の後段に接続されており、RF信号の周波数帯域に一致した通過帯域を有し、D級増幅器13から出力されるパルス電圧信号に含まれるRF信号のみを選択的に通過させる。フィルタ回路14の後段には負荷15が接続され、これによりRF信号が再生される。
図2は、RF信号生成回路11の内部信号や出力信号、並びにD級増幅器13の出力信号を示すタイミングチャートである。具体的には、振幅・位相検出器22から出力される位相信号θ、パルス位相信号生成器23から出力されるパルス位相信号、シグマデルタ変調器24から出力されるパルス振幅信号、混合器25の出力信号、及びD級増幅器13の出力信号を示している。
混合器25の出力信号、即ちRF信号生成回路11の出力パルス信号において、状態遷移点(即ち、立上りエッジ、立下りエッジ)はパルス位相信号の状態遷移点と一致する。パルス位相信号の立上りエッジ及び立下りエッジはそれぞれ位相信号θの0°及び180°に一致するので、RF信号生成回路11の出力パルス信号の立上りエッジ及び立下りエッジはRF信号の位相0°及び180°に一致する。
図2に示すように、D級増幅器13の出力信号は入力信号と等しいパルス波形のパルス電圧信号である。D級増幅器13の出力端子に接続されるフィルタ回路14の入出力端子間インピーダンスとして、RF信号が占有する周波数帯域に対しては負荷15に比べて十分小さく、その他の周波数帯域に対しては負荷15に比べて十分に大きいものを用いる。
D級増幅器13からフィルタ回路14に入力される電流は、D級増幅器13の出力端子のパルス電圧信号に包含されるRF信号成分を負荷15の抵抗値で割った値に近似的に等しい。即ち、D級増幅器13からフィルタ回路14に入力される電流の波形とRF信号の波形とは等しくなる。換言すれば、D級増幅器13の出力電流の位相とRF信号の位相とは一致することとなる。
D級増幅器13を構成するスイッチ素子31a、31bのON/OFF遷移点はRF信号生成回路11の出力パルス信号の状態遷移点と一致することを考慮すると、スイッチ素子31a、31bのON/OFF遷移点におけるD級増幅器13の出力電流の位相は0°又は180°である。即ち、スイッチ素子31a、31bのON/OFF遷移点においては、出力電流は瞬間的にゼロとなる。
従って、本発明の実施例1ではD級増幅器13のスイッチ素子31a、31bのON/OFF遷移点での出力電流をゼロにして、スイッチ素子31a、31bでのI−Vオーバーラップを最小限に抑えることができる。即ち、非特許文献1に比べて、D級増幅器13の消費電力を小さく抑えることが可能となる。
図3は、RF信号生成回路11のIQモジュレータ21の構成を示す回路図である。IQモジュレータ21は、IQ局部発振器40、混合器41a、41b、及び合成器42より構成される。IQ局部発振器40は、RF信号のキャリア周波数に等しい周波数を有し、かつ、互いに90°の位相差を有する2つの正弦波形の電圧信号を生成する。
混合器41a、41bは各々2つの入力信号の積を出力する。混合器41aには、ベースバンド信号IとIQ局部発振器40で生成された正弦波信号(位相0°)とが入力される。混合器41bには、ベースバンド信号QとIQ局部発振器40で生成された他の正弦波信号(即ち、混合器41aに入力された正弦波信号より90°位相が遅れた正弦波信号)とが入力される。混合器42は、混合器41a、41bの出力信号の和を出力する。
IQ局部発振器40で生成される2つの正弦波信号、即ち電圧信号Vlo_i、Vlo_q、は数式1及び数式2で表される。
Figure 2011078120
Figure 2011078120
数式1及び数式2において、ωはキャリア周波数に相当する角周波数である。
混合器41a、41bに入力されるベースバンド信号をそれぞれVbb_i、Vbb_qとすると、数式3及び数式4で表される。
Figure 2011078120
Figure 2011078120
数式3及び数式4において、Bは振幅情報を示し、θは位相情報を示す。ωは中間周波数に相当する角周波数である。
混合器41a、41bは、Vlo_iとVbb_iの積、及びVlo_qとVbb_qの積をそれぞれ出力する。混合器41a、41bの出力電圧信号をVmix1、Vmix2とすると、数式5及び数式6で表される。
Figure 2011078120
Figure 2011078120
合成器42は、混合器41a、41bの出力信号の和、即ちVmix1とVmix2の和、を算出する。合成器42の出力電圧信号をVcombとすると、数式7で表される。
Figure 2011078120
合成器42の出力電圧信号Vcombは、ベースバンド信号の角周波数からωだけ増加した信号であり、RF信号に相当する。
図4は、実施例1に係る無線送信機10の振幅・位相検出器22の構成を示すブロック図である。振幅・位相検出器22は、振幅検出器22aと位相検出器22bより構成される。振幅検出器22aは、ダイオード51、抵抗52、及び容量(コンデンサ)53より構成される。ダイオード51は、入力電圧の2乗に比例した電流を出力する。ダイオード51にRF信号が入力された場合、振幅値が大きいほど、ダイオード51から出力される電流値の時間平均値は大きくなる。
ダイオード51の後段に接続された抵抗52及び容量53はフィルタ回路を構成しており、ダイオード51の出力電流に含まれるDC成分のみを取り出す。このDC成分はダイオード51の出力電流の時間平均値に等しい。従って、RF信号の振幅値が大きくなるほど、DC成分は大きくなる。換言すれば、ダイオード51に入力されるRF信号の振幅値とダイオード51の出力電流のDC成分とは、単調増加の関係にあり、かつ、1対1の関係にある。このため、ダイオード51の出力信号のDC成分からRF信号に含まれる振幅情報を抽出することが可能となる。
位相検出器22bは、コンパレータ54より構成される。コンパレータ54の出力レベルは、入力信号が正の値の場合にHighとなり、入力信号が負の値の場合にLowとなる。RF信号は、位相が0°〜180°の場合に正の値となり、位相が180°〜360°の場合に負の値となる。従って、コンパレータ54にRF信号を入力すると、位相が0°〜180°の場合にHighレベルを出力し、位相が180°〜360°の場合にLowレベルを出力する。
コンパレータ54の出力波形は、理想的には矩形波となる。実際には、コンパレータ54の出力部には寄生的な抵抗・容量が存在するため、コンパレータの出力波形は正弦波に近づく。位相検出器2bの後段に接続されるパルス位相信号生成器23は、正弦波に近づいた位相信号を再び矩形波信号に成形するものである。パルス位相信号生成器23は、位相検出器22bと同様に、コンパレータで構成することが可能である。但し、寄生パラメータにより矩形波が正弦波に戻ることを避けるため、コンパレータの出力部に高い利得のアンプを接続することにより、位相0°及び180°の時点での波形の傾きを急峻にして、コンパレータの出力波形を矩形波に近づけている。
図5は、実施例1に係る無線送信機10のシグマデルタ変調器24の構成を示す回路図である。
シグマデルタ変調器24は、入力信号のクロック周波数よりも高いクロック周波数で動作し、入力信号が有する多ビット情報を1ビット情報に変換して出力する。また、シグマデルタ変調器24で発生する量子化雑音は、ナイキスト周波数で最も高くなり、周波数が低くなるほど小さくなる性質がある。
シグマデルタ変調器24を入力信号のクロック周波数よりも十分高いクロック周波数で動作させることにより、入力信号をナイキスト周波数よりも十分低い周波数領域に押し込めることが可能である。このように高いクロック周波数でシグマデルタ変調器24を動作させることにより、入力信号が量子化雑音の影響を受けにくくすることができる。
シグマデルタ変調器24は、定倍器60a〜60g、加算器61a〜61e、除算器62a〜62c、及び1ビット比較器63より構成される。シグマデルタ変調器24の入力信号をX(z)、出力信号をY(z)、1ビット比較器63で発生する量子化雑音をN(z)とすると、これらは数式8で定義付けられる。但し、z=e(jω)、ωは角周波数である。
Figure 2011078120
DC(即ち、周波数がゼロ)の場合、z=1となるので、量子化雑音N(z)は0、数式8の分母は1となり、出力信号Y(z)と入力信号X(z)は等しくなる。これは、DCの場合には、シグマデルタ変調器24の出力信号Y(z)は量子化雑音の影響を全く受けないことを意味する。
図6は、実施例1に係る無線送信機10のRF信号生成回路11に含まれる混合器25の構成を示す回路図である。
混合器25は論理素子であり、1つのAND素子70で構成できる。AND素子70は2入力1出力であり、両方の入力がHighの場合のみ出力がHighとなり、両方の入力がLowの場合には出力がLowとなる。混合器25を構成するAND素子70は、パルス位相信号生成器23の出力信号とシグマデルタ変調器24の出力信号を入力する。ここで、シグマデルタ変調器24の出力レベルがHighの場合、AND素子70はパルス位相信号生成器23の出力信号をそのまま出力する。逆に、シグマデルタ変調器24の出力レベルがLowの場合、AND素子70の出力はLowとなる。
図7は、実施例1に係る無線送信機10のD級増幅器13の構成を示す回路図であり、スイッチ素子31a、31bの具体的な構成を示す。
図1に示すように、D級増幅器13は2つのスイッチ素子31a、31bを直列接続して構成される。図7に示すように、スイッチ31a、31bは各々制御端子80、信号端子81a、81bを具備する。制御端子80にHighが入力されると、信号端子81a、81bは短絡されてON状態となり、一方、制御端子80にLowが入力されると、信号端子81a、81bは接続されずOFF状態となる。
スイッチ素子31a、31bはMOSトランジスタ90又はバイポーラトランジスタ91を用いて実現できる。ここで、制御端子80はゲート90a又はベース91aに相当し、信号端子81aはソース90b又はエミッタ91bに相当し、信号端子81bはドレイン90c又はコレクタ91cに相当する。
図8は、D級増幅器13の別の構成を示す回路図である。
D級増幅器13の構成としては、図1に示した構成以外に図8に示した構成を採用することができる。図8において、D級増幅器13は2つのスイッチ素子SW1、SW2と2つの電流源CS1、CS2より構成される。尚、スイッチ素子SW1、SW2は図7に示すMOSトランジスタ90又はバイポーラトランジスタ91を用いて実現できる。
図8において、左のスイッチ素子SW1がオフ状態、右のスイッチ素子SW2がオン状態では、左の電流源CS1の出力電流がD級増幅器13の外部に出力され、フィルタ回路14及び負荷15を経由して右のスイッチ素子SW2に流れ込む。一方、右の電流源CS2の出力電流は右のスイッチ素子SW2に流れ込むため、フィルタ回路14及び負荷15には供給されない。
逆に、左のスイッチ素子SW1がオン状態、右のスイッチ素子SW2がオフ状態では、右の電流源CS2の出力電流がフィルタ回路14及び負荷15を経由して左のスイッチ素子SW1に流れ込む。スイッチ素子SW1、SW2にパルス信号及びその相補信号が入力されると、スイッチ素子SW1、SW2は交互にオン/オフされ、負荷15にはパルスのHighとLowに対応して正方向と負方向に電流パルスが流れる。フィルタ回路14は、RF信号が占有する周波数帯域の成分に対しては入出力間を開放し、一方、RF信号の周波数帯域外の成分に対しては入出力間を短絡する。従って、負荷15の両端に現れる電圧信号は入力パルス信号に包含されるRF信号成分のみとなる。
実施例1によれば、振幅・位相検出器22から出力される振幅信号をパルス位相信号生成器23から出力されるパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調器24で変調するようにしたので、D級増幅器13のスイッチ素子(31a、31bやSW1、SW2)の開閉動作における端子間電圧/電流の重なりを小さくすることができ、以って、スイッチ素子で発生する熱損失を低減することができる。これにより、D級増幅器13において良好な雑音特性や歪特性を実現し、かつ、高い電力効率を実現することができる。
次に、本発明の実施例2について説明する。
図9は、本発明の実施例2に係る無線送信機100の構成を示すブロック図である。図9において、図1に示す構成部分と同一の構成部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。実施例1の無線送信機10と比較すると、実施例2の無線送信機100はRF信号生成回路11をRF信号生成回路110に置き換えている。RF信号生成回路110はRF信号生成回路11と同様の機能を有しているが、信号生成過程が異なる。以下、RF信号生成回路110の構成及び動作について説明する。
図9において、RF信号生成回路110はデジタルベースバンド20、振幅検出器26、位相検出器27、パルス位相信号生成器23、シグマデルタ変調器24、及び混合器25より構成される。尚、デジタルベースバンド20、パルス位相信号生成器23、シグマデルタ変調器24、及び混合器25はRF信号生成回路11の構成部分と同一である。
デジタルベースバンド20で生成された無線信号(ベースバンド信号)は、振幅検出器26及び位相検出器27に入力される。振幅検出器26は、デジタルベースバンド20から出力されるベースバンド信号(IQ信号)の2乗和を計算し、RF信号の振幅値(即ち、振幅信号)を算出する。位相検出器27は、デジタルベースバンド20のIQ信号と振幅検出器26の振幅信号を用いてRF信号の位相信号を生成する。振幅検出器26と位相検出器27より出力される振幅信号と位相信号は、振幅・位相検出器22から出力される振幅信号γと位相信号θと同一である。この振幅信号γと位相信号θは、実施例1と同様に、パルス位相信号生成器23、シグマデルタ変調器24、及び混合器25によりRFパルス信号に変換されて、RF信号生成回路110より出力される。
図10は、無線送信機100のRF信号生成回路110に含まれる振幅検出器26の構成を示すブロック図である。振幅検出器26は、2つの2乗器120a、120b、1つの加算器121、及び1つの2乗根算出器122より構成される。2乗器120a、120bは、入力信号(即ち、I信号及びQ信号)の2乗を算出する。加算器121は、2乗器120a、120bの出力信号(即ち、I信号の2乗、Q信号の2乗)の和を計算する。2乗根算出器122は、加算器121の加算結果の2乗根を算出する。ここで、IQ信号は振幅が等しく、かつ、互いに90°の位相差を有する直交関係にある。従って、IQ信号の振幅値はその2乗和の平方根を算出することで得ることができる。また、IQ信号の振幅値はRF信号の振幅値に等しいため、振幅検出器26にIQ信号を入力することにより、RF信号の振幅値を得ることができる。
図11は、無線送信機100のRF信号生成回路110に含まれる位相検出器27の構成を示すブロック図である。位相検出器27は、除算器130とIQモジュレータ131により構成される。このIQモジュレータ131は、図3に示したIQモジュレータ21と同一である。除算器130は、I入力端子(Iin)、Q入力端子(Qin)、r入力端子(rin)、I出力端子(Iout)、Q出力端子(Qout)を具備する。乗算器130は、I入力端子とQ入力端子に入力された電圧信号(I信号、Q信号)をr入力端子に入力された電圧信号(√(I信号の2乗+Q信号の2乗)=振幅)で割り算した結果をそれぞれI出力端子とQ出力端子から出力する。
数式3及び数式4に示されたデジタルベースバンド信号(即ち、IQ信号)が除算器130のI入力端子とQ入力端子に入力され、一方、r入力端子に振幅信号(即ち、データベース信号(IQ信号)が入力された振幅検出器26の出力信号)が入力される。この場合、除算器130のI出力端子及びQ出力端子の出力信号Vbb_iθ、Vbb_qθは振幅が1の正弦波/余弦波信号として数式9及び数式10で表される。
Figure 2011078120
Figure 2011078120
尚、数式9、数式10で示すVbb_iθ、Vbb_qθは数式3、数式4で示すVbb_i、Vbb_qにおいて右辺のBに1を代入したものに相当する。
除算器130の出力信号Vbb_iθ、Vbb_qθをIQモジュレータ131に入力すると、IQモジュレータ131は数式11で示される出力信号Vcombθを出力する。尚、数式11で示すVcombθは数式7で示されるVcombの右辺においてBに1を代入したものに相当する。
Figure 2011078120
数式11の右辺は、RF信号の振幅情報が消去され、位相信号のみが残っていることを示す。従って、位相検出器27は位相信号を出力することとなる。
尚、実施例2の無線送信機100で用いられるD級増幅器13は、図9に示す構成の他に、図8に示す構成を採用することができる。
実施例2によれば、振幅検出器26から出力される振幅信号を、パルス位相信号生成器23から出力されるパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調器24で変調するようにしたので、D級増幅器13のスイッチ素子(31a、31b)の開閉動作における端子間電圧及び電流の重複を小さくすることができ、以って、スイッチ素子で発生する熱損失を低減することができる。これにより、D級増幅器13において良好な雑音特性及び歪特性を実現し、かつ、高い電力効率を実現することができる。
次に、本発明の実施例3について説明する。
図12は、本発明の実施例3に係る無線送信機200の構成を示すブロック図である。図12において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。図1に示す実施例1と比較すると、実施例3ではRF信号生成回路11をRF信号生成回路111に置き換え、ドライバアンプ12をドライバアンプ120に置き換え、D級増幅器13をD級増幅器130に置き換えている。また、RF信号生成回路111とドライバアンプ120との間にデコーダ16を挿入している。RF信号生成回路111は、RF信号生成回路11においてシグマデルタ変調器24をシグマデルタ変調器241に置き換えている。
図13は、RF信号生成回路111のシグマデルタ変調器241の構成を示す回路図である。シグマデルタ変調器241は、図5に示したシグマデルタ変調器24において1ビット比較器63を3値出力型比較器64に置き換えたものである。
図14は、シグマデルタ変調器241の3値出力型比較器64の入出力関係を示すグラフである。図14に示すように、3値出力型比較器64は入力値に対する判定閾値を2つ(−1/3、1/3)有しており、出力値を3つ(−1、0、1)有する。
RF信号生成回路111の混合器25は、シグマデルタ変調器241の出力信号とパルス位相信号生成器23の出力信号を混合して、その混合信号を出力する。尚、パルス位相信号生成器23の出力信号は2値(即ち、0又は1)であるため、RF信号生成回路111の出力値の数はシグマデルタ変調器241の出力値の数と同じく、3つ(−1、0、1)である。
実施例3に係る無線送信機200において、D級増幅器130は3つのスイッチ素子31a、31b、33aより構成される。このスイッチ素子31a、31b、33aは図1に示したD級増幅器13のスイッチ素子31a、31bと同じ構成であり、各スイッチ素子は制御端子にHighが入力されるとON状態となり、Lowが入力されるとOFF状態となる。スイッチ素子31aには電圧値VDDの電源30が接続され、スイッチ素子31bにはグランドGNDが接続され、スイッチ素子33aには電圧値VDD/2の電源32が接続される。また、スイッチ素子31a、31b、33aは互いに接続されてD級増幅器130の出力端子を構成する。
3つのスイッチ素子31a、31b、33aのうち、1つのスイッチ素子にのみHighが常に入力され、残りの2つのスイッチ素子にはLowが入力される。D級増幅器130の出力端子は、Highが入力されたスイッチ素子に接続されており、その電圧源の電圧が出力される。即ち、D級増幅器130の出力電圧値は、Vdd、Vdd/2、0の3値のいずれかになる。
D級増幅器130を構成するスイッチ素子31a、31b、33aの制御信号はデコーダ16で生成される。デコーダ16は、RF信号生成回路111から出力される3つの値から図15に示す真理値表に従って、制御信号A、B、Cを生成してドライバアンプ120を介してスイッチ素子31a、33a、31bに付与する。即ち、RF信号生成回路111の出力値が1であれば、Vddに接続されたスイッチ素子31aにHighが入力され、出力値が0であればVdd/2に接続されたスイッチ素子33aにHighが入力され、出力値が−1であればグランドGNDに接続されたスイッチ素子31bにHighが入力される。
シグマデルタ変調器241の3値出力型比較器64は、1ビット比較器63に比べて取り得る出力値の数が多いため、1ビット比較器63よりも量子化雑音(即ち、入力信号と出力信号との差分)が統計的に小さくなる。従って、実施例3で発生する量子化雑音は実施例1で発生する量子化雑音より小さくなり、その結果、実施例3で生成される無線信号の信号対雑音電力比(SNR)は実施例1よりも向上する。
実施例3において、RF信号生成回路111の出力値の数及びD級増幅器130の出力電圧値の数がともに「3」としているが、これらの数を「3」以上の数Nに拡張したり、「3」以下の数に減少することも可能である。この場合、量子化雑音の発生量は低減され、以って、実施例3で生成する無線信号のSNRは更に向上する。
実施例3に係るRF信号生成回路111に含まれるシグマデルタ変調器241をN値出力型に変更する。このN値出力型のシグマデルタ変調器241では、出力値を低い方から順にa(1)、a(2)、…、a(N)とし、かつ、a(1)=0とする。シグマデルタ変調器241のN値出力型への変更は、3値出力型比較器64を閾値がN−1個、出力値がN個のN値出力型比較器に置き換えることで実現できる。また、D級増幅器130を構成するスイッチ素子の数をN個に変更し、スイッチ素子に接続される電源電圧を低い方から順にV(1)、V(2)、…、V(N)とし、かつ、V(1)=0とする。
デコーダ16は、RF信号生成回路111の出力値がa(m)(但し、mは1〜Nの整数)のとき、D級増幅器130を構成するスイッチ素子のうち、電圧値V(m)に接続されているスイッチ素子のみにHighを入力するような制御信号を生成する。この構成では、RF信号生成回路111の出力値がa(m)のとき、D級増幅器130から電力値V(m)が出力される。このようにして、RF信号生成回路111の出力値の数とD級増幅器130の電圧値の数をそれぞれN個に拡張することができる。尚、信号歪を小さくするため、RF信号生成回路111の出力値とD級増幅器130の電圧値について数式12に示すように隣り合う出力値の間隔のフルスケールに対する割合が等しくなるように設定すればよい。
Figure 2011078120
次に、本発明の実施例4について説明する。
図16は、本発明の実施例4に係る無線送信機300の構成を示すブロック図である。図16において、図12と同一の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略する。実施例3の無線送信機200に比べて、実施例4の無線送信機300ではRF信号生成回路111をRF信号生成回路112に置き換えるとともに、デコーダ16を切替機能付デコーダ17に置き換えている。また、無線送信機300には切替機能付デコーダ17の内部パラメータを変更する制御器18が設けられている。RF信号生成回路111に比べて、RF信号生成回路112ではシグマデルタ変調器241をシグマデルタ変調器242に置き換えている。
図17は、実施例4に係る無線送信機300に含まれるシグマデルタ変調器242の構成を示す回路図である。シグマデルタ変調器242は、図13に示すシグマデルタ変調器241において3値出力型比較器64を切替機能付比較器65に置き換えた構成である。切替機能付比較器65は外部制御信号によって、図5に示した1ビット比較器63と図13に示した3値出力型比較器64とのいずれかに切り替わる機能を有する。具体的には、制御信号Xが入力されると切替機能付比較器65は3値出力型比較器64に変更され、一方、制御信号Yが入力されると切替機能付比較器65は1ビット比較器63に変更される。
切替機能付デコーダ17は、図18(a)、(b)に示す2種類の真理値表A、Bを有しており、制御信号がXの場合には真理値表Aを使用し、制御信号がYの場合には真理値表Bを使用する。尚、真理値表Aは実施例3の無線送信機200のデコーダ16が有する真理値表(図15参照)と同一である。
制御器18は、シグマデルタ変調器242の切替機能付比較器65と切替機能付デコーダ17への制御信号として2種類の信号X、Yを生成する。制御器18が制御信号Xを出力すると、切替機能付比較器65は3値出力型に変更されるため、実施例4のRF信号生成回路112は実施例3のRF信号生成回路111と同一の構成となる。この場合、切替機能付デコーダ17は図18(a)に示す真理値表Aを使用することとなり、デコーダ16と同様に機能する。即ち、制御器18の制御信号がXの場合、実施例4の無線送信機300は実施例3の無線送信機200と同一の構成となる。
一方、制御器18が制御信号Yを出力する場合、切替機能付比較器65は1ビット型に変更される。また、切替機能付デコーダ17は図18(b)に示す真理値表Bを使用する。尚、制御信号Xの場合にはRF信号生成回路112の出力値とD級増幅器130の電圧値の数は「3」となり、一方、制御信号Yの場合には出力値と電圧値の数は「2」となる。即ち、制御信号Yに比べて、制御信号Xの方が量子化雑音は低くなり、D級増幅器130の出力信号のSNRは高くなる。
また、制御信号Xの場合にはシグマデルタ変調器242の切替機能付比較器65の出力値の数は「3」となり、制御信号Yの場合には出力値の数は「2」となる。シグマデルタ変調器242において、切替機能付比較器65の出力値が小さいほど、その演算処理の負荷が小さくなる。即ち、シグマデルタ変調器242の動作速度限界値について、制御信号Xの限界値SXよりも制御信号Yの限界値SYの方が高くなる。
シグマデルタ変調器242に入力されるクロック信号は、パルス位相信号生成器23のパルス位相信号であり、その速度はキャリア周波数に近い。即ち、パルス位相信号の速度がSX以下であるキャリア周波数の場合には、制御器18は制御信号Xを生成し、一方、パルス位相信号の速度がSXを超える場合には、制御器18は制御信号Yを生成する。これにより、無線信号のSNRを常に最適な値に設定することができる。
尚、キャリア周波数が動的に変化する状況においても、パルス位相信号の速度がSX以下であるか、若しくは、SXを超えるかにより、制御器18が制御信号X、若しくは、制御信号Yを出力することにより対応することが可能となる。
本発明は、携帯電話や無線LANなどの通信機器に採用される無線送信機であって、特に、D級増幅器をRF信号生成回路の出力信号で駆動するような構成に適用されるものである。また、D級増幅器のスイッチ素子で発生する熱損失を低減できるため、良好な雑音特性及び歪特性を実現し、かつ、高い電力効率を達成し、以って、通信機器の消費電力を低減することができるため、本発明は種々の通信機器に対して高い汎用性を有するものである。
10 無線送信機
11 RF信号生成回路
12、120 ドライバアンプ
13、130 D級増幅器
14 フィルタ回路
15 負荷
16 デコーダ
17 切替機能付デコーダ
18 制御器
20 デジタルベースバンド
21 IQモジュレータ
22 振幅・位相検出器
23 パルス位相信号生成器
24、241、242 シグマデルタ変調器
25 混合器
26 振幅検出器
27 位相検出器
31a、31b、33a スイッチ素子
63 1ビット比較器
64 3値出力型比較器
65 切替機能付比較器
100、200、300 無線送信機
110、111、112 RF信号生成回路

Claims (14)

  1. デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成回路であって、
    デジタル信号を直交変調する直交変調器と、
    前記直交変調器の出力信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、
    前記直交変調器の出力信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調するシグマデルタ変調器と、
    前記シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器を具備することを特徴とするRF信号生成回路。
  2. 前記位相検出器は、前記直交変調器の出力信号を2乗する2乗器と、
    前記2乗器の出力信号から交流成分を除去して直流成分を検出するフィルタ回路を具備する請求項1記載のRF信号生成回路。
  3. 前記位相検出器は、前記直交変調器の出力信号と所定の閾値とを比較し、その比較結果を2値に変換する比較器よりなり、
    前記混合器は、前記シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号との論理積をとるAND素子より構成される請求項1又は2記載のRF信号生成回路。
  4. デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成回路であって、
    デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、
    デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調するシグマデルタ変調器と、
    前記シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器を具備することを特徴とするRF信号生成回路。
  5. 前記振幅検出器は、デジタル信号の同相信号の2乗値を算出する第1の2乗器と、
    デジタル信号の直交信号の2乗値を算出する第2の2乗器と、
    前記第1の2乗器により算出された2乗値と前記第2の2乗器により算出された2乗値との和を計算する加算器と、
    前記加算器の加算結果の平方根を計算する2乗根算出器を具備する請求項4記載のRF信号生成回路。
  6. 前記位相検出器は、デジタル信号の同相信号及び直交信号を前記振幅検出器の振幅信号で除算する除算器と、
    前記除算器の出力信号を直交変調する直交変調器を具備し、
    前記パルス位相信号生成器は、前記直交変調器の出力信号と所定の閾値とを比較し、その比較結果を2値に変換する比較器よりなる請求項4又は5記載のRF信号生成回路。
  7. 前記シグマデルタ変調器は多値出力型である請求項1又は4記載のRF信号生成回路。
  8. デジタル信号を無線送信する無線送信機であって、
    デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、
    デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調するシグマデルタ変調器と、
    前記シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器と、
    RFパルス信号の正極性レベルを予め設定した基準電圧値に変換し、RFパルス信号の負極性レベルを接地電位に変換する増幅器を具備することを特徴とする無線送信機。
  9. デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成方法であって、
    デジタル信号を直交変換し、
    直交変調されたデジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力し、
    直交変調されたデジタル信号の位相を検出して位相信号を出力し、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成し、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調し、
    シグマデルタ変調された振幅信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成することを特徴とするRF信号生成方法。
  10. デジタル信号の無線送信に適用されるRF信号生成方法であって、
    デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力し、
    デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力し、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成し、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調し、
    シグマデルタ変調された振幅信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成することを特徴とするRF信号生成方法。
  11. デジタル信号の無線送信に適用される信号処理方法であって、
    デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力し、
    デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力し、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成し、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調し、
    シグマデルタ変調された振幅信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成し、
    RFパルス信号の正極性レベルを予め設定した基準電圧値に変換し、
    RFパルス信号の負極性レベルを接地電位に変換することを特徴とする信号処理方法。
  12. デジタル信号を無線送信する無線送信機であって、
    デジタル信号の振幅を検出して振幅信号を出力する振幅検出器と、
    デジタル信号の位相を検出して位相信号を出力する位相検出器と、
    位相信号に基づいてパルス波形のパルス位相信号を生成するパルス位相信号生成器と、
    振幅信号をパルス位相信号に同期してシグマデルタ変調する多値出力型のシグマデルタ変調器と、
    前記シグマデルタ変調器の出力信号とパルス位相信号とを混合してRFパルス信号を生成する混合器と、
    RFパルス信号を前記シグマデルタ変調器の出力値に応じて予め設定した基準電圧値に変換する増幅器を具備することを特徴とする無線送信機。
  13. 前記シグマデルタ変調器の出力値の数を外部制御信号に応じて変更するようにした請求項12記載の無線送信機。
  14. 外部制御信号を無線信号のキャリア周波数に応じて決定するようにした請求項13記載の無線送信機。
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