JPWO2011074196A1 - 電池パック、放電システム、充放電システム及びリチウムイオン二次電池の放電制御方法 - Google Patents
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Abstract
電池パックは、少なくとも1つのリチウムイオン二次電池と、電圧センサと、制御部とを含む。制御部は、電池が放電する際に、電池の使用頻度が比較的小さいときには比較的高い放電終止電圧により電池の放電を制御する。一方、電池の使用頻度が比較的大きくなると、比較的低い放電終止電圧により電池の放電を制御する。これにより、使用頻度の増大により実際に容量が低下する分以上に、利用可能な容量が低下してしまうのを防止することができる。
Description
本発明は、電池パックに関し、更に詳しくは、リチウムイオン二次電池を含む電池パックの充放電の制御に関する。
リチウムイオン二次電池の充放電は、予め定められた電圧範囲内で行われるのが通常である。具体的には、予め定められた充電終止電圧に達するまで電池を充電し、予め定められた放電終止電圧に達するまで電池を放電する。充電と放電は、リチウムイオン二次電池を含む電池パックまたは充放電システムにおける充電制御部及び放電制御部が担っている。
特許文献1は、リチウム含有マンガン複合酸化物を正極に含むリチウムイオン二次電池を、端子電圧が1.5Vから4.1Vの範囲内で変化するように、充放電することを提案している。これにより、正極の劣化を抑制することができる。正極の劣化は、容量の劣化の原因となるとともに、電池の安全性を低下させる原因ともなる。
しかし、リチウムイオン二次電池の安全性を維持し、容量の劣化を抑制するためには、充放電を行う電圧範囲を一定とするだけでは不十分である。
リチウムイオン二次電池においては、充放電を行ったサイクル数の増大に伴って、電池の分極が増大するために、同一の放電状態(放電深度)で測定したときの閉回路電圧が低くなる傾向がある。その結果、リチウムイオン二次電池を含む電池パックにおいて、充放電を行う電圧範囲を一定とするように制御をすると、充放電サイクル数の増大に伴い、見かけ上の容量が、実際の容量の低下分以上に低下してしまう可能性がある。
特許文献1を例に説明すると、特許文献1では、端子電圧(閉回路電圧)が1.5Vまで低下すると放電を停止するとともに充電を開始し、端子電圧が4.1Vまで上昇すると充電を停止するとともに放電を開始するような制御を行っている。ここで、上述したような、充放電サイクル数の増大に伴う閉回路電圧の低下が起こると、放電余力が十分に残っている段階で放電が停止されることとなり、リチウムイオン二次電池の見かけ上の容量は低下する。
一方、充放電サイクル数の増大により端子電圧が低下することを見越して予め放電終止電圧を低めに設定すると、充放電サイクル数が少ない段階では、放電容量が過度に大きくなることがある。この場合、正極活物質の結晶構造の劣化が大きくなることがあり、サイクル特性の低下を引き起こすおそれがある。
そこで、本発明は、充放電サイクル数の増大に伴う実際の容量の低下分以上に容量が低下してしまうのを防止することができるとともに、サイクル特性の低下を抑制することができる、電池パック、放電システム、充放電システム及びリチウムイオン二次電池の放電制御方法を提供することを目的としている。
本発明は、リチウムイオン二次電池と、
前記リチウムイオン二次電池の端子電圧を測定する電圧測定装置と、
前記測定された端子電圧に基づいて前記リチウムイオン二次電池の放電を制御する放電制御装置と、
前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する使用頻度検知装置と、を含み、
前記放電制御装置が、前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する、電池パックに関する。
前記リチウムイオン二次電池の端子電圧を測定する電圧測定装置と、
前記測定された端子電圧に基づいて前記リチウムイオン二次電池の放電を制御する放電制御装置と、
前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する使用頻度検知装置と、を含み、
前記放電制御装置が、前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する、電池パックに関する。
また、本発明は、リチウムイオン二次電池の放電を制御する制御方法であって、
(a)前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する工程、並びに
(b)前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する工程、を含む制御方法に関する。
(a)前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する工程、並びに
(b)前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する工程、を含む制御方法に関する。
本発明によれば、検知された、リチウムイオン二次電池の使用頻度(劣化程度)に基づいて、リチウムイオン二次電池の放電終止電圧が設定される。その結果、例えば、リチウムイオン二次電池の使用初期には放電終止電圧を所定値Xに設定し、使用頻度が所定値以上になると、放電終止電圧を所定値Xよりも低電圧の所定値Yに設定する、といった調整が可能となる。よって、リチウムイオン二次電池の使用初期には放電容量が過大とならないように放電終止電圧を比較的高めに設定することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下するのを防止することができる。一方、充放電サイクル数の増大により端子電圧が低下したときには、放電終止電圧を比較的低めに設定することにより、リチウムイオン二次電池の利用可能な容量が、実際の容量の低下分以上に低下してしまうのを防止することが可能となる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、本発明の他の目的及び特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池パック、及び電池パックを含む充放電システムの概略構成を回路図により示す。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池パック、及び電池パックを含む充放電システムの概略構成を回路図により示す。
電池パック10は、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池という)11と、電池11の端子電圧を検出する電圧測定部12と、電池11の充放電を制御する制御部14と、切替回路17と、を含んでいる。制御部14は、記憶部13、放電回路15、及び充電回路16を含む。なお、制御部14は、放電制御装置及び充電制御装置を兼ねているが、充電制御装置は、電池パック10とは別の構成要素としてもよい。そして、充電回路16は、電池パック10とは別の構成要素である充電制御装置に備えられていてもよい。電圧測定部12は電圧測定装置に、制御部14は使用頻度検知装置及び放電制御装置に相当する。
また、電池パック10は、電池パック10から供給される電力を消費する負荷機器19とともに充放電システム20を構成している。充電回路16は、電源装置18と接続可能である。電源装置18は、いわゆるACアダプタ等からなり、商用電源等の外部電源と接続可能に構成される。負荷機器19は、携帯電話、パソコン、携帯型ゲーム機器及び移動機器(電気自動車等)等とすることができる。
なお、実際には、電源装置18から負荷機器19に電力を供給しつつ電池11を充電する動作も行われるが、ここでは、説明を簡略化するために、負荷機器19が電池11のみから電力の供給を受けるように構成した配線を示している。
電池11は、電圧測定部12と並列に接続されている。放電回路15及び充電回路16は、それぞれ、一対の端子を有している。
電池11の正極端子は、切替回路17と接続され、電池11の負極端子は、放電回路15の一方端子、及び電源装置18の負極端子と接続されている。放電回路15の他方端子は、負荷機器19の負極側端子と接続されている。電源装置18の正極端子は、充電回路16の一方端子と接続されている。充電回路16の他方端子は、切替回路17と接続されている。負荷機器19の正極側端子は、切替回路17と接続されている。
切替回路17は、電池11の正極端子と、負荷機器19の正極側端子との間の接続を制御する放電スイッチと、電池11の正極端子と充電回路16の他方端子との接続を制御する充電スイッチとを具備する。
放電スイッチがONされると、充電スイッチはOFFされ、電池11の正極端子と負荷機器19の正極側端子とが接続される。放電スイッチがOFFされると、その接続が切断される。
一方、充電スイッチがONされると、放電スイッチはOFFされ、電池11の正極端子と充電回路16の他方端子とが接続される。充電スイッチがOFFされると、その接続が切断される。
また、放電スイッチ及び充電スイッチの両方がOFFされると、電池11は、電圧測定部12とのみ並列接続される。
一方、充電スイッチがONされると、放電スイッチはOFFされ、電池11の正極端子と充電回路16の他方端子とが接続される。充電スイッチがOFFされると、その接続が切断される。
また、放電スイッチ及び充電スイッチの両方がOFFされると、電池11は、電圧測定部12とのみ並列接続される。
以上の構成により、切替回路17の放電スイッチがONされると、電池11が負荷機器19と接続されて、負荷機器19に電池11から電力が供給される。
一方、切替回路17の充電スイッチがONされると、電池11と電源装置18とが並列に接続されて、電池11が充電される。
一方、切替回路17の充電スイッチがONされると、電池11と電源装置18とが並列に接続されて、電池11が充電される。
制御部14は、IC、CPU、及びマイクロコンピュータなどの演算装置を含む。制御部14には、電圧測定部12により測定された電池11の端子電圧についての情報が入力される。
また、制御部14の記憶部13は、RAM、ROM(フラッシュメモリを含む)等からなり、電池11の充電終止電圧、並びに電池11の使用頻度と放電終止電圧との関係についての情報(放電終止電圧関係情報という)を記憶している。図1のシステムの放電終止電圧関係情報においては、電池11の使用頻度が比較的小さいときには、放電終止電圧は比較的高い電圧に設定され、電池11の使用頻度が比較的大きいときには、放電終止電圧は比較的低い電圧に設定されている。
記憶部13に記憶された充電終止電圧と、放電終止電圧関係情報とは、電池11の充放電を行うときに、演算装置により、記憶部13から読み出される。演算装置は、充電モード(充電スイッチがONの状態)においては、読み出された充電終止電圧を参照し、電圧測定部12により測定される電池11の端子電圧が充電終止電圧に達するまで定電流充電を行い、その後、定電圧充電を行う。定電圧充電において、電流値が所定のカットオフ電流まで低下すると、電池11の充電を停止し、充放電システム1を放電モード(放電スイッチがONの状態)に切り替える。
一方、演算装置は、放電モードにおいては、読み出された放電終止電圧関係情報を参照し、電圧測定部12により測定される電池11の端子電圧が、放電終止電圧関係情報により電池11の使用頻度に応じて設定される放電終止電圧に達するまで放電を行う。電池11の端子電圧が放電終止電圧に達すると、電池11の放電を停止し、充放電システム1を充電モード(充電スイッチがONの状態)に切り替える。
図1のシステムにおいて、放電終止電圧を電池11の使用頻度に応じて設定するのは、以下の理由による。
図2に、一般的なリチウムイオン二次電池における放電容量比(規定の放電容量に対する百分比)と、端子電圧との関係を示す。
図2に、一般的なリチウムイオン二次電池における放電容量比(規定の放電容量に対する百分比)と、端子電圧との関係を示す。
図中、曲線CL1は、200サイクルの充放電のサイクル試験の初期に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート0.2Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。同様に、曲線CL2は、200サイクルの充放電のサイクル試験の初期に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート1.0Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。
曲線CL3は、200サイクルの充放電のサイクル試験後に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート0.2Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。曲線CL4は、200サイクルの充放電のサイクル試験後に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート1.0Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。
図2に示すように、リチウムイオン二次電池の端子電圧は、所定の放電容量比に達すると急激に低下する。また、放電レートが低いほどに、放電容量比が同一でも端子電圧は高くなる。
また、図2の例においては、曲線CL1により示すように、放電レートが0.2Cのときにも放電容量比が100%を超えないように放電終止電圧(DVC1)は、約2.8Vに設定されている。
また、図2の例においては、曲線CL1により示すように、放電レートが0.2Cのときにも放電容量比が100%を超えないように放電終止電圧(DVC1)は、約2.8Vに設定されている。
そして、サイクル試験後の曲線CL3及びCL4においては、放電容量比が同一であっても、端子電圧は、曲線CL1及びCL2に比べて大きく低下している。これは、充放電のサイクル数が大きくなると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が増大するからである。このため、放電終止電圧として初期値のDVC1をそのまま使用すると、放電可能な電気量がまだ残っている時点で放電が停止されてしまう。その結果、利用可能な容量が実際の容量の低下分以上に小さくなってしまう。
そこで、図1のシステムにおいては、電池11の使用頻度がある程度以上に大きくなると、放電終止電圧を初期値のDVC1よりも低い電圧DVC2(図示例では、約2.6V)に再設定する。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電のサイクル数が増大して、内部抵抗が増大しても、利用可能な容量が実際の容量の低下分以上に小さくなってしまうのを防止することができる。これにより、リチウムイオン二次電池の容量を有効利用することが可能となる。
ここで、放電終止電圧の初期設定値DVC1と、リチウムイオン二次電池の使用頻度が所定値以上となったときの放電終止電圧(以下、後期設定値という)DVC2との差Zは、0.005〜1.0Vの範囲とするのが好ましい。差Zが0.005Vよりも小さいと容量を有効利用する効果がほとんど発揮されないからである。一方、差Zが1.0Vを超えると、活物質の構造変化及び副反応が助長されて、電池寿命が短くなり、却って容量の低下を招来するからである。初期設定値DVC1と後期設定値DVC2との差Zのより好ましい範囲は、0.05〜0.5Vである。
上述したとおり、電池11の使用頻度が大きくなると電池11の内部抵抗が増大する。よって、電池11の使用頻度は、例えば、電池11の満充電状態(開回路電圧が規定の最高端子電圧である状態)における開回路電圧OCVと閉回路電圧CCVとの電圧差ΔV1から分極電圧を検知し、検知された分極電圧に基づいて検知することができる。
この場合には、電圧差ΔV1が所定値Aに達すると、放電終止電圧をDVC1からDVC2に切り替えるように制御を行う。このとき、所定値Aは、0.005〜1.0Vの範囲とするのが好ましい。所定値Aのより好ましい範囲は、0.01〜0.8Vである。
図1のシステムの記憶部13においては、図3に示すように、放電終止電圧関係情報は、開回路電圧OCVの各範囲及び電圧差ΔV1の各範囲の組み合わせに対応する放電終止電圧を示すテーブル状のデータとして記憶されている。図3の例においては、例えば、OCVが3.2V以上3.3V未満の範囲であり、かつ ΔV1が、0.35V以上0.4V未満の範囲であれば、放電終止電圧は、2.8V(図中、破線の楕円により囲った数値)に設定される。
このように、電圧差ΔV1の範囲と、開回路電圧OCVの範囲との組み合わせに対応して放電終止電圧を設定することによって、電池11が満充電状態以外のときにおいても、より適切な放電終止電圧に随時設定を変更することが可能となる。
この構成に代えて、電池11が満充電状態になる度に、そのときの電圧差ΔV1により放電終止電圧を設定するようにしてもよい。この場合には、電池11が満充電状態となって一旦放電終止電圧が設定されてから、次に電池11が満充電状態となって新たな放電終止電圧が設定されるまでの間は、先の放電終止電圧が使用される。
この構成に代えて、電池11が満充電状態になる度に、そのときの電圧差ΔV1により放電終止電圧を設定するようにしてもよい。この場合には、電池11が満充電状態となって一旦放電終止電圧が設定されてから、次に電池11が満充電状態となって新たな放電終止電圧が設定されるまでの間は、先の放電終止電圧が使用される。
なお、以上のような放電終止電圧の切り替えは、1回だけではなく、2回以上行うことも可能である。この場合には、2個以上の所定値A1、A2、・・・と、2個以上の切り替え用の放電終止電圧とを準備すればよい。
次に、図1のシステムの動作を、フローチャートを参照しながら説明する。
図4は、放電モードにおいて、制御部14が行う放電制御のフローチャートである。
図4は、放電モードにおいて、制御部14が行う放電制御のフローチャートである。
ユーザにより負荷機器19の電源スイッチがONされて、負荷機器19が起動される(S0)。すると、切替回路17の充電スイッチ及び放電スイッチをともにOFFにし、その状態で、電圧測定部12が電池11の端子電圧を測定する(S1)。これにより、電池11の開回路電圧(OCV)が検出される。
次いで、切替回路17の放電スイッチがONされ、負荷機器19への電力の供給が開始される。そして、放電スイッチがONされてから所定時間(例えば、10秒)が経過したときの電池11の端子電圧を電圧測定部12により測定する(S2)。これにより、電池11の閉回路電圧(CCV)が検出される。なお、上記所定時間は、実際の負荷機器19の消費電力に応じて適宜に設定される。例えば、0.1秒〜15分の範囲で設定される。
次いで、OCVと、CCVとの電圧差ΔV1が算出される(S3)。測定されたCCV、及び算出されたΔV1を、記憶部13に記憶された放電終止電圧関係情報と照合して、対応する放電終止電圧(DCV)を得る(S4)。得られたDCVと、測定されたCCVとを比較する(S5)。その結果、CCV>DCVであれば、電池11が放電終止電圧まで放電されていないものと判断し、CCVがDCVと等しくなるまで放電を継続する(S6)。
次いで、負荷機器19の電源スイッチがOFFされたか否かを判断し(S7)、OFFされた場合には、処理を終了する。負荷機器19の電源スイッチがOFFされていない場合には、ステップS5に戻る。
一方、ステップS5における比較の結果が、CCV≦DCVであれば、電池11が放電終止電圧まで放電されていると判断し、充電スイッチをONにする(S8)。これにより、放電スイッチはOFFされ、電池11の放電が停止される。このとき、電源装置18が外部電源と接続されていれば、電池11の充電が開始される。
以上のようにして、電池11の放電終止電圧を、電池11の使用頻度に応じて設定し、設定された放電終止電圧により電池11の放電制御を行うことが可能となる。
なお、図2に示したとおり、リチウムイオン二次電池の放電カーブは、放電電流(負荷)によっても変動する。そこで、放電レートによって、ステップS4で得られた放電終止電圧DVCを補正することが望ましい。または、放電終止電圧関係情報として、放電レート毎に、ΔV1及びOCVの各範囲に対応する放電終止電圧を、記憶部13に記憶させても良い。具体的には、放電電流値が低いほど、つまり放電レートが低いほど、放電終止電圧が高くなるように補正することが望ましい。
本実施形態のさらに好ましい態様では、正極は、正極活物質として、リチウム含有複合酸化物を含む。リチウム含有複合酸化物は、六方晶の層状構造や、スピネル型結晶構造を有することが好ましい。このようなリチウム含有複合酸化物は、容量が大きく、金属リチウムに対して高い電位を有する。よって、高容量のリチウムイオン電池を実現できる。なかでも、リチウム含有ニッケル複合酸化物が正極活物質として好適である。ニッケルを主成分として含む正極活物質は、特に高い容量を有するからである。
リチウム含有ニッケル複合酸化物において、NiのLiに対するモル比は、10モル%以上が好ましく、50〜100モル%がさらに好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物は、さらに、マンガン、コバルト及びアルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物がマンガンを含む場合、MnのLiに対するモル比が10〜40モル%であることが好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物がコバルトを含む場合、CoのLiに対するモル比は5〜40モル%であることが好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物がアルミニウムを含む場合、AlのLiに対するモル比は0.5〜30モル%であることが好ましい。なかでも、コバルトとアルミニウムを含むリチウム含有ニッケル複合酸化物は、温度による放電容量の変化が生じ、過放電状態になると、結晶構造の劣化が起こりやすいため、本発明の効果が大きい。
本発明の好ましい態様では、負極は、炭素材料または合金系活物質を含む。また、負極は、電池の組み立て前に、予め不可逆容量に相当するリチウムが吸蔵されたものであることが望ましい。この場合、負極の不可逆容量よりも、正極の不可逆容量が大きくなることから、上述したように、過放電を防止して正極の劣化を抑制する必要性が大きくなる。
炭素材料としては、黒鉛、易黒鉛化炭素材料、難黒鉛化性炭素材料などを用いることができる。
合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムイオンを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質としては、ケイ素系活物質、スズ系活物質などが好ましい。ケイ素系活物質には、ケイ素、ケイ素化合物、これらの部分置換体、これらの固溶体などがある。ケイ素化合物には、式SiOa(0.05<a<1.95)で表されるケイ素酸化物、式SiCb(0<b<1)で表されるケイ素炭化物、式SiNc(0<c<4/3)で表されるケイ素窒化物、ケイ素合金などがある。ケイ素合金は、ケイ素と異種元素Aとの合金である。異種元素Aには、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Tiなどがある。
合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムイオンを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質としては、ケイ素系活物質、スズ系活物質などが好ましい。ケイ素系活物質には、ケイ素、ケイ素化合物、これらの部分置換体、これらの固溶体などがある。ケイ素化合物には、式SiOa(0.05<a<1.95)で表されるケイ素酸化物、式SiCb(0<b<1)で表されるケイ素炭化物、式SiNc(0<c<4/3)で表されるケイ素窒化物、ケイ素合金などがある。ケイ素合金は、ケイ素と異種元素Aとの合金である。異種元素Aには、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Tiなどがある。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、外形的な構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態2が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧(OCV)と、閉回路電圧(CCV)との電圧差ΔV1により検知するのではなく、内部抵抗により検知する点である。
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、外形的な構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態2が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧(OCV)と、閉回路電圧(CCV)との電圧差ΔV1により検知するのではなく、内部抵抗により検知する点である。
電池11の内部抵抗を検知する方法としては、電池11から所定のパルス電流を発生させ、そのときの電流値Ipulと、電圧測定部12により測定される電池11の端子電圧(OCV)の変化量ΔV2とに基づいて内部抵抗を検知する方法がある。電流×抵抗=電圧、という関係から、変化量ΔV2と電流値Ipulとの比Rを所定値Bと比較し、比Rが所定値Bよりも小さければ、電池11の使用頻度が比較的に小さいものとして、比較的高い放電終止電圧(DVC1)を設定する。比Rが所定値B以上であれば、電池11の使用頻度が比較的に大きいものとして、比較的低い放電終止電圧(DVC2)を設定する。
このとき、所定値Bは、0.01mΩ〜0.5Ωの範囲とするのが好ましい。所定値Bのより好ましい範囲は、1mΩ〜200mΩである。
この場合には、記憶部13には、比Rの少なくとも2つの範囲と、それぞれの範囲に対応する放電終止電圧とを組み合わせた情報が、放電終止電圧関係情報として記憶される。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、電圧測定部12の測定結果に基づいて、電流値Ipulのパルス電流を印加したときの電池11の端子電圧(OCV)の変化量ΔV2が算出される。電流値Ipulと変化量ΔV2とから比Rが算出され、算出された比Rを放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、電圧測定部12の測定結果に基づいて、電流値Ipulのパルス電流を印加したときの電池11の端子電圧(OCV)の変化量ΔV2が算出される。電流値Ipulと変化量ΔV2とから比Rが算出され、算出された比Rを放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
以上のように、電池11の使用頻度は、電池11の内部抵抗を検知することによっても検知することが可能であり、その場合にも実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、この場合にも、放電終止電圧の切り替えは、1回だけではなく、2回以上行うことが可能である。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、外形的構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態3が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧の初期値からの変化により検知する点である。
次に、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、外形的構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態3が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧の初期値からの変化により検知する点である。
電池11の使用頻度を開回路電圧の初期値からの変化により検知する方法としては、電池11の開回路電圧を同一の充電状態(充電深度)で比較する方法がある。例えば、電池11が満充電状態であるときに、電池11の開回路電圧(OCVPV)を測定し、その測定値OCVPVを、同一の条件で電池11の使用初期に測定した開回路電圧(OCVSV、以下、初期開回路電圧という)と比較する。
すなわち、OCVPVとOCVSVとの差ΔV3を算出し、差ΔV3が所定値Cよりも小さければ、電池11の使用頻度が比較的に小さいものとして、比較的高い放電終止電圧(DVC1)を設定する。差ΔV3が所定値C以上であれば、電池11の使用頻度が比較的に大きいものとして、比較的低い放電終止電圧(DVC2)を設定する。ここで、所定値Cは、0.005〜0.5V、好ましくは0.01〜0.3Vとすることができる。
この場合には、記憶部13には、差ΔV3の少なくとも2つの範囲と、それぞれの範囲に対応する放電終止電圧とを組み合わせた情報、並びに初期開回路電圧OCVSVが、放電終止電圧関係情報として記憶される。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、OCVSVと、OCVPVとから差ΔV3が算出され、算出された差ΔV3を放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、OCVSVと、OCVPVとから差ΔV3が算出され、算出された差ΔV3を放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
以上のように、電池11の使用頻度は、電池11の満充電状態における開回路電圧を検知することによっても検知することが可能であり、その場合にも実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、この場合にも、放電終止電圧の切り替えは、1回だけではなく、2回以上行うことが可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(1)正極の作製
正極活物質には、コバルトとアルミニウムを含むリチウム含有ニッケル複合酸化物であるLiNi0.85Co0.15Al0.05O2を用いた。
正極活物質85重量部と、導電剤である炭素粉末10重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合して、正極合剤ペーストを得た。PVDF量は5重量部とした。得られた正極合剤ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体20)の片面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚み70μmの正極を作製した。
得られた正極を20mm角の活物質塗布部を有し、端部に5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断した。
[実施例1]
(1)正極の作製
正極活物質には、コバルトとアルミニウムを含むリチウム含有ニッケル複合酸化物であるLiNi0.85Co0.15Al0.05O2を用いた。
正極活物質85重量部と、導電剤である炭素粉末10重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合して、正極合剤ペーストを得た。PVDF量は5重量部とした。得られた正極合剤ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体20)の片面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚み70μmの正極を作製した。
得られた正極を20mm角の活物質塗布部を有し、端部に5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断した。
(2)負極の作製
負極集電体として、両面に最大高さが約8μmの多数の凸部が所定の間隔で形成された合金銅箔を用いた。負極集電体の片面に、ケイ素酸化物SiO0.2を蒸着することにより
、負極活物質層を形成した。蒸着装置には、アルバック(株)製のものを使用し、これにより、多数の凸部の上にそれぞれ50層の粒層を有する柱状体を形成するようにして、活物質層を形成した。
負極集電体として、両面に最大高さが約8μmの多数の凸部が所定の間隔で形成された合金銅箔を用いた。負極集電体の片面に、ケイ素酸化物SiO0.2を蒸着することにより
、負極活物質層を形成した。蒸着装置には、アルバック(株)製のものを使用し、これにより、多数の凸部の上にそれぞれ50層の粒層を有する柱状体を形成するようにして、活物質層を形成した。
蒸着条件は次のとおりである。
負極活物質原料(蒸発源35):ケイ素、純度99.9999%、高純度化学研究所(株)製
ノズル34から放出される酸素:純度99.7%、日本酸素(株)製
ノズル34からの酸素放出流量:80sccm
角度α:60°
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
蒸着時間:3分
負極活物質原料(蒸発源35):ケイ素、純度99.9999%、高純度化学研究所(株)製
ノズル34から放出される酸素:純度99.7%、日本酸素(株)製
ノズル34からの酸素放出流量:80sccm
角度α:60°
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
蒸着時間:3分
負極の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、10個の凸部の上にそれぞれ形成された10個の柱状体について、凸部の頂点から柱状体の頂点までの長さそれぞれを求めた。得られた10個の測定値の平均値(16μm)を、負極活物質層の厚さとした。柱状体に含まれる酸素量を燃焼法により定量したところ、柱状体を構成する化合物の組成はSiO0.2であった。
次に、負極活物質層の表面にリチウム金属を蒸着した。リチウム金属を蒸着することにより、負極活物質層に初回充放電時に蓄えられる不可逆容量に相当するリチウムを補填した。リチウム金属の蒸着は、アルゴン雰囲気下にて、抵抗加熱蒸着装置((株)アルバック製)を用いて行った。抵抗加熱蒸着装置内のタンタル製ボートにリチウム金属を装填した。負極活物質層がタンタル製ボートを臨むように負極を固定した。アルゴン雰囲気内にて、タンタル製ボートに50Aの電流を通電して10分間蒸着を行った。
得られた負極を活物質形成部が21mm角で5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断し、負極とした。
得られた負極を活物質形成部が21mm角で5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断し、負極とした。
(3)非水電解液の調製
エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジエチルカーボネートとの体積比2:3:5の混合溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解し、非水電解液とした。非水電解液100重量部に対し、5重量部のビニレンカーボネートを添加した。
エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジエチルカーボネートとの体積比2:3:5の混合溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解し、非水電解液とした。非水電解液100重量部に対し、5重量部のビニレンカーボネートを添加した。
(4)電池の組み立て
まず、正極の正極活物質層と、負極の負極活物質層との間に、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(厚さ20μm、旭化成(株)製)を介在させて、積層型電極群を作製した。次に、アルミニウム製の正極リードの一端を正極集電体に溶接し、ニッケル製の負極リードの一端を負極集電体に溶接した。電極群を、非水電解液とともにアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。次に、正極リード及び負極リードを外装ケースの開口部から外部に導出し、内部を真空減圧しながら外装ケースの開口を樹脂で溶着した。
まず、正極の正極活物質層と、負極の負極活物質層との間に、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(厚さ20μm、旭化成(株)製)を介在させて、積層型電極群を作製した。次に、アルミニウム製の正極リードの一端を正極集電体に溶接し、ニッケル製の負極リードの一端を負極集電体に溶接した。電極群を、非水電解液とともにアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。次に、正極リード及び負極リードを外装ケースの開口部から外部に導出し、内部を真空減圧しながら外装ケースの開口を樹脂で溶着した。
(5)評価
(a)得られた電池を、25℃の環境下で後述の充電条件1で充電した後、放電条件1で放電し、そのときの放電容量を求めた。求められた値を初期容量とする。
(b)45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件2で放電することを繰り返す充放電試験を行った。充放電データから満充電状態における開回路電圧(OCV)と電流印加60秒後の閉回路電圧(CCV)との差を、算出してΔV1を算出した。
(c)算出したΔV1が、0.3Vに達すると(約200サイクル目の充電処理が終了したときであった)、以後は、放電条件を放電条件3に切り替えて更に100サイクルの充放電処理を行った。そして、(a)で求めた初期容量に対する、サイクル試験後の容量維持率を算出した結果、86%であった。
(a)得られた電池を、25℃の環境下で後述の充電条件1で充電した後、放電条件1で放電し、そのときの放電容量を求めた。求められた値を初期容量とする。
(b)45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件2で放電することを繰り返す充放電試験を行った。充放電データから満充電状態における開回路電圧(OCV)と電流印加60秒後の閉回路電圧(CCV)との差を、算出してΔV1を算出した。
(c)算出したΔV1が、0.3Vに達すると(約200サイクル目の充電処理が終了したときであった)、以後は、放電条件を放電条件3に切り替えて更に100サイクルの充放電処理を行った。そして、(a)で求めた初期容量に対する、サイクル試験後の容量維持率を算出した結果、86%であった。
充電条件1:定電流−定電圧充電(定電流充電(充電レート:0.3C、充電終止電圧:4.2V)、定電圧充電(カットオフ:0.05C)、温度:25℃)。
放電条件1:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.50V、温度:25℃)。
放電条件2:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.75V、温度:45℃)。
放電条件3:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.65V、温度:45℃)。
放電条件4:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.5V、温度:45℃)。
放電条件1:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.50V、温度:25℃)。
放電条件2:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.75V、温度:45℃)。
放電条件3:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.65V、温度:45℃)。
放電条件4:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.5V、温度:45℃)。
[比較例1]
実施例1と同様に、電池の初期容量を、上記手順(a)により求めた。また、45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件4で放電することを繰り返す充放電試験を300回繰り返した。実施例1と同様に、300サイクル後の容量維持率を算出すると、75%であった。
実施例1と同様に、電池の初期容量を、上記手順(a)により求めた。また、45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件4で放電することを繰り返す充放電試験を300回繰り返した。実施例1と同様に、300サイクル後の容量維持率を算出すると、75%であった。
以上の結果から明らかなように、実施例1は、比較例1に対して、容量維持率が著しく向上している。したがって、本発明によれば、充放電サイクル数の増大に伴ってリチウムイオン二次電池の容量が低下したときに、実際の容量の低下分以上に利用可能な容量が低下してしまうのを防止することが可能である。
本発明は、リチウムイオン二次電池の放電特性に適合するように、合理的に放電終止電圧が設定されるので、益々の高容量化が求められるリチウムイオン二次電池に適用するのに好適である。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形及び改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、すべての変形及び改変を包含する、と解釈されるべきものである。
10 電池パック
11 リチウムイオン二次電池
12 電圧測定部
14 制御部
19 負荷機器
20 充放電システム
11 リチウムイオン二次電池
12 電圧測定部
14 制御部
19 負荷機器
20 充放電システム
本発明は、電池パックに関し、更に詳しくは、リチウムイオン二次電池を含む電池パックの充放電の制御に関する。
リチウムイオン二次電池の充放電は、予め定められた電圧範囲内で行われるのが通常である。具体的には、予め定められた充電終止電圧に達するまで電池を充電し、予め定められた放電終止電圧に達するまで電池を放電する。充電と放電は、リチウムイオン二次電池を含む電池パックまたは充放電システムにおける充電制御部及び放電制御部が担っている。
特許文献1は、リチウム含有マンガン複合酸化物を正極に含むリチウムイオン二次電池を、端子電圧が1.5Vから4.1Vの範囲内で変化するように、充放電することを提案している。これにより、正極の劣化を抑制することができる。正極の劣化は、容量の劣化の原因となるとともに、電池の安全性を低下させる原因ともなる。
しかし、リチウムイオン二次電池の安全性を維持し、容量の劣化を抑制するためには、充放電を行う電圧範囲を一定とするだけでは不十分である。
リチウムイオン二次電池においては、充放電を行ったサイクル数の増大に伴って、電池の分極が増大するために、同一の放電状態(放電深度)で測定したときの閉回路電圧が低くなる傾向がある。その結果、リチウムイオン二次電池を含む電池パックにおいて、充放電を行う電圧範囲を一定とするように制御をすると、充放電サイクル数の増大に伴い、見かけ上の容量が、実際の容量の低下分以上に低下してしまう可能性がある。
特許文献1を例に説明すると、特許文献1では、端子電圧(閉回路電圧)が1.5Vまで低下すると放電を停止するとともに充電を開始し、端子電圧が4.1Vまで上昇すると充電を停止するとともに放電を開始するような制御を行っている。ここで、上述したような、充放電サイクル数の増大に伴う閉回路電圧の低下が起こると、放電余力が十分に残っている段階で放電が停止されることとなり、リチウムイオン二次電池の見かけ上の容量は低下する。
一方、充放電サイクル数の増大により端子電圧が低下することを見越して予め放電終止電圧を低めに設定すると、充放電サイクル数が少ない段階では、放電容量が過度に大きくなることがある。この場合、正極活物質の結晶構造の劣化が大きくなることがあり、サイクル特性の低下を引き起こすおそれがある。
そこで、本発明は、充放電サイクル数の増大に伴う実際の容量の低下分以上に容量が低下してしまうのを防止することができるとともに、サイクル特性の低下を抑制することができる、電池パック、放電システム、充放電システム及びリチウムイオン二次電池の放電制御方法を提供することを目的としている。
本発明は、リチウムイオン二次電池と、
前記リチウムイオン二次電池の端子電圧を測定する電圧測定装置と、
前記測定された端子電圧に基づいて前記リチウムイオン二次電池の放電を制御する放電制御装置と、
前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する使用頻度検知装置と、を含み、
前記放電制御装置が、前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する、電池パックに関する。
前記リチウムイオン二次電池の端子電圧を測定する電圧測定装置と、
前記測定された端子電圧に基づいて前記リチウムイオン二次電池の放電を制御する放電制御装置と、
前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する使用頻度検知装置と、を含み、
前記放電制御装置が、前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する、電池パックに関する。
また、本発明は、リチウムイオン二次電池の放電を制御する制御方法であって、
(a)前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する工程、並びに
(b)前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する工程、を含む制御方法に関する。
(a)前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する工程、並びに
(b)前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する工程、を含む制御方法に関する。
本発明によれば、検知された、リチウムイオン二次電池の使用頻度(劣化程度)に基づいて、リチウムイオン二次電池の放電終止電圧が設定される。その結果、例えば、リチウムイオン二次電池の使用初期には放電終止電圧を所定値Xに設定し、使用頻度が所定値以上になると、放電終止電圧を所定値Xよりも低電圧の所定値Yに設定する、といった調整が可能となる。よって、リチウムイオン二次電池の使用初期には放電容量が過大とならないように放電終止電圧を比較的高めに設定することにより、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下するのを防止することができる。一方、充放電サイクル数の増大により端子電圧が低下したときには、放電終止電圧を比較的低めに設定することにより、リチウムイオン二次電池の利用可能な容量が、実際の容量の低下分以上に低下してしまうのを防止することが可能となる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、本発明の他の目的及び特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池パック、及び電池パックを含む充放電システムの概略構成を回路図により示す。
(実施形態1)
図1に、本発明の一実施形態に係る電池パック、及び電池パックを含む充放電システムの概略構成を回路図により示す。
電池パック10は、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池という)11と、電池11の端子電圧を検出する電圧測定部12と、電池11の充放電を制御する制御部14と、切替回路17と、を含んでいる。制御部14は、記憶部13、放電回路15、及び充電回路16を含む。なお、制御部14は、放電制御装置及び充電制御装置を兼ねているが、充電制御装置は、電池パック10とは別の構成要素としてもよい。そして、充電回路16は、電池パック10とは別の構成要素である充電制御装置に備えられていてもよい。電圧測定部12は電圧測定装置に、制御部14は使用頻度検知装置及び放電制御装置に相当する。
また、電池パック10は、電池パック10から供給される電力を消費する負荷機器19とともに充放電システム20を構成している。充電回路16は、電源装置18と接続可能である。電源装置18は、いわゆるACアダプタ等からなり、商用電源等の外部電源と接続可能に構成される。負荷機器19は、携帯電話、パソコン、携帯型ゲーム機器及び移動機器(電気自動車等)等とすることができる。
なお、実際には、電源装置18から負荷機器19に電力を供給しつつ電池11を充電する動作も行われるが、ここでは、説明を簡略化するために、負荷機器19が電池11のみから電力の供給を受けるように構成した配線を示している。
電池11は、電圧測定部12と並列に接続されている。放電回路15及び充電回路16は、それぞれ、一対の端子を有している。
電池11の正極端子は、切替回路17と接続され、電池11の負極端子は、放電回路15の一方端子、及び電源装置18の負極端子と接続されている。放電回路15の他方端子は、負荷機器19の負極側端子と接続されている。電源装置18の正極端子は、充電回路16の一方端子と接続されている。充電回路16の他方端子は、切替回路17と接続されている。負荷機器19の正極側端子は、切替回路17と接続されている。
切替回路17は、電池11の正極端子と、負荷機器19の正極側端子との間の接続を制御する放電スイッチと、電池11の正極端子と充電回路16の他方端子との接続を制御する充電スイッチとを具備する。
放電スイッチがONされると、充電スイッチはOFFされ、電池11の正極端子と負荷機器19の正極側端子とが接続される。放電スイッチがOFFされると、その接続が切断される。
一方、充電スイッチがONされると、放電スイッチはOFFされ、電池11の正極端子と充電回路16の他方端子とが接続される。充電スイッチがOFFされると、その接続が切断される。
また、放電スイッチ及び充電スイッチの両方がOFFされると、電池11は、電圧測定部12とのみ並列接続される。
一方、充電スイッチがONされると、放電スイッチはOFFされ、電池11の正極端子と充電回路16の他方端子とが接続される。充電スイッチがOFFされると、その接続が切断される。
また、放電スイッチ及び充電スイッチの両方がOFFされると、電池11は、電圧測定部12とのみ並列接続される。
以上の構成により、切替回路17の放電スイッチがONされると、電池11が負荷機器19と接続されて、負荷機器19に電池11から電力が供給される。
一方、切替回路17の充電スイッチがONされると、電池11と電源装置18とが並列に接続されて、電池11が充電される。
一方、切替回路17の充電スイッチがONされると、電池11と電源装置18とが並列に接続されて、電池11が充電される。
制御部14は、IC、CPU、及びマイクロコンピュータなどの演算装置を含む。制御部14には、電圧測定部12により測定された電池11の端子電圧についての情報が入力される。
また、制御部14の記憶部13は、RAM、ROM(フラッシュメモリを含む)等からなり、電池11の充電終止電圧、並びに電池11の使用頻度と放電終止電圧との関係についての情報(放電終止電圧関係情報という)を記憶している。図1のシステムの放電終止電圧関係情報においては、電池11の使用頻度が比較的小さいときには、放電終止電圧は比較的高い電圧に設定され、電池11の使用頻度が比較的大きいときには、放電終止電圧は比較的低い電圧に設定されている。
記憶部13に記憶された充電終止電圧と、放電終止電圧関係情報とは、電池11の充放電を行うときに、演算装置により、記憶部13から読み出される。演算装置は、充電モード(充電スイッチがONの状態)においては、読み出された充電終止電圧を参照し、電圧測定部12により測定される電池11の端子電圧が充電終止電圧に達するまで定電流充電を行い、その後、定電圧充電を行う。定電圧充電において、電流値が所定のカットオフ電流まで低下すると、電池11の充電を停止し、充放電システム1を放電モード(放電スイッチがONの状態)に切り替える。
一方、演算装置は、放電モードにおいては、読み出された放電終止電圧関係情報を参照し、電圧測定部12により測定される電池11の端子電圧が、放電終止電圧関係情報により電池11の使用頻度に応じて設定される放電終止電圧に達するまで放電を行う。電池11の端子電圧が放電終止電圧に達すると、電池11の放電を停止し、充放電システム1を充電モード(充電スイッチがONの状態)に切り替える。
図1のシステムにおいて、放電終止電圧を電池11の使用頻度に応じて設定するのは、以下の理由による。
図2に、一般的なリチウムイオン二次電池における放電容量比(規定の放電容量に対する百分比)と、端子電圧との関係を示す。
図2に、一般的なリチウムイオン二次電池における放電容量比(規定の放電容量に対する百分比)と、端子電圧との関係を示す。
図中、曲線CL1は、200サイクルの充放電のサイクル試験の初期に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート0.2Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。同様に、曲線CL2は、200サイクルの充放電のサイクル試験の初期に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート1.0Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。
曲線CL3は、200サイクルの充放電のサイクル試験後に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート0.2Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。曲線CL4は、200サイクルの充放電のサイクル試験後に、リチウムイオン二次電池を満充電状態から放電レート1.0Cで放電したときの端子電圧と、放電容量比との関係を表している。
図2に示すように、リチウムイオン二次電池の端子電圧は、所定の放電容量比に達すると急激に低下する。また、放電レートが低いほどに、放電容量比が同一でも端子電圧は高くなる。
また、図2の例においては、曲線CL1により示すように、放電レートが0.2Cのときにも放電容量比が100%を超えないように放電終止電圧(DVC1)は、約2.8Vに設定されている。
また、図2の例においては、曲線CL1により示すように、放電レートが0.2Cのときにも放電容量比が100%を超えないように放電終止電圧(DVC1)は、約2.8Vに設定されている。
そして、サイクル試験後の曲線CL3及びCL4においては、放電容量比が同一であっても、端子電圧は、曲線CL1及びCL2に比べて大きく低下している。これは、充放電のサイクル数が大きくなると、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が増大するからである。このため、放電終止電圧として初期値のDVC1をそのまま使用すると、放電可能な電気量がまだ残っている時点で放電が停止されてしまう。その結果、利用可能な容量が実際の容量の低下分以上に小さくなってしまう。
そこで、図1のシステムにおいては、電池11の使用頻度がある程度以上に大きくなると、放電終止電圧を初期値のDVC1よりも低い電圧DVC2(図示例では、約2.6V)に再設定する。これにより、リチウムイオン二次電池の充放電のサイクル数が増大して、内部抵抗が増大しても、利用可能な容量が実際の容量の低下分以上に小さくなってしまうのを防止することができる。これにより、リチウムイオン二次電池の容量を有効利用することが可能となる。
ここで、放電終止電圧の初期設定値DVC1と、リチウムイオン二次電池の使用頻度が所定値以上となったときの放電終止電圧(以下、後期設定値という)DVC2との差Zは、0.005〜1.0Vの範囲とするのが好ましい。差Zが0.005Vよりも小さいと容量を有効利用する効果がほとんど発揮されないからである。一方、差Zが1.0Vを超えると、活物質の構造変化及び副反応が助長されて、電池寿命が短くなり、却って容量の低下を招来するからである。初期設定値DVC1と後期設定値DVC2との差Zのより好ましい範囲は、0.05〜0.5Vである。
上述したとおり、電池11の使用頻度が大きくなると電池11の内部抵抗が増大する。よって、電池11の使用頻度は、例えば、電池11の満充電状態(開回路電圧が規定の最高端子電圧である状態)における開回路電圧OCVと閉回路電圧CCVとの電圧差ΔV1から分極電圧を検知し、検知された分極電圧に基づいて検知することができる。
この場合には、電圧差ΔV1が所定値Aに達すると、放電終止電圧をDVC1からDVC2に切り替えるように制御を行う。このとき、所定値Aは、0.005〜1.0Vの範囲とするのが好ましい。所定値Aのより好ましい範囲は、0.01〜0.8Vである。
図1のシステムの記憶部13においては、図3に示すように、放電終止電圧関係情報は、開回路電圧OCVの各範囲及び電圧差ΔV1の各範囲の組み合わせに対応する放電終止電圧を示すテーブル状のデータとして記憶されている。図3の例においては、例えば、OCVが3.2V以上3.3V未満の範囲であり、かつ ΔV1が、0.35V以上0.4V未満の範囲であれば、放電終止電圧は、2.8V(図中、破線の楕円により囲った数値)に設定される。
このように、電圧差ΔV1の範囲と、開回路電圧OCVの範囲との組み合わせに対応して放電終止電圧を設定することによって、電池11が満充電状態以外のときにおいても、より適切な放電終止電圧に随時設定を変更することが可能となる。
この構成に代えて、電池11が満充電状態になる度に、そのときの電圧差ΔV1により放電終止電圧を設定するようにしてもよい。この場合には、電池11が満充電状態となって一旦放電終止電圧が設定されてから、次に電池11が満充電状態となって新たな放電終止電圧が設定されるまでの間は、先の放電終止電圧が使用される。
この構成に代えて、電池11が満充電状態になる度に、そのときの電圧差ΔV1により放電終止電圧を設定するようにしてもよい。この場合には、電池11が満充電状態となって一旦放電終止電圧が設定されてから、次に電池11が満充電状態となって新たな放電終止電圧が設定されるまでの間は、先の放電終止電圧が使用される。
なお、以上のような放電終止電圧の切り替えは、1回だけではなく、2回以上行うことも可能である。この場合には、2個以上の所定値A1、A2、・・・と、2個以上の切り替え用の放電終止電圧とを準備すればよい。
次に、図1のシステムの動作を、フローチャートを参照しながら説明する。
図4は、放電モードにおいて、制御部14が行う放電制御のフローチャートである。
図4は、放電モードにおいて、制御部14が行う放電制御のフローチャートである。
ユーザにより負荷機器19の電源スイッチがONされて、負荷機器19が起動される(S0)。すると、切替回路17の充電スイッチ及び放電スイッチをともにOFFにし、その状態で、電圧測定部12が電池11の端子電圧を測定する(S1)。これにより、電池11の開回路電圧(OCV)が検出される。
次いで、切替回路17の放電スイッチがONされ、負荷機器19への電力の供給が開始される。そして、放電スイッチがONされてから所定時間(例えば、10秒)が経過したときの電池11の端子電圧を電圧測定部12により測定する(S2)。これにより、電池11の閉回路電圧(CCV)が検出される。なお、上記所定時間は、実際の負荷機器19の消費電力に応じて適宜に設定される。例えば、0.1秒〜15分の範囲で設定される。
次いで、OCVと、CCVとの電圧差ΔV1が算出される(S3)。測定されたCCV、及び算出されたΔV1を、記憶部13に記憶された放電終止電圧関係情報と照合して、対応する放電終止電圧(DCV)を得る(S4)。得られたDCVと、測定されたCCVとを比較する(S5)。その結果、CCV>DCVであれば、電池11が放電終止電圧まで放電されていないものと判断し、CCVがDCVと等しくなるまで放電を継続する(S6)。
次いで、負荷機器19の電源スイッチがOFFされたか否かを判断し(S7)、OFFされた場合には、処理を終了する。負荷機器19の電源スイッチがOFFされていない場合には、ステップS5に戻る。
一方、ステップS5における比較の結果が、CCV≦DCVであれば、電池11が放電終止電圧まで放電されていると判断し、充電スイッチをONにする(S8)。これにより、放電スイッチはOFFされ、電池11の放電が停止される。このとき、電源装置18が外部電源と接続されていれば、電池11の充電が開始される。
以上のようにして、電池11の放電終止電圧を、電池11の使用頻度に応じて設定し、設定された放電終止電圧により電池11の放電制御を行うことが可能となる。
なお、図2に示したとおり、リチウムイオン二次電池の放電カーブは、放電電流(負荷)によっても変動する。そこで、放電レートによって、ステップS4で得られた放電終止電圧DVCを補正することが望ましい。または、放電終止電圧関係情報として、放電レート毎に、ΔV1及びOCVの各範囲に対応する放電終止電圧を、記憶部13に記憶させても良い。具体的には、放電電流値が低いほど、つまり放電レートが低いほど、放電終止電圧が高くなるように補正することが望ましい。
本実施形態のさらに好ましい態様では、正極は、正極活物質として、リチウム含有複合酸化物を含む。リチウム含有複合酸化物は、六方晶の層状構造や、スピネル型結晶構造を有することが好ましい。このようなリチウム含有複合酸化物は、容量が大きく、金属リチウムに対して高い電位を有する。よって、高容量のリチウムイオン電池を実現できる。なかでも、リチウム含有ニッケル複合酸化物が正極活物質として好適である。ニッケルを主成分として含む正極活物質は、特に高い容量を有するからである。
リチウム含有ニッケル複合酸化物において、NiのLiに対するモル比は、10モル%以上が好ましく、50〜100モル%がさらに好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物は、さらに、マンガン、コバルト及びアルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物がマンガンを含む場合、MnのLiに対するモル比が10〜40モル%であることが好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物がコバルトを含む場合、CoのLiに対するモル比は5〜40モル%であることが好ましい。リチウム含有ニッケル複合酸化物がアルミニウムを含む場合、AlのLiに対するモル比は0.5〜30モル%であることが好ましい。なかでも、コバルトとアルミニウムを含むリチウム含有ニッケル複合酸化物は、温度による放電容量の変化が生じ、過放電状態になると、結晶構造の劣化が起こりやすいため、本発明の効果が大きい。
本発明の好ましい態様では、負極は、炭素材料または合金系活物質を含む。また、負極は、電池の組み立て前に、予め不可逆容量に相当するリチウムが吸蔵されたものであることが望ましい。この場合、負極の不可逆容量よりも、正極の不可逆容量が大きくなることから、上述したように、過放電を防止して正極の劣化を抑制する必要性が大きくなる。
炭素材料としては、黒鉛、易黒鉛化炭素材料、難黒鉛化性炭素材料などを用いることができる。
合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムイオンを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質としては、ケイ素系活物質、スズ系活物質などが好ましい。ケイ素系活物質には、ケイ素、ケイ素化合物、これらの部分置換体、これらの固溶体などがある。ケイ素化合物には、式SiOa(0.05<a<1.95)で表されるケイ素酸化物、式SiCb(0<b<1)で表されるケイ素炭化物、式SiNc(0<c<4/3)で表されるケイ素窒化物、ケイ素合金などがある。ケイ素合金は、ケイ素と異種元素Aとの合金である。異種元素Aには、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Tiなどがある。
合金系活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムイオンを吸蔵し、負極電位下でリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する物質である。合金系活物質としては、ケイ素系活物質、スズ系活物質などが好ましい。ケイ素系活物質には、ケイ素、ケイ素化合物、これらの部分置換体、これらの固溶体などがある。ケイ素化合物には、式SiOa(0.05<a<1.95)で表されるケイ素酸化物、式SiCb(0<b<1)で表されるケイ素炭化物、式SiNc(0<c<4/3)で表されるケイ素窒化物、ケイ素合金などがある。ケイ素合金は、ケイ素と異種元素Aとの合金である。異種元素Aには、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Tiなどがある。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、外形的な構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態2が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧(OCV)と、閉回路電圧(CCV)との電圧差ΔV1により検知するのではなく、内部抵抗により検知する点である。
次に、本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、外形的な構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態2が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧(OCV)と、閉回路電圧(CCV)との電圧差ΔV1により検知するのではなく、内部抵抗により検知する点である。
電池11の内部抵抗を検知する方法としては、電池11から所定のパルス電流を発生させ、そのときの電流値Ipulと、電圧測定部12により測定される電池11の端子電圧(OCV)の変化量ΔV2とに基づいて内部抵抗を検知する方法がある。電流×抵抗=電圧、という関係から、変化量ΔV2と電流値Ipulとの比Rを所定値Bと比較し、比Rが所定値Bよりも小さければ、電池11の使用頻度が比較的に小さいものとして、比較的高い放電終止電圧(DVC1)を設定する。比Rが所定値B以上であれば、電池11の使用頻度が比較的に大きいものとして、比較的低い放電終止電圧(DVC2)を設定する。
このとき、所定値Bは、0.01mΩ〜0.5Ωの範囲とするのが好ましい。所定値Bのより好ましい範囲は、1mΩ〜200mΩである。
この場合には、記憶部13には、比Rの少なくとも2つの範囲と、それぞれの範囲に対応する放電終止電圧とを組み合わせた情報が、放電終止電圧関係情報として記憶される。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、電圧測定部12の測定結果に基づいて、電流値Ipulのパルス電流を印加したときの電池11の端子電圧(OCV)の変化量ΔV2が算出される。電流値Ipulと変化量ΔV2とから比Rが算出され、算出された比Rを放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、電圧測定部12の測定結果に基づいて、電流値Ipulのパルス電流を印加したときの電池11の端子電圧(OCV)の変化量ΔV2が算出される。電流値Ipulと変化量ΔV2とから比Rが算出され、算出された比Rを放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
以上のように、電池11の使用頻度は、電池11の内部抵抗を検知することによっても検知することが可能であり、その場合にも実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、この場合にも、放電終止電圧の切り替えは、1回だけではなく、2回以上行うことが可能である。
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、外形的構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態3が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧の初期値からの変化により検知する点である。
次に、本発明の実施形態3を説明する。実施形態3は、外形的構成は実施形態1と同様であるので、実施形態1で参照した各図面を流用して説明する。
実施形態3が、実施形態1と異なるのは、電池11の使用頻度を、開回路電圧の初期値からの変化により検知する点である。
電池11の使用頻度を開回路電圧の初期値からの変化により検知する方法としては、電池11の開回路電圧を同一の充電状態(充電深度)で比較する方法がある。例えば、電池11が満充電状態であるときに、電池11の開回路電圧(OCVPV)を測定し、その測定値OCVPVを、同一の条件で電池11の使用初期に測定した開回路電圧(OCVSV、以下、初期開回路電圧という)と比較する。
すなわち、OCVPVとOCVSVとの差ΔV3を算出し、差ΔV3が所定値Cよりも小さければ、電池11の使用頻度が比較的に小さいものとして、比較的高い放電終止電圧(DVC1)を設定する。差ΔV3が所定値C以上であれば、電池11の使用頻度が比較的に大きいものとして、比較的低い放電終止電圧(DVC2)を設定する。ここで、所定値Cは、0.005〜0.5V、好ましくは0.01〜0.3Vとすることができる。
この場合には、記憶部13には、差ΔV3の少なくとも2つの範囲と、それぞれの範囲に対応する放電終止電圧とを組み合わせた情報、並びに初期開回路電圧OCVSVが、放電終止電圧関係情報として記憶される。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、OCVSVと、OCVPVとから差ΔV3が算出され、算出された差ΔV3を放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
また、図4のステップS1〜S4に代えて、OCVSVと、OCVPVとから差ΔV3が算出され、算出された差ΔV3を放電終止電圧関係情報と照合して、放電終止電圧(DCV)が求められる。それ以外の処理は、実施形態1と同様である。
以上のように、電池11の使用頻度は、電池11の満充電状態における開回路電圧を検知することによっても検知することが可能であり、その場合にも実施形態1と同様の効果を得ることができる。また、この場合にも、放電終止電圧の切り替えは、1回だけではなく、2回以上行うことが可能である。
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(1)正極の作製
正極活物質には、コバルトとアルミニウムを含むリチウム含有ニッケル複合酸化物であるLiNi0.85Co0.15Al0.05O2を用いた。
正極活物質85重量部と、導電剤である炭素粉末10重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合して、正極合剤ペーストを得た。PVDF量は5重量部とした。得られた正極合剤ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体20)の片面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚み70μmの正極を作製した。
得られた正極を20mm角の活物質塗布部を有し、端部に5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断した。
[実施例1]
(1)正極の作製
正極活物質には、コバルトとアルミニウムを含むリチウム含有ニッケル複合酸化物であるLiNi0.85Co0.15Al0.05O2を用いた。
正極活物質85重量部と、導電剤である炭素粉末10重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合して、正極合剤ペーストを得た。PVDF量は5重量部とした。得られた正極合剤ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極集電体20)の片面に塗布し、乾燥し、圧延して、厚み70μmの正極を作製した。
得られた正極を20mm角の活物質塗布部を有し、端部に5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断した。
(2)負極の作製
負極集電体として、両面に最大高さが約8μmの多数の凸部が所定の間隔で形成された合金銅箔を用いた。負極集電体の片面に、ケイ素酸化物SiO0.2を蒸着することにより
、負極活物質層を形成した。蒸着装置には、アルバック(株)製のものを使用し、これにより、多数の凸部の上にそれぞれ50層の粒層を有する柱状体を形成するようにして、活物質層を形成した。
負極集電体として、両面に最大高さが約8μmの多数の凸部が所定の間隔で形成された合金銅箔を用いた。負極集電体の片面に、ケイ素酸化物SiO0.2を蒸着することにより
、負極活物質層を形成した。蒸着装置には、アルバック(株)製のものを使用し、これにより、多数の凸部の上にそれぞれ50層の粒層を有する柱状体を形成するようにして、活物質層を形成した。
蒸着条件は次のとおりである。
負極活物質原料(蒸発源35):ケイ素、純度99.9999%、高純度化学研究所(株)製
ノズル34から放出される酸素:純度99.7%、日本酸素(株)製
ノズル34からの酸素放出流量:80sccm
角度α:60°
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
蒸着時間:3分
負極活物質原料(蒸発源35):ケイ素、純度99.9999%、高純度化学研究所(株)製
ノズル34から放出される酸素:純度99.7%、日本酸素(株)製
ノズル34からの酸素放出流量:80sccm
角度α:60°
電子ビームの加速電圧:−8kV
エミッション:500mA
蒸着時間:3分
負極の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、10個の凸部の上にそれぞれ形成された10個の柱状体について、凸部の頂点から柱状体の頂点までの長さそれぞれを求めた。得られた10個の測定値の平均値(16μm)を、負極活物質層の厚さとした。柱状体に含まれる酸素量を燃焼法により定量したところ、柱状体を構成する化合物の組成はSiO0.2であった。
次に、負極活物質層の表面にリチウム金属を蒸着した。リチウム金属を蒸着することにより、負極活物質層に初回充放電時に蓄えられる不可逆容量に相当するリチウムを補填した。リチウム金属の蒸着は、アルゴン雰囲気下にて、抵抗加熱蒸着装置((株)アルバック製)を用いて行った。抵抗加熱蒸着装置内のタンタル製ボートにリチウム金属を装填した。負極活物質層がタンタル製ボートを臨むように負極を固定した。アルゴン雰囲気内にて、タンタル製ボートに50Aの電流を通電して10分間蒸着を行った。
得られた負極を活物質形成部が21mm角で5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断し、負極とした。
得られた負極を活物質形成部が21mm角で5mm角のリード取り付け部を設けるように裁断し、負極とした。
(3)非水電解液の調製
エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジエチルカーボネートとの体積比2:3:5の混合溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解し、非水電解液とした。非水電解液100重量部に対し、5重量部のビニレンカーボネートを添加した。
エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジエチルカーボネートとの体積比2:3:5の混合溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解し、非水電解液とした。非水電解液100重量部に対し、5重量部のビニレンカーボネートを添加した。
(4)電池の組み立て
まず、正極の正極活物質層と、負極の負極活物質層との間に、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(厚さ20μm、旭化成(株)製)を介在させて、積層型電極群を作製した。次に、アルミニウム製の正極リードの一端を正極集電体に溶接し、ニッケル製の負極リードの一端を負極集電体に溶接した。電極群を、非水電解液とともにアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。次に、正極リード及び負極リードを外装ケースの開口部から外部に導出し、内部を真空減圧しながら外装ケースの開口を樹脂で溶着した。
まず、正極の正極活物質層と、負極の負極活物質層との間に、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(厚さ20μm、旭化成(株)製)を介在させて、積層型電極群を作製した。次に、アルミニウム製の正極リードの一端を正極集電体に溶接し、ニッケル製の負極リードの一端を負極集電体に溶接した。電極群を、非水電解液とともにアルミニウムラミネートシートからなる外装ケースに挿入した。次に、正極リード及び負極リードを外装ケースの開口部から外部に導出し、内部を真空減圧しながら外装ケースの開口を樹脂で溶着した。
(5)評価
(a)得られた電池を、25℃の環境下で後述の充電条件1で充電した後、放電条件1で放電し、そのときの放電容量を求めた。求められた値を初期容量とする。
(b)45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件2で放電することを繰り返す充放電試験を行った。充放電データから満充電状態における開回路電圧(OCV)と電流印加60秒後の閉回路電圧(CCV)との差を、算出してΔV1を算出した。
(c)算出したΔV1が、0.3Vに達すると(約200サイクル目の充電処理が終了したときであった)、以後は、放電条件を放電条件3に切り替えて更に100サイクルの充放電処理を行った。そして、(a)で求めた初期容量に対する、サイクル試験後の容量維持率を算出した結果、86%であった。
(a)得られた電池を、25℃の環境下で後述の充電条件1で充電した後、放電条件1で放電し、そのときの放電容量を求めた。求められた値を初期容量とする。
(b)45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件2で放電することを繰り返す充放電試験を行った。充放電データから満充電状態における開回路電圧(OCV)と電流印加60秒後の閉回路電圧(CCV)との差を、算出してΔV1を算出した。
(c)算出したΔV1が、0.3Vに達すると(約200サイクル目の充電処理が終了したときであった)、以後は、放電条件を放電条件3に切り替えて更に100サイクルの充放電処理を行った。そして、(a)で求めた初期容量に対する、サイクル試験後の容量維持率を算出した結果、86%であった。
充電条件1:定電流−定電圧充電(定電流充電(充電レート:0.3C、充電終止電圧:4.2V)、定電圧充電(カットオフ:0.05C)、温度:25℃)。
放電条件1:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.50V、温度:25℃)。
放電条件2:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.75V、温度:45℃)。
放電条件3:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.65V、温度:45℃)。
放電条件4:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.5V、温度:45℃)。
放電条件1:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.50V、温度:25℃)。
放電条件2:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.75V、温度:45℃)。
放電条件3:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.65V、温度:45℃)。
放電条件4:定電流放電(放電レート:1C、放電終止電圧2.5V、温度:45℃)。
[比較例1]
実施例1と同様に、電池の初期容量を、上記手順(a)により求めた。また、45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件4で放電することを繰り返す充放電試験を300回繰り返した。実施例1と同様に、300サイクル後の容量維持率を算出すると、75%であった。
実施例1と同様に、電池の初期容量を、上記手順(a)により求めた。また、45℃の環境下において充電条件1で充電するとともに、放電条件4で放電することを繰り返す充放電試験を300回繰り返した。実施例1と同様に、300サイクル後の容量維持率を算出すると、75%であった。
以上の結果から明らかなように、実施例1は、比較例1に対して、容量維持率が著しく向上している。したがって、本発明によれば、充放電サイクル数の増大に伴ってリチウムイオン二次電池の容量が低下したときに、実際の容量の低下分以上に利用可能な容量が低下してしまうのを防止することが可能である。
本発明は、リチウムイオン二次電池の放電特性に適合するように、合理的に放電終止電圧が設定されるので、益々の高容量化が求められるリチウムイオン二次電池に適用するのに好適である。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形及び改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、すべての変形及び改変を包含する、と解釈されるべきものである。
10 電池パック
11 リチウムイオン二次電池
12 電圧測定部
14 制御部
19 負荷機器
20 充放電システム
11 リチウムイオン二次電池
12 電圧測定部
14 制御部
19 負荷機器
20 充放電システム
Claims (17)
- リチウムイオン二次電池と、
前記リチウムイオン二次電池の端子電圧を測定する電圧測定装置と、
前記測定された端子電圧に基づいて前記リチウムイオン二次電池の放電を制御する放電制御装置と、
前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する使用頻度検知装置と、を含み、
前記放電制御装置が、前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する、電池パック。 - 前記使用頻度検知装置が、前記リチウムイオン二次電池の開回路電圧と、閉回路電圧との差:ΔV1から分極電圧を検知し、前記検知された分極電圧に基づいて、前記使用頻度を検知する、請求項1記載の電池パック。
- 前記制御装置は、前記差ΔV1が所定値A未満であると前記放電終止電圧を所定値Xに設定し、前記差ΔV1が所定値A以上であると前記放電終止電圧を所定値Y(X>Y)に設定する、請求項2記載の電池パック。
- 前記所定値Aが、0.005〜1.0Vである、請求項3記載の電池パック。
- 前記使用頻度検知装置が、
前記リチウムイオン二次電池に所定のパルス電流を印加し、前記パルス電流の電流値Iと、前記パルス電流が印加されたときの、前記電圧測定装置により測定される電圧の変化量ΔV2と、に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の内部抵抗を検知し、前記検知された内部抵抗に基づいて、前記使用頻度を検知する、請求項1記載の電池パック。 - 前記制御装置は、前記変化量ΔV2と前記電流値Iとの比Rが所定値B未満であると前記放電終止電圧を所定値Xに設定し、前記比Rが所定値B以上であると前記放電終止電圧を所定値Y(X>Y)に設定する、請求項5記載の電池パック。
- 前記所定値Bが、0.01mΩ〜0.5Ωである、請求項6記載の電池パック。
- 前記使用頻度検知装置が、前記リチウムイオン二次電池が満充電状態であるときに、前記電圧測定装置により測定される開回路電圧の、初期値からの変化量ΔV3に基づいて、前記使用頻度を検知する、請求項1記載の電池パック。
- 前記制御装置は、前記開回路電圧の変化量ΔV3が所定値C未満であると前記放電終止電圧を所定値Xに設定し、前記開回路電圧の変化量が所定値C以上であると前記放電終止電圧を所定値Y(X>Y)に設定する、請求項8記載の電池パック。
- 前記所定値Cが、0.005〜0.5Vである、請求項9記載の電池パック。
- 前記所定値Xと前記所定値Yとの差:Zが、0.005〜1.0Vである、請求項3、4、6、7、9または10に記載の電池パック。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電池パックと、
前記リチウムイオン二次電池から供給される電力を消費する負荷機器と、を含む放電システム。 - 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電池パックと、
前記リチウムイオン二次電池の充電を制御する充電制御装置と、
前記リチウムイオン二次電池から供給される電力を消費する負荷機器と、を含む充放電システム。 - 前記負荷機器が、携帯電話、パソコン、携帯型ゲーム機器及び移動機器よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項12記載の放電システム。
- 前記負荷機器が、携帯電話、パソコン、携帯型ゲーム機器及び移動機器よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項13記載の充放電システム。
- リチウムイオン二次電池の放電を制御する制御方法であって、
(a)前記リチウムイオン二次電池の使用頻度を検知する工程、並びに
(b)前記検知された使用頻度に基づいて、前記リチウムイオン二次電池の放電終止電圧を設定する工程、を含む制御方法。 - 工程(a)が、
(c)所定の充電状態における前記リチウムイオン二次電池の開回路電圧を測定する工程、
(d)前記所定の充電状態における前記リチウムイオン二次電池の閉回路電圧を測定する工程、
(e)測定された、前記リチウムイオン二次電池の開回路電圧と、閉回路電圧との差:ΔV1を算出する工程、及び
(f)算出された前記差ΔV1を、予め設定される放電終止電圧関係情報と照合して、前記差ΔV1と対応する放電終止電圧を得る工程、を含む請求項16記載の制御方法。
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